江戸時代にもHFTは存在した!? 現代は1秒に150回以上約定も

2016年4月8日、麻生太郎財務・金融相は「取引の高速化が市場の公正性、透明性、安定性に及ぼす影響について検討していくことが重要」*¹と発言しました。今後は金融庁が主体となって、超高速で取引する高頻度取引業者(ハイフリークエンシー・トレード、HFT)の規制に乗り出す方向性だと報じられています。 1秒に163回約定 アルゴリズム取引とはコンピューターシステムやソフトを介して取引する手段の総称です。HFTはこのアルゴリズム注文を執行するうえで、必要であれば用いられるという関係になっており、直接の関係はありません。*² 現在、証券各社はアルゴリズム取引を行っています。大口注文のマーケットインパクトを低減させるために運用する手法が主流です。代表的なものとして、アイスバーグ注文を紹介します。アイスバーグ注文は、意訳をすると「氷山の一角注文」というべきものです。これは、大量の売買注文を発注したい場合に、注文株数を少量に分割して発注するアルゴリズムです。注文数量のうち一部を事前に板に乗せておき、一部が約定すると残りの注文がすべて約定するまで注文を出し続けます。このように、市場に注文として出ている株が、実は氷山の一角(the tip of the iceberg)に過ぎないということからアイスバーグ注文と名付けられたのです。 このQUICK端末画面(有料サービス)の赤枠に注目してください。1秒間に1万株超と多くの注文が殺到していることが分かります。約定に応じて値段が下がっていることから大口の売りがアイスバーグ注文で執行されたのではないか、と推測する市場関係者もいます。つまり特定の時間に大量の小口約定が見受けられる場合は機関投資家がこのアルゴリズム注文を用いて株式を売買していると推測できるということです。 どの注文がアイスバーグ注文にあたるか事前に察知することはできませんが、歩み値を見ることによりその足跡はある程度推測することができます。この注文方法を用いるメリットは、機関投資家の手口をほかの市場参加者にできるだけ悟られないようにするという点にあります。たとえば一回の注文ですべての注文を執行してしまえば、その時注文を入れた大口の主体は1つであることがばれてしまいます。その結果、逆方向に相場を動かされ、損失になるといったリスクが存在するのです。しかし、アイスバーグ注文を用いることにより注文主体の数や正体を不明確にし、相場の動きをなだらかにすることができ得るのです。 ミリ秒単位で取引を見ると、実際はこれの何倍もの取引が行われていることがあります。例えばQUICKの提供する専用端末で三菱UFJフィナンシャルグループの歩み値を見てみましょう。13:35:06秒の1秒間に163回約定が成立していることが分かります。昔は同じ枚数でスライスして出すのがアイスバーグのシグナル、などと言われていますが、最近では一回の注文数をランダムにする機能がついているアイスバーグのアルゴリズムも存在しているため、163回の取引主体が1つなのか2つ以上なのか全くわかりません。 わずかな時間で上記のような大量の小口注文が入った場合は、何らかの思惑が絡んでいる可能性があると考える必要がありそうです。 HFTの特徴 HFTは高頻度取引注文のことです。定義は不明確ですが*³取引の速度が速く、ポジションの保有時間が数秒以下であり、注文の取り消し割合が高いなどの特徴が挙げられています。  一般的には0.5ミリ秒(0.0005秒)レベルの速度で取引できる注文です。取引所施設内に自社回線を設置する、コロケーションシステムを使っている会社では、気配情報の取得・注文の送信時間を片道で数10マイクロ秒(0.00001秒)以下にまで短縮することが可能になります。まばたきの速さが0.150秒であることからして、とてつもない速さであることが分かります。専門の情報端末の反応速度が数ミリ秒程度であることから、HFTが私たちの目に見えることはありません。またHFT取引やアルゴリズム取引は、ポジションを持っている時間や目指す値幅などがかけ離れています。そのため、個人投資家と対立しているというよりもむしろ他社のHFT取引業者が競争相手となっているのです。 HFTは薄利多売を目的にしているため、高確率で利益になるケースでなければ取引しません。またHFTをする上で得意な銘柄に取引が集中する傾向があるようです。相場解説で話題にならない銀行株が、出来高トップやティック回数上位にランクインしていることにお気づきの方が多いかもしれません。これらの銘柄は流動性があり、発行済み株数が多く、呼び値単位が縮小されているという特徴があります。東証一部の中でも呼び値が小さい銘柄はHFTの得意とする銘柄です。反対に、市場参加者の心理に大きく左右されるような新興市場の銘柄は定量的な分析に基づく取引が困難のであるため苦手であるとされています。HFT取引のない環境を求めるのであれば新興市場に参入することも検討すると良いかもしれません。 江戸時代のHFT ここ数年で成長したHFT(高頻度取引)ですが、これは市況を超高速で伝達・受信することにより速く注文を行うという意味において、江戸時代から存在していました。それは、紀伊国屋文左衛門が考案したとされる旗振り通信というシステムです。米飛脚が大阪・堂島の米相場を伝えるために時速10キロメートルが精いっぱいであった時代です。その中で、旗振り通信の時速720キロメートルという伝達スピードは驚異的でした。米飛脚に頼る者を出し抜くためにこれを利用した商人は、大儲けしたと言い伝えられています。江戸幕府は、旗振り通信を禁止した理由について「先格・先例もなく、精度も疑わしい手品がましき手法によって相場を報知することを取り締まる意図があったと考えるのが自然である」と考えていたという説*⁴もあります。速すぎる情報伝達に基づく取引で大儲けすることが市場の正確性・公平性をゆがめてしまうのではないかという考え方はこのころから存在していました。 技術進歩とHFT問題 HFT取引もアルゴリズム取引も、何年も前から問題になっていましたが、利益がすべて上記の手法を用いる取引参加者に吸収されたというわけではありません。個人投資家も従来の業者もこの時代に順応し、利益を上げることができています。むしろ、HFT業者は過当競争にさらされ、利益をあげることが難しくなっています。 技術の進歩に備えて私たちがしなければならないことは、アルゴリズム取引やHFTを敵とみなすのではなく、単なるツールとして使い方・裏のかき方をマスターすることから始めることだと思います。幸いなことに、個人投資家向けの取引アルゴリズム生成サービス等も開発が進んでいます*⁵。その他、様々な観点でプロとアマチュアのギャップを縮めるような技術進歩も見られつつあります。 先ほど説明した旗振り通信は1865年に解禁されましたが、大正時代になると電話・電報の発達、低廉化が達成され陳腐化しました。その電話、電報もラジオ・テレビ等にとって代わられ、それらはインターネットにとって代わられつつあります。証券取引所の売買システムを見ても、テクノロジーの発展に応じる形で場立ち方式からコンピューター管理、そしてArrowheadシステムでの管理と進化を遂げてきました。江戸時代のHata-Furi-Tsushin(HFT)は、現代の問題が解決しても新たに課題が発生することを示唆しているように思われます。その過程を踏んで、金融市場はさらなる発展を遂げるのではないでしょうか。 参考文献 *¹日本経済新聞社、2016/4/8.「株の高速取引検証へ審議会 金融庁、実態を調査」 *² IOSCO, 2007.Regulatory Issues Raised by the Impact of Technological Changes on Market Integrity and Efficiency Consultation Report. *³ 同上 *⁴高槻 泰郎「近世日本における相場情報の伝達 ―米飛脚・旗振り通信―」郵政資料館 研究紀要 第2号 (2011年3月) *⁵ AlpacaDB, Inc, capitalico

「若い企業=成長企業」は本当?設立年とスコアの関係で分析

現在日本の証券取引所には3500社以上が上場しています。会社設立100年を超える老舗企業から設立間もない新進気鋭のベンチャー企業まで、さまざまな企業の株式が日々取引されていますが、会社の「設立年」が最も古い会社をご存じでしょうか。ここでいう「設立年」とは、日本経済新聞社が調査したもので、会社が事業を始めた「創業年」とは異なり会社組織として法人登記した年となります。 設立年が最も古い企業は、1872年の国立銀行条例に基づいて日本で4番目に設立された第四銀行です。設立年は1873年、今から140年以上も前になります。『QUICK株サーチ』のツールを用いて第四銀行のスコアの形を確認してみましょう。 「規模」と「割安度」のスコアの高さが目立ちます。第四銀行は新潟県の地銀トップで預金量など県内他行を圧倒しています。銀行業なので事業の特性上自己資本比率が低く、「安全性」のスコアは低くなっています。 設立年をみてみましょう。画面を下にスクロールすると、右下の部分に「設立年」という項目があります。この項目で各企業の設立年を簡単に確認することができます。 以上のようにスコアの形には各企業の特徴が表れます。では、このスコアの形と企業の設立年には関連性があるのでしょうか。 『QUICK株サーチ』の『スコアの形で探す』を使い、ある条件で銘柄を選定。選定された企業の設立年を調べ、集計をとり特徴を探りました。 タイプ1:やっぱり安心大企業 スコアの形を以下のように設定し、銘柄を選定します。 ① 「規模」と「安全性」を8以上に設定 ② 「成長」と「収益性」を5以上に設定 ③ 「割安度」に関しては重視しない 今回は①の「規模」と「安全性」を最重視します。 ②の「成長」と「収益性」は平均値の5以上とします。 ③の「割安度」に関しては、今回現在の株価水準に関係なくデータを集めるため、重視しないこととします。 以上の条件に該当した企業の設立年を調べ、年代別にまとめました。 上場企業全体における設立年代別のデータと比較してみます。 規模も安全性もスコアの高い大企業タイプですが、全体の設立年代別の分布と比較してもあまり差はないように感じます。各年代にこのタイプの企業が存在するといえるでしょう。「規模が大きく安全性も高そうな企業には、設立100年を超えるような老舗企業が多い」とのイメージを持たれるかもしれませんが、あまり顕著な差はないようです。 しかし注意深く観察してみると、1940年代、1950年代の比率が少し高いことがわかります。戦後すぐ設立された会社には規模が大きく安全性の高い「安心感のある大企業タイプ」の傾向があるといえそうです。また大企業タイプに2000年前後に設立されたものが多いのは、持株会社体制への移行が考えられます。純粋持株会社は独占禁止法で設立が禁止されていましたが、1997年12月に解禁。2000~2001年ごろにはメガバンクが持株会社制に移行したほか、鉄鋼2位のJFEホールディングスも2002年設立です。 日本の企業の歴史の一端が見えてくるようです。 タイプ2:イケイケこれから企業 スコアの形を以下のように設定し、銘柄を選定します。 ① 「成長」と「収益性」を8以上に設定 ② 「安全性」を5以上に設定 ③ 「規模」を3以下に設定 ④ 「割安度」に関しては重視しない 今回は①の「成長」と「収益性」を最重視します。 ②の「安全性」は平均値の5以上とします。 ③の「規模」はこれからの成長の余地がある企業を選定するため、3以下とします ④の「割安度」に関しては、今回現在の株価水準に関係なくデータを集めるため、重視しないこととします。 こちらも同様に、上場企業全体における設立年代別のデータと比較してみます。 こちらのデータは、比べてみると一目瞭然です。1990年代以降の比率が圧倒的に高くなっています。「収益性が高く、成長している企業は、ベンチャーのような比較的新しい企業が多い」というイメージがあるかもしれませんが、このようにデータでも確認できました。2000年代設立の企業が全体の4割以上占めているということは、このタイプの大きな特徴といえそうです。 今回は2つのタイプについて検証してきました。 会社の「設立年」は普段あまり気にしないデータだと思いますが、気を付けてみると意外な発見があるかもしれません。  

