ソフトバンクGが保有株売却の観測 エヌビディア下げる

11日の米国市場で画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアが反落し、2.41%安の148.19ドルで終えた。一時は145ドルまで下げて下落率が4%を超えた。ブルームバーグがこの日、「ソフトバンクG(9984)がエヌビディア株が下落し続けているため、来年の早い時期にも保有株を売却する計画だ」と報じたことが嫌気された。ソフトバンクGは約30億ドルの利益を得る可能性があるが、売却を一部にとどめる可能性もあり、最終決定には至っていないという。 ソフトバンクGはソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を通じてエヌビディアに5%未満の投資を行っていた。QUICK FactSet Workstationによれば、SVFのアドバイザリー会社である「SB Investment Advisers」(英国)はエヌビディア株を4.41%(2687万5000株、40億8100万ドル)保有しており、第4位の大株主となっている。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

「あの時」と不気味な相似 荒波相場を乗り切るバフェット流

日米の株式相場では値幅の大きい不安定な動きが続く。センチメントを敏感にあらわすFAANG銘柄の先行きについて、ある市場参加者は警戒感を示している。ここ1年を振り返ると、過去に起きたショック前のNYSE TMT指数(米ハイテク、メディア、通信株などで構成)の軌跡をトレースしているかのように、よく似た動きが続いている。この投資家が指摘したのは2000年だが、08年のリーマン・ショック前もほぼ同じ。TMT指数はその後にいったん戻りを試し、半年後にはピーク時の半値以下になった。「バブル崩壊の予兆でないといいが…」と気を揉む。 ■NYSE TMT指数(青)とFAANG(赤) ※NYSE TMT指数のリーマン・ショック前高値(2007年10月31日)、FAANG銘柄の値動き(FANGプラス指数)のピーク(18年6月20日)をそれぞれ100として指数化し、NYSE TMT指数の日付に合わせた 「グロースがダメならバリューで」。こうした戦略もやや厳しい。野村証券のクオンツチームは7日付のリポートで「むしろバリュー株のパフォーマンスは悪化する局面」と分析する。クレジットの視点から見ると、バリュー株がアウトパフォームするのはクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)など信用スプレッドが拡大した後、急速に縮小するタイミングだという。 実際、S&P500種株価指数でバリュー株指数を割った値とCDSの代わりにグローバルハイイールド債のスプレッドで比べてみると、スプレッドが急速にタイトニングする場面でバリュー株指数が優位だ。ただ、いまはカネ余りの終焉が近づき、信用リスクがじわり拡大する局面。バリュー株の代表格である銀行株も米国債利回りの逆イールド懸念や国内長期金利の低下で売られやすい展開にある。   打つ手なしの相場かといえば、そうでもなさそうだ。米国の逆イールドは短い年限の債券どうしに過ぎず、景気悪化のシグナルの長短金利差はまだプラスだ。米中の覇権争いも、すぐには解決しようがないテーマ。日々の動きに一喜一憂したところで本質は何も変わらない。「米景気の減速を織り込むのはまだ早い。いまの下げが米景気のスローダウンを懸念した売りなら、買い場になる」と、あるストラテジストは話す。   ならば、どんな銘柄を買うべきか。QUICKラボが算出する日次のファクターリターン分析をみると、10日に株式相場を下支えしたのは「過去1週リターン」や「過去1カ月リターン」など、過去にパフォーマンスが良かった銘柄だ。たとえば、過去1カ月で株価が値上がりした銘柄を見ると小売り、飲食、鉄道など「守りの投資」が浮かび上がる。 「シストレの鉄人」、システムトレードの権威として知られるカウフマン・アナリティクスのマネージング・ディレクター、ペリー・カウフマン氏は、すでにハイテク株からマクドナルドやコカ・コーラ、医薬品などのディフェンシブ銘柄中心の運用に切り替えている。 もう1つのアイデアは「オマハの賢人」の知恵を拝借する運用だ。ウォーレン・バフェット氏は、高いブランド力などを持ち永続的に競争優位性を持つ銘柄に投資している。日本でバフェット氏が好みそうな銘柄はどれか。テーマ型投資を提供するネット証券の「Folio(フォリオ)」によると、筆記具のパイロットやソフトウエア提供のオービックなどが当てはまるという。   具体的な銘柄選定基準は、売上高当期利益率が10%超、自己資本比率50%超、高い市場シェア、ROEが直近および過去10年平均で10%超など。高いシェアを武器に安定して利益を稼ぎ続け、負債に依存せず、かつ利益の一定程度をきちんと株主に還元してきた銘柄といえる。こうした銘柄の多くは、年初来で12%安に沈むTOPIXを尻目に快走を続けており、直近の相場急落でも下げ幅は限られた。 ■市場平均より底堅い銘柄 ※単位%、▲マイナス。12月10日の終値と11月末、17年末の終値をそれぞれ比較し、TOPIXの騰落率を差し引いた。フォリオの投資テーマ「もしバフェットが日本株を買ったら」から抜粋 ヘッジファンドのチューダー・インベストメントを率いる ポール・チューダー・ジョーンズ氏は10日、CNBCのインタビューで「来年の株式相場には強気でもあり、弱気でもある」と述べた。ボラティリティが高止まりし、不安定な相場は当面続きそう。目先の大きな利益を求めず、乱高下の中で着実にリターンを稼ぐ銘柄を選び出す力が重要になってくる。(松下隆介) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

