原油安メリット企業は意外に少ない? 金融はマイナス金利の影響直撃(2月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(2月1~26日調査分、上場企業418社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス10となり、前月調査から3ポイント悪化しました。これは2013年6月調査(プラス10)以来の低水準です。非製造業DIも6ポイント悪化のプラス30となり、結果、金融を含む全産業DIはプラス21と、前月から5ポイントの悪化となりました。なお、将来の業況を示す「先行き」の業況判断DIは製造業、非製造業ともに悪化。製造業は3カ月先のDIがプラス7となりました。 マイナス金利の影響で金融機関の業況判断が悪化 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性も見られるため、市場関係者にも注目されています。 全産業の業況判断DIをみると、2015年8月調査のプラス35でピークを付け、そこから徐々に下降線をたどり、今回2月調査ではプラス21まで低下しました。景気の現状に対する見通しはじわりと厳しくなっています。 特に注目したいのが、金融機関の業況判断DIが大幅に落ち込んでいる点です。2月調査では前月に比べて17ポイントも悪化し、プラス16まで低下しました。ここまで急落した理由は、1月29日に日銀が発表したマイナス金利政策の導入でしょう。10年国債の利回りまでマイナスになるなか、金融機関にとっては利ザヤの縮小が業績にどう影響するのか懸念されています。株式市場でも、銀行株を中心に大きく売られました。今後の業績に悪影響を及ぼすとの懸念が早くも業況判断DIの悪化で示されたといえます。 3年ぶりに「想定より円高」が「想定より円安」を上回る 生産・営業用設備の現状については、やや過剰感が強まりつつあるようです。過剰、適正、不足の構成比を全製造業ベースでみると、15年12月調査時点で①過剰(9%)、②適正(86%)、③不足(6%)だったのに対して、2月調査では、①過剰(12%)、②適正(80%)、③不足(8%)となりました。今年に入ってからの株安による景気の先行き不透明感が、特に製造業をベースにして過剰感の高まりにつながっていると考えられます。 次に雇用人員の現状についてですが、こちらもやや過剰感が高まりつつあるようです。非製造業も含めた全産業ベースでみると、15年12月調査では、①過剰(5%)、②適正(58%)、③不足(36%)だったのに対して、2月調査では①過剰(7%)、②適正(58%)、③不足(36%)となり、ごくわずかですが過剰との回答が高まりました。非製造業については依然として不足感がある状況ですが、製造業の過剰感が高まっており、全体を通じて雇用人員の過剰感が高まっています。 また、全産業ベースの円相場判断をみると、2月調査で「想定よりも円安」が18%、「想定よりも円高」が25%となり、「想定よりも円安」から「想定よりも円高」を差し引いたDIはマイナス7に低下しました。円相場DIがマイナス(想定より円高とみる企業が多い状況)に転じるのは、実に2012年12月調査以来、3年2カ月ぶりのことです。当時の状況はというと、野田首相(当時)が衆院解散を表明し、アベノミクス相場の起点になったとされる時期とほぼ重なります。ここから円安が進行したわけですが、3年の時を経て円相場に対する見方は転換点を迎えつつあることを示唆する結果となりました。足元では円高・株安に見舞われ日本市場は大荒れの展開となっていますが、まさにアベノミクス相場は正念場を迎えています。 原油安による劇的効果は望み薄? 2016年の金融市場の混乱を招く引き金ともなった原油相場。足元はWTIで1バレル30ドル台まで回復したものの、かつて100ドルを超えていた時期があったことを考えると依然としてその水準は安く、その影響が注目されています。 今回の特別調査では「貴社にとって、昨今の原油安は総合的に見てどのように影響しそうですか」と質問したところ、最も多かった回答は「ややプラスに作用」で43%を占めました。「大きくプラスに作用」(3%)を合計すると「プラスに作用」との回答は46%となり、「やや・大きくマイナスに作用」(14%)を上回りました。一方、「特に影響しない」は39%でした。 原油安は、中東やロシア、その他の産油国にとっては財政面でネガティブ要因になる一方、日本など海外から原油を輸入している国にとっては輸送コスト、機械を動かすのに必要なエネルギーコスト、あるいは原材料コストの低減につながるため、経済的にプラス効果が得られるといわれています。 ただ、「プラスに作用」以外と回答した企業が5割超を占めており、いくら原油価格が過去の高値からみて5分の1程度まで下がっても、「劇的」な経済効果にはつながらないということを示唆しています。「原油安は日本経済にとってプラス」という意見はよく耳にします。しかし、現在はグローバルに展開する企業が増え、産油国や新興国の景気動向が業績に影響を及ぼす比率も相対的に大きくなっているだけに、トータルでみれば劇的な効果は望み薄と受け止められているようです。 女性活躍、企業は「積極的な登用等の取り組み」を推進 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)が昨年、可決成立し、今年4月からは、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定が労働者301人以上の大企業で新たに義務づけられました。 これを受け、「厚生労働省が示す予定の取組分野のうち、貴社が特に重視するのはどれですか」と聞いたところ、「積極的な登用や評価、配置・育成・教育訓練に関する取り組み」が38%で最多となり、次に「積極採用や再雇用・中途採用、継続就業に関する取り組み」が26%で続きました。 安倍政権が打ち出している「1億総活躍社会」の実現に向けて、働き方に関するさまざまな取り組みが行われていきます。女性の社会進出を促進するための環境整備、昇進・昇給の男女差別を無くすための方策、あるいは60歳以降も働ける労働環境整備などが注目されると共に、上記にもある各項目への取り組みも注目されます。積極的な登用や評価によって、働く人のやる気を高めると共に、教育訓練によってボトムを引き上げることなども、これからの日本にとっては重要になると思われます。

日銀の年内緩和は確実? それでも2016年は5年ぶり「円高」か(2月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の2月調査を、2月15日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者77人が回答、調査期間は2月8~10日)。この間の為替レートは、対ドルが114円88銭~117円32銭。対ユーロが128円92銭~130円66銭でした。 2月に入り、マーケットは大きく荒れています。円相場は一時、110円台まで円高・ドル安が進み、日経平均株価は1万5000円を割りこみました。そして日銀の金融緩和は、QQE(量的・質的金融緩和)に留まらず、ついにマイナス金利を導入するまでに至りました。これを受けて、各年限で利回り低下が進み、10年債利回りもマイナス金利に突入しました。長期金利がマイナスになるという、それこそ有史以来といっても良い珍現象が起ったことで、市場参加者は今後、何がどうなるのか、今ひとつ把握できず、マーケットは混乱を来しています。 マーケットが荒れれば、市場参加者が次に思い浮かべるのは政府・日銀の政策支援です。日本の財政赤字が累積するなか、財政出動は容易に行えないとなれば、政策支援で注目されるのは日銀によるもう一段の金融緩和でしょう。マイナス金利の導入に加え、もう一段のQQEを実施することで、マーケットに底打ち感を出したいというのが、政策当局の当面のシナリオといえるかもしれません。 日銀の追加緩和予想8割超 時期、年前半予想8割に迫る 今回のアンケートでは、1月29日に日銀が決めた「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を受けて、再び追加緩和に動く可能性があるのかどうかという点について聞きました。日銀が年内に再び追加緩和に動く可能性については、87%が「追加緩和に動く」と回答。日銀は1月に緩和に動いたばかりですが、早くも市場関係者の間で追加緩和に対する期待感が高まっています。 また追加緩和の時期としては、「4月」が30%で最多。次いで6月が24%、3月が21%と続き、年前半に追加緩和に動くとの回答は8割に迫っています。 マイナス金利は一段と拡大? 次に、追加緩和に動く場合の手法についてですが、「マイナス金利の拡大」との回答が7割強。次いで「質的緩和の拡大」が約5割で続き、「量的緩和の拡大」が約4割となりました。 今回の日銀によるマイナス金利導入は、これまで実施してきた資金供給量を大量に積み増す量的緩和策が限界に達しつつあることを認める措置との受け止めも市場にはあるようです。そのため、今後、日銀が追加緩和に動く場合はさらなるマイナス金利の拡大を予想する声が増えたといえます。また、追加緩和による「円安・株高」シナリオに揺らぎが生じていることもあり、市場では上場投資信託(ETF)などの資産を購入する「質的緩和」の一段の拡大を期待する声も高まっているようです。 3月の米利上げ予想、わずか15%に 年内利上げ「1回」予想が最多 日銀の金融政策とともに、市場関係者が注目するのは、やはり米国の金融政策が今後どうなるかという点でしょう。昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が9年半ぶりとなる利上げを決めた時、FRBは2016年中に4回程度の利上げを想定していました。しかし、年初からのマーケットの大混乱を受けてFRBの利上げに対する考え方は、やや慎重になりつつあります。 今回のアンケートでも、3月開催のFOMCでの利上げ実施の可能性を聞いたところ、「利上げ決定」予想はわずか15%で、「据え置き決定」(84%)を大きく下回りました。 また、2016年中における利上げ回数についてですが、、「1回」という回答が最も多く、全体の36%を占めました。次に多かったのが「2回」で34%、「据え置き」が20%で続きました。「利上げ4回(以上)」は1%に過ぎず、FRBの金融政策は見直しを迫られることが避けられない情勢だと市場関係者はみています。 2016年末時点の円相場予想117円66銭 5年ぶり「円高・ドル安」か また欧州中央銀行(ECB)については、3月の追加緩和が濃厚とみられていますが、その方法としては「買い入れ額の増加」が最も多く57%を占めました。次に「預金金利の引き下げ」が43%で続いています。ECBがさらなるマイナス金利拡大に動けば、円高阻止に向けて日銀もマイナス金利拡大に動くとの思惑が強まる可能性があります。 なお、2016年末時点で想定される為替レートについては、円・ドル相場が1ドル=117円66銭となりました。前回1月調査では120円24銭と15年末(120円30銭程度)とほぼ同水準が見込まれていましたが、日米の金融政策見通しを踏まえ、年末時点で円高・ドル安に振れるとの見方が強まった形です。今回調査の予想通りとなれば、5年ぶりに「円高・ドル安」に転じることになります。 一方、円・ユーロ相場は1ユーロ=128円83銭、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.09ドルとなりました。前回1月調査では、それぞれ128円02銭、1.07ドルでした。 2月末時点の円相場1ドル=116円04銭 予想レンジは112~120円 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、2月末の平均値で1ドル=116円04銭となり、1月調査(118円41銭)に比べて一段の円高水準となりました。一方、予想レンジは112~120円と見通しの幅が大きく開きました。日米の金融政策の思惑などを巡って、市場関係者の見方は大きく割れているようです。 市場の関心は3月に打ち出される日米欧の金融政策 為替レートに影響を及ぼす注目度としては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高く、3月のFOMC、日銀金融政策決定会合、ECB理事会において、それぞれどのような金融政策が打ち出されるのかに注目が集まっています。 また向こう6カ月の間に、各通貨が対円でどのように推移するかを聞いたところ、米ドルDIは1月調査分のプラス18から、2月調査分ではプラス21に上昇しており、急激なドル安がやや底を打ちつつあることを示唆しています。また、米ドル以外の通貨のDIは、依然としてマイナス圏ではあるものの、1月調査分に比べてマイナス幅が縮小しており、この点でも、円の独歩高がようやく一服しつつあるようです。 とはいえ、大半の通貨は円に対して弱い状況が続いています。マーケットのボラティリティーが高まるなか、リスクオフによる円買いの動きが依然として根強く認識されているからです。中国の景気減速と不良債権問題の行方、原油安などのリスク要因が落ち着くまで、リスクオフの円買いは、市場関係者の間で燻り続けそうです。 想定以上の円高進行で企業業績のネガティブ要因に 運用者に、運用ファンドの外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、当面どのようなスタンスで臨むかについては、オーバーウエートが大きく後退する一方、ニュートラルが1月調査分の64%から、2月調査分では91%に上昇しました。 また、為替ヘッジについては、「ヘッジ比率を下げる」が0%になる一方、「ヘッジ比率を上げる」が、1月調査分の0%から2月調査分では18%に上昇しており、円高リスクに対して慎重な姿勢が伺われます。通貨別に見た組入比率についても、米ドルのDIが急落し、ユーロ、英ポンド、スイスフランはマイナス幅が拡大。新興国通貨DIはマイナスが解消され、やや買い意欲が高まりつつある兆しが見えています。 なお、上場企業の業績予想の前提となっている想定為替レートは、平均でドル/円が1ドル=117円38銭、ユーロ/円が1ユーロ=130円79銭となりました。いずれも現状の相場水準に比べて円安方向にあり、このまま円の高止まりが続くと主要企業の業績下方修正が懸念され、株価にとってはネガティブ要因になりそうです。

