どうなる3月相場?勝率アノマリーから解読

日経平均は2月12日引け値で1万5000円を割りこみました。2014年10月21日以来、1年4カ月ぶりの1万5000円割れです。年初の1万9000円の高値から1ヶ月半ほどで4000円の下落で2割以上下げたことになります。 この相場下落について「長期的には買い場が来ている」との指摘も増えてきていますので、「QUICK Money World」にあるマーケットカレンダーで2月と3月のアノマリーを振り返りながら、3月の相場を大胆に予想してみました。 2月は売り先行の月 「セル・イン・メイ」という言葉を聞いたことがあると思います。米国でとても有名な格言で、「株は5月に全部売ってしまい、夏は相場が枯れるのでポジションを持たずに過ごし、ハロウィーンの頃に相場に戻ってきてまた株を仕込むのが年を通じては一番好いパフォーマンスになる」というものです。これを過去の実績で検証すると非常に成功率の高い投資だということが判ります。このように、株式市場において、合理的な説明はできないけれども、過去の経験則から起こりがちな株価の季節性などをアノマリーといいます。 2月で有名な格言には「節分天井、彼岸底」があります。2月の節分頃に天井を付けて、3月の春分の日の彼岸の頃に底値になるということなのですが、いろいろな人がこのアノマリーの信憑性を実証していますが、あまり検証結果は芳しくありません。ただ今年は直近高値が2月1日の1万7905円です。このアノマリーが今年は当たっているとするなら、3月後半まで下げる可能性もあるかもしれません。 さて、日経平均の勝率面での「特異月」についても確認しておきましょう。1976年以降で月ごとの勝率が高いのは、12月が68%、4月が65%、1月と11月が63%とこの4ヶ月がベスト4です。したがって、アノマリー的には、12月に掉尾の一振で上げた後、1月に天井を付け、2〜3月は調整から切り返し、4~5月にかけて今年前半の高値をつけにいく季節性のパターンが読み取れます。2月の勝率は54%です。下げの特異日をみると、勝率が30%台なのが、3日、5日、9日、20日、21日です。アノマリー的には、月前半の下げ日が多く、後半21日を経過すると上げの日が多くなってきます。特に25日は勝率80%の上げ特異日です。今年は下げの特異日20日、21日が週末となるため、むしろラッキーかもしれません。 これらのアノマリーを総合すると、足元の相場は底値固めをしている、とみることもできるでしょう。 3月は中央銀決定会合を経て実質最終商い日にかけてジリ高 さて、3月の月間の勝率は59%で、とりわけ高い月ではありませんが、アノマリー面では市況改善が見込まれます。 というのも、2月よりは勝率が上がることに加え、2月に5日もあった上昇率30%台という下げの特異日が1日もありません。一方、上げの特異日は15日の79%、18日の71%と、この2日が70%を超えます。70%こそ超えませんが、年度末権利付き最終日前後である26〜28日あたりの上げる確率も高くなっています。権利付き最終日を控え、配当、分割、株主優待などの権利確定の買いが増えるのと、機関投資家、特に金融機関が年度末を控え3月3週くらいまでに年度内の売りを終了するためだと思われます。 3月のアノマリーを実際の経済カレンダーと合わせてみましょう。11日が東京市場のメジャーSQです。10日には、ドラギ総裁が追加利下げを示唆した欧州中央銀行(ECB)理事会があります。14〜15日が日銀決定会合、15〜16日が米連邦準備委員会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。SQの11日、決定会合の15日が上げの特異日であることが注目されます。 そして4月は月間の上げが65%と12月に次いでもっとも上げる月になります。4月は金融機関などの新年度でまた買いから入る投資家が多いのと、年金のニューマネーの配分が4〜5月にあるためだと言われています。今年もアノマリー的には日経平均が4〜5月に年初来高値をつけてくる期待が強いです。仮に4〜5月に1万9000円以上を目指すなら、3月は月後半にかけて1万8000円程度を目指す展開が期待されるのではないでしょうか。

生保株の業績が期待ほど伸びなかった理由とは?

好決算で株価は上昇するも予想は据え置き 2016年2月12日に発表された、大手生命保険の一角である第一生命保険の2015年4~12月期(第3四半期)連結決算は、純利益が前年同期比32%増の1735億円でした。これは、4~12月期としては、相互会社から株式会社に移行して以降の最高益を更新しています。 第一生命単体で順ざやが拡大しただけでなく、2015年2月に買収した米プロテクティブ生命の収益が寄与したことなどから好決算となりましたが、16年3月期の連結業績見通しは純利益が1610億円、経常収益が7兆960億円と据え置きました。第3四半期時点で会社通期予想を上回るなど、進捗率から考えれば好調そのものであるにもかかわらず、なぜ、通期会社業績予想を据え置いたのでしょうか。 マイナス金利導入による影響 保険会社は、年金や保険金・給付金を支払うために、株式市場や債券市場において「機関投資家」として資金を運用しています。第一生命保険の2015年3月末の資産の状況は、為替ヘッジ付き外債などの比率を増加させてはいるものの、45.1%が公社債での運用となっており、未だ高い比率を占めている状況です。 2016年1月29日に日銀金融政策決定会合で発表された「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は、公社債での運用が中心となっている保険会社にも大きな影響を与えました。「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は、金融機関が保有する日本銀行当座預金に0.1%のマイナス金利が適用されるというもので、具体的には、日本銀行当座預金を3段階の階層構造に分割し、それぞれの段階に応じてプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利が適用されます。 マイナス金利の適用が伝わってから、市場ではまず、収益が圧迫される可能性があるのは銀行等ではないかと注目されました。金利低下による貸出業務の利ザヤが縮小すると懸念されるためです。 この理由だと一見、保険会社への影響は無いように思われますが、運用面を見ると問題が浮き彫りとなります。頼みの長期国債のリターンが大幅に低下することになるからです。 仕組みはこうです。銀行は、今まで日本銀行当座預金に預けているだけで0.1%の金利を受け取ることができていましたが、今回の政策によりゼロ金利もしくはマイナス金利となる部分が発生するため、その部分の資金を国債など少しでも利回りのある安全資産に振り向けます。その動きが顕著になった結果、日本10年物国債の利回りは急低下し、一時は利回りがマイナスとなりました。 これまで日本銀行が実施していた「量的・質的金融緩和」政策は、国債の買入れなどを通じて、起点(翌日返済など一番期間の短い金利)を維持しつつ、返済までの期間が中長期の国債の利回りを低下させるものでした。専門的に言えば、「起点を据え置いた状態で利回り曲線(イールドカーブ)を押しつぶす(フラット化)」を狙ったものであり、金利の低下はあったものの、国債を購入して運用する保険会社は、長期国債などでは一定の利回りを確保できていました。 しかしながら、今回の政策はイールドカーブの起点をマイナスに引き下げてしまうため、状況に応じて長期国債までもがマイナス金利になってしまいます。長期国債で巨額を運用する生命保険会社は、リターンが大幅に低下することになります。このような運用難の状況を考えれば、通期会社業績予想が据え置かれたのも理解できます。 決算内容の驚きを可視化 日本銀行によるマイナス金利採用の発表は市場関係者においても想定外だったため、発表以前に作成された証券アナリスト達の第一生命の業績予想は、非常に強気なものでした。実際、4~12月期の連結経常利益は、会社通期予想進捗率88%で達成が確実視され、純利益については、すでに会社見通しを超えていますので、業績予想据え置きは、サプライズだったといえるでしょう。 このような、業績予想におけるサプライズを可視化できるツールが「決算サプライズメーター」です。企業規模などを加味したうえで、決算等で会社が発表した最新の今期業績予想(純利益)と、証券アナリストの予想の平均値(純利益)を比較して算出される「サプライズレシオ」により、数値化して見ることが可能となります。  今回の第一生命保険の例では、「サプライズレシオ」が-152.32となっており、期待と比して、業績予想が伸びていないことが一目でわかります。このように、「サプライズレシオ」のマイナスが大きいほどネガティブサプライズ、プラスが大きいほどポジティブサプライズとなるため、決算資料に目を通す時間がなかったとしても、「サプライズレシオ」と「決算サプライズメーター」をチェックするだけで、俯瞰的に企業業績を見ることができるのではないでしょうか。  

鴻海のシャープ買収提案、アップル受注が狙い 技術流出の懸念がネックに

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※本記事は2016年2月10日にQUICK端末で配信した記事です。 シャープをめぐる経営再建問題、結論は1か月先送りへ シャープ(6753)の経営再建にあたって、同社の役員会は台湾の鴻海精密工業(ホンハイ、コード@2317/TW)グループとの提携に傾いているもようだ。鴻海グループに優先交渉権を提供することで、双方の提携が大きく動き出すことになった。  しかし、技術の外部流出の懸念があることから、日本の官民出資の投資ファンド「産業革新機構(INCJ)」と鴻海グループは交渉を継続することを表明し、 最終決定は1カ月以内に行われるという。急展開を見せる鴻海とシャープのドラマの結末は、さらに1カ月先送りされることになった。   鴻海董(とう)事長はシャープの液晶パネル技術を高く評価 鴻海グループの郭台銘董事長は、シャープの技術を極めて高く評価しており、韓国のサムスンに対抗するための最良のパートナーがシャープだと位置付けている。鴻海グループがシャープの堺ディスプレイプロダクト(SDP)を引継ぎ、資本参加や役員ポストの獲得まで考えているのは、液晶パネルでのシャープの独自技術への興味からだ。  鴻海グループの戦略に詳しいハイテク産業界の関係者によると、鴻海はシャープに巨額の資金を投入しようとしているもようだ。日本での報道によると、投資額は7000億円にまで追加される見込みだという。これは、米アップル(コード@AAPL/U)からの受注のためだ。 現在、鴻海グループは、アップルからアセンブリからコネクタ、金属筐体(きょうたい)、PCB(プリント基板)、タッチパネルなどのキーパーツまでほとんどの部分を受注している。唯一欠けているのが、低温ポリ・シリコン(LTPS)パネル技術なのである。シャープへの資本参加に成功すれば、鴻海はアップルのキーパーツサプライヤーとして最後に残されていた分野を完成することになる。  現在、世界のLTPSパネル市場は、シャープ、ジャパンディスプレイ(JDI、6740)、それに韓国のLGディスプレイによって占められている。LTPS市場のうち、50%以上が主にアップル向けに供給されている。 郭董事長はかつて、パネルは戦略物資であり、事業転換を目指す鴻海グループの発展戦略の重要な基礎だ、と語ったことがある。同董事長は、液晶パネル生産の核心技術の大部分をシャープが握っていると強調している。これが、「なぜ鴻海が積極的にシャープの経営への参加を求めているのか?」という疑問を解く最も重要なカギとなっている。 テクノロジーの流出について強い懸念も 鴻海グループとシャープによる2012年の交渉の際、鴻海が670億円を出資してシャープに資本参加し、シャープの株式の約10%を取得するという条件で双方はまとまっていた。しかし、シャープの経営陣は鴻海による資本参加に強い警戒心を持ち続けていた。当時の交渉では、鴻海に対して子会社4社による共同での資本参加方式を求め、1社当たりの持ち株比率を4%以内とすることで、鴻海が単一の最大株主となることを防ごうとした。  しかし、最近ではシャープ役員会の態度に変化が見られる。シャープの役員会は、鴻海グループとの提携によってより多くの資金が注入され、また部品調達で多大な協力が得られると判断したと考えられる。さらに、郭董事長が自ら日本に赴いてシャープの経営陣と面会し、人員削減を行わないこと、経営に介入しないこと、現在の経営陣体制を維持すること約束したことから、シャープ側の拒絶感を緩和させることができたようだ。  しかし、鴻海グループとシャープが何度も交渉を繰り返しながらこれまでまとまらなかったことは、日本側がキーテクノロジーの流出に対して非常に神経を尖らせていることを示している。もし、産業革新機構またはジャパンディスプレイが投入資金の金額を引き上げた場合、シャープが最後には外国人を選ばず、事業分割によって今回の経営危機を乗り越える道を選ぶことは間違いないだろう。

