インドネシア、流動性ショックに備える銀行業界

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※この記事は2016年6月17日にQUICK端末で配信した記事です。 1000兆ルピア相当の資金流入観測…租税特赦法案成立で 銀行業界の課題である流動性管理に対し、インドネシアの銀行は現在、今後起こり得る流動性ショックに備え、第2線支払準備金(secondary reserve)を可能な限り積み増している。年初からインドネシア経済の成長が予想を下回る状況を想定し、こうした動きによって国内銀行は今年、増益を維持することができるかもしれない。 また、タックス・アムネスティ(租税特赦)法案の国会審議の長期化で国内の銀行幹部らは代替案が必要とみているようだ。インドネシア政府は、同法案が成立した場合、国内金融システムに1000兆ルピア相当の資金が流入し、結果的に市中へ流動性が供給されると見込んでいる。 インドネシア中央銀行の最新データによると、国内の商業銀行120行の中銀債(SBI)と国債の保有額は4月末時点で808兆ルピア(610億米ドル)となっており、前年同月の713兆ルピアから13%増加している。 資産規模で国内最大手のバンク・マンディリ(コード@BMRI/JK)のカルティカ・ウィルジョアトモジョ頭取は、「第2線支払準備金の増強を進める傾向は、まさに銀行の防衛措置だ。インドネシアの銀行は昨年、流動性がひっ迫した際の対応に苦戦した。このため、再び流動性ショックが発生すると予想される中、今回は十分な資本バッファーを確実に用意したいと考えている」と述べている 。   大口顧客への規制、銀行に影響波及 経済成長の回復の兆しが現れるのを待つインドネシア企業は、支出を今年中盤以降に遅らせているため、国内商業銀行120行の未実行貸出残高は現時点で総額1236兆ルピア(930億米ドル)に達している。エコノミストらはまた、政府による大規模インフラ整備事業への支出がまだ完全に実現していないことも、融資需要をさらに鈍化させていると指摘している。 カリティカ頭取は、銀行は十分な準備金を用意し、こうした企業が事業を始動した場合を計算に入れておく必要があるとの見方を示している。 ただ、地方自治体や年金基金といった大口顧客は、今年からインドネシア政府が導入した新規制(資産のうち一定額を国債で保有することを義務付ける)の対象になっているため、金融機関にとって預貯金を集めることが難しくなっている。個人顧客もまた、国債の利回りの高さに引かれているようだ。国債はリスクのない資産であり、所有者には所得税の減額制度も適用されている。 国債と銀行預金の逆ザヤ…銀行業界の懸念強く 資産規模で国内3位のバンク・セントラル・アジア(コード@BBCA/JK)のヤフヤ・セティアアドマジャ頭取は、「政府は銀行に対し、貸し出し金利を引き下げるよう迫る一方で、最新の個人向け国債の利率を7.5%に設定している。これに対して、銀行の預金金利は5.25%だ。どうやって競り合えというのか」と述べている。 当座預金、普通預金、定期預金などの第三者資金(残高)の4月の伸び率はわずか6%にとどまり、融資の伸び率(7%)を下回った。今年に入って、融資の伸び率は商業分野の運転資金向け融資需要の鈍化を受け、1桁台に落ち込んでいる。インドネシア政府は今年、税収不足により拡大する財政赤字を埋めるため、58兆ルピア相当の国債を追加発行する方針を示していることから、銀行と政府との資金調達競争が激化することはほぼ確実だ。 資金調達圧力がインドネシアの銀行の利益を侵食し、(商業)銀行全体の今年1~3月期の純利益は28兆9000億ルピアと、前年同期の29兆6000億ルピアから2.2%減少した。財務省のロバート・パクパハン資金調達・リスク管理局長は、こうした懸念を緩和しようと努めている。同局長は「政府が吸収している資金はすべて国内の資金だ。このため、政府が集めた資金を速やかにインフラ事業などに支出すれば、資金は(国内の)銀行システムに還流するはずだ。」と分析している。【翻訳・編集:NNA】

