ヘリマネ導入「8割」が反対 過度な円安など副作用を懸念(7月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の7月調査を7月27日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者130人が回答、調査期間は7月22~26日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.245~マイナス0.225%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、前月に比べてマイナス金利は10年物までが深堀されましたが、15年物は同じマイナス域でも若干浅めになり、20年物以降は高めになっています。 具体的に6月末時点から7月26日時点までの数字を示すと以下の通りとなります。10年債・・・・▲0.221%⇒▲0.253%15年債・・・・▲0.086%⇒▲0.027%20年債・・・・・0.044%⇒ 0.168%30年債・・・・・0.058%⇒ 0.265% 直近で気になるのが、7月28~29日に開催される日銀金融政策決定会合において、もう一段の量的・質的金融緩和と、マイナス金利の深堀が行われるかどうかということです。株式市場の値動きをみると、追加金融緩和を織り込みに行く展開ですが、一方で日銀がバズーカを撃てる回数は限られるという見方もあります。仮に後者だとしたら、バズーカの「撃ち惜しみ」をすることも考えられます。いずれにしても、週末にかけては、日銀の金融政策決定会合および27~28日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定内容をめぐり、マーケットは神経質な動きになりそうです。 ヘリマネは「円安」「物価上昇」を導く? 今回のアンケート調査では「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」について質問しました。 まず、金融政策におけるヘリコプターマネーとは何か、という点について質問したところ、「財政支出拡大のための永久国債を日銀が引き受ける」が49%で最多となり、次いで「財政拡大と日銀の国債買入れ増額が同時に行われる」が16%、「財政支出のための利付国債を日銀が引き受ける」が14%という結果になりました。 償還期限のない永久国債を日銀が引き受ければ、確かに資金のバラマキにはつながるものの、一方では財政ファイナンスそのものとの反対意見も噴出する可能性があり、その実現可能性は難しいところがありそうです。 また、ヘリコプターマネーの効果については、「円安」との回答が71%に上りました。次に「物価上昇」が55%、「株高」が29%と続き、肝心の「経済活性化」は27%でした。 本来、金融政策は最終的に経済活性化を目的にしていますが、それがわずか27%でしかないのが皮肉な話です。 副作用が大きい?ヘリマネ 逆に、ヘリコプターマネーの副作用は何かとの問いでは、「財政規律の弛緩」が85%で断トツのトップ。次いで「過度な円安」が51%、「国債価格の暴落」と「外貨調達コストの上昇」が同率で44%となりました。 アベノミクスの政策は、過度な円高を修正することで、デフレ経済から脱却するというものでしたが、最も大事なことは、その間に企業業績が改善され、賃金が引き上げられることにあります。その流れが進まないなかでヘリコプターマネーがばらまかれると、逆に副作用だけが強調され、特に株式市場にとってはネガティブな影響を及ぼす恐れがあります。 なお、ヘリコプターマネーの導入に賛成かどうかを聞くと、実に77%の回答者が「反対」という結果になりました。 目先、マイナス金利の深堀は一服か? 新発10年国債の金利見通しは、6月調査に比べて若干の低下となり、マイナス金利の深堀がもう一段進むという見通しになりました。ただ、6月調査での12月見通しがマイナス0.204%で、7月調査での2017年1月見通しが同じマイナス0.204%となり、若干、足元よりも先の金利については、マイナス金利の深堀が一服するムードが強まっています。 実際、新発20年物国債の金利見通しについては、1カ月後、3カ月後、6カ月後のいずれの見通しにおいても、6月調査に比べて7月調査の方が金利は高くなっています。ただ、それも28~29日に行われる日銀金融政策決定会合においてどのような金融政策が打ち出されるのか次第という面はあります。 今後、6カ月程度を想定した時、注目度で上昇したのが「短期金利/金融政策」で、6月調査の74%から7月調査では80%に上昇。指数は78.4なので「短期金利/金融政策」は債券相場にとってポジティブ材料と受け止められています。 また注目する投資主体としては、6月調査に比べて大きな動きはなく、指数にも大きな変化はみられませんでした。 資産運用担当者の債券見通しはまだ強気 ディーリング部門を除く資産運用担当者64人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが現在、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が6月調査の63%から57%に低下する一方、「ややオーバーウエート」が13%から18%に上昇、「かなりアンダーウエート」が2%から6%に上昇しました。デュレーションからみると、債券についてはまだ強気の見方が多いようです。 現在のデュレーションは、「やや長い」が28%から22%に低下する一方、「やや短い」が16%から20%に上昇しましたが、当面のスタンスについて聞くと、「現状を維持する」が73%から75%に微増し、「やや短くする」が11%から3%に大幅低下。一方で「かなり長くする」が2%から3%に微増し、「やや長くする」が13%から17%に上昇しました。

英ポンド、反転には「EU離脱撤回」が最善との声も…(7月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の7月調査を、7月19日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者76人が回答、調査期間は7月11~14日)。この間の為替レートは、対ドルが101円89銭~104円21銭。対ユーロが112円33銭~115円11銭でした。 英ポンド、本格反転には時間? 英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)を決定した結果、英ポンドは主要国通貨に対して大きく下げました。国民投票の結果が出る前日6月23日の英ポンド/米ドルは1英ポンド=1.4867ドルでしたが、その後、一時1.2ドル台後半に下落しました。7月18日時点では1.32452ドルにやや戻していますが、安値圏での攻防が続いています。 年内に英ポンドはどの水準まで下落する可能性があると思うか聞いたところ、単純平均で1.216ドルとなりました。EU離脱を決めた英経済の先行きについては不透明要因が残るため、英ポンドの戻りについては懐疑的な見方が多く、再び下値模索の展開になる可能性もあります。 一方、英ポンドが反転する場合のきっかけは何だと思うか聞いた設問では、「EUからの離脱撤回」が44%で最多となり、次に「EU離脱交渉の開始」が25%で続きました。 7月13日にはテリーザ・メイ前内相が首相に就任。メイ首相は離脱派を率いたジョンソン前ロンドン市長を外相に起用したほか、新設した離脱交渉の担当相に離脱派の議員を任命しました。アンケート調査では「離脱撤回」こそが英ポンド反転につながるとの結果となりましたが、離脱強硬派が交渉を主導する見通しになり、今後はいつ離脱交渉を開始するかが焦点になりそうです。 FRBは12月に利上げに踏み切れるか? Brexitに伴う欧州経済の先行き不透明感を受け、今後、欧州に加え日米の金融当局はどのような金融政策を打ち出すことになるでしょうか。 まず米連邦準備理事会(FRB)の年内の金融政策についてですが、追加利上げが行われるとした場合のタイミングについては「12月に利上げ」が57%、次いで「9月に利上げ」が24%で続きました。一方、「追加利上げなし」は18%となりました。 6月の米雇用統計が前月から大きく改善し、再び年内の利上げ観測が高まりつつありますが、11月の米大統領選など重要イベントも控えている中で、市場関係者の間では早急な金融引き締めには動かないとの見方が大勢を占めています。 また、米国の政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの水準については、単純平均で2016年末が0.63%、2017年末が1.04%、2018年末が1.40%となりました。現在の政策金利0.25~0.50%の中心レンジ(0.375%)を基準にすると、今年は「1回」、17年は「2回程度」、18年は「1回」の利上げを予想している計算になります。 緩やかな利上げ基調が続くとの見方になっているものの、米国だけでなく世界の政治・経済情勢を見極めながらの金融引き締め策にはリスク要因も多いとあって、市場の想定通りには事が進まない可能性も考慮する必要がありそうです。 日銀金融政策「7月に追加緩和」6割超 次に、日銀の年内の金融政策については、「7月に追加緩和」が圧倒的に多く、62%を占めています。次いで、「9月に金融緩和」が19%、「10月に金融緩和」が7%、「12月に金融緩和」が11%となり、いずれにしても年内に追加緩和が行われると見る市場関係者が大半を占めています。 今後の日米の金融政策を受け、年後半の米ドル/円相場の高値・安値のレンジを聞いたところ、高値の単純平均が1ドル=110円47銭、安値の単純平均は1ドル=97円34銭となりました。FRBは7月の追加利上げを見送る一方、日銀は追加緩和に動くとの見方が大勢の中、7月末の日米当局の政策決定後の為替はどう動くのか。要注目です。 新興国通貨の改善目立つ 金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、7月末の平均値で1ドル=103円61銭となり、6月調査の1ドル=108円01銭に比べ円高・ドル安方向にシフトしました。また9月末時点の見通しは104円46銭、12月末が105円50銭であり、大きく円安・ドル高が進む環境ではないものの、今後の日米両国の金融政策次第では、ある程度、円安・ドル高に向かう可能性があると市場関係者はみているといえます。 為替レートに影響を及ぼす要因として注目されているのは、米ドル、ユーロとも「金利/金融政策」で、前月に比べて大きく上昇しています。特にユーロについては、Brexitの問題があり、英国とともに景気の先行きに対する不透明感が強まっており、今後、もう一段の金融緩和があるのか、注目されるところです。 なお、円については「当局の姿勢(介入含む)」が前月に比べて6%上昇しました。ただ、円売り介入の実施は、米国側の承認を必要とするだけに、現時点の可能性はそれほど高くはないと考えられます。 また向こう6カ月の間に各通貨が対円でどのように推移するかを聞いたところ、米ドルは上昇期待が高く、DIはプラス46に上昇。過去半年間の推移で最も高い水準になっています。これに対して、ユーロは前月のプラス5からマイナス15に転じました。Brexitの悪影響が懸念されていることを映しています。 その他、DIの改善がみられたのはブラジルレアルやロシアルーブル、南アフリカランドといった新興国通貨でした。ブラジルレアルDIは、今年2月時点ではマイナス41でしたが、その後、徐々に回復し、7月時点ではプラス21になりました。南アフリカランドについては6月調査でマイナス22だったのが、7月調査ではプラス7に改善しています。 運用担当者の外貨投資スタンスは慎重 運用者に運用ファンドの外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、当面の投資スタンスとしては、やや慎重ムードが強まっています。 運用ファンドの外貨建て資産の組入状況については、「ニュートラル」が6月調査の64%から55%に低下する一方、「アンダーウエート」が9%から18%に上昇しました。ちなみに過去半年の推移でみると、オーバーウエートの比率は最も高い水準にあるものの、同時にアンダーウエートの比率も最高水準にあります。それだけ、徐々に慎重姿勢の市場参加者が増え始めていることを意味しています。 これは、為替ヘッジに対するスタンスをみても同様で、「現在のヘッジ比率を維持」が低下傾向をたどっています。一方、「ヘッジ比率を下げる」が5月の29%から低下して6月は20%になっているのに対し、4、5、6月と0%が続いた「ヘッジ比率を上げる」との回答が7月は10%になりました。これらの数字からみえるのは、運用担当者の外貨投資に対するスタンスは、当面、慎重姿勢が続きそうだということです。 なお、企業の業績予想の前提となっている為替レートは、米ドルの平均値が1ドル=110円80銭でした。この1カ月以内で業績予想の前提となる為替レートを、円高方向に変更したのは、回答数10のうち2。また、今後については回答数9のうち2が「円高方向で変更」、「円高方向で変更検討中」が1となりました。

