資産運用研究所

米ブラックロック、日本企業とも精力的に対話 「ESGへの取り組み」重視 

米資産運用大手のブラックロック。「iシェアーズ」シリーズという上場投資信託(ETF)を手掛ける運用会社として日本の個人投資家にも知られているが、同時に名だたる日本企業の大株主でもある。長期保有の機関投資家として、上場企業との目的を持った建設的な対話(エンゲージメント)活動を精力的にこなしている。2017年度(17年4月~18年3月)に経営幹部との話し合いの場を持った日本企業229社の株式時価総額を合計すると、東証1部の約半分に達したという。 ■ESG情報と財務情報、補完し合って効果発揮 同社の対話は「企業のESG(環境・社会・企業統治)への取り組み状況を確認するのが重要」(日本法人であるブラックロック・ジャパンの江良明嗣インベストメント・スチュワードシップ部長)というスタンスだ。気候変動が経済活動に及ぼす影響が大きくなると同時に、企業が短期経営主義(ショート・ターミズム)に陥らず持続的に成長するには、企業のESGへの積極的な対応が欠かせないという認識が世界的に高まっているためだ。 一方で「ESGという言葉は曖昧で色々な解釈ができる」(江良氏)ため、独自の視点で企業のESG要因を見極め、企業価値評価に活用している。例えば、企業の長期的な価値を評価するうえで競合他社との差別化要因やその持続性を調査するが、ESG要因となる非財務情報だけでは不十分で、従来の基本的な財務分析を補完する形で初めてESG情報が有効になると考えている。 ■ESG評価と財務評価の溝は「対話」で見極め 江良氏は「企業のESG要因はESG評価機関が付与している格付けなどのデータを使って分析することが多いが、同じ企業に対する評価が複数の評価機関で違っていたり、評価時点が1年前など最新の企業活動を反映していなかったりする場合も少なくない」と指摘する。評価機関によるESG評価は、財務分析も踏まえた同社の評価とかい離が大きい場合もある。 企業との対話ではESG情報の特性を有効活用し、ESGと財務評価のギャップ(溝)を経営状況を見極めるヒントにしている。同社は指数に連動する成績を目指すパッシブ運用を得意とするが、「指数(市場平均)との連動性を低運用コストで維持するのが運用目標のため、運用戦略の一環として指数を構成する企業とのエンゲージメントが必要になると必ずしも言えない部分もある」(江良氏)。パッシブ運用では株式の売却に制約がかかることによって保有期間が長期化するため、長期投資家の観点から株式市場全体の底上げを図る重要性を認識し、対話しているようだ。 ■個人にもESG重視の視点 米国ではミレニアル世代(1980年代から2000年頃までに生まれた主に35歳以下)の若い世代や女性のESGへの関心は他の世代や男性よりも高いという調査データがあり、江良氏は「日本でも企業経営者から『国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)』に熱心なことで人材をひきつけやすくなってきた」という話を耳にするという。 長期投資に対する考え方や投信への意見、パフォーマンスなどを積極的にネット発信している投信ブロガーと呼ばれる人々の間でも、全国各地で様々な事業活動を応援するクラウドファンディング(一般から小口資金を募集)型のマイクロ投資ファンドや、インターネット経由で個人が企業に融資するソーシャルレンディングといった社会貢献型の金融商品を購入する動きもみられる。個人の間でも「ESG」への意識が高まっているだけに、運用会社にはESG視点での商品開発や運用が一段と求められそうだ。 (QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

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原油は温めの65~70ドルがいい 「ほどほどの減産」を巡る米とサウジの都合

