安倍政権の支持率テコ入れ策、市場は「経済政策」を期待(7月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の7月調査が、8月3日に発表されました(証券会社および機関投資家の債券担当者149名が回答、調査機関は7月28~30日)。今回の特別調査では、低下する自民党・安倍晋三政権の支持率と、それがマーケットに及ぼす影響について聞きました。 「支持率30%は割り込まない」との見方が大半 アベノミクスで株価を回復させ、高い支持率を維持してきた安倍政権ですが、安保法案の採決に伴い、支持率が急低下してきました。共同通信の調べによると、安倍政権の支持率は30%台後半にまで落ち込んでいます。 これが8月末にかけて、どこまで下がるのか。マーケット関係者の見方は、「さらに低下するが、30%台は維持」が5割を占め、次に「横ばい」が36%という結果になりました。つまり市場関係者の9割近くが、支持率の30%割れは無いとみているということです。 金融市場、特に株式市場の動向は、時の政権の支持率に敏感です。支持率が高ければ株高、支持率が下がれば株安という関係が、如実に表れます。今後もさらに支持率の低下が続けば、株価の下押し懸念は強まりますし、債券市場にも影響を及ぼすでしょう。 支持率改善策は「経済対策」、あるいは「安保法案の説明」か 9月27日には、今国会が会期末を迎えます。それが終われば、次の焦点は2016年7月に予定されている参院選挙です。現在の30%台という支持率で参院選は戦えないとなれば、新たな経済政策を打ち出してくる可能性が高まります。「安倍政権が支持率改善のために何をすると予想しますか」という問いに対しては、「経済政策の強化」が45%でトップ。次いで「安全保障関連の説明強化」が30%、「外交面の成果模索」が21%となりました。 支持率低下続けば「株安・円高」の恐れ 気になるのは、安倍政権の支持率低下が続いた場合の、マーケットの反応ですが、多数の見方で言えば、「長期金利は特に変わらず、株価は下落し、円高が進む」ことになります。アンケート調査の数字を見ると、日本長期金利は「影響なし」が53%、日本株式は「下落」が77%、ドル円相場は「円高」が47%を占めました。 ただ、株価の下落があまりにも大きなものになると、景気は再び後退局面に入ってしまうリスクが浮上します。景気が後退すれば、2016年7月に予定されている参院選挙で安倍政権の逆風となる恐れが高まります。 長期金利の見通しは低下、運用も買い目線 内閣支持率の低下と、景気に及ぼす影響が懸念されてか、新発10年国債の想定利回りは、6月調査分に比べて低下しました。市場参加者による8月末の想定利回り(単純平均)は0.429%で、半年後の来年1月末でも0.499%。当面、10年国債利回りは0.5%を割り込む水準で推移するのが、市場の見方となっています。 今後6か月間で長期金利に影響を及ぼす要因として注目されるものとしては、「物価動向」が6月調査分の6%から12%に上昇しました。他は、それほど大きな変化が見られませんでした。「海外金利」の注目度は、6月調査分に比べて低下したとはいえ、それでも44%と高位を維持しています。織り込みが徐々に進んでいるものの、当面の注目点は、9月に米国が利上げに踏み切るかどうかということでしょう。 ファンドにおける国内債券の組入比率を今後どうするか、「自社資金の運用」「年金運用」「年金以外の受託資金の運用」などを担当している資産運用担当者76名を対象に聞いたところ、「かなり引き下げる」が0%で変わらず、「やや引き下げる」が大幅に低下。逆に「やや引き上げる」と「現状を維持する」が増加しました。この点から見ると、先行きに対してはやや強気、つまり金利低下を見込むムードが強まっているのが分かります。

ギリシャのユーロ離脱「確率45%」…為替市場への影響は(7月調査)

7月6日~9日に外国為替市場を対象として実施したQUICK月次調査(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者86名が回答)では、ギリシャ問題について調査しました。調査期間のマーケットは、ギリシャ問題の混迷によって、大荒れの展開になりました。 ギリシャの離脱確率は平均で「45%」 5日に投開票されたギリシャの国民投票は、財政緊縮策に「ノー」を突きつけた反対票が63%となり、賛成票を大きく上回りました。とはいえ、チプラス首相は「5日の国民投票は欧州と別れるためのものではない」と言い、あくまでもユーロ残留を探る動きをしています。 果たして、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性はあるのかどうか。その確率を聞いたところ、離脱の確率は、単純平均で45%(中央値は50%)となりました。国民投票を通過しても、市場の見方は依然として「五分五分」という認識のようです。 また、ギリシャをユーロ圏に留めることが、ユーロにとって政治・経済・通貨にどのような影響を与えるかを聞いたところ、政治的にはメリットだが、経済的にはデメリットという回答が最多となりました。また通貨への影響については、影響は小さいが最多の45%で、21%が「メリットが大きい」、34%が「デメリットが大きい」と回答しており、意見が分かれています。 ギリシャ離脱は「短期でユーロ安」「中長期でユーロ高」との見方 仮に、ギリシャがユーロ圏から離脱することになったら、ユーロ相場はどうなるのか。短期的には、「ユーロ安要因」と見るのが全体の61%。一方、中長期的には、「ユーロ高要因」と見るのが全体の47%、「中立要因」と見る回答も35%を占めています。 確かに、ギリシャのユーロ圏離脱は、イタリアやスペイン、ポルトガルなど、その他の南欧諸国のユーロ圏離脱を促す恐れがあります。そのため、ギリシャの離脱が「ユーロ崩壊の序曲」と見る傾向が強まれば、目先でユーロが大きく売られる可能性はあります。ですが、ユーロからの離脱者が増え、本当に意味で強い国だけがユーロに残れば、最強通貨ユーロという評価が高まる可能性もあります。その意味でも、ユーロは目先弱気、中長期で強気という見方は、一理あると言えそうです。 後ずれする米国の利上げタイミング また、米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切る時期についても調査しました。現状、9月利上げが36%を占める一方、12月利上げが44%を占めています。年初から同様の調査を実施してきましたが、6月が有望視されていたのが、徐々に9月に後ずれし、今回はさらに12月を見込む回答が9月を上回ってきました。 ギリシャ問題の混迷、中国の株価急落など、グローバルで悪材料が浮上しており、それが米国経済にどのような影響を及ぼすのか注視されるところです。 ドル円予想の定点調査…円安期待一服、外貨運用も慎重姿勢に 毎月、定点調査している為替相場見通しによると、円安・ドル高の勢いが鈍りそうです。金融機関の外為関連業務に従事している人の回答を見ると、7月末の相場予想は単純平均で1ドル=122円07銭となり、前回調査の124円00銭に比べると円高方向に修正されました。3か月後が123円18銭、6か月後は124円41銭という予想になっています。 今後のドルの動きを見るうえで、マーケット関係者が注目しているドル高要因は引き続き「金利/金融政策」です。円の変動要因では「景気変動」の注目度が上昇する一方、「物価動向」の注目度は低下。ユーロについては、ギリシャ問題の行方が注目されていることもあり、「政治/外交」の注目度が、前月に比べて大幅に上昇しています。 現在、運用しているファンドの外貨建て資産について、当面どのような運用スタンスで臨むのかを聞いたところ、これまで0%回答が続いていた「アンダーウエート」(基準より少ない)とする回答比が31%に急上昇しています。「オーバーウエート」(基準より多い)の回答が今月は大幅に低下(50%→31%)し、、「ニュートラル」(中立)とする回答も前月の50%から38%に低下しました。 ※フルレポートについては、QUICKの端末サービス(有料)や日経テレコン(有料)でご確認できます。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

株価見通しは堅調 インデックス運用流行の影響を探る(7月調査)

機関投資家や個人を問わず、株式運用において、インデックス運用(株価指数に連動する運用)が主流になりつつあります。投資信託協会の統計を見ると、インデックスファンドの中でも中心的な存在であるETFは、本数こそ5134本もある株式投資信託のなかで132本(2.6%)と少数派ですが、純資産総額を見ると、株式投資信託全体が84兆4783億円であるのに対し、ETFは14兆3483億(17.0%)にも達しています。 国内最大級の市場心理調査であるQUICK月次調査。6月30日~7月2日に株式市場を対象として実施した調査(証券会社および機関投資家の株式担当者180人が回答)では、インデックス運用が株式市場に及ぼす影響について特別調査を行いました。 また、毎月実施している相場予想の定点調査では、日経平均株価の1か月後、3か月後、6か月後の予想値は前月調査分に比べてやや上方修正されました。6か月後である年末の日経平均について、市場予想の平均は2万1277円となっています。 「低コスト」「商品多様化」でインデックス運用への注目度高まる 株式運用におけるインデックス運用は世界的に主流となっています。スマートベータ(時価総額以外の基準を重視して構成銘柄や組入比率を決める指数)を含む、インデックス運用がこれだけ増えてきた理由は何か。この質問に対する回答は、「低コスト」が35%を占め、次いで「運用商品の多様化」が29%、「アクティブ運用のパフォーマンス不振」が22%を占めました。 運用におけるコスト意識が一段と高まりつつある結果といっても良いでしょう。仮にアクティブ運用で年3%の運用管理費用を支払っていたのが、インデックス運用に切り替えることで年0.7%に抑えられれば、差し引き2.3%の収益改善になります。純粋に運用でリターンを年2.3%改善するのは容易ではありませんが、コストの見直しは、リスクを負わずに収益を改善できる、有効な収益改善手段といっても良いでしょう。個人、法人を問わず、それに気づいた投資家が、コストの割高なアクティブ運用から、インデックス運用に切り替えていると考えることができます。 また公的年金などが積極的に採用しつつある「スマートベータ」のパフォーマンス予想については、「市場平均並み」が43%、「市場平均を上回るが過去のデータほどではない」が39%を占めました。 スマートベータとは、TOPIXのような時価総額加重平均型の株価指数とは異なる運用を行うインデックス運用のことです。つまり、財務指標など一定の基準やルールに基づいて株価指数をつくり、この株価指数に連動する運用を行うのがスマートベータ運用です。その狙いは、基本的に市場平均以上の運用成績を実現することにありますが、市場関係者の見方としては、「市場平均並み」の成績に留まるという回答比が最も高かった点が、興味深いところです。 インデックス運用は価格形成に影響も こうしたインデックス運用の拡大が株式市場に及ぼす影響を、流動性、価格形成、コーポレートガバナンスの3点から聞いたところ、流動性については「高まる」が53%、価格形成については「企業価値を反映しにくくなる」が47%、コーポレートガバナンスについては「影響なし」が64%で、それぞれの質問に対する最も多い回答となりました。 市場参加者の資金が一部の商品に過度に集中すれば、市場に何等かの偏りや歪みを生み出してしまいます。インデックス型運用を手掛けない投資家も、この点は常に注意しておく必要があるでしょう。 相場予想はしっかり…ギリシャ問題で外国人に注目 定例の相場予想・運用動向の調査をみると、目先の株式相場に対してやや強気というところでしょうか。目作半年間の日経平均株価の予想値は前回6月調査分に比べてやや上方修正され、中小型株の動向を示す日経ジャスダック平均についても同様でした。 今後半年間の株価変動要因として最も注目されている材料は「景気・企業業績」で44%の回答を得ましたが、5月調査分、6月調査分に比べて数字は低下しています。一方、前回の調査に比べて数字が大きく上昇しているのが「海外株式・債券市場」です。6月調査は19%でしたが今回は32%まで上昇してきました。ここで言う海外は、ギリシャ問題に揺れるユーロ圏の動向と思われます。7月5日の国民投票で、緊縮受入れに「反対」が圧倒的な多数を占めたことで、今後、ギリシャのユーロ離脱を巡り、さらにマーケットが大きく揺らぐ可能性があります。 同じく、今後6か月の動向で最も注目される投資主体については、前回調査分に比べてやや低下したものの、相変わらず「外国人」の動向に対する注目度が高く、75%を占めました。これまで年金や日銀など公的資金による株買いに期待して、外国人投資家が積極的に日本株を買ってきました。しかしギリシャ問題の混迷が深まれば、今度は外国人の利益確定売りが続く恐れもあります。 資産運用担当者の見方はやや強気 資産運用担当者70名に対する、ポートフォリオ(資産配分)状況に関するアンケートでは、市場の先行きに対して、やや強気のスタンスが見て取れました。 まず、現状の組み入れ比率については、「オーバーウエート」「ややオーバーウエート」(通常の基準よりも多い)の回答比率が計47%と前回の45%からやや上昇。「ニュートラル」(中立)が2ポイント減少の42%となりました。 今後の組み入れ比率のスタンスについては「かなり引き上げる」は2%から0%に低下したものの、「やや引き上げる」が6%から20%に大幅上昇しました。反面、「現状を維持する」と「やや引き下げる」が低下し、「かなり引き下げる」は相変わらず0%が続いています。

