「トランプ・リスク」再浮上で株式市場は様子見ムード強まる(11月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の11月調査を11月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答、調査期間は10月31~11月2日)。 前回調査が行われた最終日の10月6日から、今回調査最終日の11月2日までの日経平均株価と東証マザーズ指数は、次のようになっています。 日経平均株価・・・・・・1万6899円10銭 ⇒ 1万7134円68銭 東証マザーズ・・・・・・961.25ポイント ⇒ 892.65ポイント 円安の影響もあり、日経平均株価は比較的堅調に推移しました。主力大型株に物色の対象が移る一方、小型株の動きは弱く、東証マザーズ指数は日経平均の動きに反して、この間に7%もの下落になりました。 ただ、11月に入ってからは「トランプ・リスク」の高まりが意識され、日経平均も下げ基調です。10月28日には終値で1万7446円41銭まで上昇した日経平均ですが、11月4日には1万6905円36銭まで下落しました。8日の米大統領選挙の投開票日まで民主クリントン、共和トランプ各候補に関するニュースに金融・株式市場は振り回される公算が大きく、直前まで目が離せないところです。 企業価値の向上に向けた取り組みは「中長期戦」に 今回のアンケート調査では、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードについて調査しました。 コーポレートガバナンス・コードが制定されて2年が経過しました。現時点において、企業価値向上に向けた取り組みをどう評価するのかを聞いたところ、「将来に向けて効果が期待できる」が57%が最多となり、次に「ほとんど効果は見られない」が22%で続き、「すでに効果が出ている」は17%となりました。 スチュワードシップ・コードは制定されて3年目になり、多くの機関投資家がスチュワードシップ・コードを受け入れましたが、その評価については、「対話はまだ試行錯誤の段階だが、今後期待できる」が66%、次いで「形式的な対話にとどまり、効果が期待できない」が22%、「企業価値向上に向けた対話が活発になった」が7%でした。 コーポレートガバナンス・コードにしても、スチュワードシップ・コードにしても、その効果が発揮されるのはまだ将来的なものであり、現時点では「将来に期待する」という答えが大半を占めました。 インデックスファンドに「企業との対話」は条件付き賛成多数 また、インデックスファンドにエンゲージメント(企業との対話)を求める動きがありますが、これに対しては、「条件付き賛成(時価総額の大きい銘柄に限定など)」が45%、次いで「賛成」が28%、「反対」が26%となりました。 総じて賛成という意見が過半を占めています。欧米では、インデックスファンドでもエンゲージメントを行うケースがあるとのレポートもありますが、昨今のようにインデックスファンドのコスト削減競争が激化するなかで、運用会社が組み入れ企業に対してエンゲージメントを行うのは、コスト面で厳しいものがあります。したがって、仮にエンゲージメントを行うにしても、それは条件付きというのが現実的なところだと思われます。 なお、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードが定着すれば、中長期的に市場全体のパフォーマンス向上に寄与するかどうかについては、「寄与する」が70%で最も多く、次いで「わからない」が19%、「寄与しない」が9%という結果になりました。 政治・外交に対する関心強まる 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万7429円となり、前回調査の1万6926円から若干、上方にシフトしました。また3カ月後、6カ月後の数字を見ると、徐々に右肩上がりで、2017年4月末には1万8000円台を回復する見通しですが、今後の株価を見るうえで最大のポイントは、11月8日に行われる米大統領選挙と、その後のマーケットの動きでしょう。 民主ヒラリー・クリントン候補のメール問題が再燃し、両候補者が接戦になったことで、トランプ・リスクが再浮上。為替は円高に振れ、株価も下げました。現状、FBIはヒラリー・クリントン候補の訴追を求めないという方針を打ち出したことから、11月7日の東京市場において、株価は上昇し始めています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「政治・外交」が前回調査の5%から、今回調査では16%へと上昇しました。「景気・企業業績」は41%で変わらず。「金利動向」と「為替動向」が低下しました。政治・外交に対する関心度が上がったのは、間もなく行われる米大統領選挙の行方を見守りたいという意向が、マーケット全体に広まっているからでしょう。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、「外国人」が相変わらず高く、前回調査の83%から、今回調査では90%まで上昇しました。一方で、「個人」や「投信」、「金融法人」、「企業年金・公的年金」は微減。現時点において、国内株式市場の動向を左右する投資主体は、外国人投資家が中心になっています。 投資家は米大統領選後の動きを見守る展開? 資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前回調査に比べて低下する一方、「ややオーバーウエート」と「ややアンダーウエート」が上昇しました。 また、当面の組入スタンスとしては、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」が前回調査に比べて低下する一方、「現状を維持する」が62%から81%に上昇しています。大統領選挙後のマーケット動向について様子見ムードが強まっているようです。

日銀緩和期待は沈静化? 来年3月まで「見送り」7割超える(10月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の10月調査を10月31日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者145人が回答、調査期間は10月25~27日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.065~マイナス0.055%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、9月28日時点から10月28日時点にかけて以下の通りとなりました。         9月28日   10月28日 10年債・・・・▲0.067% ⇒▲0.045% 15年債・・・・・0.125% ⇒ 0.133% 20年債・・・・・0.359% ⇒ 0.390% 30年債・・・・・0.520% ⇒ 0.459% まだ、マイナス圏ではあるものの、10年債利回りの水準は徐々に上昇しています。全体をみると、3カ月物から40年物までのすべての期間において、前月よりも金利水準は上昇しました。また前月に引き続き、マイナス金利は10年物までとなり、15年物よりも長い金利については、プラス圏を維持しています。 米金融政策、利上げ方向もペースは「緩やか」利上げ、来年3月までに「1回」大勢 今回の特別質問では、今年度末(2017年3月末)までの日・米・欧の金融政策や債券相場について調査しました。 まず、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策をどう考えるかという質問に対しては、FRBの場合、「利上げ1回」とする回答が82%で最も多く、次いで「利上げ2回」が15%、「現状維持」が4%になり、年度内に利上げ1回とする見方が大勢を占めています。 一方、ECBについては「現状維持」と「追加緩和」がともに44%となり、「テーパリング」が9%で続きました。 米国は利上げ、欧州は緩和方向にある点からも欧米景気の強弱差がみて取れます。欧州は現状維持と追加緩和がともにトップであることから、景気の先行きに対しては弱気。対して、年度内1回とはいえ利上げを行うという回答が最も高い米国の景気は、緩やかな拡大トレンドにあるとの見方を反映していると言えます。 早期の追加緩和観測が後退 では、日銀の金融政策に対する見方はどうでしょうか。 2017年3月末までの日銀の金融政策については、最も多かった回答は「追加金融緩和なし」で74%に達しました。追加緩和を見込む回答者は「3月」の13%が最も多く、「1月」が9%で続き、「11月」は1%にとどまりました。 黒田日銀総裁が通称「黒田バズーカ」と呼ばれる量的金融緩和を行ってから3年半が経ちました。この間、日銀が市中にばらまいたマネーの量は膨大になりましたが、景気の回復力は弱く、物価もむしろデフレ傾向を強めています。 金融緩和によって得られる効果に限界がみえ始めたこともあり、もう一段の金融緩和については、時期やタイミングを考えて日銀も慎重姿勢にならざるを得ないと考えるマーケット関係者が多いようです。 また、仮に金融緩和に踏み切る場合、具体的な手段はどのようなものになるのかという点については、「マイナス金利の深堀り」が74%で最多となり、「10年金利ターゲット水準の引き下げ」が31%、「質的緩和の強化」が23%で続きました。 もう一段の金融緩和により瞬間的に円安・株高をもたらす可能性はありますが、肝心の実体経済がついていかなければ、中長期的な円安・株高は望めません。現状、金融緩和のみに頼った景気・マーケット対策は、ほぼ限界がみえてきているとの見方も増えており、実体経済を押し上げるには財政出動・規制緩和を含めた政府の対策と日銀の金融緩和を同時に進めることで相乗効果を高めることが必要なのかもしれません。 なお、2017年3月末までの日本の10年国債利回り予想については、単純平均で最高がプラス0.044%、最低がマイナス0.128%となっています。 イールドカーブ・コントロールで10年マイナス金利幅は上方修正 新発10年国債の金利見通しは、前月に引き続きマイナス金利圏にあるものの、さらに水準は上方修正されました。9月調査における1カ月後の長期金利見通しは、単純平均でマイナス0.059%でしたが、10月調査分ではマイナス0.050%になりました。同じく、3カ月後はマイナス0.051%からマイナス0.046%に、6カ月後はマイナス0.053%からマイナス0.044%に、いずれもマイナス幅が縮小しています。 9月の日銀金融政策決定会合で、10年国債利回りをゼロ%近辺に誘導する「イールドカーブ・コントロール」が導入されて以来、徐々に過度なマイナス金利が修正されており、その流れが現在も続いています。 今後、6カ月程度を想定して、最も注目される債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が8月調査の91%から9月調査に78%まで低下した流れを引き継ぎ、10月調査は69%まで低下しました。 他の要因に対する注目度は、前月に比べてそれほど大きく変わっていませんが、「海外金利」が9月調査の5%から10月調査では11%に上昇しています。また、今後6カ月の間に注目される投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が圧倒的に高く、8月調査の80%より低下しているものの、それでも10月調査で76%を維持しています。 ディーリング部門を除く資産運用担当者72人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」が低下傾向をたどっており、7月調査時点で17%だったのが、10月調査では5%まで低下しました。また「ニュートラル」も、徐々にではありますが低下傾向をたどっています。一方、「ややアンダーウエート」が32%まで上昇しています。 当面の組入比率については、「現状維持」が7月調査の82%から、10月調査では70%まで低下する一方、「やや引き下げる」が7月調査の12%から、10月調査では25%まで上昇しました。また債券のデュレーションについて、当面のスタンスとしては、「やや長くする」が前回調査に比べて低下し、「現状を維持する」が大きく上昇しました。

