アパレル界の異端児「ゾゾタウン」 スタートトゥ(3092)、強さの秘密

アパレル市場が縮小傾向にあるなかで、存在感を強めているのが衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイ(3092)だ。上場以来、11期連続で最高益更新を見込み、今年8月に初めて時価総額が1兆円を突破した。「ゾゾタウン」は大手セレクトショップと次々と連携し、インターネットで洋服を購入する若年層を囲い込み、高い成長を続けている。独自の採寸基準や写真を駆使したサイトが強みで、過去1年に1回以上購入した会員数は約460万人に達するという。 楽天と異なる物流の仕組み 「ゾゾタウン」のビジネスモデルは仮想商店街の楽天市場と似ているようにみえるが、物流の仕組みが根本的に異なる。楽天市場は商品の発送を各店舗で行うが、ゾゾタウンは各店舗の商品を自社の物流施設で預かり、保管・写真撮影・梱包・発送までの一連の作業を全て代行する。そのたため、ゾゾタウンの受託手数料率は3割弱と利益率が高くなっている。また、受託販売のため、在庫を持つことによる売れ残りリスクがないのも強みだろう。 同社はこれまでもユニークなサービスを打ち出すことで話題になった。商品を注文した日から最長2カ月後まで支払いを延長できるサービスの「ツケ払い」を2016年11月から開始すると、10カ月で利用者数は100万人に達した。「後払い」自体はネット通販の支払い方法として存在していたが、請求書が届いてから2週間内を支払期限とするのが一般的のため、「最大2カ月延長」がインパクトを与えた。貸し倒れへの懸念をする向きもあろうが、利用限度額は税込み5万4000円のためリスクは最小限にしていたといえよう。このツケ払いが奏功する形で、9月中間期は大幅増収増益となった。 今年は宅配便最大手のヤマト運輸が悲鳴をあげたことが話題になったが、これを先んじていたかのような面白い出来事が5年前にあった。2012年10月にゾゾタウンで商品を購入した客が「1050円なくせに送料手数料入れたら1750円とかまじ詐欺やろ~ ゾゾタウン」というツイートすると、 前澤友作社長が即座に反応。「詐欺??ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ。お前ん家まで汗水たらしてヤマトの宅配会社の人がわざわざ運んでくれてんだよ。お前みたいな感謝のない奴は二度と注文しなくていいわ」などと切り捨てた。 この発言がネット上で炎上し、前澤社長は謝罪を余儀なくされた経緯がある。この炎上騒ぎから5年を経て、ゾゾタウンでは2017年10月に購入者が自由に送料の金額を設定できる「送料自由」を試験的に実施。従来は商品の合計代金が4,999円(税込)以上の場合に無料としていたが、商品代金に関係なく買い手が送料を指定。100円~1500円の100円単位の選択肢から決定するか、手入力で0円~3000円で自由な金額を指定できたが、無料を選択する客は約4割に達した。11月からは配送料を一律200円としたうえで、前澤社長は「一部のユーザーに送料無料が当たり前という誤った認識を与えた反省もある。無料で届くわけがないと社会的に認知していただく」とコメントしていた。 プライベートブランドはもろ刃の剣? 11月中旬にはプライベートブランド「ZOZO」を立ち上げたうえで、着るだけで体の寸法を測定できるセンサー付きの「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の無料配布発表すると注文が殺到。予約開始から8時間で23万件以上の注文が入ったという。これは会社側も想定外の反響だったもようで、発送時期は11月末の予定が来年2月上旬頃へと延期を余儀なくされた。「ゾゾスーツ」 には、伸縮センサーが内蔵されており、トップスとボトムスの上下を着用し、スマートフォンとBluetooth通信で接続することで、1万5000箇所の寸法が瞬時に計測できるという。同社はゾゾスーツの配布により、ファッションECの課題とされる試着ができないことや、サイズ違いによる返品の解消を目指している。 受託販売が主体の同社がPBに乗り出すことは、自社で在庫を抱えることになるだけにもろ刃の剣になるかもしれない。株価の上昇が続くなかでSMBC日興証券は投資判断を「1」から「2」、目標株価を3700円から3500円に引き下げたようだ。これまでの施策の一巡感から商品取扱高の成長率鈍化を想定している模様。株価の上昇でセクター相対パフォーマンスの評価が中位になったとし、投資判断を引き下げたとみられる。 いまのところ国内で向かうところ敵なしにみえるゾゾタウンだが、脅威は世界のアマゾンだろう。アマゾン・ジャパンは、世界最大級の専用スタジオを設立する計画を打ち出すなど虎視眈々と日本市場を狙っており、今回のゾゾスーツがキラーコンテンツとなるのか注目されるところだ。 ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

もうすぐ権利確定 「株主優待+配当」利回りランキング 上位銘柄はこれ 

12月期決算企業の株主優待の権利確定日(26日)まであと3営業日。今年は日経平均株価が26年ぶりの高値水準まで上昇し、値上がり益の恩恵を受けた投資家も多かっただろう。そうしたキャピタルゲインとは別に、配当や株主優待など広義のインカムゲインに対する関心も依然として高い。特に株主優待については、自社への理解を深めてもらう目的で企業も関連商品やサービスを用意している。 12月期決算企業で代表的な優待銘柄が、日本マクドナルドホールディングス(2702)だ。100株以上保有していればバーガー類やサイドメニュー、ドリンクの無料引換券がもらえ、個人投資家からの人気が高い。ほかにも資生堂(4911)が自社グループ製品、楽天(4755)が楽天市場で使えるクーポンを贈呈するなど、各社工夫を凝らす。 QUICK端末のナレッジ特設サイト「株主優待ウオッチ」では、優待品を金額換算した優待利回りや、配当と優待利回りの合計をランキングで確認できる。 12月期決算企業の「配当&優待利回り」上位 優待品の金額換算基準は以下の通り。上限額が設定されていない割引券、カレンダーやオリジナルグッズなどの非売品などは対象外。 ・QUOカード、商品券、図書券などの金券は額面金額 ・上限額が設定されている割引券は上限額 ・優待品の定価 ・「〇〇円相当」と明示された金額 ・企業への問い合わせで確認した金額 ・優待品が米の場合、重さに応じた「お米券」の金額 ・優待品が複数の場合、金額換算が可能なものの合計額 ・優待品が選択できる場合、もっとも低い金額 「配当&優待利回り」でみると、上位には30~70%台と驚きの数字が並ぶ。ただ、優待には高級ホテルの宿泊券の割引や結婚相談所の初期費用割引など、うれしい人にはうれしいが、あまり汎用性が高くないものも。見かけの数字だけにとらわれると結局、利用する機会のないまま期限が切れてしまいかねない。「優待内容」でしっかり利用価値の高いものか見極めたい。  その点、優待食事券を贈っているすかいらーく(3197)は「配当&優待利回り」が6.11%だが、利用可能店舗数は多く使い勝手が良さそうだ。三光マーケティングフーズ(2762、決算期は6月)は一度に何枚でも使える優待券でこちらも利便性が高いと言えよう。 なお配当だけでみると、12月期決算企業の高利回り銘柄は以下の通り。 12月期決算企業の配当利回りTOP10(21日終値ベース) コード 銘柄名   配当利回り 最低購入金額(円) 8186 大塚家   4.31%   92,600 3948 光ビジ   4.08%   56,300 7177 GMOFHD   4.03%   72,900 2914 J T   3.78%   369,500 8996 ハウスフリダム   3.66%   54,600 7751 キヤノン   3.65%   437,700 4840 トライアイズ   3.57%   42,000 4725 CACHD   3.26%   110,300 5015 BPカストロール   3.19%   222,200 4634 洋インキHD   3.16%   673,000 もっともなかには業績の不透明感から株価が低く推移しているせいで、結果として利回りが高くなってしまっている銘柄もある。特に業績が大幅に低迷している場合、配当予想を引き下げたり優待を廃止したりする可能性がある点には注意が必要だ。 【金額換算データの取り扱いについて】  日本証券業協会は「広告等に関する指針」で「配当の表示等に関する事項」として株主優待制度の優待内容については①利回り及び配当と合算した利回り表示は行わない②配当金額と優待内容を金額換算した額を合算した表示を行わない――としています。QUICKは金融商品取引業者および日本証券業協会の会員ではありません。本コンテンツは、情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。本コンテンツに掲載している情報を印刷して配布したり、二次利用したりすることはできません。

