テンセント、前期7割増益も成長鈍化懸念 CEO「本土上場、条件整えば検討」

中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が21日発表した2017年12月期の決算は純利益が前の期比74%増の715億元(約1兆2000億円)となった。主力のゲームや広告の伸びがけん引し市場予想(672億元)を上回った。ただ売上高は市場予想に届かず、22日の香港市場で同社株は一時4.6%下落。ゲーム事業の伸びが足元で減速し、成長の鈍化が意識され始めた。 21日に香港で開いた決算記者会見には創業者の馬化騰・最高経営責任者(CEO)、ナンバー2の劉熾平総裁らが登壇した。馬CEOは株式市場で注目が集まっている中国本土への上場について「条件が整えば検討する」と語った。米フェイスブックで問題になった利用者情報の保護について劉氏は「広告主に対して鍵となる個人情報を提供することはない」などと述べた。主なやりとりは以下の通り。 ――中国政府が解禁を検討しているCDR(中国預託証券)を利用した本土上場の考えはありますか。  馬氏「CDRは最近のホットなトピックだ。政策面での可能性や技術的な要因を考慮したうえで、条件が整えば検討したい」 ――音楽配信の騰訊音楽娯楽集団など子会社を上場させる可能性は。  劉氏「騰訊音楽娯楽集団は上場候補として考えているが、完全子会社ではないため関係者間での調整が終わるまで待つ必要がある。他の完全子会社については現在、上場を検討していない。上場先として中国もしくは海外のどちらを選ぶかは事業の特性に沿って考えていく。現在約600社に出資しており、そのなかには上場を検討している企業もある」 ――主力のゲーム事業は四半期ベースでは減収となりましたが、先行きをどうみていますか。  劉氏「ゲームの先行きについてはとても楽観的だ。短期的な収益化よりも、1日当たりの利用者数や有料利用者数の増加に注力している。最近でもレーシングゲーム『QQスピード』など内製したゲームや(昨年11月に中国での運営権を取得した)人気バトルゲーム『PUBG』が好調で今年前半から収益に貢献する」 ――中国では子供のゲーム中毒への批判もあります。  馬氏「未成年者の保護は重要な課題ととらえており、昨年も主力ゲームで12歳以下の1日の利用時間を1時間に制限するなどの規制を設けた。保護者たちと話し合いの場を持っており、政府の関係部署とも連携して対策を講じていく。業界のリーダーとして高い基準に従う必要がある」 ――電子商取引のアリババ集団との小売業界での競争についてどのように考えていますか。  馬氏「我々は小売業者になりたいわけではなく、ビッグデータやクラウドなどの公共的なサービスを提供して小売業者を技術的に支援していきたい。他社と競争があるのは健全で、良いことだ。モバイル決済は両社がお互いに競い合うことで中国で急速に広がった」 ――米フェイスブックの保有する会員情報が不正に外部に流出した事案が問題となっています。個人情報の保護についてどうとらえていますか。  劉氏「プライバシーの確保は我々が最も注意を払っている事項だ。広告主に対して鍵となる個人情報を提供することはない。対話アプリでのやり取りを会社側でコピーしたりもしていない。中国をはじめとする各国の法律に沿って対応するのは当然のことだ」 【日経QUICKニュース(NQN )香港 林千夏、柘植康文】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

