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賃上げ、現状維持が6割弱 日銀の物価目標達成に暗雲?(1月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(1月4~17日調査分、上場企業418社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス13となり、前月調査から4ポイント悪化しました。これは2015年1月調査(プラス13)以来の低水準です。一方、非製造業DIは4ポイント改善のプラス36となり、結果、金融を含む全産業DIは横ばいのプラス26となりました。将来の業況を示す「先行き」の業況判断DIは製造業、非製造業ともに小幅ながら改善を示しました。 景況感の方向性は不透明 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性も見られるため、市場関係者にも注目されています。 全産業の業況判断DIを見ると、直近でピークを付けたのが2015年8月調査分のプラス35でした。その後、徐々に低下傾向をたどり、12月調査分ではプラス26まで低下。今回の1月調査分も同じくプラス26となり、景況感の方向性が見えにくくなっています。 アベノミクスがスタートしてから3年が経過し、そろそろ景況感にもピークアウトの感が高まりつつあります。中国経済の成長率ダウンは、中国を一大消費マーケットと捉えて製品・サービスを販売している企業の売上高ダウンにつながりますし、年初来、急速に進んだ円高は、輸出企業を中心にして業績上振れ期待の後退を招きます。 また、中国人観光客を中心とする「爆買い」も、どうやら昨年の秋口でピークを打った感があり、国内消費のけん引役を失いかけています。業況判断DIはプラスを維持し、先行き判断についても製造業がプラス13(前月比1ポイント改善)、非製造業がプラス35(同5ポイント改善)と、それぞれ改善しました。しかし、国内の個人消費が盛り上がらない限り、数値の大幅な改善は期待しにくい状況といえそうです。 今後の注目点は、企業の従業員に対する利益還元がどこまで行われ、それが個人消費につながるかどうかでしょう。その意味でも、今年の春闘の行方は、国内景気の行方に大きな影響を及ぼすとみられます。 非製造業の雇用不足が深刻 生産・営業用設備の現状については、全産業ベースで過剰から不足を差し引いたDIがマイナス3となりました。製造業はプラス2でやや過剰気味ですが、12月調査分に比べてプラス値は1ポイント縮小しました。一方、非製造業はマイナス8で、12月調査分のマイナス7からマイナス幅が拡大し、一段と不足感が高まっています。 また雇用人員の現状については、全産業ベースで見ると、2015年1月調査分がマイナス21だったのが、今回の1月調査分ではマイナス31まで拡大しています。製造業、非製造業の別にみると、製造業のDIがマイナス10であるのに対し、非製造業はマイナス48となっており、相変わらず非製造業における雇用不足は深刻な状況を示唆しています。 販売価格は金融を除く全産業ベースで、上昇から下落を差し引いたDIがゼロと、12月調査分のマイナス1から若干の改善。仕入れ価格DIは、金融を除く全産業ベースでプラス15となり、12月調査分に比べて4ポイント低下しました、仕入れ価格DIの低下は、為替の円安傾向に歯止めがかかったことを示していると考えられます。 賃上げ、「前向きに検討」41%にとどまる 前述した通り、国内景気の回復には個人消費がいかにけん引するかがカギの一つになりますが、個人消費を占う上で直近で最大の焦点となるのが「賃上げ」の動向といえるでしょう。 1月の特別調査では、「給与を底上げするベースアップ(ベア)を含む賃上げの可否」について質問しました。個人消費を活発化させるためには、自分が将来得るであろう収入が増えることへの期待感が高まる必要があります。その意味で、春闘を経て決定されるベアに対する関心が高まるわけですが、今回のアンケート調査の結果によると、「現状水準を維持する方向」と回答した企業が57%で最多となり、「大幅な賃上げを前向きに考える」(1%)と「小幅であれば賃上げを前向きに考える」(40%)を併せた「賃上げ検討」企業は41%にとどまりました。 年明け以降、国内の株式市場が大混乱となっていますが、その要因は中国リスクを背景とした世界経済への懸念やリスクオフムードに伴う円安期待の後退などが挙げられます。ドル円相場は現在、1ドル=117円前後で推移していますが、多くの上場企業の想定為替レートが118円であることを考えると、現状は業績への悪影響も警戒される水準となりつつあります。企業業績の先行き警戒感が強まれば、賃上げにも影響を及ぼす可能性は否定できません。 日銀の黒田東彦総裁は「賃金の上昇は日本経済の持続的な成長のために不可欠」と発言していますが、賃金上昇の有無は日銀が目標として掲げる2%の物価上昇にも大きく影響するでしょう。足元の株価下落や企業業績の先行き不透明感が台頭する中ではベアを含む賃上げを過度に期待することは禁物といえ、それは日銀にとっても逆風となりそうです。 実効税率引き下げ「プラスに作用」約7割 大企業にメリット もう一つは、法人税率の引き下げに関する質問を実施しました。「与党が法人税については実効税率を20%台に引き下げるとしています。今回の税制改正が日本の景気に与える影響について、どう予想しますか」と聞いたところ、「プラスに作用する」との回答が約7割を占める結果となりました。 一方、企業の規模別では少し違った景色もみられます。大規模企業と新興企業の回答を比べてみると、大規模企業は新興企業に比べて「ややプラスに作用する」という回答が高かったのに対し、新興企業は大規模企業に比べて「特に景気に影響しない」という回答が高いという特徴がありました。法人税は利益を出している企業に対して課せられるものですから、その減税効果は、より大きな利益を出している大規模企業ほど高まると考えられます。逆に、新興企業には赤字経営を続けているところもあり、法人税の実効税率が引き下げられたとしてもメリットが実感できない点が、この差異に表れていると考えられます。

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2016年の東南アジア、中国・原油安・債務の3問題を乗り切られるか

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はシンガポールの現地記者クリストファー タン シ(Christopher Tan, Si)氏がレポートします。※本記事は2015年12月30日にQUICK端末で配信した記事です。 2016年の東南アジア市場、3つの懸念材料に注意 投資家の多くは変動が大きく、市場のムードが揺れ動き、予想外の驚きに満ちた2015年と訣別することにうれしさを感じるだろう。特に新興市場にとって、2015年は原油価格の下落や主要輸出市場の低迷、これらの国々の企業債務の拡大などで厳しい時期となった。  世界経済から生じる不安により、2015年に世界でも最も深刻な打撃を受けた地域でもある東南アジア諸国にとっても同様の状況だった。では、2016年は東南アジアに何をもたらすのだろうか。考慮すべき3つの問題をここに挙げる。 「2016年の中国経済は過去17年間で最も緩やかなペースの成長率」…IMF予測 【中国】  新興市場だけではなく、世界のその他の地域にとっても最大の懸念材料は、2016年に中国の景気が浮上するかどうかだ。目覚ましい成長路線へ戻る道を見出せない中国となるのか、あるいは2015年の低迷の後に自らの足場を見出す中国となるのか――。  国際通貨基金(IMF)の予測が正しければ、2016年の中国経済は過去17年間で最も緩やかなペースの成長率により「足場を固める」年になる可能性が高い。  しかし、資産運用会社シュローダーのアジア債券部門トップは、実際はそうした単純に二元的な状況よりもはるかに複雑だとみている。同トップによると、中国は投資主導型成長から離れ、バリューチェーン(価値連鎖)型によって経済を浮揚させることで、「中所得経済の罠」を回避しようとしていると指摘する。  この過程の中で、国内総生産(GDP)成長率は低下し、経済そのものの再編に伴い、勝者と敗者が生じるだろう。そして情報技術産業に無関係の旧経済に属する企業は敗者となり、ハイテク企業やイノベーティブ企業が勝者になると彼は述べている。  この場合、新興市場への波及効果は明らかだ。消費財への需要も依然として存在するが、ニッチなサービスや製品に対して高まる需要を満たせるテクノロジー企業のような企業が最も恩恵を受けるだろう。 原油相場は「破綻」?債務返還問題の清算にも注目 【石油ショックの緩和】  過去1年半の原油価格の動向をすべて「調整」と呼ぶのは、控えめすぎるだろう。どちらかと言えば、「破綻」との表現が正しいかもしれない。  ブレント原油価格は金融危機時に記録した下落よりも今回、さらに大きく下がって過去11年間で最低水準なった。この下落トレンドは来年も続くのではないかという懸念に火をつけた。  原油価格の低迷は成長鈍化の明確な兆候だが、一方で主に石油輸入国である東南アジア各国にとっては朗報が待ち受けているかもしれない。  原油価格の低迷は、インドネシアやマレーシアなどの財政支出を低く抑えさせ続ける一因になるだろう。両国とも石油とガスを輸出しており、原油価格の下落の影響を受けるが、両国ともまた、補助金によって価格を下げつつ、エネルギーを大量に輸入している。補助金が減る中、原油価格の低迷は国庫の増加を助けるだろう。  原油価格の低迷はまた、インフレが弱まる可能性も意味し、消費者もまた恩恵を受けるだろう。しかし、それはまた、この地域の中央銀行がインフレ圧力を煽ることなく、金融政策を実施できることを意味してもいる。 【金利】  米連邦準備理事会(FRB)は、マーケット参加者をはらはらさせて待たせながら、12月になってようやく政策金利の引き上げを決めた。米利上げが深刻な影響を与える可能性は少ない。なぜなら利上げ幅は2019年までに3%程度の引き上げが予想される中、今回の利上げは無視できるほどわずかな0.25%だからだ。  スローペースにもかかわらず、ほぼゼロ金利だった7年間で蓄積された巨額の企業債務をどう返済するのか、大きな疑問符が新興市場そして東南アジア諸国に突き付けられている。国際金融協会(IIF)は来年に返済期限を迎える新興市場の債務は6000億米ドル相当で、うち約半分は借り換えられるものと推計している。  この債務問題を無事に乗り切ることができるのか、それともこれが時限爆弾になるのか。その答えが、2016年がどのような年になるかを決定付けるだろう。 【翻訳・編集:NNA】

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マーケット混乱で米利上げペースのスローダウンやむなし?(1月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の1月調査を、1月18日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者74人が回答、調査期間は1月12~14日)。 年初から日経平均株価が戦後初めて6営業日連続安になり、欧米を始め世界的に株価が急落していることを受け、マーケットでは急速にリスク資産を敬遠する動き(リスクオフ)が強まっています。米連邦準備理事会(FRB)は昨年12月に9年半ぶりとなる利上げを決めましたが、今回のマーケットの大混乱を受けて市場関係者の先行き見通しはより慎重になっています。 米利上げペースは鈍化やむなしか 今回のアンケートでは、2016年に米利上げが何回行われるのかを予想してもらいました。それによると、「2回」という回答が全体の46%を占めて最も多く、次いで「3回」が36%となりました。 また、利上げ時期については、「6月」が最も多く71%、次いで「12月」が68%、「3月」が47%という順番になりました。 FOMCメンバーの政策見通しによれば、2016年は4回の利上げを見込んでいます。しかし、それも今年に入ってからのマーケットの混乱が長引くようだと、かなり難しくなる可能性が高そうです。このまま世界的に株安が続くようだと、ここからの利上げは逆に実体経済にもマイナスの影響を及ぼすことになりそうです。 中国景気失速、新興国・資源国市場の混乱の影響注視 今回の世界同時株安は、中国リスクや地政学リスクが混然一体になっています。中国経済のスローダウンと資産バブル崩壊に対する懸念が原油価格の下落につながり、原油価格が下がるから、ロシアやイランなどの産油国で経済の混乱や暴動などの懸念が強まるという悪循環に陥っています。この負の連鎖が封じ込められない限り、マーケットの混乱は続く可能性が高いでしょう。 こうした状況下、「米利上げペースが想定よりも鈍くなるリスクとして最も影響する材料やイベント」について聞いたところ、「新興国・資源国市場の混乱」が23%でトップ。次いで「米雇用の改善ペース鈍化」と「中国景気の一段の失速」がそれぞれ15%、次に「米賃金上昇率の低迷」と「原油価格の下落」がそれぞれ14%となりました。 年内の日銀金融政策「追加緩和あり」7割強 日本の投資家にとって気になるのは、日銀が追加緩和に動くのか、そしていつ実施するのか、という点でしょう。日経平均株価は一時1万7000円を割り込みましたが、投資家心理の冷え込みは市場のインフレ期待の低下につながる公算が大きく、そうなればいよいよ真剣に政策発動が検討されることになるかもしれません。夏に控える参院選挙を考えれば、政権与党としてはこのまま株価が下がるのを黙って見ていることは出来ません。財政出動や追加緩和などの政策発動に対する期待感も高まります。 2016年の日銀の金融政策をどう予想するか聞いた設問では、2016年中の「追加緩和なし」との回答が27%で最も多かったものの、裏を返せば7割強は追加緩和を見込んでいることになります。追加緩和の時期としては「4月」が23%で最多となり、次に「3月」(19%)、「1月」(14%)と続きました。今後もマーケットの混乱や景気の先行き不安が台頭する局面では政府・日銀の政策対応への期待が高まりそうです。 1月末の円ドル相場予想1ドル=118円41銭 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、1月末の平均値で1ドル=118円41銭となり、12月調査分の122円91銭に比べて大幅な円高・ドル安見通しとなりました。 為替レートに影響を及ぼす注目度としては、円、ドル、ユーロともに「金利/金融政策」が最も高く、特に円については前月に比べて15%も上昇しています。 また向こう6カ月の間に、主要通貨が対円でどのように推移するかを聞いたところ、米ドルDIは12月調査分の43から、1月調査分は18に急落しました。先々の、米ドルに対する先高観が大幅に後退していることを示しています。また、米ドル以外の通貨については、豪ドルやNZドル、ロシアルーブルといった新興国、資源国通貨のDIのマイナス幅が拡大しており、リスクオフムードが支配する中で円が買われやすい地合いになっていることを示しています。 外貨建て資産の組み入れ比率について当面のスタンスは、10月、11月、12月と0%が続いた「アンダーウエート」が、1月調査分では18%に上昇しました。その一方、「オーバーウエート」は12月調査分の25%から18%に低下。「ニュートラル」も75%から64%へと低下しており、外貨リスクについて慎重な姿勢が目立ちました。 ちなみに、業績予想の前提となっている事業会社の為替レートは、米ドルが1ドル=118円04銭でした。現状、米ドル・円のレートは、これよりも円高・ドル安水準にあり、日本の輸出企業の業績に及ぼす影響も懸念されるところです。

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海外投機筋が円先物を3年ぶりに買い越し…その時、個人投資家は?

