新興国版VIXが高止まり 募る不安、通貨も株も

6日の米国市場で新興国株に連動する「iシェアーズMSCIエマージングETF」が41.48ドルまで下げ、8月15日に付けた年初来安値(41.13ドル)に迫る場面があった。この日は0.09%高で小反発して終えたが、トランプ政権が週内にも2000億ドル規模の中国製品に対して追加関税措置を発動するのではないかとの警戒感で新興国株が弱い流れを反映する展開だった。 (QUICK FactSet Workstationより) エマージング版恐怖指数として知られるCBOE新興国市場ETFボラティリティ・インデックス(VXEEM)は3日ぶりに反落して2.73%安の22.08で終えた。一時は23.48まで上昇し、終値ベースで投資家心理の不安感を示すとされる20を上回って終えた。VXEEMは8月30日以降、終値ベースで20を上回って高止まりしており、恐怖指数のVIXが14台で低い水準にあるのと比べて新興国株に対する投資家心理の不安感が示されている。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントおよびQUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

そろそろ過熱?米労働市場 半世紀ぶり低水準の失業保険申請件数

6日発表された9月1日までの週の米新規失業保険申請件数は20万3000件と、1969年12月の20万2000件以来の低水準となった。米労働市場の好調さが持続している。 また、同日発表された8月のADP雇用レポートでは、非農業部門の民間雇用者数が前月比16万3000人増と7月の21万7000人増から伸びが鈍化した。しかし、「雇用の伸びはやや減速したものの、市場は信じられないほどダイナミックなままだ」(ADP研究所)、「雇用市場は熱い。雇用主は既存の労働者の引き留めと新規採用の確保に躍起だ。この競争のなかで、中小企業は従業員数を維持することが難しくなってきている」(エコノミスト)と指摘されている。 QUICK FactSet Workstationによると、7日発表の米雇用統計では非農業部門就業数が前月比18万9000人増が予想されている。(丹下智博)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

【朝イチ便利帳】 7日 自民党総裁選が告示、8月の米雇用統計

7日は総務省が7月の家計調査と消費動向指数を発表するほか、消費活動指数(日銀)などが発表される。IPO関連では、伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人 投資証券(3493*J)が新規上場するほか、極東産機(6233*J)、東京インフラ・エネルギー投資法人 投資証券(9285*J)の仮条件が決定する。自民党は安倍晋三首相の党総裁任期満了に伴う総裁選を告示する。 海外では8月末の中国外貨準備高、8月の米雇用統計などが発表となる予定。  

株、海外勢が先物中心に買い越し 8月第5週

東証が9月6日に発表した8月第5週(8月27~31日)の投資主体別売買動向 (東証、名証2市場の合計)によると、海外投資家は現物ベースで5週ぶりに買い越した。現物と先物(TOPIX、日経225ラージ+ミニ合計)を合算した総額ベースでは2週連続で買い越した。 一方、個人投資家は現物・信用でともに2週連続で売り越した。総額ベース(現物+先物)でも2週連続で売り越している。 (QUICK特設サイトより) 北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉の進展期待など過度な警戒感がやや和らいだことで機関投資家のリスク許容度は高まっているとみられる。半面、日経平均株価で2万3000円に接近すれば売りが上値を抑えるレンジ相場が続いていることが、個人投資家の動きを鈍くしているもよう。新興市場では東証マザーズ指数が8月安値から半月で1割以上戻した動きとは対照的に、主力株への物色意欲は盛り上がりを欠いているようだ。 (山口正仁) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