米大統領選挙後のドル円相場、トランプリスク後退で大きな変化なし?(10月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の10月調査を、10月17日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者71人が回答、調査期間は10月7~13日)。この間の為替レートは、対ドルが103円52銭~103円92銭。対ユーロが114円36銭~115円48銭でした。 米大統領選、クリントン候補の勝利でほぼ確定? 米国の大統領選挙まで、あと1カ月を切りました。一時は共和党ドナルド・トランプ候補の予想外の健闘ぶりに、大統領選挙レースの行方が分からなくなり、それがマーケットのかく乱要因になることもしばしばありましたが、度重なる失言、過去の不適切映像などがメディアを通じて広まり、共和党内も一枚岩ではなくなったことから、民主党ヒラリー・クリントン候補の優位性が高まってきています。 もちろん、大統領選挙なので終わるまでどうなるかはわかりませんが、少なくとも現時点において、トランプ候補が形成を逆転させ、大統領の座を射止めるのは、非常に難しいことと思われます。 今回のアンケート調査では、ヒラリー・クリントン候補とドナルド・トランプ候補のどちらが勝利すると予想しますかと質問したところ、「民主クリントン候補」との回答が90%を占めました。 マーケット関係者をはじめとして、圧倒的に多数がクリントン候補の勝利を信じているといっても良いでしょう。 では、それぞれが大統領になった時、ドル円相場にはどのような影響が及ぶのでしょうか。 まず、クリントン新大統領が誕生した場合は、「緩やかな円高圧力」が41%で、「ほぼ影響なし」が40%、「緩やかな円安圧力」が17%でした。 これに対してトランプ新大統領が誕生した場合だと、「強い円高圧力」が51%で、「緩やかな円高圧力」が43%、「緩やかな円安圧力」が4%でした。実に「円高圧力」との回答は94%に上ります。 2人の予測を比較すると、仮にトランプが大統領になった場合は、ほぼ有無も言わさずに円高圧力が強まると思われます。もちろん、現状の予想ではトランプ候補が大統領になる可能性は極めて低い状況になっていますが、「まさか」が現実になった場合は、外国為替市場において、特大のサプライズということもあり、急激に円高が進でしょう。 次に、日米の金融政策についてですが、年内、FRBが利上げを実施するかどうかについての質問は、「12月に利上げ」が81%、「11月に利上げ」が4%で、年内に利上げを実施すると見ている人の割合が圧倒的に多いことに加え、その時期は12月であることが分かります。逆に、「追加利上げなし」との回答は14%にとどまりました。 日銀の新しい金融政策の枠組み、「緩和強化・縮小」で二分 次に日銀の金融政策はどうでしょうか。9月20~21日に開催された金融政策決定会合において、日銀は長短金利を政策運営の目標とする新しい金融政策の枠組みを導入しましたが、これは金融緩和の強化・縮小のどちらを意識したものか、という質問に対しては、「金融緩和の縮小」と見る向きが54%、「金融緩和の強化」が46%で、見方が二分されています。 また、日銀の年内の金融政策については、「追加緩和なし」が89%を占めており、追加利下げはないと見る向きが大半を占めています。また少数ではありますが、年内に利下げが行われると見る人のうち、「12月に追加金融緩和」が9%、「11月に追加金融緩和」が3%という結果になりました。 そして、来年前半にかけてのドル円相場については、「円安・ドル高トレンドに転換する」が36%で、「方向感が定まらずもみ合いが続く」が34%、「円高・ドル安トレンドが続く」が27%となりました。 結果としてドル円相場の方向性について市場関係者の明確なコンセンサスは見出せませんでした。しかし、足元では1ドル=104円台まで円安・ドル高が進む場面もあり、これまでの円高・ドル安の流れにやや変化が出始めた兆しもみられます。今後のドル円については、円安トレンドへの転換も含めて相場見通しが語られる場面も増えてきそうな予感もあります。 今後の見通しは円安方向 ドル円相場については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=102円43銭に比べて円安方向にシフトし、103円26銭になりました。さらに3カ月後は104円ちょうど、6カ月後は104円28銭というように、徐々に円安方向へと進む予測が大半を占めています。 これに対してユーロ円は、1カ月後の1ユーロ=114円48銭から、3カ月後は114円30銭へと円高方向に進むという見方です。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比で12ポイント増、「景気動向」が10ポイント増になったのに対し、「金利/金融政策」が22ポイントのマイナスになりました。 ドルについては「政治/外交」が前月比で17ポイント増になった半面、「金利/金融政策」が17ポイントのマイナス。ユーロは「政治/外交」が24ポイント増になったのに対し、「金利/金融政策」が32ポイントのマイナスになりました。円、ドル、ユーロのいずれも、関心の対象は同じ傾向が顕著に表れています。 また、向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIがやや低下したものの、プラス37で他の通貨に比べて相対的に買い意欲の強い状況が続いています。豪ドルやNZドルロシアルーブルのDIもプラス幅が拡大しました。 逆に、ユーロや英ポンドDIはマイナス幅が拡大。特に英ポンドは、前回調査のマイナス18から、今回調査ではマイナス73へと、マイナス値が大幅に上昇しています。 ヘッジ比率は現状維持 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「オーバーウエート」は0%で変わらず。「ニュートラル」が88%から71%に低下する一方で「アンダーウエート」が13%から29%へと上昇しており、やや外貨投資には消極的なスタンスが見て取れます。 また為替ヘッジについて当面のスタンスを伺うと、「ヘッジ比率を上げる」という回答は0%で、「ヘッジ比率を下げる」が17%から14%に低下。「現在のヘッジ比率を維持」が83%から86%に上昇しました。外貨投資に対してはやや消極的だけれども、現状のポジションについて、ヘッジ比率を高めるほどの円高は見込んでいないことが分かります。

景況感の悲観ムード強く金融緩和は続行か 業績予想はやや下振れ(10月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の10月調査を10月11日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者159人が回答、調査期間は10月4~6日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6637~1万6971円のレンジで推移しました。9月上旬には1万7081円まで上昇したものの1万7000円が心理的な節目として意識され、手前での足踏み状態が続きました。10月に入ってからの東証1部売買代金は連日で2兆円を下回っており、積極的な売買が見送られたことが影響した面もあるようです。 一方、日経平均と比較してアウトパフォームしたのが東証マザーズ指数。前回調査が行われた最終日の9月1日から今回調査最終日の10月6日までの日経平均とマザーズ指数の騰落率をみると、日経平均がほぼ横ばいだったのに対し、マザーズ指数は5.6%の上昇を記録しました。円相場の行方などの不透明要因から大型株を見送るムードも強い中で出遅れ感が強い中小型株に個人投資家を中心に物色が向かったようです。 しかし、個人の物色意欲が高まり始めたとみられる点は相場全体にとっては明るい話といえます。外部環境の好転を背景に11日の日経平均は久しぶりに1万7000円台を付け、マザーズ指数も底堅い展開となっています。 国際比較で日本の景況感停滞が目立つ 今回のアンケート調査では、国内外の景気動向について質問しました。各国の現状について「拡大」、「堅調」、「停滞」、「後退」の4つの選択肢から選んでもらった結果は以下の通りとなりました。 また、選択肢別で、国別に最も高い回答が得られたのは、以下のようになりました。 日本・・・・・・停滞(64%) 米国・・・・・・堅調(84%) 欧州・・・・・・停滞(62%) 中国・・・・・・停滞(55%) この数字からも、世界経済は米国が一強状態であることが分かります。米国以外の国は、程度の差こそあれ、「停滞」という回答比が最も高く、なかでも日本の悲観ムードが最も深刻である点を理解しておく必要がありそうです。 日銀の金融政策もマイナス金利の深堀りこそ当面、行わない方針ですが、この景況感でおもむろに現在の金融緩和を絞るような政策は、マーケットの混乱を招く恐れがあるという点でも、避けたいところです。当面、日本の金利は底這い状態が続きそうです。 次に、日本の輸出企業の業績に影響を及ぼす為替見通しですが、2017年3月期末にかけて、ドル円がどのように推移するのかについては、「小幅な円安(105円程度)」という回答比が最も高く、全体の55%を占めました。次いで、「横ばい圏(100円程度)」が21%、「小幅な円高(95円程度)」が13%、となっています。 米国では、11月の大統領選挙を終えた後、12月の米連邦公開市場員会(FOMC)で利上げが行われるのではないかという見方が強まりつつあり、金利差の拡大からドル買い優位との見方が広がりつつあります。 今期経常益0.5%減見通し、修正の方向性は? こうしたことを受け、日経集計では前年度比0.5%減と見られている2017年3月期の経常利益について、今後どのように修正されるかを問うと、「小幅な減額修正」が50%で最も高く、次いで「小幅な増額修正」が32%、「修正なし」が12%、「大幅な減額修正」が5%、「大幅な増額修正」が1%という結果になりました。 大幅な増額修正、大幅な減額修正はいずれも極端な見方ではありますが、全体的には減額修正されるとの見方に傾いています。 また、資産別のアセットアロケーションをどう変更するかについては以下の結果となりました。 このうち、最も高かった回答は次のようになりました。 国内株式・・・・・・増加(52%) 海外株式・・・・・・変えない(48%) 国内債券・・・・・・減少(55%) 海外債券・・・・・・変えない(45%) 業績の先行き懸念は依然として根強いものの、今後のドル円相場の方向がやや円安に向かうとの見方に立てば、業績下振れをかなり織り込みつつある国内株式については比重を高めようとする動きが出てもおかしくないと言えるかもしれません。 1カ月後の日経平均見通しは「ほぼ横ばい」 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万6924円となり、前回調査の1万6935円に比べて若干の下方シフトとなりましたが、この程度の差は「ほぼ横ばい」と見て良いでしょう。 また単純平均で見ると、日経平均株価は年末にかけて1万7000円台を回復し、年度末には1万7000円台後半まで上昇することを示す数字になりました。先にも触れたように、日本の景況感については現状、悲観的なムードが強いものの、年明け以降にかけては、徐々に回復するのではないかという希望的観測が反映されています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「金利動向」、「為替動向」が前回調査に比べて低下する一方、「景気・企業業績」が32%から42%に上昇しました。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、「企業年金・公的資金」が前回調査の12%から、6%へと低下。その他は、前回調査と比べて大きな変化は見られませんでした。 株式の組み入れは「ややオーバーウエート」が上昇 資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前回調査の45%から53%に上昇しました。逆に、「ややオーバーウエート」が35%から28%に低下。「ややアンダーウエート」も14%から11%に微減となっています。 また、国内株式の組み入れ比率について、当面はどのようなスタンスで臨むのかという問いに対しては、「現状を維持する」が前回調査の71%から63%へと低下。一方、「やや引き上げる」が17%から26%へと上昇しました。26%は、過去半年の中で最も高い水準になりました。とはいえ、「現状を維持する」が63%もあるので、全体的には様子見という印象を受けます。