Brexit、影響はEU全体?それとも世界に波及?(7月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の7月調査を、7月11日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者162人が回答、調査期間は7月5~7日)。 調査期間中の日経平均株価は、1万5167円98銭~1万5702円04銭のレンジで推移しました。5月末にかけて1万7234円まで上昇した日経平均ですが、6月に入ってからは英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit)に対する警戒感が強まり、実際に英国のEU離脱が確定すると一気に1万5000円割れの水準まで急落しました。7月上旬にかけて日経平均は徐々に値を戻していますが、頭の重い展開が続いています。 EU離脱後の影響を不安視する声 今回のアンケート調査では、英国のEU離脱に関する影響について聞きました。 まず、英国のEU離脱が、他のEU諸国に対してどのような影響を与えるか、との設問については「離脱まではいかないが反EUの動きが活発化する」が68%で最多となりました。次いで「ほかにも離脱を目指す国が出てくる」が16%でした。比較的冷静な見方が大勢を占めていますが、欧州債務危機の時に、EU・ユーロの枠組みの中で、財政再建を巡って苦境に立たされたギリシャをはじめとした南欧諸国を中心に、EU離脱の動きが再燃しないとも限らないだけに、楽観視はできない状況が続きます。 また気になるのは、英国のEU離脱を機に、反移民政策を掲げる米国のトランプ候補が、11月の大統領選挙において優位に立つかどうかという点ですが、これについては55%が「特に影響はない」とみています。ちなみに「トランプ候補へ有利にはたらく」という回答は18%に過ぎず、英国のEU離脱が米大統領選挙に及ぼす影響は、限定的であるとの見方が大半を占めました。 英EU離脱、「EU全体か世界にマイナスの影響」8割 一方、今回の結果が経済に及ぼす影響については、懸念する声が非常に多くなっています。経済への影響について、「大きな影響はない」という回答はわずか9%。「マイナスの影響はEU全体に及ぶ」が42%、「マイナスの影響は世界全体に広がる」が40%となり、8割は英国へのマイナスの影響が欧州、場合によっては世界へと波及することを懸念していることが明らかになりました。 また、気になるのは日本への影響です。今回の調査で「日本企業の業績にどのような影響を与えると思いますか」という質問をしたところ、「欧州のウエートが大きい企業に影響する」が33%となり、次いで「輸出企業全般に影響する」が29%、「すべての日本企業(インバウンド関連を含む)に影響する」が18%で続きました。 やはり何がしかの影響が及ぶとみている市場関係者は多く、それが英国の国民投票以降の日経平均の株価のさえない展開にも反映されていると考えることができます。リスクオフ(リスク資産の敬遠)傾向の際に買われやすい円についても1ドル=100円近辺と高止まりしており、マーケットは神経質な展開が続きそうなことを示唆しています。 注目される投資主体として「企業年金・公的資金」が浮上 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万5599円となり、前回調査の1万7042円に比べて大幅に下方修正されました。英国の国民投票以降、マーケットはさえない展開が続いており、先行きの見通しについて慎重なスタンスを強めています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「内部要因・市場心理」、「景気・企業業績」、「為替動向」が若干上昇する一方、「金利動向」、「政治・外交」、「海外株式・債券市場」が低下しました。また、各要因が株式相場にどのような影響を及ぼすかについては、「景気・企業動向」が51.4から39.4、「為替動向」が50.5から34.へと低下し、従来のプラスの要因からマイナスの要因に転換しています。特に為替については、1ドル=100円割れを想定している市場関係者も多く、輸出企業への業績懸念が高まっています。 また、今後6カ月程度で最も注目している投資主体としては、「企業年金・公的資金」が前回調査の1%から7%に上昇したのが目立ちました。ちなみに「企業年金・公的資金」の指数は59.3から63.6に上昇しています。下値で押し目買いに動く傾向が強い機関投資家の買い出動に加え、政府・日銀の対応にも期待が高まっているといえそうです。 株式への資金シフトにはやや慎重姿勢 資産運用担当者66人を対象にしたアンケート調査では、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」が20%から16%に、「ニュートラル」が61%から46%に低下する一方、「ややアンダーウエート」が14%から26%、「かなりアンダーウエート」が6%から10%に上昇しました。 一方、当面どのようなスタンスで臨むかについては、株価の下がったところで仕込むという考えもあるようで、「かなり引き上げる」は4%から0%に低下したものの、「やや引き上げる」が14%から16%に上昇する一方、「やや引き下げる」が15%から14%に低下しました。 とはいえ、本格的に株式へ資金シフトさせるところまではいかないようです。円の高止まりが続き、世界経済の先行き不透明感が根強い中で当面の投資家は慎重なスタンスを継続する可能性が高そうです。

Brexitで金利低下が深化 マイナス金利効果「期待できない」過半(6月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の6月調査を7月4日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者138人が回答、調査期間は6月28~30日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.235~マイナス0.230%で推移しました。 10年国債まではマイナス金利が定着していましたが、より期間の長い国債にもマイナス金利が及び始めています。1カ月前とイールドカーブを比較すると、次のようになります。 前者が1カ月前、後者が7月1日時点の数字になります。 10年債・・・・・▲0.115%⇒▲0.253% 15年債・・・・・・0.042%⇒▲0.093% 20年債・・・・・・0.235%⇒ 0.044% 30年債・・・・・・0.302%⇒ 0.108% 1カ月前まで15年国債以上は辛うじてプラスの利回りを維持していましたが、15年国債の利回りもマイナスになったことで、いわゆる「マイナス金利」が一段と深化しているのが分かります。10年国債の利回りは6月中旬あたりから連日のように過去最低を更新し続けました。 このように、長期金利が連日で過去最低水準を更新し続けた理由としては、国内景気の低迷と物価上昇率の鈍化もありますが、6月23日に行われた英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票で「離脱派」勝利の結果が出たことによって、マーケットがリスクオフの状態になったことも影響したようです。 マイナス金利に対する期待感の後退 今回は、日銀の金融政策についていくつかの質問をしました。 まず、「マイナス金利政策の導入によって現時点でどのような効果が出ているとお考えですか」という問いに対する回答は「効果は期待できない」が52%と最多となりました。次に多かった回答が「金融機関のポートフォリオ・リバランスが進んでいる」で42%、「一段の円高・株安が食い止められている」が16%となりました。 「一段の円高・株安」がどの程度の水準を示しているのかが分かりませんが、日銀がマイナス金利導入を発表した1月29日時点の日経平均株価が1万7518円、ドル円は1ドル=121円03銭でしたが、7月1日時点の日経平均は1万5682円、ドル円の1ドル=102円51銭となり、株安・円高が進んでいます。マイナス金利の導入が直接的であろうと間接的であろうと、株高・円安を狙ったものだとしたら、「効果は期待できない」という回答が最も高くなるのは、当然のことでしょう。 マイナス金利の副作用「債券市場の機能低下」「金融機関の収益悪化」… 気になるのは、今後もマイナス金利が続いたとして、その副作用です。これについては、「債券市場の機能低下」が91%を占め、次いで「金融機関の収益悪化」が89%、「年金財政の悪化」が56%となりました。 マイナス0.3%は既に織り込み済み? また、マイナスの政策金利はどこまで引き下げられるかについては、「マイナス0.3%」が40%で最も多く、次いで「マイナス0.5%」が21%で続きました。 現時点で10年債利回りはマイナス0.260%と過去最低水準を更新しており、マーケットは「マイナス0.3%」という水準を既にかなりの角度で織り込んでいることが分かります。この水準を突破すれば、「マイナス0.5%」を視野に入れる動きが強まるかもしれません。 日銀緩和策「縮小すべき」4割 日銀は金融政策をどのように運営すべきかについては、「緩和策を縮小すべき」が40%、「現状維持」が28%、「さらに緩和政策を強化すべき」が23%となりました。市場関係者の間では、必ずしもマイナス金利政策は歓迎されていないことが、これらの数字からも読み取れます。 相変わらず高い政府・日銀のオペレーションに対する注目度 新発10年国債の金利見通しは、5月調査分に比べて大幅に低下しました。同時に新発20年国債の金利見通しも、5月調査分に比べて大幅に低下しており、債券市場全体にマイナス金利の影響が及んでいるのが分かります。少しでも利回りを確保したいというニーズが運用サイドにある限り、今後、より期間の長い債券に対する買い意欲は続き、もう一段の金利水準低下が予想されます。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で最も注目されているのは「短期金利/金融政策」でした。とはいえ、他の要因も含めて注目度については、5月調査分に比べて大きな変動はみられませんでした。また、債券相場に影響を及ぼす度合いを示す指数をみると、海外金利が前回調査の43.2から63.2に上昇しています。これは海外金利の動向が、長期金利の低下(=債券価格の上昇)に強く影響することを意味しています。 また、注目される投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が相変わらず高く、前回調査の68%から73%に上昇する一方、「都銀・信託銀行(投資勘定)」は12%から6%に低下しました。今や債券市場の需給を左右するカギは政府・日銀であり、その動向が債券相場に強く影響することが分かります。 マーケット参加者の物価上昇期待が大幅に低下 ディーリング部門を除く資産運用担当者67人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややアンダーウエート」が17%から23%に上昇する一方、「かなりアンダーウエート」が7%から2%に低下。「ややオーバーウエート」が微増となりました。今年に入ってからの傾向は、「ニュートラル」の比率が圧倒的に高くなっていますが、「ややオーバーウエート」が徐々に上昇しており、高値を警戒しながらも慎重に債券投資を進めている様子がうかがわれます。 また当面のスタンスは、「やや引き下げる」が前回調査の23%から19%に低下する一方、「現状を維持する」が71%から73%に、「やや引き上げる」が2%から8%に上昇しました。デュレーションに関する指数は、前回調査の54.9から52.8に低下したものの、「基準通り」であることを示す50よりも高い水準を維持していることから、債券価格の上昇を狙った、やや強気のスタンスであることを示しています。 またCPIコア変化率の今後1年間平均は、前回調査の0.33%から0.24%まで急低下しました。この点からも、物価の上昇期待が後退していることが伺われます。

米利上げ、年内1回が大勢 それでもリスクオフは避けられず?(6月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の6月調査を、6月13日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は6月6~9日)。この間の為替レートは、対ドルが106円97銭~107円73銭。対ユーロが121円59銭~122円44銭でした。 年内の米利上げ「1回」が大勢 時期は7月?12月? マーケットでは5月に入り、早期の米利上げの思惑が広がる場面もありましたが、6月3日に発表された5月の米雇用統計の数字によって、少なくとも6月利上げの線はほぼなくなったとの見方が出ています。失業率は4月の5%から5月は4.7%に低下したものの、非農業部門雇用者数が事前予想の16万人増を大きく下回る3.8万人増に留まったためです。 過去2年程度の非農業部門雇用者数の推移をみても最も悪かった2015年3月で12.6万人増でした。他の月は、概ね20万人前後の増加で推移しており、5月の数字(3.8万人増)はいかにも悪い数字にみえるのは、致し方のないところでしょう。 こうした状況もあり、FRBが年内に何回利上げを行うと思うか聞いたところ、「1回」という回答が最も高く53%を占め、「2回」の43%を上回りました。 FRBが年内利上げに踏み切るタイミングについては、「7月」が最も多く54%、次いで「12月」が46%、「9月」が31%で続きました。仮に7月の利上げが実現しなければ、11月の米大統領選などのイベント前に一段と金融の引き締めは行いづらくなる可能性もあります。6月の雇用統計を含め今後の米経済指標の内容は非常に大きな影響を及ぼすことになりそうです。 6~7月の米利上げ、リスク資産の下落は不可避か こうした米経済に不透明感も漂う中で仮にFRBが6月もしくは7月に利上げを行った場合、各マーケットにはどのような影響が及ぶでしょうか。 世界の株式相場、NY原油先物相場、新興国通貨の値動きを予想してもらったところ、それぞれで最も多かった回答は「下落」となりました。 イエレンFRB議長は金融引き締めについては「緩やかに行う」とのメッセージを市場に発信し続けていますが、今回の結果は、利上げが実施されればリスクオフに陥ることは避けられないことを示唆しています。仮に慎重に利上げを実施してもマーケットはひと波乱が起きる可能性に留意しておく必要がありそうです。 増税延期、日銀金融政策への影響は? 6月緩和説は後退 日本国内においては、安倍首相が2017年4月に予定されていた消費税率の8%から10%への引き上げを2019年10月まで2年半延期することを表明しました。消費増税延期が、日銀の金融政策にどのような影響を及ぼすのかを聞いたところ、「特に影響しない」が45%で最も高く、次いで「追加緩和圧力が増す」が31%でした。 また日銀の年内の金融政策については、「7月に追加緩和」という見方が41%と最も多く、「6月に追加緩和」の20%を上回りました。ちなみに前回5月調査では「6月に追加緩和」が53%で、「7月に追加緩和」は22%でした。 結果をみると、早期の追加緩和観測が後退した格好となっていますが、足元の外国為替市場では再び円高が進み、日経平均株価も軟調に推移しています。これまでの黒田日銀の政策手段をみるとサプライズを演出することが多かったという事実があります。期待が後退する中で6月の追加緩和に踏み切ればマーケットへのインパクトも大きくなるとみられるだけに、黒田日銀がどういう動きをみせるか、目が離せません。 為替見通しは円高方向に 毎月定点調査している金融機関の外為業務担当者の為替見通しによると、6月末の平均値で108円01銭となり、前回調査の109円48銭に比べて円高方向にシフトしました。 前述したように、5月の米雇用統計の数字が非常に悪かったことが影響しています。マーケット関係者の間では、7月に利上げを行うという見方が多いようですが、ここから先、さらに雇用が悪化する指標が相次げば、GDPの7割を個人消費が占める米国経済にとって、ネガティブインパクトになり、株売り・ドル売りにつながる恐れは十分に考えられます。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「金利/金融政策」が前月比で9ポイント上昇し62%になりました。米ドルは前月比で大きな変化はみられなかったものの、やはり「金利/金融政策」が69%と高い水準を維持。一方、ユーロの「金利/金融政策」に対する注目度は、前月比で10ポイント低下しました。 また、向こう6カ月間で各通貨は対円でどのように推移するかとの質問については、米ドルDIの上昇が一服。ユーロDIは3月のマイナス53から徐々に改善し、6月はプラス5まで上昇してきました。また、スイスフランDIがマイナス12からプラス22に大幅上昇。NZドルやブラジルレアル、インドルピー、ロシアルーブルの各DIもマイナス圏からプラスに転じました。 新興国通貨のアンダーウエート比率高まる ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面のスタンスは「オーバーウエート」と「ニュートラル」が若干上昇した半面、「アンダーウエート」は低下しました。比率で見れば、ニュートラルが圧倒的に高く、ポジションをどちらにも傾けにくい状況にあるようです。 また、為替ヘッジに関する当面のスタンスは、「現在のヘッジ比率を維持」が再び上昇傾向をたどり、「ヘッジ比率を下げる」が低下。「ヘッジ比率を上げる」が0%のままでという点から考えると、やはりここから先、円安に向かうのか、それとも円高に向かうのか、様子をうかがっている雰囲気が感じ取れます。 個別通貨についてみると、外貨建て資産のうち、各通貨の組入比率について当面、どのようなスタンスで臨むかを聞いたところ、オーバーウエートからアンダーウエートを差し引いたDIで、米ドルはプラス45からプラス33に低下。ユーロ、英ポンド、スイスフラン、資源国通貨はいずれもマイナス圏で、アンダーウエートではあるものの、前月に比べてマイナス幅は縮小。逆に同じマイナス圏でも、新興国通貨のDIは、前月のマイナス25からマイナス45になり、大幅なアンダーウエートになりました。

