【アルゴウオッチ】起点はリクルート報道 円安・ドル高の勢い復活

外国為替市場で再び円相場が下落基調にある。9日の海外市場では1ドル=109円80銭台と節目の110円を改めて探った。今週前半は過度の米金利上昇や新興国経済への警戒感などからリスク回避でいったん円を買う動きが出ていたが、リクルートホールディングスによる米社買収の報道をきっかけに、相場のモメンタム(勢い)を重視するコンピューターの「アルゴリズム取引」が円売り・ドル買いに傾いている。 リクルートが米求人関連サイト運営のグラスドア買収を発表したのは日本時間の9日10時ごろ。ニュース自体は突発的で、アルゴリズムがすぐ反応できたわけではない。反応したのは自らの経験と勘で勝負する生身のトレーダーだったが、米国のイラン核合意離脱などを背景に市場の様子見気分が強く、参加者が少なくなっていた局面だっただけに円安方向への振れ幅は大きくなった。グラスドアの買収額は12億ドル(約1300億円)。日本企業が現金で米国企業を買収するディールは、外為市場では円を売ってドルを買う取引につながる。 折しも米国債の時間外取引で、米長期金利の指標となる10年債の利回りがじりじりと上昇していた。これが米金利上昇にシンプルに円売り・ドル買いで応じるタイプのアルゴ系投資家を刺激し、円安モメンタムの醸成をアシストしたようだ。 ふだんは相場の流れに逆らう「逆張り」で臨む外為証拠金(FX)投資家も、アルゴリズムを駆使するトレーダーを中心に9日はかなりの割合で「順張り」の円売りを進めた。FX大手のオアンダによると日本時間10日7時時点でも円売りと円買いの注文はほぼ拮抗し、全体の持ち高は「中立」に近い。FX勢の逆張りの円買いがあまり入らないと、円の下値余地は広がりやすくなる。 オアンダのデータでは円の対ドル取引で9日中に収益をあげたFXディーラー上位100名のうち、7割弱が円売りを先行させていた。対して円の買い手は総じて振るわなかった。お金の余裕は円安・ドル高派のほうがかなりあると受け取れる。 今後の米金利上昇や中東情勢の緊迫が米景気や新興国に打撃を与え、円高をもたらす可能性は消えていない。一方、為替相場は勢いに任せて動くケースがかなり多い。モメンタム重視のアルゴ勢の復活は円安・ドル高の持続性をいくぶん意識させる。 【日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 今 晶】   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

改革開放40年、中国経済の「これから」(HSBCリポート)