トルコリラ、内憂外患で最安値更新 ミセスワタナベは逆張り継続

トルコリラの下落が止まらない。19日の外国為替市場では、対円で1リラ=26円台後半と過去最安値を更新する場面があった。国際収支の悪化に加え、国内外の政治情勢も重荷となり、まさに「内憂外患」が続く。一方で下げが続くなか、日本の個人投資家はなお買い持ち高を膨らませている状況だ。 前週以降、リラ売りを誘う材料が相次いでいる。まず、12日発表の1月の経常収支が71億ドルの赤字と、市場予想(69億ドルの赤字)を上回る結果となった。対外収支の悪化は実需のトルコリラ買いの減少を意識させ、リラの重荷となっている。 13日には選挙法案改正が注目を集めた。これまでトルコの選挙法では、得票率が10%に達しない政党の議席獲得を認めていなかった。今回の改正で、与党・公正発展党(AKP)の事実上の連立相手で、単独で10%を得票するのが困難視される民族主義者行動党(MHP)を救済。景気下支えのために低金利を選好するエルドアン大統領の権力集中が進むとの見方がリラ売りにつながった。 シリア情勢も重荷だ。18日にはエルドアン大統領がトルコ軍がシリア北西部アフリンの市街地中心部を「全面掌握した」と発表した。シリアへの軍事作戦はすでに2カ月続き、民間人犠牲者も出ているもよう。エルドアン大統領に対する批判が高まっており、リラ買いを手控えさせる要因となっている。 過去最安値更新が続くリラだが、日本の個人投資家は逆張り姿勢が鮮明だ。FX大手外為どっとコムによると、顧客のリラ円の買い持ち高は先週以降、過去最高水準で推移している。買い持ち高は今年に入り、16日までに2割以上増えた。週次でデータを公表している東京金融取引所のFX取引「くりっく365」でもリラ円の買い持ち高は過去最高水準にある。 やや長めのチャートでみると、リラ円は14年末の50円台からほぼ一本調子で下落している。ミセスワタナベの逆張りが報われる日が来るのかに関心が高まるが、今のところリラが反発する機運には乏しい。 【日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

中国テンセント、17年12月期の決算発表へ 市場予想は純利益6割増

中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)が21日に2017年12月期の決算を発表する。アイテム課金などを含めて売り上げの過半を占めるゲーム事業が引き続き好調で、アナリストの間では6割を超える増益が見込まれる。ゲームでのコスト増の影響や新施策を導入した広告事業の伸びにも関心が集まりそうだ。 QUICK・ファクトセットのアナリスト予想では、17年は売上高が前の期比58%増の2401億元(約4兆円)、純利益が63%増の672億元となっている。主力のゲーム事業では社会現象になった「王者栄耀」のほか、シューティングゲームなどでもスマホ向けの配信で人気を集める。決済やクラウドといった新たな事業も好調だ。 これまで市場予想を大きく上回る増収増益を繰り返してきただけに、今回も投資家の期待は高い。株価は直近の7営業日のうち6営業日で上昇し、1月29日に付けた実質的な上場来高値(476.6香港ドル)に近い水準まで回復してきた。足元では目標株価を500香港ドル程度とするアナリストが多い。 アナリストの間で先行き期待につながっているのがウィーチャット内で動かせる様々なアプリを提供する「ミニプログラム」だ。軽いデータ容量で設計された独自のアプリをアプリストアなどからインストールせずに楽しめる。17年初に開始されると、マクドナルドから電気自動車(EV)のテスラまで幅広い海外企業がミニプログラムを投入した。いまでは58万のプログラムが提供されているという。 米ジェフリーズは「ミニプログラムによってネット通販分野が強化されており、広告や決済事業の収益化につながっていく」と予想。テンセントの目標株価を足元より1割以上高い525香港ドルに設定した。成長余地が大きいとみられてきた広告事業の伸びが注目される。 17年12月にはこのプログラムで簡単なゲームも楽しめるようにした。離れたブロックの間を跳ぶゲーム「ジャンプ ジャンプ」は投入から数週間で1日の利用者数が1億7000万人以上に達した。こうした手軽なゲームによる短期的な収益の押し上げ効果は限られそうだが、利用者がウィーチャットを使う頻度をさらに高める効果がありそうだ。 テンセントを巡っては先行きも大きなイベントが相次ぎそうだ。足元では預託証券を用いて中国本土に重複上場するハイテク企業の第1陣になるとの見方が浮上した。 市場関係者からはA株への重複上場が実現すれば「(テンセントなど中国ネット大手の)株価見直しにつながる可能性がある」(UBS証券の高挺・中国戦略ヘッド)と予想する声は多い。また音楽配信を手がける子会社の騰訊音楽娯楽集団は18年内の香港もしくはニューヨークへの上場を検討しているとされる。 もっとも足元の利益はやや伸び悩むと見込まれている。 市場では10~12月期の四半期ベースの純利益予想は前年同期比56%増の164億元となっており、7~9月期実績の180億元を下回る。競争の激しいゲーム市場でのシェア確保のため、開発や販売チャネルの拡充で費用が増えるとの指摘がある。株価への影響は気になるところだ。21日の決算会見には創業者の馬化騰・最高経営責任者(CEO)らが登壇する予定で、経営陣の反応にも注目が集まりそうだ。 【関連記事】 テンセント決算予想 ゲーム好調で5割増収か 課題はコンテンツコスト抑制 【日経QUICKニュース(NQN )香港 柘植康文】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ビットコインに先安観再び 下値メドは5000ドル? オプション取引が示唆

