強気な業績予想増え、全産業DIは6カ月連続改善

製造業DIは低下するも、全産業DIは6カ月連続で改善 アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示す「QUICKコンセンサスDI」(2017年3月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス30となり、前月から3ポイント上昇しました。6カ月連続の改善です。製造業DIがプラス47で前月から2ポイント低下しましたが、非製造業DIがプラス7で前月比4ポイント上昇し、金融がプラス29で前月比18ポイント上昇したことで、全体を押し上げました。           製造業にやや弱気の見方増える 次に業種別に見てみましょう。算出対象の16業種中でDIがプラス(上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回る)だった業種は14業種。一方、マイナス(下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回る)の業種は1業種、変わらずは1業種でした。 製造業は縮小傾向で特に鉄鋼や化学、自動車関連の輸送用機器に対してやや弱気な見方が増えています。半面、非鉄金属の改善が顕著でした。非製造業はプラス幅が拡大。金融セクターで上昇期待が高まり、サービスではマイナス幅が縮小しました。 <製造業・業種別QUICKコンセンサスDI>        食料品  化学 医薬品   鉄鋼   非鉄   機械   電機  輸送用                                          金属                          機器 17年3月       5      54     12           71      100        57       56       64 17年2月       0     62    -12             83          80        60       75       83 17年1月      15     22      0            0        57        20        61       60 <非製造業・金融業種別QUICKコンセンサスDI> <対象>      建設  情報・   卸売   小売    不動産  サービス   銀行   その他                         通信                                                            金融 17年3月      20      8        60       3           18        -27        21        0 17年2月     29      0         60      12          27        -45         7         0 17年1月      53      8        40      11          33        -34         0         0   郵船が大幅上方修正との予想 銘柄数の内訳は「強気」銘柄は168銘柄、「変化なし」は173銘柄、「弱気」銘柄は51銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄の上位5銘柄をそれぞれピックアップすると、下記のようになります。 純利益の上方修正率が最も大きかった銘柄は日本郵船。一方、下方修正率が大きかった1位のサイバーダインと2位のNECは前回から順位が入れ替わりましたが、4位のLINEは変わらずと、上位5銘柄中3銘柄が再び顔を並べる結果となりました。  <上方修正率の大きい銘柄> 1位 郵 船(9101)・・・・・・・・・324.48% 2位 商船三井(9104)・・・・・・・・135.29% 3位 東 芝(6502)・・・・・・・・・ 70.49% 4位 JFEHD(5411)・・・・・・・  58.93% 5位 SUMCO(3436)・・・・・・・55.02%  <下方修正の大きい銘柄> 1位 サイバーダイン(7779)・・・・・ ▲42.11% 2位 NEC(6701)・・・・・・・・・▲38.24% 3位 太陽誘電(6976)・・・・・・・・▲27.53% 4位 LINE(3938)・・・・・・・・▲22.39% 5位 アシックス(7936)・・・・・・・▲18.92%

株主総会はハシゴせずゆったりと 開催日を分散する傾向に

  日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している3月のQUICK短観では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス22となり、前月調査から2ポイント悪化しました。悪化は8カ月ぶり。一方、非製造業DIは前月調査から変わらずのプラス29でしたが、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ2ポイント悪化のプラス26となりました。今回の調査期間は3月1~12日、回答者数は上場企業407社。       集中開催が課題の株主総会「すでに集中日を避けて開催」が最多 今回の調査では、開催日の集中が課題となっている「株主総会の集中緩和」について聞きました。平成29年度の税制改正では、コーポレートガバナンス強化に向け、上場企業等の株主総会の開催日を柔軟に設定できるよう、法人税等の申告期限の延長可能月数を拡大する見通しです。貴社では、株主総会の集中緩和のために開催日を変更することについて、どう考えますかと質問したところ、最も多かった回答は「すでに集中日を避けて開催している」が53%を占めました。次いで「検討しない」が21%、「延長拡大にかかわらず、検討している」が15%、「申告期限がさらに延長されるならば変更を検討する」が12%という結果になりました。調査対象である上場企業の半数以上が、すでに総会開催日の分散化に動いていることがうかがえます。   2018年春の新卒採用も「売り手市場」が続く 2018年春に大学卒業予定の学生を対象にした採用活動が3月1日に解禁されました。18年春採用(2018年4月入社)予定の社員数は、昨年と比べてどのようになりますか、と質問したところ、最も多かった回答は「ほぼ横ばいの予定」で65%で、次いで「増やす予定」が31%、「減らす予定」は4%となりました。採用を増やす予定の企業が3割を超えており、近年の人手不足を背景にした企業の採用意欲の高まりがうかがえ、学生優位の売り手市場が今年も続きそうです。   QUICK短観とは・・・ 日銀が企業経営者の景況感をまとめて四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つとともに、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。日銀短観は四半期に1度の公表ですが、QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感の変化を読み取ることができます。

日銀次期総裁を大胆予測! 「ポスト黒田」は? (3月調査)

  証券会社や銀行など、外為市場関係者を対象に毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の3月調査を13日に発表しました。今回の調査では金融市場で今、最も注目されている米国の利上げのほか、来年の4月に任期が切れる日銀の黒田東彦総裁の後任人事などについても聞きました。調査期間は3月6~9日、回答者数は金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者70人。     3月米追加利上げなら、マーケットはどう動く? イエレンFRB(米連邦準備理事会)議長が3月3日の講演で14~15日に開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを検討する方針だと明言したほか、米FRB高官が相次ぎ早期利上げを示唆する発言をしたことから、3月の利上げ観測が急速に広がりました。  そこで、FRBは3月に追加利上げに動くと思いますか、と聞いたところ、「追加利上げ」との回答が94%を占めました。また、FRBは年内に何回利上げすると予想しますかとの質問で、最も多かった回答は「3回」で59%、次いで「2回」が29%となりました。       FRBが3月に追加利上げに動いた場合、各マーケットはどのように動くと予想しますか、との質問には、ダウ工業株30種平均は「横ばい」が46%で最も多く、「弱含み」が28%、「強含み」が26%と続きました。ドル円相場については「弱含み」が52%で最も多く、日米の金利差を背景にドルが買われて円が売られるとの予想が多くなりました。       また、3月のFOMC後に最も注目するテーマやイベントは何ですか、と聞いたところ、最多は「トランプ政権の経済・通商政策」で63%でした。次いで「欧州政治動向」が21%、「FRBの金融政策」が7%、という結果になりました。       日銀次期総裁は誰に? 日銀の黒田東彦総裁は2018年4月8日に任期満了となります。では現時点で、黒田総裁の後任は誰になると予想しますか、と質問したところ、最も多かった回答は「中曽宏・日銀副総裁」が33%、次いで「黒田東彦・日銀総裁(再任)」が28%、「雨宮正佳・日銀理事」が16%で続きました。 市場関係者からは「目標も達成せず、EXITの道筋も示さず、ただ金融機関と年金生活者にストレスをかけて、問題を後任に丸投げするのはあまりに無責任。せめてEXITの際の国民負担を明示し、それでも引き受ける意思のある人に後を任せるべき。黒田総裁というより政治の責任」、「就任時に約束した成果は全く出ていないが、根雪のようなデフレマインドを溶かすにはそれなりの時間がかかるはずであり、黒田総裁の責任ではない。日本経済に様々な弊害を及ぼすデフレを許容する日本銀行の政策スタンスを180度転換した黒田総裁を変えるべき理由は全くないのではないか」と、賛否が分かれました。       プロの予想は目先1ドル=114円台と円安方向にシフト 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは2月末の平均値で1ドル=114円03銭と、2月調査(112円58銭)に比べて円安にシフト。3カ月後の5月末には114円11銭、6カ月後の8月末には114円43銭との予想です。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円とドルが「金利/金融政策」、ユーロは「政治/外交」でした。       企業の前提為替レートは111円台後半 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の63%から75%へと上昇する一方、「アンダーウエート」が25%から13%に低下しました。「オーバーウエート」は変わらず13%でした。市場参加者の慎重姿勢が、引き続き高まっていることがうかがえます。 事業法人に業績予想の前提為替レートを聞いたところ、有効回答数8社の円相場の平均値は対ドルで1ドル=111円59銭、有効回答数4社平均の対ユーロが1ユーロ=119円39銭でした。  

「働き方改革」は日本経済の成長率を押し上げられるか?(3月株式調査)

