2017年の日経平均の最高値予想2万1600円台 リスク要因は「米国の経済政策を巡る混乱」(1月株式調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の1月調査を1月16日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答、調査期間は1月10~12日)。調査期間中の日経平均株価は1万9069円02銭~1万9484円90銭の範囲内で推移しました。  2017年の大発会(1月4日)の日経平均は、昨年末比479円高の1万9594円16銭と大幅な上昇となりました。大発会の上げ幅としては1996年に付けた749円(3.8%)高以来、実に21年ぶりとなる大きさです。株価上昇の主な要因は円安と堅調な米国景気です。外国為替市場で円相場が1ドル=118円台前半まで下げ幅を拡大し、輸出関連株に買いが入りました。また、トランプ次期米大統領の経済政策への期待が、米国での長期金利の上昇やドル高、株価の上昇につながりました。 しかし、トランプ次期米大統領は11日、大統領選勝利後に初の記者会見を開きましたが、市場が注目していた経済政策についてほとんど語られなかったため、失望感が広がりました。これを受け、ドル売りが加速し一時は114円25銭と2016年12月9日以来、およそ1カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けました。12日の日経平均は下げ幅が300円に迫る場面もあり、前日比229円97銭安の1万9134円70銭まで急反落しました。翌13日には外国為替相場での円高一服を受け、日経平均は買い戻しが進みましたが、今後もトランプ次期大統領の動向を注視していく必要がありそうです。 企業業績の増益予想は8割強 年間最高値予想は2万1605円  今回のアンケート調査で、2017年度の日本のGDP成長率を予想してもらったところ、実質成長率は1.15%、名目成長率は1.57%でした。また、2017年末の日米の10年国債利回りの予想は、日本国債が0.177%、米国債は2.756%でした。2017年末の為替レートの予想は、1ドル=117.2円、1ユーロ=122.8円でした。日米の長期金利の上昇を見込む向きが目立ちました。  2017年度の企業業績(金融を除く上場企業、経常利益)については、「10~20%の増益」が最多の56%、次いで「1桁の増益」が27%となり、増益の予想が8割強を占めました。  また、2017年の株式相場の予想を聞いたところ、日経平均の最高値は2万1605円で、最安値は1万7778円でした。株価が最も高くなる時期は「12月」との予想が多く、次いで多かったのは「6月」でした。高値の時期を12月と回答した平均値は2万1956円となりました。ドル高・円安進行による業績回復期待から、株価の上昇につながるという見方が、大勢を占めているようです。  半面、最も安くなる時期は「8月」で、安値の時期を8月と回答した平均値は1万7248円という結果でした。      2017年の最大のリスク要因について聞いたところ、「米国の経済政策を巡る混乱」が最も多く全体の45%を占めました。トランプ次期米大統領が5日、自身のツイッターでメキシコに新工場を建設するトヨタ自動車を批判すると、6日の東京市場でトヨタは一時、前日比3.1%まで値下がりするなど、メキシコに工場を持つ日本の大手自動車株が軒並み下落。日本の経済界には懸念が広がりました。他のリスク要因は「欧州の政治的混乱」(21%)、「為替レートの急激な変動」(10%)となりました。「当面は米新大統領の一挙手一投足と、それにともない米長期金利及び為替市場がどう動くか、ということが最大の要因であろう。その後は、欧州の政治的混乱がこれにとって代わるのでは」とみている市場関係者も多いようです。       日経平均の見通しはさらに上方シフト  1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万9395円となり、前回調査の1万8617円に比べて大幅に上方シフトしました。1カ月後の予想が1万9000円以上を付けたのは2015年12月調査以来、1年1カ月ぶりのことです。  今後6カ月程度の株価変動要因として「景気・企業業績」と回答した人が30%と最も多かったものの、トランプ政権の誕生を目前に控えて「政治・外交」(前回15%→26%)に注目する人が大きく増える一方で、「為替動向」(同28%→20%)は減少しました。  また、今後6カ月程度を想定して最も注目している投資主体としては、「企業年金・公的資金」と「事業法人」が微増したとはいえ、「外国人」が91%と圧倒的多数を占めています。  国内投資家、様子見ムードながら強気姿勢も  国内の資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、12月調査から「ややオーバーウエート」(40%→35%)と「かなりオーバーウエート」(6%→4%)が低下する一方で、「ニュートラル」(42%→44%)、「ややアンダーウエート」(8%→10%)、「かなりアンダーウエート」(4%→6%)が上昇し、現状の投資スタンスは様子見ムードが強まっているようです。  しかし、当面のスタンスについては、12月調査から「現状を維持する」が70%から64%に低下した一方、「やや引き上げる」が17%から21%、「かなり引き上げる」が2%から4%に上昇しています。企業業績の拡大期待を背景に、資産運用担当者の間には積極的な投資スタンスに転換する動きもみられました。

2017年の長期金利の上昇余地は限定的? トランプ政策や日米金融政策に注目(12月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の12月調査を1月4日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者142人が回答、調査期間は12月27~29日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りが0.035~0.060%で推移しました。 2016年は、英国のEU離脱(ブレグジット)決定やドナルド・トランプ次期米大統領の誕生など、結果が市場の事前予想に反したイベントが相次ぎました。しかし、決定直後の激震から大きな混乱が広がるのではといった不安をも覆し、市場が落ち着きを取り戻すのが早かったのも特徴的でした。米大統領選での勝利を起点とした「トランプ・ラリー」以降、日経平均株価も上昇トレンドに入っていますが、1月20日のトランプ大統領就任後の政策運営には、期待と共に不透明な要素も大きく、持続性については半信半疑という見方も多いようです。また、2017年には欧州各国の総選挙ラッシュが待っており、一時的にしても波乱を引き起こす可能性があり、日本国内の金利への影響も少なからずありそうです。 こうした状況を踏まえ、今回の特別調査では、2017年の相場見通しや有望と思われる投資対象について、債券市場関係者の見方を聞いてみました。 日本の長期金利の上昇余地は限定的? 2017年の各マーケットについて、最高値(最高利回り)、最安値(最低利回り)の予想を聞きました。ちなみに2016年12月30日時点の数字は次のようになります。 ・日本新発10年国債利回り(%)  =0.045% ・日本新発20年国債利回り(%)  =0.580% ・米国10年国債利回り(%)    =2.481% ・ドイツ10年連邦債利回り(%)  =0.175% ・日経平均株価(円)       =1万9114円37銭 ・円ドルレート(円)       =117円03~06銭 ・原油価格(WTI先物)(ドル) =53.77ドル 日本国債の10年物の最高利回りの予想は単純平均で0.178%、最低利回りはマイナス0.037%となりました。同様に日本国債の20年物はそれぞれ0.811%、0.424%、米国債は2.956%、2.182%でした。 2016年の国内の債券相場を振り返ると、日銀が1月29日の金融政策決定会合で「マイナス金利政策」の導入決定後、2月9日午前に10年物国債の金利が初の0.00%をつけ、午後にはマイナス0.010%をつけました。長期金利がゼロ%を下回るのは、スイスに次ぐ2例目です。そして、日銀は9月21日に新たに「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、金利を「ゼロ%程度」に抑えるという誘導目標を掲げました。11月15日には長らくマイナス圏にあった長期金利は、約2カ月ぶりに0.00%まで上昇し、その後プラスに転じました。しかしこれは、米大統領選でトランプ氏の勝利を受けた米金利上昇が日本などの主要国にも広がったという見方が大きいようです。2017年も海外からの上昇圧力は強いものの、日本国債の大幅な上昇は想定しがたく、再びマイナス圏への低下を予想する声も少なくないようです。 一方、米国の金利上昇の背景にあるのは、トランプ氏の積極財政路線です。成長期待や財政赤字への警戒から米金利が大幅に上昇しました。年末にかけて金利上昇は一服していますが、前述の通り、1月のトランプ大統領就任後の先行きは不透明です。政策期待が徐々に剥落することでの金利低下や、保護主義的な貿易政策による周辺諸国への影響などの警戒感もあります。低成長時代にあって利上げが加速するというシナリオも想定しづらく、金利上昇は限定的との見方が市場関係者では多いようです。 独連邦債は最高利回り予想が0.578%、最低利回りは0.073%となりました。日経平均株価は高値が2万1266円、安値は1万7290円となりました。円ドルレートは、円の高値が1ドル=108.1円、安値は123.0円の予想。原油価格(WTI先物)は高値が1バレル62.0ドル、安値は43.7ドルでした。 欧州でもポピュリズム(大衆迎合)の台頭がうかがえ、2017年に勢いを増す懸念があります。脱EUの流れがフランスなどにも広まれば、欧州発の金融不安を引き起こす不安も少なくありません。それによって、世界の相場が大きく動く可能性もあります。 原油については、11月30日にサウジアラビアがイランに歩み寄り、8年ぶりとなるOPEC(石油輸出国機構)での減産合意を受け、米国の金融市場で原油価格が急騰しました。12月にはロシア、メキシコなど非加盟産油国も原油の協調減産で一致しました。これによりさらに原油価格は急伸し、今後の原油市場の需給改善の後押しをするとみられています。また、中国をはじめとするアジア、その他の新興国・地域においても、トランプ次期米大統領の政策は、追い風にも逆風にもなるとみられています。米ドル高を受けて、アジア通貨は相対的に安くなり、輸出拡大への期待がふくらむ一方、トランプ氏の保護主義政策による世界貿易の停滞など、悪影響を指摘する声も聞かれます。他にも移民・外国人流入制限など、様々な警戒感が拭えません。 2017年のマーケット動向を占う上で、やはりトランプ次期米大統領の政策動向が鍵になるのは間違いないでしょう。インフラ投資や大幅な企業減税などを柱とする景気刺激策などの、政策の具体化という現実を見極めることになります。さらに、それが世界経済にどのような影響を及ぼすか、過激なプランが実行されるのか、現実路線に修正されるのか、こうした点が注目ポイントになりそうです。 トランプ政策の見極めで、FRBの利上げシナリオ修正を予想 米連邦準備理事会(FRB)は12月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、1年ぶりに0.25%の利上げを全会一致で決めました。同時に公表した政策金利見通しでは、2017年中に3回の利上げを中心シナリオとし、引き締めペースの加速を見込んでいると発表しました。一方、市場関係者の予想は、FRBの利上げ回数について「2回」との回答が67%で最も多数を占めました。次いで「3回」は20%となりました。 イエレン議長は会見で、トランプ次期米大統領の政策に応じ、利上げのシナリオを修正していく可能性も示唆していますので、今後もFOMCの動向に注目が高まりそうです。 2017年の日銀の金融政策の方向について聞いたところ、「現状維持」の予想が69%と大多数を占めました。「緩和縮小(引き締めも含む)」が27%、「追加緩和」は4%でした。金利をゼロ%近辺に抑える、日銀のイールドカーブコントロールが当面続くとの見方が大勢を占めているようです。 根強い先進国株への投資期待、米国債も人気 2017年に最も有望と思われる投資対象は何かを挙げてもらったところ、有効回答数137人のうち39人(28%)が「外国株(先進国)」と回答しました。次に「国内株」が37人(27%)、「米国債」が29人(21%)で続きました。先進国の株式が根強い人気ですが、債券については米国債を推す声が大勢を占めています。現時点で緩和方向にある日欧と比べて相対的に利回り水準の高い米国債は投資妙味の面でも有望な投資先とみられているようです。 海外の金利動向に引き続き注目 毎月定例の相場見通しの調査では、国内債券市場でもう一段の金利上昇観測が強まり、新発10年国債の金利見通しは、1カ月後が0.055%、3カ月後が0.063%、6カ月後が0.067%と、マイナス圏から脱した11月調査分(0.029%、0.026%、0.028%)に比べて、いずれも上昇しました。 一方、新発5年国債は、1カ月後がマイナス0.083%、3カ月後がマイナス0.080%、6カ月後がマイナス0.079%、新発2年国債は、1カ月後がマイナス0.168%、3カ月後がマイナス0.166%、6カ月後がマイナス0.161%というように、いづれもマイナス金利が継続するとの見方のようです。 今後、6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因としては、「海外金利」が11月調査分の43%から変わらず最も多くの注目を集めています。対して10月調査分では69%とダントツで注目されていた「短期金利/金融政策」は、11月調査分の42%から34%へと徐々に低下しています。 同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞いたところ、他の投資主体に比べて注目度が高い「政府・日銀のオペレーション」が最も多く、59%となりました。また、「生損保(年金除く)」の注目度もゆるやかに上昇しています。 国債組み入れ比率、「オーバーウエート」比率やや高まる ディーリング部門を除く資産運用担当者73人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、11月調査分に比べて「ニュートラル」、「ややオーバーウエート」が上昇。対して「ややアンダーウエート」が低下しました。「かなりアンダーウエート」が微増していますが、全体としては、現状維持のスタンスが多数を占めるムードだったようです。 また国内債券の組み入れ比率について、当面のスタンスとしては「かなり引き上げる」の回答比が0%、「かなり引き下げる」が2%で変わらず、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」がやや低下。やや上昇した「現状を維持する」が73%で大勢を占めました。 デュレーションについて、現在が通常の基準に比べてどのようになっているのかについては、11月調査分に比べて「やや長い」、「やや短い」が低下。「ほぼ基準通り」が上昇しています。「かなり長い」、「かなり短い」はやや上昇となりました。 当面のデュレーションについては、「現状を維持する」が82%で大勢を占めました。ポジションをいずれか一方に大きく傾けにくく、様子見ムードが強まりそうです。 (ライター・下村祥子)