米大統領選、誰が勝つ?統計学が与える予想

為替市場関係者は民主党クリントン氏勝利を予想 米大統領選は円高要因…市場は「クリントン候補勝利」を予想ではアメリカ大統領選挙に対する為替市場関係者の予測を取り上げ、3月14日に発表された「QUICK月次調査<外為>」(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は3月7~10日)の結果をご紹介しました。市場関係者の実に85%が民主党のヒラリー・クリントン氏の勝利を予想していました。 白熱する各党候補者指名争い 7月の党全国大会が近づき、各党の候補者指名争いはますます白熱しています。4月28日午前10時時点で各党候補者の獲得議員数は以下のようになっています。(参考:CNN Politics) 党の議員数の過半数を獲得すれば、正式に大統領候補者として指名されることになります。民主党はクリントン氏が残り215人、共和党はトランプ氏が残り246人の議員数を獲得することで指名獲得となります。クリントン氏、トランプ氏が各党指名獲得の最有力候補といえそうです。果たして、このまま市場関係者の予想通りに「クリントン氏とトランプ氏が各党の指名を獲得し、クリントン氏が勝利する」というストーリーとなるのでしょうか?ここで、二人の統計学者による興味深い予測を見てみましょう。 統計学者は二大政党の接戦を予想 統計学者がたびたび大統領選挙の勝敗予測を行っていることをご存じでしょうか?彼らは候補者の主張や政治的な情勢から予測をするのではなく、自らの作った数理的モデルのみに基づいて二大政党のどちらが勝利するかを予想します。彼らの予測は、政治専門家の勘や推測の精度を上回ると言われることもあります。 イェール大学経済学部教授のレイ・フェアー氏は、GDP成長率や物価指数などの経済指標を主に用いて過去の選挙結果と照らし合わせる数理的予測モデルを作り、精度の高い勝敗予測を行っています。簡単に言えば、前回選挙時から今回選挙時までの4年間の経済状況が良いほど現行の政策は国民に満足されていると考えられるため、与党得票率が高くなるというモデルです。すなわちGDP成長率の値が大きく物価指数の値が小さいほど、与党の予想得票率は高くなります。 彼は2014年に発表した論文で、2016年大統領選挙での与党民主党の敗北を予測しています。彼の予測モデルに2016年の最新経済指標データを代入したところ、やはり共和党勝利という予測結果となりました。2014年以降も続く物価指数の上昇が原因と考えられます。(参考:Ray Fair. 2011. Predicting Presidential Elections and Other Things, Second Edition. Stanford Economics and Finance) ネイト・シルバー氏は、各種の世論調査結果に人種・地域等を考慮した重み付けを行い過去の選挙結果と照らし合わせる数理的予測モデルを作り、勝敗予測を行っています。2008年大統領選挙では合衆国50州のうち49州における勝者を正確に予測し、2012年大統領選挙では合衆国50州とコロンビア特別区における勝者を正確に予測しました。2016年大統領選挙において、ネイト・シルバー氏は以下の通り民主党の勝利を予想しています。(参考:Five Thirty Eight) 経済指標から見ると今回の選挙戦は共和党が有利な状況といえそうですが、両氏ともに二大政党の接戦を予想しています。 トランプ氏・クリントン氏のいずれが勝利しても「円高要因」 大国のトップの交代は、経済・マーケットにも大きく影響を与えるイベントです。米大統領選の動向を知るにあたっては、政治専門家の声だけでなく、統計学者の予測やオンラインカジノのオッズなども参考にしたいところです。 為替市場関係者は、トランプ氏・クリントン氏のいずれが勝利しても「円高要因」になると予想しています。トランプ氏勝利の場合「強い円高要因」となり、クリントン氏勝利の場合「やや円高要因」となる見通しです。したがって、為替による影響を受けやすい株と影響が限定的な株とを見極めながら投資をしていくことが重要でしょう。QUICK Money Worldでは、マーケットスコアから為替感応度を簡単に把握できます。円高に押される日本株…為替の影響が限定的な株の見つけ方は?も併せてご覧ください。   編集:QUICK Money World

あなたの知らない「インバウンド」、外国人旅行者のホンネを探れ!

「春節で電化製品を買い漁る中国人」――。インバウンドと聞いてその程度のイメージしかないようなら、あなたは表面しか理解していません。外国人旅行者はなぜ日本に訪れるのか、何を求めているのかを正確に把握する、それがインバウンドを理解するうえで重要です。本レポートでは、インバウンドの今と未来について最低限、憶えておくべきことを纏めました。 外国人旅行者は今後も増加する 2015年は「インバウンド元年」ともいうべき年で、2014年比で47%増の1973万人もの外国人旅行者が日本を訪れました。本年度も1~3月期は前年同月比で約40%ほど増加し、3月には調査開始から初めて月間200万人を突破しました。この傾向を受けて、政府は2020年までの年間目標を2000万人から3000万人に引き上げています。 外国人旅行者の内訳は日本政府観光局がまとめた統計データから確認できます。資料によると、2015年は韓国、中国、台湾、香港の東アジアからの旅行者が全体の7割強を占めました。 報道から受ける印象では、外国人旅行者とは「爆買いをする中国本土からの団体客」ですが、台湾と香港からも多くの旅行者が訪れており、合計すると中国本土を超えます。これら地域は日本に対する好感度が高く、日本の伝統文化やポップカルチャーに造詣が深い人が多いのが特徴です。さらに近年は韓国からの旅行者も急増しており、全体の2割強と無視できない値です。 中国人は何月にやってくる? また、2015年は8月に中国人旅行者の入国ピークを迎えました。中国人=春節(旧正月)に海外旅行するというイメージから、春節のある2月が最も多いと思いがちですが、少なくとも資料で確認できる2003年以降で2月がピークの年は一度もありません。中国人は7~9月の夏季に多く訪れる傾向があります。 ここ数年で外国人旅行者が急激に増えた印象ですが、それでも外国人旅行者数は世界で22位、アジアでも7位で政府が目指す観光立国には道半ばといったところです。世界的な観光立国であるフランスやイタリアとは程遠く、中国やタイ、韓国にも劣っています。逆に言えば「伸びしろ」があるとも言え、日本の魅力を積極的に世界にアピールしていく必要があります。 日本に来てまで買いたいモノとは? 日本に来た外国人は土産として様々な商品を購入しています。日本で買うメリットは「品質が良い」「本国より安い」に加えて「デザインが良い」商品が多いからです。観光庁が外国人旅行者を対象に実施した消費動向調査から、彼らが何を購入しているのか確認しましょう。 中国人は化粧品を進んで購入していますが、韓国人は菓子類、台湾人は医薬品を購入しており、国や地域によって好む物が異なるようです。ヨーロッパからの旅行者は酒やたばこなどの嗜好品を購入する傾向があります。 近年、外国人旅行者に人気が高い商品は、ずばり化粧品です。 特に中国人からの人気が高く、一人当たりの購入単価が5万円近くと他国の倍以上の金額です。特筆すべきは購入率で、中国からの旅行者のうち約8割が化粧品を購入しています。もはや、中国人にとって日本での観光目的の一つとも言えるでしょう。 インバウンドの目玉として化粧品が期待されるところですが、注意しなくてはいけないのは、これら購入品は自国での流行にも左右されることです。2014年までは炊飯器などの白物家電や時計、貴金属が人気でしたが現在は伸び悩み気味で、代わりに化粧品が人気を集めています。また、中国本土においてはインターネットの口コミを特に重視する傾向があります。化粧品が人気なのも、日本製の品質の高さが口コミで広まったためです。口コミで話題になっているものとして、例えば、コーセー(4922)の「雪肌精」などが有名です。 とはいえ化粧品ブームがいつまでも続くとは言い切れません。インバウンドを考えるには、これらの情報にアンテナを張り続けることが重要となります。 日本の観光は「買う」から「体験する」にシフトする 2015年までは買い物目的の観光客が増加しましたが、今後は体験を求める観光客が増加するでしょう。先の消費動向調査をもとに、外国人旅行客に「訪日前に期待していたこと」と「次回期待すること」をヒアリングした結果を見てみましょう。以下は述べ回答数のグラフです。 訪日前は「日本食を食べる」「ショッピングをする」ことを期待する人が多いのに対して、次回は「温泉に入る」「スポーツ・レジャーを楽しむ」「日常生活を体験する」ことを期待する人が多いことが分かります。円安やビザ発給要件の緩和により買い物目的の旅行客が増加しましたが、いずれ限界が来ることを示唆します。観光立国と呼ばれる諸外国は、いずれも「歴史ある街並み」「華やかなエンターテイメント」「唯一無二の自然」など、その地でしか味わえない体験を売りにしています。今後も継続的に旅行客を増加させるためには、いかに「日本らしさを味わえる体験」を提供できるかが焦点となります。 日本らしさの味わえる観光地のほか、サンリオ(8136)の「サンリオピューロランド」のような日本にしかないテーマパークへの注目が高まるかもしれません。 また、将来的には地方の観光が重要な柱となるでしょう。というのも、旅行客が2回目、3回目とリピートして観光するに従い、主要な観光地よりも、知る人ぞ知る地方の観光地を目指す傾向があるためです。地方に行けば日本らしい伝統文化や自然が容易に体験できるのも魅力です。そのため、地方には、観光資源の再活用や外国人観光客の受け入れ態勢を整備することが急務といえます。 熊本地震の影響は? 4月に発生した熊本地震の影響は観光業界にも波及する見通しです。九州は全国的にも外国人旅行客が急増している地域で、昨年は全観光客の10数%程度が九州を訪れました。多くは福岡から各県の観光地に向かう客ですが、九州の大動脈である熊本の鉄道と道路が寸断されたため、隣県の大分や鹿児島などへの観光にも影響を与えています。また、九州観光関連銘柄の本命になるかもしれないと期待されていたJR九州の上場も、地震の影響で、どうなるかは不透明です。 また、一連の報道による心理的な不安も既に広がりを見せているようです。過去の災害でも、風評被害や自粛ムードにより地域の観光に影を落とすケースがありました。早急なインフラ復旧もさることながら、外国人旅行客への風評対策も求められています。 以上が2016年のインバウンド動向です。報道から受ける印象とは異なる内容もあったでしょう。インバウンド投資を考えているのであれば、今回挙げた政府資料は欠かさずチェックすることをお勧めします。 編集:QUICK Money World  

