国債から銀行株まで、イタリア売り一色 中銀総裁は「信任失墜の瀬戸際」

イタリア売りが止まらない。イタリア国債を売る動きが広がり、2012年の欧州債務危機の再来を危惧する声が高まっている。イタリア中央銀行のビスコ総裁は29日、イタリアの政局混迷が深まるなか、市場でイタリアに対する信任が失墜の瀬戸際にあると警鐘を鳴らした。 イタリアの再選挙は「早ければ7月29日になる」と一部では報じられており、同選挙がイタリアのユーロ圏離脱の是非を問う事実上の国民投票になり得るとの懸念がイタリア売りを加速させている。5月15日に-0.27%とマイナス圏にあったイタリアの2年物国債利回り(グラフ緑)は2.02%へと急騰した。 29日の株式市場でも主要指数は軒並み大幅安となった。イタリアのFTSE・MIB指数は前日比2.65%安と大幅に5日続落し、終値ベースで2017年7月24日以来10カ月ぶりの安値水準に沈んだ。STOXXヨーロッパ600指数は1.37%安。欧州版「恐怖指数」のVSTOXXは13.33%高の20.15と、4月4日以来およそ2カ月ぶりに投資家心理の不安感を示すとされる20の大台に乗せた。 スペインのラホイ首相の不信任決議の採決を6月1日に控え、IBEX35指数も2.48%安大幅安となり、4月4日以来の安値となった。サンタンデール銀が5.44%安、ウニクレディトが5.60%安、インテーザ・サンパオロが4.09%安となった。スペインやイタリアの金融株が急落し、STOXXヨーロッパ600銀行株指数は3.18%安の大幅安だった。 また、米国市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は大幅に5日続落。期近の7月限の清算値は1.69%安の66.73ドルだった。中心限月の清算値ベースで4月17日以来1カ月ぶりの安値となった。イタリアの政治リスクへの警戒感からユーロが売られ、ドル指数(DXY)が強含んだこともドル建てのコモディティ相場の重しとなった。原油版恐怖指数のOVXは4.61%高の29.04と大幅高となり、30の大台に迫った。(丹下智博、片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

RIZAP、プロ経営者招聘で次にコミットするものは

RIZAPグループ(2928)は28日、カルビーの松本晃会長兼最高経営責任者(CEO)を6月に新設する最高執行責任者(COO)として迎え入れると発表した。松本氏は6月20日付でカルビーの会長兼CEOを退任し、RIZAPグループの既存事業の経営に加えて成長領域と位置づけるヘルスケア分野への本格展開や海外展開の戦略策定も担当する見通しだ。 松本氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長などを経て、2009年に業績が停滞していたカルビーの立て直しを依頼され、会長兼CEOとして招聘されたプロ経営者だ。カルビーでは就任直後から改革を次々に断行。高コスト体質の脱却に加えて、ドライフルーツが豊富に入ったシリアル「フルグラ」を収益の柱に育成したことなどにより、売上高は約2倍、営業利益率は4倍という急成長に導いた凄腕の持ち主だ。 だが、今年3月末に突如、本人の申し出により6月の株主総会時で会長兼CEOからの退任を発表。カルビー株は1割近く急落した。市場が松本氏の経営手腕を高く評価していた証左だろう。松本氏は会長兼CEOを退任した後もシニアチェアマンとして、経営の執行に関わらない立場でカルビーの対外活動をサポートするとの意向が示されていただけに、今回のRIZAP招聘を快諾したことのインパクトは大きそうだ。 RIZAPは2021年3月期に売上高3000億円、営業利益350億円を目標に掲げ、経営不振企業を中心に積極的なM&Aを展開。業績を拡大しているが、負ののれん代で利益をかさ上げしているとの指摘もある。買収企業で黒字転換するケースが散見され始めたものの、グループの業績をけん引するまでには至らない企業ばかりであり、松本氏の経営手腕が存分に発揮できる環境と思われる。 RIZAPは、松本氏の招聘以外にも様々な開示を発表した。まず、7月末時点の株主に対して1対2の株式分割を実施。9月末時点の株主に対して創業15周年記念の特別株主優待を実施する。既存の株主優待制度に関しては、毎年3月末時点の株主に付与する株主優待ポイントの利用期間を現行の1年から3年に延長し、最低保有株数は分割後も100株として実質的な優待拡充とした。 一方で、発行済み株式の9.1%に相当する最大2330万株の公募増資(公募2027万株、OAによる追加売り出し303万株)も打ち出した。調達資金は最大394億円で、RIZAP関連事業への成長投資、グループ全体のシナジー強化に向けた経営基盤構築のための戦略的投資、財務体質強化のための借入金返済に充当するとした。 通常ならば公募増資は1株利益の希薄化や需給悪化懸念により、大きく売り込まれるケースが多いのだが、今回は株式分割、記念株主優待の実施、既存株主優待制度の拡充などの対策を講じたことでネガティブインパクトは相殺されそう。29日の株価は前日比12%高で寄付いた。 また、冒頭で述べたように、プロ経営者の松本氏を招聘したことは、RIZAPグループの業績を飛躍させる期待感を高めるとみられるほか、現在の上場市場である札証アンビシャスから東証1部への市場変更の布石としてもポジティブに評価されるのではなかろうか。東証1部市場変更の要件である株主数、流通株式、売買高、時価総額、純資産額などの項目については、いずれも満たしているとみられ、会社側が東証に申請すれば市場変更は承認されるとみられている。 ちなみに、もともと非上場だったカルビーは松本氏を招聘した2年後に東証1部への新規上場を果たした。カルビーの上場日は奇しくも東日本大震災に見舞われた2011年3月11日で、初値は公募価格と同値で寄り付くなど、さほど高い評価は得られていなかった。が、その後は業績拡大とともに目覚ましい株価上昇が続き、上場から約4年後の2015年4月には株価が上場時の初値から約11倍にまで上昇して「テンバガー」を達成した経緯がある。松本氏の経営手腕でRIZAPグループ本体のみならず、子会社の業績動向にも注目が集まりそうだ。(本吉亮) <RIZAP関連の上場企業一覧> RIZAPグループの株価 月足 QUICK Qr1多機能チャートより *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