20年ぶり安値に沈むインドネシアルピア 危機の「常連」、株価も急落

インドネシアの通貨ルピアへの売り圧力が強まっている。4日に一時1米ドル=1万5000ルピア台まで下げ、1998年7月以来、約20年ぶりの安値水準に沈んだ。米国発の貿易摩擦激化やトルコ・アルゼンチンなど新興国通貨の急落がルピアを直撃。インドネシアは「対外リスクに脆弱」という見方が海外の投機筋に勢いを与え、株式相場も急落している。 「ルピアの値動きはファンダメンタル(経済の基礎的条件)から乖離(かいり)している」。現地メディアによるとインドネシア中央銀行のペリー総裁は、最近のルピア下落は市場心理の悪化によるものだとして通貨安をけん制した。中銀は8月31日から9月4日まで7兆1000億ルピアを投入し、ルピア買い・米ドル売り介入で防戦。5日も為替介入を実施し、どうにかルピアを支えようと懸命だ。 ルピア売りの主な震源地は海外だ。トルコリラやアルゼンチンペソといった経済に不安を抱える新興国の通貨が暴落し、新興国通貨全体に不安の連鎖が広がっている。インドでも通貨ルピーが連日で過去最安値を更新。貿易摩擦が世界経済の減速を招くとの懸念や、米国の利上げ基調も引き続きルピアを含む新興国通貨にとって逆風だ。 市場ではインドネシアの十分な外貨準備高や財政規律の改善を理由に、ルピアは「売られすぎ」との声が多い。シンガポールの金融大手DBSグループ・ホールディングスは、「インドネシアにトルコやアルゼンチンとの明確な共通点はなく、ルピア売りが(危機の発生を示唆する)警告であるとは考えていない」と分析する。 とはいえインドネシアは経常赤字と財政赤字の「双子の赤字」を抱え、企業の米ドル建て債務も多い。2013年の「テーパー・タントラム(米連邦準備理事会=FRBの量的緩和縮小をめぐる市場の混乱)」の際、ルピアは経済基盤が弱い「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5通貨)」の1つとして急落するなど、新興国不安が高まる場面では必ず売りの対象になる「常連」だ。市場心理の悪化でファンダメンタルにかかわらずルピア売り圧力が続く可能性が高い。 インドネシア当局は通貨安の食い止めに懸命だ。中銀は5月以降4回の利上げを実施し、政策金利を合計1%以上引き上げた。政府は経常赤字削減のため、一部輸入関税の引き上げを決めた。しかし通貨安自体が投資家心理を悪化させる悪循環に陥り、売り圧力を抑えるのは容易ではない。 いったんは為替介入によってルピア安を強引に押しとどめたが、売りの勢いは株式相場に波及。インドネシアの主要株価指数であるジャカルタ総合指数も5日の下げ幅が一時5%に迫った。金融市場で新興国の不安が一段と広がっていくのか。トルコやアルゼンチンに続いてインドネシアの動きからも目が離せなくなってきた。 【日経QUICKニュース(NQN) 村田菜々子】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

