三井住友FGが高値 資本規制合意、高まる自社株買い期待

11日の東京株式市場で銀行株が堅調だ。国際展開する大手銀行の健全性を保つための金融資本規制について日米欧の金融当局が合意し、規制に対する不透明感が晴れたからだ。規制の最終決定後に自社株買いの方針を示すとしていた三井住友フィナンシャルグループ(8316)は一時2.4%高となり、1カ月半ぶりに年初来高値を更新した。 自己資本の算出方法決定で、銀行の資本政策が明確になった。三井住友FGは「規制の最終決定後に自社株買いの方針を決める」と説明してきた。マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストは「自己資本に対する株主還元の割合が他社に比べて低い三井住友FGの自社株買い期待が高まり、株高に勢いが付いた」と話す。ゴールドマン・サックス証券の担当アナリスト、田中克典氏は11日付のリポートで「2019年3月期に500億円の自社株買いを実施する可能性が高い」と指摘する。 今回合意したのは企業向け貸出残高などリスク資産の算出を巡る方法だ。リスク資産額は格付け会社が求めた数値の72.5%を下回らないことに最終決定した。日本のメガバンクが銀行内部で計算してきたリスク資産額よりは厳しく自己資本比率の低下につながるものの、外部格付け会社による算出に比べるとリスク資産額を少なく見積もることができた。 新規制は2022年から5年かけて段階的に実施するため、自己資本を増やす時間的な余裕があるとみられている。例えば三井住友FGは規制適用でリスク資産額は以前から30%程度増えるが、自己資本比率は利益蓄積効果で年間0.45~0.50%程度積み上がる見通しだ。「大不況などで不良債権が急増しメガバンクが最終赤字に転落しない限り、利益の積み上げで自己資本比率の目標は達成できる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の笹島勝人シニアアナリスト)との声が多い。 もっとも、低金利環境が続くなかで銀行株の先高観は乏しい。大手銀5グループの18年3月期の業績予想で本業のもうけを示す業務純益(単独ベース)は、前期比で13%減の見通し。日銀によると都市銀行の長期貸出平均金利は10月が0.81%と前年同月比で0.074%下がった。市場では「借り換えに伴う貸出金利の低下が続き、大手銀行の業務純益は19年3月期も減少する可能性が高い」(笹島氏)との見方が多い。 持ち合い株の売却で純利益の積み増しは可能だ。だが日経平均株価が2万3000円近辺の高値圏で推移するなか、株価が下落基調に転じると株式売却益も目減りしかねない。ある国内証券のアナリストは「先行きが読めない株価動向が収益状況に直結するため、自己資本が目減りする自社株買いや増配が継続的に実施されるとは期待できない」と読む。金融規制の合意が銀行株買いにつながったが、中長期的な見通しには慎重になった方がよさそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコイン荒い値動き続く 11日8時から先物がスタート

ビットコインの荒い値動きが続いている。国内取引所大手のビットフライヤーによると、8日に一時230万円台を付けたが、9~10日は一時150万円を割り込む場面もあった。11日朝の時点では170万円前後で推移している。 ビットコインの値動き(QUICKナレッジ特設サイトより)   シカゴオプション取引所(CBOE)が11日の日本時間8時(10日の米東部時間18時)からビットコイン先物の取引を開始する。CMEグループも先物の上場を予定しているが、英フィナンシャル・タイムズ紙電子版によればJPモルガン・チェース、シティ・グループといった米大手銀は顧客にビットコイン先物の取引を提供しないという。ゴールドマン・サックスは7日時点で、何名かの顧客には取引を提供するとしているという。 ダウ・ジョーンズ通信(DJ)によればモルガン・スタンレーとソシエテ・ジェネラルはビットコイン先物に関する方針を検討中といい、商いが膨らまないようだと先物主導の乱高下は避けられるかも知れない。 JPモルガンは8日付のレポートで「国によってビットコインに対する関心が異なる」と指摘した。執筆時点で1日のビットコインの取引で用いられる通貨の割合は、日本円は30%、米ドルが27%、ユーロが9%、豪ドルが6%、シンガポールドルが5%だったとした。日本円でのビットコインの取引については「10月初旬は60%程度の割合を占めており、日本円を使用したビットコインの取引は減少した」という。一方で、「ユーロを使ったビットコイン取引は4%から増加した。その他の非主要通貨での取引は増えた」という。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