6月に入って以降の原油相場が狭い範囲でもみ合っている。ニューヨークの先物は5月22日に一時1バレル72.83ドルと、約3年半ぶりの水準まで上昇した後に調整し、65ドル前後での推移が続く。ほどほどの減産継続が適度に需給を引き締まらせる――。市場では、景気や相場が熱しすぎず冷めすぎずの状況をあらわす「ゴルディロックス(適温)」が足元の原油価格にも当てはまるとの見方がある。 ここ10年の原油相場をみると、2008年7月に147ドルと史上最高値を付けた直後のリーマン・ショックで下落局面に転換。米シェールオイルの台頭などで供給過剰感が強まった16年1~2月には30ドルを割り込んだが、石油輸出国機構(OPEC)加盟国などによる産油調整や世界的な景気回復に伴って上昇に転じた。10年単位の長期トレンドを重視する市場参加者の間では、147ドルと20ドル台をそれぞれ相場のピークとボトム(底値)ととらえ、その中央値付近に位置する65~70ドル程度を適温とみなすムードが出始めているようだ。 70ドルは大産油国サウジアラビアの財政均衡点と言われている。国営石油会社の新規株式公開(IPO)を控えるサウジなど産油国は恩恵を受けるはずだ。一方でトランプ大統領は原油価格が70ドルに接近した4月下旬、ツイッターで「原油価格は人為的にとても高くなっている。受け入れられない」と述べるなど、70ドルを相場の許容上限とみなしているフシがある。 サウジとロシアは5月25日、これまで続けてきた協調減産を緩和し、日量100万バレル程度の増産を検討していると示唆した。原油価格は両国の見解表明後はずっと70ドルを下回っている。 米国が「70ドル」にこだわるのはなぜだろうか。70ドルを超えると、生活に不可欠なガソリンの価格に必要以上に上昇圧力がかかるからだ。 米エネルギー情報局(EIA)の統計によると、全米のガソリンの小売価格は5月28日時点で1ガロン(約3.8リットル)あたり3.039ドルになった。3ドル超えは消費者からの不満が出る節目とされる。トランプ政権の支持率にも影響しかねない。 石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミストは「トランプ氏からの圧力が強まるのを恐れてサウジやロシアは姿勢を変えたのではないか」と読む。中東情勢が緊張するなか、いざというとき後ろ盾になってもらうためにもサウジは米国との関係を悪くしたくないとの思惑が見え隠れする。 米のガソリン価格は6月4日時点の最新の統計では3.018ドルと前週よりやや安くなった。今週に入って原油価格が64ドル台まで一時調整したのを踏まえると、来週以降の統計ではもう少しガソリン価格が落ち着くとも考えられる。現在の65ドル前後の値段が増産を要するレベルなのか否かが今後の焦点となるだろう。 ゴルディロックスは英国の童話「3匹のクマ」に登場する少女の名前だ。ある日、少女は深い森の中にあるクマの家でボウルに入ったおかゆが3つ、テーブルの上に置いてあるのを見つける。最初の2つは冷たすぎたり熱すぎたりしたが、3つめはぬるめの適温だったので全部食べてしまう。 「3匹のクマ」の物語ではクマが家に戻り、少女が一目散に逃げるところで終わる。クマは英語でベアといい、市場では「弱気相場」を意味する。次の焦点は22日のOPEC総会。もし増産が決まらなくても、サウジが米国を意識して「将来の増産も検討する」などとリップサービスすればベア相場に転じるかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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【QUICK Forecast 企業業績】バンナムとスクエニ、今期利益は会社予想から上振れ

QUICKは上場企業の2期先までの業績予想を示すツール「QUICK Forecast 企業業績」を提供している。このツールでゲーム業界をみてみると、財務データやマクロ指標などをもとに打ち出された今期の利益の予想値は、企業側が示す見通しから上振れしている。 たとえば、バンダイナムコホールディングス(7832)。会社側は今期(2019年3月期)の連結営業利益の予想を前期比20.0%減の600億円と計画している。5月9日の決算説明会によると、この数字は「必達目標とし、少しでも上を目指していきたい」というもの。一方、QUICK Forecastでは営業利益は713億円と、5.0%減にとどまる見通しだ。会社側は新中期計画の初年度となる19年3月期は重点戦略として、新規IP(知的財産)創出・育成の強化、中国市場での事業の本格的展開に向けた基盤整備を行う、としている。 来期(2020年3月期)の予想について、QUICK Forecastは営業利益が796億円になると計算する。アナリスト予想のQUICKコンセンサス(5月30日更新)の820億円よりも控えめだが、今期予想と比べると増益となる。ちなみに、会社側は新中期計画で、最終年度の21年3月期に営業利益で750億円、自己資本利益率(ROE)は10%以上を目指すという。 スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)の場合はどうか。会社側は19年3月期の連結営業利益を300億円と、前期に比べ21.4%減るとみている。複数のゲームの新規大型タイトルの発売が予定されており、増収を見込んでいるが、償却負担が増えるため減益になるそうだ。これに対し、QUICK Forecastの営業利益予想は2.2%増の390億円となっている。 20年3月期の連結営業利益は、QUICK Forecastの予想では469億円。QUICKコンセンサス(5月30日更新)の営業利益(520億円)に届かないが、今期の予想に比べると増える。会社側は17年3月期決算説明会で発表した中期目標「20年3月期以降に営業利益400~500億円を安定的に達成できる事業構造の確立」について、変更なしとしている。 ※QUICK Forecastは全上場企業約3700社のうち、必要なデータがそろわない一部の銘柄を除き、ほぼすべての銘柄をカバーしている。決算や業績予想の修正などに対応し、タイムリーに予想値を算出することができる。現在はβ版として提供しており、サービス内容は適宜、改善・更新される。QUICKの情報端末の「ナレッジ特設サイト」ではこのほかさまざまな決算情報のコンテンツツールを提供している。

