消費増税延期は「やむを得ない」6割、与党勝利「80%」(11月調査)

QUICKが毎月行っている債券月次調査が、衆院解散後の11月25日から27日にかけて行われました。解散にともない、第47回衆議院議員総選挙が12月14日に施行されます。今回の月次調査では、これまでのアベノミクスに対する評価、衆院選挙の与党勝利の確率などについて、証券会社や銀行、投信投資顧問などの債券市場関係者にアンケート調査が行われました。あくまで債券市場からの声ですが、今後を占ううえで参考となるデータも見えてきました。 増税延期の評価「やむを得ない」が6割弱 アベノミクスがスタートして丸2年。「三本の矢」のうち、第三の矢に当たる成長戦略の行方がまだ見えないなかでの総選挙になるだけに、有権者がどこまで与党自民党を支持するのか、気になるところです。 現状、アベノミクスに対する評価としては「判断は時期尚早」という冷静な見方が大勢を占めました。また、解散総選挙と共に、本来なら2015年10月に予定されていた消費税率の再引き上げも延期と決まりましたが、それに対する評価は、57%が「やむを得ない」と回答しています。 今後、気になるのは12月14日に施行される総選挙の行方です。与党勝利の確率は79.9%と高く、270議席とされる与党勝敗ラインは確保できるとの見方が過半数を占めました。その意味では、安泰といえるでしょう。 与党敗退という想定外シナリオは株安、円高を加速させる? ただ、270議席という勝敗ラインを割り込んだ場合、特にマーケットに対してどのような影響が及ぶのでしょうか。日本長期金利、日本株式、円ドル相場に分けて、それぞれの反応を聞いたところ、次のような結果になりました。 <日本長期金利> ほぼ影響はないか、若干上昇する可能性あり。影響なしという回答比は全体の47%ですが、同時に「上昇する」という回答比も42%あり、ほぼ拮抗しています。 <日本株式> これはもう圧倒的に「下落」で、85%を占めています。これまで株価を押し上げてきた「アベノミクス」に対して、有権者がノーを突き付けたことになるからです。 <円ドル相場> 「円高」が63%を占めました。株価上昇と同様、アベノミクスによって円安が誘引されてきた面が強いだけに、与党の敗退は円高要因になります。 長期金利予想はさらに低下、注目材料は政府・日銀のオペレーション 今回の月次調査は、国内債券市場の動向に関する見通しです。 長期金利の指標となる10年国債の利回り予想は、10月調査に比べて下方にシフトしました。前回調査では、1カ月後の長期金利水準の単純平均が0.485%でしたが、11月調査分では0.447%に低下しています。ちなみに3カ月後にあたる2015年2月末の水準は0.466%、半年後の5月末は0.505%と、新年度にかけて長期金利は若干、上昇ぎみに推移するという見方となっています。 ▼市場参加者の予想 一方、短期金利であるTIBOR(東京銀行間金利:銀行間で資金のやり取りをする際の金利で、貸出し金利の基準となる)3カ月物のレートは、2014年12月末の0.184%に対し、半年後の2015年5月末が同じく0.184%。短期金利の水準は、日銀の量的金融緩和を反映し、当面は低水準の横ばいで推移することになりそうです。 市場参加者が目下、債券市場の変動要因として注目している材料は、「景気動向」の注目度が低下する一方、「債券需給」や「海外金利」の注目度が上がっています。なかでも債券需給が価格動向に及ぼす影響が強いと見られており、今後、市場参加者の動向が注目されます。 債券市場の需給動向を左右する投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」に対する関心が高まっています。10月末に発表された量的・質的金融緩和第2弾による、日銀の国債買い入れはもちろんですが、コアCPIの上昇率が低迷するなか、さらなる金融緩和が行われるのかどうかという点にも、注目が集まっています。 ただ、ここからさらに国内債券の組入れを増やすかどうかという点については、多くの市場参加者が気迷いムードにあるようです。国内債券の組入れ比率について、当面どのようなスタンスで臨むのかという質問に対して、相変わらず「現状を維持する」という指数が85%と高めに推移。現在のデュレーションについては「基準通り」が55%、当面のデュレーションについて「現状を維持する」が79%を占めており、ここしばらく債券のポートフォリオを大きく動かす兆しが見えないことが分かりました。 「当面は日銀の買いがGPIFの売りを吸収する」 市場関係者の声を聞くと、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による保有国債売却の影響はどの程度あるのか」と、GPIFの運用見直しに伴う国債の売却による影響が懸念される一方、「当面は日銀の買いがGPIFの売りを吸収する」という見方もあり、需給動向が大きく一方向に偏ることはなさそうです。 すでに0.4%台の前半まで低下しているだけに、ここから先、長期金利の低下余地が限られているのも事実ですが、日銀による買いオペが続く限り、長期金利が大きく上昇に転じる可能性は低そうです。

物価目標の達成は道半ば、市場は来年も追加緩和を予想(11月調査)

