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中国、エコカー普及へ優遇策相次ぐ 比亜迪など急成長も、目標に遠く

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。※本記事は2015年12月11日にQUICK端末で配信した記事です。 目標台数達成に向け新政策でテコ入れも 中国が新エネルギー自動車の発展に力を入れている。2009年に発表した「自動車産業の調整と振興計画」で、新エネルギー自動車市場の発展に向けて3年間で取り組む目標と措置を打ち出していた。すなわち、11年までに純電動やプラグインハイブリッド、一般型ハイブリッドなど新エネルギー自動車の年間生産能力を50万台にまで引き上げ、乗用車全体の販売台数に占める新エネルギー自動車の割合を5%前後にするという目標だ。しかし、11年の中国自動車市場の総販売台数は1850万台。このうち5%に相当する台数は92万5000台だが、同年の中国の新エネルギー自動車の生産台数は8368台、販売台数は8159台と、目標数値から遠くかけ離れている。  新エネルギー自動車産業の発展を加速させるため、中国国務院(政府)弁公庁(事務局)は14年に「新エネルギー自動車の活用・普及の加速に関する指導意見」を発表、新エネルギー自動車産業の発展に向けて全面的で系統化されたガイドラインを提示した。その後、新エネルギー自動車に関する奨励策や支援策を相次いで公布。今年について言えば、「2016~2020年新エネルギー自動車の活用・普及の財政支援策に関する通知」「省エネ、新エネルギー使用の車両・船舶に対する車両・船舶税の優遇策に関する通知」「電動自動車の充電インフラ設備建設の加速に関する指導意見」など、ほぼ毎月のように新たな政策が打ち出されている。 純電動車の売れ行き好調…新エネルギー車全体では販売量過去最多も 主要都市で相次いだ新エネルギー自動車の購入制限の撤廃、及び新エネルギー自動車の購入補助などの優遇政策を受け、今年に入り中国の新エネルギー自動車市場は飛躍的に拡大した。中国自動車工業協会のデータによると、新エネルギー自動車の1~10月期の生産台数は18万1200台と前年同期の3.7倍に、販売台数は17万1100台と同3.9倍に増加した。現時点の市場統計に基づく今年の販売台数は25万台前後に達する見込みだ。米国の今年の新エネルギー自動車の予測販売台数は18万台であり、中国は販売台数で米国を抜き世界最大の新エネルギー自動車市場となるもようである。 しかし、中国の今年の新エネルギー自動車販売台数は同国政府が12年に制定した目標から依然としてかけ離れている。中国国務院は12年6月発表の「省エネと新エネルギー自動車産業の発展計画(2012-2020年)」の中で、純電動車とプラグインハイブリッド車の累計生産販売台数を15年までに50万台に、生産能力を20年までに200万台に、そして同年までに累計生産販売台数を500万台超に、それぞれ増やすという主な市場目標を明確に掲げた。この目標達成に向けて、今後さらに多くの奨励策や支援策が発表されることになるだろう。 現在、中国で販売されている新エネルギー自動車の車種は数十種類、主な車種にそれぞれ10種類以上のモデルがある。テスラ・モーターズ(コード@TSLA/U)やトヨタ(7203)など日米のブランド以外は大半が国産だ。中国の自動車関連の調査機関である全国乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計によると、新エネルギー乗用車の販売台数は10月に2万1375台と前年同月の4.1倍に達して過去最多を記録した。今年1~10月の累計販売台数は11万600台だった。このうち純電動車は累計6万8300台、プラグインハイブリッド車は同4万6600台だった。純電動車の販売台数は3カ月連続で増加し、10月の新エネルギー乗用車全体の販売台数の72%を占めた。一方、プラグインハイブリッド車の販売台数は減少傾向だった。 中国自動車大手の比亜迪、大量受注と「7+4」戦略で純利益5倍超見込む 中国自動車大手の比亜迪(BYD、コード@1211/HK)が新エネルギー自動車で急速な成長を遂げている。「秦」「唐」「宗」「元」「商」といった車種を相次いで投入。今年1~10月の新エネルギー自動車の累計販売台数は4万3100台と、前年同期の3.2倍に膨らんだ。1~9月期の売上高は前年同期比20%増の484億9400万人民元、純利益は前年同期の5倍の19億6000万元だった。同社は15年度の純利益が14年度の5.35~5.81倍になると予測している。14年度の純利益(4億3300万元)をもとに算出すると、15年度の純利益は23億2000万~25億1500万元に達する見通しだ。同社によると、第4四半期(10~12月期)にプラグインハイブリッド車の売れ行きが引き続き急速に伸び、公共交通関連や特用車の分野の受注が大量に納品となる見込み。BYDは今後、新エネルギー車戦略を自家用車と公共交通関連という2つの主軸から全方向の市場開拓へと切り替え、「7+4」戦略に積極的に取り組む。「7+4」戦略とは、自家用車やタクシー、公共バス、環境衛生関連の車両、都市部の商品物流関連、陸上旅客輸送関連、都市部の建築物流関連という従来の7つの領域と、倉庫、鉱山、港、空港という4つの特殊領域をカバーすることを指す。  BYDがプラグインハイブリッド車の分野でトップと称される一方、北京汽車(コード@1958/HK)は純電動車分野の王者だ。北京汽車が発表した統計によると、今年1~9月期の同社の新エネルギー車の販売台数は累計1万1251台と前年同期の12.75倍に達した。2年間連続で純電動車の国内生産販売台数トップを記録し、純電動車の販売台数で世界で4位に入った。同社の事業計画「衛藍事業計画2.0」によると、20年までに新エネルギー車の販売台数を20万台にまで引き上げ、国内市場シェア15%超を達成する計画だ。

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「中国経済は『中進国の罠』にはまるか」丹羽連絡事務所・中島精也氏