企業価値研究所

主要248社の今年度、営業益6.6%増に下方修正 QUICK企業価値研究所

QUICK企業価値研究所が7日に発表した主要248社(金融除く)の2018年度の企業業績見通しによると、営業利益は前年度比6.6%増の予想となった。3月に公表した前回調査との単純比較(9.9%)で3.3ポイント低下した。為替前提を円高に修正した影響に加え、自動車セクターの減益幅が拡大するのが下方修正の主因だ。同セクターは自動運転などに対する研究開発費の負担が増加するとみている。予想の為替前提は、1ドル=107円(前回の想定は113円)、1ユーロ=130円(同135円)。 18年度の売上高は前年度比3.1%増、経常利益は同8.3%増を見込む。業態別の営業利益の前年度比増減率は、製造業で7.6%増、非製造業は5.0%増と予想する。 業種別の営業利益は、金融を除く19業種中、自動車、建設・不動産、サービスを除く16業種で増益を予想。自動車は、販売台数は底堅く推移するものの、為替前提を円高に修正した影響に加え、自動車の電動化や自動運転などに対する研究開発費の負担増が影響すると予想。建設・不動産は、建設が17年度に計上した採算の良い完成工事の反動などが影響するとみている。    19年度の営業利益は8%増を予想 19年度の予想(金融を除く全産業248社ベース)は、売上高が18年度見込み比2.6%増、営業利益が同8.0%増、経常利益が同9.4%増、純利益が同5.7%増とみている。予想の為替前提は、18年度と同様、1ドル=107円、1ユーロ=130円。 世界景気の拡大が継続するなか、製造業、非製造業がいずれも堅調に推移する見通しで、業種別の営業利益は、金融を除く19業種中全業種で増益を予想する。自動車は、引き続き研究開発費の増加が見込まれるものの、アジアを中心とする販売台数の増加、コストダウンの進展などにより、増益を回復すると想定している。素材型では、鉄鋼が同17.2%増と2桁増益回復を見込んでおり、東京オリンピック(20年開催予定)関連のインフラ整備を背景とする国内鋼材需要の増加、高級自動車鋼板の需要増などが寄与するとみている。 執筆:QUICK企業価値研究所 堀内敏成、伊藤健悟 (提供:QUICK企業価値研究所) 本サイトに掲載の記事・レポートは、QUICK企業価値研究所が提供するアナリストレポートサービスの抜粋記事です。レポートサービスは証券会社・金融機関様に対し個人投資家向け販売資料としてご提供させて頂いております。サービスに関するご質問、資料のご請求等は以下フォームよりお問い合わせください。 ※個人投資家の方は掲載記事(レポート)の詳細を「QUICKリサーチネット」からもご覧頂けます。  サービスの詳細・ご利用方法はこちらをご覧ください。 ※なお、本サイト掲載記事の内容に関する個別のご質問にはお答えできかねます。ご了承ください。        

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次の標的はブラジル 通貨も株も大幅安、大規模ストで景気警戒

ブラジルレアルが対ドルで急落している。5月下旬からトラック運転手による大規模なストライキが起きたことで物流網がまひし、ブラジル経済に悪影響が出ていることが警戒された。10月の大統領選における極右勢力の台頭も意識されているもよう。ブラジル中銀は「米金利上昇が理由である」と流出懸念についてコメントし、昨日は通貨スワップ入札で為替介入を実施した。 三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏は「アルゼンチン、トルコに続いて、今度の標的はブラジルレアルになっている」と警戒感を強める。 7日の米国市場では、ブラジル株に連動するiシェアーズMSCIブラジルETFが前日比5.13%安で大幅に3日続落し、2016年12月22日以来、1年半ぶりの安値圏に沈んだ。ブラジルの代表的株価指数であるボベスパ指数が2.97%安で大幅に3日続落したうえ、ブラジル中銀がドル高レアル安を止めようと為替介入を行ったもののレアル安に歯止めが掛かっていないことから、ドル高による為替差損分もあってETFの下げがきつくなった。(丹下智博 、片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

