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総括的検証、黒田日銀の金融政策「デフレ脱却に効果」評価割れる(8月調査)

記事公開日 2016/8/29 11:51 最終更新日 2016/8/29 11:51 調査・サーベイ 国内 QUICK月次調査<債券> QUICK月次調査

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の8月調査を8月29日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者140人が回答、調査期間は8月23~25日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.090~マイナス0.080%で推移しました。

日本国債のイールドカーブをみると、7月26日時点から8月26日時点にかけて以下の通りとなりました。

        7月26日  8月26日
10年債・・・・▲0.253%⇒▲0.069%
15年債・・・・▲0.027%⇒ 0.081%
20年債・・・・・0.168%⇒ 0.278%
30年債・・・・・0.265%⇒ 0.353%

7月にかけて、マイナス金利が一段と深堀りする動きを見せていましたが、8月は一転して水準を切り上げてきました。7月28~29日に開催された日銀金融政策決定会合で、当初期待されていたマイナス金利の深堀りや国債買い入れの増額が見送られたことから、7月前半に比べ、マイナス金利でも国債を買い進めていく動きが鈍りました。当面は、もう一段の金融緩和が行われるのかどうかという思惑によって、長期金利が上下にぶれる展開になりそうです。

注目される9月日銀会合での「総括的な検証」

次回の日銀金融政策決定会合は、9月20~21日に開催されます。ここで注目されるのが、前回の金融政策決定会合で発表された「総括的な検証」が行われることです。その内容はまだ分かりませんが、今回のアンケートでは債券市場関係者に「総括的な検証」をしてもらいました。

まず、黒田日銀総裁の異次元緩和は、全体としてデフレ脱却に効果があったのかという点を問うと、「効果があった」と「効果があったともなかったとも言えない」がともに33%でトップとなりました。次いで「効果はなかった」が20%。「かえって逆効果」という回答も6%ありました。

異次元緩和効果

次に、日銀として今後、どうすべきと考えるかを聞いてみると、「現行フレームワークの一部修正」が45%で最多。次いで「新しい景気刺激フレームワークの導入」が23%が続きました。一方、「緩和政策の縮小」は14%となりました。

今後の日銀金融政策

緩和政策の縮小という、現行の金融政策に対峙する考えも含め、現在の政策フレームワークに対して、債券市場関係者の間では見直しを求める声が強まっているようです。

そして、金融政策の運営はどのようなあり方が適切と考えるかについて問うと、「市場との対話を図って市場の期待に沿う」が66%で最多となりました。次いで「あらかじめ定量的なルールを設定し、それに従う」が13%、「その他」が13%となりました。

日銀金融政策運営

「その他」を具体的にみると、「金融政策の限界を十分認識したうえで、政府に政策要望」、「ルールより裁量を重視した政策運営が望ましい。市場に過度に配慮するのではなく、物価の安定がトッププライオリティであることを再認識すべき」、「物価安定目標の柔軟化、枠組みの見直し」、「市場の期待に沿う形を取らなくても良いが、対話して欲しい」といった声が挙がりました。

短期金利/金融政策への注目度が高い

新発10年国債の金利見通しは、7月調査分に比べて、マイナス水準であることに変わりはありませんが、若干上昇しました。前述したように、7月の日銀金融政策決定会合において、日銀が国債買い入れの増額に踏み込まなかったため、日銀の金融緩和政策に限界があるという見方が広まった影響が大きいとみられます。

10年債利回りチャート

今後、6カ月程度を想定した時、注目度で上昇したのが「短期金利/金融政策」で、7月調査の81%から、8月調査では91%まで上昇しました。一方、「債券需給」は10%から4%へと低下。日銀の国債買い入れ増額が見送られたことによって、債券市場の需給バランスが緩むとの見方を反映したものとみられます。

今後注目している投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が7月調査分の74%から、8月調査分では80%に上昇。一方で「外国人」が12%から5%に低下しました。その他の投資主体では、「都銀・信託銀行(投資勘定)」、「地方銀行」、「生損保(年金除く)」が上昇する一方、「信金・信組」、「年金資金(投資顧問含む)」、「ディーラー」が低下。「投資信託」、「農林系」、「郵貯・簡保」が0%で変わらずという結果になりました。この数字からも、現在の国内債券市場は、政府・日銀の動きに市場が支配されていることが浮き彫りになっているといえます。

債券組み入れ状況に大きな変化は見られず

ディーリング部門を除く資産運用担当者71人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが現在、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、前月に比べて大きな変化はみられませんでした。「かなりオーバーウエート」は0%で変わらず。「ややオーバーウエート」が若干の低下となり、「ニュートラル」、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」が微増です。

また、今後のスタンスについては、「現状を維持する」が7月調査分の82%から76%に低下する一方、「やや引き下げる」が12%から20%に上昇しました。

現在のデュレーションは、「やや長い」が23%から31%に上昇する一方、「かなり長い」、「ほぼ基準通り」、「やや短い」、「かなり短い」が微減。当面のデュレーションについては、「やや短くする」、「かなり短くする」が微増で、「かなり長くする」、「現状を維持する」が微減。「やや長くする」が変わらずとなりました。


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