フィンテックの一角が228%高 米CNBC「ビットコインの狂気」と警鐘

18日の米国市場で、金融テクノロジー事業を手掛けるロングフィンが急騰。228.85%高の72.38㌦で終え、一時は142.82㌦まで上昇して株価が前日比で6.4倍に達する場面があった。 ロングフィンは今月13日にナスダックに新規株式公開(IPO)を果たしたばかりの中小型株。米経済専門チャンネルのCNBCによれば、15日にブロックチェーン技術を手掛けるZiddu.comを買収したと発表して買いが殺到したという。初値(6.65㌦)からわずか4営業日で株価は10倍超となった。ロングフィンの本業は輸出入の決済のほか、人工知能(AI)を使って中小企業向けに金融サービスを提供している。ビットコインなど仮想通貨が強含む中、CNBCは「ビットコインの狂気」とテーマを囃した異常な株高に警鐘を鳴らしていた。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています

2018年の米株「2割調整も」 ヤコブセン氏の「大胆予測」 円に反動高リスク

日米の主要株価指数は上昇基調を維持したまま年の瀬を迎えた。世界各国で経済成長が持続するとの観測を背景に、2018年も株高継続を見込む声が多数を占めるが、異論もある。デンマークの金融大手サクソバンクのチーフ・エコノミスト、スティーン・ヤコブセン氏は「来年上期に米株は15~20%下げる可能性が高い」と予想する。ヤコブセン氏には毎年「大胆予測」として公表している、市場が過小評価しているリスクイベントについても聞いた。 ――市場では世界経済に楽観的な見方が増えています。 「好景気にもかかわらず物価が落ち着いている米国を筆頭に、先進国では熱しすぎず冷めすぎずの適温経済のもとで株高が続くというのがメインシナリオだ。だが私はそうはならないと予想する。世界的に信用収縮が続いているためだ」 「国内総生産(GDP)に占める民間の新規の債務比率が過去9カ月間で15%低下した。中国による引き締め気味の金融政策の影響で、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を始める前から信用収縮が起きている。この信用収縮サイクルは実体経済に9カ月ほど先行すると考えられ、18年上期に世界経済は下振れする可能性が高い」 ――株価調整は避けられないということでしょうか。 「そうだ。実体経済の悪化を受けて株価も調整局面に入るだろう。現在の資産価格は、世界経済に対する『無邪気』な楽観論が前提となっている。市場では、S&P500種株価指数は18年に現状の2670ドル程度から5~10%上がるとの見方が多いものの、個人的には上期には15~20%下げておかしくないと思う」 「もっとも、そこまで株安が進めば各国の金融当局は再び緩和政策を強化するはずだ。信用供与はまた増え、株式相場もある程度は回復するだろう。18年末時点のS&P500種株価指数は今より5%安の水準にとどまると予測する。FRBは来年半ばに正常化から緩和の方に政策を戻す公算が大きい。米10年物国債利回りは、18年末時点で2.00%を見込んでいる」 ――ビットコインは6万ドルまで上昇が続いた後に、1000ドルまで下落するとの大胆な予想を示しています。 「ビットコインは昨年終盤の700ドル台に乗せるか乗せないかのレベルから一気に上がった。17年には3倍の2100ドルまで付けるとのリスクシナリオを描いていたが、実際には2万ドルをうかがう情勢だ。長いマーケット経験の中で最も激しいバブルだ。当面、上昇の勢いは続きそうだが、反動のエネルギーもたまっている」 「ポイントは各国で規制が強まるかどうかだろう。規制強化で取引が難しくなれば換金売りなどが加速し、相場は急落しかねない。既に韓国では未成年による仮想通貨の口座開設を禁止するなど、規制を始めた。ロシアでは、当局が独自の暗号通貨発行の準備を進めるのと同時に、ビットコインなどの既存の仮想通貨の規制に向けて動いていると伝わっている」 ――欧米主要国も例外ではないということですか。 「ビットコインの存在感が高まるほど、他の先進国でも何らかの規制を増やす可能性は高まる。投資家保護の目的だけでなく、政府や中央銀行にとって重要である税収の最大化や通貨の発行権を脅かしかねない点にも留意しなければならない」 「現時点では仮想通貨市場に積極介入する可能性は低いが、10年もすれば、仮想通貨に関する技術を利用して政府がデジタル通貨や仮想通貨を発行し、国民のお金のやり取りを管理しやすくなるだろう。ブロックチェーン技術により透明性の高い取引記録の作成が可能になるため、汚職の抑制につながる可能性がある」 ――日本では日銀の長短金利操作が困難になり、円が1ドル=100円まで上昇するとの思い切った予想も立てていますね。 「まずは円安・ドル高に向かう。米国主導で国債利回りが上昇するなかで、日銀が長期金利を低位に抑えることに固執すれば、円は1ドル=150円を探るかもしれない。だが円安が進む過程で各国からの通貨安誘導批判が強まるほか、輸入物価の上昇を背景に金利が高騰する。最終的に日銀が金利操作を放棄するようだと、円が100円まで反動高を演じるのではないか。大胆予想にはそう書いた」 ――国内では、黒田東彦総裁が「リバーサル・レート(金利効果の反転)」に言及して以降、金利調整の思惑が出ています。 「各国中銀の幹部がこうした概念に触れるようになったのは、大規模金融緩和は長期にわたって持続しうるものではない、との認識が強まっていることの表れだろう。あまりに長く続けると、正常化する際のコストが高くなる」 ビットコイン、1000ドルに急落も 18年の大胆予想一覧 ■18年の大胆予想 (1)米国で財務省が主導権を握り、FRBが独立性を喪失 18年の中間選挙に向けた人気取り政策や減税で財政が悪化。金利の大幅上昇を受けて財務省は2.5%の利回り上限を設定する。 (2)日銀、統制力を失い長短金利操作の放棄へ 円相場は1ドル=150円台まで下げた後、100円まで急伸する。 (3)中国が人民元建て原油先物取引を開始 原油先物取引の成功で海外勢の人民元需要が増え、対ドルの人民元相場が1ドル=6.0元超の元高・ドル安水準を付ける。 (4)S&P500の「フラッシュクラッシュ」(瞬時の急落)によりボラティリティー(変動率)急上昇 歴史的な低ボラティリティーを招いた欧米の大規模な金融緩和策は転機を迎えた。(変動率が低下した資産の買い入れを機械的に増やす)「リスクパリティファンド」や「ショート・ボラティリティー戦略」への大量の資金流入が、相場が反転したときに振れを増幅させる。 (5)米有権者が18年中間選挙で左傾化し、米国債利回りが急上昇 16年の米大統領選で民主党候補の一人だった、民主社会主義者のバーニー・サンダース氏がミレニアル世代の支持を集めたことを忘れてはならない。財政拡大路線が強まり、米30年物国債の利回りは急上昇して5%を突破する。 (6)「オーストリア・ハンガリー帝国」、EUの敵対的乗っ取りを開始 移民問題などを巡る西欧と東欧の外交的緊張が一段と高まり、ユーロはドルに対して1ユーロ=1.00ドルまで下落する。 (7)政府の規制強化によって投資家のビットコイン離れが進む 対ドル価格は1ビットコイン=6万ドル台まで上昇余地があるものの、その後1000ドルまで下落する。 (8)「アフリカの春」の後、南アフリカもリーダー交代で復活 ジンバブエのムガベ大統領の辞任を契機に、他のアフリカ諸国にも政変の波が起こる。南アではズマ大統領が権力の座を追われ、南アランドが対新興国通貨で30%上昇する。 (9)テンセントがアップルを抑え、時価総額世界トップに 中国の資本市場解放や消費主導型経済への移行が追い風となり、テンセント株の上昇率は100%に達する。 (10)女性が企業内での権力を握る フォーチュン500社のうち、60社以上で女性が最高経営責任者(CEO)に就く。 【日経QUICKニュース(NQN) 椎名遥香】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコイン先物、CMEでも取引開始 値動き荒く