話し手:丹羽連絡事務所 チーフエコノミスト 中島精也氏(※本記事は2015年12月10日にQUICKで配信された記事です) 【景況判断】現状(3カ月前比):やや良い 先行き(3カ月後):やや良くなっているGDP予測:15年度0.9% 16年度1.1%【金 利】短期:TIBOR3カ月 0.17%長期:10年物新発国債 0.35%【円 相 場】 125円/1ドル【株 価】22,000円/日経平均*GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%*長短金利、円相場、株価は3カ月後(2016年3月末)の予測値 1.景気見通し:「回復はするものの力強さに欠ける」 本年7-9月期のGDPの伸びは前期比-0.2%、年率-0.8%と2四半期連続のマイナス成長だった。定義によれば日本経済は景気後退入りしたことになる。しかし、需要項目の中身を見ると、在庫投資の成長寄与度が-0.5%と大きくGDPの足を引っ張った。在庫のマイナスを除けば前期比0.3%、年率1.2%成長となるので、これが実感に近い。あまり表面的な数字に振り回されることはない。ただし、今年4月以降の景気指標の動きを振り返ると、正直言って期待はずれであったのは否定できない。 第1に消費の回復が鈍い。雇用は10月の雇用者数が5,704万人で前年同期比1.3%プラスの75万人増。失業率も3.1%の低水準に改善している。それなら労働需給の逼迫で賃金が上昇しなければならないが、そうなっていない。10月の所定内給与の伸びはわずか0.1%、その他の残業代や特別給与が押し上げても、現金給与総額は0.7%の伸びに過ぎない。幸いと言って良いのか、消費増税効果の一巡から物価の伸びが落ち込んだために、実質賃金は0.4%とプラスだが、消費を支えるに迫力不足は否めない。 第2は輸出の弱さである。10月の輸出数量の伸びが-4.6%と、実に本年5月以降プラスの月がない。円安で輸出増を当てにしていた当局は全く当てが外れてしまった。円安でも企業はドル建て価格を下げないので、輸出数量が伸びないのは道理だ。結局、円安による為替差益で輸出企業が潤うだけだった。それならもっと賃上げを、と安倍政権のイライラが増すのみである。 鈍い消費と弱い輸出を考慮すれば、第3に企業が設備投資に慎重な姿勢を取るのはうなづける。結局、安直にマクロ政策で設備投資を刺激しようとしても、成長期待が高まらなければ、企業は投資をしない。アベノミクス第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」をスピード感を持って果敢に実行するしか手はない。景気は緩やかな回復軌道を辿ると思われるが、力強さに欠けるのが問題だ。 2.金融環境:「日米ともに金融政策の大幅な変更は予想し難い」 12月15?16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるが、11月の雇用統計は非農業雇用者数が前月比21万1千人増と好調持続を示したこと、またイエレンFRB議長が「FOMCは年内の利上げが適切だと指摘してきた」と利上げを強く示唆しており、利上げという出口戦略第二幕がスタートするのは間違いない。市場の関心は既に年明け後の利上げペースに移っている。FRBの2つの使命の1つである雇用の最大化は達成されているが、もう1つの物価の安定についてはPCEデフレーターが1.3%の伸びと2%目標から大きく乖離しており、賃金の伸びが加速しない限り連続利上げとは行かない。よって、ドル高の進行は限定的だろう。   FOMC翌日の12月17-18日には日銀政策決定会合が開かれる。これまで黒田総裁は「先行きは好調な企業業績から設備投資も緩やかに増加し、消費も雇用・所得環境の着実な改善で底堅く推移する。期待インフレは長い目で見れば上昇する」と景気、物価共に強気の見方を述べており、額面通りに受け取れば、追加緩和はないということになる。しかし、昨年10月31日に期待インフレの低下を回避するとして、突然の追加緩和(バズーカ2)に踏み切った事例もある。今回、日銀が動かないとなると、むしろ円高に振れるリスクもある。それを回避するため、何らかの小規模な政策変更、例えばJ-REITやETFの購入規模の増大などは心積もりしておいたほうが良さそうだ。いずれにせよ、日米ともに大きな金融政策の変更は考えにくいので、円相場も一気に130円を目指すような劇的な動きは予想し難い。 3.注目点:「中長期的に正念場を迎える中国経済」 中国の今年7~9月期のGDPは前年同期比で6.9%と、ついに7%割れとなった。低調な中国経済が続いている根本原因は地方政府の過剰債務、国有企業の過剰設備、その両者に貸し込んでいる銀行の不良債権にある。振り返ると、リーマンショック後の4兆元の景気刺激策が地方経済に大きな歪みをもたらした。景気対策に必要な資金は地方政府傘下の融資平台が債券を発行して集めた。また、信託会社は購入した融資平台債券を裏付けとした理財商品を組成して投資家に売却した。この悪名高きシャドーバンキングを通じて得られた資金が採算性を度外視して、不動産開発、造船、鉄鋼などの投資に回った結果、地方経済のバランスシート悪化は深刻化し、今後数年間はバランスシート調整で景気回復が望めない。  加えて長期的視点から中国経済がいわゆる「中進国の罠」に直面している点を指摘しなければならない。中国経済の発展は安価で豊富な労働力を武器に先進国から直接投資を呼び込んだことで説明される。国内の労働力の高い伸び、外資に依存した資本ストックの急増、外資に付随する高い技術による生産性の伸びの3つが中国の高成長を実現させた。しかし、一人っ子政策の影響で、今後は労働力の伸びはマイナスへ転換する。外資も2000年比6倍にも跳ね上がった賃金や元高を嫌気して、ミャンマーやベトナムなど新天地に向かっている。そうすると、外資依存の技術や生産性上昇にも限界が出てきた。 これまで多くの後進国が中進国(中所得国)までは発展するが、先進国になれなかったのは、外資依存の成長モデルに安住して、自前の独創的な技術開発に成功しなかったからだ。同じような道を歩んで来た中国は今、正に「中進国の罠」に直面しようとしている。決して楽観視できない。国際競走に勝てるだけの技術開発力を有する国へ変身できるか否か、これからが中国経済の正念場と言えるだろう。 <中島精也氏略歴> 1947年生。72年横浜国立大学経済学部卒、伊藤忠商事入社。日本経済研究センター出向、独ifo経済研究所客員研究員(ミュンヘン駐在)、九州大学経済学部大学院非常勤講師、伊藤忠商事チーフエコノミストなどを経て、2015年4月より現職。著書に「傍若無人なアメリカ経済」(角川新書)、「グローバルエコノミーの潮流」(シグマベイスキャピタル)、「アジア通貨危機の経済学」(共著、東洋経済新報社)。日経産業新聞「眼光紙背」に寄稿、ifo経済研究所”World Economic Survey”のメンバー、PHP総研のグローバルリスク分析プロジェクトのメンバーなど。

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インドネシア、成長の牽引役は「一次産品」から「観光産業」にシフト

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※本記事は2015年12月7日にQUICK端末で配信した記事です。 インドネシア、観光産業に熱意…ビザ免除も 世界の一次産品価格の低迷が続き、最高値の水準まで戻る可能性が低いとみられる中、インドネシアに待望の外貨収入をもたらし、経済成長を促進する産業として、いま、観光産業に関心が集まっている。 この東南アジアの国には数多くの自然の景勝地や個性的な歴史的、文化的に価値の高い遺跡がある。しかし、宣伝不足や現状に対応できない老朽化したインフラ環境、官僚主義といったことが長い間、観光産業の妨げとなってきた。インドネシアには毎年約900万人の外国人観光客が訪れているが、隣国のマレーシアやタイに大きな後れを取っている。マレーシア、タイにはそれぞれ毎年2400万人、2700万人の外国人観光客が訪れている。  ジョコ・ウィドド大統領はこの実績に不満を示し、2019年までに旅行者数を2000万人呼び込むことを目標に、より多くの旅行者を誘致するための複数のプログラムを実行に移した。大統領の最初に動いた計画は、具体的には45カ国・地域から訪れる観光客の査証(ビザ)を免除するもので、この結果、9月の外国人旅行者数は前年同月比で10%近く増加した。  観光省も観光キャンペーンを見直し、国内の観光地を紹介するため、地域のケーブルテレビチャンネルの番組に資金を援助し、その制作にも関わっている。これは、この1年間にマレーシアとシンガポールが考案し、インドネシアやそのほかの東南アジア各国の観光客の誘致に大きく成功した戦略を模倣したものだ。入国管理局も、観光客が短期滞在ビザの延長をより簡単に行えるようサービスを改善すると約束した。 空の旅を快適に…航空インフラ整備続く インドネシア中央銀行のデータによると、第3四半期の観光産業による外貨収入は28億米ドルで、前年同期の23億米ドルに比べて22%増加した。これは17%減少した一次産品の輸出収入とは対照的な結果だ。また、海外で働く380万人のインドネシア人労働者からの送金は16億ドルで横ばいだった。  同国のインフラ未整備に対処するため、運輸省は国内各地にある空港185カ所のうち100カ所の滑走路を2000メートル以上に拡張することを計画している。2019年までにボーイング737-800型狭胴機に対応することが目的だ。イグナシウス・ジョナン運輸相は「我々は空港間の接続を改善し、空の旅を人々にとって手頃なものにしようとしている。しかし、現在の滑走路のままでは実現できない」と話した。ジャカルタ郊外の国際的な玄関口であるスカルノ・ハッタ国際空港やバリ島のングラライ国際空港など26カ所の空港を運営している国営空港運営アンカサ・プラ1とアンカサ・プラ2も、より多くの旅行者に対応するため、空港の能力を拡張している。 低成長脱却の切り札なるか 民間企業も精力的に事業を拡大している。インドネシアの上場旅行大手の1つであるパノラマ・セントラウィサタ(コード@PANR/JK)は先月、ジョグジャカルタのホテル買収を完了したところだ。同社は、訪問する旅行者数を2016年に22万3000人以上に倍増させることを計画しており、ベトナム、ミャンマー、中国、日本といった新しい市場に働き掛ける広告宣伝活動を強化している。同社のブディ・ティルタウィサタ社長は「我々は観光客のビザを免除するという政府の政策を頼りにしている。ビザ免除はインドネシア観光産業の成長を確実にする良い方向への第一歩だ」と話した。  インドネシアの大手不動産複合企業の1つ、リッポー・グループもまた、伝説の生物コモドオオトカゲの生息地である東ヌサトゥンガラ州ラブアンバンジョなどインドネシア東部に新たに旅行者を誘致する目的でホテル、ショッピングモール、病院開発に投資した最初の企業群の1つだ。  バリ、東ヌサトゥンガラ、西ヌサトゥンガラ各州の経済は合わせて、2015年第3四半期に前年同期比で11.8%成長した。これらの地域の成長率は国全体の成長率である4.73%を上回った。観光業がけん引役となった各州は、同国経済にある程度の貢献をしたといえるだろう。  バンバン・ブロドジョネゴロ財務相は「我々は観光という1つの産業により照準を合わせることで、経済成長を実現する上での障害を克服する方法を見つけたのだ」と話している。 【翻訳・編集:NNA】