インドネシア不動産MMP、高成長期待で指標割高も許容 2案件の進捗順調

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのリディア・スワンディ(Lydia Suwandi)氏がレポートします。※この記事は2016年6月15日にQUICK端末で配信した記事です。 MMPに2案件の新たな動き メガ・マヌンガル・プロパティー(MMP、コード@MMLP/JK)は6日、現在2社と純貸出可能面積(NLA)計9万8000平方メートル相当の施設のリース契約について協議を進めているとの最新情報を発表した。同社はまた、ジャワ島西部シビタンのAE地区(Block AE Cibitung)でNLA3万5000平方メートルのマルチテナント型倉庫の建設を進めていることも明らかにした。  これらの動きは、2017年度のMMPの新規賃貸収入分を12万平方メートル相当とした当社の予測に沿ったものだ。こうした材料から、MMPの投資判断を「買い」で維持し、目標株価を950ルピア(14日終値725ルピア)とする。 MMPは現在、2社と賃貸契約に向けて協議を進めている。1社は日用消費財(FMCG)企業、もう1社は食品物流を手掛ける企業で、両社とも冷蔵設備のある施設を必要としているという。これら2社に関するNLAは約9万8000平方メートルに達するとみられる。当社は、両社との契約が2017年7月以降に年852億ルピア相当の賃貸収入の確保につながると予測している。MMPは6月末までに賃貸契約を締結する見通しで、2社にリースする2施設の完成は2017年下半期を予定している。 MMP賃貸収入1140億ルピア見込む…入居率は85%で算出 MMPはまた、シビタンのAE地区でNLA計3万5000平方メートル(敷地面積は3.6ヘクタール)相当のマルチテナント型倉庫を建設している。同社は現在、新施設に関心を示す3社とリース契約について話し合いを進めている。MMPによると、AE地区の平均賃貸料を基に算出した同施設の推定リース料は1平方メートル当たり月額約7万ルピー。入居率を85%として計算した場合、新倉庫の賃貸収入は年約250億ルピアになる見通しだ。 これらの最新の開発状況を踏まえると、2017年度の同社の新規案件からの賃貸収入は1140億ルピア(ラザダ・グループに提供した倉庫の第一期分賃貸料330億ルピアを含む)に達する見込みだ。 今後の変動につながる可能性がある2要素 一方、MMPによると、同社はNLA6万1000平方メートル相当の物件に関して複数社から引き合いを受けており、今年第4四半期までに契約がまとまるとの見通しを示している。賃貸料を1平方メートル当たり月額7万7000ルピアと想定した場合、この契約により新たに年560億ルピアの賃貸収入を確保できる見込みだ。 インドネシア政府はスカルノ・ハッタ国際空港の旅客収容能力を拡充する方針を示していることから、MMPが同空港近郊に建設を予定しているビジネスパークと倉庫用の土地収用が制限される可能性がある。 MMPは向こう3年間の新規契約目標をNLA50万平方メートル相当に設定しており、当社はこれまでの契約獲得状況に満足感を覚えている。同社株の2016年度と2017年度の予想株価収益率(PE)それぞれ24.3倍、16.1倍、16年度と17年度の予想EV/EBITDA倍率はそれぞれ35.8倍、19.7倍となっている。割高であることは確かだが、成長の可能性や安定した営業キャッシュフロー、高い収益性といった根拠がある。 MMPが、適切な土地の収用と資金調達を含め、プロジェクトを計画通りに進めていることが主な上振れ要因となっている。 【翻訳・編集:NNA】

台湾の日月光とセキ品、ついに経営統合へ 競争関係は維持

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※この記事は2016年6月6日にQUICK端末で配信した記事です。 経営統合…対立構造から一転 半導体の後工程(パッケージング・テスト)で台湾の二大メーカーである日月光(ASE、コード@2311/TW)、セキ品精密工業(SPIL、コード@2325/TW)が5月26日、対立を打ち破って株式交換に関する覚書に調印した。両社が共同で新しく持ち株会社を設立し、台湾最大の半導体パッケージング・テストのメーカーとなる。  双方はこれまで9カ月にわたって対立してきたが、今回、ようやく握手をし、競争を協力に変え、ウイン・ウインの関係を構築することを決定した。   交換比率は新会社2:日月光1 双方は今のところまだ新しく設立する持ち株会社の名称を決定していないが、株式交換については合意に達している。新会社は日月光が主導権を持ち、その会長には日月光グループの張虔生会長が就任すると見られている。取締役には日月光から呉田玉営運長、董宏思財務長、セキ品から林文伯会長、蔡祺文総経理などが就任する見込みで、詳細は1カ月以内に確定する予定だ。  新会社は1株55台湾ドルの現金で、日月光が現在保有しているセキ品の株式33.28%、およびセキ品の他の株式を買い取る。  また、日月光は普通株1株を新会社の0.5株と交換する。これによって減資を進め、1株当たりの利益を向上させる。新会社の創設後、日月光、セキ品は同時に台湾とアメリカの株式市場での上場を廃止し、改めて新会社が台湾、アメリカで株式を上場する。  台湾の半導体業者によると、セキ品の林文伯会長は新会社に取締役として入ることに正当性をもたらすため、セキ品の株式を売却していったん退場した後、個人または投資会社の名義で再び新会社の株式を購入する予定だという。ただし、この情報については、セキ品からの確認は取れていない。  消息筋によると、日月光が今回のセキ品買収で使う資金の総額は1700億台湾ドル(約5600億円)に達するもようだ。これに関係する資金は、関連会社の株式の一部を売却するほかは、大部分を金融機関の協調融資に求めることになる。 競争関係は良好に…中国、米国の動向に注目 日月光の張虔生会長は、将来、新しい持ち株会社は日月光とセキ品の株式を100%保有するが、両社は平等な兄弟会社であり、今後は「兄弟登山、各自努力(兄弟の登山は、各自で努力する)」という良性の競争方式を採用し、共同で持ち株会社に最大の利益をもたらし、さらには半導体産業の競争ポテンシャルを高めることに努めるが、これは社会が日月光に期待していることでもある、と指摘した。  一方、日月光を敵から友に変えたセキ品の林文伯会長はこの決定について、主に張虔生会長が、セキ品のすべての経営チームと従業員を留任させ、既存の組織、賃金、福利厚生、人事規定を保留し、セキ品の独立経営を維持すると約束したことが、非常に重要な転換の契機になったと語っている。  日月光とセキ品が双方の対立という難関を突破したことは、台湾の半導体パッケージング・テスト産業の地位のさらなる向上に寄与する。両社は今後、台湾の公平交易委員会(公正取引委員会に相当)に経営統合の申請を提出することになるが、すでに敵対的買収から合意による合併に転じているため、台湾当局としてもこれを認める方向に傾くと予測されている。ただし、ハイエンドのパッケージング分野でシェアが85%に達することから、将来、アメリカと中国がこれを認めるかどうかは、今のところやはり不確定要素が大きい。しかし、中国の江蘇長電科技(コード@600584/SH)や米国のアムコア・テクノロジー(コード@AMKR/U)といった他のパッケージング・テストのメーカーに対しては、より大きなプレッシャーが形成されることになるだろう。

