日経平均1000円安のデジャブ それでも「2月と違う」理由

11日の日経平均株価は急反落した。終値は前日比915円18銭(3.89%)安の2万2590円86銭となった。取引時間中の下げ幅は1000円を超えた場面もあり、市場は2月のボラティリティ急騰時のデジャブ(既視感)に覆われたようだった。しかし、関係者は意外に冷静。QUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントの取材からは「2月とは違う」「下値では国内勢の買いが見える」といった指摘があった。市場関係者の声を時系列にまとめた。   09:00 日経平均、大幅反落で始まる 下げ幅400円超す 09:10 日経平均、下げ幅800円超す   09:57 「これまで米株は懸念材料が多い中で上昇してきたからその反動が出た形だ。行き過ぎた楽観論の後退だろう。当面の下値メドとしては日経平均は2万2000円、TOPIXでは1680と予想する。ただし、現状は悲観にもなりきれずというところだ。業績期待などもまだ根強いため年末に向けてリバウンドする局面もあるだろう。いずれにせよ不安定な相場に気をもむ展開が年末まで続くのではないか」(国内証券)   10:01 「いったんは上海総合指数待ちなんでしょうね。きのうは人民元の基準値が1㌦=6.9元台で設定されてましたから、ドル安にも関わらず基準値が1㌦=7元の大台に大台に迫るようだと中国株安に対する警戒感が強まるかも知れません」(国内証券)   10:10 「今朝の大手証券の寄り前注文状況は差し引きで270億円の売り越しだったようだ。クオンツ系ファンドからと思われる売りが膨らんだある米系証券の売り越しが目立っているが、ロングオンリー勢は比較的冷静なようだ。最近まで先物売りが膨らんでいた別の米系は他方で現物には買いを入れており、パニック的な様相はまだ見られない」(パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直氏) ※上海総合指数は4年ぶり安値水準へ   10:26  上海総合指数、3%安で始まる 年初来安値を下回る   10:31 「日経平均株価はなんとか200日線(2万2509円)を死守できればと期待してます。9日は東証のシステム障害、きょうは米株の急落・・・。大変な相場で喉が枯れ気味です」(国内証券) ※円相場は一時、1㌦=111円台に突入した   10:53  日経平均、下げ幅900円超す 10:59  円、一時111円台に上昇 3週間ぶりの高値水準   11:17 「きょうは忙しくて皆バタバタです。国内金融機関からETFの買いが多く押し目は入っている状況です。一方、個別株はロスカットの売りも見られますので、個別のフローをみるとまだまちまちという形でしょうか。投資家からは依然として米株先物が下落している状況は買いづらいとの声もありますが、これまで買い遅れた投資家も多いため指数系ETFでの押し目を拾いに来る向きが多くなっています」(国内証券)   11:24 「米株の急落を受けて、きょうは久々に問い合わせが多かったですね。きのうはスクエアとかの下げがきつく、グロースを拾う局面ではないとみられる一方、フィラデルフィア半導体指数が4%超下げた割にマイクロン・テクノロジーやアプライド・マテリアルズはそんなに下げませんでした。きのうは金利がキッカケになったとはいえ、大きく下げたのは今年大きく上げた銘柄群でしたから。アドバンスト・マイクロ・デバイスは8%超下げましたけど、まだ年初来で2.4倍も上げた状態ですよ。米長期金利が4%に達するような状況ならイールドスプレッド対比で銘柄を選別しないといけませんが、2月の恐怖指数のVIXショックの経緯を踏まえると20を超えてから1週間程度は不安定な展開が続くとみられますので、押し目買いに備える局面とみています。ビザやマイクロソフトなどこれまで右肩上がりだった銘柄には投資チャンス到来とみてます。米決算シーズン前に厳しい下げとなりましたが、決算を精査して銘柄を選別する機会と前向きにみたいです」(国内証券) ※日経平均の下げ幅は一時、1000円を超えた場面も   11:50  日経平均先物、下げ幅1000円超す 12:31  日経平均、下げ幅1000円超す   12:37 「日経平均が崩れたのは米金利の上昇に端を発する米株の大量売り。伝統的なリスク回避の円高となっている。日経平均はこのまま3月安値からのトレンドラインを割り込めば一段と下値を試す可能性があるだろう」(スコシアバンクのガオ・チー氏)   12:40 「メリルのTOPIX先物の売りは止まったようですね。ブローカー動向では基本は売り越し一色。欧州系投資家から大型株の売りが目立つブローカーもあったようです。国内機関投資家の買いが入り、ブローカー単位では買い越しというところもあるようだが。しかしこうなるとしばらくは先物で上下に振れる落ち着かない展開になりそうです」(投資顧問)   12:51 「うちも売り一色に見えますよ、さすがに。