年明けから急速な円高・株安の流れが続いています。「この動きが当面も続くのでは」と懸念させるような統計が発表され、金融市場の専門家が注目しています。 米国の金融政策が利上げに舵を切ったにも関わらず、海外投機筋が3年ぶりに円先物(対ドル)の買い越しに転じたのです。 海外勢が3年ぶりに円を買い越し…「中国」と「原油」を警戒 米商品先物取引委員会(CFTC)が日本時間の1月9日に発表した海外投機筋の円の持ち高(1月5日時点)は4103枚(約512億円)の買い越しとなっています。2012年10月16日以来、およそ3年3カ月ぶりで、日本経済新聞は「ヘッジファンドの相場予想が円安から円高に転じたことを示している」と報じています。アベノミクス開始以来、初めて円の買い持ちに転じたことになります。 教科書的に見れば「米国が利上げに動けば、ドルの金利が上昇し、為替市場でドル高が進む」と考えたいところですが、市場の動きはその逆です。昨年12月に米国が利上げに踏み切って以降、円高・ドル安が続き、実際に海外投機筋も円の売り姿勢から買い姿勢に転じているのです。 いったい何が起こったのか。 確かに昨年後半まで、海外投機筋は、利上げへの期待から円売り・ドル買い姿勢でした。ただ実際利上げが発表されれば、いったん材料出尽くしの機運が高まります。そこに中国経済や原油安といった不安材料が湧き起これば当然、リスク回避の意識が強まります。世界経済不安からドルの利上げペースが鈍る、つまり米国の経済成長が順調に進まないという不安が強まってしまいます。 3月期決算の主要企業の15年度下期の想定レートは1ドル=120円台が中心。さらなる円高は日本の輸出企業の株価の重荷にもなります。   8日発表の昨年12月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が市場予想を大幅に上回ったが、相場は反転しなかった。(中略) 米雇用統計が改善したのに円高・株安が止まらないのは、市場参加者の関心が「米国の金融政策より人民元安や原油安といったリスク要因に移っている」(三菱東京UFJ銀行の内田稔氏)ことが大きい。不安が不安を呼び相場にブレーキがかかりにくくなっている。 米雇用統計の発表直後にはいったん1ドル=118円85銭まで円安となったが、そこから一気に反転し、117円台前半まで円高が進んだ。 ※日本経済新聞からの引用 国内FX参加者は逆張り…ドル買い・円売り持ち高を堅持 この海外投機筋の動きがどれだけ珍しい動きだったのか、そして国内の個人投資家、つまりFX(外国為替証拠金取引)参加者はどのように動いたのか。 以下のチャートは、直近3年間の海外投機筋(ピンク)、国内店頭FX取引(青)、くりっく365(緑、東京金融取引所に上場するFX)の、それぞれのドル円の持ち高動向です。ピンク色、つまり海外投機筋の持ち高の推移(計算値)を見ると、今年に入り、突然、ドルの売り越し(=円の買い越し)に転じたことがわかります。 また米国が利上げに踏み切った昨年12月以降、海外投機筋のドル買い持ち高が減るにつれ、円高が進んでいることが分かります。     ※このチャートの詳細はこちらのページで確認できます。   この状況下で、国内のFX参加者はどう動いたか。同じ週のくりっく365、店頭FX統計ともに、買い越しを維持。3つの統計の中で、先行的に公表される店頭FX統計を見ると、先週末時点(1月12日にサイトで公開)で依然、ドルの買い越しを続けていることがわかります。年初からの相場急変時、海外投機筋の円買い・ドル売りに、国内のFX参加者は追随しなかった様子が見てとれます。 外国為替市場参加者の「波」を見極めろ このチャートから、この先どうなるか、少し頭の体操をしてみましょう。 海外投機筋のドル円持ち高の推移をみると、2015年の春や秋のように、海外投機筋のドル円の買い越し持ち高がトントンになるまで縮小したあたりが、ドル円相場の底になっているようです。とはいえ、当時は米国の利上げ期待のもとにあった相場。実際に米国が利上げに踏み切った足元の相場で、同じ動きになるかは不透明です。 一方、国内FX参加者の動きを示すくりっく365、店頭FX統計は、ドル円相場が軟調になったとき、ドル円の買い持ち高を増やす逆張りの姿勢を見せています。同じ動きを繰り返すのであれば、戻りを狙った下値での買い主体になると考えられます。 ただ、国内FX参加者が、いつ、海外投機筋の動きに追随するかは不明です。今後の円相場の動向を見通すためにも、海外、国内、各参加者の持ち高の「波」を見極め、波に大きな変化が起こっていないかどうかをチェックすることが必要となりそうです。

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インドネシア、来年は5%成長か 米利上げ後の通貨安定に努力 

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB OSK証券インドネシアのRizki Fajar(リズキ・ファジャラ)氏がレポートします。※本記事は2015年12月28日にQUICK端末で配信した記事です。 インドネシア中央銀行、政策金利を7.5%に据え置き決定 インドネシア中央銀行(BI)は17日に開いた理事会で、BIレート(政策金利)を7.5%に据え置くと決定した。貸出ファシリティー金利、翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)もそれぞれ8.0%、5.5%に据え置いた。年末にはインフレ率が3%を下回る水準まで鈍化し、経常赤字は2015年の国内総生産(GDP)の2%程度までの改善が見込まれる。マクロ経済の安定を背景に、BIは金融緩和の余地があると考えている。 中銀は16年に5%台の成長を予想 ルピア安定に引き続き努力 BIは今後、インフレ抑制、経済成長の促進、構造改革の加速に関して政府との連携を強める見通しだ。マクロ経済システムおよび金融システムの安定性を維持しつつ、経済成長を支えていくとしている。  また、BIは2015年の経済成長率を4.8%と予想。2016年には5.2~5.6%に伸びると見込んでいる。この予想は、政府のインフラ事業が進展すること、経済安定を強化する一連の政策の実施を受けて民間投資が拡大し、堅調な消費と政府支出が増大することを前提としている。世界経済の動向については、BIは外部リスク、特に中国の経済成長の鈍化や米金利引き上げ後の国際金融市場の不安定化などに対し、引き続き警戒していく方針だ。 米国の緩やかな成長は、消費と住宅セクターの改善によって支えられているものの、製造部門の収益低迷と低調な輸出がマイナス要因になっていることをBIは認めている。一方で、中国は投資主導から消費主導の成長に向かう一方で経済全体が減速した。  米国の金利引き上げの後、インドネシアの通貨ルピアはやや売り圧力にさらされたが、BIはマクロ経済の安定性と持続可能な経済成長を維持するため、自国通貨ルピアの基本的な価値を踏まえて、ルピアを安定させる努力を引き続き強化していくと述べた。 金融システムは安定 来年後半の政策金利引き下げを予想 金融システムは、信用リスク、流動性リスクに耐えるというより、むしろそれを上手く吸収していくような弾力性のある銀行制度によって支えられ、弾力的で堅固と考えられている。10月末時点の銀行の自己資本比率(CAR)は20.8%と、高水準を維持。同時に不良債権(NPL)比率はグロスで2.7%、ネットで1.4%と比較的安定した状態を保っている。一方で10月の預貸率の伸びは前年比9.0%だったのに対し、信用増加率は前月の11.1%から低下し、前年比10.4%にとどまった。  2016年の見通しとしては、経済活動の拡大とBIが採用する緩やかなマクロ・プルーデンス政策のスタンスに沿い、信用増加率は12~14%までやや改善することが予想される。  今後、インフレ率は安価な燃料価格により一段と低下するだろう。さらに経常赤字は管理可能な水準に維持される見通しで、BIに金融緩和の余地を与えるだろう。しかし短期的にBIは、米国の政策金利引き上げ後の国際金融市場とユーロ圏、日本、中国、米国の経済動向の影響を注視していく構えだ。  そのため、BIは政策変更について、慎重な姿勢を維持すると思われる。弊社の見通しでは、政策金利は、2016年初めは7.5%に据え置かれるが、来年後半には0.5%引き下げられて7.0%となるとみている。【翻訳・編集:NNA】

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2016年の株最高値予想2万1191円 「中国経済の悪化」などリスク要因に(1月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の1月調査を、1月12日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者162人が回答、調査機関は1月5~7日)。 2015年は年間で9%高を記録した日経平均株価ですが、年明け以降は大不振に陥り、大発会から1月8日にかけて5営業日連続の下落となりました。これは日経平均の算出を始めた1950年9月以来で初めてのことです。そのくらい、株式市場の地合いは悪くなっています。 株価上昇の期待値が低下 年間最高値予想は2万1191円 2016年の株式相場を予想してもらったところ、日経平均株価は証券会社や機関投資家を含むマーケット参加者全体の平均値が最高値で2万1191円、最安値が1万7167円となりました。2015年末(1万9033円)に比べると11%高となりますが、15年に付けた最高値(終値ベース、2万868円)をわずかに上回る水準に過ぎず、2016年相場に対する期待値は必ずしも高いとは言えない状況です。 マーケット参加者が慎重になるのもある意味、仕方のないことかもしれません。景気失速懸念が一段と広がっている中国では株式相場が大荒れの展開で、今年から導入された相場急変時に取引を止める制度(サーキットブレーカー制度)が初日から発動。米国の利上げによる金融市場混乱への警戒感や北朝鮮の水爆実験成功のニュースなど、マーケット参加者の不安を煽る材料が相次ぎました。 実際、2016年のリスク要因について最も重要なものは何か聞いたところ、「中国経済の悪化」が35%で最多となりました。次に「マネーフローの変調」が16%、「地政学リスク」が12%、「為替レートの大変動」が11%で続きました。 しかし、懸念材料は外部要因だけではありません。たとえば為替。今回、2016年央のドル/円の見通しを聞いたところ、平均で1ドル=120円30銭と予想されています。 円安による企業業績の底上げ期待が薄らぐ中、2016年度の上場企業(金融除く)の経常利益見通しも「1桁の増益」という回答が62%を占めました。また、次いで「横ばい圏」が17%で続き、総じて企業業績の伸びに対する期待感も薄れています。 アベノミクス相場がスタートして4年目。米国も景気拡大局面に入って6年が経過しており、そろそろ景気拡大にも一服感が出てきそうな時期だけに、株式市場も不安定な状況が続きそうです。 日経平均の短期見通しは大幅に下方シフト 1~6カ月間の日経平均の見通しは、相変わらず目先の相場に左右される状況が続いています。12月調査の1カ月後予想は、11月調査の1万9184円から大幅に上伸し、2万48円になりました。しかし、1月調査では大幅に下方修正され、1カ月後の予想は1万8479円まで低下しました。また、6カ月後の予想も1万9797円にとどまり、2万円回復は当面、先になるとの見方が優勢になっています。 海外株式市場に関心、外国人投資家の売りを警戒 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業業績」が大きく後退し、注目度は12月調査の57%から43%に急落。一方、「海外株式・債券市場」が、12月調査の18%から31%に大幅上昇しました。しかも、「海外株式・債券市場」が株価にどう影響を及ぼすかを示す指数は43.2で、プラス・マイナスの分岐点である50を割り込み、株価にはマイナスのインパクトとみなされています。企業業績に対する先行き警戒感に加え、中国株をはじめとした海外株式市場の動向に対する懸念の高まりが見てとれます。 また、今後6カ月程度を想定して最も注目している投資主体としては、個人投資家が12月調査の12%から6%へと低下する一方、外国人投資家は12月調査の82%から87%へと上昇しました。外国人投資家の株価へのインパクトを示す指数は50.2と12月調査の63.8から大幅に低下しました。現状は、ほぼ中立ですが、海外本国の株式相場が下落すれば、投資余力の低下に伴って外国人投資家の売りがかさみ、日本株に対するマイナスのインパクトが強まる可能性もあります。 国内投資家、株安局面は絶好の買い場? 国内の資産運用担当者66人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が12月調査の5%から6%に上昇したものの、「ややオーバーウエート」は12月調査の35%から29%に低下。「ニュートラル」が12月調査の45%から51%に上昇しました。 一方、当面のスタンスについては、「現状を維持する」が12月調査の74%から71%に、「やや引き下げる」が12月調査の7%から2%に低下しました。半面、「かなり引き上げる」が12月調査の0%から2%に、「やや引き上げる」が12月調査の17%から22%に、それぞれ上昇しています。長期的なスタンスで投資する資産運用担当者からすれば、この株価下落局面を、長い目で見て仕込み場と考えているふしが感じられます。 なお、現在の相場から見て、各セクターについてどのようなスタンスで臨むのかという点について、オーバーウエートからアンダーウエートを差し引いた数字を見ると、「通信」が11%で、11月調査の0%、12月調査の4%から徐々にオーバーウエート比率が高まりました。「素材」は9%で、11月調査のマイナス11%、12月調査のマイナス4%というアンダーウエート圏から、オーバーウエートに転じています。 一方、「金融」は、11月調査が0%、12月調査が2%とほぼニュートラルでしたが、1月調査ではマイナス11%になり、アンダーウエート比率が一気に高まりました。11月調査、12月調査とオーバーウエート比率が2ケタ台だった「電機・精密」はアンダーウエートに転じています。