「量的緩和に戻ることはあるのか?」シティグループ証券・村嶋帰一氏

語り手:シティグループ証券 エコノミスト マネジングディレクター 村嶋帰一氏※この記事は4月11日にQUICK端末で配信した記事です。 【景況判断】現状(3カ月前比):悪い 先行き(3カ月後):やや悪くなっている GDP予測:16年度プラス0.7% 17年度マイナス0.3% 【金 利】短期(TIBOR3カ月):やや低下 長期(10年物新発国債):低下 マイナス0.10% 【円 相 場】横ばい圏 110 円/1ドル *GDP予測値は実質GDP成長率、前年比% *長短金利、円相場は3カ月後(2016年7月末)の予測値 1.景気見通し:「円高インパクトの評価は?」 円高ドル安が進行している。成長率に対する悪影響は比較的小さいとみられる一方、CPIと企業収益への影響はかなり大きくなると予想される。現在、10%の円高ドル安はその後1年間の実質GDP成長率を0.2%ポイント押し下げると弊社は推計している。これに対して、2000年代半ばまでは下押し効果が0.4~0.5%に達したとみられる。円高ドル安のインパクトが低下した第一の理由として、日本の製造業が海外需要の増加に現地生産の拡大で対応するようになったことを主因に、円相場の変動に対する輸出数量の感応度が低下したことが挙げられる。第二に、設備投資の企業収益への感応度も低下した。第三に、為替変動がCPIに与える影響が2000年代半ばまでと比べて大幅に強まった結果、円高ドル安は家計購買力を以前より強く後押しするようになった。  逆に、円高ドル安のCPIへの影響は、2000年代半ばまでと比べて大きくなっている可能性が高い。その重要な背景として、金融危機以降、輸入浸透率(国内への供給全体に占める輸入品の比率)が大幅に上昇したことが挙げられる。金融危機後に、日本の製造業が生産の海外移転を加速させたことを一因に、情報関連財を中心に、日本への逆輸入が急増した。  弊社の推計では、10%の円高ドル安は日本のコアCPI(生鮮食品を除く)を0.6%、食品・エネルギーを除くCPIを0.4%押し下げる。弊社は最新経済見通しで、平均112円の円ドル相場を前提に、2016年度のコアCPIを前年比マイナス0.1%と予想した。しかし、円高基調が続いていることを踏まえると、この予想に対するリスクは明らかに下振れ方向である。  一方、3月短観によると、2016年度の円ドル相場の前提(大企業・製造業)は平均1ドル117.5円と、現在の水準を大きく上回っていた。しかし、この楽観的な前提の下でも、大企業の2016年度経常利益計画は前年比2.0%の減益だった。円ドル相場が108円で推移する場合、実際の経常利益は8%程度減少すると試算される。 2.金融環境:「4月会合での追加金融緩和はあるのか?」 3月短観で企業の予想インフレ率のさらなる低下が明らかになったことに加えて、円高ドル安が急激に進行したことで、日銀が4月27・28日開催の次回金融政策決定会合で追加緩和に踏み切る可能性は高まったと判断される。ただ、それでも、弊社は、その確率は30%かそれ未満とみている。  第一に、次回会合は、5月26・27日に開催される伊勢志摩サミットの前であり、自国通貨安を狙った近隣窮乏化策とも解釈されかねない追加金融緩和は、安倍首相がサミット前に構築しようとしている国際協調の流れ(特に財政政策を巡る)に水を差す可能性が否定できない。実際、安倍首相はウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、「競争的な通貨安(政策)は避けなければならない」と語ったと伝えられている。  第二に、マイナス金利の導入後、消費者センチメントが低下し、2月の個人消費関連指標も全般に低調だった。マイナス金利の導入が、家計行動・家計心理にどのような影響をもたらすかは現時点で極めて不透明であり、この点を見極めるには、経済指標の一段の蓄積が必要なように思われる。このため、4月末の段階で、マイナス金利を拡大するハードルは高いように見受けられる。最後に、言うまでもないが、マイナス金利の導入は銀行株価に悪影響を与えた一方、為替市場には日銀が望んだと思われるインパクトをもたらさなかった。円相場と株式相場が追加利下げにどう反応するかは非常に不透明である。  このため、よほどの円高ドル安が進まない限り、追加緩和は夏場にずれ込むと予想される。 3.注目点:「量的緩和に戻ることはあるのか?」 追加利下げが困難なのであれば、今後、金融緩和が必要となる際には量的緩和の拡大に戻ればいい、という見方もある。ただ、量的緩和の拡大策として、再び国債買い入れの増額を実施する場合、金融市場の反応は、2013年4月の量的質的緩和導入、2014年10月の同拡大の際とはかなり違ったものになる可能性は否定できない。 第一に、ほとんど(あるいはすべて)の市場参加者が、「マイナス金利が思ったような効果をあげられなかったため、国債買い入れ増額に戻った」と解釈することが予想される。第二に、「国債の買い入れ増額は本当にこれが最後で、これ以上の増額は無理」という反応を呼ぶ公算が大きい。こうした2つの見方が支配的となれば、それ自体が金融市場へのインパクトや政策効果を小さくする可能性が出てこよう。  一方、ETF買い入れを増額することは比較的容易とみられるが、それを単体で打ち出す場合には、「小出し」の印象が免れない。しかも、ETF買い入れの増額では一段の円高ドル安を阻止する効果は期待できないだろう。  以上の点を踏まえれば、マイナス金利から量的緩和拡大に戻ることも苦渋の選択になる公算が大きい。弊社は現時点で、4月27・28日の会合での追加緩和の可能性を30%以下、6月15・16日の会合は10%、7月28・29日の会合は45%程度とみている。日銀が追加緩和に動くのは、5月の新景気対策の発表と7月の参院選の後になる可能性が高く、その場合、具体的な手段はマイナス金利の拡大になるとみている。 <村嶋帰一氏略歴> 1988年東京大学教養学部・国際関係論学科卒業、野村総合研究所入社。93年2月経済企画庁・内国調査第一課出向、95年2月野村総合研究所・経済研究部、98年5月野村総合研究所・シニアエコノミスト。2002年7月日興ソロモン・スミス・バーニー証券会社入社(現・シティグループ証券)、現在に至る。

三菱自のデータ不正…自動車メーカー他社の値動きから見えるもの

三菱自動車工業(7211)は4月20日、国土交通省へ提出した軽自動車4車種の燃費試験データについて、燃費を実際よりも良く見せるため不正な操作をしていたことを発表しました。影響範囲は計62万5千台です。発表によると、三菱自と協業で新型軽自動車を開発している日産自動車が現行車の燃費を測定したところ、国土交通省に提出されていた燃費試験データとの乖離があったことから発覚しました。三菱自は2000年、2004年にリコール隠しが発覚した際にも経営危機に陥っており、以降企業体質の改善に取り組んでいた中での3度目の不祥事となりました。 4月21日の株式市場で三菱自の株価は大きく下落し、大引けで20.5%安。QUICK Money Worldのトレンドワードでも話題となっているキーワードとして取り上げられています。     ここで、他の軽自動車メーカーも見てみましょう。現在軽自動車を販売している国内メーカーとしては、ダイハツ、スズキ、ホンダ、日産、三菱、マツダ、富士重工業、トヨタが挙げられます(2016年3月期の軽四輪車新車販売台数順)。三菱自の燃費試験データ不正操作に関する発表後、4月20日午後から4月21日午前にかけての値動きに注目します。  ダイハツ (21日終値:前日比3.08%高)  スズキ (21日終値:前日比5.33%高)  ホンダ (21日終値:前日比2.13%高)  日産自 (21日終値:前日比3.14%高)  三菱自 (21日終値:前日比20.46%安)  マツダ (21日終値:前日比4.75%高)  富士重工業 (21日終値:前日比5.01%高)  トヨタ (21日終値:前日比3.20%高)   三菱自株に売りが殺到する一方で、他の軽自動車メーカーは非常によく似た値動きをしています。すなわち、20日14時より株価の下落が始まり、21日に入ると持ち直して上昇を始めています。軽自動車シェアトップ4のダイハツ、スズキ、ホンダ、日産は、21日午前に伸び悩んだものの持ち直している点で似たチャートの形となっていることが分かります。軽自動車販売数の少ないマツダ、富士重工業、トヨタは午前中の伸び悩みがごく緩やかです。 20日午後の下落は、「三菱自が20日17時に記者会見を行う」という情報が入った時点での市場の不安が読み取れます。今回の問題が三菱自のみの問題なのか他社にも関わる問題なのかという情報がなかったために、その情報量の少なさから三菱自以外の軽自動車メーカーへの不安が広がり売りが強まったと考えられます。記者会見を通過した後の21日に株価が持ち直したことからは、今回の不正が三菱自固有の問題であり、業界全体に広がる問題ではなかったという市場の安心感が読み取れます。 以上のように、市場には軽自動車業界に対する安心感が既に戻ってきていると言えそうです。しかし、2015年9月に発覚したフォルクスワーゲンの排ガス規制逃れ問題が記憶に新しい中、エンジン不正に対して「次はない」と楽観しすぎず、注意しながら投資をすることが重要でしょう。実際、軽自動車のシェアが高い4社が午前に伸び悩んだあたり、21日に入っても若干の懸念が残っていたことが伺えます。 製品の安全性が人命に直接的に関わる自動車の性質上、メーカーには高いモラルやコンプライアンス意識が問われています。その意識が失われれば、事業の根幹が疑われることになります。投資家もそのことを常に意識しておくべきでしょう。  