財政健全化目標の達成に疑問符…長期金利は3年後に1%台へ(6月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の6月調査が、6月29日に発表されました(証券会社および機関投資家の債券担当者150名が回答、調査機関は6月23~25日)。今回の特別調査では、安倍晋三首相が掲げる財政健全化目標の達成可能性について尋ねました。 安倍首相は6月1日、経済財政諮問会議において、2020年度に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標を達成するため、2018年度の中間目標を定めるように指示しました。 基礎的財政収支とは「プライマリーバランス」とも称されているものです。これは、国債発行による借入額を除いた歳入(税収など)と、過去の借入れの元利払いを除いた歳出を均衡させるというもの。つまり社会保障や公共事業といった政策経費を、借金に頼らず、税収でどれだけ賄えているかを測る指標です。 このバランスが保たれていれば、国は国債発行などによる借金に頼らず行政サービスを提供できていることになりますし、逆に歳出が多い赤字状態の時は、借金をせざるを得ず、結果的に財政赤字が累積していくことを意味します。2020年度までにプライマリーバランスが保たれるようになれば、日本の財政赤字が膨張するのを防ぐことができます。 6割弱が目標「未達成」と回答…3年後の長期金利は1%台を予想 市場関係者の見通しは厳しく、今回のアンケート調査では、2018年度の中間目標、2020年度の最終目標のいずれもが未達で終わるという回答比が全体の59%を占めました。また、中間目標のみ達成という回答比は27%で、最終目標のみ達成という回答比は、わずか4%に止まりました。プライマリーバランスの黒字化は、非常に高いハードルだと市場は見ているようです。 この点を踏まえた3年後の長期金利(10年国債利回り)の水準について、市場関係者の予想は、単純平均で1.050%(中央値は1.000%)、5年後は1.461%(中央値は1.500%)と、徐々に上昇していく見通しとなっています。長期金利の上昇は、国の借金の利払いが増えることを意味します。今後、長期金利の上昇スピードが速まれば、プライマリーバランスを黒字化させる目標は、さらに遠のいてしまいます。 目標達成のハードルは高いとはいえ、達成できなければ、日本の財政収支は一段と悪化します。達成に必要な政策としては、「社会保障費の削減」が56%、「成長促進」が24%を占めました。 運用動向の定例調査…デュレーションに変化は見えず 毎月定例の質問である1カ月後、3カ月後、6カ月後の長期金利の見通しは、前月調査分に比べて、その水準を切り上げました。新発10年国債の利回り見通しは、1か月後の7月末見通しが0.459%で、前月調査分の0.402%に比べて上方にシフトしました。3カ月後の9月末は0.495%、6カ月後の12月末が0.520%となっています。 資産運用担当者75名を対象に、現在運用しているファンドで国内債券の組入比率が通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」(中立)および「ややアンダーウエート」(基準より低い)の回答比が上昇する一方、「ややオーバーウエート」(基準より高い)とする回答比は低下しました。 「債券相場の下落=長期金利の上昇」を、徐々に織り込み始めていると捉えることもできます。実際、今後のスタンスについて聞いたところ、「かなり引き上げる」「やや引き上げる」の回答比の合計が3%で前月調査分と変わらず、「現状維持」が低下(81%→77%)したのに対し、「やや引き上げる」「かなり引き上げる」の回答比の合計が、前月調査分の16%から20%に上昇しました。 一方、保有している債券ポートフォリオのデュレーション(元利金の平均回収期間)について、当面のスタンスを聞いたところ、「現状を維持する」が、前月調査分の76%から、今月調査分は77%に上昇しました。不自然な超低金利政策はいつか終わるものとは分かっていながらも、追加の量的金融緩和に対する期待も払しょくされず、デュレーションは当面、長くも短くもできない状態がつづきそうです。

2015年の円安メドは128円台…米利上げ「9月」説が有力(6月調査)

米国の利上げ時期は「9月」――。6月8~11日に為替市場を対象として実施したQUICK月次調査(金融機関や運用会社、事業法人の為替担当者90名が回答)では、こう予想する回答が6割近くに上りました。 回答者の59%が9月の米利上げ見込む 4月以降、1ドル=120円前後で推移していたドル円相場は、5月後半からドル高・円安方向に傾き、足元では1ドル=122円台~125円台の推移となっています。米景気の底堅さが経済指標で確認され、「利上げは年内」との見方が強まってきたためです。 今回の調査では、米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切るタイミングや、2015年内のドル円相場の最高値水準などについて聞きました。 利上げに踏み切る時期は、2015年9月とする回答比が59%を占めました。また2015年12月という回答比も24%を占めています。かつて大勢を占めていた6月利上げについては、今回の回答では0%になりました。 米国の政策金利であるFFレート(フェデラル・ファンドレート)の見通しを聞いたところ、回答者の単純平均値は、2015年末時点で0.55%。2016年末で1.40%となり、来年までを前提にすれば、どこかの段階で利上げに踏み切る可能性が高いと市場は見ています。 想定外の円安ドル高…年内に「128円台」まで見込む 一時125円台まで上昇した、5月のドル相場。過去1か月程度の間に125円台に達すると考えていたかどうかを質問すると、想定外という回答比が75%を占めました。 これだけ急激に円安が進んだ理由については、「早期の米利上げ期待」が58%、「海外投機筋のポジション構築」が48%、「米景況感の改善」が36%となりました。 9月利上げという見方がある以上、年内にもう一段の円安があるというのが、マーケット関係者の見方。2015年内のドル円の最高値水準について予想してもらったところ、単純平均で128円80銭(中央値は128円ちょうど)になりました。 ドル円予想の定点調査…大幅に円安シフト 毎月、定点調査を実施している為替相場見通しについては、円安方向に振れるという見方が強まっています。今後1か月、3か月、6か月のドル円について、金融機関の外為関連業務に従事している人の回答は、平均値で124円ちょうど(1か月後)、124円62銭(3か月後)、125円01銭(6か月後)となりましたが、これは前回(5月)調査分に比べて、かなり円安方向に振れた結果となっています。 ちなみに5月調査分の数字は、120円26銭(1か月後)、120円82銭(3か月後)、122円08銭(6か月後)です。6月の調査期間中のドル円レートは122円46銭~125円66銭の推移でした。 ユーロ相場は「貿易」「物価」と「金融政策」の綱引きか 今後のドルの動きを見るうえで、マーケット関係者が注目しているドル高要因は圧倒的に「金利/金融政策」。一方、ユーロ高要因として「貿易」が最も強い関心を集めており、次いで「景気動向」、「物価動向」と続いています。「金利/金融政策」については、強いユーロ売り要因として注目されています。 現在、運用しているファンドの外貨建て資産組入比率について、当面どのようなスタンスで臨むのかについては、5月調査に比べてニュートラル(基準と比べて中立)が大幅に低下する一方、オーバーウエート(基準と比べて多い)が大幅に上昇しました。今後もドル高が進むとの見方から、外貨建て資産の組入比率を高める傾向があるようです。 ※フルレポートについては、QUICKの端末サービス(有料)や日経テレコン(有料)でご確認できます。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

株価は半年後に2万1000円台へ…株主総会の注目点は?(6月調査)