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香港のファンド、ドル高・元安で中国進出に商機 日本のファンドにもチャンスか

 QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※本記事は2015年12月28日にQUICK端末で配信した記事です。 利上げに伴うドル高・元安で中国製品の輸出に恩恵  米国は10年間に及ぶ長い期間を経て利上げをした。ただし、今後は緩やかな引き上げにとどめると表明した。香港は通貨を米ドルとペッグ(連動)させているが、近年、累計1300億米ドル超のホットマネーが域内に流入し、銀行資金が潤沢であるため、域内の銀行は米国に追随した利上げを行わなかった。投資家たちがより注目するのは米利上げ後の人民元の動向だ。現状を見る限り、人民元はここ数カ月の下落基調の延長で緩やかに下げ続ける見通しで、こうした状況を中国政府も歓迎するもようだ。 米国が昨年に量的緩和政策を終了したあと、米ドルは次第に上昇傾向になった。今回の利上げが資金流入へとつながり、米ドルの上昇基調を一段と強めることになるだろう。反面、人民元は今年8月に中間値(基準値)設定の改革を行い、人民元レートを市場の実勢に近づける施策を実施したあと、下落が続いている。このため、人民元は米利上げ後に対米ドルで下げ基調を一段と強めることになるだろう。しかし、実際のところ、人民元安は中国製品の輸出に有利となる。よって、中国政府は人民元安を歓迎するはずだ。 もはや人民元は対米ドルのみで比較できない?    中国がこのほど発表した政府傘下の中国外貨取引センターによる為替レート指数(人民元相場指数)は、人民元と通貨バスケットとの連動を算出基準としている。中国は同指数を用いることで米ドルや他の通貨に対する人民元の実勢を示すことを望んでいる。世界の主要通貨の中で米ドルのみが堅調で他の通貨はいずれも軟調だが、実際のところ、対通貨バスケットの実質的な人民元の為替レートはさほど軟調ではなく、むしろやや堅調なのだ。こうしたことから、中国は外貨取引センターの人民元相場指数を用いて人民元の実勢を示すことを望んでいる。この人民元相場指数が国際的に広く採用されるようになれば、人民元の為替レートで対米ドルについてのみ市場が注目するようなことがなくなり、人民元安がもたらす国際的な圧力を軽減できる。よって、人民元は今後、徐々に米ドルとの緊密な連動から脱却し、対通貨バスケットでのパフォーマンスを強めていくことになるはずだ。  このような動きはさほど非難すべきことではない。中国と欧州連合(EU)や日本、英国、アジア近隣諸国との経済や貿易の往来はますます緊密さを増しており、為替レートは米ドル以外の通貨と比較する方が経済の実情に合致するようになっているからだ。もっとも、人民元が米ドルとの「実質的なペッグ解除」を行えば、今後、対米ドルでの下落が続くことになる。香港ドルが米ドルと連動しているため、対米ドルで人民元安が続けば、人民元は対香港ドルでも引き続き軟調となるだろう。 中国と香港、相互承認ファンド第一弾を登録  数カ月前に中国と香港が合意に達した両地間のファンド相互承認プランで、ようやく第一弾の相互承認ファンドが認可された。中国証券監督管理委員会(CSRC)がついに香港の相互承認ファンド3本を登録したのだ。内訳はETF(上場投資信託)、株式ファンド、債券ファンドで、これらの香港のファンドは中国本土で販売できる。一方、香港の証券先物委員会(SFC)も第一弾の中国本土の相互承認ファンド4本を正式に登録した。これらのファンドは主にハイブリッド証券ファンドと株式ファンドだ。中国と香港のファンド相互承認が実施されれば、香港で今後登録されるファンドはCSRCへの登録申請が可能になり、認可されれば億単位の中国の投資家に販売できる。外国資本にとって、香港でファンドを登録して業務展開することによる市場の潜在性が大きく高まることになり、香港の資産管理業務の発展に追い風となるだろう。日本のファンドにとっても、可能性を秘めた投資チャンスとなるはずだ。

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中国・紫光のM&A攻勢が台湾半導体を揺るがす 日月光のセキ品買収も不透明に

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※本記事は2015年12月18日にQUICK端末で配信した記事です。 ”黒馬の騎士”日月光vs”白馬の騎士”清華紫光、攻防戦の行方は?  台湾をターゲットにした半導体企業のM&A(買収・合併)がいくどとなく山場を迎えている。10月に力成科技(コード@6239/TW)の株式25%取得を突如決めた中国大陸の清華紫光グループが、続いて12月11日にセキ品精密工業(コード@2325/TW)の株式取得を決定した。同社株式24.9%を1株当たり55台湾ドルで取得する。同グループは、さらに巨額資金を投じて南茂科技(コード@8150/TW)の株式25%を取得する。買収額は1株当たり40台湾ドル。3社への合計出資額は882億元に達し、同社の大胆な挙動が半導体市場を揺るがした。  中でも、セキ品精密への出資は568億台湾ドルの巨額とあって、注目を集めている。セキ品精密の林文伯董事長は今回の決定を中国との提携だと、対外的に説明した。取得資金のうち80%を台湾の生産能力拡充に、20%を江蘇省蘇州市の工場拡張に用いるという。  もっとも、セキ品精密は紫光グループに株式24.9%を譲渡して筆頭株主とする際に第三者割当増資の形式を取る。これに伴い、日月光半導体製造(コード@2311/TW)のセキ品精密の持ち株比率はわずか18%にまで低下することになる。明らかに、セキ品精密は紫光グループを自社の経営権を護衛する「白馬の騎士」とすることで、日月光が経営への介入を強めることに対抗しようとしたのだ。 日月光、敵対的買収から一転、友好的買収を提示へ 台湾の半導体業界の関係者は、セキ品精密の林董事長が紫光グループの出資を今回引き入れることにしたのは、同グループがセキ品精密の株主に有利な額を提示したほか、同社の経営権に干渉しないとしたためだと分析する。囲碁を得意とする林董事長が見事な一手を打ったというわけだ。しかし、世間では激しい反中感情が巻き起こり、台湾で数十年間の月日をかけて苦労して築き上げた半導体パッケージングテスト業のサプライチェーンを林董事長はいたずらに中国へ差し出すべきではないとの認識が広がった。 一方、苦労して進めてきた計画を紫光グループに台無しにされた日月光は、そのまま泣き寝入りするようなことはしなかった。3日後の12月14日、1株当たり55台湾ドルでセキ品精密の株式100%を完全取得するという友好的買収提案を同社の取締役会に突如提示。台湾の産業の国際競争力を擁護するなどといった大義を掲げ、両社が先入観を捨てて買収案で合意することを希望すると発表した。また、既存の会社制度、全取締役、全経営陣を維持し、従業員の利益を守り、改革は行わないと約束した。買収総額は約40億米ドル(約1313億台湾ドル)となる見通しだ。 日月光はセキ品精密に今月21日までに書面で回答するよう求めたが、セキ品精密は再度議論する必要があるとして即答を避けた。   市場は日月光の柔和路線を評価する見通し…懸念も 台湾の機関投資家は、日月光の買収案は水平統合であり株式の希薄化も起こらず、買収効果がすぐに表れると分析する。反面、セキ品精密による紫光グループの出資引き入れは増資を伴い、株式が33%希薄化する。両案を比べた場合、多くの外国投資家が日月光の買収案を支持するだろうとの見方を示した。日月光の迅速で果断な反撃には、セキ品精密の経営権を取得して半導体パッケージングテスト業トップの座を固めることへの決意がうかがえるという。 しかし、日月光によるセキ品精密の完全買収には、紫光グループによる取得価格の増額攻勢を受ける可能性やセキ品精密の取締役会での否決といった変数が依然として存在する。また、セキ品精密の株主が同意したとしても、合併に伴い世界シェアが大幅に拡大するため、各国の反トラスト法(独禁法)の厳しい審査を通らなければならない。こうした難関を順調に突破していくことができるのかどうかが注目される。

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業績期待指数は2カ月連続マイナス…非製造業の先行き見通しに警戒(2015年12月)

業績期待指数2カ月連続マイナス 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2015年12月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス3と2カ月連続のマイナスとなりました。2カ月連続のマイナスは2014年5~7月(3カ月連続マイナス)以来、約1年半ぶりです。 12月のDIは11月と同じマイナス3でしたが、DIのマイナスはアナリストによる業績見通しが下方修正優勢に転じたことを表し、株式市場の業績期待が弱まりつつあることを意味します。今回の特徴は製造業DIのマイナス幅がやや改善する一方、非製造業DIのプラス幅が縮小した点です。全体のDIは変わらずでしたが、これまでDI全体を下支えしてきた非製造業セクターに対する先行き警戒感が示唆されたともいえる状況です。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 非製造業の業績期待の悪化が顕著に 全産業ベースのDIは2カ月連続のマイナスとなりましたが、今後の注目点としては、マイナス幅がさらに拡大するのか、それとも底を打って徐々にプラスに転じていけるかどうかでしょう。 12月は製造業DIがマイナス15と4カ月連続のマイナスとなりましたが、11月(マイナス18)からマイナス幅が縮小しました。一方、非製造業DIはプラス12となったものの、3カ月連続でDIは悪化しました。 全体のDIが底堅さを示すには製造業の業績懸念に底入れ感が広がると同時に非製造業の業績期待が続く必要がありますが、現状、景気にとってプラスの材料はさほど多くありません。2016年3月期は過去最高益を更新する見通しの企業が多いのは事実ですが、投資家の関心はすでに来期(2017年3月期)に向かいつつあります。 これ以上の米ドル高・円安は見込めるのか、そもそも米国景気は盤石なのか、原油価格急落による新興国・資源国景気の影響はどうなのか、という外部要因とともに、国内の個人消費は上向くのか、デフレからの完全脱却は可能なのか、といった国内要因にも目を向けていく必要があります。 現状、いずれの要因についても、追い風が吹いているとは言えない部分が多く、2016年の景気は踊り場を迎える可能性も意識されます。それが企業業績に反映されるリスクもそろそろ想定しておく必要がありそうです。 機械や電機への業績懸念続く 建設、小売、不動産は明るい見通し DIを業種別に見ると、16業種中、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回り、DIがプラスになっている業種は9業種。一方、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回り、DIがマイナスになっている業種は6業種、変わらずが1業種でした。 中身を細かく見ると、機械や電機のDIはマイナス幅が拡大し、製造業DIの重荷になりました。半面、鉄鋼や非鉄金属はマイナス幅が縮小したことで、製造業全体のDIの改善につながりました。 非製造業では情報・通信がプラスとなったものの4カ月ぶりに悪化、卸売はマイナス幅が拡大しました。一方、建設、小売、不動産などはいずれもプラス幅が拡大。政府・日銀の政策期待などを背景にこうした明るい業種の業績期待が継続するかが先行きの全体業績を占う上で重要なカギの一つになりそうです。 小野薬に業績期待、板硝子は下方修正懸念 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。3カ月前比で純利益の上方修正率が最も大きかったのは、小野薬品工業でした。免疫を利用した新規がん治療薬である「オプシーボ」の販売が好調で、業績が大幅に上方修正されました。一方、下方修正率が最も大きかったのが日本板硝子。スマートフォン液晶に使用する薄板ガラスの価格競争激化が業績低迷への警戒感につながったようです。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名             修正率 小野薬(4528)      101.27% 戸田健(1860)       54.92% ヤマダ電(9831)      43.09% トヨタ紡織(3116)      37.27% 大林組(1802)       28.74% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名              修正率 板硝子(5202)      ▲50.96% アドバンテ(6857)    ▲49.38% セガサミーHD(6460)  ▲49.03% 川崎船(9107)      ▲46.82% ミツミ(6767)       ▲45.23%

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「ダウンサイドリスク高まる2016年の世界経済」BNPパリバ証券・河野龍太郎氏