インドネシア、課税逃れに恩赦検討加速 パナマ文書も影響

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※この記事は4月15日にQUICK端末で配信された記事です。 脱税者へ恩赦…法案審議、パナマ文書が新たな原動力に インドネシアの脱税者に恩赦を保証するタックス・アムネスティ法案が国民議会で支持を集めている。法案が成立すれば、一部の海外資産が国内に還流し、今年の歳入が拡大するだけでなく、国内の資産価格上昇にもつながる見込みだ。 タックス・アムネスティ法案の審議は2カ月以上遅れている。汚職撲滅委員会(KPK)を弱体化させる目的で国民議会が提出している別の法案を政府に認めさせるための取引材料として、一部議員らがタックス・アムネスティ法案を利用していたためだ。 しかし、パナマの法律事務所モサック・フォンテカから大量の資産情報(パナマ文書)が流出したことが、議員らにタックス・アムネスティ法案の審議を進めさせる新たな原動力となった。パナマ文書には、インドネシアの実業家、政治家、現役の官僚、議員らの名前が含まれていた。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は先週、税務当局に対してパナマ文書に名前が載っているすべての企業と人物を洗い出し、納税状況を調査するよう指示した。 インドネシア人の隠し海外資産額、同国のGDP上回る規模か 国民議会のアデ・コマルディン国会議長は、すぐに議会と政府の対立解消に向けて動いた。同氏は「国民議会はいかなる誤解も避けるため大統領とタックス・アムネスティ法案に関して再度議論する」と発言。「われわれは、法案が今年の税収拡大に不可欠であるということに同意している。また、パナマ文書で明らかになったような脱税行為の再発を防ぐ必要がある」と述べた。 ゴルカル党や開発統一党(PPP)、闘争民主党(PDIP)、民主主義者党など主要政党が公式にタックス・アムネスティ法案の支持を表明。反対勢力であるグリンドラ党も対立姿勢をやわらげたもようで、大統領との協議に応じることで合意している。 アデ議長によると、同法案は4月29日までに議会で可決される見通しだ。   インドネシア財務省は、課税を免れているインドネシア人の隠し海外資産額を同国の国内総生産(GDP)を上回る8,770億米ドル超と見積もっている。こうした状況を踏まえ、インドネシア政府が資産の一部を国内に呼び戻そうと提出したのがタックス・アムネスティ法案だ。同法案には、納税者が海外に隠した資産に関して1~3%の最終課税額を支払えば、滞納税を免除することなどが盛り込まれている。財務省によると、この措置により政府収入は44億米ドル増加する見通しという。 脱税者の資金、条件付きで投資許可へ…不動産業界に流入見こむ インドネシア税制分析センターのエグゼクティブ・ディレクターを務めるユスティヌス・プラストウォ氏は、「納税者にとっては、年内にタックス・アムネスティ制度の下で資産をインドネシアに戻すことが得策だろう。2018年に各国の税務当局とタックスヘイブンの間で自動情報交換制度が導入される予定で、海外口座の租税回避が困難になるためだ」と述べている。 ユスティヌス氏が言及しているのは、タックスヘイブンでの節税対策の金融資産情報を各国の税務当局に開示するという経済協力開発機構(OECD)の計画のことだ。対象となるタックスヘイブンには、インドネシアでも有名な英領ヴァージン諸島やケイマン諸島、シンガポールなどが含まれている。 タックス・アムネスティ法案では、脱税者はインドネシアに戻した資金を1年間、政府債に投資すれば、その資金をインフラ、小売り、不動産といった他の分野に投資することが可能になる。 インドネシア不動産協会(REI)のエディ・ハッシー会長は「インドネシアの不動産業界は2016年に前年比で10~12%の成長が見込める」と語る。昨年の成長率は7%だった。同氏は「タックス・アムネスティ制度が導入されれば、新たな資金がインドネシアの不動産業界に流入してくるのは時間の問題」との見方を示している。【翻訳・編集:NNA】

本決算発表本格化…商社の業績修正から考える「決算サプライズ」のとらえ方

株式市場では3月期本決算が本格化してまいりました。各企業から今年度の業績予想が発表され、事前の市場予想との差、つまりサプライズが見えてくるようになります。3月末までのサプライズ決算を振り返ることで、ここからの決算発表を、どのような心構えで迎えればいいのか、おさらいしたいと思います。 こちらの画像は2016年3月28日までの一週間の間にあった決算企業のサプライズ指標となります。 2016年3月28日作成 サプライズレシオのマイナス幅が大きいほど、発表された業績内容がアナリストの予測を下回っていた企業(=過大評価されていた企業)となります。株価というのは帳簿上の価値だけでなく、「将来これだけの収益を上げるだろう」という市場の「期待」を加味して決定される者ですので、こういった期待はずれの企業というのは当然、株価が下落します。 では、マイナス方向のサプライズを発表した企業は、「単純に売り」と捉えるべきなのでしょうか。確かに多くの場合は、発表直後に急落し、そのままずるずると下げます。 ですが、そうではない銘柄もあります。マイナス方向へのサプライズなのに、数日後、場合によっては発表翌日に、上昇に転じる銘柄です。市場でよく「悪材料出尽くし」と言われる現象ですが、どういう仕組みなのでしょうか。 「悪材料出尽くし」のタイミングこそ「中~長期で割安な優良銘柄」を拾うチャンスでもあります。今回は画像にある三井物産と三菱商事をモデルに分析してみます。 予想を裏切った理由をきちんと把握する 実際、三井物産も三菱商事も、会社予想の修正を発表した後に、4月初旬にかけて売られましたが、2月につけた年初来安値を下回ることなく、足元の株価は反発に転じています。 この値動きをどう考えるべきでしょうか。   サプライズメーターの画面では三菱商事をクリックすることで、個別銘柄の項目に飛ぶことができます。 ここでまず注目していただきたいのは、右側にある「会社概要」です。簡単な業務の内容が載っていますが、これが「市場の期待を裏切った理由」を読み解くヒントとなっています。 たとえば今回の三菱商事の場合、「エネルギー産業との取引に強み。資源開発で先行」とあります。 2015年の後半以降、報道されている通り資源、特に原油の価格は下落の一途を辿っており、関連企業の業績悪化や資源国の経済不安を耳にされている方も多いのではないでしょうか。 つまり、時事のニュースと会社概要、そして決算内容をつなげることで「もしかして今回業績が悪かったのは三菱商事に何か問題があったわけでなく、資源相場下落による損失が原因ではないだろうか?」という仮説をたてることができます。 実際、三菱商事と三井物産の下方修正は、銅を中心とした資源価格の下落が原因でした。業績修正発表資料のなかにも記載がありますので、ここはきちんと把握しておきたいところです。 業績修正の理由はどれくらい織込まれていたか?を把握しよう では、下げが限定的だった理由とはなんでしょうか。下方修正の理由であった資源の価格に注目することが重要です。 以下は銅と原油の国際的指標のチャートです。ともに昨年後半に下げ足を速め、今年の2月ごろに安値をつけています。ですがその後の価格は回復基調。つまり、下方修正の原因である資源価格の下落はすでに一服しているのです。 株価はこういった周辺情報からの思惑で動くものです。資源価格の下落に大手商社の株価が連動していたのであれば、大手商社の安値も資源価格と同じ2月ではないか。むしろ、資源価格は足元、上昇基調ではないか。こう考えれば、今回の大手商社株の決算後の反応は、売りは限られ、どこかで悪材料出尽くし感が広がる、と捉えることができます。 こういった指標を追いかけて、大手商社の業績下方修正を警戒することができた市場関係者はどれくらいいるのか。ここを見極めることができれば、悪材料出尽くしのタイミングを掴むことができます。とはいえ、こればかりは定量的に把握することが難しいので、値動きを見ながら、タイミングを測るしかありません。 体力のない企業は一度の下方修正でも危ない ここで注意していただきたいのは「規模」と「安全性」です。 この数値が両方とも極端に低い企業の場合、「業績が回復する前に倒産」してしまう可能性があるため、長期保有には向きません。 QUICKスコアの「規模」と「安全性」を見ながら、大幅下方修正でも目先を乗り切れそうな大量のある企業を見極める必要があります。 以上、決算サプライズをスタートとした、銘柄選別の方法でした。 こういった「予想外」のことが起こったタイミングこそがチャンスになります。今回説明した決算分析を繰り返し、慣れてきたところで、予想外の曲面での逆張りに挑戦してみるのも良いかもしれません。 編集:QUICK Money World    

