重荷になった「3%」と「3M」 米ダウ平均が大幅安

24日の米株式市場で主要株価指数のダウ工業株30種平均が大幅に5日続落し、前日比424ドル56セント(1.73%)安の2万4024ドル13セントで終えた。10年物の米国債利回りが3%の大台に乗せたことから、長期金利の急激な上昇を警戒し、幅広い銘柄に売りが出た。 1~3月期決算を発表した米建機大手キャタピラーが6.20%安、米工業製品大手スリーエム(3M)が6.83%安と急落したのも響いた。ダウの下げ幅は一時619ドルに達した。 ダウの値下がり寄与度のトップは3Mで、101ドルほどの押し下げ要因となった。1~3月期決算の発表とともに通期の1株利益(EPS)の予想を引き下げたため、失望売りが膨らんだ。一時は196.89ドルまで下げ、2017年5月22日以来11カ月ぶりの安値圏に沈んだ。決算説明会で「エネルギー価格の上昇が輸送や原材料コストを押し上げている」として先行きに慎重な見方が示された。 キャタピラーとともに原材料コストを収益圧迫要因に挙げたことで、ボーイングなど決算を控えた他の資本財株にも売りが波及。3M、ボーイング、キャタピラーだけでダウを234ドルほど押し下げる要因となった。 この日のダウ採用銘柄は値下がり24、値上がり6で軒並み安の展開だった。値上がり寄与度トップはベライゾンで6ドルほどの下支え要因となった。(片平正ニ、伊藤央峻) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米10年金利いよいよ3%目前 ドルも全面高、108円後半 【US Dashboard】

23日の米国債券市場で米10年金利は2.997%と2014年1月以来、約4年3カ月ぶりの水準まで上昇して3%の節目に迫った。 外為市場では金利差拡大を受けドル全面高の展開となり、ドル円は108円75銭と約2カ月ぶりの円安・ドル高水準を付ける場面があった。 2月の米金利上昇はリスクオフ要因となり、株安や円高・ドル安をもたらした。今回も株価の上値を抑える要因にはなっているものの、小幅な下落に止まっている。 【米長期金利と円・ドル相場の値動き】 一方、同日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に4日続落し、前週末比14ドル25セント(0.05%)安の2万4448ドル69セントで終えた。米10年債利回りが一時2.99%まで上昇したものの、節目の3%を上回れずに伸び悩むと足元で買われていた金融株が売られ、ダウの重しとなった。ゴールドマン・サックスが大幅続落し、終値は2.09%安の246.67ドル。ゴールドマン1銘柄でダウ平均を36ドルほど押し下げ、指数の重しとなった。バンク・オブ・アメリカは0.19%高で小幅に3日続伸したが、JPモルガン・チェースが0.48%安、シティ・グループが0.74%安となり、金融株ETFで純資産が最大の金融株スパイダーETFは0.10%安で終えた。(池谷信久、片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKデリバティブズコメントでは特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。