話し手:BNPパリバ証券 経済調査本部長 河野龍太郎氏(※本記事は2015年12月14日にQUICKで配信された記事です) 【景況判断】現状(3カ月前比):横ばい 先行き(3カ月後):回復 GDP予測:15年度0.9% 16年度1.1% 【金 利】短期:TIBOR3カ月 0.17% 長期:10年物新発国債  0.3% 【円 相 場】 120円/1ドル 【株 価】19000円/日経平均 *GDP予測値は実質GDP成長率、前年比% *長短金利、円相場、株価は3カ月後(2016年3月末)の予測値 1.景気見通し:「アベノミクス下で低成長が続くのはなぜか?」 アベノミクスの下で高い成長になったのは、2013年度だけだった。その後は、マイナス成長が散見される。もちろん、2014年度は消費増税が影響した。2015年度は中国など新興国経済の低迷も影響した。しかし、理由は需要サイドだけにあるのか。低成長の大きな理由が供給サイドにもある。まず、アベノミクスがスタートした段階では、マイナス2%程度の需給ギャップが存在していた。第一の矢と第二の矢の合わせ技によるヘリコプターマネー(事実上の中央銀行ファイナンスによる追加財政)によって、2013年は高い成長が可能となったが、その結果、2014年年初には、スラックはほぼ解消していた。つまり、経済が完全雇用に達したため、その後は、トレンドを上回る高い成長の継続が困難になっていたのである。既にトレンド成長率は0.3%とゼロ近傍まで低下しているから、スラックが解消された後、補正予算を編成しても、金融緩和を行い円安に誘導しても、高い成長の継続は難しくなっていたのである。 こうした中で、アベノミクスの最大の誤算は、大幅な円安にもかかわらず、輸出数量が全く増えなかったことである。確かに円安によって輸出企業の業績は著しく改善した。しかし、輸出数量が全く増えていないため、雇用者所得の改善は限定的なものに留まっている。個人消費が弱いのは、消費増税の後遺症もあるが、それだけでなく、円安によって輸入物価が上昇、家計の実質購買力が抑制されているためである。つまり、円安は、家計から輸出企業に所得移転をもたらすだけに終わっている。もちろん、円安による業績改善を背景に、株価は上昇傾向が続き、多少の資産効果は期待できる。また、財輸出の回復は限られているが、インバウンド消費などサービス輸出が膨らんでいる。これらを含めれば、円安は経済全体ではプラスだと見られるが、家計に悪影響が集中しているため、政治も円安に敏感になっている。戦後、円高には社会は敏感に反応してきたが、円安については常にWelcomeであり、これまでとは様相が大きく異なる。1ドル=300円だった1973年初頭の水準まで実質実効円レートが低下しているため、人々が円安に敏感になるのは、当然と言えば、当然かもしれない。 2.金融環境:「原油価格は低迷が続くのか?」 2000年代に原油高が続いたのは、基本的には、高度成長の続いた中国の旺盛な需要が主因である。中国の高度成長の終焉と共に、原油高の時代も終わった。本来なら、中国の高成長が終了した2011年に原油安が訪れ、2000年代前半の水準に回帰しても不思議ではなかったが、その後もFEDのアグレッシブな金融緩和が生み出す過剰流動性によって、2014年10月まで原油価格は高値で張り付いていた。さらに高値が続くという思惑から、easy moneyによるファイナンスによって、世界中で資源開発が続けられた。結局、2011年以降の原油高はFEDの一連のQEが作り出した典型的なバブルだったのであり、それ故、QE3の終了と共にバブルが崩壊、2014年10月に原油急落が始まったが、バブル醸成の過程で過剰ストックが相当に積み上げられてしまった。このため、地政学的リスクが急激に高まらない限り、しばらく原油価格の戻りは限られたものになる。資源国は過剰ストック、過剰債務問題を抱え、苦境が続くが、さらにFEDの利上げに伴う資本コストの上昇も加わる。中国需要が高まる前の2000~2004年の原油価格は30ドル強であり、それが当時の均衡価格だとすると、その後のドルベースの一般物価の上昇を加味した41ドル程度が現在の均衡価格と考えられる。ただ、調整過程でアンダーシュートが生じるなら、30ドル台が長引くリスクもある。 3.注目点:「2016年の世界経済のリスクは、アップサイドかダウンサイドか?」 明らかにリスクは、ダウンサイドに偏っている。下げ止まり傾向が観測されるといっても、中国経済は尚、下振れリスクを抱えている。2000年代の終盤にルイスの転換点を迎え、トレンド成長率が大きく下方屈折したが、当時、リーマンショックが低成長の原因と中国政府は誤認し、大規模財政を発動したため、それが過剰ストック問題をもたらした。さらに、ドルに対し事実上のペッグ制を続けているため、実体経済に比して割高な人民元が景気回復の足を引っ張る。トレンド成長率の下方屈折、過剰ストック・過剰債務問題、経済実態に比して割高な為替レートというのは、90年代の日本のおかれた状況と共通する。中国政府は財政政策で景気を下支えすると考えられるが、財政の規模を追求すれば、それは新たな過剰ストックを生む。こうした中、米国の内需が回復すれば、それはそれで望ましいのだが、それに伴いFEDの継続的な利上げ観測からドル高が進み、人民元の実効レートの上昇が中国経済の足を引っ張るおそれがある。このほか、懸念されるのは、リーマンショック後に強化された金融規制がFEDの金融引き締め効果を増幅することである。低利のドル資金を元手に資源開発を続けた経済主体はバブルの残骸を抱え、利上げ開始によってますます困難な状況となる。現在、米国で好調なのは住宅販売や自動車販売で、いずれも低金利環境によって支えられているものであり、FEDの政策転換は、好調な内需の前提も揺るがす。世界で二番目に大きくなった中国経済が減速局面にある中で、FEDの利上げの継続が、新興国バブル・資源バブル崩壊後の世界経済のダウンサイドリスクを高める。 <河野龍太郎氏略歴> 1964年生。87年横浜国立大学経済学部卒、住友銀行入行。89年大和投資顧問入社、エコノミスト、94年同社米国駐在エコノミスト、97年第一生命経済研究所入社、マクロ経済・金融分析を担当、2000年11月よりBNPパリバ証券チーフエコノミスト。著作に「金融政策の罠(共著)」(集英社)、訳書に「金融政策の理論と実践」(アラン・ブラインダー著)、「通貨政策の経済学」(ポール・クルーグマン著)等。日経ヴェリタス「2008年(第13回)、2009年(第14回)、2010年(第15回)、2012年(第17回)、2013年(第18回)、2014年(第19回)、2015年(第20回)債券アナリスト・エコノミスト人気調査」エコノミスト部門 第1位。日本経済研究センターESPフォーキャスト調査(2012年度、2014年度)総合成績優秀フォーキャスター。

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「アジアで圧倒的ナンバーワン、世界発着の旅行会社を目指す」JTB・高橋広行氏