インターネット上の仮想通貨ビットコイン(BTC)が再び下げ基調になっている。情報サイトのコインデスクによると、ドル建て価格は日本時間15日に一時7700ドル程度と2月上旬以来の安値を付けた。 国内の個人投資家を中心に売りが続き、前週半ばまでの中心レンジだった1万ドル台からの下げ幅は3000ドル程度に達した。2月6日に付けた今年の安値である6000ドル割れが視野に入り、オプション市場を中心に先安観が広がってきた。 今週の相場下落について、市場では「コインチェックの利用者による法定通貨への換金売りがコンスタントに出ている」との声が多い。1月に仮想通貨「NEM(ネム)」の巨額流出が発覚したコインチェックは12日、ビットコインやイーサリアム、リップルなど一部通貨の売却や引き出しを順次再開すると発表していた。 <円建てのビットコインも下げ基調になっている> イタリアや中国系の交換業者でハッキング被害や通貨の不正流出が相次いだこともあって、世界的にビットコイン取引の熱は冷めている。情報サイトのブロックチェーンインフォによれば、3月に入ってからの1日あたりのビットコイン取引承認数は15万件程度と、2016年3月以来、約2年ぶりの水準まで急減。足元でも20万件に届かず、ドル建て換算の売買高も低迷したままだ。 取引高の減少は、市場でどの程度自由に売買可能な状況かを示す「流動性」の低下に直結する。小規模な売りでも相場は大きく下げやすくなっていると考えられる。 大口投資家の間では規制強化を嫌気するムードも生じている。香港を拠点に仮想通貨関連のファンドを運用するクリプトムーバーのギャビン・ヤン最高経営責任者(CEO)は「米グーグルによる仮想通貨の広告規制や、19~20日の20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議で規制強化の方策が話し合われる見込みなのも買いの手控え要因になっている」と分析していた。 では、相場の下値メドはどのあたりになるだろうか。市場では「オプションの需給から判断すると5000ドル程度ではないか」との指摘が聞こえてくる。ビットコインオプションは今のところ、市場参加者の相場観をストレートに反映する唯一の指標だ。 オプションのプラットフォームを提供するレッジャーXでは14日と15日の両日、1ビットコイン=1万ドルを権利行使価格とし6月29日を期日とするプット(売る権利)の取引がまとまった規模で成立した。オプション料は平均すると3000ドル弱。オプションの買い手の「損益分岐点」は単純計算すると7000ドル程度になる。 一方、懸念されているG20に対しては「今回は投資家保護やマネーロンダリング(資金洗浄)対策の必要性を各国が共通認識として持とうとするだけで、具体的な規制内容には踏み込まない」(国際通貨研究所の志波和幸主任研究員)との予想が支配的だ。コインチェック絡みの売りもいずれ終わる。 15日、6月29日期日で5000ドルを権利行使価格とするプットのオプション料は平均で500ドル弱にとどまった。相場が数カ月単位で持続的に下がり、5000ドルを大きく割り込むとの見方までは増えていないことがわかる。ビットコインは当面、5000~7000ドルで推移するというのが、オプションディーラーを中心とする現在のメインシナリオのようだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

