来年の日経平均2万円超え難しい? 製造業DIは横ばい(12月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している12月のQUICK短観(11月22~12月4日調査分、上場企業414社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス14と、前月調査と同じでした。非製造業DIも前回と同じプラス30となりましたが、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ1ポイント改善のプラス24となりました。 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。日銀短観は四半期に1度の公表ですが、QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感を見るうえで、各月での動きを細かく読み取ることができます。 12月の日銀短観は上昇か? 製造業の業況判断DIは10~12月と3カ月連続同じ数字で足踏みとなりました。前述したようにQUICK短観は、3カ月に1度の頻度で行われている日銀短期経済観測調査(日銀短観)に先行した動きをみせる傾向があります。12月の数字が出たことによって、12月の日銀短観がどの程度の水準になるのかを予測しましょう。 製造業の業況判断DIは、10月、11月、12月とプラス14で推移しました。つまり3カ月間の平均値はプラス14です。ちなみにこれまでの3カ月平均は、次のようになります。 2014年10~12月・・・プラス21 2015年1~3月・・・プラス16 2015年4~6月・・・プラス21 2015年7~9月・・・プラス24 2015年10~12月・・・プラス16 2016年1~3月・・・プラス9 2016年4~6月・・・プラス8 2016年7~9月・・・プラス8 2016年10~12月・・・プラス14 今年は年初から低迷を続けた製造業DIでしたが、10~12月期は7~9月期のプラス8から6ポイント改善してきました。 これに対して、日銀短観の大企業・製造業の業況判断DIがどのように推移したのかというと、 2014年10~12月・・・プラス12 2015年1~3月・・・プラス12 2015年4~6月・・・プラス15 2015年7~9月・・・プラス12 2015年10~12月・・・プラス12 2016年1~3月・・・プラス6 2016年4~6月・・・プラス6 2016年7~9月・・・プラス6 2016年10~12月・・・???? こちらも2016年1~3月期以降はプラス6で低迷していましたが、QUICK短観の業況判断が改善したことを考えると、12月の日銀短観はある程度の上振れが見込めそうです。 円安による仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できず 生産・営業用設備の現状について、全産業ベースの「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、前月に比べてやや不足感が後退。2ポイント改善してマイナス3となりました。 雇用人員について、「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、全産業ベースでマイナス32でした。こちらも前月に比べて不足感がやや解消されています。 販売価格と仕入価格の現状は、「上昇」から「下落」を差し引いた販売価格DIについては金融を除く全産業でマイナス6となり、前月に比べて2ポイントの上昇。対して仕入価格DIは、金融を除く全産業でプラス9になり、前月比で2ポイント上昇しました。 ただ、上昇と下落の比率をみると、販売価格は「上昇」が6ポイントで「下落」が12ポイント。仕入価格は「上昇」が14ポイントで「下落」が5ポイントです。仕入価格は円安の影響で上昇する一方、それを販売価格に上手く転嫁できない状況が伺われます。 トランプ新大統領の影響はまだ見えず 12月の特別調査では、①トランプ次期米大統領の誕生に伴う事業運営への影響②2017年の日経平均株価予想――の2点について回答を得ました。 米国の次期大統領にドナルド・トランプ氏が就任することになり、米国や世界の経済の先行きが読みづらくなっています。トランプ次期米大統領の誕生は貴社の事業運営にどのような影響を及ぼすと考えるかとの質問について、「良くも悪くも業績への影響はなさそう」が54%で最多となりました。一方、プラス・楽観的とみる回答者は26%と、マイナス・悲観的にみる回答者(21%)を若干上回りました。 トランプ氏はまだ大統領に就任していませんし、具体的な政策が出てくるのは、来年1月20日以降ですから現時点では、メディアなどを通じて流れてくる情報から読み解くしかありません。なので、正直なところ先行きはまだ読めないのが現実でしょう。 いずれにしても、米国の政治問題ですから、日本企業の事業運営にすぐに影響が生じる類のものではなさそうですが、トランプ氏が今後、打ち出してくると思われる、環太平洋経済連携協定(TPP)からの撤退をはじめとした保護主義的な政策が、日本の輸出企業を中心に何らかの影響を及ぼすことは考えられます。一方、所得税や法人税の減税措置によって米国国内景気が再び回復すれば、現地日本企業の業績も恩恵を受ける可能性もあります。 とはいえ、いずれも現時点では何とも言えないことではあるので、来年以降、トランプ氏が打ち出してくる政策と、その実現可能性については、注意を払ってみておく必要があるでしょう。 日経平均、来年も「1万5000~1万9000円」で推移? 次に、今年の日経平均はおよそ「1万5000円~1万9000円」の範囲で推移しましたが、2017年はどのように推移すると予想するか聞いた設問では、「今年の範囲にとどまる」が75%に達しました。「今年の高値圏である1万9000円を超えていく」は21%でした。 「今年の範囲にとどまる」という予想が多数を占めていますが、これは現時点において、先行きが分からないからでしょう。証券市場関係者からすれば、出来ることなら今年の安値を割り込むような状態にはなって欲しくない。かといって、今年の高値圏を超えて2万円台にチャレンジするほどファンダメンタルズは強くないし、外部要因も不透明という点で、消去法的に考えれば、今年の範囲にとどまるというのが妥当な回答ということです。

トランプリスクからトランプラリーへ急展開 日本株に強気8割に(12月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の12月調査を12月5日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者159人が回答、調査期間は11月29~12月1日)。調査期間中の日経平均株価は1万8258円82銭~1万8746円28銭の範囲内で推移しました。 前回調査が行われた最終日の11月2日から今回調査最終日の12月1日までの日経平均と東証マザーズ指数は、次のようになりました。                11月2日     12月1日 日経平均株価・・・・・・・1万7134円68銭 ⇒1万8513円12銭 東証マザーズ指数・・・・・892.65ポイント ⇒919.98ポイント 日経平均は8.04%の上昇率でしたが、東証マザーズ指数の上昇率は3.06%にとどまりました。この間の上昇はトランプ氏の米大統領就任が決定し、トランプ・リスクから一転してトランプ・ラリーともいうべき相場展開になるなかで、為替市場でドル円が上昇。輸出関連企業の業績回復期待が高まり、主力大型株を中心に買いが入ったことで、中小型株はやや物色の圏外におかれる展開になりました。 トランプ減税による成長期待大きい 今回のアンケート調査では、トランプ氏が大統領になった際の経済やマーケットへの影響について聞きました。 まず、トランプ氏は減税と財政支出拡大によって米国の経済成長率を高めると言っていますが、今後の成長率をどう見るかについては、「一時的な成長率の押し上げにとどまる」という回答が全体の69%を占めました。次いで「成長率は持続的に高まる」が21%で、いずれにしても成長率が高まるとみる回答者が90%を占めています。対してネガティブな見方としては、「効果がない」が3%、「金利上昇で成長率が低下する」が3%、「そもそもそうした政策は実行できない」は1%にとどまっています。 トランプ氏が掲げている税制改革は、所得税率を現在の7段階から3段階に簡素化するとともに、最高税率を39.6%から25%に引き下げる、日本の相続税に該当する遺産税を廃止する、法人税の最高税率を35%から15%に引き下げ、米企業の海外留保利益に対しては税率10%にする、などを打ち出しています。 減税は、景気を刺激する効果をもたらしますが、その一方で国の税収は減り、その状況で財政を積極化すれば、財政赤字が増える恐れも生じてきます。その状態で、トランプ氏が言う積極財政を打ち出せるのかどうか、注目されます。 次に、保護主義政策についてですが、その世界経済に及ぼす影響については、見方が大きく分かれています。「先進国を含め米国との貿易が大きい国に打撃となる」が25%、「保護主義的な政策は実行できない」が21%、「米国を含めて、世界経済全体に打撃となる」が20%、「打撃はメキシコや中国など一部の新興国にとどまる」が20%です。 保護主義的な政策は実現できないか、もし実現したとしても影響は一部にとどまるとする、どちらかといえば楽観的な見方が41%、日本への影響を含めてネガティブな見方が45%となっていることから、正直、マーケット関係者の間でも日本経済への影響がどうなるのかは、まだ見切れていないというところのようです。 日本株に対しては8割が強気に トランプ氏の大統領就任後の政策で、上記の質問以外で株式市場に大きな影響を及ぼすと思われる要因としては、「金融規制の緩和」が43%、「米国の孤立主義による世界的な安全保障の不安定化」が17%、「財政赤字の拡大」が17%となりました。 今後1年間の株価動向について、地域別に予測してもらった結果は、米国が「一段と上昇」、「緩やかに上昇」を合わせて73%、「下落」が10%で、圧倒的に上昇が続くとみる向きが多数を占めています。 欧州は「横ばい」が44%で最も高く、「一段と上昇」、「緩やかに上昇」は合わせて40%。「下落」が16%を占めており、どちらかといえばやや弱気です。 新興国は見方が分かれ、「横ばい」と「下落」がそれぞれ34%、「緩やかに上昇」が31%でした。こちらも見方が分かれていますが、やや弱気です。 そして日本は、「緩やかに上昇」が55%で過半数。「一段と上昇」と合わせると80%が強気の見方をしています。 外国人投資家動向は株価にとってポジティブ 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万8614円となり、前回調査の1万7425円に比べて大きく上方にシフトしました。1カ月後の日経平均株価予想が1万8000円台に乗せたのは11カ月ぶりのことです。 円安の進行によって、企業が慎重にみていた2017年3月期決算に対する期待感が一転して高まってきています。今年に入ってから急激に円高が進み、業績に対して悲観的な見方が広まってきましたが、トランプ氏の大統領就任が決定した後、大きく円安が進んだことによって、輸出企業を中心に、業績が改善するとみられています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が若干上昇する一方、「景気・企業業績」は低下。為替動向の指数は11月調査の58.7から71.6へと大きく上昇しており、株価にとってはポジティブ要因と受け止められています。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、11月調査に対して大きな変動はみられませんでした。ただ、指数では「外国人」が59.5から71.4へと大きく上昇しており、その動向が株価にとってポジティブ要因であることが伺えます。 資産運用担当者の今後の組入はやや慎重 資産運用担当者60人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」、「ニュートラル」が低下する一方、「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」が上昇し、若干強気になったことが分かりました。 ただ、当面のスタンスについて聞くと、「現状を維持する」が大半を占めていますが、11月調査に比べると数値は低下。一方、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」、「かなり引き下げる」が上昇しており、見方が分かれました。この1カ月間の株価の上昇ピッチが急だったこともあり、市場関係者の間では若干の警戒感も浮上してきているようです。

円安進行が本格寄与、全産業DIでプラス圏浮上が視野に(11月)

