1時間睡眠? 寝袋? 大槻さん、アナリストのお仕事って大変ですね  

理論派、賢そう、高給取り――。アナリストという職に対する一般的なイメージは、おおよそこんな具合だろうか。発する一言、レポートに記載した一文が相場を動かす影響力を持つこともあり、金融業界では花形の職業のひとつとされる。しかし、実際は異なる。華やかさとは裏腹に肉体労働で機関投資家の厳しい評価にさらされる毎日だ。「金融女子」としてキャリアを積み上げてきた著名アナリスト、マネックス証券の大槻奈那さんに聞いた。   信託銀行でキャリアをスタート、バブル崩壊後に不良債権の現実に直面 「外資系証券でアナリストをしていた当時は朝5時に出社し、夜中の1~2時まで働いていました。繁忙期は寝袋持参で1時間睡眠のこともあったんですよ」。現在マネックス証券でチーフ・アナリストを務める大槻奈那さんだ。穏やかな風貌の大槻さんがこんな激務をこなしてきたとは、とても思えない。なぜ金融業界に足を踏み入れたのか・・・。    大槻奈那さん キャリアは日本経済がバブル景気に沸く頃、三井信託銀行(現:三井住友信託銀行)の総合職としてスタートした。女性の総合職は当時珍しく、約110人の新入社員のうち、わずか3人だったという。新橋支店の融資課に配属され、不動産・建設会社を中心とした法人営業を担当した。 信託銀行を就職先として選んだ理由はシンプルだ。都銀に比べ広範な業務ができて極端な地方転勤がないこと。「(東京大学)文学部卒業だったうえ、短期留学で活動が遅れたので都銀への就職は厳しいと思って・・・」(大槻氏)とは言うが、若いころから不動産に興味があった点も信託銀の門をたたいた動機の1つだという。 時代はバブル末期。不動産価格は説明不可能なほど高騰した。そして崩壊の序曲が奏でられると、おのずと返済が厳しさを増す債務者との面会が増えた。財務内容が悪化している企業経営者たちに売却すべき資産などについて助言するようになった。経営的には深刻な状況だったがバブル崩壊直後だったこともあり、売却した資産で利ざやを稼げるケースも多く、こうした経営者たちにはなぜか活気があったという。クレジットアナリストの道を歩むスキルを結果的に磨き始めたのはこの頃からだ。その後は、銀行で不良債権処理業務に携わり企業の信用評価のスキルを積んだ経験を生かし、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパンに転職した。   リアルタイムで善し悪しが判断されるブローカーズポイント 新聞やテレビ・雑誌などに登場することも多いアナリスト。華やかに見えるものの、「シゴト」としては決して楽ではない。証券会社のアナリストは、お客さんにあたる運用会社による評価がすべてといっても過言ではない。お給料のほか社内的なポジションも大きく左右される。証券会社と運用会社の間にはアナリストの評価システムが構築されており、ほぼリアルタイムで更新される。「毎朝、パソコンの画面に出るんですよ。私の評価がどうなっているのか。もちろん下がっていることもあります・・・それがキツくて。評価を下げた方が誰かも何となくわかりますから。精神的なプレッシャーは相当なものでした」 運用会社が証券会社に支払う手数料は主に「ブローカーズポイント」というポイント制で決まる。このポイントの中にはアナリストが執筆するレポートやコメントも含まれる。それらに対して悪い評価が続けば自社の売り上げに悪影響を及ぼしかねない。高まるプレッシャーが睡眠時間を削ることになった。 画像はイメージ   突っ走ったキャリアの道、その傍らにある1つの後悔 社会人になってから寝る間も惜しんでキャリアを積み上げていった大槻さん。インタビューの中でプライベートに関する質問を投げかけてみると、直後に出てきたのは「後悔が1つあるんです」という一言だった。それは「子供を生まなかったこと」だという。仕事で脂が乗るにつれ、子供という選択肢の優先順位は自然と低くなっていったうえ、当時は子供を持つことへの関心も低かった。時が経つにつれ「親族の子供などを見てふと感じたことがあったんです。感じたことのない愛情を持てたのかもしれない、と」。 現在は名古屋商科大学の経済学部で教授として、将来日本経済や金融業界を担うであろう若者たちに金融システムや、国際金融などについて教えている。今回のインタビューは女子大学生や若い女性社会人に向けた「先輩」からのメッセージになると意識していたようだった。   MiFID2でアナリスト半減!? アナリストとしてはベテランの大槻さんが今、危惧している事があるという。それは人工知能(AI)の台頭と、欧州で来年からスタートする新金融規制「第2次金融商品市場指令(MiFID2)」だ。この規制は、運用会社がこれまで証券会社などに支払っていた費用を金融商品の売買手数料と、調査費に分離して管理・開示することが求められるというもの。投資家保護が目的だが、費用が明らかになることで調査レポートなどの必要性が問われ、結果としてアナリストが淘汰される懸念がある。 大槻さんはAIに仕事を奪われる前に新規制により世界のアナリストが半減してしまうかもしれないという。しかし、それよりも大手の機関投資家と一般投資家との間に生まれる情報格差を心配している。「これからのアナリストは情報格差を埋めることがより一層求められるでしょう」と、大槻さんは話す。 【QUICKコンテンツ編集グループ:根岸てるみ、岩切清司】

衆院解散・総選挙へ 「教育無償化」銘柄は?

安倍晋三首相は18日、2019年10月の10%への消費増税を予定通り実施し、増税分の使い道に子育て支援や教育無償化の財源を加える検討に入った。8%から10%への増税分の約8割を財政健全化に回すとした使途割合も見直し、憲法改正とともに10月22日投開票の衆院選で訴える見通し。 教育無償化とは、義務教育の小中学校に加え、幼稚園や保育園、高校、大学の授業料などを実質的に無料にすることで、「人づくり革命」を掲げる安倍政権は幼児教育・保育の早期無償化と大学進学の負担軽減を打ち出している。文部科学省によると、無償化に必要な追加財源は3~5歳児の幼稚園・保育園が約7000億円、高校で約3000億円、大学は約3兆1000億円に上り、幼稚園から大学まで全て無償化する場合は4兆円超を捻出する必要があるとされる。 幼児教育・保育の無償化では、財源確保の手段として企業と従業員が負担する「こども保険」の創設が自民党から提案されているほか、企業の拠出金を活用する案も選択肢となっている。また、大学教育では返済不要の給付型奨学金の拡充が軸で、在学中は国が授業料を肩代わりし、卒業後に収入に応じて返済してもらう「出世払い」の導入も検討されている。 家計負担の軽減で学習塾にもメリットがあるとみられる。上場する学習塾運営会社の一覧はこちら。 コード 銘柄名 4745 東京個別 9733 ナガセ 4714 リソー教育 4668 明光ネット 9795 ステップ 9769 学究社 4718 早稲アカ 9760 進学会 5721 S・サイエンス 4735 京 進 2179 成学社 4720 城南進研 4645 市進HD 9696 ウィザス 4705 クリップ 4678 秀 英 9778 昴   QUICKエクイティコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 29日までフリートライアル実施中! http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。    

衆院解散・総選挙へ 株は?経済政策は?

バンカメ、「自民党の大敗リスクは限定的、政策発動余地少なく17年末は2万1000円」 連休中に主要メディアは一斉に安倍晋三首相が衆院を解散する意向を固めたと伝えた。バンクオブアメリカ・メリルリンチ日本証券は18日付のレポートで「直近の内閣支持率 の回復を鑑みると、安倍首相が総選挙を通して政治的資本を再構築し、自民党内における求心力を取り戻すか否かは中立的であるとみられる」とした。「失業率は断続的に低下しており、株式市場も堅調である。内閣支持率、 不支持率、自民党支持率は押し並べて 2014年11月当時と大差ない水準まで回復している」としつつも、不確定要素として「小池都知事勢力の新党結成の動きが出てきており、対抗勢力が明確化した7月の東京都議選では、自民党は苦戦を強いられた」などの点を挙げた。 ただ、「小池都知事勢力が全国に候補を擁立するには時期尚早であり、都議選で自民党から離反した公明党は、今回の衆議院選では与党として自民党と協力関係にある」との見方を示し、「自民党の大敗リスクは限定的」と指摘した。 株式市場に対する影響については、「総選挙で自民党が議席を大幅に減らし、安倍首相の責任問題に発展しない限り、今回の選挙が日本の市場に与える中期的な影響は限定的であろう」と指摘した。選挙後の見通しについては「安倍首相が選挙を通じて政権運営の主導権を取り戻し、連立与党が経済対策を訴えれば、過去の総選挙前後に見られた株式市場の上昇が顕在化する可能性はある」とする一方で、「マクロレベルでみると、政策発動の余地は大きくなく、2012年や2014年の様な大相場に発展する公算は小さい」という。今年末の日経平均株価の予想を2万1000円に据え置いた。 野村證、「解散前後に日経平均は平均3.6%上昇」 野村證券は18日付のリポートで、90年以降の衆議院解散を対象に、その前後の日経平均株価の値動きをみると「解散の5営業日前から15営業日後にかけて平均的には3.6%ほど値上がりした」として、解散前後に株価は平均的に上昇しやすいと指摘した。ただ、2005年8月の「郵政解散」や2012年11月の「近いうち解散」では大幅高だったが。2014年12月の「アベノミクス解散」後は横ばいのため、「選挙公約で国民に何を問うのかが注目されよう」とも指摘している。 一方、10月総選挙となれば「以降の政治スケジュールは2018年9月に自民党総裁選、19年7月に参院選、21年10月までに衆院選という風に切り替わる」としながら、「当初、臨時国会では『働き方改革関連法案』、『IR実施法案』などが提出される予定であったが、これらは18年の通常国会以降にずれ込むことになるだろう」と指摘。重要法案の成立が遅れることを警戒していた。 ドイツ証、「選挙後の経済政策にはほとんど期待できない」 ドイツ証は18日付のリポートで、「多くの人にとっては解散の理由が不透明であり、北朝鮮の軍事的緊張が高まる中で解散を行う余裕があるのか、自民党以外の選択肢がほとんどない中での『政局ファースト選挙』という不満がつのるだろう」と指摘した。今後の政策に関しては野党も全面的には反対したくない教育無償化が含まれている点に着目し、「財源のないまま、追加国債発行による教育無償化が進む可能性が高まりそう。2019年10月に予定されている消費税の引き上げは衆院選の前倒しによって予定通り実施される可能性が高くなった」と指摘した。 なおマーケットへの影響については「与党が衆議院で過半数を維持するが3分の2を下回り、改憲派議員数も3分の2を下回る場合が、改憲よりも経済が中心の課題となる意味で、負の影響が最小限に抑えられるだろう」と指摘。ただ一方で「アベノミクスの中身は外向き・市場原理重視から、内向き・ポピュリズム志向へシフトしており、選挙後の経済政策にはほとんど期待できない」とも厳しい見方を示した。   QUICKデリバティブズコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。      