中国不安、長期化の公算 株価の乱高下は年央まで続く?(2月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の2月調査を、2月8日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者156人が回答、調査機関は2月2~4日)。 1月29日、日銀は過去、一度も行ったことがない「マイナス金利」の導入を決定しました。これによって、1月中を通じて続いてきた株安、円高の流れにはいったん歯止めがかかりましたが、その効果は長続きしませんでした。マイナス金利導入が発表された日の翌日、2月1日までは株価が上昇したものの、その後は下落に転じ、5日の日経平均株価はマイナス金利導入前の水準まで売られ、円相場も1ドル=116円台を付けました。 中国経済低迷と原油安の関係 今年に入ってからの株安、円高の原因は、中国経済の先行き不透明感と原油価格の下落によるものと言われています。今回の調査では、この2つの要因と、先行きの見通しなどについてアンケートしました。 まず原油価格の下落について、その理由を聞くと、最も多かった回答が「米国・イラクなどの供給増加」で42%、次いで「中国など新興国の需要減少」「投機的マネーの引き揚げ」がともに26%となりました。 原油需給のバランス改善には時間必要? 原油価格の先行きについては、回答者の半数以上を占める56%が「一進一退」と答え、「じり安」が21%となりました。上昇方向の回答は、「じり高」が18%、「急反発」が3%しかなく、全体を見ると横ばいから下落方向で見ているマーケット関係者が大半となっています。米国やイラク経由の供給が増えているところに中国などの景気不安が重なり、需給バランスはそう簡単に改善されないとの見方につながっているようです。 中国不安、マーケット参加者は長期化を覚悟 次に中国経済の不安の原因について聞いたところ、最も多かった回答が「過剰設備」で53%を占めました。次いで「資本流出」が18%、「政府の統制力の低下」が10%となっています。 また、これらの原因によって、中国経済の懸念がいつまで続くのかについては、「2~3年」が34%、「それ以上」が26%を占めており、中国懸念は当面、長期化しそうな気配です。 中国経済の混乱が長引けば、対中国で経済関係を深めていた他の新興国の経済にもネガティブな影響が及びます。それが原油需要の後退につながり、さらなる原油安の要因になっています。また、原油安が長引くと、サウジアラビアなどの産油国経済の低迷につながるため、オイルマネーが流入していた株式市場から資金が流出し、世界的な株安につながる恐れもあります。中国経済の低迷と原油安はリンクしているのです。 また、中国経済の低迷の要因である過剰設備ですが、中国の場合、リーマンショックの直後から大規模な公共投資などを行い、景気の下支えをしてきたことが、ここに来て裏目に出てきています。 公共投資にしても、企業の設備投資にしても、どこかの段階で必ず回収する必要があります。回収できなければ不良債権化するからです。現在、中国は過去に行った巨額投資が経済成長率の低迷によって回収できなくなる恐れが高まっているといえます。中国が直面しているのは、単なる景気循環による低迷ではなく、構造的な問題もはらんでいるだけに、長引く恐れがあります。 株価の乱高下、「年央まで」「今年度内」予想各3割 ちなみに今回のアンケート調査では、株価の乱高下がいつまで続くかという問いも含めています。それに対する回答は、「年央まで」が最も多く33%。次いで「今年度内」が30%、「年後半まで」が15%となりました。年央までに混乱が収束し、そこから上昇に転じるなら問題はありませんが、中国経済の低迷は日本企業の業績にも悪影響を及ぼします。来期(2017年3月期)の業績が低迷する見通しが浮上した場合は、さらに株価の低迷が長期化するリスクも否定ではできません。 業績動向への注目度高まる 一時は強気となった日経平均株価の見通しですが、1月の株価下落局面を経て、再びマーケットは弱気に転じています。日経平均株価の見通しは、1カ月後、3カ月後、6カ月後ともに、1月調査分に比べて下方修正されました。1カ月後の予想は1万7722円と前回1月調査(1万8483円)から大きく引き下げられてます。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業業績」に対する注目度が1月調査分に比べて上昇し、指数は1月の60.5から46.0に落ち込みました。12月調査分では61.7でしたが、この2カ月で大きく低下し、2月調査では判断の分かれ目となる50をついに割り込みました。これは、つまり企業業績の下方修正懸念が強まったことを意味しており、株価にとってはネガティブな意味で注目されていると考えられます。 指数が、株価にとってポジティブな方向に上昇したものとしては「金利動向」の64.7があります。足元の株価動向をみる限り、マイナス金利の導入が株価には決してプラスとは言えないことを示唆しているようにもみえますが、もう少し影響を見極める必要がありそうです。 株式の組み入れ引き上げにはやや慎重姿勢 資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、1月調査分に比べて「ややアンダーウエート」が低下する一方、「ややオーバーウエート」が微減。「ニュートラル」は57%に微増となっていますが、絶対的な水準比較で過半数を占めました。 今後のスタンスとしては、「やや引き下げる」が1月調査分の2%から、2月調査分では11%に上昇。「かなり引き上げる」が0%になり、「やや引き上げる」が22%から17%に低下したことから、今後の株式組み入れについては、慎重姿勢がみられます。

業績期待指数3カ月連続マイナス 非製造業の見通し悪化、銀行はマイナスに(1月)

業績期待指数3カ月連続マイナス 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年1月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス3と3カ月連続のマイナスとなりました。3カ月連続のマイナスは2014年5~7月(3カ月連続マイナス)以来、1年半ぶりです。 1月のDIは11~12月に続き同じマイナス3でしたが、DIのマイナスはアナリストによる業績見通しが下方修正優勢に転じたことを表し、株式市場の業績期待が弱まっていることを意味します。今回の特徴は12月に続き、製造業DIのマイナス幅がやや改善する一方、非製造業DIのプラス幅が縮小した点です。これまでDI全体を下支えしてきた非製造業セクターに対する先行き警戒感は一段と広がってきているようです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 製造業DIは5カ月連続マイナス 非製造業の業績鈍化見通し続く 製造業と非製造業を比較すると、依然として製造業のDIが厳しくなっています。1月の製造業DIはマイナス11と12月から4ポイント改善したものの、5カ月連続のマイナスとなりました。今後の注目点としては、2016年3月期もそうですが、やはり来期以降の業績見通しでしょう。中国景気の減速や円相場の先行き見通しの不透明感など懸念要因は尽きません。ただ、日銀が1月の金融政策決定会合でマイナス金利の導入を発表しました。今後、1ドル=125円、130円というように、大きく円安が進むかどうかはまだ分かりませんが、市場関係者の間では円高進行に対する懸念はかなり後退したとの見方が出ているようです。今後は中国など海外経済の行方をより注視する必要が出てきそうです。 一方、気になるのが非製造業の行方です。DIは昨年9月のプラス25をピークに低下傾向をたどっており、1月はプラス8と昨年2月以来の水準まで低下しました。中国経済の成長率鈍化、景気の先行き不透明感、さらには習近平政権による中国国外における爆買い禁止令の影響で、中国からのインバウンド需要が後退するのではないかとの見方が、非製造業DIの低下につながる一因になったと考えられます。 DIプラス業種が減少 銀行はマイナスに転じる DIを業種別に見ると、16業種中、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回り、DIがプラスになっている業種は8業種と12月(9業種)から減少しました。一方、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回り、DIがマイナスになっている業種は7業種、上方修正銘柄と下方修正銘柄が同一でDIが0になっている業種が1業種でした。 さらに中身を細かくみると、プラス幅が拡大した業種は食料品や輸送用機器、情報・通信の3業種にとどまり、化学や不動産など5業種はプラス幅が縮小。非鉄金属や卸売はマイナス幅が拡大し、銀行はプラスからマイナスに転じました。銀行については、日銀のマイナス金利導入により、国債利回りの低下が銀行の収益を圧迫するとの懸念が広がっています。銀行は機関投資家のみならず個人投資家の多くが手掛ける人気セクター。業績懸念が広がると相場全体の値動きにも影響を及ぼす可能性が高いとみられ、今後の業績動向を注視する必要がありそうです。 スマホ向け部品の成長期待低迷でミスミが大幅下方修正 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。ミツミ電機は、主力のスマートフォン(スマホ)向け部品の成長期待剥落によって業績見通しが大きく弱気に傾きました。一方、小野薬品工業は、新規がん治療薬「オプシーボ」の販売好調が続き、前月に続いて業績見通しは大幅な上方修正となっています。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名           修正率小野薬(4528)・・・・・・・98.90%戸田建(1860)・・・・・・・49.72%ヤマダ電(9831)・・・・・・38.64%鹿島(1812)・・・・・・・・25.19%大林組(1802)・・・・・・・24.25% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名           修正率ミツミ(6767)・・・・・・▲56.02%セガサミーHD(6460)・・▲48.67%川崎船(9107)・・・・・・▲46.09%住友鉱(5713)・・・・・・▲37.48%日ケミコン(6997)・・・・▲36.45%

