2015年の円安メドは128円台…米利上げ「9月」説が有力(6月調査)

米国の利上げ時期は「9月」――。6月8~11日に為替市場を対象として実施したQUICK月次調査(金融機関や運用会社、事業法人の為替担当者90名が回答)では、こう予想する回答が6割近くに上りました。 回答者の59%が9月の米利上げ見込む 4月以降、1ドル=120円前後で推移していたドル円相場は、5月後半からドル高・円安方向に傾き、足元では1ドル=122円台~125円台の推移となっています。米景気の底堅さが経済指標で確認され、「利上げは年内」との見方が強まってきたためです。 今回の調査では、米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切るタイミングや、2015年内のドル円相場の最高値水準などについて聞きました。 利上げに踏み切る時期は、2015年9月とする回答比が59%を占めました。また2015年12月という回答比も24%を占めています。かつて大勢を占めていた6月利上げについては、今回の回答では0%になりました。 米国の政策金利であるFFレート(フェデラル・ファンドレート)の見通しを聞いたところ、回答者の単純平均値は、2015年末時点で0.55%。2016年末で1.40%となり、来年までを前提にすれば、どこかの段階で利上げに踏み切る可能性が高いと市場は見ています。 想定外の円安ドル高…年内に「128円台」まで見込む 一時125円台まで上昇した、5月のドル相場。過去1か月程度の間に125円台に達すると考えていたかどうかを質問すると、想定外という回答比が75%を占めました。 これだけ急激に円安が進んだ理由については、「早期の米利上げ期待」が58%、「海外投機筋のポジション構築」が48%、「米景況感の改善」が36%となりました。 9月利上げという見方がある以上、年内にもう一段の円安があるというのが、マーケット関係者の見方。2015年内のドル円の最高値水準について予想してもらったところ、単純平均で128円80銭(中央値は128円ちょうど)になりました。 ドル円予想の定点調査…大幅に円安シフト 毎月、定点調査を実施している為替相場見通しについては、円安方向に振れるという見方が強まっています。今後1か月、3か月、6か月のドル円について、金融機関の外為関連業務に従事している人の回答は、平均値で124円ちょうど(1か月後)、124円62銭(3か月後)、125円01銭(6か月後)となりましたが、これは前回(5月)調査分に比べて、かなり円安方向に振れた結果となっています。 ちなみに5月調査分の数字は、120円26銭(1か月後)、120円82銭(3か月後)、122円08銭(6か月後)です。6月の調査期間中のドル円レートは122円46銭~125円66銭の推移でした。 ユーロ相場は「貿易」「物価」と「金融政策」の綱引きか 今後のドルの動きを見るうえで、マーケット関係者が注目しているドル高要因は圧倒的に「金利/金融政策」。一方、ユーロ高要因として「貿易」が最も強い関心を集めており、次いで「景気動向」、「物価動向」と続いています。「金利/金融政策」については、強いユーロ売り要因として注目されています。 現在、運用しているファンドの外貨建て資産組入比率について、当面どのようなスタンスで臨むのかについては、5月調査に比べてニュートラル(基準と比べて中立)が大幅に低下する一方、オーバーウエート(基準と比べて多い)が大幅に上昇しました。今後もドル高が進むとの見方から、外貨建て資産の組入比率を高める傾向があるようです。 ※フルレポートについては、QUICKの端末サービス(有料)や日経テレコン(有料)でご確認できます。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

株価は半年後に2万1000円台へ…株主総会の注目点は?(6月調査)

半年後には2万1000円に到達予想…市場心理は強気持続 国内最大級の市場心理調査であるQUICK月次調査。6月2日~4日に株式市場を対象に実施した調査(証券会社および機関投資家の株式担当者179人が回答)によると、日経平均株価の今後の見通しは上方修正されました。 1か月後にあたる6月末の日経平均株価は2万432円。6か月後は2万1026円が想定されています。調査期間直前の6月1日にかけて日経平均株価が27年ぶりに12連騰したため、強気の見方が強まっていると考えられます。 株高持続に必要なのは、何と言っても企業の成長。今回の調査では、6月後半以降に3月決算企業の株主総会がピークを迎えることから、コーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)の注目点などについても聞いています。 注目は「クジラ」より「外国人」 まず、株式市場の現状を振り返っておきましょう。日本株について、一部では「過熱感が高まっている」との見方もあります。確かに時価総額は、バブルピークの89年末と同じ600兆円に達しましたが、同じ期間で見れば、NY株式市場の時価総額は7倍にもなっています。12連騰はややスピードが速かったかも知れませんが、株価や時価総額の水準からすれば、海外の株式市場に比べて出遅れ感のある日本の株式市場に、外国人投資家の買いが集まってくる可能性があります。 株式市場が今後6か月間で最も注目している株価変動要因は、「景気・企業業績」が相変わらず高位にありますが、前月に比べると、注目度はやや低下しました。他の要因も、前月に比べるとやや注目度が低下していますが、そのなかで「為替動向」が大きく伸びています。 同じく今後6か月を想定し、最も注目している投資主体としては、「外国人」が大きく伸びる一方、「企業年金・公的資金」は後退しました。株式市場の押し上げ主体として、「外国人」の関心が高まる一方、これまで話題となってきた「クジラ」、つまり巨額の公的資金への関心が薄れてきているようです。 年金や投資信託など資産運用担当者68人を対象に、運用中のファンドについて国内株式は現在、通常の基準とされている組み入れ比率に対してどのようなウエート(比重)になっているのかを聞いたところ、株価の先高感を反映して、「ややオーバーウエート」(基準よりも多い)の回答比が、前月に比べて大きく伸びています(28%→37%)。これに対して「ニュートラル」と答えた回答比は、8ポイントの低下(52%→44%)となりました。当面のスタンスとしては、「やや引き上げる」が低下(17%→6%)する一方、「現状を維持する」が上昇(77%→85%)しています。 株主還元策、株主価値向上策への関心が高まる 運用担当者の間に様子見姿勢が強まっている背景には、今後の企業の成長や株主還元方針を見極めたいという考えがあります。 6月1日から「コーポレートガバナンス・コード」が適用されました。コーポレートガバナンス・コードは、いわば株主と企業が円滑に対話を進めるための規範です。議決権など株主の権利を適切に行使できるように環境を整備したり、経営戦略や財務情報などを適切に開示したりするためのルールを設けるなどの規範が示されています。 コーポレートガバナンス・コードが適用されるなか、今回の株主総会で最も注目されるポイントは何かを聞いたところ、最も注目されているのは「株主還元策」で、全体の34%を占めました。ちなみに2014年度の株主総還元額(配当と自社株買いの金額を合計)は13.4兆円。この額が順調に増加していくか、というのがポイントです。 次に注目されるのが「ROE水準」で32%。ROEとは「株主資本利益率」のことで、この数字が高い企業は、株主の資本を効率良く使って、高い利益を上げていることになります。ROEは、一般的には10%を超えれば優良と言われていますが、欧米企業の平均値は20%を超えています。今後、日本企業も欧米並みとまでは言いませんが、徐々にROEを高位に保持しようという動きが出てくるものと思われます。いずれにしても、日本の企業がいよいよ株主価値の向上に向けて動き出す可能性が高まっています。 また米ISSが、経営トップの取締役選任議案について、ROE基準を導入するという動きがあります。ISSとはインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズという米国の民間企業で、国内外1600の機関投資家を顧客に抱えている議決権行使助言会社です。そのISSが、5年平均のROEが5%未満の企業については、経営トップの取締役選任議案に反対票を投じるようアドバイスをしています。これに対する反応としては、「一律適用には無理がある」という回答が46%を占めました。ただ、その一方で「歓迎する」という回答も、32%を占めています。 なお、今回のコーポレートガバナンス・コードの導入が、投資家に対する企業の対話姿勢をより促すことになるかという問いについては、全体の73%が「多少促す」と回答。「大いに促す」が19%を占め、いずれにしても対話促進に向けて前向きに受け止めている状況です。

市場の業績期待が4か月ぶりに改善…製造業が持ち直す(5月調査)

業績上方修正ペースが再加速…全産業DIは4か月ぶりに改善 アナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(5月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス16と、前月に比べて5ポイント改善しました。今年2月以降は3か月連続でプラス幅が縮小していましたが、ようやく底を入れ、上昇に転じたようです。株式市場の企業業績に対する期待が持ち直し始めました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が拡大したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが加速していることを表します。 製造業と金融業が持ち直す、非製造業は引き続きしっかり 産業別でみると、非製造業が微増(プラス14→プラス15)にとどまったのに対し、製造業は前月調査分のプラス7からプラス12に上昇しました。また金融がプラス24からプラス57へ大幅上昇となり、全産業の数字を押し上げています。 製造業のコンセンサスDIが上昇したのは、5月中に進んだ円安の影響もありそうです。ドル/円は、5月1日に1ドル=119円台だったのが、5月下旬には一時、1ドル=124円台まで円安が加速しました。円安が進めば、輸出関連企業にとっては為替差益が見込め、それが業績を押し上げる要因になります。 業種別でみると、輸送用機器、食料品がマイナス幅を縮小させ、非鉄金属が大幅プラスに転じました。金融については、銀行もプラス幅を広げていますが、「その他金融」が大幅にプラス幅を拡大しました。一方、医薬品がマイナス幅を大きく拡大。鉄鋼が大幅マイナスに転じました。 今後の国内景気を見るうえで、さらなる円安の進行が個人消費に及ぼす影響は無視できないでしょう。今年の春闘では大手企業を中心にベースアップが行われましたが、今後、給料の引き上げが、円安にともなう国内物価の上昇に追い付けなければ、国内個人消費が落ち込む恐れがあります。 インバウンド需要は堅調ですが、国内個人消費の落ち込みを補えるとは、まだ言い切れません。2014年中の訪日外国人旅行者数は1300万人。2014年中の日本の個人消費は推計で293兆円とされる一方、2014年中の訪日外国人が、日本滞在中に使った旅行消費額は2兆305億円にとどまっています。もちろん、これらの数値は海外の景気動向に左右される面もあります。 ベネッセHDの先行きに厳しい視線 予想純利益の上方修正率(3カ月前比)ランキング上位5社は以下です。 銘柄名 修正率 出光興産(5019) 53.98% 任天堂(7974) 40.97% JDI(6740) 40.94% 長谷工(1808) 35.20% キリンHD(2503) 31.65% 4月調査分で上位5社に入っていた企業で、5月調査分でも修正率上位ランキングに5位までに入ったのはJDIのみです。また出光興産は原油価格の急落で、2015年3月期決算が赤字に転落。今期は原油価格が上昇しつつあることも踏まえて、大幅な業績改善が見込まれています。 一方、下方修正率ランキング上位5社は、次のようになりました。 銘柄名 修正率 ベネッセHD(9783) ▲80.65% 資生堂(4911) ▲45.49% 関西電(9503) ▲28.51% 武田(4502) ▲22.53% 国際石油開発帝石(1605) ▲21.85% 下方修正率トップとなったベネッセHDは、2015年3月期が最終赤字に転落しました。、2016年3月期に実施されるテコ入れ策などを受けた業績回復が期待されるところですが、市場は業績回復の先行きに厳しい見方をしているようです。