QUICKが11月17日に発表した「QUICK月次調査(為替)」によると、日銀が2015年度にかけて「物価安定の目標」として掲げている消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率2%の達成について、5割近い市場参加者が「可能性が低い」と見ていることが判明しました。「可能性はゼロに近い」という回答を合計すると、6割強が達成に懐疑的です。 この調査はアンケート方式によるもので、11月10日から13日にかけて、金融機関、事業法人、運用会社の為替担当者を対象者として行われたものです。調査対象者は212名。このうち、実際に回答が得られたのは85人でした。 コアCPIで見た物価上昇率は1%程度 日銀が当初、掲げた物価目標は、「2015年度までに消費者物価指数の上昇率を前年比2%にする」というもの。この目標の下、黒田日銀総裁は2013年4月、「黒田バズーカ」と称されている量的・質的金融緩和に踏み切りました。 しかし、現状において物価上昇率年2%という目標値の達成には、いささか距離感を覚えずにはいられない状況です。 黒田日銀総裁は、物価上昇率の目標達成を判断するうえで、CPIのなかでも、天候の関係で価格変動が激しくなる生鮮食品の影響を省いた「コアCPI」を用いるとしています。コアCPIの数字は、2014年9月が前年同月比3.0%を達成していますが、この数字には2014年4月に行われた消費増税分が加味されています。日銀試算によると、消費増税分はコアCPIに対して2%分に該当するということなので、前年同月比3%であれば、消費増税分を差し引いた実質ベースのコアCPIは、たったの1%にしかなりません。 つまり、現状において2%という物価目標値は、まだ道半ばということです。 アンケート対象者の回答を見ると、CPIの目標値である2%を2015年度までに達成することについては、全体の47%が「可能性は低い」と見ていることが分かりました。次いで多かった回答比は「五分五分」の34%、「可能性はゼロに近い」という回答比も16%ありました。総じて、物価目標の達成可能性は低いというのが、全体の回答から見て取れます。 物価目標の達成が困難である場合、日銀は次の一手としてどのような政策を打ち出してくるのでしょうか。 追加緩和予想が依然多い、拡大する日米金利差 日銀は10月31日にも、「黒田バズーカ第2弾」とされる量的・質的金融緩和を実施しましたが、市場参加者の間に打ち止め感はありません。日銀金融政策の次の一手は「金融緩和」という意見が、全体の76%を占めました。市場関係者の間では、黒田バズーカ第3弾を期待する声が広まっています。そのうち、追加緩和の時期としては、2015年4~6月という見方が最も多く、全体の32%。次いで2015年10~12月が30%となりました。 一方、金融緩和の後はいずれ出口戦略を模索する必要があります。これに関しては40%が、2017年以降と見ています。 また、為替に大きな影響を及ぼす米国の金融政策ですが、FRBが利上げに踏み切るタイミングとしては、2015年4~6月、あるいは同年7~9月がともに34%を占めました。2016年以降の利上げを考える向きは非常に少なく、市場参加者の大半は、来年中に利上げが行われると見ています。 米ドル=強気、ユーロ=弱気 あくまでもアンケート調査の結果から考えると、今後、さらに日米の金利差は広がっていくことになります。これは、円売り要因です。 市場関係者は目先、為替相場の動向をどう考えているのでしょうか。外為業務に関わっている金融機関関係者は、ドル/円について、11月末で115円07銭、1月末で115円93銭、4月末で116円38銭(いずれも単純平均)という結果になりました。トレンドは円安で、これは事業法人の見方も同じです。 ▼ドル円相場予想(金融機関の外為業務担当者) 一方、ユーロ/円については、むしろ円高予測の声が多く、外為業務に関わっている金融機関関係者の見方は、11月末が142円90銭、1月末が141円65銭、4月末が140円96銭という予想になっています。 また、運用ファンドの外貨建て資産について、当面、どのようなスタンスで臨むかという問いに対しては、「オーバーウェート」(基準よりも多く保有する)が57%となり、過去6か月間、上昇トレンドをたどっているのに対し、「アンダーウェート」(基準よりも少なく保有する)は43%と下降トレンドをたどりました。 こうしたなか、為替ヘッジについては、「ヘッジ比率を上げる」とした回答比が、前月の27%から11月は8%へと大幅に低下。「現状のヘッジ比率を維持」が75%へ、「ヘッジ比率を下げる」が17%へと、ともに前月比で上昇しています。ヘッジ比率を上げないものの、現状においては積極的にヘッジ比率を下げるところまでは行かず、今後の先行きについて様子見であることが伺えます。 なお、通貨建て組入比率については、米ドルと英ポンドをオーバーウェートに、ユーロと新興国通貨はアンダーウェートにするという傾向が見受けられました。これは、ユーロ、新興国ともにファンダメンタルズに対する不安感が強いことを意味しています。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

消費増税見送りで株価上昇か(11月調査)