台湾・鴻海、シャープ買収に調印 「アップル受注」「3C成長力」で双方にメリット

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※本記事は4月6日にQUICK端末で配信された記事です。 シャープ買収劇、「4割引き」で終幕 鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー、コード@2317/TW)とシャープ(6753)の交渉がようやく実を結んだ。鴻海とシャープの協議は3月30日に合意に達し、調印した。鴻海グループと郭台銘会長個人が合わせて3888億円(約1166億台湾ドル)を出資し、シャープの株式の66%を取得する。1株当たりに換算した株式の取得価格は88円で、ほぼ「4割引き」の価格となった。  この3888億円という出資額は、シャープが2月25日の臨時取締役会で通過させた金額より1000億円少ないものとなっている。しかし、台湾と日本の企業史で4つの「第一」を記録することになる。まず、日本の百年以上の歴史を持つ企業が、海外企業からの買収を受け入れて再建に臨むのは、初めてということ。次に、鴻海にとって創立四十数年来で最大の海外投資だ。さらに、台湾企業が日本の液晶パネル大手メーカーを買収するのは、初めて。加えて、鴻海グループの副総裁がシャープの社長に就任することになるとみられているが、日本の百年以上の歴史を持つ企業に台湾人社長が誕生すれば、これも初めてとなる。 譲歩の末の調印…債務の返還期限迫り 鴻海とシャープは4月2日、日本で契約に調印した。双方が発動することになる新しい戦略が、世界から注目を集めている。  鴻海が提示した投資企画によると、鴻海、鴻海の英領ケイマン諸島子会社FFE、鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー、コード@2354/TW)のシンガポール子会社FTP、郭台銘会長が個人的に投資するSIOが、共同でシャープに約2888億1100万円を出資する。  さらに、鴻海は約999億9900万円強の戦略的投資を行い、シャープが増資として発行する議決権のない種類株1136万3636株を取得する。これは、2017年7月1日に1対100の比率で普通株に転換できる。1株当たりの転換価格は88円となる。以上の合計で今回、鴻海からシャープへの投資は3888億円となる。  鴻海としては、値引きは求めてはおらず、双方が協議によって達成した合理的な投資額だと強調している。しかし、市場の焦点は、将来鴻海がシャープに資本参加した後、どれほどの有利な立場を確保したのかに置かれている。  消息筋によると、シャープの巨額の債務が返済期限到来を迎えようとしており、資金需要が切迫している。また、鴻海グループは技術を流出させないと約束した。これによってシャープは最終的に譲歩し、出資受け入れ金額を引き下げた。同時に、調印後、もし鴻海側の原因ではなく買収が破談に終わった場合も、鴻海がシャープの液晶パネル事業を切り離して買収する権利を認めた。しかも、「従業員の雇用を維持する」という点についても、シャープは譲歩し、新条項を追加することで、鴻海がリストラを検討できるようにした。     硬直体制打破できるか…経営立て直しの試練は続く 日本のメディアの多くは、鴻海がこの百年の歴史を持つ日本企業を買収することに対して肯定的な見方を示しており、鴻海グループのスピード感ある管理スタイルおよび完成されたサプライチェーンによって、硬直化した企業に新しい生命が注入されると考えている。  台湾側でも、鴻海はシャープの極めて高度な液晶ディスプレイ技術を利用することで、最大の顧客である米アップル(コード@AAPL/U)からのスマートフォン組み立ておよび部品供給の受注を揺るぎないものとでき、同時にシャープに3C(コンシューマー・エレクトロニクス=家電、コンピューター、コミュニケーション=通信機器)分野での成長力を注入できると考えている。  しかし、この取り引きには双方の間に文化的な差異が存在している。さらに、シャープの過去2年間に及ぶ巨額の赤字をどのように黒字転換させるのか。いずれも、鴻海グループとシャープの新経営チームの知恵が試されることになる。将来、鴻海とシャープの提携には、さらに無数の挑戦が待ち構えていると思われ、それをどう乗り越えていくのか注目したいところだ。

「リスクオン」で円高の謎…海外ヘッジファンドの思考が逆転?

外国為替市場で円高・ドル安の動きが止まりません。この記事を書いている4月7日の夕方時点では、ドル円は一時1ドル=108円に接近し、あわや107円台突入かというような動きを見せています。 さて、年初から続く円高進行の裏側で、ここ数年の市場を知っている人なら「?」と思うような動きが相次いでいます。 4月6日の米国株式市場は堅調で、米S&P500種指数は上昇し、4月1日につけた今年の高値に接近しました。米国株は2月中旬以降、上昇基調を続けています。そして翌4月7日の日経平均株価も8日ぶりに上昇しました。 株式市場に安堵感が広がるかと言えばそうではありません。ドル円相場は108円台まで円高が進んだからです。 米国株が上がっても円高が進む。まるで「リスクオン」(リスク選好)で円高という流れにも見えます。これまで、リスク回避時に買われる通貨だった円が、リスク選好時にも買われている。いったい何が起こっているのでしょうか。 利上げ→円安は通用しない 第一生命経済研究所の藤代宏一・主任エコノミストは、4月5日に『「利上げ→円安」は通用しない』というタイトルのレポートを発行しました。日米の金利差とドル円相場との連動性が薄れているという話です。 通常、米国の景気が改善に向かうと、利上げの期待が高まり、米国の金利は上昇します。日本の金利はゼロ近辺のため、日米の金利差が拡大。お金は金利の高いところへ向かうのがセオリーのため、日米金利差の拡大はドル買い・円売りの材料とされます。 ですが、下記のグラフ(赤線がドル円相場、青線が日米金利差、QUICKデータで集計)を見る限り、米国が利上げに踏み切った昨年12月ごろから、逆に動くようになっています。 藤代氏はレポートの中で、米国の「初回利上げの混乱を経験して市場参加者は、利上げとその後のリスクオフを同時に織り込むようになったので、米利上げ観測が高まってもキャリートレードを膨らませなくなったと判断される。世界経済がFED(米連邦準備理事会)の利上げを上手く乗り切れるかについて、投資家が自信を持っていないということだろう。FEDの6月利上げが単純に円安に繋がるとは限らない」とコメントしています。(キャリートレードとは日本円などの金利の低い通貨を調達し、高金利通貨で運用する手法です) 要するに、次の利上げが実施された場合、世界経済の動揺につながり、米景気が腰折れしかねない、という心配があるということです。実際、市場は初回利上げ前に緩和マネーの引き上げを警戒したため、原油相場が急激に下落しました。次の米国の利上げが見えているからといって、簡単に円売り・ドル買いの動きが高まらないわけです。 「円高」は投機筋のリスク選好の象徴? もちろん、米国は経済に配慮し、利上げのペースを緩やかにすると声明を出しました。 2月以降の米国株上昇も、緩和マネーの急激な引き締めが無いとみた安心感が背景にあります。つまり市場は、以前よりも「リスクオン」の雰囲気をまとっています。 ではなぜ、円高が進むのでしょうか。本日、日本経済新聞電子版で、以下のような分析が掲載されていました。 米国では利上げが緩やかになるという観測が幅を利かせており、米国債利回りは低位安定が続いている。半面、金利先高観の後退は米株価の支援要因になり、ファンドも恩恵を受ける。お金に余裕ができた分を円買い戦略に振り向けられる。かつて投資家のリスク回避姿勢の映し絵とされてきた円高進行が足元に限れば、リスク選好の象徴のような動きをしているわけだ。 (出所:円108円台に急接近、けん制球かわし一段高)   リスクオンによる米国株高で資金的余裕が増え、円買い戦略を取りやすくなっているという見方です。確かに、マイナス金利政策発表後に円安が進まず、国際協調の面で円売り介入も仕掛けにくいという背景があるため、ヘッジファンドにとっては円買いはチャンスのある投資戦略となっています。 このサイトのFXポジションを見ると、年明けから海外の投機筋は円買い一辺倒であることが一目でわかります。 投機筋がどういう戦略で、どの市場に向かっているのか。FXのようなリスクの高い金融商品で運用する際は、常に考えておく必要がありそうです。

インドネシア中銀、今年3度目の利下げ 年内6.5%までの低下を予想

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのリズキ・ファジャル(Rizki Fajar)氏がレポートします。(※本記事は2016年3月25日にQUICK端末で配信された記事です) インドネシア、追加利下げで民間投資誘引 インドネシア中央銀行(BI)の理事会は17日の会合で、政策金利(BIレート)を0.25%引き下げて6.75%にすると決定した。同様に貸出ファシリティー金利と翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)もそれぞれ7.25%と4.75%に引き下げる。インドネシアのマクロ経済の安定に加え、米FRBの追加利上げが年内にほとんど見込めないことが利下げの背景だ。中銀は「マクロ経済と金融システムの安定を維持しつつ経済成長を支える」とを強調。目先の焦点として、金融調節の一貫性ある運用体制づくりをあげた。   一方で、中銀は、インフラプロジェクト開発の加速などの財政刺激策に支えられ、今年の経済成長が5.2~5.6%に上向くことを期待。さらに、最近の政府の規制緩和とそれに続く中銀の金融緩和を受け、今年後半には民間投資が回復すると見込んでいる。 外的リスクへの対処に尽力 世界経済の展望については、2016年と2017年の世界成長予測が以前よりも引き下げられていることから、中銀は外的リスクに対して引き続き警戒していくとしている。日本、欧州の不況と低インフレにより、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行はそれぞれ、流動性供給やマイナス金利政策を通じた追加緩和を強いられたと中銀は認識している。加えて長期に及ぶ中国の経済減速により、中国人民銀行(中央銀行)は低迷する自国経済を刺激するために預金準備率を引き下げた。  中銀は、今後もマクロ経済の安定と持続可能な成長を維持するため、インドネシア経済のファンダメンタルを踏まえ、為替相場の安定を維持する努力を強めていくと述べた。 さらに25bpの利下げを予想 インドネシアの金融システムは、弾力的な銀行制度と比較的健全な金融市場に支えられ、安定を維持している。2016年1月の各行の自己資本比率(CAR)は下限値の8%を大きく上回り、21.5%の高さを維持した。同時に不良債権比率(NPL)は依然低く、債権全体比でグロス値が2.7%、ネット値が1.4%と比較的安定している。これに対し、1月の貸付成長率は前年同月比9.6%と前月の10.4%から低下したが、同月の預金残高は前年同月比6.8%の伸びを記録した。  さらにRHB証券では、燃料価格の下落と軟調な国内需要が原因で、2016年はインフレが低水準で推移するとみている。2016年の経常赤字は対処可能な水準にとどまりそうだ。また、大量の外資流入と国内市場での外貨需要の低下が続き、ルピア高を促すと見込まれる。これらは中銀に対して、金融政策をいっそう緩和させる余地を与えるだろう。しかし中銀は今後の金融緩和の決定には慎重な姿勢を維持し、次の動きを決定する前に世界経済の成長を考慮するだろう。この点に関して、われわれは2016年中に政策金利がさらに0.25%引き下げられ、6.5%になると予想する。【翻訳・編集:NNA】

円高に押される日本株…為替の影響が限定的な株の見つけ方は?