金融市場の混乱、1~3月期中に収束か 日経平均の底値は1万5125円(1月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の1月調査を、2月1日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者136人が回答、調査期間は1月26~28日)。調査期間中の新発10年物国債利回りは0.215~0.220%で推移しました。 ちなみに調査期間をみてもお分かりいただけると思いますが、今回の調査は、1月29日の日銀金融政策決定会合で決まった「マイナス金利導入」が発表される前の結果になります。1月に入ってから、国内外のマーケットは乱高下する展開が続いていますが、日銀のマイナス金利導入は、マーケットにとってサプライズだったようで、発表当日は株価、為替レートのボラティリティが一気に高まりました。 日銀は、今後の金融緩和について「量」、「質」だけでなく「金利」も加え、3つの次元で継続的に行うことを表明。マイナス金利導入発表後の債券市場では、8年物まで利回りがマイナスになりました。 日経平均株価の底値は1万5125円 今回は年初から続いている金融市場の混乱が、今後、いつ、どこまで続くのかについて、株価、為替、原油価格の底値とそのタイミングを調査しました。 まず日経平均株価の底値については、単純平均で「1万5125円」となり、金融市場の混乱がいつまで続くのかという点については、全体の65%が「2016年1~3月期」と回答。その場合の日経平均の底値は、回答者の平均で1万5503円でした。次いで、「2016年4~6月期」が全体の17%を占め、底値の平均値が1万4671円となっています。 また、ドル/円および原油価格の今年の最安値についても予想してもらったところ、単純平均でドル/円が1ドル=111円96銭、原油価格(WTI先物)が1バレル23ドル11セントになりました。 ドル/円については、輸出企業全体の平均想定レートが1ドル=118円前後であることを考えると、大幅な円高水準であり、企業業績にとってはマイナス要因になります。1月29日のマイナス金利導入によって円安方向に押し戻されていますが、この効果が一時的なものなのか、それとも継続的なものなのかという点が、今後の注目点になりそうです。 今年の米利上げ「2回」止まり? 「4回」予想わずか6% また、今後の米国の金融政策がどうなるのかについても聞いてみました。昨年12月に利上げを実施した米連邦準備理事会(FRB)ですが、年内の利上げについて米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの政策金利見通しでは「年4回程度」となっています。イエレンFRB議長は、今後の金融引締めペースは「緩やかに進める」と説明しています。 ただ、年初からのマーケットの混乱もあり、年4回の利上げは厳しいのではないかとの見方が徐々に支配的となっています。この点、マーケット関係者も同じ見方で、「利上げ2回」という回答が42%で最も多く、次いで「利上げ1回」が25%、「利上げ3回」が17%で、FRBが予想する「利上げ4回」は、わずか6%にとどまりました。 政府・日銀のオペレーションが注目材料に 毎月定例の相場見通しの調査では、1カ月後、3カ月後、6カ月後の金利見通しは、大きく下方にシフトしました。ちなみに、1月調査分について、10年物国債の予想利回りを単純平均で見ると、2月末時点で0.225%となりましたが、1月29日のマイナス金利導入発表後の10年物国債利回りは0.1%を割り込みました。前述したように、マイナス金利は8年物まで浸透しており、今後も日銀が物価押し上げ効果や賃金引き上げを促す目的で金融緩和を継続するとなれば、10年物国債の利回りは当面、0.1%割れの水準で推移することになりそうです。来月の当レポートの見通しでも、長期金利はもう一段の下方シフトになることは間違いありません。 今後、6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で最も注目されているものとしては、「短期金利/金融政策」が、12月調査の47%から1月調査では60%に上昇しています。これはタイミング的にも、1月29日に開催された日銀金融政策決定会合において、もう一段の金融緩和が発表されるかどうかを考慮に入れての回答だと思われます。指数でも、「短期金利/金融政策」は75.4と強い上昇(金利低下)要因になっています。また、「債券需給」の指数も75.6で、ここに挙げている要因の中では最も債券価格にとっては強い上昇(金利低下)要因とみられています。 同じく今後6カ月程度を想定し、最も注目される投資主体について聞いたところ、注目度では「政府・日銀のオペレーション」が、12月調査分の59%から67%に大きく上昇しています。指数でも、「政府・日銀のオペレーション」は82.4で、12月調査分に比べて微増ではありますが、債券価格にとっては上昇(金利低下)インパクトに作用するとみられています。なお、その他の投資主体については特に大きな変化の動きはみられず、債券相場の動向は日銀に支配されていることを浮き彫りにする結果となっています。 金融緩和を織り込む動きに ディーリング部門を除く資産運用担当者67人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」が低下する一方、「ニュートラル」の回答比が、12月調査分の54%から、1月調査分では63%まで上昇しました。 また国内債券の組み入れについて当面のスタンスを聞いたところ、「やや引き下げる」が微減したものの、その他は12月調査分と比べて変わりませんでした。マイナス金利導入後の動きは気になるところですが、少なくともアンケート調査を行った時点では、資産運用担当者の債券投資に対するスタンスは、かなり中立的であることが伺われます。 また債券のデュレーションについて、当面のスタンスは「現状を維持する」がやや低下する一方、「やや長くする」、「やや短くする」が両方とも上昇しました。とはいえ、「やや長くする」が15%で、「やや短くする」の5%を上回っている状況からすれば、資産運用担当者は当面、金融緩和を織り込んだ姿勢でマーケットに臨んでいるのがみて取れます。

賃上げ、現状維持が6割弱 日銀の物価目標達成に暗雲?(1月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(1月4~17日調査分、上場企業418社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス13となり、前月調査から4ポイント悪化しました。これは2015年1月調査(プラス13)以来の低水準です。一方、非製造業DIは4ポイント改善のプラス36となり、結果、金融を含む全産業DIは横ばいのプラス26となりました。将来の業況を示す「先行き」の業況判断DIは製造業、非製造業ともに小幅ながら改善を示しました。 景況感の方向性は不透明 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性も見られるため、市場関係者にも注目されています。 全産業の業況判断DIを見ると、直近でピークを付けたのが2015年8月調査分のプラス35でした。その後、徐々に低下傾向をたどり、12月調査分ではプラス26まで低下。今回の1月調査分も同じくプラス26となり、景況感の方向性が見えにくくなっています。 アベノミクスがスタートしてから3年が経過し、そろそろ景況感にもピークアウトの感が高まりつつあります。中国経済の成長率ダウンは、中国を一大消費マーケットと捉えて製品・サービスを販売している企業の売上高ダウンにつながりますし、年初来、急速に進んだ円高は、輸出企業を中心にして業績上振れ期待の後退を招きます。 また、中国人観光客を中心とする「爆買い」も、どうやら昨年の秋口でピークを打った感があり、国内消費のけん引役を失いかけています。業況判断DIはプラスを維持し、先行き判断についても製造業がプラス13(前月比1ポイント改善)、非製造業がプラス35(同5ポイント改善)と、それぞれ改善しました。しかし、国内の個人消費が盛り上がらない限り、数値の大幅な改善は期待しにくい状況といえそうです。 今後の注目点は、企業の従業員に対する利益還元がどこまで行われ、それが個人消費につながるかどうかでしょう。その意味でも、今年の春闘の行方は、国内景気の行方に大きな影響を及ぼすとみられます。 非製造業の雇用不足が深刻 生産・営業用設備の現状については、全産業ベースで過剰から不足を差し引いたDIがマイナス3となりました。製造業はプラス2でやや過剰気味ですが、12月調査分に比べてプラス値は1ポイント縮小しました。一方、非製造業はマイナス8で、12月調査分のマイナス7からマイナス幅が拡大し、一段と不足感が高まっています。 また雇用人員の現状については、全産業ベースで見ると、2015年1月調査分がマイナス21だったのが、今回の1月調査分ではマイナス31まで拡大しています。製造業、非製造業の別にみると、製造業のDIがマイナス10であるのに対し、非製造業はマイナス48となっており、相変わらず非製造業における雇用不足は深刻な状況を示唆しています。 販売価格は金融を除く全産業ベースで、上昇から下落を差し引いたDIがゼロと、12月調査分のマイナス1から若干の改善。仕入れ価格DIは、金融を除く全産業ベースでプラス15となり、12月調査分に比べて4ポイント低下しました、仕入れ価格DIの低下は、為替の円安傾向に歯止めがかかったことを示していると考えられます。 賃上げ、「前向きに検討」41%にとどまる 前述した通り、国内景気の回復には個人消費がいかにけん引するかがカギの一つになりますが、個人消費を占う上で直近で最大の焦点となるのが「賃上げ」の動向といえるでしょう。 1月の特別調査では、「給与を底上げするベースアップ(ベア)を含む賃上げの可否」について質問しました。個人消費を活発化させるためには、自分が将来得るであろう収入が増えることへの期待感が高まる必要があります。その意味で、春闘を経て決定されるベアに対する関心が高まるわけですが、今回のアンケート調査の結果によると、「現状水準を維持する方向」と回答した企業が57%で最多となり、「大幅な賃上げを前向きに考える」(1%)と「小幅であれば賃上げを前向きに考える」(40%)を併せた「賃上げ検討」企業は41%にとどまりました。 年明け以降、国内の株式市場が大混乱となっていますが、その要因は中国リスクを背景とした世界経済への懸念やリスクオフムードに伴う円安期待の後退などが挙げられます。ドル円相場は現在、1ドル=117円前後で推移していますが、多くの上場企業の想定為替レートが118円であることを考えると、現状は業績への悪影響も警戒される水準となりつつあります。企業業績の先行き警戒感が強まれば、賃上げにも影響を及ぼす可能性は否定できません。 日銀の黒田東彦総裁は「賃金の上昇は日本経済の持続的な成長のために不可欠」と発言していますが、賃金上昇の有無は日銀が目標として掲げる2%の物価上昇にも大きく影響するでしょう。足元の株価下落や企業業績の先行き不透明感が台頭する中ではベアを含む賃上げを過度に期待することは禁物といえ、それは日銀にとっても逆風となりそうです。 実効税率引き下げ「プラスに作用」約7割 大企業にメリット もう一つは、法人税率の引き下げに関する質問を実施しました。「与党が法人税については実効税率を20%台に引き下げるとしています。今回の税制改正が日本の景気に与える影響について、どう予想しますか」と聞いたところ、「プラスに作用する」との回答が約7割を占める結果となりました。 一方、企業の規模別では少し違った景色もみられます。大規模企業と新興企業の回答を比べてみると、大規模企業は新興企業に比べて「ややプラスに作用する」という回答が高かったのに対し、新興企業は大規模企業に比べて「特に景気に影響しない」という回答が高いという特徴がありました。法人税は利益を出している企業に対して課せられるものですから、その減税効果は、より大きな利益を出している大規模企業ほど高まると考えられます。逆に、新興企業には赤字経営を続けているところもあり、法人税の実効税率が引き下げられたとしてもメリットが実感できない点が、この差異に表れていると考えられます。

マーケット混乱で米利上げペースのスローダウンやむなし?(1月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の1月調査を、1月18日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者74人が回答、調査期間は1月12~14日)。 年初から日経平均株価が戦後初めて6営業日連続安になり、欧米を始め世界的に株価が急落していることを受け、マーケットでは急速にリスク資産を敬遠する動き(リスクオフ)が強まっています。米連邦準備理事会(FRB)は昨年12月に9年半ぶりとなる利上げを決めましたが、今回のマーケットの大混乱を受けて市場関係者の先行き見通しはより慎重になっています。 米利上げペースは鈍化やむなしか 今回のアンケートでは、2016年に米利上げが何回行われるのかを予想してもらいました。それによると、「2回」という回答が全体の46%を占めて最も多く、次いで「3回」が36%となりました。 また、利上げ時期については、「6月」が最も多く71%、次いで「12月」が68%、「3月」が47%という順番になりました。 FOMCメンバーの政策見通しによれば、2016年は4回の利上げを見込んでいます。しかし、それも今年に入ってからのマーケットの混乱が長引くようだと、かなり難しくなる可能性が高そうです。このまま世界的に株安が続くようだと、ここからの利上げは逆に実体経済にもマイナスの影響を及ぼすことになりそうです。 中国景気失速、新興国・資源国市場の混乱の影響注視 今回の世界同時株安は、中国リスクや地政学リスクが混然一体になっています。中国経済のスローダウンと資産バブル崩壊に対する懸念が原油価格の下落につながり、原油価格が下がるから、ロシアやイランなどの産油国で経済の混乱や暴動などの懸念が強まるという悪循環に陥っています。この負の連鎖が封じ込められない限り、マーケットの混乱は続く可能性が高いでしょう。 こうした状況下、「米利上げペースが想定よりも鈍くなるリスクとして最も影響する材料やイベント」について聞いたところ、「新興国・資源国市場の混乱」が23%でトップ。次いで「米雇用の改善ペース鈍化」と「中国景気の一段の失速」がそれぞれ15%、次に「米賃金上昇率の低迷」と「原油価格の下落」がそれぞれ14%となりました。 年内の日銀金融政策「追加緩和あり」7割強 日本の投資家にとって気になるのは、日銀が追加緩和に動くのか、そしていつ実施するのか、という点でしょう。日経平均株価は一時1万7000円を割り込みましたが、投資家心理の冷え込みは市場のインフレ期待の低下につながる公算が大きく、そうなればいよいよ真剣に政策発動が検討されることになるかもしれません。夏に控える参院選挙を考えれば、政権与党としてはこのまま株価が下がるのを黙って見ていることは出来ません。財政出動や追加緩和などの政策発動に対する期待感も高まります。 2016年の日銀の金融政策をどう予想するか聞いた設問では、2016年中の「追加緩和なし」との回答が27%で最も多かったものの、裏を返せば7割強は追加緩和を見込んでいることになります。追加緩和の時期としては「4月」が23%で最多となり、次に「3月」(19%)、「1月」(14%)と続きました。今後もマーケットの混乱や景気の先行き不安が台頭する局面では政府・日銀の政策対応への期待が高まりそうです。 1月末の円ドル相場予想1ドル=118円41銭 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、1月末の平均値で1ドル=118円41銭となり、12月調査分の122円91銭に比べて大幅な円高・ドル安見通しとなりました。 為替レートに影響を及ぼす注目度としては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高く、特に円については前月に比べて15%も上昇しています。 また向こう6カ月の間に、主要通貨が対円でどのように推移するかを聞いたところ、米ドルDIは12月調査分の43から、1月調査分は18に急落しました。先々の、米ドルに対する先高観が大幅に後退していることを示しています。また、米ドル以外の通貨については、豪ドルやNZドル、ロシアルーブルといった新興国、資源国通貨のDIのマイナス幅が拡大しており、リスクオフムードが支配する中で円が買われやすい地合いになっていることを示しています。 外貨建て資産の組み入れ比率について当面のスタンスは、10月、11月、12月と0%が続いた「アンダーウエート」が、1月調査分では18%に上昇しました。その一方、「オーバーウエート」は12月調査分の25%から18%に低下。「ニュートラル」も75%から64%へと低下しており、外貨リスクについて慎重な姿勢が目立ちました。 ちなみに、業績予想の前提となっている事業会社の為替レートは、米ドルが1ドル=118円04銭でした。現状、米ドル・円のレートは、これよりも円高・ドル安水準にあり、日本の輸出企業の業績に及ぼす影響も懸念されるところです。