欧州版恐怖指数が4日続伸 イタリア不安、ECBの金融政策に影響も

28日の欧州市場でイタリアのMIB指数(グラフ青)は2.07%安となった。終値ベースで2万2000割れとなった3月5日以来、2カ月半ぶりの安値圏に沈んだ。個別銘柄では、ウニクレディトが3.83%安、バンコBPMが6.57%安と大幅安となり、政情不安を受け金融株の下げが大きかった。 イタリアの政治リスクが警戒され、欧州版恐怖指数のVSTOXX(グラフ紫)は4日続伸し10.99%高の17.78で終えた。一時は18.52まで上昇し4月初旬以来の高水準に達した。投資家心理の警戒感を示すとされる20の大台が視野に入ってきた。 イタリアのMIB指数とVSTOXXの日足チャート(QUICK FactSet Workstationより) 欧州中央銀行(ECB)が月間300億ユーロの規模で行っている量的緩和(QE)に基づく資産買入の期限は9月までとなっている。イタリアの政治情勢が長引き、通貨ユーロや欧州債券市場が不安定となれば、ECBの金融政策への影響も警戒されそうだ。 エバコアISIは28日付のリポートで、「現時点でコッタレリ新首相は議会の信認を得ることは無さそうで、不信任となった場合には9月か10月に再選挙が行われることになりそうだ」と指摘した。その上で、「3月の選挙当時と政治情勢を巡る状況は変わっておらず、夏から投票日まで市場には不快な状況が続くだろう」と指摘。その上で「イタリアの政治情勢は年内にQEを完了する見込みだったECBの決断にも影響を及ぼしそうで、6月理事会でQEの縮小が示されるのが基本シナリオだったが、7月か9月まで政策変更が示されない可能性が出てきた」と指摘した。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

WTI急落、チェサピークやシェブロンなど石油関連が大幅安

25日の米国市場で石油・天然ガス大手のチェサピーク・エナジーが大幅続落し、5.49%安の4.30ドルで急落した。この日のNYSEの売買高ランキングのトップで、商いを伴い大幅安となった。 ノワク露エネルギー相とサウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が25日に会談し、供給不足懸念に対応すべく生産を増やす準備があるとの見解を示した。ノワク氏は、増産する場合は「緩やかになる」と述べたが、WTI7月限が清算値ベースで4%安の67.88ドルで急落したことで石油関連銘柄は大幅安となった。スパイダーS&Pオイル&ガス探鉱生産ETFは3.15%安で大幅に4日続落した。 ダウ工業株30種平均は続落し、58ドル67セント(0.23%)安の2万4753ドル09セントで終えた。下落寄与度トップは連日でシェブロンだった。この日は3.49%安で大幅続落し、シェブロン1銘柄でダウを30ドルほど押し下げた。下落寄与度の上位には米建機大手キャタピラーやエクソン・モービルも顔を出した。(片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