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トルコリラ急上昇、中銀が大幅利上げ、「あらゆる手段を活用」

トルコリラが急上昇し、対円で1リラ=24円台半ばまで買い戻された。トルコ中央銀行が7日の金融政策委員会で政策金利を16.50%から17.75%へ1.25%引き上げることを決めたことが手掛かりとなった。「物価安定のためにあらゆる手段を活用する」と表明、翌日物貸出金利は18.00%から19.25%、翌日物借入金利は15.00%から16.25%、後期流動性貸出金利も19.50%から20.75%へそれぞれ引き上げた。5月下旬の緊急利上げに続く利上げで、通貨防衛に対する強い意志と受け止められた。(丹下智博 ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。      

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兵機海(9362)が19%高、宇部興(4208)は3%安  7日の夜間PTS

8日の株式市場で、兵機海(9362)やライフネット(7157)が注目されそうだ。いずれも前営業日夜間の私設取引システム(PTS)で8日の基準値を大きく上回る水準で約定した。兵機海の約定価格は基準値に比べ19.73%高、ライフネットは同14.62%高だった。 <夜間PTSで基準値対比の値上がり銘柄> スクロール(8005)やエムビーエス(1401)も注目されそうだ。いずれも前営業日夜間のPTSで8日の基準値を下回る水準で約定した。スクロールの約定価格は基準値に比べ6.14%安、エムビーエスは同5.87%安だった。また、主要銘柄では宇部興(4208)が基準値を3.14%下回る水準で約定した。 <夜間PTSで基準値対比の値下がり銘柄> ※「寄り前ランキング」は、QUICK AI速報としてQr1などQUICKの情報端末でニュース配信中。QUICK Knowledge特設サイトは、QUICKの情報端末でご覧いただけます。

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【朝イチ便利帳】 8日 G7首脳会議、1~3月期GDP改定値 

8日は内閣府が1~3月期の国内総生産(GDP)改定値や5月の景気ウオッチャー調査を、財務省が4月の経常収支速報を発表する予定だ。株式市場では株価指数先物・オプション6月物の特別清算指数(SQ)算出日を迎える。 海外では、主要7カ国(G7)首脳会議が9日までカナダのシャルルボワで開催される。その他、5月の中国貿易統計などが発表される予定。      

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アジア諸国、守りの利上げ インドもインドネシアも景気より通貨下落防止