強気シナリオで日経平均2万8500円 2019年をエクコメ・デリコメ執筆陣が斬る

QUICKのエクイティコメント、デリバティブズコメントチームは、このほど年末セミナー「どうなる2019年相場」を開催した。エクコメ・デリコメのライターによるパネルディスカッションでは19年のテーマに関して活発な議論が繰り広げられた。エクコメライター上田誠は講演で「政策期待で強気継続」と持論を展開した。 最重要テーマ&材料 何に注目? ■「新テーマ探し」 山口正仁(エクコメ) 20年、30年前にあれっ?と思ったことが実現している。自動車の自動運転、インバウンド消費による疑似輸出などが大きくなっている。人手不足でファクトリー・オートメーション(FA)や外国人労働者などがテーマになっている。今後はフィンテックの次の「決済」が化けるのではないか。多く使われるし、儲かる分野だ。 ■「米景気」 松下隆介(エクコメ) 米国の消費者信頼感指数がピークアウトしていたり、米国の利上げが進む中、米企業のマージン・スクウィーズが起こって利益を圧迫したりする。米株のモメンタムは鈍化していく。マイナス要因がある一方、プラス要因もたくさんある。例えばインフレギャップはそれほど拡大していない。銀行の貸出姿勢もなお緩和的だ。米経済はまだらもようというのが率直な印象で、注意深く見ていかないと行けない。私はみんな強気の時は下を見ています。逆張りです。 ■「トランプ大統領、アップル」 片平正二(デリコメ) この2年間でトランプさんの予測不可能なことがはっきりしている。民主的なプロセスを踏まずに政策を決定しており、相変わらず、夜はFOXニュースを見ながらツイッターをやっているようで不安定な状況は続く。アップルについては弱気のレポートが出ている通りで、iPhone売上高は2017年に過去最高だったが、販売台数ベースではiPhone7が出た2016年がピークだった。結局、サプライヤーが同じなため、アップルから革新的なものは出ないので成長鈍化が警戒される。テスラを買収するくらいのサプライズが欲しい。最近は華為技術(ファーウェイ・テクノロジー)が話題だ。米国としては創業者の会長さんが共産党員である会社にああいうことをした以上、本気なのだろう。トランプさんが2020年の大統領選に臨む以上、最も重要なのは北朝鮮。在任中に北朝鮮に核ミサイルでの攻撃を許した大統領とトランプさんが歴史に汚点を残さないためには、米朝交渉が重要だ。その関連で、中国には貿易で圧力をかけ続けるとみられる。 ■「海外勢の先物買い、日銀のETF買い」 中山桂一(デリコメ) 需給の話です。今年、海外勢は日本株を現物で4兆5000億円以上売っている。先物で6兆5000億円、合わせて11兆円以上売っている。先物でこれだけ売っているのは過去あまり例がない。取材をしていると、楽観的な方は先物はキッカケがあれば買い戻すだろうとおっしゃる。特に海外勢の先物売りが秋口から多く出ており、短期の売り、リスク・パリティの売りなども巻き戻された時には勢いが出るのではないか。あと日銀のETF買いだが、きょうはTOPIXの前引けの下落率が0.03%で買っていた。6兆円というメドがある中で、日銀が柔軟な姿勢を示している。日銀という確実な買い手が存在することは相場の支えになるのではないか。日銀のオペレーションが変わる可能性は、この1カ月間で見えている。TOPIXの下落率の大きさに関わらず、変わってくる可能性はあるだろう。前場のTOPIXがプラスで終えても買ってくるケースも、お忘れでしょうが過去にあった。海外の下げなどを踏まえて動くこともあるだろう。ただ6兆円のメドを5000億円とか、大きく逸脱することはないのではないか。 ■「米金利、日銀政策修正」 池谷信久(デリコメ) ベタなテーマを前に、今週、話題になった米国の長短金利差の逆転「逆イールド」について見解を述べたい。過去の経験則として、確かに米国では景気後退が起きていた。なんで逆イールドだと景気が後退するのか? これは米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を引き締めすぎたことが原因、景気が悪くなるほど引き締めたということ。それではなぜ、景気が悪くなるほど引き締めなければならないか? それは物価のため。物価が上昇している中では、FRBは利上げをやめるわけにはいかない。だから結果的に景気は後退した。それでは今はどうなっているか。いまの米国のCPI、PCEデフレーターといったFRBが見ている物価指標は約2%。インフレ目標としている2%に近く、ちょうどいいところ。ムリにFRBが引き締める必要性は全くない。株式市場も不安定で不透明感が出ている中、FRBとしては姿勢を変えてくるだろう。