スマホゲーム、株価と連動するのはフォロワー数?課金セールス?

もうすぐクリスマス。この時期になると、スマホゲームでも珍しいキャラクター、いわゆるレアキャラが登場するイベントが多く開催され、ゲームへの課金が増えることも多い。QUICKのナレッジ特設サイト「ゲームフォロワーウオッチ」では、ゲームアプリの公式ツイッターフォロワー数、課金セールスランキング、運営(関連)会社の株価の連動性をチェックするツールを提供している。このツールを使えば、課金セールスやフォロワー数と株価が連動している銘柄を探し出すことができる。 QUICK端末では、毎営業日8時過ぎにiPhone(アイフォーン)などのアプリを販売する「AppStore(アップストア)」のセールスランキングをニュース配信。課金セールス額が最も多いゲームを確認できる。 クリックすると、ランキング30位までのゲームアプリが表示される。 ニュースのこの部分をクリックすると、 ゲームフォロワーウオッチのサイトが開く。アプリランキング順に関連銘柄が表示。 「Fate/Grand Order」だったら、ソニー。「モンスターストライク」だったら、ミクシィ。 「星のドラゴンクエスト」の関連銘柄であるエヌジェイHD(9421)をクリックすると、株価とゲームアプリのツイッター数と課金セールスランキングのチャートが開く。 5日に株価が底を打ち、課金セールスランキングも6日以降大きく上昇し、株価と連動性が強いことがうかがえる。 また、6日にQUICKのオプションサービスであるQUICKエクイティコメントではこんなニュースを配信。 エヌジェイホールディングスの子会社が新作スマホゲーム「トリプルモンスターズ」の開発会社だったことが明らかとなり、6日の株価の支援材料になった。先ほどの画面をスクロールすると、トリプルモンスターズの公式ツイッターのフォロワー数の画面も表示している。 まだアプリがリリースされてないトリプルモンスターズ公式でもツイッターが開設されていれば、フォロワー数と株価の連動性を確認できます。QUICK端末をご利用の方はナレッジ特設サイトからどうぞご利用ください。 【コンテンツ編集グループ・矢内純一】 ■QUICKのサービスについてはこちら http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

パソナG(2168)株16%高 6~11月黒字確保もくすぶる懸念

21日の東京株式市場で、パソナグループ(2168)は一時、前日比325円(16.3%)高い2318円まで上昇した。12月1日以来、20日ぶりに年初来高値を更新した。2017年6~11月期の黒字転換を好感した買いが入ったが、一方で先行きには子会社の業績下振れリスクが残る。 20日の取引終了後に発表した17年6~11月期の連結最終損益が4億円の黒字(前年同期は8億円の赤字)になったことが大きい。5億円の赤字予想から一転、黒字転換したことを好感した買いが入った。企業から請け負う事務作業で、IT(情報技術)を使い効率化に取り組んだことで採算性が改善。顧客管理や給与計算などの業務の効率化で人件費負担が減った。17年5月期に1億2900万円の連結最終赤字に転落しており、復調の兆しが見えたとの評価が高まった。 パソナGは「労働契約法や派遣法など法制面の影響が不透明である」ことなどを理由に挙げ、18年5月通期の最終損益は10億円の黒字と据え置いた。ただ、最終黒字を確保できるかは依然として疑問が残る。子会社で福利厚生代行のベネフィット・ワン(2部、2412)の業績見通しに未達リスクがあるからだ。アナリスト予想の平均にあたるQUICKコンセンサス(11月30日時点、3社)の純利益見通しは44億円と、会社側の見通し(46億円)を下回る。 ベネ・ワンを担当するいちよし経済研究所の永田昌寿主任研究員も会社計画の未達を警戒する。永田氏は18年3月期の純利益を会社側より4億円少ない42億円と見込む。未達の理由に挙げるのは、ベネ・ワンの福利厚生サービスをソフトバンクグループ(9984)の携帯電話利用者に有料で提供するサービスの会員数が曲がり角を迎えていることだ。 きっかけは16年の総務省のガイドラインにより、スマートフォン(スマホ)の「実質0円」販売が事実上禁止されたことだ。0円販売時代はセット商品として加入する形式で利用者を増やしていたが、0円販売禁止後はサービスの説明が必要となる。面倒と考えた販売店側が提案をしなくなりやすい。 会社側はソフトバンクユーザー向けなど「パーソナル事業」の通期売り上げ見通しを46億円と見込むが、いちよしの永田氏は40億円にとどまると読む。計画から下振れると純利益を押し下げる。ソフトバンク向けなどの有料サービスにあたる既存の福利厚生サービスの延長上の事業のため、利益率の高い携帯利用者向け事業の成長鈍化はベネ・ワン業績に重荷になりそうだ。 ベネ・ワンを抱えるパソナの連結PER(株価収益率)は82倍前後。人材派遣で同業のリクルートホールディングス(6098)の38倍やパーソルホールディングス(2181)の29倍を大きく上回る。 いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「足元の株価は10億円の最終黒字見通しは必達目標で、業績の上方修正がなければ積極的に買い進めづらい」と話す。上期の上方修正の勢いを持続できるか。買い進めるにはパソナG本体だけでなく、ベネ・ワンの動向を注視する必要がありそうだ。 〔日経QUICKニュース(NQN) 高橋徹〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビッグデータ争奪戦 「ゾゾスーツ」にざわつく日本の株式市場