円、投機筋が買い転換か 政治リスク警戒、一時105円台に上昇

外国為替市場で円高・ドル安基調が続いている。15日の東京市場では一時1ドル=105円79銭近辺と約1週間ぶりに105円台へ上昇した。株式相場の底堅さなどを支えに円売り・ドル買いを仕掛けてきた投機筋が、ここへきて円売りを中断。日米の政治リスクへの警戒感の強まりを映す形で、逆にドル売りの持ち高を形成し直す動きが出ている。 15日、市場参加者の間では「きょうは海外勢の円買い・ドル売りの動きが目立つ」との声が多く聞かれた。トランプ米政権が中国に対して強硬姿勢を強めるとの警戒感が強まったことが要因だ。国内の学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡っても、新たな材料が出たわけではないものの「政治情勢の安定感で定評がある日本で、政権が傾く可能性が浮上したということを、海外勢が意識し始めた」(りそな銀行の井口慶一・市場トレーディング室クライアントマネージャー)との声が出る。 野村証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは「14日のニューヨーク(NY)の取引時間帯で、投機筋が円売り・ドル買いから円買い・ドル売りに転じたようだ」と指摘する。米政治の不透明感に加えて最近の小売り統計で弱めの結果が続いていることも材料となった。NY市場での対ドルの円の安値が106円59銭と、東京市場で付けた106円75銭に届かなかったのをきっかけに「市場心理は弱気、円相場は上昇方向」との判断に傾いた。 とはいえ現時点ではまだ、米経済の悪化懸念が急速に強まったわけではない。日米の政治問題も決定打に欠ける。全面的にリスク回避という状況にはなっておらず、円が105円突破を視野に一段と上昇するには「悲観的な見方が強まるような追加材料が必要」(国内証券)となる。 19~20日の20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議では米国の保護主義的な政策が議論され、「米国批判が出る可能性がある」(みんかぶの山岡和雅チーフストラテジスト)。20~21日には米連邦公開市場委員会(FOMC)も開かれる。投機筋を再び円売り・ドル買いに方針転換させる材料が出るか。日米の政治・経済の両面に目配りしながらもうしばらく様子を見る必要がありそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 蔭山道子】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ヴィンクス(3784)、4営業日で株価2倍に 期待高まる無人レジの将来性

東京市場で流通向けシステム大手のヴィンクス(3784)株が急伸している。14日は一時、制限値幅の上限(ストップ高水準)である前日比300円高の1489円まで買われた。8日の終値と比べると、株価は4営業日間で2倍になった。ドラッグストアが無人レジを積極導入との報道をきっかけに、ヴィンクスに対して将来的な需要拡大への投資家の期待を集めている。 日本経済新聞は9日付朝刊で「国内大手ドラッグストアが2025年までに全ての店舗で無人レジを導入する」と報じた。これを手掛かりに、2月にパナソニック(6752)と無人店舗向けレジの事業化で提携していたヴィンクス株への買いが集まった。 パナソニックも認めるヴィンクスの強みは、POS(販売時点情報管理)システムのドラッグストア向けの納入実績だ。会社側は「ドラッグストア大手のウエルシア(3141)など多くのチェーンに導入しており、薬局向けPOSシステムのシェアでは業界上位」(経営企画部の担当者)と話す。POSシステムで築いた販路が、無人レジにも応用できるとの期待が高まった。 他の無人レジ関連銘柄も、報道をきっかに株式市場で買われた。だが、9日以降の株価上昇率はアルファクス(3814)が46%高、オプトエレ(6664)が21%高で、ヴィンクスの上昇率は大きい。投資家の間では「ヴィンクスが無人レジの本命」(ちばぎんアセットマネジメントの加藤浩史運用部長)との評価があった。 売買代金は急増しており、14日は130億円を超え東証1部の20位に食い込んだ。「過熱感が出ている」(岡三証券の小川佳紀・日本株式戦略グループ長)との指摘もある。会社側は「無人レジ事業の売上高は現時点ではほとんどないが、2019年3月期以降の事業拡大を見込んでいる」と話す。投資家は将来性を買っている側面も強い。 【日経QUICKニュース(NQN) 高橋徹】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