  株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の3月調査を3月6日に発表しました。調査の対象は証券会社および機関投資家の株式担当者159人、期間は2月28日~3月2日。調査期間中の日本株市場では日経平均株価が3月2日に1万9564円80銭と、1月4日に付けた昨年来高値(1万9594円16銭)に迫る場面もありました。トランプ米大統領の議会演説が波乱なく終わったことや、3月の米利上げ観測が広がり円安に傾いたことが上昇につながったようです。  米株式市場ではトランプ政権の経済政策への根強い期待からダウ工業株30種平均は2月27日まで12営業日連続で過去最高を更新。3月1日には2万1000ドルを突破しました。     働き方改革「長期的には効果」が半数 成長率は「全体的に上昇」が4割  ここ最近、「働き方改革」という言葉がメディアなどで取り上げられる機会が増えています。働き方改革とは、安倍晋三首相が「最大のチャレンジ」と位置付ける政策です。正社員と非正規社員(パートなど)の待遇格差の解消、長時間労働の是正などにより女性や高齢者が働きやすい環境にしようという試みです。  そこで今回のアンケート調査では、この改革による日本経済の成長率の押し上げ効果について聞きました。 まず、日本は現在、完全雇用に近いと言われていますが、今後の賃金上昇についてどのようにお考えですか? と聞いたところ、最も多かった回答は「全体的に上昇」が約4割でした。        次に日本経済の成長率を押し上げるほどの効果はあるでしょうか? と質問したところ、「長期的には効果がある」が半数を占めました。また、成長率の改善に効果がある政策を聞いたところ、「労働市場の流動化促進」と「女性や高齢者の労働参加率の上昇」がともに3割超と高くなりました。 市場関係者からは「東芝に見られるように、本来であれば撤退すべきビジネスを抱え続けた結果、企業業績に悪影響を与えているケースが少なくない。もちろん、はるかに小さなスケールのケースが大半だ。その裏には労働市場の硬直化があり、労働問題が儲からないビジネスをいつまでも抱える動機となっている。新しい会社はそうでもないが、伝統ある企業ほどこのしがらみから脱せられず成長の足かせとなっている」との声もありました。         3月末の日経平均は1万9667円の予想  3月末の日経平均株価について聞いたところ、平均値で1万9667円の予想でした。前回調査(確報)の1万9220円に比べて上方シフトとなりました。上方へシフトしたのは2カ月ぶりです。また、5月末には1万9866円、8月末は1万9733円との予想でした。2017年3月期の決算の発表が相次ぐ4月下旬から5月にかけて、好決算を背景に日経平均は上昇するとの見方が増えているようです。  今後6カ月程度の株価の変動要因としては「景気・企業業績」が4割弱で注目度は上昇傾向です。一方、トランプ政権の発足後に上昇していた「政治・外交」は2割に低下しました。   セクター別では鉄鋼と機械への注目度高まる  国内の資産運用担当者59人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」と「ややオーバーウエート」がともに約4割、「ややアンダーウエート」が1割超と、前回調査からほぼ変わらずでした。  セクター別の投資スタンスについては、「オーバーウエートとアンダーウェート」のバランスをみると、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのが「鉄鋼・機械」で、逆にアンダーウェートの比率が最も高いのが「公益」でした。

製造業への期待が高まる一方、非製造業には弱気

全産業DI、5カ月連続で改善  アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示す「QUICKコンセンサスDI」(2017年2月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス27となり、前月から4ポイント上昇しました。5カ月連続の改善です。非製造業DIがプラス3で前月から6ポイント低下しましたが、製造業DIがプラス49で前月比12ポイント上昇して全体を押し上げました。製造業の中では特に鉄鋼や、化学、自動車などの輸送用機器の改善が顕著となりました。           製造業に強気の見方増える  次に業種別に見てみましょう。製造業は改善傾向で特に鉄鋼や化学、自動車関連の輸送用機器に対して上方修正期待が高まっています。これに対して、非製造業はプラス3とプラス幅が縮小。建設や卸売のセクターに対して弱気な見方が増えています。  <製造業DIの過去1年間の推移> 2016年1月・・・・    ▲11    2月・・・・・・▲35    3月・・・・・・▲48    4月・・・・・・▲47    5月・・・・・・▲47    6月・・・・・・▲48    7月・・・・・・▲49    8月・・・・・・▲45    9月・・・・・・▲38    10月・・・・・・▲25    11月・・・・・・▲3    12月・・・・・・ 26 2017年1月・・・・・・ 37    2月・・・・・・ 49 <非製造業DIの過去1年間の推移> 2016年1月・・・・・   8    2月・・・・・・▲3    3月・・・・・・ 1    4月・・・・・・▲1    5月・・・・・・▲9    6月・・・・・・▲18    7月・・・・・・▲15    8月・・・・・・▲7    9月・・・・・・▲15    10月・・・・・・▲10    11月・・・・・・ 1    12月・・・・・・ 4 2017年1月・・・・・・ 9    2月・・・・・・ 3   JDIが大幅上方修正と予想  銘柄数の内訳は「強気」銘柄は147銘柄、「変化なし」は150銘柄、「弱気」銘柄は51銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップすると、下記のようになります。  3カ月前との比較で純利益の上昇修正率が最も大きかったのはジャパンディスプレイ(JDI)、2位はシャープと上位2銘柄は2016年12月から3カ月連続で変化がありませんでした。  <上方修正率の大きい銘柄> 1位 JDI(6740)・・・・・・・・ 348.35% 2位 シャープ(6753)・・・・・・・ 104.24% 3位 東 芝(6502)・・・・・・・・・59.45% 4位 JFEHD(5411)・・・・・・・・58.33% 5位 太陽誘電(6976)・・・・・・・・56.63%  <下方修正の大きい銘柄> 1位 NEC(6701)・・・・・・・・・▲35.12% 2位 サイバダイン(7779)・・・・・・・・▲32.06% 3位 北海電(9509)・・・・・・・・・▲21.04% 4位 LINE(3938)・・・・・・・・▲19.96% 5位 小野薬(4528)・・・・・・・・・▲15.09%        

日銀の金融政策、効果はあった?(2月調査)

  債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の2月調査を27日に発表しました。調査期間は2月21日~23日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者133人でした。   80兆円の国債買入れは「なしくずしに減額」が55%  今回の調査では、2016年9月に導入されたイールドカーブ・コントロールなど日銀の金融政策について聞きました。まず、日銀保有国債残高の年間増加額のメドとされる80兆円が年内どうなるかと質問したところ、最も多かった回答は「なしくずしに減額」で55%、次に「変更なし」が23%と続きました。市場関係者からは「年間増加のメドである80兆円はすでに反故となっており、減額したペースで買入れを継続し、10 年金利が安定すれば国債の発行減額も相まって、更なる買入れ減額が想定される。ただし、マーケットはすでにその状況を織り込んでおり、減額した後に80 兆円の文言が削除されたとしても、それほどのサプライズにはならないと考える」といった声が聞かれました。 加えて、10年物国債の金利が概ねゼロ%程度になるよう買い入れをして長期・短期の金利を調整する「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」についても聞きました。イールドカーブ・コントロールがなかった場合、現在の国債利回りはどの程度だと思いますかと質問したところ、単純平均で10年債利回りが0.307%、20年債利回りが0.950%となりました。調査期間中の新発10年物国債利回りは0.075~0.095%、新発20年物国債利回りは0.660~0.705%で推移しましたので、イールドカーブ・コントロールによって上昇圧力がある程度抑えられている、とみる市場関係者が多いようです。      また、イールドカーブ・コントロールの効果・副作用を導入前と比べて、現時点でどう評価するかとの質問に対しては、インフレ押し上げについては75%、金融機関の収益改善については50%が「効果なし」と回答。年金等の運用収益改善については「効果なし」が39%だったものの、「期待できる」が39%、「効果があった」が21%と6割はプラスと捉えているようです。 円安・株高については「効果なし」が43%を占めましたが、「効果があった」30%、「期待できる」27%と、こちらも半数超がプラスとみていました。金融市場の機能阻害は「副作用があった」が50%と最も多く、「恐れあり」が39%で続きました。財政規律の弛緩については、最も多かった回答が「恐れあり」で52%となりました。  市場関係者からは「日銀の量的・質的緩和導入後、債券市場の機能は大きく低下した状態が続いています。イールドカーブ・コントロール導入前は、参加者の大半が利益を得られたと思いますが、導入後は収益の確保は難しくなりました。物価への影響が限定的だとすれば、真の狙いがあるのでしょうか」など懐疑的な声が聞かれました。     目先の変動要因として金融政策に注目集まる    毎月定例の相場見通しの調査では前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.084%、3カ月後が0.090%、6カ月後が0.100%と、1月調査の(0.065%、0.075%、0.085%)に比べていずれも上昇。  今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が48%で前月から11ポイント上昇して最も多くなりました。前月に最も注目度が高かった「海外金利」については比率が関心がやや低下しました。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く70%を占め、次いで「生損保(年金除く)」が14%、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が8%で続きました。これまで2ケタだった「外国人」は4%に低下しています。     国債組み入れ比率、「現状維持」が8割超  資産運用担当者65人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、前回調査に比べて「ニュートラル」が63%に増加した一方、「ややオーバーウエート」が低下。現状維持の姿勢が一段と強まり、様子見ムードが広がっているようです。当面の投資スタンスについても「現状を維持する」が82%と多数を占めました。          

米国への投資はどうする? 製造業DIは1年6カ月ぶりの高水準(2月調査)

  日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している2月のQUICK短観では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス24となり、前月調査から5ポイント改善。2015年8月以来1年6カ月ぶりの高水準となりました。一方、非製造業DIは前月比1ポイント悪化のプラス29となりましたが、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ1ポイント改善のプラス28でした。今回の調査期間は2月1~12日、回答者数は上場企業410社。     米国への投資スタンスは様子見 トランプ政権が1月に誕生して以来、企業を取り巻く事業環境も目まぐるしく変化しています。そこで、今回の調査では今後の米国への投資について聞きました。トランプ米大統領は「米国第一主義」のもと、法人減税など米国投資を促すための優遇策を公約に掲げていますが、今後の投資スタンスについてどう考えますか?  と質問したところ、「まずは現状維持で先行きを見守る」との回答が全体の6割と様子見姿勢でした。そのほか、「今後も投資姿勢は変わりそうにない」が4割弱を占めました。      長時間労働是正の対策、半数が「対応済み」 一方、国内では安倍政権が「働き方改革」に力を入れています。政府は14日、残業時間の上限を60時間と定めた案を提示しました。また、経済産業省と経団連が連携して2月から開始する消費喚起キャンペーン「プレミアムフライデー」では、午後3時ぐらいに早期退社することを呼びかけ、消費だけでなく働き方改革の相乗効果も狙うようです。そこで、今回は従業員の残業時間を減らす対応についても質問しました。従業員の残業時間を減らすためにどのような対応をしていますか? と質問したところ、最も多かった回答は「対策を検討中」が約4割でした。その一方で、「対策をすでに取っているが、効果はまだ出ていない」が3割超、「対策をすでに取っており、大きな効果が出ている」が2割でした。調査対象である上場企業の半数以上がすでに「対応をとっている」と、積極的に取り組んでいることがうかがえます。       <QUICK短観とは> 日銀が企業経営者の景況感をまとめて四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つとともに、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。日銀短観は四半期に1度の公表ですが、QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感の変化を読み取ることができます。    

