速度鈍った 1000ドルに372日 それでも節目抜いた米株、日本は伏目がち

QUICKコメントチーム=片平正二、NQNニューヨーク=滝口朋史 11日の米国市場でダウ工業株30種平均は続伸し、227ドル88セント(0.85%)高の2万7088ドル8セントで終えた。前日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が下院で議会証言を行った後の株高の流れが続いた。 ダウ平均が初めて2万6000ドル台で終えた2018年1月4日から372営業日と、1万9000ドル突破に要した483営業日以来の長さとなる大台突破だった。トランプ氏が米大統領選で勝利してから税制改革などへの期待から上げ足を速める場面があったが、中国との貿易摩擦の激化などを受け上昇の勢いは大幅に鈍った。 【ダウ平均の節目突破の歴史】  節目    節目突破日  終値     要した日数(営業日) 2万7000 2019年7月11日  2万7088ドル   372日 2万6000  18年1月17日  2万6115ドル   8日 2万5000  18年1月4日  2万5075ドル   23日 2万4000  17年11月30日  2万4272ドル   30日 2万3000  17年10月18日  2万3157ドル   54日 2万2000  17年8月2日  2万2016ドル   108日 2万1000  17年3月1日  2万1115ドル   24日 2万    17年1月25日  2万0068ドル   42日 1万9000  16年11月22日  1万9023ドル   483日 1万8000  14年12月23日  1万8024ドル   120日 1万7000  14年7月3日  1万7068ドル   153日 1万6000  13年11月21日  1万6009ドル   139日 1万5000  13年5月7日  1万5056ドル  1460日 1万4000  07年7月19日  1万4000ドル   59日 1万3000  07年4月25日  1万3089ドル   127日 1万2000  06年10月19日  1万2011ドル  1879日 1万1000  99年5月3日  1万1014ドル   24日 1万    99年3月29日  1万0006ドル   245日 (注)所要日数は節目突破の翌営業日から突破当日までの営業日数 パウエル議長は11日に上院銀行委員会で議会証言を行い、「2%の物価上昇率を大きく下回りたくない。後手に回らないようにするのが日本から得た教訓だ」と述べ、雇用とインフレ率の関係が崩れる中で早期利下げの可能性を改めて示唆した。CMEグループが提供するFedウォッチツールで7月FOMCでの50bp利下げ織り込み度は18.3%となり、前日(29.2%)から低下して1割台にとどまった。25bpの利上げ織り込み度は81.7%に上昇し、FF金利先物市場は7月FOMCでの25bp以上の利下げを100%織り込んだ状況が続いた。 残念ながら、貴重な「教訓」を与えたはずの日本株のほうは米株高の流れに乗れず、相変わらずパッとしない展開だ。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

【朝イチ便利帳】12日 東宝など決算発表 6月の中国貿易統計、米PPI

12日は東宝など114社の決算発表や株価指数オプション7月物の特別清算指数(SQ)算出が予定されている。海外では6月の中国貿易統計が公表予定。 【12日の予定】 国内 時刻 予定 10:20 3カ月物国庫短期証券の入札(財務省) 13:30 5月の鉱工業生産指数確報値(経産省) その他 株価指数オプション7月物の特別清算指数(SQ)算出   3〜5月期決算=東宝 海外 時刻 予定 18:00 5月のユーロ圏鉱工業生産 21:30 6月の米卸売物価指数(PPI) その他 6月の中国貿易統計   4〜6月期のシンガポール国内総生産(GDP)速報値 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 9437 NTTドコモ新料金、出足鈍く 開始1カ月、切り替え、前回の6割 日経 +1.22% 7/11 9983 ファストリ7%増益 海外ユニクロけん引 日経 +1.15% 7/11 6506 安川電の3〜5月、純利益70%減 中国企業の投資減響く 日経 +0.42% 7/11 7487 小津産業の前期、純利益30%減 物流費かさむ 日経 +0.34% 7/11 3711 創通、今期末記念配当9円 ガンダム40年 日経 0.00% 7/11 7011 三菱重、洋上風力で米アジア進出 発電機を現地生産 日経 -0.02% 7/11 5803 フジクラ、超電導線材開発 MRIの電気代3割抑制 日経 -0.24% 7/11 6752 パナソニック、27年ぶりドル建て社債 2700億円 日経 -0.26% 7/11 4668 明光ネット、69%増益 9〜5月、広告宣伝費縮小 日経 -0.40% 7/11 4684 オービック、営業益15%増 4〜6月、クラウドサービス好調 日経 -0.67% 7/11 2379 ディップ、今期純利益84億円以上 見通し上方修正 日経 -1.07% 7/11 4837 シダックス、24年3月に営業益2.9倍に 日経 -2.82% 7/11 7181 日本郵便、内部告発締め付け かんぽ生命不適切販売、SNS制限 朝日 -6.41% 7/11

