GPIFのESG投資参入は国内普及のきっかけになるか・・・

  公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3日、環境や企業統治を重視した企業を選ぶ「ESG投資」の運用を始めたと発表しました。6月末時点で約1兆円を投資しているそうです。そこで、今回は毎月実施している市場関係者を対象とした「QUICK月次調査<株式>」を通じて、「ESG投資」の効果などについて聞きました(証券会社および機関投資家の株式担当者157人が回答、調査期間は7月4日~6日)。   ESGは徐々に普及か ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を合わせた言葉です。このような非財務情報も考慮して投資するESG投資は欧米ではすでに普及しています。こうした「ESG投資」の動きは、年金や保険など国内の他のアセットオーナーに広がっていくと思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「徐々に拡大する」で7割弱を占めました。市場関係者からは「今後、他のアセットオーナーにも広がる可能性は十分あり、同様のコンセプトの投資信託が出てくることなども期待できるが、対象企業の株価パフォーマンスが向上するかは全く別問題。運用成果が伴わなかった場合、一時的なブームで終わる可能性が高い」と厳しい見方もありました。     GPIFが今回、採用した株価指数は英FTSEの「FTSE Blossom Japan Index」、MSCIの「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」、「MSCI日本株女性活躍指数」の3つです。英FTSEの指数にはトヨタ自動車(7203)、MSCIのジャパンESGセレクト・リーダーズにはKDDI(9433)が組み入れられているため、市場で話題になりました。足元の投資金額は1兆円ですが、今後は日本株運用の1割にあたる3兆円に増やす方針とのことです。     では、「ESG投資」は国内株式のパフォーマンスにどう影響すると考えますか、と聞いたところ、「長期的なパフォーマンス向上につながる」が35%、「一時的なパフォーマンス向上にとどまる」が18%となりましたが、最も多かったのは「影響がない」で44%という結果となりました。市場関係者からは「投資家がESGを機に日本株への配分を増やす様子が見られない現状からは、国内株式全体のパフォーマンスには影響はない」、「現時点では、投資パフォーマンスに対して意味を持つ動きというよりは、情報開示の拡大や評価手法の確立に向けた重要なステップ」といった見方もあるようです。     また、「ESG投資」が企業経営に与える最も大きな影響は何だと思いますか、という質問で最も多かった回答は「長期的な企業価値の向上を後押しする」で29%、次いで「非財務情報の開示が進む」が24%、「コーポレート・ガバナンスの強化につながる」が23%でした。市場関係者からは「ESG投資が広がれば、非財務情報の開示が進むとともに、短期的な決算数字だけでなく、企業の長期的価値への関心も徐々に高まっていくと思われ、良い事だと思う。一方で、今回採用された3指数の全銘柄を精査するとほぼお馴染みの大型株ばかりであり、銘柄を絞っているとは言い難いので通常のパッシブと大差ない印象」といった意見もありました。     顧問・相談役の「役割・報酬などの情報を開示すべき」が半数 経済産業省は、コーポレート・ガバナンス強化の一環として、上場企業を対象に顧問・相談役の役割を明示するルールづくりを検討しています。会長や社長が退任後も顧問・相談役として企業に残り、実質的な影響力を行使しているとの批判もあり、透明性を確保する環境整備も必要との判断ですが、このような動きをどのように考えますか。最も多かった回答は「役割・報酬などの情報を開示すべき」で48%、「企業の判断に任せるべき」が27%、「顧問・相談役の制度を廃止すべき」が20%という結果でした。  市場関係者からは「顧問・相談役の制度が企業の変革を妨げているが、これに限らず社外取締役もうまく機能していない。PBR1倍割れは割安株とも言えるが、経営陣の怠慢も現している。役割・報酬などの情報を開示する必要がある」、「顧問や相談役が企業活動にどの程度貢献しているのかどうかは不透明である。しかし、経営指導が出来る人材の確保という面もあることから、顧問の必要性については評価し難く、企業の判断に任せるべきだと考える」といった意見も聞かれました。        

日銀の出口戦略のきっかけは首相交代!?

  欧米の中央銀行が金融政策の正常化に向けて舵を取り始めた一方、日銀の出口戦略にはメドが立っていません。そこで今回は毎月実施しているアンケート調査「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、債券市場担当者に日銀の「出口戦略」のきっかけやタイミングなどを予測してもらいました。調査期間は6月27日~29日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者140人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   物価上昇率2%は「達成できないが、目標は維持される」が6割超 日銀は6月15~16日に開いた金融政策決定会合で、金融緩和策の現状維持を決め、黒田総裁は物価上昇率が目標の2%を安定的に超えるまで資金供給量の拡大を続けると、従来の説明を繰り返しました。しかし「物価目標2%」の達成が見通せないにもかかわらず、市場の関心は金融緩和からの「出口」に対して高まっています。 そこで「物価目標2%」の達成について聞いたところ、最も多かったのは「達成はできないが、目標は維持される」で64%、続いて「達成できず、目標が変更される」が30%、「達成できる」との回答はわずか4%に止まりました。 市場関係者からは「国内景気は東京オリンピック関連の需要に支えられ、実感を伴わない景気回復傾向が20年まで続くと見るが、2%の物価安定の目標には達しないと予想。日銀は総括をしながら現在の政策を継続する。仮に2%程度の物価上昇率が安定的に継続すると判断された場合は伝統的な金融政策へ回帰し、マイナス金利解消などが検討されると見るが、2%の物価安定の判断は容易ではない」という意見や、「現実的な話として、現状目標達成を信じている市場関係者は極めて少数派だと思われる。出口=目標達成ではなく出口=目標達成断念という出口論のあり方を見つめなおす議論したほうが現実的だと考えている」といった声も聞かれました。   では、もし日銀が「出口」に向かうとすれば、何がきっかけになると思いますか、という問いに最も多かった回答は「首相の交代」で26%、次いで「変更後の目標を達成」と「金融市場の激変」が23%で並びました。「その他」としては「日銀総裁の交代」という意見が目立ちました。 市場関係者からは「リフレ派のブレーンに囲まれている安倍首相が在任している限り、多少の枠組み修正はあるにせよ、大規模な緩和が続いていく公算が大きい。後任の首相が『アベノミクス』継承を掲げる場合、この金融緩和はますます終わりが見えなくなる」「他国が金融緩和を縮小させる流れの中で、日本だけが目標を達成できず金融緩和を継続して、その結果、通貨安(円安)がさらに進み、海外からの圧力で出口を模索するといった流れになると考えている」といった意見があがりました。 さらに「出口」としての緩和縮小の最初の手段は何だと思われますかと聞いたところ、「長期金利目標の引き上げ・解消」が最も多く53%、次に「国債買い入れ額の明示的な縮小」が51%、「マイナス金利の解除」が34%、「ETF・J-REITの買い入れ額縮小」が31%、「社債・CPなどの買い入れ額縮小」が12%という結果になりました。また、日銀が「出口」を宣言して着手する時期で最も多かった予想は「2018年度中」で32%でした。     注目の変動要因は海外金利 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.054%、3カ月後が0.064%、6カ月後が0.076%と、5月調査の(0.046%、0.057%、0.073%)に比べていずれも上昇しました。  今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因で、最も多かったのは「海外金利」で前回とかわらずの36%、次いで前回から2ポイント低下した「短期金利/金融政策」が35%でした。「債券需給」は前回から2ポイント低下したものの13%をキープしています。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については、「政府・日銀のオペレーション」が前回と変わらずの64%で最も多く、次いで「外国人」が11%、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が10%、「生損保(年金除く)」が9%、「地方銀行」が5%で続きました。   国債組み入れ比率、「現状維持」が8割強を維持 資産運用担当者66人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が66%を占めるも7ポイント低下し、「ややアンダーウエート」が5ポイント上昇、「ややオーバーウェート」が4ポイント上昇しました。当面の投資スタンスについては相変わらず「現状を維持する」が83%と多数を占めています。

米金融政策、年3回利上げのシナリオ通りに進む?