人口減による消費停滞への打開策として期待されるのがインバウンド(訪日外国人)の増加。インバウンドの拡大で潤う旅行業界最大手・JTBの高橋広行社長に見通しと戦略を聞いた。※本記事は2015年12月10日にQUICK端末で配信した記事です。   地方勤務から社長へ…自治体に根ざした経営戦略に自信 【問】高橋社長は関西ご出身ですね。 【答】入社以来、関西、中国、四国エリアを中心に地方勤務していた社員がJTBの社長になったのは初めてだと思います。今、当社は地域戦略とグローバル戦略の両輪で経営を進めています。そういう意味では、私は地域を経験しているはじめての社長ということになります。社長になったのは、地域を経験していることが大きかったのかもしれません。西日本を中心に営業の現場を経験しているところが歴代の社長と違うところです。 【問】社長にご就任されて1年5カ月が経過しました。手ごたえはいかがでしょう。 【答】地域戦略についてはまさに「我が意を得たり」という思いです。2006年、当社は地域に正対して発展することを志向して地域密着を掲げ分社化を行いました。ここに来て政府は国策として地方創生を打ち出していますが、当社は2006年の分社化以来地域戦略を進めています。例えば、政府の日本版DMO(デスティネーション・マネージメント・オーガナイゼーション。地域の観光マーケティング・マネージメントを担う機関)は、当社が10年前から取り組んでいるDMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー。豊富な地域の知恵、専門性、資源を所有し、イベント、ツアー、地域交流や地域活性化を企画提案する会社)と同じ考え方です。DMC戦略は、地域の埋もれた観光資源を掘り起こし磨き上げて商品化し、それを全国あるいは全世界に流通させて、地域にお客様を呼び込むことで地域を活性化させる、というものです。まさに今、当社が10年前から進めてきた戦略が国の戦略と具体的な形で合致したという思いです。 【問】御社が先手を打って国が後追いをしているようです。 【答】そこまでは言えませんが(笑)。バブル崩壊時に初めて赤字に転落するなど痛手を被った経験から、追い詰められる前に先手を打って改革に取り組んできたことや、マーケットに正対して事業を推進してきたことが、国に先んじて地域事業戦略を展開する結果になっているのだと思います。 当社は地方創生の推進に関与しています。既に多くの自治体からご相談いただき、ふるさと旅行券(商品券)、プレミアム旅行券(商品券)、ふるさと納税などのお手伝いをさせていただいています。2006年に地域分社化して地域密着の営業を展開しているため、地域のことがよくわかります。例えば、ふるさと納税を申し込まれたお客様にふるさと納税のお礼用の地域特産品をアドバイス出来ます。国が政策を打ち出せば「それではこんな感じでやりましょう」と具体策を提案させて頂くことが出来るので、ふるさと納税をはじめ地方創生にかかわる一連のオペレーションを全国の自治体から任されているのだと思います。 旅行業の先行き懸念背景に、交流文化事業へ注力 【問】地域事業戦略を推進する上で2006年の分社化は大きな意味を持っているのですね。 【答】2006年の分社化は当社の歴史始まって以来の大変革だったと思います。地域別と専門領域別の分社化を同時に行いました。地域のお客様と地域を訪れるお客様へのサービスを強化するために、全国1社であった体制を北海道から沖縄まで9地域の分社体制にしました。さらに、お客様のニーズの高度化・多様化に対応するために、ひとつの支店で店頭営業も渉外営業もこなす総合型の営業スタイルから店頭営業と渉外営業を分け、それぞれが専門性を高めていく機能別営業スタイルに変えました。総合型営業の時には店頭と渉外が連携する面もあれば、依存してしまうという面もあったことから、機能別営業スタイルに変えることで主体性を高めるという目的もありました。 分社化に際して、当社がこれから目指す姿、果たすべき社会的役割をとらえ直し、交流文化事業を事業ドメインに据えました。交流文化事業とは、お客様の感動と喜びのために、JTBグループならではの商品・サービス・情報および仕組みを提供し、地球を舞台にあらゆる交流を創造し続けることです。人が動き、人が接して交われば会話が生まれます。会話が生まれると文化が生まれます。その文化を創造して新しい事業を開発しています。 【問】そのためのスローガンが「感動のそばに、いつも」ですね。交流文化事業を事業ドメインに据えた背景をお教え下さい。 【答】ひとつは、事業領域を広げるためです。少子化問題もあって長期的には国内の旅行マーケットがシュリンクしていくのは目に見えています。縮小していく国内マーケット対策として事業領域を広げていく必要性に迫られています。旅行業で培った知見やノウハウがあるので、旅行の周辺部分に事業領域を広げるということです。もうひとつは、事業の質を高めるためです。旅行業は価格競争にいつも晒されています。企画力やオリジナリティーなどを前面に出して次元の違う、質の高い事業を展開すれば、競争が緩和されて経営が安定します。それを交流文化事業の中でやっていこうということです。 【問】会社が大きく舵を切ることに社員に戸惑いはなかったですか。 【答】社員は旅行業をやるために当社に入社しています。それがある日突然、「交流文化事業だ」ということですから、「交流文化とは何ですか」、「旅行会社が旅行ではない事業をどうしてやるのですか」、「そんなことやってビジネスになるのでしょうか」といった声がかなりありました。最初は大変でしたが、2006年の分社化から成功事例が出る度に「これが交流文化事業だ」ということを積み重ねて、現在では社員の理解を得られています。これは本当に大きな意識改革です。一朝一夕に出来ることではありません。交流文化事業の推進にはそれなりの人材を育てないといけません。 【問】交流文化事業に力を入れているのは御社だけですね。 【答】そうですね。交流文化事業を事業ドメインに据えることで、一段と地域活性化、観光立国に寄与出来ると思っています。実際、旅行業とは関係のないような事業、こんなことまでJTBがやっているのですかと言われるような事業をやっています。地方創生、ふるさと商品券、プレミアム商品券などは旅行そのものではないのですが、旅行事業で培ったノウハウや経験をベースに新規事業を展開しています。   地域の恵み発掘、「まちおこし」をより魅力ある観光コンテンツへ 【問】分社化して地域の期待もかなり高まったのではないですか。 【答】これは予想以上で、「分社化してJTBさんは九州に来られたのですね。九州にどれだけお客様を連れてきていただけるのですか」といったお話をよくいただきました。地域のお客様のニーズにお応えするためにどうすればいいのか。当社のパッケージツアーでどうやって地域に呼び込むか。いろいろ模索しながら検討しました。その結果、例えば、ひとつの観光地に東京発、大阪発、仙台発、札幌発、福岡発の複数のパッケージ旅行担当者が個別に見に行って開発・販売するというスタイルをやめて、観光地のエリアの担当者が責任を持ってパッケージツアーを企画・開発して全国に販売するというスタイルに変えました。地域の人たちを巻き込み、当社と地域が一体となってじっくり掘り下げて開発することが出来ますから、これまでなかった面白い商品ができあがります。その成功事例が「地恵のたび」です。「地恵のたび」は、地域活性化をテーマに、知恵と工夫によってまちおこしに取り組む地域の魅力に触れ合う地域交流型旅行商品です。 【問】御社と地域が一体となって行う交流文化事業の推進によって「地恵のたび」が生まれたのですね。地域にどのようにアプローチされるのですか。「地恵のたび」の事例と合わせてお教え下さい。 【答】地域とは違う目線で、「こういう問題を抱えていますが、このように解決してはいかがですか」とソリューション営業を仕掛けます。地域の問題解決をお手伝いする過程で地域の宝を掘り起こし、磨きをかけて商品化していくお手伝いをします。 例えば、長野県の阿智村は、昼神温泉だけに頼らない継続的な地域ブランドの構築が課題でした。2006年に環境省推進の全国星空継続観測において「星が最も輝いて見える場所」第1位を獲得したのですが、阿智村にとっては星がきれいなのが日常です。当社の社員が「この星空は商品になります」と提案したことを契機に星空を観光資源とする気運が高まり、「こういうことが出来ないか」、「もっとストーリーが作れないか」、地域の人と知恵を出し合いながら一生懸命考えました。それで夏場は未稼働のスキー場を活用してはどうかという案が浮上し、「天空の楽園」ナイトツアーを企画しました。ホテルにバスが迎えに来て、ガイドさんがバスの中で星空への思いを盛り上げていく話をします。スキーのリフトであがって降りた所に銀河鉄道999に出てくるようなキャラクターの格好をしたスターコンシュルジュが「ようこそ星空の世界へ」とお迎えし、星空案内で夜の旅を盛り上げます。上に行くと明かりがこうこうとついています。そこに寝転がって夜空を見ます。一斉に照明が消されて星に手が届きそうなくらいの満天の星空が広がります。 【問】暮れなずむ夕日、さんざめく星たち。そこには美しい魅惑の風景が広がっているのですね。忙しい日常を抜け出して心を潤す旅にでかけてみたくなります。 【答】この企画が「地恵のたび」でものすごく売れました。初年度から目標を上回る観光客の誘致に成功し、昼神温泉の宿泊客も増加しました。その結果、パッケージツアーのエースでも取り扱うようになりました。 もうひとつ、大阪府東大阪市は町工場の多い地域で観光地ではなかったのですが、「ものづくり観光」をテーマにストーリー性を持たせて企画したところ大変な人気を博し、今では全国から年間6千人を超える修学旅行生を中心としたお客様が工場見学に訪れています。東大阪の町工場の一番の経営課題は労働力の確保です。学生たちは、社長や職人さんの話を聞き、本物のモノづくりを体験します。現場を見てもらい、関心を持ってもらうことで就職につなげることが期待出来ます。ものづくり・技術大国日本として、ものづくりを体験させることは教育的見地からも良い教材になります。職人にも教える喜びという新たなモチベーションが生まれ活気づきます。自分たちの仕事を見直すきっかけにもなります。人が来ると宿泊や食事などで地域にお金が落ちます。 【問】地域経済や国内旅行市場が元気になります。 【答】日本の人口が減っていく中で、国内旅行を活性化することは当社の大きな命題だと思っています。日本人の国内旅行の年間平均旅行回数は1.4回、宿泊日数は2.4日くらいです。人口減少で国内旅行市場はさらにシュリンクしていくことが予想されます。国内旅行が低迷するのは、魅力ある観光コンテンツが少ないからです。人を呼べる観光資源はたくさんあります。魅力ある観光資源を掘り起こし、旅行回数を増やしていくことが必要です。一度行ったところでも、従来だったらお決まりの観光地を巡るだけだったのが、こういう体験が出来るとか、こういう新しい食事が味わえるとか、地域の観光資源を掘り起こし、それを流通させて地域にお客様を呼び込んでくる。その成果のひとつが「地恵のたび」です。 【問】「地恵のたび」には北海道から沖縄まで86のツアーがありますね。 【答】灯台もと暗しで、地域にいるとその観光価値に気づかないことがたくさんあります。阿智村の人たちも東大阪の人たちも星空や町工場がこれほどの観光資源になるとは思ってもみなかったでしょう。全国には埋もれている観光資源がたくさんあります。地域の課題解決をお手伝いするなかで、地域の埋もれた観光資源を掘り起こし、磨き上げて商品にして、地域にお客様を呼び込む。つまり、地域のお客様を旅行にお連れする「発(はつ)営業」に加えて、お客様を地域に呼び込んでくる「受(うけ)営業」を一緒に行うことで地域を活性化させる。それが当社の役割だと思っています。そうした地域事業戦略を具体的に進める戦略を47都道府県の47とDMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)の頭文字をとって47DMC戦略と呼んでいます。地域の支店長は、地域のお客様を国内旅行や海外旅行にお連れするだけでなく、地域にお客様を呼び込んでくることが求められます。これからも「地恵のたび」を充実させていきます。 【問】厳しくもやりがいがあるお仕事です。 【答】そういうことをいつも社員に話しています。当社の地域事業戦略は非常にやりがいがある。地域貢献という公益に資することをやろうとしている。なおかつビジネスでやろうとしている。公益と企業益の両立を目指すやりがいのある仕事であると社員に理解させています。 訪日外国人向けの新路線開拓へ 【問】訪日外国人向けの観光コンテンツとして阿智村や東大阪はいかがでしょう。 【答】これからはこのようなところにも関心が持たれると思います。ゴールデンルート一極集中の問題もあります。外国人向けのプログラムも企画中で、国内800店舗、海外500カ所のネットワークを活用して東大阪から世界へと発信する準備を進めています。 【問】「地恵のたび」がゴールデンルート一極集中を緩和し、外国人旅行者を分散するツールになるということですね。 【答】そうです。ゴールデンルート(日本を訪れる外国人旅行者の多くが利用する観光ルート。具体的には、東京から箱根、富士山、名古屋、京都、大阪を回って帰国するルート)に外国人旅行者が集中しています。日本に初めて来た時に一番人気の高い所に行くことは仕方がないことなのですが、時期によってはホテルやバスの手配が出来ないほど混み合っています。従って、限られた観光ルートだけでは収容しきれなくなり、経済効果も頭打ちになります。観光ルートを多様化させて地方に分散させることが必要です。実際、ゴールデンルートや日本の代表的観光地を訪れた外国人旅行者が、次の行き先として地方に足を向けはじめています。この地方への流れを確かなものにするために、地域の魅力を掘り起こして外国人旅行者にご案内します。ゴールデンルート以外の広域観光ルートをどう開発していくかが大きなテーマです。 今、第二のゴールデンルートと言われているのが、名古屋から飛騨高山、北陸を経るドラゴンルート(昇竜道)と言われるルートです。北陸新幹線開業後、国内でも北陸旅行がブームになっています。金沢、富山、能登や、五箇山・白川郷などの世界遺産に外国人旅行者が押し寄せています。 【問】第二のゴールデンルートがドラゴンルートだとすれば、第三のゴールデンルートは北海道・東北方面のルートでしょうか。北海道新幹線の開業が来春2016年3月と間近になりました。 【答】これから大事になってくるテーマが、インバウンド(訪日外国人)市場の盛り上がりをいかに東北に波及させるかです。幸いにして、日本全国に新幹線網が広がっています。東京を起点に2時間30分あれば、関西・北陸、東北もある程度の所までは行けます。東北は観光資源の宝庫です。自然、歴史、文化、食、温泉など、観光に欠かせない要素のすべてを備えた第一線級の観光地です。 【問】奥入瀬渓谷や十和田湖もあります。あの紅葉の美しさを外国人旅行者が見たらびっくりすると思います。 【答】そこに外国人旅行者が行かないわけがない。函館から青森に南下するルートがゴールデンルートに対抗する新たな有力観光周遊ルートになると考えています。 外国人旅行者は、震災で大被害を受けた東北への旅行を遠慮しているところがありますが、東北のお客様は外国人旅行者に来てほしいと思っています。一方、東北の人たちの中にはいまだに苦しんでいる人もいます。2016年、震災から5年の節目として震災を風化させない、東北を忘れない、福島を忘れないという思いを込めて、JTBグループをあげて東北のキャンペーンをやるつもりでいます。東北、福島の人たちと一緒に正しい情報を内外にきちっと発信していきます。北陸新幹線が開業して、首都圏だけでなく東北からも北陸に行きやすくなりました。この冬は北陸の良さというものを首都圏エリアから東北エリアの方々に知っていただくいいチャンスです。 【問】2015年1~10月の訪日外国人旅行者数は、前年同期比48.2%増の1631万人超えと通年で過去最高だった14年の1341万人を更新。年間1900万人台に達する見込みです。訪日外国人急増の背景をどうお考えですか。 【答】円安に加えて、ビザの発給要件の緩和が大きかった。それから、免税店が急激に充実しています。これは爆買いを支えるインフラです。今、免税店はすごいです。政府は2020年までに2万店の目標を掲げていますが、既に1万9千店と間違いなく目標を超えます。この流れは地域にも及びます。当社は地域の旅館や商店に「外国人旅行者がどんどん来るようになってからでは遅いので、早く免税制度を申請して受け入れ準備をして下さい」とお願いしています。 グローバル事業枠組み構築でシェア拡大を…各国の習慣にも配慮 【問】御社の訪日外国人旅行者取り扱いのシェアはどのくらいですか。 【答】当社のシェアは15%くらいです。この結果には満足していません。というのも、当社は他社が持っていない強みを持っています。発(はつ)地ではグローバルネットワークを持っており、受(うけ)地ではきちっと受け入れるだけの体制を整えています。訪日外国人はどんどん伸びていますが、その内の4人に一人は中国人旅行者です。当社は中国において、中国政府公認の旅行エージェントですが、中国公認の外国の旅行会社は世界でJTB、アメックス、TUIの3社だけで、当社にはそういうアドバンテージがあるのです。そういったことを踏まえ、東京オリンピック・パラリンピックの2020年までに30%を目指します。 【問】2020年東京オリンピック・パラリンピックで日本に関心が向いている時ですから30%は固いのでは。 【答】いえ、高い目標です。現在はJTBグローバルマーケティング&トラベルが、フル稼働で訪日外国人対応をしていて、前年比150%以上というすごい伸びを続けているのですが、それでもシェア30%にはまだまだ届きません。訪日外国人、例えば、中国人旅行者が航空券や日本での宿泊先を確保する場合、中国のエージェントや海外のサイトを利用することが多く、当社をはじめ日本の旅行会社は十分に中国人の需要を取り込みきれていません。中国人は現地の中国系の旅行会社を通じて日本に来て、日本での手配も中国系が行っています。日本の旅行会社のネットワークに取り込めていない中国の人たちがものすごく多いのです。従って、シェア30%は高い目標ですが、実現に向けて強力に推進していきます。 【問】中国の旅行者の中では富裕層がターゲットでしょうか。 【答】そうです。日本でもお金が安ければいいという低価格志向のお客様と、少々お金が高くてもいい旅行がしたいという品質志向のお客様がいます。それは中国も同じです。確かに、中国人旅行者は爆買いに象徴されるように買い物中心です。せっかく日本に来たのに1日中ずっと買物に回って宿泊も食事も簡素な低価格で粗悪なツアーもあります。日本食を食べたかった、旅館に宿泊したかった、温泉に入りたかった、自然・景勝地観光をしたかったといった声が中国人旅行者の間にあります。これから個人ビザ発給要件の緩和で個人ベースの中国のお客様が増えていきます。個人で来られる富裕層をどう取り込むかが中国戦略の最大のテーマです。 【問】訪日外国人の取り扱いを増やすためにはグローバル事業の展開が欠かせません。どう推進していきますか。 【答】今までは、日本のお客様を海外にお連れする、海外のお客様を日本に訪日外国人として呼び込んでくる日本発・日本着という日本中心のビジネスモデルでしたが、当社は日本以外のマーケットで最終的に世界発・世界着というビジネスモデルを作り上げようとしています。世界発・世界着というのは日本を経由しないビジネスモデルです。例えば、アメリカの拠点からアメリカのお客様を中国へ、中国の拠点から中国のお客様をヨーロッパへお連れするというものです。 今、世界500のネットワークを活用して世界発・世界着の旅行を広げて、現地の人たちに日本以外の国へ旅行してもらうサービスの強化をはかっています。そのために現地の有力会社を買収しています。例えば、2014年、スペインのヨーロッパ・モンド・バケーションズの株式を取得しました。スペイン語のスペインツアーの旅行会社です。また、中南米に当社が買収した関連会社があり、中南米発でスペインのヨーロッパ・モンド・バケーションズで受けるのですが、これはほとんど日本人が関与しないビジネスです。M&Aをこれからも必要に応じて進めて行きます。地球を舞台にあらゆる交流を創造し続け、地域戦略とグローバル戦略を加速させ、地域経済と国内旅行市場を活性化させます。そして、アジア市場における圧倒的ナンバーワンポジションを確立させます。 【問】訪日外国人が増える一方で、受け入れ体制の問題が指摘されています。現況をどう見ますか。 【答】ここに来て一気に環境整備が整いつつあります。例えば、外国人旅行者が日本に来て感じる不平・不満のトップがWi-Fi環境です。この環境が整備されていなかったために、街中を離れるとネット接続が出来ない、観光情報を得ることが出来ないといった問題が起こりましたが、今ではほとんど整備されています。多言語表示も進んでいます。空港や駅、主な観光地では、まちの標識などが英語、中国語、韓国語など複数カ国語で表示されています。それから両替問題です。日本の銀行は3時に閉まる、空港に行かないと両替出来なくて不便という問題があります。それを解決する手段として当社独自で両替用ATMを開発して主だったホテルや旅館に設置しました。両替用ATMを置く余裕がない宿泊施設には外貨両替を代行するサービスを始めました。日本の旅館の意識も相当変わってきています。ほとんどの旅館で外国人旅行者に対して「さあ、やるぞ!」という状況になっています。 おもてなしを標榜する国であれば、外国人旅行者が日本に来て困っていることは解決していかないといけません。例えば、ハラル対応です。ビザ発給条件の緩和でインドネシア、マレーシア、シンガポールなどムスリム(イスラム教徒)が多数派を占める東南アジアからの観光客が急増すると予想されます。イスラムの人たちは豚肉を食しません。アルコールもたしなみません。お祈りするスペースが必要です。そうしたことにきちっと対応することがリピーターの増加につながります。日本人が海外で日本語表示を見て「日本人旅行者を大事にしてくれている」と感じるのと同じことです。それがおもてなしの一番の入口です。既に訪日外国人の4割から5割くらいがリピーターです。新規だけでは実現が難しい訪日外国人2千万人、3千万人もリピーターを増やす努力を欠かさなければ実現可能となるでしょう。 (聞き手・QUICK情報・コンテンツ本部 岡村健一) <高橋広行氏略歴> 1957年徳島県生まれ。79年関西学院大学法学部卒業、日本交通公社(現JTB)入社。2001年JTB西日本エース事業部長、03年高松支店長、05年広島支店長、06年JTB中国四国取締役広島支店長、07年同常務取締役広島支店長、10年JTB取締役旅行事業本部長、12年JTB西日本代表取締役社長、14年6月JTB代表取締役社長。