乱高下のビットコイン、取引所大手が送金手数料2倍に 決済停止する企業も

仮想通貨ビットコインの取引所大手コインチェック(東京・渋谷)は8日、ビットコインの送金手数料を2倍に引き上げるとの声明を発表した。ビットコインの乱高下に伴い取引が集中、それを抑制する思惑があるとみられる。米ゲーム配信サービス企業が7日からビットコインでの支払いの受付を停止するなど、ビットコイン乱高下を巡り、影響が広がりだしている。 8日は値動きの荒さに拍車がかかった コインチェックはツイッターで手数料を12時23分から通常の0.0005BTCから0.001BTCに引き上げると発表した。取引所大手「ビットフライヤー」によると、ビットコインは初めて200万円を超えた。1ビットコイン=200万円とするとコインチェックの手数料は2000円になる計算で、銀行をはるかに上回る水準だ。投資家がビットコインに殺到し送金に遅延が発生していることに伴う措置というが、突然の公表にインターネット上では戸惑いの声が上がっている。 米バルブのゲーム配信サービス「スチーム」は7日からビットコインでの支払いの受付を停止した。取引手数料がビットコイン決済を始めた時期から100倍近くに跳ね上がったことに加え、決済期間内にビットコインの価値が大きく変動し顧客の利便性を損ねかねない事態にあるためだ。ビットコインは8日朝方に200万円台に乗せた後、急落するなど値動きが激しくなっている。 4月にビットコイン決済を始めたビックカメラ(3048)は8日、一会計当たりの上限額をこれまでの3倍の30万円にすると発表した。旅行商品をビットコインで決済できるエイチ・アイ・エス(9603)も手数料を上乗せして販売しているが、今のところビットコイン上昇の悪影響は手数料には表れていないようだ。 ただ、ニッセイ基礎研究所の櫨浩一・専務理事は「ビットコインは乱高下により、決済通貨として使いにくくなっている」と警鐘を鳴らす。「国内でもビットコイン決済について何らかの対応をする企業が出てくる可能性があり、取り扱いを始めようとしている企業は導入に二の足を踏みそうだ」という。連日のように最高値を更新し乱高下を繰り返すビットコイン。企業がどう対応するかに注目が集まりそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN ) 川上純平】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

横綱は「電気自動車」と「ESG投資」 株式相場インパクト番付2017(エクコメ・デリコメ選)

株式相場に最も影響した2017年のできごとは――。QUICKエクイティコメント、QUICKデリバティブズコメントのライター陣が選んだ今年のキーワードは「電気自動車」と「ESG投資」だった。日本の時価総額首位は自動車メーカーのトヨタ(7203)だが、欧州を中心にガソリン車を減らす動きが広がった。背景にあるのは環境意識の高まりで、ESG投資はこれに対応した概念でもある。さまざまなキーワードが浮上した、今年の株式相場を振り返ってみよう。 <株式相場インパクト番付2017> QUICKデリバティブズコメント・QUICKエクイティコメント ライターズ選   ★西★            ★東★  ESG投資     横綱   電気自動車(EV)  ビットコイン    大関   データ不正問題           張出大関  北朝鮮 詳細はこちら⇒番付表 ライター全員からキーワードを選んだ理由も聞いた。「電気自動車」については「英仏や中国が化石燃料車の制限の方針を打ち出したことや、米テスラの新モデル発表などで一気に電気自動車がフォーカスされた」(エクイティコメント担当)や、「テスラの時価総額がGMを上回り、量産EVのモデル3に関心が高まる状況に」(デリバティブズコメント担当)といったことから、今年を象徴する材料という印象につながった。 一方で、直接的に市場や相場に関連するできごととして挙がったのが「ESG投資」だった。ESG投資とは環境や社会的責任、企業統治を重視する企業を選ぶ投資手法だ。「株式の需給に影響を与え始めた元年」(別のデリバティブズコメント担当)という指摘があった。「ただESGで選んだはずの神戸鋼が実は・・・という事態も起きた」(別のエクイティコメント担当者)と、やはり今年後半に目立った検査データ不正問題と表裏であると複数のライターが指摘した。 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資を導入したのに加え、上場企業の4社に1社が「過去最高益」を更新する見通しの中で、新たな銘柄選別の手法としてESG投資が浮上した面もある。コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)などの制度化に積極的な安倍晋三政権が10月の総選挙で大勝し、改めて日本企業の企業統治が進展するという海外投資家の見方も、日本株の追い風になったといった指摘もあった。 敢闘賞には「FAANG」を選んだ。フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)という米株高のけん引役になった5銘柄の頭文字だ。株式相場の概況を書く際には以前から、しばしば「前日の米株高を受けて」などと主要な株価指数の動きを示すことは多い。ただ米国の個別銘柄が、これほど注目されたのは珍しいのではないか。 残念賞は「フリン騒動」。政治家など不倫問題が野党再編のきっかけになるなど、国会や地方議会含め、相次いで不倫が浮上しては騒ぎになった。年末にかけては海の向こうから、米大統領補佐官のフリン氏が解任されるというニュースが伝わるという展開。いずれのケースもどういう結末を迎えるのか依然として不透明だが、騒動になったことは事実だろう。 読者のみなさまは、どのような1年だったでしょうか。そして、2018年が良い1年になりますように。 【QUICKエクイティコメント・山本学】 ※QUICKのエクイティコメントおよびデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKでは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するエクイティコメント、トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えするデリバティブズコメントをオプションサービスでそれぞれ提供しています。  