イタリア国債売り加速、政局懸念はスペインでも

ドイツの10年国債利回りが0.4%近辺へと大幅に低下した。イタリアの政局不透明感に加え、スペインでもラホイ首相への不信任動議が準備されると報じられた。ラホイ首相の元側近が汚職事件で有罪判決を受けたことを踏まえたもの。スペイン国債とドイツ国債のスプレッドは111bpへと拡大した。 また、イタリア売りは継続、米大手格付け会社のムーディーズが25日、イタリアのソブリン格付け「Baa2」を引き下げ方向で見直すとの方針を明らかにした。イタリアの次期連立政権が歳出拡大に走る可能性を理由に挙げた。トレーダーたちは、イタリアのユーロ離脱リスク、イタリア国債がユーロ建てからリラ建てに転換されるリスクを警戒したとされた。イタリア国債とドイツ国債のスプレッドは214bpへと拡大した。 (丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

レイセオンなど米防衛関連株が堅調 「米軍の準備できてる」でリスク警戒

24日の米国市場で、巡航ミサイルのトマホークや地対空ミサイルのパトリオットなどを手掛けるレイセオンが1.32%高の213.94ドルで続伸して逆行高となった。B2爆撃機を手掛けるノースロップ・グラマンが1.39%高、ステルス戦闘機F35を手掛けるロッキード・マーチンが0.31%高となり、防衛関連銘柄が軒並み堅調だった。 トランプ大統領がこの日に声明文を発表し、6月12日に予定していた米朝首脳会談の開催を見送る方針を示したことで幅広い銘柄が売られる一方、北朝鮮の地政学リスクが高まることを警戒して防衛関連銘柄が堅調だった。トランプ氏は首脳会談見送りの発表にあわせ「必要なら、米軍の準備はできている」と述べて軍事行動を示唆して北朝鮮をけん制した。この日はジム・マティス国防長官も航空学校の卒業生らのイベントで「戦争に備えよ」と述べていた。(片平正ニ) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

深く沈んだままの「ユーロ圏サプライズ指数」 景況感の改善に時間

IHSマークイットが公表している5月のユーロ圏製造業購買担当景気指数(PMI、グラフ緑)は55.5と15カ月ぶりの低水準となった。市場予想の56.1も下回り、ユーロ売りの材料になった。 欧州の経済指標は軒並み市場予想を下回っており、シティグループが算出するエコノミック・サプライズ指数(グラフ青、経済指標の予想と実績のかい離を指数化したもので、実績が予想を上回れば上昇し、下回れば下落する)はマイナス圏に深く沈んだままだ。 ユーロ圏の景況感の改善には、しばらく時間がかかり、ECBの金融政策正常化の足かせになるかもしれない。(池谷信久)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

イタリア国債に売り続く 政治不安なお、再び頭もたげる銀行問題

 23日夜(日本時間24日未明)、イタリアのマッタレッラ大統領は次期首相にジュセッペ・コンテ氏を指名した。同氏を首相候補に推薦したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右「同盟」による連立政権が近く発足し、3月4日の総選挙から2カ月半以上という異例の長期間に及んだ政治空白に終止符が打たれることとなる。同氏は五つ星のディ・マイオ党首に近く、行政改革の助言などを担っているとされるものの、政治経験はなく、政権運営の手段は未知数だ。イタリア国債利回りは、やや上昇幅を縮めたようだが、2.4%台で取引を終えている。米独金利が大幅低下したことで、米国債や独国債とイタリア国債のスプレッドは拡大した。   イタリア国債は5月半ばから大きく売り込まれている。新連立政権の政策合意の草案に、ECBが保有するイタリア国債の債務減免要求は、EU予算の分担見直しなどが盛り込まれたと一部メディアで報じられたことがきっかけとされる。正式合意からは削られたものの、反EUや反ユーロの姿勢(EU離脱)への警戒感が続いている。 銀行株の下落も目立つようになってきた。中でも大手銀モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナへの関心が高まっている。同行は不良債権問題から経営不安が強まった過去がある。 再建が進展しているようだったが、新政権の誕生が投資家を不安に与えている。銀行監督に関する政策がモンテ・パスキの将来にネガティブに働く可能性があるようだ。既に同行のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は上昇基調にある。 (丹下智博、岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