イールドカーブ・コントロールは金融市場の機能を阻害?(9月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の9月調査を10月3日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者143人が回答、調査期間は9月27~29日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.090~マイナス0.080%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、8月30日時点から9月30日時点にかけて以下の通りとなりました。         8月30日   9月30日 10年債・・・・▲0.019% ⇒▲0.079% 15年債・・・・・0.159% ⇒ 0.122% 20年債・・・・・0.412% ⇒ 0.359% 30年債・・・・・0.527% ⇒ 0.457% 前月に比べて金利水準は下がっているものの、マイナス金利は10年物までとなり、15年物よりも長い金利については、プラス圏になりました。一時期の、バブル化の様相を呈していた債券市場でしたが、若干の落ち着きを取り戻してきたように思えます。 イールドカーブ・コントロールは金融市場の機能を阻害? 今月の月次調査では、日銀の新しい金融政策の枠組みについて伺いました。 新しく導入された「イールドカーブ・コントロール」には、どのような効果があるかという質問に対しては、「金融市場の機能を阻害する」が47%で最も高く、次いで「年金などの長期運用にプラスの効果がある」が19%、「金融機関の収益にプラスの効果がある」が16%となりました。 イールドカーブ・コントロールとは、10年物国債の利回りを「ゼロ%程度」にすることをターゲットとして、国債の買い入れを調整していくという考え方です。これまで、10年物国債利回りは大幅なマイナス金利になっていましたが、これが金融機関の経営に及ぼす影響が懸念されていました。とはいえ、国債買い入れを止めるとなれば、マーケットは大混乱に陥るでしょう。そこで、今後も量的・質的金融緩和は行うという含みを持たせつつ、金融機関の経営状況にも配慮したのが、今回のイールドカーブ・コントロールという新しい金融政策だったのです。 一方、「(日銀は)10年物国債利回りをゼロ%程度で推移するように買い入れを行う方針を示していますが、10年国債利回りはどのように推移すると予想しますか」という問いに対しては、「おおむねマイナス圏で推移」が48%で最も高く、次いで「多少の上下の振れはあるが、おおむね安定」が36%、「0%で安定」が9%となりました。 今回の日銀金融政策の新たな枠組みについては「金融市場の機能阻害」という点で否定的な意見が目立つものの、先行きの10年債利回りの見通しをみる限り、市場参加者は日銀のイールドカーブ・コントロールを実現可能とみていることが明らかになりました。 また、「10年国債利回りが0%程度で推移した場合、超長期国債の金利はどのように推移すると予想しますか」という問いに対しては、「現状程度で安定的に推移」が35%で最も高く、次いで「現状よりフラット化」が28%、「現状よりもスティープ化」が27%でした。 10年国債の過度なマイナス金利は修正 新発10年国債の金利見通しは、前月に引き続きマイナス圏にあるものの、その水準は徐々に上方修正されています。8月調査分における1カ月後の長期金利見通しは、単純平均値でマイナス0.096%でしたが、9月調査分ではマイナス0.059%になりました。9月20~21日に開催された日銀金融政策決定会合において、これまでの金融緩和政策に関する総括が行われたのと同時に、前述したように今後の金融政策において、イールドカーブ・コントロールが導入され、10年物国債利回りをゼロ%程度になるよう買い入れを行うことを決定したため、過度なマイナス金利が修正された形です。 今後、6カ月程度を想定した時、最も注目している債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が78%で、相変わらず他の要因に比べて高い水準を維持していますが、8月調査分の91%からは低下しました。 一方、8月調査分に比べて注目度が上昇したものとしては、「景気動向」、「物価動向」、「為替動向」、「海外金利」、「債券需給」ですが、いずれも注目度のパーセンテージは低く、目下マーケットにおいては、圧倒的に短期金利の動向および金融政策がマーケット関係者の注目を一身に集めている状況です。 また同じく、今後6カ月程度を想定し、最も注目される投資主体としては、これも8月調査分に比べて、大きな変化は見られませんでした。相変わらず高いのは「政府・日銀のオペレーション」で、注目度は8月調査分に比べて1ポイント低下したものの、それでも79%であり、他の投資主体に比べて圧倒的に高い水準を維持しています。それだけ、今の債券市場は日銀が他を圧倒するビッグプレイヤーになってしまったことを意味します。 ただ、それは決して健全なマーケットとは言えない面があることを、理解しておく必要があるでしょう。 債券投資のスタンスはやや長期化 ディーリング部門を除く資産運用担当者71人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」が13%から11%に、「ニュートラル」が57%から56%へとやや低下したのに対し、「ややアンダーウエート」が23%から28%へと上昇しました。 また当面のスタンスとしては、「現状を維持する」が76%から70%に低下したのに対し、「やや引き上げる」が2%から9%に上昇しました。 債券のデュレーションについて当面のスタンスは、「現状を維持する」が73%から69%に低下。「やや長くする」が16%から23%に上昇しました。10年国債よりも長期の部分で金利は上方修正されており、利回りを確保するためにデュレーションをやや長めに取るスタンスが見えてきます。

9月日銀会合「現状維持」予想7割 マイナス金利深掘りは「円安要因」(9月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の9月調査を、9月16日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者72人が回答、調査期間は9月9~14日)。この間の為替レートは、対ドルが101円81銭~102円31銭。対ユーロが114円31銭~115円20銭でした。 9月の日銀会合、「現状維持」予想7割に 日銀が7月28~29日開催した金融政策決定会合において、上場投資信託(ETF)の買入額の増額を発表しました。これまで年間3.3兆円だったのを、ほぼ倍増の6兆円のペースで買い入れるというものです。現状、これによって円高是正に具体的に効果があったのかどうかを聞いたところ、「少しあった」が48%。次いで「全く無かった」が45%となりました。「かなりあった」は6%で、円高進行を抑えたとの見方がやや上回る結果となりました。 この発表が行われた後から現在までの株価の値動きを追うと、次のようになります。日経平均株価・・・・・・・16569.27(7/29)⇒16405.01(9/15)東証マザーズ指数・・・・・・920.40(7/29)⇒ 908.02(9/15)ドル円相場・・・・・・・・・103.61(7/29)⇒ 102.44(9/15) このように、主力大型株中心の日経平均株価も、新興株中心の東証マザーズ指数も、ETF買入額の増額が発表されてから、現在に至るまで下がっています。株安を受けてドル円相場も円高方向に増えています。 とはいえ、日経平均については、9月6日に1万7081円98銭まで上昇し、ドル円相場も一時1ドル=104円台前半にドル高・円安が進み、ETF買入額の増額による効果が全く無かったというわけでもなさそうです。 ただ、6兆円を買い入れるといっても、それを一度に買うわけではなく、1年間にわたって徐々に買っていくこと、基本的には日経平均株価に連動するETFを中心に買うことを考えると、特に個人投資家が多く参戦していると思われる小型株への影響はほとんどなく、それゆえに効果が「全く無かった」とする声が挙がるのも分かります。 一方で注目されるのが、9月20~21日にかけて開催される日銀金融政策決定会合です。ここで、これまでの金融政策について「総括的な検証」が行われることから、その中身が注目されています。今のところ「もう一段の金融緩和に含みを持たせる」ような内容になるのではないか、との見方が大勢を占めていますが、今回の会合で金融緩和が決定されるかどうかを聞いたところ、「現状維持」が68%、「追加緩和」が32%となりました。 さらに「総括的な検証」後の金融政策の枠組みについて、それぞれ最も高い回答は、量的緩和が「現状維持」で69%、質的緩和が「拡大・拡充」で51%、マイナス金利が「現状維持」で51%となりました。ただ次点を見ると、質的緩和は「現状維持」が49%、マイナス金利は「拡大」が47%となっており、1位と僅差であることから、市場の見方が二分されていると考えて良さそうです。 マイナス金利深掘り「円安圧力」、物価目標撤回は「円高圧力」に また、「総括的な検証」後の金融政策の枠組みで、仮にそれぞれの政策をとった場合のドル円に対する影響について聞いたところ、マイナス金利の深堀りは「円安圧力」が62%、「影響なし」が21%、「円高圧力」が17%。国債買い入れの実質減額による柔軟化(レンジ設定)は「円高圧力」が65%、「影響なし」が30%、「円安圧力」が6%。国債買い入れの実質増額による柔軟化(レンジ設定)は、「円安圧力」が57%、「影響なし」が31%、「円高圧力」が11%。物価目標達成時期の撤回は「影響なし」が46%、「円高圧力」が45%、「円安圧力」が8%となりました。 円はやや弱含み見通し ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の102円07銭から円安・ドル高方向にシフトし、102円43銭になりました。前月にかけて、1カ月後のドル円の見通しは3カ月連続して円高・ドル安方向にシフトしたため、目先の円高圧力が強いと思われましたが、とりあえず今月調査で円安・ドル高方向にシフトしたことにより、円高圧力はやや一服した感があります。 今後の注目点としては、米国の金利の先行きで、金利上昇ムードが強まるのかどうかということ、さらに前述したように、9月20~21日に開催される日銀金融政策決定会合において、日銀がもう一段の金融緩和姿勢を明確に打ち出してくるかどうか、ということでしょう。現状、米国の長期金利は上昇し、日銀の金融緩和期待が強いことを考慮すると、金利差からドルは買われやすい環境になります。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円はそれぞれ前月に比べて大きな変化は見られなかったものの、相変わらず「金利/金融政策」が84%と高止まり。ドルは「金利/金融政策」が前月比15%上昇して84%になり、ユーロも同じく「金利/金融政策」が前月比26%上昇して70%になりました。主要通貨については当面、金融政策の動向が注目されます。ちなみにユーロの場合、「政治/外交」が前月比25%マイナスになり、16%へと低下しました。 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIが前月調査でプラス34まで低下したものの、今月調査ではプラス41に上昇。ドル買い意欲がやや戻ってきています。ユーロもマイナス31からマイナス7まで縮小し、その他では英ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル、ブラジルレアル、中国人民元、韓国ウォン、インドルピー、ロシアルーブルなど、幅広い通貨で、対円のマイナス幅が縮小、あるいはプラスの上昇という結果になりました。これらの点から、やや円は弱含みで推移するとの見方が多いといえます。 ヘッジ比率は低下 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「オーバーウエート」が前月の25%から0%に減少する一方、「アンダーウエート」が0%から13%に上昇しました。また「ニュートラル」は75%から88%への上昇です。やや外貨の組み入れを増やす動きには一服感があったようですが、当面のスタンスとしては、「現状のヘッジ比率を維持」が100%から83%に低下し、「ヘッジ比率を下げる」が0%から17%に上昇しています。ファンドのスタンスからも当面はドル買い意欲が強まるものと思われます。

異次元緩和はデフレ脱却に効果あった? 「検証」、評価は割れる(9月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の9月調査を、9月5日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者156人が回答、調査期間は8月30~9月1日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6677円~1万6941円で推移しました。8月調査の最終日に当たる8月4日の日経平均は1万6254円、9月1日は1万6926円となり、この1カ月で4%強上昇しました。一方、同期間のマザーズ指数は逆に1%超の下落。前月に続き、物色の対象は新興株から主力大型株にシフトしたままとなりました。 薄まる金融緩和への期待感 今回のアンケートでは、9月20~21日に開催される日銀金融政策決定会合において注目されている「総括的な検証」を、株式市場関係者がどう考えているのかを聞きました。 まず、黒田日銀総裁の異次元緩和は全体としてデフレ脱却に効果があったのかどうか、との質問ですが、「効果があった」との回答は全体の42%。次いで、「効果があったともなかったとも言えない」が32%、「効果はなかった」が15%となりました。「これから出てくる」という回答比が7%あったものの、異次元緩和の効果に対する見方は、それを積極的に認める、あるいは今後に期待する回答が合わせて50%程度であることからすると、大きく見方が二分されています。 日銀としては今後、金融政策をどう運営すべきかという点については、「金融政策と財政政策との協調」が34%、「政策目標(インフレ率・期限)の修正」が29%、「現行政策の維持」と「追加緩和」が同率で14%となりました。 追加緩和を求める声は意外に少なく、これは追加緩和に対する期待感が薄らいでいることを示しています。事実、マイナス金利も含めて、ここまで金融緩和を行ってきたにも関わらず、消費者物価指数の上昇率は「生鮮食品を除く総合」で7月は前年同月比0.5%低下となり、日銀が当初、目標として掲げていた「消費者物価指数の上昇率2%」には、ほど遠い状況にあります。緩やかなインフレに転換しない限り、日本はデフレ経済から脱却したことにならず、アベノミクスも異次元緩和政策も「やるだけ無駄だった」という評価になる恐れがあります。 日銀ETF買い入れ「相場の下支え要因に」約6割 また、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れが株式市場にどのような影響を及ぼしているのかという点については、「相場の下支えになっている」が56%、次いで「市場の価格形成を歪めている」が27%で、両方の回答だけで全体の80%以上を占めました。一方、「相場全体を引き上げている」という回答比は9%に過ぎず、ETFの買い入れはあくまでも相場の下支え要因に過ぎないというのが、株式市場関係者の大方の見方のようです。 株式市場は為替や金利に左右される展開に 1カ月後の日経平均株価予想は平均値で1万6935円となり、前回調査の1万6352円から上方にシフトしました。 前述したように、国内株式市場の物色対象は、新興株から主力大型株へのシフトが続いています。その理由のひとつは、為替相場でしょう。8月半ばにかけて、1ドル=100円を割り込む水準まで円高・ドル安が進みましたが、その後は米国の景気が堅調さを増すのと同時に、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが行われるのではないかとの観測が浮上し、ドル買いムードが強まりました。9月2日には1ドル=104円台まで円安・ドル高が進み、国内株式市場においては主力大型株を中心にして、物色意欲が高まるという流れになっています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が前月調査の32%から35%に上昇。「金利動向」も6%から11%に、「海外株式・債券市場」も7%から11%に上昇しました。 逆に、「景気・企業業績」は44%から31%に低下しました。当面、株式市場は為替相場や金利、海外の株価や金利など、マーケット要因に左右される展開になるとみている株式市場関係者が増えています。 こうした環境のなか、今後、6カ月程度を想定して最も注目される投資主体としては、「外国人」が相変わらず高く、前月調査の78%から80%に上昇。「企業年金・公的資金」も10%から12%に上昇しました。逆に、8月調査分で大きく上昇した「個人」は、低下しています。 機関投資家はやや様子見姿勢に 資産運用担当者64人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、やや強気にシフトした様子が伺えます。「ニュートラル」が前月調査の49%から46%に、「ややアンダーウエート」が16%から15%に、「かなりアンダーウエート」が7%から6%に低下する一方、「ややオーバーウエート」が29%から33%に上昇したからです。 ただ、これから先の投資スタンスになると、やや慎重な姿勢が伺えます。当面、どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「やや引き上げる」が24%から17%に低下。その一方で「現状を維持する」が67%から70%に、「やや引き下げる」が7%から9%に、「かなり引き下げる」が0%から2%に上昇しています。 9月は日銀金融政策決定会合やFOMCなど、金融・株式市場に大きな影響を及ぼす日米会合が相次ぐこともあり、株式市場関係者の間でも、様子を見たいというムードが広まりそうです。