日経平均株価は一時1万6000円割れ 4月の日本株は大幅下落で始まりました。市場で期待されていた機関投資家の年度初の買いが、予想していたほどの規模ではなかったことから、手じまい売りがかさんだと言われています。さらに追い打ちのように円高・ドル安が1ドル=110円台まで進んだことから、4月5日時点で、日経平均株価も再び1万6000円を割り込む展開となっています。 今後についても、日銀による金融政策の現状維持などが続けば、円高が進むものと考えられます。円高にともなった企業の業績悪化を懸念する投資家心理が働き、輸出をともなう自動車業や精密機器を中心に株が売られるという流れが続きそうです。 株価下落の一因は為替…為替に左右されない株に注目 このような状況下の中で注目しておきたい株が、為替に左右されにくい株です。今回の円高の影響により、全体的な株価は下がったものの、特に自動車や精密機器などの輸出が絡む企業の株価は売りの姿勢が強く出ました。 このような業種の株価・業績は為替の動向との影響が強いため「為替感応度が高い」と言えます。一方「為替感応度の低い」業種は、もちろん株式相場の全体的な下げに多少は影響される可能性があるものの、下落は限定的と言えそうです。 さらに、すでに株価指数が下落している業種については特に影響は限定的でしょう。3月の時点で株価指数が低く、為替に影響されにくい業種と言えば、電気・ガス業や陸運業です。乗り換えなども検討しながら、注目しておきたいところです。 為替感応度を簡単チェック QUICK Money Worldでは各銘柄ごとの為替感応度を簡単に把握できます。 たとえば国内で時価総額が最大のトヨタ(7203)の個別画面を見てください。QUICKスコアに「為替」という項目があることが確認できると思います。     このスコアは、為替感応度を表しており、スコア値が高いほど為替に対する感応度が高く、低いほど為替に対する感応度が低いことを意味します。株価の対ドル円レート感応度(36ヶ月)と海外売上高比率を参照して算出しています。 トヨタは日本最大の輸出企業だけあって、為替スコアが10と最大で、輸送用機器業種の平均よりも高い値をつけています。 一方、為替感応度がそれほど高くないとされるのが電気・ガス業や陸運業です。国内向けの事業が中心だからです。東京ガス(9531)のスコアを見ると、為替スコアは4と低め。宅配便最大手のヤマトホールディングス(9064)も3となっています。       為替感応度だけで安心するのはダメ ただし、気をつけておきたいのは、為替感応度が低いからといって、必ずしも下落のリスクがないわけではないということです。電気・ガス業について。2016年4月以降、一般家庭での電力自由化の面から、競争が激化し株価が変動する可能性があります。陸運も為替以外で事業環境が変わる可能性は十分あります。 QUICK株サーチでは、こだわり条件で業種を絞ることができるため、株価指数と為替感応度が低いとされている電気・ガスと陸運業を指定することで、さらに絞って検索が可能です。こうして株サーチを利用することによって、電気・ガスおよび陸運業の中でも、比較的リスクが低く割安な株を見つけて、投資することが、損失を抑える一つの手法だと言えます。   編集:QUICK Money World

香港、浙商銀と天津銀が上場 中国の景気低迷で投資家に慎重ムードも

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。(※本記事は2016年3月25日にQUICK端末で配信された記事です) 浙商銀と天津銀が上場…合計200億香港ドル規模調達 中国の商業銀行である浙商銀行(コード@2016/HK)と天津銀行(コード@1578/HK)が、きょう30日に香港株式市場へ上場する予定だ。浙商銀行はH株(中国本土企業株)を33億株発行、公募価格のレンジを3.92~4.12香港ドルとし、約129億~136億香港ドルを調達する。現時点で今年初めて香港で調達規模が100億香港ドルを越える新規株式公開(IPO)となる。一方、天津銀行はH株9億9550万株を発行。公募価格のレンジを7.37~9.58香港ドルに設定した。レンジの中間の値で算出した場合、諸費用を除いた調達規模は約74億1500万香港ドルとなる。  昨年下半期(7~12月期)に香港で株式上場した中国系の金融銘柄と同じく、浙商銀と天津銀も比較的多くの中核的投資家を引き入れた。浙商銀は、浙江省海港運営集団、エン煤国際、紹興領雁股権投資基金パートナーシップ企業、申万宏源集団、アリババ集団(コード@BABA/U)傘下のアリペイ(香港)インベストメントの5社を中核的投資家とする。これら5社の引受額は合計約76億香港ドルで、今回の株式上場に伴う調達額の55.8~58.9%を占める。他方、天津銀が引き入れた中核的投資家は、中国船舶(香港)航運租賃傘下のFortune Eris Holding、華達、天津物産集団傘下の天物投資、天津房地産集団傘下の天房津城、山東天業房地産開発集団傘下の瑞フ祥投資、天津泰達投資ホールディングス傘下の泰達香港、および匯鼎ホールディングスの7社。同7社が今回の調達額の45.58~59.23%に相当する合計43億4800万香港ドルを引き受ける。 両社ともに成長率・資金繰りは高水準 浙商銀は浙江省に本部を置く全国規模の株式制商業銀行だ。国内の全国規模の株式制商業銀行12行中、2014年12月末時で総資産ベースで11番目の規模。浙江省や江蘇省、上海市といった華東エリアで主に業務を展開している。昨年9月末時点で北京市や上海市、江蘇省など11省(直轄市を含む)と浙江省内のすべての大規模都市を合わせた計約130カ所に支店を設けており、長江デルタや環渤海エリア、珠江デルタ、一部の中西部地域をカバーしている。12~14年にかけて総資産と経常収益の年間平均成長率(CAGR)がそれぞれ30.4%、28.9%と、香港に上場する中国の都市商業銀行の同期間の平均成長率を上回った。昨年9月末までの9カ月間の純利益は前年同期比26.8%増の56億3700万人民元で、上場している全国規模の株式制商業銀行の同時期の伸び率を上回り、同期間の自己資本利益率(ROE)も18.66%と、上場している全国規模の株式制商業銀行の同時期の平均より約0.7%高かった。  浙商銀は事業を急速に拡大させると同時に、リスク管理と内部統制に関する対策に慎重に取り組んでいる。昨年9月末時の同行の不良債権比率は1.22%と、他のすべての上場している全国規模の株式制商業銀行よりも低かった。また、同時期の不良債権引当カバー率が227.61%、貸倒引当金カバー率が2.78%で、大部分の上場している全国規模の株式制商業銀行よりも良好だった。浙商銀は調達資金を各業務の持続的な成長に備えるための資金に充当する。 一方、天津銀は天津市に本部を置く都市商業銀行だ。中国の都市商業銀行としては8番目の香港上場銀行となる。同行の営業網は天津市、北京市、上海市、河北省、山東省、四川省の6省・直轄市をカバーしている。総資産は14年末時点で4789億元。12~14年の期間では、総資産のCAGRが25.8%、純利益のCAGRが29.6%で、同期間の中国の都市商業銀行の平均CAGR(総資産が21%、純利益が16.6%)をそれぞれ上回った。資産の質については、昨年9月末時点の同行の不良債権比率が1.49%と、同時期における中国の商業銀行全体の不良債権比率(1.59%)より低かった。また、同行の不良債権引当カバー率は199.79%で、同時期の中国全体の商業銀行の不良債権引当カバー率(190.79%)を上回った。天津銀はIPOで調達する資金を業務の持続的な発展を支える資本基盤の強化に用いる。 市場参加者は懸念…中国景気の低迷で もっとも、中国景気の低迷が続く中、融資需要の減退と不良債権の増加への懸念から、香港の投資家たちは中国本土の銀行への投資に対して慎重になっている。昨年に香港株式市場へ新規上場した商業銀行の例では、鄭州銀行(コード@6196/HK)のIPOへの反応が比較的良かったのを除き、錦州銀行(コード@416/HK)や青島銀行(コード@3866/HK)ではいずれも株式購入の申し込みが応募枠に達しない状況だった。  