自社株買い、肝心なのは「ヤル気」と「本気」 想定取得単価からインパクトを評価

3月期決算銘柄の本決算発表が一巡した。投資家の関心は業績動向に集まるが、それに匹敵するぐらい株主還元に対する関心も高い。企業側にとって、自社株買いは配当とともに企業が稼いだ利益を株主に還元する施策であり、「自社の株価水準が割安」というメッセージを市場に伝える手段と定義される。 ただ、企業によって自社株買いのスタンスは様々であることに留意したい。自社株買いの公表は、たいてい上限株式数および上限金額が提示されるのだが、投資家がよく目にするのは「発行済み株式の○○%を取得へ」「××万株の自社株買い実施」「△△億円の自社株買い実施」などの単発のフレーズであり、実際のところその自社株買いの意義、どの程度インパクトがあるのかなどは分かりにくいのではないか。そこで、想定取得単価(上限金額を上限株数で割った額)の視点から自社株買いを評価してみたい。 たとえば、発行済み株式が10億株で時価総額1500億円の企業が、株数ベースで上限1000万株、金額ベースで上限10億円の自社株取得枠を設定した場合はどうだろうか。発行済み株式に対する比率は1%で、想定取得単価は100円(10億円÷1000万株)となり、現在の株価150円に比べてかなり低い水準となる。この場合は上限金額の10億円を使って現行の株価150円で取得できる株数は666万株であり、当初設定した1000万株との比較では3割強も少ない取得株数に終わってしまう。自社株買いの発表はポジティブだが、さほど株価インパクトは少ないのではないかと推察される。今度は、同じ企業が株数ベースで上限1000万株、金額ベースで上限20億円に設定したらどうだろうか。この場合の想定取得単価は200円で現行の150円よりも高い水準。そのため、現行の株価150円で1000万株を取得すると取得金額は15億円だが、株価が200円まで上昇しても満額買えることになる。 このように、想定取得単価が現在の株価水準よりも高く設定しているところは、現在の株価が割安であるというメッセージ性が強く、株価が上昇しても満額取得となる可能性がある。逆に、想定取得単価が現在値よりも相当低い場合は、満額買ったとしても設定した株数には届かず、イメージしていたよりも小規模の自社株買いに終わってしまうことになる。会社側も現行の株価水準を割安と捉えているよりも、仕方なく株主還元策として自社株買いを発表したのではないかと消極的なイメージにとられかねない。 もちろん、金額や株数など大きければ大きいほど株主還元としての意欲は強いのだが、この想定取得単価が現行の株価よりも低い場合は、割引いて考える必要があろう。逆に、金額や株数が大きく、想定取得単価が現行の株価水準よりも高い場合は企業側の本気度の高さがわかろう。なお、自社株買いの株数が発行済み株式に占める比率は3%以上ならば、株価に対するインパクトは強いとみられるが、2桁以上の比率となる場合は大株主の売却に対する受け皿として自社株買いで応じるというようなケースが多く、通常の株主還元策とは一線を画すと言えよう。 <想定取得単価が現値よりも高い銘柄>乖離率順に掲載   <想定取得単価が現値よりも低い銘柄>乖離率順に掲載    ・乖離率=((想定取得単価÷現在株価)-1)×100 ・発行済み株比率=(取得上限株数÷発行済み株式数)×100 ・株価などのデータは5月21日現在 上記は3月期決算の主力企業の本決算がスタートした4月20日以降に自社株買いを発表した銘柄で、想定取得単価が現在の株価よりも高い銘柄を乖離率順でランキングした。発行済み株式に占める比率が低い銘柄や中小型株が大多数を占めるなか、主力株では野村HDや平和不などが発行済み株の3%程度の規模がありながら、想定取得単価が1割程度上回っておりポジティブに評価できそうだ。その一方で、想定単価が現在の株価より低い銘柄は発行済み株式に対する比率が高い銘柄が多い。新生銀行は上限取得株が発行済み株式の5%と規模が大きいものの、想定取得単価は約半値の水準であることから、上限金額ベースで実際に取得できるのは発行済み株式の3%程度に過ぎないことになる。(本吉亮) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