低調な5月の米雇用統計を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが緩やかになるとの見方が広がり、9月の米追加利上げは見送られるとの観測も浮上しています。そこで、毎月実施している「QUICK月次調査<外為>」※を通じて、外国為替市場の担当者に9月の利上げの可能性や、トランプ大統領の退任時期などについて聞きました。調査期間は6月5~8日、71人が回答。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   9月の米追加利上げの可能性は? 2日に発表された5月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を下回りました。6月13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げは確実視されていますが、その後の利上げペースは想定より緩やかになるとの見方が浮上し、追加利上げのシナリオが見えにくい状況です。9月に利上げを見送れば、FRBが見込んでいる「2017年に3回の利上げ」が実現しない可能性も浮上してきます。 では、米連邦公開市場委員会(FOMC)が6月に利上げをした場合、9月にも追加の利上げを実施する可能性はどのぐらいと予想しますか。最も多かった回答は「70~90%」と「50%」がそれぞれ24%となり、次いで「51~69%」が17%でした。9月の利上げを70%以上と予想する人が25%を占める一方、五分五分と予想する人も24%、30%以下と予想する人も2割近くという結果となり、やはり今後の利上げペースを読み切れないのが現状のようです。 市場関係者からは「FRBの緩やかな金融引き締め路線は、当面継続する事は揺るぎない」、「6月FOMC、7月半年次議会証言、8月ジャクソンホール等、イエレンには時間をかけて9月利上げを説明する時間的余裕がある」などの声が聞かれました。       ロシアゲートで揺れるトランプ政権 トランプ米大統領が、ロシアとの不適切な関係を巡る「ロシアゲート」疑惑で批判が強まっています。捜査は継続中であり、弾劾に追い込まれる可能性は低いものの、トランプ大統領への期待感は後退しています。外国為替担当者にトランプ氏が2017年内に米大統領を退任する可能性はどれぐらいと思いますかと、先月調査と同じ質問をしたところ、前回を上回る約6割が退任の可能性は低いと回答しました。 では、辞任や再選も含めて、最終的にトランプ大統領の任期は何年までと予想しますか、と聞いたところ、最も多かった回答は「2021年1月(任期満了)」までが6割以上を占める結果となりました。 とはいえ、市場関係者からは「現在の数々の疑惑を払拭することは難しいと考えられ、政策で支持を取り付けるしか方法は無いだろう」、「先のG7首脳会議では貿易問題や環境問題を巡り、米国と他国が衝突する場面もみられたが、トランプ米大統領が米国第一の政策を推進していく限り、今後もこれらの問題に関する国際協調は難航するであろう。また国内でもオバマケア改革や景気対策、政府多数高官の承認未済など課題は山積で、政策運営は容易ではない」などの厳しい意見が多く聞かれました。     為替リスクに慎重姿勢へと逆戻り 「ニュートラル」75%に上昇 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは6月末の平均値で1ドル=110円37銭と、5月調査(112円38銭)に比べて円高にシフト。3カ月後の8月末には110円86銭、6カ月後の11月末には112円46銭との予想です。今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、政治的リスクがやや後退し、円とドルとユーロのすべてで「金利/金融政策」となりました。 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのか聞いたところ「オーバーウエート」が前回調査の33%から13%に下落する一方、「アンダーウエート」が0%から13%に上昇、「ニュートラル」も67%から75%に上昇し、為替リスクに対して慎重姿勢へと逆戻りしています。 事業法人に業績予想の前提為替レートを聞いたところ、円相場の平均値は1ドル=112円03銭、1ユーロ=118円70銭でした。  

東芝、機関投資家の7割が「上場廃止すべき」 QUICK調査

 東芝に対する投資家の目が厳しくなっている。QUICKが実施した6月の月次調査(株式)では機関投資家の約7割が東芝は上場廃止すべきと答えた。不正会計の発覚や決算発表の延期を繰り返す東芝の上場に関する問題は、市場がどうあるべきかとの問いにもつながる。  東芝が4月11日に発表した決算について、監査法人は適正ではなく「意見不表明」と判断した。東芝が現在でも上場維持していることを機関投資家はどう思っているのか。6月の月次調査で証券会社や投信投資顧問、銀行など147人に聞いた。  東芝が「上場廃止すべき」と答えたのは全体の67%だった。「上場維持すべき」は24%、「その他」は8%だった。 「厳しく制裁与えるべき」、「国策企業なので慢心があるのではないか」との声  上場廃止すべきと答えた投資家からは「マーケット・従業員・顧客の信頼を裏切った企業には厳しく制裁を与えるべき」「単純に粉飾で上場廃止でよい」「東芝は国策企業なので許されていいという慢心があるのではないか」と厳しい意見が相次いだ。  東芝は2015年4月にインフラ工事の会計処理に問題があったと発表、その後に不正会計や巨額の減損、決算発表の延期など企業統治(コーポレートガバナンス)の問題が続出した。  東芝が上場を維持している間、東芝以外のほぼ全ての上場企業は東京証券取引所のルールを守って決算発表を期限内に行い、監査法人から決算について適正意見をもらっている。 上場廃止か維持かは「東証が決めるべきこと」との意見も  大きな問題が起きても上場が維持できるという実績が残り続ける場合、日本の資本市場の信頼を損なう。さらに、他の企業にとって東芝が上場維持できるのだからガバナンスに問題があっても大丈夫というお墨付きを与えかねない。  東芝が上場を廃止か維持すべきかについて、機関投資家からは「東証が決めるべきこと」と中立の立場をとる意見も目立った。東証は東芝の今後をどう判断するのか。投資家保護や企業のモラルハザード(倫理の欠如)の観点からも注目が高まっている。 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】 (QUICK NewsLine)

マイナス金利の導入から1年、債券市場のプロの評価は?

  日銀がマイナス金利を導入してから1年が経過しました。また、昨年9月に導入したイールドカーブ・コントロール(YCC)は、世界的に金利が上昇した局面でも日本の長期金利はゼロ%程度の目標水準に維持された一方、その副作用に警鐘を鳴らす意見も聞かれます。今回はこのマイナス金利や「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」が物価押し上げに寄与したかどうか、毎月実施しているアンケート調査「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、債券市場担当者に聞いてみました。調査期間は5月23日~25日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者145人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   マイナス金利、「効果なし」が6割 日銀が導入したマイナス金利とイールドカーブ・コントロールについて、物価押し上げに向けた金融緩和としてそれぞれをどう評価しますか? と質問したところ、マイナス金利について、最も多かった回答は「効果なし」で60%、「まだわからない」が27%、「効果あり」が13%となりました。また「イールドカーブ・コントロール」についても「効果なし」が45%で最も多く、次いで「まだわからない」が39%、「効果あり」が16%という結果になりました。       また、運用担当者にマイナス利回りの債券を購入してきましたか、と聞いたところ、最も多かった回答は「購入していない」で半数近くを占めましたが、購入したなかでは「売却目的」と「保有目的」が29%、「担保目的」が4%でした。 市場関係者からは「マイナス金利は適用残高が多い地銀などの負担が大きく、経営体力が削がれる状況が続いている。また、YCCが導入された後も足元では、債券市場は動意に乏しい展開が続いており、今後についても流動性の低下が進行する可能性が高い。年後半に物価は幾分上昇すると見込まれるが、現状の政策での2%達成は厳しいと考える」といった声が聞かれました。 なお、日銀の黒田東彦総裁は5月中旬の米紙のイベントで「日銀は(出口戦略のための)十分なツールを持っている」などと出口戦略について言及し、話題になりました。       金利水準次第なら国債への投資も増やす? 今年度のポートフォリオの方向について運用担当者に聞いたところ、最も多かった回答は「外債を増やす」で44%、次いで「金利水準次第で国債を増やす」が38%、「株式を増やす」が34%、「社債を増やす」が33%、「オルタナティブを増やす」が24%と続きました。 市場関係者からは「欧米の政治不安やテロなどの地政学リスクが続いていることや、低インフレ率と欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)の緩やかな量的緩和の解除と日銀の強力な金融緩和が継続することから、国内金利は現状の低金利が長期化するリスクがある。円債を積極的に買う投資家が依然として少ない中で、市場流動性の低下と市場機能低下により、金利上昇リスクに過敏になりやすい地合いが続くとみる」といった声が聞かれました。     債券価格変動要因、「債券需給」への関心高まる 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.046%、3カ月後が0.057%、6カ月後が0.073%と、4月調査の(0.033%、0.049%、0.068%)に比べていずれも上昇しました。 今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因で、最も多かったのは前回調査とかわらずの「短期金利/金融政策」と、前回から5ポイント低下した「海外金利」で、ともに36%でした。次いで、前回から8ポイント上昇した「債券需給」が15%と関心が高まっています。 同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く64%を占め、次いで「都銀・信託銀行(投資勘定)」が11%、「外国人」が10%、「生損保(年金除く)」が7%、「地方銀行」が4%で続きました。     国債組み入れ比率、「現状維持」9割近くまで上昇 資産運用担当者69人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が74%を占める一方、「ややアンダーウエート」が10ポイントも低下しました。様子見ムードのようです。当面の投資スタンスについても「現状を維持する」が87%と多数を占めています。        

どうなる「ロシアゲート」疑惑、円相場への影響は?