QUICKは「アジア特Q便」と題し、アジア各国・地域の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はHSBCグループ香港上海銀行副会長兼チーフ・エグゼクティブのピーター・ウォン(Peter Wong)氏が40周年を迎える中国の改革開放についてリポートします。 人の一生と同じ時間軸の中で、中国は農業共同体による農民中心の国から最先端のデジタル技術と消費が主導する大国に変貌を遂げた。これはスマートフォンを財布代わりに利用する消費者がけん引した変化である。 今年中国は、経済改革と開放に舵を切ってから40周年を迎える。千里の道も一歩からという諺(ことわざ)があるが、まさに1978年12月18日に中国は開放政策を取り入れ国内経済の運営と方向性を転換させることを宣言してその第一歩を踏み出した。 それ以来、中国の経済運営は、かつての厳格な中央統制の下で国家が主導する輸出主体の経済から市場の役割を高めた内需主導の経済へと発展してきた。 過去40年間の中国の国内総生産(GDP)成長率は平均で年率10%であり、同期間の米国のGDP成長率の3倍を記録している。また一人当たりGDPは1978年当時の156米ドルから2016年には8123米ドルまで増加し、8億人を超える国民が貧困を脱した。2016年の米国の一人当たりGDPが5万7638米ドルであることと比較すれば、中国には今後一段の成長余地がある。 現在すでに中国の経済規模は購買力平価ベースで世界最大である。また工業製品輸出と外貨準備高も世界最大である。さらに中国はグローバリゼーションや気候変動対策において主導的役割を担うことを積極的に目指している。こうした目覚しい実績の全ては、中国の経済と社会の弛まぬ努力と広範な変革によってもたらされたものである。 ■改革開放からグローバルな役割への旅立ち 中国は、かつて国内経済の基盤だった農業の集団生産化を改めることで経済の不均衡を是正する取り組みに着手した。それには農業に契約責任制を導入することなどが盛り込まれ、農業従事者は集団で生産するのではなく土地ごとに割り当てられた収穫高を上回る生産高を達成すれば、その超過部分を獲得することができるようになった。また中国政府は郷鎮企業というシステムを確立した。それをきっかけに食品やその他の消費財の供給が格段に増加し、国内経済の活力と事業環境は大きく変化していった。地方の改革は中国の将来の経済成長やグローバル経済へ参加するための基礎となるものである。 1980年代には中国は国際貿易を拡張し、外国から国内への対内直接投資(FDI)を解禁した。1980年に深セン、珠海、厦門、汕頭の4つの経済特区が設けられたことがそれを最も端的に表している。 経済特区は外国資本の誘致や改革実験の推進、輸出主導の経済の創出において成功を収めている。1991年の中国へのFDIは43億7000万米ドルだったが、それ以降中国へのFDIの絶対額と比率は大幅に上昇し、2016年には1260億米ドルに到達している。 さらに中国は沿岸や国境沿いの都市、内陸部の主要都市を徐々に開放し、最終的にはその他の都市も開放している。それにより先進国経済圏の労働集約的な製造業が中国に引き寄せられてきた。現在では経済特区モデルが11の新しい自由貿易試験区に発展し、サービス業やイノベーションの改革をはじめとする将来の国家的改革の試験場として機能している。 中国の経済システムの変更を目指す主要局面では国有企業(SOE)のガバナンス(統治能力)が改善され、価格の段階的な自由化や財政の分権化が進み本格的かつ近代的な銀行システムが確立されている。 SOE改革は企業の自主性の拡大を目指すものであり、政府の干渉を抑制して市場体制を創り出し民間企業間の競争により多くの産業を開放することで、管理された計画経済から価格主体の市場経済に転換していくものである。 SOE改革のプロセスは現在もなお進行中である。さらに中央政府は国有セクターの合理化と近代化を通じて世界で競争できるコングロマリットを創設する取り組みを続けている。この改革には、組織再編や経営統合、余剰生産能力の削減、労働者の移住などへの対応が盛り込まれている。 中国は2006年末までに金融市場への外国資本参入を自由化するとの約束を世界貿易機構(WTO)と交わし、2003年末から金融市場の改革を加速させてきた。その改革の焦点は銀行、証券、保険といった中国の金融サービスの主要分野に絞られていた。その過程で銀行の資本構成の多様化やガバナンスの向上、プルーデンス規制の導入、国有銀行の株式会社化などが進められ、また主要な証券会社は再編され保険セクターの改革も進展した。 中国は、国内の経済資源の配分を改善するためには高度に機能する金融システムが重要であることを認識している。そのため中国政府はこの数年間に数多くの改革に着手してきた。依然として中国人民銀行が基準金利で金利誘導を行ってはいるものの、銀行の預金金利と貸出金利は現在すでに完全に自由化され、今や商業銀行はこれらの金利を自由に設定することができる。また、2015年5月から明確な預金保険プログラムが導入された。 改革のもう一つの側面は、中国の「走出去(海外進出推進)」政策に焦点が当てられている。 国内の資本取引についても、中国当局はQDII(適格国内機関投資家)やQFII(適格海外機関投資家)といった厳格な管理プログラムを通じて慎重かつ緩やかではあるものの過去40年にわたって開放を進めてきた。さらに、香港市場と本土市場の間で株式取引と債券取引をつなぐストックコネクトとボンドコネクトが先に実現したことで海外から中国の資本市場へ参加する動きは拡大している。 中国の資本取引の自由化は実際の数字にも表れてきている。現在の中国は世界第2位の株式市場を擁している。国内株式市場の時価総額は2003年時点の5130億米ドルから2017年10月には17倍の8兆7000億米ドルに成長した。債券市場もすでに世界第3位の規模に達した。 人民元の国際化にもすでに大きな進展が見られている。わずか10年前までは人民元の利用は中国本土にほぼ限定されていたが、現在では中国の貿易全体の10%超が人民元建てで決済されている。また様々なクロスボーダー取引を通じて海外投資家が中国本土の株式や債券を購入することが可能になった。 人民元が準備通貨としての役割を果たす事例も徐々に見られるようになってきた。人民元は2016年10月1日に国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)構成通貨に正式に採用され、米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドの仲間入りを果たしている。世界各国における人民元建ての外貨準備の合計は2016年時点で850億米ドルと全体の0.78%だが、人民元に投資する世界の中央銀行の数は2013年時点の3行から2017年には45行に急増した。さらに昨年にはMSCIが、中国A株をエマージング・マーケット指数とMSCI ACWI指数に今年6月から組み入れることを発表している。 中国はこれまで40年にわたって主にFDIの受け手であったが、現在では大規模なFDIの出資者でもある。1999年に始まった走出去政策の下で、中国の金融関連以外の対外直接投資(ODI)は2000年時点の10億米ドル未満から2016年には1700億米ドルまで急増している。 また中国は、壮大な「一帯一路構想」を支えるアジアインフラ投資銀行、新開発銀行、シルクロード基金といった数千億米ドル規模の資本を有する国際的金融機関や基金の創設も先導している。こうした機関や基金によって、2016年から2030年にかけてアジアの開発途上国で26兆米ドルのインフラ資金ニーズが満たされることになるだろう。 ■移行の新時代 中国は「改革開放」の取り組みにより、消費や革新、グリーンエネルギーが主導する新しい経済成長の時代に踏み出すことが可能になった。 変化はすでに現れている。内需が着実に拡大する中で2017年は最終消費支出が経済成長の58.8%を占め、その比率は5年前から4%ポイント近く高まっている。サービス・セクターで創出された価値はGDPの52%を占め、この比率も5年前から6%ポイント上昇した。 拡大する中間層と、より自由な消費活動をする若いデジタル世代の消費者にけん引される中国は、デジタル技術と革新において世界をリードする存在になってきた。昨年に中国国内でインターネットへのアクセスを持つ人口は7億7200万人に達し、欧州全体の人口を超えた。今や中国は世界のどの国よりもEコマースが活発な国になった。世界全体のEコマース取扱高の42%を占めるほか、世界で最も成功しているテクノロジー新興企業の3分の1以上を擁し、モバイル決済の取扱高は米国の11倍にもなっている。 ただし今後については大きな課題もある。約40年前に膨張する人口に対処するべく大胆な政策を実行した中国だが、現在は人口の高齢化に対処しなければならないという課題を抱えている。従って保険、医療、介護、資産運用などの分野の需要が一段と増加するとみられ、そのために多様化した金融システムが必要になるだろう。さらに経済を持続可能かつ環境重視型にすることが、国民や環境のためばかりでなく長期的に持続可能な経済構造のためにも極めて重要になってきた。 世界の貿易と投資をけん引する原動力として、中国はアジア経済成長の中心的な役割を担いつつアジア地域内の連携を一帯一路構想によってさらに強めようとしている。それによりアジアは2050年までに世界全体のGDPの約52%を生み出す存在になると推計され、世界経済の中心的な存在になっていくと考えられる。従って中国は将来、あらゆる側面で米国を凌駕する世界最大の消費者市場と経済規模を有する存在になるだろう。   ※アジア特Q便は、QUICK端末で先行してご覧いただけます。