半年後には2万1000円に到達予想…市場心理は強気持続 国内最大級の市場心理調査であるQUICK月次調査。6月2日~4日に株式市場を対象に実施した調査(証券会社および機関投資家の株式担当者179人が回答)によると、日経平均株価の今後の見通しは上方修正されました。 1か月後にあたる6月末の日経平均株価は2万432円。6か月後は2万1026円が想定されています。調査期間直前の6月1日にかけて日経平均株価が27年ぶりに12連騰したため、強気の見方が強まっていると考えられます。 株高持続に必要なのは、何と言っても企業の成長。今回の調査では、6月後半以降に3月決算企業の株主総会がピークを迎えることから、コーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)の注目点などについても聞いています。 注目は「クジラ」より「外国人」 まず、株式市場の現状を振り返っておきましょう。日本株について、一部では「過熱感が高まっている」との見方もあります。確かに時価総額は、バブルピークの89年末と同じ600兆円に達しましたが、同じ期間で見れば、NY株式市場の時価総額は7倍にもなっています。12連騰はややスピードが速かったかも知れませんが、株価や時価総額の水準からすれば、海外の株式市場に比べて出遅れ感のある日本の株式市場に、外国人投資家の買いが集まってくる可能性があります。 株式市場が今後6か月間で最も注目している株価変動要因は、「景気・企業業績」が相変わらず高位にありますが、前月に比べると、注目度はやや低下しました。他の要因も、前月に比べるとやや注目度が低下していますが、そのなかで「為替動向」が大きく伸びています。 同じく今後6か月を想定し、最も注目している投資主体としては、「外国人」が大きく伸びる一方、「企業年金・公的資金」は後退しました。株式市場の押し上げ主体として、「外国人」の関心が高まる一方、これまで話題となってきた「クジラ」、つまり巨額の公的資金への関心が薄れてきているようです。 年金や投資信託など資産運用担当者68人を対象に、運用中のファンドについて国内株式は現在、通常の基準とされている組み入れ比率に対してどのようなウエート(比重)になっているのかを聞いたところ、株価の先高感を反映して、「ややオーバーウエート」(基準よりも多い)の回答比が、前月に比べて大きく伸びています(28%→37%)。これに対して「ニュートラル」と答えた回答比は、8ポイントの低下(52%→44%)となりました。当面のスタンスとしては、「やや引き上げる」が低下(17%→6%)する一方、「現状を維持する」が上昇(77%→85%)しています。 株主還元策、株主価値向上策への関心が高まる 運用担当者の間に様子見姿勢が強まっている背景には、今後の企業の成長や株主還元方針を見極めたいという考えがあります。 6月1日から「コーポレートガバナンス・コード」が適用されました。コーポレートガバナンス・コードは、いわば株主と企業が円滑に対話を進めるための規範です。議決権など株主の権利を適切に行使できるように環境を整備したり、経営戦略や財務情報などを適切に開示したりするためのルールを設けるなどの規範が示されています。 コーポレートガバナンス・コードが適用されるなか、今回の株主総会で最も注目されるポイントは何かを聞いたところ、最も注目されているのは「株主還元策」で、全体の34%を占めました。ちなみに2014年度の株主総還元額(配当と自社株買いの金額を合計)は13.4兆円。この額が順調に増加していくか、というのがポイントです。 次に注目されるのが「ROE水準」で32%。ROEとは「株主資本利益率」のことで、この数字が高い企業は、株主の資本を効率良く使って、高い利益を上げていることになります。ROEは、一般的には10%を超えれば優良と言われていますが、欧米企業の平均値は20%を超えています。今後、日本企業も欧米並みとまでは言いませんが、徐々にROEを高位に保持しようという動きが出てくるものと思われます。いずれにしても、日本の企業がいよいよ株主価値の向上に向けて動き出す可能性が高まっています。 また米ISSが、経営トップの取締役選任議案について、ROE基準を導入するという動きがあります。ISSとはインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズという米国の民間企業で、国内外1600の機関投資家を顧客に抱えている議決権行使助言会社です。そのISSが、5年平均のROEが5%未満の企業については、経営トップの取締役選任議案に反対票を投じるようアドバイスをしています。これに対する反応としては、「一律適用には無理がある」という回答が46%を占めました。ただ、その一方で「歓迎する」という回答も、32%を占めています。 なお、今回のコーポレートガバナンス・コードの導入が、投資家に対する企業の対話姿勢をより促すことになるかという問いについては、全体の73%が「多少促す」と回答。「大いに促す」が19%を占め、いずれにしても対話促進に向けて前向きに受け止めている状況です。

日本の長期金利、今年度の高値は0.6%程度か(5月調査)

欧米の長期金利が不安定な動きを示している一方で、日本の長期金利は0.4%前後の低位安定を続けています。日本の金利水準は現状のまま推移するのでしょうか。 金利の動きは、外国為替証拠金(FX)取引や、住宅ローンという形で個人に影響を与えます。FXは各国金利差が相場に重要な影響を与えますし、市場金利と住宅ローン金利には相関関係があります。長期金利が低位安定していれば、住宅ローン金利も低いまま継続され、住宅ローンの利用予定者には好都合に作用します。 5月26~28日にQUICKが実施した債券市場に関する月次調査(証券会社および機関投資家の債券担当者148名が回答)では、今年度(2015年4月~2016年3月)の株価と長期金利の最高水準について尋ねてみました。 日本の長期金利は底値圏?上昇目途は0.6%程度 長期金利(10年債利回り)の最高水準予想(単純平均)については、次のようになりました(カッコ内は5月末の実績)。日本の長期金利が0.7%を上回るのは難しいという見方のようです。 日本10年債利回り・・・・・0.616%(0.39%) 米10年債利回り・・・・・・2.654%(2.12%) 独10年債利回り・・・・・・0.903%(0.48%) 一方、債券運用担当者の運用方針を見ると、足元の金利水準が底だと意識している節があります。(国債などの)円債のポートフォリオ(資産配分)について、金額にしてもデュレーション(元利金の平均回収期間)にしても「変えない」という意見が過半数を占めました。金額については「減少」が41%と、「変えない」(53%)に次ぐ大きさであることから、足元の金利水準を底値圏(債券価格は高値圏)と見ていると考えることができます。 この二つの結果をどう捉えるべきでしょうか。単純平均の利回り予想を見る限り、今年度末にかけて、長期金利の上昇余地はありそうですが、現状、利上げという出口戦略を取れる可能性のある国は米国のみ。日本もユーロも今年度内に利上げできる可能性は極めて低く、ファンダメンタルズの改善による長期金利の大幅な上昇は考えにくい状況です。 また、利上げに最も近い位置にある米国にしても、前述したように実質GDP成長率が下方修正されており、今後の経済指標の状況次第では、利上げ時期が後ずれする可能性も十分にあります。 こうした点からすると、確かに金利低下に一巡感は出てきているものの、長期金利は思ったほど上昇しない、と考えておくべきでしょう。 債券市場が見込む日本株の上値は「2万2372円」 なお、債券市場関係者に聞いた株価の最高水準(単純平均)は、 日経平均株価・・・・・・2万2372円(2万563円) ダウ工業株30種平均・・・1万9375ドル(1万8010ドル) となりました。いずれも5月末終値からの上昇余地を見込んだ結果となりました。 株価の注目点は、米国景気でしょう。4~6月期は回復するとの見方はあるものの、景気回復のペースが緩やかだと、先行きに対する懸念から、株価は売られやすくなります。また、その他の外部要因としては、ギリシャがユーロから離脱する可能性が浮上しており、それが欧州の株価を押し下げています。現状、ギリシャがユーロから離脱したとしても、実質的に世界経済に及ぼす影響は軽微と見られていますが、得てして株価は過剰に反応するもの。日本株も当面、外部環境が及ぼす影響には十分な注意が必要です。 国内債券の投資スタンスはやや慎重に…海外金利に注目 国内債券について、1カ月後、3カ月後、6カ月後の予測数値を聞いたところ、いずれも4月調査分に比べて、5月調査分の数値はやや上方にシフトしました。短期金利の動向を示すTIBOR3カ月物の金利は、1カ月後、3カ月後が若干の下方シフト、6カ月後はやや上方シフトしたとはいえ、0.001%の上昇なので、ほぼ変わらずと見て良いでしょう。総合すると、長期金利に上昇圧力がかかってくるだろうが日銀のゼロ金利政策は当面続く、というのが市場関係者の見方のようです。 今後6カ月程度を想定した債券相場の変動要因は、注目度で見ると「短期金利/金融政策」が前月調査分に比べて大幅に低下したのに対し、「海外金利」が大幅に上昇しました。

通貨の強さは「ドル>円>ユーロ」…ドル円の上値には陰り(5月調査)

QUICKが5月25日に発表した外為市場に関する月次調査(期間は5月18~21日。金融機関、運用会社および事業法人の担当者93名が回答)によると、2015年末の主要3通貨について、米ドルが最も強く、その次に円、そしてユーロが最も弱いという見方が6割を占めました。 調査期間中の為替レートは、対ドルが119円台前半~121円台前半。対ユーロが134円台前半~136円台半ばで推移していました。本日5月25日、ドル円相場は一時1ドル=121円70銭台と、3月以来の円安水準をつけています。外為相場はこの先どう動くのか、専門家による金利の見通しを元に読み解いていきましょう。 世界的な金利上昇の理由は「需給要因」との見方 昨今、世界的に、長期金利が上昇ぎみで推移しています。たとえば日本の長期金利は、今年1月の0.2%を底にして、5月21日には0.410%まで上昇。米国の長期金利も2月2日の1.6730%をボトムにして、5月22日には2.2150%となりました。欧州金利もドイツ国債を中心に上昇が目立ち、通貨ユーロも買い戻される展開となりました。 米国の利上げ期待がやや後退するなかでの長期金利上昇の理由は何か。ファンダメンタル(経済の基礎的条件)の改善なのか、単なる需給要因なのか。 今回のアンケート調査では、4月中旬以降の世界的な長期金利上昇について、この理由として最も当てはまるものは何かを質問したところ、最も多い回答は「需給要因による巻き戻し」で、74%を占めました。これに対して、「ファンダメンタルズの改善」はわずか14%。市場では、欧州の金融緩和強化を受けて欧州国債を買い進めていたファンドが、過熱感からいったん調整売りを出し、その売り(金利上昇)が世界に波及したとする見方が出ています。 「世界の長期金利は今後どうなると予想しますか」という質問に対する回答は、「上昇トレンドが続く」が14%であるのに対して、「一進一退が続く」が67%も占めています。今年前半にかけて国債が大きく買い進められました。その巻き返しの需給調整で長期国債が売られているだけで、今後、長期にわたって長期金利が上昇するとは、市場関係者も考えていないようです。 通貨の強さは「ドル>円>ユーロ」 金利動向を踏まえた上で、2015年末にかけて、ドル、円、ユーロという主要3通貨を強い順に並べるとどうなるのかという問いについては、「ドル>円>ユーロ」が圧倒的に多く、全体の64%を占めました。次いで「ドル>ユーロ>円」の順でしたが、これはわずか20%。当面は、ユーロが主要3通貨のなかでも、最も弱い通貨として推移することになりそうです。 なお、最近の長期金利上昇が為替に及ぼす影響について、「ドル高・円安要因」が47%、「中立要因」が45%であり、為替レートを大きく動かすかどうかという点では、見方が分かれています。 気になるバーゼル規制の行方 ただ、気になるのは今月末にも方針が打ち出されると言われているバーゼル規制です。これまで一定条件のもとでリスクはないと見なされてきた国債にも、リスクウエイトをかけるというもので、これが実施されれば、銀行は今までのように国債を保有し続けるのが困難になります。 特に、格付けが低下している国債を大量に保有している銀行は、その国債を売らざるを得ない状況に直面するかもしれません。4月27日には英米系の格付け会社フィッチ・レーティングスが日本国債の長期債務格付けを1段階引き下げて「シングルA」に格下げするなど、日本の銀行も例外ではありません。新たなバーゼル規制が実施されるのは、まだ先の話ですが、中長期的に見ると、国債の需給が崩れ、長期金利が上昇傾向をたどる可能性は、ゼロとは言えないようです。 ここからのドル高/円安には慎重予想…ドルの上値重いか 通貨の強さは「ドル>円>ユーロ」ですが、市場参加者に目先の為替相場を聞いたところ、一段のドル高/円安には慎重な見方を持っているようです。 5月調査時点における5月末のドル/円見通しは、金融機関・外為業務担当者の単純平均で1ドル=120円26銭。この見通しは、足元の121円台の水準からみれば円高ですが、4月調査時点の120円ちょうどに比べて若干円安に振れました。 一方、もう少し長い見通しを見ると、7月末=120円82銭、10月末=122円08銭となり、4月調査時点(6月末=121円06銭、9月末=122円57銭)に比べて、3か月後、6か月後の見通しが、やや円高方向に修正されています。 米国の利上げを材料にして上昇してきたドルですが、想定よりも景気は弱いという見方が浮上し、利上げ時期も、6月から9月に後ずれしそうな気配が濃厚になってきました。今回の調査では67%の回答者が、米国景気の現状について「想定より弱い」と答えています。米国の利上げタイミングが後ろにずれるほど、外為市場ではドル買い意欲が後退する一方、今までの巻き戻しで円が買われやすくなります。 運用スタンスも方向感目立たず 現在運用中のファンドについて、外貨建て資産のウエート(比重)をどうするかという質問については、当面「オーバーウエート」(基準より多め)で臨むという回答が、4月調査分(38%)に対して大幅に減少し、15%となりました。対して「ニュートラル」という回答が、4月調査分の54%から、5月調査分は85%まで上昇しています。それだけトレンドが見えにくい状況にあるということでしょう。 通貨別の組入比率に対するスタンスを指数化したものをみると、4月調査分に比べて伸び悩んでいるとはいえ、米ドルがプラス(比率を基準よりも引き上げる動きが優勢)を維持しており圧倒的に強い状況です。一方、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、新興国通貨、資源国通貨はいずれもマイナス(基準よりも引き下げる動きが優勢)となりました。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