2016年の株最高値予想2万1191円 「中国経済の悪化」などリスク要因に(1月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の1月調査を、1月12日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者162人が回答、調査機関は1月5~7日)。 2015年は年間で9%高を記録した日経平均株価ですが、年明け以降は大不振に陥り、大発会から1月8日にかけて5営業日連続の下落となりました。これは日経平均の算出を始めた1950年9月以来で初めてのことです。そのくらい、株式市場の地合いは悪くなっています。 株価上昇の期待値が低下 年間最高値予想は2万1191円 2016年の株式相場を予想してもらったところ、日経平均株価は証券会社や機関投資家を含むマーケット参加者全体の平均値が最高値で2万1191円、最安値が1万7167円となりました。2015年末(1万9033円)に比べると11%高となりますが、15年に付けた最高値(終値ベース、2万868円)をわずかに上回る水準に過ぎず、2016年相場に対する期待値は必ずしも高いとは言えない状況です。 マーケット参加者が慎重になるのもある意味、仕方のないことかもしれません。景気失速懸念が一段と広がっている中国では株式相場が大荒れの展開で、今年から導入された相場急変時に取引を止める制度(サーキットブレーカー制度)が初日から発動。米国の利上げによる金融市場混乱への警戒感や北朝鮮の水爆実験成功のニュースなど、マーケット参加者の不安を煽る材料が相次ぎました。 実際、2016年のリスク要因について最も重要なものは何か聞いたところ、「中国経済の悪化」が35%で最多となりました。次に「マネーフローの変調」が16%、「地政学リスク」が12%、「為替レートの大変動」が11%で続きました。 しかし、懸念材料は外部要因だけではありません。たとえば為替。今回、2016年央のドル/円の見通しを聞いたところ、平均で1ドル=120円30銭と予想されています。 円安による企業業績の底上げ期待が薄らぐ中、2016年度の上場企業(金融除く)の経常利益見通しも「1桁の増益」という回答が62%を占めました。また、次いで「横ばい圏」が17%で続き、総じて企業業績の伸びに対する期待感も薄れています。 アベノミクス相場がスタートして4年目。米国も景気拡大局面に入って6年が経過しており、そろそろ景気拡大にも一服感が出てきそうな時期だけに、株式市場も不安定な状況が続きそうです。 日経平均の短期見通しは大幅に下方シフト 1~6カ月間の日経平均の見通しは、相変わらず目先の相場に左右される状況が続いています。12月調査の1カ月後予想は、11月調査の1万9184円から大幅に上伸し、2万48円になりました。しかし、1月調査では大幅に下方修正され、1カ月後の予想は1万8479円まで低下しました。また、6カ月後の予想も1万9797円にとどまり、2万円回復は当面、先になるとの見方が優勢になっています。 海外株式市場に関心、外国人投資家の売りを警戒 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業業績」が大きく後退し、注目度は12月調査の57%から43%に急落。一方、「海外株式・債券市場」が、12月調査の18%から31%に大幅上昇しました。しかも、「海外株式・債券市場」が株価にどう影響を及ぼすかを示す指数は43.2で、プラス・マイナスの分岐点である50を割り込み、株価にはマイナスのインパクトとみなされています。企業業績に対する先行き警戒感に加え、中国株をはじめとした海外株式市場の動向に対する懸念の高まりが見てとれます。 また、今後6カ月程度を想定して最も注目している投資主体としては、個人投資家が12月調査の12%から6%へと低下する一方、外国人投資家は12月調査の82%から87%へと上昇しました。外国人投資家の株価へのインパクトを示す指数は50.2と12月調査の63.8から大幅に低下しました。現状は、ほぼ中立ですが、海外本国の株式相場が下落すれば、投資余力の低下に伴って外国人投資家の売りがかさみ、日本株に対するマイナスのインパクトが強まる可能性もあります。 国内投資家、株安局面は絶好の買い場? 国内の資産運用担当者66人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が12月調査の5%から6%に上昇したものの、「ややオーバーウエート」は12月調査の35%から29%に低下。「ニュートラル」が12月調査の45%から51%に上昇しました。 一方、当面のスタンスについては、「現状を維持する」が12月調査の74%から71%に、「やや引き下げる」が12月調査の7%から2%に低下しました。半面、「かなり引き上げる」が12月調査の0%から2%に、「やや引き上げる」が12月調査の17%から22%に、それぞれ上昇しています。長期的なスタンスで投資する資産運用担当者からすれば、この株価下落局面を、長い目で見て仕込み場と考えているふしが感じられます。 なお、現在の相場から見て、各セクターについてどのようなスタンスで臨むのかという点について、オーバーウエートからアンダーウエートを差し引いた数字を見ると、「通信」が11%で、11月調査の0%、12月調査の4%から徐々にオーバーウエート比率が高まりました。「素材」は9%で、11月調査のマイナス11%、12月調査のマイナス4%というアンダーウエート圏から、オーバーウエートに転じています。 一方、「金融」は、11月調査が0%、12月調査が2%とほぼニュートラルでしたが、1月調査ではマイナス11%になり、アンダーウエート比率が一気に高まりました。11月調査、12月調査とオーバーウエート比率が2ケタ台だった「電機・精密」はアンダーウエートに転じています。

業績期待指数は2カ月連続マイナス…非製造業の先行き見通しに警戒(2015年12月)

業績期待指数2カ月連続マイナス 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2015年12月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス3と2カ月連続のマイナスとなりました。2カ月連続のマイナスは2014年5~7月(3カ月連続マイナス)以来、約1年半ぶりです。 12月のDIは11月と同じマイナス3でしたが、DIのマイナスはアナリストによる業績見通しが下方修正優勢に転じたことを表し、株式市場の業績期待が弱まりつつあることを意味します。今回の特徴は製造業DIのマイナス幅がやや改善する一方、非製造業DIのプラス幅が縮小した点です。全体のDIは変わらずでしたが、これまでDI全体を下支えしてきた非製造業セクターに対する先行き警戒感が示唆されたともいえる状況です。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 非製造業の業績期待の悪化が顕著に 全産業ベースのDIは2カ月連続のマイナスとなりましたが、今後の注目点としては、マイナス幅がさらに拡大するのか、それとも底を打って徐々にプラスに転じていけるかどうかでしょう。 12月は製造業DIがマイナス15と4カ月連続のマイナスとなりましたが、11月(マイナス18)からマイナス幅が縮小しました。一方、非製造業DIはプラス12となったものの、3カ月連続でDIは悪化しました。 全体のDIが底堅さを示すには製造業の業績懸念に底入れ感が広がると同時に非製造業の業績期待が続く必要がありますが、現状、景気にとってプラスの材料はさほど多くありません。2016年3月期は過去最高益を更新する見通しの企業が多いのは事実ですが、投資家の関心はすでに来期(2017年3月期)に向かいつつあります。 これ以上の米ドル高・円安は見込めるのか、そもそも米国景気は盤石なのか、原油価格急落による新興国・資源国景気の影響はどうなのか、という外部要因とともに、国内の個人消費は上向くのか、デフレからの完全脱却は可能なのか、といった国内要因にも目を向けていく必要があります。 現状、いずれの要因についても、追い風が吹いているとは言えない部分が多く、2016年の景気は踊り場を迎える可能性も意識されます。それが企業業績に反映されるリスクもそろそろ想定しておく必要がありそうです。 機械や電機への業績懸念続く 建設、小売、不動産は明るい見通し DIを業種別に見ると、16業種中、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回り、DIがプラスになっている業種は9業種。一方、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回り、DIがマイナスになっている業種は6業種、変わらずが1業種でした。 中身を細かく見ると、機械や電機のDIはマイナス幅が拡大し、製造業DIの重荷になりました。半面、鉄鋼や非鉄金属はマイナス幅が縮小したことで、製造業全体のDIの改善につながりました。 非製造業では情報・通信がプラスとなったものの4カ月ぶりに悪化、卸売はマイナス幅が拡大しました。一方、建設、小売、不動産などはいずれもプラス幅が拡大。政府・日銀の政策期待などを背景にこうした明るい業種の業績期待が継続するかが先行きの全体業績を占う上で重要なカギの一つになりそうです。 小野薬に業績期待、板硝子は下方修正懸念 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。3カ月前比で純利益の上方修正率が最も大きかったのは、小野薬品工業でした。免疫を利用した新規がん治療薬である「オプシーボ」の販売が好調で、業績が大幅に上方修正されました。一方、下方修正率が最も大きかったのが日本板硝子。スマートフォン液晶に使用する薄板ガラスの価格競争激化が業績低迷への警戒感につながったようです。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名             修正率 小野薬(4528)      101.27% 戸田健(1860)       54.92% ヤマダ電(9831)      43.09% トヨタ紡織(3116)      37.27% 大林組(1802)       28.74% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名              修正率 板硝子(5202)      ▲50.96% アドバンテ(6857)    ▲49.38% セガサミーHD(6460)  ▲49.03% 川崎船(9107)      ▲46.82% ミツミ(6767)       ▲45.23%