木内・前日銀審議委員「物価目標の柔軟化必要」 QUICK月次調査セミナー、ベストポートフォリオも討議

QUICKは20日、東京・中央区の本社に市場関係者を招き「QUICK月次調査セミナー」を開いた。今年のテーマは「日米金融政策の行方と2018年度の投資ベストポートフォリオ」。基調講演した前日銀審議委員の木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストは日銀が掲げる2%の物価目標について「通常のインフレ目標としては高すぎる。物価目標の柔軟化が必要だ」などと語った。 QUICKは毎月、株式や債券の運用担当者やアナリストたちを対象に市場の動向や投資スタンスなどを調査している。セミナーは年に1回、月次調査の回答者を対象に開いており、今年は債券と株式の関係者あわせて74人(昨年は60人)が参加した。 木内氏は「9月の自民党総裁選や、日銀が10月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)を発表するあたりから、2%物価目標の位置づけを考え直すことを示唆する情報発信が出やすい」との見方を示した。10月の展望リポートを発表する際、2%の達成時期を20年度ごろに先送りする可能性がある一方、9月の自民党総裁選に向け、政府がデフレ脱却宣言を出す可能性もあるとの見通しを示した。 「今後5年の日銀の金融政策は? 異次元緩和の出口戦略」と題して講演する木内氏 長期金利ゼロを掲げる日銀の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)については「構造的な欠陥がある」と強調。現在の10年物国債利回りを0%程度とする目標を、5年債利回り、将来的には2年債利回りへと短期化していく方法があると示した。 また、黒田東彦総裁の再任は「2%の物価目標に対する政府のこだわりがそこまで大きくない」ことの表れだとして、現在の金融政策を修正する余地があるとも指摘した。(金融緩和に積極的な)リフレ派が日銀総裁に就任することが「最悪のシナリオだった」とし、黒田氏の再任を「良かった」と評価した。 基調講演に続くパネルディスカッションは、ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸・金融研究部年金研究部長兼年金総合リサーチセンター長をコーディネーターに、コモンズ投信の伊井哲朗・社長兼最高運用責任者と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストが「株式チーム」、三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケットストラテジストと三菱UFJ国際投信の小口正之・債券運用部チーフファンドマネジャーが「債券チーム」となり、18年度のベストポートフォリオについて議論した。 伊井氏は企業統治を重視する「『ESG投資』の動きが加速してきている」と述べ、ESG投資に収益機会があるとの見方を示した。日本株を強気にみていると言い、とりわけ「日本の強みはロボティクス。そういったファンドは多少(相場全体の)調整があっても強い」と強調した。 芳賀沼氏は株式と債券を比べると株式に強気だと述べた。国内はすでに完全雇用に近づいており、ある程度賃金が上がると指摘。デフレ脱却の見方が出てくるとしたうえで「早い時期に日経平均株価は2万4000円に到達するのではないか」と予想した。 一方、瀬良氏は米国債券と欧州債券に強気な見方を示し、「欧州債は米国債と比べても魅力がある」と述べた。特にフランスやスペインの国債が投資対象としての魅力が高いと分析した。 小口氏は13年のバーナンキ・ショックや08年のリーマン・ショックなど5年ごとにショックが起きてきたことに注目していると指摘。先行きのリスクについて「アベノミクスの逆のショックか、日銀ショック。急速に政策が変わる可能性はある」との見方を示した。 今回のセミナーでQUICKは、基調講演とパネルディスカッションを挟んで来場者に国内株や米国株など9つの資産クラスに対する18年度の見通しをスマートフォンで回答してもらい、即時に結果を集計・公表するというインタラクティブ(双方向)な手法を新たに取り入れた。この結果、セミナー後に国内株式に対する強気な見方が一段と増え、米国債券への弱気な見方が後退。一方、新興国株式への強気な見方が大幅に減った。 【日経QUICKニュース(NQN) 菊池亜矢】   ※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

アップル安⇔円安 綱引きの日本株

アップル株の下落で悪化した投資家心理を、米長期金利の上昇を受けた円安でどこまで相殺できるのかーー。足元の日本株は強弱の材料が綱引きする相場展開となりそうだ。 まずは、売りが続いているアップル。先週末の20日は3日続落したうえ、下落率が4%を超え、ダウ工業株30種平均の押し下げに大きく寄与した。ここにきて意識されるのが先行きの業績に対する警戒感だ。   この日はモルガン・スタンレーのレポートが話題となった。他社に比べ販売台数を大幅に切り下げた。弱気に転じたのはモルガンだけではない。UBSは16日付で中国市場におけるアイフォーンの販売がピークを越えたと指摘していた。これにサプライヤー側の慎重な業績予想も加わるだけに現実味も増す。日本でも改めて関連銘柄の値動きに関心が向かいそうだ。 前週末の米株式の重荷として働いたのは米長期金利も同じだ。10年物国債利回りが2.96%まで上昇し、2014年1月以来、約4年3カ月ぶりの高水準になった。23日の時間外取引では一時2.970%まで上昇し、いよいよ節目の3%が見えてきた。背景には期待インフレ率の上振れがある。足元で原油高が加速しており、インフレ率の上昇を織り込む展開と言えそうだ。 さすがにドル円も反応し、週明け早朝の外国為替市場では1ドル=107円台後半で取引が進んでいた。こちらは日本株にとって追い風となる。これに地政学リスクの後退も加わる。北朝鮮は週末に21日から核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を中止すると表明した。 一大イベントである米朝の首脳会談を控える4~6月期。地政学リスクの変化を市場がどう織り込むかがカギを握るが、悪化はしていない。朝鮮半島の非核化につながるかどうか。疑い深い目線を送り続けざるを得ないのも事実だ。(岩切清司、池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