ビッグデータと株式投資――。耳障りはいいものの、具体的なマネタイズ=収益化を問い始めると実はイメージが難しい投資テーマだ。グーグルを傘下に置くアルファベットやフェイスブックも膨大なビッグデータをこぞって集めているが、現時点でビッグデータがどこまで直接的に収益に直結しているのか、今後どんな可能性があるのか、計り知ることは容易でない。しかし、ある企業が生み出した商品が国際的に進展するビッグデータ競争における日本企業としての新たな可能性を秘めているとの指摘が株式市場で出てきた。 UBS証券でインターネットセクターを担当する武田純人アナリストの11日付のレポートが興味深い。タイトルは「インターネットセクター『最新の論点』 BigData 争奪戦、日本企業の戦い方」。レポートの中で武田氏は「日本のインターネット業界が ZOZOSUIT (ゾゾスーツ)にざわつくのはなぜか?」と書き始めている。 ※UBS証券の武田純人アナリスト ゾゾスーツで何ができるのか ゾゾスーツとは、スタートトゥデイ(3092)が11月下旬に発表した着るだけで採寸ができるセンサー内蔵の服だ。アパレル業界の目線だと同社のプライベートブランド(PB)の売れ行きなどに関心が向いてしまいがちだが、武田氏が着目したのは次の2点だ。   <1>ニッチビッグデータ  スタートトゥが取得を目指すデータが、いまだ誰もリーチしていない”Big Data”、言わば”Niche Big Data(ニッチビッグデータ)” であること。(アルファベットやアマゾンなどデータの)グローバルメジャーとしては収益化の道筋を即座には描きにくく、取組みを判断することは容易ではない <2>マネタイズ  マネタイズ面でのアドバンテージ。PB商品へのデータ活用、既存ECサイトでの活用、データの第三者への提供によるプラットフォーム化 <1>については武田氏は、「グローバルメジャーは検索履歴、行動履歴、決済データなど汎用性のあるデータをこぞって取得しているが、規模の競争は日々激化しているうえ、更新頻度が絶えず発生するなど負担が大きい。一方で、ゾゾスーツは採寸データを取得するもので、一度取得してしまえばよほどの体形変化が起きない限り更新頻度は少なくて済む。それだけに、先行してデータを取得するメリットは大きく、マネタイズの方法も考えやすい」と指摘。 マネタイズについては具体的なビジネスモデルも浮かびやすいようだ。「スタートトゥデイ自身が立ち上げたPB商品へのデータ活用はもちろんのこと、ゾゾタウンに出店するアパレルブランドの商品購入の際にも活用ができるとみている」という。 ※センサー内蔵のゾゾスーツ(出典:スタートトゥデイ) 服だけじゃなくデータそのものがおカネを生む? これはスタートトゥの手元にあるデータを他の企業も利用すればいいという発想だ。ニッチビッグデータをプラットフォーム化して外部に提供し、利用料というマネタイズも将来的に可能となるかもしれない。  加えて採寸データがあることで販売機会のロスが減る可能性も大きい。「ECサイトで購入の手続きを進める際に、在庫切れやサイズ選択の画面で立ち止まることで消費者の購買欲が削がれてしまうことあるが、それも採寸データがあることで決済に至る過程を短縮することができる。サイト閲覧者の購買率(コンバージョン)の向上にもつながる」。 そのほか、固定のブランドで購入を続けがちな消費者に「ブランドスイッチ」の機会を提供する可能性も秘めていると武田氏は考える。ブランドごとに微妙に違うサイズも、採寸データをもとにECサイトで自分の体型にあう服のマッチングが容易になれば、これまで体験してこなかったブランドへ乗り換えが進む可能性が高まるというものだ。 ネットの世界では今、米アマゾン・ドット・コム、グーグル、フェイスブック、中国のアリババやテンセントなどが激しいビッグデータの争奪戦を繰り広げているが、「日本勢は国際競争から取り残されている」(武田氏)。スタートトゥは日本企業としてのあるべき戦い方の一類型を示すのか。また、これに続くような企業が出てくるのか。注目を集めそうだ。 ※UBS証券はスタートトゥデイをカバレッジ対象とはしていない 【QUICKエクイティコメント・本吉亮】 ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

安倍首相の「目標株価」は2万9000円? 在任期間中の伸び率で歴代2位目指すなら

21日付日本経済新聞朝刊にこんなくだりがあった。 「戦後の歴代政権でトップは佐藤栄作の3.07倍、次いで中曽根康弘の2.87倍。いずれも長期政権だ。安倍は12月20日現在で2.23倍にとどまる。『総理、できるだけ長く政権を維持し、株価を上げて少なくとも中曽根さんは超えましょう』。麻生が呼びかけると、安倍はうなずき、大事に紙を受け取った」(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24856190Q7A221C1SHA000/) 麻生太郎副総理・財務相が安倍晋三首相に示したとされるこの倍率は、歴代総理の首相就任時から退任するまでの日経平均株価の伸び率だ。仮に現政権が中曽根政権の2.87倍を上回るには、日経平均の目標は2万8929円との計算になる(政権発足の前営業日、2012年12月25日の終値は1万80円12銭)。 この水準が政権としての「目標株価」となるならば、市場は金融・財政政策や規制緩和、構造改革の進展期待などを抱き続けることになる。しかし、期待を抱かせる分、失望に変わる場面では反動も出かねない。 【QUICKデリバティブズコメント:岩切清司】 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

サイバダイン(7779)が大幅高 医療用ロボが米で市販承認 「HALに春が来た」

サイバーダイン(7779)株が大きく値上がりしている。装着型ロボット「HAL」が17日付で米食品医薬品局(FDA)の市販承認を取得したことで、米国事業での収益期待が高まったためだ。20日の終値は前日比235円(12.87%)高の2060円となった。ここ2日間での上昇率は20%を超える。 今回、FDAから承認を得たのは、下半身に装着して歩行を補助する「HAL医療用下肢タイプ」。 Prof. Sankai, University of Tsukuba / CYBERDYNE Inc.   11月半ばにFDAの承認が近いと伝わってから、株価は上昇基調にあった。FDA承認を受け、野村証券は19日付で「HALに春が来た」としてサイバダインの目標株価を3400円から3700円に引き上げた。投資判断は3段階で最上位の「バイ(買い)」で据え置き。米国でHALによる治療が2019年3月期以降立ち上がり、中長期に治療可能な病院数や患者数の増加が加速すると予想した。   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