香港、中銀航空租賃が6月1日に上場へ アジア最大の航空機リース会社

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はマレーシアの現地記者、ニック・ゴー(Nick Goh)氏がレポートします。※この記事は2016年5月30日にQUICK端末で配信した記事です。 中銀航空租賃上場…42億香港ドル規模調達予定 足元で香港株が低迷する中、市場では航空機リース会社の中銀航空租賃(BOCアビエーション、コード@2588/HK)のIPO(新規株式公開)が賑わっている。  中銀航空租賃は中国の国有大手銀行である中国銀行(コード@3988/HK)からスピンオフして株式上場する。公開株式数2億800万株の半数が売り出しで、上場株式数全体のうちのわずか7.5%を香港で一般投資家向けに公開する。公募価格は42香港ドルで、売買単位は100株。市場からの資金吸収額は87億4500万香港ドル(1香港ドルは約14円)で、中国銀行の保有株式売却額等を除いた正味の調達資金額42億4600万香港ドルは、全額を航空機の購入に充てる計画だ。中銀航空租賃は中核的な投資家を11社引き入れたと伝わった。中核的な投資家には、中国の政府系ファンドである中国投資(CIC)やシルクロード基金、国開国際投資、中国人寿フランクリン資産管理、聯想控股(レジェンド・ホールディングス、コード@3396/HK)傘下の弘毅投資、オーマン投資基金、米ボーイングが含まれるという。これらの投資家による出資額は5億8300万米ドル(約45億5000万香港ドル)と、資金吸収額全体の52%を占める。中銀航空租賃は6月1日に上場する予定だ。 市場から集めた資金でリース用航空機を調達 中銀航空租賃の歴史は1993年までさかのぼる。この年、シンガポール航空と米国の航空機リース会社ボーリオン・アビエーション・サービスによってシンガポール・エアクラフト・リーシングとして設立された。2006年12月に中国銀行に買収され、同行の完全子会社となった。そして、今年5月、国際公募に向けて株式公開会社に組織変更した。  中銀航空租賃が保有する航空機は昨年12月末時で270機(うち227機が自社所有、43機が管理代行。30カ国の航空会社62社へリース済み)。アジアに本部を置く航空機リース会社としては最大規模、世界でも5番目の規模となる。同社が保有する航空機の平均機齢は3.3年と、航空機リース会社の中で最も低い企業に属する。また、航空機リース契約の平均残期間は7.4年で、業界内で最も長期の契約期間を有する会社のひとつだ。中銀航空租賃は航空機を大量に新規購入することで保有機の規模拡大に取り組み続けている。昨年度末時の発注残は241機(主にA320シリーズやボーイング737シリーズといった、人気が高い単通路機)となっている。2016~20年の期間で毎年平均40機を取得する計算になる。これらの今後取得する航空機のうち74機については既にリースが確定している。  中銀航空租賃は、融資、債券市場、米輸出入銀行や欧州輸出信用機関からの有担保融資といった幅広い資金調達ルートを活用することで、競争力のある資金調達コストを維持している。同社の15年の平均資金調達コストはわずか2%と、航空機リース会社としては最も低い企業に属していた。また、同社の支配株主である中国銀行から20億米ドルの無担保融資枠(期限は22年4月)を取り付けている。   22年間連続で黒字…リース需要も拡大か 業績面では、同社は過去22年間連続で収益が黒字となっている。会社設立から15年までの累積利益は約21億米ドルに達した。15年12月期通期の売上高は10億9000万米ドルで、前の期に比べ10.3%増だった。純利益は同11.4%増の3億4300万米ドル。株主資本利益率(ROE)は15.1%、総資産利益率は2.9%だった。  世界の航空業は長期的に成長を遂げている業界だ。中でも旅客需要は1990年以降、毎年平均5.1%の成長率で伸び続けている。航空機も世界的に長期間にわたり増加傾向にあり、24年までに3万機超に達する見通しだ。リース方式は航空機ファイナンスに置き換わる形式として、航空会社に航空機の所有権や運営面でより多くのメリットを提供する。このため、航空会社は今後、航空機ファイナンス方式よりもリース方式を多く利用するようになることが予測される。これにより航空機リース業の成長が続き、中銀航空租賃に引き続き恩恵をもたらす見込みだ。    