2016年の有望投資対象、先進国株や米国債が上位に(12月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の12月調査を、12月28日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者142人が回答、調査期間は12月21~24日)。調査期間中の新発10年物国債利回りは0.270~0.280%で推移しました。 2015年は国内景気の先行き不透明感がやや強まった1年でした。失業率は大幅に低下し、雇用環境は一見、改善傾向にあるかのように見えますが、雇用の中心は非正規社員にシフトしており、賃金の二極化が進んでいます。個人消費の改善余地が狭まるなか、2017年4月には消費税率の10%への引き上げも予定されています。国内景気の先行き不透明感が払しょくされない限り、国内金利は低水準で推移する可能性が高そうです。 こうした状況を踏まえ、今回の特別調査では、2016年の相場見通しや有望と思われる投資対象について、債券市場関係者の見方を聞いてみました。 日本の長期金利の低下余地は限定的? 2016年の各マーケットについて、最高値(最高利回り)、最安値(最低利回り)の予想を聞きました。ちなみに12月25日時点の数字は次のようになります(海外市場は24日現在)。 ・日本国債(10年)   =0.280% ・米国債(10年)    =2.240% ・独連邦債(10年)   =0.627% ・日経平均株価     =1万8769円 ・ドル円レート     =120円32~35銭 ・原油価格(WTI先物)=38.10ドル 日本国債の最高利回りの予想は単純平均で0.496%、最低利回りは0.216%となりました。同様に米国債はそれぞれ2.767%、2.041%でした。 国内債券市場について2015年を振り返ると、1月に0.20%まで低下した後、6月にかけて0.53%まで上昇。その後、年末にかけて再び0.2%台に低下するという流れになりました。国内景気の先行き不透明感、日銀の質的・量的金融緩和などが利回り低下を促しました。ただ、ここから一段の利回り低下には材料不足といったところなのか、2016年はやや利回り反転を警戒するムードも出ているようです。 一方、米国では12月に9年半ぶりとなる利上げが決まり、2016年についても金融政策の「正常化」の流れが続きそうですが、利回りの上昇余地はそれほど大きくないと市場関係者は予想しているようにもみえます。利上げペースが緩やかになるとの見方に加え、利上げに伴う新興国経済への悪影響や株式などリスク性資産の投資に対する警戒感も意識されていることが、この結果から見て取れます。 独連邦債は最高利回り予想が0.874%、最低利回りは0.403%となりました。日経平均株価は高値が2万1465円、安値は1万7307円となりました。円ドルレートは、円の高値が1ドル=115.9円、安値は126.5円の予想。原油価格(WTI先物)は高値が1バレル48.6ドル、安値は28.5ドルでした。 中国をはじめとするアジア、その他の新興国・地域の成長率は大きくスローダウンしており、政情不安が高まっている国も散見されます。新興国・地域における政情不安、景気失速感がさらに強まれば、リスクオフの動きが市場を支配する可能性もあります。原油については減産に向けた石油輸出国機構(OPEC)の足並みが揃わないなど政治的要因に左右される面も強く、当面は下値余地が大きいとみる市場関係者もいるようです。 2016年のマーケット動向を占う上では、懸念材料を多く抱える新興国・資源国市場でさらなる波乱は起きるのか否か、そうした中で金融正常化に動き出した米国は世界経済を引っ張ることができるのか――。こうした点が注目ポイントになりそうです。 国内債券市場、こう着打破のカギは「日銀の金融政策」との見方 日銀による大量の国債買い入れなどにより国内債券相場はこう着状態が続いていますが、これを打ち破るとすれば何が材料になると思いますかとの質問については、「日銀の金融政策」が69%と圧倒的多数を占めました。日銀の金融緩和姿勢による好需給相場の継続で長期金利は低水準で推移すると見込む声が多いようですが、こうした展開に変化が出るにはやはり日銀の政策次第の面が強いということのようです。日銀の金融政策に次ぐ材料としては、「国内経済動向」と「米欧経済動向」、「新興国・資源国経済動向」がともに5%となりました。 先進国株への投資期待強く、利回り面で米国債に妙味も 2016年に最も有望と思われる投資対象は何かを挙げてもらったことろ、有効回答数136人のうち26人が「外国株(先進国)」と回答。次に「国内株」が25人、「米国債」が24人で続きました。新興国株への人気が離散する中、先進国の株式には投資妙味ありとみる関係者が多いようです。一方、世界的な金利低下トレンドの継続で債券投資家の運用難も意識される中、相対的に利回りが高い米国債は有利な投資先とみられているようです。 各国の金融政策の行方に引き続き注目 毎月定例の相場見通しの調査では、国内債券市場でもう一段の金利低下観測が強まり、新発10年国債の金利見通しは、1カ月後が0.285%、3カ月後が0.303%、6カ月後が0.333%と、11月調査分(0.322%、0.343%、0.379%)に比べていずれも低下しました。 また新発2年国債については、1カ月後が-0.02%、3カ月後が-0.017%、6カ月後が-0.005%というように、マイナス金利が示現しました。他の国々に先駆けて利上げに入った米国とは対照的で、日本は今後も量的金融緩和を継続せざるを得ないとの見方が強く、それがマイナス金利の示現に反映されています。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格の変動要因で最も注目されるのは「短期金利/金融政策」の48%。加えて、「債券需給」と「物価動向」の注目度が徐々に上昇しています。同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞いたところ、他の投資主体に比べて注目度が高く、かつ上昇傾向にあるものとしては、「政府・日銀のオペレーション」がダントツで59%となりました。また、「都銀・信託銀行(投資勘定)」の注目度もじわり上昇しています。一方、「外国人」の注目度は11月調査の25%から18%に低下しました。 債券への投資スタンスはやや強気 資産運用担当者69人を対象に、運用中のファンドについて、国内債券への投資比率が現状、通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」は11月調査と変わらず54%。これに対して「ややオーバーウエート」が11月調査分の7%から、12月調査分では11%に上昇しました。対して、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」が低下したことを考えると、ここしばらくは強気のスタンスで臨んでいたことが分かります。 一方、これから先、当面のスタンスを見ると、「かなり引き上げる」は0%で、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」が変わらず。「現状を維持する」が低下。「かなり引き下げる」は、このところ0%続きだったのが、12月調査分では2%になりました。 なお、保有債券のデュレーションについては、指数が51.2で前月と変わらず。この指数は、基準値よりも短いと50を下回り、逆に長い時は50を上回ります。現在のデュレーションは若干、長めというところです。当面のスタンスは指数が52。「やや長くする」という回答比が上昇していることからも、目先は強気の姿勢が垣間みえます。

米利上げ、2016年は3回程度? 「金融緩和に逆戻り」のびっくり予想も(12月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の12月調査を、12月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者78人が回答、調査期間は12月7~10日)。 今週は15~16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されます。市場関係者の間では「12月の利上げは織り込み済み」として、9年半ぶりとなる利上げ実施はほぼ確実視されています。もはやマーケット参加者の目線は「利上げペース」に向かっており、FOMC後に行われるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見に関心が集まっています。 米利上げ、2016年は3回程度か? 16年末のFFレート予想0.996% 今回のアンケートで「米政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の2016年末、2017年末時点の水準をどう予想しますか」と聞いたところ、単純平均で2016年末が0.996%、2017年末は1.669%となりました。12月の利上げ実施により実質ゼロ金利政策が解除され、直近の利上げ局面での利上げ幅(0.25%)を参考に今後の利上げペースを類推すると、2016年は「3回程度」の利上げが織り込まれている計算になります。同様に2017年は「2~3回」の利上げが見込まれる状況で、過去の利上げ局面と比べても利上げペースは緩やかになるとの見方が強いようです。 16年の世界経済成長率、15年に比べ「回復」予想は44% FRBの利上げペースを占う上で世界経済がどの程度の成長率を達成するかがカギの一つになります。国際通貨基金(IMF)は10月下旬に世界経済成長率見通しを3.1%としましたが、16年は15年見込みと比べどうなると予想するか聞いたところ、「緩やかな回復」が41%で最多となりました。「急回復」の3%を合わせると44%の回答者は3.1%以上の回復とみていることになります。このほか、「緩やかな減速」が33%、「横ばい」が24%となりました。米利上げが新興国経済にマイナスの影響を及ぼすとの懸念も強いだけに、米利上げの予測には米景気自体の強さはもちろん、世界経済全体が上向きの成長軌道を維持するかどうかも引き続き注視する必要がありそうです。 2016年のドル円相場、「横ばい」が44%で最多  米利上げペースや世界経済の見通しを基に「2016年のドル円相場はどう動くと予想しますか」と聞いたところ、「横ばい」との回答が44%で最多となりました。次に「再びドル高基調に戻る」が36%で続き、「ドル安基調に転換する」は19%でした。日米金融政策の方向性の違いを背景に「ドル買い・円売り」を予想する声がある一方、12月のFOMCでの利上げが織り込まれている点や利上げペースも加速することがなければ一段の「ドル買い・円売り」には傾きづらいとみている回答者も少なくないようです。足元では弱めの米経済指標もみられる中、米国経済が年明けにピークアウトし、「次もしくは次の次」の利上げに懸念が生じるという状況に直面した場合のマーケットへのインパクトも気になるところです。 びっくり予想、米国「緩和逆戻り」、日本「安倍首相退陣」「日銀執行部退陣」… いよいよ年の瀬、ということもあり、今回のアンケート調査では「あなたが考える2016年の『びっくり予想』」も書いてもらいました。いろいろな予想が集まっていますが、このうちマーケットに大きく関係しそうなものをいくつか挙げてみましょう。 まず、米国関連では、「FRBが金融緩和姿勢に逆戻り」、「米国が利下げに追い込まれる」といった金利関連のコメントが多数見られました。それだけ市場では金利上昇に対する期待感が高いことの裏返しでもあります。怖いのは、まさにこの利上げ打ち止め、利下げというサプライズが示現した時で、そうなった時は世界的な株安や円買いといった動きが進むかもすれません。2016年は米国最大のイベント、大統領選の年ですが、問題発言の連発で物議を醸しているドナルド・トランプ氏の「米大統領選出」もびっくり予想に連ねました。 一方、日本関連では「安倍首相の退陣」。巷間、よく言われる健康問題も含め、安倍首相が辞任となれば、アベノミクスの頓挫ということで、株価には相当大きなインパクトが及ぶと思われます。ほかには「日銀関連」のびっくりが非常に多く、「政策レジームの変更」、「ターゲット変更」、「テーパリング」、「日銀執行部退陣」などがありました。 中国関連は「中国で政治が混乱」、「中国の現体制権の崩壊」といった政治絡みの回答が多く出ました。新興国関連は「OPEC加盟国内の不協和音の拡大とデフォルト」、「資源大手企業の債務不履行、資源国国債のデフォルト」など、資源絡みが多くみられます。折しも、12月11日に、1バレル=35ドル62セントまで原油価格が下落したことも、資源国経済の先行きに対する懸念を強めています。 最後にマーケット関連としては、「WTI原油価格1バレル当たり30ドル割れ」、「ドル円110円割れ」、「ユーロパリティ」などが挙げられました。が、今の米国経済の状況や利上げのインパクト、さらにいえば、2017年に予定されている日本の消費増税、新興国経済のスローダウンなどを考えると、NYダウや日本株の急落、原油価格の急落、ドル安などは、いずれも「びっくり」というほどのものではなく、ある程度、頭の片隅に織り込んでおいた方が良いのかもしれません。 短期的にはドル高・円安に一服感 毎月定点調査している為替相場見通しによると、短期的にはドル高・円安の流れに頭打ち感が出てきました。金融機関の外為業務担当者の見通し(単純平均)は、1カ月後の12月末のドル/円で単純平均が1ドル=122円91銭と、前回調査(123円25銭)に比べて円高方向へとシフトしました。 一方、6カ月後の2016年5月末の見通しは123円92銭となっています。ただ、新興国の景気低迷と原油価格の急落、米大手ファンドが運用するジャンク債ファンドからの資金引き出し凍結など、リスクオフにつながるニュースが複数、浮上しており、一本調子にドルが買われるムードでもなくなりつつあります。今後、米国の景気動向をはじめとして、新興国経済の動向、原油価格などが、米国の金利にどう影響するのかをチェックしておく必要がありそうです。 今後6カ月程度を想定してもらったところ、注目度は円、米ドル、ユーロのいずれも「金利/金融政策」が、他の要因に比べて高くなっています。なかでも米ドルについては、「金利/金融政策」の注目度が82%と非常に高く、今週行われるFOMCへの関心が高まっていることを示しています。 資源国通貨に先安観台頭 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのような動きをするのかとの設問では、相変わらず米ドルは「上昇」の回答率が高いものの、「上昇」予想から「下落」予想を差し引いたDIは10月のプラス52から徐々に低下し、12月はプラス43になりました。この点からも、米ドルの上昇に頭打ち感が浮上しているのが分かります。DIが大きくマイナス方向に振れた通貨としては、「カナダドル」、「豪ドル」、「NZドル」、「ブラジルレアル」など資源国通貨が目立ちました。いずれも原油価格の下落が通貨安につながる典型例といえます。 とはいえ、長期的には円安に向かうとみるファンド運用担当者は依然として少なくない様子。外貨建て資産の組み入れ比率について、当面のスタンスは「オーバーウエート」が上昇する一方、「ニュートラル」が低下しました。また為替のヘッジ比率についても、「ヘッジ比率を上げる」という回答が低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」という回答が上昇しています。