日経平均は年内強気予想が優勢、今期2ケタ増益を期待(5月調査)

日経平均が一時2万円台…ここからどうなる? 日経平均株価は4月22日、終値で2万円を回復しました。日経平均株価が2万円台に乗せたのは、実に15年ぶりのことです。 5月といえば相場格言の一つ「セル・イン・メイ」(五月に売れ)。一部では「相場が暴落するのではないか」と、懸念する声も聞かれますが、セル・イン・メイは株価が暴落するというよりも、「持っているポジションを一旦、手仕舞いましょう」という格言です。理由は、ヘッジファンドの決算があるからとか、欧米では6月ごろから夏季休暇に入るためマーケット参加者が減少するからとか、1月から5月までは税金還付の時期で株式市場に還付金が流入するためとか、いろいろ言われていますが、正確な根拠は分かりません。いわゆるアノマリーのひとつです。 ただ、この格言には続きがあり、それは「セント・レジャー・デーまで戻ってくるな」というものです。セント・レジャー・デーは9月の第2土曜日。逆に考えれば、9月以降は再び買いが戻ってくるとも考えられます。つまり5月から9月の第2土曜日までは調整期間で、そこから年末にかけては再び上昇する可能性もある、ということになります。 実際、相場はどうなるのか。今回のQUICK月次調査<株式>(5月12~14日に調査、証券会社および機関投資家の株式担当者174名が回答)では、年末にかけての日経平均株価の動向などについて尋ねました。 年末にかけて上昇予測…好調な企業業績が理由 調査によると、年末までの日経平均株価については、全体の52%が「上昇局面が続く」と回答。「横ばい圏」が33%で、「調整局面に入る」が12%となりました。 また、株価の根拠となる企業業績についても質問しました。まず、主要企業の業績に大きな影響を与える為替相場については、年末にかけて「一進一退が続く」との回答が46%を占め、「円安・ドル高に向かう」は44%、「円高・ドル安に向かう」が9%となりました。現状の円安水準が維持されるとの見方が大勢です。 円安水準が維持されるとの見方を受け、2015年度の企業業績については「10~20%の増益」を予想する回答者が60%と圧倒的に多数。一桁増益予想が29%、減益が2%で、横ばいが6%であることから、今年度も企業業績に対する見方は強気です。 リスクは外部環境 さて、企業を取り巻く外部環境、とりわけ日米欧中の景気の現状については、足元で依然、不透明感が漂っているのが事実です。今回の調査では、年初と比べた景気の現状に関しても伺いました。 日本と米国、中国の景気について「想定通り」という回答比が最も高かったのですが、注目は米国。米国は「想定通り」が49%であるのに対し、「想定より弱い」が48%と、両者拮抗しており、今後発表される経済指標の結果次第では、やや悲観的な見方が強まる恐れがあるのは否定できません。 日本は「想定通り」が75%を占めるため、景気の見通しについては大きくブレることはなさそうです。これは中国も同様で、「想定通り」の回答が55%を占め、「想定より弱い」の44%を上回っています。 なお、欧州については、ギリシャ問題などでよほど事前の見通しが悪かったのか、「想定より強い」という回答が、「想定通り」を若干上回りました。実際に、為替市場では通貨ユーロが対ドルや対円で持ち直しの動きを見せています。 1か月後の株価見通しは上方シフト 今月の調査では、株式市場のプロは、相場について年内強気見通しだが、足元の米国景気には不安を感じているという姿が見えてきました。 では、目先の日経平均の動きについてはどう見ているのでしょうか。 1か月後の日経平均について、回答の単純平均は1万9584円。4月調査時点に比べて上方修正されました。これは、3か月後、6か月後の予想についても同様です。今回の調査期間の日経平均は1万9467円から1万9791円で推移していました。 今後6か月を想定して、株価に及ぼす影響で注目される要因としては、「金利動向」が大幅に上昇したのに対し、「景気・企業動向」は大きく低下しました。 また、今後注目される投資主体としては、「個人」の注目度が上昇している一方、「企業年金・公的資金」が低下。「外国人」が横ばいとなっています。相場に及ぼすインパクトという点でも、「企業年金・公的資金」は70.8という高い水準を維持してはいますが、3月調査、4月調査に比べて低下傾向をたどっています。 一方、安定的に株価の支えになるとして注目されている主体が「投信」です。3月末時点における投信全体の純資産総額が97兆円と、純資産総額100兆円の大台乗せも目前であり、マーケットに及ぼすインパクトは無視できないものになっています。 運用姿勢はやや様子見気分に 資産運用担当者を対象に、国内株式の組入比率についても伺いました。 通常の基準とされている組入比率に対して、現在の組入比率は「ニュートラル」(中立)という回答比が最も多く、52%を占めました。ニュートラルという回答比は、3月以降、徐々に高まってきています。「オーバーウエート」(基準より多い)、「ややオーバーウエート」、「ややアンダーウエート」(基準より少ない)はいずれも横ばいなので、現状の投資スタンスは様子見ムードが強まっているようです。 また、当面の投資スタンスについても、「現状を維持する」が77%となり、4月調査分の68%よりも上昇しました。反面、「やや引き上げる」、「やや引き下げる」がともに4月調査分に比べて低下。ここからも、投資スタンスの様子見ムードが強まっているのが分かります。

欧州緩和策の行方「現行通り」が過半 国内金利も低下予想(4月調査)

昨年以降、対円や対ドルで下げ基調の続いていた通貨ユーロ。ここにきて下げ止まりの様相を見せています。今年3月に1ユーロ=1.04ドル台まで下げ、パリティ(1ユーロ=1ドル)に達するのではとの見方も出ていましたが、足元では1.13ドル台まで値を戻しています。背景には米国景気への懸念のほか、ドイツ国債利回りの急上昇があると見られています。ドイツの10年国債利回りは4月中旬に0.1%を下回る過去最低水準まで低下しましたが、月末以降に反転し、5月6日には0.6%近くまで水準を上げました。 欧州の金利や通貨ユーロが、今後どうなるのか。やはりポイントは欧州中央銀行(ECB)がどう動くかでしょう。 4月27~30日にQUICKが実施した債券市場に関する月次調査(証券会社および機関投資家の債券担当者149名が回答)では、ECBの量的金融緩和(QE)について質問しました。 ECBの量的緩和、「計画通り現行ペースで」との見方多い 世界的な量的金融緩和を巡る状況について振り返っておきましょう。米国はすでにQEを止め、2015年中にも利上げに踏み切れるかどうか、というところまで来ています。日本は物価上昇の鈍さから、さらなる量的金融緩和政策が行われるとの観測が浮上しています。デフレ色が強まる欧州では、ECBが2016年9月まで、現行の量的金融緩和を継続する意向を示しています。 こうしたECBの意向を受け、昨年以降、ドイツの10年国債利回りが低下傾向をたどり、通貨ユーロもドルや円に対して値下がりを続けてきました。その動きに、足元で変化の兆しが出てきているというわけです。 では、債券市場の参加者は今後のECBの金融政策についてどう見ているのでしょうか。 まず、緩和政策の期間。市場参加者は2016年9月以前に量的金融緩和が終了するとは思っていないようで、回答者の55%が、「計画通り現行ペースで買い入れ継続」と見ています。2016年9月以前に量的金融緩和政策が終了、または減額すると見ているのは、合計で全体の19%にとどまりました。 独10年債もマイナス金利への転落を予想…ユーロの下落基調は持続か 次に、2015年にドイツの長期金利が最低何%まで低下するとみているのか。この点について、回答の単純平均はマイナス0.021%となりました。マイナス金利は、お金を借りた人が、貸した人から金利を受け取るという、従来の金融に対する認識が大きく変わる異常事態といえます。 欧州金利の低下は為替相場にも影響を及ぼし、ユーロの対ドルレートは前述の通りパリティに接近するほど下落し、対円レートも4月半ばに1ユーロ=126円台の前半まで下落しました。欧州金利の低下と急激なユーロ安は、ECBによる量的金融緩和が原因です。 今回の調査結果を見る限り、欧州の金融緩和方針に目先すぐ変化があるわけではないようです。足元でユーロ相場は下げ止まっていますが、依然、下落トレンドの中にある、と考えるべきなのかもしれません。もちろん、日銀が量的金融緩和を行うようであれば、対円でユーロ高へと振れる可能性もありますので、各国の金融政策のバランスに注意を払い続けるべきでしょう。 なお、ECBの量的金融緩和政策が、円債利回りの低下にどの程度影響を及ぼすのかという点についても質問しました。2年ゾーン、5年ゾーン、10年ゾーンについては「大きい」という回答比が最も高く、30年ゾーンに関しては「小さい」という回答比が最も高くなりました。 国内金利見通しは低下…追加緩和への期待高まる 国内長期金利の見通しは、3月調査分に比べてやや低下しました。10年物国債に関する1カ月後の金利見通しは、単純平均で0.326%となり、3月調査分の0.348%に比べて0.022%低下しました。調査期間の国内金利は、新発10年物国債の利回りで、0.295~0.340%で推移しました。 3月調査時点では6カ月先の金利見通しが、2月調査時点に比べてやや上方にシフトしましたが、4月調査では3月調査だけでなく、2月調査における金利見通しをも下回りました。債券市場では、長期金利の低下圧力が強まっています。 日銀が4月30日に開いた日銀金融政策決定会合では、2015~2017年の成長率や物価見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の内容が見直されました。これまで、日銀は消費者物価指数の上昇率を年2%とする物価目標を、「2015年度を中心とする時期に達成する」としていましたが、この表現を「2016年度前半ごろになると予想される」に修正しています。 国内の消費者物価指数は消費税引き上げによる影響を除くと、2%という目標値にはほど遠い状態が続いています。市場関係者による消費者物価上昇率の予測値も低下基調を続けています。物価目標を達成するために、日銀はさらなる量的金融緩和に踏み切るのではないかという市場参加者の見方が、長期金利の低下圧力を強めたようです。 実際、今後6カ月程度を想定した場合の、債券価格の変動要因に関する注目度としては、「短期金利/金融政策」が、3月調査分の37%から42%へと上昇しています。また「物価動向」も6%から9%に上昇しました。 国内債券への投資スタンスもやや強気 資産運用担当者74人を対象に、運用しているファンドについて、国内債券の組入状況を聞いたところ、「通常の基準に比べてどのようになっているか」については、ニュートラル(中立)という回答比が昨年12月調査分から毎月上昇しています。「オーバーウエート」(基準より多い)という回答比は横ばいなので、積極的に国内債券に投資する動きは見られませんが、一方で「ややアンダーウエート」(基準より少ない)が減少しました。当面のスタンスについて聞いたところ、「やや引き上げる」が3月調査分に比べて上昇。一方で「やや引き下げる」が低下しており、今後の量的金融緩和に対する期待感もあってか、国内債券市場に対して強気(価格上昇=金利低下)の姿勢が垣間見られます。