インドネシアのセメント業界、成長余地残すも目先は供給過剰か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※この記事は2016年5月17日にQUICK端末で配信した記事です。 セメント各社、大幅な需要増見込む一方で供給過剰懸念も インドネシアのセメント企業は、今年も生産能力を拡張する姿勢を維持している。ただ、海外からの新規参入によって短期的に供給過剰になり、地場企業の利益率が圧迫される可能性が浮上している。 セメント各社は、向こう3~5年間の大幅な需要増に対応する方針を固めている。インドネシアでは今後、インフラ整備が全力で進められ、国内のセメント需要が拡大する見込みだ。国内で2番目に大きいセメント企業であるインドセメント・トゥンガル・プラカルサ(コード@INTP/JK)は、昨年の純利益4兆2,000億ルピアのうち2兆7,000億ルピアを流通網の拡大と新工場の取得に充てる方針を打ち出した。競合の国営セメン・インドネシア(コード@SMGR/JK)もまた、中ジャワ州レンバンと西スマトラ州パダンにそれぞれ年産能力300万トンの工場を設置した。 セメント総生産能力は数年以内に年1億トンを上回る見通し 外国企業もインドネシアのセメント分野への投資に積極的なことから、セメント総生産能力は数年以内に年1億トンを上回る見通しだ。外国企業の投資案件としては、インドのウルトラテック・セメント(コード@532538/INI)が中ジャワ州ウォノギリで年産能力400万トンの工場建設を予定している。ほかに、東アジア各国で最大手のセメント企業、中国建材集団(CNBM、コード@3223/HK)も中ジャワ州グロボガンに年産能力2,300万トンの工場を建設している。 ファンドマネジャーや業界関係者は、経済が伸び悩んでいる影響で住宅部門のセメント需要がまだ増加傾向にないことをふまえ、生産能力の高まりが短期的に供給過剰に陥る可ことを危惧している。CIMBプリンシパル・アセットマネジメント(資産運用額6兆ルピア)のチョリス・バイドウィ(Cholis Baidowi)取締役兼最高投資責任者(CIO)は、「今年のセメント企業への投資判断はニュートラル(中立)だ。セメント需要は政府のインフラ関連事業に支えられているものの、小口の顧客(retail customer)や住宅部門への販売量が低迷したままであれば大幅に増えることはないだろう」と述べている。 インドセメント社長「セメント市場は現在供給過剰状態にあり、価格はさらに下落するだろう」 インドネシア・セメント協会(ASI)の最新の予想によると、今年の国内セメント販売量は前年比わずか5%増の6,300万トンにとどまる見通しだ。ただ、セメントメーカー側は長期的な視野で事業計画を立てている。インドネシアの国民1人当たりのセメント消費量は年間241キログラムと、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の平均である400キログラムを下回っている。このことは、インドネシアのセメント業界に大きな成長の余地があることを示している。 また、インドネシア政府は、遅れが生じている低所得者層向けの住宅100万戸の建設計画を年内に完了させるため、建設認可手続きの簡素化を進めている。さらに、インドネシアでは港湾や有料道路の建設計画のほか、ジョコ・ウィドド大統領が公約に掲げる2019年までに3万5,000メガワット相当の発電設備を導入する目標を実現するためにも、建材需要が高まるとみられている。インドセメントのクリスチャン・カルタウィジャヤ社長は、「セメント市場は現在供給過剰状態にあり、価格はさらに下落するだろう。しかし、これは自然な成り行きであり、将来的には供給と需要のバランスがとれるはずだ」と述べている。【翻訳・編集:NNA】