トルコリラまた安値更新、公募債の為替差損も拡大 どうするミセスワタナベ

中央銀行への圧力を強めるトルコのエルドアン大統領の姿勢に対し、格付け大手フィッチ・レーティングスは22日、「金融政策の独立性が一段と損なわれ、トルコの国家としての信用力にさらに圧力がかかる」と警告した。同日の外為市場でトルコリラは急落。対ドルでは一時1ドル=4.68リラ台までリラ安が進み、最安値を更新した。 トルコリラ建て公募債の為替差損も膨らんでいる。下のグラフは、現存するリラ建て公募債約3300億円のうち、為替差損が20%以上発生しているものが、ざっと2500億円レベルに膨らんでいることを示している。 米長期金利と米ドルの上昇を背景に、トルコやアルゼンチンなど一部の新興国の通貨が下落している。この傾向が続いた場合、新興国にどのような影響をもたらすか、21日に発表したQUICK月次調査<外為>で聞いたところ、「資金流出や通貨下落は一部の新興国に限定される」が7割を占め、「資金流出や通貨下落が新興国全体に広がる」が23%となった。 回答者からは「アルゼンチンやトルコの通貨が下落しているのは、両国ともインフレに直面しており、高水準の債務残高を抱えるなど、固有の問題があるため。一方、多くのアジア諸国は、過去に比べて財政収支や経常収支が改善している。通貨安がアジア諸国に波及し、金融市場全体に動揺が広がる可能性は低い」(投信投資顧問)などの声が聞かれた。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米中「休戦」で不安消えたか 大豆先物が急伸、ZTE関連はまちまち

21日の米国市場で大豆先物が急伸した。期近の7月限の清算値は2.68%高の1ブッシェル=10.2520ドルだった。中心限月の清算値ベースで5月4日以来、半月ぶりの高水準を回復したことになる。 米中両国が19日、ワシントンで17~18日に開いた貿易協議の共同声明を発表した。スティーブン・ムニューシン財務長官が20日にFOXニュースに出演、「我々は貿易紛争を保留にし、関税を留保することで合意した」との見解を示したことで貿易紛争懸念が後退した。中国による米国産大豆の買い付けが期待され、大幅高となった。4月に中国が米国の106品目に対して報復関税を掛けると発表し、その中に大豆や航空機、自動車が含まれていたことが伝わった時には売られる場面があった。 大豆が強かった一方、この日の米国市場では光通信機器を手掛けるアカシア・コミュニーケーションズが続伸したものの、0.63%高で上値の重い展開となっていたのが目立った。今回の米中貿易協議では中国の通信機器大手ZTEへの制裁緩和で進展がなく、6月12日に予定されている米朝首脳会談までトランプ政権が中国との交渉材料を温存するかのような姿勢が示された。ZTEとの取引がある関連銘柄は強弱まちまちで、フィニサーが3.14%高、オクラロが1.91%高と比較的強かった一方、ネオフォトニクスは0.46%高、ルメンタム・ホールディングスは0.16%高にとどまっていた。 アカシア・コミュニケーションズと大豆先物の年初来推移(QUICK FactSet Workstationより) (片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

アイカーン氏、次の関心はエナージェン HFと共同買収検討で6%高に

21日の米株式市場で、石油・ガス会社のエナージェンが大幅高となり、71.72ドル(前日比+4.35ドル、+6.45%)で取引を終えた。 アクティビストの米ヘッジファンド、コーベックス・マネジメントと著名投資家カール・アイカーン氏は21日、エナージェンの買収に関心を示していることを明らかにした。アイカーン氏らはエナージェン株が過小評価されており、他社と共同で同社を買収することを検討する可能性を示唆した。 コーベックスの系列会社は保有するエナージェン株の200万株について、1株当たり64.84ドルでアイカーン氏の関連会社に売却することで合意した。アイカーン氏の関連会社はさらに200万株を1株当たり67.37ドルで買い増すことができ、これにより持ち株比率は最大で約4.1 %(合計400万株)となる可能性があるという。 エナージェンの2018年初からの値動き(QUICK Qr1多機能チャートより) (本吉亮) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケッ ト情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