ビットコイン200万円突破 一時226万円まで上昇 値動き荒く「ペッツコム」の連想も

仮想通貨取引所国内最大手のビットフライヤー(東京・港)によると、8日、1ビットコインあたりの価格は200万円を突破した。ここ1日で約5割値上がりしており、1年前(9万円前後)に比べると、20倍以上に価格が高騰している。一時226万円まで上昇した後は、急速に上げ幅を縮小。荒い値動きが続いている。 ここ2日のビットコインの値動き ビットコインの異常とも言える急騰を受け、米経済専門チャンネルのCNBCは7日、ブロックチェーン技術などデジタル資産を運用するBKCMデジタル・アセット・ファンドのブライアン・ケリー・ポートフォリオマネジャーの見解を紹介した。ケリー氏は現在のビットコインが1995年から始まったインターネットバブルのようだと指摘。その上で、「明らかなのは、ビットコインがペッツコム(Pets.com)のようになるということだ」との見解を示した。 若い人は知らないかも知れないが、2000年にかけてのITバブル(ドットコム・バブル)期に米国でペットをオンライン販売するペッツコムという企業があり、1998年に創業して2000年2月に上場し、一時は時価総額が1億㌦に達したが8カ月後に倒産していた。当時、スーパーボウルで広告を出したということから、「.com」さえ社名に付いていれば実体以上に人気化したことを物語る銘柄だった。ITバブルを乗り越えたドットコム銘柄と言えば、アマゾン・ドットコムやセールスフォース・ドットコムくらいだろうか? ちなみにケリー氏は、「仮想通貨ならビットコインよりもイーサリアムの方に収益チャンスがある」との見解も示したといい、仮想通貨そのものに否定的な見解を示した訳ではなかった。 ほかにも、海外の市場関係者からは様々な声があがっている。 「ビットコインの上昇は一服する兆しを見せない。金といった伝統的なアセットクラスからビットコインに資金が流入しているとみる市場関係者がいる。最近の金の急落の説明がつきそうだ」(CMCマーケッツ) 「最近のビットコインの急騰の裏に投機筋がいるならば、バブルが弾けるまで上昇が続くだろう。ビットコイン先物がシカゴ・オプション市場(CBOE)やシカゴ・マーカンタイル(CME)に上場した後に空売りが可能になるが、勇敢な市場参加者はいるのだろうか」(オアンダ) 「ビットコインは世界の過剰流動性を示唆するカナリアなのかもしれない。バランスシート拡大、低金利、資金供給といった緩和的な金融政策を反映していのだろう」(エバコアISI)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

任天堂が3%高 エヌビディアと組み中国でゲーム配信と報道

7日の東京株式市場で、任天堂株が続伸した。終値は前日比1320円(3.05%)高の4万4480円。英フィナンシャル・タイムズ(FT)など海外メディアは任天堂が米エヌビディアと組み、中国市場に進出したと報じた。膨大なゲーム人口を抱える中国市場を開拓する足がかりになるとの思惑が買いを誘ったようだ。 報道によると、任天堂はエヌビディアの据え置き型ゲームを通じ「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」「ニューマリオブラザーズ Wii」などのゲームの配信を始めた。FTはエヌビディアとの協業で任天堂は中国市場に進出しやすくなるだろうとの専門家の声を紹介している。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。  