ASEAN発足50周年、インフラ事業を基盤とする経済成長の黄金期が到来 HSBCレポート

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、HSBC商業銀行部門アジア太平洋地域統括責任者のスチュワート・テイト氏がレポートします。 ASEAN主要経済圏、今後5年間でインフラ投資2倍に 今年で発足50周年を迎えるASEAN(東南アジア諸国連合)の主要経済圏は、今後5年間にインフラ投資を2倍に拡大して7,000億米ドル超とすることを約束している。これによって貿易や観光産業、今後数十年間の持続的な経済成長のための開発事業に弾みがつく可能性がある。 またASEANのメンバー10ヵ国の経済政策における財政支出計画の焦点は、主に2020年にかけて輸送環境を整備することにある。 世界経済フォーラムの国際競争力レポートでは、長期的に堅調な経済を創出する上でインフラが極めて大きな役割を果たすことから、こうした投資が重要であるとされている。 さらに、ASEAN内外の貿易や投資を活発化し、人とモノの流れを円滑にするために、一段と連携を強化することの重要性も軽視できない。 こうした取り組みは、世界最大の人口を抱えて急速に成長を遂げる、活気に満ち溢れたASEAN地域において域内外の企業が事業機会を最大限に拡大するための支援となる。ASEAN諸国全体のGDPは約2兆8,000億米ドルとすでに世界第7位の規模にあり、今後2030年までには世界第3位まで入ってくることが予想される。 ASEAN地域のサプライチェーンの輸送網が改良されれば輸入コストが減少する。現在の世界貿易の70%を中間財やサービス、資本財が占めているとの世界銀行の推計から判断してもコスト減少の効果は決して小さいものではない。   ASEANの潜在的な購買力に中国も期待 またASEANでは、今後数10年間に新たに創出が見込まれる5,700万世帯の中間層家計の消費活動を追い風に、貿易数量が2014年から2025年の間にほぼ倍増して2兆8,000億米ドルに達すると予想されていることからも、サプライチェーン改良のもたらす効果は小さくない。 こうした裕福で若い都市人口の増加により巨大な消費者購買力が見込まれることは、中国が「一帯一路」構想の下で貿易活性化につながるインフラ整備や投資、事業を強化しようとする大きな理由でもある。 ASEANと中国は、相互貿易額を昨年の5,000億米ドルから2020年までに倍増させて1兆米ドルにするとの目標を掲げている。こうした背景からもインフラ投資や主要プロジェクトに関わるエコシステム事業の機会は特に魅力的なものとなっている。   インドネシアに大規模な事業機会 ASEAN域内のあらゆる大国に事業機会はみられるが、直近で大規模なチャンスが生まれているのはインドネシアである。 インドネシアが2016年から2020年の間に計画しているインフラ投資は3,500億米ドルとASEAN主要5ヵ国の合計額の約半分に相当する。それには以下のような理由がある。 ASEANで最大の経済規模を有するインドネシアでの輸送インフラへの投資はGDP比6%と域内で最も低い水準にあり、フィリピンの同13%やマレーシアとタイの19%、シンガポールの31%に遅れをとっている。 インドネシア政府のインフラ予算は2014年以降に倍増したが全体的な支出必要額には遠い。また財務省は2015年から2019年までに民間セクターには1,300億米ドル相当の事業機会が生じると推計している。   タイは1,200億米ドルのインフラ支出を計画 インドネシアに次ぐ規模のインフラ市場を有するのはタイである。事業規模で700億米ドルに相当する56件の巨大プロジェクトを始めとする、1,200億米ドルのインフラ支出が計画されている。 タイでは、GDPの84%を製造業が占め、また製造業製品のほぼ全て(96%)が陸上輸送されているという現実が、輸送網の改善を促す背景となっている。 早期着工が予定される56件の巨大プロジェクトの事業規模が700億米ドルであることに加え、事業規模440億米ドルの「東部経済回廊」開発計画によりタイは民間セクターの資金調達の主要市場となり、必要資本の4分の1前後は「官民連携(PPP)」の下で調達される見通しである。   フィリピン、道路・鉄道整備の「ドリームプラン」 ASEANの議長国を50周年の節目の年に務めているフィリピンも、2017年から2022年までに1,440億米ドルの積極的なインフラ投資を行うことを念頭に、今後数十年間をかけて競争力を強化するための画期的な計画を策定している。 実施が予定されている投資案件の約90%は輸送網に関連するものであり、また政府が「ドリームプラン」と称する2018年から2020年までの道路と鉄道に係る直近の整備事業の規模は410億米ドルである。 フィリピンでは政府が税制改正に動いていることによって外国からの対内直接投資が促進され、外国資本による企業所有の規制が緩和されている。また一段の民間投資が促され、すでに中国企業がフィリピンのインフラ事業に参画し始めている。   マレーシアは鉄道投資を柱に輸送網を整備 マレーシアでは、輸送網を巡る大きな事業機会は、国内の各地域間の連絡や地方における連絡を活性化し経済効率を改善することであり、また適切に統合された輸送システムを創設し、ASEAN地域における国際貿易ハブとしてのマレーシアの地位向上につながる物流能力を高度化することにある。 2016年から2020年までの5年間のインフラ支出計画は850億米ドルとされ、2011年から2015年までの500億米ドルから増加している。 輸送網の整備への支出においては鉄道投資が柱とされ、シンガポールとバンコクをつなぐ高速鉄道を中心に、現存の大量輸送能力を強化し東海岸の開発を進める計画が立てられている。   シンガポール、地下鉄システムの規模を拡大 シンガポールの輸送インフラはすでに世界最高水準だが、さらに都市国家として地下鉄システムの規模を2030年までに2倍に拡大する政府計画の下で一段と進歩する見通しだ。 2016年から2020年までの期間に3つの新しい路線を建設して地下鉄網をさらに113キロメートル延伸させる事業では、600億米ドルの新規投資が生まれると予想される。これは2011年から2015年までの期間の投資額の500億米ドルを上回っている。   ASEANはインフラ事業を基盤に黄金期へ ここに挙げた全ての経済活動は、ASEANの各経済圏が未来を見据えて経済成長と経済開発の基盤作りに注力していることの表れである。 すなわち、50周年を迎たASEANではインフラ事業が貿易と投資の成長を下支えする黄金期が始まろうとしているのである。