「お客さま視点で変わり続けて必然企業に」セコム・前田修司氏

ビッグデータを生かした新サービスを次々に生み出し、小型無人機「ドローン」や自律型飛行船など2020年東京オリンピックの防犯警備で注目されているセコム。社長時代の2012年にオールセコムのイメージで新たに描いた、前田修司代表取締役会長に同社の進化の理由や将来像を聞いた。※本記事は2016年2月10日にQUICK端末で配信した記事です。   関連企業:セコム(証券コード9735)     日本初の警備会社セコム、転機は1964年の東京オリンピックに 【問】御社は創業50年を超える日本初の警備会社です。 【答】1962年、当社は日本初の警備会社「日本警備保障」として創業しました。企業向けに巡回警備、常駐警備などの警備サービスを展開し、契約先は徐々に増えていきました。創業から2年後の1964年東京オリンピックでは当社1社、100人ほどの人数で代々木の選手村の警備を担当し、社会から高い評価と信頼を得て、飛躍のきっかけとなりました。当社が東京オリンピックで警備を請け負ったことで、日本で初めて警備会社にスポットがあたりました。 創業以来、当社は警備を通じて法人や個人の「安全・安心」を守ることに注力し、独自のセキュリティサービスやセキュリティシステムを作り出してきましたが、その枠をさらに広げ、社会全体の「安全・安心」を担う会社になると決断しました。これから来るであろう情報社会を見据え、セキュリティ事業で構築した情報通信ネットワークを活用し、防犯・防火だけでなく、より広範な「安全・安心」を提供する新しい「社会システム産業」の構築を開始すると、1989年に社内外へ宣言したのです。 「社会システム産業」の構築を目指して、当社はセキュリティ事業に続いて1983年情報系事業に進出、1991年「在宅医療サービス」の開始によりメディカル事業、1998年保険事業、1999年地理情報サービス事業、2000年不動産事業、2006年防災事業を開始するなど、「社会システム産業」構築に不可欠な事業分野を次々と開拓してきました。会社が成長する過程でM&Aも積極的に行ってきました。例えば、「安全・安心」には防災事業も不可欠ですので能美防災やニッタンと連携しました。そして、「社会システム産業」の構築を加速するために、2010年オールセコムの戦略を開始しました。 【問】オールセコムは前田会長が社長時代に登場した言葉ですね。 【答】そうです。現在も事業領域はセキュリティを中心に、防災、メディカル、保険、不動産、地理情報、情報通信の7つです。現在の事業領域を”サービス”分野で表現すると、データセンターを核とした「セキュリティ」「超高齢社会」「災害・BCP(事業継続計画)・環境」となり、”オールセコム”でイメージしやすくなりました。 【問】これまで何度か転機が訪れたと思いますが、オールセコム戦略もそのひとつですね。 【答】そうですね。いろいろなことがありました。例えば、1964年東京オリンピックでの選手村警備や、1965年4月スタートの宇津井健さん主演のテレビドラマ「ザ・ガードマン」、1990年長嶋茂雄さんのホームセキュリティのテレビCM「セコム、してますか?」などで世の中にセコムが知れ渡り、警備業が産業として認知されるようになりました。 技術的な切り口ではインフラの進化がありました。中でも通信回線事情の進化で文字情報だけでなく画像情報も送れるようになったことが大きかったです。当初、50ビット/秒の専用線から始まって、その後ISDN、ADSL、それと同時並行で携帯電話が普及してPHSなどが出てきました。結局、今は光回線と携帯電話網が主流となりつつあります。大容量のデータを早く送ることが出来ればデータを圧縮する必要がなくなるのです。1秒間に50ビットしか流れなかったのが今では最速で10ギガ程度まで実現しています。通信速度は2億倍速くなったと言えます。無線通信の回線スピードや容量が上がれば、携帯電話でも有線の通信網と同じレベルの画像送信が可能となり、犯罪が起きているリアルな瞬間をとらえることが出来るようになります。データセンターを中心に、防犯のみならず、「快適・便利」につながるサービスがどんどん広がっていきます。その形がまさにそこまで来ています。 私が当社に入社した頃、ホームセキュリティは10万件を超えるかどうかという状況でした。それが今や100万件を超えてどんどんネットワークが広がっています。また、家の中で子供や孫の写真などもホームセキュリティを利用すると当社のデータセンターに預けることが出来るようになりました。東日本大震災を機に、災害時の備えとして写真や身分証明書などの個人情報を当社がお預かりするサービスを始めたのです。入社時には、当社が今のような会社になるとはほとんどイメージ出来ませんでしたが、ネットワークが世の中を変えていくことは予想していました。 「『安全・安心』のサービス」…今後はビッグデータの活用がカギ 【問】2012年10月、東京電力のデータセンター運営子会社、アット東京を買収されました。御社の業績拡大に大きなインパクトがあったのではないでしょうか。 【答】これは大きかったですね。セコムグループでは、2000年に国内最高レベルのセキュリティを誇るセキュアデータセンターを構築していましたが、アット東京がグループ入りしたことで国内最大規模のデータセンターを持つことが出来ました。データセンターは、色々な事業分野からの基本情報をお預かりし、その後の変化情報、例えば、センサーの状況や画像データなどを解析し、セキュリティ、超高齢社会、災害・BCP・環境の3分野でサービスを行うビッグデータサービスが可能となるのです。そうしてさまざまな「安全・安心」のサービスが行き渡った社会、社会システム産業の実現を目指しています。 【問】データセンターの役割は非常に大きいのですね。ビッグデータから生み出される「安全・安心」のサービスにはどういうものがありますか。 【答】例えば、当社には監視カメラのデータがあります。リアルタイムの混雑状況、その中の性別や年齢の構成、建物の老朽化状況などがわかります。他のカメラと連携することで新しいコンテンツが生まれます。地理情報サービスを手掛けるパスコは32機の小型飛行機と25基の人工衛星を利用出来る体制を敷いています。こうした装置を使って上空と地上から撮った画像をあわせて3次元の3D画像を作り上げると、「ここの人はどの建物から見えるのか」、「ここを見るにはどこにカメラを設置すればいいのか」、などが全部わかります。 直近では、2015年12月、当社のドローン監視システムが国交省から認可され、24時間警備で夜も飛べるようになりました。当社のドローンは、画像認識とGPS(全地球測位システム)で自分の位置を認識しながら緯度経度を指示されるとそこへ飛んで行くことが出来る世界初の自律型小型飛行監視ロボットです。監視カメラやライトなどを搭載し、地上3~5メートルを時速10キロ程度で飛行して不審者に近づきます。撮影した動画は当社のセンターに送信され、警備員が急行します。 また、2016年2月末の東京マラソンでは飛行船を飛ばして新しい警備を実現します。飛行船の高精細カメラと地上の警備員のウエアラブルカメラを活用して立ち入り禁止場所などにいる不審者を発見することも出来ます。ゼッケン番号と顔を照合するシステムも取り入れ、テロ行為や替え玉参加を防ぎます。飛行船は、無線技術や画像・伝送技術、画像認識を搭載し、他のデータとの比較で、上空から地上でどんなことが起きているのか、例えば、不穏な動きがある、見慣れない不審物が置いてある、子供が迷子になっている、そういうことを監視することも可能となります。こういう時にはこういう可能性があるという傾向と分析をビッグデータに加えてカテゴライズしておくと推測出来るのです。 【問】日本もテロの潜在的脅威にさらされていますが、御社のドローンや飛行船があるから安心ですね。 【答】ありがとうございます。出来るだけそう感じてもらえる様に努力します。現在、ドローンや飛行船が色々なイベントなどでも使えるように調整しているところです。 【問】今年は日本でサミットが、2020年には東京オリンピックが開催されます。 【答】2008年洞爺湖サミットは当社をはじめ主に3社で警備を担当しましたが、2020年東京オリンピックは、業界全体、オールジャパンでやらないととても出来るものではありません。2020年東京オリンピックは1964年の時とは規模が違います。警備会社と警備員の数は、当時の1社100人から今や9400社54万人という規模にまで成長しています。1964年と2020年の東京オリンピックは全く別物という形で取り組まないといけません。聖火ランナーは47都道府県全部走りますから全国で警備することになります。都道府県すべてで雑踏警備や交通誘導を行います。それだけでも何万人もいるわけです。「安全・安心」をオールジャパンで発信していきます。 【問】警備の世界は、ガードマンによる警備から機械も活用した警備へと着実に進化を遂げています。「2020年東京オリンピックの警備は3割ガードマン、7割データ活用」との予測もあります。どうお考えですか。 【答】今は何とも言えません。ビッグデータの活用がカギを握ることは間違いありません。機械を活用した警備は増えています。しかし、人による警備も増えています。警備には人手が必要です。現場を警備員に確認してもらうことで情報の信頼度は高まります。最後は人です。 地域連携型の暮らし相談窓口を試験運転…超高齢化社会見据え 【問】連続して増収増益と業績も好調です。その理由をどうお考えですか。 【答】当社のビジネスモデルを愚直に実践しているということだと思います。当社のビジネスモデルは、現在の警備・防犯契約に新規の契約を積み上げていくストック型ビジネスモデルです。「安全・安心」のサービスを提供する対価として毎月継続的に一定料金をお客さまより頂きます。他業界に比べると景気が業績に与える直接的な影響は少ないと思います。国内企業や家庭向けの契約件数は200万件を超えています。その上で、技術、犯罪、社会の3つの動向に絶えず目配りしながらお客さまのニーズに応えようとしています。今期は企業向けの警備サービスの契約が国内外で伸びました。他社より値段が高くても当社のシステムを採用すれば、「より一層時間管理が出来る」、「環境に優しい」、「電気代やコピー代が下がるなど経費削減効果がある」、といった不況時でもお客さまに受け入れやすいご提案をさせて頂いていることも業績向上に寄与していると思います。 【問】連結売上高収入の内訳で構成比を見るとメディカル事業が上昇していますね。 【答】意図的にメディカル事業の売上構成比率を上げようとしているわけではありません。サービスは、セキュリティ、超高齢社会、災害・BCP(事業継続計画)・環境の3つで、力を入れているのは高齢化の分野だけではありません。オールセコムで取り組んでいます。もちろん、今後も超高齢社会の中で大きな役割を果たしていきたいと考えています。 【問】では、どう役割を果たしていきますか。 【答】例えば、気象災害はゼロには出来ませんが、気象災害による被害を減らす「減災」は出来ます。同じことが高齢化問題にも言えます。既往症を持つ高齢者が外出先で急に発症して倒れたり、認知症で徘徊したりすることもあるでしょう。しかし、危ないからと家に閉じこもっていては体調を崩すことにもなりかねません。健康な高齢者でいてもらうためにも、少しでも多く外出してもらいたいと思います。そのためにココセコム(屋外用携帯緊急通報システム)やセコム・マイドクタープラス(高齢者救急時対応サービス)があるのです。50グラムほどの携帯端末にGPS機能が内蔵されていて、家族は契約者専用のウェブサイトで位置検索が出来ます。自分が迎えに行けなければ、要請があれば稚内から沖縄まで2830カ所の国内拠点から当社の緊急対処員が駆けつけます。これらの拠点を活用してセキュリティに限らずあらゆるサービスを展開出来ます。利用件数は増えています。人口減に歯止めをかけようとしている政府目標には、高齢者が元気に安心して生活出来る環境も必要です。ココセコムやセコム・マイドクタープラスは政府の政策にも有効だと思います。 もうひとつあげると、2015年4月、東京都杉並区の久我山周辺地域を対象に、超高齢社会に対応する新サービス「セコム暮らしのパートナー久我山」を試験的に開設しました。地域に密着し高齢者のお困りごとにワンストップで対応するくらしの相談窓口です。高齢者は、移動のためにタクシーを頼んだり、住居の修理や家事代行を地域工務店や家事代行会社に依頼したり、重たい荷物の配達をスーパーに依頼したり、そういう細かな日常的なサービスをワンストップですべて受けられます。久我山モデルを地方、過疎地にも展開していきたいと考えています。 セキュリティ×情報サービス…ビジネスモデル構築と海外展開目指す 【問】地方には過疎地、隣の家が500メートル先という地域もあります。不採算も危惧されますが。 【答】医療も含めた7つの事業領域各々の採算ではなく、オールセコムで社会貢献という考え方で事業推進しています。 【問】提携先の久我山病院とスーパー、コンビニ、運送会社などいろいろな業界の会社とつながりが出来ます。 【答】そうです。そこからどんどんデータが集まってきます。社内のデータに加えて社外のデータも集積され、それがビッグデータになります。データセンターでビッグデータを有効に解析して新しいサービスを生み出します。久我山モデルから新しい事業要素や新しい事業展開のイメージどんどん出てくるようになります。 【問】御社はセキュリティ事業者というよりもビッグデータサービス事業者と呼べる存在とも言えますね。 【答】そう言われて違和感はありません。データから価値を生む経営はグーグルのような会社と言われたこともあります。 【問】事業領域は広範囲でグループの会社総数は200社に達しています。オールセコムには多角化経営のイメージもありますが。 【答】多角化経営ではありません。もちろん、脱警備会社を目指しているわけではありません。オールセコムで「安全・安心」で「快適・便利」なサービスをお客さまにお届けすることに資源を集中するということです。 【問】どういうスタンスでお客さまに「安全・安心」で「快適・便利」を提供していますか。 【答】他社が手掛けた方が社会にとって良いのであれば他社がやればいい。当社が手掛けた方が社会にとって良いのであれば当社がやればいい。当社グループの方がお客さまに「安全・安心」をより多くお届けすることが出来る。当社が手掛けることで社会に最も貢献出来る。そう判断した領域に参入しています。 【問】具体的には。 【答】例えば、2011年東日本大震災の時に避難所に立ち寄って被災者の方々からさまざまな苦労話を聞くことが出来ました。「薬が必要でも処方箋が津波で流されて服用薬の名前がわからない」、「通帳・印鑑が流されて預金が引き出せない」、「家族や友人の大切な写真や身分証明書が流された」、「家族に連絡を取りたくても家族の携帯番号がわからない」。そういった事態が続出しました。これらはまさに「安全・安心」に関わる問題です。被災された方々からの声やさまざまな被災状況を見て、企業や家庭、個人のデータをいつでもどんな時でも安全に取り出せて利用出来るシステムが必要であると痛感し、当社グループがやらなければならなかったことだと気付かされました。それで開発したのが「セコムホームセキュリティGカスタム」です。これは、ホームセキュリティを通じてデータセンターにお客さまの大切なデータをお預かりすることも出来る新しいシステムです。自宅に設置のホームセキュリティ端末のカメラで、運転免許証や健康保険証、服用中の薬、銀行通帳、大切な写真などを撮影すると、当社のデータセンターで安全に保管されます。データは、グループの情報セキュリティ会社、セコムトラストシステムズがしっかりと管理します。24時間対応のセキュリティ端末からいつでも預けたデータを利用出来ます。家が流されても必要な情報は流されずに保管し、必要な時に必要な情報を見ることが出来ます。2011年12月販売を開始しましたが、セキュアなデータセンターを持っていながら今までどうしてそういうサービスを提供してこなかったのか、震災前に作っておけばよかった、と後悔しました。 【問】震災を経験して情報管理の重要性を再認識され、なすべきことはまだまだあるとお感じになられたのですね。 【答】世の中がどんどん変わっていきますから、まだまだやるべきことはたくさんあります。高齢者向けのサービスです。久我山モデルから出てくるいろいろなニーズに応えていくということを全国に広げるには今の体制ではまだ不十分です。当社と提携する病院は全国に19カ所ありますが、西日本については手が回っていない状態です。これらの地域でも提携病院を増やし、全国でトータル的なサービスの実現を目指します。 世界でも断トツの高齢化率の日本で新しくビジネスモデルを作れば、そのビジネスモデルを海外へ展開出来ます。いち早く課題に取り組む日本から地球規模の「安全・安心」で「快適・便利」が提供出来るようになる。だからこそ日本で作り上げないといけないと思っています。高齢者の方たちに新しいサービスを提供して、意見を頂戴し、レベルアップし、世界に発信していきます。 「気づいたらセコム」へ…時代に即した変化を 【問】最後に、お客さまにサービスを提供する時に心掛けていることは何でしょう。 【答】当社では、世の中にとって、お客さまにとって大事なものは何かというところから考えていきます。技術から考えるのではなくサービスから考えます。例えば、「ICのミニマム化に成功したからこれは何かに使えないか」と考えるのではなくて、「このサービスをお客さまに提供するにはどういう技術やインフラが必要なのか」と考えます。その結果、「ICのミニマム化が必要だ」と考えます。技術から入っていくと偏った見方になります。この技術を使って何かをやろうと無理に作ると良い結果は得られません。サービスから考えるのがセコムです。 【問】お客さま視点だからこそ御社は時代とともに変わり続けられるのですね。 【答】社長時代から防犯のセコムから困った時はセコムと言われることを目標にしてきました。変わり続けて「気づいたらセコム」、意識しないで周りにいる空気みたいな必然企業になっているといいと思っています。 (聞き手・QUICK情報・コンテンツ本部 岡村健一)