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米利上げ、2016年は3回程度? 「金融緩和に逆戻り」のびっくり予想も(12月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の12月調査を、12月14日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者78人が回答、調査期間は12月7~10日)。 今週は15~16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されます。市場関係者の間では「12月の利上げは織り込み済み」として、9年半ぶりとなる利上げ実施はほぼ確実視されています。もはやマーケット参加者の目線は「利上げペース」に向かっており、FOMC後に行われるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見に関心が集まっています。 米利上げ、2016年は3回程度か? 16年末のFFレート予想0.996% 今回のアンケートで「米政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の2016年末、2017年末時点の水準をどう予想しますか」と聞いたところ、単純平均で2016年末が0.996%、2017年末は1.669%となりました。12月の利上げ実施により実質ゼロ金利政策が解除され、直近の利上げ局面での利上げ幅(0.25%)を参考に今後の利上げペースを類推すると、2016年は「3回程度」の利上げが織り込まれている計算になります。同様に2017年は「2~3回」の利上げが見込まれる状況で、過去の利上げ局面と比べても利上げペースは緩やかになるとの見方が強いようです。 16年の世界経済成長率、15年に比べ「回復」予想は44% FRBの利上げペースを占う上で世界経済がどの程度の成長率を達成するかがカギの一つになります。国際通貨基金(IMF)は10月下旬に世界経済成長率見通しを3.1%としましたが、16年は15年見込みと比べどうなると予想するか聞いたところ、「緩やかな回復」が41%で最多となりました。「急回復」の3%を合わせると44%の回答者は3.1%以上の回復とみていることになります。このほか、「緩やかな減速」が33%、「横ばい」が24%となりました。米利上げが新興国経済にマイナスの影響を及ぼすとの懸念も強いだけに、米利上げの予測には米景気自体の強さはもちろん、世界経済全体が上向きの成長軌道を維持するかどうかも引き続き注視する必要がありそうです。 2016年のドル円相場、「横ばい」が44%で最多  米利上げペースや世界経済の見通しを基に「2016年のドル円相場はどう動くと予想しますか」と聞いたところ、「横ばい」との回答が44%で最多となりました。次に「再びドル高基調に戻る」が36%で続き、「ドル安基調に転換する」は19%でした。日米金融政策の方向性の違いを背景に「ドル買い・円売り」を予想する声がある一方、12月のFOMCでの利上げが織り込まれている点や利上げペースも加速することがなければ一段の「ドル買い・円売り」には傾きづらいとみている回答者も少なくないようです。足元では弱めの米経済指標もみられる中、米国経済が年明けにピークアウトし、「次もしくは次の次」の利上げに懸念が生じるという状況に直面した場合のマーケットへのインパクトも気になるところです。 びっくり予想、米国「緩和逆戻り」、日本「安倍首相退陣」「日銀執行部退陣」… いよいよ年の瀬、ということもあり、今回のアンケート調査では「あなたが考える2016年の『びっくり予想』」も書いてもらいました。いろいろな予想が集まっていますが、このうちマーケットに大きく関係しそうなものをいくつか挙げてみましょう。 まず、米国関連では、「FRBが金融緩和姿勢に逆戻り」、「米国が利下げに追い込まれる」といった金利関連のコメントが多数見られました。それだけ市場では金利上昇に対する期待感が高いことの裏返しでもあります。怖いのは、まさにこの利上げ打ち止め、利下げというサプライズが示現した時で、そうなった時は世界的な株安や円買いといった動きが進むかもすれません。2016年は米国最大のイベント、大統領選の年ですが、問題発言の連発で物議を醸しているドナルド・トランプ氏の「米大統領選出」もびっくり予想に連ねました。 一方、日本関連では「安倍首相の退陣」。巷間、よく言われる健康問題も含め、安倍首相が辞任となれば、アベノミクスの頓挫ということで、株価には相当大きなインパクトが及ぶと思われます。ほかには「日銀関連」のびっくりが非常に多く、「政策レジームの変更」、「ターゲット変更」、「テーパリング」、「日銀執行部退陣」などがありました。 中国関連は「中国で政治が混乱」、「中国の現体制権の崩壊」といった政治絡みの回答が多く出ました。新興国関連は「OPEC加盟国内の不協和音の拡大とデフォルト」、「資源大手企業の債務不履行、資源国国債のデフォルト」など、資源絡みが多くみられます。折しも、12月11日に、1バレル=35ドル62セントまで原油価格が下落したことも、資源国経済の先行きに対する懸念を強めています。 最後にマーケット関連としては、「WTI原油価格1バレル当たり30ドル割れ」、「ドル円110円割れ」、「ユーロパリティ」などが挙げられました。が、今の米国経済の状況や利上げのインパクト、さらにいえば、2017年に予定されている日本の消費増税、新興国経済のスローダウンなどを考えると、NYダウや日本株の急落、原油価格の急落、ドル安などは、いずれも「びっくり」というほどのものではなく、ある程度、頭の片隅に織り込んでおいた方が良いのかもしれません。 短期的にはドル高・円安に一服感 毎月定点調査している為替相場見通しによると、短期的にはドル高・円安の流れに頭打ち感が出てきました。金融機関の外為業務担当者の見通し(単純平均)は、1カ月後の12月末のドル/円で単純平均が1ドル=122円91銭と、前回調査(123円25銭)に比べて円高方向へとシフトしました。 一方、6カ月後の2016年5月末の見通しは123円92銭となっています。ただ、新興国の景気低迷と原油価格の急落、米大手ファンドが運用するジャンク債ファンドからの資金引き出し凍結など、リスクオフにつながるニュースが複数、浮上しており、一本調子にドルが買われるムードでもなくなりつつあります。今後、米国の景気動向をはじめとして、新興国経済の動向、原油価格などが、米国の金利にどう影響するのかをチェックしておく必要がありそうです。 今後6カ月程度を想定してもらったところ、注目度は円、米ドル、ユーロのいずれも「金利/金融政策」が、他の要因に比べて高くなっています。なかでも米ドルについては、「金利/金融政策」の注目度が82%と非常に高く、今週行われるFOMCへの関心が高まっていることを示しています。 資源国通貨に先安観台頭 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのような動きをするのかとの設問では、相変わらず米ドルは「上昇」の回答率が高いものの、「上昇」予想から「下落」予想を差し引いたDIは10月のプラス52から徐々に低下し、12月はプラス43になりました。この点からも、米ドルの上昇に頭打ち感が浮上しているのが分かります。DIが大きくマイナス方向に振れた通貨としては、「カナダドル」、「豪ドル」、「NZドル」、「ブラジルレアル」など資源国通貨が目立ちました。いずれも原油価格の下落が通貨安につながる典型例といえます。 とはいえ、長期的には円安に向かうとみるファンド運用担当者は依然として少なくない様子。外貨建て資産の組み入れ比率について、当面のスタンスは「オーバーウエート」が上昇する一方、「ニュートラル」が低下しました。また為替のヘッジ比率についても、「ヘッジ比率を上げる」という回答が低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」という回答が上昇しています。

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中国、株価てこ入れの出口策を段階的に実施 課題は「国家隊」保有株の処分