トランプ政権が日本に強く要求することとは? (2月調査)

   証券会社や銀行など、外為市場関係者を対象に毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の2月調査を2月13日に発表しました。今回の調査ではトランプ政権が外国為替相場へ与える影響や、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策などついて聞きました。   トランプ政権が日本に強く要求することとは?    トランプ政権が対日外交において最も要求を強めることとは何だと思いますか?と質問したところ、「米国向け投資の拡大」との回答が全体の6割弱を占めました。次いで「自動車貿易の不公平是正」が24%と続きました。また、トランプ政権下でFRBの金融政策は「タカ派に傾斜する」と回答した人が5割に達したほか、次の追加利上げ時期については「6月」との見方が最も多くなりました。 ある銀行の回答者は「現状の景気、インフレ動向からみて6月利上げの可能性は高いと思われる」との声が聞かれました。また、FRBは年内に3回利上げを実施する可能性が高いなか、ある信託銀行では「米トランプ政権の経済対策による景気押し上げ効果の大半は来年以降に実現する見込み。こうしたなか、FRBの金融引き締めは慎重に進められる公算が大きく、年内の利上げは2回と想定している」との見方もありました。  一方、日銀の金融政策はトランプ政権の影響をどの程度受けるでしょうか、と聞いたところ約5割が「ある程度受ける」、3割強が「あまり受けない」と影響は限定的と見ているようです。加えて日銀の年内の金融政策についても聞いたところ、「現状維持」が8割超を占めました。             プロの予想は目先1ドル=112円台半ばと円高方向にシフト 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、2月末の平均値で1ドル=112円58銭と、1月調査(114円04銭)に比べて円高にシフト。3カ月後の4月末には112円85銭、6カ月後の7月末には113円87銭との予想です。  今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円が「金利/金融政策」と「政治/外交」、ドルとユーロはともに「政治/外交」でした。     企業の前提為替レートは109円台後半 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の50%から63%へ、「アンダーウエート」が10%から25%へと上昇する一方、「オーバーウエート」は27ポイント低下して13%となりました。市場参加者の慎重姿勢が高まっていることがうかがえます。 事業法人に業績予想の前提為替レートを聞いたところ、有効回答数11社の円相場の平均値は対ドルで1ドル=109円97銭、有効回答数5社平均の対ユーロが1ユーロ=121円51銭でした。   ※調査期間は2月6~9日、回答者数は金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者74人

1カ月後の日経平均予想1万9213円、政治・外交が変動要因に(2月株式調査)

  株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の2月調査を2月6日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答、調査期間は1月31日~2月2日)。1カ月後の日経平均の予想は平均値で1万9213円と、前回調査(確報)の1万9377円から下方へシフト。株価変動要因として政治・外交への注目度が高まる結果になりました。こうしたなか、2月10日の日米首脳会談に関心が集まりそうです。   インフラ投資などの財政支出の拡大、3割が実現できる 1月の日本株相場はトランプ政権に左右される展開となりました。同政権に対する期待や米主要企業の好決算などを受けてダウ工業株30種平均は25日、初の2万ドルの大台を突破。ただ、その後はトランプ米大統領が署名したイスラム圏7カ国からの米国への入国を一時制限する大統領令を巡って混乱すると2万ドルを割り込みました。月末には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて様子見ムードも広がりました。一方、日経平均株価は1万9000円を割り込む場面があったものの、月末には1万9041円で終えました。 今回のアンケート調査ではトランプ米大統領が表明している政策に関して、実現の可能性を予想してもらいました。10の設問のうち「インフラ投資などの財政支出拡大」「法人税率の引き下げ」「企業の海外留保利益の還流促進策」「米国内の雇用の増加」「不法移民対策の強化」「貿易面におけるニ国間協定の推進」「金融規制の緩和」の7つについては、「一部実現」との回答がそれぞれ一番多い結果となりました。 一方、「国境税」については50%が「実現できない」との答えでしたが、「一部実現」が46%、「実現」が4%で意見が分かれました。また、「海外の軍事基地・同盟関係の見直し」は「一部実現」が64%で最も多かったものの、28%の人が「実現できない」と答えています。10の設問の中で最も「実現できない」という予想が多かったのは「一つの中国政策の見直し」で58%でしたが、33%の人が「一部実現」と予想しています。 そして、これらのトランプ大統領の政策の結果、米国の成長率はどうなるかの予想を聞いたところ、最も多かったのは「短期的に成長率は高まるが、長続きしない」で66%となりました。 市場関係者からは「トランプ新政権の選挙公約への実現意欲や行動力は高いと思われるが、実務面で不安を感じる。内外に軋轢や混乱を引き起こす可能性が高く、金融市場も警戒を強め始めている。政権のスタッフが揃い、組織が動き出したら軋轢や混乱も減り、落ち着きを取り戻せると期待している」という声や「大統領令のみで可能な外交、通商関連は概ね実現されようが、金融市場にはその多くがマイナスと思われる。共和党のみの賛成で可能な減税等は規模を縮小して実施されよう。民主党の協力が必要な規制緩和等はハードルが高い」などの声が聞かれました。           米政策の見直しは、日本の通商政策の転換に「重大な影響」が24%  環太平洋経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)など米国の貿易通商政策の見直しが日本経済にどの程度影響を与えるかと聞いたところ、「日本の貿易収支の悪化」「日本企業の対外直接投資の見直し」「日本の企業収益の悪化」「円高圧力の拡大」「日本の通商政策の転換(二国間協定等)」のすべての設問において、最も多い回答が「多少の影響」で6割強を占めました。ただ、「重大な影響を与える」との回答が「日本企業の対外直接投資の見直し」は19%、「日本の通商政策の転換(二国間協定等)」は24%にのぼりました。   日経平均の見通しは4カ月ぶりに下方シフト  1カ月後の日経平均株価予想は平均値で1万9213円となり、前回調査(確報)の1万9377円に比べて下方シフトとなりました。1カ月後の予想が下方シフトしたのは2016年10月調査以来、4カ月ぶりのことです。3カ月後(1万9692円)、6カ月後(1万9693円)もほぼ横ばいの予想となり、心理的な節目となる2万円は、まだ大きな壁であると市場はみているようです。  今後6カ月程度の株価変動要因として、最も多かったのは「政治・外交」で前回27%から37%へ大幅増となりました。また、「景気・企業業績」(前回30%→33%)への注目も増加する一方で、「為替動向」(同20%→13%)は減少しています。  今後6カ月程度を想定して最も注目している投資主体としては、「個人」が(前回3%→5%)に増えましたが、「外国人」が92%と圧倒的多数を占めています。     国内投資家は、やや強気も全体的に警戒感    国内の資産運用担当者58人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」(前回44%→42%)が低下した一方で、「ややオーバーウエート」(同35%→40%)が上昇し、株式の投資比率をやや高めてきたことがわかります。  セクター別の投資スタンスについては、「オーバーウエートとアンダーウェート」のバランスをみると、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのが「電機・精密」、逆にアンダーウェートの比率が最も高いのが「公益」でした。  しかし、当面のスタンスについては、「現状を維持する」(前回63%→74%)が上昇しており、全体的には警戒感を強めているような印象を受けます。