「ザ・セイホ」 円売りで存在感 フランス債の貯金で余力十分

外国為替市場で国内生命保険会社などの機関投資家が円の売り手として存在感を増している。国内の超低金利にあえぐ生保などは高い利回りを求めて欧米債の物色を続けているが、ドル建ての運用は為替差損回避(ヘッジ)コストが極めて高い。そのため新規投資では為替リスクをとらざるを得ない。米国の利下げ観測により米債利回りが低下しても日米金利差は依然として大きく、ドル安が進めば待ってましたとばかりに円売り・ドル買いが出て円の上値を抑える状況だ。 為替ヘッジなしで米債購入の動きも 日本マネーの対外中長期債投資は3月あたりから目に見えて活性化している。財務省の月次データによると、国内勢による月間累計の取得と売却額は2月までは20兆~30兆円台だったのに、3月は一気に拡大してどちらも50兆円を超えた。4~6月もそれぞれ50兆円に近い高い水準を維持している。 項目別に見ると外債取引ですぐ名前が挙がる大手銀行や信託銀行の銀行勘定だけでなく、生保や年金、個人などのお金も相当頻繁に行き来していたことがわかる。生保の主戦場はヘッジコストがかからないユーロ建ての債券だったと考えられるものの、市場では「米中摩擦への懸念や米利下げ見通しから円高・ドル安になった5月以降は為替ヘッジをつけない米債購入の動きもかなりあったはずだ」(国内銀行の為替ディーラー)との声が多い。 次の節目105円までは流れ変わらず そんな中で6月までの運用戦略が一定の成果をあげ、日本勢の資金余力を高めた。にわかに広がった米国の利下げ観測は欧州中央銀行(ECB)に緩和強化策の検討を促し、ユーロ圏の国債利回りは軒並み大きく低下(価格は大幅上昇)。ドイツの長期金利は深いマイナスで過去最低を更新し、3月まで人気だったフランスでもマイナス圏に沈んだ。銀行は米独債、生保や投資信託はフランス債などの値上がりした債券を4月、5月に売却し収益を確定させた。※参考記事:「期初の益出し」主役はフランス債に 4月の売越額が過去最高(6/10) 三菱UFJ銀行の関戸孝洋ジャパン・ストラテジストは10日付リポートで「5月までに得た利益は今後の円売り・ドル買いの源泉になる」と指摘。積極的に為替リスクをとっているわけではないとしながらも、「生保などのドル買いはドルの対円相場をこの先も下支えする」とまとめた。市場参加者の間では「少なくとも次の節目の1ドル=105円までは戻り待ちの円売りスタンスは崩れないだろう」との予想が支配的になっている。 【日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

REIT指数高値、4年半ぶり2000台 支えているのは、あの買い手

東証REIT(不動産投資信託)指数が強い。11日は午前中に一時、前日比7.4ポイント高の2003.25まで上昇し、取引時間中では2015年1月19日以来ほぼ4年半ぶりに節目の2000を上回った。 東京証券取引所が10日に公表した6月の投資部門別の売買状況によると、REITのETFを購入したマネーフローを反映するとされる自己売買部門の買い越し額が385億円と最も大きく、投資信託の274億円が続いた。売り越しでは、個人投資家の333億円が最も大きく、海外投資家の233億円も目立った。 6月は東証REIT指数が高値を更新する中、個別銘柄に利益確定の動きが加速した一方、ETFや投信といったポートフォリオで購入するという動きも加速したようだ。(大野弘貴) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

見えてきた10年半ぶり米利下げ そして、さあどうする?黒田さん

市場が注目していた10日の米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の議会証言で、10年半ぶりの利下げがいよいよ視界に入ってきた。 CMEグループが提供するFedウォッチツールで7月FOMCでの50bp利下げ織り込み度は26.6%となり、前日(3.3%)から急拡大。25bpの利上げ織り込み度は73.4%で、FF金利先物市場は7月FOMCでの25bp以上の利下げを100%織り込んだ状況が続いた。ナスダック指数はザラ場・終値ベースの史上最高値を更新し、S&P500も一時3000の大台に乗せた。 ◆米国の各指数のチャート(NYダウ:青、ナスダック総合:赤、S&P500:緑) 各社の10日付リポートは下記の通りだ。 ■ゴールドマン・サックス……7月の25bp利下げ確率を60%から75%に引き上げ ■バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ……7月に25bpの利下げ後、累積で75bpの利下げへ ■ナットウエスト……貿易戦争の一時休戦後も7月に25bpの利下げが軌道に乗っている ■JPモルガン……7月に25bpの利下げ予想を据え置き 7月の据え置きを見込んでいたバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが25bpの利下げ見通しに変更したのが目を引くが、50bpの利下げの可能性もあるとしてハト派サプライズも一部で期待されているもようだ。 利下げがほぼ確実の情勢ということになると、次はFOMC(30~31日)の直前29~30日に決定会合を開く日銀に注目が集まる。打つ手が限られる中で動けるのか、動かないのか。さあ、どうする?黒田さん。(片平正二、イラスト=たださやか) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