HFが買いを増やした「F」、売りを増やした「AANG」 GS分析

ゴールドマン・サックスは18日付のリポートで、「2018年1~3月期(1Q)の期間中に買いを増やしたヘッジファンドの数が最も多かったのはフェイスブックだった」と指摘した。同社が米証券取引委員会(SEC)への届出書をもとに848のヘッジファンド(運用資産2兆3000億ドル、うちロングが1兆6000億ドルでショートが7020億ドル)を対象に調べた。それによれば、53のヘッジファンドがフェイスブックの新規の買いポジションを構築し、60のヘッジファンドが追加の買いを入れ、53のヘッジファンドは一部売却・完全売却に動いたという。 一方、売りを増やしたヘッジファンドの数が最も多かったのはアマゾン・ドットコム、次いでアップルだった。米検索大手グーグルの親会社であるアルファベットは9位、ネットフリックスは17位となっており、フェイスブックを除いてFAANG銘柄が売られやすい状況だったことが分かる。アップルに関してはiPhoneXの需要鈍化を受けて新型機種への期待も高まっていない状況だっただけに、既にヘッジファンドが買いを減らしたり、売りを増やしていたとすれば、今後の大きな混乱は見送られそうだ。   (片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

トヨタは必達目標、日本紙は努力目標? 業績予想にはクセがある

4月中旬からスタートした上場企業の2018年3月期決算の発表がほぼ終了した。決算で注目すべきポイントはいくつもあるが、その一つに前期実績が直前の会社計画を超えたのか届かなかったのかが挙げられる。一過性の場合などを除き、業績未達となった銘柄は今期も苦しく、計画以上だった銘柄は今期も勢いが続く公算が大きい。 決算と同時に発表される今期見通しも重要。業績予想が保守的なのか、努力目標なのかを見極める必要がある。 そこで会社側が期初に示した予想に対し、最終的に業績が追いついたかどうかを検証し、その企業の性格を探ってみよう。期初計画を最低限の水準として開示する保守的な企業の場合、通期での達成はもちろん、期中に幾度ともなく上方修正する傾向がある。一方、努力目標のような位置づけで期初の予想を出す企業は、期中での進捗率が芳しくなく、最終的に計画が達成できないことが多い。四半期ごとに下方修正する企業もある。 3月期決算企業で過去17期(2000~2016年度)に期初計画(営業利益ベース)を達成したかどうかを集計した。日経平均株価の採用銘柄で、10期以上の業績予想と決算の発表実績がある企業が対象だ。 達成率が9割を超える企業は、期初計画が最低ラインとみてよいだろう。このため下方修正のリスクは極めて低い。トヨタは計画未達が1回だけ。自動車メーカーは保守的な見通しを示す企業が多いが、トヨタは別格だ。2017年度は期初計画で市場予想を大幅に下回る減益見通しを示したが、その後は四半期決算ごとに上方修正した。18年度の期初予想は市場予想の平均値でありQUICKコンセンサスを上回り、ポジティブサプライズを与えたが、過去の傾向からみて今回の計画も保守的に見積もっているとみられる。 そのほか達成率の上位クラスには、東武、京王、JR東海など鉄道株が名を連ねる。鉄道運営企業は景気変動の影響を受けにくく、業績下振れリスクが低い。同様に電力・ガスも保守的で計画を上回る傾向がある。やや意外感があるのは大手ゼネコン(大成建設、清水建設)や大手不動産(住友不、三井不、三菱地所)あたりか。比較的株価の値動きは大きいが、手堅い業績予想を出すため、計画未達で終わるケースは少ない。 一方、期初計画の達成率が低い銘柄群には注意が必要だ。日本製紙は達成率が11.8%と計画未達の常連。同業の王子HDも達成した期は3割程度だ。業界大手2社がこの状況なだけに、同業他社の業績予想にも目を光らせる必要がありそうだ。 業績が堅いイメージがある日水、マルハニチロの水産2社も計画達成率が低く、2割程度。日化薬、塩野義などの製薬企業や、食品大手の日本ハムも計画未達が多い。そのほか、業績不振が続くパイオニア、NEC、板硝子なども計画未達が目立つ。価格変動や景気動向に大きく左右される電子部品でも計画未達の銘柄が散見される。カシオや京セラ、太陽誘電などの業績は下振れリスクを頭に入れておくのが賢明かもしれない。(本吉亮) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