任天堂スイッチからAI時代の必需品に エヌビディア日本法人代表に聞く

株式市場では世の中の技術革新に合わせていくつも大きなテーマが立ち上がる。人工知能(AI)や自動運転、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」に医療や次世代ゲーム。米半導体大手のエヌビディアはこの多くの分野で技術の中核を担っている。 エヌビディアはゲームの画像処理半導体(GPU)のメーカーとして1993年に創業した。1999年1月22日に米ナスダックに上場したエヌビディア株の初値は1.75ドル、約20年が経過した今では170ドル前後と100倍にもなった。 足下では任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」などゲーム向けとデータセンターのサーバー向けのGPUが好調だ。エヌビディアの強さの源泉はどこにあるのか。日本法人の代表で米国本社副社長も兼ねる大崎真孝氏に聞いた。 ただの半導体メーカーではなくシステムまで一貫して手がける ――エヌビディアとはどんな会社でしょうか 「半導体のハードからシステムまで一貫して手がけるAIコンピューティングカンパニーだ。他の半導体のチップメーカー、システムを提供する会社などとは大きく異なる」 「当社の従業員は1万1000人で、そのうちエンジニアが8000人だ。ハードのエンジニア3500人に対してソフトのエンジニアは4500人。半導体のメーカーでここまでソフトのエンジニアを抱えている会社はいないだろう」 ――会社の強みはどこにありますか 「ゲーム用のGPUの高い演算能力がスパコンなどにも使われるようになり、今ではAI開発の現場のプラットフォームになっている。AIの技術を開発するベンチャーたちが利用しているのも当社のプラットフォームだ」 「自動運転であれ医療であれ、AIの現場で起きているのは、多くのデータを学習しそれにより認知・判断するディープラーニング(深層学習)が主流だ。膨大なデータ量を扱うため、逐次処理のCPUよりも大規模並列処理のGPUが適している」 技術革新の早いAIの世界では専用品より標準品 (AI開発のプラットフォームになるエヌビディアのGPU) ――エヌビディアのGPUにはどんな特徴がありますか 「当社が提供しているGPUはAIの特定用途に向けた専用製品ではなく標準製品だ。今のAIの世界は技術革新の進化が早すぎて専用のチップを作り込んでもすぐ陳腐化してしまう。10~20年後にAIの進化のスピードが成熟化すれば特化型の半導体も活躍する場が出るかもしれないが、現状では標準製品がベストだろう」 ――標準品である強みとは 「エヌビディアのGPUは『CUDA』という並列プログラミングの統合開発環境を提供している。エンジニアはスーパーコンピュータからロボット、自動運転車などに搭載されるGPUまで同じコードが使える。これがソフトを含めた標準環境を有する標準製品の強みでエヌビディアのすべての製品は同じソフトウエアが走る」 「CUDAは世界中の1000を超える大学の講座で教えられている。このCUDAを習得したコンピュータサイエンティストたちが昨今のAIの潮流を作っていると言っても過言ではない」 世界で引く手あまた、日本の技術をリスペクト (エヌビディアが提供する自動運転車向けAI車載コンピューター) ――自動運転では欧米メーカー、トヨタとも提携しました 「実は自動車メーカーとの歴史は長い。10年前から車のカーナビの分野ではパネルの画像の部分を担当してきた。自動運転の技術が進んできてからメーカーと組み始めたのではなく、必然的な流れでの提携も起こっている。自動運転に関して既に100社以上のパートナーと提携をしている」 ――大手企業から新興市場の企業までエヌビディアとの提携を発表しています 「先方や他社との関係もあり、発表されている提携はあくまで一部にとどまる。公表されているよりも多くの企業が当社の技術を利用している」 ――今後、注力する分野はどこになりますか 「当社にとってAIは最重要分野だ。ただしゲームや映画、あらゆる分野での設計の現場での画像処理技術の分野も凄まじく成長する。環境配慮型都市のスマートシティーなどビジュアリゼーション(物や現象の可視化)とAIの融合といった新たな技術も生まれつつあり、エヌビディアは多くの分野に力を注いでいく」 ――会社として日本市場をどう見ていますか 「当社は日本をアジアの一つの国ではなく、独立した『日本部門』として重要視している。それは日本の技術をリスペクトしているためだ。日本はゲームや自動車、医療、ロボットなど多くの部門で世界トップクラスの技術を持っており、まだまだ伸びていくだろう」   大崎真孝(おおさき・まさたか) 1991年近畿大学理工学部卒業後、半導体の製造・販売の日本テキサス・インスツルメンツ株式会社に入社。エンジニアと営業を経験した後、米国本社に異動して事業開発を担当した。2010年に首都大学東京経営学博士前期課程を卒業(MBA)、2014 年にエヌビディアに入社した。 現在はエヌビディア日本法人代表兼米国本社副社長として日本におけるAI コンピューティングの普及に注力している。 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

ビットコイン、11月に再分裂も? 国際通貨研の志波氏

「ビットコインに再分裂の火種がくすぶっている」。こう指摘するのは公益財団法人国際通貨研究所の志波和幸主任研究員だ。8月の分裂騒動を機に取り決められた事案が守られず、一部の関係者の間で不満が生じているという。 8月のビットコインの分裂騒動が持ち上がった背景には、取引増加にシステムが対応できず、ビジネスの収益機会を逃していることに関係者が不満を抱えていたことがあると、志波氏は説明する。この不満を解消するため、A案とB案が提示されたが決まらず、最終的に折衷案が採用された。折衷案とは、急増するビットコインの取引を成立させるため、まずはデータ圧縮プログラムを導入するA案を実施し、一定期間後に処理容量を増量する(今回は1メガバイトから2メガバイトに倍増)B案を実行するという2段階の対応を指す。ビットコインの多くの関係者がこの折衷案を支持したが、一部が反対。この結果、8月2日にビットコインからビットコインキャッシュが分裂・誕生した。 その後、ビットコインについてはA案まで実行されたが、それと同時にB案のプログラムをあらかじめ導入したサーバーを開発関係者がビットコインシステムにアクセスできないようにした。容量の引き上げは11月半ばを予定していたため、当初から「折衷案」を支持していたグループの主導のもと、その時期が近づくにつれ再び分裂騒動が高まるかもしれないと志波氏は予想する。「実際に一部の取引所からも不満の声が上がっている」(志波氏)という。 なお、国内の大手取引所ビットフライヤー(東京・港)によると、1ビットコインあたりの価格は9月4日時点で52万円を挟んで推移し、分裂後に約8割上昇している。ただ、志波氏は「外国為替とは異なり、ビットコインの理論値を算出する方法が現時点で見いだされておらず、割安なのか割高なのか判断することは難しい。一方、8月に分裂したビットコインキャッシュの流通を促している関係者は、その利便性などの説明責任を充分に果たしていない」と指摘する。 公益財団法人国際通貨研究所  志波和幸 主任研究員 <プロフィール> 1969年東京生まれ。 東京大学経済学部卒業。 1992年三菱銀行(現:三菱東京UFJ銀行)入行後、 国内外営業及び融資審査、ディーリング業務、持株 会社(三菱UFJフィナンシャルホールディングス) で信用リスク管理業務に従事。2016年2月より現職。

話題のサービス「VALU」 法的な立ち位置は、リアルマネートレードの側面も

個人の価値をネット上で売買するサービス「VALU」が話題になっている。5月に始まったVALUは実業家の堀江貴文氏ら著名人の参加で利用者が急増した。8月には人気ユーチューバー・ヒカルさんのVALU内での価値が思惑により高騰した後に暴落。一連の騒動でヒカルさんは取引で得たビットコイン(5465万円相当)で「自社株買い」を行うと宣言する流れになっており、VALUの法的な立ち位置が議論になっている。 VALUは「無名の個人を支援していくサービス」 「だれでも、かんたんに、あなたの価値をトレード」。VALUはウェブサイトでサービスをそう紹介している。利用者はサービス内で自分の「VA」を発行でき、そのVAは参加者たちに取引されて価格が変動していく。VAを購入するためには仮想通貨のビットコインが必要だ。 サービスの狙いについて運営会社バリュの小川晃平代表は「夢を持った無名の個人に対して、多くの人が支援していくサービスができれば良いと思っています」と話す。VAの購入は発行者への支援という立てつけだ。 VAの発行者は保有者に対して「優待」を設定できる。VAの発行者は保有者向けサロンや情報提供などが可能だ。優待は義務ではなく、規約では「換金性の高いものや、金銭的な見返りの約束などを行うもの現金、BTCを含む仮想通貨、電子マネー」などを禁止している。 新サービスの資金調達は金商法に該当するのか VALUでは個人が不特定多数を相手にビットコインを媒介にして資金調達ができる。株式市場の個人版という形に見えるため、金融商品取引法(金商法)に該当するのではないかとの議論が起きている。 それぞれの資金調達が金商法の対象になるかどうかについて金融庁は「株式市場に似ているかどうかではなく有価証券に該当するかどうかで判断する」と説明する。 金商法には投資性の強い商品に対する包括的な定義として「集団投資スキーム(ファンド)持分」がある。特定の資金調達が集団投資スキームに当たった場合は有価証券とみなされて金商法の規制対象となる。 有価証券と見なされる集団投資スキームの3要件に当たらずか 集団投資スキームに該当するかどうかの判断に重要なのが3つの要件だ。①金銭などで出資が行われる、②その出資で事業を行う、③出資対象事業が生み出す収益の配当や財産の分配がある、の3つに分類できる。 VALUでVAを発行して調達した資金で事業を行えば①と②の要件が該当する。ただ、VA発行者が優待を実施しない場合は③の「収益の配当や財産の分配」が該当しない。優待を実施している場合の判断は難しいがVALUでは優待について直接的な金銭の提供を禁止している。 インターネットで小口資金を集める手法としては「クラウドファンディング」が既に広がっている。クラウドファンディングでの金商法の規制について金融庁は「寄付型か投資型かなどそれぞれの中身を見て判断している」と話す。VALUでも実質に応じて判断する必要がありそうだ。 サービス内でのポイント売買はRMTの側面も VAが有価証券に該当しない場合、VALUは無名の個人や堀江貴文氏らの名前を冠したポイントを売買して楽しむサービスとも言える。発行されたタイミングでのVAの購入は発行者への支援の側面がある。一方で、既に発行されたVAの売買は発行者本人と関係ない取引にもなりうる。 VALUでVAを購入するためにお金を使う行為は多くのスマートフォン(スマホ)アプリでゲーム内のアイテムを手にする「課金」と同じだ。ただ、VALUではサービス内に課金したモノを売買し、ビットコインを通じて再び現金化できる所に特徴がある。 特定のサービス内でのポイントを購入、その後に現金化できるVALUの形式はリアルマネートレード(RMT)とも言える。西村あさひ法律事務所の平尾覚弁護士は「RMTは法律上は違法とされていないが、規約の内容によっては規約違反となる」と話す。VALUにおいてRMTは規約違反とならない。 新しいサービス、意義や法律の議論が続く 金商法は投機性の強い金融商品に対しての投資者保護を目的としている。ただ、金融商品ではない投機的なモノに対しては消費者契約法や風営法など他の法律も存在する。 麻生太郎財務・金融相は8月15日にVALUについて「消費者保護と新しいものを育てることの両方を考える必要がある」との見解を述べた。VALUは個人が資金調達をする新しい形式に育つのか。新時代の資金調達方法と法制度の議論も交えて、VALUの注目度が高まっている。 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