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でこれまでのタカ派スタンスをハト派的に変えてくる、たぶんやってくるだろう。そうなると政策金利の上昇を織り込んで上昇していた2年債利回りは低下し、イールドカーブは順イールドに戻ると思われる。そもそも逆イールドが進んだ大きな理由は、WTI原油価格の下落だ。10月に原油が急落して、それに合わせて長期金利が低下した。また11月16日にクラリダFRB副議長が「政策金利は中立金利に近づきつつある」と話して、28日にはパウエル議長が「政策金利は中立金利をわずかに下回る」と述べた。何を言いたいかというと、中立金利というのは景気に対して良くも悪くもない、金融の引き締め・緩和効果もない水準ということ。そこに近づいてますよと言うことは、そこを超えることはないと述べたわけで、これは明らかにハト派姿勢に変わった事を意味している。最近の金利低下、原油安の中、金利のマーケットから見ているとなぜ株が売られるのか不思議だ。 ■「クレジットリスクの顕在化、銀行再編」 丹下智博【デリコメ) 2019年のテーマにしてあるが、実はもう始まっている。米自動車大手ゼネラル・モーターズは2008年のリーマン・ショックの時に一度経営破綻したが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で200bpsに近づいた時にもう一度破綻するのではないかと大騒ぎになった。株価も大幅安になった。最近ではドイツ銀行が話題になっている。以前から経営不安が取りざたされていたが、こちらもCDSが200bpsを超えてきており、株価も大きく下げている。ただCDSで200bpsというのは年間2%の保証料率で、倒産確率としてはかなり低いほう。リーマン・ショック時には2000~3000bpsを記録したし、ソブリン危機の時にギリシャは7800bpsまで急騰した。200bpsという絶対水準は小さいと言え、投資適格債からジャンク債に格下げされるリスクがマーケットには非常にインパクトをもたらす。株式市場は倒産を心配するかも知れないが、債券市場では格下げを心配している。ドイツ銀で何か起きた場合の金融システムへの影響、マーケット・インパクトとしては、以前から経営不安が噂されており、取引先も厳選されている状態とみられるため、さほどマーケットへの影響は出ないだろう。それより、ドイツ銀が厳しい状況にあるのは、グローバルに金利が低く、銀行の収益が上がりづらい状況にあるという問題が根底にある。ドイツ銀行に限らず、日本の銀行もそうだ。貸し出し先についても、GMのように大丈夫と思っていたとこらが危なくなるショックの方が大きいと思う。 ■「底上げされるボラティリティ」 岩切清司(デリコメ) 米VIXや日経平均VIのチャートを見ての通り、ボラの水準が底上げされている。高水準にある面積が大きくなっている。株式のボラティリティが上昇する、すなわち、株式がリスク性の高い資産であるということがポートフォリオ管理上のファクターとなってくる。例えばVIXが10%を割っていた時の株式のリスク量と、今のリスク量は全然異なる。同じ100億円を持っていても、持てる株式の量は今の方が少ない。ボラがゆっくり上がって底上げされてくると、株式に投資できるお金の量が減ってくることになる。VIXが瞬間的に20を超えたからという議論はどうでもよく、趨勢的にボラティリティがどうなっていくのかというのが来年、再来年の相場を見る上で重要になっていくのではないか。 ずばり相場の見通しは? 2019年の日経平均株価の予想レンジについては、2万8500円で最も高い水準を示した中山が「日経平均の1株当たり利益が現在1780円。QUICKで出している2期予想で来年の企業業績を4.5%増と見込んでいた。EPSで5%増益、PERで最大15倍を想定すれば、最大の強気シナリオで2万8400円くらいになる」と指摘。ただ「QUICKの2期予想で増益幅が若干低下しているので、企業業績は若干切り下がる可能性がある」とも述べ、企業業績の伸び悩みを警戒していた。 10年債利回りの予想レンジでゼロ%と最も強気な見通しを示した丹下は「債券市場はみんなが行ったら困る方向に進む、ペイン・トレードになるとみている。10年債利回りがマイナスになった場合、株式市場がどうなっているのか考えると恐ろしいのでレンジとしてはプラスにした」と述べた。 ※QUICKエクイティコメントとQUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。エクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。デリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