日本時間18日にGLOBEXを運営するCMEグループがビットコイン先物(BTC)を上場した。1月限の初値は清算値比5.89%高の20650㌦となったが、その後いったん19315㌦まで下げて2万㌦割れ。さらに1万9000ドルを割り込む場面もあるなど、上場初日から荒い値動きとなっている。 コインデスクによればビットコインの現物は19000㌦台でもみ合い。特にCMEでのビットコイン先物上場に対する目立った反応はみられない。 ※QUICKではCMEのビットコイン先物取引開始に伴い、リアルタイムおよび10分ディレイ情報を、同日より情報端末でサービスしています。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米税制改革案採決へ、日米株式市場への影響は?

米議会の与党共和党の指導部が15日、35%の連邦法人税率を2018年から21%に引き下げる大型減税法案を最終決定した。減税規模は10年で1.5兆ドル弱となる見込みで、下院は早ければ19日、上院も20日に同法案を採決する方向で調整に入っており、クリスマスまでに成立するのか注目される。 スティーブン・ムニューシン財務長官は17日にテレビ番組に出演し、「議会が税制改革法案を可決することに疑いの余地はない」との見解を示した。金持ちや大企業が優遇を受けるとの批判が出ている中、ムニューシン長官は「税制改革は労働者、労働者の家族に良いことだ」と述べてけん制していた。 ゴールドマン・サックスは15日付のリポートで、「我々は来週に税制改革が成立すると引き続き予想している」としながら、企業の取引に幅広く課税する「物品税」の導入が見送られたことについて「貿易赤字の増加を通じて米国経済に与える影響は国内総生産(GDP)で0.3%の押し下げ要因となる」と指摘した。保護主義的な物品税が見送られたことは国際貿易などには全体的に好影響が見込まれる半面、米国の実体経済には若干、統計上はマイナスの影響が出るもようだ。 市場では税制改革の成立によって材料出尽くしを警戒する向きもあるが、調査会社のエバコアISIは17日付のリポートで「税制改革期待があった一方、インフレ率が上昇して米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが加速するような状況ではなかった」という、これまでの税制改革期待の米株ラリーの経緯を指摘した。実質金利が低く、経済環境のボラティリティが低い状況はセクター/ファクターによる銘柄入替を起こした程度で、市場全体への影響は小さかった旨を指摘し、「結論として、税制改革成立後にボラティティの急上昇に伴うバックドロップは無さそうで、S&P500が2018年に3000に向かうという我々の見通しは馴染んでいるように思われる」と締めくくった。 税制改革の進展によって将来のFRBの利上げ観測が出ることはドルのサポート要因になるとも指摘しており、日本株には好影響が見込まれそう。 外部環境が好転している一方、季節的な要因で年末は株高が進みやすいことも相場の地合いを改善させそうだ。クリスマスから年初にかけて米株が上昇するサンタクロース・ラリーは良く知られているが、アノマリー分析を手掛けるトレーダーズ・アルマナックによれば12月中旬から月末にかけてもNYダウやナスダックは上昇しやすい傾向にあるという。 1950年から2016年(ナスダック指数は1971~2016年)まで12月の前半11営業日の主要指数の傾向をみたところ、当初はいわゆる節税のためのタックス・ロス・セリングで主要指数は弱含む場面があったものの、15営業日ほどでダウやS&P500は前月比でプラスに転じるという。12月中旬の安値から特にナスダック指数は2%ほど平均して上昇するといい、経験則通りならナスダック指数の7000超えにも期待が掛かりそうだ。日経先物が連れ高すれば、掉尾の一振となるかも知れない。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