今期経常益は1桁増に留まり、予想PER14倍は「妥当」との見方(6月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の6月調査を、6月6日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者160人が回答、調査期間は5月31~6月2日)。 調査期間中の日経平均株価は、1万6525円47銭~1万7251円36銭の範囲内で推移しました。日経平均は5月連休明けから徐々に上昇トレンドに入り、5月31日には1万7234円98銭まで上昇しました。26~27日に伊勢志摩サミットが開催され、それに向けて消費税率引き上げの延期や財政出動などの好材料が出ることに対する期待感が株価を押し上げました。 一方、調査期間終了後の3日に米国で発表された5月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比3万8000人の増加にとどまりました。エコノミストからは「悲惨な結果」との声も漏れる結果を受けて早期の米利上げ観測が後退。それに伴って外国為替市場では円高・ドル安が急速に進み、週明けの東京市場では1ドル=106円台で推移しています。現状の円相場の水準は業績に向かい風となる企業も少なくなく、予断を許さない状況です。 上場企業の経常利益見通しは厳しい 今回のアンケートでは、今期の経常利益に関する見通しを聞きました。 3月期決算企業の経常利益(金融を除く全産業)は、日本経済新聞社の集計によると前期実績が前期比マイナス1.3%、今期の会社予想が同プラス2.7%となっています。これを踏まえ、今期経常利益をどう予想するか株式市場の関係者に聞いたところ、「1桁のプラス」が最も多く49%を占めました。次いで「横ばい圏」が29%、「1桁のマイナス」が17%で続きました。今期は増益に転じるとはいえ、市場参加者の多くは業績が力強さには欠けるとみていることを示しています。 マクロ環境からも景気がスローダウンしている状況がみて取れます。4月の実質消費支出は、2人以上の世帯で前年同月比0.4%のマイナス。消費者態度指数は前月比0.9ポイント低下の40.8で、2カ月ぶりの低下となりました。また、国内新車販売台数は4月に前年同月比1.6%増と16カ月ぶりにプラス転換したものの、これまでの減少基調が続いていたことからも耐久消費財の動向についても、決して楽観視できる状況ではありません。 また、為替レートも業績の先行き見通しに暗雲を漂わせています。5月末にかけて、やや円安方向に持ち直してはいましたが、6月3日に発表された米雇用統計の数字が、ネガティブサプライズともいうべき悪い数字だったことから、6月中の米利上げ観測が後退し、ドルが売られました。 日本経済新聞社の集計によると、主要企業360社が今期見通しの前提とする想定為替レートは1ドル=110円としたところが過半を超えました。現在の為替レートは、想定レートに比べて円高水準であり、この状態が続けば、今期の経常利益は厳しい状況に直面する恐れがあります。ちなみに、今期大幅な減益を見込んでいる自動車業界の想定為替レートは、1ドル=105円を想定するところが多いようです。 また、前期において多額の特損・減損を計上する企業が目立ちましたが、それらの企業に対する評価としては、「主体的に膿を出し切ったとしてプラスに評価」が49%で最多となりました。次いで「キャッシュフローに関係ないので影響なし」が26%でした。市場参加者は概ね今回の企業側の判断を肯定的に捉えています。 日経平均の予想PER「妥当」が6割強 また、かなりの減益予想にも関わらず配当金を維持または増額している企業に対する市場の見方ですが、「プラスに評価」が66%となり、「マイナスに評価」の11%を大きく上回りました。厳しい事業環境は続くものの、株主還元強化の動きは引き続きプラスに働き、株式相場を下支えする一因になりそうです。 なお、株価のフェアバエリューを判断するうえで重要なPER(株価収益率)については、日経平均採用銘柄の今期予想で14倍前後ですが、この水準に対する評価としては、「妥当」が64%となり、ほぼ適正水準と評価されました。ちなみに「割高」は5%で、「割安」が30%です。 為替動向への注目度高まる 回答者の1カ月後の日経平均株価予想は上方にシフトし、5月調査の1万6756円(確報値)から6月調査では1万7045円になりました。5月末にかけ、株価が上昇トレンドだったことが、マーケットの先行きに対して明るさを持たせています。 今後6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業業績」が前回調査の43%から30%へと大幅ダウン。一方で「為替動向」が32%から34%に上昇するとともに、「海外株式・債券市場」は4%から13%に大幅上昇しました。国内企業の収益変動要因としては世界の経済動向や金融政策、それを受けた円相場の動きの影響を受けやすくなっており、今回の結果は海外発の材料に注目する市場参加者が多くなっていることを示唆しています。 また、今後6カ月程度で最も注目している投資主体としては、「外国人」が85%と相変わらず高く、個人が前回調査の6%から8%に上昇しています。一方、「企業年金・公的資金」は3%から1%に低下しました。 株式市場の先行きに国内投資家は慎重姿勢 資産運用担当者66人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が0%に低下し、「ややオーバーウエート」が20%で変わらず。「ニュートラル」が今年に入ってから基調としては上昇しており、「ややアンダーウエート」は4月調査の18%から12%へと低下してきました。 また当面のスタンスとしては、「かなり引き上げる」という積極的なスタンスが2%から4%に上昇しているものの、「やや引き上げる」が22%から12%に低下。「ニュートラル」が63%から71%に上昇しているあたり、先行きに対する慎重なスタンスが伺われます。

マイナス金利でリスク資産へのシフトは本当に進む?(5月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の5月調査を5月30日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者144人が回答、調査期間は5月24~26日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りが、マイナス0.110~マイナス0.100%で推移しました。 マイナス金利は、10年債まで一段と深化したものの、15年債以上の金利低下はいったん止まったようにもみられます。1カ月前とイールドカーブを比較すると、次のようになります。前者が1カ月前、後者が5月27日時点の数字になります。 10年債・・・・・・▲0.104%⇒▲0.114% 15年債・・・・・・ 0.049%⇒ 0.051% 20年債・・・・・・ 0.245%⇒ 0.249% 30年債・・・・・・ 0.287%⇒ 0.311% 10年債よりも短い債券の利回りはマイナス金利が進んだものの、15年債よりも長期のものについては1カ月前に比べて若干ではありますが、利回りが上昇しました。とはいえ、日銀が再びマイナス金利の拡大政策を打ち出してこない保証はどこにもなく、今後の景気動向次第では、もう一段の低下余地を織り込む動きも考えられます。 マイナス金利によってリスク資産への資金シフト進む? 今回の特別アンケートでは、マイナス金利が進む国内債券市場について、「マイナス金利下の債券運用」について質問しました。現状、13年債までマイナス金利になっているなか、さらに国内債券を買う動きはあるのでしょうか。 まず最初に「マイナス利回りの債券を購入しますか」と聞いたところ、最も多かった回答が「購入しない」で43%に達しました。次いで「売却目的で購入」が33%、「運用方針に基づき保有目的で購入」が18%で続きました。 また国内債券ポートフォリオの変更についても聞きました。それによると、「株式・外債などリスク資産にシフトする」が27%で最多となりました。次いで「プラス利回りの超長期債を増やす」が22%、「変更しない」が17%、「社債を増やす」が15%となりました。 株式市場にコミットしている投資家にとって、「リスク資産にシフトする」という回答が最多だったのは、喜ばしい結果でしょう。また、「超長期債を増やす」ことで、15年債や20年債、30年債など、利回りがプラス圏にある超長期債の利回り低下が進む可能性もあります。 ただ、マイナス利回りの債券について「購入しない」が最多となったことからも示唆されるように、今後、国内投資家の国債の購入意欲が後退すれば、頼れるのは日銀による買いのみになります。しかし、すでに日銀は国債を大量に保有しており、「財政ファイナンスではないか」という声も浮上してきています。債券市場の需給バランスが崩れないか、懸念されるところです。仮に債券市場の需給が崩れれば、景気低迷局面での金利上昇という「悪い金利上昇」に見舞われる恐れがあります。そうなれば株式相場にとってもマイナス要因となりかねません。 政府・日銀のオペレーションに対する注目度は相変わらず高い 新発10年国債の金利見通しは4月調査分に比べてさらに低下し、1カ月後の見通しではマイナス0.086%からマイナス0.097%となりました。新発20年国債の金利見通しも新発10年国債と同様、金利の見通しは一段と低下し、0.330%から0.275%となりました。前述したように、債券ポートフォリオの見直しを行うなかで、「プラス利回りの超長期債を増やす」動きが進むとみる市場関係者が多いものと思われます。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で最も注目されているのは「短期金利/金融政策」で、絶対値が73%と高いのに加え、3月調査分からの流れを見ても、徐々に注目度が高まっています。 それと共に、同じく注目度が高まっているのが「景気」で、3月調査分は2%に過ぎませんでしたが、4月調査分が5%、5月調査分が6%になりました。国内景気の後退色が強まるなか、安倍首相は消費税率の10%への引き上げを2年半延期するという方針を固めたと報じられましたが、それでも景気後退色が濃くなるようであれば、再び追加の金融政策が発動される可能性も否定できません。 また、注目される投資主体としては「政府・日銀のオペレーション」が相変わらず高く、68%に達しています。ちなみに同項の指数は84.3(50を上回れば債券相場にプラス、下回ればマイナス)なので、市場関係者の大半は、政府・日銀のオペレーションが債券相場にポジティブな影響を及ぼすと考えているのが分かります。つまりマイナス金利がさらに進む可能性があるということです。 当面の債券投資スタンスはやや保守的 ディーリング部門を除く資産運用担当者72名を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が3%低下、「ややアンダーウエート」が2%低下する一方、「ややオーバーウエート」が1%上昇、「かなりアンダーウエート」が3%上昇しました。昨年12月調査分からの推移をみると、「ややアンダーウエート」が30%から17%まで低下傾向をたどっているのに対し、「ニュートラル」が54%から64%に上昇。「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」がほぼ横ばい、「かなりアンダーウエート」が微増です。債券のマイナス金利が進んだことで、やや様子見ムードが強まっていたようです。当面の国内債券の組み入れについても、各項目ともほぼ横ばいの推移となりました。 債券のデュレーションについては現在は「かなり長い」「やや長い」がともに上昇しました。一方、当面のスタンスを聞くと、「やや長くする」が4月調査分の26%から14%に急低下し、「現状を維持する」が73%に上昇。「かなり短くする」が0%から6%に上昇しています。この点から、債券のポートフォリオについては、やや保守的な傾向がみられます。 ちなみに、アンケート回答者全員にCPIコア変化率を聞いたところ、今後2年間で0.67%となり、前回調査よりも下がっています。この数字は消費税要因を含めています。それにも関わらずCPIコアが低下したということは、今後2年、消費税率の引き上げが行われないことを、市場参加者が織り込んでいるものとも考えられます。

