黒田日銀の対話力に市場は不信感 高まる6月緩和期待は見送りの前兆?(5月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の5月調査を、5月23日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者64人が回答、調査期間は5月16~19日)。この間の為替レートは、対ドルが108円76銭~109円42銭。対ユーロが123円06銭~124円04銭でした。 黒田日銀の「市場との対話」、8割超が問題ありと回答 「黒田バズーカ」と言われる量的金融緩和を断行し、「円安・株高」を演出する立役者の1人となった黒田東彦日銀総裁。2013年4月に日銀総裁に就任するや、大規模な量的金融緩和を実施することによって見事、「レジームチェンジ(経済環境の潮目の変化)」を印象付けた手腕は高く評価されましたが、果たして今はどうでしょうか。 日銀は今年1月28~29日に開催された金融政策決定会合において、マイナス金利の導入を決定しました。しかし、それによって円安・株高が進むどころか、恐らく日銀の意に反して円高・株安に転じる結果となりました。黒田バズーカの神通力は完全に失われた感があります。マーケット参加者による黒田・日銀への評価はどうなのでしょうか。 まず、日銀の黒田東彦総裁による「市場との対話」を現状どう評価しますか、という問いに対しては、「かなり問題がある」が46%、「やや問題がある」が38%となり、合計84%が「問題あり」とみていることが分かりました。 「黒田バズーカ」は市場の期待以上の緩和策を断行したり、予想外のタイミングで追加緩和に動いたりするというのが特徴のひとつでした。しかし、市場では「市場への(金融緩和の)短期的なインパクトを意識しすぎており、発言と行動がかい離しつつある」(銀行)との声も聞かれます。 マーケット参加者は企業業績でも金融政策でもそうですが、方向性がはっきりしない「先行きの不透明感」を嫌う傾向があるとされます。不透明感が強ければマーケットに影響する材料が出た時の相場変動(ボラティリティ―)が大きくなるため、リスクを取りづらい状況が続くためです。黒田総裁の発言が結果的に市場の混乱を招いているとの思いが、マーケット参加者のこうした低い評価につながったとみられます。 6月追加緩和に黄信号? 回答者の過半数が予想 黒田・日銀と市場との対話がギクシャクするなか、日銀の年内の金融政策をどう予想するか聞いたところ、「6月に追加緩和」が53%で最多となりました。次に「7月に追加緩和」が22%となり、「追加緩和なし」は8%にとどまりました。 国内景気に力強さがなく、日銀が掲げる物価上昇2%の目標達成にも暗雲が垂れ込める中で市場は追加緩和の実施を確実視している状況といえます。ただし、ある回答者は「黒田総裁のこれまでの行動様式から考えると、市場が追加緩和期待をしている状況では追加緩和をしてこないだろう」と予想しています。 まさに、黒田日銀総裁の市場との対話能力が問われるところですが、過去の状況が示すようなよりサプライズを狙った対応をみせるのか、市場の見方・期待に歩み寄るのか、6月の日銀会合での黒田総裁の行動に要注目です。 なお、日銀が次に金融緩和を行うとした場合、その手法は何かという点ですが、これについては、複数回答可で「質的緩和拡大(買い入れ対象資産の拡大)」が88%を占め、次に「量的緩和拡大(買い入れ金額の増額)」が59%で続きました。一方、「マイナス金利の拡大」は42%、「貸出支援基金へのマイナス金利適用」が38%で、マイナス金利に対する期待感はやや後退した感があります。 為替介入のトリガーは「100円」か また日本の為替政策についても質問してみました。米政府が4月下旬に発表した為替報告書で日本の為替政策を監視リストにしてした一方、麻生財務相は円高進行に対して為替介入の用意があると明言しています。そこで、実際に円売り介入に踏み切る場合の引き金となる水準について聞いたところ、平均値で1ドル=100円55銭となりました。 今回の回答者のレンジは90~105円となっています。日米金融当局者のつばぜり合いは当面続きそうな雰囲気ですが、やはり100円の大台を突破するような円高が進行するようだと、マーケットに与えるインパクトも大きいとみられ、日本政府も行動に移すとの見方が市場では根強いようです。 FRBの追加利上げ、「12月」予想が42%で最多 次に米金融政策です。6月14~15日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の6月23日に英国ではEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票が実施されます。このイベントはFOMCの政策決定にどのような影響を及ぼすかについて聞いたところ、47%が「利上げ見送りの要因になる」と回答した一方、52%が「特に関係ない」と答えています。 またFRB(米連邦準備理事会)の年内の金融政策については、「6月に追加利上げ」が27%、「7月に追加利上げ」が30%を占める一方、「12月に追加利上げ」が42%となりました。 11月の大統領選挙前にはFRBも政策決定で動きにくい面があるため、大統領選挙が終わる12月に追加利上げが行われるとの見方が多くを占めたものと考えられます。 一方、5月18日(日本時間19日)に公表された4月26~27日開催分のFOMC議事要旨では、大半の参加者が「6月会合で利上げが適切となる」と判断していたことが分かり、市場では6月利上げ説が再浮上しつつあるようです。しかし、利上げの条件は「経済・物価情勢の改善が続く」か否か。今後も米経済の回復力や世界情勢を見極めながらの状況が続きそうです。 頭打ち感が強い資源国通貨 毎月定点調査している金融機関の外為業務担当者の為替見通しによると、5月末の平均値で109円48銭となり、前回調査の109円15銭に比べてやや円安方向にシフトしました。6カ月後には111円台も視野に入っています。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高い状況に変わりはありませんが、ドルについては前月比で9%の減少です。逆に「当局の姿勢(介入を含む)」については、ドルが前月比で5%の増加となりました。 また、向こう6カ月間のうち、各通貨は対円でどのように推移するかについては、米ドル高に対する期待感が徐々に高まっているものの、スイスフランやNZドル、インドルピーは、プラス圏だった前月から、マイナス圏に変わってきました。そのほか、カナダドル、豪ドル、南アフリカランドなどの資源国通貨は弱含みで推移。原油高で一時は持ち直す展開になりましたが、戻りが弱く、先行きに対する悲観ムードが浮上しています。 企業のドル円想定レートは112円80銭 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面のスタンスは「ニュートラル」が前回調査に比べて低下する一方、「オーバーウエート」が11%から25%に上昇しました。ひところの円高悲観ムードは、やや後退した感があります。また、為替ヘッジに関する当面のスタンスは、「現在のヘッジ比率を維持」が88%から71%に低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」が13%から29%に上昇しました。なお、業績予想の前提となる想定為替レートについて聞いたところ、平均値はドル円で1ドル=112円80銭、ユーロ円で1ユーロ=125円05銭になりました。

社外取締役のガバナンスは企業不祥事を抑えられる?抑えられない?(5月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の5月調査を、5月16日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者155人が回答、調査期間は5月10~12日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6200~1万6800円台で推移しました。同期間に良くも悪くもホットな話題となったのが三菱自動車の動向です。三菱自動車は4月下旬に軽自動車4車種で燃費を実際より良く見せる不正を意図的に行っていたと発表。燃費不正問題の全面解明が急がれる最中の5月12日には日産自動車が三菱自動車に2000億円強を出資し、傘下に収めることを発表しました。 セブン&アイの役員人事ケース「ガバナンスが有効に機能」過半数 こうした状況もあって、今回のアンケートでは、社外取締役の役割や機能について伺いました。三菱自動車の不正燃費問題のほか、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長の電撃辞任など、日本を代表する企業で起こったこれらの出来事において、社外取締役がその役割と機能をきちっと担ったのかどうかというのが、今回の質問のポイントです。 まずセブン&アイ・ホールディングスの役員人事においては、社外取締役が重要な役割を果たしたと言われていますが、これについてどのように思うかを聞きました。それによると、「ガバナンスが有効に機能した」との回答は53%で最多となりました。次に「混乱を抑えきれず、ガバナンスが機能したとはいえない」が26%で続き、「オーナー家の意向を反映したにすぎない」が18%で続きました。 今回の役員人事は、井阪隆一セブン・イレブン・ジャパン社長を退任させる案を鈴木会長が提案したものの、それに対して過半数の賛同が得られなかったため、鈴木会長が「自分は信任されていない」と判断、自らの引退を決意したというのが経緯です。役員会での人事案に対する採決は、15人の取締役のうち反対が6票、賛成が7票、白票が2票でした。 三菱自の不正、社外取締役では発見困難? また三菱自動車の燃費不正問題では、同社に4名の社外取締役がいたにも関わらず、今回の問題を防げなかったことに対して、どのように考えるかと問いました。 その結果は、「社外取締役では今回のような不正を防ぐのは困難」が55%と最多。「社外取締役を機能させる仕組みが整っていなかった」が34%で続き、「社外取締役とはいえ、独立性に問題があった」が9%となりました。 社外取締役の機能にみられる限界点 一方、三菱自動車や東芝、東洋ゴム工業など、企業不祥事が相次いでいる中で社外取締役の機能を強化することによって不祥事が防げるかどうかを聞いたところ、「ある程度は防げる」が58%に達し、「防げる」(1%)を合計すると約6割は防げるとみていることが分かりました。半面で「ほとんど効果はない」との回答も4割弱に上っています。 社外取締役はあくまでも「社外」であり、社内の深層に迫って不祥事を未然に防げるかというと、そこには限界があるものの、配置しないよりはましということでしょうか。 東京証券取引所が昨年6月に導入した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)では、2人以上の独立社外取締役の選任を求めています。その他の統治改革を併せて中長期的な企業価値の向上を図ろうとするのが真の目的ですが、まだまだ課題は多いといえそうで、規制当局にとっても行動を起こす企業にとっても試行錯誤の状況は続きそうです。 伊勢志摩サミットの行方に注目 回答者の1カ月後の日経平均株価予想はやや上方にシフトし、4月調査の1万6077円(確報値)から5月調査では1万6756円になりました。 一方、日経ジャスダック平均は、前回調査に比べて5.18%も上方にシフトしました。個人マネーが主力大型株より新興株に向かっており、新興株市場全体の地合いが好調なことが要因とみられます。 今後、6カ月程度を想定した株価変動要因としては、「政治・外交」に対する注目度が前回調査の8%から15%に大きく上昇しています。景気・企業業績や為替は、注目度こそ高いものの、前回調査に比べると、ほぼ横ばいとなりました。5月26~27日に伊勢志摩サミットが開かれますが、久々に経済サミットとしての色彩が強いと考えられています。政治・外交への関心の高まりはこの点が意識されているとみられ、同サミットで討議・合意される内容への関心が集まりそうです。 また、注目している投資主体としては、前回調査とほぼ同じ結果となりましたが、相変わらず外国人投資家の注目度が他の投資主体に比べて圧倒的に高い水準にあります。ちなみに外国人投資家の動向が株式市場に及ぼすインパクトとしては、前回調査ではネガティブ要因でしたが、徐々に中立へと向かっています。日本の株式市場は外国人投資家の動向に左右される面が強いだけに、今後の動向は要注目です。 今後の投資スタンスはやや強気見通しに変化 資産運用担当者68人に、国内株式への投資スタンスなどを聞きました。 まず、運用しているファンドにおいて、国内株式の現在の組入比率は、通常の比率に比べてどうなのかということですが、「かなりオーバーウエート」は前回調査と変わらず2%とごく少数。一方で「かなりアンダーウエート」が2%から6%に上昇しました。他は大きな変動もなく、「ニュートラル」が過半数を占めていますが、「かなりアンダーウエート」が6%に伸びた点からも、日本株の組入れに対してやや慎重なスタンスが伺われます。 ただ、当面の投資スタンスについては、やや積極的な動きもみられます。「現状を維持する」が78%から63%に大きく低下する一方、「やや引き上げる」が11%から22%に上昇しました。また「かなり引き下げる」が0%から2%に上昇したものの、「かなり引き上げる」も0%から2%に上昇しています。総じて組入比率を引き上げる方向にバイアスがかかっていることが示されました。今後の日本株については、さらなる金融緩和や消費増税の先送り、財政出動など政府・日銀の経済対策への期待もあって、やや強気な姿勢も垣間みえつつあるようです。