  トランプ政権とロシアとの不適切な関係を巡る疑惑「ロシアゲート」が真相究明に向けて動き出しました。米司法省は特別検察官の設置を決め、ロバート・モラー元米連邦捜査局(FBI)長官を任命しました。ただ、この問題の行方により、トランプ政権が看板政策とする大型減税や大規模なインフラ投資の実現が危ぶまれる可能性もあります。 また、北朝鮮が21日に弾道ミサイルを発射するなど、不穏さを増しています。そこで、毎月実施している「QUICK月次調査<外為>」※を通じて、外国為替市場の担当者にこれらの外部要因が円相場に与える影響などについて聞きました。調査期間は5月15~18日、67人が回答。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   ロシアゲートでトランプ大統領、退任の可能性は? 「ロシアゲート」とは、トランプ政権による捜査妨害疑惑です。昨年の米大統領選が有利になるよう、トランプ氏の側近とロシア政府が接触していた可能性があるとして捜査されていましたが、この捜査を妨害するため、トランプ大統領がコミー前米連邦捜査局(FBI)長官を解任したのではないか、という疑惑が浮上しています。米史上最大の政治スキャンダルでニクソン元大統領を辞任に追い込んだ「ウォーターゲート事件」と類似していることから、「ロシアゲート」と呼ばれています。 ロサンゼルスで自身の解任のニュースを見たコミー氏は、最初はいたずらだと思って笑っていたと報じられています。というのも、FBI長官の任期は10年でコミー氏は2013年に就任したからです。任期途中の解任は1993年以来2人目です。トランプ政権側の解任の理由は、大統領選におけるヒラリー・クリントン氏の私用メール問題への対応不足としています。  外国為替担当者にトランプ氏が2017年内に米大統領を退任する可能性はどれぐらいだと思いますかと聞いたところ、約半数が退任の可能性は低いと回答しました。     では、トランプ氏が2017年に米大統領ではなくなった場合、ドル円相場はどのように動くと予想しますかと聞いたところ、最も多かったのは「円急上昇」が39%、続いて「円強含み」が30%と、円高に動くとの予想が7割近くを占めました。 市場関係者からは「(トランプ大統領の)弾劾はほぼないと考えるが、身内の共和党内からもそのような話題が上がっていることに留意。弾劾が現実味を帯びてくると、一度は金融市場のボラティリティが上昇し、円買いドル売りに動くと考えるが、ペンス副大統領など政治経験が豊富な後任が選ばれるとドル円は反転上昇となると予想」という声が聞かれました。     メーンシナリオ通り6月米利上げか ドル・円相場をみるうえでもう一つの注目は米金融政策です。金融市場のコンセンサスは、6月にと9月に利上げ、12月に資産縮小に動くのがメーンシナリオと言われています。現時点で、このメーンシナリオ通りになる可能性は何%だと思いますかと質問したところ、最も多かったのは「51~69%」で30%でした。 また、2017年6月末にドル円相場はどの程度の水準になっていると予想しますか、と聞いたところ、「114円台」が19%と最も多く、次に「115円台」「113円台」「110円より円高」が16%で並びました。調査期間中の水準(112円44銭~113円64銭)よりやや円安が進むのでは、との声が多い予想になりました。       米国と北朝鮮が合意したら、ドル円相場はどう動く? 北朝鮮情勢が大きく動いていますが、2017年内に北朝鮮関連のイベントで、どのようなケースが起こりうる可能性が高いと思いますかと聞いたところ、最も多かった回答が「不透明な状況が続くが為替に大きな影響を与えない」で63%を占めました。次いで「緊張が高まる情勢に傾いて円高進行」が18%でした。 また、米国と北朝鮮が合意する、もしくは合意に向けた前向きな検討が公式に両国から発表された場合、ドル円相場はどのように動くと予想しますか、と聞いたところ、「1日で2円程度の円安」が33%で最も多く、「1日で1円程度の円安」が25%、「小幅に円安」が22%で続きました。一方で、「円高に振れる」は3%に止まりました。         ファンドの外貨建て資産組入 「オーバーウエート」33%に上昇 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは5月末の平均値で1ドル=112円38銭と、4月調査(110円38銭)に比べて円安にシフト。3カ月後の7月末には112円50銭、6カ月後の10月末には113円32銭との予想です。今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円とユーロは「金利/金融政策」、ドルは「政治と外交」でした。 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのか聞いたところ「アンダーウエート」が前回調査の20%から0%に下落する一方、「オーバーウエート」が10%から33%に上昇し、積極的な姿勢に傾いています。 事業法人に業績予想の前提為替レートを聞いたところ、円相場の平均値は1ドル=111円36銭、1ユーロ=116円20銭でした。    

スチュワードシップ・コードの効果はあった?

  金融庁は3月下旬、機関投資家の行動原則を示したスチュワードシップ・コードの改訂案を示しました。改訂の背景には、公表から約3年が経過したなか、いまだ形式的な対応にとどまっているのではないか、との指摘があるためです。そこで、今回は毎月実施している市場関係者を対象とした「QUICK月次調査<株式>」を通じて、スチュワードシップ・コードの効果について聞きました(証券会社および機関投資家の株式担当者160人が回答、調査期間は5月9日~11日)。   スチュワードシップ・コード「企業価値向上に一部効果」6割弱 スチュワードシップ・コードとは、機関投資家に求めれられる行動原則です。投資先企業の持続的成長を促し、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることを目的としています。英国の取り組みを参考に金融庁が2014年2月に公表し、足元で受け入れを表明した機関投資家は200社超とされています。企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)とセットで考えられます。 まず、このスチュワードシップ・コードのこれまでの効果について市場関係者に聞いたところ、「企業価値の向上に一部の効果が認められる」が最も多く6割弱を占めました。ただ、「形式的には整備されたが、実効的な効果が認められない」との回答が3割あり、「企業と株主との対話は依然として効果的に行われていない状況であるため、今回のスチュワードシップ・コード改訂を機に企業価値が高まるような対話が実現することを期待したい」との声が聞かれました。     今回の改訂案ではアセットオーナー(企業年金)のコード受け入れ表明が期待されているほか、議決権行使の個別開示の要請、パッシブ運用のエンゲージメント(目的を持った対話)が求められています。そこで、これらについても市場関係者に聞いてみました。まず、アセットオーナーの受け入れは進むと思いますか、と聞いたところ、最も多かった回答は「受け入れ表明は一部に限られる」が5割、「多くのアセットオーナーが受け入れを表明する」が4割でした。また、個別開示は企業価値向上に効果があるかと聞いたところ「多少は効果がある」が6割を占めました。市場関係者からは「投資家と企業の双方が適度な緊張感を持ち、対話をするようになることは互いにとってプラスだと思う。個別開示は運用会社にとってはリスクではあるが、個別具体的な議論をした方が企業の考えや行動が変わるきっかけになると思う。即効性のある取組みではないが、企業価値向上には寄与するだろう」との見方がありました。     パッシブ運用のエンゲージメント(目的を持った対話)についてどう思いますかと質問したところ、「オーナーが適正なコストを負担すれば、実施すべき」と、「そもそもエンゲージメントはパッシブ運用と理念があわないため、実施する必要はない」が拮抗する結果になりました。市場関係者からは「パッシブ運用のコストが増大することは好ましくないが、議決権の行使に消極的な姿勢は改善する必要があると思う。パッシブ運用の担当者も企業のガバナンス向上と成長の持続のためにも議決権の行使には積極的な姿勢を見せてほしい」といった声も聞かれました。         5月末の日経平均は1万9966円 「QUICK月次調査<株式>」で毎月調査している日経平均株価の見通しについては、5月末の水準で1万9966円(平均値)の予想でした。前回調査(確報)の1万8975円に比べて大幅な上方シフトとなりました。上方へシフトしたのは2カ月ぶりです。また、7月末には1万9929円、10月末は2万62円と小幅ながらも上昇基調の見通しです。 今後6カ月程度の株価の変動要因としては「景気・企業業績」が4割を超え、注目度がさらに高まっています。北朝鮮や欧州の政治的リスクやが高まった前回調査より「政治・外交」は15%に減少し、かわって「為替動向」が20%に上昇しました。         「電機・精密」の注目度が高い 国内の資産運用担当者60人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が58%まで上昇する一方、「ややオーバーウエート」が27%まで低下しました。 セクター別の投資スタンスについては、「オーバーウエートとアンダーウェート」のバランスをみると、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのが「電機・精密」で、逆にアンダーウェートの比率が最も高いのが「公益」でした。

北朝鮮有事はテールリスクながらも、次のXデー韓国大統領選に警戒?