東南アジア、根強い資金流出継続への懸念 16年は4000億米ドル予想も

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はシンガポールの現地記者クリストファー タン シ(Christopher Tan, Si)氏がレポートします。※本記事は2016年1月27日にQUICK端末で配信した記事です。 新興国からの資金流出7350億米ドル…過去最高水準 中国経済の成長鈍化と原油価格の下落が重なったことをきっかけに、世界の株式市場は大幅な調整局面を余儀なくされている。中国・上海総合指数(コード@@SSE/HD)は年初以降で2割近く下落。先進国株のみならず東南アジア地域の株式市場も例外なく売りに押された。例えばマレーシア証券取引所の主要指標であるのFTSEブルサ・マレーシアKL総合指数(FBM・KLCI、コード@@COMP/KL)は5%強下落するなど、多くの投資家が同地域から投資資金を引き揚げる動きをみせている。  国際金融協会(IIF)によると、2015年に新興国市場からの資金流出額は7350億米ドルに達し、過去最高の水準を記録した。IIFは2016年については多少は状況が改善するとみているが、資金流出額は4000億米ドルを超える可能性があると予想している。 「現在の状況は2007年よりも悪い」OECD経済開発検討委員会 こうした動きのきっかけとなったのは、昨年半ばに中国政府が突然、通貨人民元の基準値の算出方法を従来の米ドルペッグ制に近い方法から変更し、その他の主要通貨のレートをより反映させると決定したことだった。中国政府の決定を受けて人民元は下落し、各国の金融市場に動揺が広がった。 原油価格が13年ぶりの低水準まで下がっていることもあり、アナリストらは人民元の下落基調が続いた場合、事態はさらに悪化する可能性があると警告している。  シティグループはとりわけ悲観的で、世界的な景気後退を懸念し始めている。同グループのアナリストらは「世界経済の見通しについて、その脆弱性が臨界点に達していると考えている。世界経済の成長への期待が薄れ、大規模な経済刺激策を導入することで取れていたここ数年のきわどいバランスが崩れつつある」と指摘。「当社はディスインフレ圧力は弱まらないと考え、2016年の世界経済成長予測を2.8%から2.7%に再び引き下げる。世界的な景気後退の危険性が高まっていることから、当社の成長予測がさらに下方修正される可能性も依然として残る」と述べている。  経済協力開発機構(OECD)の経済開発検討委員会のウィリアム・ホワイト議長は「世界は今、危険にさらされている」との見解を示した上で「現在の状況は2007年よりも悪い。我々は景気低迷に対するマクロ経済的な防御手段を基本的に使い果たしてしまった」と指摘。一方、負債は極めて高水準に達していると言及、「負債の大部分について、利子が未払いになるか、返済そのものが滞ることになるだろう」と付け加えている。 ラボバンクは債務免除を打診 ラボバンクのアナリストらに至ってはさらに悲観的で、多くの企業は現実的に債務を返済する術がないと指摘。債務の全額免除、言い換えれば「デット・ジュビリー(債務帳消し)」が唯一の解決策だと主張している。ラボバンクは「唯一の問題は、我々が現実を直視し、今後の事態に整然と立ち向かうことができるのか、それとも無秩序な状況に陥るのかということだ。デット・ジュビリーは5000年前のシュメール人の時代から存在する制度だ」と述べている。  結局のところ、市場の変動性の大きさを嫌がり、落ちてくるナイフはつかみたくない投資家にとって、先行きに対する警戒心は今後さらに高まることになりそうだ。 【翻訳・編集:NNA】

中国経済、市場の信認低下で苦境に 安定への即効薬は存在せず

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※本記事は2016年1月25日にQUICK端末で配信した記事です。 投資家も戦々恐々…”朝令暮改”の中国市場 中国の金融市場が足元で苦境にさらされている。株式相場の大幅な下落が続いているだけでなく、人民元の信用に危険信号がともり、域外への資金流出の状況が深刻だ。こうした状況は外部経済の衰えと関連しているだけでなく、中国が最近相次いで誤った金融政策を打ち出したことで市場の信用が損なわれたことにも関係がある。中国経済は減速し、昨年の経済成長率が25年ぶりに7%を割り込んだ。中国政府は本来であれば景気てこ入れ策を強化すべきだが、人民元が軟調なため実施できる措置が限られている。  最近打ち出される多くの中国の経済・金融政策は方向性を失っている。昨年7月の人民元建てA株暴落に対処するための「暴力的な相場てこ入れ」では警察まで動員して空売りの動きを取り締まり、世界中の投資家を騒然とさせた。2016年に入り、上海株式市場と深セン株式市場の主要銘柄300銘柄で構成されるCSI300指数(コード@@SHSZ300/SH)の下落幅が7%に達すると市場の取引を終日停止させる「サーキットブレーカー制度」を、導入からわずか数日間で急きょ取り消した。  こうした朝令暮改の状況は、中国の経済・金融政策に対する投資家の信用を改めて損なった。中国人民銀行(中央銀行)は最近、域外への資金流出加速に対応するため、越境する資金の流動を制限するいくつかの措置を、突如打ち出した。こうした動きは、これまで提唱してきた人民元の域外流動の加速という目標と相反する。中国の経済・金融政策が方向性を失ってしまったのではないかと多くの投資家が懸念しており、今後、市場の信頼を取り戻すまでには一定の時間が必要となるだろう。 再度の大規模景気てこ入れは期待しがたい 中国が発表した昨年の通年の経済成長率は6.9%と、過去25年間で最も遅い成長率だった。このため、投資家たちは中国政府が景気てこ入れ策を打ち出すことを期待している。しかし、景気をてこ入れするには、大金をつぎ込んで景気刺激策を打ち出すか、または大規模な金融緩和策で融資コストを引き下げることになる。  大量の資金投入によるインフラ投資の促進は2008年の金融危機の際に実施したが、中国政府はいまだに当時4兆元を景気支援に投じたことによる後遺症の対処に取り組んでいる。中国政府は以前、需要の喚起と同時に「供給サイド」への取り組みも行い、在庫を減らして過剰生産能力を抑える必要があると明言した。再び大量の資金をつぎ込めば、生産能力が過剰な製品が大量に製造されて在庫が積み上がるばかりで、在庫と供給の削減を目指す現在の方針と相反する。このため、今回は中国政府が景気てこ入れに再び大量資金を投じるようなことはないだろう。 信用回復が急務 一方、更なる金融緩和策については、元安の現状下では利下げで資金の域外流出が加速され、元の急落を誘発しかねない。元に対する市場の信用が崩壊し、逆に中国経済に重荷となる。人民銀が最近、市場の不安解消の手段として銀行へ充分な資金を提供する方法のみを実施し、融資需要を刺激するための利下げや銀行の預金準備率引き下げを行なえないでいるのはこのためだ。  現時点で中国本土の金融市場が直面しているのは信用の不足であって、流動性の問題ではない。人民元に対する投資家の信用が失われ、金融市場に重荷となっている。経済を安定させて市場の信用を徐々に回復させる必要があるが、そのための即効性のある妙薬は存在しない。中国政府は大量資金の投入または大規模な金融政策といういずれの措置でも制約を受けており、大規模な相場支援策が実施されることへの投資家の期待は独りよがりの考えにすぎないのだ。