日銀ステルス砲、打って支えていよいよ年6兆円

日銀は10日、3営業日連続となる上場投資信託(ETF)の買い入れを実施した。通常のETFが703億円、毎営業日買い入れている12億円の「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF」12億円の合計715億円で、今年1月からの累計の買い入れ額は5兆9963億円。孤軍奮闘で日本株相場を支える「本石砲」が目安とする年6兆円がいよいよカウントダウンに入った。 国内証券のストラテジストは現状の日銀ETF買いを「ステルス量的緩和」とも評する。日銀は目標と定めている買い入れ枠を超える状況のなか、前場のTOPIXの下落率が小さくても積極的買い入れている。 この状況を前述のストラテジストは「投資家センチメント悪化によるリスクプレミアムの拡大を理由に『上下に変動しうるものとする』という7月に示した文言通りに行動している」と指摘する。 毎営業日に買い入れている新型ETFを考慮すると、すでに実質的に年6兆円の買い入れペースを超えた計算になる。今後もオーバーペースで買い入れを続けるか注目される。(中山桂一、片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ソフトバンク、機関投資家の需要「国内2倍、海外3倍」 上場秒読み段階に

19日に東証1部に上場するソフトバンク(SB、9434)は10日、売り出し価格(公開価格)を仮条件と同じ1500円に決定した。市場からの資金吸収額は約2.6兆円で、日本企業のIPO(新規株式公開)では過去最大。単純計算した時価総額は約7.1兆円にのぼり、トヨタ(22.2兆円)、NTTドコモ(9.6兆円)、ソフトバンクG(9.4兆円)、NTT(8.9兆円)、三菱UFJ(8.2兆円)、ソニー(7.2兆円)に次ぐ規模となる。 上・下限の幅がない異例の「一本値」の仮条件で、先週ブックビルディングを実施した。売り出し株式の販売比率は9割が国内、1割が海外向けだ。もともと国内の個人を主な買い手と想定しており、国内の機関投資家への割り当ては全体の2~3%、金額では600億円前後といわれていた。 ブックビルディング期間中に起きた大規模な通信障害やファーウェイ問題などで需要の盛り上がりが注目されたが、市場関係者からは「国内機関投資家の倍率は2倍台前半、海外投資家向けはおよそ3倍となっていたとみられます。やはり通信障害などの影響でキャンセルも出たようですし、倍率はやや低いように見受けられます」との声が聞かれた。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

恐怖の男の贈り物と恐怖指数 クリスマスラリーは期待薄か

先週末の米国市場ではダウ平均株価をはじめとした主要3指数が大幅に下落、投資家の不安度を測る指標とされる恐怖指数(VIX)は9.62%高の23.23で大幅に3日続伸した。終値ベースで10月30日以来、1カ月半ぶりの高水準に達した。金利低下・ボラティリティー(変動率)の上昇を受けて、様々な資産価格の変動率に応じて資産配分を調整する「リスクパリティー」型ファンドの先物売りが警戒されそう。「株式市場で恐怖指数が上昇し、トランプの狂気が乗り移ったのでしょうか。クリスマスラリーは、今年は期待できないでしょうか」(個人投資家)との声が出ていた。 ■日米欧のVIX指数の年初来チャート 7日、ナバロ大統領補佐官が、設定した90日の期限内に通商協議で合意できなかった場合に中国製品への関税を引き上げると述べたと伝わった。「米中休戦」の期待が浮上してきたなかで、カナダが米国の要請に基づいて中国・華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕。中国が批判を強めていることも相場の重しだ。 共産党機関紙の人民日報は9日付で、幹部の罪が確定していないのに「手錠をかけ、足かせをつけた」と指摘。「過ちを正し、中国国民の権利侵害を直ちに止めなければ、重い代償を払うことになる」と強調したという。ファーウェイの孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の身柄が釈放されるかどうかが注目される。 ノムラセキュリティーズは7日付のリポートで、「この逮捕は、貿易や構造経済政策を超え、国家安全保障などの外交政策のイニシアティブを含む分野で米中の緊張が強まっていることを示している」としつつ、WSJが7日に、米当局が中国政府と関係があるハッカーに対して、間もなく刑事告発を行い、米中関係にさらなる負担をかける可能性があると報じていたことも紹介し、さらなる緊迫化にも警戒していた。 さらに、政権の要の一人ホワイトハウスのジョン・ケリー大統領首席補佐官が近く辞任する見通しとの報道も飛び出した。「FEAR恐怖の男」すなわちトランプ大統領が2020年の大統領選での再選を目指すべく人事刷新に動いているもようで、事実上の解任との見方ができる。ケリー氏は、民主的な政策決定プロセスを踏まないトランプ大統領との関係が悪化。トランプ氏の娘婿のジャレッド・クシュナー氏、長女のイバンカ・トランプ氏ら「ジャバンカ」とも関係を悪くしていたとされる。(片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米雇用市場に変調の兆し 失業保険申請じわり増加