総括的検証、黒田日銀の金融政策「デフレ脱却に効果」評価割れる(8月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の8月調査を8月29日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者140人が回答、調査期間は8月23~25日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.090~マイナス0.080%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、7月26日時点から8月26日時点にかけて以下の通りとなりました。         7月26日  8月26日10年債・・・・▲0.253%⇒▲0.069%15年債・・・・▲0.027%⇒ 0.081%20年債・・・・・0.168%⇒ 0.278%30年債・・・・・0.265%⇒ 0.353% 7月にかけて、マイナス金利が一段と深堀りする動きを見せていましたが、8月は一転して水準を切り上げてきました。7月28~29日に開催された日銀金融政策決定会合で、当初期待されていたマイナス金利の深堀りや国債買い入れの増額が見送られたことから、7月前半に比べ、マイナス金利でも国債を買い進めていく動きが鈍りました。当面は、もう一段の金融緩和が行われるのかどうかという思惑によって、長期金利が上下にぶれる展開になりそうです。 注目される9月日銀会合での「総括的な検証」 次回の日銀金融政策決定会合は、9月20~21日に開催されます。ここで注目されるのが、前回の金融政策決定会合で発表された「総括的な検証」が行われることです。その内容はまだ分かりませんが、今回のアンケートでは債券市場関係者に「総括的な検証」をしてもらいました。 まず、黒田日銀総裁の異次元緩和は、全体としてデフレ脱却に効果があったのかという点を問うと、「効果があった」と「効果があったともなかったとも言えない」がともに33%でトップとなりました。次いで「効果はなかった」が20%。「かえって逆効果」という回答も6%ありました。 次に、日銀として今後、どうすべきと考えるかを聞いてみると、「現行フレームワークの一部修正」が45%で最多。次いで「新しい景気刺激フレームワークの導入」が23%が続きました。一方、「緩和政策の縮小」は14%となりました。 緩和政策の縮小という、現行の金融政策に対峙する考えも含め、現在の政策フレームワークに対して、債券市場関係者の間では見直しを求める声が強まっているようです。 そして、金融政策の運営はどのようなあり方が適切と考えるかについて問うと、「市場との対話を図って市場の期待に沿う」が66%で最多となりました。次いで「あらかじめ定量的なルールを設定し、それに従う」が13%、「その他」が13%となりました。 「その他」を具体的にみると、「金融政策の限界を十分認識したうえで、政府に政策要望」、「ルールより裁量を重視した政策運営が望ましい。市場に過度に配慮するのではなく、物価の安定がトッププライオリティであることを再認識すべき」、「物価安定目標の柔軟化、枠組みの見直し」、「市場の期待に沿う形を取らなくても良いが、対話して欲しい」といった声が挙がりました。 短期金利/金融政策への注目度が高い 新発10年国債の金利見通しは、7月調査分に比べて、マイナス水準であることに変わりはありませんが、若干上昇しました。前述したように、7月の日銀金融政策決定会合において、日銀が国債買い入れの増額に踏み込まなかったため、日銀の金融緩和政策に限界があるという見方が広まった影響が大きいとみられます。 今後、6カ月程度を想定した時、注目度で上昇したのが「短期金利/金融政策」で、7月調査の81%から、8月調査では91%まで上昇しました。一方、「債券需給」は10%から4%へと低下。日銀の国債買い入れ増額が見送られたことによって、債券市場の需給バランスが緩むとの見方を反映したものとみられます。 今後注目している投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が7月調査分の74%から、8月調査分では80%に上昇。一方で「外国人」が12%から5%に低下しました。その他の投資主体では、「都銀・信託銀行(投資勘定)」、「地方銀行」、「生損保(年金除く)」が上昇する一方、「信金・信組」、「年金資金(投資顧問含む)」、「ディーラー」が低下。「投資信託」、「農林系」、「郵貯・簡保」が0%で変わらずという結果になりました。この数字からも、現在の国内債券市場は、政府・日銀の動きに市場が支配されていることが浮き彫りになっているといえます。 債券組み入れ状況に大きな変化は見られず ディーリング部門を除く資産運用担当者71人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが現在、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、前月に比べて大きな変化はみられませんでした。「かなりオーバーウエート」は0%で変わらず。「ややオーバーウエート」が若干の低下となり、「ニュートラル」、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」が微増です。 また、今後のスタンスについては、「現状を維持する」が7月調査分の82%から76%に低下する一方、「やや引き下げる」が12%から20%に上昇しました。 現在のデュレーションは、「やや長い」が23%から31%に上昇する一方、「かなり長い」、「ほぼ基準通り」、「やや短い」、「かなり短い」が微減。当面のデュレーションについては、「やや短くする」、「かなり短くする」が微増で、「かなり長くする」、「現状を維持する」が微減。「やや長くする」が変わらずとなりました。

為替介入「95~90円」予想が3割強 外為プロに聞く

外国為替市場で円高・ドル安が進行しています。現在、1ドル=99円台後半と、節目の100円を下回る水準で推移しています。金融庁と財務省、日銀は18日午後、国際金融市場に関する3者会合を開催。日経QUICKニュースによると、財務省の浅川雅嗣財務官は会合終了後に記者団に対し、為替相場について「投機的な動きがないかどうかは絶えず注視し、もしあれば必要な対応をきっちりとると確認した」と述べた、と伝えています。 市場は「必要な対応」として政府・日銀による為替介入の実施に注目しています。QUICKが15日に公表した8月のQUICK月次調査<外為>では、日本の通貨当局はどの程度まで円高が進行すれば為替介入に動くと思うか、外為市場関係者にアンケート調査しています。 それによると、「95~90円」との回答が34%で最多となりました。次に「90~85円」が23%で続きました。「介入しない」は18%でした。 つまり、プロの8割強が1ドル=95円を下回るまで介入しない、または介入自体がない、と想定しているということです。円高・ドル安は1ドル=95円程度まで進む可能性は十分に考えられそうです。

日銀「総括的検証」は緩和予告?それとも… 9月会合は「現状維持」優勢(8月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の8月調査を、8月15日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者65人が回答、調査期間は8月8~11日)。この間の為替レートは、対ドルが101円48銭~102円42銭。対ユーロが113円07銭~113円44銭でした。 「総括的検証」後の日銀政策、緩和深掘り予想は少数派 6月28~29日開催の日銀金融政策決定会合では、マネタリーベースは現状維持、マイナス金利の深掘りも行われませんでした。唯一、変わった点は上場投資信託(ETF)買い入れ額が従来の年間3.3兆円から6兆円に倍増されたことでした。 一方、次回の日銀金融政策決定会合は9月20~21日に開催されますが、ここで日銀はこれまで実施してきた政策の「総括的な検証」を行うと発表しました。 この「総括的な検証」を巡って「追加緩和の予告」と受け止める市場関係者もいれば、「日銀の打ち手の限界を示唆」とみる関係者もいて、交錯する思惑から金融・株式市場は上下に振れる展開となりました。 外為市場関係者では、総括が行われた後の金融政策の枠組みをどうみているのでしょうか。3次元の金融緩和の行方について質問したところ、量的緩和(国債買い入れなど)については「現状維持」が59%となり、「拡大」の29%を上回りました。「縮小」は13%でした。一方、質的緩和(ETFの買い入れなど)は「現状維持」が64%となり、こちらも「拡大・拡充」(36%)を上回りました。そしてマイナス金利については「現状維持」が60%、「拡大」が31%、「縮小・撤廃」が10%という結果になりました。総じて、現状維持という回答が多数を占めていることが分かります。 9月の日銀会合、「現状維持」予想が6割 また、9月の日銀金融政策決定会合において、追加の金融緩和が行われるかどうかについて聞いたところ、「現状維持」が60%に達し、「追加緩和」の40%を上回りました。 日銀は当初、「2015年度中に2%の物価上昇を達成する」という目標を掲げていましたが、何度か先送りし、現在は「2017度中」としています。しかし、現在の消費者物価指数(CPI)は対前年同月比でマイナスが続いています。デフレ色が払拭されない中で金融緩和を縮小させる手はありませんが、問題は緩和するにしても、打ち手が無くなりつつあると市場参加者が見始めていることです。すでに、過去の歴史にみられない水準まで金融を緩和しておきながら、なかなか物価が上昇に転じない状況から考えて、果たしてここから先の金融緩和に期待できるのかどうかという疑問が浮上しつつあり、日銀としてもこの先の判断は迷うところでしょう。 FRB、年内の利上げは? 一方、先進国の中では唯一、金融政策が正常化に戻りつつある米国について、米連邦準備理事会(FRB)の年内の金融政策について聞いたところ、「12月に追加利上げ」が68%で最多となりました。次に「9月に追加利上げ」が14%で続きました。「追加利上げなし」が17%でした。 米雇用情勢の拡大など足元の経済指標は再び強めの内容も目立ち始めていますが、ダウ工業株30種平均など主要指標が相次いで最高値を更新する状況をみると、なかなか追加利上げには動けないと市場参加者はみている節があります。利上げ観測が一段と高まった場合の米国株の動きには注意が必要となりそうです。 また、NY原油相場については、6月に高値を付けたところから下落基調に転じ、一時は1バレル=40ドルを割り込みましたが、年末にかけて原油相場がどうなるのかを聞いたところ、「40ドル前後で横ばい」が53%となり、「上昇に転じる」の31%、「下値模索が続く」の16%をそれぞれ上回りました。原油相場の動向は日米の物価指標、ひいては金融政策に影響するだけに、今後も値動きに一喜一憂する展開が続くかもしれません。 年後半の円高値予想97円台 為替介入は「90~95円」レベルで実施? こうした日米金融政策やマーケット見通しを踏まえ、年後半のドル円相場の高値と安値について聞いたところ、ドル高・円安の単純平均は1ドル=108円17銭、ドル安・円高の単純平均は1ドル=97円69銭になりました。7月調査でも同じ質問をしましたが、その時はそれぞれ110円47銭、97円34銭でした。円の高値予想は97円台で同水準でしたが、安値予想は2円程度切り下がっています。低インフレが続く中で米国が追加利上げを急ぐ理由も乏しいとして、円売りには傾きづらい状況が続くとの見方が増えつつあるようです。 円高進行への警戒感が捨てきれない中、日本の通貨当局が為替介入に動くとすれば、その水準はいくらと思うか聞いた設問では、「95~90円」が34%で最も多く、次いで「90~85円」で23%、「介入しない」が18%、「100~95円」が17%となりました。 1カ月後のドル円見通しは3カ月連続で円高シフト ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=103円61銭から円高・ドル安方向にシフトし、102円07銭になりました。1カ月後の見通しが円高・ドル安方向にシフトしたのは、これで3カ月連続になり、市場関係者の間では目先、円高ムードが根強いことを示しています。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「金利/金融政策」が前月に比べ21%上昇して81%に達しました。一方、「当局の姿勢(介入含む)」が12%低下して5%に、「政治/外交」も10%低下して5%になりました。 また、米ドルは「景気動向」に対する注目度が、前月に比べて15%上昇して21%になりました。ユーロは「政治/外交」に対する注目度が、前月比で9%上昇し、41%になっています。 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIが7月調査分のプラス46からプラス34に低下。ユーロと英ポンドのDIはマイナス幅が拡大し、スイスフランやブラジルレアル、ロシアルーブル、南アフリカランドのDIは、前月のプラスからマイナスへと転じました。 想定レートの平均値はドル円が110円38銭 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「アンダーウエート」が0%になり、「ニュートラル」が前月調査の55%から75%に上昇。「オーバーウエート」は27%から25%へと低下しました。 また為替ヘッジについては、「ヘッジ比率を上げる」が前月調査の10%から0%に低下。「ヘッジ比率を下げる」も前月調査の20%から0%に低下した一方で、「現在のヘッジ比率を維持」が70%から100%に上昇しました。目先の値動きよりも、中長期的な投資戦略に則って外貨に投資しているファンドとしては、円高、円安のいずれかに大きくポジションを傾けるのではなく、当面は現在のヘッジ比率を維持しつつ様子見している状況が伺われます。 ちなみに、業績予想の前提となっている為替レートについては、「ドル/円」の平均値が1ドル=110円38銭、「ユーロ/円」の平均値が1ドル=122円50銭となっています。