日本の長期金利、今年度の高値は0.6%程度か(5月調査)

欧米の長期金利が不安定な動きを示している一方で、日本の長期金利は0.4%前後の低位安定を続けています。日本の金利水準は現状のまま推移するのでしょうか。 金利の動きは、外国為替証拠金(FX)取引や、住宅ローンという形で個人に影響を与えます。FXは各国金利差が相場に重要な影響を与えますし、市場金利と住宅ローン金利には相関関係があります。長期金利が低位安定していれば、住宅ローン金利も低いまま継続され、住宅ローンの利用予定者には好都合に作用します。 5月26~28日にQUICKが実施した債券市場に関する月次調査(証券会社および機関投資家の債券担当者148名が回答)では、今年度(2015年4月~2016年3月)の株価と長期金利の最高水準について尋ねてみました。 日本の長期金利は底値圏?上昇目途は0.6%程度 長期金利(10年債利回り)の最高水準予想(単純平均)については、次のようになりました(カッコ内は5月末の実績)。日本の長期金利が0.7%を上回るのは難しいという見方のようです。 日本10年債利回り・・・・・0.616%(0.39%) 米10年債利回り・・・・・・2.654%(2.12%) 独10年債利回り・・・・・・0.903%(0.48%) 一方、債券運用担当者の運用方針を見ると、足元の金利水準が底だと意識している節があります。(国債などの)円債のポートフォリオ(資産配分)について、金額にしてもデュレーション(元利金の平均回収期間)にしても「変えない」という意見が過半数を占めました。金額については「減少」が41%と、「変えない」(53%)に次ぐ大きさであることから、足元の金利水準を底値圏(債券価格は高値圏)と見ていると考えることができます。 この二つの結果をどう捉えるべきでしょうか。単純平均の利回り予想を見る限り、今年度末にかけて、長期金利の上昇余地はありそうですが、現状、利上げという出口戦略を取れる可能性のある国は米国のみ。日本もユーロも今年度内に利上げできる可能性は極めて低く、ファンダメンタルズの改善による長期金利の大幅な上昇は考えにくい状況です。 また、利上げに最も近い位置にある米国にしても、前述したように実質GDP成長率が下方修正されており、今後の経済指標の状況次第では、利上げ時期が後ずれする可能性も十分にあります。 こうした点からすると、確かに金利低下に一巡感は出てきているものの、長期金利は思ったほど上昇しない、と考えておくべきでしょう。 債券市場が見込む日本株の上値は「2万2372円」 なお、債券市場関係者に聞いた株価の最高水準(単純平均)は、 日経平均株価・・・・・・2万2372円(2万563円) ダウ工業株30種平均・・・1万9375ドル(1万8010ドル) となりました。いずれも5月末終値からの上昇余地を見込んだ結果となりました。 株価の注目点は、米国景気でしょう。4~6月期は回復するとの見方はあるものの、景気回復のペースが緩やかだと、先行きに対する懸念から、株価は売られやすくなります。また、その他の外部要因としては、ギリシャがユーロから離脱する可能性が浮上しており、それが欧州の株価を押し下げています。現状、ギリシャがユーロから離脱したとしても、実質的に世界経済に及ぼす影響は軽微と見られていますが、得てして株価は過剰に反応するもの。日本株も当面、外部環境が及ぼす影響には十分な注意が必要です。 国内債券の投資スタンスはやや慎重に…海外金利に注目 国内債券について、1カ月後、3カ月後、6カ月後の予測数値を聞いたところ、いずれも4月調査分に比べて、5月調査分の数値はやや上方にシフトしました。短期金利の動向を示すTIBOR3カ月物の金利は、1カ月後、3カ月後が若干の下方シフト、6カ月後はやや上方シフトしたとはいえ、0.001%の上昇なので、ほぼ変わらずと見て良いでしょう。総合すると、長期金利に上昇圧力がかかってくるだろうが日銀のゼロ金利政策は当面続く、というのが市場関係者の見方のようです。 今後6カ月程度を想定した債券相場の変動要因は、注目度で見ると「短期金利/金融政策」が前月調査分に比べて大幅に低下したのに対し、「海外金利」が大幅に上昇しました。

通貨の強さは「ドル>円>ユーロ」…ドル円の上値には陰り(5月調査)

QUICKが5月25日に発表した外為市場に関する月次調査(期間は5月18~21日。金融機関、運用会社および事業法人の担当者93名が回答)によると、2015年末の主要3通貨について、米ドルが最も強く、その次に円、そしてユーロが最も弱いという見方が6割を占めました。 調査期間中の為替レートは、対ドルが119円台前半~121円台前半。対ユーロが134円台前半~136円台半ばで推移していました。本日5月25日、ドル円相場は一時1ドル=121円70銭台と、3月以来の円安水準をつけています。外為相場はこの先どう動くのか、専門家による金利の見通しを元に読み解いていきましょう。 世界的な金利上昇の理由は「需給要因」との見方 昨今、世界的に、長期金利が上昇ぎみで推移しています。たとえば日本の長期金利は、今年1月の0.2%を底にして、5月21日には0.410%まで上昇。米国の長期金利も2月2日の1.6730%をボトムにして、5月22日には2.2150%となりました。欧州金利もドイツ国債を中心に上昇が目立ち、通貨ユーロも買い戻される展開となりました。 米国の利上げ期待がやや後退するなかでの長期金利上昇の理由は何か。ファンダメンタル(経済の基礎的条件)の改善なのか、単なる需給要因なのか。 今回のアンケート調査では、4月中旬以降の世界的な長期金利上昇について、この理由として最も当てはまるものは何かを質問したところ、最も多い回答は「需給要因による巻き戻し」で、74%を占めました。これに対して、「ファンダメンタルズの改善」はわずか14%。市場では、欧州の金融緩和強化を受けて欧州国債を買い進めていたファンドが、過熱感からいったん調整売りを出し、その売り(金利上昇)が世界に波及したとする見方が出ています。 「世界の長期金利は今後どうなると予想しますか」という質問に対する回答は、「上昇トレンドが続く」が14%であるのに対して、「一進一退が続く」が67%も占めています。今年前半にかけて国債が大きく買い進められました。その巻き返しの需給調整で長期国債が売られているだけで、今後、長期にわたって長期金利が上昇するとは、市場関係者も考えていないようです。 通貨の強さは「ドル>円>ユーロ」 金利動向を踏まえた上で、2015年末にかけて、ドル、円、ユーロという主要3通貨を強い順に並べるとどうなるのかという問いについては、「ドル>円>ユーロ」が圧倒的に多く、全体の64%を占めました。次いで「ドル>ユーロ>円」の順でしたが、これはわずか20%。当面は、ユーロが主要3通貨のなかでも、最も弱い通貨として推移することになりそうです。 なお、最近の長期金利上昇が為替に及ぼす影響について、「ドル高・円安要因」が47%、「中立要因」が45%であり、為替レートを大きく動かすかどうかという点では、見方が分かれています。 気になるバーゼル規制の行方 ただ、気になるのは今月末にも方針が打ち出されると言われているバーゼル規制です。これまで一定条件のもとでリスクはないと見なされてきた国債にも、リスクウエイトをかけるというもので、これが実施されれば、銀行は今までのように国債を保有し続けるのが困難になります。 特に、格付けが低下している国債を大量に保有している銀行は、その国債を売らざるを得ない状況に直面するかもしれません。4月27日には英米系の格付け会社フィッチ・レーティングスが日本国債の長期債務格付けを1段階引き下げて「シングルA」に格下げするなど、日本の銀行も例外ではありません。新たなバーゼル規制が実施されるのは、まだ先の話ですが、中長期的に見ると、国債の需給が崩れ、長期金利が上昇傾向をたどる可能性は、ゼロとは言えないようです。 ここからのドル高/円安には慎重予想…ドルの上値重いか 通貨の強さは「ドル>円>ユーロ」ですが、市場参加者に目先の為替相場を聞いたところ、一段のドル高/円安には慎重な見方を持っているようです。 5月調査時点における5月末のドル/円見通しは、金融機関・外為業務担当者の単純平均で1ドル=120円26銭。この見通しは、足元の121円台の水準からみれば円高ですが、4月調査時点の120円ちょうどに比べて若干円安に振れました。 一方、もう少し長い見通しを見ると、7月末=120円82銭、10月末=122円08銭となり、4月調査時点(6月末=121円06銭、9月末=122円57銭)に比べて、3か月後、6か月後の見通しが、やや円高方向に修正されています。 米国の利上げを材料にして上昇してきたドルですが、想定よりも景気は弱いという見方が浮上し、利上げ時期も、6月から9月に後ずれしそうな気配が濃厚になってきました。今回の調査では67%の回答者が、米国景気の現状について「想定より弱い」と答えています。米国の利上げタイミングが後ろにずれるほど、外為市場ではドル買い意欲が後退する一方、今までの巻き戻しで円が買われやすくなります。 運用スタンスも方向感目立たず 現在運用中のファンドについて、外貨建て資産のウエート(比重)をどうするかという質問については、当面「オーバーウエート」(基準より多め)で臨むという回答が、4月調査分(38%)に対して大幅に減少し、15%となりました。対して「ニュートラル」という回答が、4月調査分の54%から、5月調査分は85%まで上昇しています。それだけトレンドが見えにくい状況にあるということでしょう。 通貨別の組入比率に対するスタンスを指数化したものをみると、4月調査分に比べて伸び悩んでいるとはいえ、米ドルがプラス(比率を基準よりも引き上げる動きが優勢)を維持しており圧倒的に強い状況です。一方、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、新興国通貨、資源国通貨はいずれもマイナス(基準よりも引き下げる動きが優勢)となりました。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

企業景況感の改善続く 「マイナンバー」対応の状況は?(5月調査)