黒田日銀の対話力に市場は不信感 高まる6月緩和期待は見送りの前兆?(5月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の5月調査を、5月23日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者64人が回答、調査期間は5月16~19日)。この間の為替レートは、対ドルが108円76銭~109円42銭。対ユーロが123円06銭~124円04銭でした。 黒田日銀の「市場との対話」、8割超が問題ありと回答 「黒田バズーカ」と言われる量的金融緩和を断行し、「円安・株高」を演出する立役者の1人となった黒田東彦日銀総裁。2013年4月に日銀総裁に就任するや、大規模な量的金融緩和を実施することによって見事、「レジームチェンジ(経済環境の潮目の変化)」を印象付けた手腕は高く評価されましたが、果たして今はどうでしょうか。 日銀は今年1月28~29日に開催された金融政策決定会合において、マイナス金利の導入を決定しました。しかし、それによって円安・株高が進むどころか、恐らく日銀の意に反して円高・株安に転じる結果となりました。黒田バズーカの神通力は完全に失われた感があります。マーケット参加者による黒田・日銀への評価はどうなのでしょうか。 まず、日銀の黒田東彦総裁による「市場との対話」を現状どう評価しますか、という問いに対しては、「かなり問題がある」が46%、「やや問題がある」が38%となり、合計84%が「問題あり」とみていることが分かりました。 「黒田バズーカ」は市場の期待以上の緩和策を断行したり、予想外のタイミングで追加緩和に動いたりするというのが特徴のひとつでした。しかし、市場では「市場への(金融緩和の)短期的なインパクトを意識しすぎており、発言と行動がかい離しつつある」(銀行)との声も聞かれます。 マーケット参加者は企業業績でも金融政策でもそうですが、方向性がはっきりしない「先行きの不透明感」を嫌う傾向があるとされます。不透明感が強ければマーケットに影響する材料が出た時の相場変動(ボラティリティ―)が大きくなるため、リスクを取りづらい状況が続くためです。黒田総裁の発言が結果的に市場の混乱を招いているとの思いが、マーケット参加者のこうした低い評価につながったとみられます。 6月追加緩和に黄信号? 回答者の過半数が予想 黒田・日銀と市場との対話がギクシャクするなか、日銀の年内の金融政策をどう予想するか聞いたところ、「6月に追加緩和」が53%で最多となりました。次に「7月に追加緩和」が22%となり、「追加緩和なし」は8%にとどまりました。 国内景気に力強さがなく、日銀が掲げる物価上昇2%の目標達成にも暗雲が垂れ込める中で市場は追加緩和の実施を確実視している状況といえます。ただし、ある回答者は「黒田総裁のこれまでの行動様式から考えると、市場が追加緩和期待をしている状況では追加緩和をしてこないだろう」と予想しています。 まさに、黒田日銀総裁の市場との対話能力が問われるところですが、過去の状況が示すようなよりサプライズを狙った対応をみせるのか、市場の見方・期待に歩み寄るのか、6月の日銀会合での黒田総裁の行動に要注目です。 なお、日銀が次に金融緩和を行うとした場合、その手法は何かという点ですが、これについては、複数回答可で「質的緩和拡大(買い入れ対象資産の拡大)」が88%を占め、次に「量的緩和拡大(買い入れ金額の増額)」が59%で続きました。一方、「マイナス金利の拡大」は42%、「貸出支援基金へのマイナス金利適用」が38%で、マイナス金利に対する期待感はやや後退した感があります。 為替介入のトリガーは「100円」か また日本の為替政策についても質問してみました。米政府が4月下旬に発表した為替報告書で日本の為替政策を監視リストにしてした一方、麻生財務相は円高進行に対して為替介入の用意があると明言しています。そこで、実際に円売り介入に踏み切る場合の引き金となる水準について聞いたところ、平均値で1ドル=100円55銭となりました。 今回の回答者のレンジは90~105円となっています。日米金融当局者のつばぜり合いは当面続きそうな雰囲気ですが、やはり100円の大台を突破するような円高が進行するようだと、マーケットに与えるインパクトも大きいとみられ、日本政府も行動に移すとの見方が市場では根強いようです。 FRBの追加利上げ、「12月」予想が42%で最多 次に米金融政策です。6月14~15日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の6月23日に英国ではEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票が実施されます。このイベントはFOMCの政策決定にどのような影響を及ぼすかについて聞いたところ、47%が「利上げ見送りの要因になる」と回答した一方、52%が「特に関係ない」と答えています。 またFRB(米連邦準備理事会)の年内の金融政策については、「6月に追加利上げ」が27%、「7月に追加利上げ」が30%を占める一方、「12月に追加利上げ」が42%となりました。 11月の大統領選挙前にはFRBも政策決定で動きにくい面があるため、大統領選挙が終わる12月に追加利上げが行われるとの見方が多くを占めたものと考えられます。 一方、5月18日(日本時間19日)に公表された4月26~27日開催分のFOMC議事要旨では、大半の参加者が「6月会合で利上げが適切となる」と判断していたことが分かり、市場では6月利上げ説が再浮上しつつあるようです。しかし、利上げの条件は「経済・物価情勢の改善が続く」か否か。今後も米経済の回復力や世界情勢を見極めながらの状況が続きそうです。 頭打ち感が強い資源国通貨 毎月定点調査している金融機関の外為業務担当者の為替見通しによると、5月末の平均値で109円48銭となり、前回調査の109円15銭に比べてやや円安方向にシフトしました。6カ月後には111円台も視野に入っています。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高い状況に変わりはありませんが、ドルについては前月比で9%の減少です。逆に「当局の姿勢(介入を含む)」については、ドルが前月比で5%の増加となりました。 また、向こう6カ月間のうち、各通貨は対円でどのように推移するかについては、米ドル高に対する期待感が徐々に高まっているものの、スイスフランやNZドル、インドルピーは、プラス圏だった前月から、マイナス圏に変わってきました。そのほか、カナダドル、豪ドル、南アフリカランドなどの資源国通貨は弱含みで推移。原油高で一時は持ち直す展開になりましたが、戻りが弱く、先行きに対する悲観ムードが浮上しています。 企業のドル円想定レートは112円80銭 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面のスタンスは「ニュートラル」が前回調査に比べて低下する一方、「オーバーウエート」が11%から25%に上昇しました。ひところの円高悲観ムードは、やや後退した感があります。また、為替ヘッジに関する当面のスタンスは、「現在のヘッジ比率を維持」が88%から71%に低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」が13%から29%に上昇しました。なお、業績予想の前提となる想定為替レートについて聞いたところ、平均値はドル円で1ドル=112円80銭、ユーロ円で1ユーロ=125円05銭になりました。

社外取締役のガバナンスは企業不祥事を抑えられる?抑えられない?(5月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の5月調査を、5月16日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者155人が回答、調査期間は5月10~12日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6200~1万6800円台で推移しました。同期間に良くも悪くもホットな話題となったのが三菱自動車の動向です。三菱自動車は4月下旬に軽自動車4車種で燃費を実際より良く見せる不正を意図的に行っていたと発表。燃費不正問題の全面解明が急がれる最中の5月12日には日産自動車が三菱自動車に2000億円強を出資し、傘下に収めることを発表しました。 セブン&アイの役員人事ケース「ガバナンスが有効に機能」過半数 こうした状況もあって、今回のアンケートでは、社外取締役の役割や機能について伺いました。三菱自動車の不正燃費問題のほか、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長の電撃辞任など、日本を代表する企業で起こったこれらの出来事において、社外取締役がその役割と機能をきちっと担ったのかどうかというのが、今回の質問のポイントです。 まずセブン&アイ・ホールディングスの役員人事においては、社外取締役が重要な役割を果たしたと言われていますが、これについてどのように思うかを聞きました。それによると、「ガバナンスが有効に機能した」との回答は53%で最多となりました。次に「混乱を抑えきれず、ガバナンスが機能したとはいえない」が26%で続き、「オーナー家の意向を反映したにすぎない」が18%で続きました。 今回の役員人事は、井阪隆一セブン・イレブン・ジャパン社長を退任させる案を鈴木会長が提案したものの、それに対して過半数の賛同が得られなかったため、鈴木会長が「自分は信任されていない」と判断、自らの引退を決意したというのが経緯です。役員会での人事案に対する採決は、15人の取締役のうち反対が6票、賛成が7票、白票が2票でした。 三菱自の不正、社外取締役では発見困難? また三菱自動車の燃費不正問題では、同社に4名の社外取締役がいたにも関わらず、今回の問題を防げなかったことに対して、どのように考えるかと問いました。 その結果は、「社外取締役では今回のような不正を防ぐのは困難」が55%と最多。「社外取締役を機能させる仕組みが整っていなかった」が34%で続き、「社外取締役とはいえ、独立性に問題があった」が9%となりました。 社外取締役の機能にみられる限界点 一方、三菱自動車や東芝、東洋ゴム工業など、企業不祥事が相次いでいる中で社外取締役の機能を強化することによって不祥事が防げるかどうかを聞いたところ、「ある程度は防げる」が58%に達し、「防げる」(1%)を合計すると約6割は防げるとみていることが分かりました。半面で「ほとんど効果はない」との回答も4割弱に上っています。 社外取締役はあくまでも「社外」であり、社内の深層に迫って不祥事を未然に防げるかというと、そこには限界があるものの、配置しないよりはましということでしょうか。 東京証券取引所が昨年6月に導入した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)では、2人以上の独立社外取締役の選任を求めています。その他の統治改革を併せて中長期的な企業価値の向上を図ろうとするのが真の目的ですが、まだまだ課題は多いといえそうで、規制当局にとっても行動を起こす企業にとっても試行錯誤の状況は続きそうです。 伊勢志摩サミットの行方に注目 回答者の1カ月後の日経平均株価予想はやや上方にシフトし、4月調査の1万6077円(確報値)から5月調査では1万6756円になりました。 一方、日経ジャスダック平均は、前回調査に比べて5.18%も上方にシフトしました。個人マネーが主力大型株より新興株に向かっており、新興株市場全体の地合いが好調なことが要因とみられます。 今後、6カ月程度を想定した株価変動要因としては、「政治・外交」に対する注目度が前回調査の8%から15%に大きく上昇しています。景気・企業業績や為替は、注目度こそ高いものの、前回調査に比べると、ほぼ横ばいとなりました。5月26~27日に伊勢志摩サミットが開かれますが、久々に経済サミットとしての色彩が強いと考えられています。政治・外交への関心の高まりはこの点が意識されているとみられ、同サミットで討議・合意される内容への関心が集まりそうです。 また、注目している投資主体としては、前回調査とほぼ同じ結果となりましたが、相変わらず外国人投資家の注目度が他の投資主体に比べて圧倒的に高い水準にあります。ちなみに外国人投資家の動向が株式市場に及ぼすインパクトとしては、前回調査ではネガティブ要因でしたが、徐々に中立へと向かっています。日本の株式市場は外国人投資家の動向に左右される面が強いだけに、今後の動向は要注目です。 今後の投資スタンスはやや強気見通しに変化 資産運用担当者68人に、国内株式への投資スタンスなどを聞きました。 まず、運用しているファンドにおいて、国内株式の現在の組入比率は、通常の比率に比べてどうなのかということですが、「かなりオーバーウエート」は前回調査と変わらず2%とごく少数。一方で「かなりアンダーウエート」が2%から6%に上昇しました。他は大きな変動もなく、「ニュートラル」が過半数を占めていますが、「かなりアンダーウエート」が6%に伸びた点からも、日本株の組入れに対してやや慎重なスタンスが伺われます。 ただ、当面の投資スタンスについては、やや積極的な動きもみられます。「現状を維持する」が78%から63%に大きく低下する一方、「やや引き上げる」が11%から22%に上昇しました。また「かなり引き下げる」が0%から2%に上昇したものの、「かなり引き上げる」も0%から2%に上昇しています。総じて組入比率を引き上げる方向にバイアスがかかっていることが示されました。今後の日本株については、さらなる金融緩和や消費増税の先送り、財政出動など政府・日銀の経済対策への期待もあって、やや強気な姿勢も垣間みえつつあるようです。