ポケモンGOの任天堂に業績サプライズは? 「市場に好影響」との声7割(8月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の8月調査を、8月8日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者153人が回答、調査期間は8月2~4日)。 調査期間中の日経平均株価は、1万5921円04銭~1万6541円88銭のレンジで推移しました。7月調査を公表した7月11日の前営業日の日経平均終値は1万5106円98銭でしたが、8月5日時点の終値は1万6254円45銭となり、1カ月間で1000円超の上昇となりました。 ただ、東証マザーズ指数は逆に5%近く下落しており、日銀の追加緩和や政府の大型経済対策への期待などを背景に、株式市場は流動性の高い大型株を中心に物色される傾向が強まったことが分かります。今後の株式市場全体が盛り上がるかどうかは、個人投資家が多く参戦する中小型株にも買いの流れが波及するかどうかがポイントになりそうです。 見方分れる任天堂株への期待感 今回のアンケート調査では、一躍、社会現象にまでなった「ポケモンGO」をリリースした任天堂の業績への影響などについて聞きました。 ポケモンGOの世界的なヒットを受け、株式市場では多くの投資家が任天堂株に注目し、7月19日に3万2700円と年初来高値を付けました。しかし、7月22日に任天堂が「連結業績に与える影響は限定的」とのプレスリリースを公表すると、一転して株価は下落に転じました。7月25日にはストップ安を記録。その後もじり安基調となり、8月5日の終値は2万715円となっています。 こうした任天堂の業績を中長期的にみた場合、市場関係者はどう予想しているのかを聞いたところ、「今期会社予想(営業利益450億円)並みにとどまる」との回答が49%で最多となりました。一方、「今期会社予想より倍増(同1000億円程度)」が38%、「今期会社予想より数倍増(同2000億円~3000億円程度)」が10%となりました。 今期並みの業績予想(49%)に対し、倍増と数倍増を加えたものが48%ですから、市場関係者の見方は大きく二分していることが分かります。いまのところ、株価は「今期並み」、はたまた円高進行による業績下振れリスクを織り込んで下がっていますが、市場関係者の中には、サプライズ期待も根強く残っていることを意味しています。 気になる株価については、「今年の高値(3万2700円)を上限としたもみ合い」が50%で最も多く、次いで「すでに高値は付け、下落局面に入る」が33%、「今年の高値(3万2700円)を超えていく」が14%となりました。業績に対する期待感は根強く残っているものの、株価については今年の高値まで戻すのがせいぜいという見方のようです。 任天堂株の活況、市場に「何かしらの」好影響7割 任天堂株の活況が株式市場に及ぼす影響については、「影響なし」が28%、「好影響は『ポケモンGO』関連株だけにとどまる」が27%、「市場全体の活況につながる」が23%、「ゲーム関連株や消費関連株などに好影響を与える」が20%となっており、何かしらの好影響を及ぼすと考える市場関係者は70%を占めました。 任天堂の株価への影響は限定的でも、ポケモンGOに紐づけたビジネスを展開する企業の株価には、ポジティブな影響が生じる可能性があります。 なお、「ポケモンGO」の中核技術であるAR(拡張現実)の展開について、今後どのように予想するかについては、「消費やマーケティングの領域で幅広く活用される」が59%で最も多く、「生産や開発の現場で幅広く活用される」が27%、「ゲーム機能など一部の利用に限られる」が15%となっています。 主力大型株の見通しは強気 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万6352円となり、前回調査の1万5599円から上方シフトしました。日経平均株価については当面、主力大型株中心に物色されるとの見方があり、株価の見通しについては強気になっています。 一方、日経ジャスダック平均の1カ月後予想は2482円で、前回調査の2454円に比べて、若干の上方シフトにとどまっています。当面、個人投資家の関心が高い中小型株は、冴えない展開が続きそうなことを示唆しています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業動向」が前回調査の32%から今回は44%まで上昇。一方、「政治・外交」は9%から3%に低下しました。また、同じく今後、6カ月程度を想定して、最も注目される投資主体としては、「個人」が3%から9%に上昇。対して「外国人」が84%から78%に低下しました。 株式のウエートはやや引き上げる傾向 資産運用担当者61人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりアンダーウエート」が10%から7%に、「ややアンダーウエート」が26%から16%に低下する一方、「ややオーバーウエート」が16%から29%に上昇しました。日経平均が持ち直すなかで、比較的株式の投資比率を高めてきたことが分かります。 また、当面のスタンスについては、「現状を維持する」が67%で前回調査と変わらず。「やや引き下げる」が14%から7%に、「かなり引き下げる」が2%から0%に下がる一方、「やや引き上げる」が16%から24%に、「かなり引き上げる」が0%から2%に上昇しています。 短期的にみれば、8月はお盆休みもあり、マーケットは薄商いになりがちです。ちょっとしたニュースで株価が変動する場面もあるでしょう。ただ、政府・日銀の金融・経済対策への期待も根強く残る中で、足元の相場水準は中長期にみて仕込み場と考えている投資家も少なくないようです。

ヘリマネ導入「8割」が反対 過度な円安など副作用を懸念(7月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の7月調査を7月27日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者130人が回答、調査期間は7月22~26日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.245~マイナス0.225%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、前月に比べてマイナス金利は10年物までが深堀されましたが、15年物は同じマイナス域でも若干浅めになり、20年物以降は高めになっています。 具体的に6月末時点から7月26日時点までの数字を示すと以下の通りとなります。10年債・・・・▲0.221%⇒▲0.253%15年債・・・・▲0.086%⇒▲0.027%20年債・・・・・0.044%⇒ 0.168%30年債・・・・・0.058%⇒ 0.265% 直近で気になるのが、7月28~29日に開催される日銀金融政策決定会合において、もう一段の量的・質的金融緩和と、マイナス金利の深堀が行われるかどうかということです。株式市場の値動きをみると、追加金融緩和を織り込みに行く展開ですが、一方で日銀がバズーカを撃てる回数は限られるという見方もあります。仮に後者だとしたら、バズーカの「撃ち惜しみ」をすることも考えられます。いずれにしても、週末にかけては、日銀の金融政策決定会合および27~28日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定内容をめぐり、マーケットは神経質な動きになりそうです。 ヘリマネは「円安」「物価上昇」を導く? 今回のアンケート調査では「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」について質問しました。 まず、金融政策におけるヘリコプターマネーとは何か、という点について質問したところ、「財政支出拡大のための永久国債を日銀が引き受ける」が49%で最多となり、次いで「財政拡大と日銀の国債買入れ増額が同時に行われる」が16%、「財政支出のための利付国債を日銀が引き受ける」が14%という結果になりました。 償還期限のない永久国債を日銀が引き受ければ、確かに資金のバラマキにはつながるものの、一方では財政ファイナンスそのものとの反対意見も噴出する可能性があり、その実現可能性は難しいところがありそうです。 また、ヘリコプターマネーの効果については、「円安」との回答が71%に上りました。次に「物価上昇」が55%、「株高」が29%と続き、肝心の「経済活性化」は27%でした。 本来、金融政策は最終的に経済活性化を目的にしていますが、それがわずか27%でしかないのが皮肉な話です。 副作用が大きい?ヘリマネ 逆に、ヘリコプターマネーの副作用は何かとの問いでは、「財政規律の弛緩」が85%で断トツのトップ。次いで「過度な円安」が51%、「国債価格の暴落」と「外貨調達コストの上昇」が同率で44%となりました。 アベノミクスの政策は、過度な円高を修正することで、デフレ経済から脱却するというものでしたが、最も大事なことは、その間に企業業績が改善され、賃金が引き上げられることにあります。その流れが進まないなかでヘリコプターマネーがばらまかれると、逆に副作用だけが強調され、特に株式市場にとってはネガティブな影響を及ぼす恐れがあります。 なお、ヘリコプターマネーの導入に賛成かどうかを聞くと、実に77%の回答者が「反対」という結果になりました。 目先、マイナス金利の深堀は一服か? 新発10年国債の金利見通しは、6月調査に比べて若干の低下となり、マイナス金利の深堀がもう一段進むという見通しになりました。ただ、6月調査での12月見通しがマイナス0.204%で、7月調査での2017年1月見通しが同じマイナス0.204%となり、若干、足元よりも先の金利については、マイナス金利の深堀が一服するムードが強まっています。 実際、新発20年物国債の金利見通しについては、1カ月後、3カ月後、6カ月後のいずれの見通しにおいても、6月調査に比べて7月調査の方が金利は高くなっています。ただ、それも28~29日に行われる日銀金融政策決定会合においてどのような金融政策が打ち出されるのか次第という面はあります。 今後、6カ月程度を想定した時、注目度で上昇したのが「短期金利/金融政策」で、6月調査の74%から7月調査では80%に上昇。指数は78.4なので「短期金利/金融政策」は債券相場にとってポジティブ材料と受け止められています。 また注目する投資主体としては、6月調査に比べて大きな動きはなく、指数にも大きな変化はみられませんでした。 資産運用担当者の債券見通しはまだ強気 ディーリング部門を除く資産運用担当者64人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが現在、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が6月調査の63%から57%に低下する一方、「ややオーバーウエート」が13%から18%に上昇、「かなりアンダーウエート」が2%から6%に上昇しました。デュレーションからみると、債券についてはまだ強気の見方が多いようです。 現在のデュレーションは、「やや長い」が28%から22%に低下する一方、「やや短い」が16%から20%に上昇しましたが、当面のスタンスについて聞くと、「現状を維持する」が73%から75%に微増し、「やや短くする」が11%から3%に大幅低下。一方で「かなり長くする」が2%から3%に微増し、「やや長くする」が13%から17%に上昇しました。