トランプ米大統領でリスクオン?リスクオフ? 来年のマーケット左右する要因に(12月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の12月調査を、12月12日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は12月5~8日)。この間の為替レートは、対ドルが113円83銭~114円33銭。対ユーロが120円77銭~122円51銭でした。 トランプ氏の政策がマーケットを左右する要因に 米フェデラルファンド(FF)レートは、日本の無担保コール翌日物金利に該当するもので、米国の「政策金利」として知られています。同金利は2015年12月、それ以前の0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げられ、現在に至っています。 2017年末、2018年末におけるFF金利の水準がどの程度になると予想するか聞いたところ、2017年末時点(ターゲットレンジの中央値)は単純平均で1.07%となりました。18年末時点は同1.47%でした。 今年最後となる12月13~14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げが確実視されていますが、これを前提に考えると16年末のFFレート(ターゲットレンジの中央値)は0.625%となり、17年は0.25%の利上げを2回程度実施するとみていることになります。同様に18年も2回程度の利上げを予想している計算になります。今後も緩やかではあるものの、米政策金利は上昇傾向をたどっていくと見ているマーケット関係者が多いのが分かります。 また、2017年の金融市場でリスクオン、リスクオフにつながるきっかけについて聞いたところ、リスクオンにつながりそうな材料としては、「トランプ米大統領」が66%で断トツのトップ。次いで「米金融政策」が8%、「中国景気」が7%となりました。 一方、リスクオフにつながりそうな材料については、「欧州の政治イベント(ブレクジット、各国選挙など)」が34%でトップ。次いで「トランプ米大統領」が31%、「中国景気」が15%となりました。 2017年の欧州の政治イベントについては、3月のオランダ総選挙、4月のフランス大統領選挙、6月のフランス国民議会選挙、8~10月にかけてのドイツ連邦議会選挙と目白押し。2016年6月の英国の欧州連合(EU)離脱に関連した国民投票や、12月の憲法改正に関連したイタリア国民投票で、既成政党が否定された点からも、EUおよびユーロという単一欧州体制に対する批判勢力が大きく力を延ばす結果になれば、為替市場においてユーロ売りが加速するなど、波乱要因になる恐れがあります。 また、トランプ次期米大統領については、リスクオンでもリスクオフでも、大きな材料になるとみられています。来年1月20日以降、トランプ氏が大統領に正式就任してから打ち出される政策次第で、マーケットが大きく揺れる可能性がありそうです。 ちなみに、トランプ次期米大統領が公約に掲げる経済・金融政策や通商政策は全体としてドル円相場にどのような影響を及ぼすか聞いたところ、「円安・ドル高要因」との回答が58%と、「円高・ドル安要因」(25%)を大きく上回っています。 3大ニュースのトップは「米大統領選挙トランプ氏当選」 2017年末にかけてのドル円相場の水準予想は、単純平均で1ドル=112.33円。円の最高値予想は104.71円、最安値予想は119.68円となりました。12月にかけてドル円は115円台を付けましたが、ここから先、120円、あるいは125円という円安水準を予想する声は少ないようです。 また、2016年の3大ニュースを聞いたところ、1位が「米大統領選挙トランプ氏当選」が94%を占めました。下馬評では、ヒラリー・クリントン氏の大統領当選を、ほとんど疑っていなかっただけに、マーケットに及ぼしたインパクトも非常に大きなものになっています。 次いで「英国EU離脱」が87%。これも、当初はEU残留派が多数と見られていたものの、いざ開票してみると、EU離脱派が多数を占めており、2016年における政治リスク浮上の嚆矢となりました。これによってユーロと英ポンドが大きく売り込まれたのも記憶に新しいところです。前述したように、2017年は欧州において政治の年になるだけに、投票の行方がマーケットにどのような影響を及ぼすのか、気になるところです。 そして3位は「日銀マイナス金利政策導入」でした。より金融緩和の方向性を打ち出し、株価や為替レートに強いインパクトを与えるつもりで導入したものの、結果は目論見とは逆に走り、トランプラリーが始まる2016年11月まで株安・円高が続きました。マイナス金利の効果については賛否両論ありますが、マイナス金利の効果は乏しかったとみている市場関係者は多いようです。 政治/外交の注目度上がる ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=104円91銭に比べて大幅に円安・ドル高の113円39銭になりました。113円台になったのは9カ月ぶりのことです。ただ、6カ月後の5月末時点では112円68銭が予想されており、1カ月後の予想値に比べると円高・ドル安水準になっています。今はトランプラリーで円安・ドル高が進んでいますが、この勢いが続くのも今後の政策次第という不透明な部分があるからと考えられます。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比6ポイント上昇の29%となる一方、「当局の姿勢(介入含む)」が14ポイント低下の44%となりました。ドルについては「政治/外交」が7ポイント上昇の64%、欧州は「政治/外交」が29ポイント上昇の56%になる一方、「金利/金融政策」が12ポイント低下の38%、「物価動向」が11ポイント低下の0%になりました。ドルとユーロについては、政治が今後の動向を大きく左右することが分かる結果になっています。 市場参加者はドルに強気に ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の70%から44%へと急落する一方、「オーバーウエート」は20%から44%へと大幅に上昇しました。それだけマーケットについて強気になったということです。 また、為替ヘッジに対する当面のスタンスについては、「ヘッジ比率を上げる」が0%になったのに対し、「ヘッジ比率を下げる」が20%から33%に上昇しました。急激に円安が進んだため、市場参加者の心理が大きく変わったことが分かります。

トランプリスクからトランプラリーへ急展開 日本株に強気8割に(12月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の12月調査を12月5日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者159人が回答、調査期間は11月29~12月1日)。調査期間中の日経平均株価は1万8258円82銭~1万8746円28銭の範囲内で推移しました。 前回調査が行われた最終日の11月2日から今回調査最終日の12月1日までの日経平均と東証マザーズ指数は、次のようになりました。                11月2日     12月1日 日経平均株価・・・・・・・1万7134円68銭 ⇒1万8513円12銭 東証マザーズ指数・・・・・892.65ポイント ⇒919.98ポイント 日経平均は8.04%の上昇率でしたが、東証マザーズ指数の上昇率は3.06%にとどまりました。この間の上昇はトランプ氏の米大統領就任が決定し、トランプ・リスクから一転してトランプ・ラリーともいうべき相場展開になるなかで、為替市場でドル円が上昇。輸出関連企業の業績回復期待が高まり、主力大型株を中心に買いが入ったことで、中小型株はやや物色の圏外におかれる展開になりました。 トランプ減税による成長期待大きい 今回のアンケート調査では、トランプ氏が大統領になった際の経済やマーケットへの影響について聞きました。 まず、トランプ氏は減税と財政支出拡大によって米国の経済成長率を高めると言っていますが、今後の成長率をどう見るかについては、「一時的な成長率の押し上げにとどまる」という回答が全体の69%を占めました。次いで「成長率は持続的に高まる」が21%で、いずれにしても成長率が高まるとみる回答者が90%を占めています。対してネガティブな見方としては、「効果がない」が3%、「金利上昇で成長率が低下する」が3%、「そもそもそうした政策は実行できない」は1%にとどまっています。 トランプ氏が掲げている税制改革は、所得税率を現在の7段階から3段階に簡素化するとともに、最高税率を39.6%から25%に引き下げる、日本の相続税に該当する遺産税を廃止する、法人税の最高税率を35%から15%に引き下げ、米企業の海外留保利益に対しては税率10%にする、などを打ち出しています。 減税は、景気を刺激する効果をもたらしますが、その一方で国の税収は減り、その状況で財政を積極化すれば、財政赤字が増える恐れも生じてきます。その状態で、トランプ氏が言う積極財政を打ち出せるのかどうか、注目されます。 次に、保護主義政策についてですが、その世界経済に及ぼす影響については、見方が大きく分かれています。「先進国を含め米国との貿易が大きい国に打撃となる」が25%、「保護主義的な政策は実行できない」が21%、「米国を含めて、世界経済全体に打撃となる」が20%、「打撃はメキシコや中国など一部の新興国にとどまる」が20%です。 保護主義的な政策は実現できないか、もし実現したとしても影響は一部にとどまるとする、どちらかといえば楽観的な見方が41%、日本への影響を含めてネガティブな見方が45%となっていることから、正直、マーケット関係者の間でも日本経済への影響がどうなるのかは、まだ見切れていないというところのようです。 日本株に対しては8割が強気に トランプ氏の大統領就任後の政策で、上記の質問以外で株式市場に大きな影響を及ぼすと思われる要因としては、「金融規制の緩和」が43%、「米国の孤立主義による世界的な安全保障の不安定化」が17%、「財政赤字の拡大」が17%となりました。 今後1年間の株価動向について、地域別に予測してもらった結果は、米国が「一段と上昇」、「緩やかに上昇」を合わせて73%、「下落」が10%で、圧倒的に上昇が続くとみる向きが多数を占めています。 欧州は「横ばい」が44%で最も高く、「一段と上昇」、「緩やかに上昇」は合わせて40%。「下落」が16%を占めており、どちらかといえばやや弱気です。 新興国は見方が分かれ、「横ばい」と「下落」がそれぞれ34%、「緩やかに上昇」が31%でした。こちらも見方が分かれていますが、やや弱気です。 そして日本は、「緩やかに上昇」が55%で過半数。「一段と上昇」と合わせると80%が強気の見方をしています。 外国人投資家動向は株価にとってポジティブ 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万8614円となり、前回調査の1万7425円に比べて大きく上方にシフトしました。1カ月後の日経平均株価予想が1万8000円台に乗せたのは11カ月ぶりのことです。 円安の進行によって、企業が慎重にみていた2017年3月期決算に対する期待感が一転して高まってきています。今年に入ってから急激に円高が進み、業績に対して悲観的な見方が広まってきましたが、トランプ氏の大統領就任が決定した後、大きく円安が進んだことによって、輸出企業を中心に、業績が改善するとみられています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が若干上昇する一方、「景気・企業業績」は低下。為替動向の指数は11月調査の58.7から71.6へと大きく上昇しており、株価にとってはポジティブ要因と受け止められています。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、11月調査に対して大きな変動はみられませんでした。ただ、指数では「外国人」が59.5から71.4へと大きく上昇しており、その動向が株価にとってポジティブ要因であることが伺えます。 資産運用担当者の今後の組入はやや慎重 資産運用担当者60人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」、「ニュートラル」が低下する一方、「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」が上昇し、若干強気になったことが分かりました。 ただ、当面のスタンスについて聞くと、「現状を維持する」が大半を占めていますが、11月調査に比べると数値は低下。一方、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」、「かなり引き下げる」が上昇しており、見方が分かれました。この1カ月間の株価の上昇ピッチが急だったこともあり、市場関係者の間では若干の警戒感も浮上してきているようです。