増税延期は既定路線? 「延期」予想6割、「凍結」見込む声も(4月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の4月調査を5月6日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者143人が回答、調査期間は4月26~28日)。 日本国債の利回りは、5月2日時点で3カ月物から10年物までがすべてマイナス金利となり、10年超の長い金利にも低下圧力が強まっています。ちなみに、1カ月前と現在の金利水準を比較すると、次のようになります。いずれも前者が1カ月前、後者が5月2日時点の数字です。 10年債・・・・・・-0.055%⇒-0.109% 20年債・・・・・・ 0.373%⇒ 0.248% 30年債・・・・・・ 0.455%⇒ 0.288% 10年超の長い金利は辛うじてプラスを維持していますが、それでも30年債に至るまで水準を切り下げています。国内景気の先行き不安が高まる中で国債を購入する流れは途切れず、それだけ先行きの金利低下を市場が織り込んでいることを意味しています。 長期金利の低下圧力が強まっているのは、それだけ景気の先行きに対する不透明感が強まっている証拠ともいえるでしょう。昨今の円高進行や株安などを受けて、企業業績は下方修正を余儀なくされ、個人消費も決して堅調とはいえない厳しい状況が続いています。 こうした状況とあって、来年4月に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げが気になるところです。そこで今回は、消費税率の引き上げに関するアンケート調査を実施しました。 消費増税「べき」論でも賛成派と反対派が拮抗 そもそも、予定通り消費税率の引き上げを行うべきなのでしょうか。これに関して、債券市場を担当するプロの意見では「予定通り引き上げるべき」が43%を占め最多となりました。ただ、「引き上げ時期を明示して延期するべき」が32%で続き、「引き上げ時期を明示せず凍結するべき」も12%に上りました。合計すると44%が予定通りの引き上げに反対となり、賛成派と拮抗する結果となりました。財政健全化などの観点から増税すべきとの意見は多いものの、現状では増税に国内経済が耐え切れないとみる市場関係者が増えていることを示しているといえます。 8%⇒10%への消費増税、「予定通り引き上げ」は14%にとどまる 一方、安倍政権は予定通り引き上げるかどうか、という純粋な予想については、「引き上げ時期を明示して延期する」が61%を占めて最多。「引き上げ時期を明示せず凍結する」(18%)が続き、約8割が増税見送りを予想しています。「予定通り引き上げる」は14%にとどまり、2017年4月の消費税率引き上げはないと市場関係者は織り込みつつあります。 消費税引き上げ延期は発表のタイミングがポイント ただ、気になるのは、市場関係者の多くが「2017年4月の消費税率引き上げは先延ばし」ということを織り込んだ時のマーケットの反応です。 今回のアンケートで最も多かった回答を見ると、日本長期金利は「影響なし」が67%、円ドル相場は「円安」が58%、日本株価は「上昇」が63%を占めています。 脆弱な国内景気をさらに下押ししかねない消費増税を見送ることが株高、その結果として円安につながるとの見方は妥当な意見ともいえそうですが、問題は引き上げ延期を発表するタイミングかもしれません。 一部では、5月26~27日に開催される伊勢志摩サミットで発表されるのではないかとの観測も出ていますが、マーケットはこの手の材料を先に織り込んで動くので、そうなれば事前に円安・株高が進むことになるでしょう。もし、そのタイミングで発表されなければ、逆に急激な円高・株安が進むリスクが増大する可能性があります。 仮に消費税率の引き上げが延期されるとしても、マーケットがどのタイミングでそれを発表すると考えているのか、ということのコンセンサスは、メディアなどを通じて把握しておく必要がありそうです。 新発10年債利回り見通しは下方修正 今回のアンケート調査期間は、ちょうど4月の日銀金融政策決定会合が開催された時期に当たりました。 今回の会合では、事前に「貸出金利にもマイナス金利を適用するなど、もう一段の金融緩和が行われる」という報道が事前に流れたこともあってか新発10年国債の金利見通しは、3月調査分に比べてさらに一段低下しました。 金利水準がプラスを維持している新発20年国債も3月調査分に比べて水準を切り下げました。ただ、結果は一部報道が先走った感があり、日銀は金融政策の据え置きを決めました。また、黒田日銀総裁が「マイナス金利の浸透具合を見極める」との発言をしたことから、しばらくサプライズ的な金融緩和は行われないのではないかと考えられます。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で最も注目されているのは「短期金利/金融政策」で71%を占めています。それ以外はごく小さな動きですが、3月調査分に比べて「景気」が上昇、「為替動向」と「債券需給」が低下しました。 ちなみに注目度が最も高い「短期金利/金融政策」が債券価格に及ぼす影響度を示す指数の数値は80.3。中立要因の50を大きく上回り、債券価格が上昇することを示す数字なので、金利水準はさらにマイナス幅を広げる可能性があることを、市場関係者は読んでいます。 また、注目される投資主体としては「政府・日銀のオペレーション」が2月調査分の57%から3月調査分では62%、そして4月調査分は68%に達するなど、徐々に上昇してきました。逆に「都銀・信託銀行(投資勘定)」が3月調査分の16%から9%に低下しており、債券市場の価格形成において、政府・日銀のオペレーションが大きな影響を及ぼしているのが見て取れます。 デュレーション長期化の流れ継続 ディーリング部門を除く資産運用担当者69人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」と「ややアンダーウエート」が上昇し、「ニュートラル」と「かなりアンダーウエート」が低下しました。ただ、「ややアンダーウエート」と「かなりアンダーウエート」を合わせた回答比が23%で、「ややオーバーウエート」と「かなりオーバーウエート」を合わせた11%を超えており、足元のスタンスはやや慎重といったところでした。 一方、当面の投資スタンスですが「現状を維持する」が70%で大多数を占める中、「やや引き下げる」が23%、「かなり引き下げる」が2%で、アンダーウエート方向に計25%。一方、オーバーウエート方向は「やや引き上げる」が6%、「かなり引き上げる」が0%で、これから先の投資スタンスについても、債券については慎重な姿勢が見て取れます。債券をアンダーウエートにする一方、株式などリスクアセットに投資比率を傾ける傾向が強まっていると考えられます。 ちなみに組入債券のデュレーションについては、「かなり長くする」と「やや長くする」が合わせて28%を占める一方、「かなり短くする」と「やや短くする」が合わせて5%にとどまっており、金利の付く年限を求めて超長期債への需要を強めている投資家の姿勢が伺われる結果となっています。

日銀追加緩和、次は「量・質・マイナス金利拡大」のセット有力?(4月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の4月調査を、4月18日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者71人が回答、調査期間は4月11~14日)。この間の為替レートは、対ドルが108円05銭~108円92銭。対ユーロが122円93銭~123円66銭でした。 4~6月に104円台まで円高進行の余地? 「デフレから脱却し、景気は回復する」という期待感にあふれていた2013年1月から2015年8月までのムードは、その後の円高・株安の流れを受けて、大きく後退しています。徐々に景気の先行き不安が強まるなか、マーケット関係者は為替や原油価格の動向、金融緩和の方向性をどのようにみているのでしょうか。 4~6月の円相場はドルに対してどの程度まで円高に進む可能性があると思うか聞いた設問では、回答者全員の単純平均で1ドル=104円49銭という結果となりました。最も多かった回答は105円でした。 先週まで110円を目指す展開だった円相場は15日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、米国が円売り介入をけん制する発言をしたことで再び円高基調に戻り、18日は一時107円台を付けました。株価動向をにらみつつ円相場も当面、不安定な値動きが続く可能性が高そうです。 原油など商品価格、当面は「横ばい圏」で推移か 円相場の変動要因として影響が大きい原油など商品価格についても、同じく4~6月の動向について聞きました。原油価格は2月11日に付けた1バレル26ドル21セントで底入れし、中旬からは上昇へと転じて、4月12日には42ドル台まで回復しました。それにともない、コモディティー価格全体も下落に歯止めがかかっています。ただ、マーケット関係者は4~6月については上昇一服との見方が多く、全体の58%が「横ばい圏」と回答しました。「下値模索」に転じるとの回答は13%でした。 石油輸出国機構(OPEC)加盟国や非加盟の主要産油国など18国が17日にカタールのドーハで開いた会合では、増産の凍結について手法などを巡って意見の相違が埋まらず合意が先送りされています。6月2日のOPEC総会まで増産凍結の結論は持ち越されそうな雰囲気ですが、原油価格動向は「リスクオン・オフ」を左右する大きな材料となるため、引き続きマーケット関係者の関心事になりそうです。 消費増税延期の円相場への影響、48%が「影響なし」、「円安圧力」は41% 国内景気の減速感が強まるなかで気になるのが、来年4月に予定されている、消費税率の8%から10%への引き上げです。2014年4月に、それまでの5%から8%に引き上げた影響から、その後の個人消費は大きく落ち込み、現在に至ってもなお個人消費は盛り上がりに欠く展開を続けています。結果、来年4月からの消費税率引き上げを先延ばしにする可能性が高まっているという見方も出ていますが、一方で増税派は、「消費税率引き上げは国際公約であり、その先延ばしは日本売りにつながる」ことへの懸念を示しています。 この点、マーケット関係者の見方は分かれており、「延期された場合の円相場への影響をどう考えているのか」という問いに対しては、「影響なし」とする回答が48%を占める一方、「円安圧力になる」という回答が41%となりました。 また、円高の流れが反転する条件としては、「米生産・雇用・消費指標の改善」が43%を占め、次いで「政府・日銀の金融経済対策」が33%、「原油など商品価格の上昇」が32%となりました。 インパクトある金融緩和は実現するのか 今後のマーケット関係者の注目は、景気の後退色が一段と高まった場合、日銀がいつ追加緩和に踏み切り、黒田日銀がどういったカードを切るかという点に集約されてきます。 この点、市場関係者は早期の追加金融緩和を予想する声が多く、次の金融緩和の時期については、「4月」が43%で最も高く、次いで「6月」の23%、「7月」の17%となりました。 また、金融緩和の手法としては、「量・質・マイナス金利拡大のセット」が35%で最も多く、次いで「質的緩和拡大(買い入れ対象資産の拡大等)」が28%、「量的緩和拡大(買い入れ金額の増額)」が13%となりました。 「量・質・マイナス金利拡大のセット」に期待する声が大きいのは、市場へのポジティブなインパクトを求めているからであり、逆に言うと、いずれ行われる可能性がある金融緩和が肩透かしを食らわせるものだと、マーケットにはネガティブなインパクトになり、円高・株安が急伸するリスクが高まるとも言えそうです。 資源関連通貨がやや持ち直し 毎月定点調査している金融機関の外為業務担当者の為替見通しによると、4月末の平均値で109円15銭となり、前回調査の113円60銭に比べて円高方向にシフトしました。 為替の変動要因として前回調査に比べて注目度が上がったものとしては、円が「当局の姿勢」、米ドルが「政治/外交」、ユーロが「景気動向」となりました。また市場に及ぼす影響の度合いを示した指数をみると、円は「貿易」が前月比で5.4ポイント上昇し、63.7になりました。円高の原因については諸説紛々ですが、ファンダメンタルズとしては、単年ベースで2011年から2015年まで続いた貿易収支の赤字が、3月時点で貿易黒字に転じていることの影響が円高要因のひとつと考えられます。貿易収支の黒字は、潜在的な円の買い圧力になります。 ただ、1ドル=107円台まで円高が進んでいる状況のなかで、ここから多少の調整が入るとみる向きもあり、向こう6カ月間の対円レートについての動きを聞くと、ドルDIが前月のプラス28からプラス37に上昇しています。またNZドルがマイナス11からプラス30に、豪ドルがマイナス3からプラス25に、カナダドルがマイナス3からプラス19に、それぞれプラス転換しているのは、原油価格の下げ止まりによる影響とも考えられます。 企業の想定レートは円高水準に ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面のスタンスは前月と全く変わらない結果が出ており、「ニュートラル」が78%を占めています。また為替ヘッジについて当面のスタンスは、「ヘッジ比率を上げる」が前月の11%から0%に低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」が0%から13%に上昇しました。「ヘッジ比率を上げる」から「ヘッジ比率を下げる」を差し引いて求めるDIは、1月以来のマイナスになっています。 なお、企業の業績予想の前提となっている為替レートですが、ドルが平均で114円03銭になりました。昨今の円高進行の影響を受け、想定レートを円高方向にシフトさせる動きが広がりつつあるようです。