増税延期は既定路線? 「延期」予想6割、「凍結」見込む声も(4月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の4月調査を5月6日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者143人が回答、調査期間は4月26~28日)。 日本国債の利回りは、5月2日時点で3カ月物から10年物までがすべてマイナス金利となり、10年超の長い金利にも低下圧力が強まっています。ちなみに、1カ月前と現在の金利水準を比較すると、次のようになります。いずれも前者が1カ月前、後者が5月2日時点の数字です。 10年債・・・・・・-0.055%⇒-0.109% 20年債・・・・・・ 0.373%⇒ 0.248% 30年債・・・・・・ 0.455%⇒ 0.288% 10年超の長い金利は辛うじてプラスを維持していますが、それでも30年債に至るまで水準を切り下げています。国内景気の先行き不安が高まる中で国債を購入する流れは途切れず、それだけ先行きの金利低下を市場が織り込んでいることを意味しています。 長期金利の低下圧力が強まっているのは、それだけ景気の先行きに対する不透明感が強まっている証拠ともいえるでしょう。昨今の円高進行や株安などを受けて、企業業績は下方修正を余儀なくされ、個人消費も決して堅調とはいえない厳しい状況が続いています。 こうした状況とあって、来年4月に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げが気になるところです。そこで今回は、消費税率の引き上げに関するアンケート調査を実施しました。 消費増税「べき」論でも賛成派と反対派が拮抗 そもそも、予定通り消費税率の引き上げを行うべきなのでしょうか。これに関して、債券市場を担当するプロの意見では「予定通り引き上げるべき」が43%を占め最多となりました。ただ、「引き上げ時期を明示して延期するべき」が32%で続き、「引き上げ時期を明示せず凍結するべき」も12%に上りました。合計すると44%が予定通りの引き上げに反対となり、賛成派と拮抗する結果となりました。財政健全化などの観点から増税すべきとの意見は多いものの、現状では増税に国内経済が耐え切れないとみる市場関係者が増えていることを示しているといえます。 8%⇒10%への消費増税、「予定通り引き上げ」は14%にとどまる 一方、安倍政権は予定通り引き上げるかどうか、という純粋な予想については、「引き上げ時期を明示して延期する」が61%を占めて最多。「引き上げ時期を明示せず凍結する」(18%)が続き、約8割が増税見送りを予想しています。「予定通り引き上げる」は14%にとどまり、2017年4月の消費税率引き上げはないと市場関係者は織り込みつつあります。 消費税引き上げ延期は発表のタイミングがポイント ただ、気になるのは、市場関係者の多くが「2017年4月の消費税率引き上げは先延ばし」ということを織り込んだ時のマーケットの反応です。 今回のアンケートで最も多かった回答を見ると、日本長期金利は「影響なし」が67%、円ドル相場は「円安」が58%、日本株価は「上昇」が63%を占めています。 脆弱な国内景気をさらに下押ししかねない消費増税を見送ることが株高、その結果として円安につながるとの見方は妥当な意見ともいえそうですが、問題は引き上げ延期を発表するタイミングかもしれません。 一部では、5月26~27日に開催される伊勢志摩サミットで発表されるのではないかとの観測も出ていますが、マーケットはこの手の材料を先に織り込んで動くので、そうなれば事前に円安・株高が進むことになるでしょう。もし、そのタイミングで発表されなければ、逆に急激な円高・株安が進むリスクが増大する可能性があります。 仮に消費税率の引き上げが延期されるとしても、マーケットがどのタイミングでそれを発表すると考えているのか、ということのコンセンサスは、メディアなどを通じて把握しておく必要がありそうです。 新発10年債利回り見通しは下方修正 今回のアンケート調査期間は、ちょうど4月の日銀金融政策決定会合が開催された時期に当たりました。 今回の会合では、事前に「貸出金利にもマイナス金利を適用するなど、もう一段の金融緩和が行われる」という報道が事前に流れたこともあってか新発10年国債の金利見通しは、3月調査分に比べてさらに一段低下しました。 金利水準がプラスを維持している新発20年国債も3月調査分に比べて水準を切り下げました。ただ、結果は一部報道が先走った感があり、日銀は金融政策の据え置きを決めました。また、黒田日銀総裁が「マイナス金利の浸透具合を見極める」との発言をしたことから、しばらくサプライズ的な金融緩和は行われないのではないかと考えられます。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で最も注目されているのは「短期金利/金融政策」で71%を占めています。それ以外はごく小さな動きですが、3月調査分に比べて「景気」が上昇、「為替動向」と「債券需給」が低下しました。 ちなみに注目度が最も高い「短期金利/金融政策」が債券価格に及ぼす影響度を示す指数の数値は80.3。中立要因の50を大きく上回り、債券価格が上昇することを示す数字なので、金利水準はさらにマイナス幅を広げる可能性があることを、市場関係者は読んでいます。 また、注目される投資主体としては「政府・日銀のオペレーション」が2月調査分の57%から3月調査分では62%、そして4月調査分は68%に達するなど、徐々に上昇してきました。逆に「都銀・信託銀行(投資勘定)」が3月調査分の16%から9%に低下しており、債券市場の価格形成において、政府・日銀のオペレーションが大きな影響を及ぼしているのが見て取れます。 デュレーション長期化の流れ継続 ディーリング部門を除く資産運用担当者69人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」と「ややアンダーウエート」が上昇し、「ニュートラル」と「かなりアンダーウエート」が低下しました。ただ、「ややアンダーウエート」と「かなりアンダーウエート」を合わせた回答比が23%で、「ややオーバーウエート」と「かなりオーバーウエート」を合わせた11%を超えており、足元のスタンスはやや慎重といったところでした。 一方、当面の投資スタンスですが「現状を維持する」が70%で大多数を占める中、「やや引き下げる」が23%、「かなり引き下げる」が2%で、アンダーウエート方向に計25%。一方、オーバーウエート方向は「やや引き上げる」が6%、「かなり引き上げる」が0%で、これから先の投資スタンスについても、債券については慎重な姿勢が見て取れます。債券をアンダーウエートにする一方、株式などリスクアセットに投資比率を傾ける傾向が強まっていると考えられます。 ちなみに組入債券のデュレーションについては、「かなり長くする」と「やや長くする」が合わせて28%を占める一方、「かなり短くする」と「やや短くする」が合わせて5%にとどまっており、金利の付く年限を求めて超長期債への需要を強めている投資家の姿勢が伺われる結果となっています。

日銀追加緩和、次は「量・質・マイナス金利拡大」のセット有力?(4月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の4月調査を、4月18日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者71人が回答、調査期間は4月11~14日)。この間の為替レートは、対ドルが108円05銭~108円92銭。対ユーロが122円93銭~123円66銭でした。 4~6月に104円台まで円高進行の余地? 「デフレから脱却し、景気は回復する」という期待感にあふれていた2013年1月から2015年8月までのムードは、その後の円高・株安の流れを受けて、大きく後退しています。徐々に景気の先行き不安が強まるなか、マーケット関係者は為替や原油価格の動向、金融緩和の方向性をどのようにみているのでしょうか。 4~6月の円相場はドルに対してどの程度まで円高に進む可能性があると思うか聞いた設問では、回答者全員の単純平均で1ドル=104円49銭という結果となりました。最も多かった回答は105円でした。 先週まで110円を目指す展開だった円相場は15日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、米国が円売り介入をけん制する発言をしたことで再び円高基調に戻り、18日は一時107円台を付けました。株価動向をにらみつつ円相場も当面、不安定な値動きが続く可能性が高そうです。 原油など商品価格、当面は「横ばい圏」で推移か 円相場の変動要因として影響が大きい原油など商品価格についても、同じく4~6月の動向について聞きました。原油価格は2月11日に付けた1バレル26ドル21セントで底入れし、中旬からは上昇へと転じて、4月12日には42ドル台まで回復しました。それにともない、コモディティー価格全体も下落に歯止めがかかっています。ただ、マーケット関係者は4~6月については上昇一服との見方が多く、全体の58%が「横ばい圏」と回答しました。「下値模索」に転じるとの回答は13%でした。 石油輸出国機構(OPEC)加盟国や非加盟の主要産油国など18国が17日にカタールのドーハで開いた会合では、増産の凍結について手法などを巡って意見の相違が埋まらず合意が先送りされています。6月2日のOPEC総会まで増産凍結の結論は持ち越されそうな雰囲気ですが、原油価格動向は「リスクオン・オフ」を左右する大きな材料となるため、引き続きマーケット関係者の関心事になりそうです。 消費増税延期の円相場への影響、48%が「影響なし」、「円安圧力」は41% 国内景気の減速感が強まるなかで気になるのが、来年4月に予定されている、消費税率の8%から10%への引き上げです。2014年4月に、それまでの5%から8%に引き上げた影響から、その後の個人消費は大きく落ち込み、現在に至ってもなお個人消費は盛り上がりに欠く展開を続けています。結果、来年4月からの消費税率引き上げを先延ばしにする可能性が高まっているという見方も出ていますが、一方で増税派は、「消費税率引き上げは国際公約であり、その先延ばしは日本売りにつながる」ことへの懸念を示しています。 この点、マーケット関係者の見方は分かれており、「延期された場合の円相場への影響をどう考えているのか」という問いに対しては、「影響なし」とする回答が48%を占める一方、「円安圧力になる」という回答が41%となりました。 また、円高の流れが反転する条件としては、「米生産・雇用・消費指標の改善」が43%を占め、次いで「政府・日銀の金融経済対策」が33%、「原油など商品価格の上昇」が32%となりました。 インパクトある金融緩和は実現するのか 今後のマーケット関係者の注目は、景気の後退色が一段と高まった場合、日銀がいつ追加緩和に踏み切り、黒田日銀がどういったカードを切るかという点に集約されてきます。 この点、市場関係者は早期の追加金融緩和を予想する声が多く、次の金融緩和の時期については、「4月」が43%で最も高く、次いで「6月」の23%、「7月」の17%となりました。 また、金融緩和の手法としては、「量・質・マイナス金利拡大のセット」が35%で最も多く、次いで「質的緩和拡大(買い入れ対象資産の拡大等)」が28%、「量的緩和拡大(買い入れ金額の増額)」が13%となりました。 「量・質・マイナス金利拡大のセット」に期待する声が大きいのは、市場へのポジティブなインパクトを求めているからであり、逆に言うと、いずれ行われる可能性がある金融緩和が肩透かしを食らわせるものだと、マーケットにはネガティブなインパクトになり、円高・株安が急伸するリスクが高まるとも言えそうです。 資源関連通貨がやや持ち直し 毎月定点調査している金融機関の外為業務担当者の為替見通しによると、4月末の平均値で109円15銭となり、前回調査の113円60銭に比べて円高方向にシフトしました。 為替の変動要因として前回調査に比べて注目度が上がったものとしては、円が「当局の姿勢」、米ドルが「政治/外交」、ユーロが「景気動向」となりました。また市場に及ぼす影響の度合いを示した指数をみると、円は「貿易」が前月比で5.4ポイント上昇し、63.7になりました。円高の原因については諸説紛々ですが、ファンダメンタルズとしては、単年ベースで2011年から2015年まで続いた貿易収支の赤字が、3月時点で貿易黒字に転じていることの影響が円高要因のひとつと考えられます。貿易収支の黒字は、潜在的な円の買い圧力になります。 ただ、1ドル=107円台まで円高が進んでいる状況のなかで、ここから多少の調整が入るとみる向きもあり、向こう6カ月間の対円レートについての動きを聞くと、ドルDIが前月のプラス28からプラス37に上昇しています。またNZドルがマイナス11からプラス30に、豪ドルがマイナス3からプラス25に、カナダドルがマイナス3からプラス19に、それぞれプラス転換しているのは、原油価格の下げ止まりによる影響とも考えられます。 企業の想定レートは円高水準に ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面のスタンスは前月と全く変わらない結果が出ており、「ニュートラル」が78%を占めています。また為替ヘッジについて当面のスタンスは、「ヘッジ比率を上げる」が前月の11%から0%に低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」が0%から13%に上昇しました。「ヘッジ比率を上げる」から「ヘッジ比率を下げる」を差し引いて求めるDIは、1月以来のマイナスになっています。 なお、企業の業績予想の前提となっている為替レートですが、ドルが平均で114円03銭になりました。昨今の円高進行の影響を受け、想定レートを円高方向にシフトさせる動きが広がりつつあるようです。