トランプノミクスで米経済は加速? 保護主義警戒、円安持続は未知数(11月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の11月調査を11月28日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者141人が回答、調査期間は11月21~24日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがプラス0.020~プラス0.030%で推移しました。 長期金利の指標となる10年債利回りがようやくマイナス圏からプラスへと転じました。過去1カ月の金利推移は以下の通りとなりました。           10月25日  11月25日  3カ月債・・・・・▲0.349%⇒▲0.295%  1年債・・・・・▲0.295%⇒▲0.212%  5年債・・・・・▲0.199%⇒▲0.085%  10年債・・・・・▲0.064%⇒ 0.030%  15年債・・・・・・0.113%⇒ 0.210%  20年債・・・・・・0.372%⇒ 0.470%  30年債・・・・・・0.491%⇒ 0.597% 各期間において金利水準は上方シフトしたことがわかります。現状、11月30日に日銀が公表する予定の当面の長期国債買入れ方針で、買入額が減額されるかどうかに関心が集まっており、その警戒感で長期国債にはやや売り圧力が強まっています。 トランプノミクスで米経済はさらに加速? 今回の月次調査では、トランプ氏が米大統領に就任した後の米経済への影響について質問しました。 まず、トランプ氏の経済・通商・外交政策の効果とその影響について予想してもらいました。それによると、経済成長率は加速(58%)し、インフレ率も加速(77%)する半面、財政赤字は拡大(91%)し、貿易赤字は変わらず(42%)が、それぞれ最多となりました。 金融政策については影響なし(51%)で、タカ派にもハト派にも傾斜しないというイメージで受け止められていることが分かります。 その結果、米国の金融市場は2017年3月末に向けて、米国10年国債利回りは上昇(64%)、米ダウ平均株価は上昇(51%)、原油価格は横ばい(56%)との見方が多数を占めています。 トランプ氏が国内雇用を最優先に積極財政と減税政策を打ち出してくるとなれば、長期金利は上昇し、企業業績の上振れ期待から株価も上昇する可能性は高まるでしょう。すでにダウ工業株30種平均はトランプ氏の大統領就任が決定してから連日上昇しており、過去最高値を更新。節目の2万ドルも視野に入れようとしています。 日本は株高・円安・10年金利横ばいの予想 日本の金融市場はどうなるでしょうか。2017年3月末に向けての予想については、10年国債利回りが横ばい(63%)、20年国債利回りが上昇(52%)、日経平均株価は上昇(57%)、円・ドル相場は円安(50%)に向かうとみられています。 この1カ月で上昇してきた国内長期金利ですが、利回りが上昇すれば国債への買い意欲が湧き出てくるため、急激に上昇することはない、というのがマーケット関係者のコンセンサスになっています。 また、トランプ氏の大統領就任が決定した後、日経平均も上昇。円・ドル相場は1ドル=100円割れの円高になるどころか、逆に1ドル=113円台を付けるところまで円安・ドル高が進みました。こうした流れを反映した結果になっていますが、トランプ氏は基本的に保護主義的な政策を取ってくる可能性が高く、円安がどこまで続くのかは未知数です。 当面のスタンスは様子見ムード 新発10年国債の金利見通しは、10月調査分に比べて上方にシフトしました。10月調査分では、1カ月後、3カ月後、6カ月後の見通しがそれぞれマイナスでしたが、11月調査分ではいずれもプラス圏に転じています。 トランプ次期米大統領の政策を背景にして、米長期金利の上昇や株高・円安が進んだことから、日本の長期国債も上値の重い展開になりやすく、長期金利が押し上げ圧力は従来に比べ高まる可能性があると、多くのマーケット関係者はみているようです。 今後、6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因としては、「海外金利」が10月調査分の11%から43%に急上昇。対して「短期金利/金融政策」が69%から42%へと低下しました。ちなみに海外金利の指数は31.9ですから、下落要因として注目されていることになります。 今後6カ月程度を想定して注目される投資主体については、10月調査分と大きな違いはなく、都銀・信託銀行、地方銀行、生損保、外国人が微増。政府・日銀のオペレーションが下落しました。 国債組み入れ比率、「アンダーウエート」比率やや高まる また、ディーリング部門を除く資産運用担当者66人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、10月調査分に比べて「ややオーバーウエート」、「ややアンダーウエート」が上昇。対して「かなりオーバーウエート」、「ニュートラル」、「かなりアンダーウエート」が低下。全体としては「アンダーウエート」の比率が高まる結果となっています。 また国内債券の組み入れ比率について、当面のスタンスとしては、「かなり引き上げる」の回答比が0%になり、「やや引き下げる」が低下、「やや引き上げる」と「かなり引き下げる」が上昇するというように、回答にバラツキがみられています。 デュレーションについて、現在が通常の基準に比べてどのようになっているのかについては、10月調査分に比べて「やや長い」、「かなり短い」が低下。「やや短い」が大きく上昇しています。この点では、長期金利の上昇に対する警戒感が強まったと考えられます。 当面のデュレーションについては、「現状を維持する」が76%で大勢を占めました。ポジションをいずれか一方に大きく傾けにくく、様子見ムードが強まりそうです。

トランプは「大統領」を演じ切る? ドル円は「政治・外交」が左右の公算(11月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の11月調査を、11月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者69人が回答、調査期間は11月9~11日)。この間の為替レートは、対ドルが103円32銭~105円63銭。対ユーロが114円86銭~115円44銭でした。 トランプ米大統領で為替はどう動く? 世界が注目した米大統領選が終わりました。当初、民主党候補のヒラリー・クリントン氏優位と言われ、米国の名だたるメディアの世論調査でもそうなっていたのが、結果はそれを覆して、共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利しました。トランプ氏は、来年1月20日に行われる大統領就任式をもって、正式に第45代米大統領になります。 その選挙を挟み、マーケットは大きく混乱しました。特に、選挙の開票時間とほぼ同時刻に開いていた日本のマーケットは、株価・為替ともに乱高下しました。日本時間の午前中、クリントン候補優位との見方から1ドル=105円台で推移していたドル円レートは、午後になり、トランプ候補の優位がはっきりするにつれて、一気に101円台まで円高に振れ、日経平均株価は一時、前日比で1000円超下げる場面も見られました。 ところが、開票日翌日のニューヨーク市場では、「トランプ勝利ならリスクオフ」という大方の予想を裏切り、ドル買い・株高の展開に。それを受けて、日本の株式市場でも翌10日は一気に株価が大統領選挙前の水準に戻り、ドル円は107円台をつけています。 マーケットの混乱(急変動)はいつまで続くのでしょうか。今回のアンケート調査で聞いたところ、「一時的」が58%でトップ。次いで「2~3カ月」が19%で、「半年」が12%となりました。 また、マーケット関係者が気になるのは、やはり企業決算が相次ぐ来年3月の状況でしょう。主なマーケットの来年3月末時点における「安値」水準の平均値は、以下のようになりました。 ・ドル円相場・・・・・99.68円  ・日経平均株価・・・・15789.29円  ・ダウ工業株30種平均・17408.93ドル  ・NY原油・・・・・・39.50ドル いずれも安値の目途だという点には注意してください。実際、トランプ次期米大統領がどのような政策を取ってくるのかについては、来年1月20日の大統領就任式を経てみないと分かりませんが、選挙期間中におけるトランプ氏の発言内容からすれば、保護主義的な政策を取ってくる可能性は高く、その点で言えば、ドル円は円高方向に振れやすいとみられています。 仮に1ドル=100円割れの円高水準になれば、輸出企業を中心にして日本企業の業績悪化が懸念されます。14日はリスクオンの流れから日経平均は1万7600円台で推移していますが、円高が進めば当然、株価にもネガティブな影響が生じ、マーケット関係者が予想する1万5789円の安値を意識せざるを得なくなるでしょう。 12月のFOMCでの利上げの可能性は高いが… 米国については12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが行われるかどうかが焦点です。トランプ次期大統領は選挙期間中、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が共和党員ではないというだけで更迭宣言を出しており、もしそれが予定通りに行われるならば、イエレン議長としては自分自身が議長の座から降りる前に、利上げしておきたいという意識が働く可能性があります。つまり12月のFOMCは、イエレン議長が利上げを決定する限られたチャンスの一つといえます。その思惑をマーケット関係者も感じているのか、12月利上げの可能性については、81%が「利上げする」と答えました。 一方、日銀本の金融政策については特に見るべきところもなく、来年3月末までの金融政策については、「追加金融緩和なし」が84%を占めています。 また、年末(2016年12月末)および年度末(2017年3月末)のドル円について、平均値は以下のようになりました。  ・年 末(2016年12月末)=104.84円  ・年度末(2017年3月末)=105.56円 トランプ候補は保護主義的な政策も目につきますが、財政支出拡大や大幅な減税措置などにも言及しており、もし、こうした経済政策がとられるならばドル高要因との声があります。来年1月の正式就任後の政策を見極める必要はありますが、ほんの数日で「トランプショック」から「トランプ期待」へと市場ムードを激変させたトランプ氏の言動に注目せざるを得ないでしょう。ある市場関係者は「今まではトランプを演じていた彼が今度は大統領を演じ切れるか。演じ切るなら米再評価・ドル高ムードは持続する」と予想しています。 ドル、円ともに政治・外交への注目大 ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の103円26銭に比べて円安方向にシフトし、1ドル=104円91銭になりました。さらに3カ月後は1ドル=105円11銭、6カ月後は1ドル=105円42銭というように、徐々に円安方向へと進むとの予測が大半を占めています。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比で11%上昇して23%になり、「金利/金融政策」は前月比19%低下して43%になりました。また、ドルについては「政治/外交」が前月比38%上昇の57%に。一方で「金利/金融政策」が前月比35%低下して32%となっています。日米ともに政治・外交が為替レートに及ぼす影響に対する関心が高まっています。 また、向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIがプラス19に急落。ユーロはマイナス22で、弱含みの展開が予想されています。イタリアが憲法改正に関する国民投票を12月に行いますが、ここで憲法改正にノーが突き付けられると、レンツィ首相は辞任。欧州連合(EU)離脱を掲げる野党に政権が移れば、再び英国のEU離脱(=ブレクジット)の悪夢が蘇る恐れがあり、ユーロは弱いと判断されているようです。 為替の見通しは円高・円安で拮抗 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、10月に比べてアンダーウエートの比率が低下する一方、オーバーウエートが0%から20%に上昇していました。 また、為替ヘッジについて当面、どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ヘッジ比率を上げる」という回答が0%から10%に上昇するとともに「ヘッジ比率を下げる」という回答も14%から20%に上昇しました。為替レートの先行きについては、円高、円安両面の見方が拮抗しているようです。