上場企業の景況感改善が続いています。 日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(4月28日~5月17日調査、対象は上場企業371社)では、全産業の景況感を示す業況判断DIが前月に比べて6ポイント上昇し、プラス29となりました。将来の景況感を見通す「先行き」の指数もプラス29と、前月比3ポイントの上昇となりました。 DIは「良い」という回答比率から「悪い」の回答比率を差し引いて、指数化したものです。DIのプラスが大きいほど、景況感が良いと回答する企業の比率が多いことを意味します。 ファンダメンタルズは徐々に改善傾向 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「企業短期経済観測調査」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性も見られるため、市場関係者にも注目されます。 全産業のうち、製造業の業況判断DIは2月調査のプラス16から、3月調査のプラス18、4月調査のプラス21と着実に上昇し、今回の5月調査ではプラス24になりました。非製造業も、前月のプラス25から5月は31と、6ポイントの改善となっています。 ちなみに、日銀短観の業況判断DIを見ると、大企業製造業の2014年12月調査分がプラス12、2015年3月調査分もプラス12で横ばいですが、QUICK短観の業況判断DIが、今年2月を底にして再び上昇傾向をたどっていることから考えると、日銀短観の6月調査分に対する期待感が高まります。 これらの数字から読み取れるのは、昨年4月に行われた消費税率引き上げによる景気のスローダウンが一段落し、再びファンダメンタルズが改善に向かっているということです。 急がれるマイナンバー制度への企業対応 5月の特別調査では、以下の2つの質問に対する回答を得ました。ひとつは、株式市場でも関連銘柄探しが活発な「社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度」についてです。 <設問1> マイナンバー制度が2016年1月に始まります。貴社では制度開始までに対応が完了する見込みですか。 1:完了している/ほぼ完了している・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2% 2:組織を作って対応を進めており、間に合う見込み・・・・・・・・・・・・・17% 3:具体的な対応はこれからだが、段取りは整っているので間に合う見込み・・・56% 4:具体的な対応は進んでおらず、間に合うかどうかわからない・・・・・・・・16% 5:まだ対応に着手していない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9% マイナンバー制度は、国民一人ひとりに固有の番号が付与され、複数の機関に存在している個人情報が同一人物の情報であることを確認するためのインフラです。これによって行政の効率化が進むと共に、行政機関が持っている自分の情報を簡単に確認できるようになる他、行政手続きも簡素化されるといったメリットが取り上げられています。 同時に企業としての対応も必要になります。というのも、会社が社員に給与を支払う場合など、マイナンバーが関わってきます。また、マイナンバーが外部に漏れた場合、厳しい罰則規定が設けられますから、セキュリティ面での対応も必要になります。 現状、75%の企業がすでに対応を終えているか、終えていなくても間に合う見込みとのことですが、「未着手」と言える4と5の回答が計25%となっています。すでに法律が成立し、国民全員が関係してくることだけに、企業は来年1月までに、これらシステムやセキュリティの対応だけでなく、社員全体への認知を広めていく必要があります。 新人研修は「2~3カ月」以下が大半 もうひとつは、新人の研修に関する質問です。 <設問2> 貴社では、配属前の新人研修(OJTを除く)をどの程度の期間実施しますか。 1:1週間以内・・・・・・・28% 2:1カ月程度・・・・・・・37% 3:2~3カ月・・・・・・・23% 4:半年またはそれ以上・・・9% 5:実施しない・・・・・・・3% 産業別の傾向を構成比で見ると、非製造業は1週間程度が35%、1カ月程度が36%で、ほぼ同じであるのに対し、製造業は1週間程度が20%である一方、1カ月程度が38%。さらに半年またはそれ以上が13%を占めています。それだけ、製造業の方が技術習得も含めた研修期間に時間を割く必要があるのが見て取れます。また同じ製造業でも、新興企業に比べて大規模企業の方が、より研修期間を長めにしているのが分かります。

日経平均は年内強気予想が優勢、今期2ケタ増益を期待(5月調査)

日経平均が一時2万円台…ここからどうなる? 日経平均株価は4月22日、終値で2万円を回復しました。日経平均株価が2万円台に乗せたのは、実に15年ぶりのことです。 5月といえば相場格言の一つ「セル・イン・メイ」(五月に売れ)。一部では「相場が暴落するのではないか」と、懸念する声も聞かれますが、セル・イン・メイは株価が暴落するというよりも、「持っているポジションを一旦、手仕舞いましょう」という格言です。理由は、ヘッジファンドの決算があるからとか、欧米では6月ごろから夏季休暇に入るためマーケット参加者が減少するからとか、1月から5月までは税金還付の時期で株式市場に還付金が流入するためとか、いろいろ言われていますが、正確な根拠は分かりません。いわゆるアノマリーのひとつです。 ただ、この格言には続きがあり、それは「セント・レジャー・デーまで戻ってくるな」というものです。セント・レジャー・デーは9月の第2土曜日。逆に考えれば、9月以降は再び買いが戻ってくるとも考えられます。つまり5月から9月の第2土曜日までは調整期間で、そこから年末にかけては再び上昇する可能性もある、ということになります。 実際、相場はどうなるのか。今回のQUICK月次調査<株式>(5月12~14日に調査、証券会社および機関投資家の株式担当者174名が回答)では、年末にかけての日経平均株価の動向などについて尋ねました。 年末にかけて上昇予測…好調な企業業績が理由 調査によると、年末までの日経平均株価については、全体の52%が「上昇局面が続く」と回答。「横ばい圏」が33%で、「調整局面に入る」が12%となりました。 また、株価の根拠となる企業業績についても質問しました。まず、主要企業の業績に大きな影響を与える為替相場については、年末にかけて「一進一退が続く」との回答が46%を占め、「円安・ドル高に向かう」は44%、「円高・ドル安に向かう」が9%となりました。現状の円安水準が維持されるとの見方が大勢です。 円安水準が維持されるとの見方を受け、2015年度の企業業績については「10~20%の増益」を予想する回答者が60%と圧倒的に多数。一桁増益予想が29%、減益が2%で、横ばいが6%であることから、今年度も企業業績に対する見方は強気です。 リスクは外部環境 さて、企業を取り巻く外部環境、とりわけ日米欧中の景気の現状については、足元で依然、不透明感が漂っているのが事実です。今回の調査では、年初と比べた景気の現状に関しても伺いました。 日本と米国、中国の景気について「想定通り」という回答比が最も高かったのですが、注目は米国。米国は「想定通り」が49%であるのに対し、「想定より弱い」が48%と、両者拮抗しており、今後発表される経済指標の結果次第では、やや悲観的な見方が強まる恐れがあるのは否定できません。 日本は「想定通り」が75%を占めるため、景気の見通しについては大きくブレることはなさそうです。これは中国も同様で、「想定通り」の回答が55%を占め、「想定より弱い」の44%を上回っています。 なお、欧州については、ギリシャ問題などでよほど事前の見通しが悪かったのか、「想定より強い」という回答が、「想定通り」を若干上回りました。実際に、為替市場では通貨ユーロが対ドルや対円で持ち直しの動きを見せています。 1か月後の株価見通しは上方シフト 今月の調査では、株式市場のプロは、相場について年内強気見通しだが、足元の米国景気には不安を感じているという姿が見えてきました。 では、目先の日経平均の動きについてはどう見ているのでしょうか。 1か月後の日経平均について、回答の単純平均は1万9584円。4月調査時点に比べて上方修正されました。これは、3か月後、6か月後の予想についても同様です。今回の調査期間の日経平均は1万9467円から1万9791円で推移していました。 今後6か月を想定して、株価に及ぼす影響で注目される要因としては、「金利動向」が大幅に上昇したのに対し、「景気・企業動向」は大きく低下しました。 また、今後注目される投資主体としては、「個人」の注目度が上昇している一方、「企業年金・公的資金」が低下。「外国人」が横ばいとなっています。相場に及ぼすインパクトという点でも、「企業年金・公的資金」は70.8という高い水準を維持してはいますが、3月調査、4月調査に比べて低下傾向をたどっています。 一方、安定的に株価の支えになるとして注目されている主体が「投信」です。3月末時点における投信全体の純資産総額が97兆円と、純資産総額100兆円の大台乗せも目前であり、マーケットに及ぼすインパクトは無視できないものになっています。 運用姿勢はやや様子見気分に 資産運用担当者を対象に、国内株式の組入比率についても伺いました。 通常の基準とされている組入比率に対して、現在の組入比率は「ニュートラル」(中立)という回答比が最も多く、52%を占めました。ニュートラルという回答比は、3月以降、徐々に高まってきています。「オーバーウエート」(基準より多い)、「ややオーバーウエート」、「ややアンダーウエート」(基準より少ない)はいずれも横ばいなので、現状の投資スタンスは様子見ムードが強まっているようです。 また、当面の投資スタンスについても、「現状を維持する」が77%となり、4月調査分の68%よりも上昇しました。反面、「やや引き上げる」、「やや引き下げる」がともに4月調査分に比べて低下。ここからも、投資スタンスの様子見ムードが強まっているのが分かります。

欧州緩和策の行方「現行通り」が過半 国内金利も低下予想(4月調査)