イェスパーの視点 2018年10大サプライズ予想

ウィズダムツリー・ジャパン最高経営責任者(CEO)イェスパー・コール 2017年12月20日     エコノミストやストラテジストが、来るべき2018年の予想と基本シナリオを発表する時期が来た。定量予測は、未来は過去と関連性がある、という前提に基づく確率モデルに、定性シナリオは経験とコモン・センス(共通感覚)に基づくものである。いずれの手法にしても、真の「想定外」や本当のサプライズに関する議論が入り込む余地はほとんどない。 この「2018年10大サプライズ予想」はこの点に対処することを目的としている。日本市場への投資に与える影響に関し筆者が個人的に気にしている「想定外」シナリオである。この10大サプライズはコンセンサス予想の枠外にあり、読者の思考を喚起することを目的としている。「ありえない」と見られても、斬新な考えに向かう時には市場コンセンサスはがらりと変わらざるを得ないものである。どうぞ楽しんでお読み下さい。2018年の成功と幸運を祈っております。 ウィズダムツリー・ジャパンのイェスパー・コールCEO 1. 安倍首相が平壌を訪問し、北朝鮮から日本主導の1兆円規模のインフラ整備案件を受注 2017年末時点で、北朝鮮関連の問題が解決の方向に向かうと期待するのは甘い考えかもしれない。しかし、冷静な見方が大勢を占めているかぎり、建設的な結果に向けた道を思い描くことは不可能ではないだろう。経済発展という面でいえば、北朝鮮と日本は夢の取り合わせである。片方は豊富な天然資源と労働力に恵まれ、もう片方は世界をリードする技術力と資本を有している。安倍首相には、日本主導のインフラ計画を推進してきた優れた実績がある。北朝鮮とうまく付き合っていけば、日本が経済的に豊かになるだけでなく、安倍首相はノーベル平和賞にも値する偉業を歴史に刻むことになる。残念ながらそうはならないだろうが、経済関係を強化しないかぎり平和的な解決は望めないというのもまた真実である。いずれこの点は現実のものになると筆者は考える。 2. 円安が1ドル/150円に向けて加速し、中国が人民元を30%切り下げ 金融政策サイクルの方向性の違いを受け、資産価格動向は全般的に違う方向に動く可能性が高まっており、特に為替市場が過度に反応するものである。2018年には、円相場がこうした状況の影響を非常に受けやすくなると筆者はみている。たしかに、2016年と2017年には予想されていたほど日銀とFRBの金融サイクルの方向性の違いは顕著ではなかったが、だからと言って2018年も同じだと決めつけることはできない。何といっても、米国の財政政策が変わったのである。さらに重要な点として、次にドル高の加速局面が訪れた際に最も懸念されるサーキットブレーカーは中国であると筆者は考えている。日本と中国は、ハイテクや超高速鉄道など多くの分野で直接競争している。従って、今や円安による痛手が大きいのは米国よりも中国の製造業である。円安が進めば進むほど、人民元切り下げのリスクは高まる。1ドル/140円以上の円安になった場合、米国からの反発よりも人民元の30%切り下げの方が懸念される。 3. 新FRB議長が日銀の金融政策運用モデルを導入し、米10年債利回りを2.5%に固定 トランプ大統領の望みがかない、米国の持続的な経済成長率が3.5~4%まで加速した場合、米国債利回りには大きな上昇圧力がかかり、10年債利回りは6%もしくはこれを超える水準まで上昇する可能性がある。実質GDP成長率が3.5~4%ということは名目成長率が5.5~6%ということだが、 従来、債券利回りが持続的な名目GDP成長率を大幅に下回って推移することは稀であった。いずれにしても、米国債利回りの上昇は米国内のリスク資産全般、特に株式、不動産、クレジットに下押し圧力をかけることになり、その影響でいずれは本物のダウンサイクルが訪れると予想される。これを未然に防ぐため、プロの不動産デベロッパーでもある型破りな大統領が日銀の金融政策運用モデルを採用するようFRBに指示したくなるのも頷ける。つまり、米長期債利回りを好ましい水準、例えば2.5%に固定し、次の選挙サイクルに向けて経済を一時的に過熱状態にさせるのである。 4. トヨタがテスラを買収し、現地に新設した一貫生産工場が最も生産性の高い拠点になる トヨタとテスラは申し分のない相互補完関係にあるようだ。誰もが認めるトヨタの世界に冠たる優れた大量生産体制は、テスラが未だ実現に苦しんでいるものである。一方、テスラが提示しているスピード感あふれる未来の移動手段への入口は、まさしくトヨタが手に入れたいものである。業務レベルでは、トヨタ主導の生産技術がテスラに世界で最も生産性の高い自動車工場を提供することは想像に難くない。無論、両社の企業文化を融合させることは無理かもしれないが、日本企業によるシリコンバレーのスーパースター買収が成功すれば、新生日本のやる気を証明するこの上ない事例となろう。テスラを後ろから追いかけて得意分野で勝利する、というのがトヨタの戦略として最も可能性が高いとみられるため、もしこの買収劇がうまく行けば大きなサプライズとして受け止められよう。結局のところ、テスラのような先発企業を生産・設計面で凌駕することが日本のコアコンピタンスの真骨頂である。 5. 安倍政権と日銀が「アジアコイン」(グローバル基準となるべく設計されたブロックチェーンベースの仮想通貨)を導入  政府および中央銀行が公式の仮想通貨の標準規格を後押ししたり、推進したりする競争が繰り広げられている。日本は、日銀が後ろ盾となった「アジアコイン」(日本の複数のメガバンクと日銀によるコンソーシアムがつくるブロックチェーンベースの通貨システム)を導入することで、この分野をリードする可能性を秘めている。新たな国策として、日本の主力企業にアジア/グローバル事業でこの「アジアコイン」を決済や取引に使用するよう説得することはさほど難しくないだろう。そうなれば、信用と流動性が増し、さらには日本が先手を打って未来のバンキングのグローバル基準を設定するという好循環が生み出される。これはまさにサプライズだが、東京を世界の金融センターとして再生させるという日本の意欲は本物である。日本政府が後ろ盾となった「アジアコイン」の創設により日本の銀行・金融機関は紛れもない世界におけるリーダーとしての地位を獲得するだろう。競争はまさに続いている。日本が官民一体となってリーダーシップを発揮すれば歓迎すべきサプライズだが、中国では政府主導の仮想通貨が間もなく創設される見通しである。 6. 社会保障・健康保険給付金を削減するため、日本が「金融資産調査」を導入 社会保障給付金の削減が国民に不人気で、実施が難しいのは万国共通だが、日本では富裕層への課税を重くし、所得を再分配するという手法が現在でも受け入れられている。膨れ上がる一方の財政赤字の抑制を求める声が高まるなか、給付金削減に向けた独創的で伝統にとらわれない政策提案に関する議論が始まっている。「金融資産調査」はその一例だが、これは正味の金融資産が例えば1,000万円を超え、住宅ローンを抱えていない世帯は公的年金や健康保険の給付対象から外すというものである。こうした提案は市場の論議を呼ぶ一方、有権者受けするだろうか?少なくとも、 日本の政治家の独創性に驚く声は出てこないだろう。 7. 日本が中国主導のアジアインフラ投資銀行に参加 ここ5年程の間に、日中関係は相互補完的なものから競争関係に発展したが、これは政治や戦略の面だけでなく、経済分野でも同様である。米国主導のアジア開発銀行に倣い、中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を創設した際、日本は米国の意向に従ってAIIBへの参加を見送らざるを得なかった。ここに来て、日本は米国に独立性の強化を示せと迫られているため、国家戦略の変更は自然な流れであろう。日中両国はアジアにおける多国間貿易の主役として浮上してきた。両国が力を合わせ、模範となって他国を導くことは理にかなっているだろう。日本のAIIBへの参加は日本の独立性の向上、ならびに多国間貿易へのコミットメントを象徴するものである。これ以上のサプライズとしては、真のグランド戦略が考えられるだろう。すなわち、日本がAIIBに参加する代わりに中国が日本主導のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加するという構想である。日中協調関係の目に見えた進展は、間違いなく投資家が歓迎する方向にアジアのダイナミズムを変えていくはずである。 8. 東京の不動産価格がバブル期の1990年のピークを上回る水準まで上昇 東京の不動産価格は回復に向かっているが、バブル期の1990年に付けた水準を依然として40~50%下回っている。しかし、このところ不動産デベロッパーの積極的な姿勢が顕著である。あちこちで5~6億円程度の高級マンションが売り出されているが、これは3年前の最高取引価格の2倍以上の水準である。新たな起業家層の台頭、容易な借入れ、アジアをはじめとする海外の買い手の増加を受けて需要は急拡大している。住宅価格が史上最高値を更新するのもそう遠い先ではないだろう。2020年より前というのが予想としては妥当とみられるが、2018年に実現すれば歓迎すべきサプライズになると個人的には考えている。 9. バイオテック、フィンテック、AI 分野の新興企業がIPOの波を牽引、東京はアジアのプレミアム付きイノベーション・ハブへ成長 一事成れば万事成る。すでに何年にもわたり、日本政府は起業家精神、イノベーション、企業の創造性の強化に力を注いでおり、今や具体的な成功例を示す時期に来ている。IPO(新規株式公開)の波は「アベノミクス」が機能していること、そして日本がアジアのイノベーション・パワーハブになるべく正しい軌道に戻ったことを証明するうえで絶大な効果がある。筆者のみるところ、日本はバイオテック、フィンテック、応用AI、ロボティクスを中心に起業家の活動・創造力に満ち溢れている。こうした分野におけるもっと積極的で明確な収益化や商業化を目の当たりにすることは、日本楽観論者が正しいことを証明する最高のサプライズである。 10. 2018年ワールドカップで日本がドイツを破り、サッカーの世界王者に輝く 2018年7月15日、FIFAサッカーワールドカップの決勝戦が行われる。日本が優勝したら、単なるサプライズどころの話ではなく、筆者にとってはまさしくショックである。筆者はドイツ出身で、4年に一度のワールドカップでは当然、祖国を熱烈に応援する。ドイツチームが決勝戦進出を逃すことは、私にとっていつでもサプライズだ。 ウィズダムツリー・ジャパンWEBサイト イェスパー・コールCEOのブログはこちら https://wisdomtree.jp