英ポンド、反転には「EU離脱撤回」が最善との声も…(7月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の7月調査を、7月19日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者76人が回答、調査期間は7月11~14日)。この間の為替レートは、対ドルが101円89銭~104円21銭。対ユーロが112円33銭~115円11銭でした。 英ポンド、本格反転には時間? 英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)を決定した結果、英ポンドは主要国通貨に対して大きく下げました。国民投票の結果が出る前日6月23日の英ポンド/米ドルは1英ポンド=1.4867ドルでしたが、その後、一時1.2ドル台後半に下落しました。7月18日時点では1.32452ドルにやや戻していますが、安値圏での攻防が続いています。 年内に英ポンドはどの水準まで下落する可能性があると思うか聞いたところ、単純平均で1.216ドルとなりました。EU離脱を決めた英経済の先行きについては不透明要因が残るため、英ポンドの戻りについては懐疑的な見方が多く、再び下値模索の展開になる可能性もあります。 一方、英ポンドが反転する場合のきっかけは何だと思うか聞いた設問では、「EUからの離脱撤回」が44%で最多となり、次に「EU離脱交渉の開始」が25%で続きました。 7月13日にはテリーザ・メイ前内相が首相に就任。メイ首相は離脱派を率いたジョンソン前ロンドン市長を外相に起用したほか、新設した離脱交渉の担当相に離脱派の議員を任命しました。アンケート調査では「離脱撤回」こそが英ポンド反転につながるとの結果となりましたが、離脱強硬派が交渉を主導する見通しになり、今後はいつ離脱交渉を開始するかが焦点になりそうです。 FRBは12月に利上げに踏み切れるか? Brexitに伴う欧州経済の先行き不透明感を受け、今後、欧州に加え日米の金融当局はどのような金融政策を打ち出すことになるでしょうか。 まず米連邦準備理事会(FRB)の年内の金融政策についてですが、追加利上げが行われるとした場合のタイミングについては「12月に利上げ」が57%、次いで「9月に利上げ」が24%で続きました。一方、「追加利上げなし」は18%となりました。 6月の米雇用統計が前月から大きく改善し、再び年内の利上げ観測が高まりつつありますが、11月の米大統領選など重要イベントも控えている中で、市場関係者の間では早急な金融引き締めには動かないとの見方が大勢を占めています。 また、米国の政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの水準については、単純平均で2016年末が0.63%、2017年末が1.04%、2018年末が1.40%となりました。現在の政策金利0.25~0.50%の中心レンジ(0.375%)を基準にすると、今年は「1回」、17年は「2回程度」、18年は「1回」の利上げを予想している計算になります。 緩やかな利上げ基調が続くとの見方になっているものの、米国だけでなく世界の政治・経済情勢を見極めながらの金融引き締め策にはリスク要因も多いとあって、市場の想定通りには事が進まない可能性も考慮する必要がありそうです。 日銀金融政策「7月に追加緩和」6割超 次に、日銀の年内の金融政策については、「7月に追加緩和」が圧倒的に多く、62%を占めています。次いで、「9月に金融緩和」が19%、「10月に金融緩和」が7%、「12月に金融緩和」が11%となり、いずれにしても年内に追加緩和が行われると見る市場関係者が大半を占めています。 今後の日米の金融政策を受け、年後半の米ドル/円相場の高値・安値のレンジを聞いたところ、高値の単純平均が1ドル=110円47銭、安値の単純平均は1ドル=97円34銭となりました。FRBは7月の追加利上げを見送る一方、日銀は追加緩和に動くとの見方が大勢の中、7月末の日米当局の政策決定後の為替はどう動くのか。要注目です。 新興国通貨の改善目立つ 金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、7月末の平均値で1ドル=103円61銭となり、6月調査の1ドル=108円01銭に比べ円高・ドル安方向にシフトしました。また9月末時点の見通しは104円46銭、12月末が105円50銭であり、大きく円安・ドル高が進む環境ではないものの、今後の日米両国の金融政策次第では、ある程度、円安・ドル高に向かう可能性があると市場関係者はみているといえます。 為替レートに影響を及ぼす要因として注目されているのは、米ドル、ユーロとも「金利/金融政策」で、前月に比べて大きく上昇しています。特にユーロについては、Brexitの問題があり、英国とともに景気の先行きに対する不透明感が強まっており、今後、もう一段の金融緩和があるのか、注目されるところです。 なお、円については「当局の姿勢(介入含む)」が前月に比べて6%上昇しました。ただ、円売り介入の実施は、米国側の承認を必要とするだけに、現時点の可能性はそれほど高くはないと考えられます。 また向こう6カ月の間に各通貨が対円でどのように推移するかを聞いたところ、米ドルは上昇期待が高く、DIはプラス46に上昇。過去半年間の推移で最も高い水準になっています。これに対して、ユーロは前月のプラス5からマイナス15に転じました。Brexitの悪影響が懸念されていることを映しています。 その他、DIの改善がみられたのはブラジルレアルやロシアルーブル、南アフリカランドといった新興国通貨でした。ブラジルレアルDIは、今年2月時点ではマイナス41でしたが、その後、徐々に回復し、7月時点ではプラス21になりました。南アフリカランドについては6月調査でマイナス22だったのが、7月調査ではプラス7に改善しています。 運用担当者の外貨投資スタンスは慎重 運用者に運用ファンドの外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、当面の投資スタンスとしては、やや慎重ムードが強まっています。 運用ファンドの外貨建て資産の組入状況については、「ニュートラル」が6月調査の64%から55%に低下する一方、「アンダーウエート」が9%から18%に上昇しました。ちなみに過去半年の推移でみると、オーバーウエートの比率は最も高い水準にあるものの、同時にアンダーウエートの比率も最高水準にあります。それだけ、徐々に慎重姿勢の市場参加者が増え始めていることを意味しています。 これは、為替ヘッジに対するスタンスをみても同様で、「現在のヘッジ比率を維持」が低下傾向をたどっています。一方、「ヘッジ比率を下げる」が5月の29%から低下して6月は20%になっているのに対し、4、5、6月と0%が続いた「ヘッジ比率を上げる」との回答が7月は10%になりました。これらの数字からみえるのは、運用担当者の外貨投資に対するスタンスは、当面、慎重姿勢が続きそうだということです。 なお、企業の業績予想の前提となっている為替レートは、米ドルの平均値が1ドル=110円80銭でした。この1カ月以内で業績予想の前提となる為替レートを、円高方向に変更したのは、回答数10のうち2。また、今後については回答数9のうち2が「円高方向で変更」、「円高方向で変更検討中」が1となりました。

Brexit、影響はEU全体?それとも世界に波及?(7月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の7月調査を、7月11日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者162人が回答、調査期間は7月5~7日)。 調査期間中の日経平均株価は、1万5167円98銭~1万5702円04銭のレンジで推移しました。5月末にかけて1万7234円まで上昇した日経平均ですが、6月に入ってからは英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit)に対する警戒感が強まり、実際に英国のEU離脱が確定すると一気に1万5000円割れの水準まで急落しました。7月上旬にかけて日経平均は徐々に値を戻していますが、頭の重い展開が続いています。 EU離脱後の影響を不安視する声 今回のアンケート調査では、英国のEU離脱に関する影響について聞きました。 まず、英国のEU離脱が、他のEU諸国に対してどのような影響を与えるか、との設問については「離脱まではいかないが反EUの動きが活発化する」が68%で最多となりました。次いで「ほかにも離脱を目指す国が出てくる」が16%でした。比較的冷静な見方が大勢を占めていますが、欧州債務危機の時に、EU・ユーロの枠組みの中で、財政再建を巡って苦境に立たされたギリシャをはじめとした南欧諸国を中心に、EU離脱の動きが再燃しないとも限らないだけに、楽観視はできない状況が続きます。 また気になるのは、英国のEU離脱を機に、反移民政策を掲げる米国のトランプ候補が、11月の大統領選挙において優位に立つかどうかという点ですが、これについては55%が「特に影響はない」とみています。ちなみに「トランプ候補へ有利にはたらく」という回答は18%に過ぎず、英国のEU離脱が米大統領選挙に及ぼす影響は、限定的であるとの見方が大半を占めました。 英EU離脱、「EU全体か世界にマイナスの影響」8割 一方、今回の結果が経済に及ぼす影響については、懸念する声が非常に多くなっています。経済への影響について、「大きな影響はない」という回答はわずか9%。「マイナスの影響はEU全体に及ぶ」が42%、「マイナスの影響は世界全体に広がる」が40%となり、8割は英国へのマイナスの影響が欧州、場合によっては世界へと波及することを懸念していることが明らかになりました。 また、気になるのは日本への影響です。今回の調査で「日本企業の業績にどのような影響を与えると思いますか」という質問をしたところ、「欧州のウエートが大きい企業に影響する」が33%となり、次いで「輸出企業全般に影響する」が29%、「すべての日本企業(インバウンド関連を含む)に影響する」が18%で続きました。 やはり何がしかの影響が及ぶとみている市場関係者は多く、それが英国の国民投票以降の日経平均の株価のさえない展開にも反映されていると考えることができます。リスクオフ(リスク資産の敬遠)傾向の際に買われやすい円についても1ドル=100円近辺と高止まりしており、マーケットは神経質な展開が続きそうなことを示唆しています。 注目される投資主体として「企業年金・公的資金」が浮上 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万5599円となり、前回調査の1万7042円に比べて大幅に下方修正されました。英国の国民投票以降、マーケットはさえない展開が続いており、先行きの見通しについて慎重なスタンスを強めています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「内部要因・市場心理」、「景気・企業業績」、「為替動向」が若干上昇する一方、「金利動向」、「政治・外交」、「海外株式・債券市場」が低下しました。また、各要因が株式相場にどのような影響を及ぼすかについては、「景気・企業動向」が51.4から39.4、「為替動向」が50.5から34.へと低下し、従来のプラスの要因からマイナスの要因に転換しています。特に為替については、1ドル=100円割れを想定している市場関係者も多く、輸出企業への業績懸念が高まっています。 また、今後6カ月程度で最も注目している投資主体としては、「企業年金・公的資金」が前回調査の1%から7%に上昇したのが目立ちました。ちなみに「企業年金・公的資金」の指数は59.3から63.6に上昇しています。下値で押し目買いに動く傾向が強い機関投資家の買い出動に加え、政府・日銀の対応にも期待が高まっているといえそうです。 株式への資金シフトにはやや慎重姿勢 資産運用担当者66人を対象にしたアンケート調査では、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」が20%から16%に、「ニュートラル」が61%から46%に低下する一方、「ややアンダーウエート」が14%から26%、「かなりアンダーウエート」が6%から10%に上昇しました。 一方、当面どのようなスタンスで臨むかについては、株価の下がったところで仕込むという考えもあるようで、「かなり引き上げる」は4%から0%に低下したものの、「やや引き上げる」が14%から16%に上昇する一方、「やや引き下げる」が15%から14%に低下しました。 とはいえ、本格的に株式へ資金シフトさせるところまではいかないようです。円の高止まりが続き、世界経済の先行き不透明感が根強い中で当面の投資家は慎重なスタンスを継続する可能性が高そうです。