マレーシアETFが一時9%安、初の政権交代の可能性を警戒

9日の米国市場でiシェアーズMSCIマレーシアETFが6.02%安の32.42ドルで反落し、一時は下落率が9%を超えた。 9日に投開票が行われたマレーシア連邦議会下院(定数222)選挙で、マハティール元首相が率いる野党連合の希望連盟が過半数にあたる112議席を獲得。マレーシアで初の政権交代が起こることになったため、期待感よりも先行き不透明感が強まった。 通貨マレーシア・リンギットはドルに対して売られる展開となった。(片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

決算発表たけなわ、EPSは日米ともに歴史的な好調ぶり

決算発表シーズンも佳境。米国ではS&P500採用銘柄の89%に相当する444社が決算を発表し、78.8%の企業の1株当たり利益(EPS)が市場予想を上回った。市場予想を上回るポジティブ・サプライズの比率としては1994年以降の平均(64%)を上回る好調なシーズンで、米減税策などを受けてEPSの成長がピークを迎えるのでは無いかと警戒された割に好調な米決算シーズンとなっている。主力企業のアップルが決算を前後して8日続伸しており、時価総額で1兆ドルの大台乗せが視野に入っている。 一方、国内では8日にトヨタ(7203)が異例の場中決算を行い、今期の通期業績予想で売上高以外が市場予想を上回ったことで決算後に株高が進んだ。市場からは「好業績見通しを発表して、株価も上がれば今後は場中決算が増えるんでしょうか? 大引け後の決算ですとファースト・リアクションが海外市場で出てしまいますけど、場中決算なら日中の商いも増えて良いことずくめです」(国内証券)と、トヨタが率先して場中に決算を行ったことを評価する声が出ていた。 一方、日経平均株価のEPSは9日終値時点で1722円と過去最高水準にあり、株価収益率(PER)は13倍程度で割安感は根強いまま。ドル円が109円台半ばでドル高・円安基調が戻りつつあり、110円の大台を回復するようだとさらなる日本企業の業績改善期待が高まり、上値追いが再開される可能性がある。 きょうのところは11日のミニSQを控えて2万2500円の行使価格を意識する展開が見込まれるが、週明け以降は米朝首脳会談を前に地政学リスクが和らぐことが見込まれ、上値トライの環境は整いそうである。なお前日の大引け後に決算を発表したソフトバンクG(9984)のピンクシートが米国市場で小幅高で終えており、日経平均株価を6円ほど支える見込み。夜間PTSでは下げていたが、アナリストからは好評価が出ており、指数の押し上げが期待されそうだ。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】 10日 KDDIやパナソニックなど400社超が決算発表

10日は3月と17年度の国際収支、4月の景気ウォッチャーが発表されるほか、KDDI、パナソニックなど約400社が決算を発表する予定だ。 海外では4月の米消費者物価指数、米財政収支が発表される。 【10日の主な予定】 【今日の株価材料】