アベノミクスに試練、景気対策「財政出動」など求める声多く(4月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の4月調査を、4月11日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者155人が回答、調査機関は4月5~7日)。 日経平均株価は2月12日に1万5000円割れとなった後、3月後半にかけて持ち直し28日には1万7134円まで回復しましたが、翌日以降は下げ足を強め、4月6日まで7営業日連続の下落となりました。7日続落は2012年11月13日以来のことで、これは安倍晋三首相による経済対策が株高の原動力となった「アベノミクス相場」後で初めてでした。 新年度入り以降の円高進行と、それにあわせた株安によって景気の先行き懸念が一段と高まっています。そこで今回はアンケート対象者に、景気の現状について聞いてみました。結果の要約は以下のイメージとなります。 以下、詳細について解説します。 景気の現状「停滞」8割 消費低迷は「可処分所得が増えない」ため 景気の現状については、「停滞している」との回答が78%を占めました。次いで「後退している」が11%で続きました。「ゆっくり成長している」は10%にとどまり、全体的な景気見通しはネガティブになりつつあります。 3月の月例経済報告では、景気の現状認識を「景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」としました。昨年10月以降、「景気は、このところ一部に弱さもみられるが…」としていたのを、「景気は、このところ弱さもみられるが…」としたことで、政府としても景気の現状認識を一歩後退させたことが分かります。 とりわけ、深刻化しているのが個人消費の低迷です。月例経済報告でも、2月は個人消費について「総じてみれば底堅い動き」としていたのを、3月は「消費者マインドに足踏みがみられるなか、おおむね横ばい」という表現に変わりました。実質消費支出は、2月こそ前年同月比1.2%増になったものの、過去の時系列をみると2015年中で前年同月比プラスになった月は、わずかに2回。あとはマイナスでした。 2014年4月に消費税率が5%から8%へと引き上げられたのを機に個人消費が落ち込んだという見方もあるなか、それ以上の増税に個人は持ちこたえられるのか。こうした状況だけに、8%から10%への引き上げが予定されている2017年4月の消費税率引き上げが果たして延期になるのかどうかが、注目されます。 なお、今回のアンケートで個人消費低迷の最大の要因は何かについて聞いてみると、「可処分所得が増えない」が43%で最多となり、次いで「家計の節約志向」が23%、「賃上げが見込めない」が13%で続きました。 消費税率の引き上げや社会保障費の負担増に加え、賃上げが思った以上に進まないことが、個人消費の圧迫要因になっていると思われます。 有効な景気対策「財政拡大」3割超 中長期の成長には「規制緩和」を このまま個人消費が低迷すれば、やがてデフレマインドが浮上し、安倍政権がなりふり構わずに進めてきた金融経済対策も無駄になります。 今後、最も有効な景気対策としては何があるのかを聞くと、「財政支出の拡大」が33%で最多。次いで「所得減税」と「消費増税の延期」がともに25%でした。 5月に日本で開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では世界経済減速に対する対策が主要議題になる見通しです。財政出動による内需拡大を柱に、主要国との間で政策協調が構築できるかどうか関心が集まっています。 また、中長期的に経済を成長させるために最も有効な施策としては、「規制緩和によるビジネス機会の拡大」が61%で最多となりました。「女性活躍に向けた社会的インフラの充実」は9%、「高齢者の活用・雇用機会の拡大」が7%でした。 外国人投資家の売りはいつまで続く? 新年度入り以降、日経平均が下値模索の展開となるなか、株式市場関係者のマーケットに対する見方は総じて弱気になりました。 1カ月後の日経平均予想は下方にシフトし、3月調査の1万7108円から4月調査では1万6069円になりました。2月調査時点で、4月末の日経平均予想は1万8200円台でしたので、大幅な下方シフトです。 今のところ3カ月後、6カ月後に向けてはそれぞれ1万6821円、1万7115円とやや上昇する見通しとなっていますが、主要な輸出企業の想定為替レートが1ドル=117円であることを考えると、現在の1ドル=108円前後の水準は、今期(2017年3月期)の決算に悪影響を及ぼす恐れがあり、株価をもう一段押し下げることにもつながりかねません。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業動向」が45%で最多でしたが、4月調査では「為替動向」が35%となり、2月調査の16%、3月調査の26%から大きく上昇しました。 ちなみに、株式相場に影響を及ぼす指数をみると、「景気・企業動向」が37.7、「為替動向」が34.3と、いずれも50を大きく下回り、株式相場にとってはネガティブ要因として強く意識されています。 また、今後6カ月を想定して、注目される投資主体としては「外国人」が3月調査の78%から4月調査では86%に大きく上昇しました。指数は41.7ですから株価のマイナス(=下押し)要因とみなされています。外国人投資家は2016年に入り日本株を3カ月連続で売り越しており、1~3月の累計売越額は5兆円に達しました。ロングオンリーのファンド筋は日本株をかなり売ったの話もありますが、アベノミクスへの期待からこれまで日本株買いを進めてきた外国人投資家は売り姿勢に完全に転換し、今後も売り圧力を強めるのか、日経平均の先行きを占う上で目が離せません。 円高の影響で「自動車」「電機・精密」に弱気 投資家は日本株に対して、やや慎重な姿勢となっています。 資産運用担当者59人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、全体の傾向として「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」が低下傾向をたどり、「ニュートラル」と「ややアンダーウエート」が上昇傾向をたどっています。 また、当面のスタンスについては、「やや引き上げる」が減少。「現状を維持する」がやや上昇するとともに、「やや引き下げる」が、3月調査の8%から4月調査は12%まで上昇しました。 セクター別の投資スタンスについて、「オーバーウエート」から「アンダーウエート」を引いた比率(プラスが大きいと強気、マイナスが大きいと弱気)をみると、比率が大きく低下したのが「自動車」や「電機・精密」でした。ともに円高進行による業績不安が影響したようです。一方、微増ながらも比率が高まったのが「建設・不動産」でした。日銀のマイナス金利拡大を含めた追加の金融緩和策観測も根強い中で相対的にプラスのインパクトもたらすと期待されるセクターを物色する流れを映し出しています。

QUICK緊急調査…目先の円相場、プロの6割が「105~115円」の推移を予想

QUICKでは円相場の急伸を受けて、8日に外為市場関係者52名を対象に緊急聞き取り調査を実施しました。 今後3カ月間のドル円相場の予想レンジについては、「105~115円程度」との回答が63%を占めました。次に多かったのが「100~110円程度」で27%。「110~120円程度」との回答は6%にとどまり、「115~125円程度」は0%です。 向こう3カ月間の対ドル円相場の高値メドについては、回答の単純平均値が1ドル=103円51銭、中央値は1ドル=105円となっています。 プロがにらむ対ドル円相場の高値メドは100~105円ということが判明しました。市場は一時的に105円を抜ける可能性も警戒している状況ということです。 円高進行の背景についての質問では、「ポジション調整・投機的な動き」が33%で最多となりました。「米利上げペースの鈍化」と回答したのが21%、「日本の期待インフレ率の低下」が13%。見方は分かれているものの、今回の円急騰は、金利予想というファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の影響というよりかは、あくまで需給・投機の要因であるとの見方が優勢でした。 「ポジション調整・投機的な動き」については、「日銀の金融政策の手詰まり感に加え、日本当局による為替介入が困難との思惑もあり、円高の流れに歯止めをかけるに至っていない」(証券会社)などの指摘がありました。

日銀次の一手、マイナス金利拡大で対応か? 質的緩和拡大の見方も(3月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の3月調査を、4月4日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者138人が回答、調査期間は3月29~31日)。調査期間中の新発10年物国債利回りはマイナス0.095~マイナス0.050%で推移しました。 日銀次の一手「マイナス金利拡大で対応」との見方が最多 今回のアンケート調査では、2016年の日・米・欧の金融政策について尋ねてみました。 日銀の次回の追加緩和がいつ頃行われるかという点について聞いたところ、最も多かったのが6月で34%。次いで4月が20%となり、「年内はなし」が16%で続きました。1日発表された3月の日銀短観では、大企業製造業の業況判断DIが市場予想よりも悪化し、日経平均株価は1万6000円割れ寸前まで下落しました。さらに、円高進行が輸出企業の業績悪化要因となり、全体的に景気の先行き懸念が強まっています。 景気の冷え込みを避けるためにも、政府・日銀による政策対応を求める声が強まっており、来年4月に予定されている消費税率引き上げの延期観測も広がっています。日銀のさらなる緩和も期待されるところですが、日銀が次に金融緩和を行う場合、その手法は何かという問いに対しては、「マイナス金利幅の拡大」が76%でトップとなりました。次いで「質的金融緩和(買い入れ対象資産の拡大など)」が67%、「量的金融緩和(買い入れ金額の増額)」が47%となりました。 米利上げ、年内2回が6割 ECBは「年内緩和なし」が最多 米国の追加利上げは年内あと何回かという問いについては、「2回」が58%で最多、次いで「1回」が36%となりました。3回以上と答えた人は3%にとどまり、活発に利上げが行えるほど米国の景気が堅調ではないと市場関係者がみていることを示唆しているといえます。 そして欧州ですが、欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和がいつかという問いについては、「年内はなし」が47%で最多となりました。利下げ予想では、「6月」が17%、「9月」が16%となりました。3月10日に開催されたECB理事会において、ドラギECB総裁が「もう一段の利下げの可能性は低い」と発言したことが、年内の金融緩和はなしとする回答の高さにつながったようです。 新年度運用、REITや海外クレジットなど選好 さらに今回のアンケート調査では、新年度入りということもあり、「あなたが運用担当者なら各資産の運用を2015年度に比べてどう変えますか」という質問もしてみました。 このうち、「日本国債」については「減少」との回答が57%に上り、「増加」の12%を上回りました。「国内株」は「不変」が48%と最多でしたが、「増加」が36%と「減少」の16%を上回りました。ほかに、「増加」が多かった資産では「REIT」や「海外ソブリン・ヘッジ付」「海外クレジット」などで、比率はそれぞれ54%、47%、47%でした。 政府・日銀のオペレーションに対する注目度は高いまま 国内債券について、1カ月後、3カ月後、6カ月後の予測数値を聞いたところ、新発10年国債については、マイナス0.02%台だった2月調査分に比べて一段と低下しており、4月末がマイナス0.069%、6月末がマイナス0.070%、9月末がマイナス0.065%となりました。 新発20年国債については、1カ月後、3カ月後、6カ月後とも辛うじてプラスの利回りを維持していますが、2月調査分に比べて大幅に低下しています。マイナス金利の導入以降、10年物国債まで利回りがマイナス水準に低下するなか、投資家は金利を求めてより長期の債券に投資しており、20年物、30年物の金利も大幅に低下。イールドカーブのフラット化が進んでいます。 ただ、冒頭でも触れましたが、日銀の追加緩和については、「マイナス金利の拡大」で対応するとの見方が市場関係者の間では多いため、すでにマイナス水準になり、償還まで保有しても差損が生じる10年物国債についても、もう一段の価格上昇(=マイナス金利幅の拡大)を狙って投資する動きが続くことも想定されます。 今後、6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で注目度が高いのは、「短期金利/金融政策」が70%で最多でしたが、2月調査の77%に比べるとやや低下。逆に上昇したのは「債券需給」で、2月調査の11%から20%になりました。日銀の追加緩和観測が根強く、債券価格への影響度を示す指数を見ると、「短期金利/金融政策」が81.5、「債券需給」が73.3と、債券価格の上昇期待を示す数字になっています。 最も注目している投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が、2月調査の57%から62%に上昇。他の投資主体はマーケットの動向に対してほぼ中立要因とみなされており、マーケットを動かす投資主体としては、政府・日銀が突出した形になっています。 マイナス金利拡大へ備え続く? ディーリング部門を除く資産運用担当者66人に、現在運用しているファンドにおいて、国内債券が通常の基準に比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が69%で、月を追うごとに上昇している一方、「ややアンダーウエート」が低下傾向をたどり、「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」、「かなりアンダーウエート」がそれぞれ2月調査に比べて上昇しました。 当面、どのようなスタンスで臨むのかという点については、「やや引き上げる」、「現状を維持する」が低下する一方、「やや引き下げる」が、2月調査の15%から26%に上昇しています。 現在のデュレーションは、2月調査と比べて大きな変動はなく、「ほぼ基準通り」とするのが53%、「やや長い」が23%、「やや短い」が17%でしたが、この半年の傾向としては、「ほぼ基準通り」が上昇する一方、「やや長い」が1月をピークに比べて低下。「やや短い」も低下傾向をたどっています。 とはいえ、デュレーションについて当面のスタンスを伺うと、この半年の傾向として「現状を維持する」が低下傾向をたどっているのに対し、「やや長くする」が上昇傾向をたどっています。3月調査では「かなり・やや長くする」との回答は22%となり、2012年8月(23%)以来の高水準となっています。この点からも、運用担当者がもう一段のマイナス金利拡大への備えを強めている様子が伺われます。