東海カ(5301)、「値上げ力」で18%高 10年ぶり高値

15日の東京市場で東海カーボン(5301)株が大幅高となった。一時は前日比204円(18%)高の1337円まで上昇し、2007年11月以来、約10年ぶりの高値を付けた。手掛かりは14日に発表した国内向け黒鉛電極の値上げだ。鉄スクラップを溶かす電気炉に使うこの素材で世界3位であり、株式市場では大口生産者の強みを生かした「値上げ力」を評価した買いが集まった。 15日の株価上昇率は東証1部で2位だった。株式市場では「原材料高を価格転嫁できる企業には魅力がある」(ちばぎんアセットマネジメントの加藤浩史運用部部長)との声があった。 黒鉛電極の原材料価格は急上昇している。中国では環境規制を強化しており、現地では環境基準を満たす電炉メーカーが増産に動いている。これが、電炉で使う黒鉛電極の需要増を誘っている。 「構造改革を進めてきた」(国内証券アナリスト)との評価も東海カ株を押し上げる。前期までにタイヤ原料であるカーボンブラックの中国工場での生産能力を約4割削減した。合理化効果も寄与し、17年12月期の連結最終損益は、前期の79億円の赤字から108億円の黒字への転換を見込む。 黒鉛電極は電気自動車(EV)に使うリチウムイオン電池の原料にもなっている。東海カでは生産拡大を図っており、10月には独SGLから米子会社を買収した。EV市場の拡大期待も株価浮揚に一役買っており、14日時点での昨年末からの株価上昇率は3.5倍と日経平均構成銘柄でトップにある。 日銀が15日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で大企業・製造業の販売価格判断DIは上昇しており、なかでも素材業種がプラス14と前回調査(プラス5)から大幅に改善した。これも素材業種の値上げ力の評価につながる。 予想PER(株価収益率)は25倍台で、同業他社の昭電工(4004)の30倍台、日カーボン(5302)の44倍台に比べ割高感は乏しい。投資家は来期の18年12月期も見据えた収益拡大期待を高めている。 【日経QUICKニュース(NQN ) 太田明広】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

止まらぬソフトバンク(9984)売り グローバルマネーフローに変化か

日経平均株価の上値の重さが目立ち始めた。NT倍率は15日の終値時点で12.55。11月17日に一時、12.77まで拡大したのをピークに緩やかな低下傾向にある。背景には、日経平均への寄与度が高いソフトバンクグループ(9984)株の値動きがある。 10月30日に1万550円の年初来高値を付けたソフトバンク株だが、気づくと株価のピークアウト感が鮮明になっている。12月14日は9042円まで下落し高値から14%下げた。 株価動向を左右してきた一因には、傘下の米通信大手スプリントがある。高値を付ける2週間前、TモバイルUSとの経営統合で大筋合意と伝わっていた。お荷物となっていたスプリント問題にもようやく光明が差すとの期待感がソフトバンク株を支えていた様子がわかる。暗転したのは10月31日。スプリントとTモバイルの経営統合を中止するとの報道だった。 ただ、足元で進む株価の調整は財務面を警戒したものではないようだ。ソフトバンクは多額の借金を抱え込んでいる。それでもクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の値動きを見る限り、プレミアムが上昇している様子は確認されない。 あえて株価のピークアウトの理由を考えるとすれば、孫正義社長流の剛腕経営に対する期待感が剥落した可能性だ。12月14日も下落率が2%を上回って引けるなど、主要株の中では下げが目立った。この日は楽天(4755)が携帯電話事業へ参入を表明した。3社寡占の国内携帯通信事業。シェア争いの激化が予想され、KDDI(9433)とNTTドコモ(9437)と共に売られた。この局面では守勢に回らざるを得ず、孫社長が得意とする攻めの姿勢は評価対象にはなりにくい。 4社の12月15日寄り付き直後の株価 需給面にも気がかりな点が浮上したのが今週だ。11日の取引所外取引では、売買代金が合計で419億円に膨らんだ。翌12日も319億円、13日は106億円だった。14日は現時点で8億円しか確認されていない。特殊な取引も短期間で終了した可能性がある。それでも4日間の合計は850億円を上回る。大口プレーヤーがソフトバンク株を外していたのかもしれない。 取引所外の動向はソフトバンクに限った話ではない。ファナック(6954)、東エレク(8035)でも11日に商いが膨らみ、翌日以降に徐々に減少した商いが確認されている。この2銘柄も最近のチャートはソフトバンクと似ているうえ、日経平均における高い構成比銘柄でもある。ソフトバンク外しなのか、日経平均外しなのか、厳密な判断は難しい。 単なる日本国内の需給動向なのか。海外に目を向けると違った切り口も見える。11月末前後、米エヌビディアや中国のアリババにテンセント、さらに韓国のサムスン電子に半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)も軒並み株価が変調をきたした。 グロース株からバリュー株への乗り換えと言ってしまえばそれで終わるかもしれない。ただ、ソフトバンクを筆頭に東エレクやファナックがグローバルのマネーフローに飲み込まれている結果が、日経平均の上値を重くしている可能性は高い。 ブラックロックは来年も新興国の株式と日本株に投資妙味があるとしている。単なる調整で終わるのか。再浮上を見込むならエントリーする水準はどこなのか。アジアも巻き込んだハイテク株の調整に対し、先行性を見せたソフトバンク。その値動きに次の投資のヒントが隠されているのかもしれない。 【QUICKデリバティブズコメント・岩切清司】 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