11月4日~6日にかけて行われた「QUICK月次調査(株式)」(金融機関の株式担当者171名が回答)によると、安倍首相が消費税率の8%から10%への引き上げを見送った場合、回答者数の45%は「株価が上昇する」と見ていることが分かりました。一方で37%が「下落」と見ているのも事実で、消費税率引き上げ後の株価の影響については、見方がかなり分かれています。 消費税率の引き上げに関しては、7~9月のGDP成長率、および11月までの株価動向なども加味したうえで、12月に安倍首相が引き上げの是非を決定するということになっています。 1万7000円乗せで市場参加者は強気ムード 現状、株価は10月末に発表された量的金融緩和第2弾によって、日経平均ベースで1万7000円に乗せてきました。 同調査によると、11月末の日経平均株価予想は、単純平均で1万7126円。前月の数字に比べて大幅に上昇しており、市場参加者の間には強気ムードが広まっています。 ▼市場参加者の予想 どうなる消費増税? ただ、一方で景気に対する見方は弱気。今年4月に行われた5%から8%への消費増税前に比べ、景気の現状についての印象を質問すると、全体の62%が「想定を若干下回る」と答えました。「想定を上回る」という回答比は0%。「想定の範囲内」が30%を占めていますが、「想定を大幅に下回る」を含めると、全体の70%が、想定していたよりも景気が悪化している、と受け止めています。 こうなると、焦点は12月に安倍首相が、消費税率の引き上げを決断できるかどうかという点に掛かってきます。 株式市場参加者の間では、意外にも、圧倒的に「引き上げる」という見方が大勢を占めています。 まず、「予定通り再増税を決定すべきか」という問いに対する答えとしては、「予定通り2015年10月に引き上げるべき」とする回答が、全体の63%を占めました。 また、「安倍首相は予定通り消費税引き上げを決断するか」という問いに対しては、全体の76%が「予定通り2015年10月に引き上げる」と答えています。市場参加者の間では、消費税率の引き上げは「あって当然、なければサプライズ」ということになっているようです。 消費増税見送りのサプライズ効果に期待 では、サプライズが起った場合はどうなるでしょうか。ここでいうサプライズは、「消費税率の引き上げを期限付きで延期する」、「期限を未定のまま延期する」、「引き上げ自体を見直す」のいずれかになります。 もちろん、今回の調査でも、これらの点については触れており、たとえば「引き上げ時期を定めて延期すべき」という回答比が23%を占めるなど、予定通りの再増税に対して懸念する声もあります。 そのサプライズに対する見方ですが、「2015年10月の消費税引き上げを見送った場合に日本株式はどう反応すると思いますか」という質問への回答は、次のようになりました。 「上昇」・・・・・・45% 「影響なし」・・・・・・18% 「下落」・・・・・・37% 永田町には解散風が強まりつつあり、消費税率引き上げの行方にも注目が集まっています。それだけに、今後の政局が株価に及ぼす影響には、留意しておく必要がありそうです。 市場心理が株価の明暗を分ける では、市場参加者は今後の株価動向について、どう見ているのでしょうか。 前述したように、11月4日~6日にかけて行われた「QUICK月次調査(株式)」によると、11月末の日経平均株価予想は、単純平均で1万7126円という強気の結果が出ました。 調査期間中の日経平均株価が1万6720円から1万7127円と上昇傾向をたどっているなかでの調査になったため、市場参加者の間に強気ムードが広まっていたことも奏功したようです。 今後、6か月程度を想定した株価変動要因で最も注目されているものとしては、「景気・企業業績」が低下する一方、「政治・外交」、「内部要因・市場心理」が上昇しました。 「QUICK月次調査(株式)」では、市場関係者が注目する株価変動要因を指数化し、市場への影響度を量的に把握しやすくしています。50を超えると上昇要因、50を下回ると下落要因になり、下落要因としての懸念が最も強い時には0、上昇要因としての期待が最も強い時には100になります。 株価変動要因の指数を見ると、「為替動向」が74.7で最も高いのですが、前月調査分からの変化率で見ると、「内部要因・市場心理」(57.8→64.1)、「海外株式・債券市場」(52.7→58.3)が大きく上伸しています。 同じく指数の動きで見ていくと、今後6か月程度の想定期間内で、最も注目される投資主体としては、「企業年金・公的資金」、「外国人」が上昇しました。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革や日銀マネーの動向が株価に及ぼす影響が強まっています。 資産運用担当者は総じて強気姿勢 こうしたなか、自社資金運用や年金運用など、ファンドの運用を行っている担当者は、自分が運用しているファンドの株式組入比率状況、今後の投資スタンスをどう考えているのでしょうか。 まず、現状の株式投資比率に関しては、「ややオーバーウェート」と「ニュートラル」が、それぞれ41%ずつで拮抗しています。 ただ、10月調査分から見ると、「ややオーバーウェート」が32%から41%に大幅上昇しているのに対し、「ニュートラル」は46%から41%に低下しました。また、「ややアンダーウェート」が12%から6%に半減している点からも、資産運用担当者の間には、強気姿勢が見え隠れします。 強気姿勢は今後の投資スタンスにも表れており、「かなり引き上げる」は0%になったものの、「やや引き上げる」が前回調査の24%から30%に上昇しました。

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