今夜、3月の米雇用統計発表  雇用者数の伸びは鈍化か

6日の日本時間午後9時半、3月の米雇用統計が発表される。非農業部門雇用者数の市場予想は前月比19万5000人増と、大幅に上振れた2月の31万3000人増から伸びは鈍化するが、高水準が維持される。ただ、控えめな結果を見込む市場関係者もおり、実勢はもう少し低い水準かもしれない。失業率は4.0%と5カ月続いた4.1%から低下する見込みだ。 特に注目されているのが、時間当たり平均賃金の伸び率だ。2月の米長期金利上昇は平均賃金の上振れが起点になり、3月の金利低下は平均賃金の伸び悩みが一因となった。 3月の平均賃金の伸び率は前年比で2.7%と前月の2.6%から加速が見込まれている。予想以上に強い数値が出れば、インフレ懸念の再燃から米金利が上昇して、株式市場などにも影響を与える可能性がある。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。    

米インフレ懸念は加速するか 13日のCPIに注目

3月9日発表の2月の米雇用統計は、景気動向を映す非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大きく上回る強い結果になった一方、時間当たり平均賃金は前月から減速し、市場予想も下回った。 マーケットではインフレ懸念やFRBの利上げ加速への警戒感が高まることはなく、米長期金利の上昇は小幅にとどまり、株価は堅調に推移した。 インフレ関連指標として今週は、13日(日本時間同日21:30)に2月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。2月の米長期金利上昇は同月2日発表の雇用統計を起点とし、CPIの上振れで加速した。今回もCPIが上振れるようなら、インフレ懸念が高まり、金利や株価に影響を与える可能性もある。 QUICK FactSet Workstationによると、2月のCPIの市場予想は前年同月比で+2.2%と1月の2.1%から上昇。コア指数は1.8%と前月から横ばいが見込まれている。   (QUICK FactSet Workstationより) 足元で米BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、債券市場が織り込む期待インフレ率)は高水準を維持。 CMEのFEDウォッチツールによると、2018年にFRBが年4回以上の利上げする確率は33.7%(前日33.8%)、年3回は39.7%(同39.4%)と概ね横ばいになっている。  (QUICK FactSet Workstationより)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

利上げ加速か パウエルFRB議長証言、ポイントはここ

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル新議長は27日、就任後初の議会証言に臨んだ。議長は米経済情勢について「年3回の利上げシナリオを提示した昨年12月に比べ、景気見通しは強まっている」と指摘。物価見通しに関しても「(2%の)目標に向かって上昇すると確信を深めている」と強調した。議長証言を受けて、金融・資本市場ではFRBが利上げペースを加速するのではないか、との見方も浮上した。 ▼米長期金利、一時2.92%まで再浮上 議会証言を受け、27日の米10年物国債利回りは一時、2.92%まで上昇した。パウエル議長の証言内容が想定より「タカ派」と受け止められ、改めて年内に4回の利上げが意識された。 ▼米株、引けにかけ急落 米株式市場では、ダウ工業株30種平均が引けにかけて下げ幅を拡大。S&P500採用銘柄はほぼ全面安となった。 ▼年4回利上げ確率が上昇 フェデラルファンド(FF)金利先物の動きから、市場の利上げ予想を占う米CMEのFEDウォッチツールによると、パウエル議長の議会証言を受け、FRBが2018年に4回利上げする確率は33.5%と、前日の24.4%から上昇した。 ▼「物価指標、目標まで回復する確信」が最重要発言~JPモルガン JPモルガンはパウエル議長の証言内容について、27日付のレポートで「最も特筆すべき点は2018年の利上げ回数が年3回で適切かどうかという質問に対するパウエル議長の回答だ」と指摘した。その議長発言とは「17年12月と比べて、物価関連の指標はインフレ率がFRBの目標(2%)まで回復するという確信を高めている」とした部分。 ▼年4回利上げを示唆~BMOキャピタル・マーケッツ BMOキャピタル・マーケッツは27日付のレポートで、「パウエル議長が質疑応答で、最近の経済指標で物価がFRBの目標まで上昇するという確信が高まったと発言したことが目立った」と指摘した。「グローバルで景気は強含み、財政政策は景気を押し上げるとの見方も示した」こともポイントという。そのうえで「当社はパウエル議長の議会証言は、経済が想定通りに成長すれば、年4回利上げを示唆する内容」と分析した。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