楽天(4755)の携帯事業参入 誰が泣き、誰が笑うのか

楽天(4755)は14日、携帯電話事業への参入を発表した。総務省の認可が下りれば、イー・アクセス(現ソフトバンクグループ)以来、13年ぶりの新規参入になるという。ただ楽天の携帯事業参入について、アナリストの間では比較的厳しい見方が先行している。 ネガティブな見方が多数 JPモルガンは、「自社サービスの普及やエンゲージメントを高めることを目指し、積極的なプロモーションを行う『楽天モバイル』(MVNO事業)で、グループシナジーを活かしユーザー拡大に手ごたえを感じている現状を踏まえれば、さらなるモバイルユーザーの拡大に向けて同社が今回の意思決定を行ったことに違和感はない」と指摘。ただ、当面の設備投資負担や新規ユーザー獲得コストなどを考慮すれば、短期~中期業績へのネガティブな影響は避けられず、また、大手キャリアと互角に戦うことの勝算も決して高いとは言えず、当面株価の重石となる可能性があるとみている。 14日の東京株式市場で楽天株は下落した ゴールドマン・サックスは、「参入企業が増えること自体は携帯電話業界にはポジティブな話ではないが、既存大手キャリアの収益性に大きな影響を及ぼす存在になるとは現時点では考えづらい」と指摘。その要因として、新規参入キャリアが様々な課題をクリアする必要を挙げた。具体的には①周波数の割り当て申請を経て、総務省が実際に周波数を割り当てるか②インフラ構築が効果的にできるのか③端末購入補助金を大手キャリア並みに出すのか③MVNOと差異化できるサービス体制を構築できるのか④利用者の流動性が低い日本市場で固定費を回収できる十分な契約者をどのように確保するのか――などを挙げた。 日本格付研究所(JCR)は、「現在の厳しい事業環境の中で新規に携帯電話事業へ参入し、収益を確保するのは容易ではない」と指摘。さらに「設備投資のための資金調達残高は、ピーク時に現状の自己資本に相当する規模に達する見通しで、財務上の負担は重い」として、格付けにネガティブな影響が生じる可能性があるとの見解を示した。 通信工事会社にポジティブか その一方で、楽天による携帯事業への新規参入は通信工事会社にとっては朗報になりそうだ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、コムシスHD(1721)、協和エクシオ(1951)、ミライトHD(1417)といった通信設備工事会社にとってポジティブと指摘。当初の設備投資額がどの程度になるのか不透明要因はあるものの、一定のスペックを備えた基地局投資が必要なため、工事量が増えるというシナリオが描け、早ければ2019年3月期にも工事発注がなされる可能性があるとみている。 クレディ・スイスでは、基地局の設置工事はコムシスHD(1721)や競合である協和エクシオ(1951)などが主に受注すると予想。株価にポジティブとの見解を示した。 【QUICKエクイティコメント・本吉亮】 ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

来年末の日経平均株価 証券各社の予想平均は2万4400円

日経平均株価が26年ぶりの高値圏で推移している。市場の視線はすでに2018年へ向かっており、証券各社の予想も出そろいつつある。来年末の日経平均の予想水準を平均すると、約2万4400円となり、強気見通しが並んだ。 野村証券は米税制改革法案の可決に着目している。「米国景気の成長加速はグローバル景気を押し上げる要因となり、日本企業の業績拡大につながる」と予想。一方でJPモルガン証券は「企業業績は市場コンセンサスより上振れ、最終的には2桁近い増益率になる」と期待する。 今年の上げ相場のけん引役だった海外投資家。来年もその動向に注目が集まるなか「海外勢による買いの拡大が見込まれる」(ゴールドマン・サックス証券)という。日本株のポジションが「依然として軽め」といい、買い余力があるようだ。 ただ、相場が一本調子で上がるとの見方は少ない。「18年後半に株式市場が調整する」としているみずほ証券は、19年の世界景気の減速懸念や日銀によるテーパリング(量的緩和による資産購入の縮小)議論の開始の可能性、さらに消費増税に伴う19年度の減益を懸念材料とした。 ▼大手金融機関の18年末予想(日経平均株価) 社名               日経平均     TOPIX 大和証券             2万7000円     ─ ※ ゴールドマン・サックス       2万5200円       2000※ JPモルガン           2万5000円       2050 バンクオブアメリカ・メリルリンチ 2万5000円           2000 ソシエテ・ジェネラル       2万4500円           1900 クレディスイス          2万4500円             ─ 野村証券             2万4000円           1900 SMBC日興証券         2万3500円           1850 東京東海調査センター       2万3500円             ─ みずほ証券            2万2000円           1700 モルガン・スタンレー                               1820 HSBC                                     1550 ※大和証券は18年12月予想 ※ゴールドマン・サックスは12カ月後の予想 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

トルコリラが急落 利上げ幅0.5%に失望売り

トルコリラが対ドルで急落(1カ月余りで最大の下落)、対円でも再び29円を割り込んだ。トルコの中央銀行は14日の金融政策決定会合で、4つの政策金利のうち後期流動性貸出金利を0.5%引き上げ、12.75%とした。他の3つの金利は据え置いた。 利上げ幅のエコノミスト予想の中央値は1.0%であったことから、0.5%という利上げ幅に対する失望売りが膨らんだ。「引き上げ後の12.75%でも、インフレ率13%近辺には届いていない。引き続き、トルコリラは不安定となる」との見方が広がったようだ。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

中国人民銀、米国に追随「利上げ」 人民元安・資本流出を警戒か

中国人民銀行(中央銀行)は14日、金融機関に短中期の資金を供給する際の金利を0.05%引き上げた。13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策金利の引き上げから間もないタイミングの「利上げ」からは、人民元相場が不安定になったり資本が流出したりすることへの恐れが透けてみえる。 人民銀は公開市場操作(オペ)の売却条件付き債券購入(リバースレポ)の7日物金利を2.45%から2.50%へ、28日物金利を2.75%から2.80%に引き上げた。さらに中期貸出制度(MLF)による期間1年の貸出金利を3.20%から3.25%に引き上げた。人民銀は声明で「拡大している市場金利とオペ金利の開きを縮めるため」とする一方、「(市場金利の上昇は)米連邦準備理事会(FRB)の利上げを受けての正常な反応」と説明した。政策金利である預金と貸し出しの基準金利は変えていない。 人民銀は今年3月に米利上げ決定直後に短中期資金の金利を0.1%引き上げた。だが、いわゆる政策金利を動かしてはいないので、人民銀は「利上げではない」と主張。あくまで資金需給の変化に従った措置だと強調していた。今回は金利引き上げが米国の動きに追随したことを事実上、認めたに等しい。 香港資産運用会社ハリスフレーザーの黄耀宗ストラテジストは今回の中国の「利上げ」について「人民銀が人民元の安定を維持するため、米中の金利差が縮小しないように動いたのだろう」と解説する。 足元の人民元相場は落ち着いているが、米国で緩やかとはいえ利上げサイクルが回り続ければ人民元売り・米ドル買いの圧力が高まる。人民元安が加速すれば、中国からどんどんマネーが流れ出すリスクが高まる。急激な人民元安は中国の企業や経済に大きな打撃を与えるため、人民銀は相場の動きに常に神経をとがらせている。 米国が6月の利上げを決める前には、人民銀が人民元の対ドル取引の基準となるレート「基準値」の算出方法を見直すということもあった。前日の終値を参考にするのをやめ、人民元相場が大きく変動しても基準値をあまり動かさない手法に変えた。市場からは「管理相場への逆戻り」とのそしりも出ていた。 FOMCメンバーが13日示した政策金利の見通しに基づくと、2018年の利上げは0.25%の幅で3回というのがメーンシナリオ。中国当局は引き続き米国にらみの市場運営を強いられそうだ。 【NQN香港・林千夏】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した記事から厳選し、一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