米利上げ「12月実施」予想8割、トランプショックの混乱「一時的」の声

QUICKが現在調査中の11月のQUICK月次調査<外為>を10日までに回収した回答で臨時集計した「速報版」によると、米連邦準備理事会(FRB)が12月に「追加利上げに踏み切る」と予想する外為関係者は79%に達し、「利上げを見送る」(21%)を上回った。外為関係者35人から回答を得た。 米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、9日のアジアの金融・株式市場こそ大きく混乱したが、その後の欧米市場や10日のアジア市場は落ち着きを取り戻した。市場では「トランプ氏も大統領就任に向けて現実寄りの路線に修正していくと思われ、大きな混乱は回避される」(証券会社)との声があった。 金融・株式市場の混乱は「一時的」との回答が66% こうした見方を反映してか、金融・株式市場の混乱はいつまで続くか聞いた設問では、「一時的」との回答が66%で最多だった。次に「2~3カ月」が17%で続いた。 【米大統領選後の金融・株式市場の混乱はいつまで続くか?】 一時的   ■■■■■■■■■■■■(66%) 2~3カ月 ■■■(17%) 半年    ■(6%) 1年    (0%) 2~3年  ■(6%) それ以上  (0%) その他   ■(6%)  ただ、回答者からは「トランプ大統領へのリスクヘッジはこれから吟味しながらということになるとみる。共和党の中で分裂した政策論争が話し合いによって収斂していくのか、分裂したままで議会と対立するのかはまだ織り込めない」との慎重な声も聞かれた。 来年3月までの下値メド…ドル円は1ドル=98.94円、日経平均は1万5605円  来年3月に向けての円相場の高値(対ドル)、日経平均株価、ダウ工業株30種平均、NY原油先物の安値をどう予想するかとの質問では、単純平均でそれぞれドル円相場が1ドル=98.94円、日経平均が1万5605円、ダウ平均が1万7185ドル、NY原油は1バレル39.43ドルとなった。  正式な調査結果は11月14日に公表する予定。

「トランプ・リスク」再浮上で株式市場は様子見ムード強まる(11月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の11月調査を11月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答、調査期間は10月31~11月2日)。 前回調査が行われた最終日の10月6日から、今回調査最終日の11月2日までの日経平均株価と東証マザーズ指数は、次のようになっています。 日経平均株価・・・・・・1万6899円10銭 ⇒ 1万7134円68銭 東証マザーズ・・・・・・961.25ポイント ⇒ 892.65ポイント 円安の影響もあり、日経平均株価は比較的堅調に推移しました。主力大型株に物色の対象が移る一方、小型株の動きは弱く、東証マザーズ指数は日経平均の動きに反して、この間に7%もの下落になりました。 ただ、11月に入ってからは「トランプ・リスク」の高まりが意識され、日経平均も下げ基調です。10月28日には終値で1万7446円41銭まで上昇した日経平均ですが、11月4日には1万6905円36銭まで下落しました。8日の米大統領選挙の投開票日まで民主クリントン、共和トランプ各候補に関するニュースに金融・株式市場は振り回される公算が大きく、直前まで目が離せないところです。 企業価値の向上に向けた取り組みは「中長期戦」に 今回のアンケート調査では、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードについて調査しました。 コーポレートガバナンス・コードが制定されて2年が経過しました。現時点において、企業価値向上に向けた取り組みをどう評価するのかを聞いたところ、「将来に向けて効果が期待できる」が57%が最多となり、次に「ほとんど効果は見られない」が22%で続き、「すでに効果が出ている」は17%となりました。 スチュワードシップ・コードは制定されて3年目になり、多くの機関投資家がスチュワードシップ・コードを受け入れましたが、その評価については、「対話はまだ試行錯誤の段階だが、今後期待できる」が66%、次いで「形式的な対話にとどまり、効果が期待できない」が22%、「企業価値向上に向けた対話が活発になった」が7%でした。 コーポレートガバナンス・コードにしても、スチュワードシップ・コードにしても、その効果が発揮されるのはまだ将来的なものであり、現時点では「将来に期待する」という答えが大半を占めました。 インデックスファンドに「企業との対話」は条件付き賛成多数 また、インデックスファンドにエンゲージメント(企業との対話)を求める動きがありますが、これに対しては、「条件付き賛成(時価総額の大きい銘柄に限定など)」が45%、次いで「賛成」が28%、「反対」が26%となりました。 総じて賛成という意見が過半を占めています。欧米では、インデックスファンドでもエンゲージメントを行うケースがあるとのレポートもありますが、昨今のようにインデックスファンドのコスト削減競争が激化するなかで、運用会社が組み入れ企業に対してエンゲージメントを行うのは、コスト面で厳しいものがあります。したがって、仮にエンゲージメントを行うにしても、それは条件付きというのが現実的なところだと思われます。 なお、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードが定着すれば、中長期的に市場全体のパフォーマンス向上に寄与するかどうかについては、「寄与する」が70%で最も多く、次いで「わからない」が19%、「寄与しない」が9%という結果になりました。 政治・外交に対する関心強まる 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万7429円となり、前回調査の1万6926円から若干、上方にシフトしました。また3カ月後、6カ月後の数字を見ると、徐々に右肩上がりで、2017年4月末には1万8000円台を回復する見通しですが、今後の株価を見るうえで最大のポイントは、11月8日に行われる米大統領選挙と、その後のマーケットの動きでしょう。 民主ヒラリー・クリントン候補のメール問題が再燃し、両候補者が接戦になったことで、トランプ・リスクが再浮上。為替は円高に振れ、株価も下げました。現状、FBIはヒラリー・クリントン候補の訴追を求めないという方針を打ち出したことから、11月7日の東京市場において、株価は上昇し始めています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「政治・外交」が前回調査の5%から、今回調査では16%へと上昇しました。「景気・企業業績」は41%で変わらず。「金利動向」と「為替動向」が低下しました。政治・外交に対する関心度が上がったのは、間もなく行われる米大統領選挙の行方を見守りたいという意向が、マーケット全体に広まっているからでしょう。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、「外国人」が相変わらず高く、前回調査の83%から、今回調査では90%まで上昇しました。一方で、「個人」や「投信」、「金融法人」、「企業年金・公的年金」は微減。現時点において、国内株式市場の動向を左右する投資主体は、外国人投資家が中心になっています。 投資家は米大統領選後の動きを見守る展開? 資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前回調査に比べて低下する一方、「ややオーバーウエート」と「ややアンダーウエート」が上昇しました。 また、当面の組入スタンスとしては、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」が前回調査に比べて低下する一方、「現状を維持する」が62%から81%に上昇しています。大統領選挙後のマーケット動向について様子見ムードが強まっているようです。

日銀緩和期待は沈静化? 来年3月まで「見送り」7割超える(10月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の10月調査を10月31日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者145人が回答、調査期間は10月25~27日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.065~マイナス0.055%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、9月28日時点から10月28日時点にかけて以下の通りとなりました。         9月28日   10月28日 10年債・・・・▲0.067% ⇒▲0.045% 15年債・・・・・0.125% ⇒ 0.133% 20年債・・・・・0.359% ⇒ 0.390% 30年債・・・・・0.520% ⇒ 0.459% まだ、マイナス圏ではあるものの、10年債利回りの水準は徐々に上昇しています。全体をみると、3カ月物から40年物までのすべての期間において、前月よりも金利水準は上昇しました。また前月に引き続き、マイナス金利は10年物までとなり、15年物よりも長い金利については、プラス圏を維持しています。 米金融政策、利上げ方向もペースは「緩やか」利上げ、来年3月までに「1回」大勢 今回の特別質問では、今年度末(2017年3月末)までの日・米・欧の金融政策や債券相場について調査しました。 まず、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策をどう考えるかという質問に対しては、FRBの場合、「利上げ1回」とする回答が82%で最も多く、次いで「利上げ2回」が15%、「現状維持」が4%になり、年度内に利上げ1回とする見方が大勢を占めています。 一方、ECBについては「現状維持」と「追加緩和」がともに44%となり、「テーパリング」が9%で続きました。 米国は利上げ、欧州は緩和方向にある点からも欧米景気の強弱差がみて取れます。欧州は現状維持と追加緩和がともにトップであることから、景気の先行きに対しては弱気。対して、年度内1回とはいえ利上げを行うという回答が最も高い米国の景気は、緩やかな拡大トレンドにあるとの見方を反映していると言えます。 早期の追加緩和観測が後退 では、日銀の金融政策に対する見方はどうでしょうか。 2017年3月末までの日銀の金融政策については、最も多かった回答は「追加金融緩和なし」で74%に達しました。追加緩和を見込む回答者は「3月」の13%が最も多く、「1月」が9%で続き、「11月」は1%にとどまりました。 黒田日銀総裁が通称「黒田バズーカ」と呼ばれる量的金融緩和を行ってから3年半が経ちました。この間、日銀が市中にばらまいたマネーの量は膨大になりましたが、景気の回復力は弱く、物価もむしろデフレ傾向を強めています。 金融緩和によって得られる効果に限界がみえ始めたこともあり、もう一段の金融緩和については、時期やタイミングを考えて日銀も慎重姿勢にならざるを得ないと考えるマーケット関係者が多いようです。 また、仮に金融緩和に踏み切る場合、具体的な手段はどのようなものになるのかという点については、「マイナス金利の深堀り」が74%で最多となり、「10年金利ターゲット水準の引き下げ」が31%、「質的緩和の強化」が23%で続きました。 もう一段の金融緩和により瞬間的に円安・株高をもたらす可能性はありますが、肝心の実体経済がついていかなければ、中長期的な円安・株高は望めません。現状、金融緩和のみに頼った景気・マーケット対策は、ほぼ限界がみえてきているとの見方も増えており、実体経済を押し上げるには財政出動・規制緩和を含めた政府の対策と日銀の金融緩和を同時に進めることで相乗効果を高めることが必要なのかもしれません。 なお、2017年3月末までの日本の10年国債利回り予想については、単純平均で最高がプラス0.044%、最低がマイナス0.128%となっています。 イールドカーブ・コントロールで10年マイナス金利幅は上方修正 新発10年国債の金利見通しは、前月に引き続きマイナス金利圏にあるものの、さらに水準は上方修正されました。9月調査における1カ月後の長期金利見通しは、単純平均でマイナス0.059%でしたが、10月調査分ではマイナス0.050%になりました。同じく、3カ月後はマイナス0.051%からマイナス0.046%に、6カ月後はマイナス0.053%からマイナス0.044%に、いずれもマイナス幅が縮小しています。 9月の日銀金融政策決定会合で、10年国債利回りをゼロ%近辺に誘導する「イールドカーブ・コントロール」が導入されて以来、徐々に過度なマイナス金利が修正されており、その流れが現在も続いています。 今後、6カ月程度を想定して、最も注目される債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が8月調査の91%から9月調査に78%まで低下した流れを引き継ぎ、10月調査は69%まで低下しました。 他の要因に対する注目度は、前月に比べてそれほど大きく変わっていませんが、「海外金利」が9月調査の5%から10月調査では11%に上昇しています。また、今後6カ月の間に注目される投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が圧倒的に高く、8月調査の80%より低下しているものの、それでも10月調査で76%を維持しています。 ディーリング部門を除く資産運用担当者72人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」が低下傾向をたどっており、7月調査時点で17%だったのが、10月調査では5%まで低下しました。また「ニュートラル」も、徐々にではありますが低下傾向をたどっています。一方、「ややアンダーウエート」が32%まで上昇しています。 当面の組入比率については、「現状維持」が7月調査の82%から、10月調査では70%まで低下する一方、「やや引き下げる」が7月調査の12%から、10月調査では25%まで上昇しました。また債券のデュレーションについて、当面のスタンスとしては、「やや長くする」が前回調査に比べて低下し、「現状を維持する」が大きく上昇しました。