【朝イチ便利帳】11日 ファストリ、安川電など決算 米CPI、議会証言

11日は経産省が5月の第3次産業活動指数を発表するほか、財務省が週間の対外・対内証券売買契約を公表する。企業決算では、ファストリ(9983)が2018年9月~19年5月期、ローソン(2651)や安川電(6506)が2019年3~5月期の決算を発表する。 海外では6月の米消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、パウエルFRB議長が米議会上院で証言される予定だ。 【11日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 対外対内証券売買契約(週間、財務省) 11:00 6月のオフィス空室率(三鬼商事) 13:30 5月の第3次産業活動指数(経産省) 15:00 6月の投信概況 その他 3〜5月期決算=ローソン、安川電   9〜5月期決算=ファストリ 海外 時刻 予定 0:00 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が討論に参加(12日) 1:30 バーキン米リッチモンド連銀総裁が講演(12日) 2:30 クオールズFRB副議長が討論に参加(12日)   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が講演(12日) 3:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月18〜19日開催分)   6月の米財政収支(12日) 6:00 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が講演、質疑応答に参加(12日) 21:30 米新規失業保険申請件数(週間)   6月の米消費者物価指数(CPI) 23:00 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米議会上院で証言 その他 ボスティック米アトランタ連銀総裁が講演 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 7581 サイゼリヤ、営業益2%増 9〜5月、海外で新店増 日経 +1.23% 7/10 3626 企画の発想、AIで支援 TIS、博報堂DYの博報堂と開発 関連単語ネットから拾う 日経 +1.22% 7/10 2433 +0.33% 7/10 4530 久光薬、純利益45%減 3〜5月、新興国で出荷減 日経 +0.80% 7/10 3543 コメダ、純利益5%増 3〜5月、出店拡大が寄与 日経 +0.19% 7/10 7013 インドLNG基地受注 IHIなど工費800億円、22年稼働 日経 -0.12% 7/10 7974 任天堂、携帯用「スイッチ」9月発売 各紙 -1.33% 7/10 8244 近鉄百の今期、純利益22%減 上方修正 日経 -1.36% 7/10 8028 ユニファミマ、48%増益 3〜5月最終、ブランド統合効果 日経 -1.47% 7/10 7453 良品計画、5年ぶり減益 3〜5月最終、人件費増が重荷 売り上げは好調、物流コスト課題 日経 -1.71% 7/10 9603 HIS、ホテル事業に活路 ユニゾHDにTOB、保有比率45%狙う 「敵対」に発展の可能性 各紙 -4.58% 7/10 3258 +20.10% 7/10 7181 かんぽ生命、不適切契約9.3万件 各紙 -5.04% 7/10

「T+2」迫る 配当・優待は最終売買日が1日後ずれ

株式の決済期間が16日から1日短縮する。月末に配当や優待の権利が確定する場合が多いが、決済期間が1日短くなり権利付き最終売買日が1日後ずれする。8~9月は優待品などで人気の銘柄権利確定も多く、保有するタイミングには注意が必要。人気の銘柄には権利付き最終売買日の直前ではなく、早めに買いを入れた方がよいとの声もある。 東京証券取引所などは16日から、受け渡し日の設定を「約定日から3営業日後」から「2営業日後」(T+2)に改める。欧米など主要国の株式市場ではすでに2営業日後が主流となっており、日本も追随する格好。未決済残高が減少するため、投資家の資金が不足するリスクが減りそうだ。ただしSBI証券では決済期間の短縮化に対応したシステムに改める13日まで、16日以降を指定する繰越注文が利用できないなど、システム移行に伴う臨時措置を設ける証券会社もある。 権利の基準日は企業によって異なるが、鳥貴族(3193)のように7月末が基準日の銘柄ならば、権利付き最終売買日は2営業日前の29日となる。DyDoは基準日が20日で土曜日なので逆算すると最終売買日は17日。また、8月末なら28日、9月末なら26日が権利付き最終売買日だ。8~9月には人気の優待銘柄が多く、配当や優待の権利取りを狙う個人投資家は買いの時期に気を配る必要がある。 楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストは「人気の優待銘柄は権利付き最終売買日の1~2カ月以上前に投資するのがよいだろう」と指摘する。権利付き最終売買日に近づくと、配当や優待権利取り狙いの買いが入る。その買いが株価をつり上げ、高値づかみの恐れがあるためだ。特に優待利回りが高く、普段は流動性の低い銘柄ほど株価が上昇しやすい。 ■7~9月に権利付き最終売買日を迎える主な人気優待銘柄 ◎7月 DyDo  (2590) グループ商品の詰め合わせなど 鳥貴族   (3193) 食事券 ◎8月 ビックカメラ(3048) グループ店舗の買い物券 クリレスHD(3387) グループ店舗の食事券 イオン   (8267) 株主優待カード 吉野家HD (9861) グループ店舗の食事券 ◎9月 アトム   (7412) グループ店舗で利用できる優待ポイント カッパクリエ(7421) グループ店舗で利用できる優待ポイント オリックス (8591) グループサービスの割引券など ANAHD (9202) 割引航空券など ヤマダ電  (9831) 買い物券 【日経QUICKニュース(NQN) 北原佑樹】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