アジアに利上げの波が広がっている。6日にインドが4年5カ月ぶりの利上げを決めたほか、インドネシアは5月に2回利上げした。各国の念頭にあるのは米国だ。好景気を追い風に12~13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げが確実視される。アジア諸国は米国への資金流出と自国通貨の下落を防ぐため利上げに追い込まれる例が目立つ。 インド準備銀行(中央銀行)は6日、政策金利を0.25%引き上げ年6.25%にすることを決め、即日実施した。「原油高を背景としたインフレの加速を防ぐため」というのが公式の理由だが、市場では通貨ルピーの防衛が主目的との見方が多い。ルピーの対ドル相場は、原油高による経常赤字の拡大や米長期金利の上昇に伴う資金流出懸念を背景に4月中旬から急速に下落。5月後半には1ドル=68ルピー台と2017年1月以来の安値を付けていた。   利上げの効果は大きかった。市場で金融引き締め観測が浮上した5月下旬にルピーは下げ渋り始め、利上げの発表を受けた6日の相場は66ルピー台後半に上昇して引けた。最近の米長期金利上昇の一服もあって資金流出にはひとまず止めがかかった。 ■インドネシアも資金流出止まる インドに似た状況なのがインドネシアだ。中銀は臨時の金融政策決定会合を含めて5月に2回の利上げに踏み切った。5月30日の会合後の声明では「通貨の安定のために先回りして政策を決めた」と明言した。今月28日の定例会合で中銀が動くかどうかまだ定まった見方はないが、対ドルで5月下旬に約2年半ぶりの安値を付けた通貨ルピア相場は、引き締め継続を見込んで下げ止まっている。 ジャカルタ・ポスト紙によるとインドネシア中銀のペリー・ワルジヨ総裁は6日、「5月24日以降、国債を中心に海外から13兆ルピア(約1000億円)の資金流入があった」と自信を示した。利上げは国内の景気を冷やすリスクがあるものの、資金流出防止には有効だ。 ただインドにせよインドネシアにせよ、先行きは米国次第の面がある。米連邦準備理事会(FRB)の引き締めが加速し米金利が上場基調を強めれば、アジア諸国は再利上げを余儀なくされる可能性がある。 ■中国は硬軟両様の対応、「前向き」利上げの韓国  中国は昨年12月や今年3月など、公開市場操作(オペ)で金融市場に資金供給する際の金利を引き上げる形で米国の利上げに対抗してきた。米国が来週のFOMCで利上げを決めれば、中国もさらにオペ金利を引き上げる可能性がある。政策金利である預金と貸し出しの基準金利は動かさない、ゆるやかな金融引き締めの手法だ。 一方で米中貿易摩擦の激化により中国経済に減速の恐れが生じると、4月には中国人民銀行(中央銀行)が市中銀行から強制的に預かる資金の比率である預金準備率を1ポイント引き下げ、中小銀行などの資金繰りに配慮した。香港紙の香港経済日報は6日、年央で市場の流動性が逼迫しているため、人民銀が近く預金準備率を再び引き下げるとの観測を伝えた。中国経済の安定成長に向けて硬軟取り混ぜる金融政策が当面は続きそうだ。 米国に追い立てられる形ではない「前向き」な利上げが見込まれるのが韓国だ。市場では7月に韓国銀行(中央銀行)が開く金融通貨委員会で、昨年11月以来の利上げに踏み切るとの見方が出ている。半導体産業などの好調が続き、1~3月期の実質国内総生産(GDP)は前年同月比2.8%増と堅調。その基調は6月にかけても変わっていないとみられる。5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.5%上昇と落ち着いているが、野村国際は韓国中銀が政策金利を0.25%引き上げ、1.75%にすると予測する。 【NQNシンガポール=依田翼、NQN香港=安部健太郎】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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テスラ株急伸 アクセル踏んだCEO、踏まされた空売り投資家

6日の米株式市場で電気自動車(EV)大手のテスラが急反発し、前日比9.74%高の319.50ドルで堅調に終えた。上昇率は2015年11月4日(11.17%高)以来、2年7カ月ぶりの大きさを記録した。テスラ株の下落に賭けていた空売り投資家が大きな損失を被ったのではないかとの見方が出ている。 5日の米東部時間夕に株主総会を開催し、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が生産が遅れている量産車のモデル3の生産目標(6月末時点で週5000台)について「かなり達成できそうだ」との見解を示した。5日の時間外取引でも買いが優勢となっていた。 株主総会を踏まえ、ロバートWベアードは6日付のリポートで投資判断のアウトパフォーム、目標株価411ドルを維持した。モデル3の週5000台生産という目標達成に加え、総会で「2018年7~9月期(3Q)、10~12月期(4Q)に米国会計基準ベースで最終黒字、キャッシュフローが黒字に転換するだろうとの見通しが示されたことが重要だ」と指摘。「短期的にはモデル3(の生産動向)に投資家の関心が向かうだろう」としながら、財務が改善する見通しが示されたことを評価していた。 ★テスラの月足チャートと空売り残高(QUICK FactSet Workstationより) 米経済専門チャンネルのCNBCが米調査会社のS3パートナーズの分析として報じたものによれば、空売り投資家の損失は6日だけで10億ドル以上に達したとみられるという。2016年から空売りしていれば、50億ドル近い損失が出たとみられるといい、6日の一日だけで過去2年半の空売りの損失の5分の1が発生したと推計されるという。 テスラは空売りの多い銘柄として知られ、QUICK FactSet Workstationによれば5月末時点の空売り残高は3887万7708株。米マーケット・ウォッチによれば発行済みの浮動株に対して約30%を占める状況となっていた。(片平正ニ) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