ペソ下げ止まりも安心できず 100年債アルゼンチンへの疑心暗鬼

新興国経済への警戒感がさらに強まっている。イラン情勢の緊迫と米金利上昇を背景に、経済基盤の弱い国の通貨が対米ドルで売られやすくなり、アルゼンチンはペソ安を阻止するために国際通貨基金(IMF)に支援を仰ぐ事態になった。支援実現となればアルゼンチン問題は一歩進展するが、中東の地政学リスクと米ドル高の傾向が変わらなければ根本的な解決とは言えないだろう。 アルゼンチンのマクリ大統領は8日、融資枠の設定に向けてIMFと協議を始めたと明かした。融資枠の設定により、アルゼンチンは手元資金が増えてペソ買い・米ドル売りの為替介入に機動的に踏み切れる。このニュースは8日の外国為替市場では好感され、通貨ペソは下げ止まった。 アルゼンチン政府はこれまで外貨準備の不足に悩み、通貨防衛に金融政策の引き締めで臨むしかなかった。年始に1ドル=19ペソ付近で推移していたペソは一時23ペソ付近まで下落。アルゼンチン中央銀行は政策金利を40%まで上げ、通貨安に対抗してきたが、景気悪化や社会不安をもたらしかねない危険な状況だった。IMFの支援はこうした状況の打開につながると期待されている。 とはいえ、債券投資家は慎重姿勢を崩せない。例えば昨年6月に発行され、高利回りで注目を集めた100年債は年初から15%近く下落している。現時点で値を戻す気配は特にみられない。 今回の融資枠設定の協議について市場では、「アルゼンチンがデフォルト(債務不履行)の危機に陥ったわけではない」との声が多い。IMFは通常、信用力のある国にのみ融資枠の設定を認めているためだ。「融資枠が設定できれば、むしろアルゼンチンの信用補完につながる」(野村証券の中島武信クオンツ・ストラテジスト)とも受け取れる。それでも01年のアルゼンチン国債のデフォルトに直面した機関投資家を中心に、疑心暗鬼は消えていない。 アルゼンチンの融資枠設定や国債の価格低迷を受け、債券投資家の視線は他の新興国にも厳しくなっている。アルゼンチンと同様に経常赤字が慢性化し、外貨準備が少ない国への懸念は強い。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「米利上げの長期化で新興国債券から資金が流れ出すとの不安は簡単には収まりそうにない」と話す。 日本の投資家はリスク管理の制約がきついため、01年から15年近く市場から離れていたアルゼンチン債には昨年の100年債を含めてほとんど手を出していなかった。一方で国内で低金利環境が長引き、高い利回りを求めて新興国債で運用するケースは増えている。アルゼンチンの混乱は対岸の火事ではない点に注意が必要だろう。 【日経QUICKニュース(NQN ) 荒木望】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ESG投資、笛吹けど踊らぬアップルサプライヤー株

9日付の日本経済新聞朝刊は「経産省、『ESG』重視企業を機関投資家に紹介 年内に新制度、積極対話で『進化』促す」と報じた。記事によると「投資家との対話で助言をもらい、日本企業が世界標準に近づくよう促す狙いがある」という。 一段と国策色を帯びるESG投資。企業側もESGレーティングの取得へと背中を押される。「ESG」とは「環境・社会・企業統治」の英語の頭文字をとったもの。耳障りが良く、何かにつけて説得しやすいテーマ性を帯びる。 ただ、日ごろ疑問に思うのが運用パフォーマンスの優先順位はどのあたりにあるのかという点だ。ESG関連の株価指数の採用銘柄が突出して好パフォーマンスを出している様子はない。 ここで1つの検証をしてみたい。世界市場で最も時価総額の大きい企業といえばアップル。同社は2018年に入って「すべての自社施設で使用する電力の100%を再生可能資源から生み出すという大きな目標を達成」と公表した。環境を意識した施策であるのは明らかだ。 自社に限らず部品などを供給するサプライヤーにも100%の再生可能エネルギー調達を求めている。基本的にアップルは公式にサプライヤーを認定していないものの、100%再生可能エネルギーの基準を達成した企業については公式認定を与え始めている。直近までに23社が認定され、うちイビデン(4062)と太陽HD(4626)の国内子会社である太陽インキ製造の2社が日本企業だ。 下のグラフは、アップル認定の100%再生可能エネルギー調達企業で上場している企業をQUICK FactSet Workstationでバスケット化し、チャートで示したものだ(赤色)。 5年前を100としてS&P500種株価指数(青)、日経平均株価(緑)、そしてアップル(黄色)と相対比較している。2017年半ばまではアップルとの相関性が高く、株価指数に対してもアウトパフォームしてきた様子が分かる。 しかし17年7月ごろを境にアップル株との逆相関が徐々に色濃くなり始めた。直近ではS&P500と競り合い、日経平均が背後から迫る状況にある。 逆相関が始まる前はスマートフォン「iPhone(アイフォーン)X(テン)」への期待感が強かった。ただ、アップルの業績そのものは収益構造の変化が鮮明になるタイミングでもあった。17年7~9月期に「iTunes, Software & Services」の売上高比率が16.2%となり過去最高となった。 18年1~3月期に「iTunes, Software & Services」は91億ドルを突破、日本円換算で1兆円に達した。またアナリストたちは売上高比率が今後も上昇すると想定している。2年後には2割を占めるまでになるというのがコンセンサスだ。 スマホというハード販売からサービス部門の収益も貢献し始める企業へと変貌しつつアップル。そもそもアイフォーンの販売に対する懸念は根強い。結果的にサプライヤー企業が受ける恩恵はアップルの成長と連動しなくなる。 環境に優しい企業を目指しても、業績というファンダメンタルが企業価値を決める重要な要因であることに変わりがないことを上記のチャートは示しているのではないか。ESGという笛が吹かれても株価は踊らず。国策であってもこのあたりは肝に銘じておきたいところだ。(岩切清司)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