インドネシア、首都でのテロ攻撃 経済全体への長期的影響は軽微か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのHelmy Kristanto(ヘルミー・クリスタント)氏がレポートします。※本記事は2016年1月21日にQUICK端末で配信した記事です。 ISのテロ、小売産業に打撃…観光意欲減退の恐れも インドネシアではこれまで数年間、大きなテロはなかったが、オフィスや商業施設が立ち並ぶ首都ジャカルタ有数の一等地であるタムリン通りエリアで14日、爆発が起こった。現場は外国大使館や国連関連施設が立ち並ぶ地域。複数の爆発は、近くの警察署ならびにスターバックスの店舗を破壊した。報道によれば、テロ攻撃を仕掛けた容疑者5人を含む7人が死亡、20人が負傷したという。14日のテロ攻撃は、過激派組織「イスラム国」(IS)が関わっているもようだ。 今回の爆発は、9人の犠牲者と50人以上の負傷者を出した2009年のJWマリオット・ホテルとリッツ・カールトン・ホテル爆破事件以来の大きなテロ事件に発展している。テロがインドネシアの中長期の経済成長を頓挫させてはならない。 テロの影響は一時的で、長期的な経済への影響はなさそうだ。ただ、短期的には小売や輸送をはじめとする一部の産業分野にマイナスの影響をもたらす可能性がある。これはショッピングモールや飲食店への客足が遠のくためだ。今後、渡航警告発令が出されれば、インドネシアへの出張客、観光客の減少も免れないだろう。 テロの影響は一時的?株価は一か月で持ちなおす動き 事件の影響を受けるとされる企業は、小売り大手ミトラ・アディプルカサ(@MAPI/JK)と米系家具・日用品量販店「エース・ハードウエア」を運営するエース・ハードウエア・インドネシア(@ACES/JK)だ。両社の店舗の大半がショッピングモールにテナントを出している。タクシー最大手のブルーバード・グループ(@BIRD/JK)は、ジャカルタへの出張客、観光客が減少すれば、業績の重荷となり、国営ガルーダ・インドネシア航空(@GIAA/JK)も、インドネシアへの来訪者減少の影響を受ける。不動産開発大手アグン・ポドモロ・ランド(@APLN/JK)、パクウォン・ジャティ(@PWON/JK)、チプトラ・デベロップメント(@CTRA/JK)など、ショッピングモールを運営する複数の不動産企業にマイナスの影響を与える可能性もある。 2000年以降に発生した7回のテロ事件で、市場は当初はネガティブにとらえたものの、、ほとんどの場合は比較的早く立ち直り、実際のところ事件から1カ月後に株価は9~19%上昇した。インドネシアの軍隊が厳しい統制を敷き、治安回復に向け、さらなるテロを防ぐため反テロ諜報活動を強化することは確実だ。 金融・財政政策で景気浮揚実現へ…市場は利下げ予想 今回の爆発事件が起きた同じ日にインドネシア中央銀行(BI)が打ち出した利下げにも注目している。利下げは市場にとって明るい材料で、中銀が今後さらに金融緩和政策を打ち出す予兆だ。特に2015年10~12月期に財政面でのさまざまな景気刺激策やマクロ・プルーデンス政策の緩和などを講じたにもかかわらず、経済は大きく回復しなかった。現在、RHBK証券では今年後半にさらに0.25%の利下げが打ち出されると予想している。 今回の騒動がインドネシアの長期的な歩み、特に長期的な成長の強固な基盤を支えるインフラ整備に大きな影響を与えることはない。また、一連の政策が政府の切迫感の高まりに基づいていると確信している。また、市場の信頼度を高める財政面による景気刺激策の進展も期待している。【翻訳・編集:NNA】

西武HDが業績好調、インバウンドの追い風はいつまで続く? 

「決算サプライズメーター」は、企業が業績を上方修正した際、市場の期待を上回れば上回るほど、サプライズレシオのプラスの値が大きくなります。下方修正でも、市場の予想よりも数値が悪化しなければプラスとなります。一方、下方修正幅が市場の予想値を超える規模であれば、レシオのマイナスが大きくなります。上方修正でも、期待に届かなければマイナスとなります。 伸び目立つインバウンド需要 直近1週間の対象銘柄59件(2月15日時点)に関する決算サプライズメーターを見ると、西武ホールディングスのサプライズレシオが+145.82となりました。2016年3月期の最終利益予想について、従来の365億円の予想から487億円に上方修正しましたが、上方修正幅が市場予想(375億円)を大きく上回ったことを示しています。   同社は鉄道をはじめとする公共交通機関の雄として知られていますが、同時にプリンスブランドによるホテル事業も展開しています。訪日外国人客の増加などを追い風に、ホテルの稼働率が上昇したことが、業績の拡大要因になりました。最終利益部分では特別利益の影響もありましたが、インバウンド需要の取り込みに成功したと考えて良いでしょう。 「中国の景気減速でインバウンド客の減少が懸念される」などと言われたのは、昨年の夏くらいだったでしょうか。 実際に出てきた業績を見ると、2015年のインバウンド需要は堅調だったことが分かります。日本政府観光局の統計、「訪日外客数の動向」を見てみましょう。2015年のデータは推計値ですが、これまでの推移は添付した図版のようになります。2003年からの統計で、過去最高を更新する予定です。ちなみに2014年の訪日外客数の総数は1341万3467人であるのに対し、2015年の総数(推計値)は1973万7400人ですから、前年比で47.1%も増えることになります。   株式市場でインバウンドが注目テーマになったのは、2014年の秋口くらいからのこと。同年10月に、免税対象品目が全品目に拡大されたことを機に、訪日外国人客による日本国内での消費、いわゆる「インバウンド消費」が注目されるようになり、インバウンド関連銘柄が一躍、脚光を浴びるようになりました。インバウンド関連は、非常に幅広いセクターを含んでいます。鉄道や航空会社などの運輸関係、ホテルなどの宿泊関係は定番ですが、この他にもレストランチェーン、小売関係などへも対象は広がっていきます。 西武HDをはじめ、インバウンド関連銘柄の今後の注目点は、今後、つまり2016年以降の訪日外国人客の動向がどうなるかでしょう。減少に転じないまでも、伸び率が鈍るようだと、株式市場は中国景気の悪影響を懸念し始めるかもしれません。   市場期待に未達の企業相次ぐ 一方、住友ゴムは今回、2016年12月期通期の業績予想を新規に発表。アナリストの大部分が最終利益について、前期比50億円減の505億円を見込んでいましたが、会社は570億円と増益予想を発表。その結果、サプライズレシオの数値は、業績が大幅な上方修正となった西武HDよりも高い、+185.73になりました。 ただ気になるのは、市場の期待に比べて、想定以上に業績が伸びなかった企業が多く見られることです。ヤマハ発動機のサプライズレシオは-231.8。業績は会社予想並みではありましたが、市場予想が高かった分、実際に出てきた業績は、逆に市場の期待を裏切るものになりました。他、第一生命の-152.32、T&Dホールディングスの-106.38が、会社予想通りの業績だったものの、市場予想よりも悪かったことでサプライズレシオが大幅マイナスに。また、三菱マテリアルやバンダイナムコホールディングス、太平洋セメントなどは、業績が市場予想を大きく下回っただけでなく、実際の業績も下方修正されました。 注視される為替動向 2015年10~12月期決算は、特に3月決算企業にとって、業績の上方修正・下方修正が明確に見えてくるだけに、投資家も注目しています。今決算に関して言えば、一瞬とはいえ1ドル=110円台に入った為替レートが気になるところです。日本企業の想定為替レートは、2月15日発表のQUICK月次調査(外為)によると、平均値で1ドル=117円38銭です。今の為替レートだと、多くの企業は決算時に為替差損を考慮しなければならなくなり、業績面でネガティブな要因になります。当然、株価にも影響が及ぶだけに、今後の為替レートの動向は注視したいところです。

台湾TSMC、アップル次世代プロセッサでサムスンに圧勝 今年は設備投資を拡大か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※本記事は2016年1月15日にQUICK端末で配信した記事です。 TSMCとサムスン、ナノメートルの争い…TSMCに軍配 台湾積体電路製造(TSMC、コード@2330/TW)の16ナノ(ナノは10億分の1)メートル・プロセスが、韓国サムスン電子(コード@005930/KO)の14ナノを抑え込むことに成功した。半導体生産設備メーカーによると、サムスンはすでに半導体設備メーカーに対して、ロジックIC工場の建設を当面先送りすると通知している。これは、TSMCの16ナノが日の出の勢いを見せ、アップル(コード@AAPL/U)の次世代プロセッサ「A10」の受注をほぼ確実にしており、TSMCが先端プロセスでサムスンに圧勝していることを意味している。   サムスン、OLEDで巻き返し図るも携帯事業の不振が重荷に スマートフォンにおけるサムスンとアップルの競合は、常に半導体分野で注目の的となっている。サムスンは昨年、14ナノによってアップルの新世代プロセッサ「A9」の代理生産を受注した。しかし、サムスンのリードは短期的なものに終わった。昨年第3四半期(7~9月期)、TSMCが16ナノで正式にアップルからA9の代理生産を受注したあと、サムスンの14ナノによるアップルとの提携が色あせていった。 最近、サムスンはOLED(有機発光ダイオード)で再びアップルと提携する可能性が生まれており、スマートフォン新型機種のiPhone8に導入される見込みだ。また、一説にはアップルは台湾の友達光電(AUオプトロニクス、コード@2409/TW)に対する支援、さらには資本参加まで計画しており、友達光電によるOLED生産の確立に協力し、サムスンに対する依存を減らそうとしているとも言われている。 ただ、確実に言えることは、サムスンは自社ブランドの携帯電話端末の販売が不振となっていることの影響を受けており、さらにアップルの新世代プロセッサA10の受注はTSMCの手に渡ってしまった。こうして、サムスンの半導体部門はロジックICの工場拡張を先送りし、半導体生産設備メーカーから予定していた設備調達も緊急に停止した。 TSMCとアップルの提携関係、一層緊密に…設備投資拡大観測も サムスンは、今年の設備投資計画を変更するかどうかについて正式に発表したわけではない。しかし、最近のTSMCによる16ナノ生産体制の拡大から見て、TSMCが16ナノによって圧倒的な勝利を収めたことはほぼ確実となっている。  台湾の工業技術研究院IEK(工業研究院産業経済・情報サービスセンター)の統計によると、世界の半導体ウエハ・ファウンドリ市場におけるTSMCのシェアは54%に達し、そのリードは拡大しつつある。同社の共同CEOである劉德昱氏は、今年のシェアはさらに数ポイント上昇する見込みだと語り、自社の製造プロセスの技術に対して十分な自信を示した。  消息筋によると、TSMCとアップルの提携関係は非常に緊密で、すでにiPad Proに使用されるA9Xプロセッサを出荷しているほか、第1四半期(1~3月)にはiPhone6Cに搭載されるプロセッサの全数も供給することになっている。さらに、第2四半期(4~6月期)にはコストパフォーマンスでより優勢に立つ16ナノのFFCプロセスを打ち出し、米のクアルコム(コード@QCOM/U)、中国の海思半導体、台湾の聯発科技(メディアテック、コード@2454/TW)からのミドルエンド、ローエンド携帯電話端末向け需要に対応する。TSMCの今年の16ナノは、破竹の勢いと言える。ハイ、ミドル、ローの各エンドの携帯電話端末向けの需要をすべて獲得し、半導体メーカーの中で最大の勝者となっている。  市場では、アップルからの発注が引き続き増加していることから、TSMCは今年、設備投資を拡大すると見込んでいる。主に16ナノと10ナノの生産能力拡大に投じられる見込みだ。しばらく前に外資は100億米ドルを超えると予測していたが、最近、設備メーカーから伝えられているところでは、昨年の80億米ドルに近い規模になるだろうとのことだ。