元FRB議長、グリーンスパン氏はビットコインをどう語ったか

米連邦準備理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン元議長は6日、米経済専門チャンネルのCNBCに出演し、史上最高値を更新し続ける仮想通貨のビットコインを1775年の米独立戦争時に戦費調達のために発行された通貨・コンチネンタル紙幣に例えた。 当時、13州の代表によって構成された大陸会議がコンチネンタル紙幣の発行を認めていたが、1782年には無価値になったという。 ジョージ・ワシントン初代大統領が戦争中に武器などを購入するのに役立ったというものの、グリーンスパン氏は「コンチネンタル紙幣は本当のモノやサービスを作り出したが、結局は無価値になった事実がある」と指摘。米国がイギリスから独立するという目的を達成したことで、究極的には無価値になるのは当然という見立てのようだ。グリーンスパン氏は米国の歴史書を共同執筆した経歴を持つとのこと。 その上でグリーンスパン氏は「人間が買っている、ありとあらゆるものには何ら価値が無い。カジノでギャンブルに興じる人々は勝ち目がないのに、誰にも止められない」とも述べ、ビットコインに投資する投資家に厳しい見方を示した。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

「慢心」が生んだ株急落 2カ月連続の波乱

6日の東京株式市場で日経平均株価は前日比445円安の2万2177円と今年最大の下げ幅だった。午前11時30分以降に出た株価指数先物へのまとまった売りをきっかけに、オプション市場でプット(売る権利)の売り方の持ち高解消が膨らみ、先物への売りが売りを呼ぶ展開となった。相場の大幅下落はないとの「慢心」が生んだ急落といえそうだ。 日経平均株価や日経平均先物12月物は、下値支持線とみられた25日移動平均線のある2万2500円近辺を午前に下回った。テクニカル分析上は相場の調整色が強まることになる。現物株市場が昼休みに入った11時30分すぎ、先物市場で大口の売りが出て日経平均先物の下げ幅は300円を超えた。その地合いのまま、午後の下げ相場になだれ込んだ。 何が起きたのか。発火点となったのはオプション市場だ。「プットの売り方が急激な下げに対応するため、買い戻しを入れた」(投資助言会社フェアラインパートナーズの堀川秀樹氏)。プットを売った市場参加者は、日経平均が急落して権利行使価格に到達すると取引相手の損失を埋め合わせる義務が生じるため、その回避に動く。売ったプットを急いで買い戻すのに加え、「株価指数先物や銀行株に対してヘッジ売りを膨らませた」(国内の機関投資家)。これが売りが売りを呼ぶメカニズムだ。 焦点となった日経平均オプション。2万2000円から2万1000円のプットの建玉(未決済残高)はそれぞれ1万枚を超える水準まで膨らんでいた。21円で始まった2万2000円プットの価格は、激しい買い戻しのすえ5倍の110円まで急上昇。11月後半以降の日経平均の戻りで安心し、目先はあまり大きく下がらないと想定し、2万2000円前後のプットを売っていた人が多かったことが裏目に出た。 オプション市場の取引は相場変動率の急上昇につながった。「日本版恐怖指数」と呼ばれる日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は日経平均の下落とプットの売り方の損失覚悟の持ち高解消の影響を受けて急上昇。13時31分には前日比9%高の18.28を付けた。 相場変動率の上昇を嫌うシステムトレード系の売りも、相場の下げを加速させた可能性がある。野村証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは海外投資家の一種である商品投資顧問(CTA)について「日経平均先物が2万2200円を下回ったところから売りを活発化させた」と指摘する。 フェアラインパートナーズの堀川氏は「1カ月前と逆の動きだ」と話す。約1カ月前の11月9日の日経平均。さしたるきっかけもないままぐんぐん上げ幅を広げ、取引時間中に26年ぶりとなる2万3000円台を回復した。このときは想定外の相場上昇に対しコール(買う権利)の売り方が、コールの買い戻しや株価指数先物へのヘッジ買いを膨らませた。株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出を直後に控えていた点も同じだ。 株式相場は2カ月続けてSQ算出前の波乱となった。きょうの下落は、先週後半までの戻り相場の継続に懐疑を投げかけるきっかけとなりそうだ。中東情勢の悪化懸念やアジアのハイテク株安など外部要因も悪化している。年末の株高に向けたハードルはますます上がった。 【日経QUICKニュース(NQN) 張間正義】  ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