カレーの本場に挑むココイチ🌶🌶🌶🌶🌶 食文化の違いなど課題も

今から55年も前に登場したカレールウのCMで「インド人もびっくり!」というセリフがあった。見たことはないが聞いたことはある、という人も多いかもしれない。本場の人が驚くような美味しさだ、とアピールしたわけだ。こちらのチャレンジは世界最大のカレー王国をビックリさせられるだろうか。 「カレーハウスCoCo壱番屋」の壱番屋(7630)株が堅調だ。9日に一時前日比140円(2.9%)高の5020円と約1年ぶりの高値まで買われ、10日もしっかりの展開。三井物産(8031)と共同でインドに進出するための共同出資会社を設立したとこのほど発表した。壱番屋が同国に進出するのは初めてで、カレーの本場への出店に期待がかかっている。ただ、インドはオペレーションの構築や食文化の違いを背景に、日本の外食企業の進出があまり進んでいない。「未開の地」開拓は当然だが甘口ではない。 ■三井物産と組み5年で10店を計画 共同出資会社の資本金は約3億円で、壱番屋が4割、三井物の子会社が6割を出資した。2020年をメドに首都のニューデリー近郊に1号店を出し、5年間で10店の出店を目指すという。 壱番屋は国内で系列店を含めて約1300店を出店。海外にも力を入れ、中国や韓国を中心に約180店を展開している。いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は「壱番屋はこれまでは親会社のハウス食品グループ本社(2810)や現地企業と組んで海外進出する例が多かったが、今回はより海外での事業展開に詳しい三井物と組んでおり、力を入れている印象がある」と評価する。 本業は好調だ。6月下旬に発表した2019年3~5月期の連結決算は、ポークカレーなど主力商品の値上げ効果や海外子会社の収益増が貢献し、純利益が前年同期比27%増の10億円と大幅な増益となった。 もっとも、今回のインド進出はまだ詳細な計画が決まっておらず、専門家からは乗り越えるべき課題もいくつかあるとの声が出ている。 ■外食業界「未開の地」で利益だせるか 1つ目は、会社側が「まず直営店での出店を目指す」(広報担当)と説明している点だ。ある国内証券のアナリストは「直営ということになると、ほぼ自前で展開しなくはならず、食材の仕入れから輸送、保管など、様々な点でハードルが高い。インドというただでさえ日本企業にとってノウハウが少ない場所で利益を出すまでに至るか否か」と指摘する。 実際、タイの屋台料理をコンセプトにした「WOK TO WALK」7店をインドに出店しているトリドールホールディングス(3397)は、現地の会社と組んで17年に進出したが、全てフランチャイズで展開しているという。物流網やオペレーションを自己流で構築できるかは課題となる。 もう1つが、当然のことながら宗教上の食文化の違いに対応できるかだ。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「インドは牛を神聖化するヒンズー教徒や、豚を食べないイスラム教徒など国内で宗教が多様化している。外食企業が進出する際は、提供する料理をどこまで区別して出せるかがカギになる」との見解を示す。宗教によっては、禁忌となる食材だけでなく、その調理法も厳しく決められていることもある。 会社側は対応については今後詰めるとしながらも「メニューはポーク(豚)ソースを中心とした、日本で提供しているカレーを軸に検討している」と説明。さらに「進出しているマレーシアでは豚を一切使わないカレーを既に提供しており、ある程度のノウハウはある」(広報担当)と述べた。この場合も、食材を取り違えて提供しない仕組みを厳格に導入するなどの配慮が必要だ。 ある大手外食企業の幹部は「実は、インドへの直営店の進出は当社も検討しており、壱番屋の動きは注視したい」と述べる。13億人の巨大市場であるインド市場への日本の外食企業の期待は高い。「世界最大のカレー消費国」(壱番屋のニュースリリース)であるインド進出は、同社だけでなく外食産業全体からも熱い視線を浴びている。 【日経QUICKニュース(NQN) 松井聡】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

「パウエル待ち」だけじゃない 日本株相場、体温低下には理由がある

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言などを控え、様子見姿勢の株式市場。重要イベントを波乱なく通過したとして、日本株に再び活況が戻るかは不透明だ。日本株は主要先進国の中でも足腰が弱い。アナリストの12カ月先予想EPS(1株あたり利益)を日米欧の主要指数採用銘柄で比べると、米国>欧州>日本の構図が鮮明になっている。 (2014年末を100として指数化) 9日発表の6月の工作機械受注額は好不況の分かれ目である1000億円を32カ月ぶりに下回った。「ボトムは4~9月期と予想するが、その後もエレキセクターなどで回復の兆しが見られず、けん引役不在で底ばう展開が継続する」(JPモルガン証券)。モノの生産に必要な工作機械の受注額は、東証1部全体の予想EPSに先行して動きやすく、アナリストの業績見通しが一段と下振れするリスクもある。 こんな状況では海外勢の買いも見込みにくい。米サントラスト・バンクスの富裕層部門は7~9月期の見通しで、日本や欧州の株式を合わせた「米国株を除く先進国株」について、米国株と比べた収益見通しの弱さを理由にアンダーウエートを維持。HSBCの8日付リポートでは、機関投資家の株式のポジションは先進国の中で唯一日本だけがアンダーウエート。世界の評価は、なかなか厳しい。 細り続ける海外マネー。「いまのままでは、ほかの証券会社でも間違いなくリストラがある」――。ある証券会社のトレーダーは嘆く。東京都心は7月に入って、最高気温が25度に届かない日が昨日まで5日続いた。これは、冷夏で深刻なコメ不足に見舞われた1993年以来26年ぶりのことになるという。なかなか終わらない梅雨寒にお付き合いするかのように、市場の体温はどんどん低下している。(松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

【朝イチ便利帳】10日 中国の6月物価指数、パウエルFRB議長が議会証言

10日は中国国家統計局が6月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)を発表する。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米議会下院で証言する。国内では日銀が6月の企業物価指数を発表する。良品計画(7453)とユニファミマ(8028)が3~5月期決算を発表する。   【10日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 6月の企業物価指数(日銀) その他 3〜5月期決算=良品計画、ユニファミマ 海外 時刻 予定 3:00 クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長が講演   ボスティック米アトランタ連銀総裁が討議に参加   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月18〜19日開催分、11日) 10:30 6月の中国消費者物価指数(CPI)   6月の中国卸売物価指数(PPI) 23:00 パウエルFRB議長が米議会下院で証言 23:30 米エネルギー省の石油在庫統計(週間) 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 6432 竹内製作所、純利益21%減 3〜5月、値下げ響く 日経 +1.65% 7/9 2726 パルHD、今期純利益を上方修正 日経 +0.46% 7/9 8136 欧州委、サンリオに制裁金7.5億円 各紙 +0.29% 7/9 8053 商社、新興勢とタッグ 住友商、米VCと育成枠組み/伊藤忠、中国系と投資ファンド 日経 +0.27% 7/9 8001 +0.02% 7/9 6701 NEC、新卒年収1000万円超 優秀な研究者、人材確保に危機感 日経 +0.23% 7/9 7186 コンコルディ傘下の横浜銀と千葉銀が包括提携 地銀の合従連衡再び 運用商品を共同開発 日経 0.00% 7/9 8331 -0.54% 7/9 7181 かんぽ生命不正、信頼逆手に 保険業法抵触の恐れ 日経 -0.09% 7/9 8358 スルガ銀、シェアハウス返済負担軽減も 創業家の株差し押さえ視野 トップインタビュー 日経 -0.23% 7/9 9532 化粧品材料に大ガスや出光興産など異業種が参入 日経 -0.46% 7/9 5019 +2.08% 7/9 4714 リソー教育、赤字幅縮小 3〜5月最終赤字2億600万円、不採算事業から撤退 日経 -0.84% 7/9 8848 レオパレス、新たに施工不良2900棟 計1.9万棟超に 各紙 -1.12% 7/9 5406 神戸鋼の真岡製造所、JIS認証停止を解除 日経 -1.40% 7/9 9861 吉野家HD、「超特盛」で黒字転換 3〜5月最終、新商品利益けん引 日経 -1.41% 7/9 3938 スマホ決済、国境越え連携 ペイペイやLINE、東京五輪控えアジア客争奪 日経 -1.70% 7/9 3677 システム情報、年14年配 今期、予想より1円増 日経 -1.76% 7/9 6136 OSG、純利益最高に 12〜5月14%増、日米で需要好調 日経 -3.59% 7/9