製造業DIが4カ月連続の改善も、円高リスクに懸念も

  製造業に対する強気の業績見通し増える  株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2017年1月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス23となり、前月(プラス16)から7ポイント改善しました。金融DIがプラス7で前月(プラス10)から3ポイント低下しましたが、製造業DIがプラス37で前月(プラス26)から11ポイント上昇して4カ月連続の改善となり、全体を押し上げました。非製造業DIもプラス9と前月(プラス4)から改善しました。  QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスに転じたということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。DIのプラス幅が拡大したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが加速していることを表します。  2015年11月よりマイナス圏に低迷していた全産業DIが、2016年10月から回復基調となり、12月にプラス圏を回復したのは、9月下旬以降に円安・ドル高へ転じたことが挙げられます。さらに米大統領選後、トランプ氏が打ち出した経済政策への期待で米国の長期金利が上昇し、日米の金利差が広がったため、さらに円安・ドル高が進みました。輸出関連企業を中心に収益改善期待が高まったことがコンセンサスDIに現れてきたといえます。ただ、トランプ大統領は1月31日の会合で日本の通貨政策を批判。2月10日の日米首脳会談の内容次第では、今後の為替相場に逆風となる懸念もありそうです。       非製造業も一年前の水準まで改善  次にDIを製造業と非製造業別にみてみましょう。製造業、非製造業ともに改善傾向を示しています。製造業は2016年12月にマイナス圏を脱し、大幅な改善をたどっています。非製造業も一年前の水準を超え、プラス9まで改善しました。全体的に業績見通しは底堅さを増しているといえそうです。ただやはり、トランプ米大統領の動向によっては円高・ドル安への反転リスクなどがあり、輸出企業の業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。  <製造業DIの過去1年間の推移> 2016年1月・・・・・・▲11               2月・・・・・・▲35               3月・・・・・・▲48               4月・・・・・・▲47               5月・・・・・・▲47               6月・・・・・・▲48               7月・・・・・・▲49               8月・・・・・・▲45               9月・・・・・・▲38               10月・・・・・・▲25                11月・・・・・・ ▲3               12月・・・・・・    26  2017年1月・・・・・・ 37   <非製造業DIの過去1年間の推移> 2016年1月・・・・・・・8               2月・・・・・・▲3               3月・・・・・・・1               4月・・・・・・▲1               5月・・・・・・▲9               6月・・・・・・▲18               7月・・・・・・▲15               8月・・・・・・▲7               9月・・・・・・▲15               10月・・・・・・▲10               11月・・・・・・・1               12月・・・・・・・4  2017年1月・・・・・・・9   鉄鋼がマイナスから大幅改善    業種別のDIを見ると、16業種中、DIがプラス(上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回る)の業種は11業種。一方、マイナス(下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回る)の業種は1業種、変わらずは4業種となりました。前月からのDIの動きを業種別に見ると、以下のようになります。 ↑プラスが拡大・・・・・・・・・・・・「非鉄金属」「電機」「輸送用機器」「情報通信」  ↑マイナスまたはゼロからプラスに転換・「小売」「不動産」  ↑マイナスからゼロに改善・・・・・・・「鉄鋼」  →プラス圏で横ばい・・・・・・・・・・「化学」  →ゼロで横ばい・・・・・・・・・・・・「その他金融」  ↓プラスが縮小・・・・・・・・・・・・「食料品」「機械」「建設」「卸売」  ↓プラスからゼロに縮小・・・・・・・・「医薬品」「銀行」  ↓マイナスが拡大・・・・・・・・・・・「サービス」  プラスが拡大した4業種のうち、「情報通信」を除く3業種は、前回の12月調査でマイナス圏からプラスへと転換したセクターで、今回も「電機」が22ポイント、「輸送用機器」24ポイントと改善への弾みがついています。前回までマイナスだった「鉄鋼」も、86ポイントの大幅な改善となりました。一方、この3カ月で「食料品」(35→22→15)や「医薬品」(19→13→0)は徐々に悪化をたどり、今回の調査で唯一マイナスだった「サービス」(8→マイナス8→マイナス34)は、26ポイントの悪化となりました。   ジャパンディスプレイの大幅な上方修正率が目立つ    銘柄数の内訳は「強気」銘柄は147銘柄、「変化なし」は156銘柄、「弱気」銘柄は61銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップすると、下記のようになります。  3カ月前との比較で純利益の上昇修正率が最も大きかったのはジャパンディスプレイ(JDI)。スマートフォン(スマホ)など中小型用液晶パネル大手のJDIは、官民ファンドで大株主の産業革新機構から750億円の資金支援を受けると発表していることなどを受けて、業績に対する見方が改善したようです。また、同社が発表した曲げられる液晶パネルなど、次世代ディスプレーのスマホ以外への応用も期待されているようです。    <上方修正率の大きい銘柄> 1位 JDI(6740)・・・・・・・・13391.94% 2位 シャープ(6753)・・・・・・・・160.80% 3位 新電工(6967) ・・・・・・・・・96.41% 4位 SUMCO(3436) ・・・・・・・92.51% 5位 イビデン(4062) ・・・・・・・・・51.47%  <下方修正の大きい銘柄> 1位 サイバダイン(7779)・・・・・・▲49.43% 2位 コロプラ(3668)・・・・・・・・▲46.95% 3位 アンリツ(6754)・・・・・・・・▲41.45% 4位 小野薬(4528)・・・・・・・・・▲34.96% 5位 そーせい(4565)・・・・・・・・▲27.70%    

トランプ政権の金融政策はタカ派に傾斜?(1月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の1月調査を1月30日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者139人が回答、調査期間は1月24~26日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りが0.050~0.085%で推移しました。  超長期債の利回りはそろって高水準となり、なかでも新発40年債利回りは1月26日に大台乗せとなる1.005%を付けました。過去1カ月の金利推移は以下の通りです。 1月25日の日銀による国債買い入れオペ(公開市場操作)で、予想されていた中期債を対象にした買い入れが実施されず、債券売りに拍車をかけました。米国の長期金利が2.5%近辺で推移していることも、日本国債の利回り上昇に影響しています。 米国では31日~2月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が実施される予定ですが、今回の利上げは見送られるとの予想が大勢です。     トランプ大統領の金融政策 「タカ派に傾斜」が半数  今回の調査ではトランプ大統領の就任を受けて、米国と日本経済への影響を聞きました。まず、トランプ米大統領の経済・通商・外交政策の効果とその影響について予想してもらったところ、経済成長率は「加速」(58%)、インフレ率も「加速」(78%)が最多となり、雇用者数の増加率(55%)と、賃金の上昇率(54%)は「加速」が「変わらない」をやや上回る結果となりました。財政赤字は「拡大」(84%)が多数を占めましたが、貿易赤字は「変わらない」と「縮小」が同じ(40%)でした。  金融政策については、11月調査で最多だった「影響なし」(43%)から「タカ派に傾斜」(49%)の回答が上回りました。トランプ政権の景気浮揚策により財政赤字が拡大し、インフレ率が上昇すると金融引き締めを強めるタカ派的な勢いが増すとの見方のようです。  トランプ大統領は就任以来、次々と米企業の経営者らと会談し、米国の企業活動を支える姿勢をアピールしたことで、規制緩和や法人税の減税などを早期に実現させるのでは、との思惑が市場に広がりました。さらに、メキシコ国境の壁の建設や、石油パイプライン建設に関する大統領令に署名するなど、景気刺激策への期待が一段と高まると、1月25日のダウ平均は史上初の2万ドルの大台を突破しました。一服していた「トランプ・ラリー」が再び幕を開けたかに見えますが、トランプ大統領の一挙手一投足に振り回される状況はまだまだ続きそうです。   日米の通商政策は「2国間協定」へ転換か  トランプ米大統領の政策は、日本経済にどのような影響を与えるでしょうか。環太平洋経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)など米国の貿易通商政策の見直しについて、最も重要と考えるものを聞いたところ、一番多かったのは「日本の通商政策の転換(2国間協定等)」が28%、次に「日本企業の対外直接投資の見直し」が22%、「円高圧力の拡大」が21%と続きました。  23日、トランプ米大統領がTPPから「永久に離脱する」とした大統領令に署名し、さらに日本の自動車貿易について「不公平」だと名指しでけん制しました。スパイサー米大統領報道官は、アジア太平洋との貿易協定は2国間交渉に軸足を移すと明言しており、日本にも交渉を求める可能性があるとされていました。これに対して、安倍首相は「理解を求めていきたい」とコメント。2月10日にワシントンでの首脳会談が決まり、日米2国間の通商協議に意欲をにじませる米国側との貿易問題の話し合いには、大きな注目が集まりそうです。  ドル高をけん制する発言がまたいつ飛び出すか警戒感が拭えませんが、トランプ大統領が容認するドル・円相場のレートを聞いたところ、円安の限度の平均値は「1ドル=121円95銭」でした。一方、日銀が現在の金融政策を継続するための円安の限度額は「1ドル=125円74銭」、円高の限度は「1ドル=97円96銭」となりました。  日銀は30~31日に金融政策決定会合を開き、新たな金融政策方針と「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表します。市場関係者からは「海外長期金利の上昇や株高、ドル高円安など、外部要因から長期金利の上昇圧力がかかりやすい。日銀は日本の長期金利をゼロ%程度に調整することが徐々に難しくなる可能性もある」との声も上がりました。前述の1月25日に中期の買い入れオペを見送ったことで、市場の一部では「日銀のテーパリングでは」との思惑が強まったこともあり、今後の日銀の動向にも目が離せません。     長期金利は上昇シフト 中期はマイナス金利が継続    毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べてまた一段利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年国債の金利見通しは、1カ月後が0.065%、3カ月後が0.075%、6カ月後が0.085%と、12月調査の(0.055%、0.063%、0.067%)に比べて、いずれも上昇しました。  一方、新発5年国債は1カ月後がマイナス0.101%、3カ月後がマイナス0.091%、6カ月後がマイナス0.086%となり、新発2年国債は、1カ月後がマイナス0.198%、3カ月後がマイナス0.189%、6カ月後がマイナス0.182%となりました。いずれもマイナス幅が拡大し、今後もマイナス金利が継続するとの見方のようです。  今後、6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因は、前回調査とほぼ変わらず「海外金利」が45%で最も多く、次いで「短期金利/金融政策」が36%で続きました。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く64%、次いで「外国人」の13%となりました。注目度が増してきた「生損保(年金除く)」の9%を上回って、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が10%で3番手に上がってきました。   国債組み入れ比率、「ややアンダーウエート」比率が増加    ディーリング部門を除く資産運用担当者67人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、前回調査に比べて「ニュートラル」、「ややオーバーウエート」が低下。その半面「ややアンダーウエート」が増加しました。全体的に現状維持とし、様子見ムードを強めているようにみえます。  また国内債券の組み入れ比率について、当面のスタンスとしては「かなり引き上げる」の回答比が0%、「かなり引き下げる」が2%で変わらず、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」がやや低下。「現状を維持する」だけが上昇し、78%と大勢を占めました。  デュレーションについて、現在が通常の基準に比べてどのようになっているのかについては「ほぼ基準通り」が51%が最多で、前回調査に比べて「かなり長い」が0%に低下し、「やや長い」「やや短い」は微増となりました。  当面のデュレーションについては、「現状を維持する」が82%で大勢を占め、「やや短くする」が10%で続きました。指数は「48.4」となり、現状維持を示す50を2015年6月調査以来、1年7カ月ぶりに下回りました。トランプ新政権が掲げる「米国第一主義」の下、次々と打ち出される政策を前に、やはり当面は様子見ムードが強まりそうです。    