前月に比べて大幅な改善示す 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年11月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス1となり、前月(マイナス17)から17ポイント改善しました。特に製造業DIは2カ月連続で改善。マイナス3と前月(マイナス25)から22ポイントの大幅改善となり、全体の業績見通しの押し上げに寄与しました。全体の業績見通しは悪化の一途を辿っていたトンネルから脱する兆しがみえてきたと言えそうです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。マイナス値は脱していないものの、ここ2カ月で大きく改善し、11月は2015年10月以来の水準まで回復しました。 全産業DIの過去の推移をみると以下の通りになります。 10月・・・・・・ 3 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・▲3 1月・・・・・・▲3 2月・・・・・・▲20 3月・・・・・・▲30 4月・・・・・・▲30 5月・・・・・・▲33 6月・・・・・・▲36 7月・・・・・・▲34 8月・・・・・・▲27 9月・・・・・・▲27 10月・・・・・・▲18 11月・・・・・・▲1 今年2月には2桁のマイナスに突入し、最も悪化した6月のマイナス36から改善傾向をたどると、11月はマイナス1まで急回復しました。この背景には、6月に節目の1ドル=100円を割り込むほど進んだ円高が9月下旬以降、一転して円安・ドル高に転じたことが貢献したとみられます。 円安はその後も一段と進み、11月末には114円台に突入したことから輸出関連企業を中心に増額修正期待が高まり、これがコンセンサスDIの大幅改善につながりました。 例えば、トヨタ自動車は、今年に入ってからの円高・ドル安局面で、業績見通しの前提となる想定為替レートを100円まで円高方向に見直していましたが、これが114円になれば為替要因だけで大幅な増益要因になります。ちなみにトヨタの場合、1円の円安で年間400億円の営業益の上振れ見込まれますから、14円幅の円安だと5600億円の営業増益要因になります。 来年3月に向けての為替レートがどうなるか次第ですが、いずれにしても現時点のコンセンサスの改善にこの円安がポジティブ要因に作用しているのは事実です。 製造業、非製造業ともに改善傾向 業種別のDIをみると、16業種中、プラスは8業種になり、前月の5業種から3業種改善しています。前月からのDIの動きを業種別に見ると、以下のようになります。 ↑プラスが拡大・・・・・・・・・・・・「食料品」「医薬品」「建設」「情報通信」  ↑マイナスからプラスに転換・・・・・・「機械」「卸売」「サービス」  →プラスで横ばい・・・・・・・・・・・「不動産」  ↑マイナスからゼロに回復・・・・・・・「銀行」「その他金融」  ↑マイナスが縮小・・・・・・・・・・・「電機」「輸送用機器」  →マイナスで横ばい・・・・・・・・・・「化学」  ↓プラスないしゼロからマイナスに悪化・「鉄鋼」「非鉄金属」  ↓マイナスが拡大・・・・・・・・・・・「小売」 業種別にみても、改善の兆しを示す業種が多くなっています。「プラスが拡大」から「マイナスが縮小」までを改善の兆しをみせている業種であると考えると、合計で12業種が改善していると言えそうです。特にマイナスからプラスに転換したセクターでは、機械はマイナス45からプラス11へ、卸売はマイナス22からプラス30へとは大幅な改善がみられました。 次に、DIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。 過去一年間の製造業のDIは、 11月・・・・・・▲18 12月・・・・・・▲15 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 7月・・・・・・▲49 8月・・・・・・▲45 9月・・・・・・▲38 10月・・・・・・▲25 11月・・・・・・▲3 これに対して非製造業DIは、 11月・・・・・・・15 12月・・・・・・・12 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 7月・・・・・・▲15 8月・・・・・・▲7 9月・・・・・・▲15 10月・・・・・・▲10 11月・・・・・・・1 製造業、非製造業ともに改善傾向を示しており、とりわけ製造業が10月のマイナス25から、11月はマイナス3まで大幅に改善しています。これは前述したように、11月以降、急速に進んだ円安による影響が大きいと思われます。株式市場でも円安・ドル高を織り込んで株価が上昇しています。 ただ、円安・ドル高によって業績改善が見込まれる主力大型株中心の物色になっています。さらに、現在進行している円安・ドル高は、トランプ・ラリーの影響によるものが大きいだけに、今後の反転リスクには注意を払った方がよいかもしれません。期待先行のマーケットは、行き過ぎる恐れがあります。 厳しい製鉄会社の経営環境 銘柄数の内訳は、「強気」が90銘柄で、「変化なし」が177銘柄、「弱気」が95銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップすると、下記のようになります。 <上方修正率の大きい銘柄> 1位 SUMCO(3436)・・・・・・・・・50.50% 2位 任天堂(7974)・・・・・・・・ 48.84% 3位 セガサミーHD(6460)・・・・・ 48.41% 4位 グリー(3632)・・・・・・・・ 43.60% 5位 スズキ(7269)・・・・・・・・ 32.88%  <下方修正の大きい銘柄> 1位 神戸製鋼所(5406)・・・・・ ▲88.14% 2位 IHI(7013)・・・・・・・・・▲87.12% 3位 JFEホールディングス(5411)・▲70.40% 4位 川崎重工業(7012)・・・・・ ▲51.72% 5位 カシオ計算機(6952)・・・・ ▲43.31% 3カ月前比で、純利益の下方修正率が最も大きかったのは神戸製鋼所でした。また、3位にはJFEホールディングスが入っており、製鉄会社の苦戦が目立ちます。今後、円安・ドル高が進めば、それによる業績押し上げは期待できるものの、中国の過剰生産による価格下落が響いており、その需給が改善しない限り、当面、製鉄会社にとっては厳しい経営環境が続きそうです。

トランプノミクスで米経済は加速? 保護主義警戒、円安持続は未知数(11月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の11月調査を11月28日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者141人が回答、調査期間は11月21~24日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがプラス0.020~プラス0.030%で推移しました。 長期金利の指標となる10年債利回りがようやくマイナス圏からプラスへと転じました。過去1カ月の金利推移は以下の通りとなりました。           10月25日  11月25日  3カ月債・・・・・▲0.349%⇒▲0.295%  1年債・・・・・▲0.295%⇒▲0.212%  5年債・・・・・▲0.199%⇒▲0.085%  10年債・・・・・▲0.064%⇒ 0.030%  15年債・・・・・・0.113%⇒ 0.210%  20年債・・・・・・0.372%⇒ 0.470%  30年債・・・・・・0.491%⇒ 0.597% 各期間において金利水準は上方シフトしたことがわかります。現状、11月30日に日銀が公表する予定の当面の長期国債買入れ方針で、買入額が減額されるかどうかに関心が集まっており、その警戒感で長期国債にはやや売り圧力が強まっています。 トランプノミクスで米経済はさらに加速? 今回の月次調査では、トランプ氏が米大統領に就任した後の米経済への影響について質問しました。 まず、トランプ氏の経済・通商・外交政策の効果とその影響について予想してもらいました。それによると、経済成長率は加速(58%)し、インフレ率も加速(77%)する半面、財政赤字は拡大(91%)し、貿易赤字は変わらず(42%)が、それぞれ最多となりました。 金融政策については影響なし(51%)で、タカ派にもハト派にも傾斜しないというイメージで受け止められていることが分かります。 その結果、米国の金融市場は2017年3月末に向けて、米国10年国債利回りは上昇(64%)、米ダウ平均株価は上昇(51%)、原油価格は横ばい(56%)との見方が多数を占めています。 トランプ氏が国内雇用を最優先に積極財政と減税政策を打ち出してくるとなれば、長期金利は上昇し、企業業績の上振れ期待から株価も上昇する可能性は高まるでしょう。すでにダウ工業株30種平均はトランプ氏の大統領就任が決定してから連日上昇しており、過去最高値を更新。節目の2万ドルも視野に入れようとしています。 日本は株高・円安・10年金利横ばいの予想 日本の金融市場はどうなるでしょうか。2017年3月末に向けての予想については、10年国債利回りが横ばい(63%)、20年国債利回りが上昇(52%)、日経平均株価は上昇(57%)、円・ドル相場は円安(50%)に向かうとみられています。 この1カ月で上昇してきた国内長期金利ですが、利回りが上昇すれば国債への買い意欲が湧き出てくるため、急激に上昇することはない、というのがマーケット関係者のコンセンサスになっています。 また、トランプ氏の大統領就任が決定した後、日経平均も上昇。円・ドル相場は1ドル=100円割れの円高になるどころか、逆に1ドル=113円台を付けるところまで円安・ドル高が進みました。こうした流れを反映した結果になっていますが、トランプ氏は基本的に保護主義的な政策を取ってくる可能性が高く、円安がどこまで続くのかは未知数です。 当面のスタンスは様子見ムード 新発10年国債の金利見通しは、10月調査分に比べて上方にシフトしました。10月調査分では、1カ月後、3カ月後、6カ月後の見通しがそれぞれマイナスでしたが、11月調査分ではいずれもプラス圏に転じています。 トランプ次期米大統領の政策を背景にして、米長期金利の上昇や株高・円安が進んだことから、日本の長期国債も上値の重い展開になりやすく、長期金利が押し上げ圧力は従来に比べ高まる可能性があると、多くのマーケット関係者はみているようです。 今後、6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因としては、「海外金利」が10月調査分の11%から43%に急上昇。対して「短期金利/金融政策」が69%から42%へと低下しました。ちなみに海外金利の指数は31.9ですから、下落要因として注目されていることになります。 今後6カ月程度を想定して注目される投資主体については、10月調査分と大きな違いはなく、都銀・信託銀行、地方銀行、生損保、外国人が微増。政府・日銀のオペレーションが下落しました。 国債組み入れ比率、「アンダーウエート」比率やや高まる また、ディーリング部門を除く資産運用担当者66人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、10月調査分に比べて「ややオーバーウエート」、「ややアンダーウエート」が上昇。対して「かなりオーバーウエート」、「ニュートラル」、「かなりアンダーウエート」が低下。全体としては「アンダーウエート」の比率が高まる結果となっています。 また国内債券の組み入れ比率について、当面のスタンスとしては、「かなり引き上げる」の回答比が0%になり、「やや引き下げる」が低下、「やや引き上げる」と「かなり引き下げる」が上昇するというように、回答にバラツキがみられています。 デュレーションについて、現在が通常の基準に比べてどのようになっているのかについては、10月調査分に比べて「やや長い」、「かなり短い」が低下。「やや短い」が大きく上昇しています。この点では、長期金利の上昇に対する警戒感が強まったと考えられます。 当面のデュレーションについては、「現状を維持する」が76%で大勢を占めました。ポジションをいずれか一方に大きく傾けにくく、様子見ムードが強まりそうです。