10周年を迎えるグリーンボンド市場 HSBCレポート

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、HSBC グローバル・バンキング&マーケッツ、アジア太平洋地域統括責任者のゴードン・フレンチ氏がレポートします。 グリーンボンド、2016年の発行額は900億ドル以上 注目高まる 最初のグリーンボンドが発行されて今年で10年目となるが、グリーンボンド市場は成熟した市場を目指して現在も急成長中である。気候変動の影響を抑制する世界経済全体の取組みを支援するプロジェクトの資金源としてその重要性は一段と高まっている。 これまでの10年間を幼年時代とするならば、全く心配のない幼年時代だったとは必ずしも言えない。世界初の「グリーンボンド」が発行されたのは2007年7月で、その発行額は6億ユーロだった。その後に続く動きもまずまずだったが、当初の勢いは影を潜めていた。2013年には年間発行額が100億米ドルの節目を上回ったが、それでも債券市場全体から見れば極小さな存在だった。 しかし10年の年月を経た今、資本市場に生まれたグリーンボンドという幼子は目覚ましく成長した。昨年のグリーンボンド発行額は900億米ドルを突破し、2015年の2倍以上となった。その中にはポーランドが発行した、発行額7億5,000万ユーロの世界初のソブリン・グリーンボンドが含まれる。この1月にはフランスが22年物の発行額70億ユーロのグリーンボンドを発行した。これは発行額と長期年限の面で画期的だっただけでなく、投資家の需要が230億ユーロ超にまで膨らみ、発行予定額を大きく上回ったことでも大きく注目された。 成長を確信する3つの理由   気候変動は地球にとって差し迫った脅威であり、炭素集約度の高い技術やインフラを減らしていく取組みに充てる資金を確保するためにはまとまった資本注入が必要である。それは、風力発電タービンや太陽光発電企業、低炭素型交通システム、建造物や街全体のエネルギー効率と水資源利用効率を一段と高める技術などの進歩に向けて活用される。 グリーンボンド市場の発展は緩やかかもしれないが、今や低炭素社会を創り出す上で欠かせない存在になっている。気候変動を抑制する事業への投資機会を求めている資金は世界的に増加している。グリーンボンド市場は、企業がそうした資金を利用することを可能とし、またそうした資金を持続可能な環境に保つためのプロジェクト資金に振り向けていくものである。   現時点では世界の債券市場の1%にも満たない規模のグリーンボンド市場だが、我々が今後急速に成長すると確信する以下の理由がある: ①まず、汚染や世界的気温上昇から生じるリスクについての企業や消費者、投資家の認識に根底から変化が生じている。2015年に採択されたパリ協定では気候変動に対処する必要性について全会一致の世界的合意が成立した。その前提として、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して摂氏2度未満に抑える目標に向け、国家的な計画の推進を200ヵ国近い加盟国が批准することが必要だった。これを受けて環境技術の投資とそのための資金調達が活発化した。 ②次に、技術進歩によって(代替エネルギー技術から電気自動車、バッテリーまで)経済的合理性を備えた低炭素型技術がますます増えている。倫理的な意味だけでなく財政面からも環境投資は一段と理にかなったものとなりつつある。 ③3つ目の理由として、中国とインドが環境重視の経済を強く支持する立場をとったことが挙げられる。中国とインドの発行体が2015年にグリーンボンドを初めて起債したことにより、それまではスカンジナビア諸国や米国、英国が中心だった市場が地理的に広がった。昨年は中国で330億米ドルあまりの規模でグリーンボンドが発行され、15年にわずか10億米ドルで始まった中国でのグリーンボンド発行はすでに世界全体の3分の1を超えた。インドでの発行額はそれよりかなり小規模で、昨年はわずか10億米ドル強だったが、インドもやはり低炭素技術に関するパラダイムシフトを経験している最中である。 グリーンボンドを支援する潮流の勢いは増しているため、債券発行体も投資家もグリーンボンドを無視できなくなっている。 機関投資家の多くは気候に配慮した投資先を増やしたい 気候変動や環境を重視する「グリーン」の姿勢を疑われる債券があることも事実である。調達資金が本当に気候変動や環境に関するプロジェクトに充てられるのか、あるいは「グリーン」な姿勢に疑問のある企業に調達資金が向かっていないか、といった問題である。さらに、ある債券発行が他と同じように「グリーン」であることを誰が評価するのかという問題もある。こうした問題についての一貫した透明性のある回答がいまだ得られない状況に多くの投資家は置かれている。一方の債券発行体も、情報公開や運用報告、「グリーン」なベンチャー事業の認証などに追加的な作業やコストを投入することに消極的である。 しかし追加的な作業やコストは過大に見積もられる傾向があり、標準化と査定の取組みは進展している。例えば格付会社のスタンダード&プアーズは、ある債券がグリーンか否かだけではなくどの程度グリーンなのかを評価する仕組みをこの4月から実用化している。 またグリーンボンドへの然るべき評価がまだ十分に広まっていないと考えられるが、その利点は大きい。 まず、グリーンボンドの発行を通じて企業は、自らの投資ポートフォリオが炭素依存度の高い、持続可能でない債券発行体や事業に関わっていることを懸念している年金基金や政府系ファンドなどの投資家の間で増えている、グリーンボンドのような投資先を求める動きを捉えることができる。2016年の年初時点で、約23兆米ドルの資産が専門家による責任投資戦略の下で管理されている。これは2014年比で25%増であり、専門家が管理している世界全体の資産の4分の1を超えている。 同じように先にHSBCが行った調査でも、世界全体の機関投資家の3分の2が、低炭素型で気候に配慮した投資先への投資額を増やしたいと考えていることがわかっている。 さらにグリーンボンド発行によって、発行体は自らが地球温暖化という長期的な課題を意識しそれに備えていることを周知させることができる。 また気候変動に関するリスク特性の特定や最小化、監視を発行体に要請することは、低炭素型の発想を発行体の企業文化や事業戦略に組み込んでいく上での支援となる。こうしたことが長期的には企業価値評価(バリュエーション)や事業見通しにおいて、準備の遅れている企業よりも優位に立つことにつながる。 このように、グリーンボンド市場が成長を遂げてきたことに対しては歓迎の一語に尽きる。10周年おめでとう。

分配金利回り5%超、高利回り実現するインフラファンドの仕組みとは?

  世界的な低金利下で個人マネーは行き場を失っています。銀行や信用金庫などの預金残高は3月末時点で1053兆円と過去最高に達しました。こうしたなか、5%超の利回りを捻出しているインフラファンドの存在はあまり知られていないようです。高利回りを実現する仕組みを探りました。 国内市場規模は200億円程度 インフラファンドは道路や空港などインフラ施設に投資する金融商品です。公的資金に限りがあるなか、投資マネーを取り込みインフラの整備や新設に役立てようというものです。これまでは機関投資家向けに提供されていましたが、2015年4月に東京証券取引所が上場インフラファンド市場を創設し、個人も投資可能になりました。ただ、上場しているのは3銘柄のみで時価総額は合計200億円弱にすぎません。 一方、世界各国の取引所に上場するインフラファンドの時価総額は15兆円程度(50銘柄弱)といわれています。市場規模が大きいのはオーストラリアと米国です。 米国にはマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)と、イールドコ(YieldCo)の2タイプがあります。MLPは主に石油やシェールガスのインフラ施設を運営しています。30年超の歴史を持ち、100銘柄超が上場。オバマ前政権下で起きた「シェールガス革命」を機に脚光を浴びました。国内追加型投信の中には、MLPに投資するタイプもあります。一方、YieldCoは再生可能エネルギー施設を運営しています。 インフラファンドの仕組みは、不動産投資信託(REIT)と類似しており、保有するインフラを通じて得られた収益の9割を投資家に分配しています。国内のインフラファンド市場に上場している3銘柄が運営しているインフラはいずれも太陽光発電施設です。太陽光パネルで電力を発電し、これを売電して収益を上げています。収益は日射量に左右されますが、固定価格買取制度(FIT)という特典を受けられます。FITは、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーで発電した電気を国が定めた価格で電力会社が買い取らなければならない制度です。適用期間は発電開始から20年間と限られるものの、ファンドにとって安定的な収入を得られるメリットがあります。ただ、足元で今後契約される電力(10kW以上)の買取価格は低下しています。     ※いちご都城安久町ECO発電所   高利回り・安定分配の源泉は利益超過分配金とFIT 7月末時点のインフラファンドの配当利回りは「タカラレーベン・インフラ投資法人」(9281)が6%、「いちごグリーンインフラ投資法人」(9282)が7%と、東証1部の予想配当利回り1.91%を大きく上回っています。高い配当利回りの背景には、不動産投資信託(REIT)と同様に収益の9割を分配金に充てるという仕組みとFITのほか、「利益超過分配金」がカギになっています。 利益超過分配金の原資は減価償却費の一部です。これら3つのインフラファンドの場合、安い土地に太陽光発電所の設備を設置しているため、会計上の資産に占める減価償却費の比率が高くなりがちです。しかし、多額の修繕費などが必要になるケースは少なく、キャッシュが残りがちです。そこで、会計上のみ発生する減価償却費を分配金として投資家に還元しているのです。いちご投資顧問の日色隆善上席執行役は、「当ファンドの分配金のうち、減価償却費の4割相当が利益超過分配金。日射量が平年の水準を下回った場合でも最低水準の売電料(基本賃料)を保証する仕組みを取り入れていることも安定的な高利回りの実現に寄与している」と説明します。利益超過分配金は利益分配金と税制上の取り扱いが異なり、配当所得(原則約20%の課税)には当たりません。 同じく多額の修繕費を必要としない物流施設を投資対象としたREITなども利益超過分配金を活用しています。   この利益超過分配金にFITによる安定的な売電収入が見込めるため、「いちごグリーンインフラ投資法人」(いちごグリーン)は国内インフラ投資ファンドとして初の10期分の予想分配金を発表しました。   ※出所:図表はいちご投資顧問が提供   国内上場は3銘柄のみ、景気拡大局面では株式に見劣りする可能性も 利回りの高さは投資魅力の一つですが、足元で上場しているインフラファンドは3銘柄とバリエーションが乏しいほか、市場規模が小さい点には注意が必要でしょう。加えて、太陽光発電設備を運営するこれらのファンドの運用成績は天候に左右されるものの、景気の影響は受けにくいといえます。半面、景気拡大局面では影響が限定的で株式などと比較すると、パフォーマンスが見劣りする可能性もあるかもしれません。