損切ってるお客さんもいる印象です。ただ、地銀といった国内勢はそれとなく押し目買い入れてます。全体的にパニックに陥っている感じはありませんよ」(外資系証券トレーダー)   13:05 「日経平均が1000円も下げましたが、うちの個人投資家さんへの影響は軽微ですよ。そもそも直近までの上げ相場に乗れていませんでしたから。減少してきた信用買い残も足元でやっと増加に転じた程度ですから、ポジションは膨らんでいませんでした。ここからが問題です。一時的な調整であれば押し目のタイミングととらえたい。安川電(6506)が市場の期待に届かなかった決算を発表して急落しましたが、個人的には決してネガティブには見ていません。利益そのものはしっかり出ている。今日の下落で調整が済んだのかどうか。そろそろ安川電へのエントリーを真剣に考えるタイミングですね」(中小証券幹部)   13:10 「今回の株価下落は、予想以上に大きくなった。9月の米国を巡る貿易摩擦で売られると思っていたが、思いのほか売られなかった分、調整が大きくなった印象だ。一部には2月のVIXショック再来という論調もあるが、当時と今は違う。米景気の状況は当時よりもよく、株価に割高感はない。また、株価急落前のボラティリティは当時ほど低くなっていなかったことから、相場下落のマグネチュードとしては遥かに小さいだろう。ここまで下がると、不安定な展開が続く可能性はあるが、ファンダメンタルズに変化がない以上、買いのタイミングを探る方針で良いだろう」(アロケーター)   13:32 「株に弱気な投資家でさえ、動きの大きさにショックを受けている。株式市場は壊れ、投資家は全面的に撤退した。米国株のくしゃみは、単に世界に広がるだけでなく、レバレッジの清算による株の売りを加速させるだろう。多くの負のフローがぶつかる中で、楽観的な見方をするのは不可能だ」(オアンダのアジア太平洋地域トレーディング責任者、ステファン・イネス氏=在シンガポール)   13:48 「きょうはひとつのショックという形で日経平均も大きく水準を切り下げていますが、落ち着けば買い戻しが入るとは見込んでいます。ただし、ここまでボラが上がってしまうと日経平均の10月2日の高値(2万4270円)超えは難しくなったという印象があります。流石に日経平均で1000円超の下げは多くの投資家にとってもショックが大きいのでは。心なしか社内の雰囲気も暗いです。いずれにせよ米株が主導する形で上昇してきた相場なので、今後の米株の動向次第で日本株も上にも下にも振れやすいとみています」(投資顧問)   14:00 「過去の景気の最終局面でも、実体経済の堅調さが持続する中では過度な悲観は必要ないといった声は聞かれていた。ポイントはクレジット・リスクまで波及するかどうかだ」 「2006年、2007年のときもそうだったが、リスクが顕在化して深刻な事態へと突入するまでに二度、三度の振幅があるものだ。ただ、あとになって振り返ってみれば、あれがきっかけだたっという現象に思い当たる。今回がそうだとは思っていないものの、今後も同様の動きが繰り返されるなかで、最終局面に陥る可能性を否定することは出来ない。クレジット・バブルがはじけるリスクがないか慎重に見極めていきたい」 「9月に本邦機関投資家が大量に米国債を購入したようだが、その多くは先物でヘッジをしたり、損失確定の売りを余儀なくされたと聞いている。もし、このまま金融市場の混乱が続くことなれば、何もしないで持ち続けた投資家だけが報われるということになるのかもしれない。皮肉なものだ」(大手機関投資家の運用担当者)   14:05 「金利上昇に油断してましたね。9日の米国市場の時間外取引で米10年債利回りが一時3.26%に達してから遅れて株に調整が入りましたから、米株市場の参加者も楽観的過ぎたと思います。住宅、自動車、自社株買いなどで金利上昇のミクロ面の影響が出てくると思います。実際、ハイテク株もさることながら、足元ではゼネラル・モーターズなど自動車株の下げが長引いています。貿易紛争の影響はマクロ的に小さいと楽観視されていますが、関税によるミクロ面の影響も決算シーズンで出てくるでしょう。きのうは中国リスクでモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンが急落したことが象徴的でした。株価水準が大きく下がってしまった以上、1週間くらいは調整やむなしでしょうか」(エコノミスト)   14:55 「先物が完全にディスカウントモードなので、ちょっと相場付きが変わりましたね。裁定買い残は急減しそう」(市場関係者)   ※QUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物・現物株を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。