米大統領選は円高要因…市場は「クリントン候補勝利」を予想

・米大統領選挙に関する大手金融機関の見通しまとめはこちら ・選挙結果や相場影響についての為替市場関係者アンケートはこちら ・開票結果の更新ページはこちら、またtwitterでも随時つぶやきます   外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の3月調査を、3月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は3月7~10日)。この間の為替レートは、対ドルが112円47銭~113円71銭。対ユーロが123円54銭~124円73銭でした。 今回の調査では、海の向こうで話題となっている米大統領選挙について調査しました。大国である米国のトップの変化は、経済にももちろん影響を与えるイベントです。 為替市場関係者は「ヒラリー・クリントン候補の勝利」を予想 米国大統領選の候補者選びにおける最大の山場は、スーパーチューズデーです。通常、2月下旬から3月上旬の火曜日に予備選挙のうち、多くの州がここに開催日が集中することから、大統領候補者選びの大勢を決めると言われています。今回の大統領選挙においては、3月1日がその日でした。 結果は、民主党は当初の予想通り、ヒラリー・クリントン前国務長官。対して共和党は、不動産王のドナルド・トランプ氏が、それぞれ圧勝しました。 今後、共和党は7月18~21日にかけて、民主党は7月25日~28日にかけて、それぞれ全国大会が開かれ、そこで指名候補者が選出されます。過去において、スーパーチューズデーを制した候補者が、全国党大会の使命候補者に選ばれる可能性が高いため、2016年の大統領選挙は、民主党がクリントン候補、共和党がドナルド・トランプ候補になることも、十分に考えられます。 今回11月に行われる米大統領選挙において、どの候補者が勝利するかをアンケートしたところ、トップはクリントン候補で、圧倒の85%。次いで、意外なほどの善戦をしているトランプ候補が12%、マルコ・ルビオ候補の名前も挙がりましたが、共和党候補者という点では、トランプ候補に一歩も、二歩もリードを許している状況です。 どちらが勝っても円高要因、トランプ氏勝利の場合は要注意 恐らく、マーケット関係者の間で最も気になるのは、クリントン候補にしても、トランプ候補にしても、大統領になった時、マーケットにどのような影響が生じるのか、ということでしょう。 ドル円については、結論から言ってしまうと、どちらの候補が勝っても「円高要因」という見通しになっています。 とはいえ、両候補はやや度合いが異なります。仮にクリントン候補が大統領になった場合、「やや円高要因」という回答が49%を占めてトップ。次いで「中立要因」が33%を占めました。 問題はトランプ候補が大統領になった場合で、「強い円高要因」と見る回答比が49%、「やや円高要因」が36%となりました。これは、トランプ候補の為替政策に対する発言によるものでしょう。「日本の度重なる円安誘導のせいで、友達は高いキャタピラーではなく、コマツのトラクターを購入している」という発言をしていることは、多分にドル安政策を推し進めてくる可能性が高いという連想につながります。日本にとっては、クリントン候補の方が、経済面で望ましいということになるのでしょうか。   米国の利上げは年内あと1~2回 次に、日米の金融政策についても、その見通しを聞きました。 2016年の米金融政策については、「利上げ4回以上」を予想する向きは無くなり、「利上げ1回」が最も多い42%を占めました。次いで「利上げ2回」が39%、「据え置き」が12%で、それ以上に積極的な利上げを行うという答えは見られません。 前述したように、今年は大統領選挙の年なので、FRBとしても、ここから大きく利上げしにくい状況にあります。中国経済の成長率ダウンによる世界経済の先行き不透明感が強まっていることを考えれば、ここからさらに利上げのピッチを上げることはないというのが、妥当な見方でしょう。 また、日銀の金融政策については、まさに本日(3月14日)から開催される金融政策決定会合で金融緩和が発表される可能性は大幅に後退し、4月に先送りの見通しが高まっています。デフレ経済からの脱却を目指して行われてきたアベノミクスと、度重なる量的金融緩和は、なかなか効果を見せず、今後、もう一段の金融緩和が実施されるのは必至。金融緩和のタイミングは4月が43%を占めています。また、その際の手法としては、「マイナス金利拡大」が73%で圧倒的に多く、次いで「質的緩和拡大」が51%、「量的緩和拡大」が49%を占めました。 ドルは鈍い戻りを予想、欧州通貨へは弱気 金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、3月末の平均値で113円60銭となり、前回調査の116円04銭に比べて円高方向にシフトしました。 今後のドルの戻りは弱く、3か月後の5月末予想値は114円35銭、6か月後の8月末予想値も114円23銭に止まっています。また3月末の予想値について、最大値が118円、最小値が109円となっていますが、企業の想定為替レートが118円であることからすれば、仮に最大ドル高になったとしても想定為替レートと同じであり、そこまでドル高が進まない限り、3月の企業決算は為替差損によって厳しい状況になることが伺えます。 ドル円の注目度で大きく上昇したのは「政治/外交」の11%で、前月比9%増。大統領選挙の行方が注目され始めたからと考えられます。また、「金利/金融政策」は前月比で11%低下したものの、水準としてはまだ59%の注目度を誇っており、他の要素に比べて圧倒的に注目されています。 また、向こう6か月間で、各通貨が対円でどのような動きをするのかについての指数(DI=プラスは円安方向、マイナスは円高方向)、米ドルは1月の18から徐々に上昇し、3月は28になりました。対して、DIが大きく低下しているのがユーロで、2月のマイナス16からマイナス53に低下。対円で大きく売られると見る向きが増えています。 また、運用中ファンドの外貨建て資産組入状況については当面、「アンダーウエート」とする回答比が、前回調査の0%から、今回調査では11%まで上昇しているのが目立ちました。ドルDIがゆるやかにドル高方向を示していることを反映した動きでしょうか。また、為替ヘッジについて当面のスタンスを聞くと、「ヘッジ比率を上げる」が低下する一方、「現在のヘッジ比率を維持」が上昇しており、当面は様子見ムードが強まっています。   <米大統領選挙に関連した記事の一覧はこちら> 米大統領選でクリントン候補が失速…市場の見方を関連銘柄から探る 2016年11月04日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=11538) クリントンVSトランプ…関連銘柄で見えた勝敗 16年10月28日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=11477) 米大統領選後のドル円相場、トランプリスク後退で大きな変化なし?(為替10月調査) 16年10月17日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=11438) 米大統領選、誰が勝つ?統計学が与える予想 16年4月28日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=197) トランプ氏人気が写し出す米国の現状 16年3月17日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=167) 米大統領選は円高要因…市場は「クリントン候補勝利」を予想(為替3月調査) 16年3月14日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=166) 盛り上がる米国大統領選挙、関連アノマリーで見通す今年の金融市場 16年3月8日 (http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=159)

マイナス金利「株価にプラス」過半数 投資マネーは不動産・REITへ(3月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の3月調査を、3月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者160人が回答、調査機関は3月1~3日)。 日経平均株価は1月29日に日銀がマイナス金利の導入を発表した直後から下げ、2月12日に終値ベースで1万5000円割れ。その後は徐々に戻り基調となり、3月4日には終値ベースで1万7000円台を回復しました。 ただ、企業業績の先行きに対する不安感は完全に払しょくされない状態にあります。ドル円相場は現在、1ドル=113円台で推移していますが、このままの水準が3月末まで続けば、主力企業の2016年3月期決算は下振れが相次ぐ恐れがあります。 マイナス金利は「業績・株価にポジティブ」 希望的観測の側面も? マイナス金利が企業業績や株価に及ぼす影響は、どちらかというとポジティブに受け止められているようです。今回はマイナス金利が企業業績や株価に及ぼす影響を株式市場関係者に聞いてみました。 金融を除く企業の業績に、どのような影響があるのかについては、全体では「プラスの影響」が42%となり、「マイナスの影響」(17%)を上回りました。「影響しない」が42%に上り、この解釈は微妙なところですが、少なくともマイナスの影響が小さい点ではややポジティブな材料と受け止めても良いでしょう。 また、1年先を見通した場合の株価への影響については、「プラスの影響」が51%となりました。次に「影響しない」が29%。「マイナスの影響」は20%にとどまり、こちらは明確にプラスの影響が強いという見方が出ました。 ただ、回答の詳細をみると、いずれの設問についても運用会社といった「バイサイド」に比べて証券会社などの「セルサイド」の方が「プラスの影響」との回答が高い傾向がありました。多少なりとも希望的観測が含まれている可能性があることには、留意しておく必要がありそうです。 マイナス金利拡大の効果には疑問符も 一方、マイナス金利の幅を拡大していく方向性について、株式市場関係者はやや否定的な見方が多いようです。「早期に拡大した方がよい」は少数で全体の3%にとどまりました。「状況に応じて拡大した方がよい」が36%と比率では最多となりましたが、「これ以上の拡大は望ましくない」が35%、「マイナス金利自体を止めるべき」が22%を占めるなど、過半数はマイナス金利について効果を含め慎重な見方を示していることが分かります。 マイナス金利の導入は、手元に現金を置かず、早期のうちに投資などに回せというメッセージが含まれていますが、企業の設備投資意欲は後退しており、マイナス金利が導入されて即、企業が設備投資拡大に動くかというと、今のところは何とも言えない状態です。「マイナス金利の国の通貨は売られる」との経験則から円安が進み、輸出関連企業を中心に業績が回復すれば、株価にとってポジティブな材料になりますが、その円安もなかなか進まない状態です。これらの点から考えて、マイナス金利の導入が即、企業業績や株価にとってプラスになるかはなお予断を許さない状況といえます。また、効果がみられないからといって、すぐさまマイナス金利拡大を進めることには否定的な見方が多いことを示しています。 マイナス金利で「不動産・リート」への投資拡大か マイナス金利の導入によって、投資家の資金がどこに向かうのかについては、「不動産・リート」の回答が最も高く42%に達しました。次いで「外国債券」が21%、「国内株式」が13%で続きました。 マイナス金利導入で債券投資への魅力が徐々に低下するとみられるなか、利回り面で投資妙味が高い金融商品には投資資金が向かう可能性が高くなることを示唆しています。一方、投資マネーが一定の金融商品に集中すれば過熱感が高まることも避けられないため、相場動向を見極めながら今後は慎重な投資行動が求められる局面も訪れるでしょう。 為替が当面の注目材料 日経平均株価の見通しは、2月調査分に比べて、1カ月後、3カ月後、6カ月後のいずれも下方にシフトしました。3月末の予想は1万7103円と2月調査(1万7722円)から引き下げられ、3カ月、6カ月後は前回の1万8000円台から1万7500円前後となりました。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が2月調査の16%から今回は26%へと上昇しました。株価に及ぼす影響度を計る指数をみると、2月調査の52.5から43.1と分岐点の50を下回り、為替が株価にとってネガティブな材料になっているのが分かります。前述したように、現在の為替レートの水準が3月末まで続くと、為替差損によって企業業績が下振れする懸念があり、株式市場関係者は業績や株価にもこうした悪影響の織り込みを進めている可能性があります。 国内機関投資家の慎重姿勢強まる また、資産運用担当者69人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、全体の指数は2月調査の59.0から52.4へと低下しました。項目別では「かなりオーバーウエート」が2月調査の11%から4%へと低下。一方で「ややアンダーウエート」と「かなりアンダーウエート」が上昇しました。 また、当面のスタンスとしては、「現状を維持する」が2月調査の70%から75%に上昇。「やや引き下げる」が2月調査の11%から8%へと低下し、「かなり引き下げる」が2月調査の2%から0%へと低下しました。ただ、「かなり引き上げる」と「やや引き上げる」は変わらずで、資産運用担当者の株式組入に対するスタンスは、まだ慎重ムードが強い状態です。 なお、業種別の投資スタンスで、「オーバーウエートとアンダーウエート」のバランスをみると、2月調査に比べてオーバーウエートの比率が上昇したのが「素材」「建設・不動産」「通信」で、逆にアンダーウエートの比率が高まったのが、「公益」「金融」でした。一方、「鉄鋼・機械」は、2月調査のアンダーウエートからニュートラルになり、「自動車」「電機・精密」「消費」は、オーバーウエートからニュートラルになっています。