昨年以降、対円や対ドルで下げ基調の続いていた通貨ユーロ。ここにきて下げ止まりの様相を見せています。今年3月に1ユーロ=1.04ドル台まで下げ、パリティ(1ユーロ=1ドル)に達するのではとの見方も出ていましたが、足元では1.13ドル台まで値を戻しています。背景には米国景気への懸念のほか、ドイツ国債利回りの急上昇があると見られています。ドイツの10年国債利回りは4月中旬に0.1%を下回る過去最低水準まで低下しましたが、月末以降に反転し、5月6日には0.6%近くまで水準を上げました。 欧州の金利や通貨ユーロが、今後どうなるのか。やはりポイントは欧州中央銀行(ECB)がどう動くかでしょう。 4月27~30日にQUICKが実施した債券市場に関する月次調査(証券会社および機関投資家の債券担当者149名が回答)では、ECBの量的金融緩和(QE)について質問しました。 ECBの量的緩和、「計画通り現行ペースで」との見方多い 世界的な量的金融緩和を巡る状況について振り返っておきましょう。米国はすでにQEを止め、2015年中にも利上げに踏み切れるかどうか、というところまで来ています。日本は物価上昇の鈍さから、さらなる量的金融緩和政策が行われるとの観測が浮上しています。デフレ色が強まる欧州では、ECBが2016年9月まで、現行の量的金融緩和を継続する意向を示しています。 こうしたECBの意向を受け、昨年以降、ドイツの10年国債利回りが低下傾向をたどり、通貨ユーロもドルや円に対して値下がりを続けてきました。その動きに、足元で変化の兆しが出てきているというわけです。 では、債券市場の参加者は今後のECBの金融政策についてどう見ているのでしょうか。 まず、緩和政策の期間。市場参加者は2016年9月以前に量的金融緩和が終了するとは思っていないようで、回答者の55%が、「計画通り現行ペースで買い入れ継続」と見ています。2016年9月以前に量的金融緩和政策が終了、または減額すると見ているのは、合計で全体の19%にとどまりました。 独10年債もマイナス金利への転落を予想…ユーロの下落基調は持続か 次に、2015年にドイツの長期金利が最低何%まで低下するとみているのか。この点について、回答の単純平均はマイナス0.021%となりました。マイナス金利は、お金を借りた人が、貸した人から金利を受け取るという、従来の金融に対する認識が大きく変わる異常事態といえます。 欧州金利の低下は為替相場にも影響を及ぼし、ユーロの対ドルレートは前述の通りパリティに接近するほど下落し、対円レートも4月半ばに1ユーロ=126円台の前半まで下落しました。欧州金利の低下と急激なユーロ安は、ECBによる量的金融緩和が原因です。 今回の調査結果を見る限り、欧州の金融緩和方針に目先すぐ変化があるわけではないようです。足元でユーロ相場は下げ止まっていますが、依然、下落トレンドの中にある、と考えるべきなのかもしれません。もちろん、日銀が量的金融緩和を行うようであれば、対円でユーロ高へと振れる可能性もありますので、各国の金融政策のバランスに注意を払い続けるべきでしょう。 なお、ECBの量的金融緩和政策が、円債利回りの低下にどの程度影響を及ぼすのかという点についても質問しました。2年ゾーン、5年ゾーン、10年ゾーンについては「大きい」という回答比が最も高く、30年ゾーンに関しては「小さい」という回答比が最も高くなりました。 国内金利見通しは低下…追加緩和への期待高まる 国内長期金利の見通しは、3月調査分に比べてやや低下しました。10年物国債に関する1カ月後の金利見通しは、単純平均で0.326%となり、3月調査分の0.348%に比べて0.022%低下しました。調査期間の国内金利は、新発10年物国債の利回りで、0.295~0.340%で推移しました。 3月調査時点では6カ月先の金利見通しが、2月調査時点に比べてやや上方にシフトしましたが、4月調査では3月調査だけでなく、2月調査における金利見通しをも下回りました。債券市場では、長期金利の低下圧力が強まっています。 日銀が4月30日に開いた日銀金融政策決定会合では、2015~2017年の成長率や物価見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の内容が見直されました。これまで、日銀は消費者物価指数の上昇率を年2%とする物価目標を、「2015年度を中心とする時期に達成する」としていましたが、この表現を「2016年度前半ごろになると予想される」に修正しています。 国内の消費者物価指数は消費税引き上げによる影響を除くと、2%という目標値にはほど遠い状態が続いています。市場関係者による消費者物価上昇率の予測値も低下基調を続けています。物価目標を達成するために、日銀はさらなる量的金融緩和に踏み切るのではないかという市場参加者の見方が、長期金利の低下圧力を強めたようです。 実際、今後6カ月程度を想定した場合の、債券価格の変動要因に関する注目度としては、「短期金利/金融政策」が、3月調査分の37%から42%へと上昇しています。また「物価動向」も6%から9%に上昇しました。 国内債券への投資スタンスもやや強気 資産運用担当者74人を対象に、運用しているファンドについて、国内債券の組入状況を聞いたところ、「通常の基準に比べてどのようになっているか」については、ニュートラル(中立)という回答比が昨年12月調査分から毎月上昇しています。「オーバーウエート」(基準より多い)という回答比は横ばいなので、積極的に国内債券に投資する動きは見られませんが、一方で「ややアンダーウエート」(基準より少ない)が減少しました。当面のスタンスについて聞いたところ、「やや引き上げる」が3月調査分に比べて上昇。一方で「やや引き下げる」が低下しており、今後の量的金融緩和に対する期待感もあってか、国内債券市場に対して強気(価格上昇=金利低下)の姿勢が垣間見られます。

全産業DIは3か月連続で低下…内需業種に期待感(4月調査)

業績上方修正ペースが伸び悩む…全産業DIは3か月連続で低下 アナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(4月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス11になりました。昨年11月から今年1月にかけてプラス24まで順調に改善してきていましたが、2月はプラス16に悪化。3月はプラス14、4月はさらにプラス11と、3カ月連続で数値が低下しており、株式市場の企業業績に対する期待値は伸び悩んでいます。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が縮小したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが鈍っていることを表します。 製造業の業績期待が急減速、非製造業は堅調 コンセンサスDIを製造業、非製造業、金融に分けて、過去半年の推移を見ると、製造業が「14→24→33→16→15→7」と、4月末時点の数値が急低下しているのが見て取れます。一方、非製造業は3月調査分のプラス9から、4月調査分では+14に上昇。インバウンド景気は続いており、小売りの強さが、非製造業の数字を牽引しています。 ちなみに金融は直近、1月調査分のプラス68をピークに下降トレンドに入っており、4月調査分は3カ月連続の下落。DIは3月調査分のプラス38から、4月調査分はプラス24へと、さらに大きく落ち込みました。 輸送用機器がマイナス転落、円高警戒で輸出業への期待鈍る…内需業種は堅調 製造業に対する業績期待の鈍化。その背景として、外部環境が不透明になりつつあることが考えられます。 市場の関心が向かうのは、一時は6月の利上げも噂されていた米国。4月の消費者信頼感指数が市場予想を上回る低下となったほか、第1四半期(1~3月)のGDP速報値は前期比0.2%増に止まり、市場予想の1.0%増を大きく下回りました。市場関係者の間では、利上げ時期の見通しが9月以降に後退。一部では年内利上げも困難との見方が、徐々に広まりつつあります。 米国景気のスローダウンは、日本経済にも影響を及ぼします。多くの日本企業は2015年3月期決算で過去最高益更新が相次いだものの、その一因は、1ドル=120円台まで進んだ円安による影響があることは否めません。ところが米国景気がスローダウンし、利上げが困難になれば、これまで米国の利上げ期待で買われていたドルが売りに転じる恐れがあります。円買いへの巻き戻しは、これまで円安を背景に好転してきた日本企業の業績に影を落とします。4月30日の日経平均株価終値は、こうした背景によって、前日比538円安の大幅安になりました。 コンセンサスDIを業種別でみると、これまで堅調だった輸送用機器(プラス4→マイナス17)がマイナスに転じました。また、マイナスにこそならなかったものの、鉄鋼は3月末のプラス50から4月末は0へと大きく後退。非鉄金属はマイナス幅を拡大(マイナス29→マイナス37)させています。為替の影響を受けやすい製造業は不調に終わりました。 一方、非製造業は、建設(プラス29→プラス43)、小売(0→プラス16)、不動産(プラス33→プラス44)、情報・通信(0→プラス18)といった内需業種が好調です。小売などはインバウンド効果もあり徐々に好転してきています。 液晶2社の明暗続く 予想純利益率の上方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。「日の丸液晶連合」として発足したJDI(ジャパンディスプレイ)が修正率の首位となっています。また北越紀州製紙が修正率33.22%で、上方修正率3位に入ってきました。 銘柄名 修正率 JDI(6740) 52.18% 旭硝子(5201) 47.78% 北越紀州製紙(3865) 33.22% 東京建物(8804) 29.92% コスモ石油(5007) 27.70% 一方、予想純利益率の3カ月比による下方修正率ランキング上位5社は、次のようになりました。 銘柄名 修正率 シャープ(6753) ▲61.24% エーザイ(4523) ▲33.18% クボタ(6326) ▲28.06% 日本セラミック(6929) ▲23.36% マツダ(7261) ▲22.78% シャープは業績の悪化に苦しんでいます。主力である液晶事業は分社化されると共に、2015年度中にも3000人規模の人員削減が行われる予定です。2014年3月期こそ純利益は115億円の黒字となりましたが、会社が公表した2015年3月期の連結業績予想によると、純利益は再び赤字に転じる恐れがあります。シャープは苦戦が続きそうです。

「積極的な株主対話」と「ROE目標」に企業は慎重姿勢(4月調査)

上場企業の景況感が持ち直してきています。 日銀が発表する短期経済観測調査(日銀短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(4月1~14日調査、対象は上場企業368社)分によると、製造業の業況判断DIは前月に比べて3ポイント上昇し、プラス21になりました。将来の業況を示す「先行き」の数値もプラス24と、前月比6ポイントの上昇となりました。 DIは「良い」という回答比率から「悪い」の回答比率を差し引いて、指数化したものです。DIのプラスが大きいほど、景況感が良いと回答する企業の比率が多いことを意味します。 利益幅に懸念…製造業は値上げ進まず 製造業、非製造業とも業況判断DIは、前月比で上昇しました。ただ個別にみていくと、非製造業でじゃ設備や雇用の不足感が目立ち始めているほか、製造業では仕入価格の販売価格転嫁が進んでいないように見えます。 生産・営業用設備の現状では、製造業、非製造業ともに「適正」という答えが多かったものの、DIでは非製造業がマイナス7で、やや不足感が出始めています。雇用も「適正」の回答が多いのですが、DIでは非製造業(前月比4ポイント低下のマイナス39)の不足感が目立ちました。 なお販売価格では、製造業が相変わらずDIがマイナス(前月比3ポイント低下のマイナス12)で、販売価格の下落に歯止めが掛っていません。非製造業もDIはプラス6とプラス圏ですが、前月から6ポイント低下しています。仕入れ価格については製造業、非製造業とも上昇基調なだけに、製造業を中心に、利益幅の縮小懸念が残ります。 金融機関の業況判断DIが大幅に落ち込む 一方で大きく落ち込んだのが金融機関でした。4月調査はプラス33と前月から23ポイントのマイナス、「先行き」もプラス44とプラス圏ですが、前月比で23ポイントのマイナスとなりました。 金融機関は対象企業が9社と少ないため統計にブレが出やすい点を考慮しないといけませんが、景況感の伸び悩みの背景には何があるのでしょうか。長引く超低金利によって、特に銀行は預貸業務の収益性が低下。さらに預貸ビジネスの収益性低下を補ってきた手数料収入についても、金融庁が投資信託の回転売買について釘を刺したことにより、販売戦略の見直しを迫られています。こうした点が、金融機関の業況に影響を及ぼしている面はありそうです。 株主との対話に向けたスタンスはやや「消極的」 4月の特別調査では、「株主との対話」と「自己資本利益率(ROE)の目標導入」という、最近話題となっている上場企業のあり方について、2つの質問に対する回答を得ました。 <設問1> 「株主との対話」について、株主総会の場以外でも株主との間で建設的な対話を行う必要性が挙げられています。貴社の状況をお聞かせ下さい。 1:すでに積極的に対話している・・・・・・9% 2:従来も対話を心がけてきたが、一層積極化させる・・・22% 3:積極的に対話に応じる準備をしている・・・・・・11% 4:必要に応じて対応する・・・・・・54% 5:特に考えていない・・・・・・4% 3月5日に原案が策定されたコーポレートガバナンス・コードでは、企業が株主との間で建設的な、目的を持った対話を行うという考え方が導入されました。これによって企業は、株主との間で建設的な対話を促進するためのルール作りが求められ、さらにそのための体制整備や取り組みに関する方針を検討し、かつ明文化する必要があります。また、「コンプライ・オア・エクスプレイン」といって、ルールに従うか、従わない場合はその理由を説明しなければなりません。 「企業は株主のもの」と言われながらも、これまで多くの企業は、株主に対する説明責任をはじめとする意識が希薄でしたが、コーポレートガバナンス・コードの導入は、改めて株主の立場を明確にするものとして注目されます。 ただ、企業側としては、まだ消極的な姿勢を崩していません。「特に考えていない」の4%は論外にしても、「必要に応じて対応する」という、対処療法的なスタンスを取っている企業が、まだ54%も存在しています。今後、同コードの導入によって、企業側のガバナンスに対する認識がどう変化していくのか、注目されるところです。 ROE目標の導入には慎重姿勢 <設問2> 「ROE」の目標と導入する企業が増えています。貴社では目標を設定する予定がありますか。 1:すでに導入した・・・・・・17% 2:検討中・・・・・・43% 3:現時点で導入する予定はない・・・・・・40% ROEは、企業が株主資本をいかに有効活用して、高いリターンを上げているのかを示す指標のひとつです。ROEを高めることは、企業のオーナーである株主の利益最大化を図ることにつながりますが、それは設問1でも触れたコーポレートガバナンスにも直結するテーマになります。 ただ、「すでに導入した」という回答比が17%に過ぎないのは、目標未達に際して経営責任を問われることに対する懸念が、企業側に根強いことを示しています。 とはいえ、2014年1月から算出がスタートした「JPX日経インデックス400」は、組入条件のひとつとしてROEの向上を挙げています。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など機関投資家がインデックス運用を行う際のベンチマークにJPX日経インデックス400を導入する動きも広まりつつあるだけに、株価に対して意識せざるを得ない企業側としても、今後はROE向上に関するプレッシャーが高まっていくものと思われます。