11月の米雇用統計は堅調な内容だったが、前向きなデータばかりではない。JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏が最近、気にかけているのが週間の米新規失業保険申請件数だ。しばしば景気サイクルの変化の予兆として受け止められる。 申請件数は足元で23万件で推移している。9月には20万件台にまで低下していたが、その後は増加に転じた。4週間の平均も明確に増加しており「最近の上昇傾向は注目に値する」(シルバー氏)。 背景にはハリケーンや大規模な山火事、原油価格の大幅な下落などがあると考えられるという。「申請件数の増加は景気後退の局面入りが迫っていると示唆しているわけではないが、データとして無視はできない」(シルバー氏)。今後も増加基調を維持するのか。申請件数が1つの注目指標になりそうだ。(岩切清司)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

もたつくOPEC だぶつく原油 ふらつく米BEIは1年ぶり低水準

6日の原油先物相場は続落し、WTI期近物は前日比1.40ドル安の1バレル51.49ドルで終えた。この日開催された石油輸出国機構(OPEC)の総会では、来年の具体的な減産規模では合意されず、7日に開催するロシアなどOPEC非加盟の産油国との会合まで持ち越しとなったことで、先行き不透明感が強まった。 原油価格は物価への影響が大きい。市場が織り込む期待インフレ率である米BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は1.90%と2017年12月以来の水準に低下した。(池谷信久) ■米BEIとWTI原油の比較チャート ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

投信よりソフトバンク 2.6兆円IPOが吸い上げる個人の待機マネー

12月最大のイベント、19日のソフトバンク(9434)上場まで2週間を切った。週明け10日に仮条件が決まり、翌11日から申込み期間に入る。売り出しに伴う仮条件は下限と上限のない異例の形式。売り出し価格は1500円に決まる見通しだ。注目の大型IPO案件は、個人マネーの有力な受け皿である投信販売にも影響を及ぼしている。 ※QUICKが提供している特設サイト「ソフトバンク上場」 「11月の株式投信への資金流入鈍化はソフトバンク上場に伴う影響とみられる」――ニッセイ基礎研究所の前山裕亮研究員はこう指摘する。ニッセイ基礎研究所がまとめた11月の日本籍の追加型株式投信(ETF除く)では国内株式、海外株式に1000億円超の資金流入があった。とはいえ、10月はそれぞれ3000億円を超えており、11月は急激に資金流入が大幅に鈍ったことになる。 前山氏は「あくまで想像の域を出ないが」と前置きしたうえで「大手証券会社がソフトバンク株を奨めているのではないか」と指摘する。 確かに市場では「対面営業の現場ではMRFの待機資金の多い投資家にソフトバンク株を優先して営業している様子」(トレーダー)との声があり、投信販売の減少の一因になったというのは頷ける。 個人投資家への割り当てはほぼ終了しているとみられるが、今後を占うのは機関投資家の人気だ。ある国内投信のファンドマネージャーは事前に「機関投資家への割り当て比率も少なく、うちは申込みしないだろう」とも打ち明けていた。 国内機関投資家向け営業担当者は「成長性という観点からは確かに機関投資家が懸念している」と話す。一方で利回りの高さからは購入希望も多いとの声もあり、ひとまずは機関投資家の需要倍率の高さに注目が集まりそうだ。 ある市場関係者は「長い目で成長性を考えれば親会社のソフトバンクグループの方が投資妙味があるように思える」ともつぶやいていた。子会社にはパッシブファンドの組み入れ買い需要、高配当利回りファンドの買い需要など指摘する声もあるが、通信セクターでのリバランスも注視したい。年末最大のイベントから目を離せない。(中山桂一) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