QUICK Knowledge

資生堂(4911)が2%高 ロングライフ(4355)は6%安 6日の夜間PTS

7日の株式市場で、アジュバン(4929)やメドレックス(4586)が注目されそうだ。いずれも前営業日夜間の私設取引システム(PTS)で7日の基準値を上回る水準で約定した。アジュバンの約定価格は基準値に比べ16.59%高、メドレックスは同7.47%高だった。また、主要銘柄では資生堂(4911)が基準値を2.31%上回る水準で約定した。 <夜間PTSで基準値対比の値上がり銘柄> 一方、ロングライフ(4355)や三井ハイテ(6966)も注目されそうだ。いずれも前営業日夜間のPTSで7日の基準値を下回る水準で約定した。ロングライフの約定価格は基準値に比べ6.99%安、三井ハイテは同4.53%安だった。 <夜間PTSで基準値対比の値下がり銘柄> ※「寄り前ランキング」は、QUICK AI速報としてQr1などQUICKの情報端末でニュース配信中。QUICK Knowledge特設サイトは、QUICKの情報端末でご覧いただけます。

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【朝イチ便利帳】7日 トルコ中銀の金融政策、4月の豪貿易収支

7日は5月上中旬の貿易統計、4月の景気動向指数速報値、消費活動指数などが発表される予定。IPO関連ではエーアイ(4388*J)、プロパティデータバンク(4389*J)、アイ・ピー・エス(4390*J)の仮条件が決定する。海外では4月の豪貿易収支、トルコ中銀の金融政策決定会合の結果、米新規失業保険申請件数などが発表される予定だ。

資産運用研究所

ラップ口座残高、8兆円に迫る 過去最高を更新・3月末

日本投資顧問業協会が6日に発表した「契約資産状況」によると、投資家が金融機関に運用を一任する「ラップ口座」の残高が2018年3月末時点で過去最高の7兆9843億円になった。17年12月末と比べ984億円増え、8兆円に接近した。ただ、株安などで運用成績が振るわず、伸びは1.2%にとどまった。四半期ベースでは16年6月末(0.3%減)以来の低水準。 契約件数も71万6614件と、過去最高を更新した。17年12月末から5万件以上増え、増加ペースが加速した。 (QUICK資産運用研究所)

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南欧混乱でも大怪我しない日本の債券投資家 イタリアと逆相関のドイツ債で分散効果

国内勢によるユーロ建て債券運用の分散が進んでいる。高利回りの南欧債と、相対的に安全なドイツやオーストリアなどの国債に同時に資金を振り向ける動きが広がっているようだ。その本領は早くも5月に発揮された。イタリアで5月下旬、政局不安や財政赤字の拡大懸念などから国債価格が急落した半面、同じユーロ圏内で安全資産とされるドイツ国債が上昇し、イタリア債の打撃を和らげた。 イタリアではどうにか新政権の誕生にこぎつけ、政治リスクへの警戒感はいったん収まったが、財政懸念は消えていない。新首相ジュセッペ・コンテ氏は5日の所信表明演説で、財政拡大を通じた経済政策を進める意向を示した。これを受けて5日の欧州債券市場ではイタリア10年物国債利回りが前日の2.5%台から2.7%台に上がり(価格は下落)、他の南欧債も一時売られた。一方、ドイツ国債利回りは低下(価格は上昇)し、分散効果は続いた。 イタリアは現時点でもユーロ圏で最も多くの公的債務を抱える。さらに支出を増やせば、国債相場の下値余地の大きさが改めて意識されるだろう。財政負担が重いスペインやギリシャの国債にもつれ安の圧力がかかる可能性は高い。それでも市場では「かつてのギリシャ危機のときに比べると欧州中央銀行(ECB)などの安全網の整備が進んでいる。ドイツが資金支援などで直ちに巨額の支出を強いられることはなく、ドイツ債は安全性を保てそうだ」との楽観論が支配的だ。 イタリア国債利回りのドイツ債に対する上乗せ幅(スプレッド)は足元で2.3%台まで拡大した。イタリア債の下落とドイツ債の上昇との「逆相関」が成り立っている。 微妙なのはフランス国債の立ち位置だ。フランス系の銀行が保有するイタリア国債の比率は高く、「今後イタリアへの懸念が強まれば、フランスにも売りが飛び火しかねない」(メリルリンチ日本証券の大崎秀一金利ストラテジスト)ためだ。フランス債は国内生命保険などの長期投資家が比率を高めている対象国の1つ。ただドイツ債の堅調さを揺るがすとの観測は今のところ少なく、ここでも分散投資が威力を発揮しそうだ。 財務省が5月10日に発表した対外・対内証券投資によると、国内マネーによる3月中の欧州債投資で最大規模を誇るのがドイツ債で、保有額は6兆1670億円。3月は1754億円の買い越しだった。イタリア国債の保有額は1兆6075億円だった。 JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは「国内勢のイタリア債保有額はあまり多くない。イタリア国債に含み損が出ても、主戦場であるドイツ国債の相場上昇によって十分穴埋めできる」と分析している。そもそも国内生保は債券を満期まで持つ場合、含み損を時価評価する必要がない。南欧の混乱が国内に波及するリスクは極めて低いと考えられそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 荒木望】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