コスト5分の1の衝撃 運用業界に「バンガード・エフェクト」 日本法人社長に聞く

巨大化する米アマゾンが産業や企業をのみ込む「アマゾン・エフェクト」になぞらえ、低い運用手数料で他社を追随させない「バンガード・エフェクト」が米国で起きている。この現象は日本でも起きるのか、また楽天投信投資顧問とのパートナーシップなどについて、バンガード・インベストメンツ・ジャパンのディビッド・キム社長に聞いた。 ――バンガードとブラックロックの2大運用会社が米投信市場を席巻しています 「米国における低コストインデックスファンドの人気の高まりを受けて、グループの運用資産残高は2009年の約1兆ドルから足元で4.8兆ドル(約542兆円)に膨らんだ。当グループが運用するファンドのコストは0.17%と、業界平均の5分の1にとどまるほか、運用ファンド9割の運用成績が他社の類似ファンドをアウトパフォームしている。1976年に本国の米国で初めて個人投資家にインデックスファンドを提供した実績を持つ点なども評価され、個人マネーが流入している」 ――日本で提供されている投信(国内籍)の運用コストの水準についてどう思いますか? 「米国に比べると相対的に高く、低コスト投信に対する個人投資家の潜在需要は大きいとみている。一方、運用業界の意識改革も必要だ。2018年に始まる、つみたてNISA(少額投資非課税制度)の対象として、金融庁が認めたファンドの大半が低コストのインデックス型だった。これは金融庁が運用コストを重視していることの表れといえる。低コスト投信が日本に恒久的に根付くには、監督官庁の動きだけでは不十分。業界内で運用コストの引き下げ競争が活発化する必要がある。ただ、運用会社の意識に変化の芽は出ている。バンガード・グループが運用する上場投資信託(ETF)を主たる投資対象とするインデックス型投資信託を提供している楽天投信投資顧問は、当社哲学の一つでもある低コストの提供に強いコミットメントを持っている」 ――日本では高コスト投信の回転売買を問題視する見方が根強いです。米国ではなぜ低コスト投信が根付いたのでしょうか 「日本固有の問題ではなく米国も過去は同様の状態だった。しかし、徐々に投資家目線に立った動きに変化した。日本より運用会社の直販比率が2割と相対的に高いことも影響しているかもしれない。バンガードは当社グループが提唱する「真の投資原則」を日本国内でも浸透させ、個人投資家の目線に立った商品の提供に貢献したい」 ディビッド・キム社長 ――真の投資原則とは 「4つの基本原則から成る。(1)明確で適切な投資目標の設定(2)適切な資産配分と幅広い資産への分散投資(3)ローコストでの投資(4)規律ある長期運用。なかでも個人投資家はコストにもっと敏感になるべきだ。バンガードが本国の米国で運用しているファンドはすべて販売手数料が無料のノーロード。日本では現状、多くの個人投資家はリターンに対してコストを支払い過ぎている可能性がある。また、2つ目の項目は目標を達成させるために最も重要だが、経験の少ない個人投資家はこの点を見逃しがちだ。個別銘柄に集中投資するのではなく、幅広い資産に分散投資すればボラティリティを抑えることが可能だ」 ――投資原則を踏まえ、ビットコインは投資対象になりうるか 「ビットコインについて当社がお話できるとすれば、投資対象としている株式や債券と比較し、ビットコインは本源的なリターンを生む投資資産でないと考えており、現状、バンガードでは純粋に通貨のみを投資対象としたファンドの運用は行っていないということ。株式には配当があり、債券はクーポンが支払われる。ビットコインとはこういった相違点がある」 ◆ディビッド・キム氏◆ スタンフォード大学ビジネススクール(MBA)、イーストマン音楽学校チェロ専攻学士、ノースウェスタン大学チェロ専攻修士を修了。香港フィルハーモニー管弦楽団に所属し、プロのチェリストとして活躍した経験を持つ。2009年にバンガードに入社後、1兆ドルを預かる機関投資家部門の企業年金プラン顧客サービス部門でヘッドなどを務め、現職に至る。 ◆ザ・バンガード・グループ・インク◆ 1975年創立、翌年米国で初めて個人投資家にインデックスファンドを提供。低コスト投信の運用に強みを持ち、上場投資信託(ETF)に限らずアクティブ型も低コストにこだわる。グローバルの運用総資産は2017年10月末時点で4.8兆ドル(約542兆円)。日本では2000年からサービスを開始している。