アベノミクスに試練、景気対策「財政出動」など求める声多く(4月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の4月調査を、4月11日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者155人が回答、調査機関は4月5~7日)。 日経平均株価は2月12日に1万5000円割れとなった後、3月後半にかけて持ち直し28日には1万7134円まで回復しましたが、翌日以降は下げ足を強め、4月6日まで7営業日連続の下落となりました。7日続落は2012年11月13日以来のことで、これは安倍晋三首相による経済対策が株高の原動力となった「アベノミクス相場」後で初めてでした。 新年度入り以降の円高進行と、それにあわせた株安によって景気の先行き懸念が一段と高まっています。そこで今回はアンケート対象者に、景気の現状について聞いてみました。結果の要約は以下のイメージとなります。 以下、詳細について解説します。 景気の現状「停滞」8割 消費低迷は「可処分所得が増えない」ため 景気の現状については、「停滞している」との回答が78%を占めました。次いで「後退している」が11%で続きました。「ゆっくり成長している」は10%にとどまり、全体的な景気見通しはネガティブになりつつあります。 3月の月例経済報告では、景気の現状認識を「景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」としました。昨年10月以降、「景気は、このところ一部に弱さもみられるが…」としていたのを、「景気は、このところ弱さもみられるが…」としたことで、政府としても景気の現状認識を一歩後退させたことが分かります。 とりわけ、深刻化しているのが個人消費の低迷です。月例経済報告でも、2月は個人消費について「総じてみれば底堅い動き」としていたのを、3月は「消費者マインドに足踏みがみられるなか、おおむね横ばい」という表現に変わりました。実質消費支出は、2月こそ前年同月比1.2%増になったものの、過去の時系列をみると2015年中で前年同月比プラスになった月は、わずかに2回。あとはマイナスでした。 2014年4月に消費税率が5%から8%へと引き上げられたのを機に個人消費が落ち込んだという見方もあるなか、それ以上の増税に個人は持ちこたえられるのか。こうした状況だけに、8%から10%への引き上げが予定されている2017年4月の消費税率引き上げが果たして延期になるのかどうかが、注目されます。 なお、今回のアンケートで個人消費低迷の最大の要因は何かについて聞いてみると、「可処分所得が増えない」が43%で最多となり、次いで「家計の節約志向」が23%、「賃上げが見込めない」が13%で続きました。 消費税率の引き上げや社会保障費の負担増に加え、賃上げが思った以上に進まないことが、個人消費の圧迫要因になっていると思われます。 有効な景気対策「財政拡大」3割超 中長期の成長には「規制緩和」を このまま個人消費が低迷すれば、やがてデフレマインドが浮上し、安倍政権がなりふり構わずに進めてきた金融経済対策も無駄になります。 今後、最も有効な景気対策としては何があるのかを聞くと、「財政支出の拡大」が33%で最多。次いで「所得減税」と「消費増税の延期」がともに25%でした。 5月に日本で開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では世界経済減速に対する対策が主要議題になる見通しです。財政出動による内需拡大を柱に、主要国との間で政策協調が構築できるかどうか関心が集まっています。 また、中長期的に経済を成長させるために最も有効な施策としては、「規制緩和によるビジネス機会の拡大」が61%で最多となりました。「女性活躍に向けた社会的インフラの充実」は9%、「高齢者の活用・雇用機会の拡大」が7%でした。 外国人投資家の売りはいつまで続く? 新年度入り以降、日経平均が下値模索の展開となるなか、株式市場関係者のマーケットに対する見方は総じて弱気になりました。 1カ月後の日経平均予想は下方にシフトし、3月調査の1万7108円から4月調査では1万6069円になりました。2月調査時点で、4月末の日経平均予想は1万8200円台でしたので、大幅な下方シフトです。 今のところ3カ月後、6カ月後に向けてはそれぞれ1万6821円、1万7115円とやや上昇する見通しとなっていますが、主要な輸出企業の想定為替レートが1ドル=117円であることを考えると、現在の1ドル=108円前後の水準は、今期(2017年3月期)の決算に悪影響を及ぼす恐れがあり、株価をもう一段押し下げることにもつながりかねません。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業動向」が45%で最多でしたが、4月調査では「為替動向」が35%となり、2月調査の16%、3月調査の26%から大きく上昇しました。 ちなみに、株式相場に影響を及ぼす指数をみると、「景気・企業動向」が37.7、「為替動向」が34.3と、いずれも50を大きく下回り、株式相場にとってはネガティブ要因として強く意識されています。 また、今後6カ月を想定して、注目される投資主体としては「外国人」が3月調査の78%から4月調査では86%に大きく上昇しました。指数は41.7ですから株価のマイナス(=下押し)要因とみなされています。外国人投資家は2016年に入り日本株を3カ月連続で売り越しており、1~3月の累計売越額は5兆円に達しました。ロングオンリーのファンド筋は日本株をかなり売ったの話もありますが、アベノミクスへの期待からこれまで日本株買いを進めてきた外国人投資家は売り姿勢に完全に転換し、今後も売り圧力を強めるのか、日経平均の先行きを占う上で目が離せません。 円高の影響で「自動車」「電機・精密」に弱気 投資家は日本株に対して、やや慎重な姿勢となっています。 資産運用担当者59人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、全体の傾向として「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」が低下傾向をたどり、「ニュートラル」と「ややアンダーウエート」が上昇傾向をたどっています。 また、当面のスタンスについては、「やや引き上げる」が減少。「現状を維持する」がやや上昇するとともに、「やや引き下げる」が、3月調査の8%から4月調査は12%まで上昇しました。 セクター別の投資スタンスについて、「オーバーウエート」から「アンダーウエート」を引いた比率(プラスが大きいと強気、マイナスが大きいと弱気)をみると、比率が大きく低下したのが「自動車」や「電機・精密」でした。ともに円高進行による業績不安が影響したようです。一方、微増ながらも比率が高まったのが「建設・不動産」でした。日銀のマイナス金利拡大を含めた追加の金融緩和策観測も根強い中で相対的にプラスのインパクトもたらすと期待されるセクターを物色する流れを映し出しています。

QUICK緊急調査…目先の円相場、プロの6割が「105~115円」の推移を予想

QUICKでは円相場の急伸を受けて、8日に外為市場関係者52名を対象に緊急聞き取り調査を実施しました。 今後3カ月間のドル円相場の予想レンジについては、「105~115円程度」との回答が63%を占めました。次に多かったのが「100~110円程度」で27%。「110~120円程度」との回答は6%にとどまり、「115~125円程度」は0%です。 向こう3カ月間の対ドル円相場の高値メドについては、回答の単純平均値が1ドル=103円51銭、中央値は1ドル=105円となっています。 プロがにらむ対ドル円相場の高値メドは100~105円ということが判明しました。市場は一時的に105円を抜ける可能性も警戒している状況ということです。 円高進行の背景についての質問では、「ポジション調整・投機的な動き」が33%で最多となりました。「米利上げペースの鈍化」と回答したのが21%、「日本の期待インフレ率の低下」が13%。見方は分かれているものの、今回の円急騰は、金利予想というファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の影響というよりかは、あくまで需給・投機の要因であるとの見方が優勢でした。 「ポジション調整・投機的な動き」については、「日銀の金融政策の手詰まり感に加え、日本当局による為替介入が困難との思惑もあり、円高の流れに歯止めをかけるに至っていない」(証券会社)などの指摘がありました。

日銀次の一手、マイナス金利拡大で対応か? 質的緩和拡大の見方も(3月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の3月調査を、4月4日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者138人が回答、調査期間は3月29~31日)。調査期間中の新発10年物国債利回りはマイナス0.095~マイナス0.050%で推移しました。 日銀次の一手「マイナス金利拡大で対応」との見方が最多 今回のアンケート調査では、2016年の日・米・欧の金融政策について尋ねてみました。 日銀の次回の追加緩和がいつ頃行われるかという点について聞いたところ、最も多かったのが6月で34%。次いで4月が20%となり、「年内はなし」が16%で続きました。1日発表された3月の日銀短観では、大企業製造業の業況判断DIが市場予想よりも悪化し、日経平均株価は1万6000円割れ寸前まで下落しました。さらに、円高進行が輸出企業の業績悪化要因となり、全体的に景気の先行き懸念が強まっています。 景気の冷え込みを避けるためにも、政府・日銀による政策対応を求める声が強まっており、来年4月に予定されている消費税率引き上げの延期観測も広がっています。日銀のさらなる緩和も期待されるところですが、日銀が次に金融緩和を行う場合、その手法は何かという問いに対しては、「マイナス金利幅の拡大」が76%でトップとなりました。次いで「質的金融緩和(買い入れ対象資産の拡大など)」が67%、「量的金融緩和(買い入れ金額の増額)」が47%となりました。 米利上げ、年内2回が6割 ECBは「年内緩和なし」が最多 米国の追加利上げは年内あと何回かという問いについては、「2回」が58%で最多、次いで「1回」が36%となりました。3回以上と答えた人は3%にとどまり、活発に利上げが行えるほど米国の景気が堅調ではないと市場関係者がみていることを示唆しているといえます。 そして欧州ですが、欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和がいつかという問いについては、「年内はなし」が47%で最多となりました。利下げ予想では、「6月」が17%、「9月」が16%となりました。3月10日に開催されたECB理事会において、ドラギECB総裁が「もう一段の利下げの可能性は低い」と発言したことが、年内の金融緩和はなしとする回答の高さにつながったようです。 新年度運用、REITや海外クレジットなど選好 さらに今回のアンケート調査では、新年度入りということもあり、「あなたが運用担当者なら各資産の運用を2015年度に比べてどう変えますか」という質問もしてみました。 このうち、「日本国債」については「減少」との回答が57%に上り、「増加」の12%を上回りました。「国内株」は「不変」が48%と最多でしたが、「増加」が36%と「減少」の16%を上回りました。ほかに、「増加」が多かった資産では「REIT」や「海外ソブリン・ヘッジ付」「海外クレジット」などで、比率はそれぞれ54%、47%、47%でした。 政府・日銀のオペレーションに対する注目度は高いまま 国内債券について、1カ月後、3カ月後、6カ月後の予測数値を聞いたところ、新発10年国債については、マイナス0.02%台だった2月調査分に比べて一段と低下しており、4月末がマイナス0.069%、6月末がマイナス0.070%、9月末がマイナス0.065%となりました。 新発20年国債については、1カ月後、3カ月後、6カ月後とも辛うじてプラスの利回りを維持していますが、2月調査分に比べて大幅に低下しています。マイナス金利の導入以降、10年物国債まで利回りがマイナス水準に低下するなか、投資家は金利を求めてより長期の債券に投資しており、20年物、30年物の金利も大幅に低下。イールドカーブのフラット化が進んでいます。 ただ、冒頭でも触れましたが、日銀の追加緩和については、「マイナス金利の拡大」で対応するとの見方が市場関係者の間では多いため、すでにマイナス水準になり、償還まで保有しても差損が生じる10年物国債についても、もう一段の価格上昇(=マイナス金利幅の拡大)を狙って投資する動きが続くことも想定されます。 今後、6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で注目度が高いのは、「短期金利/金融政策」が70%で最多でしたが、2月調査の77%に比べるとやや低下。逆に上昇したのは「債券需給」で、2月調査の11%から20%になりました。日銀の追加緩和観測が根強く、債券価格への影響度を示す指数を見ると、「短期金利/金融政策」が81.5、「債券需給」が73.3と、債券価格の上昇期待を示す数字になっています。 最も注目している投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が、2月調査の57%から62%に上昇。他の投資主体はマーケットの動向に対してほぼ中立要因とみなされており、マーケットを動かす投資主体としては、政府・日銀が突出した形になっています。 マイナス金利拡大へ備え続く? ディーリング部門を除く資産運用担当者66人に、現在運用しているファンドにおいて、国内債券が通常の基準に比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が69%で、月を追うごとに上昇している一方、「ややアンダーウエート」が低下傾向をたどり、「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」、「かなりアンダーウエート」がそれぞれ2月調査に比べて上昇しました。 当面、どのようなスタンスで臨むのかという点については、「やや引き上げる」、「現状を維持する」が低下する一方、「やや引き下げる」が、2月調査の15%から26%に上昇しています。 現在のデュレーションは、2月調査と比べて大きな変動はなく、「ほぼ基準通り」とするのが53%、「やや長い」が23%、「やや短い」が17%でしたが、この半年の傾向としては、「ほぼ基準通り」が上昇する一方、「やや長い」が1月をピークに比べて低下。「やや短い」も低下傾向をたどっています。 とはいえ、デュレーションについて当面のスタンスを伺うと、この半年の傾向として「現状を維持する」が低下傾向をたどっているのに対し、「やや長くする」が上昇傾向をたどっています。3月調査では「かなり・やや長くする」との回答は22%となり、2012年8月(23%)以来の高水準となっています。この点からも、運用担当者がもう一段のマイナス金利拡大への備えを強めている様子が伺われます。