勝率はリターンに関係なし?低勝率売買ルールのバックテスト結果を公開

ローソク足の動きを完全に予測する 「すべての取引で利益になりました。これこそ勝利の聖杯です!」…勝率100%というものは、私たちがマーケットにおいて目指すべき目標であり、憧れであると思われがちです。その理由は、「マーケットには普遍的な原理があり、それを知っている者が利益を得られる」と私たちは考えるからです。 突然ですが、実は筆者はローソク足の動きを完全に予測することができます。皆様には特別にその動きというものを公開させていただきます。それは、「ローソク足は左から右へ動く」ということです。しかし、これはチャートとローソク足の作成法に普遍性とルールがあるからこそ言えるのです。 冗談はここまでにして、マーケットに普遍の原理は存在するのか考察をしていきたいと思います。そこで、これをよく知っていると考えられる、あるヘッジファンドを紹介します。LTCMというファンドは、オプション理論でノーベル経済学賞を受賞した経済学者やFRBの元副議長等で構成される資産運用の「ドリーム・チーム」でした。しかしながら、このファンドは現在存在していません。ロシアのデフォルト(債務不履行)を引き金に発足からなんと5年足らずで破綻してしまったのです。 これに限らず、圧倒的な情報量と豊富な経験を有する、海千山千の投資家やファンドマネージャーたちがマーケットに打ち負かされた例は枚挙にいとまがありません。そうするとマーケットには因果的に説明できるような、普遍といえる原理はまだ見つかっていないといってよいでしょう。ノーベル賞受賞者も見つけられないような普遍の原理、すなわち勝利の聖杯を見つけるぞという気概を持つ方以外は聖杯探しをやめた方が賢明でしょう。マーケットというものは論理を超えた「不確実性」に支配されているといっても過言ではないのです。 因果関係でマーケットを見てはいけない? 私たちが勝率にこだわりがちなのはマーケットについて因果論で捉えている点にあるのではないでしょうか。これらは確かに私たちが日常生活を送るうえで重要な論理的思考方法であることに間違いありません。各種メディアは、自然現象や事件、不祥事といったトピックについての原因を究明し、結果としてそのトピックが発生したという結論をつけて報道しています。 しかしマーケットの不確実性を克服するほど因果論は万能ではありません。そもそも、不確実なものには完璧な予想を加えることができません。たとえ因果関係からして「株価が上がる」と予想されるような場面でも、マーケットは常にネガティブな事件発生の危険にさらされています。いわゆる株価予想はこのようなリスクのせいで台無しになりやすいのです。プロの予想が打ち砕かれることは当然であり、責められるべきものではありません。 また、因果的に相場を見る時の弊害としては、原因と結果が結びつかなかったり、明確に分類できないような複数の事象が発生したりする場合、無理に結論をこじつけてしまうことがあることが挙げられます。「リスク選好的な流れで株高」の翌日に「世界経済停滞観測で株安」といったニュースが出ることがあるのもこれが原因です。本来ファンダメンタルズの流れは一朝一夕で変わるものではないはずです。しかし適当な事情をひろって「これが原因だ」結論をこじつけてしまうのです。確かにミクロ・短期の視点では納得できるかもしれません。しかしマクロ・長期の視点ではつじつまが合わなくなってしまうという結果となってしまいます。下の図にも示すように、相場が全体として上昇トレンドを描いているとしても、個々のニュースに振り回されれば、そのトレンドを見失いかねないのです。 その他の弊害としては、上手な人であればあるほど「自己の分析は優れている」という認知バイアスに陥りやすく、リスクマネジメントを疎かにしてしまいがちになることが挙げられます。先ほど挙げたLTCM破綻の一因でもあります。すなわち、因果論によればありえないような出来事が起こることを、ほとんど想定していない状態に陥りやすくなってしまうのです。その結果、破綻に直結する危険な意思決定をとってしまいがちになるのす。 マーケットが根本的に不確実である以上、予想を完璧にあてること(=勝率100%)は不可能なのです。 勝率20%台でも儲かるカラクリ 現に、マーケットの予想に頼らなくても継続的に利益を出し続けられる人がいます。その中には、個々の取引に限って言えば勝率20%の手法を用いている人も存在するほどです。ここで「勝率100%は無理でも60%とか、最低でも51%はないと商売にならないのではないか」と考えてしまうではないでしょうか。それは勝率という言葉が持つ意義を検討しなければなりません。 私たちは「利益が正解。損は間違い」というように、取引をクイズの正解数で評価してしまいがちです。損したら落ち込んでしまうでしょうし、利益になったらうれしくなる人もいるのではないでしょうか。その結果、落ち込むことが多い勝率20%の手法がダメな手法に見えてしまうのです。反対に正解数が多く、勝率は高ければ高いほどいい手法であると考えてしまいがちになるのです。 したがって、うれしくなる回数が多い「高勝率」という要素が過度にクローズアップされるのだと考えます。しかし、期待値という概念を知れば、勝率がいくらであっても(どれだけ損失の回数が多かろうとも)一喜一憂することはなくなります。 くじ引きで考えてみましょう。1回100円で、箱に入った5枚のうち1枚の当たりを探すというルールであるとします。くじは引いた後に箱に戻し、再度100円を払えば引き直せます。当りくじの賞金は600円です。この場合、当たりが出る確率は平均5回に1回です。すなわち勝率20%であるといえます。そうすると一枚の当たりくじを引くまでにだいたい500円かかると見積もることができます。そうであるにもかかわらず賞金はそれより多い600円です。したがって、おおよそ5回で100円儲かります。 逆に、5枚のうち4枚はあたりで、はずれの1枚は2000円支払うというくじはどうでしょうか。4枚が当たりであるため確かに勝率は80%です。しかし5回で得られる賞金の額は平均して2400円であるのに対し、くじに支払う額は参加費の500円に加えはずれの2000円で2500円となります。そのため、このくじを引くと1回あたり20円とられてしまうという結果になります。 そうすると初めに検討したくじを引くべきです。なお、勝率20%といえども、所持金が500円だからといって挑戦するのは考え物です。なぜなら期待値というものは限りなく試行回数を重ねた場合に収束するらしい値であるため、たった数回の試行では偏りが出ることがあるからです。そのため、わずかな回数引いただけでは期待値の効果を受けることなく大切なお金をすってしまうこともあります。反対に、わずかな試行回数の間で当たりが連続する場合も留意しなかればなりません。ある程度の試行回数をこなさなければそれが真の勝率であるかわからないからです。 前者のくじの場合、平均すれば1回につき20円ずつ儲かっていることになる以上、はずれをひいても悲しくなったり、悔しくなる感情が生まれてこないはずです。何千回とくじをひくだけの作業となり、むしろつまらなくなってしまうほどだと思います。しかし、お金は増えているという結果になります。 よくある話として、成功したデイトレーダーが「退屈」だと答えるインタビューがあります。こうなるのも本質的には期待値にあります。彼らは期待値の優位性に基づいて決まった事をやるだけであり全体的にみれば利益が出でいることを知っています。そのため個々のトレードの結果が損でも得でも感情が生まれないのです。それが退屈と表現されるのでしょう。 低勝率の売買ルールとバックテスト結果は? さて、取引を行う上で期待値の重要性を実証するためにここで当社端末「Qr1」を用いてテストしてみましょう。 期間 2006年2月2日~2016年2月2日(リーマンショックを挟んだ10年間) ルール ①MACD が終値でシグナルを上に突き抜けたら(ゴールデンクロス)、翌日に買い ②利食い +20%以上 ③損切   -2%以下 ※チャート下段、紫の線は当該手法のリターン、緑の線が銘柄の騰落率です。特別気配や、ストップ制限値幅の場合は、寄り付いた時の値段で約定する設定になっています。そのため、損失額が-2%を大きく超える場合も考慮されています。 ※MACDとは…短期と長期の指数平滑移動平均(EMA)の差(MACD)と、MACDの移動平均線(シグナル)を描画したものです。MACDがシグナルを下から上に突き抜けたときが買いシグナル、上から下に突き抜けたとき売りシグナルとされます。   今回用いる条件はこれだけです。 ①日経平均株価指数 手法のリターン:+18.31% 勝率:15.91% 銘柄の騰落率:+8% 優位性(銘柄の騰落率比):+10.31%  一口コメント:損切幅が小さく、利益確定の幅が大きいため、下落トレンドに強いです。さらに、MACDのゴールデンクロスを条件に入れているため、原則として下落の真っ最中に玉を仕込むことはありません。一方、2011年2月から2012年の10月は小幅なレンジ相場であり損切の回数が上昇しました。よってレンジ相場には弱く、下落相場には強い手法であるといえます。 ②トヨタ自動車(7203) 手法のリターン:+12.64% 勝率:19.12% 銘柄の騰落率:+10% 優位性:+2.64% 一口コメント:2014年6月以降の相場に注目。急激に上昇した場合、利益確定の幅が20%である以上、それ以上のリターンは見込めません。また、その後再びゴールデンクロスするまで待たなければならないため買いのタイミングが遅れます。したがってこの手法は、押し目をつけつつゆっくりと上昇する銘柄に強いということになります。 ③富士フィルムホールディングス(4901) 手法のリターン:+26.04% 勝率:20.78% 銘柄の騰落率:+12% 優位性:+14.04% 一口コメント:2012年以降は押し目をつけつつ緩やかに上昇しているため利益を最大化できています。2006年からの下落トレンドも、損切幅が小さいため騰落率を大きく下回ることはありませんでした。 ④任天堂(7974) 手法のリターン:+65.90% 勝率:30.77% 銘柄の騰落率:+2% 優位性:+63.90% 一口コメント:2007年の超上昇相場では利益確定の幅と、買うための条件の問題から指をくわえて見守るしかありませんでしたが、値崩れしてからは強いです。 ⑤東京電力(9501) 手法のリターン:+32.78% 勝率:26.56% 銘柄の騰落率:-80% 優位性:+112.78% 一口コメント:2011年2月付近のギャップを見ていただきます。窓開けによる意図しない損失-38.70%を被っていますが、ふたたびゴールデンクロスするまでじっと待つことでリターンが回復しました。最終的には100%もの差が付きました。 ⑥シャープ(6753)  手法のリターン:-11.61% 勝率:16.67% 銘柄の騰落率:-60% 優位性:+48.39%  一口コメント:強い下落トレンドでもきっちりと2パーセントで損切りすれば傷口は浅くなります。   おまけ:値動きの非常に激しい時期がある銘柄   ①そーせいグループ(4565)手法のリターン:+129.55% 勝率:33.68% 銘柄の騰落率:+240% 優位性:-110.45% 一口コメント:最後の急騰劇に逆転されてしまいました。もっとも、この後株価が落ち着けばこの手法の真価が発揮されるため注目です。 ②ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765) 手法のリターン:+194.48% 勝率:28.74% 銘柄の騰落率:+50% 優位性:+144.48% 一口コメント:2012年からの上昇相場には乗られていませんが、それはこの手法の射程外です。気にせずルールを執行していたら、最終的には144%もの差が付きました。 ③ミクシィ(2121) 手法のリターン:-8.73% 勝率:20.25% 銘柄の騰落率:+25% 優位性:-33.73% 一口コメント:2014年2月以降の相場に注目です。全く乗ることができていません。値動きのスピードが早すぎる銘柄は弱いのでしょう。 結果 平均総リターン: +51.04% (原資産比+151.04%) 試行回数: 677回  平均勝率: 24.52%  期待値: +0.075%(資金1000万円の場合1回あたり7500円程度の利益となる計算) 今回は、極々簡単なルールで実践してみましたが、それでも期待値はプラスでした。十分な資金をもってこの手法を用いれば、利益から手数料や税金を差し引いてもプラスになります。(例:資金1000万円で考えた場合、利益:5104000円 手数料:1000円*677=67万7000円 税金:20.315%=899345円 手取り利益:3527655円※手数料はネット証券を参考とした架空の価格です) 確率論でマーケットを見ると、一回一回の勝ち負けに対するこだわりが消え、悩みもなくなることでしょう。以上より、勝率20%台でも勝てます。本当は期待値(一回当たりのリターン)が大切だったのです。