注目されるマイナス金利効果の浸透度合い 円相場の行方注視(2月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の2月調査を、2月29日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者140人が回答、調査期間は2月23~25日)。調査期間中の新発10年物国債利回りはマイナス0.065~マイナス0.005%で推移しました。 今回の調査は、日銀がマイナス金利政策を導入して最初になります。調査期間中の長期金利は、新発10年国債利回りまでが、完全なマイナス金利になりました。新発20年国債利回りは辛うじてプラスを維持していますが、0.5%台と過去最低水準で推移しました。 マイナス金利政策は効果なし? 日銀のマイナス金利導入を受け、市場参加者はその政策チャネルが何だったと認識しているのかを聞いたところ、「円安」が最も高く66%を占めました。次いで「イールドカーブの押し下げ」が20%で続きました。表向きは市場金利の低下を通じて企業向け貸し出しの増加などを促す効果を狙った対策ともみられていますが、「貸出増加」との回答は7%にとどまりました。 もっとも、政策効果という点では、いささか疑問が残る形になりました。少なくとも、マイナス金利の導入が発表された直後から急激な円高が始まり、一時は1ドル=110円台まで円高・ドル安が進みました。また、日経平均株価も2月半ばにかけて急落する展開を余儀なくされました。 日銀が恐らく意図していたと市場参加者がみていた「円安もしくは円高阻止」が実現していない今回のマイナス金利政策ですが、市場の評価は大きく分かれています。全体の37%は「効果なし」と回答する一方、「今後、徐々に効果が出てくる」との回答は34%となり、「効果あり」は12%となりました。直近、先行きを問わず「効果あり」との回答が「効果なし」を上回ったものの、政策効果を判断するには時期尚早ということでしょうか。 マイナス金利導入の狙いは、最終的には銀行による企業、個人への融資を促進させることで、景気や物価の上昇効果を狙うというものです。しかし、現状、日本国内における企業の資金需要は停滞しており、マイナス金利の導入だけで資金需要が高まるかどうかは、未知数です。 市場参加者は一段のマイナス金利拡大を予想 マイナス金利が実体経済に与える影響については評価が分かれていますが、そうした中でも日銀はさらなる追加利下げに果たして動くのでしょうか。黒田日銀総裁の任期中(2018年4月)のマイナス金利の政策運営をどう予想するか聞いたところ、「マイナス幅が最大0.2~0.9%へ拡大される」との回答が約8割に達しました。次に「マイナス幅が最大1%以上に拡大される」が10%となり、「ゼロないし、プラス圏に戻る」は4%にとどまりました。 原油価格の低迷や内外景気の先行き不透明感などを背景にインフレ期待は低迷が続いており、異例の金融緩和政策は一段と拡大し、さらには長期化が避けられないとみる市場参加者が多いことを示唆しています。 日銀の追加緩和にもかかわらず円高が急速に進む結果となっていますが、マーケットの観点から言えば、マイナス金利の導入国の通貨が大きく買われるのは合理性に欠けるのも事実です。実際、欧州中央銀行(ECB)は2014年6月にマイナス金利導入を決めましたが、その後、対米ドルに関しては大きくユーロ安が進みました。中長期的に円安トレンドに転じることになれば、株価に対するプラス効果も期待できます。 現在、ドル円相場は1ドル=113円台で推移していますが、上場企業の想定為替レートは115~118円。このままの水準が続くと、輸出企業を中心に業績の下方修正懸念が浮上してきます。それは株価にとってネガティブ要因ですが、逆に言えば、為替が円安方向に振れさえすれば、株価にとってポジティブな材料になるということです。それだけに、マイナス金利の効果が徐々に、為替レートに浸透するかどうかに注目が集まります。 政府・日銀のオペレーションに対する注目度が急低下 マイナス金利導入後の債券市場ですが、毎月定例の相場見通しの調査では、新発10年国債利回りの見通しは1カ月後から6カ月後までいずれもマイナス予想に転じ、1カ月後はマイナス0.021%、3カ月後がマイナス0.022%、6カ月後はマイナス0.023%となりました。このほか、5年物、2年物など中期債ゾーンについてもマイナス金利が予想されていますが、TIBOR3カ月物金利と新発20年国債利回りは辛うじてプラスゾーンの予想となっています。 今後、6カ月程度を想定した債券価格の変動要因で、注目度が上がってきているのは「短期金利/金融政策」です。昨年末時点での注目度は47%でしたが、2月調査では77%まで上昇してきました。逆に注目度が低下したものとしては、「景気動向」や「海外金利」などがありますが、「物価動向」への注目度が0%になりました。もはや2%のインフレ率達成に対する期待感が大きく後退したことの証左ともいえそうです。 同じく、今後6カ月を想定した投資主体の動向については、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が1月調査の13%から18%へ上昇する一方、「政府・日銀のオペレーション」に対する注目度は67%から57%へと大幅に低下しました。マイナス金利が導入されたことによって、当面、日銀による大規模なオペレーションへの警戒感が薄らいだようです。 「金利のある債券」を求め債券投資意欲は継続か 資産運用担当者67人に聞いた当面の運用スタンスについてですが、現在、回答者が運用しているファンドについて、国内債券の投資比率が通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、1月と比べて2月は大きな変化がみられませんでした。 一方、今後の投資スタンスについて聞いたところ、国内債券の組入比率について「やや引き上げる」との回答が1月調査の4%から2月調査では11%まで上昇しています。日銀がいくら追加緩和策を講じてもインフレ期待はなかなか高まらず、さらなる追加緩和も予想されるなか、債券への投資意欲が後退する兆しはみられません。こうした状況下では「金利のある債券」である20年物などの超長期国債への需要が加速する可能性も視野に入れる必要がありそうです。 ちなみに、債券のデュレーションについて、当面どのようなスタンスで臨む考えかを聞いた設問では「現状を維持する」が1月調査の79%から2月調査では73%に低下。その代わりに「やや長くする」が15%から21%へと上昇しました。

日銀の年内緩和は確実? それでも2016年は5年ぶり「円高」か(2月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の2月調査を、2月15日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者77人が回答、調査期間は2月8~10日)。この間の為替レートは、対ドルが114円88銭~117円32銭。対ユーロが128円92銭~130円66銭でした。 2月に入り、マーケットは大きく荒れています。円相場は一時、110円台まで円高・ドル安が進み、日経平均株価は1万5000円を割りこみました。そして日銀の金融緩和は、QQE(量的・質的金融緩和)に留まらず、ついにマイナス金利を導入するまでに至りました。これを受けて、各年限で利回り低下が進み、10年債利回りもマイナス金利に突入しました。長期金利がマイナスになるという、それこそ有史以来といっても良い珍現象が起ったことで、市場参加者は今後、何がどうなるのか、今ひとつ把握できず、マーケットは混乱を来しています。 マーケットが荒れれば、市場参加者が次に思い浮かべるのは政府・日銀の政策支援です。日本の財政赤字が累積するなか、財政出動は容易に行えないとなれば、政策支援で注目されるのは日銀によるもう一段の金融緩和でしょう。マイナス金利の導入に加え、もう一段のQQEを実施することで、マーケットに底打ち感を出したいというのが、政策当局の当面のシナリオといえるかもしれません。 日銀の追加緩和予想8割超 時期、年前半予想8割に迫る 今回のアンケートでは、1月29日に日銀が決めた「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を受けて、再び追加緩和に動く可能性があるのかどうかという点について聞きました。日銀が年内に再び追加緩和に動く可能性については、87%が「追加緩和に動く」と回答。日銀は1月に緩和に動いたばかりですが、早くも市場関係者の間で追加緩和に対する期待感が高まっています。 また追加緩和の時期としては、「4月」が30%で最多。次いで6月が24%、3月が21%と続き、年前半に追加緩和に動くとの回答は8割に迫っています。 マイナス金利は一段と拡大? 次に、追加緩和に動く場合の手法についてですが、「マイナス金利の拡大」との回答が7割強。次いで「質的緩和の拡大」が約5割で続き、「量的緩和の拡大」が約4割となりました。 今回の日銀によるマイナス金利導入は、これまで実施してきた資金供給量を大量に積み増す量的緩和策が限界に達しつつあることを認める措置との受け止めも市場にはあるようです。そのため、今後、日銀が追加緩和に動く場合はさらなるマイナス金利の拡大を予想する声が増えたといえます。また、追加緩和による「円安・株高」シナリオに揺らぎが生じていることもあり、市場では上場投資信託(ETF)などの資産を購入する「質的緩和」の一段の拡大を期待する声も高まっているようです。 3月の米利上げ予想、わずか15%に 年内利上げ「1回」予想が最多 日銀の金融政策とともに、市場関係者が注目するのは、やはり米国の金融政策が今後どうなるかという点でしょう。昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が9年半ぶりとなる利上げを決めた時、FRBは2016年中に4回程度の利上げを想定していました。しかし、年初からのマーケットの大混乱を受けてFRBの利上げに対する考え方は、やや慎重になりつつあります。 今回のアンケートでも、3月開催のFOMCでの利上げ実施の可能性を聞いたところ、「利上げ決定」予想はわずか15%で、「据え置き決定」(84%)を大きく下回りました。 また、2016年中における利上げ回数についてですが、、「1回」という回答が最も多く、全体の36%を占めました。次に多かったのが「2回」で34%、「据え置き」が20%で続きました。「利上げ4回(以上)」は1%に過ぎず、FRBの金融政策は見直しを迫られることが避けられない情勢だと市場関係者はみています。 2016年末時点の円相場予想117円66銭 5年ぶり「円高・ドル安」か また欧州中央銀行(ECB)については、3月の追加緩和が濃厚とみられていますが、その方法としては「買い入れ額の増加」が最も多く57%を占めました。次に「預金金利の引き下げ」が43%で続いています。ECBがさらなるマイナス金利拡大に動けば、円高阻止に向けて日銀もマイナス金利拡大に動くとの思惑が強まる可能性があります。 なお、2016年末時点で想定される為替レートについては、円・ドル相場が1ドル=117円66銭となりました。前回1月調査では120円24銭と15年末(120円30銭程度)とほぼ同水準が見込まれていましたが、日米の金融政策見通しを踏まえ、年末時点で円高・ドル安に振れるとの見方が強まった形です。今回調査の予想通りとなれば、5年ぶりに「円高・ドル安」に転じることになります。 一方、円・ユーロ相場は1ユーロ=128円83銭、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.09ドルとなりました。前回1月調査では、それぞれ128円02銭、1.07ドルでした。 2月末時点の円相場1ドル=116円04銭 予想レンジは112~120円 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、2月末の平均値で1ドル=116円04銭となり、1月調査(118円41銭)に比べて一段の円高水準となりました。一方、予想レンジは112~120円と見通しの幅が大きく開きました。日米の金融政策の思惑などを巡って、市場関係者の見方は大きく割れているようです。 市場の関心は3月に打ち出される日米欧の金融政策 為替レートに影響を及ぼす注目度としては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高く、3月のFOMC、日銀金融政策決定会合、ECB理事会において、それぞれどのような金融政策が打ち出されるのかに注目が集まっています。 また向こう6カ月の間に、各通貨が対円でどのように推移するかを聞いたところ、米ドルDIは1月調査分のプラス18から、2月調査分ではプラス21に上昇しており、急激なドル安がやや底を打ちつつあることを示唆しています。また、米ドル以外の通貨のDIは、依然としてマイナス圏ではあるものの、1月調査分に比べてマイナス幅が縮小しており、この点でも、円の独歩高がようやく一服しつつあるようです。 とはいえ、大半の通貨は円に対して弱い状況が続いています。マーケットのボラティリティーが高まるなか、リスクオフによる円買いの動きが依然として根強く認識されているからです。中国の景気減速と不良債権問題の行方、原油安などのリスク要因が落ち着くまで、リスクオフの円買いは、市場関係者の間で燻り続けそうです。 想定以上の円高進行で企業業績のネガティブ要因に 運用者に、運用ファンドの外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、当面どのようなスタンスで臨むかについては、オーバーウエートが大きく後退する一方、ニュートラルが1月調査分の64%から、2月調査分では91%に上昇しました。 また、為替ヘッジについては、「ヘッジ比率を下げる」が0%になる一方、「ヘッジ比率を上げる」が、1月調査分の0%から2月調査分では18%に上昇しており、円高リスクに対して慎重な姿勢が伺われます。通貨別に見た組入比率についても、米ドルのDIが急落し、ユーロ、英ポンド、スイスフランはマイナス幅が拡大。新興国通貨DIはマイナスが解消され、やや買い意欲が高まりつつある兆しが見えています。 なお、上場企業の業績予想の前提となっている想定為替レートは、平均でドル/円が1ドル=117円38銭、ユーロ/円が1ユーロ=130円79銭となりました。いずれも現状の相場水準に比べて円安方向にあり、このまま円の高止まりが続くと主要企業の業績下方修正が懸念され、株価にとってはネガティブ要因になりそうです。