株式持ち合い解消は「株価にプラス」との見方が優勢(12月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の12月調査を、12月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者174人が回答、調査機関は12月1~3日)。 12月1日に日経平均株価が2万円を回復したことにより、株式市場関係者の間ではやや強気のムードが高まりました。3日に欧州中央銀行(ECB)が追加緩和を決めたものの期待外れの緩和内容だったとして欧米株は急落、4日の日経平均も485円安と急落しました。しかし、4日発表された米雇用統計が堅調な内容となり、12月の米利上げが確実視される中で米国株が切り返したことから、日経平均は再び上値追いの雰囲気が広がっています。 年末株高への期待も高まる中、株式市場では金融庁のコーポレートガバナンスに関する有識者会議が、金融機関のみならず事業会社にも株式持ち合いの解消を促すという認識で一致したことが話題となりました。今回の特別調査では、事業会社や金融機関の株式持ち合い解消は進むのか、持ち合い解消に伴う業績や株式市場への影響をどうみるか、株式市場関係者の見方を聞いてみました。 事業会社の株式持ち合い解消「賛成」が大半 株式持ち合いは戦後から1980年代にかけて、日本における特有の資本取引慣習といわれていましたが、90年代に入ってバブル経済が崩壊する過程において、さまざまな弊害が生じてきました。 例えば時価会計が導入されたことから、持ち合い株式の評価が下落したことで、企業は損失を計上せざるを得なくなったこと。銀行はBIS(国際決済銀行)基準によって厳しい自己資本比率が課せられ、株式のようなリスク資産を大量に保有していると、自己資本比率が低下してしまうリスクにさらされること。そもそも持ち合いをすることによって、企業のグループ化、系列化が強固になり、閉鎖的なビジネス慣習が横行することなどが、その弊害といっても良いでしょう。 今回のアンケート調査でも「事業会社の株式持ち合い解消は必要だと思いますか」という質問に対して、「できれば解消した方がいい」が64%で最多となり、次に「早期に解消すべき」が22%となり、表現の強弱はあるものの、株式持ち合い解消に賛成する声が全体の86%を占めました。 ただ、「事業会社の株式持ち合い解消は実現すると思いますか」という問いに対しては、「ほとんど解消する」がわずか2%で、「ある程度解消する」が85%に上りました。理想を言えば株式持ち合いは解消した方が良いけれども、実際にそれを行うとなると、今までの慣習から難しい面も多々あることを伺わせます。 メガバンクの持ち合い株削減「目標通り実現」は47% 次に金融機関の場合はどうでしょうか。メガバンクは株式持ち合い削減の具体的な目標を公表しましたが、これに関して「実現すると思いますか」という問いに対しては、「目標通りに実現する」が47%、「削減は進むが目標には達しない」が51%となりました。「ほとんど実現しない」は2%にとどまり、中長期には持ち合い解消の流れが進みそうですが、取引関係が深い企業との交渉難航など目標達成に向けては紆余曲折がありそうです。 持ち合い解消は「株価にプラス」5割 株式持ち合い解消が進んだとして、企業業績やマーケットへの影響はどうなるでしょうか。 「株式持ち合い解消が進むと企業業績にどのような影響があると思いますか」という問いに対しては、「収益性が改善する」が38%でしたが、「影響しない」が54%も占めました。企業としては、収益改善につながらないものは後回しにするケースも多いとみられます。株式持ち合い解消はいずれ進んでいくのでしょうが、各企業の経営戦略等をにらみながら、時間のかかる作業になりそうです。 最後に株式市場への影響を聞いたところ、「収益の改善期待により株価上昇」が13%、「コーポレートガバナンスの改善により株価上昇」が36%で、株価上昇期待は合わせて49%となりました。一方、「需給の悪化により株価下落」が23%、「影響しない」が23%となり、株価にとっては積極的にポジティブとみていない市場関係者も少なくないようです。持ち合い解消に伴う需給不安の受け皿として、個人株主の取り込みを積極化する必要があるとの声もあります。今後の企業の動きに関心が集まります。 外国人投資家の日本株買いに期待感 日経平均株価が2万円台を回復する過程において、株式市場関係者のマーケットに対する見方は強気に転じました。 1カ月後の日経平均株価予想は、11月調査の1万9184円から大幅に上振れし、12月調査では2万48円になりました。半年後にかけても上昇予想で、2016年5月末は2万597円と予想されています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、このところは一貫して「景気・企業業績」が最も高く、上昇傾向が続いています。新興国の成長スローダウンを受け、日本企業の業績にも影響が及ぶと見られているだけに、2016年3月期決算の行方などが、これから一段と注目されてきそうです。 また、今後6カ月を想定して、注目される投資主体としては、外国人投資家の動向に対する注目度が再び高まっています。ちなみに外国人投資家は、株式市場に及ぼすインパクトの度合いを見る指数(50以上がプラスの影響、50以下はマイナスの影響)も上昇しており、10月調査では51.6でしたが、12月調査では63.8まで上昇してきました。今後は外国人投資家の主導のもと、年末に向けての日経平均の上昇に期待感が広がっているようです。 国内機関投資家の投資スタンスは引き続き慎重 国内の資産運用担当者71人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が11月調査の10%から5%に低下する一方、「ニュートラル」や「ややアンダーウエート」が微増となりました。 また、当面のスタンスについては、「かなり引き上げる」、「やや引き上げる」がともに低下。「現状を維持する」、「やや引き下げる」、「かなり引き下げる」が、それぞれ増えました。外国人主導の年末株高への期待が高まる一方、12月に入ってからの株価上昇を見て、国内勢はやや慎重姿勢が目立ってきています。

2016年の日経平均、15年高値超え予想6割に 先行き景況感は悪化(12月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(11月18日~12月1日調査分、上場企業425社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス17となり、前月調査から1ポイント改善しました。一方、非製造業DIは4ポイントの悪化となり、結果、金融を含む全産業DIは2ポイント悪化しました。将来の業況を示す「先行き」の業況判断DIは製造業、非製造業、全産業そろって悪化しました。 先行き景況判断が製造業・非製造業ともに悪化 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性も見られるため、市場関係者にも注目されています。 2015年のQUICK短観をみると、全産業の業況判断DIは、1月がプラス20となった後、8月にはプラス35まで上昇しましたが、それをピークに下降し始め、直近の12月はプラス26となっています。12月は製造業がプラス17と1ポイント改善したものの、非製造業がプラス32と4ポイント悪化した結果、全産業ベースで2ポイントの悪化となりました。 後述しますが、2016年の日経平均株価の見通しについては、上値のメドについてやや慎重な雰囲気も垣間見えます。それは、QUICK短観にも表れており、企業の業況判断は強弱入り混じり、方向感が定まらない状態です。株価の上昇と共に景気拡大局面も2016年に入れば4年目に突入するとあって、そろそろ天井というムードが広まってもおかしくありません。 グローバルにみると、米国の景気は比較的堅調ですが、新興国では中国経済の成長率低下や原油など資源価格安の影響もあって、成長期待が後退しています。それが日本経済に及ぼす影響は無視できません。当面、日本経済の先行きについては、慎重な見方が広がる可能性も高そうです。 仕入価格の上昇はやや一服 生産・営業用設備の現状については、全産業ベースで過剰から不足を差し引いたDIがマイナス2%となりました。製造業はプラス3%でやや過剰気味ですが、非製造業はマイナス7%と不足感のある状況が続いています。ちなみに、1月調査で非製造業の生産・営業用設備DIはマイナス3%でした。 雇用人員の現状については、やはり全産業ベースでみると、1月調査がマイナス21%だったのが、今回12月調査ではマイナス31%まで拡大しています。製造業、非製造業ともに雇用人員の不足感は強いものの、特に非製造業における雇用人員の不足感は高水準の状態にあります。 販売価格は金融を除く全産業ベースで、上昇から下落を差し引いた12月のDIがマイナス1%と4月調査以来、8カ月ぶりにマイナスに転じました。7月調査ではプラス5%と2014年4月調査(プラス6%)以来の高水準となっていましたが、その後は販売価格が下落したという回答比率が高まっています。 仕入価格の現状については、上昇から下落を差し引いたDIが、12月調査ではプラス19%と前月調査から1ポイント低下しました。内訳は上昇が25%、下落は6%。1月調査では上昇が38%、下落が5%で、差し引き33%のプラスでした。この1年の傾向をみると、下落したという回答率は大きく変わらなかったものの、上昇したという回答率が低下したことにより、仕入価格DIは低下する形となっています。円安の一服感などを受けて仕入価格の上昇にはやや歯止めがかかってきたと思われます。 2016年の日経平均、15年高値「超える」6割 今月のQUICK短観では、以下の2点に関する特別調査を行いました。ひとつは「2016年の日経平均株価の高値見通し」について、もうひとつは「政府が掲げる子育て支援強化などに伴う企業の取り組み」についてです。 日経平均株価は2012年以降、3年連続で上昇。そして2015年は12月3日の終値時点で14.26%の上昇となっており、4年連続のプラスが濃厚となっています。3日の日経平均は1万9939円。今年の高値は現時点で6月24日に付けた2万868円です。 2016年の日経平均について、最も高いところでどの水準まで上昇すると予想するか聞いたところ、「2万1000円台~2万2000円台」との回答が46%を占めました。「2万3000円台~2万4000円台」(12%)、「2万5000円以上」(4%)を合わせると6割以上が15年の高値(3日時点、2万868円)を上回るとみていることになります。 一方、今年の高値を超えられないという回答は37%。この水準を高いとみるか低いとみるか意見が分かれるところですが、上述したように景気の先行きに警戒ムードが広がっていることに加え、2016年3月期決算で減益予想の企業がみられる点、2016年は製造業の業績上振れをけん引してきた円安効果が薄まることなど、株価の見通しを巡っては不透明要因も多いため、やや先行きを慎重にみている面もあるようです。 ちなみに、日経平均がこのまま4年連続上昇となれば、2003~2006年(4年連続)以来の記録となります。そして、2016年も年間ベースで上昇することになれば、1980年代に達成して以来の上昇記録となります。2016年は日経平均の高値水準も関心事のひとつですが、「1980年代以来の5年連続上昇」という記録を打ち立てられるかという点も注目です。 子育て支援、企業側の注力ポイント「業務上の融通面の支援」が5割強 次に「政府は子育てや介護などへの支援策を強化する方針を示しましたが、貴社が従業員に対し、最も力を入れている方針は何ですか」との質問に対し、最も多かった回答は「休暇取得や職場復帰などを円滑に行える業務上の融通面の支援」で55%を占めました。「社員同士が協力し合えるための社内教育といった意識面の支援」は13%、「手当てなど金銭面での支援」は10%、「介護施設や託児施設などの設置・情報提供・紹介といった設備面での支援」は4%にとどまりました。 手当てのような直接金銭面で支援する方策や、介護施設・託児施設の設置などは、企業にとって経営コストの負担を重くするせいか、多くの企業は、休暇取得や職場復帰などを円滑に行える業務上の融通面の支援に力を入れているという結果になりました。 将来の人口減少を最小限に抑えるためには、働きながら子育てが出来る環境を整える必要があります。最近は親の介護を機に会社を退職するケースも増えており、企業としては有能な社員の流出を防ぐためにも、介護をしながら働ける制度設計が求められています。それだけに「特に力を入れている方策はない」と回答した企業が18%も占めている現状は、今後、改善される必要がありそうです。