「CEO人事より重要」な退任劇で株価つるべ落とし 米スクエア10%安+時間外でも10%安

10日の米市場でキャッシュレス関連のスクエアが急落した。前日比10%安の77.45ドルで引けた。取引時間中はハイテク株安の流れが波及したが、時間外取引に移行しても株安は止まらない。通常取引の終値に比べ10%近く安い69.97ドル前後で推移している。取引終了後にサラ・フライヤー最高財務責任者(CFO)の退任が伝わったことが材料視された。 サラ・フライヤー氏 米証券サントラスト・ロビンソン・ハンフリーのアナリストは同日付のレポートで「サラは普通のCFOとは違う。彼女のリーダーシップこそがスクエアの出現に大きく貢献し、最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシーの人事よりも重要だ」と指摘した。重要視する理由としてIR活動を評価している。「収支・マージンのバランスが絶妙であり、投資家への働きかけもうまかった。彼女こそ真のペイメント・ディスラプターだ」という。CFOの人事で株価が急落した背景がこのあたりにありそうだ。(岩切清司) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

マイケル、スティーブン……米株急落、VIX急上昇 そしてドナルド

ハリケーン「マイケル」が上陸している米国では金融市場も大型ハリケーン並のショックに襲われた。10日の米国市場で恐怖指数のVIXが43.94%高の22.96で終え、投資家心理の不安感を示すとされる20の大台を4月11日以来、6カ月ぶりに上回った。 10年債利回りが3.23%近辺に上昇して金利上昇基調が続く中で株安・リスク・オフのドル安の展開となった。ハリケーン被害の懸念に加え、米百貨店大手のシアーズの破産に向けた準備、(スティーブン・)ムニューシン米財務長官が中国の為替操作の可能性を徹底的に調査する方針を示した点など複合的な要因が重なったとみられる。 S&P500指数は3.28%安で5日続落した。S&P500が5日続落するのは2016年の米大統領選挙直前に9日続落(10月25~11月4日)して以来、1年11カ月ぶりの事となる。この日のNYSE Arcaの売買高ランキングではVIX先物のロング戦略と連動するiPath S&P500VIX短期ETNが2位となり、商いを伴い16.55%高で急伸した。 金利上昇をきっかけに、アマゾン・ドットコムが6.15%安、フェイスブックが4.12%安となるなどFANG銘柄も総崩れとなり、ナスダック指数の下落率は4.08%安で主要指数をアンダーパフォームした。ナスダック版恐怖指数のVXNは27.33で終え、終値ベースで4月3日以来の高水準に達した。 ダウ工業株30種平均が前日比で831ドル安と急落したことについて、(ドナルド・)トランプ米大統領は「FED(米連邦準備理事会)が狂ってしまった。彼らは間違いを犯したと思う。彼らは引き締め過ぎだ」との見解を示した。ペンシルバニアに到着した際の発言を米経済専門チャンネルのCNBCなどが伝えた。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米企業、減税で好決算ラッシュの期待 株価さらに10%高の予測も

2018年7~9月期(3Q)の米企業決算発表シーズンが12日のJPモルガン・チェースやシティ・グループ、ウェルズ・ファーゴなどを皮切りに本格化する。 ファクトセットの8日付のリポートによれば3Qの期間中にS&P500種株価指数は7.2%上昇したが、アナリストらはS&P500が今後1年間で10.5%上昇すると予測しているという。4日時点のS&P500指数のボトムアップの目標価格は3205.51で同日のS&P500指数の終値(2901.61)を10.5%上回る水準となっていた。 今回の決算では、相場のボラティリティの低下などを受けて金融セクターの業績が厳しいとみられる一方、原油などの資源価格の回復を背景にエネルギー関連は好調となりそう。前出のファクトセットのリポートでは目標株価が高いセクターは素材(+16.2%)、コミュニケーションサービス(+14.6%)などの順となっている。 QUICK FactSet WorkstationでS&P500の予想株価収益率(PER、2期先)を見ると現在は16.24倍で、S&P500指数が史上最高値圏にある割に年初の18倍台から大きく低下している。 トランプ政権の減税策などが寄与した状況で、既にアナリストの目標株価が高いことからも決算シーズンでの好業績ラッシュへの期待値の高さがうかがえる。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

歪みにくくなった?スキュー指数 S&P500と「連れ安」で5ヵ月ぶり低水準

9日の米国市場でスキュー指数が3日続落し、0.50%安の128.98で終えた。5月9日以来、5カ月ぶりの低水準となる。 スキュー指数は「ブラックスワン指数」とも呼ばれ、S&P500種株価指数を対象とするオプション取引でコールに対するプットの需要の強さを表すもの。スキュー指数が上昇した場合に相場の急変を示唆するわけだが、S&P500指数は8日に2862.08まで下げ、8月23日以来1カ月半ぶりの安値水準を付けたのに対し、スキュー指数は逆に下げている。 スキュー指数が今年の最高水準をつけたのは8月13日(159.03)で、その後もS&P500指数は史上最高値を更新し続けており、相場の急変を示唆するシグナルとしては機能しづらい状況となっている。(片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

また好調な経済指標、米の長短金利差は拡大傾向

5日の米国市場で10年物国債利回りは前日比0.05%高い3.23%で終えた。金融政策の影響を受けやすい2年債利回りは0.01%の上昇にとどまり、米長短金利スプレッドは35bpに拡大した。 9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受け、米連邦準備理事会(FRB)による利上げの打ち止めを織り込む形で、スプレッドは一旦縮小したが、その後発表された米サプライマネジメント協会(ISM)製造業指数や5日発表の米雇用統計などの経済指標は軒並み米景気の好調さを示す結果となった。 9月の米雇用統計で失業率は3.7%と1969年12月以来、48年9カ月ぶりの水準に低下した。非農業部門の雇用者数は13万4千人増と市場予想(18万5千人増)を下回ったが、過去2カ月分が上方修正されており、均してみれば堅調な状況が続いている。(池谷信久)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