トヨタ決算、初のザラバ発表で分散開示の流れつくるか

上場企業の3月期決算の発表が今週、ピークを迎える。決算の発表時刻は海運が午前の取引終了後、鉄鋼や大手商社などが取引時間中(ザラバ)を選択するという例もあるが、主力企業の大半はその日の取引が終了した夕方以降だ。しかし、その傾向が変わる可能性がある。旗振り役になりそうなのがトヨタ自動車(7203)だ。 トヨタは9日に2018年3月期決算を発表する。これまで大引け後の15時に決算を発表していたが、今回は発表時刻を13時25分に前倒し、5分後の13時30分に記者会見を始める。決算説明と豊田章男社長による事業説明に分け、時間も計90分間と従来のほぼ2倍に拡充するという。 トヨタは期初に発表する通期業績の見通しが極めて保守的なことで知られる。市場予想との乖離(かいり)が大きくなりやすく、今回は決算発表直後に売りに押される公算が大きい。ただ、取引時間中に豊田章男社長から事業に関するポジティブな発言が出てくれば、次第に市場も買いで反応するとみられる。その意味でもトヨタ株の値動きから目が離せない。 2018年3月期のトヨタの期初の営業利益予想は1兆6000億円だったが、その後、四半期ごとに上方修正し、現在は前の期比1割増の2兆2000億円と予想している。2019年3月期予想に関しては、QUICKコンセンサス(17社平均)で営業利益2兆2122億円と前期比ほぼ横ばいが見込まれている。今期の会社計画との乖離がどのくらいになるのかが注目だ。 決算発表は45日以内の公表が制度化されているが、30日以内が望ましいとされており、3月期決算企業の場合、最初のピークは4月最終週の金曜日または4月末日となり、2次ピークは5月2週の金曜日または5月15日に当たる。今年は1次ピークは4月27日、2次ピークは5月11日だ。 国内の決算発表は、大引け後に報道機関が集まる東証の兜記者クラブの投函箱に資料を配布する企業担当者の長い列が風物詩となっている。一方、欧米では取引時間前や午前中に決算発表する主力企業が多く、決算発表時刻は分散されている。市場関係者にとっては決算発表が集中するよりも、分散される方が好ましいはずだ。 かつて株主総会の開催日は、総会屋対策から決算発表以上に集中する傾向が強かったが、現在は個人投資家の参加を促すため土日に開催する企業が増えている。国内時価総額トップのトヨタによる今回の試みは、決算発表の分散化を促す布石になるかもしれない。(本吉亮)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。    

【朝イチ便利帳】9日 トヨタやソフトバンクGなど235社が決算

9日は3月の毎月勤労統計が発表されるほか、6カ月物国庫短期証券の入札が行われる。企業決算はトヨタ自動車(7203)やソフトバンクグループ(9984)など235社が発表を予定している。海外では4月の米卸売物価指数、3月の米卸売在庫などが発表される予定だ。 【9日の主な予定】 【今日の株価材料】