米大統領選挙後のドル円相場、トランプリスク後退で大きな変化なし?(10月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の10月調査を、10月17日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者71人が回答、調査期間は10月7~13日)。この間の為替レートは、対ドルが103円52銭~103円92銭。対ユーロが114円36銭~115円48銭でした。 米大統領選、クリントン候補の勝利でほぼ確定? 米国の大統領選挙まで、あと1カ月を切りました。一時は共和党ドナルド・トランプ候補の予想外の健闘ぶりに、大統領選挙レースの行方が分からなくなり、それがマーケットのかく乱要因になることもしばしばありましたが、度重なる失言、過去の不適切映像などがメディアを通じて広まり、共和党内も一枚岩ではなくなったことから、民主党ヒラリー・クリントン候補の優位性が高まってきています。 もちろん、大統領選挙なので終わるまでどうなるかはわかりませんが、少なくとも現時点において、トランプ候補が形成を逆転させ、大統領の座を射止めるのは、非常に難しいことと思われます。 今回のアンケート調査では、ヒラリー・クリントン候補とドナルド・トランプ候補のどちらが勝利すると予想しますかと質問したところ、「民主クリントン候補」との回答が90%を占めました。 マーケット関係者をはじめとして、圧倒的に多数がクリントン候補の勝利を信じているといっても良いでしょう。 では、それぞれが大統領になった時、ドル円相場にはどのような影響が及ぶのでしょうか。 まず、クリントン新大統領が誕生した場合は、「緩やかな円高圧力」が41%で、「ほぼ影響なし」が40%、「緩やかな円安圧力」が17%でした。 これに対してトランプ新大統領が誕生した場合だと、「強い円高圧力」が51%で、「緩やかな円高圧力」が43%、「緩やかな円安圧力」が4%でした。実に「円高圧力」との回答は94%に上ります。 2人の予測を比較すると、仮にトランプが大統領になった場合は、ほぼ有無も言わさずに円高圧力が強まると思われます。もちろん、現状の予想ではトランプ候補が大統領になる可能性は極めて低い状況になっていますが、「まさか」が現実になった場合は、外国為替市場において、特大のサプライズということもあり、急激に円高が進でしょう。 次に、日米の金融政策についてですが、年内、FRBが利上げを実施するかどうかについての質問は、「12月に利上げ」が81%、「11月に利上げ」が4%で、年内に利上げを実施すると見ている人の割合が圧倒的に多いことに加え、その時期は12月であることが分かります。逆に、「追加利上げなし」との回答は14%にとどまりました。 日銀の新しい金融政策の枠組み、「緩和強化・縮小」で二分 次に日銀の金融政策はどうでしょうか。9月20~21日に開催された金融政策決定会合において、日銀は長短金利を政策運営の目標とする新しい金融政策の枠組みを導入しましたが、これは金融緩和の強化・縮小のどちらを意識したものか、という質問に対しては、「金融緩和の縮小」と見る向きが54%、「金融緩和の強化」が46%で、見方が二分されています。 また、日銀の年内の金融政策については、「追加緩和なし」が89%を占めており、追加利下げはないと見る向きが大半を占めています。また少数ではありますが、年内に利下げが行われると見る人のうち、「12月に追加金融緩和」が9%、「11月に追加金融緩和」が3%という結果になりました。 そして、来年前半にかけてのドル円相場については、「円安・ドル高トレンドに転換する」が36%で、「方向感が定まらずもみ合いが続く」が34%、「円高・ドル安トレンドが続く」が27%となりました。 結果としてドル円相場の方向性について市場関係者の明確なコンセンサスは見出せませんでした。しかし、足元では1ドル=104円台まで円安・ドル高が進む場面もあり、これまでの円高・ドル安の流れにやや変化が出始めた兆しもみられます。今後のドル円については、円安トレンドへの転換も含めて相場見通しが語られる場面も増えてきそうな予感もあります。 今後の見通しは円安方向 ドル円相場については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=102円43銭に比べて円安方向にシフトし、103円26銭になりました。さらに3カ月後は104円ちょうど、6カ月後は104円28銭というように、徐々に円安方向へと進む予測が大半を占めています。 これに対してユーロ円は、1カ月後の1ユーロ=114円48銭から、3カ月後は114円30銭へと円高方向に進むという見方です。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比で12ポイント増、「景気動向」が10ポイント増になったのに対し、「金利/金融政策」が22ポイントのマイナスになりました。 ドルについては「政治/外交」が前月比で17ポイント増になった半面、「金利/金融政策」が17ポイントのマイナス。ユーロは「政治/外交」が24ポイント増になったのに対し、「金利/金融政策」が32ポイントのマイナスになりました。円、ドル、ユーロのいずれも、関心の対象は同じ傾向が顕著に表れています。 また、向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIがやや低下したものの、プラス37で他の通貨に比べて相対的に買い意欲の強い状況が続いています。豪ドルやNZドルロシアルーブルのDIもプラス幅が拡大しました。 逆に、ユーロや英ポンドDIはマイナス幅が拡大。特に英ポンドは、前回調査のマイナス18から、今回調査ではマイナス73へと、マイナス値が大幅に上昇しています。 ヘッジ比率は現状維持 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「オーバーウエート」は0%で変わらず。「ニュートラル」が88%から71%に低下する一方で「アンダーウエート」が13%から29%へと上昇しており、やや外貨投資には消極的なスタンスが見て取れます。 また為替ヘッジについて当面のスタンスを伺うと、「ヘッジ比率を上げる」という回答は0%で、「ヘッジ比率を下げる」が17%から14%に低下。「現在のヘッジ比率を維持」が83%から86%に上昇しました。外貨投資に対してはやや消極的だけれども、現状のポジションについて、ヘッジ比率を高めるほどの円高は見込んでいないことが分かります。

景況感の悲観ムード強く金融緩和は続行か 業績予想はやや下振れ(10月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の10月調査を10月11日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者159人が回答、調査期間は10月4~6日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6637~1万6971円のレンジで推移しました。9月上旬には1万7081円まで上昇したものの1万7000円が心理的な節目として意識され、手前での足踏み状態が続きました。10月に入ってからの東証1部売買代金は連日で2兆円を下回っており、積極的な売買が見送られたことが影響した面もあるようです。 一方、日経平均と比較してアウトパフォームしたのが東証マザーズ指数。前回調査が行われた最終日の9月1日から今回調査最終日の10月6日までの日経平均とマザーズ指数の騰落率をみると、日経平均がほぼ横ばいだったのに対し、マザーズ指数は5.6%の上昇を記録しました。円相場の行方などの不透明要因から大型株を見送るムードも強い中で出遅れ感が強い中小型株に個人投資家を中心に物色が向かったようです。 しかし、個人の物色意欲が高まり始めたとみられる点は相場全体にとっては明るい話といえます。外部環境の好転を背景に11日の日経平均は久しぶりに1万7000円台を付け、マザーズ指数も底堅い展開となっています。 国際比較で日本の景況感停滞が目立つ 今回のアンケート調査では、国内外の景気動向について質問しました。各国の現状について「拡大」、「堅調」、「停滞」、「後退」の4つの選択肢から選んでもらった結果は以下の通りとなりました。 また、選択肢別で、国別に最も高い回答が得られたのは、以下のようになりました。 日本・・・・・・停滞(64%) 米国・・・・・・堅調(84%) 欧州・・・・・・停滞(62%) 中国・・・・・・停滞(55%) この数字からも、世界経済は米国が一強状態であることが分かります。米国以外の国は、程度の差こそあれ、「停滞」という回答比が最も高く、なかでも日本の悲観ムードが最も深刻である点を理解しておく必要がありそうです。 日銀の金融政策もマイナス金利の深堀りこそ当面、行わない方針ですが、この景況感でおもむろに現在の金融緩和を絞るような政策は、マーケットの混乱を招く恐れがあるという点でも、避けたいところです。当面、日本の金利は底這い状態が続きそうです。 次に、日本の輸出企業の業績に影響を及ぼす為替見通しですが、2017年3月期末にかけて、ドル円がどのように推移するのかについては、「小幅な円安(105円程度)」という回答比が最も高く、全体の55%を占めました。次いで、「横ばい圏(100円程度)」が21%、「小幅な円高(95円程度)」が13%、となっています。 米国では、11月の大統領選挙を終えた後、12月の米連邦公開市場員会(FOMC)で利上げが行われるのではないかという見方が強まりつつあり、金利差の拡大からドル買い優位との見方が広がりつつあります。 今期経常益0.5%減見通し、修正の方向性は? こうしたことを受け、日経集計では前年度比0.5%減と見られている2017年3月期の経常利益について、今後どのように修正されるかを問うと、「小幅な減額修正」が50%で最も高く、次いで「小幅な増額修正」が32%、「修正なし」が12%、「大幅な減額修正」が5%、「大幅な増額修正」が1%という結果になりました。 大幅な増額修正、大幅な減額修正はいずれも極端な見方ではありますが、全体的には減額修正されるとの見方に傾いています。 また、資産別のアセットアロケーションをどう変更するかについては以下の結果となりました。 このうち、最も高かった回答は次のようになりました。 国内株式・・・・・・増加(52%) 海外株式・・・・・・変えない(48%) 国内債券・・・・・・減少(55%) 海外債券・・・・・・変えない(45%) 業績の先行き懸念は依然として根強いものの、今後のドル円相場の方向がやや円安に向かうとの見方に立てば、業績下振れをかなり織り込みつつある国内株式については比重を高めようとする動きが出てもおかしくないと言えるかもしれません。 1カ月後の日経平均見通しは「ほぼ横ばい」 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万6924円となり、前回調査の1万6935円に比べて若干の下方シフトとなりましたが、この程度の差は「ほぼ横ばい」と見て良いでしょう。 また単純平均で見ると、日経平均株価は年末にかけて1万7000円台を回復し、年度末には1万7000円台後半まで上昇することを示す数字になりました。先にも触れたように、日本の景況感については現状、悲観的なムードが強いものの、年明け以降にかけては、徐々に回復するのではないかという希望的観測が反映されています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「金利動向」、「為替動向」が前回調査に比べて低下する一方、「景気・企業業績」が32%から42%に上昇しました。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、「企業年金・公的資金」が前回調査の12%から、6%へと低下。その他は、前回調査と比べて大きな変化は見られませんでした。 株式の組み入れは「ややオーバーウエート」が上昇 資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前回調査の45%から53%に上昇しました。逆に、「ややオーバーウエート」が35%から28%に低下。「ややアンダーウエート」も14%から11%に微減となっています。 また、国内株式の組み入れ比率について、当面はどのようなスタンスで臨むのかという問いに対しては、「現状を維持する」が前回調査の71%から63%へと低下。一方、「やや引き上げる」が17%から26%へと上昇しました。26%は、過去半年の中で最も高い水準になりました。とはいえ、「現状を維持する」が63%もあるので、全体的には様子見という印象を受けます。