米株の強気継続を示唆する3枚のチャート 日本株の先行きも下支え

  株式市場では日経平均2万2500円近辺の攻防が続いている。米中貿易問題や新興国の通貨安などに加え、相次ぐ自然災害にも見舞われて何となく上値が重いが、大きな値下がりを警戒する声は少ない。日本株の先行きを左右する米国株式市場に、持続的な上昇を示唆するチャートが多いためだ。 1つは、61.3と2004年5月以来の高水準を記録した8月の米ISM製造業景況指数だ。東海東京調査センターによると、過去2回の景気後退局面では、ISM指数が50を割るタイミングでS&P指数が高値を付け、その後に急落した。ISM指数がピークを付け、50を割り込むまでにかかった月日は約1年半。つまり、いまがISM指数のピークだとしても、向こう1年半ほどは米株高が持続するという見立てだ。 米ISM製造業景況感指数(グラフ青)とS&P500種株価指数(グラフ緑) (QUICK FactSet Workstationより。網掛けは景気後退期) この動きは米国だけの話にとどまらない。ISM指数にやや遅れながらも、日本の電機株も似たチャートを描きやすい。電機株の時価総額は、東証1部全体の1割強を占める。電機株の上昇が株式相場に好影響をもたらすことは、想像に難くない。 2つ目は米国株の需給要因だ。米商務省によると、2017年末に成立した税制改革法によって、海外の関連会社で稼いだお金を自国に戻す大規模な資金還流の動きがみられた。 18年1~3月期で3000億ドルと、同様のレパトリ減税が行われたブッシュ政権時の05年を遥かに上回る規模だ。 こうした資金は、企業の自社株買いやM&A(買収・合併)などの原資になるとみられており、株式相場を支える要因になる。 米多国籍企業における海外関連会社からの配当金などの受取額の推移 (四半期ベース、米商務省) そして3つ目が、米景気の先行きを映す鏡といわれる米ダウ輸送株指数の動き。ネット企業が隆盛を極める今の米国株式市場にあって必ずしも相場全体の先行きを示す指数とはいえないが、東証株価指数(TOPIX)と並べてみると、TOPIXがやや遅れつつ、ダウ輸送株指数の動きに追随していることがわかる。米ダウ輸送株指数は足元で水準を切り上げており、遠からずTOPIXもキャッチアップする可能性がある。 米ダウ輸送株指数(グラフ青)とTOPIX(グラフ赤) ハイテク株への集中物色で上昇してきた米株式相場だけに、ハイテク株安となった5日の米国株の動きは気になるところだ。とはいえ、米株高の材料は、ほかにもたくさんある。いまひとつ盛り上がりに欠ける日本株市場だが「しっかり押し目を拾う」スタンスが、”当面は”正解なのかもしれない。(松下隆介) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

スティープ化が一服、伸び悩む超長期債利回り

超長期債との長期債金利差が、8月中旬をピークに緩やかに縮小している。 9月の日銀国債買い入れは「3~5年」と「5~10年」が8月対比で減額となる一方、「10年超」は前月から維持される見込みで、需給面から金利差は縮小しやすい。 日銀は7月末に政策の修正を実施したが、長期金利の上昇は小幅にとどまっている。3カ月物ユーロ円TIBORは4日、0.063%と2017年10月以来の水準まで低下した。銀行はTIBORを基準に貸し出すケースが多く、収益の悪化要因となる。運用難に苦しむ投資家の資金が超長期債に向かいやすいことも、超長期債利回りの上昇を抑えているようだ。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】 6日  anfac、ナルミヤが新規上場 米製造業受注

6日は8月の車名別新車販売・輸入車販売などが発表される予定のほか、片岡日銀審議委員が記者会見を行う。IPO関連ではand factory(7035*J)、ナルミヤ・インターナショナル(9275*J)が新規上場するほか、フロンティア・マネジメント(7038*J)、SBIインシュアランスグループ(7326*J)の仮条件が決定する。 海外では7月の米製造業受注、8月の米サプライマネジメント協会非製造業景況感指数などが発表される予定だ。

Aの次もA 1000000000000ドルへのラストワンマイルと、そこから

4日の米市場でアマゾン・ドット・コムが7日続伸した。前週末にくらべ1.33%高い2039.51ドルで引けた。新規の買い材料は見当たらないものの、同社への期待感が買いを集めている構図が続いた。 取引時間中には一時、2050ドル台に乗せ、時価総額が1兆ドルを超える場面もあった。ただ、引けにかけて伸び悩み、9947億ドルとなった。時価総額が1兆ドルの大台に乗せているのはアップルのみで、およそ1.1兆ドル。アマゾンからすればアップルを追い越すまで残り1000億ドルだが、抜けそうで抜けない。 ■アマゾンとアップルの時価総額・売上高 ※QUICK FactSet Workstationより。左は時価総額の推移、右は売上高の推移 ただ、ウォール・ストリート・ジャーナルの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」は、アマゾンがこのまま2番手に甘んじることはないとの見方を示している。その理由の1つが業績。QUICK FactSet Workstationによるとアナリストの2019年通期に対するアマゾンの売上高予想は22%増の2800億ドル台後半となっている。一方のアップルは5%増の2700億ドル台後半。来年にもアマゾンが初めて売上高でアップルを抜く可能性が出ている。 アマゾン株は投資指標を基に見れば割高感が相対的に強いのは否定できない。それでもネット小売りのみならずクラウドビジネスも順調に成長するなど、市場の期待は裏付けもある。世界で最も価値のある企業の玉座を奪取するのか。今後もアマゾンから目が離せない。(岩切清司 )   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。  