中国、景気対策の期待打ち砕く「権威」の一声 指導部内で「同床異夢」か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※QUICK端末で5月20日に配信された記事となります。 著名投資家ソロス氏も警告…「中国の債務危機がぼっ発するリスクがある」 「中国の債務問題ぼっ発の危機」--。ここ数カ月間、こうした観測が中国経済について海外勢が弱気な見方を持ち続ける根拠となっている。中国経済は年初に基調がやや好転。銀行が金融緩和の度合いを強め、昨年に提示された中国政府の構造改革の目標が改められるのではないかとの見方が市場で広がっていた。しかし、中国共産党の機関紙「人民日報」が取材した「権威」は、中国経済が今後一定期間、L字型を呈すると発言。さらに、中央政府による大規模な景気刺激策への市場の期待を打ち砕き、まさに鶴の一声で結論を下した。 中国政府はかつて米国の金融危機のあと、4兆元(当時のレートで約57兆円)の景気刺激策を打ち出した。これにより充分に膨れ上がっていた中国本土の債務が更に膨張した。最近では、中央政府が所轄する「中央企業」で債務不履行が発生するまでになり、市場に警鐘が打ち鳴らされた。世界的な投資家ジョージ・ソロス氏は、中国の債務危機がぼっ発するリスクがあると警告。一方、雑誌「エコノミスト」はこのほど、「迫り来る債務の爆発」というタイトルの記事で中国本土の債務危機が最終的に金融危機として終わりを迎える可能性が極めて高いと指摘した。同誌は中国政府に、人民元の国際化を止めて危機対応に向けて「弾薬」を蓄えるよう呼びかけた。 深刻な債務問題に直面する中、「権威」は人民日報に対して、「金融緩和の増強で経済成長の加速を試みるという幻想を完全に捨て去らなければならない」と述べた。また、今後の経済のすう勢について、V字型でもU字型でもないL字型になるとした。このL字型の状況は1~2年間で終息せず、一定期間続くことになるという。 中国本土の経済や市場は引き続き調整? 中国の債務問題は日一日と深刻化しており、債務残高が国内総生産(GDP)の2倍超に達している。実際の問題は表面化している状況よりもずっと深刻だと疑う者も多い。また、ここ数年間、不良債権が銀行の収益の足かせとなっていることから、企業の厳しい経営状況がうかがえる。経済構造の調整に大胆に取り組む必要があり、経営が不振な一部の企業については倒産させることも辞さず、低収益の企業を無駄に延命させるための「以債養命(債務で命をつなぐ)」といった従来のやり方を改めなければならない。 「権威」の見解によると、中国本土の経済や株式市場、不動産市場は引き続き調整が続くことになる。しかし、債務危機がぼっ発して世界中の資本が中国投資に対する自信を失うよりはましだという。債務危機がぼっ発すれば、資金が流出し、株式市場や不動産市場が大幅に下落して必然的に金融市場に大きな動揺が広がり、中国や香港の経済の崩壊を招いてしまう。 当然のことながら、報じられた「権威」が誰であるかは謎のままだ。しかし、中国政府に近い情報筋の多くが、国家主席兼共産党総書記の習近平氏または中央財経領導小組弁公室(中国共産党の経済・財政政策諮問機関)の責任者ではないかとみている。中国は過去にも、毛沢東のような最高指導者が「権威」として人民日報で評論を発表した例がある。このため、今回の「権威」が習近平氏である可能性は非常に高い。そして、こうした理由から、「権威」の経済に関する評論や追加的な金融緩和を否定する言論は、今後一定期間における中国政府の経済政策の主調となる。 ”権威”と首相、経済問題に意見の食い違いも 一方、「権威」は中国の銀行による債務の株式化「デット・エクイティ・スワップ(DES)」についても言及。DESのようなやり方は根本的な解決につながる優れた方法ではなく、多用すべきでないと強調した。DESとは、企業が銀行に対して負っている債務について、その中でも特に質の悪い債務を企業の株式に転換して銀行に取得させることだ。これにより、企業の負債が軽減されるだけでなく、銀行の不良債権を減らすことができる。「権威」はDESに対して反対意見を示したが、こうした姿勢は李克強首相が以前にDESについて繰り返し述べた意見と異なる。このことから、中国の最高指導グループ内で経済問題の解決について明らかに意見の食い違いがあり、「同床異夢」の状況となっている可能性すらうかがえる。  