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※本記事は2015年12月4日にQUICK端末で配信した記事です。 規制緩和は自信の表れ 中国政府は今年7月、株式相場の暴落を阻止するべく「暴力的な相場てこ入れ」を行った。証券会社やファンドに共同で株式購入を命じて相場を下支えするように求めただけでなく、多くの行政的な措置を打ち出した。これらの措置には、新規株式公開(IPO)の一時凍結や証券会社に自己勘定取引で日次ベースでの買い越し(すなわち購入額が売却額を上回ること)を厳令したことなどが含まれる。しかし、最近、これらの「暴力的な相場てこ入れ」措置が次第に撤廃される兆しがある。その背景には、株式相場の先行きに対する中国政府の自信がある。  中国証券監督管理委員会(証監会)はこのほど、IPOの審査・認可を再開して株式市場の資金調達機能を回復すると宣言した。これまでIPO再開は相場下落の口実とされがちだった。市場の資金をIPOに大量に持ち去られることを懸念する投資家がリスク回避で利益確定売りを出すためだ。しかし、今回の証監会のIPO再開宣言に対する投資家の反応は比較的に冷静だった。株式相場は急落せず、中国政府は「暴力的な相場てこ入れ」時の非常措置を徐々に取り消すことに対して自信を十分に強めた。  その後、証監会は「証券会社の自己勘定取引に対する日次ベースの買い越し要求の取り消しに関する通知」を発表。7月の株価暴落期間に規定した、上海総合指数が4500ポイント以下の時に証券会社が日次ベースで買い越しを維持しなければならないとする要求を明確に撤廃した。この出口策が伝わった後も株式市場の動きは冷静で、証監会は市場運営を今後徐々に通常の状態へ戻すことへの自信を強めた。 出口戦略移行は織り込み済み?  数カ月前、中国政府が出口策を準備中との誤報を中国メディアが報じてパニックを引き起こしたことがあった。中国政府はその後、証券会社やその他機関による株式市場での不法な活動の取り締まりに乗り出し、中国政府の出口策という偽りの情報を「悪意」で報じたとして国内の記者を取り調べた。しかし、中国政府の出口への動きが今回再び伝わったものの、金融市場はパニックとならず、人民元建てA株市場の動きは冷静だった。前回と今回の反応がこのように大きく異なったのはなぜか。それは、前回は市場心理が落ち着いておらず中国政府の出口策が伝わりパニックとなったものの、数カ月が過ぎて市場心理が次第に回復し、また政府の多くの景気下支え策を目にして投資家が相場の先行きに対する自信を取り戻したことで、政府の出口策を恐れなくなったためだと思われる。  IPO再開と証券会社の自己勘定取引の日次ベースでの買い越し規定取り消しという、いずれも「暴力的な相場てこ入れ」のヘビー級の行政措置を撤廃することに中国政府は自信を持った。加えて、「場外配資」と中国語で称される、証券会社以外の融資会社からの融資について清算作業が完了したうえ、証券業界の不法な活動の取り締まりで成果が出たことで、株式市場が回復軌道を取り戻すことに対して中国政府は自信を充分に強めたようだ。もっとも、「暴力的な相場てこ入れ」では当初、上海総合指数の4500台回復を目標としていたが、現時点でわずか3500付近にとどまっている。なぜ政府は前倒しで「矛を収めた」のだろうか。それは恐らく、現実的な方法を考慮したためと思われる。中国経済は勢いが衰え、マクロ的な外部環境も芳しくない。加えて米国の利上げが迫る中、無条件で相場を4500台に押し上げることは現実離れしている。一方、株式相場は現在の水準で落ち着きを見せており、比較的に低水準にあるときに徐々に出口策を行えばそれに伴う動揺を減らすことができる。逆にむやみに4500台に押し上げて出口策に動けば多くの利益確定売りを招き、新たな株価暴落の危険を生み出す恐れがある。 ”国家隊”の退路確保がカギ  今なお残る比較的大きな課題は、「暴力的な相場てこ入れ」時に証券会社や国有企業などの「国家隊(国家チーム)」が購入した株式だ。中国株式市場全体の時価総額の6%を占めると推測されるこれらの株式が出口策により市場に売り出されれば、動揺を招く恐れがある。このため、どのようにこれらの株式を売却するかについては慎重に取り組み、ゆっくりと時間をかけて秩序正しく進める必要がある。香港政府が1998年に海外資本の攻撃に対抗して行った株式市場介入を参考にすることも可能だろう。大量の資金を投じて株式を購入し、上場投資信託(ETF、当時の香港では「盈富ファンド」と呼んでいた)の形で証券取引所で売買する方法により機関投資家や市民に売却して持ち株を徐々に減らすという方法である。

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株式持ち合い解消は「株価にプラス」との見方が優勢(12月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の12月調査を、12月7日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者174人が回答、調査機関は12月1~3日)。 12月1日に日経平均株価が2万円を回復したことにより、株式市場関係者の間ではやや強気のムードが高まりました。3日に欧州中央銀行(ECB)が追加緩和を決めたものの期待外れの緩和内容だったとして欧米株は急落、4日の日経平均も485円安と急落しました。しかし、4日発表された米雇用統計が堅調な内容となり、12月の米利上げが確実視される中で米国株が切り返したことから、日経平均は再び上値追いの雰囲気が広がっています。 年末株高への期待も高まる中、株式市場では金融庁のコーポレートガバナンスに関する有識者会議が、金融機関のみならず事業会社にも株式持ち合いの解消を促すという認識で一致したことが話題となりました。今回の特別調査では、事業会社や金融機関の株式持ち合い解消は進むのか、持ち合い解消に伴う業績や株式市場への影響をどうみるか、株式市場関係者の見方を聞いてみました。 事業会社の株式持ち合い解消「賛成」が大半 株式持ち合いは戦後から1980年代にかけて、日本における特有の資本取引慣習といわれていましたが、90年代に入ってバブル経済が崩壊する過程において、さまざまな弊害が生じてきました。 例えば時価会計が導入されたことから、持ち合い株式の評価が下落したことで、企業は損失を計上せざるを得なくなったこと。銀行はBIS(国際決済銀行)基準によって厳しい自己資本比率が課せられ、株式のようなリスク資産を大量に保有していると、自己資本比率が低下してしまうリスクにさらされること。そもそも持ち合いをすることによって、企業のグループ化、系列化が強固になり、閉鎖的なビジネス慣習が横行することなどが、その弊害といっても良いでしょう。 今回のアンケート調査でも「事業会社の株式持ち合い解消は必要だと思いますか」という質問に対して、「できれば解消した方がいい」が64%で最多となり、次に「早期に解消すべき」が22%となり、表現の強弱はあるものの、株式持ち合い解消に賛成する声が全体の86%を占めました。 ただ、「事業会社の株式持ち合い解消は実現すると思いますか」という問いに対しては、「ほとんど解消する」がわずか2%で、「ある程度解消する」が85%に上りました。理想を言えば株式持ち合いは解消した方が良いけれども、実際にそれを行うとなると、今までの慣習から難しい面も多々あることを伺わせます。 メガバンクの持ち合い株削減「目標通り実現」は47% 次に金融機関の場合はどうでしょうか。メガバンクは株式持ち合い削減の具体的な目標を公表しましたが、これに関して「実現すると思いますか」という問いに対しては、「目標通りに実現する」が47%、「削減は進むが目標には達しない」が51%となりました。「ほとんど実現しない」は2%にとどまり、中長期には持ち合い解消の流れが進みそうですが、取引関係が深い企業との交渉難航など目標達成に向けては紆余曲折がありそうです。 持ち合い解消は「株価にプラス」5割 株式持ち合い解消が進んだとして、企業業績やマーケットへの影響はどうなるでしょうか。 「株式持ち合い解消が進むと企業業績にどのような影響があると思いますか」という問いに対しては、「収益性が改善する」が38%でしたが、「影響しない」が54%も占めました。企業としては、収益改善につながらないものは後回しにするケースも多いとみられます。株式持ち合い解消はいずれ進んでいくのでしょうが、各企業の経営戦略等をにらみながら、時間のかかる作業になりそうです。 最後に株式市場への影響を聞いたところ、「収益の改善期待により株価上昇」が13%、「コーポレートガバナンスの改善により株価上昇」が36%で、株価上昇期待は合わせて49%となりました。一方、「需給の悪化により株価下落」が23%、「影響しない」が23%となり、株価にとっては積極的にポジティブとみていない市場関係者も少なくないようです。持ち合い解消に伴う需給不安の受け皿として、個人株主の取り込みを積極化する必要があるとの声もあります。今後の企業の動きに関心が集まります。 外国人投資家の日本株買いに期待感 日経平均株価が2万円台を回復する過程において、株式市場関係者のマーケットに対する見方は強気に転じました。 1カ月後の日経平均株価予想は、11月調査の1万9184円から大幅に上振れし、12月調査では2万48円になりました。半年後にかけても上昇予想で、2016年5月末は2万597円と予想されています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、このところは一貫して「景気・企業業績」が最も高く、上昇傾向が続いています。新興国の成長スローダウンを受け、日本企業の業績にも影響が及ぶと見られているだけに、2016年3月期決算の行方などが、これから一段と注目されてきそうです。 また、今後6カ月を想定して、注目される投資主体としては、外国人投資家の動向に対する注目度が再び高まっています。ちなみに外国人投資家は、株式市場に及ぼすインパクトの度合いを見る指数(50以上がプラスの影響、50以下はマイナスの影響)も上昇しており、10月調査では51.6でしたが、12月調査では63.8まで上昇してきました。今後は外国人投資家の主導のもと、年末に向けての日経平均の上昇に期待感が広がっているようです。 国内機関投資家の投資スタンスは引き続き慎重 国内の資産運用担当者71人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりオーバーウエート」が11月調査の10%から5%に低下する一方、「ニュートラル」や「ややアンダーウエート」が微増となりました。 また、当面のスタンスについては、「かなり引き上げる」、「やや引き上げる」がともに低下。「現状を維持する」、「やや引き下げる」、「かなり引き下げる」が、それぞれ増えました。外国人主導の年末株高への期待が高まる一方、12月に入ってからの株価上昇を見て、国内勢はやや慎重姿勢が目立ってきています。