「パウエル・プット」期待は過剰? FRB新議長、注目の議会証言へ

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル新議長が米東部時間27日午前10時(日本時間28日午前0時)から、米議会下院の金融サービス委員会で議会証言する。イエレン氏から議長の座を引き継いだ後、公の場で金融政策運営について質疑に応じる「デビュー戦」。追加利上げが確実視されている3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降の利上げペースを占ううえで重要なイベントとなる。 市場関係者の間では、米国を中心に世界の金融・資本市場が混乱した後だけに「パウエル・プット」に対する期待が根強い。 「プット」とは、オプション取引で「売る権利」のこと。 2008年のリーマン・ショック以降、金融市場が混乱する場面や株安局面で、バーナンキ元議長やイエレン前議長が具体的な危機対応のほか、投資家が警戒する過度な金融引き締め懸念を和らげる「口先介入」で株高を事実上演出してきたことから、FRBが「高値で売る機会=プット」を用意してくれるとの期待が広がり、歴代のFRB議長の名前に「プット」をつける俗語が生まれた。株式市場の中央銀行頼みを象徴する言葉とも言える。 議長就任早々に「パウエル・プット」への期待が米市場に広がったのは、2月上旬から突如として始まった株式市場のボラティリティー急騰劇がある。米ダウ工業株30種平均が1日で1000ドル超も下落するなど急激に投資家心理が冷え込んだ。 それまで歴史的低水準にあったボラティリティーが急変したきっかけは米長期金利の上昇との見方が一般的。米労働市場の改善が進み、低迷していた賃金の伸び率に持ち直しの兆しが鮮明になった。結果的にFRBの政策金利の引き上げペースがインフレ対応のために想定よりも早まるとの見方が米国債売り(金利上昇)につながったと言える。 ※米国債10年利回りは3%をうかがう水準まで上昇してきた。 そうなると火消し役はFRBしかいない、ということになる。これが今の「パウエル・プット」の実態だろう。 大和証券の山本徹チーフストラテジストはさらに政治要因も加わると見る。「トランプ米大統領にとって株高は大切な経済要因の1つ。今秋には中間選挙も控えるだけに与党共和党も株価水準を維持したい。議会証言では『パウエル・プット』への誘導尋問が展開される可能性がある」と話す。 具体的には市場混乱のきっかけとなった長期金利上昇について、議員がパウエル氏に対して見解を問う展開だ。さらにはFRBの年内利上げペースにまで踏み込む質問も想定される。この際、パウエル氏がどう回答するかが焦点となる。 イエレン体制下のFOMCでは2018年は3回の利上げを想定していた。いくら景気拡大が続き物価上昇率が持ち直しているとはいえ、「年4回にペースを引き上げる」とは間違っても言えないとの見方が大勢を占める。 「パウエル議長は13日に宣誓式に臨んだが、その後の公式コメントで『金利およびバランスシートの緩やかな正常化を進めるとともに、金融市場の安定に対するリスクも警戒している』と表明した。この金融市場への配慮とも取れる発言を踏まえると、パウエル議長は金融市場混乱の発端とも言える米長期金利急騰を助長するような、タカ派色(利上げ加速、4回以上シナリオ)は強めないだろう」(みずほ証券の岩城裕子シニア外債ストラテジスト)。 一方、年3回のペースを緩める姿勢を示すのも難しい。政策の連続性に疑問符が付くうえ、米国の財政はこれから大型減税による財政出動を控える。景気の過熱や財政の悪化が視野にあるだけに相対的な緩和政策に軸足を移すわけにもいかない。 また、米株式市場も落ち着きを取り戻した。ナスダック総合指数は既に2月中の急落幅を取り戻し、既に月間ベースではプラスに転じている。 ※パウエル議長の議会証言を前に、26日の米株式市場で主要3指数は軒並み大幅高。ナスダック総合は月足で上げに転じ、S&P500採用銘柄ではハイテク株の上げ(=緑色)が目立った。 結局、パウエル議長はこれまでのFOMCの見解を踏襲する可能性が高い。過度に市場を甘やかしたところで得策でもないだろう。むしろ「今回の議会証言で過度にハト派の姿勢を示さなければ、パウエル・プットは今後の口先介入のカードとして温存できる」(山本氏)。 米株式相場が戻ってきているため、無風通過となる可能性もあるが、戻り相場の要因がパウエル・プットにあったとすれば、「失望と受け止められ、短期的なボラティリティーが再燃するリスクも残る」(岩城氏)と言えそうだ。     ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