中国GDP「下振れ」予想が7割…米利上げ時期も後ずれか(4月調査)

株式市場や外為市場の関心事である米国の利上げ時期。これまで想定されていた「6月」から「9月」に後ずれするとの見方が増えており、市場の見通しが変化してきています。 4月のQUICK月次調査(4月6日~9日実施、金融機関、運用会社および事業法人の外為担当者90名が回答)では、米国の利上げ時期について、「9月」とした回答が最多となりました。3月調査では「6月」とした回答が最多でした。 後ずれする米利上げ時期 量的金融緩和を休止している米国FRBにとって、金融正常化に向けての次のステップは、やはり「利上げ」。欧州や日本など、他の国・地域ではまだ量的金融緩和から脱け出せずにいる状況ですが、ここからいち早く脱した米国が、他の国・地域に先駆けて金融正常化に動けるのかどうか。マーケットの関心事となっています。 具体的な利上げ時期を「6月」と見る向きが圧倒的に多かったのですが、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米国景気の先行きに対する慎重論が強まりました。結果、一時は「6月にも」と言われていた利上げ(=ゼロ金利からの脱出)時期が、後ずれするムードが、市場参加者の間に広がりつつあります。 今回のアンケート調査で、米FRBが利上げに踏み切る時期について最も多かったのが「9月」で59%、次いで「12月」が14%となりました。また、前回調査では45%と最も多かった「6月」については、8%へと大幅に減少しています。マーケット関係者の間では、すでに「6月利上げ説」は過去のものになろうとしています。 また、「2016年以降」という回答比も8%を占めており、年内利上げさえもが難しいのではないかとする見方もあります。米国景気の先行きに対する懸念が、徐々に強まっているムードを感じさせます。 実際、4月3日に発表された3月の雇用者数の伸びは市場の予想を大幅に下回りました。また企業の設備投資の先行指標とされる「コア資本財受注額」は、昨年8月をピークにして6か月連続のマイナスを記録しています。こうしたことから、米国の景気はすでにピークを打ったのではないかとの見方も出てきました。 そして、米利上げへの疑念を誘うもう一つの要因が、中国です。 米景気に影を落とす中国経済 中国政府は2015年のGDP成長率目標を7%程度としていますが、これに対して実際にはどうなるのかを質問してみました。 回答は「小幅に下振れ」が64%、「大幅に下振れ」が5%と、合わせて約7割が政策目標を下振れするという予想になっています。「想定通りに着地」が31%です。 また、「中国景気の減速が米利上げ時期やペースに及ぼす影響をどう考えますか」という質問に対しては、「ややリスク」という回答比が70%、「リスク大」が11%を占めました。中国経済のスローダウンは、米国経済にとっても例外ではなく、仮に大幅な減速となれば、米国の利上げタイミングは大幅に後ずれする恐れがあります。 中国経済の情勢次第では、米国の利上げ時期が2016年以降にずれるのも、現実問題となる恐れがありそうです。 ドルの買い意欲が後退 ドル/円の1か月後の予想について、金融機関の外為業務担当者に聞いたところ、単純平均で120円となりました。調査期間中のドル/円は118円81銭~120円39銭。ちなみに3月調査の1か月後単純平均は121円30銭だったので、円高方向にシフトしています。 これまで円安ドル高が進んできた背景には、米国がいよいよ利上げに踏み切るとの見方がありました。ですが、前述したように米国経済がそろそろピークを迎えるのではないかというムードが強まるなか、利上げの時期が後ずれする可能性が浮上してきており、ドルの買い意欲が後退したようです。 なお、ドル/円の予想値の単純平均は、6月末が121円06銭、9月末が122円57銭と円安予想になっていることから、市場参加者の間ではまだ、年内の米利上げと円安基調の継続が有力視されているのが分かります。 一方で弱いのがユーロ。金融機関の外為業務担当者へのアンケートでは、単純平均で4月末が130円01銭、6月末が129円70銭、9月末が129円65銭となっており、円高・ユーロ安の推移となりそうです。 「ヘッジ比率維持」の回答が100% 外貨建て資産の組入れについては、積極姿勢が一服しています。「オーバーウエート」(基準より多い)とする回答が減少(58%→38%)。対して「ニュートラル」(中立)という回答比は、前回調査時の42%から54%に増加。直近数か月0%が続いていた「アンダーウエート」(基準より少ない)も8%に増加しています。 為替ヘッジの当面のスタンスについては、「現在のヘッジ比率を維持」が100%となり、「ヘッジ比率を上げる」、「ヘッジ比率を下げる」については0%となりました。外貨建て資産は円安が進むと、円建ての評価額が上昇しますが、逆に円高になると為替差損が発生します。また、ヘッジは円高に振れた場合の損失限定の意味合いがあります。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

株式相場、「クジラ」の影響は「新年度も継続」(4月調査)

近づく消費税率10%、「クジラ」はどう動く? 株式市場での関心事は引き続き「5頭のクジラ」、つまり年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、共済年金、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、そして日銀という、巨額資金による日本株買いの動きです。 「クジラ」への関心が続く理由の一つが「消費増税」とされています。というのも2017年4月に先送りされた消費税率10%への引き上げは、景気動向による更なる先送りが出来ません。政府は税率引き上げについて不退転の姿勢を打ち出しており、2016年度中にも物価上昇率の2%目標、景気のさらなる回復を、なんとしても達成しておきたいところです。物価目標や景気回復について「半ば政治公約化した」と見る声もあります。 となると、株式市場では「政府は株価を支える動きに出てくる」との思惑が出やすくなります。すでに公的資金による日本株買いが効果を表しており、日経平均株価は2万円目前まで上昇しています。 この先、「クジラ」の影響がどれだけ続くか。今回はこの点について株式市場のプロに尋ねてみました。 「クジラ」の影響は新年度も継続 株式市場を対象にした今回のQUICK月次調査(調査期間は3月31日から4月2日、証券関係者および機関投資家の株式担当者176名が回答)では、公的資金が株価に及ぼす影響について調査しました。 まず、現状の株式相場への影響の確認です。公的年金の基本ポートフォリオの見直しや日銀のETF買い入れによる国内株式相場への影響について、「下値を支えている」とした回答比が全体の62%、次いで「上値を押し上げている」という回答比が38%を占めました。「影響なし」の回答は1%にとどまりました。 また、「影響なし」以外を選んだ回答者に対して、「その影響はいつまで続くと思いますか」と問うたところ、「2015年度下期」という回答比が最も多く、全体の42%を占めました。次いで、「2015年度上期」が25%、「2016年度」が21%となっています。つまり、株式市場関係者の9割(91%)が、影響は2015年度(2015年4月から始まる年度)以降も持続すると考えているということです。 株式市場関係者の認識として、公的資金による日本株買いの効果はあり、その影響は2015年度、つまり4月から始まる新年度も続くという見方が大勢となっています。 そこで、「あなたが運用担当者なら各資産の新年度の運用を2014年度と比べてどう変えますか?」という問いを実施してみました。国内株式は全体の61%が、「増加」と答えました。また「変えない」が31%、「減少」が8%となり、総じて国内株式への投資比率を高める動きが顕著になりつつあります。一方で、国内債券については「減少」が73%。巨額資金の動きに追随する格好で、債券売り・日本株買いの動きはまだまだ続きそうです。 業績で説明つかない株価上昇は「クジラ」のせい? 巨額の資金が淡々と日本株を買うと、割高にも関わらず株価が上昇する、という現象が起こる可能性があります。実際、業績や投資指標に関係なく上昇する銘柄が増えてきている、という現象を指摘する声も増えてきています。 その背景については、「公的年金や日銀の買いを見越した投資家の影響が大きい」という回答が47%を占め、「公的年金や日銀の買いが直接影響している」(27%)を上回っています。 説明のつけにくい株価上昇については、巨額資金の動きというよりも、その動きを先取りしようとする投資家の動きが影響している、という見方が優勢なようです。また、公的年金の運用姿勢の見直しによる影響ではなく、株価指数に準じて投資する「パッシブ投資」の手法が多様化するなど「世界的な投資選好の変化によるもの」という冷静な見方もあります。 新年度入りの株式相場、目先の注目は決算と個人 さて、回答者による1カ月後の日経平均株価予想は、1万9263円となり、前回調査の1万8831円から上方にシフトしました。調査期間中の日経平均株価は1万9607円まで上昇しています。ちなみに3カ月後の日経平均株価予想は1万9510円、6カ月後は1万9811円となり、いずれも前回調査に対して上方シフトしています。 今後6カ月程度を想定した、最も注目している株価変動要因は「景気・企業業績」が61%となり、前回調査分の54%から大幅上昇。4月後半から5月中旬にかけて発表が相次ぐ主要企業の通期決算に対して関心が高まり始める時期です。他の要因は「金利動向」、「政治・外交」、「海外株式・債券市場」が微減、「為替動向」が微増となりました。 注目する投資主体としては、「外国人」(70%)と「企業年金」(23%)が引き続き大半を占めています。株価への影響度を示す指数(株価上昇要因としての注目が高いほど指数も高い)をみると、「個人」が5ポイント上昇、「投信」が3ポイント上昇しており、いずれにしても個人資金の動きが、新年度相場前半の注目点になりそうです。 新年度相場、プロの投資姿勢は若干強気に 資産運用担当者69名に、国内株式組入れの現状と今後のスタンスについて聞きました。新年度入りした影響か、買い余力が回復している印象が見て取れます。 国内株の組み入れ比率については、「ニュートラル」(基準に対して中立)という回答が前月から大幅増(37%→50%)。「基準に対して多い」とする回答(「かなりオーバーウエート」「ややオーバーウエート」の合計)が低下(53%→35%)、「基準に対して少ない」とする回答(「ややアンダーウエート」「かなりアンダーウエート」の合計)が増加(10%→16%)となっています。 また今後のスタンスについては、「現状を維持する」が低下(73%→69%)し、「かなり引き上げる」「やや引き上げる」が増加(合計で16%→21%)。一方、「やや引き下げる」「かなり引き下げる」が変わらず(同10%→10%)となりました。 今後の株価動向にもよりますが、新年度相場入りで、市場参加者の動きがやや強気になりつつあるようです。