米大統領選は円高要因…市場は「クリントン候補勝利」を予想

・米大統領選挙に関する大手金融機関の見通しまとめはこちら ・選挙結果や相場影響についての為替市場関係者アンケートはこちら ・開票結果の更新ページはこちら、またtwitterでも随時つぶやきます   外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の3月調査を、3月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は3月7~10日)。この間の為替レートは、対ドルが112円47銭~113円71銭。対ユーロが123円54銭~124円73銭でした。 今回の調査では、海の向こうで話題となっている米大統領選挙について調査しました。大国である米国のトップの変化は、経済にももちろん影響を与えるイベントです。 為替市場関係者は「ヒラリー・クリントン候補の勝利」を予想 米国大統領選の候補者選びにおける最大の山場は、スーパーチューズデーです。通常、2月下旬から3月上旬の火曜日に予備選挙のうち、多くの州がここに開催日が集中することから、大統領候補者選びの大勢を決めると言われています。今回の大統領選挙においては、3月1日がその日でした。 結果は、民主党は当初の予想通り、ヒラリー・クリントン前国務長官。対して共和党は、不動産王のドナルド・トランプ氏が、それぞれ圧勝しました。 今後、共和党は7月18~21日にかけて、民主党は7月25日~28日にかけて、それぞれ全国大会が開かれ、そこで指名候補者が選出されます。過去において、スーパーチューズデーを制した候補者が、全国党大会の使命候補者に選ばれる可能性が高いため、2016年の大統領選挙は、民主党がクリントン候補、共和党がドナルド・トランプ候補になることも、十分に考えられます。 今回11月に行われる米大統領選挙において、どの候補者が勝利するかをアンケートしたところ、トップはクリントン候補で、圧倒の85%。次いで、意外なほどの善戦をしているトランプ候補が12%、マルコ・ルビオ候補の名前も挙がりましたが、共和党候補者という点では、トランプ候補に一歩も、二歩もリードを許している状況です。 どちらが勝っても円高要因、トランプ氏勝利の場合は要注意 恐らく、マーケット関係者の間で最も気になるのは、クリントン候補にしても、トランプ候補にしても、大統領になった時、マーケットにどのような影響が生じるのか、ということでしょう。 ドル円については、結論から言ってしまうと、どちらの候補が勝っても「円高要因」という見通しになっています。 とはいえ、両候補はやや度合いが異なります。仮にクリントン候補が大統領になった場合、「やや円高要因」という回答が49%を占めてトップ。次いで「中立要因」が33%を占めました。 問題はトランプ候補が大統領になった場合で、「強い円高要因」と見る回答比が49%、「やや円高要因」が36%となりました。これは、トランプ候補の為替政策に対する発言によるものでしょう。「日本の度重なる円安誘導のせいで、友達は高いキャタピラーではなく、コマツのトラクターを購入している」という発言をしていることは、多分にドル安政策を推し進めてくる可能性が高いという連想につながります。日本にとっては、クリントン候補の方が、経済面で望ましいということになるのでしょうか。   米国の利上げは年内あと1~2回 次に、日米の金融政策についても、その見通しを聞きました。 2016年の米金融政策については、「利上げ4回以上」を予想する向きは無くなり、「利上げ1回」が最も多い42%を占めました。次いで「利上げ2回」が39%、「据え置き」が12%で、それ以上に積極的な利上げを行うという答えは見られません。 前述したように、今年は大統領選挙の年なので、FRBとしても、ここから大きく利上げしにくい状況にあります。中国経済の成長率ダウンによる世界経済の先行き不透明感が強まっていることを考えれば、ここからさらに利上げのピッチを上げることはないというのが、妥当な見方でしょう。 また、日銀の金融政策については、まさに本日(3月14日)から開催される金融政策決定会合で金融緩和が発表される可能性は大幅に後退し、4月に先送りの見通しが高まっています。デフレ経済からの脱却を目指して行われてきたアベノミクスと、度重なる量的金融緩和は、なかなか効果を見せず、今後、もう一段の金融緩和が実施されるのは必至。金融緩和のタイミングは4月が43%を占めています。また、その際の手法としては、「マイナス金利拡大」が73%で圧倒的に多く、次いで「質的緩和拡大」が51%、「量的緩和拡大」が49%を占めました。 ドルは鈍い戻りを予想、欧州通貨へは弱気 金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、3月末の平均値で113円60銭となり、前回調査の116円04銭に比べて円高方向にシフトしました。 今後のドルの戻りは弱く、3か月後の5月末予想値は114円35銭、6か月後の8月末予想値も114円23銭に止まっています。また3月末の予想値について、最大値が118円、最小値が109円となっていますが、企業の想定為替レートが118円であることからすれば、仮に最大ドル高になったとしても想定為替レートと同じであり、そこまでドル高が進まない限り、3月の企業決算は為替差損によって厳しい状況になることが伺えます。 ドル円の注目度で大きく上昇したのは「政治/外交」の11%で、前月比9%増。大統領選挙の行方が注目され始めたからと考えられます。また、「金利/金融政策」は前月比で11%低下したものの、水準としてはまだ59%の注目度を誇っており、他の要素に比べて圧倒的に注目されています。 また、向こう6か月間で、各通貨が対円でどのような動きをするのかについての指数(DI=プラスは円安方向、マイナスは円高方向)、米ドルは1月の18から徐々に上昇し、3月は28になりました。対して、DIが大きく低下しているのがユーロで、2月のマイナス16からマイナス53に低下。対円で大きく売られると見る向きが増えています。 また、運用中ファンドの外貨建て資産組入状況については当面、「アンダーウエート」とする回答比が、前回調査の0%から、今回調査では11%まで上昇しているのが目立ちました。ドルDIがゆるやかにドル高方向を示していることを反映した動きでしょうか。また、為替ヘッジについて当面のスタンスを聞くと、「ヘッジ比率を上げる」が低下する一方、「現在のヘッジ比率を維持」が上昇しており、当面は様子見ムードが強まっています。   <米大統領選挙に関連した記事の一覧はこちら> 米大統領選でクリントン候補が失速…市場の見方を関連銘柄から探る 2016年11月04日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=11538) クリントンVSトランプ…関連銘柄で見えた勝敗 16年10月28日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=11477) 米大統領選後のドル円相場、トランプリスク後退で大きな変化なし?(為替10月調査) 16年10月17日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=11438) 米大統領選、誰が勝つ?統計学が与える予想 16年4月28日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=197) トランプ氏人気が写し出す米国の現状 16年3月17日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=167) 米大統領選は円高要因…市場は「クリントン候補勝利」を予想(為替3月調査) 16年3月14日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=166) 盛り上がる米国大統領選挙、関連アノマリーで見通す今年の金融市場 16年3月8日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=159)

マイナス金利「株価にプラス」過半数 投資マネーは不動産・REITへ(3月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の3月調査を、3月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者160人が回答、調査機関は3月1~3日)。 日経平均株価は1月29日に日銀がマイナス金利の導入を発表した直後から下げ、2月12日に終値ベースで1万5000円割れ。その後は徐々に戻り基調となり、3月4日には終値ベースで1万7000円台を回復しました。 ただ、企業業績の先行きに対する不安感は完全に払しょくされない状態にあります。ドル円相場は現在、1ドル=113円台で推移していますが、このままの水準が3月末まで続けば、主力企業の2016年3月期決算は下振れが相次ぐ恐れがあります。 マイナス金利は「業績・株価にポジティブ」 希望的観測の側面も? マイナス金利が企業業績や株価に及ぼす影響は、どちらかというとポジティブに受け止められているようです。今回はマイナス金利が企業業績や株価に及ぼす影響を株式市場関係者に聞いてみました。 金融を除く企業の業績に、どのような影響があるのかについては、全体では「プラスの影響」が42%となり、「マイナスの影響」(17%)を上回りました。「影響しない」が42%に上り、この解釈は微妙なところですが、少なくともマイナスの影響が小さい点ではややポジティブな材料と受け止めても良いでしょう。 また、1年先を見通した場合の株価への影響については、「プラスの影響」が51%となりました。次に「影響しない」が29%。「マイナスの影響」は20%にとどまり、こちらは明確にプラスの影響が強いという見方が出ました。 ただ、回答の詳細をみると、いずれの設問についても運用会社といった「バイサイド」に比べて証券会社などの「セルサイド」の方が「プラスの影響」との回答が高い傾向がありました。多少なりとも希望的観測が含まれている可能性があることには、留意しておく必要がありそうです。 マイナス金利拡大の効果には疑問符も 一方、マイナス金利の幅を拡大していく方向性について、株式市場関係者はやや否定的な見方が多いようです。「早期に拡大した方がよい」は少数で全体の3%にとどまりました。「状況に応じて拡大した方がよい」が36%と比率では最多となりましたが、「これ以上の拡大は望ましくない」が35%、「マイナス金利自体を止めるべき」が22%を占めるなど、過半数はマイナス金利について効果を含め慎重な見方を示していることが分かります。 マイナス金利の導入は、手元に現金を置かず、早期のうちに投資などに回せというメッセージが含まれていますが、企業の設備投資意欲は後退しており、マイナス金利が導入されて即、企業が設備投資拡大に動くかというと、今のところは何とも言えない状態です。「マイナス金利の国の通貨は売られる」との経験則から円安が進み、輸出関連企業を中心に業績が回復すれば、株価にとってポジティブな材料になりますが、その円安もなかなか進まない状態です。これらの点から考えて、マイナス金利の導入が即、企業業績や株価にとってプラスになるかはなお予断を許さない状況といえます。また、効果がみられないからといって、すぐさまマイナス金利拡大を進めることには否定的な見方が多いことを示しています。 マイナス金利で「不動産・リート」への投資拡大か マイナス金利の導入によって、投資家の資金がどこに向かうのかについては、「不動産・リート」の回答が最も高く42%に達しました。次いで「外国債券」が21%、「国内株式」が13%で続きました。 マイナス金利導入で債券投資への魅力が徐々に低下するとみられるなか、利回り面で投資妙味が高い金融商品には投資資金が向かう可能性が高くなることを示唆しています。一方、投資マネーが一定の金融商品に集中すれば過熱感が高まることも避けられないため、相場動向を見極めながら今後は慎重な投資行動が求められる局面も訪れるでしょう。 為替が当面の注目材料 日経平均株価の見通しは、2月調査分に比べて、1カ月後、3カ月後、6カ月後のいずれも下方にシフトしました。3月末の予想は1万7103円と2月調査(1万7722円)から引き下げられ、3カ月、6カ月後は前回の1万8000円台から1万7500円前後となりました。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が2月調査の16%から今回は26%へと上昇しました。株価に及ぼす影響度を計る指数をみると、2月調査の52.5から43.1と分岐点の50を下回り、為替が株価にとってネガティブな材料になっているのが分かります。前述したように、現在の為替レートの水準が3月末まで続くと、為替差損によって企業業績が下振れする懸念があり、株式市場関係者は業績や株価にもこうした悪影響の織り込みを進めている可能性があります。 国内機関投資家の慎重姿勢強まる また、資産運用担当者69人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、全体の指数は2月調査の59.0から52.4へと低下しました。項目別では「かなりオーバーウエート」が2月調査の11%から4%へと低下。一方で「ややアンダーウエート」と「かなりアンダーウエート」が上昇しました。 また、当面のスタンスとしては、「現状を維持する」が2月調査の70%から75%に上昇。「やや引き下げる」が2月調査の11%から8%へと低下し、「かなり引き下げる」が2月調査の2%から0%へと低下しました。ただ、「かなり引き上げる」と「やや引き上げる」は変わらずで、資産運用担当者の株式組入に対するスタンスは、まだ慎重ムードが強い状態です。 なお、業種別の投資スタンスで、「オーバーウエートとアンダーウエート」のバランスをみると、2月調査に比べてオーバーウエートの比率が上昇したのが「素材」「建設・不動産」「通信」で、逆にアンダーウエートの比率が高まったのが、「公益」「金融」でした。一方、「鉄鋼・機械」は、2月調査のアンダーウエートからニュートラルになり、「自動車」「電機・精密」「消費」は、オーバーウエートからニュートラルになっています。