【朝イチ便利帳】 5日  10年国債入札、8月の中国非製造業PMI

5日は財務省で10年物国債の入札が行われる。 海外では、4~6月期の豪国内総生産(GDP)が発表される。その他、8月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)や7月の米貿易収支などが発表される予定だ。

底なしトルコリラ安、利上げ示唆の中銀声明にも冷淡 金融リスクの警戒感広がる

外国為替市場でトルコリラの下落が続いている。トルコ中央銀行は3日、インフレ率の急上昇を受けて9月の金利引き上げを示唆する声明を出したが市場の反応は冷ややかだった。利上げに否定的とされるエルドアン大統領の姿勢が変わらない限り、物価抑制と景気安定に必要な金融引き締めは難しいとの認識が広がっている。 4日の東京市場でリラの対円相場は1リラ=16円台後半で推移している。3日の中銀声明の発表後は17円前後まで上値を試したが、買いは続かなかった。8月の急落時に付けた過去最安値の15円台後半に近い水準で低迷したままだ。 3日に発表された8月のトルコ消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比17.90%と2003年12月以来ほぼ15年ぶりの高さになった。国内の生産者物価指数(PPI)は同32.13%と7月(25.00%)から一段と上昇ペースが速まった。生産者が物価上昇に耐えきれず消費者に価格転嫁する公算は大きく、「CPIの前年比上昇率は年末までに20%に達する」(みずほ証券投資情報部の折原豊水シニアエコノミスト)。トルコ中銀の危機感は相当高まったはずだ。 3日の中銀声明は「物価の安定を支えるため必要な措置を講じる」、「9月の金融政策委員会で金融のスタンスを調整する」というもの。オランダのラボバンクは3日付リポートで「中銀のチェティンカヤ総裁は声明を出すことによって、正攻法の利上げに踏み切る義務を自らに課した」と解説していた。 だが、エルドアン氏がチェティンカヤ氏の意向を尊重してくれるとは限らない。 みずほ証の折原氏は「市場が期待する大幅利上げにはおそらく踏み切れない」と話す。中銀介入にかじを切るエルドアン政権のもとで、引き締めを強化し通貨安を止められるかは依然として不透明だ。「少なくとも10%は利上げしないと市場は驚かないだろうが、政治サイドに金利上昇への嫌悪感が強いなかで、中央銀行がすべきこととそれが実際にできるのかは分けて考える必要がある」(ラボバンク)との懐疑論が目立つ。 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの橋本和子研究員は「リラ安が進むなか、外貨建て債務の多いトルコ企業が経営危機に陥る恐れがある」と指摘する。市場からは「信用リスク懸念からトルコ系銀行のドル調達コストは上昇した」との声も聞こえてくる。 ただでさえトルコの大手企業はエルドアン大統領の縁故主義が強く、ガバナンス(統治)がうまく機能していないとされる。「トルコの金融機関が、借り換えが集中する年末にかけて円滑に借り換えを進められるかが焦点」(みずほ証の折原氏)との警戒感が広がってきた。 〔日経QUICKニュース(NQN) 菊池亜矢〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

【朝イチ便利帳】4日 ユニクロの8月売上高、米ISM製造業指数

4日は8月のマネタリーベース、8月の財政資金対民間収支、8月の国内ユニクロ売上高などが発表される予定。IPO関連では香陵住販(3495*J)の公募・売り出し(公開)価格が決定する。海外では8月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数などが発表される予定だ。