年金「クジラ」の影響は?株価に顕著、金利は日銀が相殺か(3月調査)

「5頭のクジラが株式市場を泳いでいる」。昨今の国内株式市場について、このような表現が行われることがあります。「クジラ買い」などとも言われますが、これは要するに、巨額の資金で株式を買っている、日本の公的資金を表現しています。具体的には世界最大の公的年金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のほか、共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、そして日本銀行です。 このところ日本の株価は堅調で、日経平均株価2万円台乗せも視野に入ってきました。この種の公的資金の存在が背景にあるというのが、市場の基本的な認識となっています。 3月24~26日に実施したQUICK月次調査(証券会社および機関投資家の債券担当者147名が回答)では、この「クジラ」のうちGPIFや共済といった「公的年金」に関する特別アンケートを実施。公的年金の基本ポートフォリオ(資産構成割合)が見直されたことによって、株式市場や債券市場にどのような影響が生じているのかを聞きました。債券市場のプロの声から、年金「クジラ」の実態に迫ってみましょう。 年金「クジラ」の影響は株式市場で顕著…債券市場は「日銀」が相殺 昨年10月、GPIFは基本ポートフォリオの見直しを実施。国内債券の割合を大幅に引き下げた一方、国内株式や外国債券の比率を拡大しました。この変更に呼応するように、各共済に見直しの動きが波及してきています。 公的年金の基本ポートフォリオ見直しによって、国内株式市場、国内債券市場に現在、この影響がどの程度あるか。月次調査の回答を見ると、国内株式市場に対しては58%が「かなりある」、39%が「すこしある」となり影響を感じる声が多数に上りました。一方、国内債券市場は65%が「少しある」、26%が「影響なし」と答えており、影響は少ないようです。 本来、国内債券から国内株式に運用資金を移すとなれば、株価が上昇する一方で債券価格は下落(長期金利は上昇)するはずですが、現状、長期金利はそれほど上昇しておらず、0.3%台で推移しています。この背景には、日銀による長期国債買いがあるという意見がもっぱらで、国内債券市場に関して言えば、公的年金の売りを日銀の買いが支える形になっているようです。 一方、国内株式相場については年金「クジラ」と日銀「クジラ」がともに買い圧力となっているので、影響も強く実感できるのでしょう。「クジラ」が協力して、株式相場の押し上げ、金利上昇の抑制(債券価格の維持)に動いている、というような構図を見て取ることも可能です。 「クジラ」の影響はいつまで?債券市場のプロも読み切れず 今後、公的年金の基本ポートフォリオ見直しの影響がどこまで続くのか、という点についても尋ねました。この質問については、国内株式市場、国内債券市場ともに見方が分かれました。 国内株式市場に関しては、4~6月が21%、7~9月が25%、10~12月が30%、2016年が21%となり、2016年以降も続くという見方も含めて、時期的に分散しています。国内債券も、4~6月が20%、7~9月が28%、10~12月が26%、2016年が18%となり、こちらも国内株式市場と同様、時期が分かれています。 どの時期に比べても高い数字がないということは、それだけマーケット関係者の見方が分かれており、現時点で影響がどこまで続くのかについては、はっきりしていないことを示しています。 なお、「あなたが運用担当者なら各資産の新年度の運用を2014年度と比べてどう変えますか」という問いに対しては、国内債券は「減少」(54%)、海外債券は「増加」(45%)、国内株式は「増加」(64%)、海外株式は「増加」(51%)というのが、それぞれ最も多い回答比となりました。総合すると、国内債券から株式など比較的リスクの高い商品に資金を移す動き、つまり年金「クジラ」の動きに追随する格好と、捉えることができます。 市場の関心は日銀の金融政策に集中 今回の調査における長期金利の予測値は以下のグラフのようになりました。まず1か月後、3か月後、6か月後の新発10年国債利回りですが、1か月後、3か月後についてはやや下方シフトする一方、6か月後についてはやや上方にシフトしました。なお、今回の調査期間中、新発10年国債利回りは0.305~0.330%で推移しました。 債券価格の変動要因で注目される要因について聞いたところ、2月調査分に比べて「短期金利/金融政策」(回答比は30%→36%)に対する注目度が上昇する一方、「景気動向」(同8%→5%)、「物価動向」(同9%→6%)の注目度は低下しました。 価格への影響を考慮した指数(価格上昇要因としての期待が強いほど値が大きい)の水準は「短期金利/金融政策」が73.6と高止まりしており、当面、日銀の金融政策が債券価格にプラス(利回りは低下)の影響を及ぼすものと考えられます。 次に「今後6か月を想定して、最も注目している投資主体は何か」という設問については、「政府・日銀のオペレーション」(同42%→46%)、「年金資金」(6%→10%)の注目度が上昇する一方、「都銀・信託銀行(投資勘定)」(24%→20%)の注目度は低下しました。価格影響を考慮した指数も相変わらず「政府・日銀のオペレーション」が81.6という、高い指数の水準を維持しています。 今後の長期金利を見るうえでのポイントは、日銀の金融政策に集約されていると言ってよいでしょう。その日銀の「目標」である物価指標ですが、債券市場の予測値は低下傾向にあり、目標値の「2%」という数字からどんどんと乖離してきています。日銀の次の一手が見えてくる時期は、そう遠くないのかもしれません。 プロの債券運用スタンスは当面中立 ディーリング部門を除く資産運用担当者へのアンケートで、現在の債券の組入比率が、通常の基準に比べてどうなっているのかについて聞くと、「ニュートラル」(基準指標に対して中立)が微増、「ややアンダーウエート」(基準指標よりも少ない)が微減という結果になりました。明らかなオーバーウエート、アンダーウエートは非常に少数であり、現状はほぼニュートラルに近い状態での運用が行われています。 また、当面のスタンスについては、「現状を維持する」が前回調査に比べて微減したのに対し、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」がそれぞれ増加しました。こうした点からも、債券市場に対する見方が分かれているのが伺われます。

注目の3月FOMC、8割が「忍耐強く」の文言削除を予想(3月調査)

FOMCの焦点は「忍耐強く」…削除なら利上げへのカウントダウン開始 3月17~18日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、声明文に盛り込まれる「フォワードガイダンス」の内容が注目されています。フォワードガイダンスとは、「時間軸政策」などと称されていますが、要するに、先行きの金融政策の指針を示したものです。 昨年12月に行われたFOMCでは、ゼロ金利政策を解除できる状態になるまで「忍耐強く待つ(be patient)」という表現が初めて盛り込まれました。今年1月のFOMCの声明文にも盛り込まれています。そして、これをイエレンFRB議長は、「少なくとも次の2回のFOMCにおいて、利上げしないという意味だ」と念押ししました。 2015年のFOMC開催月は、1月、3月、4月、6月、7月、9月、10月、12月となっています。1月時点のFOMCで「忍耐強くなれる」が盛り込まれ、それが「少なくとも次の2回のFOMCにおいて、利上げしない」という含意があるならば、「3月と4月は利上げをしない」と読むことができます。 そうなると、次の利上げのタイミングとしては、6月か9月ということになりますが、イエレン議長は「FOMCの想定通りに経済情勢が改善し続ければ、どこかの時点で利上げを検討し始めるだろう。そして、その前にFOMCはフォワードガイダンスを変更するだろう」とも述べました。つまり3月17~18日のFOMCで、フォワードガイダンスから「忍耐強くなれる」という文言が削除されれば、少なくとも市場参加者は「いよいよ利上げまでカウントダウンが開始された」と考えるはずです。 8割の回答者が「忍耐強く」の削除を予想 さて、QUICKが3月9~12日にかけて行った月次調査(金融機関、運用会社および事業法人の外為担当者88名が回答)では、3月17~18日開催のFOMC声明で「『忍耐強くなれる』との文言を削除すると思いますか」という質問を実施。80%が「削除する」と答えました。 また「3月のFOMCで『忍耐強くなれる』との文言を削除する場合、FRBの利上げ開始に向けたスタンスをどう解釈しますか」という問いに対しては、58%が「金融政策のフリーハンドを確保するための措置」と答え、「今後数回の会合での利上げを意識した措置」という回答(42%)を上回りました。 そのうえで、FRBが利上げに踏み切る時期については、「6月」とする答えが45%を占めてトップに。次いで「9月」が31%を占めています。ちなみに2016年以降という回答は2%にとどまっており、いずれにしても年内利上げのムードが濃厚です。 市場はドル一強状態を予想、予想レートも円安・ドル高方向へ 調査期間中のドル円は1ドル=120円62銭~122円03銭で推移しました。122円台を付けたのは7年8か月ぶりのことです。 これを受けて、市場参加者の見方も円安ムードに傾いています。金融機関・外為業務担当者の1カ月後の見通しは単純平均で、前回調査の119円19銭から121円30銭へと円安にシフトしました。また、6月の米利上げを意識してか、8月末のドル円については、123円24銭を予想しています。 向こう6カ月間の対円での値動きについてDI(上昇予想との回答比から下落予想の回答比を引いた指数、金融機関・外為業務担当者)をみると、米ドルDIが57から69に上昇する一方、ユーロはマイナス39からマイナス52へと大幅下落。ドル高・円安の一方で、ユーロ安・円高が進むとの見通しとなっています。スイスフランや豪ドル、NZドルもマイナス幅を広げました。現状、ドルが一強状態となっていると同時に、大半の通貨DIがマイナス(円高)という見方が強くなっています。ドル>円>その他通貨という構図ととらえることができます。 円安・ドル高見通し受けて外貨資産にも強気傾向 外貨建て資産の組入れについては、「オーバーウエート」(基準より多い)とする回答が大幅に伸びました(27%→58%)。同回答比は昨年11月が57%と高く、そこから低下が続き、前回調査時には27%まで低下していましたが、3月前半にかけてドル高円安が続いたこともあり、外貨建て資産の組入れに対して積極姿勢が見られます。対して「ニュートラル」という回答比は、前回調査時の73%から42%へと低下しました。 ただ、為替ヘッジについては慎重姿勢も見られ、現在のヘッジ比率を維持するという回答比が91%となり、前回調査の62%から大幅に上昇。ヘッジ比率を下げるという回答比は15%から9%に低下しました。外貨建て資産は円安が進むと、円建ての評価額が上昇しますが、逆に円高になると為替差損が発生します。また、ヘッジは円高に振れた場合の損失限定の意味合いがあります。 また、通貨別の組入れ比率について、当面のスタンスを聞いたところ、米ドルは大幅なオーバーウエート(回答比が92%)、ユーロとスイスフランはアンダーウエート(基準より少ない)の傾向が強まっています。資源国通貨と新興国通貨はDI(オーバーウエートの回答比からアンダーウエートの回答を差し引いた指数)のマイナスがゼロへと改善しました。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