中国不安、長期化の公算 株価の乱高下は年央まで続く?(2月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の2月調査を、2月8日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者156人が回答、調査機関は2月2~4日)。 1月29日、日銀は過去、一度も行ったことがない「マイナス金利」の導入を決定しました。これによって、1月中を通じて続いてきた株安、円高の流れにはいったん歯止めがかかりましたが、その効果は長続きしませんでした。マイナス金利導入が発表された日の翌日、2月1日までは株価が上昇したものの、その後は下落に転じ、5日の日経平均株価はマイナス金利導入前の水準まで売られ、円相場も1ドル=116円台を付けました。 中国経済低迷と原油安の関係 今年に入ってからの株安、円高の原因は、中国経済の先行き不透明感と原油価格の下落によるものと言われています。今回の調査では、この2つの要因と、先行きの見通しなどについてアンケートしました。 まず原油価格の下落について、その理由を聞くと、最も多かった回答が「米国・イラクなどの供給増加」で42%、次いで「中国など新興国の需要減少」「投機的マネーの引き揚げ」がともに26%となりました。 原油需給のバランス改善には時間必要? 原油価格の先行きについては、回答者の半数以上を占める56%が「一進一退」と答え、「じり安」が21%となりました。上昇方向の回答は、「じり高」が18%、「急反発」が3%しかなく、全体を見ると横ばいから下落方向で見ているマーケット関係者が大半となっています。米国やイラク経由の供給が増えているところに中国などの景気不安が重なり、需給バランスはそう簡単に改善されないとの見方につながっているようです。 中国不安、マーケット参加者は長期化を覚悟 次に中国経済の不安の原因について聞いたところ、最も多かった回答が「過剰設備」で53%を占めました。次いで「資本流出」が18%、「政府の統制力の低下」が10%となっています。 また、これらの原因によって、中国経済の懸念がいつまで続くのかについては、「2~3年」が34%、「それ以上」が26%を占めており、中国懸念は当面、長期化しそうな気配です。 中国経済の混乱が長引けば、対中国で経済関係を深めていた他の新興国の経済にもネガティブな影響が及びます。それが原油需要の後退につながり、さらなる原油安の要因になっています。また、原油安が長引くと、サウジアラビアなどの産油国経済の低迷につながるため、オイルマネーが流入していた株式市場から資金が流出し、世界的な株安につながる恐れもあります。中国経済の低迷と原油安はリンクしているのです。 また、中国経済の低迷の要因である過剰設備ですが、中国の場合、リーマンショックの直後から大規模な公共投資などを行い、景気の下支えをしてきたことが、ここに来て裏目に出てきています。 公共投資にしても、企業の設備投資にしても、どこかの段階で必ず回収する必要があります。回収できなければ不良債権化するからです。現在、中国は過去に行った巨額投資が経済成長率の低迷によって回収できなくなる恐れが高まっているといえます。中国が直面しているのは、単なる景気循環による低迷ではなく、構造的な問題もはらんでいるだけに、長引く恐れがあります。 株価の乱高下、「年央まで」「今年度内」予想各3割 ちなみに今回のアンケート調査では、株価の乱高下がいつまで続くかという問いも含めています。それに対する回答は、「年央まで」が最も多く33%。次いで「今年度内」が30%、「年後半まで」が15%となりました。年央までに混乱が収束し、そこから上昇に転じるなら問題はありませんが、中国経済の低迷は日本企業の業績にも悪影響を及ぼします。来期(2017年3月期)の業績が低迷する見通しが浮上した場合は、さらに株価の低迷が長期化するリスクも否定ではできません。 業績動向への注目度高まる 一時は強気となった日経平均株価の見通しですが、1月の株価下落局面を経て、再びマーケットは弱気に転じています。日経平均株価の見通しは、1カ月後、3カ月後、6カ月後ともに、1月調査分に比べて下方修正されました。1カ月後の予想は1万7722円と前回1月調査(1万8483円)から大きく引き下げられてます。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業業績」に対する注目度が1月調査分に比べて上昇し、指数は1月の60.5から46.0に落ち込みました。12月調査分では61.7でしたが、この2カ月で大きく低下し、2月調査では判断の分かれ目となる50をついに割り込みました。これは、つまり企業業績の下方修正懸念が強まったことを意味しており、株価にとってはネガティブな意味で注目されていると考えられます。 指数が、株価にとってポジティブな方向に上昇したものとしては「金利動向」の64.7があります。足元の株価動向をみる限り、マイナス金利の導入が株価には決してプラスとは言えないことを示唆しているようにもみえますが、もう少し影響を見極める必要がありそうです。 株式の組み入れ引き上げにはやや慎重姿勢 資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、1月調査分に比べて「ややアンダーウエート」が低下する一方、「ややオーバーウエート」が微減。「ニュートラル」は57%に微増となっていますが、絶対的な水準比較で過半数を占めました。 今後のスタンスとしては、「やや引き下げる」が1月調査分の2%から、2月調査分では11%に上昇。「かなり引き上げる」が0%になり、「やや引き上げる」が22%から17%に低下したことから、今後の株式組み入れについては、慎重姿勢がみられます。

金融市場の混乱、1~3月期中に収束か 日経平均の底値は1万5125円(1月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の1月調査を、2月1日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者136人が回答、調査期間は1月26~28日)。調査期間中の新発10年物国債利回りは0.215~0.220%で推移しました。 ちなみに調査期間をみてもお分かりいただけると思いますが、今回の調査は、1月29日の日銀金融政策決定会合で決まった「マイナス金利導入」が発表される前の結果になります。1月に入ってから、国内外のマーケットは乱高下する展開が続いていますが、日銀のマイナス金利導入は、マーケットにとってサプライズだったようで、発表当日は株価、為替レートのボラティリティが一気に高まりました。 日銀は、今後の金融緩和について「量」、「質」だけでなく「金利」も加え、3つの次元で継続的に行うことを表明。マイナス金利導入発表後の債券市場では、8年物まで利回りがマイナスになりました。 日経平均株価の底値は1万5125円 今回は年初から続いている金融市場の混乱が、今後、いつ、どこまで続くのかについて、株価、為替、原油価格の底値とそのタイミングを調査しました。 まず日経平均株価の底値については、単純平均で「1万5125円」となり、金融市場の混乱がいつまで続くのかという点については、全体の65%が「2016年1~3月期」と回答。その場合の日経平均の底値は、回答者の平均で1万5503円でした。次いで、「2016年4~6月期」が全体の17%を占め、底値の平均値が1万4671円となっています。 また、ドル/円および原油価格の今年の最安値についても予想してもらったところ、単純平均でドル/円が1ドル=111円96銭、原油価格(WTI先物)が1バレル23ドル11セントになりました。 ドル/円については、輸出企業全体の平均想定レートが1ドル=118円前後であることを考えると、大幅な円高水準であり、企業業績にとってはマイナス要因になります。1月29日のマイナス金利導入によって円安方向に押し戻されていますが、この効果が一時的なものなのか、それとも継続的なものなのかという点が、今後の注目点になりそうです。 今年の米利上げ「2回」止まり? 「4回」予想わずか6% また、今後の米国の金融政策がどうなるのかについても聞いてみました。昨年12月に利上げを実施した米連邦準備理事会(FRB)ですが、年内の利上げについて米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの政策金利見通しでは「年4回程度」となっています。イエレンFRB議長は、今後の金融引締めペースは「緩やかに進める」と説明しています。 ただ、年初からのマーケットの混乱もあり、年4回の利上げは厳しいのではないかとの見方が徐々に支配的となっています。この点、マーケット関係者も同じ見方で、「利上げ2回」という回答が42%で最も多く、次いで「利上げ1回」が25%、「利上げ3回」が17%で、FRBが予想する「利上げ4回」は、わずか6%にとどまりました。 政府・日銀のオペレーションが注目材料に 毎月定例の相場見通しの調査では、1カ月後、3カ月後、6カ月後の金利見通しは、大きく下方にシフトしました。ちなみに、1月調査分について、10年物国債の予想利回りを単純平均で見ると、2月末時点で0.225%となりましたが、1月29日のマイナス金利導入発表後の10年物国債利回りは0.1%を割り込みました。前述したように、マイナス金利は8年物まで浸透しており、今後も日銀が物価押し上げ効果や賃金引き上げを促す目的で金融緩和を継続するとなれば、10年物国債の利回りは当面、0.1%割れの水準で推移することになりそうです。来月の当レポートの見通しでも、長期金利はもう一段の下方シフトになることは間違いありません。 今後、6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で最も注目されているものとしては、「短期金利/金融政策」が、12月調査の47%から1月調査では60%に上昇しています。これはタイミング的にも、1月29日に開催された日銀金融政策決定会合において、もう一段の金融緩和が発表されるかどうかを考慮に入れての回答だと思われます。指数でも、「短期金利/金融政策」は75.4と強い上昇(金利低下)要因になっています。また、「債券需給」の指数も75.6で、ここに挙げている要因の中では最も債券価格にとっては強い上昇(金利低下)要因とみられています。 同じく今後6カ月程度を想定し、最も注目される投資主体について聞いたところ、注目度では「政府・日銀のオペレーション」が、12月調査分の59%から67%に大きく上昇しています。指数でも、「政府・日銀のオペレーション」は82.4で、12月調査分に比べて微増ではありますが、債券価格にとっては上昇(金利低下)インパクトに作用するとみられています。なお、その他の投資主体については特に大きな変化の動きはみられず、債券相場の動向は日銀に支配されていることを浮き彫りにする結果となっています。 金融緩和を織り込む動きに ディーリング部門を除く資産運用担当者67人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」が低下する一方、「ニュートラル」の回答比が、12月調査分の54%から、1月調査分では63%まで上昇しました。 また国内債券の組み入れについて当面のスタンスを聞いたところ、「やや引き下げる」が微減したものの、その他は12月調査分と比べて変わりませんでした。マイナス金利導入後の動きは気になるところですが、少なくともアンケート調査を行った時点では、資産運用担当者の債券投資に対するスタンスは、かなり中立的であることが伺われます。 また債券のデュレーションについて、当面のスタンスは「現状を維持する」がやや低下する一方、「やや長くする」、「やや短くする」が両方とも上昇しました。とはいえ、「やや長くする」が15%で、「やや短くする」の5%を上回っている状況からすれば、資産運用担当者は当面、金融緩和を織り込んだ姿勢でマーケットに臨んでいるのがみて取れます。

マーケット混乱で米利上げペースのスローダウンやむなし?(1月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の1月調査を、1月18日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者74人が回答、調査期間は1月12~14日)。 年初から日経平均株価が戦後初めて6営業日連続安になり、欧米を始め世界的に株価が急落していることを受け、マーケットでは急速にリスク資産を敬遠する動き(リスクオフ)が強まっています。米連邦準備理事会(FRB)は昨年12月に9年半ぶりとなる利上げを決めましたが、今回のマーケットの大混乱を受けて市場関係者の先行き見通しはより慎重になっています。 米利上げペースは鈍化やむなしか 今回のアンケートでは、2016年に米利上げが何回行われるのかを予想してもらいました。それによると、「2回」という回答が全体の46%を占めて最も多く、次いで「3回」が36%となりました。 また、利上げ時期については、「6月」が最も多く71%、次いで「12月」が68%、「3月」が47%という順番になりました。 FOMCメンバーの政策見通しによれば、2016年は4回の利上げを見込んでいます。しかし、それも今年に入ってからのマーケットの混乱が長引くようだと、かなり難しくなる可能性が高そうです。このまま世界的に株安が続くようだと、ここからの利上げは逆に実体経済にもマイナスの影響を及ぼすことになりそうです。 中国景気失速、新興国・資源国市場の混乱の影響注視 今回の世界同時株安は、中国リスクや地政学リスクが混然一体になっています。中国経済のスローダウンと資産バブル崩壊に対する懸念が原油価格の下落につながり、原油価格が下がるから、ロシアやイランなどの産油国で経済の混乱や暴動などの懸念が強まるという悪循環に陥っています。この負の連鎖が封じ込められない限り、マーケットの混乱は続く可能性が高いでしょう。 こうした状況下、「米利上げペースが想定よりも鈍くなるリスクとして最も影響する材料やイベント」について聞いたところ、「新興国・資源国市場の混乱」が23%でトップ。次いで「米雇用の改善ペース鈍化」と「中国景気の一段の失速」がそれぞれ15%、次に「米賃金上昇率の低迷」と「原油価格の下落」がそれぞれ14%となりました。 年内の日銀金融政策「追加緩和あり」7割強 日本の投資家にとって気になるのは、日銀が追加緩和に動くのか、そしていつ実施するのか、という点でしょう。日経平均株価は一時1万7000円を割り込みましたが、投資家心理の冷え込みは市場のインフレ期待の低下につながる公算が大きく、そうなればいよいよ真剣に政策発動が検討されることになるかもしれません。夏に控える参院選挙を考えれば、政権与党としてはこのまま株価が下がるのを黙って見ていることは出来ません。財政出動や追加緩和などの政策発動に対する期待感も高まります。 2016年の日銀の金融政策をどう予想するか聞いた設問では、2016年中の「追加緩和なし」との回答が27%で最も多かったものの、裏を返せば7割強は追加緩和を見込んでいることになります。追加緩和の時期としては「4月」が23%で最多となり、次に「3月」(19%)、「1月」(14%)と続きました。今後もマーケットの混乱や景気の先行き不安が台頭する局面では政府・日銀の政策対応への期待が高まりそうです。 1月末の円ドル相場予想1ドル=118円41銭 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、1月末の平均値で1ドル=118円41銭となり、12月調査分の122円91銭に比べて大幅な円高・ドル安見通しとなりました。 為替レートに影響を及ぼす注目度としては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高く、特に円については前月に比べて15%も上昇しています。 また向こう6カ月の間に、主要通貨が対円でどのように推移するかを聞いたところ、米ドルDIは12月調査分の43から、1月調査分は18に急落しました。先々の、米ドルに対する先高観が大幅に後退していることを示しています。また、米ドル以外の通貨については、豪ドルやNZドル、ロシアルーブルといった新興国、資源国通貨のDIのマイナス幅が拡大しており、リスクオフムードが支配する中で円が買われやすい地合いになっていることを示しています。 外貨建て資産の組み入れ比率について当面のスタンスは、10月、11月、12月と0%が続いた「アンダーウエート」が、1月調査分では18%に上昇しました。その一方、「オーバーウエート」は12月調査分の25%から18%に低下。「ニュートラル」も75%から64%へと低下しており、外貨リスクについて慎重な姿勢が目立ちました。 ちなみに、業績予想の前提となっている事業会社の為替レートは、米ドルが1ドル=118円04銭でした。現状、米ドル・円のレートは、これよりも円高・ドル安水準にあり、日本の輸出企業の業績に及ぼす影響も懸念されるところです。