米中摩擦の映し絵、弱い「豪ドル」 対円で1年10カ月ぶり安値に

外国為替市場でオーストラリア(豪)ドルの弱さが鮮明になっている。トランプ米大統領が追加の対中制裁関税に意欲を示す中、通商摩擦の激化により最も打撃を受けるのは中国への依存度が高い豪経済、という見方が改めて広がっているのだ。 3日の東京市場で、豪ドルは対円で一時1豪ドル=79円53銭近辺と2016年11月以来の安値、対米ドルでは1豪ドル=0.7166米ドル近辺と16年12月以来の安値を付けた。資源産出国の通貨として豪ドルとともに語られるカナダドルや、同じオセアニア通貨のニュージーランド(NZ)ドルに比べても安い。対NZドルは8月上旬には1豪ドル=1.11NZドル台だったが、足元では1.09NZドル前後まで下げている。 豪州にとって中国は日米と並ぶ重要な貿易相手国。「稼ぎ頭」の鉄鉱石や石炭だけでみれば圧倒的なお得意先だ。原材料をたくさん使う中国の製造業が米中摩擦によって失速すればてきめんに響く。 輸出が細っても国内で補えるのなら問題はないが、足元では豪国内情勢にも不透明感が生じている。豪統計局が3日に発表した7月の豪小売売上高は増加の市場予想に反して横ばいにとどまったほか、8月末発表の7月の住宅建設許可件数は市場予想以上に落ち込み、市場に驚きをもたらした。 さらに大手を含む一部金融機関が8月末、収益改善のために住宅ローン金利の引き上げを発表した。利払い負担が家計を圧迫し、個人消費を抑制すれば物価も上がりにくくなる。市場では「豪中銀の利上げも遠のくとの思惑が広がっている」(ナショナルオーストラリア銀行の柏木新一市場営業部部長)という。 あさって5日発表の4~6月期の豪国内総生産(GDP)は、前期比で0.7%増、前年比で2.8%増と1~3月期の1.0%と3.1%からの伸び率鈍化が見込まれる。足元の経済指標を踏まえ、下振れに身構える関係者も少なくない。 市場参加者が意識する豪ドルの下値メドは、対円では16年秋の米大統領選挙直後に付けた1豪ドル=77円前後。対米ドルでは「きょう付けた安値水準(0.716米ドル台)で踏みとどまれなければ厳しい」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長)との声があがっている。米中の報復関税の応酬が収まる気配は今のところなく、豪ドルはもう一段下値を探る展開を想定しておく必要がありそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN ) 蔭山道子】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

本石砲、8月は今年最低の2発 ステルス・テーパリング状態に

日銀は8月31日、上場投資信託(ETF)の買い入れを見送った。この日の前場のTOPIXは0.20%安で終えていた。日銀は7月に前引け時点のTOPIXの下落率が0.3%以下の場合は買いを見送り、8月に入ってからは0.4%台でさえ買いを見送る傾向にあった。 この結果、8月の日銀のETF買いは10日と13日(いずれも703億円)の2回のみ。4月や7月の3回を下回り、月間の買入回数としては今年最低となった。 31日時点で累計買入額は3兆6792億円にとどまっており、年6兆円で増加するペースを960億円下回るステルス・テーパリング状態となっている。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