中国GDP「下振れ」予想が7割…米利上げ時期も後ずれか(4月調査)

株式市場や外為市場の関心事である米国の利上げ時期。これまで想定されていた「6月」から「9月」に後ずれするとの見方が増えており、市場の見通しが変化してきています。 4月のQUICK月次調査(4月6日~9日実施、金融機関、運用会社および事業法人の外為担当者90名が回答)では、米国の利上げ時期について、「9月」とした回答が最多となりました。3月調査では「6月」とした回答が最多でした。 後ずれする米利上げ時期 量的金融緩和を休止している米国FRBにとって、金融正常化に向けての次のステップは、やはり「利上げ」。欧州や日本など、他の国・地域ではまだ量的金融緩和から脱け出せずにいる状況ですが、ここからいち早く脱した米国が、他の国・地域に先駆けて金融正常化に動けるのかどうか。マーケットの関心事となっています。 具体的な利上げ時期を「6月」と見る向きが圧倒的に多かったのですが、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米国景気の先行きに対する慎重論が強まりました。結果、一時は「6月にも」と言われていた利上げ(=ゼロ金利からの脱出)時期が、後ずれするムードが、市場参加者の間に広がりつつあります。 今回のアンケート調査で、米FRBが利上げに踏み切る時期について最も多かったのが「9月」で59%、次いで「12月」が14%となりました。また、前回調査では45%と最も多かった「6月」については、8%へと大幅に減少しています。マーケット関係者の間では、すでに「6月利上げ説」は過去のものになろうとしています。 また、「2016年以降」という回答比も8%を占めており、年内利上げさえもが難しいのではないかとする見方もあります。米国景気の先行きに対する懸念が、徐々に強まっているムードを感じさせます。 実際、4月3日に発表された3月の雇用者数の伸びは市場の予想を大幅に下回りました。また企業の設備投資の先行指標とされる「コア資本財受注額」は、昨年8月をピークにして6か月連続のマイナスを記録しています。こうしたことから、米国の景気はすでにピークを打ったのではないかとの見方も出てきました。 そして、米利上げへの疑念を誘うもう一つの要因が、中国です。 米景気に影を落とす中国経済 中国政府は2015年のGDP成長率目標を7%程度としていますが、これに対して実際にはどうなるのかを質問してみました。 回答は「小幅に下振れ」が64%、「大幅に下振れ」が5%と、合わせて約7割が政策目標を下振れするという予想になっています。「想定通りに着地」が31%です。 また、「中国景気の減速が米利上げ時期やペースに及ぼす影響をどう考えますか」という質問に対しては、「ややリスク」という回答比が70%、「リスク大」が11%を占めました。中国経済のスローダウンは、米国経済にとっても例外ではなく、仮に大幅な減速となれば、米国の利上げタイミングは大幅に後ずれする恐れがあります。 中国経済の情勢次第では、米国の利上げ時期が2016年以降にずれるのも、現実問題となる恐れがありそうです。 ドルの買い意欲が後退 ドル/円の1か月後の予想について、金融機関の外為業務担当者に聞いたところ、単純平均で120円となりました。調査期間中のドル/円は118円81銭~120円39銭。ちなみに3月調査の1か月後単純平均は121円30銭だったので、円高方向にシフトしています。 これまで円安ドル高が進んできた背景には、米国がいよいよ利上げに踏み切るとの見方がありました。ですが、前述したように米国経済がそろそろピークを迎えるのではないかというムードが強まるなか、利上げの時期が後ずれする可能性が浮上してきており、ドルの買い意欲が後退したようです。 なお、ドル/円の予想値の単純平均は、6月末が121円06銭、9月末が122円57銭と円安予想になっていることから、市場参加者の間ではまだ、年内の米利上げと円安基調の継続が有力視されているのが分かります。 一方で弱いのがユーロ。金融機関の外為業務担当者へのアンケートでは、単純平均で4月末が130円01銭、6月末が129円70銭、9月末が129円65銭となっており、円高・ユーロ安の推移となりそうです。 「ヘッジ比率維持」の回答が100% 外貨建て資産の組入れについては、積極姿勢が一服しています。「オーバーウエート」(基準より多い)とする回答が減少(58%→38%)。対して「ニュートラル」(中立)という回答比は、前回調査時の42%から54%に増加。直近数か月0%が続いていた「アンダーウエート」(基準より少ない)も8%に増加しています。 為替ヘッジの当面のスタンスについては、「現在のヘッジ比率を維持」が100%となり、「ヘッジ比率を上げる」、「ヘッジ比率を下げる」については0%となりました。外貨建て資産は円安が進むと、円建ての評価額が上昇しますが、逆に円高になると為替差損が発生します。また、ヘッジは円高に振れた場合の損失限定の意味合いがあります。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

株式相場、「クジラ」の影響は「新年度も継続」(4月調査)

近づく消費税率10%、「クジラ」はどう動く? 株式市場での関心事は引き続き「5頭のクジラ」、つまり年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、共済年金、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、そして日銀という、巨額資金による日本株買いの動きです。 「クジラ」への関心が続く理由の一つが「消費増税」とされています。というのも2017年4月に先送りされた消費税率10%への引き上げは、景気動向による更なる先送りが出来ません。政府は税率引き上げについて不退転の姿勢を打ち出しており、2016年度中にも物価上昇率の2%目標、景気のさらなる回復を、なんとしても達成しておきたいところです。物価目標や景気回復について「半ば政治公約化した」と見る声もあります。 となると、株式市場では「政府は株価を支える動きに出てくる」との思惑が出やすくなります。すでに公的資金による日本株買いが効果を表しており、日経平均株価は2万円目前まで上昇しています。 この先、「クジラ」の影響がどれだけ続くか。今回はこの点について株式市場のプロに尋ねてみました。 「クジラ」の影響は新年度も継続 株式市場を対象にした今回のQUICK月次調査(調査期間は3月31日から4月2日、証券関係者および機関投資家の株式担当者176名が回答)では、公的資金が株価に及ぼす影響について調査しました。 まず、現状の株式相場への影響の確認です。公的年金の基本ポートフォリオの見直しや日銀のETF買い入れによる国内株式相場への影響について、「下値を支えている」とした回答比が全体の62%、次いで「上値を押し上げている」という回答比が38%を占めました。「影響なし」の回答は1%にとどまりました。 また、「影響なし」以外を選んだ回答者に対して、「その影響はいつまで続くと思いますか」と問うたところ、「2015年度下期」という回答比が最も多く、全体の42%を占めました。次いで、「2015年度上期」が25%、「2016年度」が21%となっています。つまり、株式市場関係者の9割(91%)が、影響は2015年度(2015年4月から始まる年度)以降も持続すると考えているということです。 株式市場関係者の認識として、公的資金による日本株買いの効果はあり、その影響は2015年度、つまり4月から始まる新年度も続くという見方が大勢となっています。 そこで、「あなたが運用担当者なら各資産の新年度の運用を2014年度と比べてどう変えますか?」という問いを実施してみました。国内株式は全体の61%が、「増加」と答えました。また「変えない」が31%、「減少」が8%となり、総じて国内株式への投資比率を高める動きが顕著になりつつあります。一方で、国内債券については「減少」が73%。巨額資金の動きに追随する格好で、債券売り・日本株買いの動きはまだまだ続きそうです。 業績で説明つかない株価上昇は「クジラ」のせい? 巨額の資金が淡々と日本株を買うと、割高にも関わらず株価が上昇する、という現象が起こる可能性があります。実際、業績や投資指標に関係なく上昇する銘柄が増えてきている、という現象を指摘する声も増えてきています。 その背景については、「公的年金や日銀の買いを見越した投資家の影響が大きい」という回答が47%を占め、「公的年金や日銀の買いが直接影響している」(27%)を上回っています。 説明のつけにくい株価上昇については、巨額資金の動きというよりも、その動きを先取りしようとする投資家の動きが影響している、という見方が優勢なようです。また、公的年金の運用姿勢の見直しによる影響ではなく、株価指数に準じて投資する「パッシブ投資」の手法が多様化するなど「世界的な投資選好の変化によるもの」という冷静な見方もあります。 新年度入りの株式相場、目先の注目は決算と個人 さて、回答者による1カ月後の日経平均株価予想は、1万9263円となり、前回調査の1万8831円から上方にシフトしました。調査期間中の日経平均株価は1万9607円まで上昇しています。ちなみに3カ月後の日経平均株価予想は1万9510円、6カ月後は1万9811円となり、いずれも前回調査に対して上方シフトしています。 今後6カ月程度を想定した、最も注目している株価変動要因は「景気・企業業績」が61%となり、前回調査分の54%から大幅上昇。4月後半から5月中旬にかけて発表が相次ぐ主要企業の通期決算に対して関心が高まり始める時期です。他の要因は「金利動向」、「政治・外交」、「海外株式・債券市場」が微減、「為替動向」が微増となりました。 注目する投資主体としては、「外国人」(70%)と「企業年金」(23%)が引き続き大半を占めています。株価への影響度を示す指数(株価上昇要因としての注目が高いほど指数も高い)をみると、「個人」が5ポイント上昇、「投信」が3ポイント上昇しており、いずれにしても個人資金の動きが、新年度相場前半の注目点になりそうです。 新年度相場、プロの投資姿勢は若干強気に 資産運用担当者69名に、国内株式組入れの現状と今後のスタンスについて聞きました。新年度入りした影響か、買い余力が回復している印象が見て取れます。 国内株の組み入れ比率については、「ニュートラル」(基準に対して中立)という回答が前月から大幅増(37%→50%)。「基準に対して多い」とする回答(「かなりオーバーウエート」「ややオーバーウエート」の合計)が低下(53%→35%)、「基準に対して少ない」とする回答(「ややアンダーウエート」「かなりアンダーウエート」の合計)が増加(10%→16%)となっています。 また今後のスタンスについては、「現状を維持する」が低下(73%→69%)し、「かなり引き上げる」「やや引き上げる」が増加(合計で16%→21%)。一方、「やや引き下げる」「かなり引き下げる」が変わらず(同10%→10%)となりました。 今後の株価動向にもよりますが、新年度相場入りで、市場参加者の動きがやや強気になりつつあるようです。