米追加利上げで円高進行 FOMC、ここがポイント

米連邦準備理事会(FRB)は13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、6カ月ぶりの追加利上げを決めた。利上げ幅は0.25%。市場の焦点である今後の利上げは、2018年が年3回、19年は年2回との見通しを公表した。13日のニューヨーク外国為替市場で円相場は上昇し、前日比1円円高・ドル安の1ドル=112円50~60銭で取引を終えた。FOMCを受けて米長期金利が低下。日米金利差の拡大観測が後退し、円買い・ドル売りが優勢となった。市場関係者の見方をまとめた。 ▼ゴールドマン、FOMC「GDP予想がタカ派、減税の影響を織り込みか」 今年3回目の利上げは市場の予想通りだったが、シカゴ地区連銀のエバンズ総裁とミネアポリス地区連銀総裁のカシュカリ総裁ら2名が金利据え置きを主張して利上げに反対した。 併せて公表した四半期経済見通し(SEP)で、FOMCメンバーのFF金利予想を示すドットチャートは2018年を1.125~2.625%と見込んだ。中央値の2.125%は利上げ回数を3回と見込んだ数値で、前回予想から据え置きとなった。2019年までのFF金利予想は据え置きで、全体的にはサプライズ感に乏しかった。 今回のFOMCについて、ゴールドマン・サックスは13日付のリポートで「今後の利上げ回数は2018年が3回、2019年が2回と示されたが、我々の予想よりかなりハト派的だ」と指摘。「2020年の利上げは1回だ」としながら、FOMC参加者が徐々に中立金利に近づいていると見込んでいるのではないかと指摘した。一方でSEPについては「我々が想定していたよりもタカ派的だった」と指摘した。国内総生産(GDP)成長率見通しが引き上げられたことについて、「減税策の影響を参加者達が織り込んだようだ」とした。 ▼バークレイズ、FOMC「エバンス総裁の利上げ反対はサプライズ」 バークレイズは13日付のレポートで「ドットプロット(政策金利見通し)で2018年の利上げが3回、19年は2回で据え置かれたことは当社想定通りだった」する一方、「シカゴ連銀のエバンズ総裁が利上げに異議を唱えたことはサプライズだった」との見方を示した。「エバンズ総裁は議論を重視して、異議を唱えることを避けてきた経緯があった」という。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の反対については「6月に利上げをしたことから想定の範囲内だった」とした。 四半期経済見通しについては「小幅な修正に留まったが、新規雇用者数の伸びを堅調であるとしたことが目立った」とした。GDP見通しを2.1%から2.5%に上方修正し、失業率を下方修正したが、インフレ見通しを据え置いたことは「緩やかな利上げもしくは、インフレを加速させない失業率(NAIRU)の低下で説明がつく」との見方を示した。  ▼ノルデア、FOMC「20年のドットの上方修正は重視せず、次回利上げは18年3月」 ノルデア銀は14日付のレポートで「ドットプロットの中央値で18年の利上げは3回、19年は2回で据え置かれたが、2020年はやや上方修正された」とした。次の利上げの時期については「不透明」としながらも、「3月に18年最初の利上げを実施するだろう」とした。 税制改革については「イエレン議長は減税は米経済成長を後押しし、大半のFOMC参加者が考慮すると述べたが、影響は不透明要因が多い」とした。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ブラジル、レアル安が長期化観測 大統領が年金改革に「白旗」

外国為替市場でブラジルの通貨レアルが下落している。現政権の政策の目玉である年金改革の越年が決定的とみられ、テメル大統領の求心力は一段と低下している。「中央銀行が続けてきた利下げの出口がようやく見えてきた」との声が出る一方で、政権の先行き不透明感は強まるばかりだ。レアル安シナリオの長期化が現実味を帯びてきた。 12日の外国為替市場でブラジルレアルは対ドルで1ドル=3.33ドル程度と、11月3日以来、約1カ月ぶりのレアル安水準をつけた。12月に入り、下げ基調が改めて鮮明になっている。   ブラジルでは来年10月に大統領選挙が予定されている。「テメル大統領のもとで年金改革に一定のめどをつけられるか」(第一生命経済研究所の西浜徹・主席エコノミスト)がレアル相場を左右する喫緊の課題だ。テメル大統領は連邦議会が夏季休会に入る22日までに下院だけでも法案を通過させようと調整を続けている。来週には採決が予定されているが、賛成票が通過に必要な6割に達していない。 年金受給年齢の引き上げなど痛みを伴う改革は国民の反発が必至で、議員の間では慎重な意見が根強い。「大統領自身も年内の通過は難しく、国会が再開する来年2月以降に持ち越されると認めている」(みずほ証券投資情報部の折原豊水シニアエコノミスト)という。実質的な「白旗宣言」を受け、レアルには売り圧力がかかっている。 テメル大統領は求心力低下に歯止めがかからず、支持率は1桁台に沈んでいる。大統領選には出馬しない可能性が高い。 連立与党であるブラジル社会民主党(PSDB)も先週末に選挙で選ばれた新党首の下、連立からの離脱を模索している。与党の政権基盤が揺らぐなか、現段階でリードしているのは汚職への関与が発覚したルラ元大統領で、軍事政権復活を唱える極右候補などが続く。改革前進への期待が高まらないまま候補者選びが本格化する4月に突入すれば、政治不安からさらにレアルは売られやすくなる。 ブラジル中央銀行は日本時間7日に10会合連続の利下げに踏み切り、政策金利は年7%と史上最低金利になった。一方、利下げ幅は0.5%と、前回会合から0.25%縮小した。利下げによる景気刺激効果は少しずつ出ているもようだ。みずほ証の折原氏は「景気回復と物価安定でファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は回復しており、来年には利下げは打ち止めになる可能性がある」と予想する。 為替市場でも本来なら上向く景気に目が向いても良さそうだが、先の読めない政権への厳しい見方は強まる一方だ。来年のレアル相場は、景気回復への期待が強まる場面でも安い水準からなかなか抜け出せない裏腹な展開になるかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN ) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