財政不安のイタリア売り、STOXXが半年ぶり安値 中国から株安の秋風も

8日の欧州市場で主要株価指数は総じて下落した。STOXXヨーロッパ600指数は前週末比1.11%安の372.21で終え、4月4日以来およそ半年ぶりの安値を付けた。連休明けの中国上海株が大幅安が投資家心理を冷やしたほか、イタリア予算案を巡りイタリア政府と欧州連合(EU)の対立も重荷となった。 ドイツDAX指数が1.36%安となったほか、イタリアMIB指数は2.43%安と大幅に下落した。MIB指数は20000の節目を割り込み、2017年4月21日以来およそ1年半ぶりの安値水準に沈んだ。イタリア国債利回りが3.5%台に急上昇するなか、銀行株への売りが強まった。イタリア銀行大手のウニクレディトが3.56%下げたほか、インテーザ・サンパオロも3%の下げとなった。UBSグループなど域内の金融株が全般的に軟調だったほか、ダイムラーやフォルクスワーゲンの下落率も1%を超えた。 また、8日の米国市場で原油先物は小幅に下落した。取引の中心である11月限は前日比0.05ドル安の1バレル74.29ドルだった。米国は経済制裁の再開でイラン産原油の輸入を控えるよう求めているが、インドなど一部の国をイランからの原油輸入停止の適用対象から外す検討をしているとの米高官発言が伝わった。イラン産原油の供給減に伴う需給逼迫懸念が薄れたために売りが優勢となった。一方、キューバ近辺を北上するハリケーン「マイケル」が10日にかけて米国に近付く見通し。石油関連施設が集中する地域は逸れるとみられるが、影響を見極めたいとのムードが広がった。(中山桂一)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

【ザ・キャリア】 いつだって前向きに「株LOVE」 クレディ・スイス証券・牧野淳氏

新聞やテレビで相場解説をする市場関係者は数多いが、その人の歩んできた歴史を知る機会は意外に少ない。華々しいキャリアに至るまでいったいどんな軌跡を歩んできたのだろうか。市場で活躍するキーパーソンが歩んできた道のりを紹介すると同時に、若手に向けたメッセージを聞く。第1回は欧州系証券大手クレディ・スイスで2017年から直近まで株式本部長、現在はアジア太平洋部門の外国株式業務のヘッドを務める牧野淳氏(48)。とある地方都市の証券会社の支店でのリテール営業から、その歩みは始まった。 ■どぶ板営業でつかんだロンドンへの切符 牧野氏が社会人人生を歩み始めたのは1992年。当時は新卒採用で売り手市場の全盛期だ。「希望すれば働く会社を選べた時代。特に証券会社に入りたかったわけではない」というが、学歴に縛られたくないという思いから門を叩いたのは当時の4大証券の一角だった。 「母が株式投資をしていたため世間一般が考えるよりは証券会社に対して良いイメージがあった」と牧野氏は語る。証券会社へ入社した大学のOBからは「ノルマはない」と聞かされていたことも入社を決めた理由のひとつだ。配属は三重県の四日市支店だった。 当時を振り返り牧野氏は「ハメられたって思いましたよ」と苦笑いする。OBから「ない」と聞かされていたノルマはしっかり存在した。分厚い「日経会社情報」や灰皿が飛んでくるのは当たり前。入社当初は自分には課されなかったノルマだが、先輩社員の苦しむ姿を間近で見ていた。平成の時代に「ブラック」といわれる働き方。そんな状況でもやれるところまでやってみようと前向きに考えた。 とはいえ、「このときほど辛かったことはない」と当時を振り返る。絨毯爆撃のごとく飛び込み営業する毎日。断られるのは当たり前、1日1000件の飛び込みもこなした。まさにどぶ板営業だ。ライバルはその支店の先輩だけでない。全国に散らばった同期との競争も意識した。めげずに続けていくと、ようやくぽつりぽつりとお客さんができ始めた。東京や名古屋といった都市圏に比べると不利と思われる地域でも、2年目には「この場所でも成績を上げられる」と自信がつき始めた。 「リスクを恐れないアグレッシブな取引をやってきました」という。新しい取引手法にも挑戦し、手数料を稼いだ。実績を積んで本部長賞や社長賞も受賞。この頃から海外赴任という思いが募る。実績が認められ海外赴任の希望が認められたのは96年だった。 先輩と後輩2人とともに英国、ロンドンへ。牧野氏は「英語はまるっきりだめだった」と話す。1年目は現地の語学学校に通い、社員として給料を得ながら留学する感覚で当初は遊び散らかした。半年ほど経ったころ、あることがきっかけでロンドン人事部に大目玉をくらう。半ば不貞腐れていたが、「君たちは最高の成績を残したからロンドン赴任に選ばれた」という言葉を受け心を入れ替えた。 語学学校に通いながら半年後には現地でOJT形式の仕事も始まった。業務は現地上場銘柄のマーケットメイク。英語はまだ不得意だったが、電話で問い合わせが相次いだ。しかも隣に席を構える現地のイギリス人は昼休みに酒を飲んで帰ってくる始末。難しい業務、慣れない英語、理不尽な隣席の振る舞い。牧野氏はこのときに「グローバルで戦うのはこういうことか」という思いを抱いたと語る。 ■金融危機、合弁先の米系証券に「拾われた」 この頃は激動の時代だ。4大証券の一角、山一証券が97年11月に破綻。自分自身にも「まさか」という事態が起きる。自分が働く会社が米系証券との合弁を決めたのだ。合弁後は現地で日本人の配属はしないとの話だったが、どうにか海外に残りたかった。 そんな中で拾う神がいた。合弁相手のロンドンオフィスから現地採用の声がかかったことだことだ。フロアには1000人ほど働いていたが日本人はほとんどいない。当時は「すごいところに来てしまったな」と思った。同時に「これまでと仕事は変わらない」という楽観的に構えて仕事に励んだという。最初の赴任から6年後の2002年に日本に帰国した。 現在の勤務先であるクレディ・スイスに移籍したのは04年。ロンドンでマーケットメイクを担当していた当時から、クレディ・スイス・ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)は良いプライスを出してくるとの印象があった。何度か移籍のオファーをもらったが、帰国後にも声がかかったのがきっかけだった。移籍後にそれまでの経験を活かして進んだのはプログラムトレードの道だった。 「今でもプログラムトレードは好きです」と牧野氏は語る。理由は投資家のうねりが最初に見られるから。アセットアロケーションの変更で投資家が使うツールだからこそ、彼らの動きが把握できるという。CSでのキャリアの道を進め、13年にトレーディングを取りまとめる CTE統括本部長に就任 、17年には株式本部長というポジションを得た。 ■小さい目標の積み重ねとおもてなし 挫けずに歩み、築き上げた牧野氏のキャリア。華々しさとともにどことなく人間臭さも浮かび上がる。牧野氏が前を向いて突き進む秘訣は何なのだろうか。 牧野氏は「常に目標を立ててきました」とあっさり答える。その目標は長い将来の自分自身を描く壮大なものではなく、小さい目標の積み重ねだという。リテール営業時代には「自分の仕事ぶりが新聞に載ること」を目標にした。次は海外への赴任、テレビへの出演、新聞への寄稿など、小さいながらも叶えられる夢をもって行動してきたという。ひとつの目標には短い期限を設け、期限が過ぎた場合は再度期限を決めるというコツコツした目標の設定だ。 心持ちとして大切にするのは「最後までお客さんにしつこく尽くす」こと。一言でいえば、おもてなしだ。この部分はリテール営業でも現在のポジションでも変わらない部分だという。先々、証券のトレーディング業界ではAIの活用が期待されるが「投資の意思決定をするのが人間である限り、トレーダーという職業が無くなることはないだろう」との展望も描く。 日本株営業、海外でのマーケットメイク、プログラムトレードの専門知識をOJTで身につけてきた牧野氏だが、「テクニックでトレードを突き詰めたことはない」とも話す。最低限のシステム知識などをもっていれば「人間関係の構築でどうとでもなる」というのだ。 若い証券マンが日本株の営業に苦しんでいるとの話は多い。牧野氏は若手に対して「もっと“株LOVE”になって欲しい」とのメッセージを送る。「もっとパッション(情熱)を持って、すぐに否定の『でも』の言葉を使わないで」とも。外資系証券の株式本部長という肩書きからは取っつきにくい姿を想像するが、実際に話してみると気さくの一言につきる。そこに、前向きでアツい心をもった姿が同居している。(中山桂一) =随時掲載します ※QUICKデリバティブズコメントとエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。デリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。エクイティコメントは国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

