日本、アクティブ運用者にとって非常に魅力的 米運用会社の野本氏

米大統領選後の上昇相場に一服感が強まっている。足元では地政学リスクが高まるなど日本株を取り巻く投資環境には不透明感が増している。長期的に日本株はどのような位置づけにあるのか。米運用会社コロンビア・スレッド・ニードルで日本株運用担当責任者を務める野本大輔氏に話を聞いた。     海外投資家「日本企業は改革のスピードが遅い」がコンセンサス   ──今後1~3カ月後の日本株の見通しを教えてください  「日本企業の株主還元に対する理解が浸透しつつあり、日本株に対して当社では強気に見ている。米国株式や債券といった他のアセットクラスよりも魅力的だ」  「年間約300社のトップマネジメントと議論をする中で株主還元への意識の変化を実感している。2015年にコーポレートガバナンス・コード(持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指した企業統治改革)が策定され、徐々にではあるが日本企業は、株主を含む様々なステークホルダーとの協業に基づいた持続的な成長を意識する様になった。今後は、更に、長期的な株主価値向上につながるM&A(合併・買収)、自社株買いや増配による余剰キャッシュの株主への還元などを通して、日本企業は資本効率を向上させる余地が十分ある」   ──海外投資家は日本の企業統治改革についてどのように捉えていますか  「日本企業の企業統治改革が正しい方向に進んでいると考えている。だが、『改革のスピードが遅い』というのがコンセンサスだ。コーポレートガバナンス・コードは、株主との対話や株主への説明責任を求めるもので、改革の度合や時間軸は企業の自主性によるところが多いからだろう」   ──地政学リスクが強まるなど短期的には投資のリスクを意識せざるを得ませんか  「目先は日本企業が保守的な業績見通しを出して日本株が弱含む可能性や、地政学リスクの高まりなどが懸念材料。特に北朝鮮情勢は日米中のパワーバランスに影響を与えるファクターとして考慮すべきだろう。中国が米国に協力するのであれば、為替や通商面で譲歩する用意があるともいわれている」  「軍事・為替・通商をまとめて『ディール』するのは、いかにもトランプ政権らしいやり方だ。一方で、これは日本の政府にとって、気がかりな動きではなかろうか。対米貿易黒字が大きい日本に対して強硬な姿勢をとる可能性が高い。また、将来的に、中国が北朝鮮を押さえつける条件として、韓国に配備予定の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の設置中止や、日米安保を尖閣に適用しないといった要求をしてきたら、トランプ政権はどのように対応するのだろうか。『ディール』で片付けられる類の問題ではない」   日本、アクティブ運用者にとっては非常に魅力的   ──トランプ政権は為替相場の水準も意識しているように見えます。日銀に対し通貨安として働く金融緩和策に注文を付ける可能性はあるのでしょうか  「金融緩和はデフレからの脱却と安定的に2%のインフレをもたらすためのものであり、日本は、為替をターゲットとしていないとの主張し続ける必要がある。とはいえ、貿易赤字を解消したいトランプ政権としては大幅な円安を許容することはないだろう(個人的にはドル高が長期的に米国の国益にかなうと思うが)。通商問題では、日本の自動車や農業が攻撃対象となる公算が大きい。いずれにしても、日本にとって厳しい交渉になろう」   ──日本株へのアプローチはどのように考えていますか  「最近はパッシブ運用が人気だが、日本株においては、魅力的な個別企業に長期投資するアクティブ運用が極めて有効と考える。指数との連動を目指すパッシブ運用は手数料率が低いという利点がある一方で、超長期のリターンは名目国内総生産(GDP)潜在成長率に影響される。日本の場合、インフレ率が低く名目成長率は高くない。一方で、日本には世界に誇る高い技術力がある会社、品質の高い製品メーカー、ユニークなビジネスモデルを有する多くの企業が、本源的な価値を下回る株価水準で放置されている。アクティブ運用者にとっては非常に魅力的な市場だ」   ──日本株全体の見通しは  「市場全体で見たとき、株価に割高感はなく、冒頭で述べた持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指した企業統治改革が今後更に深化することで、日本株はリスクに見合ったリターンを創出しうるアセットクラスとみている。マクロ面での長期的な課題は、いかに早急に人口減少と高齢化による労働参加率の低下を反転させるかである。社内で日本株の話になると、対国内GDP比での債務問題やや人口減少問題が必ず議論になる。逆に言えば、人口問題解決に向けた改革(働き方改革、待機児童ゼロのみでは不十分)の道筋が見えれば、多くのグローバル投資家が日本株に注目するであろう。日銀による年間6兆円のETF買いがなくても、中長期的に上昇軌道を維持できると期待する」   日本株の持たざるリスクは低下   ──人口減少の問題を解決するための有効な手段はありますか  「教育水準、生活水準、治安、物価などの点から、日本で仕事をしたい、生活したいという外国人は少なくないと思われる。日本で働く外国人は4年連続で過去最高を更新し100万人を超えたと言われているが、更に積極的に受け入れるべきだ。無論、テロや犯罪行為を防止すべく、極めて厳格なスクリーニングの実施や、充実した受入れ体制が必須条件であるが、外国人労働者・永住権保持者の増大以外に日本経済を構造的に成長させる術はない」  「米大統領選挙でのトランプ旋風を見て感じたのは、アメリカにはこんなにも多くの不満を持った白人中間層がいるということだ。補助金を出してでも日本で一定期間、労働者として受け入れるという取り組みも一考に値しよう(トランプ大統領、『日本はモノだけでなくヒトもアメリカから輸入します!』)。労働者受け入れに当り、一部産業では更なる規制緩和が必要となるが、一般企業、介護、保育、英語教師など、様々な分野で活躍してもらえる場を提供できるはずだ」  「移民政策で労働人口が増加に転じれば、消費は喚起されるであろうし、そうなれば企業収益にも好影響、ひいては税収増大、賃金上昇といったサイクルが生み出される。アベノミクスの第3の矢に大胆な移民政策(働き方改革、待機児童ゼロだけでは不十分)を含めれるべきと思われる。スマート「J」イミグレーションに期待したい」   ──人口減少に歯止めがかかれば日本株の『持たざるリスク』も意識されるのでしょうか  「資産運用において『持たざるリスク』が意識されるのはウエイトが大きいアセットクラスを持っていない局面だ。日本の世界全体のGDPに占める割合は年々低下している。グローバル運用担当者も以前は日本株の持たざるリスクを大きく意識していたが、その程度は低下しているのではなかろうか。人口問題の解決に向けた大胆な構造改革が打ち出され、全世界のGDPに占める日本のシェアが上昇すれとなれば、海外投資家は持たざるリスクを意識せざるを得なくなるし、長期的かつ安定的な資金流入につながるのであろう」   (聞き手はQUICKデリバティブズコメント西本)      