トランプ新大統領はどの水準まで円安許容する?(1月調査)

 外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の1月調査を、1月23日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者71人が回答、調査期間は1月16~19日)。この間の為替レートは、対ドルが113円28銭~114円07銭。対ユーロが120円70銭~121円06銭でした。     トランプ米大統領の経済政策「大幅修正で公約実現」が半数 ドナルド・トランプ氏が1月20日に米国の第45代大統領に就任しました。世界が注目する就任式でトランプ大統領は「米国第一主義」を強調し、経済や外交などの政策は米国民の利益を最優先に決定すると演説。式典直後には、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱する方針を発表しました。「今後10年で2500万人の雇用を創出し、年4%の成長を取り戻す」という目標を掲げる新政権ですが、具体的な経済政策には乏しかったと受け止められ、同日の外国為替市場ではドル売りが優勢となりました。  就任直前のアンケート調査で、トランプ氏が掲げる大規模なインフラ投資や減税など積極財政の実現性をどう考えるかと聞いたところ、最も多かった回答は「大幅に修正のうえ公約実現」が49%、続いて「小幅に修正のうえ公約実現」が39%、「公約通り実現」が8%となりました。大幅に修正が入るとみる市場関係者が半数近くいると読める半面、9割以上が公約を実現すると考えていることがわかります。マーケットの期待通りに公約は実現されるのか、今後もトランプ新政権の動向から目が離せそうにありません。     FRBの2017年の利上げ、58%が「2回」と予想 米連邦準備理事会(FRB)は、2016年12月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりに0.25%の利上げを全会一致で決めると同時に、2017年に3回の利上げを想定するシナリオを公表しました。イエレンFRB議長は、米景気は拡大が続くとの見方を示しており、金融引き締め意欲を明確にしています。しかし、トランプ政権が掲げる財政拡張策には不確実性が残っているとし、追加利上げは今後数カ月の景気次第、とのシナリオ修正の可能性も示唆しています。  マーケット関係者にFRBは17年に何回利上げするかと質問したところ、最も多かったのは「2回」で58%でした。続いて「3回」が21%、「1回」が15%となりました。  また、米10年債利回りの17年の高安水準と年末水準を聞いたところ、平均値でそれぞれ高値(高金利)は3.02%、安値(低金利)は2.12%、年末水準は2.80%となりました。足元の米長期金利は2.32%~2.47%で推移しているため、年末に向けて上昇基調という予想が市場関係者の大方の見方のようです。   トランプ政権のドル高許容は「1ドル=123円71銭」まで 米大統領選挙の開票が進む中、トランプ氏が優勢と伝わるとリスク回避の円買いが膨らみ、円相場は一時1ドル=101円19銭近辺まで円高が進行。その後、トランプ氏が勝利演説で過激な発言を控えたため、過度の不安が後退したことから、ドルは買い戻しとなりました。トランプ氏の政策期待から米金利が上昇すると、日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いが継続。いわゆる「トランプ・ラリー」となり、2017年1月4日の大発会では一時118円台前半まで円安が加速しました。  しかし、1月11日のトランプ氏の米大統領選勝利後初の記者会見で、景気刺激策などの材料が出なかったことへの失望売りや、17日付の米紙のインタビューでのトランプ氏がドル高をけん制したことで円安・ドル高に一服感が見られます。ただ、米財務長官候補のムニューチン氏は公聴会で「強いドル政策」を踏襲すると発言するなど、早くも新政権の足並みがそろっていないほか、トランプ大統領の「ツイッター介入」への警戒感も残りそうです。  アンケート調査で、トランプ政権は対円のドル高をどの水準まで許容するか、と質問したところ、平均値は1ドル=123円71銭でした。市場関係者からは「内需を中心に成長ペースが加速し、雇用・所得環境の改善が継続する状況の下、ドル高のマイナス効果に焦点があたることにはならないとみている」との声も聞かれました。  また、2017年の円ドル相場の年末水準を聞いたところ、平均値は117円08銭でした。最高値(=円高・ドル安)は107円42銭で、最安値(=円安・ドル高)は123円12銭となりました。最高値は1月に、最安値は12月に付けるとの予想が多く、年末に向けて円安・ドル高が進行するという見方が市場関係者では多いようです。   為替変動要因は、金融政策から政治・外交へ   毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、1月末の平均値で1ドル=114円04銭で、12月調査(113円39銭)に比べて一段の円安水準となりました。6カ月後の6月末時点では115円89銭が予想されており、1カ月後の予想値に比べて円安・ドル高がさらに進む結果となりました。一方、予想レンジは100~130円と見通しの幅が大きく開きました。  今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は昨年9月調査では8割強を占めていた「金利/金融政策」が34%まで低下。その一方で「政治/外交」が32%まで上昇しています。ドルも「政治/外交」が前月調査から4ポイント上昇して68%となり、半面「金利/金融政策」は8ポイント低下の21%となりました。ユーロも「政治/外交」が55%で最も多く、「金利/金融政策」が15ポイント低下の23%となりました。2016年に注目が高かった金融政策に代わり、各国の政治・外交が今後の経済動向を握るカギとみる市場関係者が多いようです。   市場参加者の慎重姿勢が色濃く ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の44%から50%へと上昇する一方、「オーバーウエート」は4ポイント低下の40%、「オーバーウエート」は1ポイント低下の10%となりました。  また、為替ヘッジに対する当面のスタンスについては、「ヘッジ比率を上げる」が0%のままに対し、「ヘッジ比率を下げる」が33%から22%に低下。その一方で「現在のヘッジ比率を維持」が11ポイント上昇の78%となりました。米新政権の概要がまだ見えにくい中、市場関係者は様子見の姿勢を強めていることがうかがえます。  

トランプ政権の誕生控え、企業は為替対応どうする? 製造業DIは上昇(1月調査)

製造業の業況判断DIが改善  日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している1月のQUICK短観(1月4~16日調査分、上場企業423社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス19となり、前月調査から5ポイント改善しました。非製造業DIは前回と同じプラス30となりましたが、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ3ポイント改善のプラス27となりました。    景況感は上昇に転じるも先行きは不透明?  QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つうえ、株価との連動性もみられるため、市場関係者に注目される指標です。QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感をより細かく読み取ることができます。  2016年12月14日に発表された12月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断DIがプラス10と前回調査から4ポイント上昇しました。大企業製造業の業況判断DIは3月にプラス6まで低下し、6月、9月と3期連続で底這い状態が続いていましたが、ようやく上昇に転じました。ただし、将来の業況を示す先行きDIはプラス8と、2ポイントの低下となりました。  一方、QUICK短観で製造業の業況判断DIをみると、2016年3月のプラス5を底に緩やかに上昇傾向をたどったものの、10月調査から3カ月連続で足踏み状態が続いていました。今回の調査では企業の景気に対する見方が改善したものの、今後はトランプ政権の動向しだいで企業のマインドが変化する可能性もあります。トランプ氏が米経済紙のインタビューでドル高をけん制すると、17日の外国為替市場で円相場が一時1ドル=112円台まで円高・ドル安が進行。円高がさらに加速すれば輸出企業の業績への悪影響が懸念され、景気の先行きに対して悲観的な見方が増えるかもしれません。   【QUICK短観・製造業の業況判断DIの推移】 2016年1月・・・・・プラス13    2月・・・・・・プラス10    3月・・・・・・プラス5    4月・・・・・・プラス8    5月・・・・・・プラス7    6月・・・・・・プラス9    7月・・・・・・プラス7    8月・・・・・・プラス8    9月・・・・・・プラス10    10月・・・・・・プラス14    11月・・・・・・プラス14    12月・・・・・・プラス14 2017年1月・・・・・・プラス19   非製造業の雇用不足が悪化、円安による仕入れ価格が急騰  生産・営業用設備の現状について全産業ベースの「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、前月に比べて不足が拡大。2ポイント悪化するマイナス5となりました。非製造業もマイナス10で、12月調査分のマイナス8からマイナス幅が拡大し、一段と不足感が高まっています。  雇用人員について、「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、全産業ベースでマイナス36でした。こちらも前月に比べて不足感が悪化しています。非製造業はマイナス51となっており、非製造業における雇用不足はさらに深刻な状況を示唆しています。  販売価格と仕入価格の現状は、「上昇」から「下落」を差し引いた販売価格DIについては金融を除く全産業でマイナス5となり、前月に比べて1ポイント上昇。対して仕入価格DIは、金融を除く全産業でプラス20となり、前月比で11ポイントも上昇しました。仕入価格が円安の影響で急騰する一方で、販売価格への転嫁が追い付いていない状況が伺われます。   為替変動の対応について従来通りが9割、「為替予約は利用しない」が半数超    1月の特別調査では目先の為替変動の対応と、日本版スチュワードシップ・コードをふまえた投資家との対話の2点について質問しました。「2016年は為替市場が大きく変動。目先の為替変動に対して、どのように対応する見込みですか」と質問したところ、従来と同じスタンスとの回答が9割超を占め、目先については静観の構えのようです。また、「従来と同じように為替予約は利用しない」が58%と半数を超え、続いて「従来と同じ比率で為替予約を利用する」が34%となりました。  日銀短観の12月調査によると、大企業・製造業の2016年度下期の想定為替レートは1ドル=103円36銭と、足元のレートとはまだ大きな開きがあります。しかし、トランプ氏はドル高をけん制するだけでなく、大統領選挙勝利後の初会見で中国や日本に対する貿易赤字に対して不満を述べました。赤字削減のためにドル安政策をとることになれば円高・ドル安が進む可能性もあり、企業も対応を迫られるかもしれません。     日本版スチュワードシップ・コード」2社以上と対話した企業が7割  機関投資家に企業との対話を促す「日本版スチュワードシップ・コード」が制定されて間もなく3年が経過することから、「貴社は投資家と実際に対話することはありましたか」と質問。「2社以上と対話した」が70%を占めて最も多くなったものの、次いで「コンタクトすらない」が15%と続きました。ルールを遵守することで企業価値の向上や、株式投資の効率性改善につながると期待する企業が多く、日本の企業統治改革は進んでいるといえそうです。また、金融庁では運用会社が投資先としっかり対話できているかの監視を求めるなど、より実効性を高める改定案を3月末をめどにまとめるとしています。

