フェイスブックが30日に2018年7~9月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると、20日時点の市場の予想EPS(1株利益、Non-GAAP)は前年同期比8%減の1.78ドルと、この3年間で初のマイナス成長が予想されている。4~6月期決算では規制強化に対する市場の楽観が打ち砕かれ、株価は下げ基調。29日に年初来安値をつけた。今回の決算が反転のきっかけとなるには、収益成長期待が再び高まるような内容が求められるだろう。
【フェイスブックの18年7~9月期決算に対する市場予想】
・売上高 :137億6500万ドル(33.3%増)
・広告売上高 :136億1900万ドル(34.3%増)
・うち携帯向け広告 :125億1000万ドル(40.2%増)
・1株利益(EPS) :1.78ドル(7.8%減、Non-GAAP)
1.46ドル(8.2%減、GAAP)
(注:増減率は対前年同期)
18年7~9月期の売上高は、携帯向け広告収入の伸びがけん引し同33%増の137億ドルと高い成長ペースを維持する見通しだ。市場では、今後相次いで稼働するデータセンター設備の減価償却費がかさみ、利益を圧迫するとの見方が出ていた。不正な投稿や広告を監視する人員を大量雇用したことも、利益悪化要因とみられている。
4~6月期決算では、個人情報保護規制が強化された欧州の利用者減少が判明し、フェイスブック株は2割近く急落。その後も同社は下げ基調が続く。10月以降、フェイスブックと合わせて「FANG」と並び称されたネットフリックス、アマゾン・ドット・コム、アルファベット(グーグル)の株価も低迷しており、ハイテク株全体に投資家心理の悪化は広がっている。
フェイスブック株の反転は、市場全体の投資家心理の改善につながる可能性がある。とはいえ主力の広告事業は、規制懸念から成長期待が高まりにくい。ドイツ銀行は2日付リポートでフェイスブックへの広告出稿の増額に慎重な企業が増えているとの見方を示している。反転のきっかけは、傘下であるインスタグラムの収益化など「新規分野の成長期待が高まるような情報次第」(国内投信のファンドマネジャー)との見方があった。(吉田晃宗)
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