トランプは「大統領」を演じ切る? ドル円は「政治・外交」が左右の公算(11月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の11月調査を、11月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者69人が回答、調査期間は11月9~11日)。この間の為替レートは、対ドルが103円32銭~105円63銭。対ユーロが114円86銭~115円44銭でした。 トランプ米大統領で為替はどう動く? 世界が注目した米大統領選が終わりました。当初、民主党候補のヒラリー・クリントン氏優位と言われ、米国の名だたるメディアの世論調査でもそうなっていたのが、結果はそれを覆して、共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利しました。トランプ氏は、来年1月20日に行われる大統領就任式をもって、正式に第45代米大統領になります。 その選挙を挟み、マーケットは大きく混乱しました。特に、選挙の開票時間とほぼ同時刻に開いていた日本のマーケットは、株価・為替ともに乱高下しました。日本時間の午前中、クリントン候補優位との見方から1ドル=105円台で推移していたドル円レートは、午後になり、トランプ候補の優位がはっきりするにつれて、一気に101円台まで円高に振れ、日経平均株価は一時、前日比で1000円超下げる場面も見られました。 ところが、開票日翌日のニューヨーク市場では、「トランプ勝利ならリスクオフ」という大方の予想を裏切り、ドル買い・株高の展開に。それを受けて、日本の株式市場でも翌10日は一気に株価が大統領選挙前の水準に戻り、ドル円は107円台をつけています。 マーケットの混乱(急変動)はいつまで続くのでしょうか。今回のアンケート調査で聞いたところ、「一時的」が58%でトップ。次いで「2~3カ月」が19%で、「半年」が12%となりました。 また、マーケット関係者が気になるのは、やはり企業決算が相次ぐ来年3月の状況でしょう。主なマーケットの来年3月末時点における「安値」水準の平均値は、以下のようになりました。 ・ドル円相場・・・・・99.68円  ・日経平均株価・・・・15789.29円  ・ダウ工業株30種平均・17408.93ドル  ・NY原油・・・・・・39.50ドル いずれも安値の目途だという点には注意してください。実際、トランプ次期米大統領がどのような政策を取ってくるのかについては、来年1月20日の大統領就任式を経てみないと分かりませんが、選挙期間中におけるトランプ氏の発言内容からすれば、保護主義的な政策を取ってくる可能性は高く、その点で言えば、ドル円は円高方向に振れやすいとみられています。 仮に1ドル=100円割れの円高水準になれば、輸出企業を中心にして日本企業の業績悪化が懸念されます。14日はリスクオンの流れから日経平均は1万7600円台で推移していますが、円高が進めば当然、株価にもネガティブな影響が生じ、マーケット関係者が予想する1万5789円の安値を意識せざるを得なくなるでしょう。 12月のFOMCでの利上げの可能性は高いが… 米国については12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが行われるかどうかが焦点です。トランプ次期大統領は選挙期間中、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が共和党員ではないというだけで更迭宣言を出しており、もしそれが予定通りに行われるならば、イエレン議長としては自分自身が議長の座から降りる前に、利上げしておきたいという意識が働く可能性があります。つまり12月のFOMCは、イエレン議長が利上げを決定する限られたチャンスの一つといえます。その思惑をマーケット関係者も感じているのか、12月利上げの可能性については、81%が「利上げする」と答えました。 一方、日銀本の金融政策については特に見るべきところもなく、来年3月末までの金融政策については、「追加金融緩和なし」が84%を占めています。 また、年末(2016年12月末)および年度末(2017年3月末)のドル円について、平均値は以下のようになりました。  ・年 末(2016年12月末)=104.84円  ・年度末(2017年3月末)=105.56円 トランプ候補は保護主義的な政策も目につきますが、財政支出拡大や大幅な減税措置などにも言及しており、もし、こうした経済政策がとられるならばドル高要因との声があります。来年1月の正式就任後の政策を見極める必要はありますが、ほんの数日で「トランプショック」から「トランプ期待」へと市場ムードを激変させたトランプ氏の言動に注目せざるを得ないでしょう。ある市場関係者は「今まではトランプを演じていた彼が今度は大統領を演じ切れるか。演じ切るなら米再評価・ドル高ムードは持続する」と予想しています。 ドル、円ともに政治・外交への注目大 ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の103円26銭に比べて円安方向にシフトし、1ドル=104円91銭になりました。さらに3カ月後は1ドル=105円11銭、6カ月後は1ドル=105円42銭というように、徐々に円安方向へと進むとの予測が大半を占めています。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比で11%上昇して23%になり、「金利/金融政策」は前月比19%低下して43%になりました。また、ドルについては「政治/外交」が前月比38%上昇の57%に。一方で「金利/金融政策」が前月比35%低下して32%となっています。日米ともに政治・外交が為替レートに及ぼす影響に対する関心が高まっています。 また、向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIがプラス19に急落。ユーロはマイナス22で、弱含みの展開が予想されています。イタリアが憲法改正に関する国民投票を12月に行いますが、ここで憲法改正にノーが突き付けられると、レンツィ首相は辞任。欧州連合(EU)離脱を掲げる野党に政権が移れば、再び英国のEU離脱(=ブレクジット)の悪夢が蘇る恐れがあり、ユーロは弱いと判断されているようです。 為替の見通しは円高・円安で拮抗 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、10月に比べてアンダーウエートの比率が低下する一方、オーバーウエートが0%から20%に上昇していました。 また、為替ヘッジについて当面、どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ヘッジ比率を上げる」という回答が0%から10%に上昇するとともに「ヘッジ比率を下げる」という回答も14%から20%に上昇しました。為替レートの先行きについては、円高、円安両面の見方が拮抗しているようです。

米利上げ「12月実施」予想8割、トランプショックの混乱「一時的」の声

QUICKが現在調査中の11月のQUICK月次調査<外為>を10日までに回収した回答で臨時集計した「速報版」によると、米連邦準備理事会(FRB)が12月に「追加利上げに踏み切る」と予想する外為関係者は79%に達し、「利上げを見送る」(21%)を上回った。外為関係者35人から回答を得た。 米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、9日のアジアの金融・株式市場こそ大きく混乱したが、その後の欧米市場や10日のアジア市場は落ち着きを取り戻した。市場では「トランプ氏も大統領就任に向けて現実寄りの路線に修正していくと思われ、大きな混乱は回避される」(証券会社)との声があった。 金融・株式市場の混乱は「一時的」との回答が66% こうした見方を反映してか、金融・株式市場の混乱はいつまで続くか聞いた設問では、「一時的」との回答が66%で最多だった。次に「2~3カ月」が17%で続いた。 【米大統領選後の金融・株式市場の混乱はいつまで続くか?】 一時的   ■■■■■■■■■■■■(66%) 2~3カ月 ■■■(17%) 半年    ■(6%) 1年    (0%) 2~3年  ■(6%) それ以上  (0%) その他   ■(6%)  ただ、回答者からは「トランプ大統領へのリスクヘッジはこれから吟味しながらということになるとみる。共和党の中で分裂した政策論争が話し合いによって収斂していくのか、分裂したままで議会と対立するのかはまだ織り込めない」との慎重な声も聞かれた。 来年3月までの下値メド…ドル円は1ドル=98.94円、日経平均は1万5605円  来年3月に向けての円相場の高値(対ドル)、日経平均株価、ダウ工業株30種平均、NY原油先物の安値をどう予想するかとの質問では、単純平均でそれぞれドル円相場が1ドル=98.94円、日経平均が1万5605円、ダウ平均が1万7185ドル、NY原油は1バレル39.43ドルとなった。  正式な調査結果は11月14日に公表する予定。

トランプ勝利で注目される為替と景気の行方 製造業DI横ばい(11月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している11月のQUICK短観(10月26~11月7日調査分、上場企業419社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス14と、前月調査と同じでした。一方、非製造業DIは前月比5ポイント改善のプラス30となり、結果、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ2ポイント改善のプラス23となりました。 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。日銀短観は四半期に1度の公表ですが、QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感を見るうえで、各月での動きを細かく読み取ることができます。 トランプ次期大統領の誕生で注目される為替と景気の行方 製造業の業況判断DIは、10月まで3カ月連続で改善してきましたが、11月調査では横ばいにとどまり、ここにきて若干足踏みした形です。 過去のQUICK短観の製造業(全産業)について、2015年11月から直近までを並べると、以下のようになります。 2015年11月・・・プラス16    12月・・・プラス17 2016年1月・・・プラス13    2月・・・プラス10    3月・・・プラス5    4月・・・プラス8    5月・・・プラス7    6月・・・プラス9    7月・・・プラス7    8月・・・プラス8    9月・・・プラス10    10月・・・プラス14    11月・・・プラス14 今回、足踏みをしたとはいえ、今年3月のDIがプラス5だったことを考えれば、徐々に製造業の景況感は回復基調をたどっていました。 ただ問題は、11月8日に行われた米大統領選挙によって、共和党候補のドナルド・トランプ氏が次期大統領に選ばれたことです。トランプ次期大統領はかねてから日本車に対して高率の関税をかけるべきだと主張しており、これを政策として推し進めれば、日本の自動車メーカーは大きな打撃を被ることになります。 また、円安政策に対しても批判的な立場を取ってきました。外国為替市場ではトランプ次期大統領が大統領選挙において得票を重ねるなかで、円高・ドル安が加速していきました。当面、この流れが続く可能性は否定できず、ドル円は1ドル=100円を割り込むと予想する市場関係者もいます。 結果として、製造業の業況判断DIに再び低下圧力が強まるリスクは否定できません。日銀短観の業況判断DI(大企業・製造業)の数字は、2016年6月のプラス3を底にして、9月はプラス6まで回復してきましたが、先行きは予断を許さない状況といえます。 円相場は「想定通り」が上昇も… 生産・営業用設備の現状について、全産業ベースの「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、マイナス5で、前月と変わらずになりました。 雇用人員について、「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、全産業ベースでマイナス34となり、前月に比べて1ポイント不足感が強まっています。製造業のDIは前月と変わりませんでしたが、非製造業のDIがマイナス50になり、不足感が一段と強まっています。 また、販売価格と仕入価格の現状ですが、「上昇」から「下落」を差し引いた販売価格DIについては、金融を除く全産業でマイナス8になり、前月に比べ1ポイント下落。同じく「上昇」から「下落」を差し引いた仕入価格DIは、金融を除く全産業でプラス7になり、前月に比べて2ポイント上昇しました。仕入価格DIの上昇と販売価格DIの下落は、企業収益悪化の懸念につながります。 なお、円相場については、前月に比べて「想定通り」の構成比が上昇しました。10月調査では33ポイントでしたが、11月調査では49ポイントまで上昇。また、「想定よりも円安」が3ポイントから7ポイントに上昇し、「想定よりも円高」が64ポイントから44ポイントに急低下した結果、DIはマイナス61からマイナス37に改善しました。 ただ、前述したようにトランプ次期大統領の政策次第では、一段と円高が加速する可能性もあり、もうしばらく見極めが必要となりそうです。 賃上げは現状維持 11月の特別調査では、①賃上げの状況②VR(仮想現実)技術の事業への導入――について回答を得ました。 まず、「賃上げについて現状どう検討しているか」について聞いたところ、「現状水準の維持」が64%で最多となりました。次に「小幅な賃上げの可能性」が34%で続き、「賃下げの可能性」についてはゼロでした。 2016年3月期決算は過去最高を更新した企業が多くみられましたが、今年に入ってから大幅な円高が進んだことによって、気になるのが2017年3月期決算です。日銀短観によると、2016年度の想定為替レートは、自動車が1ドル=109.13円、電機が1ドル=112.34円です。現在の為替レートは1ドル=103~105円なので、想定為替レートから見ると、円高水準にあります。 結果、このままの為替レートで推移すると、2017年3月期決算は、主要輸出産業を中心に業績が下振れする恐れがあります。さすがに内部留保が高まっている現状、賃下げを打ち出すのは難しい状況ですが、さらなる賃上げには慎重な姿勢を見せており、現状水準の維持が64%を占めたのは、やむを得ないところでしょう。 「VR技術を事業に導入すること」に関しては、「今のところ導入する見込みはない」が67%で最多となりました。「将来的な導入の可能性」と回答した企業は25%で、「導入済み・導入予定」は10%でした。 VRとは「バーチャルリアリティ」、仮想現実のことです。これを事業に導入するとしたら、どのような使い方が考えられるでしょうか。 たとえば、住宅の内覧を行う時にVR技術で臨場体験が出来る、自動車に乗らなくても、試乗したのと同じ効果が得られるなどが挙げられます。ただ、アンケートに対する回答を見る限り、「導入する見込みはない」という回答が全体の67%を占めていることからも分かるように、今のところVR技術を積極的に活用することで、ビジネスを拡大させていこうという動きは、あまり見られません。最新技術であるだけに、具体的な活用事例が次々に出て来ないと、ビジネスシーンへの活用はまだ時間がかかりそうです。