欧州債投資、主戦場はフランス→スペイン 国内勢がシフト

欧州債市場で日本の投資家が物色対象を広げている。5月は国内勢によるスペインの中長期債(国債とそれに準ずる債券)の買越額が過去最高となった。アイルランド債やノルウェー債の買い越しも目立った。これまで人気だったフランス債から相対的に金利水準が高い他の欧州債にシフトする動きが鮮明になっている。 財務省と日銀がまとめている対外・対内証券投資(指定報告機関ベース)によると、国内勢は5月にスペインの中長期債を3927億円買い越した。統計で遡ることができる2014年以降では最大だ。アイルランド債の買越額は1000億円を超え、ノルウェー債の買越額も467億円と1年4カ月ぶりの高水準に達した。 一方、1~3月に国内勢が大きく買い越したフランス債は4月に続き5月も大幅売り越しで、この2カ月で売越額は2兆円を超えた。年初に0.7%台だったフランス10年債利回りは、6月に史上初めてマイナスを付けた。一方、スペインの10年債利回りは低下しているとはいえ0.3%台後半。「フランス国債の魅力が相対的に下がり、スペインなど他の欧州債へ買いが向かった」(仏ソシエテ・ジェネラル)。 国内大手生命保険10社が4月に公表した2019年度の資金運用計画では、市場の状況に応じて相対的に利回りが高いスペイン債への投資を検討していた生保があった。運用計画に沿った動きが統計に反映されてきたようだ。 国内の機関投資家の多くは、米ドルに比べてヘッジコストが安く比較的高い利回りの欧州債か、為替リスクがなくわずかではあるがプラスの利回りが確保できる日本の超長期国債のどちらに投資するかで頭を悩ませる。6月は国債の大量償還月だったが、「日本の超長期国債の利回りである0.2~0.3%以上の利回りが狙えるとして欧州債に資金の一部が向かった」(外資系証券の債券ストラテジスト)との指摘があった。世界的な金利低下に伴い、国内勢による欧州債の物色対象の拡大は当面、続きそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN ) 張間正義】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

アップル強気派が減ってきた 「中立」4割、「売り」も1割 

8日の米国市場でアップルが続落し、2.06%安の200.02ドルで終えた。一時は200ドルを割り込み、この日のダウ工業株30種平均の下落寄与度2位で指数を28ドル押し下げた。 ローゼンブラット・セキュリティーズが8日付のリポートで投資判断をニュートラル(中立)からセル(売り)に引き下げ、目標株価を150ドルで据え置いたことが嫌気された。リポートでは「アップルは今後6~12カ月のうちにファンダメンタルの崩壊に直面するだろう」とし、足元で自社株買いや落ち着いた業績見通しを受けてリバウンド基調が続いているものの、株高の持続性に疑問を呈していた。 iPhoneの販売に昔ほどの勢いがなく、デザイン部門トップの退社などネガティブなニュースもあって、足元でアップルに対して強気の見方は減っている。QUICK FactSet Workstationによればアップルをカバーする42社のうちオーバーウエイトを含む買いの判断を下しているのは50%に過ぎず、かつては9割以上が買いの判断を下していた時と比べて強気派は少ない。現在は中立が40.5%、売りが9.5%で、売りのシェアは2001年(14.3%)以来、18年ぶりの高水準にある。 ■赤の「弱気派」がじわり増加 (片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

100%の利下げ期待、パウエル議長は何を語る あす注目の議会証言

強めの米雇用統計で50bpの利下げ観測が後退し、米株はやや調整ムードが出ている。日本株もトレンドに乏しく、パウエルFRB議長の議会証言待ちの展開が続きそうだ。 その議会証言をあす10日に控え、市場では様々な見立てが飛び交っている。「利下げを行わないならパウエル議長は議会証言で市場の期待を修正か=JPモルガン」、「パウエル議長は市場の利下げ観測を押し返すだろう=バンカメ・メリル」といった見方が出ている。7月のFOMCで保険的な利下げを行う場合は何らかのシグナルを発するとみられている。FF金利先物市場が25bp以上の利下げを100%織り込む中、利下げを見送って株安が進むリスクがあるのなら、市場の期待に応じて利下げに踏み切るだろうとの見方もある。 ■米金利は利下げを織り込む動きが続いている ゴールドマン・サックスは8日付の「なぜ利下げか?」と題するリポートで「労働市場の減速に対する懸念は、これまでのところ根拠がないことが証明されている。労働参加率の上昇で増加した失業率はすぐに再び下がり始めるだろう」と指摘した。そのうえで「7月と9月に25bpの利下げを行うのは当社の基本シナリオだ」としながら、「債券市場はさらに50bpの利下げを想定している」とも指摘。「現在のFOMCのアプローチに対する私たちの不確実性もやや増加している」という。2020年にかけてはインフレ率の回復が見込まれるが、金融市場で大胆に利下げが織り込まれる中、トランプ大統領という「不確実性」などもあって、金融政策の方向は見づらいとみていた。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