ソフトバンク決算説明会LIVE 孫社長、60歳目前「自己採点は28点」

  ※このコンテンツはQUICK端末でリアルタイム配信したニュースを再構成しました。 7日に2017年4~6月期決算を発表したソフトバンクグループ(9984)は午後4時30分から都内で決算説明会を開催した。孫正義社長が50分ほどプレゼンテーションを実施、記者への質問に答えた。やりとりは以下の通り。   体調不良は咳喘息が原因  16:32 孫社長 「今週に満60歳を迎える。40代で一勝負、50代でビジネスモデル、60代で後継者を作る。その思いは一度も変わっていない。その60代を今週で迎える。60歳ではなく、60代のどこかで後継者を見つける」 16:35  会見に臨む孫社長の声がかれている。株主総会でも同様に体調が悪く、孫社長の体調を心配する声は多い。 孫社長 「咳喘息だった。初期のものだから心配ないと医者に言われた」 16:38 孫社長 「スプリントについて何を強がりを言っているのかとこれまで言われてきた。しかし、国内の通信に迫る勢いまで改善してきた」 「今、この場ですら粉飾決算ではないか、大赤字だと思いたい人もたくさんいるんじゃないか。現実はスプリントは我々の利益を最もけん引する会社に生まれ変わっている」 16:43 孫社長 「アリババ株は3年後に売却、現金を先に入る形にした。アリババの株価が上がればデリバティブの損が出る仕組み。アリババの株価が上がると本当は有利だが、会計上の損が出る。現金が出るわけではない」 「今から2年後にデリバティブ損は戻ってくる。第一四半期末の株価のままでいれば、デリバティブの繰り戻し分の会計上の益が出る。もし今が2年後だとするならば1兆円弱の含み益が出る」 16:46 孫社長 「今後もアリババ株が上がることを望んでいる。アリババ株の上昇でデリバティブ損はでるが、その後に益が出てくる、貯金している状況だ」 16:50 孫社長 「100万円の財産に対して35万円までの借り入れなら安全な範囲ではないか。ソフトバンクはそれが21%(21万円)の財務状況なので安全な範囲だ」 16:55 孫社長 「モバイルの解約率が初めて同業他社のKDDIさんを下回った」 16:59 孫社長 「ビジョンファンドは我々ソフトバンクが意思決定をする。ヤフージャパンのように投資先の日本法人を作っていきたい」 「世界で最先端を走っている彼らは伸びまくっている。ユーザー数は前月対比で10%、20%増と伸びている。今はシンギュラリティ夜明け前、インターネットが始まったころの興奮を覚えている」 17:05  ソフトバンクは7月18日、オフィスシェア大手の米ウィーワークと合弁会社を設立すると発表した。会見ではウィーワークの事業内容を説明する動画を流した。 孫社長 「世の中は決定的に変わろうとしている。ITやスマホの進化で人々のライフスタイルが変わっている。レンタル屋は昔からある。プラットフォームとそうでないものが全く違う。説明してもわかろうと思わない人にはわからない」 「物凄いチャンスがある。今こそ打って出るべきだ。収益の柱の通信事業は安心してキャッシュを稼げる」 17:05 孫社長 「無理して決算を作らなくていい。それが今のソフトバンクの立場だ」 17:12 孫社長 「17歳のころから恋焦がれていたアーム。出荷したチップは28%増。売り上げは我々のさじ加減次第、スマホのマーケットシェアは98%なので。今はがめつく行くのではなく先行投資の時期。技術者を前年対比で25%増やしている」 「新CPUなど急激に技術を高めている。画像認識では暗い場所で人を認識できるレベルになってきている。今後20年間でアームのチップが1兆個のIoTデバイスに入っていく。非常に買ってよかった」 17:16 孫社長 「同志的結合による起業家集団を作りたい。エヌビディアもそのうちの一つ。たった4.9%しか持っていないが想いは同じ」 17:21 孫社長 「従来の日本の財閥とは違う。ブランドは自由で良い、ソフトバンクのブランドは付けさせない。十分に育ったら卒業していく。成長起業家集団、一緒に革命していく」 「従来のシリコンバレーのように完全に買収、一つのブランドに封じ込めるやり方でもない。ソフトバンク独自の組織論。ベンチャーキャピタルとも違う、群戦略だ」   ~記者からの質問が始まる~   17:25 ――プラットフォームとそうでないものの違いとは。 孫社長 「プラットフォームは胴元、OSのような存在。その上にアプリケーションがのるような共通基盤だ。いちアプリケーションではない」 「圧倒的なマーケットシェアを持って基盤を作らなくてはいけない。アプリケーションと競合するのではなく、場を提供する」 スプリント再編「言うとスカッとするが、ぐっとこらえて我慢している」 17:28 ――スプリント再編の行方は。3か月前は本命がTモバイルだったが。 孫社長 「複数の事業統合の相手先を想定し、交渉を行っている。近い将来なので、なおさらのことコメントを控えたい」 17:30 ――KDDIやドコモなどの値下げに対抗しないのか 携帯子会社の宮内社長 「変える方向性はない」 孫社長 「分離プランなので大きな値下げではないのではないか」 17:33 ――5Gについて 孫社長 「5Gの時代は必ずやってくる。通信速度が速くなり、IoTの接続に適したネットワークができる。時期は2020年以降だと思うが、ソフトバンクは5Gの中核技術を世界で最も早く、商用サービスに入っている」 「5Gの主要機能を既に取り入れている。5Gの時代になると2.5ギガヘルツがプラチナバンドになる。技術を蓄積してきたメリットはたくさんある」 17:36 ――ビジョンファンドについて 孫社長 「だいたいのケースで20~40%の筆頭株主、それに近い立場で影響を与える。単なる事業提携では3年程度で終わる。資本を持つ、血のつながりがあるのは大きい。ベンチャーキャピタルのように上場したら売却するような関係ではない」 「情報革命という志を共有している起業家集団だ。儲かればいい、金銭的つながりとは違う。我々のブランドで染め上げるものでもない同志的結合だ」 17:38 ――スプリントは今でもTモバイルが本命か 孫社長 「統合の時期の意思決定をする時期は近い。1社じゃなく複数を考えている。ヒントになることは言えない。言いたいんですよ私も。言うとスカッとするが、ぐっとこらえて我慢している」 ウーバーとリフト「関心があるとだけ申し上げる」 17:41 ――アームとエヌビディア、半導体などでどんなプラットフォームになるのか 孫社長 「エヌビディアは先見の明と先進テクノロジーが賞賛に値する。本当はもっと前からたくさん買いたいという思いがあった。ビジョンや想いは共通する部分が多い。エヌビディアはアームの重要なライセンス先。具体的に何をどうしようとあるわけではない」 17:43 ――60歳を迎えてやり遂げたこと、やり残したことの自己採点は 孫社長 「自己評価でいくとしまったな、28点。育英財団で8歳の子供たちを見てもう一度戻りたい。とことんやれたのにと思う。後悔することだらけ」 「ただ、人生は終わったわけではない。ソフトバンクの組織体、生命体は300年ぐらい伸び続けていって欲しい、そうするつもり。先は明るい、楽しみ、まだまだ攻めていくという思い」 17:48 ――ウーバー、もしくはそのライバルのリフトについて 孫社長 「ソフトバンクがウーバーに関心がある、という噂は聞いている。リフトに関しても決まったことはない。関心があるとだけ申し上げる」   【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

ダウ初の2万2000ドル突破、トランプ政権発足後で最も上昇した銘柄は?