東南アジア、原油安一服も株価回復に懐疑論 3つのリスクを警戒

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はシンガポールの現地記者クリストファー タン シ(Christopher Tan, Si)氏がレポートします。※この記事は2016年5月25日にQUICK端末で配信した記事です。 ブレント原油価格、7カ月ぶりの高値…東南アジア株連れ高 年初以来、大幅に下落していた原油価格がここ数週間で回復し、17日には7カ月ぶりの高値を記録した。ブレント原油価格は昨年10月以来の高値となる1バレル49ドルまで上昇した。供給過剰状態が解消されつつある中で、ナイジェリアやカナダなどいくつかの産油国が供給を停止したことが追い風となった。東南アジア地域の株価も連動して値を上げ、同地域の取引所の株価指数は軒並み値を戻している。   米各大手金融機関、今後の株式市場には悲観的 ゴールドマン・サックスによると、原油価格は今後も回復傾向を維持する見通し。同社は、原油価格が20ドルまで下落すると予測していたが、現在は年末まで50米ドル前後で推移すると見込んでいる。しかし、原油価格が上昇しても、株式相場の回復が継続するとは限らない。アナリストらは、逆の現象が起こる可能性もあると指摘し、すでに東南アジア地域を含む株式市場の評価を引き下げている。 ゴールドマン・サックスのクリスチャン・ミュラーグリスマン氏率いるアナリストチームは向こう12カ月間の世界株式の成長率と評価に関する判断をニュートラル(中立)に引き下げた。同様に、シティバンクとバンクオブアメリカ・メリルリンチも株式市場の今後の方向について悲観的な見方を強めている。 シティバンクの株式ストラテジスト、トビアス・レフコビッチ氏はレポートで「不安な兆候を示している指数がいくつかある。株式相場が崩れる可能性を踏まえ、そうした指標の動向を注視する必要がある」と指摘している。ゴールドマン・サックスのアナリストらは「成長回復を示す継続的な兆候が見られない限り、株式リスクを取ることは避けたい。株価評価が上限水準に近いというのが主な理由だ」と語る。 バンクオブアメリカ・メリルリンチの株式ストラテジスト、サビタ・スブラマニアン氏によると、「夏に向かって、不安要素は増える」という。不安感を高める最大の要因は、企業収益の低下だ。 CIMBのレポートも「伝統的に底堅い市場であるシンガポールですら、企業収益が大幅に低下している」と指摘。「企業収益が悪化している企業は、収益が予想を上回っている企業の2倍に達している」と分析する。世界経済が依然として脆弱(ぜいじゃく)な中での原油価格の上昇は、需要が拡大しているというよりも供給が縮小していることを示している。 シンガポールの4月の輸出額(NODX、石油と再輸出は除く)は、前月から引き続き縮小し、前年同月比で7.9%減少した。同国の輸出額は東南アジア地域の輸出需要の指標とされることが多い。シンガポール市場が強気の地合いに回復するには、複数の大きな悪材料を克服する必要がある。 米国の”追加利上げ”と”大統領選挙”の行方が鍵 1つは、米国でさらなる利上げが実施される可能性だ。各国の市場は米国の金融政策を決定する米連邦公開市場委員会(FOMC)を6月に控え、神経質になっている。2つ目は、中国の債務状況の悪化だ。世界最大の資産運用会社であるブラックロックのラリー・フィンク会長兼最高経営責任者(CEO)は、中国の債務レベルの上昇はすべての人が懸念すべき問題と警告している。 最後の悪材料は、米国の大統領選挙だ。共和党の候補ドナルド・トランプ氏と民主党の指名を獲得する見通しのヒラリー・クリントン氏の接戦という好ましくない展開を市場は喜ばないだろう。つまり、今後の大きな変動に備える必要があるということだ。 【翻訳・編集:NNA】

台湾ハイテク、アップル影響し4~6月期は保守的見通し 半導体市況に回復の芽は?

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※この記事は2016年5月13日にQUICK端末で配信した記事です。 台メディアテック(2454/TW)、期粗利益率低下…四半期も続落予想 台湾主要ハイテク企業の2016年1~3月期決算発表が一巡した。台湾において米アップル(コード@AAPL/U)への依存度が高いことが影響し、今四半期(2016年4~6月期)を保守的にみる企業が多かった。特に台湾積体電路製造(TSMC、コード@2330/TW)は、通年のスマートフォン(スマホ)市場の成長予測を従来の8%増から7%増に下方修正。非アップル陣営で携帯電話機向けチップを供給する聯発科技(メディアテック、コード2454/TW)は、今四半期の売上高を前四半期に比べ20%超の増加と見込むものの、粗利益率の低下ピッチは予想を超えているとした。  ハイエンドの携帯電話機関連メーカーは世界経済の不調の矢面に立たされているが、主にミドルエンドやローエンドを対象とする非アップル陣営にとっては反撃の機会を得たこととなる。しかし、聯発科技の1~3月期粗利益率は前の四半期の38.5%から38.1%に低下。今四半期もさらに低下する見通しで、35%前後の水準を保てるかどうかの状況だ。 売上高、純利益共に2ケタ減…米アップル 同社は、市場の積極的な在庫積み増しにより今四半期の連結売上高を前四半期比24~32%増と見込む。とはいえ、依然としてマーケットシェア維持のために迫られた値下げ分の回復は難しく、海外勢は決算発表説明会後も売り越しを続けている。7営業日の累計で売り越し株数は3000万株近くに達し、株価も説明会前の245台湾ドル前後の水準から200台湾ドルの節目を割り込み、一時は192台湾ドルにまで下がった。市場がスマホ市況に感じる不安を反映したと言える。  アップルの1~3月期決算を見ると結果は不調と言えるもので、売上高と純利益はともに2ケタ減だった。これまで「最強」だったiPhoneの販売台数も前年比16%減と初めて減少。今四半期も減少傾向は続くとみられる。市場のアップル熱が冷めたか、あるいはアップルユーザーの買い替えサイクルが以前よりも長くなったことを反映したのだろう。  TSMCはアップルの新世代プロセッサーA10の主要な代理生産企業で、最先端の16ナノ(ナノは10億分の1)メートルのFinFET+(フィン型電界効果トランジスタ強化版)を代理生産している。主要生産工場は台湾南部科学工業園区のFab14(第14工場)で、4~6月期から生産を強化している。しかし、TSMCは今四半期の受注は主に新興市場からのものであると強調する。特に中国大陸のミドルエンドやローエンドのスマホであり、これが成長エネルギーとなる形で今四半期の連結売上高は前四半期に比べ6~7%増を見込んでいる。アップルの新旧モデルの交代時期であることを実証しているともいえ、今四半期は売上高と利益の減少圧力という苦しみに耐えねばならない。  しかし、これらの決算説明会の中で、投資家は依然として下期(2016年7~12月期)の半導体景気に関心を寄せており、不確定要素が多いかどうかに注目している。 セキ品精密工業董事長、4~6月期にも底入れ示唆…半導体景気 半導体の封止・検査大手のセキ品精密工業(SPIL、コード@2325/TW)の林文伯董事長は、これまで投資家と直に接することを避けていたが、4月下旬に(ネット上のオンライン説明会ではない)実際の投資家向け決算説明会を開き、自ら投資家の質問に答えた。  林董事長が強調したのは、半導体の在庫調整は既に完了しており、半導体景気は4~6月期にも底入れし年内に反発に転じるだろう、ということである。通年では穏やかな成長を見込んでおり、封止・検査業は6~7%程度の増加を予想している。そして林董事長はスマホ、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、デジタルチューナー、指紋認証チップ、セキュリティ監視システムの5大領域が、今年最も有望な半導体応用領域であると指摘している。