【朝イチ便利帳】9日 5月の毎勤統計、6月マネーストック、吉野家HD決算

【9日の予定】 国内 時刻 予定 8:30 5月の毎月勤労統計速報値(厚労省) 8:50 6月のマネーストック(日銀) 10:20 6カ月物国庫短期証券の入札(財務省) 10:30 5年物利付国債の入札(財務省) 13:30 5月の特定サービス産業動態統計(経産省) その他 閣議   3〜5月期決算=吉野家HD 海外 時刻 予定 3:00 クオールズFRB副議長が講演(10日)   ボスティック米アトランタ連銀総裁が討議に参加(10日) 4:00 5月の米消費者信用残高 21:45 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長があいさつ(録画) その他 マレーシア中銀が政策金利発表   欧州連合(EU)経済財務相理事会 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 6366 米LNGプラント延期 千代建、契約見直し 完工できれば成功報酬 日経 +3.37% 7/8 8411 中関村発展、みずほFG傘下のみずほ銀と協力でファンド スタートアップ投資向け 日経 +0.57% 7/8 2432 ディーエヌエ、大阪でもタクシー配車 日経 +0.43% 7/8 7186 コンコルディ社長 M&A仲介など強化 日経 +0.24% 7/8 2371 カカクコム、新規事業売上高2年で25%増へ計画 日経 +0.21% 7/8 7201 「経営統合、緊急性ない」 日産自、新任のデルマス社外取締役 米事業立て直し急務 日経 -0.37% 7/8 4755 楽天、DMMから格安スマホ買収 顧客基盤拡充へ 日経 -0.50% 7/8 8698 マネックスG傘下のマネックス証券、米株購入手数料をさらに引き下げ 日経 -0.54% 7/8 8601 大和、シドニーに支店開設 日経 -0.55% 7/8 7974 任天堂、中国からベトナム移管 「スイッチ」生産一部 日経 -0.58% 7/8 2503 キリンHD傘下のキリンビールなど、第三のビール好調 日経 -0.61% 7/8 4272 日化薬、M&A枠300億円 化学樹脂医薬車の安全 3分野に的 日経 -0.66% 7/8 3148 クリエイトS、前期純利益2%増 日経 -1.31% 7/8 7630 壱番屋、三井物とインド進出 日経 -1.31% 7/8 8031 -0.50% 7/8 9432 NTT、眠る不動産で稼ぐ 電話局やビル8500拠点 新会社発足 25年までに1兆円超投資 日経 -1.36% 7/8 4185 米に半導体の洗浄剤工場 JSR、来年稼働へ100億円投資 日経 -1.46% 7/8 6367 ダイキンやパナソニック、温度や照明調整 快適オフィスに 日経 -1.76% 7/8 6752 -0.02% 7/8 7956 ピジョン、2ケタ増収でも 中国ネット事業に死角 割引など販促費重荷 日経 -3.63% 7/8 8267 情報銀行、第1弾で認定証 三井住友信託とイオン系 日経 -4.71% 7/8

ドイツ銀の落日、他人事にあらず 「欧州最強」を蝕んだ低金利・低成長

金融業界の収益環境が世界で厳しい。経営再建中のドイツ銀行は7日、2022年までに全行員の約2割にあたる1万8000人を削減すると発表した。世界的な低成長と低金利の常態化に体力を奪われたことが背景にある。人員削減や金融機関からの退社の動きが業界全体でじわりと広がるなか、金融株は再浮上のきっかけをつかめずにいる。 ■株価は低迷していた 「ついに来たか」――。ドイツ銀の大規模な人員削減策に市場関係者はざわついた。「欧州最強」と言われたドイツ銀は1990年代末から投資銀行業務を拡大させてきたが、2008年のリーマン・ショック後は金融商品の不正販売をめぐる巨額の罰金の支払いなどで経営不安に陥り、収益悪化に苦しんだ。 パッシブ運用、MiFID2が逆風に 追い打ちをかけたのが、足元で鮮明になっている世界的な低経済成長だ。00年代以降、先進国では成長率が1~2%台にとどまり、低金利が常態化。低成長や成長資金需要の縮小を背景に世界の上場企業数が伸び悩むなか、株式売買は縮小。金融機関の投資銀行部門などの収益を減らす要因になった。さらにマッコーリーキャピタル証券の増沢丈彦ヘッドオブセールストレーディング(日本人顧客担当)は「株式売買手数料の低いパッシブ投資家の存在感が高まっているうえ、米中貿易戦争の激化に伴ってアクティブ投資家の買いが入りにくいことも苦戦の背景だ」と指摘する。 18年1月に欧州で導入された新規制「第2次金融商品市場指令(MiFID2)」が証券会社に及ぼす影響も顕著だ。同規制はアナリストの調査費用と売買手数料を明確に分離するよう定めた。以前はセルサイドと呼ばれる証券会社が、バイサイドである運用会社に調査リポートを無償で提供する代わりに売買を委託してもらうといった慣行が通例だったが、そうした慣行が通用しなくなった。運用会社側は調査費用の抑制を進めた。 米ITGが世界の運用会社の取引データに基づいて調査したグローバル・コスト・レビューによると、運用会社が証券会社に支払った株式売買手数料率は、英国ではMiFID2導入前の17年10~12月期の7.0%から導入後の18年10~12月期に5.1%まで低下した。この傾向は世界でも同様で、米国では4.0%から3.5%に、日本では5.6%から4.9%にそれぞれ低下した。市場では「外資系証券の日本株の株式売買手数料は19年度の計画に対し、6~7割にとどまり苦しい状況が続いている」(外資系証券)との声も聞かれる。 「株式営業に魅力感じず」「自由なくなった」 17年まで外資系証券に勤務し20年近く日本株営業に携わったある市場関係者は「株式営業に魅力を感じなくなった」と証券業界を離れた理由を明かす。株式売買手数料が減少の一途をたどり、企業に公平な情報提供を促す「フェアディスクロージャールール」の導入を背景にコンプライアンス(法令順守)の厳格化も進んだ。「自由がなくなった」と感じ取り、その後は再生可能エネルギー関連の会社の社長に転じ奔走しているという。 先週には一部報道で仏BNPパリバがアジアの株式調査チームの大部分を削減すると伝わった。国内でも証券会社の人員削減や退社の動きがある。次はどこか――。市場関係者からは不安の声が上がるなか、金融株の株価再浮上の道筋は見えない。 〔日経QUICKニュース(NQN) 末藤加恵〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