2日の米株式市場でダウ工業株30種平均が初の2万2000ドルを突破しました。終値は前日比52ドル32セント(0.23%)高の2万2016ドル24セントでした。トランプ氏が大統領選に勝利した2016年11月8日から直近8月2日までのダウ構成銘柄の騰落率を調べたところ、27銘柄が上昇しました。上昇率が最も大きかったのはボーイングで66%、次いでアップルが42%、マクドナルドが38%でした。これらの3銘柄は足元の好決算による株価上昇が寄与したようです。米航空機大手ボーイングの2017年4~6月期決算は最終損益が17億6100万ドルの黒字(約1957億円の黒字)と、前年同期の2億3400万ドルの赤字から黒字に転換しました。 一方、大統領選直後にトランプ氏が掲げる規制緩和の期待から株価が上昇し、トランプ相場の主役といわれたゴールドマン・サックスの上昇率は24%と、ダウ平均並みにとどまりました。トランプ大統領の目玉政策である医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しが頓挫するなど、政策に対する期待感がはく落。ゴールドマン・サックスの株価も伸び悩んだようです。    

「もう絶滅危惧種とは呼ばせない」 ディーリング収益化へ山和証の挑戦

 今でも記憶に残る日経金融新聞の名物コラム「スクランブル」がある。2002年5月21日に掲載された「影響強める短期資金――ディーラー栄え個人消える?」だ。当時、東京・兜町だけで3000人以上の契約ディーラーが日計り商いに汗を流していたといい、隆盛を極めていた様子が伝わる。あれから15年、地場証券は相次いでディーリング部門を閉鎖し、今や短期売買の中心はネット証券を利用する個人投資家に移った。証券ディーラーは「絶滅危惧種」とまで揶揄されるようになった。だが、時代の流れに逆らおうとする証券会社もある。    以下のチャートは山和証券のディーリング部門の陣容の推移だ。人員を増強しただけでなく今年4月には新卒4名を採用するなど急速な若返りもはかった。15年4月に大阪にはディーリング室を創設、16年4月にはシンガポールにも支店を開設しディーラーを配置している。  ※山和証券提供   「ディーリング部の収益は市場環境に左右されにくい体質となり高水準で安定しています」と話すのは工藤哲哉執行役員ディーリング部長。秘訣は運用手法が多様なディーラーをそろえたことにあるという。  そもそも00年代前半に市場の影響力を強めたディーラーが衰退した理由は、規制の強化と東京証券取引所の売買システムの刷新が背景にあるとされる。証券会社は自己資本比率の維持に神経質となり、ディーラーに供与するポジション=リスク許容度を絞るようになった。一晩で運用環境が変化しかねず、宵越しのポジションすら厳しくなった。おのずと多くのディーラーは日中の回転売買に注力し、運用手法の多様化から遠ざかっていった。  そこに追い打ちをかけたのが、10年に東証が導入した高速取引に対応した現物株の売買システム「アローヘッド」だった。妙味のある注文が見えても発注する前に消化されてしまう現象が恒常化。外国人投資家が開発してきた超高速取引(HFT)の日本市場参入が日計りディーラーの「飯のタネ」を奪った。    工藤氏が進めたのがポジションの自由度の拡大。「オーバーナイトで持ち越すのはザラにあります。ディーラーによっては半年以上も持ったままです。これらのディーラーは日中、板をあまり気にしません。個別企業の業績・財務分析に注力しポジションを構築しています」。以前までのディーラー像とはかけ離れている。  加えて日本株以外の金融商品の売買が可能なプラットフォームの整備も進める。「海外市場の先物トレーディングを積極的に手掛けるディーラーも出てくるようになりました」(工藤氏)。日本株は円相場や外国人投資家の売買動向に大きな影響を受ける。投資環境の変化がディーリングの収益を直撃しやすかったが、投資対象や運用手法を多様化したことで市場環境の変化に左右されにくい収益構造へと変化し始めた。  その分、マネジメント側には高度なリスク管理体制が必要となる。自宅でも部下の損益状況がリアルタイムでチェックができるようにした。社内のミドルオフィス、バックオフィスからも全面的な協力を得た。「ディーラーが能力を発揮できる環境を整備するため、管理部門の担当者が尽力したことも非常に大きい」(工藤氏)。  ここで疑問も浮かぶ。短期売買のみならず、オーバーナイトのポジションを持つなら個人投資家もできる。収益をそのまま自分の資産にできる個人のデイトレの方が魅力的ではないか。また、かつては市場への流動性供給という存在意義が明確だったものの、HFTの登場により役割は薄まった。  工藤氏にたずねてみても明確な回答はなかった。だが「流動性供給の役割を放棄するつもりはありません。また、様々なスタイルで売買に携わるプレーヤーが多様性に乏しい日本市場には必要だと思います。運用をビジネスとして担える人材を育てる機能の一端を証券会社の自己売買部門が担う必要性があるのではないでしょうか」と返してくれた。即戦力にはならない新卒を採用する狙いもここにある。 ※ディーラーが何を考え悩んでいるのか。工藤氏(後)は常に対話を心掛ける  証券ディーラーの存在感が薄まってから長い年月が経った。この間、業界から去ったプレーヤーも多いが、依然として第一線で活躍するディーラーもいる。山和証券のみならず新卒を採用する証券会社もある。単なる短期筋でも流動性供給者でもない第3の道。証券会社のオフィスにいるディーラー達は新たな存在意義を確立するための挑戦を始めている。 【コンテンツ編集グループ:岩切清司】

猛暑到来、ビールに代わる注目銘柄は?

※この記事はQUICKのオプションサービス「QUICKエクイティコメント」に配信された記事を再構成しました。 さえないビール株 ビール株がさえない。時価総額を競うアサヒ(2502)とキリンHD(2503)を見ると、アサヒは5月16日、キリンHDは6月6日に年初来高値を付けた後は上値が重い。24日こそ上昇したがサッポロHD(2501)は1~6月期の収益が市場予想を下回ったと伝わると、下げが加速した。いずれも海外事業に投資家の懐疑的な視線が注がれる。サッポロHDはベトナム事業で赤字を抱え、キリンHDはブラジル事業を売りに出した。アサヒは16年に買収した西欧のビール事業が貢献したとはいえ、新たに買収した中東欧5カ国の収益はこれからだ。 激安販売がなくてもビールや発泡酒の消費量は猛暑で増えているようだが、それとは異なる要因で買いづらさが残る。となると代替的な猛暑銘柄に需要が生まれそうだ。 アイス、エアコン、蚊取り線香に期待 ビールに代わる夏の食品と言えば、やはりアイスクリームだろう。最近では大人向けのアイスもすっかり定着した。約160年前の開国とともに日本に入ってきて、ともに日本での発祥地は横浜だという点でも共通する。だからというわけでもないが、ビール関連の代わりに個人の資金が向かいそうな銘柄として、アイス関連を挙げる市場関係者は多い。このところ「なめらか体験」を掲げ、手軽さでなく食感や味を強調したアイス菓子「パピコ」のテレビコマーシャルを増やしているのがグリコ(2206)だ。定番の「チョココーヒー」「ホワイトサワー」に加えて今年は「大人のメロン」も投入。顧客の年齢層の引き上げを狙う様子が見て取れる。 このほかグリコはジャイアントコーン、アイスの実、パナップ、牧場しぼり、SUNAOと意外にアイス製品の品ぞろえは豊富。いずれも従来に比べて高級感を打ち出しているとみられ、顧客の年齢層拡大をねらっているようだ。一方、大人のアイスとして既に定着しているのは森永菓(2201)の「チョコジャンボモナカ」だろう。グリコと森永菓は6月前半に年初来高値を付けた後、利益確定の売りに押されていたが、このところ持ち直す展開。グリコは20日、森永菓は21日にそれぞれ5日移動平均が25日移動平均を下から上に突き抜ける買いシグナル「ゴールデンクロス」がチャート上に表れた。アイス銘柄への買いが加速するなら、いまのところ動意薄の井村屋(2209)にも株価に「あずきバー」の堅さが出てくるかもしれない。 エアコン関連は上値追いの展開だ。ダイキン(6367)は24日に1万1905円まで買い進まれ、上場来高値を更新した。エアコンは各社とも新製品を投入するのは春。夏に最もよく売れるからだ。今年は猛暑で販売に期待がかかる。熱中症予防にはエアコンの活用を、と行政が呼びかけているのも追い風になるだろう。さらに日本のエアコンは家庭用、業務用とも省エネ性能に優れていることから、工場などでは初期コストが高くても導入する価値があると判断するケースが多いようだ。東南アジアなど、もともと冷房が必要な地域で、中国から引っ越してきた工場に取り付ける需要などもあるという。取り付け工事やメンテナンスを手掛ける日本空調(4658)は連日高値、日空調(1952)や三機工(1961)も高値圏で推移する。富通ゼネ(6755)も25日に発表する4~6月期決算の中身次第では、買いに弾みが付きそうだ。 「虫よけ」も夏の風物詩。ヒアリ騒動で10日には1370円まで買われたフマキラー(4998)はいったん利益確定の売りに押されたが、再び1300円台を回復してきた。より夏の風情がある「蚊取り線香」を製造販売するアース製薬(4985)も11日に高値を付けた後に売られたが、ここ数日で下値の堅さが目立ってきた。暑すぎて昼間に野外で活動できず、夕涼みが流行するようなら蚊取り線香にも追い風になりそうだが、どうだろう。 タカラトミーは夏山に登るか? 意外なところでは、タカラトミー(7867)に商機があるかもしれない。傘下のタカラトミーアーツが発売した「ビッグストリームそうめんスライダー・エクストラジャンボ」に期待がかかる。昨年発売した「ビッグストリームそうめんスライダー」の進化版という。都競馬(9672)が運営する東京サマーランドの協力を得て完成したという、ウォータースライダー型そうめん流しマシンだ。報道などによると、昨年発売したマシンは初回生産分が夏を待たずに完売、再生産分も全数出荷したという。今回は高さ76センチ、“走麺距離”は5メートルと巨大化した。一般家庭のテーブルにギリギリ乗るサイズという。希望小売価格は1万6800円と安価ではないが、同社のそうめん流しマシンは静かなブームになりつつあるようだ。 一般に、おもちゃ会社の収益はクリスマスのプレゼント需要が発生する10~12月期に偏る傾向があり、タカラトミーにもそうした傾向が見て取れる。夏場はどうしても、おもちゃ屋よりも山へ海へと出かけてしまうケースが多いとみられ、7~9月期の業績は伸びにくいもよう。ただし、この収益が伸びにくい期間に何かヒット商品でひと山あれば、収益の大きな支えになるだろう。タカラトミーアーツは、缶ビールから注いだビールに生ビールのような泡を作り出すことができるビアグラス「ジョッキアワー」で、2012年の日本おもちゃ大賞のハイターゲット部門「大賞」を獲得。実は夏に強いおもちゃメーカーかもしれない。タカラトミーは「夏のおもちゃ」を新たな収益の柱にできるだろうか。 【QUICK情報・ナレッジ・開発本部コンテンツ編集G:山本学】  