  北朝鮮情勢は過度な警戒感が後退したものの、次の「Xデー」として5月9日の韓国大統領選が控えています。地政学リスクに加えて、7日にはフランスで大統領選挙の決選投票が実施されるなど、政治リスクも依然として拭えません。そこで、今回は債券の市場関係者に北朝鮮情勢や、欧州の政治リスクによるマーケットへの影響などについて聞きました。調査期間は4月25日~27日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者140人です。   北朝鮮情勢は戦闘状態を回避、もし有事なら円買い!? 警戒されていた4月25日の北朝鮮の軍創設記念日は北朝鮮が過激な行動に出なかったため、地政学リスクはやや後退しています。ただ、ただ、9日に韓国大統領選を控えているため、予断は許さない状況が続いています。米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」と海上自衛隊は米軍の艦船を守る「米艦防護」を5月1日、初めて実施したようです。 こうしたなか、債券市場関係者に「北朝鮮情勢の今後の展開をどう読む?」と聞いたところ、一番多かった回答は「戦闘状態に入らぬまま、緊張が続く」で56%、次いで「現状のまま、関心が薄れる」が32%でした。市場関係者からは「建軍節とされる25日に北朝鮮からの大型の挑発行為がなかったことで、地政学リスクは一旦後退したとみられる。しかしながら、5月9日の韓国大統領選挙や、中国が北朝鮮に今後どのような圧力をかけるかなども影響すると見ている。また、トランプ政権が推進する経済政策等に実現性が乏しいと予想される中、支持率低下が一段と進むと、北朝鮮に圧力をかける可能性もあり、地政学リスクが再燃することがあると考える」という声もありました。 加えて、北朝鮮が戦闘状態に入った場合、日本のマーケットへの影響をどのように考えますか、との問いで最も多かった回答は、10年国債利回りは「低下」が7割弱を占め、日経平均株価は「下落」が9割を占めました。円・ドル相場については、「円高」が6割を超えました。         フランスのEU離脱の可能性は1割 4月下旬の第1回のフランス大統領選を受けて、中道系のマクロン候補と極右党のルペン候補が5月7日の決選投票に進む結果になりました。 親欧州連合(EU)のマクロン氏が優勢とみられるなか、「フランスのEU離脱の可能性はどのくらいの確率だと考えますか」と市場関係者に聞いたところ、単純平均で「13.3%」となりました。離脱の可能性は低いとみているようです。また、欧州では今後も多くの政治イベントを控えていますが、この半年の欧州金融市場をどのように予想しますかと聞いたところ、ドイツ・フランス・イタリア・イギリス、すべての国債利回りで「上昇」するとの予想が最も多い結果となりました。ユーロ・円相場については、「円安」が5割弱を占めました。  市場関係者からは「フランス大統領選でルペン候補の勝利する可能性は大幅に低下したが、ポピュリズムがある程度の支持を集めたことで、中道政権の先行きが懸念される。今後も欧州の政治リスクは残り、英国の解散総選挙やドイツの議員選挙も引続き要ウォッチだろう。現時点では、EUのメリットを享受できているドイツが、周辺諸国の財政悪化からEU離脱に向かうならば、欧州の政治的混乱はより深くなる」との声も聞かれ、「フランスのEU離脱の可能性は低くなったが、ゼロではない」との見方も少なくないようです。         10年債利回り、0.033%で11月調査以来の低水準  毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り低下を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.033%(3月調査は0.064%)と昨年11月調査(0.029%)以来の水準まで低下しました。3カ月後は0.049%、6カ月後は0.068%と、3月調査(0.070%、0.088%)に比べていずれも低下しました。  今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因で、最も多かったのは「海外金利」で3月調査から9ポイント上昇の45%となりました。次に注目度が高かった「短期金利/金融政策」は前月から9ポイント低下の36%と、関心の高さが逆転しています。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く67%を占め、次いで「外国人」が12%、「生損保(年金除く)」が9%、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が7%で続きました。  国債組み入れ比率、「現状維持」8割超をキープ 資産運用担当者67人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、3カ月連続で「ニュートラル」が63%で変わらない一方、「ややオーバーウエート」がやや増加し、「ややアンダーウエート」がやや低下しました。依然として様子見ムードが広がり、現状維持の姿勢から抜け出せないようです。当面の投資スタンスについても「現状を維持する」が82%と、引き続き多数を占めています。

フランス大統領選挙までカウントダウン! ユーロ・円相場はどうなる?

  フランスの第1回目の大統領選挙が4月23日と、あと6日に迫りました。米国ではトランプ政権が誕生し、英国は欧州連合(EU)からの離脱を決定するなど自国第一を掲げるポピュリズム(大衆迎合主義)が世界で勢いづいています。こうしたなか、フランスの選挙が注目されています。世論調査ではユーロ圏からの離脱を公言している極右派のルペン候補が躍進し、現在のところ支持率がトップです。そこで、今回はフランス大統領選が為替相場へどのような影響を与えるのか、金融機関や運用会社など外国為替担当者70人に聞いてみました。         仏大統領選、極右派ルペン氏が勝つとマーケットはどうなる? もし極右派のルペン氏が投票で1位になった場合、各マーケットはどのように動くと予想しますか? と質問したところ、半数以上が円は対ドルおよび対ユーロで「強含む」(円高)との見方を示しました。一方、ユーロ・ドル相場ではユーロが「弱含む」(ユーロ安)が6割を占め、フランスの政治リスクが高まる局面では円が買われる展開になるとみているようです。 市場関係者からは、第1回投票でのルペン氏勝利はある程度相場織り込まれているとの見方もある半面、「第1回投票で1位となったとしても、僅差であれば第2回投票で敗退と市場は判断し、影響は限定的とみる。ただし、万が一、大勝すれば円買いユーロ売りとなろう」「決選投票で大統領になる可能性は低く、仮に大統領になったとしても、フランス議会でEU離脱の憲法改正は困難と思われ、フランスの離脱は実現しない」といった声が聞かれました。   <極右派ルペン氏が1位になった場合、外国為替相場はどう動く?>       今後の中国がマーケットに影響をもたらすものは? トランプ大統領は4月6~7日、米フロリダ州にある別荘に中国の習近平国家主席を招待し、米中首脳会談を開きました。この会談中、米国はシリアへのミサイル攻撃を実施。米国は必要があればシリアだけでなく北朝鮮への武力行使も辞さない、と中国側に示す意図もあったようです。会談でトランプ氏は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮を抑止するため、中国に対して北朝鮮へ圧力を強めるよう求めました。 こうした中、2017年に中国がマーケットに大きな影響をもたらすとすれば、何が原因でしょうか、と質問。最も多かった回答は「不動産市場の調整」で35%、次いで「トランプ米大統領との関係」が33%、「信用引き締め」が20%、「北朝鮮との関係」は7%という結果になりました。 また、2016年末は1ドル=6.9467元でしたが、2017年の人民元は対米ドルでどのように推移するでしょうか、と聞いたところ最も多かった回答は「中国当局が容認するレベルの人民元弱含み」が半数以上を占めました。 市場関係者からは「北朝鮮問題で米国と中国が何を握ったかによって情勢は大きくかわってくる。報道されているように習主席が政権維持のために北朝鮮問題で譲歩し貿易問題などを勝ち取ったのであれば、中国リスクにたいする懸念は後退したものと考える」などの声がありました。   市場関係者は政治と外交を注視 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは4月末の平均値で1ドル=110円38銭と、3月調査(114円03銭)に比べて円高にシフト。3カ月後の6月末には111円46銭、6カ月後の9月末には112円43銭との予想です。今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、「政治と外交」でした。 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのか聞いたところ「アンダーウエート」が前月の13%から20%に上昇し、為替リスクに対して消極的に傾いています。 事業法人に業績予想の前提為替レートを聞いたところ、有効回答数9社の円相場の平均値は対ドルで1ドル=110円24銭、有効回答数5社平均の対ユーロが1ユーロ=121円51銭でした。     *QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。今回は「QUICK月次調査<外為>」4月調査から結果を抜粋しています。調査期間は4月10~13日。    

トランプ政権への政策期待残り、米株式相場は高値圏でもみ合い?