「中国の波乱は米国に伝播する懸念」三菱UFJモルガン・スタンレー証券・佐治信行氏

話し手:三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフエコノミスト 佐治信行氏(※本記事は2016年1月21日にQUICKで配信された記事です) 【景況判断】現状(3カ月前比):悪い 先行き(3カ月後):悪くなっている 【GDP予測】15年度1.0% 16年度0.8% 【金 利】短期:横這い TIBOR3カ月 0.169%      長期:横這い 10年物新発国債  0.200% 【円 相 場】円高 115円/1ドル 【株 価】株安 17,000円/日経平均 *GDP予測値は実質GDP成長率、前年比% *長短金利、円相場、株価は3カ月後(2016年4月末)の予測値 1.景気見通し:「国内景況感に息切れ鮮明」 2015年11月の鉱工業生産(経産省)は季調済前月比-1.0%と3カ月ぶり減。出荷(同-2.5%)が生産以上に落ち込み、在庫率(同+2.9%)は9月以来の高水準まで逆戻り。内外需の持ち直しが企業の想定以上に弱く、在庫調整は足元停滞。一方、12月生産予測調査に拠れば、12月生産予測指数は同+0.9%で、この場合の10~12月期生産指数は季調済前期比+1.4%と3期ぶりの増産。もっとも、マイナスが続く生産予測実現率を加味すると、生産は前期比+0.1%程度と僅かな増産に留まる。11月の実質消費支出(二人以上世帯、総務省)は前年比-2.9%と3カ月連続減で、前月(同-2.4%)から減少幅が拡大。この消費不振は暖冬による季節商品の売れ行きの悪さによるものだけではない。実質可処分所得(同-2.5%)が3カ月連続で減少する中で、15年春以降値上がりが顕在化してきた費目向けの支出がここに来て軒並み弱くなっている。被服及び履物費が4カ月連続減、教養娯楽費が3カ月連続減、その他の消費支出が6カ月連続減といった有様だ。特に高齢者世帯の消費の低迷は深刻さを増している(60歳以上世帯の実質消費は同-10.4%)。財政健全化の遅れから来る社会保障給付抑制、それにベアの恩恵が受けられず所得が伸びない中、大規模金融緩和の長期化で円安からの消費財物価上昇に晒されている。季調値でみた10~12月期実質消費支出は2期ぶりのマイナスとなる可能性が濃厚だ。 2.金融環境:「リスクオフの円買い顕著」 昨年12月16日に7年ぶりのゼロ金利解除を決めたFOMCは、今後について、データ次第としながらも、「インフレが目標を下回っていることに鑑み、インフレの目標に対する実際と予想される進展を注視」と明言。「現在予想される経済状況は緩やかなFF金利の上昇のみ正当化する」点を強調した。声明は、「FF金利がしばらくの間は長期的にノーマルとみられる水準より低位であり続ける可能性が高い」と述べ、利上げが「浅い」ことも改めて指摘。イエレン議長が会見で、「後の急激な利上げは景気後退を招きかねないが、早めに始めれば緩やかな利上げが可能」と述べたのは、景気後退を招くと利下げ余地がないため、利上げは緩やかにならざるを得ないということ。株価頭打ち(消費減速)とこれまでのドル高(純輸出悪化)・原油安(エネルギー関連設備調整)で年前半の成長が力強さに欠けそうな点も踏まえると、追加利上げは年央以降か。世界経済への懸念や原油安によるリスクオフ時に逃避通貨となりやすい円は、特に年前半、対ドルで上昇しやすい点に注意が必要であろう。 それに対してユーロは、ECBの追加緩和(観測)が当面、対ドルでの上昇抑制要因となろう。ECBが量的緩和(QE)本格化を宣言してから1年、QEは貸出促進にはECBの期待ほど寄与していないが、対外債券投資促進・対内債券投資抑制というポートフォリオ・リバランスも含め、ユーロ相場の低め(=ユーロ安)維持には一定の効果が出ている。ただ、「前年比+2%をやや下回る」というECBのインフレ率目標自体は原油安の進行によって遠のき続けている。労働需給ひっ迫が顕著なドイツでもサービス物価が上がらない(12月前年比+1.2%)状況が示唆するようにユーロ圏の超低インフレは根深く、ECBのQEは相当長期化することになりそうだ。一方、新興国混乱による全面的なリスクオフや、ECB内タカ派が発言力を増すなどして追加緩和期待が遠のけば、ECBの意図に反して為替がユーロ高に振れる可能性がある。 3.注目点:「中国経済の波乱が米国へ」 世界最大の経常収支黒字国、中国の外貨準備高が減ってきている。経常収支が黒字にも拘わらず外貨準備高が減っているということは、経常収支で稼いだ資金がその国に対する不信から海外に流出しているか、経常収支の黒字額が嘘であるか何れかだ。事実としては中国からは資本収支と誤差脱漏との合計で2015年に約6,000億USDもの資金が海外流出した。同年の経常収支2,800億USDの倍以上の資金が海外に逃げたことになる(9月までの途中経過)。一方、米国の国際収支統計は誤差脱漏が2015年に3,029億USD(9月までの数値から推計)の流入となった。中国の外貨準備の減少とほぼ同一であるところが興味深い。しかも、米国の資本収支統計では地域別詳細が公表されている。2015年誤差脱漏の地域別最大の流入超過額は中国であり、その金額は年率5,050億USDと2014年の2,828億USDからほぼ倍増している。誤差脱漏に地域別のデータがあることは不思議に思えるが、米国の対中国での誤差脱漏は、入手元が中国と分かっている資金フローながらも、従来からの分類である直接投資、証券投資での株式、債券、また預金、貸付等には分類し難いものが計上されているはずである。ここからは推察の領域であるが、中国本土と米国内の中国人同士(親類等)での証書無き資金の貸借を通じた不動産投資等が考えられる。中国経済の波乱は米国経済の波乱に直結するのである。 <佐治信行氏略歴> 1958年生。82年関西学院大学法学部卒。日興證券入社。日興リサーチセンター投資戦略部長、興銀証券チーフエコノミスト、みずほ証券チーフエコノミスト、三菱UFJ証券チーフエコノミストなどを経て、2010年5月より現職。日経ヴェリタス・エコノミスト人気調査第1位(2015年)。

中国株、今年は中国の景気減速とIPOが下押しか 香港株は米利上げが重荷に

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。※本記事は2016年1月8日にQUICK端末で配信した記事です。 ハンセン指数、昨年はボライタルな動き…中国A株の影響で連れ安 2015年の香港株のパフォーマンスには失望させられた。代表的な株価指数であるハンセン指数の通年の高値と安値の差は8221ポイント(ザラ場ベース)。高値は4月に付けた2万8589、安値は9月に付けた2万0368で、「先高後低」(年前半に上昇して年後半に下落)の展開だった。指数の昨年末の終値は2万1914と、前の年の14年の終値(2万3605)比で1691ポイント下落し、下落率が7.2%だった。一方、中国本土企業株のパフォーマンスを反映するH株指数の高値と安値の差は5904ポイントで、高値が5月に付けた1万4963、安値が9月に付けた9059だった。昨年末の終値は9661ポイントと、14年の終値(1万1985)比で2324ポイント安となり、下落率が19.4%だった。 ハンセン指数の高値と安値の差は13年と14年がそれぞれ4000ポイント余りだったのに対して、昨年は8000ポイントを超えた。主に中国の人民元建てA株のボラタイルな動きに影響された。昨年の上海総合指数の高値と安値の差は2328ポイント。高値は6月に付けた5178、安値は8月に付けた2851で、香港株と同様に「先高後低」の展開だった。上海総合指数の昨年終値は3539で、14年の終値(3235)から304ポイント上昇し、上昇率が9.4%だった。中国政府は昨年、株式相場の安定化に向けて、利下げや預金準備率引き下げ、政府機関からなる「国家隊」による株式市場への資金投入、上場企業の支配株主と幹部役人に対する株式売却禁止令の実施、新規株式公開(IPO)の一時凍結などの多くの措置からなる「複合技」を実施した。   中国景気、引き続き後退懸念…てこ入れ効果は表れるか 中国A株の相場は安定したが、市場は依然として中国景気減速の情勢や景気減速に伴う企業収益の収縮に関心を寄せている。16年上半期は中国景気に引き続き減速圧力がかかる見通しだ。中国政府は景気てこ入れに向けて緩和的な金融政策を採用し、利下げと預金準備率引き下げを繰り返し、低排気量の自動車に対する購入税半減の優遇政策などの積極的な財政政策を実施して消費を刺激した。固定資産投資では、中国はインフラ建設への投資を拡大したものの、不動産投資が顕著に減速して固定資産投資の伸びの足かせとなっている。不動産市場の売れ行きが減速して販売物件の在庫が増え、不動産開発企業の投資意欲の減退につながっている。とりわけ用地購入の意欲が顕著に衰え、このため地方財政に影響が出ている。こうした状況を受けて中国政府は不動産市場の在庫削減が景気てこ入れの最も重要な任務であると最近繰り返し述べており、引き続き優遇政策を打ち出すもようだ。 対外貿易は、不安定な海外の需要の影響で経済成長のけん引力にいまだなり得ていない。昨年8月以降、人民元が対米ドルで下落を続けている。元安は輸出にある程度有利となる反面、資金の対外流出を加速し、元建て資産に売り圧力をもたらし、香港株にもその悪影響が波及する。資金の対外流出に対応するため、中国人民銀行(中央銀行)は再び預金準備率の引き下げが必要となるだろう。 ハンセン指数、下値1万9500ポイント程度を予想 昨年第4四半期(10~12月期)に中国A株相場が安定したあと、中国証券監督管理委員会(CSRC)がIPO再開を発表した。市場はこれを好材料として受け止めたが、IPO登録制度が今年3月に実施されれば、IPOが今後加速し、市場に資金調達圧力をもたらす恐れがある。また、CSRCが昨年7月8日に実施した半年間の持ち株売却禁止令が1月8日に期限を迎えるため、その時点で売り圧力が強まるかどうかについて状況を見守る必要がある。さらに、今年は流通解禁となる売却制限付き株式の規模が大きいことも市場への圧力となるだろう。 香港株については、香港経済が不動産市場の減速や小売りの低迷の影響を受ける一方、米国の利上げ期入りに伴い、ペッグ制度下で香港ドルが米ドルと連動することから金利政策で米国に追随することになる。香港の金利が今後一段と上昇すれば、経済や株式市場に不利となる。今年上半期はこれらの不透明な要因が引き続き香港株に重荷となり、ハンセン指数が1万9500程度まで下値を試す展開が予測される。下半期に中国と香港の経済が安定すれば、ハンセン指数は2万4000にまで回復するだろう。