日銀、金融政策の現状維持を決定 大手証券の見方「出口遠のく」「2%目標撤回」「影響は限定的」

日銀は19~20日の金融政策決定会合で現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策の維持を決めた。物価上昇率が安定的に2%に達する時期は「19年度ごろ」と従来予想から1年先送りする。 日銀が2013年4月に異次元緩和を始めて以来、先送りは6回目と物価上昇への道のりの長さが感じられる。大手の証券会社は日銀の動きをどう見ているのか。 ■ゴールドマン「物価見通しの弱気さは想定以上、『出口』はさらに遠のいた」 日銀金融政策決定会合を受けてゴールドマン・サックス証券の日本経済チーフエコノミストを務める馬場直彦氏は20日付のリポートで「異次元緩和からの『出口』はさらに遠のいた印象だ」と注目する2点を上げた。 ①消費者物価が2%に達する時期は2018年度ごろから19年度に先送りされたが、当社では物価目標の達成時期は次回の10月の展望レポート時に先送られると考えていたため、物価見通しに対する日銀の弱気さは想定以上だ。 ②特に物価について「なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある」と、さらに下振れリスクが強調されている。 今後の金融政策に関しては「いくら2%目標が遠のくとも、マイナス金利の深堀をはじめとする追加緩和策は円急騰などのショックが生じない限りは選択されない」とみていた。  一方で、「イールドカーブ・コントロール(YCC)やETF(上場投資信託)などの買入方針は各種インフレ率が安定的に1%程度まで上昇するまでは維持される」との見方を示し、「当社の物価予測に照らすと、少なくとも17年度中は現状維持」と予想した。 ■野村、日銀は「2%インフレ目標撤回」の可能性も 日銀が20日公表した「展望レポート」では、成長率見通しが引き上げられる一方、物価見通しは引き下げられ、2%の物価安定目標の達成時期は前回の「18年度頃」から「19年度頃」へ先送りした。 野村證券の中島武信クオンツ・ストラテジストは20日付のリポートで、「2019年度においても2%インフレ目標が達成されない可能性が意識されている以上、日銀は現在の政策を当面継続する可能性がある」と指摘した。 一方、リスクシナリオとして「2%インフレ目標撤回」の可能性もあるとして、「総括検証から1年になる今年の9月かそれ以降に総括検証第2段が実施され、日銀が政策かインフレ目標のどちらかを変更するリスクには注意しておきたい」と述べている。 ■SMBC日興、日銀「物価見通し下方修正のマーケットインパクトは限定的」 日銀の金融政策決定会合を受けて、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは20日付のレポートで「大方の予想通りで、サプライズは無い」と指摘した。物価見通しの下方修正などについては「日銀が物価見通しを引き下げても、マーケットインパクトは限定的となろう。日銀予想が市場予想に近付いただけであり、市場予想が変わるわけではないからだ」とした。 先行きに対しては「日銀は今回物価見通しを下方修正したが、そもそも無謀な予想であり修正は必至であった。下方修正をしてもなお17年の+1.1%、18年の+1.5%という予想であり、まだ高すぎるように思われる。再度の下方修正があり得る」との見方を示した。   ※この記事はQUICKがQUICK端末に配信するオプショナルメニュー「QUICKデリバティブズコメント」の一部を抜粋したものです。

勢いを取り戻しつつある人民元の国際化 HSBCレポート

 QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、HSBCグレーター・チャイナ統括 チーフ・エグゼクティブのヘレン・ウォン氏がレポートします。   人民元、世界的利用拡大へ インフラ整備拡充進む  人民元の国際化はこの1年減速したとみられるが、中国は水面下では人民元の世界的利用拡大のために引き続き金融インフラの整備拡充を進めてきた。国際取引での人民元の利用は2016年に大幅に減少した。世界中の銀行が国際資金決済のために利用している通信ネットワークであるSWIFTによれば、人民元建ての国際決済額は2016年に30%近く減少し、通貨別の国際取引額ランキングでは現在7位となっている(2016年初めには5位だった)。  オフショア人民元の預金も同様な状況にある。中国本土以外での人民元の預金残高は2015年初頭以来縮小してきた。オフショア人民元の世界最大の拠点である香港での人民元の預金は4月末現在で5280億元と、香港の預金残高がピークをつけた2014年末の1兆元強から50%近く減少した。  人民元の利用と保有の減少は、中国経済の減速、人民元の下落、国際資本移動に関する規制強化に対する懸念と無関係とは言えない。しかしこうした現状に対して、中国は外国人投資家が売買可能な国内資産の範囲を拡大して人民元の国際化を進めた。 3つのコネクト制度が人民元国際化の戦略を証明  まず中国の株式市場の開放が挙げられる。深セン市場と香港市場の間の相互株式投資制度(ストックコネクト)の導入が昨年8月に発表され、発表後4ヵ月足らずで運用が開始されたが、この制度によって外国人投資家は、より小規模で起業家精神あふれる企業に投資することが可能となった。こうした企業の成長は中国の経済改革の重要な構成要素となっている。現在では、世界中の投資家は香港市場を通して中国本土の市場に上場されている企業の大半に直接投資できるようになったが、こうした機会はわずか3年前には存在しなかった。 次に中国の債券市場の開放を挙げることができる。中国は今年5月に、中国の債券市場を世界につなぐ取引接続制度である「債券通(ボンドコネクト)」の導入を発表した。中国債券市場の発展におけるこの最新の画期的な改革が正式に導入されれば、中国の資本市場開放における重要な出来事となるのは確実とみられる。 急成長している中国の債券市場の規模は世界第3位であるが、海外投資家の参加は限られている。中国の国債市場における外国人投資家の保有比率は2%未満にとどまり、日本の10%、英国の25%超、米国の50%程度を大きく下回っている。中国の債券市場の段階的な開放によって、発行者、投資家だけでなく、両者をつなぐ全ての取引仲介業者にも豊富な事業機会がもたらされるとみられる。   3つのコネクト制度、つまりボンドコネクト、深セン・香港ストックコネクトと2014年に一足先に導入された上海・香港ストックコネクトの導入の意義は、中国本土の債券、株式の世界的指数への組入れを実現したことだけにはとどまらない(MSCIは2017年6月20日に中国A株を同社の新興国市場指数に組み入れると発表した)。これら制度は人民元の国際化が中国の中長期的な戦略となっていることを証明するものでもある。直近では今年3月に中国人民銀行がこの見方を再確認した。 人民元決済の拡大、一帯一路構想も影響  国際取引で人民元の利用が2016年に減少したにもかかわらず、外国為替市場と金融市場の改革を進め、中国経済と金融市場を開放し、人民元の国際通貨化を推進する姿勢を中国が明確にしているという事実に変化はない。   オフショア人民元市場は、貿易決済額と預金残高が減少しているため、短期的な課題に直面する可能性はあるが、引き続き戦略的に重要な市場である。ボンドコネクトのような国際投資のための制度を導入することは、オフショア人民元市場の広がり、深さ、健全性を改善させるだけでなく、同時に人民元の国際化に再度弾みをつけるであろう。  もう一つのきっかけは、一帯一路構想である。人民元国際化の背景には中国の貿易額の拡大に加えて、人民元によるその決済がある。2016年には一帯一路に関係する国々と中国との貿易額の伸び率が中国の貿易額全体の伸び率を上回ったことを考慮すると、一帯一路は、地域内および地域間の接続性を強化することにより長期的に一帯一路沿いの地域の貿易を拡大させるのに加えて、貿易決済での人民元の使用も拡大するとみられる。  さらに重要なのは、一帯一路構想によって資金調達の際の人民元利用の増加が見込まれる点である。政府の後押しもあって、中国企業は一帯一路関連プロジェクトに積極的に参加している。一帯一路関連プロジェクトを推進している国々で事業を展開することにより、これら企業は人民元建てのバランスシートで管理されるため、現地の人民元建て流動資産のプールは拡大するとみられる。プロジェクトを推進している国では全ての通貨が常に流動性不足に直面しており、また多国籍金融機関は十分な資金を供給できるとは限らないため、人民元は資金調達通貨として競争上の優位性を備えている。  従って、オフショア人民元の流動性プールの拡大に加えて、人民元建債券発行に対する需要の増加によって、価値保蔵手段としての人民元の魅力が高まるとみられる。さらに一帯一路関連のインフラ建設プロジェクトによって人民元のヘッジのための需要も増加するとみられる。中国の国内債券市場の開放も手伝って、人民元の国際取引での利用も増加するとみられる。  人民元の国際化はこの1年減速したかもしれないが、中国は資本市場の開放を続けてきた。さらに、一帯一路構想の影響で徐々に貿易取引および資金調達通貨としての人民元の利用は拡大するとみられる。人民元の国際化は勢いを取り戻しつつある。