東海カ(5301)が値上がり率トップ ちょっと早い今年のベスト・ワースト銘柄

「流行語」「今年の一皿」など、12月に入って1年を振り返る企画が目立ってきたが、株式相場の2017年を振り返ってみよう。日経平均採用の225銘柄について、5日終値で昨年末と比較したランキングを作ったところ、値上がり率の首位は東海カ(5301)だった。 東海カは、タイヤなどの材料になるカーボンブラック(炭素主体の微粒子)大手で、製鉄用の電炉に使う黒鉛電極の首位。2017年12月期業績の会社予想は、すでに3回も上方修正した。1度目は5月9日。カーボンブラックの販売数量増と価格上昇を主な理由に挙げた。2度目の7月31日は黒鉛電極の販売数量増とカーボンブラックの値上げを挙げた。3度目の11月2日には、これらに円安が加わった。今期の純利益は08年12月期以来9期ぶりに100億円を上回る。 3位には昭電工(4004)の名前も見える。昭電工は10月に黒鉛電極を製造する独SGLカーボンの黒鉛電極事業を買収したが、このうち米国事業は独禁当局の要請で獲得できなかった。いったん買収した米国事業の売却先が東海カだった。中国政府が粗鋼生産の削減や、環境規制の面から違法な粗鋼生産の取り締まりを強化しているうえ、北米で鉄鋼需要が堅調とあって、黒鉛電極の需要も回復しているという。米国事業こそ取得できなかったが、独社から欧州・アジアの黒鉛電極事業を取得したことで、同事業で世界最大手になった。 相場のテーマとしては電気自動車(EV)やフィンテック、道具やセンサーなどの物をネットにつないでリアルタイムで情報処理する「IoT」など、折に触れて新技術が話題になった。ただ主力銘柄を集めた日経平均を見ると、化学や鉄鋼のほか東エレク(8035)やSUMCO(3436)といった半導体関連など典型的な景気敏感株が買われていたことが分かる。 <日経平均採用銘柄の値上がり率上位> ※12月5日終値を2016年12月30日終値と比較 最も値下がりしたSUBARU 一方、値下がり率の上位で目立つのは自動車だ。4月1日に富士重から社名変更したSUBARU(7270)が首位。タカタ製のエアバッグを採用した自動車のリコール(無償修理・回収)に伴う費用に対する懸念が重しになった。特にSUBARUは、無資格の従業員が完成検査に携わっていた問題も発覚し、一段と株価の重荷になった。 タカタのエアバッグと無資格検査という同じ問題が影響した日産自(7201)も20位に顔を出した。ただSUBARUがこれまで18年3月期の業績予想を2回も下方修正したのに対し、日産自は今期の業績予想を維持しており、これが順位の差につながったとみられる。 2位の大平金(5541)は5期連続の最終赤字を見込む。ステンレス鋼の主材料であるフェロニッケルを製造するが、原材料価格が上昇する一方、マージンの改善が見込めないとして、収益の先行きに不透明感が強いようだ。不振の造船事業再編に出遅れた三菱重(7011)や、大型新薬の特許切れを来期に控える大日住薬(4506)も上位に並んだ。 <日経平均採用銘柄の値下がり率上位> ※12月5日終値を2016年12月30日終値と比較。▲はマイナス 業績による銘柄選別が効く 日経平均採用銘柄の値上がり・値下がり上位の顔ぶれからみると、今年の相場の特徴は3つにまとめることできそうだ。 (1) 業績による銘柄選別が効いている (2) 特に部品や素材、製造装置など海外需要銘柄が好調 (3) 不祥事銘柄は売り つまり、通常の市場機能が働いているということではないか。上場企業の4社に1社が過去最高を記録する中にあって、それに見合った相場水準を維持している可能性が高い。日経平均は一時バブル経済崩壊後の最高値を付けたが、日本株に関しては、どんな銘柄も一斉に買われるようなバブルの状況ではなさそうだ。 市場関係者から多く聞かれる「過熱感はない」との実感を、物色動向からも裏付けたといえそう。日経平均採用銘柄のPER(株価収益率)が5日終値で14.9倍と、それほど高くない状況とも整合的だ。したがって来年の相場を見通すうえでは、企業の収益動向に目を凝らすという、王道を歩み続ければよいということだろう。 【QUICKエクイティコメント・山本学】 ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「いぬ笑う」で来年も株高か 平均上昇率は9.8%