上場企業、為替予約の利用は4割 新規に利用検討は4% QUICK短観

上場企業、為替予約の利用は4割 2017年1月のQUICK短観 日本の上場企業が2016年に為替予約を利用した割合は約4割だと19日、わかった。国内から海外に製品を輸出する企業、国内販売のために海外から輸入する企業にとって、為替予約は円相場の乱高下による業績変動のリスクを抑える。2017年から新規に為替予約の利用を検討する企業は全体の4%だった。 QUICKが上場企業にアンケート調査する2017年1月の「QUICK短期経済観測調査」で明らかになった。東証1部や2部の大規模企業、マザーズやジャスダックに上場する新興企業など344社が回答した。 製造業では為替予約を利用する企業は55%だった。そのうち13%は2017年では従来より為替予約の比率を高めると回答した。一方、非製造業では為替予約の利用は26%にとどまった。2017年も従来通り為替予約を利用すると答えたのは全体の34%、今まで通り為替予約を利用しない企業は58%だった。 2016年は外国為替市場で円相場は対ドルで1ドル=99円の円高水準から1ドル=121円の円安水準まで変動した。英EU離脱や米大統領選、日銀の金融政策決定会合などのイベントで大きく円相場が揺れ動いた。  企業にとって為替相場の変動による業績への影響は大きい。トヨタ自動車は対ドルで円相場が1円円高に進行すると年間の営業利益が400億円、富士重工業は100億円の利益押し下げ要因となる。 為替予約を利用すると急激な円相場の変動によるリスクを抑えられる。一方、為替予約をすると円相場の変動によるリターンも小さくなる。為替の変動による恩恵を受けようとしてあえて為替予約を利用しない選択肢もある。  長期の為替予約を利用する企業ではファーストリテイリングやニトリホールディングスなどが有名だ。 上場企業、機関投資家との対話は2社以上が7割 スチュワードシップ・コードが促す 上場企業の機関投資家との対話が活発化している。2016年までに2社以上の機関投資家と実際に対話した上場企業は7割だと19日、わかった。機関投資家の行動規範を定めた「日本版スチュワードシップ・コード」が2014年に導入されて3年目に入った。株主と経営者の建設的な対話が充実していけば日本企業の中長期的な成長にもつながりそうだ。 2017年1月の「QUICK短期経済観測調査」で明らかになった。「スチュワードシップ・コード」に関する質問には356社が回答した。 東証1部や2部の大規模企業では2社以上の機関投資家と対話したのは8割に達した。新興企業で2社以上と対話したのは43%だった。アンケートでは「面談では長期的な視点が増えてきた」との声があった。 一方で、機関投資家からコンタクトはあったものの対話に至らなかったのは全体の7%だった。機関投資家からコンタクトさえなかったのは全体の15%あった。大規模企業でも9%は機関投資家から対話を求められていない。「コードは原理主義的で会社にも投資家にもマイナスが大きい」との批判もあった。 金融庁は2017年に「スチュワードシップ・コード」を改訂する。機関投資家の株主総会での議決権行使の結果を原則は個別に開示を求める方針だ。機関投資家の行動を透明化し、機関投資家にとって最終的なお金の出し手の一般の労働者などの利益の向上を目指す。 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

2017年の日経平均の最高値予想2万1600円台 リスク要因は「米国の経済政策を巡る混乱」(1月株式調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の1月調査を1月16日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答、調査期間は1月10~12日)。調査期間中の日経平均株価は1万9069円02銭~1万9484円90銭の範囲内で推移しました。  2017年の大発会(1月4日)の日経平均は、昨年末比479円高の1万9594円16銭と大幅な上昇となりました。大発会の上げ幅としては1996年に付けた749円(3.8%)高以来、実に21年ぶりとなる大きさです。株価上昇の主な要因は円安と堅調な米国景気です。外国為替市場で円相場が1ドル=118円台前半まで下げ幅を拡大し、輸出関連株に買いが入りました。また、トランプ次期米大統領の経済政策への期待が、米国での長期金利の上昇やドル高、株価の上昇につながりました。 しかし、トランプ次期米大統領は11日、大統領選勝利後に初の記者会見を開きましたが、市場が注目していた経済政策についてほとんど語られなかったため、失望感が広がりました。これを受け、ドル売りが加速し一時は114円25銭と2016年12月9日以来、およそ1カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けました。12日の日経平均は下げ幅が300円に迫る場面もあり、前日比229円97銭安の1万9134円70銭まで急反落しました。翌13日には外国為替相場での円高一服を受け、日経平均は買い戻しが進みましたが、今後もトランプ次期大統領の動向を注視していく必要がありそうです。 企業業績の増益予想は8割強 年間最高値予想は2万1605円  今回のアンケート調査で、2017年度の日本のGDP成長率を予想してもらったところ、実質成長率は1.15%、名目成長率は1.57%でした。また、2017年末の日米の10年国債利回りの予想は、日本国債が0.177%、米国債は2.756%でした。2017年末の為替レートの予想は、1ドル=117.2円、1ユーロ=122.8円でした。日米の長期金利の上昇を見込む向きが目立ちました。  2017年度の企業業績(金融を除く上場企業、経常利益)については、「10~20%の増益」が最多の56%、次いで「1桁の増益」が27%となり、増益の予想が8割強を占めました。  また、2017年の株式相場の予想を聞いたところ、日経平均の最高値は2万1605円で、最安値は1万7778円でした。株価が最も高くなる時期は「12月」との予想が多く、次いで多かったのは「6月」でした。高値の時期を12月と回答した平均値は2万1956円となりました。ドル高・円安進行による業績回復期待から、株価の上昇につながるという見方が、大勢を占めているようです。  半面、最も安くなる時期は「8月」で、安値の時期を8月と回答した平均値は1万7248円という結果でした。      2017年の最大のリスク要因について聞いたところ、「米国の経済政策を巡る混乱」が最も多く全体の45%を占めました。トランプ次期米大統領が5日、自身のツイッターでメキシコに新工場を建設するトヨタ自動車を批判すると、6日の東京市場でトヨタは一時、前日比3.1%まで値下がりするなど、メキシコに工場を持つ日本の大手自動車株が軒並み下落。日本の経済界には懸念が広がりました。他のリスク要因は「欧州の政治的混乱」(21%)、「為替レートの急激な変動」(10%)となりました。「当面は米新大統領の一挙手一投足と、それにともない米長期金利及び為替市場がどう動くか、ということが最大の要因であろう。その後は、欧州の政治的混乱がこれにとって代わるのでは」とみている市場関係者も多いようです。       日経平均の見通しはさらに上方シフト  1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万9395円となり、前回調査の1万8617円に比べて大幅に上方シフトしました。1カ月後の予想が1万9000円以上を付けたのは2015年12月調査以来、1年1カ月ぶりのことです。  今後6カ月程度の株価変動要因として「景気・企業業績」と回答した人が30%と最も多かったものの、トランプ政権の誕生を目前に控えて「政治・外交」(前回15%→26%)に注目する人が大きく増える一方で、「為替動向」(同28%→20%)は減少しました。  また、今後6カ月程度を想定して最も注目している投資主体としては、「企業年金・公的資金」と「事業法人」が微増したとはいえ、「外国人」が91%と圧倒的多数を占めています。  国内投資家、様子見ムードながら強気姿勢も  国内の資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、12月調査から「ややオーバーウエート」(40%→35%)と「かなりオーバーウエート」(6%→4%)が低下する一方で、「ニュートラル」(42%→44%)、「ややアンダーウエート」(8%→10%)、「かなりアンダーウエート」(4%→6%)が上昇し、現状の投資スタンスは様子見ムードが強まっているようです。  しかし、当面のスタンスについては、12月調査から「現状を維持する」が70%から64%に低下した一方、「やや引き上げる」が17%から21%、「かなり引き上げる」が2%から4%に上昇しています。企業業績の拡大期待を背景に、資産運用担当者の間には積極的な投資スタンスに転換する動きもみられました。

全産業DIがプラス圏浮上、製造セクター軒並み改善(2016年12月)