【朝イチ便利帳】8日 機械受注や街角景気、日銀支店長会議で総裁あいさつ

8日は5月の国際収支や機械受注統計、6月の景気ウオッチャー調査などが発表される。日銀が支店長会議を開き、黒田東彦総裁があいさつする。   【8日の予定】 国内 時刻 予定 8:50 対外対内証券売買契約(月間、財務省)   5月の国際収支(財務省)   5月の機械受注統計(内閣府)   6月の貸出預金動向(日銀) 9:30ごろ 黒田日銀総裁が支店長会議であいさつ 11:00 7月のQUICK月次調査<株式> 14:00 6月の景気ウオッチャー調査(内閣府)   7月の日銀地域経済報告(さくらリポート) 海外 時刻 予定 4:00 5月の米消費者信用残高(9日) その他 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ) 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 5334 特殊陶と三菱日立パワー、燃料電池会社10月に設立 日経 +2.22% 7/5 8267 イオン、最終赤字43億円 3〜5月、本業のGMS不振 日経 +2.14% 7/5 8016 オンワード、純利益24%減 3〜5月期、衣料品苦戦 日経 +0.81% 7/5 9601 松竹、不動産事業の営業益50億円に 22年2月期めど 日経 +0.55% 7/5 7203 トヨタ、中国2社と提携 燃料電池車部品を供給 日経 +0.30% 7/5 9201 日本航空傘下のLCC、ジップエアが来年5月就航 日経 +0.25% 7/5 8801 三井不など、物流拠点を駅近に開設 日経 +0.22% 7/5 4502 GPIF組み入れ比率、武田や三菱商上昇 日経 +0.18% 7/5 8058 +0.47% 7/5 6752 プラ代替品、家電に採用 パナソニックが植物性新素材 日経 -0.48% 7/5 6952 カシオが戦略投資枠、3年で180億円 日経 -0.52% 7/5 6702 持ち合い株削減進む 富士通、480億円売却 日経 -0.56% 7/5 8001 伊藤忠、中国勢とファンド 2000億円、日本企業の進出支援 日経 -0.59% 7/5

HFTの生命線 「超短期」「超高速」にAIはどこまでついていけるか

「膨大な過去の相場データを取り込んで『勝ちパターン』を抽出し、条件が揃ったときに瞬時に正しく動作する」。コンピュータープログラムを使った「アルゴリズム取引」によく用いられる定義だが、人間のエンジニアを介するとプログラムのバグ修正などの際、どうしてもタイムラグが生じる。競争の激しい世界だけに判断の遅れは致命的だ。そこで存在感を増しているのが、人よりもはるかに機動的かつ迅速に対処できる人工知能(AI)だ。 ディーリングに必要な「柔軟な思考」「機微」は、AIにはまだ荷が重い 極めて高い頻度で売り買いを繰り返すHFT(高頻度取引)が外国為替や株式先物などの市場を席巻し、相場をにぎわしているのは周知の通りだ。HFTは最速でマイクロ秒(100万分の1秒)単位で持ち高を回転させ、高速アルゴリズム取引の頂点に立つ。このモデルは市場で何が起こり、需給環境がどう変化しているのかを瞬時に判別して、誰よりも早く反応することで収益機会を増やすのが基本だ。それだけに、人による修正が必要な通常のアルゴ・プログラムに比べると、AI組み込み型の利点は大きいと考えられる。 「米国勢を筆頭に、為替直物や各種先物でHFTを手掛ける大口投資家のAI活用はかなり進んでいる」。これが市場の共通認識だ。電源と適切な通信・メンテナンス環境が確保できれば24時間休まず正確に動き続けられる点で、アルゴとAIの親和性は極めて高い。HFTのような不眠不休型短期トレーディングのサポート役としてのAI浸透は自然といえる。 ただ、やや長い目でみると課題も多い。外為市場のように参加者が多く様々な要因が複雑に絡み合うマーケットでは、政治家や金融・通貨当局者の発言、さらに国際商品市況などのどの部分が持続的な「テーマ」なのか、需給バランスはどうなるかといった予測は難しい。その時々の状況に応じた柔軟な考え方が必要だ。過去のデータにとらわれがちなAIにはまだ荷が重いだろう。 ディーリングで最終的に勝つには、どの戦略をとれば利益を最大化できるか、損失を最小限に収めるにはどうしたら良いかなどについてギリギリの決断を迫られる。上がるか下がるかの方向を当てただけでは用をなさない。例えばドルが上がりそうだと想定した時、どのぐらいの確率で当たるのか、どこまで上昇するのか。さらに直物でドルをどれだけの額を買うべきなのか、ドルのコール(買う権利)オプション購入を併用すべきなのか、株や金利関連商品と組み合わせるべきなのか。そのあたりの「機微」をAIに求めるのはまだ難しいだろう。 それでも、AIが得意とする「市場でいま何が起きているかをより速くより正確に収集し、アウトプットする」経験を積み重ねることで活路は開けるはず――。関係者はそう考えている。膨大なパターンから戦術を選び出し組み合わせる「最適化」はAIの独壇場だ。あるヘッジファンドのマネジャーは「パターン分析だけではランダムな市場に対処できないが、市場に向き合い続ければAIなりに『ランダム』を理解するかもしれない」と期待を寄せる。 「餅は餅屋」という。利益の最大化などの課題解消はまだ遠いが、一時期のAIブームが落ち着いた足元では、AIにどこまで実現させたいのか、AIの得意分野を見いだし選別していく余裕が生まれているはずだ。大手システム開発会社や金融機関各社の研究は急ピッチで進行している。 【日経QUICKニュース(NQN ) 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