東証公表の企業統治ルール案、形骸化の回避が課題に(3月調査)

株式投資をされている方は、「コーポレート・ガバナンス」という言葉をご存知でしょうか。日本では「企業統治」と訳されることが多く、「株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」(コーポレートガバナンス・コード原案より引用)を意味する言葉とされます。 要するに、株主や従業員、取引先といった様々な利害関係者のほか、経済全体との関係を考慮したうえでの企業経営の仕組み、ということです。 さて、東京証券取引所と金融庁は、昨年8月からこの3月まで「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」を開催し、先週の3月5日に「コーポレートガバナンス・コード原案」を公表しました。コードとは規則とか規定、という意味を持つ言葉です。 このコーポレートガバナンス・コードは、上場企業の持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上を目標として制定されたもので、企業が自律的な対応を図ることにより、会社や投資家、ひいては経済全体の発展に寄与するきっかけを作るものとして注目されています。このコードを導入した企業においては、適切な情報開示や透明性の確保、株主との対話、あるいは独立社外取締役の責務など、さまざまな面での「原則」を考慮した企業経営を執り行うことが求められ、かつコードを実施するか、しない場合はその理由を説明することが求められます。 形骸化に懸念…実行性あるコードの施行が求められる 今回のQUICK月次調査(証券会社および機関投資家の株式担当者271名が対象、うち回答者は174名、調査期間は3月3~5日)では、「企業統治ルールの評価」について、質問しました。 「コーポレートガバナンス・コード原案」に先立つ2月24日、東証が公表したコーポレート・ガバナンスルールの原案では社外取締役を2人以上選任するよう促しており、今回公表された「コーポレートガバナンス・コード原案」にも同様の記載があります。この点について、「賛成」が47%、「会社によって状況が異なるため一概に言えない」が50%を占めました。賛成多数にはならなかったものの、明確に反対しているのは1%に止まっており、おおむね賛成であると考えられます。ルール全体についても、「おおむね評価できる」の回答が7割を超えました。 ただ、社外取締役について、一部には「形式的なイエスマンの選任であれば意味がない」との意見もあり、社外取締役の複数化が実現した場合、企業と社外取締役との間で緊張感のある関係構築が可能かどうかが問われそうです。 実際、社外取締役にふさわしい人材を確保できるかという問いに対しては、69%が「一部の企業は確保できる」と回答。「一部」という条件付き肯定が多数を占めており、社外取締役の人材確保が難しいことを示唆しています。 これは、株主との対話についてどう考えているかという問いに対して、「形式的な対話にとどまる」が全体の62%を占めていることとも重なりますが、社外取締役を複数選任したとしても、それが形式的なものでは、コーポレートガバナンス・コードが機能しなくなる恐れがあります。ルール全体の評価については「おおむね評価できる」と言う回答が72%と多数を占めているだけに、今後は実効性のあるルールの施行が求められます。 株価予想は上方修正、決算動向と企業年金・公的資金の動向に注目 株式相場に目を戻しましょう。3月の決算期末にかけて、国内株式市場は活気を取り戻しつつあります。恒例の日経平均株価予想について聞いたところ、今回の調査では、1カ月後の日経平均株価予想は1万8831円となり、2月調査分に比べて大幅に上方修正されました。ちなみに、調査期間中の日経平均株価は、1万8586円から1万8910円で推移しています。 3カ月後の日経平均株価については1万8811円。6カ月後については1万9085円を予想。いよいよ2万円台が視野に入ってきました。 株価変動要因の注目度は、「内部要因・市場心理」と「海外株式・債券市場」が共に上昇。「景気・企業業績」と「金利動向」、「為替動向」が低下しました。ただ、株式相場に与える影響度を考慮した指数(プラスが大きいと上昇要因として注目)をみると「景気・企業業績」が73.8で、中立である50を大きく上回っています。2015年3月期決算については、過去最高益を更新する企業が多いと見られる一方、4月に入ると2016年3月期決算の見通しを発表する企業も出てくるため、さらなる増益見通しになるのか、横ばい、あるいは減益見通しになるのかによって、今後の株価に及ぼす影響が変わってきます。企業業績の動向からは目が離せません。 注目されている投資主体は、2月調査分と比べて大きな変動がありませんでした。ただ、株式市場に上昇インパクトを与える投資主体としては、「企業年金・公的資金」への関心が引き続き増加傾向をたどっています。また「外国人投資家」も、上昇要因としての注目度が高まっています。 現状は強気でも、今後は慎重スタンスに 資産運用担当者に、運用しているファンドの国内株式組入状況について質問したところ、通常の基準としている組入比率に対して「かなりオーバーウエート」(8%→12%)、「ややオーバーウエート」(34%→41%)がそれぞれ、2月調査分に比べて上昇しました。一方、「ニュートラル」(47%→37%)、「ややアンダーウエート」(11%→8%)が低下し、資産運用担当者もこのところの株価上昇で、国内株式に対して強気になったことが分かります。 ただ、株価上昇のピッチが速かったせいか、今後についてはやや慎重なスタンスで臨む資産運用担当者が増えているのも事実で、当面のスタンスについては「かなり引き上げる」の回答比が引き続きゼロで、「やや引き上げる」が低下(21%→16%)する一方、「やや引き下げる」の回答比が上昇(8%→10%)しました。

異次元緩和、債券市場の評価は「及第点まで今一歩」(2月調査)

国内長期金利は、1月に過去最低となる0.1%台まで低下した後、0.3~0.4%台まで戻ってきましたが、依然、低水準の推移となっています。QUICKでは、2月24日から26日までに証券会社および機関投資家の債券担当者228名(147名が回答)を対象にしたアンケート調査を実施。今回は日銀の物価目標達成時期について、特別質問を実施しました。 日銀が異次元金融緩和を開始してから4月で2年が経過します。2013年4月に第1弾を実施した後、2014年10月に第2弾を実施。マーケット関係者は、異次元金融緩和について100点満点中、何点を付けるのかというのが、今回のアンケート調査のテーマです。 異次元緩和はぎりぎり落第?物価目標の達成時期見えず ちなみに合格点を60点にしたところ、単純平均で57.4点という数字が出てきました。中央値、最頻値はともに60点と「ぎりぎり合格」という回答が多かったのですが、平均という観点では合格点まであと一歩という評価を市場は下しているようです。 最大の問題は、これだけの金融緩和を行っておきながら、肝心の物価が、当初の目標値である「2015年度中に2%」にはほど遠い状況にあることです。このままだと、2015年度中の物価目標達成は困難との見方もあり、必要であれば追加の金融緩和も辞さないという姿勢を打ち出しています。 物価上昇のピッチが遅れているのは、いくつか理由がありますが、記憶に新しいのは原油価格の急落です。原油相場の国際的な指標であるWTIの価格は、2月末時点で1バレルあたり50ドル弱と、直近高値から半値以上も下落しているため、物価に対して大きな影響を及ぼしています。 とはいえ、原油価格の下落はコスト低減効果につながるため、本来ならメリットもあるはず。そうであるにも関わらず、物価の底ばいが続いているのは、国内消費が伸びないからです。 「今後の物価動向の鍵を握る春闘でのベースアップはどうなるとお考えですか」という問いに対しては、「昨年を小幅に上回る」という回答が全体の65%、「昨年並み」という回答が全体の26%を占めました。 ただ、一方で昨年4月に行われた消費税率の引き上げや、今年1月の相続税引き上げなど、国民の負担感は着実に重くなっているため、多少のベアでは消費の改善につながりにくいのも事実。今後、消費が大きく回復しない限り、異次元金融緩和が物価に及ぼす影響力は限られそうです。 なお、物価目標の達成時期については、「時期を曖昧にして先延ばし」という回答が、全体の55%を占めました。 国内長期金利の見通しはやや上方修正 今回の調査期間中における新発10年国債の利回りは、0.335%~0.375%で推移しました。これを受けて、現時点で想定されている利回りの単純平均は、新発10年国債で3月末が0.354%、5月末が0.381%、8月末が0.409%となりました。長期金利が急低下した1月調査分に比べると、やや上方にシフトしています。 今後6カ月間を想定した債券価格の変動要因については、「海外金利」に対する注目度が高まっています。ですが、債券価格に対する影響度を考慮した指数を見ると、海外金利は1月調査の52.2から44.5に大幅低下。つまり債券相場の下落(金利は上昇)要因になるため、海外金利の動向を受け、国内長期金利は上昇する可能性が高いと見る市場関係者がじわりと増えてきていることを示しています。 投資主体別の注目度では、「政府・日銀のオペレーション」が1月調査分に引き続いて低下。一方で、これまで全く注目を集めていなかった「郵貯・簡保」に対する注目度が上がってきました。債券価格への影響度を考慮した指数をみると、これまで50を超えていた「外国人」が48.9に低下。「郵貯・簡保」も46.6へと低下し、いずれも債券価格にとっては下落要因として浮上してきています。 資産運用担当者に、現在運用中のファンドの国内債券組入れについて聞くと、現在は「ニュートラル」と「ややアンダーウエート」が大部分を占めています。今後の組入れについては、「現状を維持する」が86%。さらに今後のデュレーション(債券投資の平均回収期間)については、「現状を維持する」が77%を占めており、債券への投資スタンスはしばらく様子見のムードが強まりそうです。 物価上昇予想の後退続く…日銀の出口戦略はまだまだ先か このように、債券への投資スタンスが様子見ムードになっているのは、当面、物価が大きく上がることはないという見方が多いからです。マーケット関係者がCPIコアの変化率をどう見ているのかという点について聞くと、今後1年間平均、2年間平均、10年間平均のいずれも、12月調査、1月調査、2月調査と月を経るごとに低下傾向をたどっています。 以下の2つのグラフは、直近5か月の調査で得た物価予想の回答平均値について、横軸を調査時期としたものと、予想期間としたものの2種類を用意しました。下側のグラフを見ると、日銀の緩和で目先の物価上昇ペースが加速するという見方は後退し、今後10年間で徐々に物価が上昇していくとの見方が大勢になってきたことを示しています。 こうした点からも、日銀が出口戦略を取るには、まだ相当の時間を必要としそうです。