貿易戦争、投資判断引き下げで「中国売り」 アリババ急落、大型株ETFも

4日の米国市場で中国の電子商取引(Eコマース)大手のアリババ・グループが急反落し、3.84%安の156.13ドルで終えた。一時は153.87ドルまで下げ、52週安値(152.85ドル)に迫る場面があった。 JPモルガンが4日付のリポートで中国について投資判断をオーバーウエイトからニュートラルに引き下げたことが警戒された。リポートでは米国の関税措置で中国の輸出にネガティブな影響が出るほか、リスク・プレミアムが高いことからリスク回避の動きを引き起こす可能性があるなどと指摘し、中国を代表するアリババにも売りが発給した格好だ。  中国本土市場は国慶節のため1~7日は長期休場となっているが、この日の米国市場では中国の大型株に連動するiシェアーズ中国大型株ETFが2.44%安、ポータルサイトの百度(バイドゥ)が2.90%安となるなど中国関連銘柄が軒並み安となっていた。(片平正ニ)  ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米中間選挙、下院で民主が過半なら「金利が低下」 米投資家の見方、月次調査

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が「中立金利を超える水準まで利上げを進める可能性がある」と発言したことで、4日の米国市場では長期金利が上昇した。様々な金融商品へ影響を及ぼすだけに世界中が注目するが、今後の展開はどうなるのか。BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏は毎月、米雇用統計が発表される週に顧客の投資家を中心にアンケートを実施している。定例質問のほか、その時の投資テーマを特別質問として投げかけるが、今回は11月の米中間選挙を取り上げた。 ※QUICK月次調査でも同様の調査を実施しました。記事はこちら 現在、共和党は上下両院で過半を占めるが、下院で民主党が過半を獲得した場合に「金利が低下する」と回答したのは56%に達した。上昇は12%、わからないとの回答が32%だった。共和党が下院をコントロールできなくなった場合、トランプ米大統領の議会運営が難しくなることが想定され、結果的にこれまでのように積極的な財政運営が難しくなるといった見立てなのかもしれない。 対照的に共和党が過半を維持した場合「金利が上昇する」との回答は57%だった。 もう1つの特別質問は「米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを見送る時期」についてだった。こちらは19年6月が30%、9月が35%。米市場で見方が分かれている様子が鮮明だ。米景気が力強い拡大基調にあり、米連邦準備理事会(FRB)が予想よりも利上げの回数を積み上げるシナリオが現実味を増す。中期的には来年半ばに向けFRBを巡る思惑が交錯しやすくなると言えそうだ。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米金利上昇、景況感と消費の「2段ロケット」 原油高でエンジン燃焼パワーアップ