インドネシア、地場水産銘柄に脚光 女性水産相が違法取り締まり強化

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※本記事は2016年1月6日にQUICK端末で配信した記事です。 DPUMのIPO成功でインドネシア水産セクターの上場期待広まる 株式相場が低迷する中、ある水産加工企業のIPO成功によって、インドネシア証券取引所(IDX)で同業の上場が今後相次ぐのではないかという期待が広がっている。  中ジャワ州パティ県に拠点を置く水産大手ドュア・プトラ・ウタマ・マクムール(@DPUM/JK)は国内投資家を中心に同社株に対する需要が発行済株式の10倍に膨れ上がった昨年12月末、増資によって9190億ルピア(6700万米ドル)を調達した。  外国船による違法漁業活動が相次ぎ、地場企業は十分な操業や操業の高度化に苦労する中、過去10年で初めての地場漁業会社によるIPOだった。 インドネシアの対米マグロ輸出、東南アジアで存在感示す ジョコ・ウィドド大統領がインドネシア海運の栄光を復活させるという目標を掲げて政権の座に就くとともに、政府は実務家のスシ・プジアストゥティ海洋・水産相の指揮の下、違法漁業の取り締まりを強化してきた。  彼女の政治的演出は、インドネシアの漁業法に完全に保証される範囲だが、これまでに170隻の違法漁船を燃やしたり沈めたりするというもので、違法漁業の拡大を阻止した。スシ・プジアストゥティ氏はまた、違法水産物の輸出隠蔽(いんぺい)によく用いられることを理由に、地場企業による中古外国船の買い上げを一時的に禁止。さらに貨物積み替え禁止令を出し、違法漁業を減らして、国内市場への供給を増やした。  海洋・水産省のシャリフ・ウィジャヤ次官は「インドネシアの政策はタイとフィリピンの漁業に大きな影響を与える。20151~9月期のインドネシアから米国へのマグロの輸出は前年同期比7.7%増だった。一方、タイの輸出は17%減、フィリピンは33%減だった。両国の輸出は、インドネシアの輸出におされているのは明白だ」と語った。同省は現在、2016年の水産品輸出を50%増と見込んでいる。 外国資本の上限出資比率100%も検討…インドネシア投資調整庁 国内水産業者の捕獲高の増加は、地場加工産業が加工・貯蔵能力を拡大する必要があることを意味する。インドネシアの投資調整庁(BKPM)は、水産・冷蔵保管産業の利益を押し上げ、その発展を加速させるために、水産・冷蔵保管産業への外国資本の出資比率を現在の上限39%から100%に引き上げることを検討している。  11月のドュア・プトラのIPOを成功に導いたBNI証券のアナンタ・ウィヨゴ社長は、「既存企業も事業拡大に向けて資金調達の必要があり、資金調達の手段として株式市場に関心が向かうだろう」と分析する。「政府がその漁業政策を強化したことに伴い、投資家らはこの分野の銘柄に現在、非常に関心を示している」とアナンタ社長は述べ、「わが社は別の水産会社の上場計画に取り掛かっているが、詳細は言えない」と含みを持たせた。  ドゥア・プトラ以外では、ダルマ・サムデラ・フィッシング・インダストリーズ(@DSFI/JK)が海洋漁業の加工・貯蔵業界で唯一の上場企業だ。その他の上場水産会社はニッチな分野に乗り出しており、セントラル・プロテイナプリマ(@CPRO/JK)がエビ養殖、インティ・アグリ・リソーシース(@IKP/JK)がアロワナの養殖を手掛けている。【翻訳・編集:NNA】

2016年の東南アジア、中国・原油安・債務の3問題を乗り切られるか

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はシンガポールの現地記者クリストファー タン シ(Christopher Tan, Si)氏がレポートします。※本記事は2015年12月30日にQUICK端末で配信した記事です。 2016年の東南アジア市場、3つの懸念材料に注意 投資家の多くは変動が大きく、市場のムードが揺れ動き、予想外の驚きに満ちた2015年と訣別することにうれしさを感じるだろう。特に新興市場にとって、2015年は原油価格の下落や主要輸出市場の低迷、これらの国々の企業債務の拡大などで厳しい時期となった。  世界経済から生じる不安により、2015年に世界でも最も深刻な打撃を受けた地域でもある東南アジア諸国にとっても同様の状況だった。では、2016年は東南アジアに何をもたらすのだろうか。考慮すべき3つの問題をここに挙げる。 「2016年の中国経済は過去17年間で最も緩やかなペースの成長率」…IMF予測 【中国】  新興市場だけではなく、世界のその他の地域にとっても最大の懸念材料は、2016年に中国の景気が浮上するかどうかだ。目覚ましい成長路線へ戻る道を見出せない中国となるのか、あるいは2015年の低迷の後に自らの足場を見出す中国となるのか――。  国際通貨基金(IMF)の予測が正しければ、2016年の中国経済は過去17年間で最も緩やかなペースの成長率により「足場を固める」年になる可能性が高い。  しかし、資産運用会社シュローダーのアジア債券部門トップは、実際はそうした単純に二元的な状況よりもはるかに複雑だとみている。同トップによると、中国は投資主導型成長から離れ、バリューチェーン(価値連鎖)型によって経済を浮揚させることで、「中所得経済の罠」を回避しようとしていると指摘する。  この過程の中で、国内総生産(GDP)成長率は低下し、経済そのものの再編に伴い、勝者と敗者が生じるだろう。そして情報技術産業に無関係の旧経済に属する企業は敗者となり、ハイテク企業やイノベーティブ企業が勝者になると彼は述べている。  この場合、新興市場への波及効果は明らかだ。消費財への需要も依然として存在するが、ニッチなサービスや製品に対して高まる需要を満たせるテクノロジー企業のような企業が最も恩恵を受けるだろう。 原油相場は「破綻」?債務返還問題の清算にも注目 【石油ショックの緩和】  過去1年半の原油価格の動向をすべて「調整」と呼ぶのは、控えめすぎるだろう。どちらかと言えば、「破綻」との表現が正しいかもしれない。  ブレント原油価格は金融危機時に記録した下落よりも今回、さらに大きく下がって過去11年間で最低水準なった。この下落トレンドは来年も続くのではないかという懸念に火をつけた。  原油価格の低迷は成長鈍化の明確な兆候だが、一方で主に石油輸入国である東南アジア各国にとっては朗報が待ち受けているかもしれない。  原油価格の低迷は、インドネシアやマレーシアなどの財政支出を低く抑えさせ続ける一因になるだろう。両国とも石油とガスを輸出しており、原油価格の下落の影響を受けるが、両国ともまた、補助金によって価格を下げつつ、エネルギーを大量に輸入している。補助金が減る中、原油価格の低迷は国庫の増加を助けるだろう。  原油価格の低迷はまた、インフレが弱まる可能性も意味し、消費者もまた恩恵を受けるだろう。しかし、それはまた、この地域の中央銀行がインフレ圧力を煽ることなく、金融政策を実施できることを意味してもいる。 【金利】  米連邦準備理事会(FRB)は、マーケット参加者をはらはらさせて待たせながら、12月になってようやく政策金利の引き上げを決めた。米利上げが深刻な影響を与える可能性は少ない。なぜなら利上げ幅は2019年までに3%程度の引き上げが予想される中、今回の利上げは無視できるほどわずかな0.25%だからだ。  スローペースにもかかわらず、ほぼゼロ金利だった7年間で蓄積された巨額の企業債務をどう返済するのか、大きな疑問符が新興市場そして東南アジア諸国に突き付けられている。国際金融協会(IIF)は来年に返済期限を迎える新興市場の債務は6000億米ドル相当で、うち約半分は借り換えられるものと推計している。  この債務問題を無事に乗り切ることができるのか、それともこれが時限爆弾になるのか。その答えが、2016年がどのような年になるかを決定付けるだろう。 【翻訳・編集:NNA】

海外投機筋が円先物を3年ぶりに買い越し…その時、個人投資家は?

年明けから急速な円高・株安の流れが続いています。「この動きが当面も続くのでは」と懸念させるような統計が発表され、金融市場の専門家が注目しています。 米国の金融政策が利上げに舵を切ったにも関わらず、海外投機筋が3年ぶりに円先物(対ドル)の買い越しに転じたのです。 海外勢が3年ぶりに円を買い越し…「中国」と「原油」を警戒 米商品先物取引委員会(CFTC)が日本時間の1月9日に発表した海外投機筋の円の持ち高(1月5日時点)は4103枚(約512億円)の買い越しとなっています。2012年10月16日以来、およそ3年3カ月ぶりで、日本経済新聞は「ヘッジファンドの相場予想が円安から円高に転じたことを示している」と報じています。アベノミクス開始以来、初めて円の買い持ちに転じたことになります。 教科書的に見れば「米国が利上げに動けば、ドルの金利が上昇し、為替市場でドル高が進む」と考えたいところですが、市場の動きはその逆です。昨年12月に米国が利上げに踏み切って以降、円高・ドル安が続き、実際に海外投機筋も円の売り姿勢から買い姿勢に転じているのです。 いったい何が起こったのか。 確かに昨年後半まで、海外投機筋は、利上げへの期待から円売り・ドル買い姿勢でした。ただ実際利上げが発表されれば、いったん材料出尽くしの機運が高まります。そこに中国経済や原油安といった不安材料が湧き起これば当然、リスク回避の意識が強まります。世界経済不安からドルの利上げペースが鈍る、つまり米国の経済成長が順調に進まないという不安が強まってしまいます。 3月期決算の主要企業の15年度下期の想定レートは1ドル=120円台が中心。さらなる円高は日本の輸出企業の株価の重荷にもなります。   8日発表の昨年12月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が市場予想を大幅に上回ったが、相場は反転しなかった。(中略) 米雇用統計が改善したのに円高・株安が止まらないのは、市場参加者の関心が「米国の金融政策より人民元安や原油安といったリスク要因に移っている」(三菱東京UFJ銀行の内田稔氏)ことが大きい。不安が不安を呼び相場にブレーキがかかりにくくなっている。 米雇用統計の発表直後にはいったん1ドル=118円85銭まで円安となったが、そこから一気に反転し、117円台前半まで円高が進んだ。 ※日本経済新聞からの引用 国内FX参加者は逆張り…ドル買い・円売り持ち高を堅持 この海外投機筋の動きがどれだけ珍しい動きだったのか、そして国内の個人投資家、つまりFX(外国為替証拠金取引)参加者はどのように動いたのか。 以下のチャートは、直近3年間の海外投機筋(ピンク)、国内店頭FX取引(青)、くりっく365(緑、東京金融取引所に上場するFX)の、それぞれのドル円の持ち高動向です。ピンク色、つまり海外投機筋の持ち高の推移(計算値)を見ると、今年に入り、突然、ドルの売り越し(=円の買い越し)に転じたことがわかります。 また米国が利上げに踏み切った昨年12月以降、海外投機筋のドル買い持ち高が減るにつれ、円高が進んでいることが分かります。     ※このチャートの詳細はこちらのページで確認できます。   この状況下で、国内のFX参加者はどう動いたか。同じ週のくりっく365、店頭FX統計ともに、買い越しを維持。3つの統計の中で、先行的に公表される店頭FX統計を見ると、先週末時点(1月12日にサイトで公開)で依然、ドルの買い越しを続けていることがわかります。年初からの相場急変時、海外投機筋の円買い・ドル売りに、国内のFX参加者は追随しなかった様子が見てとれます。 外国為替市場参加者の「波」を見極めろ このチャートから、この先どうなるか、少し頭の体操をしてみましょう。 海外投機筋のドル円持ち高の推移をみると、2015年の春や秋のように、海外投機筋のドル円の買い越し持ち高がトントンになるまで縮小したあたりが、ドル円相場の底になっているようです。とはいえ、当時は米国の利上げ期待のもとにあった相場。実際に米国が利上げに踏み切った足元の相場で、同じ動きになるかは不透明です。 一方、国内FX参加者の動きを示すくりっく365、店頭FX統計は、ドル円相場が軟調になったとき、ドル円の買い持ち高を増やす逆張りの姿勢を見せています。同じ動きを繰り返すのであれば、戻りを狙った下値での買い主体になると考えられます。 ただ、国内FX参加者が、いつ、海外投機筋の動きに追随するかは不明です。今後の円相場の動向を見通すためにも、海外、国内、各参加者の持ち高の「波」を見極め、波に大きな変化が起こっていないかどうかをチェックすることが必要となりそうです。