いまの株価は割高? PERチャートで「過熱度」を見ると……

12月に入ってからも日経平均株価は26年ぶりの高値圏でもみ合いが続いている。年末に向けて一段高となる「掉尾(とうび)の一振」への期待も高まるところ。一方で9月以降、急勾配の上昇相場を演じてきたことから、一部では過熱感を指摘する声が増えているのも確かだ。 日本株は割高なのか、それほどでもないのか。様々な要素が絡むため一概に判断できず、多くの投資家の悩みどころだろうが、バリュエーションを測るうえで一つのものさしになるのがPER(株価収益率)だ。PERとは株価が企業の1株利益(EPS)の何倍に買われているかをあらわし、数値が高くなるほど割高感が増しているとみなされる。株価は投資家の期待が反映されるため、通常は実績ではなく見通しのEPSを使って予想PERをはじく。 足元の日経平均の予想PERをみると15倍程度。東証1部全体でも16倍台に過ぎない。米国(21倍台)と比べてもかなり低く、割高感は相対的に強くないと言えそうだ。Knowledge特設サイトの「日経平均/PERチャート」を使えば、過去のPERや日経平均との比較も簡単にできる。   5年間のチャートをみると、アベノミクスへの期待が高まった2013年前半はPERが20倍を上回る局面があったが、最近は15倍前後で落ち着いている。このトレンドを踏まえれば直近の株高は企業収益の見通しに裏付けられたもので、かつて当時のグリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長が懸念したような「根拠なき熱狂」というほどのレベルにはないと言えるだろう。 年が明ければ投資家の関心は次第に来期業績に向かい始める。QUICK企業価値研究所によれば、主要261社の(金融除く)の18年度の純利益は17年度見込みに比べて9.6%増える見通しだ。仮にEPSも10%程度伸びてPERは15倍のままと仮定した場合、「日経平均/PERチャート」のシナリオ計算で試算される日経平均は2万5463円で、一段と上値視界が広がってくる。5%増益でも2万4306円で、11月9日に付けた今年の取引時間中の高値(2万3382円)を超える。     個別株のPERチャートも日経平均と同様に検索可能で、ここではシナリオ計算の「業績」欄に、任意の数字のほか日経予想や東洋経済予想も使える。稼ぐ力に照らした株価の適正水準を見極めるうえで役立ちそうだ。 【QUICKコンテンツ編集グループ・内山佑輔】

ビットコイン急落 韓国の取引所がハッキングで破産申請と報道

19日に仮想通貨のビットコイン(BTC)が急落した。コインデスクによれば1BTC=16837.77㌦まで下げ、前日比で11%超の急落となった。CMEのビットコイン先物も17180㌦まで下げ、17日に上場して以来の最安値を付けた。 ロイターがこの日、「韓国の仮想通貨取引所ユービットは19日、取引所を閉鎖するとともに破産を申請すると発表した」と報じた。同取引所は19日にハッキングを受けて総資産の17%相当を失ったといい、今年4月にもハッキング攻撃を受けていた経緯がある。北朝鮮からとみられるサイバー攻撃への脆弱性が改めて警戒された格好だ。 19日の米国市場でパソコン用電源などを手掛けるデジタル・パワーは11%安となり、ビットコイン関連銘柄も急落した。 <参考:ビットコイン/円>   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