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2016年の有望投資対象、先進国株や米国債が上位に(12月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の12月調査を、12月28日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者142人が回答、調査期間は12月21~24日)。調査期間中の新発10年物国債利回りは0.270~0.280%で推移しました。 2015年は国内景気の先行き不透明感がやや強まった1年でした。失業率は大幅に低下し、雇用環境は一見、改善傾向にあるかのように見えますが、雇用の中心は非正規社員にシフトしており、賃金の二極化が進んでいます。個人消費の改善余地が狭まるなか、2017年4月には消費税率の10%への引き上げも予定されています。国内景気の先行き不透明感が払しょくされない限り、国内金利は低水準で推移する可能性が高そうです。 こうした状況を踏まえ、今回の特別調査では、2016年の相場見通しや有望と思われる投資対象について、債券市場関係者の見方を聞いてみました。 日本の長期金利の低下余地は限定的? 2016年の各マーケットについて、最高値(最高利回り)、最安値(最低利回り)の予想を聞きました。ちなみに12月25日時点の数字は次のようになります(海外市場は24日現在)。 ・日本国債(10年)   =0.280% ・米国債(10年)    =2.240% ・独連邦債(10年)   =0.627% ・日経平均株価     =1万8769円 ・ドル円レート     =120円32~35銭 ・原油価格(WTI先物)=38.10ドル 日本国債の最高利回りの予想は単純平均で0.496%、最低利回りは0.216%となりました。同様に米国債はそれぞれ2.767%、2.041%でした。 国内債券市場について2015年を振り返ると、1月に0.20%まで低下した後、6月にかけて0.53%まで上昇。その後、年末にかけて再び0.2%台に低下するという流れになりました。国内景気の先行き不透明感、日銀の質的・量的金融緩和などが利回り低下を促しました。ただ、ここから一段の利回り低下には材料不足といったところなのか、2016年はやや利回り反転を警戒するムードも出ているようです。 一方、米国では12月に9年半ぶりとなる利上げが決まり、2016年についても金融政策の「正常化」の流れが続きそうですが、利回りの上昇余地はそれほど大きくないと市場関係者は予想しているようにもみえます。利上げペースが緩やかになるとの見方に加え、利上げに伴う新興国経済への悪影響や株式などリスク性資産の投資に対する警戒感も意識されていることが、この結果から見て取れます。 独連邦債は最高利回り予想が0.874%、最低利回りは0.403%となりました。日経平均株価は高値が2万1465円、安値は1万7307円となりました。円ドルレートは、円の高値が1ドル=115.9円、安値は126.5円の予想。原油価格(WTI先物)は高値が1バレル48.6ドル、安値は28.5ドルでした。 中国をはじめとするアジア、その他の新興国・地域の成長率は大きくスローダウンしており、政情不安が高まっている国も散見されます。新興国・地域における政情不安、景気失速感がさらに強まれば、リスクオフの動きが市場を支配する可能性もあります。原油については減産に向けた石油輸出国機構(OPEC)の足並みが揃わないなど政治的要因に左右される面も強く、当面は下値余地が大きいとみる市場関係者もいるようです。 2016年のマーケット動向を占う上では、懸念材料を多く抱える新興国・資源国市場でさらなる波乱は起きるのか否か、そうした中で金融正常化に動き出した米国は世界経済を引っ張ることができるのか――。こうした点が注目ポイントになりそうです。 国内債券市場、こう着打破のカギは「日銀の金融政策」との見方 日銀による大量の国債買い入れなどにより国内債券相場はこう着状態が続いていますが、これを打ち破るとすれば何が材料になると思いますかとの質問については、「日銀の金融政策」が69%と圧倒的多数を占めました。日銀の金融緩和姿勢による好需給相場の継続で長期金利は低水準で推移すると見込む声が多いようですが、こうした展開に変化が出るにはやはり日銀の政策次第の面が強いということのようです。日銀の金融政策に次ぐ材料としては、「国内経済動向」と「米欧経済動向」、「新興国・資源国経済動向」がともに5%となりました。 先進国株への投資期待強く、利回り面で米国債に妙味も 2016年に最も有望と思われる投資対象は何かを挙げてもらったことろ、有効回答数136人のうち26人が「外国株(先進国)」と回答。次に「国内株」が25人、「米国債」が24人で続きました。新興国株への人気が離散する中、先進国の株式には投資妙味ありとみる関係者が多いようです。一方、世界的な金利低下トレンドの継続で債券投資家の運用難も意識される中、相対的に利回りが高い米国債は有利な投資先とみられているようです。 各国の金融政策の行方に引き続き注目 毎月定例の相場見通しの調査では、国内債券市場でもう一段の金利低下観測が強まり、新発10年国債の金利見通しは、1カ月後が0.285%、3カ月後が0.303%、6カ月後が0.333%と、11月調査分(0.322%、0.343%、0.379%)に比べていずれも低下しました。 また新発2年国債については、1カ月後が-0.02%、3カ月後が-0.017%、6カ月後が-0.005%というように、マイナス金利が示現しました。他の国々に先駆けて利上げに入った米国とは対照的で、日本は今後も量的金融緩和を継続せざるを得ないとの見方が強く、それがマイナス金利の示現に反映されています。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格の変動要因で最も注目されるのは「短期金利/金融政策」の48%。加えて、「債券需給」と「物価動向」の注目度が徐々に上昇しています。同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞いたところ、他の投資主体に比べて注目度が高く、かつ上昇傾向にあるものとしては、「政府・日銀のオペレーション」がダントツで59%となりました。また、「都銀・信託銀行(投資勘定)」の注目度もじわり上昇しています。一方、「外国人」の注目度は11月調査の25%から18%に低下しました。 債券への投資スタンスはやや強気 資産運用担当者69人を対象に、運用中のファンドについて、国内債券への投資比率が現状、通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」は11月調査と変わらず54%。これに対して「ややオーバーウエート」が11月調査分の7%から、12月調査分では11%に上昇しました。対して、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」が低下したことを考えると、ここしばらくは強気のスタンスで臨んでいたことが分かります。 一方、これから先、当面のスタンスを見ると、「かなり引き上げる」は0%で、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」が変わらず。「現状を維持する」が低下。「かなり引き下げる」は、このところ0%続きだったのが、12月調査分では2%になりました。 なお、保有債券のデュレーションについては、指数が51.2で前月と変わらず。この指数は、基準値よりも短いと50を下回り、逆に長い時は50を上回ります。現在のデュレーションは若干、長めというところです。当面のスタンスは指数が52。「やや長くする」という回答比が上昇していることからも、目先は強気の姿勢が垣間みえます。

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中国、エコカー普及へ優遇策相次ぐ 比亜迪など急成長も、目標に遠く

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。※本記事は2015年12月11日にQUICK端末で配信した記事です。 目標台数達成に向け新政策でテコ入れも 中国が新エネルギー自動車の発展に力を入れている。2009年に発表した「自動車産業の調整と振興計画」で、新エネルギー自動車市場の発展に向けて3年間で取り組む目標と措置を打ち出していた。すなわち、11年までに純電動やプラグインハイブリッド、一般型ハイブリッドなど新エネルギー自動車の年間生産能力を50万台にまで引き上げ、乗用車全体の販売台数に占める新エネルギー自動車の割合を5%前後にするという目標だ。しかし、11年の中国自動車市場の総販売台数は1850万台。このうち5%に相当する台数は92万5000台だが、同年の中国の新エネルギー自動車の生産台数は8368台、販売台数は8159台と、目標数値から遠くかけ離れている。  新エネルギー自動車産業の発展を加速させるため、中国国務院(政府)弁公庁(事務局)は14年に「新エネルギー自動車の活用・普及の加速に関する指導意見」を発表、新エネルギー自動車産業の発展に向けて全面的で系統化されたガイドラインを提示した。その後、新エネルギー自動車に関する奨励策や支援策を相次いで公布。今年について言えば、「2016~2020年新エネルギー自動車の活用・普及の財政支援策に関する通知」「省エネ、新エネルギー使用の車両・船舶に対する車両・船舶税の優遇策に関する通知」「電動自動車の充電インフラ設備建設の加速に関する指導意見」など、ほぼ毎月のように新たな政策が打ち出されている。 純電動車の売れ行き好調…新エネルギー車全体では販売量過去最多も 主要都市で相次いだ新エネルギー自動車の購入制限の撤廃、及び新エネルギー自動車の購入補助などの優遇政策を受け、今年に入り中国の新エネルギー自動車市場は飛躍的に拡大した。中国自動車工業協会のデータによると、新エネルギー自動車の1~10月期の生産台数は18万1200台と前年同期の3.7倍に、販売台数は17万1100台と同3.9倍に増加した。現時点の市場統計に基づく今年の販売台数は25万台前後に達する見込みだ。米国の今年の新エネルギー自動車の予測販売台数は18万台であり、中国は販売台数で米国を抜き世界最大の新エネルギー自動車市場となるもようである。 しかし、中国の今年の新エネルギー自動車販売台数は同国政府が12年に制定した目標から依然としてかけ離れている。中国国務院は12年6月発表の「省エネと新エネルギー自動車産業の発展計画(2012-2020年)」の中で、純電動車とプラグインハイブリッド車の累計生産販売台数を15年までに50万台に、生産能力を20年までに200万台に、そして同年までに累計生産販売台数を500万台超に、それぞれ増やすという主な市場目標を明確に掲げた。この目標達成に向けて、今後さらに多くの奨励策や支援策が発表されることになるだろう。 現在、中国で販売されている新エネルギー自動車の車種は数十種類、主な車種にそれぞれ10種類以上のモデルがある。テスラ・モーターズ(コード@TSLA/U)やトヨタ(7203)など日米のブランド以外は大半が国産だ。中国の自動車関連の調査機関である全国乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計によると、新エネルギー乗用車の販売台数は10月に2万1375台と前年同月の4.1倍に達して過去最多を記録した。今年1~10月の累計販売台数は11万600台だった。このうち純電動車は累計6万8300台、プラグインハイブリッド車は同4万6600台だった。純電動車の販売台数は3カ月連続で増加し、10月の新エネルギー乗用車全体の販売台数の72%を占めた。一方、プラグインハイブリッド車の販売台数は減少傾向だった。 中国自動車大手の比亜迪、大量受注と「7+4」戦略で純利益5倍超見込む 中国自動車大手の比亜迪(BYD、コード@1211/HK)が新エネルギー自動車で急速な成長を遂げている。「秦」「唐」「宗」「元」「商」といった車種を相次いで投入。今年1~10月の新エネルギー自動車の累計販売台数は4万3100台と、前年同期の3.2倍に膨らんだ。1~9月期の売上高は前年同期比20%増の484億9400万人民元、純利益は前年同期の5倍の19億6000万元だった。同社は15年度の純利益が14年度の5.35~5.81倍になると予測している。14年度の純利益(4億3300万元)をもとに算出すると、15年度の純利益は23億2000万~25億1500万元に達する見通しだ。同社によると、第4四半期(10~12月期)にプラグインハイブリッド車の売れ行きが引き続き急速に伸び、公共交通関連や特用車の分野の受注が大量に納品となる見込み。BYDは今後、新エネルギー車戦略を自家用車と公共交通関連という2つの主軸から全方向の市場開拓へと切り替え、「7+4」戦略に積極的に取り組む。「7+4」戦略とは、自家用車やタクシー、公共バス、環境衛生関連の車両、都市部の商品物流関連、陸上旅客輸送関連、都市部の建築物流関連という従来の7つの領域と、倉庫、鉱山、港、空港という4つの特殊領域をカバーすることを指す。  BYDがプラグインハイブリッド車の分野でトップと称される一方、北京汽車(コード@1958/HK)は純電動車分野の王者だ。北京汽車が発表した統計によると、今年1~9月期の同社の新エネルギー車の販売台数は累計1万1251台と前年同期の12.75倍に達した。2年間連続で純電動車の国内生産販売台数トップを記録し、純電動車の販売台数で世界で4位に入った。同社の事業計画「衛藍事業計画2.0」によると、20年までに新エネルギー車の販売台数を20万台にまで引き上げ、国内市場シェア15%超を達成する計画だ。

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「中国経済は『中進国の罠』にはまるか」丹羽連絡事務所・中島精也氏