「ルペン氏の勝率は10%以下」、ヤコブセン氏が描く波乱の欧州市場

世界市場は依然として主要国の政治動向に関心を寄せている。当面のテール・リスクとして意識される仏大統領選挙。先日来日したサクソバンクのチーフエコノミストであるスティーン・ヤコブセン氏は「EU内の選挙を気にかけているのは外国人だけ」と冷静な欧州市場の雰囲気を語る。同氏との一問一答は以下の通り。  仏大統領選でルペン勝利の確率は10%以下 ──フランス大統領選挙の第2回の投票でルペン党首が勝利する可能性はどの程度ですか?  「10%以下だとみている。仮に大統領に就任することができたしても、フランスを掌握することはできない。フランスの議会選挙が6月に実施され、50対50で旧政党が分かれており、欧州連合(EU)離脱ための選挙を実施することはできない。  ──フランス大統領選挙終了後、金融市場はどう反応するのでしょうか  「現在、ユーロ・フランス株式・仏債券はディスカウントがある状態だ。フランスの大統領選挙終了後にユーロは大幅な上昇を続けると確信を持っている。ユーロのフェアバリューは1.12150ドルといったところか」  「フランス株式も買いだとみている。欧州市場の成長株は米国やグローバル株式をアウトパフォームするだろう」 欧州人はEU内選挙を気にかけていない  ──フランス国債とドイツ国債の利回り差が開いています。選挙後には縮小に向かいますか?  「フランス国債とドイツ国債の利回りの差は50~60bp程度あると思うが、半分程度に縮小すると考えている。EU内の選挙を気にかけているのは外国人だけだ。欧州の人間は気にかけていない。アジア圏や米国の投資家はEUの選挙のメカニズムを十分に理解しないまま、懸念している。憲法ではルペン党首は大統領に就任できたとしても、EU離脱のための選挙を実施することはできない。フランス憲法の89条では議会の60%の承認が必要だ」  ──最近、ユーロの対ドル相場で上昇が目立ちますが、背景には何がありますか  「欧州中央銀行(ECB)は現在、テーパリング(量的緩和による資産購入の買入れ縮小)をにおわせており、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策といずれ歩調を合わせるだろう」  ──欧州景気が持ち直しています。ECBの金融政策はどう見るべきでしょうか  「4月からECBは量的緩和(QE)の月間買入額を減らす、もしインフレ率のモメンタムに変化がなければ、夏頃に金融引き締めの意図を何らかの形で市場に伝え、9~10月頃に金利の引き上げなどを議論するだろう。4月からQEの月間の買入額を800億ユーロから600億ユーロに減らすなど、ECBの現行の政策はテーパリングの方向に進んでいる」 今後1年間、ユーロは1ユーロ=1.15ドルまで上昇  ──ユーロ相場の上昇もECBの政策を織り込んだ展開といえるのですか?  「間接的な言い方をするとドルの上昇はピークアウトした。ドルは昨年12月の水準まで戻ることはないだろう。ユーロは選挙に対する不安でディスカウントがある状態だ。今後1年間では、ユーロは少なくとも1ユーロ=1.15ドルまで上昇するだろう。ユーロの対ドル相場のレンジは今後6カ月後ごとに切り上がっていくだろう」  「米国経済は大統領選挙以降のリフレーショントレードで過大評価されている。しかし、今後1年半後に米国が不況に陥る可能性は50%以上だとみている」  ──え?米国が不況に?足元では景気拡大が続き、今後はトランプ政権の財政出動なども期待できますが…  「国内総生産(GDP)全体に占める新規の貸し出しの変化を示すクレジット・インパルスが停滞している。クレジット・インパルスの低下と経済の影響は9カ月の遅行スパンがあり、世界中で現在クレジットが低下しており、経済成長にとって下振れリスクとなる。貸し出しは引き締められており、米国の経済成長が過去1年半で2%を超えていないことから、米国が再び不況に陥ること可能性がある」  ──米国が不況に陥った場合、どのような展開が想定されますか?  「トランプ政権はFRBに金融緩和策を実施するように強いるだろう。たとえ、米10年債の利回りが1.15%になったとしてもサプライズではない。景気刺激策も実施するだろう。トランプ大統領の政策は読みやすい。実行しようとしている政策は50~60年代の経済政策と同じで、50~60年代に憧れている。一方で、生産性・テクノロジーといった未来に対する熱望がない。政策は国家主義的なものになり、米国の生産性や経済成長にとって悪影響を与える。一方で、実行できる政策を予測するのも難しいのだが」 ※QUICKではナレッジ特設サイト「欧州選挙」で仏大統領選関連情報を展開しています。  同サイトはQr1、Active ManagerなどQUICK端末で閲覧できます。   (聞き手はQUICKデリバティブズコメント西本)          