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2016年の日経平均、15年高値超え予想6割に 先行き景況感は悪化(12月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(11月18日~12月1日調査分、上場企業425社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス17となり、前月調査から1ポイント改善しました。一方、非製造業DIは4ポイントの悪化となり、結果、金融を含む全産業DIは2ポイント悪化しました。将来の業況を示す「先行き」の業況判断DIは製造業、非製造業、全産業そろって悪化しました。 先行き景況判断が製造業・非製造業ともに悪化 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性も見られるため、市場関係者にも注目されています。 2015年のQUICK短観をみると、全産業の業況判断DIは、1月がプラス20となった後、8月にはプラス35まで上昇しましたが、それをピークに下降し始め、直近の12月はプラス26となっています。12月は製造業がプラス17と1ポイント改善したものの、非製造業がプラス32と4ポイント悪化した結果、全産業ベースで2ポイントの悪化となりました。 後述しますが、2016年の日経平均株価の見通しについては、上値のメドについてやや慎重な雰囲気も垣間見えます。それは、QUICK短観にも表れており、企業の業況判断は強弱入り混じり、方向感が定まらない状態です。株価の上昇と共に景気拡大局面も2016年に入れば4年目に突入するとあって、そろそろ天井というムードが広まってもおかしくありません。 グローバルにみると、米国の景気は比較的堅調ですが、新興国では中国経済の成長率低下や原油など資源価格安の影響もあって、成長期待が後退しています。それが日本経済に及ぼす影響は無視できません。当面、日本経済の先行きについては、慎重な見方が広がる可能性も高そうです。 仕入価格の上昇はやや一服 生産・営業用設備の現状については、全産業ベースで過剰から不足を差し引いたDIがマイナス2%となりました。製造業はプラス3%でやや過剰気味ですが、非製造業はマイナス7%と不足感のある状況が続いています。ちなみに、1月調査で非製造業の生産・営業用設備DIはマイナス3%でした。 雇用人員の現状については、やはり全産業ベースでみると、1月調査がマイナス21%だったのが、今回12月調査ではマイナス31%まで拡大しています。製造業、非製造業ともに雇用人員の不足感は強いものの、特に非製造業における雇用人員の不足感は高水準の状態にあります。 販売価格は金融を除く全産業ベースで、上昇から下落を差し引いた12月のDIがマイナス1%と4月調査以来、8カ月ぶりにマイナスに転じました。7月調査ではプラス5%と2014年4月調査(プラス6%)以来の高水準となっていましたが、その後は販売価格が下落したという回答比率が高まっています。 仕入価格の現状については、上昇から下落を差し引いたDIが、12月調査ではプラス19%と前月調査から1ポイント低下しました。内訳は上昇が25%、下落は6%。1月調査では上昇が38%、下落が5%で、差し引き33%のプラスでした。この1年の傾向をみると、下落したという回答率は大きく変わらなかったものの、上昇したという回答率が低下したことにより、仕入価格DIは低下する形となっています。円安の一服感などを受けて仕入価格の上昇にはやや歯止めがかかってきたと思われます。 2016年の日経平均、15年高値「超える」6割 今月のQUICK短観では、以下の2点に関する特別調査を行いました。ひとつは「2016年の日経平均株価の高値見通し」について、もうひとつは「政府が掲げる子育て支援強化などに伴う企業の取り組み」についてです。 日経平均株価は2012年以降、3年連続で上昇。そして2015年は12月3日の終値時点で14.26%の上昇となっており、4年連続のプラスが濃厚となっています。3日の日経平均は1万9939円。今年の高値は現時点で6月24日に付けた2万868円です。 2016年の日経平均について、最も高いところでどの水準まで上昇すると予想するか聞いたところ、「2万1000円台~2万2000円台」との回答が46%を占めました。「2万3000円台~2万4000円台」(12%)、「2万5000円以上」(4%)を合わせると6割以上が15年の高値(3日時点、2万868円)を上回るとみていることになります。 一方、今年の高値を超えられないという回答は37%。この水準を高いとみるか低いとみるか意見が分かれるところですが、上述したように景気の先行きに警戒ムードが広がっていることに加え、2016年3月期決算で減益予想の企業がみられる点、2016年は製造業の業績上振れをけん引してきた円安効果が薄まることなど、株価の見通しを巡っては不透明要因も多いため、やや先行きを慎重にみている面もあるようです。 ちなみに、日経平均がこのまま4年連続上昇となれば、2003~2006年(4年連続)以来の記録となります。そして、2016年も年間ベースで上昇することになれば、1980年代に達成して以来の上昇記録となります。2016年は日経平均の高値水準も関心事のひとつですが、「1980年代以来の5年連続上昇」という記録を打ち立てられるかという点も注目です。 子育て支援、企業側の注力ポイント「業務上の融通面の支援」が5割強 次に「政府は子育てや介護などへの支援策を強化する方針を示しましたが、貴社が従業員に対し、最も力を入れている方針は何ですか」との質問に対し、最も多かった回答は「休暇取得や職場復帰などを円滑に行える業務上の融通面の支援」で55%を占めました。「社員同士が協力し合えるための社内教育といった意識面の支援」は13%、「手当てなど金銭面での支援」は10%、「介護施設や託児施設などの設置・情報提供・紹介といった設備面での支援」は4%にとどまりました。 手当てのような直接金銭面で支援する方策や、介護施設・託児施設の設置などは、企業にとって経営コストの負担を重くするせいか、多くの企業は、休暇取得や職場復帰などを円滑に行える業務上の融通面の支援に力を入れているという結果になりました。 将来の人口減少を最小限に抑えるためには、働きながら子育てが出来る環境を整える必要があります。最近は親の介護を機に会社を退職するケースも増えており、企業としては有能な社員の流出を防ぐためにも、介護をしながら働ける制度設計が求められています。それだけに「特に力を入れている方策はない」と回答した企業が18%も占めている現状は、今後、改善される必要がありそうです。

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業績期待指数は3カ月連続悪化でマイナス転落..素材産業への懸念強い

業績期待指数は3カ月連続の悪化、ついにマイナスに転じる 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(11月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス3と、前月に比べて6ポイント悪化しました。DIの悪化は3か月連続で、マイナスに転じるのは2014年10月以来、約1年ぶりです。 DIがマイナス幅に転じたことは、アナリストによる業績見通しが下方修正優勢に転じたことを表します。それだけ、株式市場の業績期待が弱まりつつあることを意味しています。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 「過去最高益水準」の企業業績に物足りなさを感じる市場 今年6月のプラス17をピークにして、徐々に低下傾向をたどってきたQUICKコンセンサスDIが、ついにマイナスになりました。 確かに10月の日本の完全失業率は3.1%で、20年ぶりの低水準になりましたが、7~9月の国内総生産は2期連続のマイナスとなり、国内消費の改善も力強さに欠ける状況です。また、視点をグローバルに向けると、米国経済は堅調ですが、新興国経済の成長率が中国を中心に急減速しており、それが企業業績の足かせになっています。 メディアで報じられている通り、今期通期の企業業績は過去最高益水準にありますが、アナリストの業績予想が下方修正優勢ということは、市場の期待が高すぎたと考えられそうです。来期以降の企業業績についても弱気の見方が広まっており、今後の株価に及ぼす影響が懸念されます。 製造業のDIは前月のマイナス12からマイナス18へ悪化し、2013年1月以来の水準に落ち込んでいます。9月以降、製造業の業績期待が大きく後退しているのが分かります。市場では外需への不安から「鉄鋼」(マイナス43→マイナス100)や「機械」(マイナス24→マイナス34)といった世界景気に敏感な業種がマイナス幅を広げたほか、「化学」がプラス幅を縮めました(プラス33→プラス8)。鉄鋼の急激な悪化は、中国をはじめとする新興国経済のスローダウンが、業績に響いているものと思われます。 DI全体を下支えしてきた非製造業もプラス20からプラス15に悪化しました。 資源関連銘柄の業績下方修正懸念強まる 3か月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。3か月前比で純利益の下方修正率が最も大きかったのは、不正会計問題が発覚した東芝でした。神戸製鋼をはじめ、出光興産、JXホールディングス、三井金属など、鉄・非鉄および資源関連の業績下方修正が顕著という結果になりました。 まず、予想純利益率の上方修正率(3か月前比)の高かった上位5銘柄です。 銘柄名 修正率 大林組(1802) 49.85% トヨタ紡織(3116) 41.20% アダストリア(2685) 39.86% 鹿島建設(1812) 35.48% ヤマダ電機(9831) 34.45% 一方、下方修正率ランキングの上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 東芝(6502) ▲78.09% 出光興産(5019) ▲68.33% 神戸製鋼(5406) ▲64.44% JXホールディングス(5020) ▲63.25% 三井金属(5706) ▲60.61%