トルコリラ並み、欧州通貨に売り圧力 市場は金融政策正常化の後ずれ意識

外国為替市場で欧州通貨の下落が際立っている。ここ1カ月ほどのスウェーデンクローナやスイスフランの対米ドルの下落率は新興国通貨のトルコリラやメキシコペソ並みだ。英ポンドや単一通貨ユーロの下げもきつい。欧州中央銀行(ECB)や英イングランド銀行(中央銀行)が金融政策の正常化に動くとの観測が後退し、利上げを進める米国との違いにあらためて焦点が当たった面が大きい。 3月26日から5月7日までの下落率を計算すると、欧州ではスウェーデンクローナが約7.9%と突出し、スイスフランの6.1%が続く。トルコリラは約7.6%、メキシコペソは6.1%だった。このところ欧州ではさえない内容の経済指標が相次いでおり、「景気のピークアウト感が強まり、欧州通貨の敬遠ムードが出ている」(みずほ銀行国際為替部の佐藤大次長)という。 しかもスイスでは中央銀行が金融緩和政策を維持する構えを崩していない。必要に応じてスイスフラン売りの為替介入に踏み切る姿勢も保っている。スウェーデン中銀は4月26日発表の政策声明で利上げの時期を後ずれさせる意向を示した。投機筋は対米ドルでクローナやフランを売りの対象にしやすくなっている。 また、ポンドは4月中旬にかけ、早期の英利上げ観測をテコに急伸した後、英中銀総裁の発言をきっかけに地合いが一変。ここ2週間ほどずるずると値を下げている。 ユーロは期待先行で買われてきた反動がある。ECBはすでに毎月の国債購入額を減額を始めている。市場では2018年中に量的金融緩和の段階的縮小(テーパリング)を終え、19年には利上げを決めるとの予想が多かったが、足元の景気指標を見るかぎり一筋縄ではいきそうにない。第一生命経済研究所の田中理主席エコノミストは「市場はテーパリングの判断時期の後ずればかりか、量的緩和の長期化も視野に入れ始めているのではないか」と話す。ユーロ売りはECBがすんなりと政策を正常化できるか疑問を抱き始めていることも映している。 欧州通貨は対円相場でもじりじりと下げ、ユーロは8日の東京市場で一時1ユーロ=129円83銭近辺と3月26日以来の安値を付けた。巨額の対外債権国である日本の円はマネー収縮の局面で強い。 トランプ米大統領は米東部時間8日にも、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離れるか否かを判断するとしている。仮に残留となれば中東リスクはいったん後退するが、情勢緊迫への懸念は簡単には消えないだろう。米金利上昇がドルへの資金回帰を促し、新興国など経済基盤が脆弱な国の通貨の売りを促す構図もすぐには変わりそうにない。 市場には「しばらくはドルも買われ、円も買われる」(国内銀行の為替ディーラー)との声が多い。その裏返しで欧州通貨に下落圧力がかかり続けることになりそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 菊池亜矢】   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

ブレマー氏、イラン核合意離脱なら何よりも「大きな影響」

トランプ大統領は7日、ツイッターで欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱するかの判断を米東部時間8日午後2時(日本時間9日午前3時)に発表することを明らかにした。トランプ氏のツイートが出た後、マーケットでは原油価格が70ドルを割り込む中、主要指数も伸び悩む展開となった。 2015年の核合意は、イランが経済制裁の解除と引き換えに10~15年間のウラン濃縮活動制限などに同意したもの。トランプ大統領は合意がイランによる核開発制限の一部に期限を設け、弾道ミサイル開発にも制限がない点を問題視しているという。 国際情勢に詳しいユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は7日にツイッターで「もし、トランプ氏がイラン核合意から離脱するなら、米国の同盟国に対して最大の侮辱となるだろう。環太平洋経済連携協定(TPP)、地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定、エルサレムへの米国大使館移設、また貿易紛争よりも大きな影響が出るだろう」と指摘した。別のツイートでは「米国の有権者にイランの核合意は影響がある、原油価格の下落によってだ」ともつぶやき、原油相場の影響を通じて米国にとってもメリットがあることを指摘していた。 ブレマー氏のツイッター If Trump leaves Iran Deal, will be his biggest slap in the face to date to US allies. More significant than TPP withdrawal, Paris withdrawal, Jerusalem decision, or “trade war.” — ian bremmer (@ianbremmer) May 7, 2018 (片平正ニ) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

賢人も大富豪もビットコインに厳しい見方 関連銘柄の米DPWが7%安

7日の米国市場でパソコン用電源などを手掛け、仮想通貨関連として知られるDPWホールディングスが大幅続落し、7.10%安の0.8639ドルで終えた。仮想通貨のビットコイン(BTC)が1万ドルの節目突破に失敗して大幅安となったことで関連銘柄の一角が軟調だった。コインデスクによれば、ビットコインは1BTC=9188.66ドルまで下げ、前日比で4%超下げた。 米経済専門チャンネルのCNBCによれば、この日に著名投資家らがビットコインに厳しい見方を示したことが売り材料になったという。投資会社バークシャー・ハザウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は7日にCNBCのスクウォーク・ボックスに出演し、ビットコインに関して「何も作り出していない資産だ」と厳しい見方を披露した。バフェット氏は従来からビットコインに対して批判的な見解を持っていることで知られるが、この日はマイクロソフトの創業者でビリオネアとしても知られるビル・ゲイツ氏が同じくCNBCに出演し、「ばかげた理論に基づく投資だ。私は簡単な方法があるのなら空売りしたい」と述べたことも警戒されたという。(片平正ニ) DPWホールディングスの2018年1月からの日足チャート QUICK Qr1多機能チャートより   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】 8日 家計調査や中国貿易統計、決算発表は三菱商事や三井物産など185社