イールドカーブ・コントロールは金融市場の機能を阻害?(9月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の9月調査を10月3日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者143人が回答、調査期間は9月27~29日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.090~マイナス0.080%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、8月30日時点から9月30日時点にかけて以下の通りとなりました。         8月30日   9月30日 10年債・・・・▲0.019% ⇒▲0.079% 15年債・・・・・0.159% ⇒ 0.122% 20年債・・・・・0.412% ⇒ 0.359% 30年債・・・・・0.527% ⇒ 0.457% 前月に比べて金利水準は下がっているものの、マイナス金利は10年物までとなり、15年物よりも長い金利については、プラス圏になりました。一時期の、バブル化の様相を呈していた債券市場でしたが、若干の落ち着きを取り戻してきたように思えます。 イールドカーブ・コントロールは金融市場の機能を阻害? 今月の月次調査では、日銀の新しい金融政策の枠組みについて伺いました。 新しく導入された「イールドカーブ・コントロール」には、どのような効果があるかという質問に対しては、「金融市場の機能を阻害する」が47%で最も高く、次いで「年金などの長期運用にプラスの効果がある」が19%、「金融機関の収益にプラスの効果がある」が16%となりました。 イールドカーブ・コントロールとは、10年物国債の利回りを「ゼロ%程度」にすることをターゲットとして、国債の買い入れを調整していくという考え方です。これまで、10年物国債利回りは大幅なマイナス金利になっていましたが、これが金融機関の経営に及ぼす影響が懸念されていました。とはいえ、国債買い入れを止めるとなれば、マーケットは大混乱に陥るでしょう。そこで、今後も量的・質的金融緩和は行うという含みを持たせつつ、金融機関の経営状況にも配慮したのが、今回のイールドカーブ・コントロールという新しい金融政策だったのです。 一方、「(日銀は)10年物国債利回りをゼロ%程度で推移するように買い入れを行う方針を示していますが、10年国債利回りはどのように推移すると予想しますか」という問いに対しては、「おおむねマイナス圏で推移」が48%で最も高く、次いで「多少の上下の振れはあるが、おおむね安定」が36%、「0%で安定」が9%となりました。 今回の日銀金融政策の新たな枠組みについては「金融市場の機能阻害」という点で否定的な意見が目立つものの、先行きの10年債利回りの見通しをみる限り、市場参加者は日銀のイールドカーブ・コントロールを実現可能とみていることが明らかになりました。 また、「10年国債利回りが0%程度で推移した場合、超長期国債の金利はどのように推移すると予想しますか」という問いに対しては、「現状程度で安定的に推移」が35%で最も高く、次いで「現状よりフラット化」が28%、「現状よりもスティープ化」が27%でした。 10年国債の過度なマイナス金利は修正 新発10年国債の金利見通しは、前月に引き続きマイナス圏にあるものの、その水準は徐々に上方修正されています。8月調査分における1カ月後の長期金利見通しは、単純平均値でマイナス0.096%でしたが、9月調査分ではマイナス0.059%になりました。9月20~21日に開催された日銀金融政策決定会合において、これまでの金融緩和政策に関する総括が行われたのと同時に、前述したように今後の金融政策において、イールドカーブ・コントロールが導入され、10年物国債利回りをゼロ%程度になるよう買い入れを行うことを決定したため、過度なマイナス金利が修正された形です。 今後、6カ月程度を想定した時、最も注目している債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が78%で、相変わらず他の要因に比べて高い水準を維持していますが、8月調査分の91%からは低下しました。 一方、8月調査分に比べて注目度が上昇したものとしては、「景気動向」、「物価動向」、「為替動向」、「海外金利」、「債券需給」ですが、いずれも注目度のパーセンテージは低く、目下マーケットにおいては、圧倒的に短期金利の動向および金融政策がマーケット関係者の注目を一身に集めている状況です。 また同じく、今後6カ月程度を想定し、最も注目される投資主体としては、これも8月調査分に比べて、大きな変化は見られませんでした。相変わらず高いのは「政府・日銀のオペレーション」で、注目度は8月調査分に比べて1ポイント低下したものの、それでも79%であり、他の投資主体に比べて圧倒的に高い水準を維持しています。それだけ、今の債券市場は日銀が他を圧倒するビッグプレイヤーになってしまったことを意味します。 ただ、それは決して健全なマーケットとは言えない面があることを、理解しておく必要があるでしょう。 債券投資のスタンスはやや長期化 ディーリング部門を除く資産運用担当者71人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」が13%から11%に、「ニュートラル」が57%から56%へとやや低下したのに対し、「ややアンダーウエート」が23%から28%へと上昇しました。 また当面のスタンスとしては、「現状を維持する」が76%から70%に低下したのに対し、「やや引き上げる」が2%から9%に上昇しました。 債券のデュレーションについて当面のスタンスは、「現状を維持する」が73%から69%に低下。「やや長くする」が16%から23%に上昇しました。10年国債よりも長期の部分で金利は上方修正されており、利回りを確保するためにデュレーションをやや長めに取るスタンスが見えてきます。

9月日銀会合「現状維持」予想7割 マイナス金利深掘りは「円安要因」(9月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の9月調査を、9月16日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者72人が回答、調査期間は9月9~14日)。この間の為替レートは、対ドルが101円81銭~102円31銭。対ユーロが114円31銭~115円20銭でした。 9月の日銀会合、「現状維持」予想7割に 日銀が7月28~29日開催した金融政策決定会合において、上場投資信託(ETF)の買入額の増額を発表しました。これまで年間3.3兆円だったのを、ほぼ倍増の6兆円のペースで買い入れるというものです。現状、これによって円高是正に具体的に効果があったのかどうかを聞いたところ、「少しあった」が48%。次いで「全く無かった」が45%となりました。「かなりあった」は6%で、円高進行を抑えたとの見方がやや上回る結果となりました。 この発表が行われた後から現在までの株価の値動きを追うと、次のようになります。日経平均株価・・・・・・・16569.27(7/29)⇒16405.01(9/15)東証マザーズ指数・・・・・・920.40(7/29)⇒ 908.02(9/15)ドル円相場・・・・・・・・・103.61(7/29)⇒ 102.44(9/15) このように、主力大型株中心の日経平均株価も、新興株中心の東証マザーズ指数も、ETF買入額の増額が発表されてから、現在に至るまで下がっています。株安を受けてドル円相場も円高方向に増えています。 とはいえ、日経平均については、9月6日に1万7081円98銭まで上昇し、ドル円相場も一時1ドル=104円台前半にドル高・円安が進み、ETF買入額の増額による効果が全く無かったというわけでもなさそうです。 ただ、6兆円を買い入れるといっても、それを一度に買うわけではなく、1年間にわたって徐々に買っていくこと、基本的には日経平均株価に連動するETFを中心に買うことを考えると、特に個人投資家が多く参戦していると思われる小型株への影響はほとんどなく、それゆえに効果が「全く無かった」とする声が挙がるのも分かります。 一方で注目されるのが、9月20~21日にかけて開催される日銀金融政策決定会合です。ここで、これまでの金融政策について「総括的な検証」が行われることから、その中身が注目されています。今のところ「もう一段の金融緩和に含みを持たせる」ような内容になるのではないか、との見方が大勢を占めていますが、今回の会合で金融緩和が決定されるかどうかを聞いたところ、「現状維持」が68%、「追加緩和」が32%となりました。 さらに「総括的な検証」後の金融政策の枠組みについて、それぞれ最も高い回答は、量的緩和が「現状維持」で69%、質的緩和が「拡大・拡充」で51%、マイナス金利が「現状維持」で51%となりました。ただ次点を見ると、質的緩和は「現状維持」が49%、マイナス金利は「拡大」が47%となっており、1位と僅差であることから、市場の見方が二分されていると考えて良さそうです。 マイナス金利深掘り「円安圧力」、物価目標撤回は「円高圧力」に また、「総括的な検証」後の金融政策の枠組みで、仮にそれぞれの政策をとった場合のドル円に対する影響について聞いたところ、マイナス金利の深堀りは「円安圧力」が62%、「影響なし」が21%、「円高圧力」が17%。国債買い入れの実質減額による柔軟化(レンジ設定)は「円高圧力」が65%、「影響なし」が30%、「円安圧力」が6%。国債買い入れの実質増額による柔軟化(レンジ設定)は、「円安圧力」が57%、「影響なし」が31%、「円高圧力」が11%。物価目標達成時期の撤回は「影響なし」が46%、「円高圧力」が45%、「円安圧力」が8%となりました。 円はやや弱含み見通し ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の102円07銭から円安・ドル高方向にシフトし、102円43銭になりました。前月にかけて、1カ月後のドル円の見通しは3カ月連続して円高・ドル安方向にシフトしたため、目先の円高圧力が強いと思われましたが、とりあえず今月調査で円安・ドル高方向にシフトしたことにより、円高圧力はやや一服した感があります。 今後の注目点としては、米国の金利の先行きで、金利上昇ムードが強まるのかどうかということ、さらに前述したように、9月20~21日に開催される日銀金融政策決定会合において、日銀がもう一段の金融緩和姿勢を明確に打ち出してくるかどうか、ということでしょう。現状、米国の長期金利は上昇し、日銀の金融緩和期待が強いことを考慮すると、金利差からドルは買われやすい環境になります。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円はそれぞれ前月に比べて大きな変化は見られなかったものの、相変わらず「金利/金融政策」が84%と高止まり。ドルは「金利/金融政策」が前月比15%上昇して84%になり、ユーロも同じく「金利/金融政策」が前月比26%上昇して70%になりました。主要通貨については当面、金融政策の動向が注目されます。ちなみにユーロの場合、「政治/外交」が前月比25%マイナスになり、16%へと低下しました。 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIが前月調査でプラス34まで低下したものの、今月調査ではプラス41に上昇。ドル買い意欲がやや戻ってきています。ユーロもマイナス31からマイナス7まで縮小し、その他では英ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル、ブラジルレアル、中国人民元、韓国ウォン、インドルピー、ロシアルーブルなど、幅広い通貨で、対円のマイナス幅が縮小、あるいはプラスの上昇という結果になりました。これらの点から、やや円は弱含みで推移するとの見方が多いといえます。 ヘッジ比率は低下 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「オーバーウエート」が前月の25%から0%に減少する一方、「アンダーウエート」が0%から13%に上昇しました。また「ニュートラル」は75%から88%への上昇です。やや外貨の組み入れを増やす動きには一服感があったようですが、当面のスタンスとしては、「現状のヘッジ比率を維持」が100%から83%に低下し、「ヘッジ比率を下げる」が0%から17%に上昇しています。ファンドのスタンスからも当面はドル買い意欲が強まるものと思われます。