2016年の株最高値予想2万1191円 「中国経済の悪化」などリスク要因に(1月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の1月調査を、1月12日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者162人が回答、調査機関は1月5~7日)。 2015年は年間で9%高を記録した日経平均株価ですが、年明け以降は大不振に陥り、大発会から1月8日にかけて5営業日連続の下落となりました。これは日経平均の算出を始めた1950年9月以来で初めてのことです。そのくらい、株式市場の地合いは悪くなっています。 株価上昇の期待値が低下 年間最高値予想は2万1191円 2016年の株式相場を予想してもらったところ、日経平均株価は証券会社や機関投資家を含むマーケット参加者全体の平均値が最高値で2万1191円、最安値が1万7167円となりました。2015年末(1万9033円)に比べると11%高となりますが、15年に付けた最高値(終値ベース、2万868円)をわずかに上回る水準に過ぎず、2016年相場に対する期待値は必ずしも高いとは言えない状況です。 マーケット参加者が慎重になるのもある意味、仕方のないことかもしれません。景気失速懸念が一段と広がっている中国では株式相場が大荒れの展開で、今年から導入された相場急変時に取引を止める制度(サーキットブレーカー制度)が初日から発動。米国の利上げによる金融市場混乱への警戒感や北朝鮮の水爆実験成功のニュースなど、マーケット参加者の不安を煽る材料が相次ぎました。 実際、2016年のリスク要因について最も重要なものは何か聞いたところ、「中国経済の悪化」が35%で最多となりました。次に「マネーフローの変調」が16%、「地政学リスク」が12%、「為替レートの大変動」が11%で続きました。 しかし、懸念材料は外部要因だけではありません。たとえば為替。今回、2016年央のドル/円の見通しを聞いたところ、平均で1ドル=120円30銭と予想されています。 円安による企業業績の底上げ期待が薄らぐ中、2016年度の上場企業(金融除く)の経常利益見通しも「1桁の増益」という回答が62%を占めました。また、次いで「横ばい圏」が17%で続き、総じて企業業績の伸びに対する期待感も薄れています。 アベノミクス相場がスタートして4年目。米国も景気拡大局面に入って6年が経過しており、そろそろ景気拡大にも一服感が出てきそうな時期だけに、株式市場も不安定な状況が続きそうです。 日経平均の短期見通しは大幅に下方シフト 1~6カ月間の日経平均の見通しは、相変わらず目先の相場に左右される状況が続いています。12月調査の1カ月後予想は、11月調査の1万9184円から大幅に上伸し、2万48円になりました。しかし、1月調査では大幅に下方修正され、1カ月後の予想は1万8479円まで低下しました。また、6カ月後の予想も1万9797円にとどまり、2万円回復は当面、先になるとの見方が優勢になっています。 海外株式市場に関心、外国人投資家の売りを警戒 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業業績」が大きく後退し、注目度は12月調査の57%から43%に急落。一方、「海外株式・債券市場」が、12月調査の18%から31%に大幅上昇しました。しかも、「海外株式・債券市場」が株価にどう影響を及ぼすかを示す指数は43.2で、プラス・マイナスの分岐点である50を割り込み、株価にはマイナスのインパクトとみなされています。企業業績に対する先行き警戒感に加え、中国株をはじめとした海外株式市場の動向に対する懸念の高まりが見てとれます。 また、今後6カ月程度を想定して最も注目している投資主体としては、個人投資家が12月調査の12%から6%へと低下する一方、外国人投資家は12月調査の82%から87%へと上昇しました。外国人投資家の株価へのインパクトを示す指数は50.2と12月調査の63.8から大幅に低下しました。現状は、ほぼ中立ですが、海外本国の株式相場が下落すれば、投資余力の低下に伴って外国人投資家の売りがかさみ、日本株に対するマイナスのインパクトが強まる可能性もあります。 国内投資家、株安局面は絶好の買い場? 国内の資産運用担当者66人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が12月調査の5%から6%に上昇したものの、「ややオーバーウエート」は12月調査の35%から29%に低下。「ニュートラル」が12月調査の45%から51%に上昇しました。 一方、当面のスタンスについては、「現状を維持する」が12月調査の74%から71%に、「やや引き下げる」が12月調査の7%から2%に低下しました。半面、「かなり引き上げる」が12月調査の0%から2%に、「やや引き上げる」が12月調査の17%から22%に、それぞれ上昇しています。長期的なスタンスで投資する資産運用担当者からすれば、この株価下落局面を、長い目で見て仕込み場と考えているふしが感じられます。 なお、現在の相場から見て、各セクターについてどのようなスタンスで臨むのかという点について、オーバーウエートからアンダーウエートを差し引いた数字を見ると、「通信」が11%で、11月調査の0%、12月調査の4%から徐々にオーバーウエート比率が高まりました。「素材」は9%で、11月調査のマイナス11%、12月調査のマイナス4%というアンダーウエート圏から、オーバーウエートに転じています。 一方、「金融」は、11月調査が0%、12月調査が2%とほぼニュートラルでしたが、1月調査ではマイナス11%になり、アンダーウエート比率が一気に高まりました。11月調査、12月調査とオーバーウエート比率が2ケタ台だった「電機・精密」はアンダーウエートに転じています。

2016年の有望投資対象、先進国株や米国債が上位に(12月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の12月調査を、12月28日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者142人が回答、調査期間は12月21~24日)。調査期間中の新発10年物国債利回りは0.270~0.280%で推移しました。 2015年は国内景気の先行き不透明感がやや強まった1年でした。失業率は大幅に低下し、雇用環境は一見、改善傾向にあるかのように見えますが、雇用の中心は非正規社員にシフトしており、賃金の二極化が進んでいます。個人消費の改善余地が狭まるなか、2017年4月には消費税率の10%への引き上げも予定されています。国内景気の先行き不透明感が払しょくされない限り、国内金利は低水準で推移する可能性が高そうです。 こうした状況を踏まえ、今回の特別調査では、2016年の相場見通しや有望と思われる投資対象について、債券市場関係者の見方を聞いてみました。 日本の長期金利の低下余地は限定的? 2016年の各マーケットについて、最高値(最高利回り)、最安値(最低利回り)の予想を聞きました。ちなみに12月25日時点の数字は次のようになります(海外市場は24日現在)。 ・日本国債(10年)   =0.280% ・米国債(10年)    =2.240% ・独連邦債(10年)   =0.627% ・日経平均株価     =1万8769円 ・ドル円レート     =120円32~35銭 ・原油価格(WTI先物)=38.10ドル 日本国債の最高利回りの予想は単純平均で0.496%、最低利回りは0.216%となりました。同様に米国債はそれぞれ2.767%、2.041%でした。 国内債券市場について2015年を振り返ると、1月に0.20%まで低下した後、6月にかけて0.53%まで上昇。その後、年末にかけて再び0.2%台に低下するという流れになりました。国内景気の先行き不透明感、日銀の質的・量的金融緩和などが利回り低下を促しました。ただ、ここから一段の利回り低下には材料不足といったところなのか、2016年はやや利回り反転を警戒するムードも出ているようです。 一方、米国では12月に9年半ぶりとなる利上げが決まり、2016年についても金融政策の「正常化」の流れが続きそうですが、利回りの上昇余地はそれほど大きくないと市場関係者は予想しているようにもみえます。利上げペースが緩やかになるとの見方に加え、利上げに伴う新興国経済への悪影響や株式などリスク性資産の投資に対する警戒感も意識されていることが、この結果から見て取れます。 独連邦債は最高利回り予想が0.874%、最低利回りは0.403%となりました。日経平均株価は高値が2万1465円、安値は1万7307円となりました。円ドルレートは、円の高値が1ドル=115.9円、安値は126.5円の予想。原油価格(WTI先物)は高値が1バレル48.6ドル、安値は28.5ドルでした。 中国をはじめとするアジア、その他の新興国・地域の成長率は大きくスローダウンしており、政情不安が高まっている国も散見されます。新興国・地域における政情不安、景気失速感がさらに強まれば、リスクオフの動きが市場を支配する可能性もあります。原油については減産に向けた石油輸出国機構(OPEC)の足並みが揃わないなど政治的要因に左右される面も強く、当面は下値余地が大きいとみる市場関係者もいるようです。 2016年のマーケット動向を占う上では、懸念材料を多く抱える新興国・資源国市場でさらなる波乱は起きるのか否か、そうした中で金融正常化に動き出した米国は世界経済を引っ張ることができるのか――。こうした点が注目ポイントになりそうです。 国内債券市場、こう着打破のカギは「日銀の金融政策」との見方 日銀による大量の国債買い入れなどにより国内債券相場はこう着状態が続いていますが、これを打ち破るとすれば何が材料になると思いますかとの質問については、「日銀の金融政策」が69%と圧倒的多数を占めました。日銀の金融緩和姿勢による好需給相場の継続で長期金利は低水準で推移すると見込む声が多いようですが、こうした展開に変化が出るにはやはり日銀の政策次第の面が強いということのようです。日銀の金融政策に次ぐ材料としては、「国内経済動向」と「米欧経済動向」、「新興国・資源国経済動向」がともに5%となりました。 先進国株への投資期待強く、利回り面で米国債に妙味も 2016年に最も有望と思われる投資対象は何かを挙げてもらったことろ、有効回答数136人のうち26人が「外国株(先進国)」と回答。次に「国内株」が25人、「米国債」が24人で続きました。新興国株への人気が離散する中、先進国の株式には投資妙味ありとみる関係者が多いようです。一方、世界的な金利低下トレンドの継続で債券投資家の運用難も意識される中、相対的に利回りが高い米国債は有利な投資先とみられているようです。 各国の金融政策の行方に引き続き注目 毎月定例の相場見通しの調査では、国内債券市場でもう一段の金利低下観測が強まり、新発10年国債の金利見通しは、1カ月後が0.285%、3カ月後が0.303%、6カ月後が0.333%と、11月調査分(0.322%、0.343%、0.379%)に比べていずれも低下しました。 また新発2年国債については、1カ月後が-0.02%、3カ月後が-0.017%、6カ月後が-0.005%というように、マイナス金利が示現しました。他の国々に先駆けて利上げに入った米国とは対照的で、日本は今後も量的金融緩和を継続せざるを得ないとの見方が強く、それがマイナス金利の示現に反映されています。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格の変動要因で最も注目されるのは「短期金利/金融政策」の48%。加えて、「債券需給」と「物価動向」の注目度が徐々に上昇しています。同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞いたところ、他の投資主体に比べて注目度が高く、かつ上昇傾向にあるものとしては、「政府・日銀のオペレーション」がダントツで59%となりました。また、「都銀・信託銀行(投資勘定)」の注目度もじわり上昇しています。一方、「外国人」の注目度は11月調査の25%から18%に低下しました。 債券への投資スタンスはやや強気 資産運用担当者69人を対象に、運用中のファンドについて、国内債券への投資比率が現状、通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」は11月調査と変わらず54%。これに対して「ややオーバーウエート」が11月調査分の7%から、12月調査分では11%に上昇しました。対して、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」が低下したことを考えると、ここしばらくは強気のスタンスで臨んでいたことが分かります。 一方、これから先、当面のスタンスを見ると、「かなり引き上げる」は0%で、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」が変わらず。「現状を維持する」が低下。「かなり引き下げる」は、このところ0%続きだったのが、12月調査分では2%になりました。 なお、保有債券のデュレーションについては、指数が51.2で前月と変わらず。この指数は、基準値よりも短いと50を下回り、逆に長い時は50を上回ります。現在のデュレーションは若干、長めというところです。当面のスタンスは指数が52。「やや長くする」という回答比が上昇していることからも、目先は強気の姿勢が垣間みえます。