小売業の業績懸念は一服か…液晶2社は明暗くっきり(3月調査)

全産業DIは伸び悩み…業績上方修正ペースが鈍化 アナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(3月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス14になりました。昨年11月から今年1月にかけてプラス24まで順調に改善してきていましたが、2月末はプラス16に悪化。今回発表された3月末分はさらにプラス14と、市場の企業業績に対する期待値がやや伸び悩み始めています。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が縮小したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが鈍っていることを表します。 金融業の鈍化目立つ、小売など消費系業種が持ち直す コンセンサスDIを製造業、非製造業、金融に分けて、過去5カ月間の推移を見ると、製造業が「14→24→33→16→15」と伸び悩んでいます。一方で金融は「50→46→68→58→38」と、3月末が大幅低下になりました。金融を業種別にみると、銀行が2月末時点のプラス42から、3月末はプラス17に急低下しています。一方、非製造業がじわじわと改善を続け、全体を支えています。 好転の兆しを見せているのが、小売や医薬、食料品といった消費関連業種です。小売は消費増税等の影響が懸念されてきた業種ですが、前月末のマイナス12から±0まで改善。アナリストの業績懸念が一巡したと言えそうです。小売は、為替レートが現行水準を維持できれば、訪日外国人観光客の増加によってインバウンド消費に対する期待感も高まるため、さらなる数値の改善も期待できそうです。医薬品もマイナス圏から±0に浮上、食料品もマイナス25からプラス5に転換しました。 建設(プラス22→プラス29)や化学(プラス26→プラス33)も改善しました。卸売は3月調査で-46と、まだマイナス圏ではありますが、2月調査の-67に比べれば改善の兆しが見え始めています なお、業種別に見ていくと、算出対象となる16業種のうち、DIがプラスは10業種、DIがマイナスの業種は3業種で、変わらずは3業種でした。総じてみれば、上方修正銘柄が上回っている業種が多く、勢い自体は鈍っているものの、企業の経営環境に対する市場の見方は強気方向であると考えられます。 JDIとシャープで明暗…厳しい環境続くセガサミーHD 予想純利益率の上方修正率ランキング上位5社は、次のようになりました。中部電力は前月に引き続き、上方修正率ランキングのトップです。 銘柄名 修正率 中部電力(9502) 85.73% JDI(6740) 65.34% 旭硝子(5201) 50.88% 東京ガス(9531) 36.10% 井英製鋼(5440) 35.10% 注目したいのは「日の丸液晶連合」として発足したJDI。同社は、昨年12月末時点における下方修正率ランキングで首位になった企業です。それが、3月末時点では逆に65%の上方修正となり、上方修正率ランキングの2位に入りました。ちなみに、JDIの2015年3月期は最終赤字になる一方、2016年3月期には最終黒字に転換するというのが、アナリストの見通しです。 JDIのように昨年12月時点で下方修正率上位にいたにも関わらず、3月時点で上方修正率上位に顔を出したものとして、上位20位までを見るとコスモ石油(5007)があります。 一方、予想純利益率の下方修正率ランキング上位5社は、次のようになりました。 銘柄名 修正率 シャープ(6753) ▲63.46% グリー(3632) ▲32.98% セガサミーHD(6460) ▲30.92% イオン(8267) ▲28.42% クボタ(6326) ▲27.12% 下方修正が厳しいのはセガサミーHDで、昨年9月時点の予想純利益は274億円。これが昨年12月時点で191億円になり、下方修正率は30%を超えました。さらに3月時点では132億円と、昨年12月比でさらに3割強の下方修正となっています。30%台の下方修正率が続いている点が、セガサミーHDを取り巻く経営環境の厳しさを物語っています。 また上方修正のトップがJDI、下方修正のトップがシャープと、国内液晶大手2社の業績に明暗がついているのは、興味深い点です。両社は最大市場の中国でスマホ需要を奪い合う競合ですが、単独で戦ってきたシャープが落ち込み、政府主導で生まれたJDIが浮上してきているという構図となっています。

年金「クジラ」の影響は?株価に顕著、金利は日銀が相殺か(3月調査)

「5頭のクジラが株式市場を泳いでいる」。昨今の国内株式市場について、このような表現が行われることがあります。「クジラ買い」などとも言われますが、これは要するに、巨額の資金で株式を買っている、日本の公的資金を表現しています。具体的には世界最大の公的年金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のほか、共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、そして日本銀行です。 このところ日本の株価は堅調で、日経平均株価2万円台乗せも視野に入ってきました。この種の公的資金の存在が背景にあるというのが、市場の基本的な認識となっています。 3月24~26日に実施したQUICK月次調査(証券会社および機関投資家の債券担当者147名が回答)では、この「クジラ」のうちGPIFや共済といった「公的年金」に関する特別アンケートを実施。公的年金の基本ポートフォリオ(資産構成割合)が見直されたことによって、株式市場や債券市場にどのような影響が生じているのかを聞きました。債券市場のプロの声から、年金「クジラ」の実態に迫ってみましょう。 年金「クジラ」の影響は株式市場で顕著…債券市場は「日銀」が相殺 昨年10月、GPIFは基本ポートフォリオの見直しを実施。国内債券の割合を大幅に引き下げた一方、国内株式や外国債券の比率を拡大しました。この変更に呼応するように、各共済に見直しの動きが波及してきています。 公的年金の基本ポートフォリオ見直しによって、国内株式市場、国内債券市場に現在、この影響がどの程度あるか。月次調査の回答を見ると、国内株式市場に対しては58%が「かなりある」、39%が「すこしある」となり影響を感じる声が多数に上りました。一方、国内債券市場は65%が「少しある」、26%が「影響なし」と答えており、影響は少ないようです。 本来、国内債券から国内株式に運用資金を移すとなれば、株価が上昇する一方で債券価格は下落(長期金利は上昇)するはずですが、現状、長期金利はそれほど上昇しておらず、0.3%台で推移しています。この背景には、日銀による長期国債買いがあるという意見がもっぱらで、国内債券市場に関して言えば、公的年金の売りを日銀の買いが支える形になっているようです。 一方、国内株式相場については年金「クジラ」と日銀「クジラ」がともに買い圧力となっているので、影響も強く実感できるのでしょう。「クジラ」が協力して、株式相場の押し上げ、金利上昇の抑制(債券価格の維持)に動いている、というような構図を見て取ることも可能です。 「クジラ」の影響はいつまで?債券市場のプロも読み切れず 今後、公的年金の基本ポートフォリオ見直しの影響がどこまで続くのか、という点についても尋ねました。この質問については、国内株式市場、国内債券市場ともに見方が分かれました。 国内株式市場に関しては、4~6月が21%、7~9月が25%、10~12月が30%、2016年が21%となり、2016年以降も続くという見方も含めて、時期的に分散しています。国内債券も、4~6月が20%、7~9月が28%、10~12月が26%、2016年が18%となり、こちらも国内株式市場と同様、時期が分かれています。 どの時期に比べても高い数字がないということは、それだけマーケット関係者の見方が分かれており、現時点で影響がどこまで続くのかについては、はっきりしていないことを示しています。 なお、「あなたが運用担当者なら各資産の新年度の運用を2014年度と比べてどう変えますか」という問いに対しては、国内債券は「減少」(54%)、海外債券は「増加」(45%)、国内株式は「増加」(64%)、海外株式は「増加」(51%)というのが、それぞれ最も多い回答比となりました。総合すると、国内債券から株式など比較的リスクの高い商品に資金を移す動き、つまり年金「クジラ」の動きに追随する格好と、捉えることができます。 市場の関心は日銀の金融政策に集中 今回の調査における長期金利の予測値は以下のグラフのようになりました。まず1か月後、3か月後、6か月後の新発10年国債利回りですが、1か月後、3か月後についてはやや下方シフトする一方、6か月後についてはやや上方にシフトしました。なお、今回の調査期間中、新発10年国債利回りは0.305~0.330%で推移しました。 債券価格の変動要因で注目される要因について聞いたところ、2月調査分に比べて「短期金利/金融政策」(回答比は30%→36%)に対する注目度が上昇する一方、「景気動向」(同8%→5%)、「物価動向」(同9%→6%)の注目度は低下しました。 価格への影響を考慮した指数(価格上昇要因としての期待が強いほど値が大きい)の水準は「短期金利/金融政策」が73.6と高止まりしており、当面、日銀の金融政策が債券価格にプラス(利回りは低下)の影響を及ぼすものと考えられます。 次に「今後6か月を想定して、最も注目している投資主体は何か」という設問については、「政府・日銀のオペレーション」(同42%→46%)、「年金資金」(6%→10%)の注目度が上昇する一方、「都銀・信託銀行(投資勘定)」(24%→20%)の注目度は低下しました。価格影響を考慮した指数も相変わらず「政府・日銀のオペレーション」が81.6という、高い指数の水準を維持しています。 今後の長期金利を見るうえでのポイントは、日銀の金融政策に集約されていると言ってよいでしょう。その日銀の「目標」である物価指標ですが、債券市場の予測値は低下傾向にあり、目標値の「2%」という数字からどんどんと乖離してきています。日銀の次の一手が見えてくる時期は、そう遠くないのかもしれません。 プロの債券運用スタンスは当面中立 ディーリング部門を除く資産運用担当者へのアンケートで、現在の債券の組入比率が、通常の基準に比べてどうなっているのかについて聞くと、「ニュートラル」(基準指標に対して中立)が微増、「ややアンダーウエート」(基準指標よりも少ない)が微減という結果になりました。明らかなオーバーウエート、アンダーウエートは非常に少数であり、現状はほぼニュートラルに近い状態での運用が行われています。 また、当面のスタンスについては、「現状を維持する」が前回調査に比べて微減したのに対し、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」がそれぞれ増加しました。こうした点からも、債券市場に対する見方が分かれているのが伺われます。

「採用増やす」企業は全体の25%…雇用増の本格化に期待(3月調査)