Tariff Man、今日はOil Man 気になるOPEC総会と日本貿易への影響

6日に石油輸出国機構(OPEC)総会が開催される。産油量削減が協議される見込みだが、トランプ大統領は5日にツイッターで「石油輸出国機構(OPEC)が減産せず、生産量を維持することを願っている。世界は原油価格の上昇を見たくないし、望んでいない!」とつぶやいた。 ■トランプ氏のツイッターはこちら! OPEC総会を控えて減産しないよう口先介入を行った格好だが、この日はOPEC加盟国関係者から減産幅が決まっていないとのコメントが相次ぎ、WTI原油先物は54.44ドルの高値から午後には52.16ドルまで2ドル超下げる場面があった。 原油価格の下落によって輸入物価が低下すれば、交易条件(=輸出物価÷輸入物価)が改善する。原油輸入国である日本にとって、原油安はプラス材料とされる(原油高はマイナス材料となる)。確かに、原油価格が80ドルを上回った2011~14年にかけて貿易収支の赤字基調は鮮明だ。しかし、18年の貿易収支はまちまちであり、原油価格の影響は薄れているようにも見える。(片平正ニ、丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米景気後退の兆し?ここにも 先行指標のダウ輸送株が急落 

4日の米株式市場で景気の先行指標とされる「ダウ輸送株平均」が急落した。前日比の下落率は4%を超え、ダウ工業株30種平均の3%を上回った。 米景気の減速懸念や、モルガン・スタンレーが4日付で物流のUPSとフェデックスの目標株価を引き下げたことも響いた。モルガンは両社とアマゾン・ドット・コムの航空輸送の競争が激しくなるとみており、UPSの目標株価を92ドルから87ドル、フェデックスを240ドルから230ドルにそれぞれ引き下げた。UPS株は7%超下落し、フェデックスの下落率は6%を超えた。 一方で、そのアマゾンも大幅安となった。下落率は6%近くに達した。米財務省が郵便公社の改革に関するタスクフォースの報告書を発表したのが警戒された。業績が厳しい郵便公社の経営を改善しようと価格の上限を撤廃し、納税者の負担を減らしつつ、必要不可欠な郵便サービスの改革を図る内容。トランプ大統領はこれまで「郵便公社がアマゾンの配達坊やになっている」などと指摘し、アマゾンが郵便公社と有利な配送料金を契約しているのではないかと批判していた経緯がある。(根岸てるみ、片平正二) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。  

ダウ800㌦安の引き金引いた1枚のチャート 逆イールドは後退の前兆

4日の米市場でダウ工業株30種平均は大幅反落した。下げ幅は799㌦に達し終値は2万5027㌦07セントとなった。この日の米株売りの引き金を引いた1つのチャートがある。米3年物および2年物と、5年物国債利回りとの逆転現象だ。 ■期間が長めの国債利回りが短めの国債の利回りを下回る「逆イールド」現象(QUICK FactSet Workstationより) 今年は2月と10月に米金利上昇によりボラティリティが急騰した場面があった。当時も株安となったが、今回は様相が違う。金利は低下しながらも「逆イールド」の発生が引き金になった。米金利がグローバルマーケットの大きな変動要因であることを改めて示した1日となった。 そもそも金利低下局面における逆イールドは「景気後退の前兆」と言われている。ただ、因果関係としては、「長短金利差が逆転するから景気が後退する」訳ではなく、「景気に悪影響を及ぼすほど、中央銀行が金融引き締めを行う」から金利差が逆転する点には注意が必要だ。 新債券王の異名をとるダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は4日に米メディアに対して、米債券市場で逆イールドが進んでいることについて「経済が弱体化することを示すシグナルだと思う」と述べた。イールドカーブが全体的にフラット化していることについては「米連邦準備理事会(FRB)の利上げを自制させることを示している」とも指摘した。 CMEグループの「Fedウォッチツール」によれば、この日の2019年の利上げ織り込み度は大きく変化しなかったが、米債市場で逆イールドが進んだことを警戒する声が強まっている。ただ、直近ではパウエルFRB議長が11月28日の講演で、政策金利は「中立水準をわずかに下回る」との認識を示した。政策金利が景気をふかしも冷やしもしない中立金利を超える利上げを行わない限り、景気への影響は限定的だろう。 18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における金利見通し(ドットチャート)が、従来の「中立超え」から切り下がるか注目される。(池谷信久、片平正二、岩切清司)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米長短金利差いよいよ15bp、11年5ヵ月ぶり低水準

3日の米国市場で10年物国債の利回りは2.972%と前週末比0.02ポイント低下した。目立ったのは取引終了にかけての金利低下だ。「プログラム取引が入っているとみられ、引けにかけてのショート・ポジションを手仕舞う動きが金利低下を加速させているようだ」(ストラテジスト)と指摘された。この結果、米10年金利と2年金利(2.819%、0.037%上昇)のスプレッドは15bpと、2007年7月以来、11年5カ月ぶりの水準まで縮小した。 ちなみに、3日のCMEフェドウォッチツールによると、2019年12月のFOMCまでの利上げ確率で最も大きいのは2回の38.7%。1回が25.9%、0回が3.8%で、2回以下の合計は67.5%となっている。2018年12月の利上げはほぼコンセンサスであり、2019年は1回しか利上げがない可能性が7割近くまで高まっている。(池谷信久、丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米テック時価総額ダンゴ3強だ ①アップル②アマゾン③マイクロソフト