「トランプ・リスク」再浮上で株式市場は様子見ムード強まる(11月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の11月調査を11月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答、調査期間は10月31~11月2日)。 前回調査が行われた最終日の10月6日から、今回調査最終日の11月2日までの日経平均株価と東証マザーズ指数は、次のようになっています。 日経平均株価・・・・・・1万6899円10銭 ⇒ 1万7134円68銭 東証マザーズ・・・・・・961.25ポイント ⇒ 892.65ポイント 円安の影響もあり、日経平均株価は比較的堅調に推移しました。主力大型株に物色の対象が移る一方、小型株の動きは弱く、東証マザーズ指数は日経平均の動きに反して、この間に7%もの下落になりました。 ただ、11月に入ってからは「トランプ・リスク」の高まりが意識され、日経平均も下げ基調です。10月28日には終値で1万7446円41銭まで上昇した日経平均ですが、11月4日には1万6905円36銭まで下落しました。8日の米大統領選挙の投開票日まで民主クリントン、共和トランプ各候補に関するニュースに金融・株式市場は振り回される公算が大きく、直前まで目が離せないところです。 企業価値の向上に向けた取り組みは「中長期戦」に 今回のアンケート調査では、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードについて調査しました。 コーポレートガバナンス・コードが制定されて2年が経過しました。現時点において、企業価値向上に向けた取り組みをどう評価するのかを聞いたところ、「将来に向けて効果が期待できる」が57%が最多となり、次に「ほとんど効果は見られない」が22%で続き、「すでに効果が出ている」は17%となりました。 スチュワードシップ・コードは制定されて3年目になり、多くの機関投資家がスチュワードシップ・コードを受け入れましたが、その評価については、「対話はまだ試行錯誤の段階だが、今後期待できる」が66%、次いで「形式的な対話にとどまり、効果が期待できない」が22%、「企業価値向上に向けた対話が活発になった」が7%でした。 コーポレートガバナンス・コードにしても、スチュワードシップ・コードにしても、その効果が発揮されるのはまだ将来的なものであり、現時点では「将来に期待する」という答えが大半を占めました。 インデックスファンドに「企業との対話」は条件付き賛成多数 また、インデックスファンドにエンゲージメント(企業との対話)を求める動きがありますが、これに対しては、「条件付き賛成(時価総額の大きい銘柄に限定など)」が45%、次いで「賛成」が28%、「反対」が26%となりました。 総じて賛成という意見が過半を占めています。欧米では、インデックスファンドでもエンゲージメントを行うケースがあるとのレポートもありますが、昨今のようにインデックスファンドのコスト削減競争が激化するなかで、運用会社が組み入れ企業に対してエンゲージメントを行うのは、コスト面で厳しいものがあります。したがって、仮にエンゲージメントを行うにしても、それは条件付きというのが現実的なところだと思われます。 なお、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードが定着すれば、中長期的に市場全体のパフォーマンス向上に寄与するかどうかについては、「寄与する」が70%で最も多く、次いで「わからない」が19%、「寄与しない」が9%という結果になりました。 政治・外交に対する関心強まる 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万7429円となり、前回調査の1万6926円から若干、上方にシフトしました。また3カ月後、6カ月後の数字を見ると、徐々に右肩上がりで、2017年4月末には1万8000円台を回復する見通しですが、今後の株価を見るうえで最大のポイントは、11月8日に行われる米大統領選挙と、その後のマーケットの動きでしょう。 民主ヒラリー・クリントン候補のメール問題が再燃し、両候補者が接戦になったことで、トランプ・リスクが再浮上。為替は円高に振れ、株価も下げました。現状、FBIはヒラリー・クリントン候補の訴追を求めないという方針を打ち出したことから、11月7日の東京市場において、株価は上昇し始めています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「政治・外交」が前回調査の5%から、今回調査では16%へと上昇しました。「景気・企業業績」は41%で変わらず。「金利動向」と「為替動向」が低下しました。政治・外交に対する関心度が上がったのは、間もなく行われる米大統領選挙の行方を見守りたいという意向が、マーケット全体に広まっているからでしょう。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、「外国人」が相変わらず高く、前回調査の83%から、今回調査では90%まで上昇しました。一方で、「個人」や「投信」、「金融法人」、「企業年金・公的年金」は微減。現時点において、国内株式市場の動向を左右する投資主体は、外国人投資家が中心になっています。 投資家は米大統領選後の動きを見守る展開? 資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前回調査に比べて低下する一方、「ややオーバーウエート」と「ややアンダーウエート」が上昇しました。 また、当面の組入スタンスとしては、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」が前回調査に比べて低下する一方、「現状を維持する」が62%から81%に上昇しています。大統領選挙後のマーケット動向について様子見ムードが強まっているようです。

円安追い風にコンセンサスDI回復 非鉄金属・鉄鋼・電機など見通し改善(10月)

製造業中心に業績見通しが回復 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年10月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス18となり、前月(マイナス27)から9ポイント改善しました。製造業DIはマイナス25と前月(マイナス38)から13ポイントの大幅改善となり、全産業DIの改善を牽引する形となりました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを示しています。なおマイナス幅は大きいものの、10月は2016年1月以来の水準まで回復しました。 全産業DIの過去1年の推移をみると以下の通りになります。 10月・・・・・・ 3 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・▲3 1月・・・・・・▲3 2月・・・・・・▲20 3月・・・・・・▲30 4月・・・・・・▲30 5月・・・・・・▲33 6月・・・・・・▲36 7月・・・・・・▲34 8月・・・・・・▲27 9月・・・・・・▲27 10月・・・・・・▲18 8~9月とマイナス27で足踏み状態になりましたが、10月に入ってからマイナス18と急改善しました。最悪だった6月のマイナス36から順調に改善傾向をたどっていますが、この背景には為替の影響があると思われます。 5月には1ドル=111円台を付ける場面もあったドル円相場ですが、6月に節目の100円を割り込むまで円高が進んだ事から製造業を中心に業況が悪化しました。しかし、9月下旬以降は再び円安に転じ、10月下旬には105円台まで円安・ドル高が進行。製造業を中心に業績の先行きに明るい兆しがみえ始めたことがコンセンサスDIの数字にも現れたといえそうです。 非製造業DIの足下は脆弱 次に、DIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。昨年以降の製造業のDIは、 10月・・・・・・▲12 11月・・・・・・▲18 12月・・・・・・▲15 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 7月・・・・・・▲49 8月・・・・・・▲45 9月・・・・・・▲38 10月・・・・・・▲25 これに対して非製造業は、以下の通りです。 10月・・・・・・・20 11月・・・・・・・15 12月・・・・・・・12 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 7月・・・・・・▲15 8月・・・・・・▲7 9月・・・・・・▲15 10月・・・・・・▲10 製造業DIはマイナスが続いていますが、7月のマイナス49を底に、10月はマイナス25まで改善しています。一方、非製造業も改善傾向をたどっていますが、消費者物価指数は相変わらず低迷しており、足下はやや脆弱と見た方が良さそうです。 「不動産」「電機」など13業種のDIが改善 業種別のDIをみると、16業種中、プラスは5業種になりました。先月はプラス業種が「情報・通信」のみだったことから考えると、先行きの業績に対する期待値が高まっている業種が増えていることが分かります。 前月からのDIの動きを業種別にみると、以下のようになります。 ①ゼロないしマイナスからプラスに転換   ⇒「食料品」「医薬品」「非鉄金属」「建設」「不動産」  ②マイナスからゼロに回復   ⇒「鉄鋼」  ③プラスからゼロに悪化   ⇒「情報・通信」  ④マイナスが縮小   ⇒「化学」「機械」「電機」「輸送用機器」「小売」「サービス」「銀行」  ⑤マイナスが悪化   ⇒「卸売」「その他金融」 業種別にみても、改善の兆しを示す業種が多くなっています。上記では、①・②・④が改善の兆しをみせている業種であると考えられますが、それを合わせると合計で13業種が改善しています。 業績の上向く力が弱い 銘柄数の内訳は、「強気」が57銘柄で、「変化なし」が184銘柄、「弱気」が123銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップすると、下記のようになります。 <上方修正率の大きい銘柄> 1位 グリー(3632)・・・・・・・52.34% 2位 セガサミーHD(6460)・・・37.78% 3位 三井化学(4183)・・・・・・31.81% 4位 東芝(6502)・・・・・・・・29.32% 5位 任天堂(7974)・・・・・・・28.38%  <下方修正の大きい銘柄> 1位 ベネッセHD(9783)・・・▲ 100% 2位 新光電気工業(6967)・・・▲95.89% 3位 日本写真印刷(7915)・・・▲72.71% 4位 リコー(7752)・・・・・・▲56.28% 5位 セブン&アイHD(3382)・▲55.59% 上方修正率のトップ5と、下方修正率のトップ5を比較すると、上方修正率は全般的にそれほど高くありませんが、下方修正率の数字は1位のベネッセHDのマイナス100%をはじめとして、非常にマイナス幅が大きくなっているのが分かります。この比較感で言うと、一部に業績堅調な銘柄は散見されるものの、業績が上向く力は弱いということが言えそうです。