日本株の上値抑える日銀出口論 「現状維持」なら上昇か

「日本は金融実験からそっと抜け出す」。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が18日夕に配信した記事が市場で話題だ。市場関係者の間では、日本でも金融政策の変更が意識され始めた。日銀は20~21日、金融政策決定会合を開くが、近い将来、長期金利の誘導目標の引き上げや上場投資信託(ETF)の購入減額はあるのか――。買いを見送り、様子を眺める投資家が増えている。 WSJは記事の中で、「18年1~3月期にゼロ%程度としている長期金利の誘導目標を引き上げる」との専門家の見解を紹介した。日銀の黒田東彦総裁が11月13日にスイスでの講演で「金利が下がり過ぎると金融仲介機能を阻害し、金融緩和の効果を反転させる」という「リバーサル・レート」(金利効果の反転)について振れたのが発端だ。 講演があった11月13日を100とした場合、直近で米ダウ工業株30種平均は105に対し、日経平均は101と出遅れが鮮明だ。日銀の金融緩和姿勢の変化を投資家が警戒し始めている。 今週の日銀会合では現状の政策維持を決めるとの見方が大勢だが、実際に現状維持が確認できれば、いったん株を買い戻す投資家が増える可能性はある。 だが、買いが続く保証はない。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは来年、日銀が長期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げる「微調整」を実施すると予想している。 理由はこうだ。米国では物価上昇を抑えていた携帯電話料金の引き下げ効果が来年春以降に一巡する。その結果、米金利が上昇し、外国為替市場で円安・ドル高が進む。円安で日本の物価にも押し上げ要因が働く――という読みだ。 ETF購入を巡っては証券界でも「不要論」や「減額容認論」が増えている。日経平均株価が約26年ぶり高値圏に上昇したためだ。SMBC日興証券の伊藤桂一氏は12日付のリポートで、「株価上昇はファンダメンタルズの改善で説明でき、ETFを減額しても株価への影響は軽微」と分析した。 もちろん現状では、来年も現在の政策維持が市場のコンセンサスだ。「来年、任期を迎える黒田東彦総裁が留任すれば、物価上昇率2%を目指すための現在の政策パッケージの変更はない」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との見方が多い。 東海東京調査センターの鈴木誠一シニアマーケットアナリストは、「ETFは、よほどの株価上昇が起きない限り、6兆円枠は維持する」と話す。日銀が、わずかな修正でも行えば、市場は株安・円高で反応し、日銀はそうしたリスクを極力、避けたいはずとみているからだ。 ただ、物価圧力が高まれば、金融緩和姿勢に変化が起きるのは自然の流れだ。来年以降も折に触れて、日銀の緩和政策修正への警戒感が日本株の上値を抑える可能性が高い。 【日経QUICKニュース(NQN ) 張間正義】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

SBI(8473)、仮想通貨取引所「年明けのできるだけ早いタイミング」で開設 日経平均は2万7000円台へ 北尾社長に聞く

日経平均株価が26年ぶりの高値水準で推移するなど、株式相場の勢いが途切れないなかにあってネット証券の経営にも追い風が吹いている。中でもSBIホールディングス(8473)は傘下のSBI証券でホールセール業務の拡大を進めるほか、仮想通貨ビジネスにも進出するなど新事業領域の開拓を進めている。同社の北尾吉孝社長に今後の事業展開に加え、相場の見通しを聞いた。         引受業務などホールセールで攻勢へ ――リテール業務を中心に強みを発揮していますが、ホールセール業務でもSBI証券は存在感を出しはじめている印象を受けます。今後の事業の方向性について、どのように考えていますか。   「リテール分野で当社のシェアは上半期において35%程度と圧倒的だ。当然の戦略として、次はホールセール分野をさらに攻め込むことになる。同分野でのメーンビジネスが引受業務だ。新規公開(IPO)から始まり、セカンダリーも含めた引受業務の拡充を進めていく方針だ。併せて債券引受等の体制強化のため事業法人部、金融法人部の充実化も進める。SBI証券の販売力を考えれば、政府の売り出しを引き受ける余力も十分にある」   「地方の資産形成需要に応えるため、地方銀行に金融商品仲介サービスも提供しはじめている。すでに清水銀行や愛媛銀行に提供しているが、年内にサービス提供先は10行弱にまで増えるだろう。2018年3月末には25行~30行まで増加する見通しだ」   ――最近は仮想通貨事業にも力を入れています。   「年明けの出来るだけ早いタイミングで仮想通貨取引所を開設し、ビットコインなどの取引サービスを開始しようと考えている。これまで膨大な取引量に耐えうるシステムや、ウォレット(電子財布)の安全性が課題になっていたため少し様子を見ていたが、解決のメドがたった」   「特に取引システムについては、このたび資本業務提携について基本合意した中国の仮想通貨取引所大手Huobi(フオビー)グループのものを導入する。フオビ―は165万口座を有する仮想通貨取引所を長年運営してきた実績があるため、取引が一気に集中したときでも安心だ。SBIグループの圧倒的な顧客基盤を踏まえれば、慌てずにしっかりと環境を整備してから開業すればいいと考えていた」   ――日経平均株価が依然、高値圏で推移しています。見通しは。   「急ピッチで上昇してきたため、調整が入っても不思議ではないが、米国では大幅な法人税率の引き下げが実現しそうで、同国の経済成長率を押し上げていくと予想される。内容の良し悪しはどうあれ、トランプ米大統領ほど公約を忠実に実行しようとする国のトップは珍しい。パリ協定からの離脱やエルサレムをイスラエルの首都と認定するなど、あれだけ世界の反対を押し切ってまで普通なら断行しない。批判も多いが有言実行の大統領だとは言うことができる。米連邦準備理事会(FRB)は12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に続いて18年も2~3回利上げするだろうが、政策期待が株価の支援材料になることもあり、マーケットへの影響は限定的だろう」   日本株に過熱感はまだない 「20年の東京オリンピック開催に向けた需要拡大が見込まれる国内についても、企業業績が大幅に向上しているだけでなく、設備投資も回復傾向をたどっている。今期の企業収益は2ケタ以上の伸びが見込まれるうえ、PER(株価収益率)が15倍前後であることから、日本株には過熱感はまだない。日経平均は年内に2万4000円を試すだろう。企業業績の上向きを背景に増配する企業が増えることなどを踏まえると、18年中に2万6000円台、うまくいけば2万7000円台に乗せる可能性も高いとみている」   「北朝鮮を巡る地政学リスクは18年にかけても続くだろう。しかし、いざ米国との間で本当に緊迫した状態になっても、軍事力の差から一過性のものになると考えられるため、特に心配していない。18年の日経平均の下値はせいぜい2万2000円近辺と予想している」   【コンテンツ編集グループ:内山佑輔、岩切清司】

南アフリカランドが8円台後半に上昇 ラマポーザ氏が次期大統領有力候補に

外国為替市場で、南アフリカランドが上昇している。対円では一時1ランド=8円台後半を付けた。18日実施した与党の党首選挙が買い材料となった。 南アフリカの与党アフリカ民族会議(ANC)が18日実施した議長(党首)選挙で、ラマポーザ副大統領(65)が当選した。議長で、大統領のズマ氏(75)の元妻ドラミニ・ズマ氏(68)に勝利した。現職のズマ氏は2019年に退任するため、新議長が次期大統領の有力候補となる見通し。 ズマ氏には汚職疑惑があり、ラマポーザ氏は汚職や経済の立て直しを主張していた。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