注目されるマイナス金利効果の浸透度合い 円相場の行方注視(2月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の2月調査を、2月29日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者140人が回答、調査期間は2月23~25日)。調査期間中の新発10年物国債利回りはマイナス0.065~マイナス0.005%で推移しました。 今回の調査は、日銀がマイナス金利政策を導入して最初になります。調査期間中の長期金利は、新発10年国債利回りまでが、完全なマイナス金利になりました。新発20年国債利回りは辛うじてプラスを維持していますが、0.5%台と過去最低水準で推移しました。 マイナス金利政策は効果なし? 日銀のマイナス金利導入を受け、市場参加者はその政策チャネルが何だったと認識しているのかを聞いたところ、「円安」が最も高く66%を占めました。次いで「イールドカーブの押し下げ」が20%で続きました。表向きは市場金利の低下を通じて企業向け貸し出しの増加などを促す効果を狙った対策ともみられていますが、「貸出増加」との回答は7%にとどまりました。 もっとも、政策効果という点では、いささか疑問が残る形になりました。少なくとも、マイナス金利の導入が発表された直後から急激な円高が始まり、一時は1ドル=110円台まで円高・ドル安が進みました。また、日経平均株価も2月半ばにかけて急落する展開を余儀なくされました。 日銀が恐らく意図していたと市場参加者がみていた「円安もしくは円高阻止」が実現していない今回のマイナス金利政策ですが、市場の評価は大きく分かれています。全体の37%は「効果なし」と回答する一方、「今後、徐々に効果が出てくる」との回答は34%となり、「効果あり」は12%となりました。直近、先行きを問わず「効果あり」との回答が「効果なし」を上回ったものの、政策効果を判断するには時期尚早ということでしょうか。 マイナス金利導入の狙いは、最終的には銀行による企業、個人への融資を促進させることで、景気や物価の上昇効果を狙うというものです。しかし、現状、日本国内における企業の資金需要は停滞しており、マイナス金利の導入だけで資金需要が高まるかどうかは、未知数です。 市場参加者は一段のマイナス金利拡大を予想 マイナス金利が実体経済に与える影響については評価が分かれていますが、そうした中でも日銀はさらなる追加利下げに果たして動くのでしょうか。黒田日銀総裁の任期中(2018年4月)のマイナス金利の政策運営をどう予想するか聞いたところ、「マイナス幅が最大0.2~0.9%へ拡大される」との回答が約8割に達しました。次に「マイナス幅が最大1%以上に拡大される」が10%となり、「ゼロないし、プラス圏に戻る」は4%にとどまりました。 原油価格の低迷や内外景気の先行き不透明感などを背景にインフレ期待は低迷が続いており、異例の金融緩和政策は一段と拡大し、さらには長期化が避けられないとみる市場参加者が多いことを示唆しています。 日銀の追加緩和にもかかわらず円高が急速に進む結果となっていますが、マーケットの観点から言えば、マイナス金利の導入国の通貨が大きく買われるのは合理性に欠けるのも事実です。実際、欧州中央銀行(ECB)は2014年6月にマイナス金利導入を決めましたが、その後、対米ドルに関しては大きくユーロ安が進みました。中長期的に円安トレンドに転じることになれば、株価に対するプラス効果も期待できます。 現在、ドル円相場は1ドル=113円台で推移していますが、上場企業の想定為替レートは115~118円。このままの水準が続くと、輸出企業を中心に業績の下方修正懸念が浮上してきます。それは株価にとってネガティブ要因ですが、逆に言えば、為替が円安方向に振れさえすれば、株価にとってポジティブな材料になるということです。それだけに、マイナス金利の効果が徐々に、為替レートに浸透するかどうかに注目が集まります。 政府・日銀のオペレーションに対する注目度が急低下 マイナス金利導入後の債券市場ですが、毎月定例の相場見通しの調査では、新発10年国債利回りの見通しは1カ月後から6カ月後までいずれもマイナス予想に転じ、1カ月後はマイナス0.021%、3カ月後がマイナス0.022%、6カ月後はマイナス0.023%となりました。このほか、5年物、2年物など中期債ゾーンについてもマイナス金利が予想されていますが、TIBOR3カ月物金利と新発20年国債利回りは辛うじてプラスゾーンの予想となっています。 今後、6カ月程度を想定した債券価格の変動要因で、注目度が上がってきているのは「短期金利/金融政策」です。昨年末時点での注目度は47%でしたが、2月調査では77%まで上昇してきました。逆に注目度が低下したものとしては、「景気動向」や「海外金利」などがありますが、「物価動向」への注目度が0%になりました。もはや2%のインフレ率達成に対する期待感が大きく後退したことの証左ともいえそうです。 同じく、今後6カ月を想定した投資主体の動向については、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が1月調査の13%から18%へ上昇する一方、「政府・日銀のオペレーション」に対する注目度は67%から57%へと大幅に低下しました。マイナス金利が導入されたことによって、当面、日銀による大規模なオペレーションへの警戒感が薄らいだようです。 「金利のある債券」を求め債券投資意欲は継続か 資産運用担当者67人に聞いた当面の運用スタンスについてですが、現在、回答者が運用しているファンドについて、国内債券の投資比率が通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、1月と比べて2月は大きな変化がみられませんでした。 一方、今後の投資スタンスについて聞いたところ、国内債券の組入比率について「やや引き上げる」との回答が1月調査の4%から2月調査では11%まで上昇しています。日銀がいくら追加緩和策を講じてもインフレ期待はなかなか高まらず、さらなる追加緩和も予想されるなか、債券への投資意欲が後退する兆しはみられません。こうした状況下では「金利のある債券」である20年物などの超長期国債への需要が加速する可能性も視野に入れる必要がありそうです。 ちなみに、債券のデュレーションについて、当面どのようなスタンスで臨む考えかを聞いた設問では「現状を維持する」が1月調査の79%から2月調査では73%に低下。その代わりに「やや長くする」が15%から21%へと上昇しました。

日銀の年内緩和は確実? それでも2016年は5年ぶり「円高」か(2月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の2月調査を、2月15日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者77人が回答、調査期間は2月8~10日)。この間の為替レートは、対ドルが114円88銭~117円32銭。対ユーロが128円92銭~130円66銭でした。 2月に入り、マーケットは大きく荒れています。円相場は一時、110円台まで円高・ドル安が進み、日経平均株価は1万5000円を割りこみました。そして日銀の金融緩和は、QQE(量的・質的金融緩和)に留まらず、ついにマイナス金利を導入するまでに至りました。これを受けて、各年限で利回り低下が進み、10年債利回りもマイナス金利に突入しました。長期金利がマイナスになるという、それこそ有史以来といっても良い珍現象が起ったことで、市場参加者は今後、何がどうなるのか、今ひとつ把握できず、マーケットは混乱を来しています。 マーケットが荒れれば、市場参加者が次に思い浮かべるのは政府・日銀の政策支援です。日本の財政赤字が累積するなか、財政出動は容易に行えないとなれば、政策支援で注目されるのは日銀によるもう一段の金融緩和でしょう。マイナス金利の導入に加え、もう一段のQQEを実施することで、マーケットに底打ち感を出したいというのが、政策当局の当面のシナリオといえるかもしれません。 日銀の追加緩和予想8割超 時期、年前半予想8割に迫る 今回のアンケートでは、1月29日に日銀が決めた「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を受けて、再び追加緩和に動く可能性があるのかどうかという点について聞きました。日銀が年内に再び追加緩和に動く可能性については、87%が「追加緩和に動く」と回答。日銀は1月に緩和に動いたばかりですが、早くも市場関係者の間で追加緩和に対する期待感が高まっています。 また追加緩和の時期としては、「4月」が30%で最多。次いで6月が24%、3月が21%と続き、年前半に追加緩和に動くとの回答は8割に迫っています。 マイナス金利は一段と拡大? 次に、追加緩和に動く場合の手法についてですが、「マイナス金利の拡大」との回答が7割強。次いで「質的緩和の拡大」が約5割で続き、「量的緩和の拡大」が約4割となりました。 今回の日銀によるマイナス金利導入は、これまで実施してきた資金供給量を大量に積み増す量的緩和策が限界に達しつつあることを認める措置との受け止めも市場にはあるようです。そのため、今後、日銀が追加緩和に動く場合はさらなるマイナス金利の拡大を予想する声が増えたといえます。また、追加緩和による「円安・株高」シナリオに揺らぎが生じていることもあり、市場では上場投資信託(ETF)などの資産を購入する「質的緩和」の一段の拡大を期待する声も高まっているようです。 3月の米利上げ予想、わずか15%に 年内利上げ「1回」予想が最多 日銀の金融政策とともに、市場関係者が注目するのは、やはり米国の金融政策が今後どうなるかという点でしょう。昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が9年半ぶりとなる利上げを決めた時、FRBは2016年中に4回程度の利上げを想定していました。しかし、年初からのマーケットの大混乱を受けてFRBの利上げに対する考え方は、やや慎重になりつつあります。 今回のアンケートでも、3月開催のFOMCでの利上げ実施の可能性を聞いたところ、「利上げ決定」予想はわずか15%で、「据え置き決定」(84%)を大きく下回りました。 また、2016年中における利上げ回数についてですが、、「1回」という回答が最も多く、全体の36%を占めました。次に多かったのが「2回」で34%、「据え置き」が20%で続きました。「利上げ4回(以上)」は1%に過ぎず、FRBの金融政策は見直しを迫られることが避けられない情勢だと市場関係者はみています。 2016年末時点の円相場予想117円66銭 5年ぶり「円高・ドル安」か また欧州中央銀行(ECB)については、3月の追加緩和が濃厚とみられていますが、その方法としては「買い入れ額の増加」が最も多く57%を占めました。次に「預金金利の引き下げ」が43%で続いています。ECBがさらなるマイナス金利拡大に動けば、円高阻止に向けて日銀もマイナス金利拡大に動くとの思惑が強まる可能性があります。 なお、2016年末時点で想定される為替レートについては、円・ドル相場が1ドル=117円66銭となりました。前回1月調査では120円24銭と15年末(120円30銭程度)とほぼ同水準が見込まれていましたが、日米の金融政策見通しを踏まえ、年末時点で円高・ドル安に振れるとの見方が強まった形です。今回調査の予想通りとなれば、5年ぶりに「円高・ドル安」に転じることになります。 一方、円・ユーロ相場は1ユーロ=128円83銭、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.09ドルとなりました。前回1月調査では、それぞれ128円02銭、1.07ドルでした。 2月末時点の円相場1ドル=116円04銭 予想レンジは112~120円 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、2月末の平均値で1ドル=116円04銭となり、1月調査(118円41銭)に比べて一段の円高水準となりました。一方、予想レンジは112~120円と見通しの幅が大きく開きました。日米の金融政策の思惑などを巡って、市場関係者の見方は大きく割れているようです。 市場の関心は3月に打ち出される日米欧の金融政策 為替レートに影響を及ぼす注目度としては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高く、3月のFOMC、日銀金融政策決定会合、ECB理事会において、それぞれどのような金融政策が打ち出されるのかに注目が集まっています。 また向こう6カ月の間に、各通貨が対円でどのように推移するかを聞いたところ、米ドルDIは1月調査分のプラス18から、2月調査分ではプラス21に上昇しており、急激なドル安がやや底を打ちつつあることを示唆しています。また、米ドル以外の通貨のDIは、依然としてマイナス圏ではあるものの、1月調査分に比べてマイナス幅が縮小しており、この点でも、円の独歩高がようやく一服しつつあるようです。 とはいえ、大半の通貨は円に対して弱い状況が続いています。マーケットのボラティリティーが高まるなか、リスクオフによる円買いの動きが依然として根強く認識されているからです。中国の景気減速と不良債権問題の行方、原油安などのリスク要因が落ち着くまで、リスクオフの円買いは、市場関係者の間で燻り続けそうです。 想定以上の円高進行で企業業績のネガティブ要因に 運用者に、運用ファンドの外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、当面どのようなスタンスで臨むかについては、オーバーウエートが大きく後退する一方、ニュートラルが1月調査分の64%から、2月調査分では91%に上昇しました。 また、為替ヘッジについては、「ヘッジ比率を下げる」が0%になる一方、「ヘッジ比率を上げる」が、1月調査分の0%から2月調査分では18%に上昇しており、円高リスクに対して慎重な姿勢が伺われます。通貨別に見た組入比率についても、米ドルのDIが急落し、ユーロ、英ポンド、スイスフランはマイナス幅が拡大。新興国通貨DIはマイナスが解消され、やや買い意欲が高まりつつある兆しが見えています。 なお、上場企業の業績予想の前提となっている想定為替レートは、平均でドル/円が1ドル=117円38銭、ユーロ/円が1ユーロ=130円79銭となりました。いずれも現状の相場水準に比べて円安方向にあり、このまま円の高止まりが続くと主要企業の業績下方修正が懸念され、株価にとってはネガティブ要因になりそうです。

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