3日の米債券市場では10年物国債利回りが7年ぶり水準まで上昇した。一時は3.186%を付け、前日より0.12%高い3.18%で終えた。時間外取引では3.2%台をつける場面もあった。   金利を押し上げた「エンジン」は主に2つだ。まずはサプライマネジメント協会(ISM)が公表した9月の非製造業景況感指数。前月から3.1ポイント上昇して61.6となり、市場予想(58.2)を上回って過去最高水準を更新した。非製造業は主にサービス業を指す。個人消費に直結しやすいだけでなく米国内総生産(GDP)の大半を占める分野だ。また、3日発表の9月のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の全米雇用リポートで民間部門の就業者数が23万人増となり、市場予想(18万4000人増)を上回る強い数字となった。拡大を続ける米労働市場が賃上げ圧力として働き、活発な個人消費を促す好循環を表している。   これに年末商戦への期待感が加わる。同日に全米小売業協会(NRF)が発表した今年の年末商戦(11~12月の2カ月)の売上高予想は前年比4.3~4.8%増。直近5年の平均増収率は3.9%だといい、これを上回るペースで年末商戦の拡大が見込まれる。NRFは「順調な景気拡大と強い消費者信頼感が今年も消費を底上げする」としたうえで「貿易摩擦問題があるものの、年末にかけ活発な経済活動が継続すると楽観視している」と指摘した。 ★過去の年末商戦と2018年の予測 全米小売業協会のホームページより https://nrf.com/media/press-releases/nrf-forecasts-holiday-sales-will-increase-during-2018-season   そして原油高。金利上昇の「2段ロケット」のエンジン燃焼に文字通り油を注ぎ、推進力をアップさせた。 WTI原油先物は中心限月11月限の清算値は1.56%高の76.41ドルで、約4年ぶりの高値水準を回復した。米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計で原油在庫が800万バレル増となり、2017年3月以来の大幅な増加を記録したが、イラン制裁に伴う供給不足懸念が根強く、買いが活発化したという。   原油高・債券安の流れを受け、9月以降は米10年債利回りとWTI原油先物は強い相関関係がある。市場が原油高に伴う名目金利の上昇、インフレを織り込むかのような展開だ。(岩切清司、片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

こちらの土台中の土台は 2万4000円台の値固めを支える「積極的な売り手」不在

日経平均株価が2万4000円台で値固めを始めた。目立った買い材料が見つからない中、需給が1つのカギを握っているようだ。将来的な売りにつながる仮需の動きを見ると、潜在的な売り圧力は小さいことが読み取れる。 グラフ①は、裁定取引にともなう現物買いのポジション(金額ベース、現物売りの金額を差し引いた値)と信用買いの金額を東証1部の時価総額で割った比率の推移。膨大な仮需の積み上がりが相場をけん引していたアベノミクス初期の2012~13年と異なり、いまは実需の買いが持続的な株高をもたらしている、とも読み取れる。 グラフ① 裁定取引に伴う現物買い残高から売り残高を差し引き、信用取引における買い残高を加えた金額を東証1部の時価総額で割って算出(赤、左軸、単位%)と日経平均株価の推移(青、右軸、単位円、毎週末終値) 米国ETF市場をみても、日本株への資金流入に期待が持てる。QUICK FactSet Workstationによると、新興国株が年初から累計で104億ドルの流入超となる一方、日本株は40億ドルの流出超だった(グラフ②)。ただ、過去を振り返ると、日本株の上昇局面では日本株ETFの大幅な流入超を記録している。「米国から資金移動を検討しているグローバル株式投資家は新興国でなく日本への投資を拡大すべき」(米モルガン・スタンレー、1日付リポート)との指摘もある。ETFを通じた日本株買いの動きが活発化してくれば、株式相場の支えになる。 グラフ② QUICK FactSet Workstationが集計した米市場に上場する新興国株関連のETFのマネーフロー 海外勢による株価指数先物への買いも、なお余力を残している。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表する米先物市場の建玉動向によると、投機筋は9月25日時点で日経平均先物を8707枚売り越している(グラフ③)。約6年ぶりの売り越し水準だった前週(8936枚)から縮小したとはいえ、売り越し水準はなお高い。東海東京証券は9月28日付のリポートで「少なくとも売り越し幅が縮小する過程で指数の上昇が続くと予想するのが妥当」とみる。 グラフ③ CFTCの米先物市場の建玉動向で、投機筋の9月25日時点の日経平均先物のポジション 「押目待ちの押目なし」の相場格言のごとく、調整らしい調整を挟まずに上昇を続ける株式相場。積極的な売り手がいない中にあっては、順張りが正解なのかもしれない。(松下隆介)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