フィンテックの一角が228%高 米CNBC「ビットコインの狂気」と警鐘

18日の米国市場で、金融テクノロジー事業を手掛けるロングフィンが急騰。228.85%高の72.38㌦で終え、一時は142.82㌦まで上昇して株価が前日比で6.4倍に達する場面があった。 ロングフィンは今月13日にナスダックに新規株式公開(IPO)を果たしたばかりの中小型株。米経済専門チャンネルのCNBCによれば、15日にブロックチェーン技術を手掛けるZiddu.comを買収したと発表して買いが殺到したという。初値(6.65㌦)からわずか4営業日で株価は10倍超となった。ロングフィンの本業は輸出入の決済のほか、人工知能(AI)を使って中小企業向けに金融サービスを提供している。ビットコインなど仮想通貨が強含む中、CNBCは「ビットコインの狂気」とテーマを囃した異常な株高に警鐘を鳴らしていた。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています

2018年の米株「2割調整も」 ヤコブセン氏の「大胆予測」 円に反動高リスク

日米の主要株価指数は上昇基調を維持したまま年の瀬を迎えた。世界各国で経済成長が持続するとの観測を背景に、2018年も株高継続を見込む声が多数を占めるが、異論もある。デンマークの金融大手サクソバンクのチーフ・エコノミスト、スティーン・ヤコブセン氏は「来年上期に米株は15~20%下げる可能性が高い」と予想する。ヤコブセン氏には毎年「大胆予測」として公表している、市場が過小評価しているリスクイベントについても聞いた。 ――市場では世界経済に楽観的な見方が増えています。 「好景気にもかかわらず物価が落ち着いている米国を筆頭に、先進国では熱しすぎず冷めすぎずの適温経済のもとで株高が続くというのがメインシナリオだ。だが私はそうはならないと予想する。世界的に信用収縮が続いているためだ」 「国内総生産(GDP)に占める民間の新規の債務比率が過去9カ月間で15%低下した。中国による引き締め気味の金融政策の影響で、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を始める前から信用収縮が起きている。この信用収縮サイクルは実体経済に9カ月ほど先行すると考えられ、18年上期に世界経済は下振れする可能性が高い」 ――株価調整は避けられないということでしょうか。 「そうだ。実体経済の悪化を受けて株価も調整局面に入るだろう。現在の資産価格は、世界経済に対する『無邪気』な楽観論が前提となっている。市場では、S&P500種株価指数は18年に現状の2670ドル程度から5~10%上がるとの見方が多いものの、個人的には上期には15~20%下げておかしくないと思う」 「もっとも、そこまで株安が進めば各国の金融当局は再び緩和政策を強化するはずだ。信用供与はまた増え、株式相場もある程度は回復するだろう。18年末時点のS&P500種株価指数は今より5%安の水準にとどまると予測する。FRBは来年半ばに正常化から緩和の方に政策を戻す公算が大きい。米10年物国債利回りは、18年末時点で2.00%を見込んでいる」 ――ビットコインは6万ドルまで上昇が続いた後に、1000ドルまで下落するとの大胆な予想を示しています。 「ビットコインは昨年終盤の700ドル台に乗せるか乗せないかのレベルから一気に上がった。17年には3倍の2100ドルまで付けるとのリスクシナリオを描いていたが、実際には2万ドルをうかがう情勢だ。長いマーケット経験の中で最も激しいバブルだ。当面、上昇の勢いは続きそうだが、反動のエネルギーもたまっている」 「ポイントは各国で規制が強まるかどうかだろう。規制強化で取引が難しくなれば換金売りなどが加速し、相場は急落しかねない。既に韓国では未成年による仮想通貨の口座開設を禁止するなど、規制を始めた。ロシアでは、当局が独自の暗号通貨発行の準備を進めるのと同時に、ビットコインなどの既存の仮想通貨の規制に向けて動いていると伝わっている」 ――欧米主要国も例外ではないということですか。 「ビットコインの存在感が高まるほど、他の先進国でも何らかの規制を増やす可能性は高まる。投資家保護の目的だけでなく、政府や中央銀行にとって重要である税収の最大化や通貨の発行権を脅かしかねない点にも留意しなければならない」 「現時点では仮想通貨市場に積極介入する可能性は低いが、10年もすれば、仮想通貨に関する技術を利用して政府がデジタル通貨や仮想通貨を発行し、国民のお金のやり取りを管理しやすくなるだろう。ブロックチェーン技術により透明性の高い取引記録の作成が可能になるため、汚職の抑制につながる可能性がある」 ――日本では日銀の長短金利操作が困難になり、円が1ドル=100円まで上昇するとの思い切った予想も立てていますね。 「まずは円安・ドル高に向かう。米国主導で国債利回りが上昇するなかで、日銀が長期金利を低位に抑えることに固執すれば、円は1ドル=150円を探るかもしれない。だが円安が進む過程で各国からの通貨安誘導批判が強まるほか、輸入物価の上昇を背景に金利が高騰する。最終的に日銀が金利操作を放棄するようだと、円が100円まで反動高を演じるのではないか。大胆予想にはそう書いた」 ――国内では、黒田東彦総裁が「リバーサル・レート(金利効果の反転)」に言及して以降、金利調整の思惑が出ています。 「各国中銀の幹部がこうした概念に触れるようになったのは、大規模金融緩和は長期にわたって持続しうるものではない、との認識が強まっていることの表れだろう。あまりに長く続けると、正常化する際のコストが高くなる」 ビットコイン、1000ドルに急落も 18年の大胆予想一覧 ■18年の大胆予想 (1)米国で財務省が主導権を握り、FRBが独立性を喪失 18年の中間選挙に向けた人気取り政策や減税で財政が悪化。金利の大幅上昇を受けて財務省は2.5%の利回り上限を設定する。 (2)日銀、統制力を失い長短金利操作の放棄へ 円相場は1ドル=150円台まで下げた後、100円まで急伸する。 (3)中国が人民元建て原油先物取引を開始 原油先物取引の成功で海外勢の人民元需要が増え、対ドルの人民元相場が1ドル=6.0元超の元高・ドル安水準を付ける。 (4)S&P500の「フラッシュクラッシュ」(瞬時の急落)によりボラティリティー(変動率)急上昇 歴史的な低ボラティリティーを招いた欧米の大規模な金融緩和策は転機を迎えた。(変動率が低下した資産の買い入れを機械的に増やす)「リスクパリティファンド」や「ショート・ボラティリティー戦略」への大量の資金流入が、相場が反転したときに振れを増幅させる。 (5)米有権者が18年中間選挙で左傾化し、米国債利回りが急上昇 16年の米大統領選で民主党候補の一人だった、民主社会主義者のバーニー・サンダース氏がミレニアル世代の支持を集めたことを忘れてはならない。財政拡大路線が強まり、米30年物国債の利回りは急上昇して5%を突破する。 (6)「オーストリア・ハンガリー帝国」、EUの敵対的乗っ取りを開始 移民問題などを巡る西欧と東欧の外交的緊張が一段と高まり、ユーロはドルに対して1ユーロ=1.00ドルまで下落する。 (7)政府の規制強化によって投資家のビットコイン離れが進む 対ドル価格は1ビットコイン=6万ドル台まで上昇余地があるものの、その後1000ドルまで下落する。 (8)「アフリカの春」の後、南アフリカもリーダー交代で復活 ジンバブエのムガベ大統領の辞任を契機に、他のアフリカ諸国にも政変の波が起こる。南アではズマ大統領が権力の座を追われ、南アランドが対新興国通貨で30%上昇する。 (9)テンセントがアップルを抑え、時価総額世界トップに 中国の資本市場解放や消費主導型経済への移行が追い風となり、テンセント株の上昇率は100%に達する。 (10)女性が企業内での権力を握る フォーチュン500社のうち、60社以上で女性が最高経営責任者(CEO)に就く。 【日経QUICKニュース(NQN) 椎名遥香】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコイン先物、CMEでも取引開始 値動き荒く