外為市場の透明性向上へ「行動ルール普及を」 QUICKセミナー

QUICKはこのほど、東京都内で「外国為替セミナー」を開いた。金融機関や事業会社の担当者80人が参加し、日銀と東京外国為替市場委員会が普及を目指す外為業務の統一ルール「グローバル外為行動規範」について理解を深めた。 日銀為替課長の廣瀬敬久氏と東京外国為替市場委員会議長の星野昭氏(三菱UFJ銀行シニアフェロー・金融市場部共同部長)が基調講演した。 廣瀬氏はこの1年で世界の多くの市場参加者が行動規範の遵守を表明したことなどを説明。今後も各国・地域の中央銀行と民間の外為市場委員会が一体となって、幅広い市場参加者への働き掛けを続けていきたいと強調した。 星野氏は市場の流動性を高めるため、規則を厳しくするだけでなく行動の推奨例を示すことで、「過去1年間に幅広い投資家や企業からの賛同を集めてきた」と述べた。その上で同規範に賛同する企業を増やすことで、市場の公平性を一層高めていきたい」と呼びかけた。 東京外国為替市場委員会の星野議長(三菱UFJ銀行シニアフェロー・金融市場部共同部長) パネルディスカッションでは運用会社からみた外為行動規範について、野村アセットマネジメントの大熊貴之シニアトレーダーは、行動規範に賛同を示すことで「顧客や市場からの信頼を得ることができる」と話した。また、バークレイズ銀行の大澤孝元・市場営業本部長は「今後、超高速取引(HFT)業者などにも賛同を呼びかけ、公正な市場をつくる必要がある」と課題を示した。EBSディーリングリソーシスジャパンの大木一寛リージョナル・セールス・マネージャーは「様々な工夫を重ねて適正なベンチマーク(取引指標)の提供に努めている」と話した。 写真左からEBSディーリングリソーシスジャパンの大木氏、野村アセットマネジメントの大熊氏、バークレイズ銀行の大澤氏、日経ヴェリタスの小栗氏 〔日経QUICKニュース(NQN)〕

【朝イチ便利帳】9月3日 黒田総裁が講演、QUICK月次調査<債券>、米国休場

3日は4~6月期と17年度の法人企業統計調査、8月の新車・軽自動車販売などが発表される。きょうは株価指数先物30周年で黒田東彦日銀総裁がシンポジウムで講演(都内)する。QUICKは11時に月次調査<債券>を発表する。 IPO関連ではブロードバンドセキュリティ(4398)、アイリックコーポレーション(7325)の仮条件、マリオン(3494)の公募・売り出し(公開)価格が決定する。 海外では8月の財新中国製造業購買担当者景気指数などが発表される予定。またレーバー・デーの祝日で米全市場が休場となる。

シェア経済が揺さぶる物価の「常識」 専門家に聞く

民泊にライドシェア(相乗り)にレンタルスペース――。インターネットを介して個人がモノやサービスを売買・貸し借りするシェアリングエコノミーが、海外に続いて日本国内でも広がりつつある。シェアリングエコノミーの経済規模を捕捉するのは難しいが、2016年は総額4700億~5250億円程度にのぼったと内閣府は試算する。今後一段とシェアリングエコノミーが広がると、国内の消費や物価にどのような影響があるのか。大和総研でシェアリングエコノミーの研究に関わる市川拓也主任研究員と、「デジタル資本主義」(東洋経済新報社)の執筆に関わった野村マネジメント・スクールの森健上席研究員の2人に話を聞いた。 ■「物価の下押し圧力に」 大和総研の市川拓也主任研究員 シェアリングエコノミーは現在余剰となっている資産やスキルを有効に使えるようにする動きだ。空きスペースや車だけでなく、写真撮影といったスキルの個人間の提供もインターネットを通じて広がるとみている。 財やサービスの提供は、個人が副収入のひとつとして手がけるとみている。個人の所得を増やし、支出を後押しすることになる。 ただ価格設定はすでにある競合サービスと比べて低価格になることが多い。利用者側にはプラスだが、対象となる財やサービスの価格は押し下げることになりそうだ。既存事業者との競合が厳しくなれば、価格競争も起こりやすい。 財やサービスの販売にも影響が出てくる。一段とシェアリングエコノミーが普及し、「モノを持たないことがいい」という価値観が広がれば、消費者の購買行動が変わる。企業にとっては仮に単価は上昇しても、販売数量は減るだろう。 ■「一物一価の概念が崩れる」 野村マネジメント・スクールの森健上席研究員 シェアリングエコノミーの普及・拡大によって、物価の概念が変わり、「一物一価」という考えは崩れそうだ。提供される財・サービスが非常に多種多様になるだけでなく、同じ財やサービスを使っていても、使い方や利用条件に違いがあるため価格もひとつに定まらない。いままで購入していたものを買わずに使うだけになると、そもそもある財やサービスの「価格」を比較しにくくなる。 デジタル化の下で製造業が進めている「モノ」売りから「サービス」売りへの転換も同じ影響がある。 「サービス」売りの価格設定では、顧客の「支払い意思額」を明確にして請求することが必要になる。この支払い意思額は顧客ごとに異なるため、ここでも価格に差が付く。例えば音楽配信業界では1曲ごとの価格体系から、何十万曲へのアクセス価格へと価格の設定方法が変化している。これも物価の概念を揺さぶっていると言えるだろう。 シェアリングエコノミーは、高齢化や人口減少によって資産の稼働率が低下する日本との相性が良く、着実に拡大する。今後は退職者の知識やスキルもシェアの対象になるだろう。  【日経QUICKニュース(NQN ) 聞き手は岩本貴子】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