全産業DI、プラス圏へ改善 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年12月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス16となり、前月(マイナス1)から17ポイント改善しました。プラス圏に浮上するのは2015年10月以来、1年2カ月ぶりになります。特に製造業DIは3カ月連続で改善。プラス26と前月(マイナス3)から29ポイントの大幅改善となり、全体の業績見通しの押し上げに寄与しました。非製造業DIはプラス4と前月(プラス1)から改善しました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがプラスに転じたということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 全産業DIの過去の推移をみると以下の通りになります。 8月・・・・・・ 16 9月・・・・・・ 10 10月・・・・・・ 3 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・▲3 1月・・・・・・▲3 2月・・・・・・▲20 3月・・・・・・▲30 4月・・・・・・▲30 5月・・・・・・▲33 6月・・・・・・▲36 7月・・・・・・▲34 8月・・・・・・▲27 9月・・・・・・▲27 10月・・・・・・▲18 11月・・・・・・▲1 12月・・・・・・ 16 最も悪化した6月のマイナス36から徐々に改善傾向をたどると、10月から回復基調が明確になり、12月にはプラス圏まで戻し、2015年8月の水準まで改善しました。その背景として、9月下旬以降から円安・ドル高が進んだことが挙げられます。円安進行で輸出関連企業を中心に収益改善期待が高まり、コンセンサスDIの大幅改善につながりました。 非鉄金属など、マイナスからプラスに大幅改善 業種別のDIをみると、16業種中、プラスは11業種になり、前月の8業種から増加しました。前月からのDIの動きを業種別に見ると、以下のようになります。 ↑プラスが拡大・・・・・・・・・・・・「機械」「建設」「情報通信」「卸売」 ↑マイナスないしゼロからプラスに転換・「化学」「非鉄金属」「電機」「輸送用機器」「銀行」 ↑マイナスが縮小・・・・・・・・・・・「小売」 ↓プラスが縮小・・・・・・・・・・・・「食料品」「医薬品」 ↓プラスからゼロに縮小・・・・・・・・「不動産」 →ゼロで横ばい・・・・・・・・・・・・「その他金融」 ↓プラスないしゼロからマイナスに悪化・「サービス」 ↓マイナスが拡大・・・・・・・・・・・「鉄鋼」 業種別にみると、改善の兆しを示す業種が多くなっています。「プラスが拡大」から「マイナスが縮小」までを改善の兆しをみせている業種であると考えると、合計で10業種が改善していると言えそうです。特にマイナスからプラスに転換したセクターでは、「非鉄金属」が70ポイント、「輸送用機器」は49ポイントなど、大幅な改善がみられました。 次に、DIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。 過去一年間の製造業のDIは、 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 7月・・・・・・▲49 8月・・・・・・▲45 9月・・・・・・▲38 10月・・・・・・▲25 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・ 26 これに対して非製造業DIは、 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 7月・・・・・・▲15 8月・・・・・・▲7 9月・・・・・・▲15 10月・・・・・・▲10 11月・・・・・・・1 12月・・・・・・・4 でした。 製造業、非製造業ともに改善傾向を示しており、特に製造業は11月のマイナス3から、12月にはプラス26と大幅な改善がみられます。これはトランプ次期米大統領の政策期待による円安進行が背景とみられます。もちろん期待先行の側面もあり、円安・ドル高の反転リスクには目を配る必要もありそうですが、非製造業も改善基調にあることで、全体業績見通しは底堅さを増しているといえます。1月下旬以降の業績公表段階で企業側がどの程度、明るい見通しを示すかどうかが当面の注目ポイントになりそうです。 ディスプレー企業に前向き評価 銘柄数の内訳は、「強気」が149銘柄で、「変化なし」が179銘柄、「弱気」が82銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップすると、下記のようになります。  <上方修正率の大きい銘柄> 1位 JDI(6740)・・・・・・・・628.05% 2位 シャープ(6753)・・・・・・・146.93% 3位 太陽誘電(6976)・・・・・・・101.99% 4位 新電工(6967) ・・・・・・・・66.60% 5位 SUMCO(3436) ・・・・・・66.15%  <下方修正の大きい銘柄> 1位 コロプラ(3668) ・・・・・・▲51.95% 2位 アンリツ(6754) ・・・・・・▲47.55% 3位 サイバダイン(7779) ・・・・▲46.96% 4位 リコー(7752) ・・・・・・・▲41.87% 5位 カシオ(6952) ・・・・・・・▲26.48% 3カ月前比で、純利益の上昇修正率が最も大きかったのはJDIで628.05%。産業革新機構から750億円の資金支援を受けることが決定し、スマホ向けの中型有機ELパネル事業の拡大が期待されています。JDIと同じく再建途上にあるシャープが2位に入っており、台湾・鴻海精密工業の傘下で、テレビ用の大型液晶パネルに注力する方針を明らかにしています。両社の生き残りを賭けた動きが活発になってきたといえそうです。 (ライター・下村祥子)

2017年の長期金利の上昇余地は限定的? トランプ政策や日米金融政策に注目(12月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の12月調査を1月4日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者142人が回答、調査期間は12月27~29日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りが0.035~0.060%で推移しました。 2016年は、英国のEU離脱(ブレグジット)決定やドナルド・トランプ次期米大統領の誕生など、結果が市場の事前予想に反したイベントが相次ぎました。しかし、決定直後の激震から大きな混乱が広がるのではといった不安をも覆し、市場が落ち着きを取り戻すのが早かったのも特徴的でした。米大統領選での勝利を起点とした「トランプ・ラリー」以降、日経平均株価も上昇トレンドに入っていますが、1月20日のトランプ大統領就任後の政策運営には、期待と共に不透明な要素も大きく、持続性については半信半疑という見方も多いようです。また、2017年には欧州各国の総選挙ラッシュが待っており、一時的にしても波乱を引き起こす可能性があり、日本国内の金利への影響も少なからずありそうです。 こうした状況を踏まえ、今回の特別調査では、2017年の相場見通しや有望と思われる投資対象について、債券市場関係者の見方を聞いてみました。 日本の長期金利の上昇余地は限定的? 2017年の各マーケットについて、最高値(最高利回り)、最安値(最低利回り)の予想を聞きました。ちなみに2016年12月30日時点の数字は次のようになります。 ・日本新発10年国債利回り(%)  =0.045% ・日本新発20年国債利回り(%)  =0.580% ・米国10年国債利回り(%)    =2.481% ・ドイツ10年連邦債利回り(%)  =0.175% ・日経平均株価(円)       =1万9114円37銭 ・円ドルレート(円)       =117円03~06銭 ・原油価格(WTI先物)(ドル) =53.77ドル 日本国債の10年物の最高利回りの予想は単純平均で0.178%、最低利回りはマイナス0.037%となりました。同様に日本国債の20年物はそれぞれ0.811%、0.424%、米国債は2.956%、2.182%でした。 2016年の国内の債券相場を振り返ると、日銀が1月29日の金融政策決定会合で「マイナス金利政策」の導入決定後、2月9日午前に10年物国債の金利が初の0.00%をつけ、午後にはマイナス0.010%をつけました。長期金利がゼロ%を下回るのは、スイスに次ぐ2例目です。そして、日銀は9月21日に新たに「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、金利を「ゼロ%程度」に抑えるという誘導目標を掲げました。11月15日には長らくマイナス圏にあった長期金利は、約2カ月ぶりに0.00%まで上昇し、その後プラスに転じました。しかしこれは、米大統領選でトランプ氏の勝利を受けた米金利上昇が日本などの主要国にも広がったという見方が大きいようです。2017年も海外からの上昇圧力は強いものの、日本国債の大幅な上昇は想定しがたく、再びマイナス圏への低下を予想する声も少なくないようです。 一方、米国の金利上昇の背景にあるのは、トランプ氏の積極財政路線です。成長期待や財政赤字への警戒から米金利が大幅に上昇しました。年末にかけて金利上昇は一服していますが、前述の通り、1月のトランプ大統領就任後の先行きは不透明です。政策期待が徐々に剥落することでの金利低下や、保護主義的な貿易政策による周辺諸国への影響などの警戒感もあります。低成長時代にあって利上げが加速するというシナリオも想定しづらく、金利上昇は限定的との見方が市場関係者では多いようです。 独連邦債は最高利回り予想が0.578%、最低利回りは0.073%となりました。日経平均株価は高値が2万1266円、安値は1万7290円となりました。円ドルレートは、円の高値が1ドル=108.1円、安値は123.0円の予想。原油価格(WTI先物)は高値が1バレル62.0ドル、安値は43.7ドルでした。 欧州でもポピュリズム(大衆迎合)の台頭がうかがえ、2017年に勢いを増す懸念があります。脱EUの流れがフランスなどにも広まれば、欧州発の金融不安を引き起こす不安も少なくありません。それによって、世界の相場が大きく動く可能性もあります。 原油については、11月30日にサウジアラビアがイランに歩み寄り、8年ぶりとなるOPEC(石油輸出国機構)での減産合意を受け、米国の金融市場で原油価格が急騰しました。12月にはロシア、メキシコなど非加盟産油国も原油の協調減産で一致しました。これによりさらに原油価格は急伸し、今後の原油市場の需給改善の後押しをするとみられています。また、中国をはじめとするアジア、その他の新興国・地域においても、トランプ次期米大統領の政策は、追い風にも逆風にもなるとみられています。米ドル高を受けて、アジア通貨は相対的に安くなり、輸出拡大への期待がふくらむ一方、トランプ氏の保護主義政策による世界貿易の停滞など、悪影響を指摘する声も聞かれます。他にも移民・外国人流入制限など、様々な警戒感が拭えません。 2017年のマーケット動向を占う上で、やはりトランプ次期米大統領の政策動向が鍵になるのは間違いないでしょう。インフラ投資や大幅な企業減税などを柱とする景気刺激策などの、政策の具体化という現実を見極めることになります。さらに、それが世界経済にどのような影響を及ぼすか、過激なプランが実行されるのか、現実路線に修正されるのか、こうした点が注目ポイントになりそうです。 トランプ政策の見極めで、FRBの利上げシナリオ修正を予想 米連邦準備理事会(FRB)は12月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、1年ぶりに0.25%の利上げを全会一致で決めました。同時に公表した政策金利見通しでは、2017年中に3回の利上げを中心シナリオとし、引き締めペースの加速を見込んでいると発表しました。一方、市場関係者の予想は、FRBの利上げ回数について「2回」との回答が67%で最も多数を占めました。次いで「3回」は20%となりました。 イエレン議長は会見で、トランプ次期米大統領の政策に応じ、利上げのシナリオを修正していく可能性も示唆していますので、今後もFOMCの動向に注目が高まりそうです。 2017年の日銀の金融政策の方向について聞いたところ、「現状維持」の予想が69%と大多数を占めました。「緩和縮小(引き締めも含む)」が27%、「追加緩和」は4%でした。金利をゼロ%近辺に抑える、日銀のイールドカーブコントロールが当面続くとの見方が大勢を占めているようです。 根強い先進国株への投資期待、米国債も人気 2017年に最も有望と思われる投資対象は何かを挙げてもらったところ、有効回答数137人のうち39人(28%)が「外国株(先進国)」と回答しました。次に「国内株」が37人(27%)、「米国債」が29人(21%)で続きました。先進国の株式が根強い人気ですが、債券については米国債を推す声が大勢を占めています。現時点で緩和方向にある日欧と比べて相対的に利回り水準の高い米国債は投資妙味の面でも有望な投資先とみられているようです。 海外の金利動向に引き続き注目 毎月定例の相場見通しの調査では、国内債券市場でもう一段の金利上昇観測が強まり、新発10年国債の金利見通しは、1カ月後が0.055%、3カ月後が0.063%、6カ月後が0.067%と、マイナス圏から脱した11月調査分(0.029%、0.026%、0.028%)に比べて、いずれも上昇しました。 一方、新発5年国債は、1カ月後がマイナス0.083%、3カ月後がマイナス0.080%、6カ月後がマイナス0.079%、新発2年国債は、1カ月後がマイナス0.168%、3カ月後がマイナス0.166%、6カ月後がマイナス0.161%というように、いづれもマイナス金利が継続するとの見方のようです。 今後、6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因としては、「海外金利」が11月調査分の43%から変わらず最も多くの注目を集めています。対して10月調査分では69%とダントツで注目されていた「短期金利/金融政策」は、11月調査分の42%から34%へと徐々に低下しています。 同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞いたところ、他の投資主体に比べて注目度が高い「政府・日銀のオペレーション」が最も多く、59%となりました。また、「生損保(年金除く)」の注目度もゆるやかに上昇しています。 国債組み入れ比率、「オーバーウエート」比率やや高まる ディーリング部門を除く資産運用担当者73人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、11月調査分に比べて「ニュートラル」、「ややオーバーウエート」が上昇。対して「ややアンダーウエート」が低下しました。「かなりアンダーウエート」が微増していますが、全体としては、現状維持のスタンスが多数を占めるムードだったようです。 また国内債券の組み入れ比率について、当面のスタンスとしては「かなり引き上げる」の回答比が0%、「かなり引き下げる」が2%で変わらず、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」がやや低下。やや上昇した「現状を維持する」が73%で大勢を占めました。 デュレーションについて、現在が通常の基準に比べてどのようになっているのかについては、11月調査分に比べて「やや長い」、「やや短い」が低下。「ほぼ基準通り」が上昇しています。「かなり長い」、「かなり短い」はやや上昇となりました。 当面のデュレーションについては、「現状を維持する」が82%で大勢を占めました。ポジションをいずれか一方に大きく傾けにくく、様子見ムードが強まりそうです。 (ライター・下村祥子)