米利上げは引き続き「6月」説有力(2月調査)

今年に入り、各国・地域で金融緩和が相次いでいます。昨年10月に質的・量的金融緩和の第2弾に踏み切った日銀に続き、ECB(欧州中央銀行)、カナダ、インド、オーストラリア、中国などが相次いで金融緩和に踏み切っています。 こうした相次ぐ金融緩和については、自国通貨を切り下げる「通貨安戦争」という声も上がっていますが、こうしたなかで出口戦略を模索している数少ない国が米国です。すでに量的金融緩和を終わらせた米国は、いつ利上げに踏み切るのかという点に、マーケット関係者の関心が移ってきました。 QUICKでは2月9日~12日までの期間に、金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者213名(回答者数は88名)を対象にして、アンケート調査を実施しました。今回のアンケート調査では、「米国の利上げ開始時期やペース、および手法」について伺いました。 米利上げは「6月」説が有力…追加利上げは慎重姿勢を見込む 利上げの時期としては6月という回答が、全体の47%を占めました。今後開催される米FOMCの時期は3月、4月、6月、7月、9月、10月、12月、そして来年1月になりますが、このうちFRB議長の声明が発表されるのは6月と9月。この時期に合わせて利上げが発表されるとの見方が多いため、アンケートでも6月に次いで利上げの可能性が高いという答えが多いのは9月でした。 問題は、利上げに踏み切った後、どれだけのペースでその後の追加利上げが行われるかということ。これについては「会合ごとに実施の有無を決定」という見方が、全体の44%を占めました。過去、米国が利上げに転じる時は、矢継ぎ早に利上げを行っていくケースが多かったのですが、マーケット関係者は今回の利上げについて、比較的慎重に状況を見据えながら利上げを実施していくという見方が中心のようです。 確かに米国景気は、個人消費を中心に堅調な推移を見せていますが、一方で外部要因に目を向けると、ギリシャ問題に揺れるユーロ経済や、不動産バブルの懸念が高まっている中国経済など、不確定要因があるだけに、一方的な利上げにはなかなか踏み切れないというのが、現実のようです。 米利上げ時期の後ずれや利上げペースの鈍化につながるリスクについても尋ねました。 「日・欧・新興国の景気減速を受けた米成長率の鈍化」「世界的な金融緩和ラッシュによるドル高の悪影響」「賃金伸び悩み等による米国の低インフレの長期化」「世界的な低インフレの長期化」の4要因について挙げたところ、いずれも「ややリスク」が6割と回答。とりわけ「リスク大」との回答が多かったのは「賃金伸び悩み等による米国の低インフレの長期化」「世界的な低インフレの長期化」で、いずれも26%でした。 利上げ時期の後ずれや利上げペースの鈍化は、それ自体が米国経済の好調さに陰りが見えてきたことにつながるため、日米の株価などに対してネガティブな影響を及ぼすことが懸念されます。 目先1か月のドル円相場は横ばい予想 今後、米国が利上げに転じるとなれば、当然、ドル円にも影響を及ぼしてきます。日銀は当面、質的・量的金融緩和を継続せざるを得ず、一方で米国が利上げに転じれば、為替市場では日米金利差の拡大を材料にドル買いが加速する可能性があります。 もちろん、日本の物価上昇率が、消費税要因を除いて2%台になれば、徐々に質的・量的金融緩和の縮小や利上げのタイミングを模索する動きも出てきますが、1月21日に発表された2015年度の日銀の物価見通しによると、従来は1.7%としていたのを1.0%に下方修正しました。この点からも当面、日銀が利上げに踏み切る可能性は低いと考えられます。 為替相場予想は、1月調査時点の1カ月後が117円76銭だったのに対し、2月調査時点では119円19銭へと、ドル高方向に修正されました。ただ、調査期間中のドル円相場は、118円台後半から120円台前半で推移していたので、ほぼ横ばいで推移するというのがコンセンサスになっています。 ユーロは注目材料は「政治と外交」へ…ギリシャ問題に関心 為替変動について最も注目している要因としては、円とドルがともに「金利/金融政策」という回答比が高いままです。 一方、ユーロについては同回答が大幅に低下する一方、「政治/外交」の回答比が大幅に上昇しています(金融機関の外為業務担当者が31%→37%、事業法人が14%→38%)。ユーロはギリシャで急進左派が政権を取ったこともあり、今後、財政立て直しに関して、ユーロ圏の枠組み内における政治的な調整が続くと見られています。仮にギリシャのユーロ離脱が現実化すれば、短期的にユーロは波乱含みの展開になることも考えられます。 ドル以外の外貨建て資産に慎重姿勢か 運用しているファンドの外貨建て資産の組入れ比率について、当面のスタンスを聞いたところ、「オーバーウエート」(指数などの基準より多めに組み入れる)が大幅に低下(43%→27%)する一方、「ニュートラル」が大幅に上昇(57%→73%)しました。 「為替ヘッジの当面のスタンス」についても、「ヘッジ比率を上げる」という回答比が、前月の0%から2月は23%に上昇していること、「ヘッジ比率を下げる」という回答比が、前月の27%から2月は15%に低下しています。 外貨建て資産は円安が進むと、円建ての評価額が上昇しますが、逆に円高になると為替差損が発生します。また、ヘッジは円高に振れた場合の損失限定の意味合いがあります。 外貨建て資産の組み入れスタンスについて中立的な回答が増えてきたこと、「ヘッジ比率を上げる」との回答が増えていることは、為替のプロが円安一服を意識し始めた捉えることもできます。 ちなみに、通貨別に当面の組入れ比率のスタンスを聞いたところ、米ドルは相変わらずオーバーウエートであるのに対し、ユーロ、英ポンド、新興国通貨はアンダーウエートの傾向が強まる結果となりました。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

7割超が「原油安は日本株にプラス」と回答(2月調査)

1月後半にかけて原油価格は下落の一途をたどりました。原油相場の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)の価格は、昨年6月20日時点で1バレル=107ドル26セントだったのが、今年1月28日には44ドル台まで下落。急激な原油価格の下落は、米シェール業界や資源国に与える影響が懸念され、株価は日米ともに調整局面に入りました。 実際、原油安はどのように株式相場に影響を与えるのでしょうか。QUICKは証券会社や投信投資顧問会社、銀行など日本の金融機関に勤める275名を対象にした今回の調査(2月3~5日、173名から回答)では、「原油安が世界経済に与える影響」について特別調査を実施。「全体としてプラス」と答えた回答比が、全体の68%と7割近くを占めています。「日本株に与える影響」についても、「全体としてプラス」という回答比が73%を占めました。 確かに、原油安は実体経済にとって好悪両面の影響があります。米国のシェール業界にとっては生産コスト割れから業績マイナス要因になっている一方、ガソリン価格の下落は消費を押し上げる要因になっているのも事実です。実際、米国における消費マインドを示すミシガン大学消費者信頼感指数の1月速報値は、2004年1月以来、11年ぶりの高水準になりました。 市場が警戒する原油安のマイナス要因とは? 原油安が世界経済に与える影響は実際どうなのか。今回のQUICKの調査内容をもう少し深堀りしてみましょう。 株式市場関係者による今後の原油価格の見通しは、「一段安」が全体の2%しか無いのに対して、「一進一退」の回答比が全体の63%を占めました。「急反発」は4%にとどまり、「じり高」が20%を占めているものの、総じて現状維持というの見方が大勢です。 今後の株式市場への影響を考慮すると、ネガティブ要因にも目を向けておく必要はあるでしょう。原油安が「原油関連企業の設備投資・雇用の減少」について「やや懸念」との回答が64%、「デフレマインドの拡大」に関して「やや懸念」が51%、「産油国の信用不安」について「やや懸念」が70%を占めています。原油安が株価や景気に及ぼす影響については、これらの懸念が今後、一段と強まるのかどうかという点が問われていきます。 冒頭でも述べた通り、「原油安が日本の株式市場に与える影響」については、「全体としてプラス」という回答比が73%を占めました。現状、株価にとっては調整材料となっている原油安ですが、国内の株式市場関係者の見方はかなり楽観的ということになります。 逆に、金融関係者の多数が原油安について楽観的ということは、原油価格が今後、急激に戻していく局面があれば、それが悲観材料となり、株価の上値を抑える恐れが出てきます。原油の急変動に対する市場関係者の心理変化については、今後も注意を向けておいた方が良いでしょう。 新興市場に対する見通しは厳しく さて、調査恒例の日経平均株価の予想ですが、1カ月後の日経平均株価の見通しは、前月に比べて上方修正されました。ちなみに前回調査における1月末予想は1万7291円でしたが、実際の日経平均株価の月末終値は1万7674円。予想に比べて383円も上の水準で、1月の取引を終えています。 3カ月後の単純平均は1万8104円、6カ月後の単純平均は1万8237円となり、徐々に上昇トレンドを描くとの見方が主流となっています。 とはいえ、個人投資家が多く参戦している新興市場については、まだ様子見ムードが強いようです。日経ジャスダック平均の予想数値は、1カ月後、3カ月後、6カ月後の見通しが、いずれも下方修正されました。ジャスダック市場は昨年1月からの調整局面から抜け出しておらず、当面、上値が重い展開が続きそうです。 注目している株価変動要因としては、「為替動向」や「政治・外交」が低下する一方、「海外株式・債券市場」が上昇。「景気・企業業績」もわずかながら上昇しました。また、今後6カ月程度の想定で、最も注目している投資主体としては、「企業年金・公的年金」の上昇が目立った半面、「個人」や「外国人」がやや低下しています。 日本株への投資スタンスはやや前向きに? 資金運用担当者を対象にした調査では、国内株式のウエートについて、当面のスタンスとしては、「かなり引き上げる」、「かなり引き下げる」が前月に引き続き0%であったのに対し、「やや引き上げる」、「現状を維持する」が微増。「やや引き下げる」という回答比が低下しました。この点から、資産運用担当者の日本株に対する予想は、若干ではありますが、前向き方向だと考えられます。 なお、セクター別投資スタンスについて、「オーバーウエート」(指数などの基準よりも多めに組み込む)の回答比から「アンダーウエート」(指数などの基準よりも少なめに組み込む)を差し引いた数字の前月比では、「電機・精密」、「自動車」、「素材」が大きく上伸。これに対して、「公益」、「医薬・食品」、「金融」がマイナス幅を広げました。

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