Brexitで金利低下が深化 マイナス金利効果「期待できない」過半(6月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の6月調査を7月4日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者138人が回答、調査期間は6月28~30日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.235~マイナス0.230%で推移しました。 10年国債まではマイナス金利が定着していましたが、より期間の長い国債にもマイナス金利が及び始めています。1カ月前とイールドカーブを比較すると、次のようになります。 前者が1カ月前、後者が7月1日時点の数字になります。 10年債・・・・・▲0.115%⇒▲0.253% 15年債・・・・・・0.042%⇒▲0.093% 20年債・・・・・・0.235%⇒ 0.044% 30年債・・・・・・0.302%⇒ 0.108% 1カ月前まで15年国債以上は辛うじてプラスの利回りを維持していましたが、15年国債の利回りもマイナスになったことで、いわゆる「マイナス金利」が一段と深化しているのが分かります。10年国債の利回りは6月中旬あたりから連日のように過去最低を更新し続けました。 このように、長期金利が連日で過去最低水準を更新し続けた理由としては、国内景気の低迷と物価上昇率の鈍化もありますが、6月23日に行われた英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票で「離脱派」勝利の結果が出たことによって、マーケットがリスクオフの状態になったことも影響したようです。 マイナス金利に対する期待感の後退 今回は、日銀の金融政策についていくつかの質問をしました。 まず、「マイナス金利政策の導入によって現時点でどのような効果が出ているとお考えですか」という問いに対する回答は「効果は期待できない」が52%と最多となりました。次に多かった回答が「金融機関のポートフォリオ・リバランスが進んでいる」で42%、「一段の円高・株安が食い止められている」が16%となりました。 「一段の円高・株安」がどの程度の水準を示しているのかが分かりませんが、日銀がマイナス金利導入を発表した1月29日時点の日経平均株価が1万7518円、ドル円は1ドル=121円03銭でしたが、7月1日時点の日経平均は1万5682円、ドル円の1ドル=102円51銭となり、株安・円高が進んでいます。マイナス金利の導入が直接的であろうと間接的であろうと、株高・円安を狙ったものだとしたら、「効果は期待できない」という回答が最も高くなるのは、当然のことでしょう。 マイナス金利の副作用「債券市場の機能低下」「金融機関の収益悪化」… 気になるのは、今後もマイナス金利が続いたとして、その副作用です。これについては、「債券市場の機能低下」が91%を占め、次いで「金融機関の収益悪化」が89%、「年金財政の悪化」が56%となりました。 マイナス0.3%は既に織り込み済み? また、マイナスの政策金利はどこまで引き下げられるかについては、「マイナス0.3%」が40%で最も多く、次いで「マイナス0.5%」が21%で続きました。 現時点で10年債利回りはマイナス0.260%と過去最低水準を更新しており、マーケットは「マイナス0.3%」という水準を既にかなりの角度で織り込んでいることが分かります。この水準を突破すれば、「マイナス0.5%」を視野に入れる動きが強まるかもしれません。 日銀緩和策「縮小すべき」4割 日銀は金融政策をどのように運営すべきかについては、「緩和策を縮小すべき」が40%、「現状維持」が28%、「さらに緩和政策を強化すべき」が23%となりました。市場関係者の間では、必ずしもマイナス金利政策は歓迎されていないことが、これらの数字からも読み取れます。 相変わらず高い政府・日銀のオペレーションに対する注目度 新発10年国債の金利見通しは、5月調査分に比べて大幅に低下しました。同時に新発20年国債の金利見通しも、5月調査分に比べて大幅に低下しており、債券市場全体にマイナス金利の影響が及んでいるのが分かります。少しでも利回りを確保したいというニーズが運用サイドにある限り、今後、より期間の長い債券に対する買い意欲は続き、もう一段の金利水準低下が予想されます。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で最も注目されているのは「短期金利/金融政策」でした。とはいえ、他の要因も含めて注目度については、5月調査分に比べて大きな変動はみられませんでした。また、債券相場に影響を及ぼす度合いを示す指数をみると、海外金利が前回調査の43.2から63.2に上昇しています。これは海外金利の動向が、長期金利の低下(=債券価格の上昇)に強く影響することを意味しています。 また、注目される投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が相変わらず高く、前回調査の68%から73%に上昇する一方、「都銀・信託銀行(投資勘定)」は12%から6%に低下しました。今や債券市場の需給を左右するカギは政府・日銀であり、その動向が債券相場に強く影響することが分かります。 マーケット参加者の物価上昇期待が大幅に低下 ディーリング部門を除く資産運用担当者67人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややアンダーウエート」が17%から23%に上昇する一方、「かなりアンダーウエート」が7%から2%に低下。「ややオーバーウエート」が微増となりました。今年に入ってからの傾向は、「ニュートラル」の比率が圧倒的に高くなっていますが、「ややオーバーウエート」が徐々に上昇しており、高値を警戒しながらも慎重に債券投資を進めている様子がうかがわれます。 また当面のスタンスは、「やや引き下げる」が前回調査の23%から19%に低下する一方、「現状を維持する」が71%から73%に、「やや引き上げる」が2%から8%に上昇しました。デュレーションに関する指数は、前回調査の54.9から52.8に低下したものの、「基準通り」であることを示す50よりも高い水準を維持していることから、債券価格の上昇を狙った、やや強気のスタンスであることを示しています。 またCPIコア変化率の今後1年間平均は、前回調査の0.33%から0.24%まで急低下しました。この点からも、物価の上昇期待が後退していることが伺われます。

米利上げ、年内1回が大勢 それでもリスクオフは避けられず?(6月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の6月調査を、6月13日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は6月6~9日)。この間の為替レートは、対ドルが106円97銭~107円73銭。対ユーロが121円59銭~122円44銭でした。 年内の米利上げ「1回」が大勢 時期は7月?12月? マーケットでは5月に入り、早期の米利上げの思惑が広がる場面もありましたが、6月3日に発表された5月の米雇用統計の数字によって、少なくとも6月利上げの線はほぼなくなったとの見方が出ています。失業率は4月の5%から5月は4.7%に低下したものの、非農業部門雇用者数が事前予想の16万人増を大きく下回る3.8万人増に留まったためです。 過去2年程度の非農業部門雇用者数の推移をみても最も悪かった2015年3月で12.6万人増でした。他の月は、概ね20万人前後の増加で推移しており、5月の数字(3.8万人増)はいかにも悪い数字にみえるのは、致し方のないところでしょう。 こうした状況もあり、FRBが年内に何回利上げを行うと思うか聞いたところ、「1回」という回答が最も高く53%を占め、「2回」の43%を上回りました。 FRBが年内利上げに踏み切るタイミングについては、「7月」が最も多く54%、次いで「12月」が46%、「9月」が31%で続きました。仮に7月の利上げが実現しなければ、11月の米大統領選などのイベント前に一段と金融の引き締めは行いづらくなる可能性もあります。6月の雇用統計を含め今後の米経済指標の内容は非常に大きな影響を及ぼすことになりそうです。 6~7月の米利上げ、リスク資産の下落は不可避か こうした米経済に不透明感も漂う中で仮にFRBが6月もしくは7月に利上げを行った場合、各マーケットにはどのような影響が及ぶでしょうか。 世界の株式相場、NY原油先物相場、新興国通貨の値動きを予想してもらったところ、それぞれで最も多かった回答は「下落」となりました。 イエレンFRB議長は金融引き締めについては「緩やかに行う」とのメッセージを市場に発信し続けていますが、今回の結果は、利上げが実施されればリスクオフに陥ることは避けられないことを示唆しています。仮に慎重に利上げを実施してもマーケットはひと波乱が起きる可能性に留意しておく必要がありそうです。 増税延期、日銀金融政策への影響は? 6月緩和説は後退 日本国内においては、安倍首相が2017年4月に予定されていた消費税率の8%から10%への引き上げを2019年10月まで2年半延期することを表明しました。消費増税延期が、日銀の金融政策にどのような影響を及ぼすのかを聞いたところ、「特に影響しない」が45%で最も高く、次いで「追加緩和圧力が増す」が31%でした。 また日銀の年内の金融政策については、「7月に追加緩和」という見方が41%と最も多く、「6月に追加緩和」の20%を上回りました。ちなみに前回5月調査では「6月に追加緩和」が53%で、「7月に追加緩和」は22%でした。 結果をみると、早期の追加緩和観測が後退した格好となっていますが、足元の外国為替市場では再び円高が進み、日経平均株価も軟調に推移しています。これまでの黒田日銀の政策手段をみるとサプライズを演出することが多かったという事実があります。期待が後退する中で6月の追加緩和に踏み切ればマーケットへのインパクトも大きくなるとみられるだけに、黒田日銀がどういう動きをみせるか、目が離せません。 為替見通しは円高方向に 毎月定点調査している金融機関の外為業務担当者の為替見通しによると、6月末の平均値で108円01銭となり、前回調査の109円48銭に比べて円高方向にシフトしました。 前述したように、5月の米雇用統計の数字が非常に悪かったことが影響しています。マーケット関係者の間では、7月に利上げを行うという見方が多いようですが、ここから先、さらに雇用が悪化する指標が相次げば、GDPの7割を個人消費が占める米国経済にとって、ネガティブインパクトになり、株売り・ドル売りにつながる恐れは十分に考えられます。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「金利/金融政策」が前月比で9ポイント上昇し62%になりました。米ドルは前月比で大きな変化はみられなかったものの、やはり「金利/金融政策」が69%と高い水準を維持。一方、ユーロの「金利/金融政策」に対する注目度は、前月比で10ポイント低下しました。 また、向こう6カ月間で各通貨は対円でどのように推移するかとの質問については、米ドルDIの上昇が一服。ユーロDIは3月のマイナス53から徐々に改善し、6月はプラス5まで上昇してきました。また、スイスフランDIがマイナス12からプラス22に大幅上昇。NZドルやブラジルレアル、インドルピー、ロシアルーブルの各DIもマイナス圏からプラスに転じました。 新興国通貨のアンダーウエート比率高まる ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面のスタンスは「オーバーウエート」と「ニュートラル」が若干上昇した半面、「アンダーウエート」は低下しました。比率で見れば、ニュートラルが圧倒的に高く、ポジションをどちらにも傾けにくい状況にあるようです。 また、為替ヘッジに関する当面のスタンスは、「現在のヘッジ比率を維持」が再び上昇傾向をたどり、「ヘッジ比率を下げる」が低下。「ヘッジ比率を上げる」が0%のままでという点から考えると、やはりここから先、円安に向かうのか、それとも円高に向かうのか、様子をうかがっている雰囲気が感じ取れます。 個別通貨についてみると、外貨建て資産のうち、各通貨の組入比率について当面、どのようなスタンスで臨むかを聞いたところ、オーバーウエートからアンダーウエートを差し引いたDIで、米ドルはプラス45からプラス33に低下。ユーロ、英ポンド、スイスフラン、資源国通貨はいずれもマイナス圏で、アンダーウエートではあるものの、前月に比べてマイナス幅は縮小。逆に同じマイナス圏でも、新興国通貨のDIは、前月のマイナス25からマイナス45になり、大幅なアンダーウエートになりました。