日銀緩和期待は沈静化? 来年3月まで「見送り」7割超える(10月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の10月調査を10月31日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者145人が回答、調査期間は10月25~27日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.065~マイナス0.055%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、9月28日時点から10月28日時点にかけて以下の通りとなりました。         9月28日   10月28日 10年債・・・・▲0.067% ⇒▲0.045% 15年債・・・・・0.125% ⇒ 0.133% 20年債・・・・・0.359% ⇒ 0.390% 30年債・・・・・0.520% ⇒ 0.459% まだ、マイナス圏ではあるものの、10年債利回りの水準は徐々に上昇しています。全体をみると、3カ月物から40年物までのすべての期間において、前月よりも金利水準は上昇しました。また前月に引き続き、マイナス金利は10年物までとなり、15年物よりも長い金利については、プラス圏を維持しています。 米金融政策、利上げ方向もペースは「緩やか」利上げ、来年3月までに「1回」大勢 今回の特別質問では、今年度末(2017年3月末)までの日・米・欧の金融政策や債券相場について調査しました。 まず、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策をどう考えるかという質問に対しては、FRBの場合、「利上げ1回」とする回答が82%で最も多く、次いで「利上げ2回」が15%、「現状維持」が4%になり、年度内に利上げ1回とする見方が大勢を占めています。 一方、ECBについては「現状維持」と「追加緩和」がともに44%となり、「テーパリング」が9%で続きました。 米国は利上げ、欧州は緩和方向にある点からも欧米景気の強弱差がみて取れます。欧州は現状維持と追加緩和がともにトップであることから、景気の先行きに対しては弱気。対して、年度内1回とはいえ利上げを行うという回答が最も高い米国の景気は、緩やかな拡大トレンドにあるとの見方を反映していると言えます。 早期の追加緩和観測が後退 では、日銀の金融政策に対する見方はどうでしょうか。 2017年3月末までの日銀の金融政策については、最も多かった回答は「追加金融緩和なし」で74%に達しました。追加緩和を見込む回答者は「3月」の13%が最も多く、「1月」が9%で続き、「11月」は1%にとどまりました。 黒田日銀総裁が通称「黒田バズーカ」と呼ばれる量的金融緩和を行ってから3年半が経ちました。この間、日銀が市中にばらまいたマネーの量は膨大になりましたが、景気の回復力は弱く、物価もむしろデフレ傾向を強めています。 金融緩和によって得られる効果に限界がみえ始めたこともあり、もう一段の金融緩和については、時期やタイミングを考えて日銀も慎重姿勢にならざるを得ないと考えるマーケット関係者が多いようです。 また、仮に金融緩和に踏み切る場合、具体的な手段はどのようなものになるのかという点については、「マイナス金利の深堀り」が74%で最多となり、「10年金利ターゲット水準の引き下げ」が31%、「質的緩和の強化」が23%で続きました。 もう一段の金融緩和により瞬間的に円安・株高をもたらす可能性はありますが、肝心の実体経済がついていかなければ、中長期的な円安・株高は望めません。現状、金融緩和のみに頼った景気・マーケット対策は、ほぼ限界がみえてきているとの見方も増えており、実体経済を押し上げるには財政出動・規制緩和を含めた政府の対策と日銀の金融緩和を同時に進めることで相乗効果を高めることが必要なのかもしれません。 なお、2017年3月末までの日本の10年国債利回り予想については、単純平均で最高がプラス0.044%、最低がマイナス0.128%となっています。 イールドカーブ・コントロールで10年マイナス金利幅は上方修正 新発10年国債の金利見通しは、前月に引き続きマイナス金利圏にあるものの、さらに水準は上方修正されました。9月調査における1カ月後の長期金利見通しは、単純平均でマイナス0.059%でしたが、10月調査分ではマイナス0.050%になりました。同じく、3カ月後はマイナス0.051%からマイナス0.046%に、6カ月後はマイナス0.053%からマイナス0.044%に、いずれもマイナス幅が縮小しています。 9月の日銀金融政策決定会合で、10年国債利回りをゼロ%近辺に誘導する「イールドカーブ・コントロール」が導入されて以来、徐々に過度なマイナス金利が修正されており、その流れが現在も続いています。 今後、6カ月程度を想定して、最も注目される債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が8月調査の91%から9月調査に78%まで低下した流れを引き継ぎ、10月調査は69%まで低下しました。 他の要因に対する注目度は、前月に比べてそれほど大きく変わっていませんが、「海外金利」が9月調査の5%から10月調査では11%に上昇しています。また、今後6カ月の間に注目される投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が圧倒的に高く、8月調査の80%より低下しているものの、それでも10月調査で76%を維持しています。 ディーリング部門を除く資産運用担当者72人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」が低下傾向をたどっており、7月調査時点で17%だったのが、10月調査では5%まで低下しました。また「ニュートラル」も、徐々にではありますが低下傾向をたどっています。一方、「ややアンダーウエート」が32%まで上昇しています。 当面の組入比率については、「現状維持」が7月調査の82%から、10月調査では70%まで低下する一方、「やや引き下げる」が7月調査の12%から、10月調査では25%まで上昇しました。また債券のデュレーションについて、当面のスタンスとしては、「やや長くする」が前回調査に比べて低下し、「現状を維持する」が大きく上昇しました。

米大統領選挙後のドル円相場、トランプリスク後退で大きな変化なし?(10月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の10月調査を、10月17日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者71人が回答、調査期間は10月7~13日)。この間の為替レートは、対ドルが103円52銭~103円92銭。対ユーロが114円36銭~115円48銭でした。 米大統領選、クリントン候補の勝利でほぼ確定? 米国の大統領選挙まで、あと1カ月を切りました。一時は共和党ドナルド・トランプ候補の予想外の健闘ぶりに、大統領選挙レースの行方が分からなくなり、それがマーケットのかく乱要因になることもしばしばありましたが、度重なる失言、過去の不適切映像などがメディアを通じて広まり、共和党内も一枚岩ではなくなったことから、民主党ヒラリー・クリントン候補の優位性が高まってきています。 もちろん、大統領選挙なので終わるまでどうなるかはわかりませんが、少なくとも現時点において、トランプ候補が形成を逆転させ、大統領の座を射止めるのは、非常に難しいことと思われます。 今回のアンケート調査では、ヒラリー・クリントン候補とドナルド・トランプ候補のどちらが勝利すると予想しますかと質問したところ、「民主クリントン候補」との回答が90%を占めました。 マーケット関係者をはじめとして、圧倒的に多数がクリントン候補の勝利を信じているといっても良いでしょう。 では、それぞれが大統領になった時、ドル円相場にはどのような影響が及ぶのでしょうか。 まず、クリントン新大統領が誕生した場合は、「緩やかな円高圧力」が41%で、「ほぼ影響なし」が40%、「緩やかな円安圧力」が17%でした。 これに対してトランプ新大統領が誕生した場合だと、「強い円高圧力」が51%で、「緩やかな円高圧力」が43%、「緩やかな円安圧力」が4%でした。実に「円高圧力」との回答は94%に上ります。 2人の予測を比較すると、仮にトランプが大統領になった場合は、ほぼ有無も言わさずに円高圧力が強まると思われます。もちろん、現状の予想ではトランプ候補が大統領になる可能性は極めて低い状況になっていますが、「まさか」が現実になった場合は、外国為替市場において、特大のサプライズということもあり、急激に円高が進でしょう。 次に、日米の金融政策についてですが、年内、FRBが利上げを実施するかどうかについての質問は、「12月に利上げ」が81%、「11月に利上げ」が4%で、年内に利上げを実施すると見ている人の割合が圧倒的に多いことに加え、その時期は12月であることが分かります。逆に、「追加利上げなし」との回答は14%にとどまりました。 日銀の新しい金融政策の枠組み、「緩和強化・縮小」で二分 次に日銀の金融政策はどうでしょうか。9月20~21日に開催された金融政策決定会合において、日銀は長短金利を政策運営の目標とする新しい金融政策の枠組みを導入しましたが、これは金融緩和の強化・縮小のどちらを意識したものか、という質問に対しては、「金融緩和の縮小」と見る向きが54%、「金融緩和の強化」が46%で、見方が二分されています。 また、日銀の年内の金融政策については、「追加緩和なし」が89%を占めており、追加利下げはないと見る向きが大半を占めています。また少数ではありますが、年内に利下げが行われると見る人のうち、「12月に追加金融緩和」が9%、「11月に追加金融緩和」が3%という結果になりました。 そして、来年前半にかけてのドル円相場については、「円安・ドル高トレンドに転換する」が36%で、「方向感が定まらずもみ合いが続く」が34%、「円高・ドル安トレンドが続く」が27%となりました。 結果としてドル円相場の方向性について市場関係者の明確なコンセンサスは見出せませんでした。しかし、足元では1ドル=104円台まで円安・ドル高が進む場面もあり、これまでの円高・ドル安の流れにやや変化が出始めた兆しもみられます。今後のドル円については、円安トレンドへの転換も含めて相場見通しが語られる場面も増えてきそうな予感もあります。 今後の見通しは円安方向 ドル円相場については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=102円43銭に比べて円安方向にシフトし、103円26銭になりました。さらに3カ月後は104円ちょうど、6カ月後は104円28銭というように、徐々に円安方向へと進む予測が大半を占めています。 これに対してユーロ円は、1カ月後の1ユーロ=114円48銭から、3カ月後は114円30銭へと円高方向に進むという見方です。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比で12ポイント増、「景気動向」が10ポイント増になったのに対し、「金利/金融政策」が22ポイントのマイナスになりました。 ドルについては「政治/外交」が前月比で17ポイント増になった半面、「金利/金融政策」が17ポイントのマイナス。ユーロは「政治/外交」が24ポイント増になったのに対し、「金利/金融政策」が32ポイントのマイナスになりました。円、ドル、ユーロのいずれも、関心の対象は同じ傾向が顕著に表れています。 また、向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIがやや低下したものの、プラス37で他の通貨に比べて相対的に買い意欲の強い状況が続いています。豪ドルやNZドルロシアルーブルのDIもプラス幅が拡大しました。 逆に、ユーロや英ポンドDIはマイナス幅が拡大。特に英ポンドは、前回調査のマイナス18から、今回調査ではマイナス73へと、マイナス値が大幅に上昇しています。 ヘッジ比率は現状維持 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「オーバーウエート」は0%で変わらず。「ニュートラル」が88%から71%に低下する一方で「アンダーウエート」が13%から29%へと上昇しており、やや外貨投資には消極的なスタンスが見て取れます。 また為替ヘッジについて当面のスタンスを伺うと、「ヘッジ比率を上げる」という回答は0%で、「ヘッジ比率を下げる」が17%から14%に低下。「現在のヘッジ比率を維持」が83%から86%に上昇しました。外貨投資に対してはやや消極的だけれども、現状のポジションについて、ヘッジ比率を高めるほどの円高は見込んでいないことが分かります。