「桐谷さん」スパは8万4000円、ビーフカレーは1万6800円 逆日歩で割高に

   29日の東京株式市場で株主優待を狙った投資家に毎年恒例の悲劇が起きた。買いと売りを組み合わせて価格変動リスクを負担せずに優待の権利を確保する「両建て取引」が活発化した。その結果、信用取引で空売りをする投資家が株式を借りる際に払う手数料の逆日歩が急騰、優待の商品価値より高い金を払う「優待割れ」が目立つ。 アドアーズ 「桐谷さん」のスパは一般客の2倍の料金に  株主優待で有名な「桐谷さん」も利用するアドアーズ株。株主優待は3500株で運営するスパ施設の「全身アロマトリートメントコース(120分)」または「わがままコース(120分)」で2万2000円相当のチケット2枚だ。アドアーズ株の逆日歩は28日に24円に急騰した。両建て取引の投資家は8万4000円を払って4万4000円相当のスパ施設のサービスを受けられる。結果的に両建て投資家は一般客の2倍の金を払う計算となる。  価格変動リスクを負わずに株主優待だけを受け取る両建て取引を市場は「わがままコース」と判断したようだ。   カネ美食品、1万6800円のビーフカレーが誕生!! カネ美食品(2669)の株主優待は1単元(100株)の場合、3000円相当の「和牛ビーフカレー」や「かに缶詰・ふかひれスープ缶詰」など8種類の商品から選べる「セレクトグルメ配達便」。カネ美食品株において、信用取引で空売りをする投資家が株式を借りる際に払う手数料「逆日歩」は28日に前日比3360倍の168円(27日は5銭)に急騰した。結果的に、3000円相当の和牛ビーフカレーを1万6800円で購入した投資家も出ただろう。  中華料理店「大阪王将」を展開するイートアンド(2882)の株主優待は1単元(100株)で3000円相当の自社製品、中堅ファミリーレストランのココス(9943)の株主優待は1単元(100株)で1000円の食事券と飲食代金5%割引のカードだ。イートアンド株とココス株の信用取引で空売りをする投資家が株式を借りる際に払う手数料「逆日歩」は28日に100円超に急騰、両建て取引をした株主は1万円超の割高な食事券を手にしてしまった。 エバラ食品、永谷園は優待割れ回避 おいしい取引健在 エバラ食品(2819)の株主優待は1単元(100株)で焼肉のたれなどを含む自社製品1000円相当のセットだ。エバラ食品株の28日の逆日歩は1円65銭だったため、両建て投資家は165円で1000円の商品を手にするおいしい取引だった。  永谷園HD(2899)の株主優待は1単元(1000株)でお茶漬けなど自社製品3000円相当のセットだ。永谷園HD株の28日の逆日歩は1円65銭だったため、両建て投資家は1650円を払って3000円の商品を手にする。 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】 (QUICK NewsLine)