【アルゴウオッチ】麻生財務相が辞任否定 変動率低下でHFT拡大

外国為替市場で円相場やユーロの対ドル相場といった主要な取引ペア(組み合わせ)の変動率が低くなってきた。トランプ米大統領がアルミニウムや鉄鋼の輸入制限で例外をもうけるなど寛容な姿勢を見せ始めたのに加え、国有地売却の決裁文書を巡って激震が走る国内でも麻生太郎財務相が自らの辞任を否定したことで金融・資本市場の緊張がひとまず和らいだためだ。低い変動率を好むHFT(コンピューター経由の高頻度取引)が拡大し、レンジ形成を促す流れになっている。 将来の為替レートを予測する通貨オプション市場で、円相場とユーロの対ドル相場の予想変動率は13日9時時点で1カ月物がそれぞれ7%台後半、6%台後半と、前月2月の米株価急落時などに付けたピークの10%台半ばと9%台後半よりも3%程度低い。 ■円相場と対ドル円相場の予想変動率 2月の米株安のきっかけの1つだった米金利上昇への警戒感も足元では緩んだ。米株式投資家の不安心理を測る指標とされるVIX(変動性指数)は前日12日の終値が15.78と、2月に40を一時超えていたのに比べればだいぶ落ち着いている。 HFTはマイクロ秒(100万分の1秒)以下の単位で小刻みに売り買いを繰り返す。値動きは狭ければ狭いほど都合がよく、水準はあまり関係がない。いったん取引規模が膨らめばそこで売買が交錯し、相場は膠着感を強めていく。もし円高・ドル安方向でHFTが席巻すれば、円は高値圏に定着することになる。 VIX安定が映す投資家のリスク選好回復は本来、日本から欧米などへの資金シフトを促すはずだが、国内では学校法人「森友学園」を巡って政治状況が緊迫。「国会空転の長期化や内閣支持率の低下で安倍晋三政権とアベノミクスが動揺すれば株安・円高に発展する」(SMBC日興証券の野地慎・チーフ為替・外債ストラテジスト)との懸念が消えていない。 国内の機関投資家は年度末でもあり、新規の外債運用には及び腰のようだ。半面、世論調査の結果が厳しくなるまでにはタイムラグが生じると考えられる。 JPモルガン・チェース銀行の佐々木融・市場調査本部長は「海外ではまだ森友問題を深刻にはとらえていない」と話す。麻生財務相が前日、自らの進退について「考えていない」と答えた影響もあるのだろう。逆に麻生氏の辞任が現実味を帯びてきた場合には、HFTがレンジ前提のディーリングから撤退し、相場が大きく振れる展開が予想される。 【日経QUICKニュース(NQN ) 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

森友文書書き換え、財務省認める 市場「政権動揺なら円高・株安に」

財務省は12日、学校法人「森友学園」への国有地売却の決裁文書に関する調査結果を国会に報告した。麻生太郎副総理兼財務・金融相をはじめ財務省幹部はこれまで文書の「書き換え」を否定してきたため、野党の反発は必至だ。国内の政治情勢が混乱し、財務相の進退などを巡って安倍晋三政権の求心力が低下した場合、金融・資本市場にはどんな影響が及ぶのか。市場関係者に聞いた。 ※QUICK端末でのニュース配信は12日12:16 みずほ証券の上野泰也・チーフマーケットエコノミスト 次の最大の焦点は麻生太郎財務相の進退だ。麻生氏が財務相を辞任した場合、市場ではアベノミクス体制存続への懸念が高まり、海外勢を中心に円債売り・日本株売りが進みかねない。 もし自民党内で安倍1強体制への不満などから「麻生降ろし」の動きが出て、麻生氏を辞任に追い込む形になれば事態は深刻だ。細田派と麻生派が首相を支える協調体制も崩れてしまう恐れがある。 仮に麻生氏が辞任せずに今国会を乗り越えたとしても、政権の支持率低下は避けられないだろう。支持率の結果によっては、安倍政権の求心力は大幅に下がるはずだ。前回、森友問題をきっかけに政権の支持率が低下した2017年9月とは異なり、朝鮮半島情勢が大幅に改善しているため、有事対応を期待した支持率上昇も望めない。 安倍首相の3選が難しくなると、「アベノミクス」と日銀の大規模な金融緩和政策は修正を余儀なくされるとの思惑が海外を中心に広がるだろう。外国為替市場ではリスク回避や円金利上昇を背景に円高圧力がかかりそうだ。 JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長 日本国内でニュースに触れていると、今回の騒動はこれまでより少し状況が違うと感じる。一方、海外ではまだ、そこまで深刻にとらえていないようだ。昨年と同様、今回も政権を揺るがすところまでは行かないと見ているのだろう。 海外での織り込みが進んでいないということは、万が一、安倍政権を揺さぶるニュースが飛び込んできたときの反応は大きくなる。外為市場では円買いにつながるだろう。これまで円安を演出してきたアベノミクスが終わるとの連想が働くためだ。 ただ円買いが入ったとしても一時的だとみている。仮に首相が変わっても、それでいきなり日本の景気が落ち込むわけではない。欧米などの景気回復も続いており、投資家のリスク選好姿勢は保たれる可能性が高い。「低金利通貨」の円の上昇余地はおのずと限られるはずだ。 野村証券の吉本元・シニアエコノミスト 森友問題を巡る混乱が今後、日本株の売りにつながっていくかどうかは安倍政権の支持率次第だ。読売新聞が9~11日に実施した世論調査では低下していたが、安倍首相の進退問題に発展するほどとはいえない。この先、支持率が低下し、9月に控える自民党総裁選で安倍首相の3選が難しくなるとの雰囲気が広がると、マーケット全体の懸念要因となりそうだ。 仮に安倍首相が交代するとしても、自公政権の枠組みは変わらない。経済政策は大きくは変わらない可能性が高い。ただ、海外投資家はアベノミクスを安倍首相でなければできない政策とみなす傾向がある。首相交代となれば、「(これまでの日本株高を演出してきた)アベノミクスが終わる」との連想から日本株売りにつながるだろう。 これまで政治的に日銀の出口戦略を封印してきた面もあるため、日銀の出口論議が高まるとの観測が出るかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN)矢内純一、荒木望】 ※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