異次元緩和はデフレ脱却に効果あった? 「検証」、評価は割れる(9月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の9月調査を、9月5日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者156人が回答、調査期間は8月30~9月1日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6677円~1万6941円で推移しました。8月調査の最終日に当たる8月4日の日経平均は1万6254円、9月1日は1万6926円となり、この1カ月で4%強上昇しました。一方、同期間のマザーズ指数は逆に1%超の下落。前月に続き、物色の対象は新興株から主力大型株にシフトしたままとなりました。 薄まる金融緩和への期待感 今回のアンケートでは、9月20~21日に開催される日銀金融政策決定会合において注目されている「総括的な検証」を、株式市場関係者がどう考えているのかを聞きました。 まず、黒田日銀総裁の異次元緩和は全体としてデフレ脱却に効果があったのかどうか、との質問ですが、「効果があった」との回答は全体の42%。次いで、「効果があったともなかったとも言えない」が32%、「効果はなかった」が15%となりました。「これから出てくる」という回答比が7%あったものの、異次元緩和の効果に対する見方は、それを積極的に認める、あるいは今後に期待する回答が合わせて50%程度であることからすると、大きく見方が二分されています。 日銀としては今後、金融政策をどう運営すべきかという点については、「金融政策と財政政策との協調」が34%、「政策目標(インフレ率・期限)の修正」が29%、「現行政策の維持」と「追加緩和」が同率で14%となりました。 追加緩和を求める声は意外に少なく、これは追加緩和に対する期待感が薄らいでいることを示しています。事実、マイナス金利も含めて、ここまで金融緩和を行ってきたにも関わらず、消費者物価指数の上昇率は「生鮮食品を除く総合」で7月は前年同月比0.5%低下となり、日銀が当初、目標として掲げていた「消費者物価指数の上昇率2%」には、ほど遠い状況にあります。緩やかなインフレに転換しない限り、日本はデフレ経済から脱却したことにならず、アベノミクスも異次元緩和政策も「やるだけ無駄だった」という評価になる恐れがあります。 日銀ETF買い入れ「相場の下支え要因に」約6割 また、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れが株式市場にどのような影響を及ぼしているのかという点については、「相場の下支えになっている」が56%、次いで「市場の価格形成を歪めている」が27%で、両方の回答だけで全体の80%以上を占めました。一方、「相場全体を引き上げている」という回答比は9%に過ぎず、ETFの買い入れはあくまでも相場の下支え要因に過ぎないというのが、株式市場関係者の大方の見方のようです。 株式市場は為替や金利に左右される展開に 1カ月後の日経平均株価予想は平均値で1万6935円となり、前回調査の1万6352円から上方にシフトしました。 前述したように、国内株式市場の物色対象は、新興株から主力大型株へのシフトが続いています。その理由のひとつは、為替相場でしょう。8月半ばにかけて、1ドル=100円を割り込む水準まで円高・ドル安が進みましたが、その後は米国の景気が堅調さを増すのと同時に、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが行われるのではないかとの観測が浮上し、ドル買いムードが強まりました。9月2日には1ドル=104円台まで円安・ドル高が進み、国内株式市場においては主力大型株を中心にして、物色意欲が高まるという流れになっています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が前月調査の32%から35%に上昇。「金利動向」も6%から11%に、「海外株式・債券市場」も7%から11%に上昇しました。 逆に、「景気・企業業績」は44%から31%に低下しました。当面、株式市場は為替相場や金利、海外の株価や金利など、マーケット要因に左右される展開になるとみている株式市場関係者が増えています。 こうした環境のなか、今後、6カ月程度を想定して最も注目される投資主体としては、「外国人」が相変わらず高く、前月調査の78%から80%に上昇。「企業年金・公的資金」も10%から12%に上昇しました。逆に、8月調査分で大きく上昇した「個人」は、低下しています。 機関投資家はやや様子見姿勢に 資産運用担当者64人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、やや強気にシフトした様子が伺えます。「ニュートラル」が前月調査の49%から46%に、「ややアンダーウエート」が16%から15%に、「かなりアンダーウエート」が7%から6%に低下する一方、「ややオーバーウエート」が29%から33%に上昇したからです。 ただ、これから先の投資スタンスになると、やや慎重な姿勢が伺えます。当面、どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「やや引き上げる」が24%から17%に低下。その一方で「現状を維持する」が67%から70%に、「やや引き下げる」が7%から9%に、「かなり引き下げる」が0%から2%に上昇しています。 9月は日銀金融政策決定会合やFOMCなど、金融・株式市場に大きな影響を及ぼす日米会合が相次ぐこともあり、株式市場関係者の間でも、様子を見たいというムードが広まりそうです。

総括的検証、黒田日銀の金融政策「デフレ脱却に効果」評価割れる(8月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の8月調査を8月29日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者140人が回答、調査期間は8月23~25日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.090~マイナス0.080%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、7月26日時点から8月26日時点にかけて以下の通りとなりました。         7月26日  8月26日10年債・・・・▲0.253%⇒▲0.069%15年債・・・・▲0.027%⇒ 0.081%20年債・・・・・0.168%⇒ 0.278%30年債・・・・・0.265%⇒ 0.353% 7月にかけて、マイナス金利が一段と深堀りする動きを見せていましたが、8月は一転して水準を切り上げてきました。7月28~29日に開催された日銀金融政策決定会合で、当初期待されていたマイナス金利の深堀りや国債買い入れの増額が見送られたことから、7月前半に比べ、マイナス金利でも国債を買い進めていく動きが鈍りました。当面は、もう一段の金融緩和が行われるのかどうかという思惑によって、長期金利が上下にぶれる展開になりそうです。 注目される9月日銀会合での「総括的な検証」 次回の日銀金融政策決定会合は、9月20~21日に開催されます。ここで注目されるのが、前回の金融政策決定会合で発表された「総括的な検証」が行われることです。その内容はまだ分かりませんが、今回のアンケートでは債券市場関係者に「総括的な検証」をしてもらいました。 まず、黒田日銀総裁の異次元緩和は、全体としてデフレ脱却に効果があったのかという点を問うと、「効果があった」と「効果があったともなかったとも言えない」がともに33%でトップとなりました。次いで「効果はなかった」が20%。「かえって逆効果」という回答も6%ありました。 次に、日銀として今後、どうすべきと考えるかを聞いてみると、「現行フレームワークの一部修正」が45%で最多。次いで「新しい景気刺激フレームワークの導入」が23%が続きました。一方、「緩和政策の縮小」は14%となりました。 緩和政策の縮小という、現行の金融政策に対峙する考えも含め、現在の政策フレームワークに対して、債券市場関係者の間では見直しを求める声が強まっているようです。 そして、金融政策の運営はどのようなあり方が適切と考えるかについて問うと、「市場との対話を図って市場の期待に沿う」が66%で最多となりました。次いで「あらかじめ定量的なルールを設定し、それに従う」が13%、「その他」が13%となりました。 「その他」を具体的にみると、「金融政策の限界を十分認識したうえで、政府に政策要望」、「ルールより裁量を重視した政策運営が望ましい。市場に過度に配慮するのではなく、物価の安定がトッププライオリティであることを再認識すべき」、「物価安定目標の柔軟化、枠組みの見直し」、「市場の期待に沿う形を取らなくても良いが、対話して欲しい」といった声が挙がりました。 短期金利/金融政策への注目度が高い 新発10年国債の金利見通しは、7月調査分に比べて、マイナス水準であることに変わりはありませんが、若干上昇しました。前述したように、7月の日銀金融政策決定会合において、日銀が国債買い入れの増額に踏み込まなかったため、日銀の金融緩和政策に限界があるという見方が広まった影響が大きいとみられます。 今後、6カ月程度を想定した時、注目度で上昇したのが「短期金利/金融政策」で、7月調査の81%から、8月調査では91%まで上昇しました。一方、「債券需給」は10%から4%へと低下。日銀の国債買い入れ増額が見送られたことによって、債券市場の需給バランスが緩むとの見方を反映したものとみられます。 今後注目している投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が7月調査分の74%から、8月調査分では80%に上昇。一方で「外国人」が12%から5%に低下しました。その他の投資主体では、「都銀・信託銀行(投資勘定)」、「地方銀行」、「生損保(年金除く)」が上昇する一方、「信金・信組」、「年金資金(投資顧問含む)」、「ディーラー」が低下。「投資信託」、「農林系」、「郵貯・簡保」が0%で変わらずという結果になりました。この数字からも、現在の国内債券市場は、政府・日銀の動きに市場が支配されていることが浮き彫りになっているといえます。 債券組み入れ状況に大きな変化は見られず ディーリング部門を除く資産運用担当者71人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが現在、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、前月に比べて大きな変化はみられませんでした。「かなりオーバーウエート」は0%で変わらず。「ややオーバーウエート」が若干の低下となり、「ニュートラル」、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」が微増です。 また、今後のスタンスについては、「現状を維持する」が7月調査分の82%から76%に低下する一方、「やや引き下げる」が12%から20%に上昇しました。 現在のデュレーションは、「やや長い」が23%から31%に上昇する一方、「かなり長い」、「ほぼ基準通り」、「やや短い」、「かなり短い」が微減。当面のデュレーションについては、「やや短くする」、「かなり短くする」が微増で、「かなり長くする」、「現状を維持する」が微減。「やや長くする」が変わらずとなりました。

為替介入「95~90円」予想が3割強 外為プロに聞く

外国為替市場で円高・ドル安が進行しています。現在、1ドル=99円台後半と、節目の100円を下回る水準で推移しています。金融庁と財務省、日銀は18日午後、国際金融市場に関する3者会合を開催。日経QUICKニュースによると、財務省の浅川雅嗣財務官は会合終了後に記者団に対し、為替相場について「投機的な動きがないかどうかは絶えず注視し、もしあれば必要な対応をきっちりとると確認した」と述べた、と伝えています。 市場は「必要な対応」として政府・日銀による為替介入の実施に注目しています。QUICKが15日に公表した8月のQUICK月次調査<外為>では、日本の通貨当局はどの程度まで円高が進行すれば為替介入に動くと思うか、外為市場関係者にアンケート調査しています。 それによると、「95~90円」との回答が34%で最多となりました。次に「90~85円」が23%で続きました。「介入しない」は18%でした。 つまり、プロの8割強が1ドル=95円を下回るまで介入しない、または介入自体がない、と想定しているということです。円高・ドル安は1ドル=95円程度まで進む可能性は十分に考えられそうです。