ほぼ日上場、投資家にも人気 CFOに聞く「糸井ではなく会社に注目して欲しい」

初値は公開価格の2倍超、糸井社長「ライバルはディズニー」 (オフィスは木目調の温もりのあるデザイン)   著名コピーライターの糸井重里氏が社長を務めるほぼ日(3560)が株式市場で人気を集めている。ジャスダック市場に新規上場した16日、ほぼ日株に買いが殺到して上場2日目の17日に公募・売り出し価格(公開価格、2350円)の2.2倍となる5360円で初値を付けた。  糸井社長は上場後の記者会見で「ライバルはディズニー」と述べ、市場の人気について「そんなに美人じゃないって分かっている」と糸井節を見せた。ほぼ日とはいったいどんな会社なのか、元マッキンゼーでほぼ日の最高財務責任者(CFO)の篠田真貴子氏に聞いた。 顧客や信頼の蓄積を糸井氏個人でなく会社へ (現在の主力商品はほぼ日手帳)   ――上場した理由は 「個人のクリエイティビティだけで事業を行うと、本人が亡くなった後、主な事業が過去のクリエイティブの版権管理へと移ってしまうような例が多く見られる。そうならずに、本人が退いたあとも変わらず事業を継続させたい、というのが出発点です。ディズニーは今もクリエイティブを変わらず継続しており、参考になることがたくさんあると思っています」 「良くも悪くも社長の糸井に視線が集まりすぎている現状を変えたい。ほぼ日の事業は会社全体で行っているものですが、顧客や信用など蓄積しているものが糸井個人に集中してしまう懸念があります」 「糸井がいなくなった後も事業が存続できるよう、『会社』に注目してもらうために上場した面はあります。上場すれば会社が表に立つことが多くなり、四半期ごとの決算報告などアピールする場も増えます」 ――マザーズではなくジャスダックに上場しました 「当社は高成長を追求しなければいけないマザーズとは違うと考えました。ただ、会社を大きくしていきたいという思いは当然にあり、将来は東証に上場したいと思っています」 ――利益や成長を目指さないのでしょうか 「結果的に利益は必要だと考えています。『ほぼ日刊イトイ新聞』をはじめ、『ドコノコ』など人々が集まる場を提供するために資金や規模が必要で、その原資として利益を求める」 手帳は糸井社長を飛び越えて人気化、コンセプトは「良い時間を提供」 (手帳やアパレル、食品のほか土鍋まで扱う)   ――売り上げの7割を占めるのがほぼ日手帳です 「主力商品の手帳は当社の糸井を知らない人が買う巨大なプラットフォームになってきました。当社サイト経由よりもロフトでの販売部数の方が多い。手帳のカバーにはきゃりーぱみゅぱみゅのPV美術を担当した増田セバスチャンさんなど多数のクリエイターが関与している」 「まだ大きなコストをかけていない海外ではブランド力のある『日本の文房具品』の中でも売れている手帳といった位置づけで、SNSを通して口コミで広がっています」 ――手帳以外の成長戦略は何ですか 「ここ2~3年はアパレルや食品、手帳の前から扱っている腹巻やタオルを伸ばしていく。長期的にはサービスを開始したばかりの犬や猫をテーマにしたSNS『ドコノコ』や3月に初めて開催する大規模な物販イベントなどで成長していきたい」 「AR技術を使ったアースボールの開発も進めている。地球儀とスマホをあわせ、その地域の情報などを楽しめる新しい体験を提供できる。へき地に住む人がアースボールを使って世界を体験するという夢を持っている」 ――糸井社長の社内での仕事の関与度はどれぐらいですか 「すべての商品やサービスに糸井が深くかかわっているわけではありません。糸井が中心になっているサービスは売り上げの5%程度です。糸井の仕事は将来的な構想や事業のスタートの部分での関与になっています」 ――ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」は商品の紹介があり、広告と明示しない「ステマ」ではないかとの批判があります 「自社のサイトで他社製品を紹介、購入へと誘導しているわけではありません。自分のメディアで自社製品を販売しているだけなので、いわゆるステマとは次元が違います」 ――糸井社長は泊まり込みの株主総会をしてみたいと話していました 「当社のコンセプトの一つが『良い時間を提供する』です。消費がモノからコトに変わっている今、大事な考えではないかと思っています。ただ、第一回の株主総会は普通のやり方を考えています。物販イベントなどと同様に株主総会も試行錯誤していきたい」   【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】 (QUICK NewsLine)