タカ派のFOMC議事要旨 市場は乱高下 米長期金利、2.95%台に上昇 

米連邦準備理事会(FRB)は21日午後2時(日本時間22日午前4時)、1月30~31日に開いた前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。議事要旨によると、多くの委員が「昨年12月に示した景気見通しを引き上げた」と指摘。「上向きの緩やかな利上げ軌道が適切になる可能性が高まった」として、利上げペースが加速する可能性があるとの見方で一致した。 公表後、米国市場では議事要旨の内容が「タカ派」的と受け止められ、米長期金利が急上昇。米10年債利回りは2014年1月以来となる2.95%台に上昇した。 ダウ工業株30種平均は続落し、166.97ドル(0.66%)安の24797.78ドルで終えた。一時は25267.399ドルまで上昇して前日比で303ドル高と堅調だったが、米東部時間14時に発表されたFOMC議事要旨を受け、日中高値から470ドルほど下げてこの日の安値圏で終えた。 下落寄与度トップはホームデポで25ドルほどの押し下げ要因となった。値下がり銘柄数は26で、ほぼ全面安だった。 外国為替市場ではドル買いにつながり、ドルインデックスは90台に乗せて推移している。   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

米長期金利、なぜ上がる① 30年の低下局面に幕引き、大転換期に突入も

「債券の時代は終わった」――。かつての債券王、ビル・グロス氏は在籍している米運用大手ジャナス・キャピタル・グループのサイトに掲載した1月の投資レターで確信を持って宣言した。米国の債券相場に慎重なのは同氏だけではない。現在、「新債券王」と呼ばれるダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏も米10年物国債利回りが2.63%を上回ると上昇が加速するとしていた。米10年物国債利回りは14日に一時、2.92%を付け、2014年1月10日以来ほぼ4年1カ月ぶりの高水準に達した。今まさに米債券の大御所の見立て通りの展開になりつつある。 改めて米長期金利のたどった足取りを振り返ってみよう。1970年代から80年にかけ高インフレと高失業率を背景にアメリカ経済は低迷していた。物価高が長期金利に影響を及ぼし、米10年物国債利回りは81年に15%を突破した。 ※QUICK FactSet Workstationより ただ、その後はインフレが次第に落ち着きを取り戻すと長期金利も低下。長期チャートでトレンドラインを描画すると、最近までの金利低下の起点は87年ごろとなる。景気循環の影響を受け中短期で金利は上下したものの、長期的には右肩下がりを演じてきた。 金利低下の背景には「名目GDP成長率の鈍化がある」(大和証券の永井靖敏チーフエコノミスト)との見方が大勢を占める。物価変動の影響を反映したGDPの鈍化は、インフレ率の落ち着きを反映した側面もあった。 さらに2008年のリーマンショックで世界的に経済の需要が急縮小。米国にも影響がおよび物価の伸び悩みが鮮明になる。一時はディスインフレの様相が強まり「ジャパナイゼーション(日本化)」懸念に対する議論まで浮上した。懸念が後押しするように米長期金利は一段と低下し、1.5%程度を付けた。 需給面ではアジアに大きなバイヤーが誕生したことも大きい。日本と中国だ。2000年代以降のデータでは日本が先行して米国債を積極的に購入。世界の工場へと成長した中国には潤沢な外貨が溜まるようになった。その資金を管理するためにも米国債の運用を拡大せざるを得なかった。貿易上のインバランス(不均衡)、財政面のファイナンスを日中のマネーが担った。 ※QUICK FactSet Workstationより  さらに金融危機時に踏み切った米連邦準備理事会(FRB)の量的金融緩和策(QE)も市場から米国債を吸収。需給は引き締まりやすかった。 ※QUICK FactSet Workstationより ただ、その後はFRBによる緩和的な金融政策に加え、景気の持続的な拡大が米労働市場の改善を促した。直近の失業率は4.1%と約17年ぶりの低水準を維持。新規の雇用も継続的に増加し米経済は現在、完全雇用の状態にあるとされる。 市場が注目してきた賃金の増加も加速の気配を見せ始めた。米金利を取り巻く環境に大きな変化が始まった可能性が意識されるようになった。 2.92%まで上昇した米長期金利。約30年にわたり上昇を抑制してきたかのようなトレンドラインを明確に上抜けた格好だ。このあたりが新・旧の債券王に金利上昇の確信を持たせている。 このまま米長期金利は上がり続けるのか――。「米長期金利、なぜ上がる②(20日配信予定)」以降で米景気、FRBの金融政策、需給に関して詳しく解説する。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