現物債に「刻み幅縮小」待望論 0.001%単位なら取引活発に?

債券市場の一部で現物債の取引単位を小さくするよう求める声があがっている。日銀は7月の金融政策決定会合で緩和策の修正を決めたが、以降のオペ(公開市場操作)の姿勢などから「金利の変動幅はしばらくは広がらない」との受け止めが拡大。呼応するように先物の動きは徐々に鈍り、現物債の売買は成立しづらくなった。そんな中で少しでも取引を活性化させ、市場機能を回復する策として「刻み幅縮小」待望論が出てきたわけだ。 唱えられているのは、業者間の取引を仲介する日本相互証券で利回りベースで0.005%刻みとなっている現在の現物債の取引値幅をより細かくするというものだ。 足元では債券先物の日中値幅がしばしば10銭を下回り、5銭以下の日もある。「債先が10銭動けば現物の新発10年債利回りは0.010%程度、3~4銭なら0.003~0.004%程度上下するイメージ」(国内証券の債券ディーラー)だ。もし債先が3~4銭の値幅で膠着すれば現行の0.005%刻みでは厳しい。刻み幅を0.001%単位にすれば取引機会が増え、市場の厚みが戻るとの見方が出ている。 取引所や日本相互証券などのようなブローカー(仲介業者)を通さない金融機関同士の相対取引では既に、刻みを小さくしているケースが多い。日本相互証券では29日、約2カ月ぶりに新発10年債の取引が成立しなかったが、相対取引では「10年債は0.097~0.098%といった利回りで、数百億円規模の売買が成立していた」(国内金融機関)という。トレーディングシステムがお互いに対応しているのなら特に問題はない。投資家の認知度が高い日本相互証券でも同様の取引ができれば、商いがより活発になるとのシナリオには、確かに一理ある。 問題は、刻み幅が細かくなればなるほど取引1回当たりの収益率が下がりかねないことだ。外国為替市場ではかなり前から主要通貨の取引で刻み幅が小さくなり、極めて狭い範囲で頻繁に売り買いを繰り返す高頻度取引(HFT)が台頭。市場規模は天文学的な数字にまで拡大したが、相場の変動率(ボラティリティー)は下がり、収益をコンスタントに上げられる投資家はむしろ減少した。 日銀がボラティリティーを抑えながら市場機能の回復を目指しているのなら刻み幅の縮小は歓迎すべきことかもしれない。一方で仲介業者や投資家の体力を奪ってしまっては意味がない。 日本相互証券は日経QUICKニュース社の取材に対し「現時点で刻み幅の縮小は予定していない」と説明している。市場の中でも「相場の膠着で困っているどこかの金融機関が、自らに有利なように『ポジショントーク』を展開しているだけ」といった冷ややかな意見は少なくない。現実味はまだまだ薄いようだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 片岡奈美】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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