インドネシア、インフラ支出増加 財源はどこから?

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのリズキ・ファジャル(Rizki Fajar)氏がレポートします。※この記事は2016年5月6日にQUICK端末で配信した記事です。 インドネシア政府のインフラ支出が増加 インドネシア政府のエネルギー補助金改革による補助金削減に伴い、2015年以降、政府のインフラ支出が増加している。 しかし、インドネシアの国家予算は、石油価格が予算の前提となる1バレル50米ドルより低い水準で推移しているため、今後は引き下げ圧力にさらされそうだ。 2016年の財政赤字は対昨年GDP比2.7%に拡大? 政府の支出拡大は2016年も続きそうだという当社の見通しを考慮すると、2016年上半期に導入予定のタックス・アムネスティ(租税特赦)法の不確実性もあることから、2016年の財政赤字は昨年の対国内総生産(GDP)比2.5%から2.7%に拡大すると予測する。にもかかわらず、政府は財源不足を克服するために予算支出を削減する計画だ。このことは、インドネシアの経済成長に何らかの影響を与えるとみられ、5.1%という当社の2016年の実質GDP成長予測に対して下方リスクをもたらすだろう。 物品税引き上げ観測も 短期的には、たばこや燃料、自動車を含む一定の製品に対する物品税が引き上げられる可能性がある。中期的には、税制改革は税基盤の拡大と付加価値税(VAT)率の引き上げを目指すべきだろう。一方、税務当局は脱税の抑制に向けてリスクに基づくアプローチをとるべきだろう。 【翻訳・編集:NNA】

中国経済、「三頭の馬車」に明るさ 香港株を後押しか

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。※この記事は2016年4月27日にQUICK端末で配信した記事です。 中国GDP成長率、前年同期比6.7%…市場予測と合致 中国政府は15日、今年第1四半期(1~3月期)の重要な経済データを発表した。このうち国内総生産(GDP)成長率は前年同期比6.7%と、市場の予測通りだった。2009年以来の低成長となったが、発表されたデータの中には着目すべき明るい材料も少なくなかった。このため、香港株は第1四半期の中国経済データ発表後に上昇も目立った。主要株価指数のハンセン指数は4月21日の終値が2万1622となり、15日の終値2万1316を300ポイント上回った。 固定資産投資、中国の経済成長をけん引 中国にとって固定資産投資は、経済成長をけん引する「三頭立ての馬車」のうち最も重要なものだ。第1四半期の固定資産投資は前年同期比10.7%増と、伸び率が2015年通年から0.7ポイント加速し、投資意欲が次第に回復しつつあることを示した。インフラ建設に加えて、不動産市場も固定資産投資の加速に大きく貢献した。第1四半期の不動産開発投資は同6.2%増と、伸び率が前年通年(1.0%)から5.2ポイント拡大した。不動産市況が回復に向かい、物件の売れ行きが大幅に増えたことが主な要因だ。第1四半期の販売用住宅の販売面積は33.1%増で、増加率が1~2月期から4.9ポイント拡大した。また、販売用住宅の販売額は54.1%増と、1~2月期比で増加率が10.5ポイント拡大した。不動産開発投資の加速に伴い、新規着工面積も19.2%増加した。一方、不動産関連の税収増加が加速したことなどから、1~2月期の財政一般公共予算収入は6.3%増と、増加率が前年同期から4.6%拡大し、昨年1月以来の高い伸びとなった。1~2月期の地方財政収入は10%増と、2ケタの増加を記録。地方財政収入の増加は今後の地方におけるインフラ建設の促進に有利に働くと同時に、地方の財務危機の解消に向けてプラスになる。 固定資産投資の加速は、鉄鋼やセメント、ガラスといった建築材の製造業銘柄に追い風となる。また、不動産市況の回復は本来、不動産関連銘柄に最も恩恵をもたらすはず。しかし、上海や北京、深センなど一部の主要都市で不動産価格が高騰したことにより中央政府による過熱引き締めが市場で警戒され、不動産関連銘柄は今回の相場全体の上昇の流れから取り残された。 輸出、消費面は上向き傾向 輸出は中国の経済成長をけん引する「三頭立ての馬車」のうち2頭目の「馬」だ。昨年は通年で前の年比1.8%減(人民元建て)と低迷。今年の第1四半期も引き続き減少が続いたが、3月単月では前年同月比18.7%増と大幅に増加した。ドル建てでも同11.5%と大幅に増え、9カ月ぶりにプラスとなった。一方、3月の輸入は人民元建てで同1.7%減少したが、前月に引き続き減少幅が縮小した。中国の対外貿易の改善は海運銘柄や港湾関連銘柄に追い風となる。 中国経済成長の3頭目の「馬」は消費だ。第1四半期の社会消費品小売総額は前年同期比10.3%増と、引き続き2ケタの伸びを維持した。このうち、都市部の消費品小売総額が同10.2%増、農村部が11.0%増となり、農村部住民の消費拡大が示された。また、第1四半期の1人当たり平均可処分所得は8.7%増の6619元だった。このうち、都市部の1人当たり平均可処分所得が8.0%増の9255元、農村部が9.1%増の3578元だった。農村部の可処分所得の伸びが都市部を上回ったことで、都市部との格差は2.59倍となり、前年同期の2.61倍から縮小した。 これまで低迷が続いていた工業部門にも回復の兆しが出ている。3月の工業生産高(一定規模以上の企業)は前年同月比6.8%増と、昨年6月以来の高い伸びだった。伸び率は1~2月期から1.4ポイント加速した。また、3月の政府発表の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2に達して、昨年7月以来久々に景気判断の分かれ目となる50を上回った。工業生産の増加加速に伴い企業の収益状況も改善し、1~2月期の一定規模以上の工業部門企業利益が前年同期比4.8%増と、約1年ぶりに増益に転じた。 最後に挙げる点は、中国経済の構造転換が引き続き確実に進行しているということである。第1四半期に第3次産業がGDP全体に占める割合は56.9%だった。前年同期から2.0ポイント拡大し、第2次産業を19.4ポイント上回った。中国経済は第2四半期(4~6月期)も引き続き上向き、香港株の上昇を後押しするだろう。