甦るテーパー・タントラムの記憶 今度の標的はインドネシアか

よみがえる2013年5月22日の記憶ーー。現在の状況は、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的金融緩和の縮小を示唆し、市場を混乱させた「テーパー・タントラム」の時と似ている。 アジアの新興国のなかでも米ドル建ての借り入れが多いインドネシアから、外国資本が流出するとの思惑が強まっているという。背景にあるのはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の弱さだが、これまで金融緩和の姿勢をとってきたインドネシア銀行(中央銀行)のアグス・マルトワルドジョ総裁の任期が5月に満了し、「タカ派」と目されるペリー・ワルジョ副総裁が次期総裁に就くことも売り材料視されている。景気減速と通貨安のなか、新総裁は難しいかじ取りを迫られることになりそうだ。 インドネシアの長期金利の上昇(債券価格の下落、グラフ赤)は海外投資家の売りが主因と指摘されており、財政赤字拡大を懸念した米ドルへの回帰との見方が有力だ。株(グラフ緑)と債券(赤)と通貨(青)のトリプル安という、スパイラル的な売りを仕掛けるのに格好の標的となっているようだ。(丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ドル高、マネーは中小型株へ ラッセル2000が史上最高値【US Dashboard】

16日の米国市場で中小型株の指数として知られるラッセル2000(グラフ緑)が1.00%高の1616.37で終え、史上最高値を更新した。一時は1620.64まで上昇して1月24日に付けたザラ場ベースの史上最高値も更新。米長期金利の上昇が続き、ドル指数(グラフ青)が93.63まで上昇して年初来高値を更新する中、内需系の中小型株が堅調だった。 ラッセル2000とドル指数の日足チャート(QUICK Factset Workstationより) (片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米長期金利3.1%台、利上げ加速を織り込む展開に【US Dashboard】

米長期金利とFF金利先物の連動性は高い。FF先物の2020年1月物は、おおむね2019年末のFFレートと考えることができる。16日の清算値は(金利ベースで)2.77%であり、米連邦準備理事会(FRB)が3月に発表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者らによる政策金利見通し「ドットチャート」における中央値よりも低い。 16日の米債市場で10年金利は一時3.1%台に乗せたが、FF先物との関係を見る限り、この水準が高すぎるとは言えない。むしろマーケットはFRBの利上げペースの加速を織り込む動きになっている。更なる金利上昇の可能性を意識しておいた方が良さそうだ。 (池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

マジックナンバー「3.60%」 その時、マネーが動く

バンクオブアメリカ・メリルリンチは15日に定例の機関投資家調査を発表した。株式相場の上昇が続くとの見方が依然として根強いことが明らかになった。投資家の76%が株式相場はまだピークを付けていないと回答。このうち大半は「2019年かそれ以降」まで株高が続くと予想している。すでに天井を打ったとの回答は19%にとどまった。グローバルの機関投資家は現在の投資環境をどう見ているのか。調査の中に興味深い項目がいくつかあった。 ▼エネルギーと素材の配分は出遅れ 「コモディティの資産配分は8年ぶりの高水準に近い。しかし、エネルギー株と素材株の配分は出遅れたまま。その結果、年初来で多くの市場参加者には『ペイントレード』が発生している」 「石油価格が過大評価だというネットの回答比率は、先月のマイナス1%から今月はプラス21%へと22ポイントも上昇した。このネットの回答比率は、WTIの平均価格が106ドルだった2013年9月以来の高い水準になる」 ▼景気後退いつ 「年内に景気後退に陥ると予想した機関投資家は全体の2%にすぎない。景気後退入りのコンセンサス予想は2020年1~3月期ということになるが、年別に見ると、19年が41%、20年以降が43%とほぼ二分された」 「半分以上の機関投資家は、(米国で)長短金利の逆転があったとしても、来年以降の話だと考えているようだ」 ▼マジックナンバーは3.60% 「機関投資家は米10年国債利回りの3.60%が、株式から債券へのローテーションを引き起こす『マジックナンバー』と考えており、先月調査の3.50%から小幅上昇した」 ▼企業収益の改善期待はわずか 「今後12カ月で世界的な企業収益が改善すると回答したネットの比率はわずか10%となり、Brexitショック直後の低い水準に落ち込んだ。過去のパターンによれば、今後数カ月間でディフェンシブ株は景気敏感株をアウトパフォームする可能性が高い」 (岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

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