話し手:丹羽連絡事務所 チーフエコノミスト 中島精也氏(※本記事は2015年12月10日にQUICKで配信された記事です) 【景況判断】現状(3カ月前比):やや良い 先行き(3カ月後):やや良くなっているGDP予測:15年度0.9% 16年度1.1%【金 利】短期:TIBOR3カ月 0.17%長期:10年物新発国債 0.35%【円 相 場】 125円/1ドル【株 価】22,000円/日経平均*GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%*長短金利、円相場、株価は3カ月後(2016年3月末)の予測値 1.景気見通し:「回復はするものの力強さに欠ける」 本年7-9月期のGDPの伸びは前期比-0.2%、年率-0.8%と2四半期連続のマイナス成長だった。定義によれば日本経済は景気後退入りしたことになる。しかし、需要項目の中身を見ると、在庫投資の成長寄与度が-0.5%と大きくGDPの足を引っ張った。在庫のマイナスを除けば前期比0.3%、年率1.2%成長となるので、これが実感に近い。あまり表面的な数字に振り回されることはない。ただし、今年4月以降の景気指標の動きを振り返ると、正直言って期待はずれであったのは否定できない。 第1に消費の回復が鈍い。雇用は10月の雇用者数が5,704万人で前年同期比1.3%プラスの75万人増。失業率も3.1%の低水準に改善している。それなら労働需給の逼迫で賃金が上昇しなければならないが、そうなっていない。10月の所定内給与の伸びはわずか0.1%、その他の残業代や特別給与が押し上げても、現金給与総額は0.7%の伸びに過ぎない。幸いと言って良いのか、消費増税効果の一巡から物価の伸びが落ち込んだために、実質賃金は0.4%とプラスだが、消費を支えるに迫力不足は否めない。 第2は輸出の弱さである。10月の輸出数量の伸びが-4.6%と、実に本年5月以降プラスの月がない。円安で輸出増を当てにしていた当局は全く当てが外れてしまった。円安でも企業はドル建て価格を下げないので、輸出数量が伸びないのは道理だ。結局、円安による為替差益で輸出企業が潤うだけだった。それならもっと賃上げを、と安倍政権のイライラが増すのみである。 鈍い消費と弱い輸出を考慮すれば、第3に企業が設備投資に慎重な姿勢を取るのはうなづける。結局、安直にマクロ政策で設備投資を刺激しようとしても、成長期待が高まらなければ、企業は投資をしない。アベノミクス第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」をスピード感を持って果敢に実行するしか手はない。景気は緩やかな回復軌道を辿ると思われるが、力強さに欠けるのが問題だ。 2.金融環境:「日米ともに金融政策の大幅な変更は予想し難い」 12月15?16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるが、11月の雇用統計は非農業雇用者数が前月比21万1千人増と好調持続を示したこと、またイエレンFRB議長が「FOMCは年内の利上げが適切だと指摘してきた」と利上げを強く示唆しており、利上げという出口戦略第二幕がスタートするのは間違いない。市場の関心は既に年明け後の利上げペースに移っている。FRBの2つの使命の1つである雇用の最大化は達成されているが、もう1つの物価の安定についてはPCEデフレーターが1.3%の伸びと2%目標から大きく乖離しており、賃金の伸びが加速しない限り連続利上げとは行かない。よって、ドル高の進行は限定的だろう。   FOMC翌日の12月17-18日には日銀政策決定会合が開かれる。これまで黒田総裁は「先行きは好調な企業業績から設備投資も緩やかに増加し、消費も雇用・所得環境の着実な改善で底堅く推移する。期待インフレは長い目で見れば上昇する」と景気、物価共に強気の見方を述べており、額面通りに受け取れば、追加緩和はないということになる。しかし、昨年10月31日に期待インフレの低下を回避するとして、突然の追加緩和(バズーカ2)に踏み切った事例もある。今回、日銀が動かないとなると、むしろ円高に振れるリスクもある。それを回避するため、何らかの小規模な政策変更、例えばJ-REITやETFの購入規模の増大などは心積もりしておいたほうが良さそうだ。いずれにせよ、日米ともに大きな金融政策の変更は考えにくいので、円相場も一気に130円を目指すような劇的な動きは予想し難い。 3.注目点:「中長期的に正念場を迎える中国経済」 中国の今年7~9月期のGDPは前年同期比で6.9%と、ついに7%割れとなった。低調な中国経済が続いている根本原因は地方政府の過剰債務、国有企業の過剰設備、その両者に貸し込んでいる銀行の不良債権にある。振り返ると、リーマンショック後の4兆元の景気刺激策が地方経済に大きな歪みをもたらした。景気対策に必要な資金は地方政府傘下の融資平台が債券を発行して集めた。また、信託会社は購入した融資平台債券を裏付けとした理財商品を組成して投資家に売却した。この悪名高きシャドーバンキングを通じて得られた資金が採算性を度外視して、不動産開発、造船、鉄鋼などの投資に回った結果、地方経済のバランスシート悪化は深刻化し、今後数年間はバランスシート調整で景気回復が望めない。  加えて長期的視点から中国経済がいわゆる「中進国の罠」に直面している点を指摘しなければならない。中国経済の発展は安価で豊富な労働力を武器に先進国から直接投資を呼び込んだことで説明される。国内の労働力の高い伸び、外資に依存した資本ストックの急増、外資に付随する高い技術による生産性の伸びの3つが中国の高成長を実現させた。しかし、一人っ子政策の影響で、今後は労働力の伸びはマイナスへ転換する。外資も2000年比6倍にも跳ね上がった賃金や元高を嫌気して、ミャンマーやベトナムなど新天地に向かっている。そうすると、外資依存の技術や生産性上昇にも限界が出てきた。 これまで多くの後進国が中進国(中所得国)までは発展するが、先進国になれなかったのは、外資依存の成長モデルに安住して、自前の独創的な技術開発に成功しなかったからだ。同じような道を歩んで来た中国は今、正に「中進国の罠」に直面しようとしている。決して楽観視できない。国際競走に勝てるだけの技術開発力を有する国へ変身できるか否か、これからが中国経済の正念場と言えるだろう。 <中島精也氏略歴> 1947年生。72年横浜国立大学経済学部卒、伊藤忠商事入社。日本経済研究センター出向、独ifo経済研究所客員研究員(ミュンヘン駐在)、九州大学経済学部大学院非常勤講師、伊藤忠商事チーフエコノミストなどを経て、2015年4月より現職。著書に「傍若無人なアメリカ経済」(角川新書)、「グローバルエコノミーの潮流」(シグマベイスキャピタル)、「アジア通貨危機の経済学」(共著、東洋経済新報社)。日経産業新聞「眼光紙背」に寄稿、ifo経済研究所”World Economic Survey”のメンバー、PHP総研のグローバルリスク分析プロジェクトのメンバーなど。

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インドネシア、成長の牽引役は「一次産品」から「観光産業」にシフト

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※本記事は2015年12月7日にQUICK端末で配信した記事です。 インドネシア、観光産業に熱意…ビザ免除も 世界の一次産品価格の低迷が続き、最高値の水準まで戻る可能性が低いとみられる中、インドネシアに待望の外貨収入をもたらし、経済成長を促進する産業として、いま、観光産業に関心が集まっている。 この東南アジアの国には数多くの自然の景勝地や個性的な歴史的、文化的に価値の高い遺跡がある。しかし、宣伝不足や現状に対応できない老朽化したインフラ環境、官僚主義といったことが長い間、観光産業の妨げとなってきた。インドネシアには毎年約900万人の外国人観光客が訪れているが、隣国のマレーシアやタイに大きな後れを取っている。マレーシア、タイにはそれぞれ毎年2400万人、2700万人の外国人観光客が訪れている。  ジョコ・ウィドド大統領はこの実績に不満を示し、2019年までに旅行者数を2000万人呼び込むことを目標に、より多くの旅行者を誘致するための複数のプログラムを実行に移した。大統領の最初に動いた計画は、具体的には45カ国・地域から訪れる観光客の査証(ビザ)を免除するもので、この結果、9月の外国人旅行者数は前年同月比で10%近く増加した。  観光省も観光キャンペーンを見直し、国内の観光地を紹介するため、地域のケーブルテレビチャンネルの番組に資金を援助し、その制作にも関わっている。これは、この1年間にマレーシアとシンガポールが考案し、インドネシアやそのほかの東南アジア各国の観光客の誘致に大きく成功した戦略を模倣したものだ。入国管理局も、観光客が短期滞在ビザの延長をより簡単に行えるようサービスを改善すると約束した。 空の旅を快適に…航空インフラ整備続く インドネシア中央銀行のデータによると、第3四半期の観光産業による外貨収入は28億米ドルで、前年同期の23億米ドルに比べて22%増加した。これは17%減少した一次産品の輸出収入とは対照的な結果だ。また、海外で働く380万人のインドネシア人労働者からの送金は16億ドルで横ばいだった。  同国のインフラ未整備に対処するため、運輸省は国内各地にある空港185カ所のうち100カ所の滑走路を2000メートル以上に拡張することを計画している。2019年までにボーイング737-800型狭胴機に対応することが目的だ。イグナシウス・ジョナン運輸相は「我々は空港間の接続を改善し、空の旅を人々にとって手頃なものにしようとしている。しかし、現在の滑走路のままでは実現できない」と話した。ジャカルタ郊外の国際的な玄関口であるスカルノ・ハッタ国際空港やバリ島のングラライ国際空港など26カ所の空港を運営している国営空港運営アンカサ・プラ1とアンカサ・プラ2も、より多くの旅行者に対応するため、空港の能力を拡張している。 低成長脱却の切り札なるか 民間企業も精力的に事業を拡大している。インドネシアの上場旅行大手の1つであるパノラマ・セントラウィサタ(コード@PANR/JK)は先月、ジョグジャカルタのホテル買収を完了したところだ。同社は、訪問する旅行者数を2016年に22万3000人以上に倍増させることを計画しており、ベトナム、ミャンマー、中国、日本といった新しい市場に働き掛ける広告宣伝活動を強化している。同社のブディ・ティルタウィサタ社長は「我々は観光客のビザを免除するという政府の政策を頼りにしている。ビザ免除はインドネシア観光産業の成長を確実にする良い方向への第一歩だ」と話した。  インドネシアの大手不動産複合企業の1つ、リッポー・グループもまた、伝説の生物コモドオオトカゲの生息地である東ヌサトゥンガラ州ラブアンバンジョなどインドネシア東部に新たに旅行者を誘致する目的でホテル、ショッピングモール、病院開発に投資した最初の企業群の1つだ。  バリ、東ヌサトゥンガラ、西ヌサトゥンガラ各州の経済は合わせて、2015年第3四半期に前年同期比で11.8%成長した。これらの地域の成長率は国全体の成長率である4.73%を上回った。観光業がけん引役となった各州は、同国経済にある程度の貢献をしたといえるだろう。  バンバン・ブロドジョネゴロ財務相は「我々は観光という1つの産業により照準を合わせることで、経済成長を実現する上での障害を克服する方法を見つけたのだ」と話している。 【翻訳・編集:NNA】

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米利上げ、2016年は3回程度? 「金融緩和に逆戻り」のびっくり予想も(12月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の12月調査を、12月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者78人が回答、調査期間は12月7~10日)。 今週は15~16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されます。市場関係者の間では「12月の利上げは織り込み済み」として、9年半ぶりとなる利上げ実施はほぼ確実視されています。もはやマーケット参加者の目線は「利上げペース」に向かっており、FOMC後に行われるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見に関心が集まっています。 米利上げ、2016年は3回程度か? 16年末のFFレート予想0.996% 今回のアンケートで「米政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の2016年末、2017年末時点の水準をどう予想しますか」と聞いたところ、単純平均で2016年末が0.996%、2017年末は1.669%となりました。12月の利上げ実施により実質ゼロ金利政策が解除され、直近の利上げ局面での利上げ幅(0.25%)を参考に今後の利上げペースを類推すると、2016年は「3回程度」の利上げが織り込まれている計算になります。同様に2017年は「2~3回」の利上げが見込まれる状況で、過去の利上げ局面と比べても利上げペースは緩やかになるとの見方が強いようです。 16年の世界経済成長率、15年に比べ「回復」予想は44% FRBの利上げペースを占う上で世界経済がどの程度の成長率を達成するかがカギの一つになります。国際通貨基金(IMF)は10月下旬に世界経済成長率見通しを3.1%としましたが、16年は15年見込みと比べどうなると予想するか聞いたところ、「緩やかな回復」が41%で最多となりました。「急回復」の3%を合わせると44%の回答者は3.1%以上の回復とみていることになります。このほか、「緩やかな減速」が33%、「横ばい」が24%となりました。米利上げが新興国経済にマイナスの影響を及ぼすとの懸念も強いだけに、米利上げの予測には米景気自体の強さはもちろん、世界経済全体が上向きの成長軌道を維持するかどうかも引き続き注視する必要がありそうです。 2016年のドル円相場、「横ばい」が44%で最多  米利上げペースや世界経済の見通しを基に「2016年のドル円相場はどう動くと予想しますか」と聞いたところ、「横ばい」との回答が44%で最多となりました。次に「再びドル高基調に戻る」が36%で続き、「ドル安基調に転換する」は19%でした。日米金融政策の方向性の違いを背景に「ドル買い・円売り」を予想する声がある一方、12月のFOMCでの利上げが織り込まれている点や利上げペースも加速することがなければ一段の「ドル買い・円売り」には傾きづらいとみている回答者も少なくないようです。足元では弱めの米経済指標もみられる中、米国経済が年明けにピークアウトし、「次もしくは次の次」の利上げに懸念が生じるという状況に直面した場合のマーケットへのインパクトも気になるところです。 びっくり予想、米国「緩和逆戻り」、日本「安倍首相退陣」「日銀執行部退陣」… いよいよ年の瀬、ということもあり、今回のアンケート調査では「あなたが考える2016年の『びっくり予想』」も書いてもらいました。いろいろな予想が集まっていますが、このうちマーケットに大きく関係しそうなものをいくつか挙げてみましょう。 まず、米国関連では、「FRBが金融緩和姿勢に逆戻り」、「米国が利下げに追い込まれる」といった金利関連のコメントが多数見られました。それだけ市場では金利上昇に対する期待感が高いことの裏返しでもあります。怖いのは、まさにこの利上げ打ち止め、利下げというサプライズが示現した時で、そうなった時は世界的な株安や円買いといった動きが進むかもすれません。2016年は米国最大のイベント、大統領選の年ですが、問題発言の連発で物議を醸しているドナルド・トランプ氏の「米大統領選出」もびっくり予想に連ねました。 一方、日本関連では「安倍首相の退陣」。巷間、よく言われる健康問題も含め、安倍首相が辞任となれば、アベノミクスの頓挫ということで、株価には相当大きなインパクトが及ぶと思われます。ほかには「日銀関連」のびっくりが非常に多く、「政策レジームの変更」、「ターゲット変更」、「テーパリング」、「日銀執行部退陣」などがありました。 中国関連は「中国で政治が混乱」、「中国の現体制権の崩壊」といった政治絡みの回答が多く出ました。新興国関連は「OPEC加盟国内の不協和音の拡大とデフォルト」、「資源大手企業の債務不履行、資源国国債のデフォルト」など、資源絡みが多くみられます。折しも、12月11日に、1バレル=35ドル62セントまで原油価格が下落したことも、資源国経済の先行きに対する懸念を強めています。 最後にマーケット関連としては、「WTI原油価格1バレル当たり30ドル割れ」、「ドル円110円割れ」、「ユーロパリティ」などが挙げられました。が、今の米国経済の状況や利上げのインパクト、さらにいえば、2017年に予定されている日本の消費増税、新興国経済のスローダウンなどを考えると、NYダウや日本株の急落、原油価格の急落、ドル安などは、いずれも「びっくり」というほどのものではなく、ある程度、頭の片隅に織り込んでおいた方が良いのかもしれません。 短期的にはドル高・円安に一服感 毎月定点調査している為替相場見通しによると、短期的にはドル高・円安の流れに頭打ち感が出てきました。金融機関の外為業務担当者の見通し(単純平均)は、1カ月後の12月末のドル/円で単純平均が1ドル=122円91銭と、前回調査(123円25銭)に比べて円高方向へとシフトしました。 一方、6カ月後の2016年5月末の見通しは123円92銭となっています。ただ、新興国の景気低迷と原油価格の急落、米大手ファンドが運用するジャンク債ファンドからの資金引き出し凍結など、リスクオフにつながるニュースが複数、浮上しており、一本調子にドルが買われるムードでもなくなりつつあります。今後、米国の景気動向をはじめとして、新興国経済の動向、原油価格などが、米国の金利にどう影響するのかをチェックしておく必要がありそうです。 今後6カ月程度を想定してもらったところ、注目度は円、米ドル、ユーロのいずれも「金利/金融政策」が、他の要因に比べて高くなっています。なかでも米ドルについては、「金利/金融政策」の注目度が82%と非常に高く、今週行われるFOMCへの関心が高まっていることを示しています。 資源国通貨に先安観台頭 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのような動きをするのかとの設問では、相変わらず米ドルは「上昇」の回答率が高いものの、「上昇」予想から「下落」予想を差し引いたDIは10月のプラス52から徐々に低下し、12月はプラス43になりました。この点からも、米ドルの上昇に頭打ち感が浮上しているのが分かります。DIが大きくマイナス方向に振れた通貨としては、「カナダドル」、「豪ドル」、「NZドル」、「ブラジルレアル」など資源国通貨が目立ちました。いずれも原油価格の下落が通貨安につながる典型例といえます。 とはいえ、長期的には円安に向かうとみるファンド運用担当者は依然として少なくない様子。外貨建て資産の組み入れ比率について、当面のスタンスは「オーバーウエート」が上昇する一方、「ニュートラル」が低下しました。また為替のヘッジ比率についても、「ヘッジ比率を上げる」という回答が低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」という回答が上昇しています。