「マイナス金利の海」に潜って稼ぐ海外勢 日本国債の保有比率が最高に

6月27日に日銀が公表した1~3月の資金循環統計(速報)によると、海外投資家の日本国債(T-Billを除く)の保有比率が過去最高を更新し、拡大し続けていることが明らかになった。海外勢の同保有比率は7%に過ぎないものの、13年4月に日銀が「量的・質的金融緩和」(巨額の国債買入れと大規模なマネタリーベースの供給)を導入する直前の13年3月末と直近19年3月末の比較では、金額ベースで37.4兆円増加している。 国庫短期証券(T-Bill)の保有比率では、海外勢は71%を占める。しかし、同期間における金額ベースでの増加は23.1兆円となっており、T-Billを除く国債の増加額が上回っている。最大の買い手はもちろん中央銀行(日銀)だが、マイナスへと沈んでゆく国債の買い手として海外勢が一翼を担っていることは明白だ。 そもそも海外投資家は、日本国債を買う際にベーシス・スワップと呼ぶデリバティブ(金融派生商品)取引を使う。邦銀にドルを貸し出して円を調達すると、日米金利差とプレミアム(上乗せ金利)が大きいため、国債の利回りがマイナスでも十分に採算がとれる構図だ。 1日に公表されたQUICK月次調査<債券>6月調査では、回答者の「長期金利の見通し」(グラフ緑)が、5月調査(グラフ赤)から大きく下方にシフトした。4月調査(グラフ水色)では調査時点から恒常的に金利上昇バイアスが生じているのに対して、5月、6月のいずれも調査時点での相場地合いを引き継ぎ1カ月後にはマイナス幅を拡大すると予想する。 また、今回の6月調査では6カ月後の金利水準が足元よりも低位にあることが特徴的だ。6月20日の金融政策決定会合後の記者会見で、黒田日銀総裁が「物価安定が損なわれるならば、ちゅうちょなく追加緩和を検討する」、プラスマイナス0.2%程度を念頭に置いている長期金利の変動幅については「具体的な範囲を過度に厳格にとらえる必要はない。ある程度弾力的に対応していくことが適当だ」と述べたことが背景に挙げられよう。6月19日に▲0.155%へ低下していた10年債利回りは同会見翌日の同21日には▲0.195%へと低下、日銀が許容する金利下限を探る動きとなった。 6月調査での、今後6カ月において「最も注目している債券価格変動要因」という設問では、「海外金利」が39%と高水準を維持した(グラフ赤)。4月調査以降低下基調にあった「短期金利/金融政策」が41%へと急反発する一方(グラフ水色)。「景気動向」が前回5月調査から9%へと急低下した(グラフ◆青)。海外経済の下振れリスクを手掛かりとした日銀追加緩和観測が反映されたものと言えよう。 また「最も注目している投資主体」では、「政府・日銀のオペレーション」が58%へと上昇し、18年12月以来の高水準となった。4月調査で39%まで上昇していた「外国人」が27%へと続落した。意外な結果だが、ベーシス・スワップで高利回りを享受できる海外勢が恒常的な買い手となってしまったことで、押し目待ちの国内市場参加者にとっては興味の対象ではなくなったのかもしれない。あるいは、本邦投資家の欧州債買いによってユーロ圏の金利が低下し、利回りを求めてJGB買いへとあぶりだされる欧州投資家の動向は想像に難くないということなのだろう。 月次調査のデータから円債相場の過熱感を測るツールとして作成した「Composite Index」は先行きの警戒感を示し始めている。左目盛り「50」が中立、上へ行くほど強気の過熱感、下へ行くほど弱気が過熱していることを示す。20年債利回りが16年以来の水準へと低下しているにもかかわらず、国内債券の組み入れ比率を「やや引き上げる」が大きく上昇、債券デュレーションを「やや長くする」が高水準を維持するなど、回答者が強気に傾き始めていることは明らかだ。強気の相場観によってポジションが構築されるのを引きつけながら、次の調査が発表される頃までには、そろりと売り場(逃げのタイミング)を考える時間帯なのかもしれない。(丹下智博)  ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

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