    株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の4月調査を10日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者155人が回答、調査期間は4月4日~6日)。調査期間中の6日の日経平均株価は1万8597円06銭と、昨年12月7日以来の安値を付けました。北朝鮮の弾道ミサイル発射をきっかけとした米朝関係の緊迫化への懸念から日経平均は下げ幅を拡大し、ほぼ全面安の展開となりました。また、シリアの化学兵器使用疑惑を受け、6日(日本時間7日)の米中首脳会談の最中に米国がシリアへ59発のミサイル攻撃を実施するなど、地政学的リスクへの警戒感がくすぶっています。   今後半年の米株価の動向「しばらく高値圏でのもみ合いが続く」が4割 昨年11月の米大統領選以降、大規模な財政支出が米景気や企業業績の拡大につながるとの期待を誘った「トランプラリー」。2月に入ってからさらに勢いを増し、ダウ工業株30種平均は2月27日まで12営業日連続で高値を更新、3月1日には史上初の2万1000ドルを突破しました。しかし、トランプ政権が打ち出した米入国制限が裁判所に差し止められたほか、目玉政策であった医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しも頓挫するなど、政策運営の不確実性が高まっています。そこで、今回は半年後の米国株相場の動向について聞いてみたところ、「しばらく高値圏でのもみ合いが続く」が43%と最もく多くなり、トランプ政権に対する政策期待はまだ残っている結果になりました。市場関係者からは「北朝鮮などの地政学リスクがあり、また、トランプ米大統領の政策も当初の期待ほどには進んでいないため、株価は一時低迷しているが、米国での法人税の減額やインフラ投資などが今後、進むことにより米国経済は堅調に推移すると思われる」との声が聞かれました。             では、市場関係者が米国株相場を動かす要因として、何に最も着目しているのでしょうか。この質問に対して、最も多かった回答は「米国の政治・政策」が46%、次に「景気・業績」が40%でした。 トランプ大統領が掲げてきた政策に関して、現時点での実現の可能性をについて聞いてみました。「インフラ投資などの財政支出拡大」、「法人税率の引き下げ」、「所得税率の引き下げ」については「一部実現」するとの回答が8割以上を占め、「企業の海外留保利益の還流促進策」、「米国内の雇用の増加」、「不法移民対策の強化」、「貿易面におけるニ国間協定の推進」、「金融規制の緩和」、「海外の軍事基地・同盟関係の見直し」も半数以上が「一部実現」すると回答しました。唯一「国境税」に関しては「実現できない」との回答が6割を占めました。市場関係者からは「米国株のバリュエーションは上昇し、トランプ政権の経済政策の先行きにも不安が生じていることを勘案したうえでも、少なくとも部分的には諸政策が実現するとの期待感と、必ずしもトランプ政権が理由ではない景気の改善基調が続く限り、トランプ相場はある程度の持続性を有すると思われる」といった声も聞かれました。         資産運用について「国内株式」は半数が強気、「海外債券」は弱気 次に、あなたがアセットアロケーションを行うなら各資産の運用についてどのように考えますかと質問したところ、「国内株式」は半数が「強気」と回答し、「米国株式」は「中立」と「強気」が約4割ずつで分かれ、「欧州株式」、「新興国株式」、「国内REIT」、「海外REIT」、「オルタナティブ」は「中立」が最も多く、「国内債券」は「弱気」と「中立」が約半数で分かれ、「海外債券」は「弱気」が最も多いという結果になりました。市場関係者からは「国、為替、商品別、銘柄別などそれぞれのカテゴリーにおいて、今後は勝ち組と負け組がはっきり分かれると思われる。株価指数など全体が上昇する余地は少なくなっていると考える。選択が投資パフォーマンスの成否を大きく左右する時期に入ってきたと思う」といった意見も聞かれました。   4月末の日経平均予想は1万8975円の下方シフト 4月末の日経平均株価について聞いたところ、平均値で1万8975円の予想でした。前回調査(確報)の1万9666円に比べて下方シフトとなりました。下方へシフトしたのは2カ月ぶりです。また、6月末には1万9416円、9月末は1万9590円との予想でした。 今後6カ月程度の株価の変動要因としては「景気・企業業績」が4割弱で注目度は上昇傾向です。トランプ政権の発足後に上昇し、一旦、注目度が低下した「政治・外交」は再び28%まで上昇しました。       セクター別では「電機・精密」の注目度が高まる 国内の資産運用担当者55人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が5割を占める一方、「ややオーバーウエート」が低下しました。  セクター別の投資スタンスについては、「オーバーウエートとアンダーウェート」のバランスをみると、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのが「電機・精密」で、逆にアンダーウェートの比率が最も高いのが「公益」でした。

日本はデフレから脱却できない!?

  債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の3月調査を4月3日に発表しました。今回の調査では日本のデフレや米連邦準備理事会(FRB)の金融政策、新年度の欧州の政治リスクなどについて聞きました。調査期間は3月28日~30日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者134人です。   日本のデフレは「当分、脱却の見込みがない」が4割 日銀は15~16日に開いた金融政策決定会合で、現行の長短金利操作付きの量的・質的金融緩和政策の現状維持を決めました。こうした中、日本の経済はデフレが続いていると思いますかと聞いたところ、最も多かった回答は「当分、脱却の見込みがない」で42%、次に「脱却した」が25%、「近いうちに脱却する」が23%と続きました。         FRBの年内追加利上げは「2回」が7割弱 FRBは3月15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、昨年12月以来2会合ぶりとなる政策金利の引き上げを決めました。そこで、FRBは年内に追加利上げをあと何回、実施するでしょうかと質問したところ、最も多かった回答は「2回」で69%、続いて「3回」が18%、「1回」が11%となりました。時期については最多が「12月」で64%、次いで「9月」が63%、「6月」が56%と続きました。市場関係者からは「市場は年3回の利上げをメインシナリオとして織り込んでいるが、足許ではそのトーンを若干修正しつつあるように感じられる。トランプ政権への失望や、欧州政治リスクの高まりなどを背景に、利上げ回数が減少する可能性も想定される」といった声が聞かれました。         欧州政治リスクへの警戒感はやや低い?  欧州選挙イヤーの幕開けとして注目が集まったオランダ下院選(3月15日投開票)では、極右政党が破れ、与党が第1党を維持しました。一方、英国は3月29日に欧州連合(EU)に正式に離脱を通知しました。こうした中、新年度の欧州の政治リスクについてどう考えますかと聞いたところ、最も多かったのは「政治リスクは顕在化しない」で45%、次に「一部の主要国で顕在化」が24%、「一部の周縁国で顕在化」が23%という結果になりました。市場関係者は「欧州の政治リスクは、昨年のBREXITやトランプ政権の誕生を受けてポピュリズム政党の支持率が頭打ちとなる可能性がある。加えてEUが英国のEU離脱交渉に厳しく臨むことが想定され、さらに反EUの支持率後退が強まる公算。結果的に、欧州政治リスクは顕在化しない可能性が高い」といった見方が大勢を占めているようです。 加えて、こうした欧州の政治リスクや米国の金融政策を前提とした際の投資資金の配分についても聞いてみました。もしあなたが運用担当者だった場合、各資産の新年度の運用を2016年度と比べてどう変えますか、と質問したところ、日本国債やREIT、海外ソブリンについての投資スタンスは変わらずの「不変」が最も多くなりました。一方、国内株と海外株については「増加」が多くないました。           目先の変動要因として引き続き「金融政策」に注目 毎月定例の相場見通しの調査では前回に比べて利回り低下を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.064%、3カ月後が0.070%、6カ月後が0.088%と、2月調査の(0.084%、0.090%、0.100%)に比べていずれも低下しました。  今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因で、最も多かったのは「短期金利/金融政策」で45%ですが2月調査から3ポイント低下となりました。次に注目度が高かった「海外金利」も前月から4ポイント低下の32%と、1月調査をピークに次第に関心が低下しています。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く65%を占め、次いで「都銀・信託銀行(投資勘定)」が11%、「生損保(年金除く)」が10%、「外国人」が7%で続きました。     国債組み入れ比率、投資スタンス「現状維持」8割超 資産運用担当者66人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、前回調査に比べて「ニュートラル」が63%で変わらない一方、「ややオーバーウエート」がやや低下し、「ややアンダーウエート」がやや増加しました。依然として現状維持の姿勢が続き、様子見ムードがさらに広がっているようです。当面の投資スタンスについても「現状を維持する」が前月から2ポイント上昇の84%と、引き続き多数を占めました。

日銀次期総裁を大胆予測! 「ポスト黒田」は? (3月調査)

  証券会社や銀行など、外為市場関係者を対象に毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の3月調査を13日に発表しました。今回の調査では金融市場で今、最も注目されている米国の利上げのほか、来年の4月に任期が切れる日銀の黒田東彦総裁の後任人事などについても聞きました。調査期間は3月6~9日、回答者数は金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者70人。     3月米追加利上げなら、マーケットはどう動く? イエレンFRB(米連邦準備理事会)議長が3月3日の講演で14~15日に開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを検討する方針だと明言したほか、米FRB高官が相次ぎ早期利上げを示唆する発言をしたことから、3月の利上げ観測が急速に広がりました。  そこで、FRBは3月に追加利上げに動くと思いますか、と聞いたところ、「追加利上げ」との回答が94%を占めました。また、FRBは年内に何回利上げすると予想しますかとの質問で、最も多かった回答は「3回」で59%、次いで「2回」が29%となりました。       FRBが3月に追加利上げに動いた場合、各マーケットはどのように動くと予想しますか、との質問には、ダウ工業株30種平均は「横ばい」が46%で最も多く、「弱含み」が28%、「強含み」が26%と続きました。ドル円相場については「弱含み」が52%で最も多く、日米の金利差を背景にドルが買われて円が売られるとの予想が多くなりました。       また、3月のFOMC後に最も注目するテーマやイベントは何ですか、と聞いたところ、最多は「トランプ政権の経済・通商政策」で63%でした。次いで「欧州政治動向」が21%、「FRBの金融政策」が7%、という結果になりました。       日銀次期総裁は誰に? 日銀の黒田東彦総裁は2018年4月8日に任期満了となります。では現時点で、黒田総裁の後任は誰になると予想しますか、と質問したところ、最も多かった回答は「中曽宏・日銀副総裁」が33%、次いで「黒田東彦・日銀総裁(再任)」が28%、「雨宮正佳・日銀理事」が16%で続きました。 市場関係者からは「目標も達成せず、EXITの道筋も示さず、ただ金融機関と年金生活者にストレスをかけて、問題を後任に丸投げするのはあまりに無責任。せめてEXITの際の国民負担を明示し、それでも引き受ける意思のある人に後を任せるべき。黒田総裁というより政治の責任」、「就任時に約束した成果は全く出ていないが、根雪のようなデフレマインドを溶かすにはそれなりの時間がかかるはずであり、黒田総裁の責任ではない。日本経済に様々な弊害を及ぼすデフレを許容する日本銀行の政策スタンスを180度転換した黒田総裁を変えるべき理由は全くないのではないか」と、賛否が分かれました。       プロの予想は目先1ドル=114円台と円安方向にシフト 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは2月末の平均値で1ドル=114円03銭と、2月調査(112円58銭)に比べて円安にシフト。3カ月後の5月末には114円11銭、6カ月後の8月末には114円43銭との予想です。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円とドルが「金利/金融政策」、ユーロは「政治/外交」でした。       企業の前提為替レートは111円台後半 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の63%から75%へと上昇する一方、「アンダーウエート」が25%から13%に低下しました。「オーバーウエート」は変わらず13%でした。市場参加者の慎重姿勢が、引き続き高まっていることがうかがえます。 事業法人に業績予想の前提為替レートを聞いたところ、有効回答数8社の円相場の平均値は対ドルで1ドル=111円59銭、有効回答数4社平均の対ユーロが1ユーロ=119円39銭でした。  