プロはどう見る? トランプ政権と日本株相場―大和証券著名ストラテジスト&エコノミスト

大和証券はこのほど、「トランプ政権下における投資戦略を総点検」と題したセミナーを開催しました。同証券投資戦略部のチーフストラテジストである三宅一弘氏と、チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏の見方は以下の通りです。     トランプ政策で年末に日本株2万2500円も 米金利動向に注目 三宅一弘氏 大和証券投資戦略部チーフストラテジスト 「トランプ米大統領が掲げる今後10年間で2500万人の雇用創出や、実質GDP(国内総生産)の4%成長には懐疑的な面もある。ただ、これらの政策を実現するために大規模なインフラ投資や税制改革が推進され、米10年国債の利回りが3%程度に上昇すれば円相場は1ドル=120~125円の円安を見込む。120円の場合、年末の日経平均株価は2万2500円前後と予想する」  「トランプ政権の政策の中では法人税を軸とした税制改革に注目している。トランプ案は連邦法人税率を現行の35%から15%への引き下げだ。これに対して共和党案は20%の軽減税率を提案しているほか、企業収益でななく、キャッシュフローに課税するという点が特徴だ。トランポノミクスの主なリスク要因としては、名目・実質の長期金利の上昇を受けてドル高により輸出が減少すること。トランポノミクスの成否は金利を低位に抑制できるかどうかだ。このため、政権側としては米連邦準備理事会(FRB)と連携したいところだろう。2018年にはイエレンFRB議長とフィッシャー副議長の任期が切れるため、後任はトランプ政権の要望をくみ取った人材が選ばれるだろう」  「日本株市場のポイントは主に2つ。安倍晋三首相による長期安定政権の持続と日銀のテーパリング(量的緩和の縮小)だ。自民党総裁の任期はこれまで2期6年だったが、3期9年に延長され、場合によっては安倍政権が2021年まで続く可能性がある。テーパリングについては2018年の黒田東彦日銀総裁らの任期切れを前に思惑が持ち上がるだろう。ただ、次回の衆院・解散総選挙ではアベノミクスの成果が問われることが予想されるため、安倍政権としては円安・株高を望む。このため、選挙前にはテーパリングには動けず、結果的に2018年に入ってからとみている」   三宅氏   米政権がレパトリ減税&インフラ投資に動けば日本株上昇 大和証券の木野内氏 木野内栄治氏 大和証券投資戦略部チーフテクニカルアナリスト  「日経平均株価は春に2万0300円をトライしたのち、4~6月は調整とみている。その後年末にかけてはトランプ政権の政策が日本株相場の明暗を分ける。米政権が掲げる大規模なインフラ投資や大幅な減税を実現するため、今後は財源が争点になる。案としては国境調整税やレパトリ(本国還流)減税が予想されるほか、ムニューシン米財務長官は50年や100年債の発行も検討すると発言している。なかでも注目はレパトリ減税だ。米国外にある剰余金の推計額は2.6兆円(約300兆円)。税率を引き下げたとしたとしてもこれを上回る本国還流、税収が期待できる。仮にレパトリ減税とインフラ投資がセットで実施されれば、経済効果が出るタイミングは比較的早いだろう。この場合、日経平均株価は年末に2万3000円程度に上昇する可能性もある」  「レパトリが実施されればドルの買い戻しによるドル高が予想される。例えば、2005年のブッシュ政権下でレパトリ減税が実施された際、円相場は1ドル=101円台から121円台へと円安が加速した。ただ、剰余金を通貨別でみるとユーロの比率が高いため、ドル高・ユーロ安という側面が強くなりそうだ」  「半面、大幅な法人減税の政策が優先されたり、法人減税に加えてレパトリ減税も実施されれば、米国企業は相対比較から法人減税のメリットを享受したいと考えるだろう。法人減税の大きな効果が出るのは1年程度先になってしまう。このため、日経平均は年末に1万7000円程度に下落するとのシナリオだ」   木野内氏    

決算ピーク! AI速報、決算スコアの勝率は? 大相撲年間最多勝と比べた

 主要企業の決算発表(主に2016年4~12月期決算)がピークを迎えています。QUICKの集計によると、10日は480社超の企業が決算を発表します。主要どころではNTTや三井不動産、東京急行電鉄、中小型・成長期待株ではミドリムシのユーグレナやバイオのそーせいなどが予定しています。 「決算スコア」は数百社の業績発表後の株価の反応を瞬時に予測  数百社に上る企業の決算内容や決算結果を詳細に分析するのはもちろん、発表後の個別企業の株価は上がりそうなのか、下がりそうなのかまでを予測するのは大変、骨の折れる作業になります。  少しでも分析作業の時間短縮につながる便利なツールはないのか?そんな問いに応えるのがQUICKが提供する「AI速報」です。  AI(人工知能)を活用した自動解析ニュース「QUICK AI速報」では、決算や業績予想の修正を発表した企業を対象に、統計的に株価インパクトを数値化した「決算スコア」を算出しています。  決算スコアは過去10年近い発表内容を分類・集計して算出したもので、数値は「+■.■■」「-■.■■」といった形で表示されます。決算スコアが「プラス(+)」の場合は過去の反応から株価が統計的に上昇するケースが多く、反対に「マイナス(-)」の場合は下落するケースが多いということを示しています。 9日の決算スコア、「ポジティブ」の勝率は7割  では決算スコアで企業の株価インパクトをどう判断したのか、9日のケースで見てみましょう。9日も数百社が決算や業績修正を発表しましたが、決算スコアで株価インパクトが「ポジティブ(+の方向)」と判断したのは64銘柄になりました。  このうち、実際に決算スコアで算出した通り株価が上昇したのは45銘柄、下落したのは19銘柄でした。仮に判断通り上昇した銘柄を「勝ち」、下落した銘柄を「負け」として勝率を計算すると勝率は「7割」となりました。 【QUICK端末に流れたニュース】 稀勢の里関の年間勝率は77% セ・リーグ覇者、広島カープは63%  「勝率7割」が高いとみるか、低いとみるかは個人差があるでしょうが、参考として世の中の勝率の例をご紹介しておきます。  2016年に大相撲で史上初めて年間優勝0回(6場所)での最多勝を獲得した稀勢の里関は通算、69勝21敗で勝率は77%でした。一方、プロ野球で2016年に25年ぶりのセントラル・リーグ優勝を成し遂げた広島カープの成績は89勝52敗2分で勝率は63%でした。  ちなみに、9日の決算スコアで「ネガティブ(-の方向)」と判断したのは102社。このうち判断通りに株価が下落したのは68社となり、勝率は67%でした。 AI速報は学習し、さらに深化する  先ほども述べたように、決算スコアは過去10年近い決算・業績発表の内容を分類・集計したものですが、当然、今回の決算内容と株価インパクトも学習内容の一部になります。日々、学習し、データを蓄積することで「QUICK AI速報」はさらに深化していきます。     (QUICK NewsLine)   QUICK AI速報 上場企業の適時開示資料や株価情報を自然言語理解技術など最新のAI(人工知能)を使って瞬時に読み解き、自動解析ニュースとしてサービスしています。現在、「企業開示速報」と「株速報」の2種類をサービス中。「企業開示速報」は東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)と金融庁の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の一部情報を自動解析の対象としています。 お問い合わせはこちら http://corporate.quick.co.jp/contact  