新しいCEOで株上げ、昔からの課題で格下げ GEの期待と不安

2日の米株式市場で、エネルギーや金融などさまざまな分野で事業展開するゼネラル・エレクトリックが大幅上昇。前日比3%高まで上げる場面があった。日中取引の終値は2%高の12.32ドルだった。1日は一時16%高を演じており、連日の大幅上昇となった。 ジョン・フラナリー前最高経営責任者(CEO)の後を引き継ぐラリー・カルプ氏について、RBCキャピタル・マーケッツはリポートで「戦略的な視点と優れた経営手腕への投資家の信頼が株価を下支えする」と指摘。投資判断を「セクターパフォーム」から「アウトパフォーム」に、目標株価を13ドルから15ドルにそれぞれ引き上げ、買い材料視された。 一方で、S&Pグローバル・レーティングは2日、GEの長期信用格付けを「A」から「BBBプラス」に2段階引き下げた。電力部門での200億ドルを超える巨額の減損損失などを反映した。ムーディーズ・インベスターズ・サービスも格下げ方向で見直すという。(松下隆介) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

アマゾン、賃上げ株下げでも「エフェクト」 同業にとばっちり

2日の米国市場でアマゾン・ドット・コムが反落し、1.64%安の1971.31㌦で終えた。この日、米国内の全従業員の最低賃金を引き上げ、時給15㌦にすると発表した。ネット通販大手の同社では倉庫で働く労働者の待遇改善が問題になっており、マーケットでコスト上昇が警戒された。 しかし、2016年の米大統領選挙で民主党の大統領候補争いを繰り広げたリベラル系のバーニー・サンダース上院議員はこの日にツイッターで「35万人のアマゾン従業員おめでとう。今回の動きは労働者だけでなく、世界に響き渡ったホームランだ」と賞賛。アマゾンの対応は政治的には高評価を得ていた。 一方、米小売株には売りが膨らんだ。アパレルのギャップは前日比4.90%安の27.31㌦で引けた。日用雑貨のベッド・バス・アンド・ビヨンドは4.88%安、百貨店のメーシーズは4.84%安、家電量販のベストバイも4.82%安となった。競合他社にとっては賃金の上昇圧力として働きかねないだけに、業績の圧迫要因として株式が売られたようだ。(片平正二、岩切清司) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

上がるWTIと上がらぬBEI 米市場の強弱感、正しいのはどちらか 

1日の原油先物相場は、米国とカナダが北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で妥結したことを受け、大幅に上昇した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物は一時75.77ドルと2014年11月下旬以来およそ3年10カ月ぶりの高値を付けた。 北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉やイラン制裁による供給懸念から原油相場がラリーする一方、債券市場では貿易紛争懸念が後退したことを受けて株高・債券安の展開だった。米債相場は小幅に続落し、10年債利回りは3.09%まで上昇する場面があった。 この日発表された9月のISM製造業景況感指数は59.8と、約14年ぶりの高さだった前月から1.5ポイント低下したが、景気の拡大・縮小の境目である50を大きく上回り米景気の好調さを示している。今週末に発表される米雇用統計が強い結果になれば、米長期金利は再び上昇余地を試す展開になるかもしれない。 米10年債と米物価連動債(TIPS)が共に売られるなか、約4年ぶりの原油高水準にも関わらず、米10年債の利回りからTIPSの利回りを差し引いたブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が上昇しづらい環境となっている。QUICK FactSet Workstationによれば、1日の米国市場で市場の期待インフレ率を示すBEIは212.84bpsとなり、前日(214.41bps)から1.57bps低下した。(池谷信久、片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

4000万ドルで「話は付いた」が…… テスラとマスク氏を待つ悪路また悪路 

テスラ騒動は、ひとまず週末で「話が付いた」形にはなったが、悪路はまだまだ続きそうだ。 9月28日の米国市場で電気自動車(EV)大手のテスラが大幅続落。13.90%安の264.77ドルで終え、一時は260.555ドルまで下げて7日以来の安値圏に下げた。 27日夕、米証券取引委員会(SEC)がイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)をNY州南部連邦地裁に証券詐欺罪で提訴したと各メディアが伝えた。マスク氏は8月7日に「420ドルで非公開化を検討、資金面の話は付いている(Funding Secured.)」とツイッターでつぶやき、突如株式非公開化の計画を明らかにしたが、その後撤回。 SECは訴状で、マスク氏に民事制裁を求めたうえ、マスク氏がテスラや公開企業の役員、取締役となることを禁止するよう求め、カリスマ経営者がテスラを去るのではないかとの警戒感が高まって27日の時間外取引でも通常取引終値比で13%超の急落となっていた。 その後の29日、SECはテスラと和解したと発表した。テスラのマスク氏は会長を辞任しつつCEOを続けるが、個人と会社がそれぞれ2000万ドルを支払うことで合意。提訴から2日でのスピード決着となった。 RBCキャピタル・マーケッツは30日付の「和解で話を付けた」(Settlement Secured)と題するリポートで「今回の和解はイーロン・マスク氏、テスラ、そして究極的には株主にとってポジティブになるとみている。ファンダメンタルに関心が向かうだろう」と指摘した。(片平正ニ) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