資産運用研究所

「為替ヘッジあり」投信、コスト上昇に要注意   

米国の10年物国債利回りが3%前後まで上昇するなどドル金利の魅力が高まる一方、為替差損を回避(ヘッジ)するためのコストが跳ね上がっている。日米の金利差が拡大しているからだ。海外の資産で運用する投資信託を保有している人、これから購入を検討している人は注意が必要だ。 QUICK資産運用研究所の試算によると、米ドルの為替ヘッジコストは足元で2.5%程度(図表1)まで急上昇している。米連邦準備理事会(FRB)が事実上のゼロ金利政策を続けていた2015年12月頃まで1%以下で推移していたが、利上げに転じた後はじわじわコスト高が進んでいる。 為替ヘッジは、先物予約などを活用して為替変動による運用成績の悪化を防ぐのが目的だ。為替変動リスクを抑える代わりに、その分のコストがかかる。為替ヘッジコストは理論上、通貨間の短期金利差で決まり、通貨それぞれの需給要因も影響する。日銀のマイナス金利政策が続く一方で、FRBの段階的な利上げによって日米金利差が拡大し、米ドルの為替ヘッジコストが上昇傾向にある。 為替ヘッジコストが安かった時期には、為替変動リスクを抑えながら相対的に利回りの高い海外債券で運用する投信が安定運用志向の強い投資家の人気を集めた。そのころにヘッジ付きの外債投信を購入した人は、改めて投信の為替ヘッジコストや通貨構成比率などを確認したい。 こうした情報は、運用会社が毎月発行する運用レポート(月報)などに掲載されていることが多い。主に債券で運用するファンドの場合は、最終利回りも併せて確かめたい。最終利回りが為替ヘッジコストと信託報酬の合計よりも低いと、運用損が生じる可能性が高いので気を付けたい。 例えば、為替ヘッジをしながら主に米国の国債で運用するファンドがあるとする。現在の米10年債利回りは3%程度。ここから為替ヘッジのコスト(2.5%)と信託報酬(1%程度と仮定)を単純に差し引くと、運用益は0.5%のマイナスになる。 海外資産で運用する投信は、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」のコースを選べるケースが多い。どちらを選択すべきか悩むひとのために、為替ヘッジのメリットとデメリットを簡単にまとめた(図表2)。 「ヘッジあり」は値動き(変動率)が相対的に小さくなるが、為替ヘッジのためのコストがかかり、リターンのマイナス要因になる。特に円より金利が高く、金利差が大きい通貨ほどコストが高くなる傾向があるので注意が必要だ。需給要因などでヘッジコストがマイナスになり、「為替ヘッジプレミアム」を獲得できる場合もある。また、ヘッジ付きの運用は円高局面で為替差損を抑えられる半面、円安局面では為替差益を享受できない。 一方、「ヘッジなし」は値動きが相対的に高くなる。為替変動がそのままファンドの値動きに反映されるためだ。ヘッジなしで海外資産に投資する場合、為替要因も含めてリスクが自分の許容範囲に収まっているか確認しておく必要がある。また、ヘッジしないと円安局面で為替差益を得られるが、円高が進むと損失が広がるリスクがある。 北米の投資適格債券で運用する外債投信について、為替ヘッジありとなしの平均的な値動きをみると(図3)、「ヘッジあり」は変動が小さくなだらかだ。一方、「ヘッジなし」は米ドルに対する円相場に連動する形で値動きの振れが大きいことが分かる。 ヘッジありとなしのどちらを選ぶかは、自分が円高局面の損失リスクに耐えられるかどうかに加え、今後の相場見通しもポイントになる。今後の円安基調を見込むなら「ヘッジなし」、反対に円高基調を予想する場合はヘッジコストの水準に注意しながら「ヘッジあり」が候補になる(図表4)。 ただし、為替相場の先行きを予測するのは専門家でも難しい。どうなるか分からない場合は「ヘッジあり」と「ヘッジなし」の両方を組み合わせて保有したり、一括購入せず積み立てで買ったりするといったやり方もある。ファンドによっては部分的にヘッジしたり、為替水準に応じてヘッジするかどうかを判断したりするタイプもある。 為替相場だけでなく、為替ヘッジコストも常に変動する。購入後は運用会社の運用レポート(月報)やマーケットレポートなどを定期的に確認することも重要だ。 (QUICK資産運用研究所 石井輝尚)