AI速報で企業の決算を分析 トヨタから東邦亜鉛、ホーブまで

AI速報、約3500社の上場企業の決算を分析 東京証券取引所には大企業から中小企業まで3536社(6日時点)が上場しています。多くの企業決算を分析するのは個人投資家には至難の業。そんな時、役に立つのがQUICKが提供する「AI速報」です。 AI(人工知能)を使った自動解析ニュース「QUICK AI速報」では決算や業績予想の修正を発表した企業を対象に、統計的に株価インパクトを数値化した決算スコアを算出しています。 誰もが知る大企業から証券会社のアナリストが分析を担当していない企業まで、幅広く分析しているのがAI速報の特徴のひとつです。 トヨタの2016年4~12月期の決算スコアはマイナス0.38 実際、AI速報では企業決算をどう分析したのか、トヨタを例にとって見てみましょう。トヨタは6日、2016年4~12月期決算とあわせて、17年3月期の連結営業利益(米国会計基準)が前期比35%減の1兆8500億円になりそうだと発表しました。従来予想の40%減の1兆7000億円からの上方修正となりました。 AI速報ではトヨタが発表した決算と業績見通しの上方修正に対して、マイナス0.38の決算スコアを算出しました。 2016年10~12月期はトヨタが当初想定した以上の円安が進行しており、トヨタの分析を担当するアナリストたちは1兆8500億円以上の営業利益の上方修正が発表されると見ていました。このアナリスト予想と比べると今回トヨタが示した予想は控えめな数字と言えます。 実際に7日の株式市場では決算発表を受けてトヨタ株は前日比2.8%安まで下落する場面がありました。日経平均株価の下落幅は0.9%安にとどまるため、全体の相場よりもトヨタ株の下落率は大きかったのです。 スコアがプラス7.5の東邦亜鉛は9.8%高、マイナス5.8のホーブは12.5%安 AI速報は決算を発表した上場企業の全てをカバーしています。たとえば、6日に決算を発表した企業で決算スコアが高かったのはプラス7.50の東邦亜鉛。7日の株式市場で東邦亜鉛の株価は前日比9.7%高まで上昇しました。 一方、ホーブが6日発表した業績見通しの修正の決算スコアはマイナス5.80。7日の株式市場でホーブの株価は前日比12.5%安まで下落しました。   【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】  (QUICK NewsLine)   QUICK AI速報 上場企業の適時開示資料や株価情報を自然言語理解技術など最新のAI(人工知能)を使って瞬時に読み解き、自動解析ニュースとしてサービスしています。現在、「企業開示速報」と「株速報」の2種類をサービス中。「企業開示速報」は東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)と金融庁の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の一部情報を自動解析の対象としています。 お問い合わせはこちら http://corporate.quick.co.jp/contact

任天堂株を身近に スマホ「ファイアーエムブレム」好調 課金してみた

任天堂の株価が大幅高、ファイアーエムブレムの新作好調 任天堂の新作ゲームが一般消費者から株式市場まで幅広い世界で人気だ。任天堂はスマホ向けゲーム市場に「ファイアーエムブレム」の新作を投入した。「ガチャ(有料の電子くじ引き)」型課金を初めて導入したゲームの出足は好調で、業績貢献への期待が高まっている。 任天堂は2日、人気シリーズ「ファイアーエムブレム」の新作ゲームを米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」と米アップルの基本ソフト「iOS」向けに配信した。3日の15時時点でアップルが運営するアプリ配信サービス「アップストア」の売り上げランキングで4位につける好スタートとなった。  新作ゲームの人気を好感し、3日の東京株式市場で任天堂株は前日比6%高まで上昇する場面があった。 1600円でガチャ5回、神竜の巫女「チキ」登場 ゲームの任天堂への収益の貢献度合いを図るため、課金してみた。利用者はゲームのレアキャラクターを獲得するために「オーブ」を購入する。1人のキャラクター獲得に必要なオーブは5個で、5人のキャラクターを連続で仲間に入れるとややお得になり合計20個のオーブで足りる。オーブ23個の購入に1600円かかるため、レアキャラを求めて1600円課金し5回ガチャを回すのが一般的なスタイルになりそうだ。 キャラクターのレアリティ(重要度)は☆3と☆4、☆5に分かれる。☆3の提供割合は57.07%で☆4が35.43%、☆5が7.5%になっている(3日時点)。実際に5回連続でガチャを回すと☆4のキャラが2人、☆3のキャラが3人とまずまずの確率だった。☆3のキャラとして、ファイアーエムブレムシリーズの第一作目から活躍している神竜の巫女「チキ」を手に入れた。 さらに1600円の課金してみた。すると、☆5のアリティアの王子「マルス」、聖王の軍師「ルフレ」を手に入れた。懐かしのキャラクターとスマホゲームで再会するのはプレイヤーにとって喜びの一つだろう。 定番の内容で面白さに安心感、課金率の高さで業績貢献か ゲームの内容自体は従来のファイアーエムブレムシリーズと同様だ。画面の小さいスマホに合わせるため味方が4人、敵が4人と小規模の戦いに変化したものの、これまでファイアーエムブレムを楽しんできたファンにとって安心して楽しめるゲームになっている。 任天堂の看板タイトルの「マリオ」や「ゼルダ」と比較すると、難易度の高い「ファイアーエムブレム」はコアな層を獲得してきた。新作のスマホゲーム「ファイアーエムブレムヒーローズ」は利用者の数では「スーパーマリオラン」に届かないものの、課金率の高さで任天堂の業績をけん引していきそうだ。 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】 (QUICK NewsLine) © 2017 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS