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インドネシア、経済特区への優遇税制で投資呼び込む 財政再建に課題も

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB OSK証券インドネシアのヘルミー・クリスタント氏がレポートします。この記事は11月24日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。   先月に続き新たに景気浮揚策打ち出す…SEZへの投資呼び込みに積極的 インドネシア政府は、経済政策パッケージをさらに進めるため、主要3項目からなる景気浮揚策の第6弾を打ち出した。最大25年間のタックスホリデー(一時免税措置)をはじめとする経済特区(SEZ、インドネシア語ではKEK)による景気対策などは、海外からの投資を呼び込もうとする姿勢を明確にした。 ■経済特区への優遇税制 インドネシアのSEZは現在8カ所。SEZにはそれぞれ重点産業があり、主要な資源や人材を得られる地域に設置されている。インドネシア政府は、経済刺激策第6弾に、SEZへの投資を呼び込むためタックスホリデーを盛り込んだ。1兆ルピアを超える投資については、10~25年に渡り、法人税の20%~100%を免除、5000億~1兆ルピアまでの投資については、免税率は同水準のまま、期間を5~15年とする方針だ。投資が各SEZの重点分野以外を対象としている場合も、6年間にわたって30%のタックス・アローワンス(一時減税措置)を付与する。これらすべての税制優遇措置に加え、SEZに対してすでに導入されている輸入税、付加価値税(VAT)、奢侈(しゃし)税の免税措置も継続する。政府はまた、SEZ内で外国人の不動産購入を認める方針だ。一連の政策は投資先としてのインドネシアの魅力を高めるだろう。 ■水供給に関する規定の見直し インドネシア政府は水供給の規定を見直す方針だ。水供給事業は今後、公共事業化される計画。水供給事業の運営権や認可付与などの権限はすべて中央政府に返還される。これは新規投資の誘致と矛盾するように思われるが、これらの変更は憲法裁判所が2月に下し水資源法『2004年第7号』を無効とする判決を順守するために必要な措置だ。ただ、インドネシア政府は、既に水資源利用に関する事業認可を所有している民間企業については、新たな規定が制定されるまで事業を継続できるようにする考えを明らかにしている。それでも、今後、規定がより強化される可能性もあることから、インドフードCBP(@ICBP/JK)やユニリーバ・インドネシア(@UNVR/JK)といった消費財企業のボトル入り飲料水事業にマイナスの影響が及ぶ可能性がある。 ■手続きのさらなる簡略化 政府は、景気浮揚策第1弾に盛り込んだ貿易の規制撤廃をさらに進めるため、薬品とその原料に関する輸入手続きをさらに簡素化する予定だ。手続きに要する時間は1時間未満に短縮される見通し。この規制緩和は、カルベ・ファーマ(@KLBF/JK)やミトラ・クルアルガ(@MIKA/JK)、サラナ・メディタマ・メトロポリタン(@SAME/JK)などの医薬品企業や病院に前向きな影響を与えるはずだ。 経済特区モロタイ島開発…総面積1200ヘクタール、費用は6兆ルピア超見込む ほかに、景気浮揚策第6弾で恩恵を受ける企業としては、カワサン・インダストリ・ジャバベカ(@KIJA/JK)をあげる。同社は現在、タンジュンレスン(バンテン州)とモロタイ島(北マルク州)の2カ所のSEZで開発事業を進めている。開発面積は合わせて2647ヘクタール。KIJAは今年初め、タンジュンレスンのSEZの開発に向け、7社(地場企業3社、海外企業4社)と出資に関する覚書(MOU)を締結した。また、モロタイ島の(SEZ)開発については、台湾の投資企業約20社と提携している。同SEZの開発費用は推定で最大6兆8,000億ルピア、総面積は1200ヘクタール。 インドネシア政府が、SEZの開発をさらに進めるため、インフラ整備に取り組んでいることも好材料とわれわれは考えている。公共事業・国民住宅省のデータによると、8カ所のSEZで予定されているインフラ整備事業は、タンジュンレスンを除き、今年に入札が完了し、発注先が決まった。ただ、(タンジュンレスンについても、)政府はジャカルタ~メラク~タンジュンレスン間を結ぶ有料道路を建設する計画を表明している。延長80キロメートルとなる同道路の建設は、入札から3年以内の完工を見込んでおり、来年には着工する必要がある。 予想下回るGDP成長率の流れはいつまで? ■7~9月期のGDP成長率、予想を下回る インドネシアの中央統計局が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.73%と、4~6月期(4.67%)をわずかに上回った。ただ、中央銀行の予測(4.85%)と市場予測(4.80%)には届かず、依然として経済回復の鈍さが浮き彫りになった。これを受け、インドネシア政府がより効果の高い景気刺激策対策を打ち出すと見込んでいる。同国政府は現在、財政赤字リスクの拡大に直面している。税収が目標を下回り、10月中旬時点で57%にしか達していないことが主な要因だ。10~12月期に財政支出が拡大する見通しであることから、財政赤字幅が今後拡大する可能性は高い。このため、インドネシア政府は当初の支出目標を達成することはできないかもしれないが、特に今年前半の予算執行ペースが鈍かったこともあり、それはある程度予想されていたことだといえる。より重要なことは、10~12月期に支出パターンが目に見える形で改善されることだ。支出パターンの改善は支出目標の達成よりも重要なことであり、今後のインフラ開発事業の推進に関して政府への信頼感を高める。当社のエコノミストは、インドネシア経済は2015年下半期に前年同期比で4.9%の成長を達成し、前年同期比4.7%だった2015年上半期よりも成長が加速すると予測している。この予想は、政府支出が堅調に伸び、投資が順調に進むことを前提としている。通年では、(これまでの)実質GDP(成長率)予測を維持する。われわれは、(インドネシアの)2015年の成長率を4.8%と予測し、2014年の5%を下回るとみている。【翻訳・編集:NNA】