3日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。米中間の貿易戦争が一時的に小康状態になるとの見方から安心感が広がった。時価総額が世界最大のアップルは3.49%上昇し、指数の押し上げに寄与した。 ただ、上昇率はアマゾン・ドット・コムが4.86%と大きく、米メディアによると一時は時価総額でアップルを上回って首位に立つ場面もあった。QUICK FactSet Workstationによると終値ベースの時価総額はアップルが8770億㌦なのに対し、アマゾンは8666億㌦。3番手はマイクロソフトの8604億㌦と、文字通りの団子状態。時価総額トップの座を3社が競う三つ巴の状況になった。(岩切清司) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

原油相場、波乱の11月 リーマン・ショック以来の下げ、月間▲22%

11月30日の米国市場で原油先物が反落し、WTI期近の1月限は1.01%安の50.93ドルで終えた。WTIは月間で22.01%安となり、2カ月連続で大幅続落。月間の下落率は、月間の下落率は、リーマン・ブラザーズが2008年9月に経営破綻し、金融市場が大荒れとなったリーマン・ショックのさなかの同年10月(32.62%安)以来、10年1カ月ぶりの大きさとなった。12月6日の石油輸出国機構(OPEC)総会で協調減産が見込まれているが、需給改善を期待する買いは限定的で波乱の11月相場となった。 米商品先物取引委員会(CFTC)が公表している投機ポジションで、WTI原油先物のネットロングは9週連続で減少し、11月27日時点で34万8121枚のネットロングとなった。2017年7月3日以来、1年4カ月ぶりの低水準となり、WTI原油先物が1年1カ月ぶりの安値水準にある中、投機ポジションの解消が続いている。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ソフトバンク仮条件、超異例「一本勝負」の成算は

ソフトバンクG(9984)の通信子会社ソフトバンク(9434)は30日、新規株式公開(IPO)に伴う売り出しの仮条件が想定価格と同じ1500円に決まったと発表した。通常、仮条件は下限と上限のレンジで示すが、「レンジのない仮条件は極めて異例」(国内投信)だ。主幹事証券によると「仮条件がレンジを付けない一本値となるのは1997年にブックビルディング方式が導入されてから初めて」という。 ソフトバンクはQUICKデリバティブズコメントの取材に対し、「価格変動リスクやマーケットの状況等を勘案して仮条件は1500円が妥当だと総合的に判断した」と説明した。 訂正有価証券届出書によると、仮条件を決めるにあたり、機関投資家への聞き取りで主に3つの「評価」を得たとしている。①高い株主還元と成長投資の両立が可能なキャッシュ・フロー創出力、②ブランド戦略やソフトバンクGの投資先との協業による新規事業の展開というユニークな成長戦略、そして③業界の競争環境、法規制の改正等よって業績が変動する可能性--だ。③は、いうまでもなく、政治主導で携帯料金の引き下げが議論されていることを強く意識したものとみられる。 株式市場では「個人投資家向けの販売が大方めどがついているという証左」(国内投信)との指摘が出ていた。一方、「もともと機関投資家向けの売り出し株数が少なく、応募しても割り当てられない機関投資家が多いのではないか」(市場関係者)との声もある。 売り出し額は約2.6兆円になる計算で、日本企業のIPOでは1987年のNTT(2.3兆円)を上回り、過去最大になる。週明け12月3日からのブックビルディングを経て、10日に売出価格を正式に決め、19日に東証1部に上場する。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米中貿易戦争で漁夫の利を得るのはどこか