鴻海によるシャープの買収が決定…交渉経緯と株式市場の動きを振り返る

シャープの買収交渉、ついに決着 3月30日、ついに台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープ(6753)の買収が決まりました。3月15日にホンハイが「シャープの2016年1~3月」業績が明らかになるまで買収を見送る可能性があると示唆し、ホンハイとシャープの主力取引銀行(みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行)の協議が長引いていましたが、一応の決着を見せた形となります。 これまでの議論の経緯を簡単に振り返っておきましょう。 業績が悪化したシャープは、官民ファンドの産業革新機構とホンハイからの支援提案を両天秤にかけて、協議に進めてきました。今年2月にホンハイからの支援受け入れで一本化したものの、シャープの将来の負債となる恐れのある偶発債務が明らかになったことを受け、鴻海は買収条件の見直しを要求しました。 シャープは偶発債務に関しては「買収に影響しない」とのコメントを発表していましたが、結局、鴻海によるシャープへの出資額は3888億円と当初予定より約1000億円減額することになりました。将来的な負債の恐れなど潜在的リスクについて考慮したためです。 とはいえ、ホンハイの持ち株比率は66%と落ちてはいません。出資時の増資の発行価格が1株88円と従来の118円から引き下げられたためです。「買収価格を値切られた」とみるべきでしょう。もちろん、背景には偶発債務という重要情報があるためであり、ホンハイ側としては理由ある行動となります。 (出典:日本経済新聞電子版) さて、様々な報道で言われている通り、ホンハイは買収に際して金額面の「揺さぶり」をかけていました。ただし相手は「シャープ」だけではなく、銀行、そして株式市場に対してでもあります。 報道によればホンハイは3月、銀行に偶発債務が実際に発生する場合に備えてシャープに対する追加金融支援を求めました。つまり、何かあったときには追加でお金を貸すと約束しなさい、という要求です。また主力取引銀行2行が持つシャープの優先株の買取予定額の減額交渉もしていました。こちらは「偶発債務が出てくるリスクがあるのでもうちょっと安く譲って」という議論だと伝えられています。 この交渉延長でもっとも揺さぶられたのは、株式市場、つまり投資家とも言えそうです。というのもホンハイ支援で決まりと広がった2月に株価は184円まで上昇したものの、ホンハイの交渉延長が伝わると120円台に低迷する場面が目立ちました。 市場としては「買収されることを期待しての買い」が入っていたと捉えることができます。   シャープは投資する価値があるのか? では現在のシャープは、財務・業績的にみて投資する価値があるのでしょうか? QUICKスコアで分析した結果を見る限り、プロの方は「難しい」と言うのではないのでしょうか。 企業規模は大きいものの財務内容(主に負債)も重く、また買収目的の投機買いによって割安感もない上に、収益性も成長性もないという「成長できなくなった大企業」の形状をしています。 今回の買収に関しても、市場としては「買収されればとりあえず倒産は回避できる」という程度の見方で、ホンハイ側がどのようにシャープ事業を活用して、ビジネスを再成長させていくのかが今後の争点になりそうです。 ですので、チャートの値動きを追っての投機目的でしたら面白みはありますが、財務内容をメインとして中~長期的な投資が目的でしたら、買収されるからといって飛びつくことは控えた方が良いでしょう。来期は一時的に黒字になるかもしれませんが、本質的に立ち直ったのか、という視点が必要となります。 シャープは、交渉の過程でホンハイの要求で製品在庫の評価損計上額等を2000億円近く増やしており、ホンハイ傘下となる来期はある意味何もしなくてもV字回復の可能性がある。LEDについては韓国勢の優位を…https://t.co/nK17G7R8Ro #NewsPicks — 安東泰志 (@nhcjpn) 2016年3月30日 また、市場では新たに追加された条項が話題になっています。契約が破談になっても、鴻海に責任がない破談であれば、ディスプレー事業だけは鴻海が手に入れることを可能にする条項です。つまり、まだまだシャープという会社自体、危機を脱したとは言い切れないのです。 ホンハイがシャープの液晶事業だけ買い取れるオプションとは露骨だな。あとは時間稼いでシャープの事業悪化を待てば良いのか。/鴻海「ディスプレー以外要らない」が本音か シャープ買収額1000億円減だけで済まない https://t.co/H9JyRB3T8w — 竹内健 (@kentakeuchi2003) 2016年3月30日 もちろん、今のシャープのようなスコアの形になっても復活した企業、たとえばソニーのような例もあります。シャープはようやくスタートラインに立とうとしている段階なので、投資するにしても、きちんとここからのニュースや開示情報を精査すべきでしょう。 トレンドワードをみると、本日もシャープについて、ネット上で様々な議論が出ています。新しい視点やニュースがないか、ここでチェックするのも良いかと思います。 編集:QUICK Money World

高利回りの銀行株をチェック…マイナス金利で「地銀再編」がテーマに?

マイナス金利の影響もあり、銀行預金の利率が大幅に低下しています。大手銀行の預金金利を見ると、普通預金が年0.001%。定期預金に至っては、預入金額300万円未満も、1000万円以上の大口定期預金も、あるいは預入期間で見ても、1カ月物から10年物まで、すべて同じ利率(三菱東京UFJ銀行の場合でそれぞれの定期預金金利は年0.01%)となりました。 こうなると「もはや銀行預金は貸金庫代わりの使い道しかない」なんて声が出てきてもおかしくないと言えます。何しろ金利がほぼ付かないのに等しいわけですから。10年物の利率が年0.01%ということは、仮に1000万円を満期まで預けたとしても、利息は税引き前で1万円にしかなりません。この間、普通預金で時間外の引き出しなどを繰り返したら、その手数料で利息がすべて持って行かれる計算になります。 配当利回りで3~4%の銀行株がごろごろ そこで一計を案じてみましょう。 同じ銀行で運用するならば、預金に預けるのではなく、銀行の株式に投資するのです。というのも、株価自体の下落リスクはありますが、高い配当利回りが得られるからです。 QUICK株サーチの機能を使って、今回は「お買い得感」のある銘柄、つまり割安感の高い銘柄を検索してみました。プロのアナリストが株価に強気かどうかを示す「QUICKレーティング」の高い順でみると、上位は「その他金融業」や「銀行業」で占められています。ちなみにランキングトトップは、その他金融業のジャックス(8584)で、2位以下はメガバンクや地方銀行を中心にランクインしています。 ランキング2位の三井住友フィナンシャルグループ(8316)の予想配当利回りは4.3%です。株価は3500円前後ですが、単元株数は100株単位なので、1000万円の投資資金で買えるなら、2800株ほどを購入でき、総投資金額は980万円。年間の配当利回りが4.31%ですから、単純に計算しても、42万円相当の配当金を得ることが出来ます。ところが預金だったら、同じ1000万円を預けても、1年で得られる利息は1000円にしかなりません。 ここで言う「お買い得感」は、QUICKスコアのうち「割安度」による部分が大きいものです。「割安度」のスコアは、業績や株主配当など企業の実体的価値に基づいた株価の割安度を表しているものです。スコア、予想PER、実績PBR、予想配当利回りから算出しており、値が高いほど割安で、低いほど割高であることを意味します。 三井住友フィナンシャルグループの予想PERは6.4倍、実績PBRは0.53倍です。なお、日経平均採用銘柄の平均PERが15.2倍、平均PBRが1.14倍、平均配当利回りが1.72%ですから、これらの数字と比較しても、三井住友フィナンシャルグループの株価水準は割安であると判断されます。 割安さの理由はマイナス金利、地銀再編は投資テーマになるか 「お買い得感」でスクリーニングした銘柄には、みずほフィナンシャルグループ(8411)のようなメガバンクもありますが、その他に静岡銀行(8355)やふくおかフィナンシャルグループ(8354)、群馬銀行(8334)、広島銀行(8379)といった地方銀行も含まれています。 いずれも予想PERが日経平均株価採用銘柄の平均PERに比べて低く、実績PBRが1倍を大きく割り込んでおり、かつ配当利回りが相対的に高めであることが、お買い得感の根拠となっています。 ただ、これはすべての銀行株について言えることですが、昨年の夏場前後から、株価は大幅な調整局面に入っています。三井住友フィナンシャルグループの株価は、昨年8月11日の高値で5700円でした。それが今年2月12日の安値で2819円まで下落しています。マイナス金利が業績に及ぼすネガティブな影響が懸念されたわけですが、今の水準は流石に売られ過ぎの感もあり、だからこそ「お買い得感」が高いというわけです。 特に地方銀行については今後、さらなる業界再編の動きが出てくるでしょう。マイナス金利による業績悪化をにらみ、合併で規模拡大・効率化を進め、生き残りを図るとの見方があるためです。 2016年10月をメドに足利銀行を擁する足利ホールディングスと常陽銀行が経営統合する予定ですし、この統合に群馬銀行が加わるのではないかとの見方もあります。4月には横浜銀行と東日本銀行が統合し、地銀最大規模のコンコルディアフィナンシャルグループが誕生します。広島銀行なども、地銀再編のストーリーには度々名前が上がります。 一方で、静岡銀行のように、明確に経営統合をしないという方針を打ち出している個性派地銀もありますが、マイナス金利で収益確保が一段と厳しくなる地銀を中心として、業界再編の動きが加速する可能性があります。お買い得感の高い地銀は、配当利回り狙いだけではなく、業界再編を材料にした投資妙味にも注目できそうです。   編集:QUICK Money World

円高への歴史的な転換点か…米雇用統計で相場レンジの変化を見極めよ

強弱入り混じった米雇用統計でドル買いトレンドは出ず まず3月のドル円相場について振り返りましょう。111円台~114円台という狭いレンジで推移しましたが、いくつかの大きなイベントを受けての結果となります。 3月4日に発表された米2月雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが前月比24万2000人増と市場予想を上回り、失業率についても4.9%と市場予想と一致していました。この結果を受けて、ドルは一時は114円台まで上昇したものの、時間当たりの賃金が減少していたことで、一転して113円台前半まで下落する展開となりました。 雇用統計の結果が強弱入り混じった内容だったことで、トレンドが出にくく、投資家が積極的にポジションを取りに行く流れとはならなかったようです。実際、ドル円ポジションのQUICKが集計した店頭FX建玉統計を見てみると、雇用統計が発表される前の週と比較して多少買い越し建玉が減少しているもののほとんどポジションは変わっていません。少なくとも、個人投資家は、雇用統計前にポジション調整を行い、以後、積極的にポジションを取りに行ってはいないと言えるのではないでしょうか。   ※個人投資家のポジション(店頭FX建玉の集計)   打ち止めの可能性が強まってきた欧州の金融緩和   その後、リスク回避の流れから、ドル円は一時112円台まで下落します。背景には、中国の貿易収支悪化などがありますが、大きなイベントとしては欧州中央銀行(ECB)の政策会合でしょう。 3月10日、ECBは追加金融緩和を発表しました。初動は、緩和によるリスク選好からドル円は114円台半ばまで上昇しましたが、ドラギECB総裁が会見で、さらなる追加緩和について否定的な発言を行うと、流れが一変し、112円台を付ける場面もありました。   今回の金融緩和の内容は、政策金利をゼロ%に引き下げただけでなく、金融機関が中銀に預け入れる余剰資金の金利のマイナス幅を0.4%に拡大しました。さらに、量的緩和についても資産買い入れ規模を月間600億ユーロから800億ユーロに拡大し、買入資産に社債を加え、質的な金融緩和も行いました。 ただ、会見でドラギECB総裁が更なる追加緩和の可能性について、否定的な発言を行ったことから、金融緩和そのものは市場で評価されつつも、市場予想を上回る規模の緩和策を発表した割には、不発に終わったと言える状況となっています。   ドル円相場の見通し…3月の雇用統計に注目 ドル円相場はその後、3月の決算期末に向けた国内勢のリパトリ(日本円買い、外貨売り)などもあって、3月末にかけては一時111円台まで下落する場面もありましたが、113円台半ばまで戻しています。2月後半以降の111円~114円のレンジに収まっている格好です。 さて、今後のドル円相場についてですが、注目すべきキーワードは「緩和の打ち止め」でしょうか。 ドラギECB総裁が追加緩和について否定的な発言として、「制限なく金利のマイナス幅を拡大できると示唆したくなかった」というものがあります。これは何もECBだけではなく、日本銀行においても言えるのではないでしょうか。日銀による追加緩和についても、そのマイナス幅は無制限なものではなく、先行する欧州程度が限界と考えれば、日米金利差拡大は限定的と言えるでしょう。 一方、相対的に景気好調な米国も、雇用統計で景気減速懸念は払しょくされたものの、時間当たりの賃金が減少していたことからも分かるように、早期の追加利上げの可能性はまだまだ流動的と言えるでしょう。利上げペースはより緩やかなものになるかどうか、市場の関心は今週末4月1日発表の米雇用統計に向かいそうです。 これらの状況を総合的に考えると、米雇用統計がよほど強い内容とならない限りは、ドル円相場は中長期的に円高方向に進む可能性が高いかもしれません。ドル円ポジションでCME日本円通貨先物のポジションを見ていただくとわかりますが、今年になってからドル売り、円買い方向となっています。直近もドル売り、円買いの持ち高が増加しています。投機筋は円高方向に進む可能性が高いと考えていることが分かります。   過去3年間のデータを見ても、買い越しが続いていたものが2016年を境に売り越しに転じているため、相場の転換点と考えられます。だとすれば、中長期的な円高トレンドの到来となる可能性も警戒しておいた方がよさそうです。   編集:QUICK Money World