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外債運用に対して慎重姿勢強まる(11月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の11月調査を、11月30日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者148人が回答、調査機関は11月24~26日)。日本の長期金利が0.3%前後で推移するなど低金利環境が長期にわたり、これまで国内投資家の外貨建て投資が拡大してきましたが、足元で外債投資に絡んで必要となるドル調達のコストが上昇しています。今回の特別調査では、ドル調達コスト上昇の要因や各運用商品の投資への影響などについて、債券市場関係者の見方を聞いてみました。 ドル調達コスト上昇、「需給要因」との見方が約8割 ドル調達コストが上昇している要因について聞いたところ、「需給(ドル資金需要増加)」との回答が約8割を占めました。マーケット関係者の間では長らく米利上げ開始時期を巡る思惑が渦巻いていましたが、10月の米雇用統計が堅調な結果となったことを受け、「12月で決まり」との雰囲気が広がっています。さらには、フランスのパリで起きた同時多発テロや、世界的にみた先行き景気の不透明感などを背景にドル需要の高まりが意識されているようです。次に多かった回答は「金融規制」との見方で19%でした。 ドルベットの動きはさほど強くない? こうした状況の中、「あなたが運用担当者なら」という前提で、運用商品の投資額を今後どのように変化させるかという点を質問しました。 外国債券を買う際に為替の先物予約などを組み合わせることにより為替変動リスクをとらない債券投資「為替ヘッジ付き外債」の投資額は、「減少」が46%で最多となりました。ただ、「変更なし」が36%、「増加」が17%となり、現状では為替ヘッジ付き外債の投資額を大きく減らそうという勢いは感じられません。 一方、「オープン外債」については、「増加」が46%でしたが、「変更なし」も40%を占めました。「円債」の投資額については、「減少」がわずか27%で、「変更なし」が59%を占めました。「待機資金」については、「変更なし」が54%で最多となりましたが、「増加」が34%を占め、「減少」の13%を上回りました。 これらの数字は、グローバルな債券マーケットへの投資姿勢についてやや様子見ムードが強く、為替のポジションは大きくドル高に傾ける環境でもない、ということを物語っているようにみえます。本来、ドル高にベットする傾向が強まれば、円債は売られて、オープン外債のポジションを高めるなどの傾向が明確に出てもおかしくありません。ただ、米経済が利上げを継続的に受け入れられるほど力強い拡大をみせるのかとの点に慎重な声があることも事実です。12月に利上げが実施された場合の金融市場の混乱への警戒感などもあり、ドル高トレンドがどの程度続くのかという点には懐疑的な見方もあるようです。 注目の投資主体は外国人投資家 毎月定例の相場見通しの調査では、新発10年国債の中期の想定利回りは、10月調査分に比べて下方にシフトしました。1カ月後の想定利回りは0.322%と同水準でしたが、3カ月後の2016年2月末、6カ月後の同年5月末については、それぞれ0.343%、0.379%と10月調査分(0.348%、0.387%)に比べて低下しています。米国では利上げムードが高まり、12月の利上げがほぼ確実視されていますが、日本の金利が正常化するには、まだ時間がかかりそうです。 今後、6カ月間を想定して、債券価格に影響を及ぼす要因として注目されているものは、これまで高い水準だった「短期金利/金融政策」が49%と10月調査分(62%)から大幅に低下しました。半面、水準自体は高くないものの「債券需給」が10月調査分の7%から16%へと大きく上昇しました。年末が近づいていることもあり、需給要因による債券相場の変動を気にかける市場関係者も増えつつあるようです。最も注目される投資主体では、今回唯一上昇したのが「外国人」で、10月調査分の21%から25%になりました。 先行きの金利上昇を織り込む動きも? 資産運用担当者70人を対象に、運用中のファンドについて、国内債券への投資比率が現状、通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、「ややアンダーウエート」が低下する一方、「ニュートラル」が上昇、「ややオーバーウエート」が微増となりました。これだけを見る限り、債券についてはもう一段の利回り低下を織り込んで、債券のポジションを若干増やす傾向であるように見えますが、「かなりアンダーウエート」も上昇し、「ややオーバーウエート」と同率の7%になりました。「やや」と「かなり」の力関係で言えば、当然かなりの方が強く、資産運用担当者の見方としては、債券相場の行方に懐疑的な見方をしているのが伺えます。 また今後の組み入れ比率については、「やや引き下げる」が、10月調査分の8%から13%に上昇する一方、「やや引き上げる」、「現状を維持する」が低下しました。 当面のデュレーションについても、「やや長くする」が10月調査分の14%から9%に低下する一方、「やや短くする」、「かなり短くする」がともに上昇しました。ちなみに、「かなり短くする」の回答率は3%と水準こそ低いものの、このところ0%と1%の間で推移していたことを考えると、「金利上昇にともなう債券価格の下落」を織り込んで、投資家の間ではちょっとした動きが出てきたと考えることもできそうです。全体的に、長期金利は目先、やや低下余地を探る動きはあるものの、中長期的には上昇傾向になる可能性があり、資産運用担当者はそれを少しずつ視野に入れ始めたとは言えるかもしれません。

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「再誕から躍進へ『全社員が営業マン』で攻めに転じる」長谷工コーポレーション・辻範明氏