8日は3月と2017年度の家計調査などが発表されるほか、10年物国債の入札が行われる。企業決算は三菱商事(8058)や三井物産(8031)など185社が発表を予定している。 海外では3月の豪小売売上高や4月の中国貿易統計が発表される予定だ。 【8日の主な予定】 【今日の株価材料】

新興国ETFから資金流出加速 ペソ・リラにのしかかるドル高と原油高

5月に入って新興国の株式や債券で運用する上場投資信託(ETF)からの資金流出が加速している。米金利の上昇やドル高が新興国経済に悪影響を及ぼすとの見方が広がっている。 QUICKファクトセットによると、新興国株で運用する「iShares MSCIエマージング・マーケットETF」から2日、5億5300万ドル(約608億円)の資金が純流出した。1日の純流出額としては2016年11月15日以来、1年半ぶりの規模だ。3日にも3億1600万ドル(約347億円)流出し、新興国株を手放す動きが広がっている。 【iShares MSCIエマージング・マーケットETFの資金流出入(青)】 新興国の債券のパフォーマンスも悪化している。「iShares JPモルガン・ドル建て・エマージング・マーケット債券ETF」の純資産残高は4日時点で112億ドルと、昨年末比で8%減った。 米金利の上昇やドル高の影が新興国に長く伸びている。アルゼンチン中央銀行は4日、政策金利を引き上げて年率40%にすると発表。景気減速につながる大幅利上げに踏み切ったのは、アルゼンチンペソの下落に歯止めがかからないからだ。ペソは年初来で15%下落している。 トルコも利上げで通貨防衛を急ぐが追いついていない。財政赤字の拡大に加えてエルドアン大統領による強権的な政権運営が嫌気され、トルコリラは対ドルでは過去最安値を更新。過去1年の下落率は17%に達する。インフレにも歯止めがかからず、「リラの下値余地はみえない」(国内証券のアナリスト)状況だ。 「新興国売り」の先行きを占う上では、原油相場の動向も重要だ。米先物相場は、指標銘柄が日本時間7日の時間外取引で約3年5カ月ぶりに1バレル70ドルに乗せた。 原油高は原材料費の上昇を通じて、米国の利上げ加速の思惑を呼びやすい。トルコやインドなど原油の純輸入国の経常収支の悪化にもつながる。 シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは「原油先物が1バレル70~80ドルで推移するようになれば原油の純輸入国の歳出が膨らみ、新興国経済が下振れするリスクが意識される」と話す。 4日の米株市場では、4月の米雇用統計で賃金上昇圧力の弱さが確認されたほか、「サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が改めて2%のインフレ目標を超える物価上昇に柔軟な姿勢を示した」などと一部で伝わり、利上げ加速への懸念が後退。ダウ工業株30種平均の重要な節目とみられている200日移動平均割れが回避された。 だが、これをきっかけに米国の低金利と景気拡大が世界を潤す「適温経済が復活する」とみるのは早計だ。米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出し、ドルの総合的な価値を示す「ドルインデックス」は4日に92.5と、1月9日に付けた年初来高値を更新。2月15日の年初来安値からの上昇率は4%に達した。新興国の動揺に身構える投資家は増えている。 【日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

【アルゴウオッチ】 円売り戦略中断、ドル買われすぎを警戒

外国為替市場でコンピューターを用いたアルゴリズム取引による円売り・ドル買いの勢いが収まり、円相場は1ドル=109円前後でいったんもみ合っている。コンピューターに組み込まれたテクニカル分析のシステムが「ドルの買われすぎ」(オーバーシュート)を示し始めており、ドル買いを止めた投資家も少なくない。前週半ばまでのドル買いで、米国の長期金利上昇が米経済に悪影響を及ぼすリスクをあまり考慮してこなかったという側面が、改めて意識されつつある。 金利上昇は良好なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を素直に映せば通貨高の要因だが、インフレや財政収支の悪化懸念などが背景なら国外へのマネー流出を伴って通貨安を促す構図も見逃せない。 4月27日からわずか1週間で12.75%もの利上げに踏み切ったアルゼンチンは「悪い金利上昇」の典型だ。高金利でペソ安阻止を狙う。それでもアルゼンチン国民が先行きを案じてドル建て資産などにお金を移し続ければペソの一段安は避けられない。 アルゼンチンは極端な例としても、トランプ米大統領が輸入制限や強硬な中東政策を通じて米国にインフレをもたらす可能性は否定できない。ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「イラン情勢がさらに緊迫し、3年5カ月ぶりの高値圏で推移するニューヨーク原油先物がここから10ドル程度上振れすれば米景気への打撃は避けられない」と話す。 アルゴのエンジニアには市場経験の浅い人が多く、彼らの背後をベテランのトレーダーや元トレーダーが固めている。ベテランは「金利の良しあし」に神経質で、ドル高基調が本当に続くのか懐疑的にみている。このため「ドル相場の目標上限は低めに抑える傾向がある」(外国証券の顧客担当ディーラー)という。 野村証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは2日の時点で「1ドル=110円よりも安い水準での定着には、商品投資顧問(CTA)などアルゴ勢による円の売り持ち転換が条件になる」と指摘していた。米商品先物取引委員会(CFTC)が4日に発表した1日時点の建玉報告で、CTAなどの投機筋を示す「非商業部門」の円の持ち高は5週ぶりに売り越しに転じたものの、その幅は1405枚と小さかった。3日以降は円が上昇したため、投機筋は再び円の買い越しに転じたと考えられる。 野村の高田氏は「対ユーロや対英ポンド、対オセアニア通貨で加速した米ドル高が円高・ユーロ安などにつながり、対ドルの円売りを仕掛けにくくした」とも指摘する。円高は投資家のリスクをとる姿勢の後退を意識させ、「悪い金利上昇」への懸念を助長する。4月の米サプライマネジメント協会(ISM)景況感指数の低下や同月の米雇用者数と平均時給の伸び鈍化も気掛かりだ。アルゴが円売り・ドル買いを再開するためのハードルは上がったようだ。 【日経QUICKニュース(NQN ) 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