トヨタ自動車(7203)は3月11日、2015年度の採用計画(新卒は16年春入社)を発表しました。15年度の従業員採用の計画総数は前年度比3割増の2275人と、リーマン・ショック前に計画を策定した08年度に次ぐ規模となります。2015年春季労使交渉でもベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分について月4000円と、02年以降の最高額で決定しました。円安で収益改善が進む輸出型製造業が攻めの姿勢を見せており、日本経済にとって明るい話題と言えます。 日銀発表の短期経済観測調査(日銀短観)に先行して作成されるQUICK短観の3月発表分(調査対象は計369社)をみると、製造業の景況感を示す業況判断DIは前月に比べて2ポイント上昇し、プラス18になるなど、景況感の改善が進んでいます。消費増税の影響で昨年春先から低下傾向をたどってきた全産業の業況判断DIも、ようやく底を打って改善の兆しを見せるようになってきました。統計にも徐々に明るさが見え始めています。 では、トヨタのような採用増・賃金改善の動きは上場企業全体にどれほど波及しているのでしょうか。今回のQUICK短観で特別質問として、上場企業に聞いてみました。 採用予定「横ばい」が7割弱…製造業の本格的な採用増はこれから まず採用予定の動向です。ほぼ横ばい予定の企業がまだまだ多いようですが、25%の企業が「増やす予定」と回答しました。非製造業中心に、採用を増やす動きが出てきています。 <設問1> 貴社では、2016年春採用(2016年4月入社)予定の社員数は、前年に比べてどのようになりますか。 1:増やす予定・・・・・・25% 2:ほぼ横ばいの予定・・・67% 3:減らす予定・・・・・・8% 円安効果による企業業績の改善もあってか、日銀の黒田総裁は日本経済について「完全雇用(現在の賃金水準で働きたい人が全て雇用されている状況)に近い」と発言しています。 QUICK短観でも雇用人員の現状に関する設問がありますが、製造業は現在の雇用について「適正」という回答比が8割近くある一方、後述しますが、不足感がじわりと高まってきています。非製造業では「不足」は4割に上り、「適正」は6割弱にとどまっています。 堅調な雇用や賃上げの動きは個人消費の活性化、ひいては国内景気全般を押し上げる効果が期待でき、株価にも反映されてくるでしょう。一方、建設や外食など一部業種では、雇用不足は高賃金の提示による労働力確保の動きにつながり、企業にとってコスト高を招きます。コスト増を招く恐れのあるセクターについては、業績への影響を注視する必要がありそうです。また、製造業の採用増がどのタイミングで本格化するかは、今後の日本経済への影響を占ううえで重要なポイントとなってくるでしょう。 手元資金の従業員還元はまだ先 次は、従業員への還元についてです。従業員への還元に重点を置く企業はまだ1割に満たず、やはり中心は設備投資や研究開発。手元資金の積み増し方針の企業も2割近く存在するようです。 <設問2> 貴社では今後、手元資金をどの分野に特に重点的に配分する方針ですか。 1:設備投資や研究開発投資・・・・・・・・46% 2:給与や賞与の増額など社員への還元・・・9% 3:配当の増額など株主への還元・・・・・・12% 4:当面は手元資金を積み増して備える・・・19% 5:手元資金に余裕はない・・・・・・・・・14% リーマンショック後、資金繰りに窮した経験のある企業は、どうしても手元流動性を高めておきたいという意識が、未だに強く働くようです。企業が設備投資や研究開発投資に手元資金を振り向けるのは当然のことだとしても、「当面は手元資金を積み増して備える」という回答比が19%も占め、「給与や賞与の増額など社員への還元」という回答比を大きく上回ったことからも、それを強く意識させる結果になりました。 アベノミクスがスタートして2年と4カ月が経過。2013年4月、2014年10月に行われた質的・量的金融緩和は、金融政策面から景気の下支えを行うのが目的で、実際、この間に進んだ円安、株高により、その目的は徐々に達成されつつあります。 ただ、問題は金融政策による下支えをしている間に、実体経済の着実な回復を図れるかどうかという点です。実体経済が着実に回復するためには、雇用環境の回復が何よりも待たれるところです。それは、端的に言えば賃金の引き上げです。すでに、春闘でベースアップ回答をしている企業が出始めていますが、この点を抜きにして個人消費の改善は期待できません。したがって、今後は社員への還元が加速するかどうかという点が注目されるところです。 景況感指数は改善したが…業況「さほど良くない」が6割超 特別質問の回答を見る限りでは、採用増や従業員への利益還元に対して積極的とは言えない企業が多いことが分かります。QUICK短観の回答を細かく見ていくと、企業が慎重姿勢である理由が見えてきます。 確かに全産業の業況判断DIには底打ち感があり、前月比では、製造業が微増(プラス16→プラス18)で、非製造業が変わらず(プラス20→プラス20)。金融機関が突出して大幅な伸び(プラス36→プラス56)となりました。金融機関については調査対象の母数が9社と少ないため、ブレが大きくなる可能性がある点には留意しておいてください。また先行きについては、製造業が変わらず(プラス18→プラス18)で、非製造業が微増(プラス22→プラス24)。金融機関が大幅な伸び(プラス36→プラス67)を見せています。 このようにDIだけをみると明るさが見えますが、景況感の改善は一部企業にとどまっている可能性もありそうです。というのもDIは業況判断の「良い」から「悪い」を差し引いたものであり、「さほど良くない」という回答比は数字に反映されません。 実は製造業、非製造業ともに、「さほど良くない」という回答比が6割を超えています。現状、企業の景況感改善は一部企業限定で、裾野はまだまだ狭いと判断しておいた方がよさそうです。 製造業でも人員不足感がじわり強まる さきほど触れた雇用状況について、QUICK短観の回答内容をもう少し深く見ておきましょう。 雇用については3割が「不足」、7割弱が「適正」と回答。非製造業を中心にまだ不足感がある状況です。とはいえ、製造業もDI(「過剰」の回答比から「不足」の回答比を差し引いた指数、マイナスだと不足感がある)をみると、マイナス9と前月からマイナス幅が6ポイント増えています。求人意欲が高まる兆しが見てとれます。 景況感改善の裾野が広がるにつれて、この人員不足感が採用増や賃金増という企業行動として、徐々に現れてくる可能性があります。そうなれば、日本の景気改善はさらに弾みがつくと考えることができます。 なお、企業物価については、仕入価格については全体の6割が「もちあい」と答え、製造業・非製造業ともに上昇とする回答比が3割を超えました(製造業32%、非製造業38%)。一方、販売価格については、「もちあい」の回答が7割を超えていますが、DI(「上昇」の回答比から「下落」の回答比を差し引いた指数)をみると製造業が下落優勢(マイナス9)、非製造業が上昇優勢(プラス12)となっています。非製造業先行で、販売価格への転嫁が進んでいると考えられそうです。 消費者物価指数の見通しについては、2月調査と同様、1年後で1%程度という回答比が大勢を占めました。

注目の3月FOMC、8割が「忍耐強く」の文言削除を予想(3月調査)

FOMCの焦点は「忍耐強く」…削除なら利上げへのカウントダウン開始 3月17~18日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、声明文に盛り込まれる「フォワードガイダンス」の内容が注目されています。フォワードガイダンスとは、「時間軸政策」などと称されていますが、要するに、先行きの金融政策の指針を示したものです。 昨年12月に行われたFOMCでは、ゼロ金利政策を解除できる状態になるまで「忍耐強く待つ(be patient)」という表現が初めて盛り込まれました。今年1月のFOMCの声明文にも盛り込まれています。そして、これをイエレンFRB議長は、「少なくとも次の2回のFOMCにおいて、利上げしないという意味だ」と念押ししました。 2015年のFOMC開催月は、1月、3月、4月、6月、7月、9月、10月、12月となっています。1月時点のFOMCで「忍耐強くなれる」が盛り込まれ、それが「少なくとも次の2回のFOMCにおいて、利上げしない」という含意があるならば、「3月と4月は利上げをしない」と読むことができます。 そうなると、次の利上げのタイミングとしては、6月か9月ということになりますが、イエレン議長は「FOMCの想定通りに経済情勢が改善し続ければ、どこかの時点で利上げを検討し始めるだろう。そして、その前にFOMCはフォワードガイダンスを変更するだろう」とも述べました。つまり3月17~18日のFOMCで、フォワードガイダンスから「忍耐強くなれる」という文言が削除されれば、少なくとも市場参加者は「いよいよ利上げまでカウントダウンが開始された」と考えるはずです。 8割の回答者が「忍耐強く」の削除を予想 さて、QUICKが3月9~12日にかけて行った月次調査(金融機関、運用会社および事業法人の外為担当者88名が回答)では、3月17~18日開催のFOMC声明で「『忍耐強くなれる』との文言を削除すると思いますか」という質問を実施。80%が「削除する」と答えました。 また「3月のFOMCで『忍耐強くなれる』との文言を削除する場合、FRBの利上げ開始に向けたスタンスをどう解釈しますか」という問いに対しては、58%が「金融政策のフリーハンドを確保するための措置」と答え、「今後数回の会合での利上げを意識した措置」という回答(42%)を上回りました。 そのうえで、FRBが利上げに踏み切る時期については、「6月」とする答えが45%を占めてトップに。次いで「9月」が31%を占めています。ちなみに2016年以降という回答は2%にとどまっており、いずれにしても年内利上げのムードが濃厚です。 市場はドル一強状態を予想、予想レートも円安・ドル高方向へ 調査期間中のドル円は1ドル=120円62銭~122円03銭で推移しました。122円台を付けたのは7年8か月ぶりのことです。 これを受けて、市場参加者の見方も円安ムードに傾いています。金融機関・外為業務担当者の1カ月後の見通しは単純平均で、前回調査の119円19銭から121円30銭へと円安にシフトしました。また、6月の米利上げを意識してか、8月末のドル円については、123円24銭を予想しています。 向こう6カ月間の対円での値動きについてDI(上昇予想との回答比から下落予想の回答比を引いた指数、金融機関・外為業務担当者)をみると、米ドルDIが57から69に上昇する一方、ユーロはマイナス39からマイナス52へと大幅下落。ドル高・円安の一方で、ユーロ安・円高が進むとの見通しとなっています。スイスフランや豪ドル、NZドルもマイナス幅を広げました。現状、ドルが一強状態となっていると同時に、大半の通貨DIがマイナス(円高)という見方が強くなっています。ドル>円>その他通貨という構図ととらえることができます。 円安・ドル高見通し受けて外貨資産にも強気傾向 外貨建て資産の組入れについては、「オーバーウエート」(基準より多い)とする回答が大幅に伸びました(27%→58%)。同回答比は昨年11月が57%と高く、そこから低下が続き、前回調査時には27%まで低下していましたが、3月前半にかけてドル高円安が続いたこともあり、外貨建て資産の組入れに対して積極姿勢が見られます。対して「ニュートラル」という回答比は、前回調査時の73%から42%へと低下しました。 ただ、為替ヘッジについては慎重姿勢も見られ、現在のヘッジ比率を維持するという回答比が91%となり、前回調査の62%から大幅に上昇。ヘッジ比率を下げるという回答比は15%から9%に低下しました。外貨建て資産は円安が進むと、円建ての評価額が上昇しますが、逆に円高になると為替差損が発生します。また、ヘッジは円高に振れた場合の損失限定の意味合いがあります。 また、通貨別の組入れ比率について、当面のスタンスを聞いたところ、米ドルは大幅なオーバーウエート(回答比が92%)、ユーロとスイスフランはアンダーウエート(基準より少ない)の傾向が強まっています。資源国通貨と新興国通貨はDI(オーバーウエートの回答比からアンダーウエートの回答を差し引いた指数)のマイナスがゼロへと改善しました。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