「働き方改革」は日本経済の成長率を押し上げられるか?(3月株式調査)

  株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の3月調査を3月6日に発表しました。調査の対象は証券会社および機関投資家の株式担当者159人、期間は2月28日~3月2日。調査期間中の日本株市場では日経平均株価が3月2日に1万9564円80銭と、1月4日に付けた昨年来高値(1万9594円16銭)に迫る場面もありました。トランプ米大統領の議会演説が波乱なく終わったことや、3月の米利上げ観測が広がり円安に傾いたことが上昇につながったようです。  米株式市場ではトランプ政権の経済政策への根強い期待からダウ工業株30種平均は2月27日まで12営業日連続で過去最高を更新。3月1日には2万1000ドルを突破しました。     働き方改革「長期的には効果」が半数 成長率は「全体的に上昇」が4割  ここ最近、「働き方改革」という言葉がメディアなどで取り上げられる機会が増えています。働き方改革とは、安倍晋三首相が「最大のチャレンジ」と位置付ける政策です。正社員と非正規社員(パートなど)の待遇格差の解消、長時間労働の是正などにより女性や高齢者が働きやすい環境にしようという試みです。  そこで今回のアンケート調査では、この改革による日本経済の成長率の押し上げ効果について聞きました。 まず、日本は現在、完全雇用に近いと言われていますが、今後の賃金上昇についてどのようにお考えですか? と聞いたところ、最も多かった回答は「全体的に上昇」が約4割でした。        次に日本経済の成長率を押し上げるほどの効果はあるでしょうか? と質問したところ、「長期的には効果がある」が半数を占めました。また、成長率の改善に効果がある政策を聞いたところ、「労働市場の流動化促進」と「女性や高齢者の労働参加率の上昇」がともに3割超と高くなりました。 市場関係者からは「東芝に見られるように、本来であれば撤退すべきビジネスを抱え続けた結果、企業業績に悪影響を与えているケースが少なくない。もちろん、はるかに小さなスケールのケースが大半だ。その裏には労働市場の硬直化があり、労働問題が儲からないビジネスをいつまでも抱える動機となっている。新しい会社はそうでもないが、伝統ある企業ほどこのしがらみから脱せられず成長の足かせとなっている」との声もありました。         3月末の日経平均は1万9667円の予想  3月末の日経平均株価について聞いたところ、平均値で1万9667円の予想でした。前回調査(確報)の1万9220円に比べて上方シフトとなりました。上方へシフトしたのは2カ月ぶりです。また、5月末には1万9866円、8月末は1万9733円との予想でした。2017年3月期の決算の発表が相次ぐ4月下旬から5月にかけて、好決算を背景に日経平均は上昇するとの見方が増えているようです。  今後6カ月程度の株価の変動要因としては「景気・企業業績」が4割弱で注目度は上昇傾向です。一方、トランプ政権の発足後に上昇していた「政治・外交」は2割に低下しました。   セクター別では鉄鋼と機械への注目度高まる  国内の資産運用担当者59人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」と「ややオーバーウエート」がともに約4割、「ややアンダーウエート」が1割超と、前回調査からほぼ変わらずでした。  セクター別の投資スタンスについては、「オーバーウエートとアンダーウェート」のバランスをみると、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのが「鉄鋼・機械」で、逆にアンダーウェートの比率が最も高いのが「公益」でした。

日銀の金融政策、効果はあった?(2月調査)

  債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の2月調査を27日に発表しました。調査期間は2月21日~23日。回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者133人でした。   80兆円の国債買入れは「なしくずしに減額」が55%  今回の調査では、2016年9月に導入されたイールドカーブ・コントロールなど日銀の金融政策について聞きました。まず、日銀保有国債残高の年間増加額のメドとされる80兆円が年内どうなるかと質問したところ、最も多かった回答は「なしくずしに減額」で55%、次に「変更なし」が23%と続きました。市場関係者からは「年間増加のメドである80兆円はすでに反故となっており、減額したペースで買入れを継続し、10 年金利が安定すれば国債の発行減額も相まって、更なる買入れ減額が想定される。ただし、マーケットはすでにその状況を織り込んでおり、減額した後に80 兆円の文言が削除されたとしても、それほどのサプライズにはならないと考える」といった声が聞かれました。 加えて、10年物国債の金利が概ねゼロ%程度になるよう買い入れをして長期・短期の金利を調整する「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」についても聞きました。イールドカーブ・コントロールがなかった場合、現在の国債利回りはどの程度だと思いますかと質問したところ、単純平均で10年債利回りが0.307%、20年債利回りが0.950%となりました。調査期間中の新発10年物国債利回りは0.075~0.095%、新発20年物国債利回りは0.660~0.705%で推移しましたので、イールドカーブ・コントロールによって上昇圧力がある程度抑えられている、とみる市場関係者が多いようです。      また、イールドカーブ・コントロールの効果・副作用を導入前と比べて、現時点でどう評価するかとの質問に対しては、インフレ押し上げについては75%、金融機関の収益改善については50%が「効果なし」と回答。年金等の運用収益改善については「効果なし」が39%だったものの、「期待できる」が39%、「効果があった」が21%と6割はプラスと捉えているようです。 円安・株高については「効果なし」が43%を占めましたが、「効果があった」30%、「期待できる」27%と、こちらも半数超がプラスとみていました。金融市場の機能阻害は「副作用があった」が50%と最も多く、「恐れあり」が39%で続きました。財政規律の弛緩については、最も多かった回答が「恐れあり」で52%となりました。  市場関係者からは「日銀の量的・質的緩和導入後、債券市場の機能は大きく低下した状態が続いています。イールドカーブ・コントロール導入前は、参加者の大半が利益を得られたと思いますが、導入後は収益の確保は難しくなりました。物価への影響が限定的だとすれば、真の狙いがあるのでしょうか」など懐疑的な声が聞かれました。     目先の変動要因として金融政策に注目集まる    毎月定例の相場見通しの調査では前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.084%、3カ月後が0.090%、6カ月後が0.100%と、1月調査の(0.065%、0.075%、0.085%)に比べていずれも上昇。  今後6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が48%で前月から11ポイント上昇して最も多くなりました。前月に最も注目度が高かった「海外金利」については比率が関心がやや低下しました。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く70%を占め、次いで「生損保(年金除く)」が14%、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が8%で続きました。これまで2ケタだった「外国人」は4%に低下しています。     国債組み入れ比率、「現状維持」が8割超  資産運用担当者65人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、前回調査に比べて「ニュートラル」が63%に増加した一方、「ややオーバーウエート」が低下。現状維持の姿勢が一段と強まり、様子見ムードが広がっているようです。当面の投資スタンスについても「現状を維持する」が82%と多数を占めました。          

トランプ政権が日本に強く要求することとは? (2月調査)