トランプ米大統領でリスクオン?リスクオフ? 来年のマーケット左右する要因に(12月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の12月調査を、12月12日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は12月5~8日)。この間の為替レートは、対ドルが113円83銭~114円33銭。対ユーロが120円77銭~122円51銭でした。 トランプ氏の政策がマーケットを左右する要因に 米フェデラルファンド(FF)レートは、日本の無担保コール翌日物金利に該当するもので、米国の「政策金利」として知られています。同金利は2015年12月、それ以前の0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げられ、現在に至っています。 2017年末、2018年末におけるFF金利の水準がどの程度になると予想するか聞いたところ、2017年末時点(ターゲットレンジの中央値)は単純平均で1.07%となりました。18年末時点は同1.47%でした。 今年最後となる12月13~14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げが確実視されていますが、これを前提に考えると16年末のFFレート(ターゲットレンジの中央値)は0.625%となり、17年は0.25%の利上げを2回程度実施するとみていることになります。同様に18年も2回程度の利上げを予想している計算になります。今後も緩やかではあるものの、米政策金利は上昇傾向をたどっていくと見ているマーケット関係者が多いのが分かります。 また、2017年の金融市場でリスクオン、リスクオフにつながるきっかけについて聞いたところ、リスクオンにつながりそうな材料としては、「トランプ米大統領」が66%で断トツのトップ。次いで「米金融政策」が8%、「中国景気」が7%となりました。 一方、リスクオフにつながりそうな材料については、「欧州の政治イベント(ブレクジット、各国選挙など)」が34%でトップ。次いで「トランプ米大統領」が31%、「中国景気」が15%となりました。 2017年の欧州の政治イベントについては、3月のオランダ総選挙、4月のフランス大統領選挙、6月のフランス国民議会選挙、8~10月にかけてのドイツ連邦議会選挙と目白押し。2016年6月の英国の欧州連合(EU)離脱に関連した国民投票や、12月の憲法改正に関連したイタリア国民投票で、既成政党が否定された点からも、EUおよびユーロという単一欧州体制に対する批判勢力が大きく力を延ばす結果になれば、為替市場においてユーロ売りが加速するなど、波乱要因になる恐れがあります。 また、トランプ次期米大統領については、リスクオンでもリスクオフでも、大きな材料になるとみられています。来年1月20日以降、トランプ氏が大統領に正式就任してから打ち出される政策次第で、マーケットが大きく揺れる可能性がありそうです。 ちなみに、トランプ次期米大統領が公約に掲げる経済・金融政策や通商政策は全体としてドル円相場にどのような影響を及ぼすか聞いたところ、「円安・ドル高要因」との回答が58%と、「円高・ドル安要因」(25%)を大きく上回っています。 3大ニュースのトップは「米大統領選挙トランプ氏当選」 2017年末にかけてのドル円相場の水準予想は、単純平均で1ドル=112.33円。円の最高値予想は104.71円、最安値予想は119.68円となりました。12月にかけてドル円は115円台を付けましたが、ここから先、120円、あるいは125円という円安水準を予想する声は少ないようです。 また、2016年の3大ニュースを聞いたところ、1位が「米大統領選挙トランプ氏当選」が94%を占めました。下馬評では、ヒラリー・クリントン氏の大統領当選を、ほとんど疑っていなかっただけに、マーケットに及ぼしたインパクトも非常に大きなものになっています。 次いで「英国EU離脱」が87%。これも、当初はEU残留派が多数と見られていたものの、いざ開票してみると、EU離脱派が多数を占めており、2016年における政治リスク浮上の嚆矢となりました。これによってユーロと英ポンドが大きく売り込まれたのも記憶に新しいところです。前述したように、2017年は欧州において政治の年になるだけに、投票の行方がマーケットにどのような影響を及ぼすのか、気になるところです。 そして3位は「日銀マイナス金利政策導入」でした。より金融緩和の方向性を打ち出し、株価や為替レートに強いインパクトを与えるつもりで導入したものの、結果は目論見とは逆に走り、トランプラリーが始まる2016年11月まで株安・円高が続きました。マイナス金利の効果については賛否両論ありますが、マイナス金利の効果は乏しかったとみている市場関係者は多いようです。 政治/外交の注目度上がる ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=104円91銭に比べて大幅に円安・ドル高の113円39銭になりました。113円台になったのは9カ月ぶりのことです。ただ、6カ月後の5月末時点では112円68銭が予想されており、1カ月後の予想値に比べると円高・ドル安水準になっています。今はトランプラリーで円安・ドル高が進んでいますが、この勢いが続くのも今後の政策次第という不透明な部分があるからと考えられます。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比6ポイント上昇の29%となる一方、「当局の姿勢(介入含む)」が14ポイント低下の44%となりました。ドルについては「政治/外交」が7ポイント上昇の64%、欧州は「政治/外交」が29ポイント上昇の56%になる一方、「金利/金融政策」が12ポイント低下の38%、「物価動向」が11ポイント低下の0%になりました。ドルとユーロについては、政治が今後の動向を大きく左右することが分かる結果になっています。 市場参加者はドルに強気に ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の70%から44%へと急落する一方、「オーバーウエート」は20%から44%へと大幅に上昇しました。それだけマーケットについて強気になったということです。 また、為替ヘッジに対する当面のスタンスについては、「ヘッジ比率を上げる」が0%になったのに対し、「ヘッジ比率を下げる」が20%から33%に上昇しました。急激に円安が進んだため、市場参加者の心理が大きく変わったことが分かります。

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