東芝、上場企業の4割が「上場廃止にすべき」 QUICK短観

東芝(6502)の不正会計を同じ上場企業はどんな目線で見ているのか。QUICKが実施したアンケート調査で、上場企業の4割が東芝について「上場廃止にすべき」と考えていると明らかになった。企業会計のルールを忠実に守っている多くの上場企業から東芝への不信感が募っている。   ■東芝の上場についてどう思うか、QUICKによる機関投資家と上場企業への調査 上場廃止にすべきが39%、上場は維持すべきは35%、その他は26% QUICKが上場企業にアンケート調査する2017年7月の「QUICK短期経済観測調査」で明らかになった。東証1部や2部の大規模企業、マザーズやジャスダックに上場する新興企業など300社が回答した。 東芝の上場についての考えを聞いたところ、「上場廃止にすべき」が39%で最も回答が多かった。「上場は維持すべき」は35%、「その他」は26%だった。 アンケートへのコメントでは「東芝を上場廃止にしないことが他の経営者の慢心につながり、他の会社で不正会計が増えてしまう」、「全社員ぐるみともいえる粉飾できちんと精査されるべき」、「明らかに上場廃止の基準に抵触しているのだから上場廃止にすべき」など厳しい声が目立った。 機関投資家の約7割が「東芝は上場廃止にすべき」 上場企業に投資する機関投資家の目はさらに厳しい。QUICKが6月5日に発表した6月の月次調査(株式)では機関投資家の約7割が東芝は上場廃止にすべきと答えた。 投資家にとって企業が会計のルールを守るのは投資判断の大前提だ。東芝は2015年4月にインフラ工事の会計処理に問題があったと発表、その後に不正会計の発覚や決算発表の延期を繰り返しながらも上場する株式として投資家に売買されている。 東芝が今後も上場を維持するためにはハードルは多い。2018年3月期末に債務超過を解消できるのか、内部統制に問題がある「特設注意市場銘柄」の指定は解除されるのか、延期している17年3月期の有価証券報告書は監査法人の適正意見をもらって提出できるのか。 上場企業や投資家が注目する東証の東芝上場に関する判断は、日本の株式市場の歴史に残るのは間違いない。   【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

金融女子から本業・コスプレーヤーへ クールジャパンで目指す起業

 金融市場がまた1人、「異能の人」を送り出す。メガバンクを年内中に退職するHikariさんはコスプレーヤーの経験を活かした起業家の道を歩み始める。夢は日本のコスプレ文化の輸出だけでなく、海外へ関連グッズの販売を手掛けるスタートアップを立ち上げることだ。 リーマンショック直前に大手生保入社、1年目から株式運用部門へ  金融女子といってもHikariさんの経歴を表現するなら「運用エリート」が正確かもしれない。リーマンショック直前に国内大手生保へ入社し、1年目から株式の運用部門へ配属された。それまで興味のなかった運用だが、株式分析などを学ぶうちに関心を持った。QUICKなどの金融情報ベンダーの端末を使って毎日、データとにらめっこしていたという。英語も使えたため海外のプライベート・エクイティ・ファンド(PE)やヘッジファンド(HF)投資に関する運用チェックも任された。世界的なファンドともやり取りするようになった。  人事ローテーションの時期にリーマンショックが重なると、運用部門からの異動に現実味が増した。そこで選んだのが外資系生保へ転職。ここでもPEやHF投資に携わった。その後、縁あってメガバンクへ中途入行し、投資業務を継続した。  しかし、入行してからすぐに「印鑑の押し方が違う」と指摘されカルチャーショックを受けた。このまま銀行員として働き続けても、自分のやりたいことと違う道を進むだけではないかと疑問が膨らみ始めた。   コスプレへの目覚めは16歳 「かわいい」と言われ自信に  コスプレに目覚めたのは16歳。中学校時代に受けたイジメがトラウマだったが、先輩コスプレーヤーから「かわいい」と認められたことが大きな転機につながった。  「男子からかわいくないなど言われていたのに、『私もかわいくていいんだ』と自信が持てるようになった」(Hikariさん) ※映画「魔女の宅急便」の主人公・キキに扮するHikariさん。衣装は自主作成、撮影前にメイクも自分でこなした  社会人になって封印したコスプレ。解禁のきっかけはここでもリーマンショックだった。金融市場が大混乱に陥り、仕事にかかる負荷が急増。ため込んだストレスを発散するため再び衣装をまとった。  自費ながらコスプレーヤーとして「海外進出」も果たした。今では米国やドイツのほかアジア諸国などに多くのファンを抱える。  現地に赴いて実感したのは、日本のコスプレ人気は高いものの関連グッズの入手が困難な状況。趣味と実益を兼ねたビジネスモデルが次第に膨らみ始めた。軍資金についてもあてがないわけじゃない。金融界でファンド投資に携わった当時に築いた人脈がある。金融市場から撤退しコスプレに絡んだ進路を海外の投資家やシリコンバレーの関係者に伝えると「面白そうだね。何かやる時は声かけてよ」と出資意欲を示してくれたという。 今後も何らかの形で運用にはかかわっていきたい  今後はテレビにも出演する予定もあるHikariさん。「運用の奥深さを知りました。今後立ち上げようと考えているビジネスもスキームは金融市場で学んだことがベースになります。そして、今後も何らかの形で運用にはかかわっていきたい」と話していた。金融スキルを使ってクールジャパンの旗手へと躍り出るのか。新たな挑戦が始まった。 ※Hikariさんのインスタグラム: https://www.instagram.com/hika_ringo00/ 【QUICKコンテンツ編集グループ:岩切清司】

元芸人が歩んだ「億り人」への道 〝ツイッター銘柄〟には手出さず

七夕の夜。都内でメディアや市場関係者が集まる食事会が開かれた。独立系投信の幹部や金融当局者などが交じる中、異色の参加者が井村俊哉さんだった。名刺交換すると大手芸能プロダクションのロゴに「『株』で生計を立てる芸人」との肩書き。いつものごとく興味を抱いた。 運用資産が1億円台に お笑いグループは6月に解散 芸人と聞けば生活が厳しい印象があるものの、「最近、億(1億円の大台)に乗ったんですよ」と景気がいい。「億り人」である。芸人の必要性がどこにあるのか素朴な疑問が浮かんだが、「お笑いグループは6月で解散しちゃったんです」という。 グループ名は「ザ・フライ」。2011年には大型お笑いコンペの1つである「キング・オブ・コント」で準決勝まで進出。ある程度の実力が認められたものの、ブレイクすることはなかった。起死回生の改名も不発に終わり、芸能事務所も退社した。 井村さんが株式投資を始めたのは20歳。芸人としての収入は微々たるものだったが「ドケチなんでキャッシュアウトを極限まで絞っても苦しいことはありませんでいた。お金に不自由したと感じたことはありません」という。 一方で株式投資は順調に進んだ。デイトレードのみならず中期保有も取り入れ16年の年間の売買代金は累計で120億円を超えた。ただ、今年に入って運用スタイルを一変させた。1日で400万円の損失が発生した日、生まれたばかりの子供を抱きかかえても、顔が悲壮感に満ちていると奥さんに指摘されたことがきっかけだった。 現在の投資先はネット広告を手がけるフリークアウト(6094)と立ち食いステーキの「いきなり!ステーキ」などを手がけるペッパー(3053)の2銘柄のみ。これに現金を合わせた運用総資産額が1億円を上回っている。トレードの頻度も極端に減った。 ツイッターで盛り上がる銘柄は反面教師に いま、個人投資家の間ではツイッターで盛り上がる銘柄の短期売買が注目を集めている。小型株投資を手がけるプロも無視はできない情報空間だ。だが、井村さんに〝ツイッター銘柄〟の話を向けると「まったくやらないですね」と眉間にシワを寄せた。「ありがたい面もあるんです。手を出してはいけない反面教師の銘柄というシグナルとして受け止めてます」。 食事会に参加していた別の市場関係者によると「あの著名投稿者の背後には3つくらいのグループがあるみたいですよ」という。「そこから銘柄名が降りてくるらしい。投稿者自身に明確な違法性が乏しいのも事実。なぜなら自分ではポジションを持っていないから」。 筆者もこの投稿者に会う機会があった際、自分で投資をしているのかを聞いてみたが、うまくはぐらかされたことがあった。 虚々実々が行き交う株式市場。井村さんは株式投資を続けるつもりだが、自分にあったビジネス探しも始めている。多様な投資家の存在がマーケットへ厚みをもたらすことを期待したい。 【QUICKコンテンツ編集グループ:岩切清司】

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