債券安・株安の連鎖は止まるか? 日銀オペに注目

日米欧のグローバル・スティープニングは株式市場にも波及。NYダウが一時411ドル安となるなど、30日の内外株式相場は全面安の展開になった。恐怖指数のVIXは一時15.42まで上昇し、昨年8月18日以来、約5カ月ぶりの高水準に達するなど、市場の不安心理は高まっている。 今回の米金利上昇は、FRBの利上げに加え欧州債利回りの上昇が発端となった。ECBの緩和解除に対する期待値が急速に高まり、欧州金利が上昇。為替市場ではユーロ高が進んだ。フローで考えれば米金利上昇を抑えていた欧州市場からの投資が逆流した形だ。 同様のことが、日米間でも起こっている。日銀の早期緩和解除観測は、円債市場関係者からみれば「考え過ぎ」なのだろう。しかし、昨年末にかけてLCH-JSCCスプレッド(ロンドンと日本のクリアリングハウス間のスワップレートの差)が急拡大するなど、海外勢を中心に日本の金利上昇観測は強まった。国内勢からみたフローとしては、ヘッジコストの上昇により米債投資が難しくなったことや、米長期金利(価格下落)による損失確定の売りも出たとみられる。米債への投資は減少、米金利上昇を促すとともに、円高・ドル安要因になった面もありそうだ。 30日の米国市場でも米10年債利回りは2.7%台を維持しており、さらなる金利上昇への警戒感が燻っている。CMEのFEDウォッチ・ツールによると、2018年に3回以上利上げする確率は6割程度。FOMCの想定見通しである、3回を織り込み切れていない。そういう点では、まだ金利上昇余地は残されている。 一方、同じFOMCにおける長期の政策金利見通しである「longer-run」は2.75%。FOMCの金利見通しを超える金利上昇を市場が織り込むほどの材料は出ていない。長い目でみれば、ここからの金利上昇余地は限られるとも考えられる。 ただし、相場は動き出すと水準論が通じなくなることはよくあるケース。特に日本は期末を控え、決算要因による需給に振らされやすい時間帯にある。海外投資で出た損失を埋めるとすると、国内で何らかの益出しが必要になろう。 17年3月末と9月末のレートを確認すると、中長期ゾーンの含み益は乏しく、益出しをするとすれば超長期ゾーンが中心になる。一方、株には含み益が残っているとみられ、益出し売りが出るとすれば、そのあたりになる可能性がある。益出しの動きが、グローバル・スティープニングと株債券の連鎖安加速の一因になるかもしれない。 昨日、10年債利回りは一時0.095%と日銀指値オペが意識される水準まで上昇した。ただ、引値は0.09%で夜間取引の持ち直しを見る限り、本日は落ち着いたスタートとなり、指値オペも見送られよう。 しかし、今月9日のオペ減額による他市場の反応の様に、予断は許さない。日銀による金利上昇抑制期待が相応にあれば、10時10分をオペ通知をきっかけに、マーケットが動き出す恐れもある。 日銀は10年債を対象にした指値オペを過去2回入れている。1回目は2017年2月3日。10年債利回りは2日に0.115%まで上昇、3日の日銀のオペが注目されていた。日銀は10時10分の通常のオペで、「当面の買入予定」における初回予定額4100億円から、4500億円に増額する異例の対応を行った。しかし、市場では期待外れと受け取られ、10年債利回りは0.15%まで跳ね上がり、12時30分に指値オペを入れざるを得なくなった。指値のレートは0.11%。 2回目は2017年7月7日。6日には0.10%まで上昇し、2月の指値オペ0.11%に近づいた。この時は10時10分のオペで0.11%の指値オペを通知。市場は落ち着きを取り戻した。 1回目は「後手に回った」、2回目は「先手を打った」というのがマーケットの評価になっている。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

