投信業界の流行語大賞? 「ひふみ」に迫る

今年の流行語にもなった「ひふみん」。現役を引退した将棋棋士の加藤一二三・九段の愛称だが、投資信託業界でも「ひふみ」の人気が急騰した。この1年で急成長したファンドの魅力に迫った。

「ひふみ」を運用するのは、独立系のレオス・キャピタルワークス。シリーズには運用会社が直接販売する「ひふみ投信」(9C31108A)と、銀行や証券会社で取り扱う「ひふみプラス」(9C311125)、確定拠出年金制度を通じて購入できる「ひふみ年金」(9C31116A)の3つがあり同じマザーファンドで運用している。

このうち純資産総額(残高)が最も大きい「ひふみプラス」は今年12月に残高が4000億円を超え、昨年末時点(857億円)の5倍近くに膨らんだ。国内公募の追加型株式投信(ETFを除く)の残高ランキングでは、今年12月25日時点で13位に浮上。昨年末時点の上位100本圏外から大躍進した。

「ひふみ」が広く世に知れ渡るようになったのは、今年2月に放映されたテレビ東京の情報番組がきっかけだった。レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長が出演し、独創的な投資理念が反響を呼んだ。その直後から直販の「ひふみ投信」には資料請求や口座開設の申込みが殺到した。

「ひふみプラス」の販売会社も急増。年初に32社だったのが、11月末時点で51社まで拡大した。地方銀行や証券会社に足を運んでネットワークを広げてきた成果もあり、「すべての都道府県に販売窓口を持ちたい」という藤野社長の想いが叶いつつある。

「ひふみ投信」と「ひふみプラス」は金融庁が定めた厳しい条件をクリアし、来年1月に始まる積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の対象商品にもなった。三菱東京UFJ銀行や三菱UFJ信託銀行、野村証券などの大手銀行・大手証券でも、つみたてNISA専用で「ひふみプラス」の販売が始まる。

「ひふみ」の主な投資対象は国内の株式だ。テレビ番組でも紹介されたように、ファンドマネジャーやアナリストが自ら日本中を走り回って成長が見込める会社を探し出す。

今年6月には初めて米国株を組み入れた。いまのところマイクロソフト(MSFT)とアマゾン(AMZN)の2銘柄で、藤野社長は「これからも地味で地道に成長を続ける国内株式を軸としながら、有望な外国株式があれば組み入れていく」(17年11月の月次運用レポート)としている。

組み入れ銘柄数は11月末時点で201銘柄にのぼる。1年前(134銘柄)の1.5倍になった。残高の急増に伴い、どんな投資先が増えたか。運用報告書(16年10月1日~17年10月2日)で組み入れ銘柄を前期末と比べたところ、新たに投資した銘柄のうち上位20銘柄(期末評価額ベース)は表1のとおり。上位には米国株と国内の有名企業が目立つ。

一方、同時期に積み増した銘柄を株式の増加率の大きい順にランキングしたのが表2。1位はホテルや学生寮を運営する共立メンテナンス(9616)、2位は福利厚生代行のリログループ(8876)だった。「地味で地道な」国内株が中心と言える。

この1年の運用成績は堅調で、「ひふみプラス」の1年リターンは今年11月末時点で43.68%。「ファンド規模の拡大で運用効率が落ちるのでは」との懸念は、いまのところ杞憂に終わっている。

投資家と運用会社の距離の近さも「ひふみ」の魅力の一つだ。レオス・キャピタルワークスは普段から全国各地でセミナーや懇親会を開き、投資家との接点を設けている。「お子様連れ限定セミナー」「女子勉強会」などユニークなイベントもある。

手数料体系も特徴的。「ひふみ投信」には「資産形成応援団」と称したプログラムがあり、5年以上保有し続けると信託報酬の一部が投資家に還元される。「ひふみプラス」も残高が増えると信託報酬が下がる仕組みがある。

運用者の「顔が見える」安心感と、投資理念の共有。そこに好成績などが重なって「ひふみ」人気に火が付いた。投資初心者も巻き込んで急拡大した「ひふみ」。日本人がこれまであまり味わってこなかった「成功体験」の輪を広げられるか。来年はその真価が問われる1年になりそうだ。

(QUICK資産運用研究所 小松めぐみ)

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