日銀「総括的検証」は緩和予告?それとも… 9月会合は「現状維持」優勢(8月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の8月調査を、8月15日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者65人が回答、調査期間は8月8~11日)。この間の為替レートは、対ドルが101円48銭~102円42銭。対ユーロが113円07銭~113円44銭でした。 「総括的検証」後の日銀政策、緩和深掘り予想は少数派 6月28~29日開催の日銀金融政策決定会合では、マネタリーベースは現状維持、マイナス金利の深掘りも行われませんでした。唯一、変わった点は上場投資信託(ETF)買い入れ額が従来の年間3.3兆円から6兆円に倍増されたことでした。 一方、次回の日銀金融政策決定会合は9月20~21日に開催されますが、ここで日銀はこれまで実施してきた政策の「総括的な検証」を行うと発表しました。 この「総括的な検証」を巡って「追加緩和の予告」と受け止める市場関係者もいれば、「日銀の打ち手の限界を示唆」とみる関係者もいて、交錯する思惑から金融・株式市場は上下に振れる展開となりました。 外為市場関係者では、総括が行われた後の金融政策の枠組みをどうみているのでしょうか。3次元の金融緩和の行方について質問したところ、量的緩和(国債買い入れなど)については「現状維持」が59%となり、「拡大」の29%を上回りました。「縮小」は13%でした。一方、質的緩和(ETFの買い入れなど)は「現状維持」が64%となり、こちらも「拡大・拡充」(36%)を上回りました。そしてマイナス金利については「現状維持」が60%、「拡大」が31%、「縮小・撤廃」が10%という結果になりました。総じて、現状維持という回答が多数を占めていることが分かります。 9月の日銀会合、「現状維持」予想が6割 また、9月の日銀金融政策決定会合において、追加の金融緩和が行われるかどうかについて聞いたところ、「現状維持」が60%に達し、「追加緩和」の40%を上回りました。 日銀は当初、「2015年度中に2%の物価上昇を達成する」という目標を掲げていましたが、何度か先送りし、現在は「2017度中」としています。しかし、現在の消費者物価指数(CPI)は対前年同月比でマイナスが続いています。デフレ色が払拭されない中で金融緩和を縮小させる手はありませんが、問題は緩和するにしても、打ち手が無くなりつつあると市場参加者が見始めていることです。すでに、過去の歴史にみられない水準まで金融を緩和しておきながら、なかなか物価が上昇に転じない状況から考えて、果たしてここから先の金融緩和に期待できるのかどうかという疑問が浮上しつつあり、日銀としてもこの先の判断は迷うところでしょう。 FRB、年内の利上げは? 一方、先進国の中では唯一、金融政策が正常化に戻りつつある米国について、米連邦準備理事会(FRB)の年内の金融政策について聞いたところ、「12月に追加利上げ」が68%で最多となりました。次に「9月に追加利上げ」が14%で続きました。「追加利上げなし」が17%でした。 米雇用情勢の拡大など足元の経済指標は再び強めの内容も目立ち始めていますが、ダウ工業株30種平均など主要指標が相次いで最高値を更新する状況をみると、なかなか追加利上げには動けないと市場参加者はみている節があります。利上げ観測が一段と高まった場合の米国株の動きには注意が必要となりそうです。 また、NY原油相場については、6月に高値を付けたところから下落基調に転じ、一時は1バレル=40ドルを割り込みましたが、年末にかけて原油相場がどうなるのかを聞いたところ、「40ドル前後で横ばい」が53%となり、「上昇に転じる」の31%、「下値模索が続く」の16%をそれぞれ上回りました。原油相場の動向は日米の物価指標、ひいては金融政策に影響するだけに、今後も値動きに一喜一憂する展開が続くかもしれません。 年後半の円高値予想97円台 為替介入は「90~95円」レベルで実施? こうした日米金融政策やマーケット見通しを踏まえ、年後半のドル円相場の高値と安値について聞いたところ、ドル高・円安の単純平均は1ドル=108円17銭、ドル安・円高の単純平均は1ドル=97円69銭になりました。7月調査でも同じ質問をしましたが、その時はそれぞれ110円47銭、97円34銭でした。円の高値予想は97円台で同水準でしたが、安値予想は2円程度切り下がっています。低インフレが続く中で米国が追加利上げを急ぐ理由も乏しいとして、円売りには傾きづらい状況が続くとの見方が増えつつあるようです。 円高進行への警戒感が捨てきれない中、日本の通貨当局が為替介入に動くとすれば、その水準はいくらと思うか聞いた設問では、「95~90円」が34%で最も多く、次いで「90~85円」で23%、「介入しない」が18%、「100~95円」が17%となりました。 1カ月後のドル円見通しは3カ月連続で円高シフト ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=103円61銭から円高・ドル安方向にシフトし、102円07銭になりました。1カ月後の見通しが円高・ドル安方向にシフトしたのは、これで3カ月連続になり、市場関係者の間では目先、円高ムードが根強いことを示しています。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「金利/金融政策」が前月に比べ21%上昇して81%に達しました。一方、「当局の姿勢(介入含む)」が12%低下して5%に、「政治/外交」も10%低下して5%になりました。 また、米ドルは「景気動向」に対する注目度が、前月に比べて15%上昇して21%になりました。ユーロは「政治/外交」に対する注目度が、前月比で9%上昇し、41%になっています。 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIが7月調査分のプラス46からプラス34に低下。ユーロと英ポンドのDIはマイナス幅が拡大し、スイスフランやブラジルレアル、ロシアルーブル、南アフリカランドのDIは、前月のプラスからマイナスへと転じました。 想定レートの平均値はドル円が110円38銭 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「アンダーウエート」が0%になり、「ニュートラル」が前月調査の55%から75%に上昇。「オーバーウエート」は27%から25%へと低下しました。 また為替ヘッジについては、「ヘッジ比率を上げる」が前月調査の10%から0%に低下。「ヘッジ比率を下げる」も前月調査の20%から0%に低下した一方で、「現在のヘッジ比率を維持」が70%から100%に上昇しました。目先の値動きよりも、中長期的な投資戦略に則って外貨に投資しているファンドとしては、円高、円安のいずれかに大きくポジションを傾けるのではなく、当面は現在のヘッジ比率を維持しつつ様子見している状況が伺われます。 ちなみに、業績予想の前提となっている為替レートについては、「ドル/円」の平均値が1ドル=110円38銭、「ユーロ/円」の平均値が1ドル=122円50銭となっています。

ポケモンGOの任天堂に業績サプライズは? 「市場に好影響」との声7割(8月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の8月調査を、8月8日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者153人が回答、調査期間は8月2~4日)。 調査期間中の日経平均株価は、1万5921円04銭~1万6541円88銭のレンジで推移しました。7月調査を公表した7月11日の前営業日の日経平均終値は1万5106円98銭でしたが、8月5日時点の終値は1万6254円45銭となり、1カ月間で1000円超の上昇となりました。 ただ、東証マザーズ指数は逆に5%近く下落しており、日銀の追加緩和や政府の大型経済対策への期待などを背景に、株式市場は流動性の高い大型株を中心に物色される傾向が強まったことが分かります。今後の株式市場全体が盛り上がるかどうかは、個人投資家が多く参戦する中小型株にも買いの流れが波及するかどうかがポイントになりそうです。 見方分れる任天堂株への期待感 今回のアンケート調査では、一躍、社会現象にまでなった「ポケモンGO」をリリースした任天堂の業績への影響などについて聞きました。 ポケモンGOの世界的なヒットを受け、株式市場では多くの投資家が任天堂株に注目し、7月19日に3万2700円と年初来高値を付けました。しかし、7月22日に任天堂が「連結業績に与える影響は限定的」とのプレスリリースを公表すると、一転して株価は下落に転じました。7月25日にはストップ安を記録。その後もじり安基調となり、8月5日の終値は2万715円となっています。 こうした任天堂の業績を中長期的にみた場合、市場関係者はどう予想しているのかを聞いたところ、「今期会社予想(営業利益450億円)並みにとどまる」との回答が49%で最多となりました。一方、「今期会社予想より倍増(同1000億円程度)」が38%、「今期会社予想より数倍増(同2000億円~3000億円程度)」が10%となりました。 今期並みの業績予想(49%)に対し、倍増と数倍増を加えたものが48%ですから、市場関係者の見方は大きく二分していることが分かります。いまのところ、株価は「今期並み」、はたまた円高進行による業績下振れリスクを織り込んで下がっていますが、市場関係者の中には、サプライズ期待も根強く残っていることを意味しています。 気になる株価については、「今年の高値(3万2700円)を上限としたもみ合い」が50%で最も多く、次いで「すでに高値は付け、下落局面に入る」が33%、「今年の高値(3万2700円)を超えていく」が14%となりました。業績に対する期待感は根強く残っているものの、株価については今年の高値まで戻すのがせいぜいという見方のようです。 任天堂株の活況、市場に「何かしらの」好影響7割 任天堂株の活況が株式市場に及ぼす影響については、「影響なし」が28%、「好影響は『ポケモンGO』関連株だけにとどまる」が27%、「市場全体の活況につながる」が23%、「ゲーム関連株や消費関連株などに好影響を与える」が20%となっており、何かしらの好影響を及ぼすと考える市場関係者は70%を占めました。 任天堂の株価への影響は限定的でも、ポケモンGOに紐づけたビジネスを展開する企業の株価には、ポジティブな影響が生じる可能性があります。 なお、「ポケモンGO」の中核技術であるAR(拡張現実)の展開について、今後どのように予想するかについては、「消費やマーケティングの領域で幅広く活用される」が59%で最も多く、「生産や開発の現場で幅広く活用される」が27%、「ゲーム機能など一部の利用に限られる」が15%となっています。 主力大型株の見通しは強気 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万6352円となり、前回調査の1万5599円から上方シフトしました。日経平均株価については当面、主力大型株中心に物色されるとの見方があり、株価の見通しについては強気になっています。 一方、日経ジャスダック平均の1カ月後予想は2482円で、前回調査の2454円に比べて、若干の上方シフトにとどまっています。当面、個人投資家の関心が高い中小型株は、冴えない展開が続きそうなことを示唆しています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業動向」が前回調査の32%から今回は44%まで上昇。一方、「政治・外交」は9%から3%に低下しました。また、同じく今後、6カ月程度を想定して、最も注目される投資主体としては、「個人」が3%から9%に上昇。対して「外国人」が84%から78%に低下しました。 株式のウエートはやや引き上げる傾向 資産運用担当者61人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりアンダーウエート」が10%から7%に、「ややアンダーウエート」が26%から16%に低下する一方、「ややオーバーウエート」が16%から29%に上昇しました。日経平均が持ち直すなかで、比較的株式の投資比率を高めてきたことが分かります。 また、当面のスタンスについては、「現状を維持する」が67%で前回調査と変わらず。「やや引き下げる」が14%から7%に、「かなり引き下げる」が2%から0%に下がる一方、「やや引き上げる」が16%から24%に、「かなり引き上げる」が0%から2%に上昇しています。 短期的にみれば、8月はお盆休みもあり、マーケットは薄商いになりがちです。ちょっとしたニュースで株価が変動する場面もあるでしょう。ただ、政府・日銀の金融・経済対策への期待も根強く残る中で、足元の相場水準は中長期にみて仕込み場と考えている投資家も少なくないようです。

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