   証券会社や銀行など、外為市場関係者を対象に毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の2月調査を2月13日に発表しました。今回の調査ではトランプ政権が外国為替相場へ与える影響や、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策などついて聞きました。   トランプ政権が日本に強く要求することとは?    トランプ政権が対日外交において最も要求を強めることとは何だと思いますか?と質問したところ、「米国向け投資の拡大」との回答が全体の6割弱を占めました。次いで「自動車貿易の不公平是正」が24%と続きました。また、トランプ政権下でFRBの金融政策は「タカ派に傾斜する」と回答した人が5割に達したほか、次の追加利上げ時期については「6月」との見方が最も多くなりました。 ある銀行の回答者は「現状の景気、インフレ動向からみて6月利上げの可能性は高いと思われる」との声が聞かれました。また、FRBは年内に3回利上げを実施する可能性が高いなか、ある信託銀行では「米トランプ政権の経済対策による景気押し上げ効果の大半は来年以降に実現する見込み。こうしたなか、FRBの金融引き締めは慎重に進められる公算が大きく、年内の利上げは2回と想定している」との見方もありました。  一方、日銀の金融政策はトランプ政権の影響をどの程度受けるでしょうか、と聞いたところ約5割が「ある程度受ける」、3割強が「あまり受けない」と影響は限定的と見ているようです。加えて日銀の年内の金融政策についても聞いたところ、「現状維持」が8割超を占めました。             プロの予想は目先1ドル=112円台半ばと円高方向にシフト 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、2月末の平均値で1ドル=112円58銭と、1月調査(114円04銭)に比べて円高にシフト。3カ月後の4月末には112円85銭、6カ月後の7月末には113円87銭との予想です。  今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円が「金利/金融政策」と「政治/外交」、ドルとユーロはともに「政治/外交」でした。     企業の前提為替レートは109円台後半 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の50%から63%へ、「アンダーウエート」が10%から25%へと上昇する一方、「オーバーウエート」は27ポイント低下して13%となりました。市場参加者の慎重姿勢が高まっていることがうかがえます。 事業法人に業績予想の前提為替レートを聞いたところ、有効回答数11社の円相場の平均値は対ドルで1ドル=109円97銭、有効回答数5社平均の対ユーロが1ユーロ=121円51銭でした。   ※調査期間は2月6~9日、回答者数は金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者74人

1カ月後の日経平均予想1万9213円、政治・外交が変動要因に(2月株式調査)

  株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の2月調査を2月6日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答、調査期間は1月31日~2月2日)。1カ月後の日経平均の予想は平均値で1万9213円と、前回調査(確報)の1万9377円から下方へシフト。株価変動要因として政治・外交への注目度が高まる結果になりました。こうしたなか、2月10日の日米首脳会談に関心が集まりそうです。   インフラ投資などの財政支出の拡大、3割が実現できる 1月の日本株相場はトランプ政権に左右される展開となりました。同政権に対する期待や米主要企業の好決算などを受けてダウ工業株30種平均は25日、初の2万ドルの大台を突破。ただ、その後はトランプ米大統領が署名したイスラム圏7カ国からの米国への入国を一時制限する大統領令を巡って混乱すると2万ドルを割り込みました。月末には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて様子見ムードも広がりました。一方、日経平均株価は1万9000円を割り込む場面があったものの、月末には1万9041円で終えました。 今回のアンケート調査ではトランプ米大統領が表明している政策に関して、実現の可能性を予想してもらいました。10の設問のうち「インフラ投資などの財政支出拡大」「法人税率の引き下げ」「企業の海外留保利益の還流促進策」「米国内の雇用の増加」「不法移民対策の強化」「貿易面におけるニ国間協定の推進」「金融規制の緩和」の7つについては、「一部実現」との回答がそれぞれ一番多い結果となりました。 一方、「国境税」については50%が「実現できない」との答えでしたが、「一部実現」が46%、「実現」が4%で意見が分かれました。また、「海外の軍事基地・同盟関係の見直し」は「一部実現」が64%で最も多かったものの、28%の人が「実現できない」と答えています。10の設問の中で最も「実現できない」という予想が多かったのは「一つの中国政策の見直し」で58%でしたが、33%の人が「一部実現」と予想しています。 そして、これらのトランプ大統領の政策の結果、米国の成長率はどうなるかの予想を聞いたところ、最も多かったのは「短期的に成長率は高まるが、長続きしない」で66%となりました。 市場関係者からは「トランプ新政権の選挙公約への実現意欲や行動力は高いと思われるが、実務面で不安を感じる。内外に軋轢や混乱を引き起こす可能性が高く、金融市場も警戒を強め始めている。政権のスタッフが揃い、組織が動き出したら軋轢や混乱も減り、落ち着きを取り戻せると期待している」という声や「大統領令のみで可能な外交、通商関連は概ね実現されようが、金融市場にはその多くがマイナスと思われる。共和党のみの賛成で可能な減税等は規模を縮小して実施されよう。民主党の協力が必要な規制緩和等はハードルが高い」などの声が聞かれました。           米政策の見直しは、日本の通商政策の転換に「重大な影響」が24%  環太平洋経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)など米国の貿易通商政策の見直しが日本経済にどの程度影響を与えるかと聞いたところ、「日本の貿易収支の悪化」「日本企業の対外直接投資の見直し」「日本の企業収益の悪化」「円高圧力の拡大」「日本の通商政策の転換(二国間協定等)」のすべての設問において、最も多い回答が「多少の影響」で6割強を占めました。ただ、「重大な影響を与える」との回答が「日本企業の対外直接投資の見直し」は19%、「日本の通商政策の転換(二国間協定等)」は24%にのぼりました。   日経平均の見通しは4カ月ぶりに下方シフト  1カ月後の日経平均株価予想は平均値で1万9213円となり、前回調査(確報)の1万9377円に比べて下方シフトとなりました。1カ月後の予想が下方シフトしたのは2016年10月調査以来、4カ月ぶりのことです。3カ月後(1万9692円)、6カ月後(1万9693円)もほぼ横ばいの予想となり、心理的な節目となる2万円は、まだ大きな壁であると市場はみているようです。  今後6カ月程度の株価変動要因として、最も多かったのは「政治・外交」で前回27%から37%へ大幅増となりました。また、「景気・企業業績」(前回30%→33%)への注目も増加する一方で、「為替動向」(同20%→13%)は減少しています。  今後6カ月程度を想定して最も注目している投資主体としては、「個人」が(前回3%→5%)に増えましたが、「外国人」が92%と圧倒的多数を占めています。     国内投資家は、やや強気も全体的に警戒感    国内の資産運用担当者58人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」(前回44%→42%)が低下した一方で、「ややオーバーウエート」(同35%→40%)が上昇し、株式の投資比率をやや高めてきたことがわかります。  セクター別の投資スタンスについては、「オーバーウエートとアンダーウェート」のバランスをみると、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのが「電機・精密」、逆にアンダーウェートの比率が最も高いのが「公益」でした。  しかし、当面のスタンスについては、「現状を維持する」(前回63%→74%)が上昇しており、全体的には警戒感を強めているような印象を受けます。