アラバマショック どうなる?米税制改革

米南部アラバマ州で12日、上院補欠選挙が投開票された。大接戦の末、与党共和党候補のロイ・ムーア元州最高裁長官を抑えて民主党候補のダグ・ジョーンズ氏が勝利した。圧勝といわれていたムーア氏の敗因は、少女へのわいせつ疑惑だった。トランプ政権は共和党地盤の同州で議席を失ったことにより、税制改革など看板政策の実現に影響が生じる可能性がある。米政治の不透明感から13日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日比108円(0.47%)安の2万2758円で終えた。円相場では一時円が買われ、1ドル=113円台11銭まで円高が進む場面もあった。市場関係者の見方をまとめた。   ▼双日総合研究所 チーフエコノミスト 吉崎 達彦 氏 12日に投開票が行われた米アラバマ州の上院補欠選挙で、民主党のダグ・ジョーンズ候補が勝利したと各メディアが伝えた。セクハラ被害報道が出ていた共和党のロイ・ムーア候補は破れ、これで米議会上院の議席数は共和党が51、民主党が49と僅差になった。 ムーア氏が勝利すれば52対48で2人が造反しても大丈夫な状況だったが、総合的に考えればムーア氏が敗退したとはいえ、議会共和党としてはポジティブな影響が大きいと思う。共和党のエスタブリッシュメント議員からすれば、ムーア氏はかなり特異な人物のため、「来ても困る」という事になっていただろう。内心、ホッとしているのではないか?今後は議会で民主党と協議していけば良いし、予算案・減税案も年内可決に向けて今回の補選を踏まえて動いていたとみられる。 最も重要だったのは、経済界や政界など各方面に広がっているセクハラ被害の問題を止めることだ。アラバマの有権者がその判断を下したことは、トランプ大統領としても素直に負けを認めた方が得策だろう。今回の補選を経て「浄化された」という事になるのではないか? 選挙結果を受けて、スティーブン・バノン元首席戦略官・上級顧問が率いるブライトバート・ニュースは「ユニパーティ・ビクトリー」と報じていた。ムーア氏を推していた保守強硬派のバノン氏としては怒り心頭とみられ、さらに規制を強めなければと主張してくるかも知れない。トランプ氏としてはどっちの候補が勝っても困る事態だったとみられるが、強硬派の影響力が弱まれば、トータルでみても良かったねと言うことになるだろう。 ▼米投資会社トレンドマクロ 最高投資責任者(CIO) ドナルド・ラスキン氏 ラスキン氏は12日付のレポートで「共和党のロイ・ムーア候補が敗退したことはサプライズだった」とする一方で、「米税制改革の可決の障壁にはならず、後押しする要因になるだろう」との見方を示した。 「民主党のダグ・ジョーンズ氏が正式にアラバマ州の上院議員に就任するのは1月になる公算が大きい」とし、「税制改革法案の可決には期限がなかったが、共和党候補の敗退でクリスマス休暇までに可決する必要に迫られる。期限までに可決できるように共和党の上院議員は妥協するだろう」という。「上院での共和党の優位性を利用できるうちに利用したいという思惑がはたらく。2018年の中間選挙を視野に入れると、共和党は減税という実績を残したい」とした。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

好調IPO 第一人者が分析した銘柄変化とは? 

宅配大手の佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(SGHD、9143)が13日、東証に新規上場した。初値は1900円で、売り出し価格(公開価格)の1620円を17%上回る順調な滑り出しとなった。今年の株式市場では日経平均株価がバブル経済崩壊後の高値を付けたこともあり、大型株が話題になることが多かったが、新規株式公開(IPO)も絶好調だった。IPOアナリストの第一人者として知られる、いちよし証券の宇田川克己・投資情報部銘柄情報課長に聞くと「地合いと銘柄の相乗効果」というキーワードが返ってきた。IPO銘柄の傾向にも、ちょっとした変化が起きていたという。   まずは需給面をみると、今年は銘柄の「小粒化」が一段と進んだことが挙げられる。公募・売り出し(公開)の際に市場から吸収する資金(公開価格×公開株数)の金額は2017年の平均で1銘柄あたり62億円。ここ数年で最低だった。日本郵政(6178)、ゆうちょ(7182)、かんぽ(7181)と郵政3社のIPOがあった2015年と比べると3分の1にも満たない。最も大型のIPOになったSGHD(9143)でも1100億円程度にとどまる。従って、銘柄数は89銘柄でも全体として需給は引き締まった状態だった。 結果として、公開価格に対する初値の騰落率が跳ね上がった。初値は公開価格に対して平均的に2倍を超えた。54銘柄しか上場しなかった13年と同等の水準に上昇しており、IPO銘柄に対する、逼迫(ひっぱく)感を反映している。初値が高い水準で付くと、IPOに好んで投資する個人投資家らの資金も回転が効き始める。11月29日に上場したトレードワークス(3397)は資金吸収額が7億円強という典型的な小粒銘柄だ。同社株の次に上場を予定していたアトリエはるか(上場は中止した)まで、1週間強の間隔が空くことから資金の回転を続けたい個人の資金が集中。結局、上場から3日目になって、ようやく初値を付けた。「今年を象徴する動きだ」と宇田川氏は話す。 <2017年後半以降、IPOインデックスは大きく上昇>   ●姿消すバイオ、代わりにAI台頭? IPO銘柄を業種でみると「バイオ関連銘柄が1つもなかったのも今年の特徴」と宇田川氏は指摘する。ゲーム関連も少なかった。2000年に国内の新興企業向け株式市場が複数体制になって以来、上場銘柄数が増える時期には必ず創薬ベンチャーなどのバイオ関連や、ゲーム制作などのコンテンツ関連が上場したが、今年は目立たなかった。代わりに台頭したのは人工知能(AI)関連銘柄ではないかと宇田川氏はみる。 たとえば9月22日に上場したAI向けアルゴリズム開発のPKSHA(パークシャテクノロジー、3993)は公開価格の2.3倍である5480円の初値を付けた後、10月18日には1万4500円まで上昇。現在も初値を大幅に上回る水準で推移する。世界で初めてAI搭載レジスターを製品化したサインポスト(3996)も11月21日の上場初日には買い気配のまま値を付けず、公開価格の3.8倍である8530円の初値を付けた。AI関連銘柄への期待感が顕著にうかがえる。   <いちよし証券の宇田川克己・投資情報部銘柄情報課長>   創薬ベンチャー銘柄の一角には上場から10年が経過して、いまだに事業が実を結ばない会社もある。そうした中で「AIは自動運転にとどまらず幅広い応用範囲を連想させるうえ、加速度的な普及の一歩手前まで来ているという見方は浸透していて、買い安心感があるのではないか」と宇田川氏は分析する。新規上場会社の説明会に出向いても、投資家の関心を誘おうと「弊社は隠れたAI関連企業ですよ、と来場者に訴える経営陣が増えている印象」(宇田川氏)という。 ●来年の好地合いまで連想? もちろん日経平均がバブル後高値を更新するなど、株式流通市場の活況は最強の追い風だ。中小型株の株価指数では日経ジャスダック平均株価も、同指数が日経店頭平均と呼ばれた1990年以来の高値。やはりバブル後の高値で推移している。しかも昨年末に比べて62%上昇と大幅高だ。初値を付けた後も株価が堅調に推移すれば、IPOで買った個人の資金は一段と回転が効きやすくなる。株高はIPOでも既存の上場銘柄でも資金調達を容易にする。株高を起点に、銘柄の小粒化、業種の変化など銘柄や地合いが微妙に絡み合って、IPO銘柄の好成績につながっている。 実は年初時点で大型IPOとして予想されていたフリーマーケットアプリのメルカリ(東京・港)や、東京地下鉄(東京・台東)が上場しなかったことが、需給の引き締まりを側面支援した。とくにメルカリでは本来禁止されている現金や電子マネーなどの出品が相次いだ経緯があり、対策や信頼回復に時間がかかる可能性から上場観測が後退。東京地下鉄も東京都交通局との関係などから、ただちに株式公開というのは予想しづらい情勢。需給の引き締まった状況は当面続くとの見方に傾きやすい。来年2~3月のIPOラッシュも、地合いの良さで乗り切る展開を連想させる状況といえそうだ。 【QUICKエクイティコメント・山本学】 ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