グローバル・スティープニングでどうなる? 米長期金利、一時2.7%突破

29日の米国債市場で米10年債利回りは一時2.72%台へ乗せ、2014年4月以来約3年9カ月ぶりの水準を付けた。欧州中央銀行(ECB)の金融政策の早期正常化観測が背景にあり、独10年債利回りも0.69%と2015年9月以来、約2年3カ月ぶりの水準まで上昇した。 米国とドイツの長期金利の推移 (チャートはQUICK FactSet Workstationより作成) 今朝の日本経済新聞21面に掲載された「10年債・40年債 利回り差が縮小」という記事をみると、「残存10年超の日銀国債買い入れ減額か?」と身構える市場参加者もいるのだろう。「日銀国債買い入れ減額→緩和縮小→円高」と連想する動きに加え、こうした思惑を牽制する動き(たとえば「財務省・金融庁・日銀、円高、投機筋を警戒。市場を注視」)も意識される。「円高が進行する過程では日銀は動けない」との見方がコンセンサス化する一方、「為替が落ち着けば、日銀はイールドカーブの過度なフラットニングを修正してくる」(→超長期債の買い入れ減額を実施する)という見方も”浸透”しているようだ。   米10年債利回りはトランプラリーの最高利回り「2.639%」(2016年12月11日)を上抜け、損失確定売りが”淡々”と”着実”に執行されている模様だ。米2年債利回りはトランプラリーの最低利回り「2.014%」(2017年9月8日)を突き抜け、今後8年間(残存2年になるまで)持ち続けてもロールダウンで補うことは不可能となってしまっている。「今年4回の利上げ」確率が上昇するなかでは、もはや米長期債を持ち続けることは困難といっていいだろう。益出し売りの対象であった独国債なども「損失確定売り」の候補となってしまったように大きく水準を切り上げてしまっている。   「米金利が上昇すれば日本株に益出し売りがでる」「米債を売った資金が円に還流するので円高になる」との”思惑”がより現実味を帯びる可能性がありそうだ。ただ、戻ってきた資金が「金利を求めて超長期債買いに向かう」との確信は持ち難い。足元の「40年債買い」はそのように見えなくもないが、「米債損失」「為替損失」「欧州債損失」とバッテン続きでリスク許容度が低下してしまった本邦機関投資家がデュレーションリスクを甘受することができるのか疑問だ。「日銀国債買い入れ減額リスク」も超長期債に限ってみれば、「想定外」とは言えないだろう。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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