 師走に入り、2017年も1カ月を切った。十二支の酉(とり)年にあたる今年の東京株式市場は、日経平均株価が四半世紀ぶりの高値に急上昇し、「申(さる)酉騒ぐ」の格言通りの展開となった。18年は戌(いぬ)年。「戌笑う」にならえば、来年も相場の上昇が続く見通しだ。  今年の日経平均を振り返ると、年初から11月末までに3610円(18.9%)上昇した。年末に2万3000円を回復すれば2割高となる。日経平均の算出が始まった1950年以降、5回の酉年の上昇率は平均15%。このままいけば、今年は平均を上回ることになる。  戌年の日経平均の勝率は80%と、亥(い)年や酉年と並び、申年の83%に次ぐ2位。平均上昇率は9.8%と十二支では7位だが、勝率は悪くない。06年の上昇率は6.9%で、94年は13.2%だった。82年は4.4%だったが、58年は40.5%と大幅に上げた。唯一下げた70年は世界的な投資信託の運用会社を巡る不安が世界株安につながった「IOSショック」で、15.8%安となった。  干支(えと)は十二支と十干(じっかん)からなる。18年は十干でいうと戊(つちのえ)。戊の戦後の勝敗は4勝2敗だ。勝ち星の方が多いが、直近の戊である08年は米リーマン・ブラザーズの破綻で日経平均の下落率が42.1%と過去最大を記録した。98年の戊は日本長期信用銀行(現新生銀行)や日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)が破綻し、年間で9.3%安となった。  来年は60年に一度の「戊戌(つちのえいぬ)」だ。前回の1958年の戊戌に日経平均は4割高となった。当時はちょうど「岩戸景気」が始まったころだが、足元はアベノミクスで戦後2番目に長い景気回復期にある。  みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは来年の日経平均は上昇しても1桁台にとどまると予想する。「すでに17年に大幅高となったため、来年の上昇余地は限られそうだ」という。来年の話をすると鬼が笑うが、戌はしっかり笑ってくれるだろうか。 【日経QUICKニュース(NQN) 三好理穂】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

新天皇即位で10連休? 皇位継承&改元関連銘柄は・・・

天皇陛下が2019年4月30日に退位し、皇太子さまが19年5月1日に新天皇に即位、新元号に切り替える日程が固まった。これを受けて、19年の大型連休(GW)は10連休になるかもしれないと話題になっている。株式市場ではレジャー産業が注目されそうなほか、改元に伴う印刷需要増加の思惑から印刷関連株に個人マネーが流入している。 政府は12月8日の会議で、退位の時期を定める政令を正式に決定する予定。 19年のGWは現状、飛び石となる予定だ(図表参照)。しかし、皇太子さまが即位する5月1日が祝日になった場合、国民の祝日に関する法律第3条第3項の「前日と翌日の両方を『国民の祝日』に挟まれた平日は休日になる」との規定に基づき、4月30日と5月2日が休日となる。 4月27日土曜日から、振替休日の5月6日までの10連休が実現すれば、まとまった休みを利用して国内より海外旅行に出かける人が増えるかもしれない。旅行関連銘柄といえば、JAL(9201)やANA(9202)、エイチ・アイエス(9603)、KNTCT(9726)といった主力銘柄に加えて、熟年向けに秘境巡りツアーを提供するユーラシア(9376)、ネット販売に特化した旅行会社エボラブルアジア(6191)など独自色を打ち出す銘柄もある。 印刷需要にらみ光村印や光陽社などが買われる 元号改正に伴う関連銘柄は早くも個人投資家の間で話題になっている。皇室会議で退位日などが固まった12月1日、印刷需要が増加するとの思惑から光村印(7916)や商業印刷に強みを持つ光陽社(7946)が買われた。光陽社は一時前日比で約13%上昇する場面もあった。官公庁や企業、金融機関向けのデータ印字などを手掛けるカワセコンピュータサプライ(7851)や、硬貨や紙幣に新元号が刻印されるため、貨幣処理機大手の金銭機(6418)なども関連銘柄の一角として挙がっている。1989年に元号が平成に決まった際もこうした銘柄が注目された経緯がある。 ただ、足元のIT化の進展に伴う書類の電子化などにより、さまざまな印刷物の刷り直し需要は限定的になる可能性があるほか、今回は改元までに準備期間があるため、関連銘柄の業績への影響はじわじわと波及する展開になりそうだ。政府は菅義偉官房長官をトップとする組織を立ち上げ、退位や即位の儀式のほか、新元号制定の準備を進める。2018年中には新元号を発表する見通しだ。 菅義偉官房長官

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