忘年会シーズン、今年大幅高の居酒屋株は U&C(3557)やDDHD(3073)など

2017年の忘年会シーズンがやってきた。居酒屋などを展開する上場企業のなかで、会社員が集まる東京・新橋や神田に店舗を構える主な企業の今年の株価を振り返った。大幅高となったのは、にんにくしょうゆダレの焼き鳥や博多水炊きを提供する「てけてけ」のU&C(3557、マザーズ)や、青森直送の馬肉料理をウリにする「馬並み家」のDDHD(3073)などだ。 グルメサイト「食べログ」でエリアを「新橋」や「神田」に絞り、店舗が載っている主な上場企業17社の株価を調べた。新橋、神田どちらにも「てけてけ」店舗があるU&Cの11日終値は7320円だった。2月に新規上場しており、11日終値は公募・売り出し価格(公開価格)の1620円から4.5倍で、上場初値の4500円からだと63%高となった。 U&Cは、かき入れ時の忘年会シーズンについて「例年並みだが、非常に好調」(リクルーティング・マーケティング部)という。新規出店の費用が先行し2018年2月期は最終減益の見通しだが、営業利益は18%増の3億円を見込む。 新橋に「馬並み家」を構えるDDHDの11日終値は4725円で、16年末から3.7倍だ。同社の広報担当者は「12月の予約状況は前年を小幅に上回っている」と話す。 新橋、神田いずれにも英国風パブ「HUB」があるハブ(3030)の11日終値は1430円で、今年5月の1株から3株への分割を考慮すると16年末の2.5倍だ。12月4日に東証1部指定となった。自社の株高について「1部指定の効果も大きいが、投資家が好業績を評価してくれているのだろう」(同社の広報IR課)と分析する。 株価の上昇は収益拡大への期待を映しており、こうした企業の店舗は勢いがある可能性が高い。忘年会の店選びの参考材料になるかもしれない。 ◎新橋や神田に居酒屋などを構える株高が目立った主な企業 社名(コード)   店舗名  株価上昇率 今期の最終利益予想 U&C(3557)   てけてけ  4.5倍   ▲18% DDHD(3073)  馬並み家  3.7倍    8% ハブ(3030)    HUB   2.5倍    3% トリドール(3397) 晩杯屋   56%    6% 鳥貴族(3193)   鳥貴族   41%    38% (注)上昇率は11日終値と16年末との比較。U&Cは公開価格比。今期予想は、会社側が見込む18年2月期の最終利益の増加率で、▲は減益見通し。トリドールは18年3月期、鳥貴族は18年7月期。 【日経QUICKニュース(NQN ) 石川隆彦】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコイン急騰 買われた関連銘柄は? エヌビディア・・・

米国時間10日に先物が上場したビットコインの急騰を受け、11日の米国市場ではアドバンスド・マイクロ・デバイシズ、エヌビディアといったマイニング関連の半導体銘柄が堅調に推移した。デジタル・パワーは一時3.95㌦まで上昇して19%超の急騰となった。パソコンなどの電源機器を手掛けるが、仮想通貨関連の設備も手掛けているとのこと。   ブロックチェーン技術に投資するライオット・ブロックチェーンは23.67㌦まで上昇して一時49%高となった。同社は仮想通貨の売買サイトのほか、マイニングも手掛けているという。   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ビットコインの時価総額が2870億㌦に増加 バンカメに迫る

米国時間10日に上場したシカゴオプション取引所(CBOE)のビットコイン先物が一時18850㌦まで上昇し、18000㌦の大台で高値もみ合いとなった。この日は取引開始直後のアジア時間に10%高、20%高となった時点で2回のサーキットブレーカー(CB)発動となり、高値波乱の展開。ビットコイン先物の上場による売り仕掛けも警戒されたが、むしろ買いが優勢だったせいかコインデスクでもビットコイン(BTC)は17382.64㌦まで上昇して史上最高値を更新。時価総額は2870億㌦に達した。 ビットコインの値動き(QUICKナレッジ特設サイトより) ビットコインの時価総額は既にカード大手のビザを上回っていたが、これでバンク・オブ・アメリカ(3030億㌦)が視野に入っている。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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