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アップル・アマゾン最高値 大型IT株と金融環境指数の深い関係 

5日の米市場でナスダック総合株価指数が3日続伸し連日で最高値を更新した。アップルとアマゾン・ドット・コムという時価総額の上位2銘柄がそろって上場来高値を上抜け指数を押し上げた。米株に新規の買い材料は見当たらない。ハイテク株を中心にマネーが再び流入している背景には何があるのか。 地政学リスクの後退や金利上昇の一服などが考えられるが、もう1つ注目したいのが米国の金融環境だ。シカゴ連銀が算出する「全米金融環境指数(NFCI)」が比較的わかりやすい。同指数はマイナスであればあるほど金融環境は緩和的な状況を意味する。2017年11月中ごろを底に反転し18年3月にかけてマイナス幅を縮小していった。米長期金利の上昇に端を発するボラティリティの急騰で株式相場が急落した時期に先行していた様子がわかる。 ※QUICK特設サイト「US Dashboard」より ※QUICKでは特設サイト「US Dashboard」で「全米金融環境指数(NFCI)」のほか、「米長短金利スプレッド」や「米BEI(期待インフレ率)」などを提供している 金融環境の引き締まりが低ボラティリティというぬるま湯に浸かっていた市場に冷や水を浴びせたわけだが、4月中旬を境に環境指数は再びマイナス幅を広げ始めた。この時期に米長期金利は再び上昇し3%を明確に上回ったものの、米株価指数への影響はほとんどなかった。 これらの経緯から緩和的な金融環境が米株価を押し上げている可能性が高い。環境指数の直近の低水準はマイナス0.88。5月25日時点ではマイナス0.85だった。このトレンドが継続するのか。再反転する局面は近いのか。最新の指数は日本時間の今晩に公表予定。改めて確認したい。 とはいえ、株高にもいびつさが見えてきた。S&P500種株価指数のヒートマップを見る限り、相場全体に勢いがあったようには思えない。行く場所がなくなりつつあるマネーは、受け入れ先として高い流動性と大きな時価総額であるアップルとアマゾンを求めているようにも映る。「米株価の上昇ももう少し続きそうだが最終局面なのかもしれない」(eワラント証券の小野田慎氏)との不安はぬぐいきれない。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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【朝イチ便利帳】 6日 4月毎月勤労統計、4月の米貿易収支

6日は厚労省が4月の毎月勤労統計速報を発表するほか、海外では4月の米貿易収支が発表される予定だ。

QUICK Knowledge

不二サッシ(5940)は39%高 ジンズメイト(7448)は9%安 5日の夜間PTS

6日の株式市場で、不二サッシ(5940)やアジュバン(4929)が注目されそうだ。いずれも前営業日夜間の私設取引システム(PTS)で6日の基準値を大きく上回る水準で約定した。不二サッシの約定価格は基準値に比べ39.06%高、アジュバンは同26.29%高だった。 <夜間PTSで基準値対比の値上がり銘柄> ジンズメイト(7448)やKeyH(4712)も注目されそうだ。いずれも前営業日夜間のPTSで6日の基準値を下回る水準で約定した。ジンズメイトの約定価格は基準値に比べ9.8%安、KeyHは同6.33%安だった。 <夜間PTSで基準値対比の値下がり銘柄> ※「寄り前ランキング」は、QUICK AI速報としてQr1などQUICKの情報端末でニュース配信中。QUICK Knowledge特設サイトは、QUICKの情報端末でご覧いただけます。

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