トランプ政権の金融政策はタカ派に傾斜?(1月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の1月調査を1月30日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者139人が回答、調査期間は1月24~26日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りが0.050~0.085%で推移しました。  超長期債の利回りはそろって高水準となり、なかでも新発40年債利回りは1月26日に大台乗せとなる1.005%を付けました。過去1カ月の金利推移は以下の通りです。 1月25日の日銀による国債買い入れオペ(公開市場操作)で、予想されていた中期債を対象にした買い入れが実施されず、債券売りに拍車をかけました。米国の長期金利が2.5%近辺で推移していることも、日本国債の利回り上昇に影響しています。 米国では31日~2月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が実施される予定ですが、今回の利上げは見送られるとの予想が大勢です。     トランプ大統領の金融政策 「タカ派に傾斜」が半数  今回の調査ではトランプ大統領の就任を受けて、米国と日本経済への影響を聞きました。まず、トランプ米大統領の経済・通商・外交政策の効果とその影響について予想してもらったところ、経済成長率は「加速」(58%)、インフレ率も「加速」(78%)が最多となり、雇用者数の増加率(55%)と、賃金の上昇率(54%)は「加速」が「変わらない」をやや上回る結果となりました。財政赤字は「拡大」(84%)が多数を占めましたが、貿易赤字は「変わらない」と「縮小」が同じ(40%)でした。  金融政策については、11月調査で最多だった「影響なし」(43%)から「タカ派に傾斜」(49%)の回答が上回りました。トランプ政権の景気浮揚策により財政赤字が拡大し、インフレ率が上昇すると金融引き締めを強めるタカ派的な勢いが増すとの見方のようです。  トランプ大統領は就任以来、次々と米企業の経営者らと会談し、米国の企業活動を支える姿勢をアピールしたことで、規制緩和や法人税の減税などを早期に実現させるのでは、との思惑が市場に広がりました。さらに、メキシコ国境の壁の建設や、石油パイプライン建設に関する大統領令に署名するなど、景気刺激策への期待が一段と高まると、1月25日のダウ平均は史上初の2万ドルの大台を突破しました。一服していた「トランプ・ラリー」が再び幕を開けたかに見えますが、トランプ大統領の一挙手一投足に振り回される状況はまだまだ続きそうです。   日米の通商政策は「2国間協定」へ転換か  トランプ米大統領の政策は、日本経済にどのような影響を与えるでしょうか。環太平洋経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)など米国の貿易通商政策の見直しについて、最も重要と考えるものを聞いたところ、一番多かったのは「日本の通商政策の転換(2国間協定等)」が28%、次に「日本企業の対外直接投資の見直し」が22%、「円高圧力の拡大」が21%と続きました。  23日、トランプ米大統領がTPPから「永久に離脱する」とした大統領令に署名し、さらに日本の自動車貿易について「不公平」だと名指しでけん制しました。スパイサー米大統領報道官は、アジア太平洋との貿易協定は2国間交渉に軸足を移すと明言しており、日本にも交渉を求める可能性があるとされていました。これに対して、安倍首相は「理解を求めていきたい」とコメント。2月10日にワシントンでの首脳会談が決まり、日米2国間の通商協議に意欲をにじませる米国側との貿易問題の話し合いには、大きな注目が集まりそうです。  ドル高をけん制する発言がまたいつ飛び出すか警戒感が拭えませんが、トランプ大統領が容認するドル・円相場のレートを聞いたところ、円安の限度の平均値は「1ドル=121円95銭」でした。一方、日銀が現在の金融政策を継続するための円安の限度額は「1ドル=125円74銭」、円高の限度は「1ドル=97円96銭」となりました。  日銀は30~31日に金融政策決定会合を開き、新たな金融政策方針と「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表します。市場関係者からは「海外長期金利の上昇や株高、ドル高円安など、外部要因から長期金利の上昇圧力がかかりやすい。日銀は日本の長期金利をゼロ%程度に調整することが徐々に難しくなる可能性もある」との声も上がりました。前述の1月25日に中期の買い入れオペを見送ったことで、市場の一部では「日銀のテーパリングでは」との思惑が強まったこともあり、今後の日銀の動向にも目が離せません。     長期金利は上昇シフト 中期はマイナス金利が継続    毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べてまた一段利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年国債の金利見通しは、1カ月後が0.065%、3カ月後が0.075%、6カ月後が0.085%と、12月調査の(0.055%、0.063%、0.067%)に比べて、いずれも上昇しました。  一方、新発5年国債は1カ月後がマイナス0.101%、3カ月後がマイナス0.091%、6カ月後がマイナス0.086%となり、新発2年国債は、1カ月後がマイナス0.198%、3カ月後がマイナス0.189%、6カ月後がマイナス0.182%となりました。いずれもマイナス幅が拡大し、今後もマイナス金利が継続するとの見方のようです。  今後、6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因は、前回調査とほぼ変わらず「海外金利」が45%で最も多く、次いで「短期金利/金融政策」が36%で続きました。  同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体については「政府・日銀のオペレーション」が最も多く64%、次いで「外国人」の13%となりました。注目度が増してきた「生損保(年金除く)」の9%を上回って、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が10%で3番手に上がってきました。   国債組み入れ比率、「ややアンダーウエート」比率が増加    ディーリング部門を除く資産運用担当者67人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、前回調査に比べて「ニュートラル」、「ややオーバーウエート」が低下。その半面「ややアンダーウエート」が増加しました。全体的に現状維持とし、様子見ムードを強めているようにみえます。  また国内債券の組み入れ比率について、当面のスタンスとしては「かなり引き上げる」の回答比が0%、「かなり引き下げる」が2%で変わらず、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」がやや低下。「現状を維持する」だけが上昇し、78%と大勢を占めました。  デュレーションについて、現在が通常の基準に比べてどのようになっているのかについては「ほぼ基準通り」が51%が最多で、前回調査に比べて「かなり長い」が0%に低下し、「やや長い」「やや短い」は微増となりました。  当面のデュレーションについては、「現状を維持する」が82%で大勢を占め、「やや短くする」が10%で続きました。指数は「48.4」となり、現状維持を示す50を2015年6月調査以来、1年7カ月ぶりに下回りました。トランプ新政権が掲げる「米国第一主義」の下、次々と打ち出される政策を前に、やはり当面は様子見ムードが強まりそうです。    

トランプ新大統領はどの水準まで円安許容する?(1月調査)

 外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の1月調査を、1月23日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者71人が回答、調査期間は1月16~19日)。この間の為替レートは、対ドルが113円28銭~114円07銭。対ユーロが120円70銭~121円06銭でした。     トランプ米大統領の経済政策「大幅修正で公約実現」が半数 ドナルド・トランプ氏が1月20日に米国の第45代大統領に就任しました。世界が注目する就任式でトランプ大統領は「米国第一主義」を強調し、経済や外交などの政策は米国民の利益を最優先に決定すると演説。式典直後には、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱する方針を発表しました。「今後10年で2500万人の雇用を創出し、年4%の成長を取り戻す」という目標を掲げる新政権ですが、具体的な経済政策には乏しかったと受け止められ、同日の外国為替市場ではドル売りが優勢となりました。  就任直前のアンケート調査で、トランプ氏が掲げる大規模なインフラ投資や減税など積極財政の実現性をどう考えるかと聞いたところ、最も多かった回答は「大幅に修正のうえ公約実現」が49%、続いて「小幅に修正のうえ公約実現」が39%、「公約通り実現」が8%となりました。大幅に修正が入るとみる市場関係者が半数近くいると読める半面、9割以上が公約を実現すると考えていることがわかります。マーケットの期待通りに公約は実現されるのか、今後もトランプ新政権の動向から目が離せそうにありません。     FRBの2017年の利上げ、58%が「2回」と予想 米連邦準備理事会(FRB)は、2016年12月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりに0.25%の利上げを全会一致で決めると同時に、2017年に3回の利上げを想定するシナリオを公表しました。イエレンFRB議長は、米景気は拡大が続くとの見方を示しており、金融引き締め意欲を明確にしています。しかし、トランプ政権が掲げる財政拡張策には不確実性が残っているとし、追加利上げは今後数カ月の景気次第、とのシナリオ修正の可能性も示唆しています。  マーケット関係者にFRBは17年に何回利上げするかと質問したところ、最も多かったのは「2回」で58%でした。続いて「3回」が21%、「1回」が15%となりました。  また、米10年債利回りの17年の高安水準と年末水準を聞いたところ、平均値でそれぞれ高値(高金利)は3.02%、安値(低金利)は2.12%、年末水準は2.80%となりました。足元の米長期金利は2.32%~2.47%で推移しているため、年末に向けて上昇基調という予想が市場関係者の大方の見方のようです。   トランプ政権のドル高許容は「1ドル=123円71銭」まで 米大統領選挙の開票が進む中、トランプ氏が優勢と伝わるとリスク回避の円買いが膨らみ、円相場は一時1ドル=101円19銭近辺まで円高が進行。その後、トランプ氏が勝利演説で過激な発言を控えたため、過度の不安が後退したことから、ドルは買い戻しとなりました。トランプ氏の政策期待から米金利が上昇すると、日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いが継続。いわゆる「トランプ・ラリー」となり、2017年1月4日の大発会では一時118円台前半まで円安が加速しました。  しかし、1月11日のトランプ氏の米大統領選勝利後初の記者会見で、景気刺激策などの材料が出なかったことへの失望売りや、17日付の米紙のインタビューでのトランプ氏がドル高をけん制したことで円安・ドル高に一服感が見られます。ただ、米財務長官候補のムニューチン氏は公聴会で「強いドル政策」を踏襲すると発言するなど、早くも新政権の足並みがそろっていないほか、トランプ大統領の「ツイッター介入」への警戒感も残りそうです。  アンケート調査で、トランプ政権は対円のドル高をどの水準まで許容するか、と質問したところ、平均値は1ドル=123円71銭でした。市場関係者からは「内需を中心に成長ペースが加速し、雇用・所得環境の改善が継続する状況の下、ドル高のマイナス効果に焦点があたることにはならないとみている」との声も聞かれました。  また、2017年の円ドル相場の年末水準を聞いたところ、平均値は117円08銭でした。最高値(=円高・ドル安)は107円42銭で、最安値(=円安・ドル高)は123円12銭となりました。最高値は1月に、最安値は12月に付けるとの予想が多く、年末に向けて円安・ドル高が進行するという見方が市場関係者では多いようです。   為替変動要因は、金融政策から政治・外交へ   毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、1月末の平均値で1ドル=114円04銭で、12月調査(113円39銭)に比べて一段の円安水準となりました。6カ月後の6月末時点では115円89銭が予想されており、1カ月後の予想値に比べて円安・ドル高がさらに進む結果となりました。一方、予想レンジは100~130円と見通しの幅が大きく開きました。  今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は昨年9月調査では8割強を占めていた「金利/金融政策」が34%まで低下。その一方で「政治/外交」が32%まで上昇しています。ドルも「政治/外交」が前月調査から4ポイント上昇して68%となり、半面「金利/金融政策」は8ポイント低下の21%となりました。ユーロも「政治/外交」が55%で最も多く、「金利/金融政策」が15ポイント低下の23%となりました。2016年に注目が高かった金融政策に代わり、各国の政治・外交が今後の経済動向を握るカギとみる市場関係者が多いようです。   市場参加者の慎重姿勢が色濃く ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の44%から50%へと上昇する一方、「オーバーウエート」は4ポイント低下の40%、「オーバーウエート」は1ポイント低下の10%となりました。  また、為替ヘッジに対する当面のスタンスについては、「ヘッジ比率を上げる」が0%のままに対し、「ヘッジ比率を下げる」が33%から22%に低下。その一方で「現在のヘッジ比率を維持」が11ポイント上昇の78%となりました。米新政権の概要がまだ見えにくい中、市場関係者は様子見の姿勢を強めていることがうかがえます。  

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