今期経常益は1桁増に留まり、予想PER14倍は「妥当」との見方(6月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の6月調査を、6月6日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者160人が回答、調査期間は5月31~6月2日)。 調査期間中の日経平均株価は、1万6525円47銭~1万7251円36銭の範囲内で推移しました。日経平均は5月連休明けから徐々に上昇トレンドに入り、5月31日には1万7234円98銭まで上昇しました。26~27日に伊勢志摩サミットが開催され、それに向けて消費税率引き上げの延期や財政出動などの好材料が出ることに対する期待感が株価を押し上げました。 一方、調査期間終了後の3日に米国で発表された5月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比3万8000人の増加にとどまりました。エコノミストからは「悲惨な結果」との声も漏れる結果を受けて早期の米利上げ観測が後退。それに伴って外国為替市場では円高・ドル安が急速に進み、週明けの東京市場では1ドル=106円台で推移しています。現状の円相場の水準は業績に向かい風となる企業も少なくなく、予断を許さない状況です。 上場企業の経常利益見通しは厳しい 今回のアンケートでは、今期の経常利益に関する見通しを聞きました。 3月期決算企業の経常利益(金融を除く全産業)は、日本経済新聞社の集計によると前期実績が前期比マイナス1.3%、今期の会社予想が同プラス2.7%となっています。これを踏まえ、今期経常利益をどう予想するか株式市場の関係者に聞いたところ、「1桁のプラス」が最も多く49%を占めました。次いで「横ばい圏」が29%、「1桁のマイナス」が17%で続きました。今期は増益に転じるとはいえ、市場参加者の多くは業績が力強さには欠けるとみていることを示しています。 マクロ環境からも景気がスローダウンしている状況がみて取れます。4月の実質消費支出は、2人以上の世帯で前年同月比0.4%のマイナス。消費者態度指数は前月比0.9ポイント低下の40.8で、2カ月ぶりの低下となりました。また、国内新車販売台数は4月に前年同月比1.6%増と16カ月ぶりにプラス転換したものの、これまでの減少基調が続いていたことからも耐久消費財の動向についても、決して楽観視できる状況ではありません。 また、為替レートも業績の先行き見通しに暗雲を漂わせています。5月末にかけて、やや円安方向に持ち直してはいましたが、6月3日に発表された米雇用統計の数字が、ネガティブサプライズともいうべき悪い数字だったことから、6月中の米利上げ観測が後退し、ドルが売られました。 日本経済新聞社の集計によると、主要企業360社が今期見通しの前提とする想定為替レートは1ドル=110円としたところが過半を超えました。現在の為替レートは、想定レートに比べて円高水準であり、この状態が続けば、今期の経常利益は厳しい状況に直面する恐れがあります。ちなみに、今期大幅な減益を見込んでいる自動車業界の想定為替レートは、1ドル=105円を想定するところが多いようです。 また、前期において多額の特損・減損を計上する企業が目立ちましたが、それらの企業に対する評価としては、「主体的に膿を出し切ったとしてプラスに評価」が49%で最多となりました。次いで「キャッシュフローに関係ないので影響なし」が26%でした。市場参加者は概ね今回の企業側の判断を肯定的に捉えています。 日経平均の予想PER「妥当」が6割強 また、かなりの減益予想にも関わらず配当金を維持または増額している企業に対する市場の見方ですが、「プラスに評価」が66%となり、「マイナスに評価」の11%を大きく上回りました。厳しい事業環境は続くものの、株主還元強化の動きは引き続きプラスに働き、株式相場を下支えする一因になりそうです。 なお、株価のフェアバエリューを判断するうえで重要なPER(株価収益率)については、日経平均採用銘柄の今期予想で14倍前後ですが、この水準に対する評価としては、「妥当」が64%となり、ほぼ適正水準と評価されました。ちなみに「割高」は5%で、「割安」が30%です。 為替動向への注目度高まる 回答者の1カ月後の日経平均株価予想は上方にシフトし、5月調査の1万6756円(確報値)から6月調査では1万7045円になりました。5月末にかけ、株価が上昇トレンドだったことが、マーケットの先行きに対して明るさを持たせています。 今後6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業業績」が前回調査の43%から30%へと大幅ダウン。一方で「為替動向」が32%から34%に上昇するとともに、「海外株式・債券市場」は4%から13%に大幅上昇しました。国内企業の収益変動要因としては世界の経済動向や金融政策、それを受けた円相場の動きの影響を受けやすくなっており、今回の結果は海外発の材料に注目する市場参加者が多くなっていることを示唆しています。 また、今後6カ月程度で最も注目している投資主体としては、「外国人」が85%と相変わらず高く、個人が前回調査の6%から8%に上昇しています。一方、「企業年金・公的資金」は3%から1%に低下しました。 株式市場の先行きに国内投資家は慎重姿勢 資産運用担当者66人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が0%に低下し、「ややオーバーウエート」が20%で変わらず。「ニュートラル」が今年に入ってから基調としては上昇しており、「ややアンダーウエート」は4月調査の18%から12%へと低下してきました。 また当面のスタンスとしては、「かなり引き上げる」という積極的なスタンスが2%から4%に上昇しているものの、「やや引き上げる」が22%から12%に低下。「ニュートラル」が63%から71%に上昇しているあたり、先行きに対する慎重なスタンスが伺われます。

マイナス金利でリスク資産へのシフトは本当に進む?(5月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の5月調査を5月30日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者144人が回答、調査期間は5月24~26日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りが、マイナス0.110~マイナス0.100%で推移しました。 マイナス金利は、10年債まで一段と深化したものの、15年債以上の金利低下はいったん止まったようにもみられます。1カ月前とイールドカーブを比較すると、次のようになります。前者が1カ月前、後者が5月27日時点の数字になります。 10年債・・・・・・▲0.104%⇒▲0.114% 15年債・・・・・・ 0.049%⇒ 0.051% 20年債・・・・・・ 0.245%⇒ 0.249% 30年債・・・・・・ 0.287%⇒ 0.311% 10年債よりも短い債券の利回りはマイナス金利が進んだものの、15年債よりも長期のものについては1カ月前に比べて若干ではありますが、利回りが上昇しました。とはいえ、日銀が再びマイナス金利の拡大政策を打ち出してこない保証はどこにもなく、今後の景気動向次第では、もう一段の低下余地を織り込む動きも考えられます。 マイナス金利によってリスク資産への資金シフト進む? 今回の特別アンケートでは、マイナス金利が進む国内債券市場について、「マイナス金利下の債券運用」について質問しました。現状、13年債までマイナス金利になっているなか、さらに国内債券を買う動きはあるのでしょうか。 まず最初に「マイナス利回りの債券を購入しますか」と聞いたところ、最も多かった回答が「購入しない」で43%に達しました。次いで「売却目的で購入」が33%、「運用方針に基づき保有目的で購入」が18%で続きました。 また国内債券ポートフォリオの変更についても聞きました。それによると、「株式・外債などリスク資産にシフトする」が27%で最多となりました。次いで「プラス利回りの超長期債を増やす」が22%、「変更しない」が17%、「社債を増やす」が15%となりました。 株式市場にコミットしている投資家にとって、「リスク資産にシフトする」という回答が最多だったのは、喜ばしい結果でしょう。また、「超長期債を増やす」ことで、15年債や20年債、30年債など、利回りがプラス圏にある超長期債の利回り低下が進む可能性もあります。 ただ、マイナス利回りの債券について「購入しない」が最多となったことからも示唆されるように、今後、国内投資家の国債の購入意欲が後退すれば、頼れるのは日銀による買いのみになります。しかし、すでに日銀は国債を大量に保有しており、「財政ファイナンスではないか」という声も浮上してきています。債券市場の需給バランスが崩れないか、懸念されるところです。仮に債券市場の需給が崩れれば、景気低迷局面での金利上昇という「悪い金利上昇」に見舞われる恐れがあります。そうなれば株式相場にとってもマイナス要因となりかねません。 政府・日銀のオペレーションに対する注目度は相変わらず高い 新発10年国債の金利見通しは4月調査分に比べてさらに低下し、1カ月後の見通しではマイナス0.086%からマイナス0.097%となりました。新発20年国債の金利見通しも新発10年国債と同様、金利の見通しは一段と低下し、0.330%から0.275%となりました。前述したように、債券ポートフォリオの見直しを行うなかで、「プラス利回りの超長期債を増やす」動きが進むとみる市場関係者が多いものと思われます。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で最も注目されているのは「短期金利/金融政策」で、絶対値が73%と高いのに加え、3月調査分からの流れを見ても、徐々に注目度が高まっています。 それと共に、同じく注目度が高まっているのが「景気」で、3月調査分は2%に過ぎませんでしたが、4月調査分が5%、5月調査分が6%になりました。国内景気の後退色が強まるなか、安倍首相は消費税率の10%への引き上げを2年半延期するという方針を固めたと報じられましたが、それでも景気後退色が濃くなるようであれば、再び追加の金融政策が発動される可能性も否定できません。 また、注目される投資主体としては「政府・日銀のオペレーション」が相変わらず高く、68%に達しています。ちなみに同項の指数は84.3(50を上回れば債券相場にプラス、下回ればマイナス)なので、市場関係者の大半は、政府・日銀のオペレーションが債券相場にポジティブな影響を及ぼすと考えているのが分かります。つまりマイナス金利がさらに進む可能性があるということです。 当面の債券投資スタンスはやや保守的 ディーリング部門を除く資産運用担当者72名を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が3%低下、「ややアンダーウエート」が2%低下する一方、「ややオーバーウエート」が1%上昇、「かなりアンダーウエート」が3%上昇しました。昨年12月調査分からの推移をみると、「ややアンダーウエート」が30%から17%まで低下傾向をたどっているのに対し、「ニュートラル」が54%から64%に上昇。「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」がほぼ横ばい、「かなりアンダーウエート」が微増です。債券のマイナス金利が進んだことで、やや様子見ムードが強まっていたようです。当面の国内債券の組み入れについても、各項目ともほぼ横ばいの推移となりました。 債券のデュレーションについては現在は「かなり長い」「やや長い」がともに上昇しました。一方、当面のスタンスを聞くと、「やや長くする」が4月調査分の26%から14%に急低下し、「現状を維持する」が73%に上昇。「かなり短くする」が0%から6%に上昇しています。この点から、債券のポートフォリオについては、やや保守的な傾向がみられます。 ちなみに、アンケート回答者全員にCPIコア変化率を聞いたところ、今後2年間で0.67%となり、前回調査よりも下がっています。この数字は消費税要因を含めています。それにも関わらずCPIコアが低下したということは、今後2年、消費税率の引き上げが行われないことを、市場参加者が織り込んでいるものとも考えられます。

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