インドネシア、来年は5%成長か 米利上げ後の通貨安定に努力 

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB OSK証券インドネシアのRizki Fajar(リズキ・ファジャラ)氏がレポートします。※本記事は2015年12月28日にQUICK端末で配信した記事です。 インドネシア中央銀行、政策金利を7.5%に据え置き決定 インドネシア中央銀行(BI)は17日に開いた理事会で、BIレート(政策金利)を7.5%に据え置くと決定した。貸出ファシリティー金利、翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)もそれぞれ8.0%、5.5%に据え置いた。年末にはインフレ率が3%を下回る水準まで鈍化し、経常赤字は2015年の国内総生産(GDP)の2%程度までの改善が見込まれる。マクロ経済の安定を背景に、BIは金融緩和の余地があると考えている。 中銀は16年に5%台の成長を予想 ルピア安定に引き続き努力 BIは今後、インフレ抑制、経済成長の促進、構造改革の加速に関して政府との連携を強める見通しだ。マクロ経済システムおよび金融システムの安定性を維持しつつ、経済成長を支えていくとしている。  また、BIは2015年の経済成長率を4.8%と予想。2016年には5.2~5.6%に伸びると見込んでいる。この予想は、政府のインフラ事業が進展すること、経済安定を強化する一連の政策の実施を受けて民間投資が拡大し、堅調な消費と政府支出が増大することを前提としている。世界経済の動向については、BIは外部リスク、特に中国の経済成長の鈍化や米金利引き上げ後の国際金融市場の不安定化などに対し、引き続き警戒していく方針だ。 米国の緩やかな成長は、消費と住宅セクターの改善によって支えられているものの、製造部門の収益低迷と低調な輸出がマイナス要因になっていることをBIは認めている。一方で、中国は投資主導から消費主導の成長に向かう一方で経済全体が減速した。  米国の金利引き上げの後、インドネシアの通貨ルピアはやや売り圧力にさらされたが、BIはマクロ経済の安定性と持続可能な経済成長を維持するため、自国通貨ルピアの基本的な価値を踏まえて、ルピアを安定させる努力を引き続き強化していくと述べた。 金融システムは安定 来年後半の政策金利引き下げを予想 金融システムは、信用リスク、流動性リスクに耐えるというより、むしろそれを上手く吸収していくような弾力性のある銀行制度によって支えられ、弾力的で堅固と考えられている。10月末時点の銀行の自己資本比率(CAR)は20.8%と、高水準を維持。同時に不良債権(NPL)比率はグロスで2.7%、ネットで1.4%と比較的安定した状態を保っている。一方で10月の預貸率の伸びは前年比9.0%だったのに対し、信用増加率は前月の11.1%から低下し、前年比10.4%にとどまった。  2016年の見通しとしては、経済活動の拡大とBIが採用する緩やかなマクロ・プルーデンス政策のスタンスに沿い、信用増加率は12~14%までやや改善することが予想される。  今後、インフレ率は安価な燃料価格により一段と低下するだろう。さらに経常赤字は管理可能な水準に維持される見通しで、BIに金融緩和の余地を与えるだろう。しかし短期的にBIは、米国の政策金利引き上げ後の国際金融市場とユーロ圏、日本、中国、米国の経済動向の影響を注視していく構えだ。  そのため、BIは政策変更について、慎重な姿勢を維持すると思われる。弊社の見通しでは、政策金利は、2016年初めは7.5%に据え置かれるが、来年後半には0.5%引き下げられて7.0%となるとみている。【翻訳・編集:NNA】

香港のファンド、ドル高・元安で中国進出に商機 日本のファンドにもチャンスか

 QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※本記事は2015年12月28日にQUICK端末で配信した記事です。 利上げに伴うドル高・元安で中国製品の輸出に恩恵  米国は10年間に及ぶ長い期間を経て利上げをした。ただし、今後は緩やかな引き上げにとどめると表明した。香港は通貨を米ドルとペッグ(連動)させているが、近年、累計1300億米ドル超のホットマネーが域内に流入し、銀行資金が潤沢であるため、域内の銀行は米国に追随した利上げを行わなかった。投資家たちがより注目するのは米利上げ後の人民元の動向だ。現状を見る限り、人民元はここ数カ月の下落基調の延長で緩やかに下げ続ける見通しで、こうした状況を中国政府も歓迎するもようだ。 米国が昨年に量的緩和政策を終了したあと、米ドルは次第に上昇傾向になった。今回の利上げが資金流入へとつながり、米ドルの上昇基調を一段と強めることになるだろう。反面、人民元は今年8月に中間値(基準値)設定の改革を行い、人民元レートを市場の実勢に近づける施策を実施したあと、下落が続いている。このため、人民元は米利上げ後に対米ドルで下げ基調を一段と強めることになるだろう。しかし、実際のところ、人民元安は中国製品の輸出に有利となる。よって、中国政府は人民元安を歓迎するはずだ。 もはや人民元は対米ドルのみで比較できない?    中国がこのほど発表した政府傘下の中国外貨取引センターによる為替レート指数(人民元相場指数)は、人民元と通貨バスケットとの連動を算出基準としている。中国は同指数を用いることで米ドルや他の通貨に対する人民元の実勢を示すことを望んでいる。世界の主要通貨の中で米ドルのみが堅調で他の通貨はいずれも軟調だが、実際のところ、対通貨バスケットの実質的な人民元の為替レートはさほど軟調ではなく、むしろやや堅調なのだ。こうしたことから、中国は外貨取引センターの人民元相場指数を用いて人民元の実勢を示すことを望んでいる。この人民元相場指数が国際的に広く採用されるようになれば、人民元の為替レートで対米ドルについてのみ市場が注目するようなことがなくなり、人民元安がもたらす国際的な圧力を軽減できる。よって、人民元は今後、徐々に米ドルとの緊密な連動から脱却し、対通貨バスケットでのパフォーマンスを強めていくことになるはずだ。  このような動きはさほど非難すべきことではない。中国と欧州連合(EU)や日本、英国、アジア近隣諸国との経済や貿易の往来はますます緊密さを増しており、為替レートは米ドル以外の通貨と比較する方が経済の実情に合致するようになっているからだ。もっとも、人民元が米ドルとの「実質的なペッグ解除」を行えば、今後、対米ドルでの下落が続くことになる。香港ドルが米ドルと連動しているため、対米ドルで人民元安が続けば、人民元は対香港ドルでも引き続き軟調となるだろう。 中国と香港、相互承認ファンド第一弾を登録  数カ月前に中国と香港が合意に達した両地間のファンド相互承認プランで、ようやく第一弾の相互承認ファンドが認可された。中国証券監督管理委員会(CSRC)がついに香港の相互承認ファンド3本を登録したのだ。内訳はETF(上場投資信託)、株式ファンド、債券ファンドで、これらの香港のファンドは中国本土で販売できる。一方、香港の証券先物委員会(SFC)も第一弾の中国本土の相互承認ファンド4本を正式に登録した。これらのファンドは主にハイブリッド証券ファンドと株式ファンドだ。中国と香港のファンド相互承認が実施されれば、香港で今後登録されるファンドはCSRCへの登録申請が可能になり、認可されれば億単位の中国の投資家に販売できる。外国資本にとって、香港でファンドを登録して業務展開することによる市場の潜在性が大きく高まることになり、香港の資産管理業務の発展に追い風となるだろう。日本のファンドにとっても、可能性を秘めた投資チャンスとなるはずだ。

中国・紫光のM&A攻勢が台湾半導体を揺るがす 日月光のセキ品買収も不透明に

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※本記事は2015年12月18日にQUICK端末で配信した記事です。 ”黒馬の騎士”日月光vs”白馬の騎士”清華紫光、攻防戦の行方は?  台湾をターゲットにした半導体企業のM&A(買収・合併)がいくどとなく山場を迎えている。10月に力成科技(コード@6239/TW)の株式25%取得を突如決めた中国大陸の清華紫光グループが、続いて12月11日にセキ品精密工業(コード@2325/TW)の株式取得を決定した。同社株式24.9%を1株当たり55台湾ドルで取得する。同グループは、さらに巨額資金を投じて南茂科技(コード@8150/TW)の株式25%を取得する。買収額は1株当たり40台湾ドル。3社への合計出資額は882億元に達し、同社の大胆な挙動が半導体市場を揺るがした。  中でも、セキ品精密への出資は568億台湾ドルの巨額とあって、注目を集めている。セキ品精密の林文伯董事長は今回の決定を中国との提携だと、対外的に説明した。取得資金のうち80%を台湾の生産能力拡充に、20%を江蘇省蘇州市の工場拡張に用いるという。  もっとも、セキ品精密は紫光グループに株式24.9%を譲渡して筆頭株主とする際に第三者割当増資の形式を取る。これに伴い、日月光半導体製造(コード@2311/TW)のセキ品精密の持ち株比率はわずか18%にまで低下することになる。明らかに、セキ品精密は紫光グループを自社の経営権を護衛する「白馬の騎士」とすることで、日月光が経営への介入を強めることに対抗しようとしたのだ。 日月光、敵対的買収から一転、友好的買収を提示へ 台湾の半導体業界の関係者は、セキ品精密の林董事長が紫光グループの出資を今回引き入れることにしたのは、同グループがセキ品精密の株主に有利な額を提示したほか、同社の経営権に干渉しないとしたためだと分析する。囲碁を得意とする林董事長が見事な一手を打ったというわけだ。しかし、世間では激しい反中感情が巻き起こり、台湾で数十年間の月日をかけて苦労して築き上げた半導体パッケージングテスト業のサプライチェーンを林董事長はいたずらに中国へ差し出すべきではないとの認識が広がった。 一方、苦労して進めてきた計画を紫光グループに台無しにされた日月光は、そのまま泣き寝入りするようなことはしなかった。3日後の12月14日、1株当たり55台湾ドルでセキ品精密の株式100%を完全取得するという友好的買収提案を同社の取締役会に突如提示。台湾の産業の国際競争力を擁護するなどといった大義を掲げ、両社が先入観を捨てて買収案で合意することを希望すると発表した。また、既存の会社制度、全取締役、全経営陣を維持し、従業員の利益を守り、改革は行わないと約束した。買収総額は約40億米ドル(約1313億台湾ドル)となる見通しだ。 日月光はセキ品精密に今月21日までに書面で回答するよう求めたが、セキ品精密は再度議論する必要があるとして即答を避けた。   市場は日月光の柔和路線を評価する見通し…懸念も 台湾の機関投資家は、日月光の買収案は水平統合であり株式の希薄化も起こらず、買収効果がすぐに表れると分析する。反面、セキ品精密による紫光グループの出資引き入れは増資を伴い、株式が33%希薄化する。両案を比べた場合、多くの外国投資家が日月光の買収案を支持するだろうとの見方を示した。日月光の迅速で果断な反撃には、セキ品精密の経営権を取得して半導体パッケージングテスト業トップの座を固めることへの決意がうかがえるという。 しかし、日月光によるセキ品精密の完全買収には、紫光グループによる取得価格の増額攻勢を受ける可能性やセキ品精密の取締役会での否決といった変数が依然として存在する。また、セキ品精密の株主が同意したとしても、合併に伴い世界シェアが大幅に拡大するため、各国の反トラスト法(独禁法)の厳しい審査を通らなければならない。こうした難関を順調に突破していくことができるのかどうかが注目される。

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