業績期待指数は3カ月連続悪化でマイナス転落..素材産業への懸念強い

業績期待指数は3カ月連続の悪化、ついにマイナスに転じる 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(11月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス3と、前月に比べて6ポイント悪化しました。DIの悪化は3か月連続で、マイナスに転じるのは2014年10月以来、約1年ぶりです。 DIがマイナス幅に転じたことは、アナリストによる業績見通しが下方修正優勢に転じたことを表します。それだけ、株式市場の業績期待が弱まりつつあることを意味しています。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 「過去最高益水準」の企業業績に物足りなさを感じる市場 今年6月のプラス17をピークにして、徐々に低下傾向をたどってきたQUICKコンセンサスDIが、ついにマイナスになりました。 確かに10月の日本の完全失業率は3.1%で、20年ぶりの低水準になりましたが、7~9月の国内総生産は2期連続のマイナスとなり、国内消費の改善も力強さに欠ける状況です。また、視点をグローバルに向けると、米国経済は堅調ですが、新興国経済の成長率が中国を中心に急減速しており、それが企業業績の足かせになっています。 メディアで報じられている通り、今期通期の企業業績は過去最高益水準にありますが、アナリストの業績予想が下方修正優勢ということは、市場の期待が高すぎたと考えられそうです。来期以降の企業業績についても弱気の見方が広まっており、今後の株価に及ぼす影響が懸念されます。 製造業のDIは前月のマイナス12からマイナス18へ悪化し、2013年1月以来の水準に落ち込んでいます。9月以降、製造業の業績期待が大きく後退しているのが分かります。市場では外需への不安から「鉄鋼」(マイナス43→マイナス100)や「機械」(マイナス24→マイナス34)といった世界景気に敏感な業種がマイナス幅を広げたほか、「化学」がプラス幅を縮めました(プラス33→プラス8)。鉄鋼の急激な悪化は、中国をはじめとする新興国経済のスローダウンが、業績に響いているものと思われます。 DI全体を下支えしてきた非製造業もプラス20からプラス15に悪化しました。 資源関連銘柄の業績下方修正懸念強まる 3か月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。3か月前比で純利益の下方修正率が最も大きかったのは、不正会計問題が発覚した東芝でした。神戸製鋼をはじめ、出光興産、JXホールディングス、三井金属など、鉄・非鉄および資源関連の業績下方修正が顕著という結果になりました。 まず、予想純利益率の上方修正率(3か月前比)の高かった上位5銘柄です。 銘柄名 修正率 大林組(1802) 49.85% トヨタ紡織(3116) 41.20% アダストリア(2685) 39.86% 鹿島建設(1812) 35.48% ヤマダ電機(9831) 34.45% 一方、下方修正率ランキングの上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 東芝(6502) ▲78.09% 出光興産(5019) ▲68.33% 神戸製鋼(5406) ▲64.44% JXホールディングス(5020) ▲63.25% 三井金属(5706) ▲60.61%

外債運用に対して慎重姿勢強まる(11月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の11月調査を、11月30日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者148人が回答、調査機関は11月24~26日)。日本の長期金利が0.3%前後で推移するなど低金利環境が長期にわたり、これまで国内投資家の外貨建て投資が拡大してきましたが、足元で外債投資に絡んで必要となるドル調達のコストが上昇しています。今回の特別調査では、ドル調達コスト上昇の要因や各運用商品の投資への影響などについて、債券市場関係者の見方を聞いてみました。 ドル調達コスト上昇、「需給要因」との見方が約8割 ドル調達コストが上昇している要因について聞いたところ、「需給(ドル資金需要増加)」との回答が約8割を占めました。マーケット関係者の間では長らく米利上げ開始時期を巡る思惑が渦巻いていましたが、10月の米雇用統計が堅調な結果となったことを受け、「12月で決まり」との雰囲気が広がっています。さらには、フランスのパリで起きた同時多発テロや、世界的にみた先行き景気の不透明感などを背景にドル需要の高まりが意識されているようです。次に多かった回答は「金融規制」との見方で19%でした。 ドルベットの動きはさほど強くない? こうした状況の中、「あなたが運用担当者なら」という前提で、運用商品の投資額を今後どのように変化させるかという点を質問しました。 外国債券を買う際に為替の先物予約などを組み合わせることにより為替変動リスクをとらない債券投資「為替ヘッジ付き外債」の投資額は、「減少」が46%で最多となりました。ただ、「変更なし」が36%、「増加」が17%となり、現状では為替ヘッジ付き外債の投資額を大きく減らそうという勢いは感じられません。 一方、「オープン外債」については、「増加」が46%でしたが、「変更なし」も40%を占めました。「円債」の投資額については、「減少」がわずか27%で、「変更なし」が59%を占めました。「待機資金」については、「変更なし」が54%で最多となりましたが、「増加」が34%を占め、「減少」の13%を上回りました。 これらの数字は、グローバルな債券マーケットへの投資姿勢についてやや様子見ムードが強く、為替のポジションは大きくドル高に傾ける環境でもない、ということを物語っているようにみえます。本来、ドル高にベットする傾向が強まれば、円債は売られて、オープン外債のポジションを高めるなどの傾向が明確に出てもおかしくありません。ただ、米経済が利上げを継続的に受け入れられるほど力強い拡大をみせるのかとの点に慎重な声があることも事実です。12月に利上げが実施された場合の金融市場の混乱への警戒感などもあり、ドル高トレンドがどの程度続くのかという点には懐疑的な見方もあるようです。 注目の投資主体は外国人投資家 毎月定例の相場見通しの調査では、新発10年国債の中期の想定利回りは、10月調査分に比べて下方にシフトしました。1カ月後の想定利回りは0.322%と同水準でしたが、3カ月後の2016年2月末、6カ月後の同年5月末については、それぞれ0.343%、0.379%と10月調査分(0.348%、0.387%)に比べて低下しています。米国では利上げムードが高まり、12月の利上げがほぼ確実視されていますが、日本の金利が正常化するには、まだ時間がかかりそうです。 今後、6カ月間を想定して、債券価格に影響を及ぼす要因として注目されているものは、これまで高い水準だった「短期金利/金融政策」が49%と10月調査分(62%)から大幅に低下しました。半面、水準自体は高くないものの「債券需給」が10月調査分の7%から16%へと大きく上昇しました。年末が近づいていることもあり、需給要因による債券相場の変動を気にかける市場関係者も増えつつあるようです。最も注目される投資主体では、今回唯一上昇したのが「外国人」で、10月調査分の21%から25%になりました。 先行きの金利上昇を織り込む動きも? 資産運用担当者70人を対象に、運用中のファンドについて、国内債券への投資比率が現状、通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、「ややアンダーウエート」が低下する一方、「ニュートラル」が上昇、「ややオーバーウエート」が微増となりました。これだけを見る限り、債券についてはもう一段の利回り低下を織り込んで、債券のポジションを若干増やす傾向であるように見えますが、「かなりアンダーウエート」も上昇し、「ややオーバーウエート」と同率の7%になりました。「やや」と「かなり」の力関係で言えば、当然かなりの方が強く、資産運用担当者の見方としては、債券相場の行方に懐疑的な見方をしているのが伺えます。 また今後の組み入れ比率については、「やや引き下げる」が、10月調査分の8%から13%に上昇する一方、「やや引き上げる」、「現状を維持する」が低下しました。 当面のデュレーションについても、「やや長くする」が10月調査分の14%から9%に低下する一方、「やや短くする」、「かなり短くする」がともに上昇しました。ちなみに、「かなり短くする」の回答率は3%と水準こそ低いものの、このところ0%と1%の間で推移していたことを考えると、「金利上昇にともなう債券価格の下落」を織り込んで、投資家の間ではちょっとした動きが出てきたと考えることもできそうです。全体的に、長期金利は目先、やや低下余地を探る動きはあるものの、中長期的には上昇傾向になる可能性があり、資産運用担当者はそれを少しずつ視野に入れ始めたとは言えるかもしれません。

米利上げ「12月」で決着か?日銀は追加緩和「動かず」予想が3割(11月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の11月調査を、11月16日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者77人が回答、調査期間は11月9~12日)。 11月の外国為替市場では米ドルに対して円安が進行しました。これは11月6日に発表された10月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比27.1万人増加、失業率は5.0%まで低下するなど米経済の回復を示す結果となったことが一因です。毎月のように揺れ動く米利上げ時期に関する市場の見方ですが、今回はどうなったでしょうか。 米利上げ時期、「12月」が圧倒的多数に 見送りならFRBの信認に傷? 今回のアンケートで、「米連邦準備理事会(FRB)による利上げ開始時期をどう予想しますか」と聞いたところ、実に95%が「12月」と回答。前回10月調査(60%)から大幅に増加しました。10月の雇用統計が米景気の拡大を示す結果となったため、マーケットでは米利上げの年内実施は確実というムードが広まっています。 とはいえ、雇用統計は毎月の数字にブレがあります。10月分の好調な結果だけでは米景気の拡大ペースが加速したと手放しで言い切れない面もあります。実際、ISM製造業景況感指数は景気判断の分かれ目となる50%ぎりぎりの水準にありますし、小売売上高は市場予想に比べ弱い結果となりました。 仮に12月の利上げを見送った場合、FRB(イエレン議長)の信認にどのような影響を及ぼすかについて質問したところ、「やや揺らぐ」(36%)、「大きく揺らぐ」(22%)と、程度の差こそあれネガティブな影響につながるという見方が半数超を占めました。逆に、「影響ない」は35%にとどまりました。マーケットは確実に、利上げを促しています。 日銀「追加緩和なし」3割 ECBの追加緩和策「期間延長」8割超に 金融政策でFRBの焦点が「利上げ時期」なのに対し、日銀と欧州中央銀行(ECB)は追加緩和の有無が依然としてマーケット関係者の関心事になっています。もっとも、日銀とECBの政策の方向性に対する見方はやや変化の兆しもみられます。 ECBのドラギ総裁は10月下旬、デフレ懸念の払拭に向けて追加緩和の実施をいとわない姿勢を明確にしました。これを受け、追加緩和の手段として可能性が高いものは何だと予想するのか聞いたところ、「期間延長」が83%と最多となり、次いで「買い入れ額の増加」が55%、「預金金利の引き下げ」が41%となりました。 一方、「日銀が追加金融緩和に踏み切る可能性」について聞いた質問では、「追加緩和なし」との回答が30%で最も多くなりました。次に多かった回答が「2016年4~6月に追加緩和」で24%、「2015年12月」、「2016年1月」、「2016年3月」に追加緩和との回答がそれぞれ11%、12%、12%と見方が割れました。 日銀は物価目標2%の達成時期を「2016年度前半ごろ」から「16年度後半ごろ」に先送りしましたが、黒田総裁は物価の基調は「着実に改善している」との見方を変えていません。マーケットでは依然として「いずれ追加緩和に踏み切る」との見方が多いものの、実施時期に関しては迷いが生じているようです。日銀の金融政策については引き続き黒田総裁らの発言を注視する必要がありそうです。 再び円安ムード広がる 一段の円安進行は懐疑的な見方 毎月定点調査している為替相場見通しによると、再び円安ムードが広がっています。金融機関の外為業務担当者の見通し(単純平均)は、1カ月後の11月末のドル/円で単純平均が1ドル=123円25銭と、前回調査(120円38銭)に比べて大幅に円安方向へとシフトしました。また、3カ月後、6カ月後の見通しも123円台が見込まれています。 今後6カ月程度を想定してもらったところ、円は「景気動向」が引き続き下落要因とみられています。一方、ドルは「景気動向」や「金利/金融政策」が上昇要因として大幅に拡大。「物価動向」も上昇しました。 123円を超えて一段と円安を見込む声は少ないものの、年内の米利上げをにらみ緩やかな円安トレンドは続くとの見方になっています。ただ、アンケート調査後の11月13日にフランスで同時多発テロが発生し、リスク回避の円買いが進む場面がありました。米利上げ懸念などを背景に8月下旬に株式相場が調整を迎えたのも記憶に新しいところ。テロの影響などが今後、どこまで長引くのかもマーケットの関心事になりそうです。 資源国通貨は底入れ? ファンドの運用者に、外貨建て資産の組み入れについてどう見ているかを質問したところ、当面のスタンスは「オーバーウエート」との回答が低下する一方、「ニュートラル」が上昇しています。またヘッジ比率については、「ヘッジ比率を上げる」という回答が10%で前月と変わらず。一方で「ヘッジ比率を下げる」が0%から20%に上昇しました。 外貨建て資産の組み入れ比率DI(オーバーウエート-アンダーウエート)について、当面のスタンスとしては、米ドルDIがプラス圏ながらも、前月に比べて水準を引き下げています。また、スイスフランDIは大幅なマイナスとなりました。なお、資源国通貨については、10月調査分のマイナス43からマイナス16に、マイナス幅を縮小させています。資源国通貨については、これまでの売り一色から、やや様子見へとムードが変わってきたようです。