日本時間18日にGLOBEXを運営するCMEグループがビットコイン先物(BTC)を上場した。1月限の初値は清算値比5.89%高の20650㌦となったが、その後いったん19315㌦まで下げて2万㌦割れ。さらに1万9000ドルを割り込む場面もあるなど、上場初日から荒い値動きとなっている。 コインデスクによればビットコインの現物は19000㌦台でもみ合い。特にCMEでのビットコイン先物上場に対する目立った反応はみられない。 ※QUICKではCMEのビットコイン先物取引開始に伴い、リアルタイムおよび10分ディレイ情報を、同日より情報端末でサービスしています。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米税制改革案採決へ、日米株式市場への影響は?

米議会の与党共和党の指導部が15日、35%の連邦法人税率を2018年から21%に引き下げる大型減税法案を最終決定した。減税規模は10年で1.5兆ドル弱となる見込みで、下院は早ければ19日、上院も20日に同法案を採決する方向で調整に入っており、クリスマスまでに成立するのか注目される。 スティーブン・ムニューシン財務長官は17日にテレビ番組に出演し、「議会が税制改革法案を可決することに疑いの余地はない」との見解を示した。金持ちや大企業が優遇を受けるとの批判が出ている中、ムニューシン長官は「税制改革は労働者、労働者の家族に良いことだ」と述べてけん制していた。 ゴールドマン・サックスは15日付のリポートで、「我々は来週に税制改革が成立すると引き続き予想している」としながら、企業の取引に幅広く課税する「物品税」の導入が見送られたことについて「貿易赤字の増加を通じて米国経済に与える影響は国内総生産(GDP)で0.3%の押し下げ要因となる」と指摘した。保護主義的な物品税が見送られたことは国際貿易などには全体的に好影響が見込まれる半面、米国の実体経済には若干、統計上はマイナスの影響が出るもようだ。 市場では税制改革の成立によって材料出尽くしを警戒する向きもあるが、調査会社のエバコアISIは17日付のリポートで「税制改革期待があった一方、インフレ率が上昇して米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが加速するような状況ではなかった」という、これまでの税制改革期待の米株ラリーの経緯を指摘した。実質金利が低く、経済環境のボラティリティが低い状況はセクター/ファクターによる銘柄入替を起こした程度で、市場全体への影響は小さかった旨を指摘し、「結論として、税制改革成立後にボラティティの急上昇に伴うバックドロップは無さそうで、S&P500が2018年に3000に向かうという我々の見通しは馴染んでいるように思われる」と締めくくった。 税制改革の進展によって将来のFRBの利上げ観測が出ることはドルのサポート要因になるとも指摘しており、日本株には好影響が見込まれそう。 外部環境が好転している一方、季節的な要因で年末は株高が進みやすいことも相場の地合いを改善させそうだ。クリスマスから年初にかけて米株が上昇するサンタクロース・ラリーは良く知られているが、アノマリー分析を手掛けるトレーダーズ・アルマナックによれば12月中旬から月末にかけてもNYダウやナスダックは上昇しやすい傾向にあるという。 1950年から2016年(ナスダック指数は1971~2016年)まで12月の前半11営業日の主要指数の傾向をみたところ、当初はいわゆる節税のためのタックス・ロス・セリングで主要指数は弱含む場面があったものの、15営業日ほどでダウやS&P500は前月比でプラスに転じるという。12月中旬の安値から特にナスダック指数は2%ほど平均して上昇するといい、経験則通りならナスダック指数の7000超えにも期待が掛かりそうだ。日経先物が連れ高すれば、掉尾の一振となるかも知れない。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

東海カ(5301)、「値上げ力」で18%高 10年ぶり高値

15日の東京市場で東海カーボン(5301)株が大幅高となった。一時は前日比204円(18%)高の1337円まで上昇し、2007年11月以来、約10年ぶりの高値を付けた。手掛かりは14日に発表した国内向け黒鉛電極の値上げだ。鉄スクラップを溶かす電気炉に使うこの素材で世界3位であり、株式市場では大口生産者の強みを生かした「値上げ力」を評価した買いが集まった。 15日の株価上昇率は東証1部で2位だった。株式市場では「原材料高を価格転嫁できる企業には魅力がある」(ちばぎんアセットマネジメントの加藤浩史運用部部長)との声があった。 黒鉛電極の原材料価格は急上昇している。中国では環境規制を強化しており、現地では環境基準を満たす電炉メーカーが増産に動いている。これが、電炉で使う黒鉛電極の需要増を誘っている。 「構造改革を進めてきた」(国内証券アナリスト)との評価も東海カ株を押し上げる。前期までにタイヤ原料であるカーボンブラックの中国工場での生産能力を約4割削減した。合理化効果も寄与し、17年12月期の連結最終損益は、前期の79億円の赤字から108億円の黒字への転換を見込む。 黒鉛電極は電気自動車(EV)に使うリチウムイオン電池の原料にもなっている。東海カでは生産拡大を図っており、10月には独SGLから米子会社を買収した。EV市場の拡大期待も株価浮揚に一役買っており、14日時点での昨年末からの株価上昇率は3.5倍と日経平均構成銘柄でトップにある。 日銀が15日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で大企業・製造業の販売価格判断DIは上昇しており、なかでも素材業種がプラス14と前回調査(プラス5)から大幅に改善した。これも素材業種の値上げ力の評価につながる。 予想PER(株価収益率)は25倍台で、同業他社の昭電工(4004)の30倍台、日カーボン(5302)の44倍台に比べ割高感は乏しい。投資家は来期の18年12月期も見据えた収益拡大期待を高めている。 【日経QUICKニュース(NQN ) 太田明広】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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