決算発表にもAI速報 翌日の売買をお膳立て

1月下旬から3月期決算企業の2016年4~12月期の業績発表が相次いでいます。「決算が重要なのはわかるけど、翌日に株価が上がるのか下がるのかわからない」「『決算良かったけど、きょうの株価はどうなるの?』って聞かれたけど…」、QUICKのAI速報シリーズの株速報ではこんな悩みも解決します。 まず、2日の朝7時36分にQUICK端末に配信されたニュースの抜粋をご覧ください。 <AI速報>【決算スコア】フタバ、扶桑化学がポジティブ、カプコンやナガセはネガティブ(1日大引け後)  1日大引け後に発表された決算や業績予想修正を対象に、統計的に株価インパクトを数値化したスコア(決算スコア)を算出したところ、フタバ(7241)や扶桑化学(4368)、レオン自機(6272)の発表内容がプラス、カプコン(9697)やナガセ(9733)の発表内容がマイナスとなった。  決算スコアのプラスは過去の類似パターンから統計的に株価にポジティブ、マイナスは逆にネガティブな内容だったことを示す。以下、各発表内容の決算スコア(絶対値)が大きい順にまとめた。 <ポジティブ> 銘柄      発表   スコア    開示 7241  フタバ  3Q決算  +5.62     KBC6718 業績修正                                +5.16           KBC6719 4368   扶桑化学  3Q決算    +4.05          KBC3878                               配当予想  +2.14           KBC3883 6272   レオン自機   業績修正  +3.12          KBC0381 3662   エイチーム      業績修正  +3.03         KBB8754 7274   ショーワ     3Q決算      +1.54         KBB8690 7518 ネットワン         3Q決算      +1.42         KBB8573   決算スコアとは、企業が発表した決算や業績・配当予想修正が、どの程度株価にインパクトを及ぼすかを統計的に算出した参考指標です。ざっくりいうと、プラスであれば過去の類似パターンから統計的に翌日の株価は上がることが多い、逆にマイナスであれば、株価は下がることが多いということになります。 2日の株価をみてみましょう。 決算スコアがプラスだったフタバ、扶桑化学、レオン自機、エイチームは軒並み上昇しています。これらは業績や配当の上方修正で株価上昇が予想しやすいので、注目して欲しいのはネットワン。業績や配当の修正はありませんでしたが、2日の株価が上昇しています。決算スコアはプラスを示しており、取引開始前にAI速報では上昇を見通していたことになります。 時価総額が大きくない中小型株などでは、アナリストが業績見通しを出していない場合が多く、指標となるマーケットの予想を見出しにくいのが現状です。ただ、この決算スコアではほぼ全ての上場銘柄をカバーしており、売買の大きな手助けとなりそうです。   QUICK AI速報 上場企業の適時開示資料や株価情報を自然言語理解技術など最新のAI(人工知能)を使って瞬時に読み解き、自動解析ニュースとしてサービスしています。現在、「企業開示速報」と「株速報」の2種類をサービス中。「企業開示速報」は東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)と金融庁の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の一部情報を自動解析の対象としています。 お問い合わせはこちら http://corporate.quick.co.jp/contact

LINE公式アカウント開設 マーケットのお天気は?

QUICKは1日、LINE(3938)の対話アプリ「LINE」の公式アカウントを開設した。LINEを通じて現在や過去の株価、企業の概要など金融情報サービスを提供する。その日の東京株式市場で相場が上がるか下がるかの予想も通知する。  2日の朝7時30分、LINEにはこんな通知が届いた。  2日の株式天気予報は「くもり」。1日の米ダウ工業株30種平均は小反発し、大阪取引所の夜間取引で日経平均先物3月物は1万9180円と、前日の清算値(1万9190円)を10円ほど下回った。2日の日経平均株価は方向感を欠く展開が予想されることを九十九蘭ちゃんが視覚的に教えてくれた。 実際、2日の日経平均株価は1万9100円台で前日からほぼ横ばいで始まった。  QUICKのLINE公式アカウントでは人気アプリ「IRroid恋の有効フロンティア」の九十九蘭ちゃんと対話できる。「トヨタの株価は?」と入力すると株価や配当利回りを返答する。 企業概要やランキングも!!     ユニクロは?売買代金は?  2日の大引け後にファーストリテイリング(9983)は国内ユニクロ売上高を発表する。九十九蘭ちゃんに「ユニクロの会社は?」と話しかけると、ユニクロの運営会社がファーストリテイリングだと教えてくれる。 取引時間中には各種ランキングも回答する(株価は20分遅れ)。 例えば、「売買代金」といれると、その日の「売買代金トップ10」を回答する。 値上がり率、値下がり率、売買代金、売買代金急増などで回答が可能だ。 公式アカウントは対話アプリLINE内で「@quick_irroid」で検索。  詳細:http://corporate.quick.co.jp/news?post=2284    