イタリア発・欧州売り再燃か 財政不安で株も債券もユーロも

9月28日の欧州市場で主要株価指数が軒並み下落した。STOXXヨーロッパ600指数は4日ぶりに反落し、前日比0.82%安の383.13で終えた。27日にイタリア政府が19~21年の財政拡張方針を表明し、同国の財政不安や欧州連合(EU)との対立が不安視された。 イタリアのFTSE・MIB指数は3日続落し、前日比3.71%安の20711.70と7日以来3週間ぶりの安値で終えた。1日の下落率としては2016年6月27日以来およそ2年3カ月ぶりの大きさとなった。イタリアの10年物国債利回りは一時3.2%台と前日の2.9%近辺から急騰した。 投資家がリスクを避ける動きは域内全般にも波及し、ドイツのDAX指数は1.51%安となったほか、フランスCAC40も0.84%安となった。 個別ではイタリア銀行大手のインテーザ・サンパオロが8.44%安となったほか、ウニクレディトも大幅に下落した。域内全般で金融株の下げが目立ち、BNPパリバが3.23%安、ソシエテ・ジェネラルが2.81%安に沈んだ。 イタリア政府が提出した19年の財政計画は国内総生産(GDP)に対する財政赤字の比率は2.4%だ。欧州連合(EU)の規則内にひとまず収めたが、黒字化の目標は後退しEU内では反発の声が相次ぎ、対立を不安視する向きが強まった。 一方、9月28日の米国市場ではドル高の流れが強まった。ユーロドルが1.1572ドルまで下げて9月中旬以来のユーロ安ドル高水準を記録している。ドル指数(DXY)は3日続伸し、0.14%高の95.13で終えた。一時は95.37まで上昇し、10日以来、半月ぶりの高水準を回復した。 DXYの構成比はユーロが57.6%で過半を占め、これに円(13.6%)、ポンド(11.9%)、カナダドル(9.1%)などが続く。構成比でウエイトが高いユーロとドル指数の逆相関の関係が見られる。ドル円も一時113円71銭まで上昇し、9カ月ぶりのドル高円安水準を付けた。(中山桂一、片平正ニ) (QUICK FactSet Workstationより) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

「27年ぶり」に待ち構えていたメガの売り 月間1254円の上昇、ラスト1分の失速

ドキュメント9.28 後場編 28日の日経平均株価は前日比323円30銭(1.36%)高い2万4120円04銭で引けた。9月の月間の上げ幅としては1254円となり2017年10月(1655円)以来、11カ月ぶりの大きさとなった。一時は年初来高値(2万4124円)を上回り27年ぶりの高値をうかがう場面もあった。「メガバンクからの売りが出ている」といった観測が聞かれた中、後場に入ると伸び悩んだ。27年ぶりの高値水準で戻り待ちの売りが出るなど強弱感の対立が鮮明になった1日。QUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントの取材では以下のような声が聞かれた。 前場の動きをまとめた記事「高値と弱音 日経平均、すぐそこまで見えてきた27年ぶり水準」はこちらをご覧ください。 ※28日の日経平均は後場に伸び悩んだ 12:30 日経平均はこの日のザラ場高値である2万4286円10銭で後場寄り   12:38 「後場のSQ値が飛んだ。ミスなのか実注文なのか?」(外国証券)   12:57 「相変わらず個人投資家は日経レバを売り越している。午前はおおむね買いに対して売りが1.2倍程度。とはいえ、一時に比べると売りと買いの差は大きくない。中長期目線の個人投資家が売りを出している一方、高値警戒感はあるものの短期的に相場上昇を睨んだ買いも入っているとみられる。このほか店内の動向をみると、出遅れているマザーズ銘柄の一角に買いを入れる向きがある」(ネット証券)   13:11 「当社の戦略は変わらずで、内株は少し弱め、外株は少し強めとなっています。来年3月末の予想値を1000円以上超え、短期戦略も中心値よりも低めなので、完全にこの相場についていけてません。海外発の要因で需給的に下がったところは買いチャンスと言っていましたけど、実際に下がる局面があってもスルーしていることが多いですし・・・。米国経済がピークアウトすれば円高となり、日本株は米株よりも更にやられる懸念があるので、なかなか強気になれないですね。買わない理由は、米国の独走が続かないという見方が変化しないためです。やはり金利上昇によるコストアップで、米国経済はピークアウトに向かうという見方をしているので。仮にそれが顕在化したとしても、その前に相当上がったらどないすんねんって個人的には思ってますけど、今更変えられないんでしょうね。個人的には、『年金が戦略を修正したら相場は終了するでしょうけど、それまでは強いんじゃないですか』って思ってます。もちろん、そんなことを社内では口が裂けても言えませんが」(信託銀行)   13:41 「きのうはメガバンクからの売りが株価の重荷になっていましたが、きょうも午後から売りが出ているようです。先物の動きが重なって分かりにくくなっていますが、一方では米系の投資家が日本株を買う動きもチラホラあるようですね」(市場関係者)   14:05 「複数のブローカーの動向を聞くと海外勢は買い越しのようです。この所の海外勢の動きからするともう少し上値に期待しても良いのではないでしょうか。きょうはメガバンクの売り観測が出ていますが、ETFなどの売りは前場から見えていたようですよ。昼から上げ幅を縮めたのは仕掛け売りでも出たのではないでしょうか」(投資顧問)   14:59 日経平均は2万4132円17銭。この時点では年初来高値をわずかに上回っていたが、大引けにかけて力尽きた。 ※QUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物・現物株を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。

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