米利上げ、2016年は3回程度? 「金融緩和に逆戻り」のびっくり予想も(12月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の12月調査を、12月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者78人が回答、調査期間は12月7~10日)。 今週は15~16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されます。市場関係者の間では「12月の利上げは織り込み済み」として、9年半ぶりとなる利上げ実施はほぼ確実視されています。もはやマーケット参加者の目線は「利上げペース」に向かっており、FOMC後に行われるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見に関心が集まっています。 米利上げ、2016年は3回程度か? 16年末のFFレート予想0.996% 今回のアンケートで「米政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の2016年末、2017年末時点の水準をどう予想しますか」と聞いたところ、単純平均で2016年末が0.996%、2017年末は1.669%となりました。12月の利上げ実施により実質ゼロ金利政策が解除され、直近の利上げ局面での利上げ幅(0.25%)を参考に今後の利上げペースを類推すると、2016年は「3回程度」の利上げが織り込まれている計算になります。同様に2017年は「2~3回」の利上げが見込まれる状況で、過去の利上げ局面と比べても利上げペースは緩やかになるとの見方が強いようです。 16年の世界経済成長率、15年に比べ「回復」予想は44% FRBの利上げペースを占う上で世界経済がどの程度の成長率を達成するかがカギの一つになります。国際通貨基金(IMF)は10月下旬に世界経済成長率見通しを3.1%としましたが、16年は15年見込みと比べどうなると予想するか聞いたところ、「緩やかな回復」が41%で最多となりました。「急回復」の3%を合わせると44%の回答者は3.1%以上の回復とみていることになります。このほか、「緩やかな減速」が33%、「横ばい」が24%となりました。米利上げが新興国経済にマイナスの影響を及ぼすとの懸念も強いだけに、米利上げの予測には米景気自体の強さはもちろん、世界経済全体が上向きの成長軌道を維持するかどうかも引き続き注視する必要がありそうです。 2016年のドル円相場、「横ばい」が44%で最多  米利上げペースや世界経済の見通しを基に「2016年のドル円相場はどう動くと予想しますか」と聞いたところ、「横ばい」との回答が44%で最多となりました。次に「再びドル高基調に戻る」が36%で続き、「ドル安基調に転換する」は19%でした。日米金融政策の方向性の違いを背景に「ドル買い・円売り」を予想する声がある一方、12月のFOMCでの利上げが織り込まれている点や利上げペースも加速することがなければ一段の「ドル買い・円売り」には傾きづらいとみている回答者も少なくないようです。足元では弱めの米経済指標もみられる中、米国経済が年明けにピークアウトし、「次もしくは次の次」の利上げに懸念が生じるという状況に直面した場合のマーケットへのインパクトも気になるところです。 びっくり予想、米国「緩和逆戻り」、日本「安倍首相退陣」「日銀執行部退陣」… いよいよ年の瀬、ということもあり、今回のアンケート調査では「あなたが考える2016年の『びっくり予想』」も書いてもらいました。いろいろな予想が集まっていますが、このうちマーケットに大きく関係しそうなものをいくつか挙げてみましょう。 まず、米国関連では、「FRBが金融緩和姿勢に逆戻り」、「米国が利下げに追い込まれる」といった金利関連のコメントが多数見られました。それだけ市場では金利上昇に対する期待感が高いことの裏返しでもあります。怖いのは、まさにこの利上げ打ち止め、利下げというサプライズが示現した時で、そうなった時は世界的な株安や円買いといった動きが進むかもすれません。2016年は米国最大のイベント、大統領選の年ですが、問題発言の連発で物議を醸しているドナルド・トランプ氏の「米大統領選出」もびっくり予想に連ねました。 一方、日本関連では「安倍首相の退陣」。巷間、よく言われる健康問題も含め、安倍首相が辞任となれば、アベノミクスの頓挫ということで、株価には相当大きなインパクトが及ぶと思われます。ほかには「日銀関連」のびっくりが非常に多く、「政策レジームの変更」、「ターゲット変更」、「テーパリング」、「日銀執行部退陣」などがありました。 中国関連は「中国で政治が混乱」、「中国の現体制権の崩壊」といった政治絡みの回答が多く出ました。新興国関連は「OPEC加盟国内の不協和音の拡大とデフォルト」、「資源大手企業の債務不履行、資源国国債のデフォルト」など、資源絡みが多くみられます。折しも、12月11日に、1バレル=35ドル62セントまで原油価格が下落したことも、資源国経済の先行きに対する懸念を強めています。 最後にマーケット関連としては、「WTI原油価格1バレル当たり30ドル割れ」、「ドル円110円割れ」、「ユーロパリティ」などが挙げられました。が、今の米国経済の状況や利上げのインパクト、さらにいえば、2017年に予定されている日本の消費増税、新興国経済のスローダウンなどを考えると、NYダウや日本株の急落、原油価格の急落、ドル安などは、いずれも「びっくり」というほどのものではなく、ある程度、頭の片隅に織り込んでおいた方が良いのかもしれません。 短期的にはドル高・円安に一服感 毎月定点調査している為替相場見通しによると、短期的にはドル高・円安の流れに頭打ち感が出てきました。金融機関の外為業務担当者の見通し(単純平均)は、1カ月後の12月末のドル/円で単純平均が1ドル=122円91銭と、前回調査(123円25銭)に比べて円高方向へとシフトしました。 一方、6カ月後の2016年5月末の見通しは123円92銭となっています。ただ、新興国の景気低迷と原油価格の急落、米大手ファンドが運用するジャンク債ファンドからの資金引き出し凍結など、リスクオフにつながるニュースが複数、浮上しており、一本調子にドルが買われるムードでもなくなりつつあります。今後、米国の景気動向をはじめとして、新興国経済の動向、原油価格などが、米国の金利にどう影響するのかをチェックしておく必要がありそうです。 今後6カ月程度を想定してもらったところ、注目度は円、米ドル、ユーロのいずれも「金利/金融政策」が、他の要因に比べて高くなっています。なかでも米ドルについては、「金利/金融政策」の注目度が82%と非常に高く、今週行われるFOMCへの関心が高まっていることを示しています。 資源国通貨に先安観台頭 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのような動きをするのかとの設問では、相変わらず米ドルは「上昇」の回答率が高いものの、「上昇」予想から「下落」予想を差し引いたDIは10月のプラス52から徐々に低下し、12月はプラス43になりました。この点からも、米ドルの上昇に頭打ち感が浮上しているのが分かります。DIが大きくマイナス方向に振れた通貨としては、「カナダドル」、「豪ドル」、「NZドル」、「ブラジルレアル」など資源国通貨が目立ちました。いずれも原油価格の下落が通貨安につながる典型例といえます。 とはいえ、長期的には円安に向かうとみるファンド運用担当者は依然として少なくない様子。外貨建て資産の組み入れ比率について、当面のスタンスは「オーバーウエート」が上昇する一方、「ニュートラル」が低下しました。また為替のヘッジ比率についても、「ヘッジ比率を上げる」という回答が低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」という回答が上昇しています。

株式持ち合い解消は「株価にプラス」との見方が優勢(12月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の12月調査を、12月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者174人が回答、調査機関は12月1~3日)。 12月1日に日経平均株価が2万円を回復したことにより、株式市場関係者の間ではやや強気のムードが高まりました。3日に欧州中央銀行(ECB)が追加緩和を決めたものの期待外れの緩和内容だったとして欧米株は急落、4日の日経平均も485円安と急落しました。しかし、4日発表された米雇用統計が堅調な内容となり、12月の米利上げが確実視される中で米国株が切り返したことから、日経平均は再び上値追いの雰囲気が広がっています。 年末株高への期待も高まる中、株式市場では金融庁のコーポレートガバナンスに関する有識者会議が、金融機関のみならず事業会社にも株式持ち合いの解消を促すという認識で一致したことが話題となりました。今回の特別調査では、事業会社や金融機関の株式持ち合い解消は進むのか、持ち合い解消に伴う業績や株式市場への影響をどうみるか、株式市場関係者の見方を聞いてみました。 事業会社の株式持ち合い解消「賛成」が大半 株式持ち合いは戦後から1980年代にかけて、日本における特有の資本取引慣習といわれていましたが、90年代に入ってバブル経済が崩壊する過程において、さまざまな弊害が生じてきました。 例えば時価会計が導入されたことから、持ち合い株式の評価が下落したことで、企業は損失を計上せざるを得なくなったこと。銀行はBIS(国際決済銀行)基準によって厳しい自己資本比率が課せられ、株式のようなリスク資産を大量に保有していると、自己資本比率が低下してしまうリスクにさらされること。そもそも持ち合いをすることによって、企業のグループ化、系列化が強固になり、閉鎖的なビジネス慣習が横行することなどが、その弊害といっても良いでしょう。 今回のアンケート調査でも「事業会社の株式持ち合い解消は必要だと思いますか」という質問に対して、「できれば解消した方がいい」が64%で最多となり、次に「早期に解消すべき」が22%となり、表現の強弱はあるものの、株式持ち合い解消に賛成する声が全体の86%を占めました。 ただ、「事業会社の株式持ち合い解消は実現すると思いますか」という問いに対しては、「ほとんど解消する」がわずか2%で、「ある程度解消する」が85%に上りました。理想を言えば株式持ち合いは解消した方が良いけれども、実際にそれを行うとなると、今までの慣習から難しい面も多々あることを伺わせます。 メガバンクの持ち合い株削減「目標通り実現」は47% 次に金融機関の場合はどうでしょうか。メガバンクは株式持ち合い削減の具体的な目標を公表しましたが、これに関して「実現すると思いますか」という問いに対しては、「目標通りに実現する」が47%、「削減は進むが目標には達しない」が51%となりました。「ほとんど実現しない」は2%にとどまり、中長期には持ち合い解消の流れが進みそうですが、取引関係が深い企業との交渉難航など目標達成に向けては紆余曲折がありそうです。 持ち合い解消は「株価にプラス」5割 株式持ち合い解消が進んだとして、企業業績やマーケットへの影響はどうなるでしょうか。 「株式持ち合い解消が進むと企業業績にどのような影響があると思いますか」という問いに対しては、「収益性が改善する」が38%でしたが、「影響しない」が54%も占めました。企業としては、収益改善につながらないものは後回しにするケースも多いとみられます。株式持ち合い解消はいずれ進んでいくのでしょうが、各企業の経営戦略等をにらみながら、時間のかかる作業になりそうです。 最後に株式市場への影響を聞いたところ、「収益の改善期待により株価上昇」が13%、「コーポレートガバナンスの改善により株価上昇」が36%で、株価上昇期待は合わせて49%となりました。一方、「需給の悪化により株価下落」が23%、「影響しない」が23%となり、株価にとっては積極的にポジティブとみていない市場関係者も少なくないようです。持ち合い解消に伴う需給不安の受け皿として、個人株主の取り込みを積極化する必要があるとの声もあります。今後の企業の動きに関心が集まります。 外国人投資家の日本株買いに期待感 日経平均株価が2万円台を回復する過程において、株式市場関係者のマーケットに対する見方は強気に転じました。 1カ月後の日経平均株価予想は、11月調査の1万9184円から大幅に上振れし、12月調査では2万48円になりました。半年後にかけても上昇予想で、2016年5月末は2万597円と予想されています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、このところは一貫して「景気・企業業績」が最も高く、上昇傾向が続いています。新興国の成長スローダウンを受け、日本企業の業績にも影響が及ぶと見られているだけに、2016年3月期決算の行方などが、これから一段と注目されてきそうです。 また、今後6カ月を想定して、注目される投資主体としては、外国人投資家の動向に対する注目度が再び高まっています。ちなみに外国人投資家は、株式市場に及ぼすインパクトの度合いを見る指数(50以上がプラスの影響、50以下はマイナスの影響)も上昇しており、10月調査では51.6でしたが、12月調査では63.8まで上昇してきました。今後は外国人投資家の主導のもと、年末に向けての日経平均の上昇に期待感が広がっているようです。 国内機関投資家の投資スタンスは引き続き慎重 国内の資産運用担当者71人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が11月調査の10%から5%に低下する一方、「ニュートラル」や「ややアンダーウエート」が微増となりました。 また、当面のスタンスについては、「かなり引き上げる」、「やや引き上げる」がともに低下。「現状を維持する」、「やや引き下げる」、「かなり引き下げる」が、それぞれ増えました。外国人主導の年末株高への期待が高まる一方、12月に入ってからの株価上昇を見て、国内勢はやや慎重姿勢が目立ってきています。

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