台湾イノテラ完全子会社化の米マイクロン、台湾投資を拡大へ 中国進出は明言避ける

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。 (※この記事は2016年12月26日にQUICK端末で配信した記事です。) 米半導体大手マイクロン・テクノロジーが台湾DRAM大手の華亜科技(イノテラ・メモリーズ)を完全子会社化 米半導体大手マイクロン・テクノロジーは今月6日、台湾DRAM大手の華亜科技(イノテラ・メモリーズ)の完全子会社化を正式に完了した。マイクロンのマーク・ダーカン最高経営責任者(CEO)は完全子会社化完了後の12日に開催した祝賀会で、台湾への投資拡大を決定したと宣言した。台湾投資にはイノテラ工場の第2期拡張工事や台湾における初の3次元(3D)DRAMパッケージング・テスト工場の建設が含まれ、DRAMとNAND型フラッシュメモリーを結合するマルチチップパッケージ(MCP)をアジアへ供給する重要拠点にすることを明らかにした。 工場の用地確保に台湾政府が全面協力 マイクロンは台湾の桃園市政府に今後の拡張用地確保に向けた新たな土地提供を打診したと伝わっている。この件について、既に蔡英文総統の強い支持を得ており、蔡総統が鄭文燦・桃園市長に全面的に協力させることを承認したという。 また、タッチパネルメーカーの達鴻先進科技が中部科学工業園区(中科)に有する工場をマイクロン台湾支社が買収する計画もある。主にシリコン貫通電極(TSV)技術を用いた3D・DRAMのパッケージング・テスト工場の建設用地にする予定で、関連の用地購入計画について交渉が進行中だ。 一方、マイクロンは、半導体の後工程(組み立て)大手である米アムコアテクノロジーの台湾エリア総経理を務めた梁明成をマイクロンの台湾における3番目の総経理に迎え入れた。梁氏は主にメモリーの後工程とパッケージング・テストの業務を担当する。 ダーカンCEOは、イノテラのマイクロングループへの正式加入を取り仕切るために台湾を訪問した際、イノテラのグループ入りがマイクロンにとって重要な節目になると強調した。さらに、台湾での投資を継続し、台湾の従業員を優遇すると述べた。 また、ダーカンCEOは、台湾への投資拡大で中科を優先させることを率直に認めた。もっとも、関連の投資の詳細は明らかにしなかった。DRAM市場は現在、韓国のサムスン電子、SKハイニックス、マイクロンのビックスリーによる寡占状態にある。収益を安定して得られる現在の局面を大規模な増産で打破するようなことは各社いずれも望んでおらず、マイクロンもこうした局面を良しとするのだという姿勢が浮き彫りとなった。  (出所:DRAMeXchange、2016年第一四半期のデータより) 他方、中国本土がマイクロンの投資誘致に向けて強く働きかけている件について、ダーカンCEOは、中国本土は巨大な市場を持つ国だとした上で、特に今後、同国が「メイド・イン・チャイナ(中国製造)」を目標として強化する中、メモリーも重点発展産業のひとつとなるとの見方を示した。こうした中で、マイクロンとしても中国の様々な業界との商談を希望することは言うまでもないと指摘した。 同時に、ダーカンCEOは、台湾におけるマイクロンと化学最大手である台湾塑膠工業(台湾プラスチック)グループの企業によるイノテラの合弁設立はとても良い提携モデルだとし、こうした提携モデルを中国本土でも活用することは合理的であると強調した。 もっとも、マイクロンは現在、DRAM分野で日本の広島、台湾の中科と華亜科技園区に生産能力を有する。ダーカンCEOは、中科には今後の拡張計画を続行可能な土地もあり、台湾政府の支持も得ていると指摘。さらに、マイクロンが現時点で世界市場のシェアで重要な地位を占めており、ここ数年間の市況も安定しつつあるとの分析を示した。 中国本土での工場展開も検討している 一方、中国本土について、ダーカンCEOは、同国が製品の供給源の不足に対する懸念から現地供給を直接サポートできる生産能力の確保を望んでいると思われると分析。そのために他のDRAM大手メーカーとの提携獲得に積極的に取り組んでいると指摘した。ただし、マイクロンには同国に工場を建設して生産能力を拡大する切迫した必要性はないと述べた。 反面、NAND型フラッシュメモリーについては、景気と価格の変動が依然として大きく、今後、イノテラモデル(合弁と技術ライセンス提供)を活用して中国本土企業と提携する可能性は比較的高いと指摘した。 とはいえ、中国本土企業との提携合意の有無について、ダーカンCEOは詳しい情報を明らかにしなかった。市場の状況や各方面の条件次第だと強調し、現時点で具体的な計画はないと述べるにとどめた。   本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元である李臥龍氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。  

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