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中国、株価てこ入れの出口策を段階的に実施 課題は「国家隊」保有株の処分

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※本記事は2015年12月4日にQUICK端末で配信した記事です。 規制緩和は自信の表れ 中国政府は今年7月、株式相場の暴落を阻止するべく「暴力的な相場てこ入れ」を行った。証券会社やファンドに共同で株式購入を命じて相場を下支えするように求めただけでなく、多くの行政的な措置を打ち出した。これらの措置には、新規株式公開(IPO)の一時凍結や証券会社に自己勘定取引で日次ベースでの買い越し(すなわち購入額が売却額を上回ること)を厳令したことなどが含まれる。しかし、最近、これらの「暴力的な相場てこ入れ」措置が次第に撤廃される兆しがある。その背景には、株式相場の先行きに対する中国政府の自信がある。  中国証券監督管理委員会(証監会)はこのほど、IPOの審査・認可を再開して株式市場の資金調達機能を回復すると宣言した。これまでIPO再開は相場下落の口実とされがちだった。市場の資金をIPOに大量に持ち去られることを懸念する投資家がリスク回避で利益確定売りを出すためだ。しかし、今回の証監会のIPO再開宣言に対する投資家の反応は比較的に冷静だった。株式相場は急落せず、中国政府は「暴力的な相場てこ入れ」時の非常措置を徐々に取り消すことに対して自信を十分に強めた。  その後、証監会は「証券会社の自己勘定取引に対する日次ベースの買い越し要求の取り消しに関する通知」を発表。7月の株価暴落期間に規定した、上海総合指数が4500ポイント以下の時に証券会社が日次ベースで買い越しを維持しなければならないとする要求を明確に撤廃した。この出口策が伝わった後も株式市場の動きは冷静で、証監会は市場運営を今後徐々に通常の状態へ戻すことへの自信を強めた。 出口戦略移行は織り込み済み?  数カ月前、中国政府が出口策を準備中との誤報を中国メディアが報じてパニックを引き起こしたことがあった。中国政府はその後、証券会社やその他機関による株式市場での不法な活動の取り締まりに乗り出し、中国政府の出口策という偽りの情報を「悪意」で報じたとして国内の記者を取り調べた。しかし、中国政府の出口への動きが今回再び伝わったものの、金融市場はパニックとならず、人民元建てA株市場の動きは冷静だった。前回と今回の反応がこのように大きく異なったのはなぜか。それは、前回は市場心理が落ち着いておらず中国政府の出口策が伝わりパニックとなったものの、数カ月が過ぎて市場心理が次第に回復し、また政府の多くの景気下支え策を目にして投資家が相場の先行きに対する自信を取り戻したことで、政府の出口策を恐れなくなったためだと思われる。  IPO再開と証券会社の自己勘定取引の日次ベースでの買い越し規定取り消しという、いずれも「暴力的な相場てこ入れ」のヘビー級の行政措置を撤廃することに中国政府は自信を持った。加えて、「場外配資」と中国語で称される、証券会社以外の融資会社からの融資について清算作業が完了したうえ、証券業界の不法な活動の取り締まりで成果が出たことで、株式市場が回復軌道を取り戻すことに対して中国政府は自信を充分に強めたようだ。もっとも、「暴力的な相場てこ入れ」では当初、上海総合指数の4500台回復を目標としていたが、現時点でわずか3500付近にとどまっている。なぜ政府は前倒しで「矛を収めた」のだろうか。それは恐らく、現実的な方法を考慮したためと思われる。中国経済は勢いが衰え、マクロ的な外部環境も芳しくない。加えて米国の利上げが迫る中、無条件で相場を4500台に押し上げることは現実離れしている。一方、株式相場は現在の水準で落ち着きを見せており、比較的に低水準にあるときに徐々に出口策を行えばそれに伴う動揺を減らすことができる。逆にむやみに4500台に押し上げて出口策に動けば多くの利益確定売りを招き、新たな株価暴落の危険を生み出す恐れがある。 ”国家隊”の退路確保がカギ  今なお残る比較的大きな課題は、「暴力的な相場てこ入れ」時に証券会社や国有企業などの「国家隊(国家チーム)」が購入した株式だ。中国株式市場全体の時価総額の6%を占めると推測されるこれらの株式が出口策により市場に売り出されれば、動揺を招く恐れがある。このため、どのようにこれらの株式を売却するかについては慎重に取り組み、ゆっくりと時間をかけて秩序正しく進める必要がある。香港政府が1998年に海外資本の攻撃に対抗して行った株式市場介入を参考にすることも可能だろう。大量の資金を投じて株式を購入し、上場投資信託(ETF、当時の香港では「盈富ファンド」と呼んでいた)の形で証券取引所で売買する方法により機関投資家や市民に売却して持ち株を徐々に減らすという方法である。

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株式持ち合い解消は「株価にプラス」との見方が優勢(12月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の12月調査を、12月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者174人が回答、調査機関は12月1~3日)。 12月1日に日経平均株価が2万円を回復したことにより、株式市場関係者の間ではやや強気のムードが高まりました。3日に欧州中央銀行(ECB)が追加緩和を決めたものの期待外れの緩和内容だったとして欧米株は急落、4日の日経平均も485円安と急落しました。しかし、4日発表された米雇用統計が堅調な内容となり、12月の米利上げが確実視される中で米国株が切り返したことから、日経平均は再び上値追いの雰囲気が広がっています。 年末株高への期待も高まる中、株式市場では金融庁のコーポレートガバナンスに関する有識者会議が、金融機関のみならず事業会社にも株式持ち合いの解消を促すという認識で一致したことが話題となりました。今回の特別調査では、事業会社や金融機関の株式持ち合い解消は進むのか、持ち合い解消に伴う業績や株式市場への影響をどうみるか、株式市場関係者の見方を聞いてみました。 事業会社の株式持ち合い解消「賛成」が大半 株式持ち合いは戦後から1980年代にかけて、日本における特有の資本取引慣習といわれていましたが、90年代に入ってバブル経済が崩壊する過程において、さまざまな弊害が生じてきました。 例えば時価会計が導入されたことから、持ち合い株式の評価が下落したことで、企業は損失を計上せざるを得なくなったこと。銀行はBIS(国際決済銀行)基準によって厳しい自己資本比率が課せられ、株式のようなリスク資産を大量に保有していると、自己資本比率が低下してしまうリスクにさらされること。そもそも持ち合いをすることによって、企業のグループ化、系列化が強固になり、閉鎖的なビジネス慣習が横行することなどが、その弊害といっても良いでしょう。 今回のアンケート調査でも「事業会社の株式持ち合い解消は必要だと思いますか」という質問に対して、「できれば解消した方がいい」が64%で最多となり、次に「早期に解消すべき」が22%となり、表現の強弱はあるものの、株式持ち合い解消に賛成する声が全体の86%を占めました。 ただ、「事業会社の株式持ち合い解消は実現すると思いますか」という問いに対しては、「ほとんど解消する」がわずか2%で、「ある程度解消する」が85%に上りました。理想を言えば株式持ち合いは解消した方が良いけれども、実際にそれを行うとなると、今までの慣習から難しい面も多々あることを伺わせます。 メガバンクの持ち合い株削減「目標通り実現」は47% 次に金融機関の場合はどうでしょうか。メガバンクは株式持ち合い削減の具体的な目標を公表しましたが、これに関して「実現すると思いますか」という問いに対しては、「目標通りに実現する」が47%、「削減は進むが目標には達しない」が51%となりました。「ほとんど実現しない」は2%にとどまり、中長期には持ち合い解消の流れが進みそうですが、取引関係が深い企業との交渉難航など目標達成に向けては紆余曲折がありそうです。 持ち合い解消は「株価にプラス」5割 株式持ち合い解消が進んだとして、企業業績やマーケットへの影響はどうなるでしょうか。 「株式持ち合い解消が進むと企業業績にどのような影響があると思いますか」という問いに対しては、「収益性が改善する」が38%でしたが、「影響しない」が54%も占めました。企業としては、収益改善につながらないものは後回しにするケースも多いとみられます。株式持ち合い解消はいずれ進んでいくのでしょうが、各企業の経営戦略等をにらみながら、時間のかかる作業になりそうです。 最後に株式市場への影響を聞いたところ、「収益の改善期待により株価上昇」が13%、「コーポレートガバナンスの改善により株価上昇」が36%で、株価上昇期待は合わせて49%となりました。一方、「需給の悪化により株価下落」が23%、「影響しない」が23%となり、株価にとっては積極的にポジティブとみていない市場関係者も少なくないようです。持ち合い解消に伴う需給不安の受け皿として、個人株主の取り込みを積極化する必要があるとの声もあります。今後の企業の動きに関心が集まります。 外国人投資家の日本株買いに期待感 日経平均株価が2万円台を回復する過程において、株式市場関係者のマーケットに対する見方は強気に転じました。 1カ月後の日経平均株価予想は、11月調査の1万9184円から大幅に上振れし、12月調査では2万48円になりました。半年後にかけても上昇予想で、2016年5月末は2万597円と予想されています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、このところは一貫して「景気・企業業績」が最も高く、上昇傾向が続いています。新興国の成長スローダウンを受け、日本企業の業績にも影響が及ぶと見られているだけに、2016年3月期決算の行方などが、これから一段と注目されてきそうです。 また、今後6カ月を想定して、注目される投資主体としては、外国人投資家の動向に対する注目度が再び高まっています。ちなみに外国人投資家は、株式市場に及ぼすインパクトの度合いを見る指数(50以上がプラスの影響、50以下はマイナスの影響)も上昇しており、10月調査では51.6でしたが、12月調査では63.8まで上昇してきました。今後は外国人投資家の主導のもと、年末に向けての日経平均の上昇に期待感が広がっているようです。 国内機関投資家の投資スタンスは引き続き慎重 国内の資産運用担当者71人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が11月調査の10%から5%に低下する一方、「ニュートラル」や「ややアンダーウエート」が微増となりました。 また、当面のスタンスについては、「かなり引き上げる」、「やや引き上げる」がともに低下。「現状を維持する」、「やや引き下げる」、「かなり引き下げる」が、それぞれ増えました。外国人主導の年末株高への期待が高まる一方、12月に入ってからの株価上昇を見て、国内勢はやや慎重姿勢が目立ってきています。

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