買い戻しによって相場は復調気味だが、グローバルの投資家心理は中期的に冷え込む一方のようだ。 28日付でステート・ストリートが公表した11月の投資家信頼感指数は前月から1.7ポイント悪化し82.7となった。悪化は4ヵ月連続となり、指数自体は2012年12月以来およそ6年ぶりの低水準に沈んだ。 同指数は100が中立なだけに「投資家はリスクアセットのポジション調整を強烈に進めている最中」(調査を担当するケネス・フルート氏)と解釈できるようだ。低下を始めた5月以降、本格化したのがまさに米中貿易戦争だった。トランプ政権は4月ごろにリストの作成にとりかかり、6月には制裁第一弾を決定。7月上旬に発動した。さらに追加措置を断続的に決定するなどエスカレートするばかりだ。何らかの歯止めがかかるまで投資家としても身動きが取れない。 ただ、地域別の投資家信頼感指数では違った景色が見える。悪化が目立ったのは北米。むしろ「アジア太平洋地域の指数が改善したのは驚き」(フルート氏)と言える。 アジア地域の投資家心理がそれほど悪化していない理由はどこにあるのだろうか。1つのヒントになりそうなのが、野村証券が28日付で公表した「アジアにおいて『漁夫の利』を得る可能性のある経済(詳細版)」と題するレポートか。ざっくり言えば「米中貿易摩擦はマイナスばかりではない」とのシナリオの証明を試みたものだ。 レポートでは野村独自の「野村輸入代替指数(NISI)を考案」。5つの項目について指標化したものを加重平均し、どのアジア諸国のどのセクターが米中による輸入先変更の恩恵を受けやすいかを指標化したものだという。詳細はレポート本文を確認いただきたいが、分析では「恩恵を最も受けやすいのはマレーシアで、2位以下に大差をつけている。2位以下は、日本、パキスタン、タイ、フィリピンと続く。逆に恩恵を最も受けにくいのはバングラデシュ、インド、韓国である。詳細にみていくと、ASEAN諸国の多くが米国による対中関税の恩恵を、パキスタン、日本、マレーシアが中国による対米関税の恩恵を、それぞれ受けやすいことが分かった」としている。 このあたりにアジア地域の投資家のセンチメントが相対的にしっかりしている要因の1つがあるかもしれない。不透明感のみならず強弱感も交錯するグローバル市場。方向感を見極めるにはまだ時間がかかる。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

戻ってくるのか▲10兆円 海外勢の日本株売り越し、今後は需給下支え要因に

2018年も残すところあと1カ月程度。VIXショック、米中の貿易摩擦、EUを巡る不安、外部環境要因の不安が多かった18年。海外投資家は先物を中心に日本株を売ってきた。地域別の海外投資家の売買動向も合わせてみると、ヘッジファンドなど短期勢の売りが強かったとみられるが、先行きの需給面では支えになるとの見方もある。 「海外投資家の先物フローが日本株の最大の変動要因に」―ゴールドマン・サックス証券は22日付のリポートでこう指摘した。日本の株式市場では海外投資家の存在は無視できない。とはいえ、これまで日本株に対して影響が大きかったのは現物株の動きで反対売買を伴う先物の累計フローが大きく膨らむことは少なかった。 東京証券取引所、大阪取引所がそれぞれ発表する投資部門別売買動向を集計すると海外投資家は現物株を4兆1920億円売り越し、先物を6兆5000億円超売り越した。ゴールドマンのレポートでは現物株フローの少なさは「日本株への興味の少なさの反映」と指摘。先物フローの偏重さを鑑み、今後は買い戻しが期待できると考えると「過去の日本株の下落局面に比べて需給面では支援的」とも分析した。 現物株の地域別売買動向でみると今年はアジアからの売りが強いという傾向もみられる。東京証券取引所が11月20日に発表した海外投資家地域別株券売買状況を集計すると、2018年は10月までの累計で北米が1375億円の買い越し、欧州地域が2兆8867億円の売り越し、アジアが1兆5293億円の売り越しとなっている。欧州は裁定要因で膨らむとされるため、先物の売買動向と同様の動きになりやすい点を考慮すれば、アジア株の売りの多さが目を引く。 ■海外投資家地域別株券売買状況(単位億円) 東海東京調査センターの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは「アジアからの売りはヘッジファンドによる比率が高いのではないか」とみる。近年、日本株ヘッジファンドの多くがシンガポールに拠点を移し、実際の売買は香港経由でしているケースが多いためという。 ヘッジファンドの多くは成績が悪いとされる。ヘッジファンドリサーチ社が公表するグローバル・ヘッジファンド指数は26日時点で1209.86と17年末に比べ5%低い点が物語る。 東海東京調査センターの鈴木氏は「運用成績の悪化とともに解約が出ていた可能性があり、日本株の押し下げ要因になっていた」と分析する。決算期末を控える中で45日前までに顧客が解約請求をする「45日ルール」で売りが出やすい状況が終わり、今後は売り圧力が弱まるとみる。 市場では「確かに11月にはヘッジファンドの解約売りとの話は多かった」(国内証券)との声がある。需給の重荷が無くなる一方、買い手としては日銀のETFや企業による自社株買いが意識される。売り越してきた海外勢が買い戻すきっかけがあれば、想定外の上昇につながる可能性がある点は頭の片隅には入れても良いだろう。(中山桂一) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

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