VIX、一時3カ月半ぶり低水準 アップルと雇用統計で地合い改善

4日の米国市場で恐怖指数のVIXが大幅続落し、7.10%安の14.77で終えた。一時は10.91まで下げ、1月24日以来、3カ月半ぶりの低水準を付けた。米雇用統計のほか、著名投資家のウォーレン・バフェット氏がアップル株の買い増しを明らかにしたことが伝わり、相場の地合いが改善する中で投資家の不安心理が低下する展開だった。 一方、シカゴオプション取引所(CBOE)でVIX先物などを手掛けるCboeグローバル・マーケッツは4日に2018年1~3月期(1Q)決算を発表し、クリス・コンキャノン社長はカンファレンスコールで「我々は4月18日のVIXの失望的なイベントを明らかにしなければならない。我々は流動性を高めようと努力しているところだ」との見解を示した。4月18日はVIX先物4月限などのSQ日だったが、大口のプットオプションの買いが持ち込まれたことで上げ相場にも関わらずVIXが上昇し、価格操作されているのではないかとの疑念が持たれる展開となった日だった。(片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

強弱まちまち米雇用統計、金融政策に大きな影響なしとの見方

市場の関心事だった4日発表の4月米雇用統計は、ややマチマチ感があるものだった。非農業部門の新規雇用者数(NFP)は前月比16万4000人増となり、市場予想(19万2000人増、QUICK FactSet Workstation)を下回った。平均時給も前月比+0.1%にとどまって市場予想(+0.2%)を下回ったが、失業率は3.9%で17年4カ月ぶりの低水準に改善した。 4日にCMEグループのFedウォッチツールで6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での25bp利上げの織り込み度は100%となり、前日と同じだった。9月FOMCまでに50bpの利上げが行われる確率は69.4%と前日(67.2%)からやや上昇した。 今回の雇用統計に対する各社の4日付リポートでの見解は下記の通り。平均時給の弱さが警戒される半面、FRBの金融政策に影響を与えるものではないとの指摘が出ていた。4日の為替市場でドル円は一時108円台半ばまでドル安・円高に振れたが、初動はドル売りとなったものの、FRBの利上げシナリオの見方が大きく変わらなければドル高基調が再開しそう。米商品先物取引委員会(CFTC)の投機筋の円ポジションは1日時点で5週ぶりに円ショートに転じ、ドル買い・円売りの流れが再開していることを示していた。 ●ゴールドマン・サックス 「今回の雇用統計からは、労働市場が改善を続けているトレンドについて変化が起きたとは示されていない。6月FOMCでの利上げ確率を従来の90%から95%に引き上げる」 「前回の雇用統計からは他のビジネス調査と同様、労働市場の成長が減速していることが示されているが、失業率の緩やかな低下を促す労働の増加は続いている」 ●JPモルガン 「賃金上昇率と労働市場のゆるみ(スラック)が市場では議論の鍵となっているが、前回の雇用統計からは変化がうかがえなかった」 「臨時雇用者がさらに増加すれば、賃金上昇率に上昇余地が増えるだろう」 ●ノムラ・セキュリティーズ 「4月雇用統計では雇用者数の安定した増加と失業率の低下が示された一方、平均時給が弱かったのがサプライズだった」 「3月分の平均時給は+0.2%から+0.1%に下方修正され、この結果、前年同月比では+2.7%から+2.6%に伸び率が鈍化した。平均時給に基づけば、2016年以降の賃金成長は平均で前年同月比で+2.6%成長で止まっている」 (片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

【朝イチ便利帳】 7日 日銀会合議事要旨やLIXIL Gの決算発表 米消費者信用残高

7日は日銀金融政策決定会合の議事要旨などが発表される予定のほか、LIXILグループ(5938)などが決算発表を予定している。海外では、日本時間8日4:00に3月の米消費者信用残高が発表される予定だ。 【7日の主な予定】 【今日の株価材料】

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