インドネシア、タクシー会社がドライバー流出に直面 政府、配車アプリを後押し

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。(※本記事は2016年3月23日にQUICK端末で配信された記事です) 成長中の配車サービスアプリにタクシー事業従事者は抗議 インドネシアの通信・情報技術省は15日、配車サービスアプリの国内での営業を禁止しないことに同意したと発表した。今回の発表は、政府が成長中の配車サービスを容認する方向に態度を切り替えたターニングポイントとなったが、インドネシアのタクシー運営大手ブルーバード・グループ(コード@BIRD/JK)やエクスプレス・トランシンド・ウタマ(コード@TAXI/JK)のような従来のタクシー事業者に対し、圧力が強まることになるだろう。  ジャカルタのタクシー運転手らは14日朝、米サンフランシスコに本社があるウーバーとマレーシアのグラブタクシーという2つの人気のある配車サービスアプリの禁止を政府に要求する大規模な抗議を行った。インドネシア運輸省はそれに応じ、そうしたアプリは未認可の一般車が公共交通を提供することを可能とするもので、これは現行の道路交通法では違法と主張し、通信・情報技術省に対してそうしたアプリを禁止するよう正式に要請した。  配車アプリの事業者側は、個々の運転手のサービス提供には協力していないとして、道路交通法違反を否定している。代わりに事業者側は、道路交通法で認められている地場のレンタカー会社と提携した。グラブ・インドネシアのリツキ・クラマディブラタ社長は「グラブはドライバーと乗客を結ぶ技術企業だ。グラブは輸送サービスの提供者ではないし、いかなる車両も保有していない」と述べた。 タクシー業界は明暗分かれる…ブルーバードは増益 ルディアンタラ通信・情報技術相は、グラブの姿勢に同意したようで、同省はグラブの営業継続を認めるだろうと述べた。同相は「これは配車サービスアプリを禁止する・禁止しないという話ではない。テクノロジーは中立なものだ。根本的な問題は、その事業と政府、顧客すべてがウィンウィンの関係となる解決法をもたらすように、いかにわれわれが輸送事業を再編するかだ」と述べた。  同相はまた、ジョコ・ウィドド大統領は原則的に輸送事業におけるオンライン・イノベーションに賛成の立場で、その成長を支援し、強化するよう、既存の規制の見直しを各大臣に要請したと語った。これは昨年12月にジョコ大統領が、バイク版配車サービスのゴージェックを禁止する運輸省の決定を覆した事を考えれば、驚くに値しない。 ウーバーや競合相手のグラブは、簡単な依頼・支払システム、比較的安価な乗車料、平均以上のサービスにより、インドネシアの利用者の間で支持を獲得している。エクスプレス・トランシンド・ウタマは、それらのアプリがもたらした競争激化の犠牲となり、昨年1~9月の利益は90%近く落ち込んだ。一方で競合するブルーバードは同じ運命を逃れ、営業台数の多さがもたらした収入により16%の増益を記録した。   米ウーバーへの人材流出も しかしタクシー事業者は、自社のドライバーが辞めてウーバーやグラブに移り、自社の拡大能力を損なっている状況に直面している。エクスプレスのドライバー、カヒョノさん(50)は、同社との契約が7月に切れた後、ウーバーかグラブに登録することを考えているという。「今は稼ぐのが大変。ウーバーが上陸してから、1日当たり売上の30~40%を失っている。今運転しているこのタクシーの車両代を完済したら、ウーバーに移ると思う」とカヒョノさんは話した。  セセップさん(46)はブルーバードで13年間運転した後、半年前にウーバーへ移った。「ここの方が収入も良いことから、ウーバーで運転したい。私のタクシー乗り場の運転手たちも数百人単位でウーバーへ移っている」と話した。 ブルーバード広報部門のトップ、テグン・ウィジャヤント氏はこの件についてコメントを控えた。 【翻訳・編集:NNA】

アノマリーでは堅調予想の4月相場、今年は政治日程も注目

2016年初から大きく下落していた日経平均も2月12日の安値1万4952円で底を入れたとの見方が強くなってきました。以前の記事で過去のアノマリーから3月の相場を分析した際、3月相場が落ち着きを見せる可能性を示唆しました。ほぼアノマリーに近い展開になってきています。 同様に、4月以降の相場もアノマリーで大胆に探って見せみましょう。 4月は強い相場でも弱い相場でも上げ特異月 マーケットカレンダーでは月次、日次で過去の騰落率が3つの期間で確認できます。データがとれる全期間、1990年以降の27年間、2008年以降の9年間の3つのデータです。全期間のアノマリーも、1990年以降のバブル崩壊後で「失われた20年」というベアマーケットを含むアノマリーも、2008年以降というリーマンショック後のブルマーケットが中心のアノマリーも検討することが容易にできます。 マーケットカレンダーを見ると明らかですが、どの期間においても11月と12月と4月が「上げの特異月」であることが確認できます。データが取れる全期間でみると、4月の勝率は12月に次ぐ2位、バブル崩壊後では3位、リーマンショック後では同率2位です。つまり上げ相場でも下げ相場でも4月は強い月なのです。 今年も、アノマリー的には日経平均が4~5月に年初来高値をつけてくる展開が期待できます。2016年の日経平均の高値は今のところ1月4日の1万8951円です。4~5月に、年初来高値の1万9000円以上を目指すなら、4月は1万8000円を上回る展開が充分に考えられるのではないでしょうか。   (出典:マーケットカレンダーより作成)   4月のアノマリーを日次でみると、面白いことが見つかります。4月は日次では上げの確率が70%を超えるような「上げの特異日」がありません。たとえば1月4日の大発会は上げる確率が70%と上げの特異日です。2月は25日、3月は4、15、18の3日間が70%以上上げる特異日ですが、4月は1日もありません。逆に「下げの特異日」が非常に少ないのが特徴です。4月は勝率が50%を下回る日が3日だけ。3月は9日間もあります。 このアノマリーから想定されるのは、3月はボラティリティが高い相場で下値が切り上がっていくのに対し、4月は着実に上げていく月だということです。 では4月以降の実際の政治・経済のイベントあわせて見てみましょう。 政治日程でも4月〜5月は重要な月 報じられている政治日程を確認すると、平成28年度予算案原案(政府案)は、3月1日の衆議院本会議において可決されました。3月中に参議院での可決をもって成立する見通しです。次の大きな焦点は、5月末の伊勢志摩サミットになります。そして7月の参院選へとつながります。常識的には、安倍政権が補正予算などの景気対策、新・3本の矢などの成長政策を打ち出す期間は、4月から5月しかないでしょう。 景気対策は、4月1日の日銀短観で景況感を見てからの可能性が強そうです。5月18日の、2016年第1四半期(1~3月期)の国内GDP発表後などもタイミングとしては重要です。 金融政策では、4月27日〜28日の日銀政策決定会合での追加緩和の期待が高まります。 (出典:日本経済新聞)   ニューマネー、政治日程、3月決算発表が4月高を演出 4月が高いのは、金融機関が新年度で買いから入るためだとか、年金運用資金のニューマネーの新年度の最初の配分が4~5月にあるためだとか言われています。 もちろん、予算が成立後の政策による株価サポートも出やすい月だというのも大きな理由のひとつでしょう。 また、4月中旬から3月期通期決算の発表が相次ぐ事も要因だとみられています。日本の企業は3月決算期が大半です。個別企業の株価予想のベースとなり、日経平均のPERの算定のベースともなるのは、今期予想のEPSです。今期予想のEPSは決算発表日をまたいで次の期に入れ替わります。決算発表ラッシュとなる4月中旬から5月にかけて企業業績が増益ならEPSは自然に切り上がってくるわけです。 ただ、円高で2016年度の企業業績予想が減益にでもなることでもあれば、4月中旬から5月にかけて企業の予想EPSは切り下がり、日経平均のPERが上がって市場が割高になってしまうこともあり得ることは警戒しておく必要があるでしょう。 ゴールデンウィーク中は下げない ゴールデンウィーク中は、ポジションをしぼるのが常識です。念のために、ゴールデンウィークの谷間の日のアノマリーを見ておきましょう。 4月29日 天皇誕生日の休日 4月30日 騰落確率 54% 5月1日 同63% 5月2日 同67% 5月3日 昭和の日(旧憲法記念日)休日 5月4日 同75% 5月5日 こどもの日の休日   過去のアノマリーでは、連休の谷間はしっかりしている日が多いことがわかります。もちろん今年は市場のボラティリティも高いため、同じようにしっかりとは断言できません。あくまでアノマリーとして、今後の指針の参考としてください。 編集:QUICK Money World

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