MTGOXの破産財団、ビットコインなど430億円売却 さらに2000億円分も

仮想通貨交換業を手掛けていた「マウントゴックス」の運営会社で現在破産手続き中の「MTGOX」の破産財団が、財団に属するビットコイン(BTC)や昨年8月にBTCから分裂して誕生したビットコインキャッシュ(BCH)を昨年9月以降、順次売却していたことが明らかになった。 破産管財人を務める小林信明弁護士が7日付で東京地方裁判所に提出した報告書によると、昨年9月下旬から3月7日までの間に裁判所の許可を得てBTCは382億円相当、BCHでは47億円相当の合わせて約430億円相当を売却した。財団が管理する残り2000億円相当分のBTCとBCHについても売却を検討していくという。 このニュースを受けて仮想通貨市場ではビットコインを中心に売りが膨らんだ。 出所:コインデスク 日本時間9日には1ビットコイン=9000ドルを割り込んで、先週付けた直近高値の1万1100ドル台から3000ドルほど下げる場面があった。 【日経QUICKニュース(NQN)尾崎也弥】 ※NQNが配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

仮想通貨関連株に明暗 イー・ガーディアン(6050)は一時14%高

金融庁が8日午前、仮想通貨交換事業を手掛ける7社を行政処分すると発表し、東京株式市場では仮想通貨関連の明暗が分かれた。投資家の間で業界の再編・淘汰や新しい需要の掘り起こしに対する思惑が交錯した。 子会社が仮想通貨交換業を営むリミックスポイント(2部、3825)は一時前日比91円(9.9%)高の1012円に上昇した。同社の子会社は処分の対象外で、残存者メリットを得られるとの思惑から買いが膨らんだ。新たに交換業への進出を計画しているSBIホールディングス(8473)も206円(7.9%)高の2828円まで上昇した。 ■リミックスポイント   ■SBIホールディングス 一方、傘下企業が改善命令を受けたGMOインターネット(9449)は114円(5.6%)安の1930円まで売られる場面があった。 ■GMOインターネット 交換業運営以外の関連銘柄で上昇が目立ったのがイー・ガーディアン(6050)だ。一時460円(14.0%)高の3755円まで買われ、株式分割考慮後の実質的な上場来高値を更新し た。 ■イー・ガーディアン 同社は仮想通貨取引の口座開設時に本人確認審査を代行するサービスを提供している。交換所の管理体制の強化が求められる中、提供するサービスの需要が高まるとの期待を呼んだ。 2月1日に発表した2017年10~12月期連結決算は純利益が前年同期比63%増の1億8700万円と、業績が好調な点も好材料だ。「業績のけん引役はスマートフォン(スマホ)向けゲームの不具合(バグ)検証などを代行するゲームサポート事業」(国内シンクタンクのアナリスト)で成長が期待されている。 今後の物色傾向について市場では、「仮想通貨関連というだけで手当たり次第に買われた段階から、ブロックチェーン(分散型台帳)技術をいかに活用できるかという点に投資家の関心が移っていく」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との見方があった。 【日経QUICKニュース(NQN ) 三好理穂】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ECB理事会、焦点は緩和拡大の文言削除 米保護主義が様子見促す?