景況感底打ちは本物か? カギ握る「為替・金利・人件費」動向(10月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している10月のQUICK短観(9月29~10月12日調査分、上場企業426社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス14となり、前月調査から4ポイント改善しました。改善は3カ月連続となります。一方、非製造業DIは前月比4ポイント悪化のプラス25となり、結果、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ1ポイント悪化のプラス21となりました。 日銀短観は横ばい見通しも、景況感に上昇の兆し QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。日銀短観は四半期に1度の公表ですが、QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感を見るうえで、各月での動きを細かく読み取ることができます。 10月3日に発表された9月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断DIがプラス6と前回調査と同じ、将来の業況を示す先行きDIもプラス6と横ばいの見通しとなりました。アベノミクスがスタートしてからの景気回復局面において、大企業製造業の業況判断DIは、2014年3月のプラス17が最も高く、そこから徐々に低下し、2016年3月にプラス6まで低下しました。 現在、日銀短観の業況判断DIに関して言えば、2016年3月以降、6月、9月と3カ月連続でプラス6の底這い状態が続いています。ここから力尽きてさらに落ちるのか、それとも今が大底で、ここから再び回復基調に向かうのか、その行方が注目されますが、QUICK短観によると、製造業の業況判断DIの推移は、次のようになります。 2016年3月・・・・・・プラス5    4月・・・・・・プラス8    5月・・・・・・プラス7    6月・・・・・・プラス9    7月・・・・・・プラス7    8月・・・・・・プラス8    9月・・・・・・プラス10    10月・・・・・・プラス14 このように、3月のプラス5を底にして、若干の一進一退はあったにしても、徐々に上昇傾向をたどっています。今後、為替レートがもう一段、円安・ドル高方向に進めば、製造業の景気の先行きに対する見通しが明るくなり、日銀短観が底を打って上昇に転じる可能性もありそうです。 非製造業の雇用不足は深刻 生産・営業用設備については、全産業ベースでみると、「過剰」の割合から「不足」の割合を差し引いたDIはマイナス5で、前月と変わらずでした。 雇用の過不足を見ると、全産業ベースでは前月に比べ2ポイント改善したものの、マイナス33で相変わらず雇用不足が問題になっています。特に非製造業DIはマイナス48であり、非製造業の雇用不足が深刻です。 全産業ベースの販売価格と仕入価格のDIは、販売価格DIが2ポイント低下してマイナス7、仕入価格DIが1ポイント低下してプラス5になりました。仕入価格は「上昇」と答えた回答比が高いのに対し、販売価格は「下落」と答えた回答比が高く、企業にとっては稼ぎにくい状況が続いています。 製造業・業績面の注目は為替・金利動向 10月の特別調査では、①貴社が10月以降の業績を見通す上で最も気がかりな要因について、②貴社での個人情報の取扱い方に関して――の2点について質問しました。 ①については、「為替・金利動向」が41%で最多となりました。次に「海外経済動向」と「人件費の上昇」がともに23%で続きました。 9月後半には1ドル=100円割れ寸前まで進んでいた円高・ドル安ですが、10月に入ってからは一転、円安・ドル高ムードが強まりました。10月13日時点では1ドル=104円台を付け、市場関係者の中には、明らかに潮目が変わったとまで言う人も出てきています。 一方、製造業・非製造業の別にみると、製造業は「為替・金利動向」に、非製造業は「人件費の上昇」に対する関心が高く、それぞれの収益に大きく影響する要因は何かが見て取れます。 QUICK短観によると、製造業は今の為替レートを「想定よりも円高」と考えているだけに、今後、もう一段の円安が進めば、業績の見直しなどを行ってくる可能性がありますし、非製造業は人件費の上昇が収益の圧迫要因になっているだけに、消費者物価指数が改善しない限り、業績面は厳しい状況が続くと考えられます。 情報漏えいリスクは経営リスクと直結 次に、「米ヤフーで大量の個人情報が盗まれていたことが発覚しましたが、貴社での個人情報の取り扱い方に関してはどうか」という点を聞いた設問では、「情報漏えいリスクを考慮し、必要最低限の個人情報に絞って収集・活用している」が64%を占めました。次いで、「むしろ個人情報は極力保有しないようにしている」が23%、「情報セキュリティの強化に努めながら、できるだけ多くの個人情報を収集・活用している」が13%でした。 日本企業でも、個人情報の漏えいは大きな問題になっています。いささか古いデータで恐縮ですが、東京商工リサーチが2015年6月に公表した調査データによると、上場企業およびその主要子会社で個人情報の漏えい・紛失を公表した企業の数は、2012年が54社、13年が87社、14年が59社、15年(1~6月)が31社でした。また、12年1月から15年6月までに漏えいしたと思われる個人情報は、累計で最大7148万人分でした。 顧客情報のデジタル化に伴い、今後は特にウイルス感染や不正アクセスによる情報漏えいが急増する恐れがあります。直近では米国ヤフーの個人情報漏えいが問題になりましたが、日本でも日本年金機構やベネッセホールディングスなどが、大量の個人情報漏えい事件として話題を集めました。 この手の事件を起こすと、情報漏えいによる直接的な被害だけでなく、企業の信用力が大幅に落ち、企業業績の悪化を招くことになります。実際、ベネッセホールディングスの当期利益(連結ベース)は、事件が起こる前の決算期に当たる2014年3月期では、199億3000万円の黒字でしたが、事件後の15年3月期決算では、107億500万円の赤字に転落しました。さらに、16年3月期も82億1100万円の赤字を計上しており、情報漏えいによる企業リスクがいかに高いかを物語っています。 終盤戦に入っている米大統領選でも、民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官が私用メールの公務使用問題が攻撃の的となってしまいました。個人情報の取扱いは企業にとって、今後も重要な課題となりそうです。

景況感の悲観ムード強く金融緩和は続行か 業績予想はやや下振れ(10月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の10月調査を10月11日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者159人が回答、調査期間は10月4~6日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6637~1万6971円のレンジで推移しました。9月上旬には1万7081円まで上昇したものの1万7000円が心理的な節目として意識され、手前での足踏み状態が続きました。10月に入ってからの東証1部売買代金は連日で2兆円を下回っており、積極的な売買が見送られたことが影響した面もあるようです。 一方、日経平均と比較してアウトパフォームしたのが東証マザーズ指数。前回調査が行われた最終日の9月1日から今回調査最終日の10月6日までの日経平均とマザーズ指数の騰落率をみると、日経平均がほぼ横ばいだったのに対し、マザーズ指数は5.6%の上昇を記録しました。円相場の行方などの不透明要因から大型株を見送るムードも強い中で出遅れ感が強い中小型株に個人投資家を中心に物色が向かったようです。 しかし、個人の物色意欲が高まり始めたとみられる点は相場全体にとっては明るい話といえます。外部環境の好転を背景に11日の日経平均は久しぶりに1万7000円台を付け、マザーズ指数も底堅い展開となっています。 国際比較で日本の景況感停滞が目立つ 今回のアンケート調査では、国内外の景気動向について質問しました。各国の現状について「拡大」、「堅調」、「停滞」、「後退」の4つの選択肢から選んでもらった結果は以下の通りとなりました。 また、選択肢別で、国別に最も高い回答が得られたのは、以下のようになりました。 日本・・・・・・停滞(64%) 米国・・・・・・堅調(84%) 欧州・・・・・・停滞(62%) 中国・・・・・・停滞(55%) この数字からも、世界経済は米国が一強状態であることが分かります。米国以外の国は、程度の差こそあれ、「停滞」という回答比が最も高く、なかでも日本の悲観ムードが最も深刻である点を理解しておく必要がありそうです。 日銀の金融政策もマイナス金利の深堀りこそ当面、行わない方針ですが、この景況感でおもむろに現在の金融緩和を絞るような政策は、マーケットの混乱を招く恐れがあるという点でも、避けたいところです。当面、日本の金利は底這い状態が続きそうです。 次に、日本の輸出企業の業績に影響を及ぼす為替見通しですが、2017年3月期末にかけて、ドル円がどのように推移するのかについては、「小幅な円安(105円程度)」という回答比が最も高く、全体の55%を占めました。次いで、「横ばい圏(100円程度)」が21%、「小幅な円高(95円程度)」が13%、となっています。 米国では、11月の大統領選挙を終えた後、12月の米連邦公開市場員会(FOMC)で利上げが行われるのではないかという見方が強まりつつあり、金利差の拡大からドル買い優位との見方が広がりつつあります。 今期経常益0.5%減見通し、修正の方向性は? こうしたことを受け、日経集計では前年度比0.5%減と見られている2017年3月期の経常利益について、今後どのように修正されるかを問うと、「小幅な減額修正」が50%で最も高く、次いで「小幅な増額修正」が32%、「修正なし」が12%、「大幅な減額修正」が5%、「大幅な増額修正」が1%という結果になりました。 大幅な増額修正、大幅な減額修正はいずれも極端な見方ではありますが、全体的には減額修正されるとの見方に傾いています。 また、資産別のアセットアロケーションをどう変更するかについては以下の結果となりました。 このうち、最も高かった回答は次のようになりました。 国内株式・・・・・・増加(52%) 海外株式・・・・・・変えない(48%) 国内債券・・・・・・減少(55%) 海外債券・・・・・・変えない(45%) 業績の先行き懸念は依然として根強いものの、今後のドル円相場の方向がやや円安に向かうとの見方に立てば、業績下振れをかなり織り込みつつある国内株式については比重を高めようとする動きが出てもおかしくないと言えるかもしれません。 1カ月後の日経平均見通しは「ほぼ横ばい」 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万6924円となり、前回調査の1万6935円に比べて若干の下方シフトとなりましたが、この程度の差は「ほぼ横ばい」と見て良いでしょう。 また単純平均で見ると、日経平均株価は年末にかけて1万7000円台を回復し、年度末には1万7000円台後半まで上昇することを示す数字になりました。先にも触れたように、日本の景況感については現状、悲観的なムードが強いものの、年明け以降にかけては、徐々に回復するのではないかという希望的観測が反映されています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「金利動向」、「為替動向」が前回調査に比べて低下する一方、「景気・企業業績」が32%から42%に上昇しました。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、「企業年金・公的資金」が前回調査の12%から、6%へと低下。その他は、前回調査と比べて大きな変化は見られませんでした。 株式の組み入れは「ややオーバーウエート」が上昇 資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前回調査の45%から53%に上昇しました。逆に、「ややオーバーウエート」が35%から28%に低下。「ややアンダーウエート」も14%から11%に微減となっています。 また、国内株式の組み入れ比率について、当面はどのようなスタンスで臨むのかという問いに対しては、「現状を維持する」が前回調査の71%から63%へと低下。一方、「やや引き上げる」が17%から26%へと上昇しました。26%は、過去半年の中で最も高い水準になりました。とはいえ、「現状を維持する」が63%もあるので、全体的には様子見という印象を受けます。

非製造業DIの悪化目立つ 業種別DI、プラスは「情報・通信」のみ(9月)

全産業DIはマイナス27で変わらず 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年9月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス27となり、前月と同じでした。前月まで2カ月連続で改善し、業績モメンタムの悪化に歯止めがかかり始めたとの見方もできますが、企業を取り巻く環境には依然として不透明要因も多いため、先行き業績に対する慎重姿勢は続いているようです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 全産業DIの過去1年の推移をみると以下の通りになります。 9月・・・・・・ 10 10月・・・・・・ 3 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・▲3 1月・・・・・・▲3 2月・・・・・・▲20 3月・・・・・・▲30 4月・・・・・・▲30 5月・・・・・・▲33 6月・・・・・・▲36 7月・・・・・・▲34 8月・・・・・・▲27 9月・・・・・・▲27 6月時点でマイナス36まで下がったコンセンサスDIが、8月時点ではマイナス27まで改善しました。ただ、9月調査分もマイナス27で変わらず、やや足踏み状態です。9月初旬は1ドル=103円台だったドル円相場が、9月下旬にかけて100円台まで円高・ドル安が進んだことにより、主力大型株を中心に業績の先行きに対する懸念が浮上しました。 非製造業DIが悪化 次に、DIを製造業、非製造業の別で見てみましょう。昨年以降の製造業DIは、 9月・・・・・・▲5 10月・・・・・・▲12 11月・・・・・・▲18 12月・・・・・・▲15 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 7月・・・・・・▲49 8月・・・・・・▲45 9月・・・・・・▲38 これに対して非製造業は、 9月・・・・・・・25 10月・・・・・・・20 11月・・・・・・・15 12月・・・・・・・12 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 7月・・・・・・▲15 8月・・・・・・▲7 9月・・・・・・▲15 製造業DIはマイナスが続いていますが、7月のマイナス49を底に、徐々にではありますが改善傾向を見せています。一方、非製造業DIは6月にマイナス18という最悪の水準を付けたのち、8月にはマイナス7まで改善しましたが、9月は再びマイナス15へと悪化しました。物価上昇の気配がなく、消費者物価指数の上昇率が低下するなか、サービス業を中心にして価格を上げられない状況が続いており、業績見通しの悪化につながっているとみられます。 業種別DI、プラスは「情報・通信」のみ 業種別DIを見ると、16業種中、プラスになっているのは「情報・通信」のみ。0が2業種で、残りの13業種はマイナスでした。前月からのDIの動きを業種別に見ると、以下のようになります。 プラス値が低下・・・・・・「情報・通信」 プラス値が0に・・・・・・「建設」 0のまま変わらず・・・・・「医薬品」 プラス値からマイナス値へ・「食料品」「不動産」 マイナス値が改善・・・・・「鉄鋼」「非鉄金属」「電機」「卸売」「小売」「その他金融」 マイナス値が変わらず・・・「輸送用機器」 マイナス値が悪化・・・・・「化学」「機械」「サービス」「銀行」 8月調査分では、それ以前の結果に比べて業種別の数字は改善傾向にありました。しかし、8月の業種別DIがプラスを維持していた業種は5業種でしたが、9月調査分では1業種に減少。マイナス値が改善した業種も7業種から6業種に減り、マイナス値が悪化した業種が2業種から4業種に増えました。全産業ベースのコンセンサスDIが足踏みしているのも、こうした業種別DIの悪化を見れば納得が行きます。 グリーが46%上方修正率でトップ、下方修正トップはベネッセ 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。銘柄数の内訳は「強気」が57銘柄で、「変化なし」が187銘柄、「弱気」が169銘柄になりました。 <上方修正率の大きい銘柄> 1位 グリー(3632)・・・・・・・・・・・46.45% 2位 パイオニア(6773)・・・・・・・・・44.18% 3位 セガサミーHD(6460)・・・・・・・41.87% 4位 ソフトバンクグループ(9502)・・・・30.45% 5位 四国電力(9507)・・・・・・・・・・29.01% <下方修正の大きい銘柄> 1位 ベネッセホールディングス(9783)・▲100% 2位 日本写真印刷(7915)・・・・・・・▲73.88% 3位 神戸製鋼所(5406)・・・・・・・・▲50.86% 4位 不二越(6474)・・・・・・・・・・▲42.90% 5位 商船三井(9104)・・・・・・・・・▲41.50%