TPP合意、事業に「良い影響」3割、景況感は3カ月ぶり改善(11月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(10月23日~11月5日調査分、上場企業422社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス16となり、前月調査のプラス14に比べて2ポイント改善しました。非製造業も1ポイント改善となり、金融を含む全産業では前月比2ポイント改善のプラス28となりました。 企業景況感、底入れ模索か 先行き判断も改善 企業の景況感は製造業・非製造業ともに3カ月ぶりに改善しました。日経平均株価も8月下旬の世界同時株安以降、約1カ月間の調整を経て戻り歩調を強めているだけに、10月調査分にかけての景況感悪化が一時的なものにとどまるかどうか、今後の動向が注目されます。 業況判断DIの先行きを見ると、全産業ベースはプラス26と前月比2ポイントの改善となっています。過去3カ月の平均をみると、6~8月調査分がプラス33だったのに対し、9~11月調査分はプラス25に低下しています。 その意味ではまだ先行きを慎重に見る必要がありそうですが、10月の米雇用統計が堅調だったことなどから11月に入り円安・ドル高基調が強まっており、今後の製造業の景況感にプラスの影響を与えることが考えられます。非製造業はインバウンド(訪日外国人)消費などの影響で高水準を維持しているだけに、製造業の景況感が回復すれば、先行きを含めて全体の業況判断DIを押し上げる可能性が広がります。その意味では、今後の為替相場の動向には要注目といえるでしょう。 雇用の不足感が一段と強まる 生産・営業用設備の過不足感を全製造業で見ると、過剰から不足を差し引いたDIは11月調査分がマイナス1%となりました。かねてより設備の老朽化が問題視されていましたが、かつては円高の影響で国内の生産拠点を海外に移す動きがあったため、国内で新たな設備投資意欲が盛り上がりにくい環境にありました。ただ、2012年末以降の円安・ドル高により生産拠点を国内に回帰させる動きも出始めており、徐々に国内における設備投資意欲が高まることも期待できそうです。 雇用については、11月調査分の全産業DIがマイナス32%となり、前月からマイナス幅が拡大しました。1月調査分がマイナス21%だったことから考えると、雇用の不足感は一段と強まっていることが分かります。ただ、非正規労働者が4割を占める現状からすると、雇用の不足感の高まりが必ずしも、雇用の安定化や個人消費の大きな盛り上がりにつながらない可能性もあり、状況を慎重に見極める必要もありそうです。 TPP合意、事業運営に「良い影響」が3割強 慎重な見方も 今月のQUICK短観では、以下の2点に関する特別調査を行いました。ひとつは「環太平洋経済連携協定(TPP)発効の影響」について、もうひとつは「職場積立NISA(少額投資非課税制度)」についてです。 10月5日、苦難の末にようやくTPP交渉は大筋合意に至りました。参加国は12カ国で、域内経済規模が世界の国内総生産(GDP)に占める割合は約4割に達します。域内において、関税などの貿易障壁が大幅に引き下げられ、ヒトやモノ、資本、情報が自由に行き来する、巨大な経済圏が出現します。これに関して、将来においてTPPが発効される場合の貴社の事業運営に与える影響を聞いたところ、「良い影響が出ることが想定される」(6%)、「どちらかと言えば、良い影響が出ることが想定される」(28%)と、「良い影響」との回答が34%に上り、「悪い影響」(8%)との回答を上回りました。企業全体としてはTPP発効により競争力の強化につながるとの期待につながっているようです。 今後、各国において議会承認のプロセスを経て正式に発効されますが、国内手続きが仮に順調に進んだとしても、正式発効は2016年後半とみられています。この間、米国では大統領選挙・連邦議会選挙があり、すでにTPP発効の是非を巡って、米国内では選挙戦の争点になりつつあります。今後も紆余曲折の展開が予想され、特に米国と日本における議会承認の行方が注目されます。実際、アンケート結果では、6割強が「TPP発効が事業運営に良い影響と悪い影響のどちらが出るか判断しづらい」と回答するなど未知数の部分も多いだけに、TPP発効承認に至る国内動向は、まだ予断を許しません。 職場積立NISA導入、「検討していない」が97%占める 次に「職場積立NISA」の導入に関する質問ですが、「特に検討していない」との回答が97%を占めました。 職場積立NISAとは、金融機関が取引先である企業の職場単位でNISA口座の契約をし、給与天引きや口座自動引き落としの形で、NISAの積立投資を行うものです。金融機関側から見れば、個人営業で1件ずつNISA口座を獲得するよりも、営業効率が良くなるという考えが働きます。もっとも、利用者側から見ると、職場積立NISAを利用した場合、個人で別の金融機関にNISA口座を開設するのが困難になり、運用する際の商品選択の自由度が狭められるといったデメリットも意識されます。今後は職場積立NISAの使い勝手向上に向けた金融機関の知恵が試されそうです。

株高の陰で相次ぐ企業不祥事、「企業カルチャー」に問題あり?

 株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の11月調査を、11月9日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者174名が回答、調査機関は11月2~5日)。  10月以降の日経平均株価は、8月下旬に起きた世界同時株安による大幅な下げを奪還すべく上昇トレンドをたどりました。値幅では約2000円戻しています。11月4日に新規上場した郵政グループ3社がそろって順調なスタートを切ったことも追い風に大型株を中心に幅広く買いが入りました。  一方、株式市場でもう一つの話題をさらったのが、相次ぐ企業による不祥事の発覚です。折しも金融庁は10月下旬に「スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」を開催。今回の特別調査では、両コードの導入をきっかけに果たして投資家や企業の行動は変わったかどうか、株式市場関係者の見方を聞いてみました。 投資家・企業の行動指針導入、「行動に大きな変化」は少数  まず、「公的年金や機関投資家等197社がスチュワードシップ・コードの受け入れを表明していますが、以前と比べて投資家の行動は変化したと思いますか?」という問いに対して、「ある程度変わった」が66%、「変化はみられない」が32%を占めました。「大きく変わった」という回答は、わずか2%にとどまりました。  また、「コーポレートガバナンス・コードの適用が6月から開始されましたが、企業の行動は変化したと思いますか?」との問いに対しては、「ある程度変わった」が75%、「変化はみられない」が21%を占める一方、「大きく変わった」がわずか3%でした。  スチュワードシップ・コードもコーポレートガバナンス・コードも、スタートしてまだ間が無いこともありますが、大きく変化したという印象は、ほとんど無きに等しい結果になりました。この手の行動指針は、時間をかけながら徐々に浸透していくもので、気が付くと導入前に比べて大きく景色が変わっているという類のものなのでしょう。 相次ぐ企業不祥事、「企業カルチャー」に問題ありとの見方  コーポレートガバナンスとも絡んでくることですが、最近、東芝や東洋ゴム工業、横浜のマンション傾斜問題など、さまざまな企業不祥事が相次いでいます。一体、どこに問題があったのかを質問してみました。  すると、最も多かったのが「企業カルチャー」の34%。次いで「コンプライアンス意識の欠如」が29%、「ガバナンス体制」が19%となりました。もちろんコンプライアンスやガバナンスも大事ですが、それにも増して企業カルチャーが上位にきていることから、この手の問題は長年蓄積されてきた各企業独特の環境に起因し、かつ組織的な側面もあり、それだけに責任の所在も曖昧で、問題の根本的な解決には相当の時間がかかるものという印象を受けます。 コード導入は株式市場活性化に「寄与する」9割  なお、「スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードが中長期的な株式市場の活性化に寄与すると思いますか?」という問いに対しては、72%が「ある程度寄与する」と回答。「大いに寄与する」(18%)を合わせると、9割の株式市場関係者はプラス方向に作用するとみていることが分かる結果となりました。企業カルチャーや業界の風習などはそう簡単に変わるものではないものの、企業と投資家が自身の行動に強く意識を持ち、かつ対話が進むことはお互いの行動を監視する機能が増すことにもなります。 再び日経平均2万円が射程圏に 投資家心理の改善で  日経平均が1万9000円を回復する過程において、投資家のマーケットを見る目は強気に転じています。毎月定例の相場見通しの調査では、1カ月後の日経平均予想は、10月調査の1万8042円から大幅に上振れし、11月調査では1万9181円になりました。半年後にかけても上昇予想で2016年4月末は2万258円と予想されています。  今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、10月調査に引き続き、「景気・企業業績」が54%で最も高く、次いで「海外株式・債券市場」が24%となりました。また、株価に影響を及ぼす度合いを見ると、「景気・企業業績」がプラスの影響度を強め、「内部要因・市場心理」と「海外株式・債券市場」が、ともにマイナスの影響度からプラスに転換しました。  注目される投資主体としては、相変わらず外国人投資家が高く、全体の79%を占めていますが、個人投資家が10月調査の6%から、11月調査では13%に大きく上昇しました。世界的に株価が持ち直し、景気・企業業績にもやや明るい見通しが増えるなか、外国人と個人投資家の売買が今後活発化するか注目されます。 運用担当者の組み入れ、「オーバーウエート」が上昇  資産運用担当者74人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、10月調査に比べて「ニュートラル」、「ややアンダーウエート」が低下する一方、「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」が上昇しました。  また、当面のスタンスについては、10月調査に比べて大きな変化は見られませんでしたが、「かなり引き上げる」と「やや引き下げる」が、ともに若干ですが上昇しました。10月の株価上昇を見て、さらに上昇すると見る投資家、そろそろ天井をつけると見る投資家に分かれているようです。

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