欧州中央銀行(ECB)は8日に開く定例理事会で、金融政策の現状維持を決める公算が大きい。焦点は声明で、量的な金融緩和の拡大を示す文言を削るかだ。 ドイツでは大連立協議がまとまった。イタリア総選挙は政治的な安定とはほど遠い結果になったにもかかわらず、今のところ金融・資本市場に混乱は見られない。ECBは経済・物価見通しの改善に沿ってゆっくりと緩和縮小にかじを切り、慎重に市場との対話を進めていくとの観測が増えている。 ■役割終えた「激変緩和措置」 今回削除が予想されているのは、量的緩和に関するフォワードガイダンス(金融政策の先行き方針)の下りだ。現在は条件付きながら「理事会は規模や継続期間の面で資産買い入れ計画を拡大する用意がある」と記している。毎月の購入額を800億ユーロから600億ユーロへ減らすことを決めた2016年12月、減額ショックを抑える目的で加わって以降、声明文に残ったままになっている。 この文言については既に1月、一部のメンバーから撤回を求める意見が出ていた。登場してから1年超がたち、激変緩和措置としての役割は終えたと考えられる。 市場参加者の多くも「買い入れ資産が慢性的に不足している状況を踏まえれば、どのみち緩和拡大は現実味に欠ける」(バンクオブアメリカ・メリルリンチ)と冷静だ。ECBがユーロ圏の見通しに自信を強め、市場で「もう要らない」との認識が広がっているのにあえて残す必要性は薄い。 ECBのクーレ専務理事が最近講演で語った内容も削除予想の根拠の1つだ。 クーレ氏は「タームプレミアム(期間が延びるほど高まる金利や相場の変動リスクに対して求められる上乗せ利益)の不当な拡大を招かず、資産購入から撤退できる」などと発言。そのうえで「ストック効果(中銀の保有資産の増加に伴う金融緩和効果)が分岐点を超えると、購入の量(フロー)を減らしてもタームプレミアムは抑えられる」と述べた。量的緩和政策と市場操作の現場責任者を務めるクーレ理事からのコメントだけに、ECBは緩和終了に明確に傾いたとマーケットでは受け止めた。 ■米通商政策やユーロ高が様子見促す? 一方、市場では「3月の理事会ではフォワードガイダンスを変更すべきかどうか話し合うにとどめ、決定は4月以降に先送りされる」との声も根強い。ドラギ総裁は1月の記者会見で「(フォワードガイダンスに関して)唯一議論したのは議論する必要性だ」などと答え、踏み込んでは議論していないと話していた。 ECBの腰が重いのは、中期的な景気やインフレ見通しに不確実性が高まってきたためだ。足元のユーロ圏経済指標は勢いが一服している。「(ECBの緩和縮小を前提にした)外国為替市場でのユーロ高が成長を妨げているのではないか」(CMCマーケッツのデイビッド・マデン氏)との指摘もあった。 ユーロ高が一段と進めば、輸入品価格の下落を通じて物価上昇を阻みかねない。米国の保護主義的な通商政策が欧米や米中との貿易摩擦に発展するようだと、ユーロ高との「ダブルパンチ」でユーロ圏の輸出に悪影響を及ぼすだろう。ソシエテ・ジェネラルのアナトーリ・アネンコフ氏は「市場はここにきて神経質になっている。資産買い入れ計画の方針変更の検討は時期尚早だ」とみる。 それでも市場では、ECBが4月までに量的緩和に関するフォワードガイダンスを何らかの形で変えてくると想定している。「リスクは、金融環境の不当な引き締まりを恐れて、小さな一歩ですらさらに遅れてしまうことだ」(ピクテのフレデリック・ドゥクロゼ氏)との声もあがっていた。タイミングを逸してインフレ対応などが後手に回る可能性も意識しておかなければならないというわけだ。進むにせよ止まるにせよ、ECBのさじ加減は難しい局面に入った。 ※8日のECB理事会後の声明発表は日本時間同日21:45の予定。同日22:30からドラギECB総裁が記者会見する。 【ユーロの対円、対ドルの値動き】 【日経QUICKニュース(NQN)ロンドン=菊池亜矢】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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