イールドカーブ・コントロールは金融市場の機能を阻害?(9月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の9月調査を10月3日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者143人が回答、調査期間は9月27~29日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.090~マイナス0.080%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、8月30日時点から9月30日時点にかけて以下の通りとなりました。         8月30日   9月30日 10年債・・・・▲0.019% ⇒▲0.079% 15年債・・・・・0.159% ⇒ 0.122% 20年債・・・・・0.412% ⇒ 0.359% 30年債・・・・・0.527% ⇒ 0.457% 前月に比べて金利水準は下がっているものの、マイナス金利は10年物までとなり、15年物よりも長い金利については、プラス圏になりました。一時期の、バブル化の様相を呈していた債券市場でしたが、若干の落ち着きを取り戻してきたように思えます。 イールドカーブ・コントロールは金融市場の機能を阻害? 今月の月次調査では、日銀の新しい金融政策の枠組みについて伺いました。 新しく導入された「イールドカーブ・コントロール」には、どのような効果があるかという質問に対しては、「金融市場の機能を阻害する」が47%で最も高く、次いで「年金などの長期運用にプラスの効果がある」が19%、「金融機関の収益にプラスの効果がある」が16%となりました。 イールドカーブ・コントロールとは、10年物国債の利回りを「ゼロ%程度」にすることをターゲットとして、国債の買い入れを調整していくという考え方です。これまで、10年物国債利回りは大幅なマイナス金利になっていましたが、これが金融機関の経営に及ぼす影響が懸念されていました。とはいえ、国債買い入れを止めるとなれば、マーケットは大混乱に陥るでしょう。そこで、今後も量的・質的金融緩和は行うという含みを持たせつつ、金融機関の経営状況にも配慮したのが、今回のイールドカーブ・コントロールという新しい金融政策だったのです。 一方、「(日銀は)10年物国債利回りをゼロ%程度で推移するように買い入れを行う方針を示していますが、10年国債利回りはどのように推移すると予想しますか」という問いに対しては、「おおむねマイナス圏で推移」が48%で最も高く、次いで「多少の上下の振れはあるが、おおむね安定」が36%、「0%で安定」が9%となりました。 今回の日銀金融政策の新たな枠組みについては「金融市場の機能阻害」という点で否定的な意見が目立つものの、先行きの10年債利回りの見通しをみる限り、市場参加者は日銀のイールドカーブ・コントロールを実現可能とみていることが明らかになりました。 また、「10年国債利回りが0%程度で推移した場合、超長期国債の金利はどのように推移すると予想しますか」という問いに対しては、「現状程度で安定的に推移」が35%で最も高く、次いで「現状よりフラット化」が28%、「現状よりもスティープ化」が27%でした。 10年国債の過度なマイナス金利は修正 新発10年国債の金利見通しは、前月に引き続きマイナス圏にあるものの、その水準は徐々に上方修正されています。8月調査分における1カ月後の長期金利見通しは、単純平均値でマイナス0.096%でしたが、9月調査分ではマイナス0.059%になりました。9月20~21日に開催された日銀金融政策決定会合において、これまでの金融緩和政策に関する総括が行われたのと同時に、前述したように今後の金融政策において、イールドカーブ・コントロールが導入され、10年物国債利回りをゼロ%程度になるよう買い入れを行うことを決定したため、過度なマイナス金利が修正された形です。 今後、6カ月程度を想定した時、最も注目している債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が78%で、相変わらず他の要因に比べて高い水準を維持していますが、8月調査分の91%からは低下しました。 一方、8月調査分に比べて注目度が上昇したものとしては、「景気動向」、「物価動向」、「為替動向」、「海外金利」、「債券需給」ですが、いずれも注目度のパーセンテージは低く、目下マーケットにおいては、圧倒的に短期金利の動向および金融政策がマーケット関係者の注目を一身に集めている状況です。 また同じく、今後6カ月程度を想定し、最も注目される投資主体としては、これも8月調査分に比べて、大きな変化は見られませんでした。相変わらず高いのは「政府・日銀のオペレーション」で、注目度は8月調査分に比べて1ポイント低下したものの、それでも79%であり、他の投資主体に比べて圧倒的に高い水準を維持しています。それだけ、今の債券市場は日銀が他を圧倒するビッグプレイヤーになってしまったことを意味します。 ただ、それは決して健全なマーケットとは言えない面があることを、理解しておく必要があるでしょう。 債券投資のスタンスはやや長期化 ディーリング部門を除く資産運用担当者71人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」が13%から11%に、「ニュートラル」が57%から56%へとやや低下したのに対し、「ややアンダーウエート」が23%から28%へと上昇しました。 また当面のスタンスとしては、「現状を維持する」が76%から70%に低下したのに対し、「やや引き上げる」が2%から9%に上昇しました。 債券のデュレーションについて当面のスタンスは、「現状を維持する」が73%から69%に低下。「やや長くする」が16%から23%に上昇しました。10年国債よりも長期の部分で金利は上方修正されており、利回りを確保するためにデュレーションをやや長めに取るスタンスが見えてきます。

9月日銀会合「現状維持」予想7割 マイナス金利深掘りは「円安要因」(9月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の9月調査を、9月16日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者72人が回答、調査期間は9月9~14日)。この間の為替レートは、対ドルが101円81銭~102円31銭。対ユーロが114円31銭~115円20銭でした。 9月の日銀会合、「現状維持」予想7割に 日銀が7月28~29日開催した金融政策決定会合において、上場投資信託(ETF)の買入額の増額を発表しました。これまで年間3.3兆円だったのを、ほぼ倍増の6兆円のペースで買い入れるというものです。現状、これによって円高是正に具体的に効果があったのかどうかを聞いたところ、「少しあった」が48%。次いで「全く無かった」が45%となりました。「かなりあった」は6%で、円高進行を抑えたとの見方がやや上回る結果となりました。 この発表が行われた後から現在までの株価の値動きを追うと、次のようになります。日経平均株価・・・・・・・16569.27(7/29)⇒16405.01(9/15)東証マザーズ指数・・・・・・920.40(7/29)⇒ 908.02(9/15)ドル円相場・・・・・・・・・103.61(7/29)⇒ 102.44(9/15) このように、主力大型株中心の日経平均株価も、新興株中心の東証マザーズ指数も、ETF買入額の増額が発表されてから、現在に至るまで下がっています。株安を受けてドル円相場も円高方向に増えています。 とはいえ、日経平均については、9月6日に1万7081円98銭まで上昇し、ドル円相場も一時1ドル=104円台前半にドル高・円安が進み、ETF買入額の増額による効果が全く無かったというわけでもなさそうです。 ただ、6兆円を買い入れるといっても、それを一度に買うわけではなく、1年間にわたって徐々に買っていくこと、基本的には日経平均株価に連動するETFを中心に買うことを考えると、特に個人投資家が多く参戦していると思われる小型株への影響はほとんどなく、それゆえに効果が「全く無かった」とする声が挙がるのも分かります。 一方で注目されるのが、9月20~21日にかけて開催される日銀金融政策決定会合です。ここで、これまでの金融政策について「総括的な検証」が行われることから、その中身が注目されています。今のところ「もう一段の金融緩和に含みを持たせる」ような内容になるのではないか、との見方が大勢を占めていますが、今回の会合で金融緩和が決定されるかどうかを聞いたところ、「現状維持」が68%、「追加緩和」が32%となりました。 さらに「総括的な検証」後の金融政策の枠組みについて、それぞれ最も高い回答は、量的緩和が「現状維持」で69%、質的緩和が「拡大・拡充」で51%、マイナス金利が「現状維持」で51%となりました。ただ次点を見ると、質的緩和は「現状維持」が49%、マイナス金利は「拡大」が47%となっており、1位と僅差であることから、市場の見方が二分されていると考えて良さそうです。 マイナス金利深掘り「円安圧力」、物価目標撤回は「円高圧力」に また、「総括的な検証」後の金融政策の枠組みで、仮にそれぞれの政策をとった場合のドル円に対する影響について聞いたところ、マイナス金利の深堀りは「円安圧力」が62%、「影響なし」が21%、「円高圧力」が17%。国債買い入れの実質減額による柔軟化(レンジ設定)は「円高圧力」が65%、「影響なし」が30%、「円安圧力」が6%。国債買い入れの実質増額による柔軟化(レンジ設定)は、「円安圧力」が57%、「影響なし」が31%、「円高圧力」が11%。物価目標達成時期の撤回は「影響なし」が46%、「円高圧力」が45%、「円安圧力」が8%となりました。 円はやや弱含み見通し ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の102円07銭から円安・ドル高方向にシフトし、102円43銭になりました。前月にかけて、1カ月後のドル円の見通しは3カ月連続して円高・ドル安方向にシフトしたため、目先の円高圧力が強いと思われましたが、とりあえず今月調査で円安・ドル高方向にシフトしたことにより、円高圧力はやや一服した感があります。 今後の注目点としては、米国の金利の先行きで、金利上昇ムードが強まるのかどうかということ、さらに前述したように、9月20~21日に開催される日銀金融政策決定会合において、日銀がもう一段の金融緩和姿勢を明確に打ち出してくるかどうか、ということでしょう。現状、米国の長期金利は上昇し、日銀の金融緩和期待が強いことを考慮すると、金利差からドルは買われやすい環境になります。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円はそれぞれ前月に比べて大きな変化は見られなかったものの、相変わらず「金利/金融政策」が84%と高止まり。ドルは「金利/金融政策」が前月比15%上昇して84%になり、ユーロも同じく「金利/金融政策」が前月比26%上昇して70%になりました。主要通貨については当面、金融政策の動向が注目されます。ちなみにユーロの場合、「政治/外交」が前月比25%マイナスになり、16%へと低下しました。 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIが前月調査でプラス34まで低下したものの、今月調査ではプラス41に上昇。ドル買い意欲がやや戻ってきています。ユーロもマイナス31からマイナス7まで縮小し、その他では英ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル、ブラジルレアル、中国人民元、韓国ウォン、インドルピー、ロシアルーブルなど、幅広い通貨で、対円のマイナス幅が縮小、あるいはプラスの上昇という結果になりました。これらの点から、やや円は弱含みで推移するとの見方が多いといえます。 ヘッジ比率は低下 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「オーバーウエート」が前月の25%から0%に減少する一方、「アンダーウエート」が0%から13%に上昇しました。また「ニュートラル」は75%から88%への上昇です。やや外貨の組み入れを増やす動きには一服感があったようですが、当面のスタンスとしては、「現状のヘッジ比率を維持」が100%から83%に低下し、「ヘッジ比率を下げる」が0%から17%に上昇しています。ファンドのスタンスからも当面はドル買い意欲が強まるものと思われます。