インドネシア、銀行株に強気 バンク・セントラル・アジアを推奨

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのエカ・サビトリ(Eka Savitri)氏がレポートします。※この記事は2016年4月22日にQUICK端末で配信した記事です。 貸出金利引き下げは銀行にマイナス…定期預金金利引き下げで調整 インドネシアの銀行株の投資判断を「オーバーウエイト(強気)」に引き上げる。政府支出の拡大により、国内総生産(GDP)が伸びるとともに、貸出残高が大きく増えるためだ。信用コストが1.61%で低位安定する中、利子収入も増えると見込んでいる。優れた資産内容と規制リスクの受けにくさから、民間最大手銀行バンク・セントラル・アジア(@BBCA/JK)と優遇住宅ローンの恩恵を最も受ける国営住宅金融バンク・タブンガン・ヌガラ(@BBTN/JK)を推奨する。 金融監督庁(OJK)は各行の貸出促進のために改定したガイドラインを導入したが、貸出金利の引き下げは、投資家に戸惑いを与えた。銀行の貸出金利を1桁台に引き下げる指示は、利子収入の減少につながり、銀行にとってマイナスだ。OJKが、各行に貸出金利を引き下げる余地を与えるための措置を取ると予測。3月の定期預金金利の最大1.25%引き下げは、銀行にとってプラスだ。 不良債権比率は16年第2四半期にピークへ われわれは国営銀行バンクネガラインドネシア(@BBNI/JK)と商業銀行バンク・タブンガン・ペンシウナン・ナショナル(@BTPN/JK)が最も影響を受ける一方、バンク・ラクヤット・インドネシア(@BBRI/JK)と国営住宅金融バンク・タブンガン・ヌガラ(@BBTN/JK)は利ざやがいくらか上向くと予想している。 不良債権(NPL)比率は上昇しており、16年第2四半期にピークに達すると予測している。調査対象の銀行の中で、国営バンク・マンディリ(@BMRI/JK)は貸出残高の多さから資産内容の改善に時間がかかるだろう。銀行業界全体の不良債権比率が2016年12月までに2%に減少する(2015年12月は2.1%)と見込んでおり、2016年末までに信用コストが1.61%で安定し、債権損失カバレッジは155.2%に改善すると予測している。 バンク・セントラル・アジアに妙味、介入リスク低く インドネシア銀行業界の預貸率は1月に90.9%に達し、余裕のある金利水準とより長期的な満期日構成を前提として、各行は銀行間市場を資金調達に活用するだろう。譲渡可能定期預金証書、債券、ミディアム・ターム・ノート(MTN)は、3大国有行にとって優先的な投資商品だ。 規制リスクと資産内容の懸念を前提とすると、バンク・セントラル・アジアの方がより魅力的だ。 同行の利ざやが政府介入リスクを最も受けにくく、資産内容も他行と比べて優っていることから、同行のプレミアム評価額(2016年度の株価純資産倍率で、他行平均1.8倍に対し、3.0倍)は適切だ。【翻訳・編集:NNA】

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