東証公表の企業統治ルール案、形骸化の回避が課題に(3月調査)

株式投資をされている方は、「コーポレート・ガバナンス」という言葉をご存知でしょうか。日本では「企業統治」と訳されることが多く、「株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」(コーポレートガバナンス・コード原案より引用)を意味する言葉とされます。 要するに、株主や従業員、取引先といった様々な利害関係者のほか、経済全体との関係を考慮したうえでの企業経営の仕組み、ということです。 さて、東京証券取引所と金融庁は、昨年8月からこの3月まで「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」を開催し、先週の3月5日に「コーポレートガバナンス・コード原案」を公表しました。コードとは規則とか規定、という意味を持つ言葉です。 このコーポレートガバナンス・コードは、上場企業の持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上を目標として制定されたもので、企業が自律的な対応を図ることにより、会社や投資家、ひいては経済全体の発展に寄与するきっかけを作るものとして注目されています。このコードを導入した企業においては、適切な情報開示や透明性の確保、株主との対話、あるいは独立社外取締役の責務など、さまざまな面での「原則」を考慮した企業経営を執り行うことが求められ、かつコードを実施するか、しない場合はその理由を説明することが求められます。 形骸化に懸念…実行性あるコードの施行が求められる 今回のQUICK月次調査(証券会社および機関投資家の株式担当者271名が対象、うち回答者は174名、調査期間は3月3~5日)では、「企業統治ルールの評価」について、質問しました。 「コーポレートガバナンス・コード原案」に先立つ2月24日、東証が公表したコーポレート・ガバナンスルールの原案では社外取締役を2人以上選任するよう促しており、今回公表された「コーポレートガバナンス・コード原案」にも同様の記載があります。この点について、「賛成」が47%、「会社によって状況が異なるため一概に言えない」が50%を占めました。賛成多数にはならなかったものの、明確に反対しているのは1%に止まっており、おおむね賛成であると考えられます。ルール全体についても、「おおむね評価できる」の回答が7割を超えました。 ただ、社外取締役について、一部には「形式的なイエスマンの選任であれば意味がない」との意見もあり、社外取締役の複数化が実現した場合、企業と社外取締役との間で緊張感のある関係構築が可能かどうかが問われそうです。 実際、社外取締役にふさわしい人材を確保できるかという問いに対しては、69%が「一部の企業は確保できる」と回答。「一部」という条件付き肯定が多数を占めており、社外取締役の人材確保が難しいことを示唆しています。 これは、株主との対話についてどう考えているかという問いに対して、「形式的な対話にとどまる」が全体の62%を占めていることとも重なりますが、社外取締役を複数選任したとしても、それが形式的なものでは、コーポレートガバナンス・コードが機能しなくなる恐れがあります。ルール全体の評価については「おおむね評価できる」と言う回答が72%と多数を占めているだけに、今後は実効性のあるルールの施行が求められます。 株価予想は上方修正、決算動向と企業年金・公的資金の動向に注目 株式相場に目を戻しましょう。3月の決算期末にかけて、国内株式市場は活気を取り戻しつつあります。恒例の日経平均株価予想について聞いたところ、今回の調査では、1カ月後の日経平均株価予想は1万8831円となり、2月調査分に比べて大幅に上方修正されました。ちなみに、調査期間中の日経平均株価は、1万8586円から1万8910円で推移しています。 3カ月後の日経平均株価については1万8811円。6カ月後については1万9085円を予想。いよいよ2万円台が視野に入ってきました。 株価変動要因の注目度は、「内部要因・市場心理」と「海外株式・債券市場」が共に上昇。「景気・企業業績」と「金利動向」、「為替動向」が低下しました。ただ、株式相場に与える影響度を考慮した指数(プラスが大きいと上昇要因として注目)をみると「景気・企業業績」が73.8で、中立である50を大きく上回っています。2015年3月期決算については、過去最高益を更新する企業が多いと見られる一方、4月に入ると2016年3月期決算の見通しを発表する企業も出てくるため、さらなる増益見通しになるのか、横ばい、あるいは減益見通しになるのかによって、今後の株価に及ぼす影響が変わってきます。企業業績の動向からは目が離せません。 注目されている投資主体は、2月調査分と比べて大きな変動がありませんでした。ただ、株式市場に上昇インパクトを与える投資主体としては、「企業年金・公的資金」への関心が引き続き増加傾向をたどっています。また「外国人投資家」も、上昇要因としての注目度が高まっています。 現状は強気でも、今後は慎重スタンスに 資産運用担当者に、運用しているファンドの国内株式組入状況について質問したところ、通常の基準としている組入比率に対して「かなりオーバーウエート」(8%→12%)、「ややオーバーウエート」(34%→41%)がそれぞれ、2月調査分に比べて上昇しました。一方、「ニュートラル」(47%→37%)、「ややアンダーウエート」(11%→8%)が低下し、資産運用担当者もこのところの株価上昇で、国内株式に対して強気になったことが分かります。 ただ、株価上昇のピッチが速かったせいか、今後についてはやや慎重なスタンスで臨む資産運用担当者が増えているのも事実で、当面のスタンスについては「かなり引き上げる」の回答比が引き続きゼロで、「やや引き上げる」が低下(21%→16%)する一方、「やや引き下げる」の回答比が上昇(8%→10%)しました。

異次元緩和、債券市場の評価は「及第点まで今一歩」(2月調査)

国内長期金利は、1月に過去最低となる0.1%台まで低下した後、0.3~0.4%台まで戻ってきましたが、依然、低水準の推移となっています。QUICKでは、2月24日から26日までに証券会社および機関投資家の債券担当者228名(147名が回答)を対象にしたアンケート調査を実施。今回は日銀の物価目標達成時期について、特別質問を実施しました。 日銀が異次元金融緩和を開始してから4月で2年が経過します。2013年4月に第1弾を実施した後、2014年10月に第2弾を実施。マーケット関係者は、異次元金融緩和について100点満点中、何点を付けるのかというのが、今回のアンケート調査のテーマです。 異次元緩和はぎりぎり落第?物価目標の達成時期見えず ちなみに合格点を60点にしたところ、単純平均で57.4点という数字が出てきました。中央値、最頻値はともに60点と「ぎりぎり合格」という回答が多かったのですが、平均という観点では合格点まであと一歩という評価を市場は下しているようです。 最大の問題は、これだけの金融緩和を行っておきながら、肝心の物価が、当初の目標値である「2015年度中に2%」にはほど遠い状況にあることです。このままだと、2015年度中の物価目標達成は困難との見方もあり、必要であれば追加の金融緩和も辞さないという姿勢を打ち出しています。 物価上昇のピッチが遅れているのは、いくつか理由がありますが、記憶に新しいのは原油価格の急落です。原油相場の国際的な指標であるWTIの価格は、2月末時点で1バレルあたり50ドル弱と、直近高値から半値以上も下落しているため、物価に対して大きな影響を及ぼしています。 とはいえ、原油価格の下落はコスト低減効果につながるため、本来ならメリットもあるはず。そうであるにも関わらず、物価の底ばいが続いているのは、国内消費が伸びないからです。 「今後の物価動向の鍵を握る春闘でのベースアップはどうなるとお考えですか」という問いに対しては、「昨年を小幅に上回る」という回答が全体の65%、「昨年並み」という回答が全体の26%を占めました。 ただ、一方で昨年4月に行われた消費税率の引き上げや、今年1月の相続税引き上げなど、国民の負担感は着実に重くなっているため、多少のベアでは消費の改善につながりにくいのも事実。今後、消費が大きく回復しない限り、異次元金融緩和が物価に及ぼす影響力は限られそうです。 なお、物価目標の達成時期については、「時期を曖昧にして先延ばし」という回答が、全体の55%を占めました。 国内長期金利の見通しはやや上方修正 今回の調査期間中における新発10年国債の利回りは、0.335%~0.375%で推移しました。これを受けて、現時点で想定されている利回りの単純平均は、新発10年国債で3月末が0.354%、5月末が0.381%、8月末が0.409%となりました。長期金利が急低下した1月調査分に比べると、やや上方にシフトしています。 今後6カ月間を想定した債券価格の変動要因については、「海外金利」に対する注目度が高まっています。ですが、債券価格に対する影響度を考慮した指数を見ると、海外金利は1月調査の52.2から44.5に大幅低下。つまり債券相場の下落(金利は上昇)要因になるため、海外金利の動向を受け、国内長期金利は上昇する可能性が高いと見る市場関係者がじわりと増えてきていることを示しています。 投資主体別の注目度では、「政府・日銀のオペレーション」が1月調査分に引き続いて低下。一方で、これまで全く注目を集めていなかった「郵貯・簡保」に対する注目度が上がってきました。債券価格への影響度を考慮した指数をみると、これまで50を超えていた「外国人」が48.9に低下。「郵貯・簡保」も46.6へと低下し、いずれも債券価格にとっては下落要因として浮上してきています。 資産運用担当者に、現在運用中のファンドの国内債券組入れについて聞くと、現在は「ニュートラル」と「ややアンダーウエート」が大部分を占めています。今後の組入れについては、「現状を維持する」が86%。さらに今後のデュレーション(債券投資の平均回収期間)については、「現状を維持する」が77%を占めており、債券への投資スタンスはしばらく様子見のムードが強まりそうです。 物価上昇予想の後退続く…日銀の出口戦略はまだまだ先か このように、債券への投資スタンスが様子見ムードになっているのは、当面、物価が大きく上がることはないという見方が多いからです。マーケット関係者がCPIコアの変化率をどう見ているのかという点について聞くと、今後1年間平均、2年間平均、10年間平均のいずれも、12月調査、1月調査、2月調査と月を経るごとに低下傾向をたどっています。 以下の2つのグラフは、直近5か月の調査で得た物価予想の回答平均値について、横軸を調査時期としたものと、予想期間としたものの2種類を用意しました。下側のグラフを見ると、日銀の緩和で目先の物価上昇ペースが加速するという見方は後退し、今後10年間で徐々に物価が上昇していくとの見方が大勢になってきたことを示しています。 こうした点からも、日銀が出口戦略を取るには、まだ相当の時間を必要としそうです。

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