衝撃の結果?仮想通貨技術「活用することなさそう」7割に(9月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している9月のQUICK短観(9月1~12日調査分、上場企業421社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス10となり、前月調査から2ポイント改善しました。改善は2カ月連続となります。一方、非製造業DIは前月比2ポイント悪化のプラス29となり、結果、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ2ポイント上昇のプラス22となりました。 景況感は徐々に底入れ? QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。 過去の日銀短観の推移を「大企業製造業」の業況判断DIでみると、次のようになります。 2014年3月・・・・・・プラス17    6月・・・・・・プラス12    9月・・・・・・プラス13    12月・・・・・・プラス12 2015年3月・・・・・・プラス12    6月・・・・・・プラス15    9月・・・・・・プラス12    12月・・・・・・プラス12 2016年3月・・・・・・プラス6    6月・・・・・・プラス6 このように、2014年3月のプラス17をピークにして、2015年6月まで一進一退を続けた後、2016年に入ってから下落傾向が強まりました。 一方、直近のQUICK短観をみると、製造業の業況判断DIの推移は、次のようになります。 2016年3月・・・・・・プラス5    4月・・・・・・プラス8    5月・・・・・・プラス7    6月・・・・・・プラス9    7月・・・・・・プラス7    8月・・・・・・プラス8    9月・・・・・・プラス10 今回の日銀短観は、7~9月期の景況観をベースにしたものを10月に公表します。そこで、日銀短観と平仄を合わせる意味で、2016年に入ってからのQUICK短観を3カ月の平均値でみると推移は以下のようになります。 2016年1~3月・・・・プラス9    4~6月・・・・プラス8    7~9月・・・・プラス8 このようにみると、10月3日に公表される9月の日銀短観の結果は、7月に公表された4~6月分の数字とほぼ変わらず、横ばいに近い数値が出ることを示唆しています。ただ、QUICK短観をみると、7月のプラス7から、8月、9月と2カ月連続して改善している点、DIの水準がプラス10に乗せたことなどから、企業の景況感は徐々に改善の兆しがみえつつあると言えそうです。 製造業の収益環境が悪化 生産・営業用設備については、全産業ベースでみると、「過剰」の割合から「不足」の割合を差し引いたDIは前月に比べ4ポイント悪化のマイナス5になりました。製造業は若干過剰気味ですが、非製造業は不足感が強く、DIは前月に比べ4ポイント悪化のマイナス10になりました。 一方、雇用の過不足をみると、全産業ベースでは前月に比べ2ポイント悪化のマイナス35でした。製造業の不足感もさることながら、非製造業での不足感がマイナス49まで悪化しています。日本企業というと製造業が目立ちますが、すでに産業構造ではサービス産業の比率が高いので、非製造業での雇用不足は、経済全体にとってマイナスの影響を及ぼす恐れがあります。 また販売価格について、「上昇」の割合から「下落」の割合を差し引いたDIは、金融を除く全産業ベースで、前月に比べて2ポイント上昇のプラス6。仕入価格DIは、金融機関を除く全産業ベースで、前月に比べて2ポイント上昇のプラス6になりました。 全体でみれば、仕入価格が上昇する一方、販売価格も上昇しているので、企業の収益環境はそう悪化していないようにみえます。ただ、製造業についていえば、仕入価格DIがマイナス3であるのに対し、販売価格DIがマイナス11。前月比でみると、仕入価格DIが大きく上昇しました。販売価格に比べて仕入価格が上昇すれば、収益環境は悪化します。今後の為替相場の動向も踏まえたうえで、この点は要注意といえるでしょう。 マイナス金利深掘り、企業活動に中立要因か 9月の特別調査では、①日銀のマイナス金利深掘りは事業運営にどのような影響がありそうか、②仮想通貨の技術を活用することについてどう考えるか――の2点について質問しました。 日銀が9月20~21日に開催する金融政策決定会合では、これまで行ってきた金融政策についての「総括的な検証」が発表されることになっており、その内容が注目されています。現状では、金融緩和につながる内容になるのではないか、という見通しが多いようですが、企業の事業運営という点でみると、金融緩和政策のひとつである「マイナス金利のもう一段の深堀り」については、効果がほぼ限られるとの結果が出ました。 特に金融機関にとっては、マイナス金利が収益減につながる恐れがあります。アンケート結果をみると、「良くも悪くも影響はなさそう」との回答が65%と大半を占めました。一方、「良い影響」(17%)と「悪い影響」(18%)はほぼ同率になっています。 全体的にみた場合、マイナス金利の深堀りが企業経営に及ぼす影響は、ほぼニュートラルと考えられます。ゆえに、それはマーケットにとってある種、カンフル剤的な効果はあるかもしれませんが、実体経済に直接、何らかの影響を及ぼすかと言われると、いささか心許ない部分があることは否定できません。 仮想通貨技術の活用に消極的な意見 次に仮想通貨技術に関する質問です。ビットコインをはじめとする仮想通貨と、それを支える技術(=ブロックチェーン)に対する関心が高まっています。すでにリアル店舗でも仮想通貨による決済が行われており、今後、現金通貨に取って代わる新しい決済手段になる可能性が高いと期待されています。 ただ、アンケートによると「活用することはなさそう」との回答が70%に上り、「すでに活用している」と「将来的に活用することが決まっている」はそれぞれ1%にとどまりました。「将来的に活用する可能性はある」は29%でした。 まだ、ブロックチェーン技術に対する認識が広まっていないということも考えられますが、いずれにせよ仮想通貨を普及させるためには、幅広く認知させるための啓蒙が必要になりそうです。

異次元緩和はデフレ脱却に効果あった? 「検証」、評価は割れる(9月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の9月調査を、9月5日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者156人が回答、調査期間は8月30~9月1日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6677円~1万6941円で推移しました。8月調査の最終日に当たる8月4日の日経平均は1万6254円、9月1日は1万6926円となり、この1カ月で4%強上昇しました。一方、同期間のマザーズ指数は逆に1%超の下落。前月に続き、物色の対象は新興株から主力大型株にシフトしたままとなりました。 薄まる金融緩和への期待感 今回のアンケートでは、9月20~21日に開催される日銀金融政策決定会合において注目されている「総括的な検証」を、株式市場関係者がどう考えているのかを聞きました。 まず、黒田日銀総裁の異次元緩和は全体としてデフレ脱却に効果があったのかどうか、との質問ですが、「効果があった」との回答は全体の42%。次いで、「効果があったともなかったとも言えない」が32%、「効果はなかった」が15%となりました。「これから出てくる」という回答比が7%あったものの、異次元緩和の効果に対する見方は、それを積極的に認める、あるいは今後に期待する回答が合わせて50%程度であることからすると、大きく見方が二分されています。 日銀としては今後、金融政策をどう運営すべきかという点については、「金融政策と財政政策との協調」が34%、「政策目標(インフレ率・期限)の修正」が29%、「現行政策の維持」と「追加緩和」が同率で14%となりました。 追加緩和を求める声は意外に少なく、これは追加緩和に対する期待感が薄らいでいることを示しています。事実、マイナス金利も含めて、ここまで金融緩和を行ってきたにも関わらず、消費者物価指数の上昇率は「生鮮食品を除く総合」で7月は前年同月比0.5%低下となり、日銀が当初、目標として掲げていた「消費者物価指数の上昇率2%」には、ほど遠い状況にあります。緩やかなインフレに転換しない限り、日本はデフレ経済から脱却したことにならず、アベノミクスも異次元緩和政策も「やるだけ無駄だった」という評価になる恐れがあります。 日銀ETF買い入れ「相場の下支え要因に」約6割 また、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れが株式市場にどのような影響を及ぼしているのかという点については、「相場の下支えになっている」が56%、次いで「市場の価格形成を歪めている」が27%で、両方の回答だけで全体の80%以上を占めました。一方、「相場全体を引き上げている」という回答比は9%に過ぎず、ETFの買い入れはあくまでも相場の下支え要因に過ぎないというのが、株式市場関係者の大方の見方のようです。 株式市場は為替や金利に左右される展開に 1カ月後の日経平均株価予想は平均値で1万6935円となり、前回調査の1万6352円から上方にシフトしました。 前述したように、国内株式市場の物色対象は、新興株から主力大型株へのシフトが続いています。その理由のひとつは、為替相場でしょう。8月半ばにかけて、1ドル=100円を割り込む水準まで円高・ドル安が進みましたが、その後は米国の景気が堅調さを増すのと同時に、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが行われるのではないかとの観測が浮上し、ドル買いムードが強まりました。9月2日には1ドル=104円台まで円安・ドル高が進み、国内株式市場においては主力大型株を中心にして、物色意欲が高まるという流れになっています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が前月調査の32%から35%に上昇。「金利動向」も6%から11%に、「海外株式・債券市場」も7%から11%に上昇しました。 逆に、「景気・企業業績」は44%から31%に低下しました。当面、株式市場は為替相場や金利、海外の株価や金利など、マーケット要因に左右される展開になるとみている株式市場関係者が増えています。 こうした環境のなか、今後、6カ月程度を想定して最も注目される投資主体としては、「外国人」が相変わらず高く、前月調査の78%から80%に上昇。「企業年金・公的資金」も10%から12%に上昇しました。逆に、8月調査分で大きく上昇した「個人」は、低下しています。 機関投資家はやや様子見姿勢に 資産運用担当者64人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、やや強気にシフトした様子が伺えます。「ニュートラル」が前月調査の49%から46%に、「ややアンダーウエート」が16%から15%に、「かなりアンダーウエート」が7%から6%に低下する一方、「ややオーバーウエート」が29%から33%に上昇したからです。 ただ、これから先の投資スタンスになると、やや慎重な姿勢が伺えます。当面、どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「やや引き上げる」が24%から17%に低下。その一方で「現状を維持する」が67%から70%に、「やや引き下げる」が7%から9%に、「かなり引き下げる」が0%から2%に上昇しています。 9月は日銀金融政策決定会合やFOMCなど、金融・株式市場に大きな影響を及ぼす日米会合が相次ぐこともあり、株式市場関係者の間でも、様子を見たいというムードが広まりそうです。

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