平成バブル崩壊の負の遺産に屈することなく、倒産危機を乗り越え、復配、優先株の消却・全額償還を果たし、業績回復を成し遂げたマンション建設最大手の長谷工コーポレーション。辻範明社長に苦しい時代を乗り越えたポイントや今後の展開を聞いた。※本記事は2015年10月21日にQUICK端末で配信した記事です。 長谷工再建、裏側には決死のプロジェクト 【問】まず、再建までの道のりをお教え下さい。 【答】当社は1995年3月期に初の連結赤字に転落して、オーナー社長のもとで自主再建に取り組みましたが、残念ながら断念することになり、1999年5月から本格的なリストラに入りました。経営陣の体制も建設省(現国土交通省)から来られていた嵩聡久(だけとしひさ)さんが社長に、大和銀行(現りそな銀行)から再建支援で来られた岩尾崇さん(故人)が副社長に就任し、主力金融機関である大和銀行(現りそな銀行)、日本興業銀行(現みずほ銀行)、中央三井信託銀行(現三井住友信託銀行)からも1名ずつ来られて、再建がスタートしました。 当時は、首都圏で大規模マンションが出始めた「はしり」の時期で、マンション市場全体は好調に推移していました。当社の業績も好調に推移し、2007年3月期は連結経常利益で過去最高益(630億円)を記録しました。そのタイミングでは優先株の償還が出来る状態に辿り着いていました。しかし、2008年リーマンショックで流れが一気に変わってしまい、また苦しい時期が続くことになりました。  前任の大栗育夫社長(現会長)のもとで2012年4月から中期経営計画(4N計画)がスタートし、残り400億円の優先株を期間利益で全額償還するという大目標を立てました。マンション業界は苦しい時期ではありましたが、2013年にブライトンホテルや横浜のビルなど保有資産が売却出来たことで資金を回収することが出来ました。アベノミクスの影響だと思いますが、他のゼネコンが、公共工事や民間の一般工事の受注が増える中で手間のかかるマンション工事から少しずつ手を引き始めたため、当社への工事依頼が増えていきました。その結果、2014年3月期は3000億円の受注目標を立てていたのですが、中間決算時に3500億円に上方修正することになり、最終的には3600億円超の受注を確保することが出来ました。受注の材料も積み上がってきたことから、2015年3月期と2016年3月期の決算がほぼ見えてきました。そこで、2014年2月に優先株の全額償還と復配を決めました。 【問】再建完了と同時に社長にご就任されました。 【答】2014年という年は創業者の長谷川武彦氏の生誕100年の年です。創業者の生誕100年を迎えた年に、当社は再生して再誕しました。これも何かの縁なのかと思います。  社員には「修羅場、土壇場、正念場の3つの場を役職員全員で乗り切った」というメッセージを送りました。1995年に赤字に転落し、自主再建の期間中には多くの社員が給与カットされました。それでも立ち行かなくなって、債務免除を柱とした経営再建が1999年から始まり、本格的なリストラに入って一段と社員の処遇は抑えられました。そのような中で、辞めないで皆で歯を食いしばって力を合わせて苦難を乗り切ろうと努力してきました。私の部下が「再建中の会社だから道の真ん中を堂々とは歩けないけど、道の端っこを上を向いて歩こう」とよく言っていました。その時の頑張りがあったから今があると思っています。 【問】インタビュー直前、長谷工ビル1階の来客コーナーに立ち寄ってきました。とても明るい雰囲気ですね。 【答】苦しい時期でも1階の来客コーナーは打ち合わせの声で賑わっていました。来社したデベロッパーにも「これなら長谷工はつぶれない」と思ってもらえたかもしれません。 【問】再建の時のことをもう少しお聞きします。今、振り返っても壮絶な再建だったのではないですか。例えば、どのような時に辛いとお感じになりましたか。 【答】しんどいことはたくさんありました。当社は、マンションの用地情報を取得して、その土地をデベロッパーに買っていただき、マンションの建設工事を特命で請け負うという、通常の建設会社とは異なるビジネスモデルを持っています。土地を押さえないと仕事に結びつきません。土地の契約内容は、例えば、2割の前金を払って3カ月後に残りの8割を払うというもので、3カ月の間にデベロッパーを決めて土地をスイッチ出来なければ、2割の手付金を放棄することになります。そんなことをすれば信用を失い経営が一段と悪化します。当時は決められた融資枠がありましたから新たな土地契約も出来なくなります。会社がつぶれるかもしれません。まさに時間との戦いです。「絶対決める!」と意気込んでやっていました。それでも、残金決済1カ月前になってもスイッチ先が決まらないことが何度もありました。盆が明けたらもう10日しかないのに8月末の残金決済が決まっていないから夏休みがない。新年を迎えようとしているのに1月末の残金決済が決まっていないから正月は休んだ気がしない。毎日追いつめられていました。  大船駅前(神奈川県)で1500戸という大規模なマンション用地を取得した時は、毎日胃が痛くてほとんど寝られませんでした。当時、1000戸以上の物件は関東圏にはありません。かつてない規模なので3社のデベロッパーと勉強会を重ねてきました。ところが、土地を取得した後に、2社から「立地は申し分ないがやめる」と言われてしまったのです。土地契約はしているからもう真っ青。残った1社をベースに奔走して必死に営業をかけ、何とか引受先を見つけました。 【問】よく決まりましたね。 【答】もう決死の覚悟でした。残った1社と当社だけでは決済出来ない。当社がつぶれる可能性もある。皆、会社がそういう状態にあることがわかっているから必死です。ただ、必死でも悲壮感を持って相手先に行くとなかなか決まりません。売値はいいが1500戸という規模に相手がリスクを感じていたら、その不安を払拭するような勢いで営業は訪問しないといけません。営業部隊を全員集めて、「この土地は絶対デベロッパーが買ってくれる。この売り値であればデベロッパーは買ってくれる。そういう信念を持って『土地を押さえました』、『大丈夫です。絶対売れます』と売り込みに行きなさい」と檄を飛ばしました。それで相手の窓口に営業が売り込みに行きます。そうすると「感触はそう悪くない」、「この会社はやってくれるかもしれない」という見込み先がぽちぽち出てきました。相手が当社の案件を上にあげたら営業の上司が行く。相手がさらに上にあげたら営業の上司の上の者が行く。役員の私も行く。そうやって相手を説得していきました。工期を分けずに一発で着工して販売も行いましたが、当時の売り値が20坪で2700万円くらいと割安感があったところに営業の努力もあって、売り出すたびに売れるという好結果が続き、予定通り1500戸すべてが完売しました。 【問】大船でのご成功は印象に残るプロジェクトになりましたね。 【答】そうですね。当時の私は取締役事業部長という営業の責任を負っていました。株価が50円を切り、13円をつけたこともあり、そのような時にどのようにして工事をいただくか、これが一番しんどかった。普通であれば当社に発注してくれない。土地を取得する時に50億円くらいまでであれば何とかなりましたが、当時は大型のマンション用地が出てきており、土地代が1物件で200億円くらいしました。その時代に腹をくくって取得した土地が2000年くらいからの大規模マンションブームの走りになりました。その象徴とも言えるのが大船プロジェクトです。豊洲のプロジェクトも全体で1500戸あり、2つを同時に走らせながらデベロッパーにスイッチ出来たことが一番印象に残っています。 増収増益、マンション工事受注も好調 【問】次に、経営状況についてお聞きします。3期連続の増収増益です。 【答】工事量の増加や利益率の改善などにより増収増益となりました。利益率の改善は、労務価格が慢性的な労働者不足などによってリーマンショック前の水準まで戻った後、直近は比較的落ち着いていることや、施工効率向上の施策が奏功したことによるものです。  施工効率向上の施策について具体例をいくつかあげると、一つ目は、受注(着工)の平準化と先手の労務確保によって労務効率が向上したこと、二つ目は、物件の大型化によって資材発注で規模のメリットが効いたこと、三つ目は、竣工・引渡時期及び件数の集中が緩和した結果、突貫対応費が低減したこと、四つ目は、生産効率向上のための省力化工法や工業化工法(VH分離、基礎省力化工法)に取り組んだこと、などです。 【問】足元の受注も好調です。 【答】売上高の先行指標となる受注高についても好調に推移しています。2015年3月期の期初は4000億円の目標でスタートしましたが、第2四半期で4400億円、第3四半期で4600億円に上方修正し、4642億円で着地しました。2016年3月期も同水準の勢いで4700億円を予想しています。受注の中身は2013年の初めから変わってきており、土地持ち込みによらない受注が増えています。例えば、野村不動産や住友不動産、三井不動産などメジャー7と呼ばれる大手不動産会社からマンション工事の設計・施工を発注いただくケースが増えました。当社のビジネスモデルである「土地持ち込みによる特命受注」と「逆輸入(土地持ち込みによらない受注)」の比率は2014年3月期がおよそ55:45、2015年3月期はさらに逆輸入が増えて45:55、2016年3月期は30:70まで逆輸入が増加する可能性があります。その理由は大きく2つあります。ひとつは、橋や道路、オフィスビルを手掛ける他社ゼネコンが、手間がかかるマンションの工事を請けたがらないということに加えて、マンション以外の工事が増えてきたためマンション事業から撤退していったからです。もうひとつは、当社はマンション専業でずっとやってきていますから、昔から苦しい時でもついてきてくれた協力会社の下支えもあって工事費が安定しているからです。そのため、工事費は急激な変動にさらされず、他社ゼネコンと比べて低価格で出来るのが当社の強みです。 【問】入居後のクレームにはどう対応していますか。 【答】一般のマンションではクレームが発生すると事業主や管理会社を通して施工会社に連絡が入ります。これでは一刻も早い対応を求めるお客様の納得は得られません。そのため、マンションのつくり手である当社が直接対応する仕組みを模索し、2008年にはお客様からのご要望やご相談などをダイレクトに受け付ける長谷工プレミアムアフターサービスを開発し、スタートさせました。1級建築士などマンションのことを知り尽くした専任のスタッフが対応し、対応した内容はコールセンターの記録に残し、見える化して水平展開することで改善につなげています。一つの作業所で起きたクレーム内容を他の作業所も共有することで同じクレームが発生しないようにしています。また、当社の設計部隊や技術開発部隊にもフィードバックされ、クレームにつながりにくい材料選びや工法の開発などに役立てています。当社のマンションは他のゼネコンと比べてクレームが少ないとデベロッパーから評価されています。 「マンション専業」の強み…国内外の事業展開にも優位性発揮 【問】では、国内事業の展開についてお教え下さい。まず、どんなマンションを提供していきますか。 【答】当社では、長期優良住宅認定マンションや低炭素建築物認定マンションなど、国土交通省の施策には先頭を切って前向きに取り組んできました。マンション向け家庭用燃料電池「エネファーム」の初採用や、長谷工アネシスによる高圧一括受電事業を本格化させるなどエネルギー対策にも積極的に取り組み、「Be-liv」(広い住空間と多彩なセレクトオプションを創出)、「Be-Next」(基本性能の充実、可変性、環境や防災の3つのコンセプトを持つ)など新しいマンション企画を提案しています。今後も省エネルギー関連、次世代マンション、次世代生産システムの開発に積極的に取り組んでいきます。当社の原点であるモノの作り方を設計段階から整理し、出来るだけ同じ材料、同じディテールで納めながら、デベロッパーによって違う仕様・外観に合わせた商品に仕上げていくことでコストを抑えていきます。普通のサラリーマンが買える安心・安全で快適なマンション作りをこれからも続けていきます。 【問】施工戸数は累計でどのくらいになりましたか。 【答】昭和43年に自社施工の第1号マンションを着工以来、施工戸数は57万戸を超えました。この数は国内最多で、分譲マンションのストックの約1割に相当します。首都圏・近畿圏の供給数に対する当社の施工戸数のシェアも30%近くになっています。当社は、マンションというひとつの居住形態を広く普及させ、業界に先駆けた技術開発で今日の日本のマンションのスタンダードを築いてきました。 【問】日本の住宅作りにものすごく貢献されているのですね。 【答】ありがとうございます。民間の住宅公団だと言われた時もありました。  【問】これだけ多くのマンションを建設してきました。今後はストックの分野が大きな事業になりますね。 【答】そうです。長期的な成長についてはフローとストックの2本柱の確立と思っています。フローは長谷工コーポレーションの建設事業、ストックはサービス関連事業として位置づけています。建設事業は2020年東京五輪以降に落ち込むとみています。サービス関連事業の強化は絶対に必要です。サービス関連事業では、分譲マンション管理、賃貸マンション管理、高齢者向け住宅、リフォーム、マンションの買い取り再販事業などが核となります。  あの厳しいリストラの時代、長谷工コミュニティや長谷工ライブネットなどストック系で利益貢献できる会社の売却話も持ち上がりました。今から思えば、売却にまで至らなかったことは本当に幸いでした。 【問】フローとストックのポートフォリオをどうお考えですか。 【答】ストックビジネスは地道な事業で一気に伸びることはありませんが、フロー2に対してストック1くらいが一番いいと考えています。今年度からアネシスグループにストック関連子会社を集約しましたが、それぞれの会社の利益水準を上げていくことが重要だと考えています。 【問】超高齢化社会を睨み、シニア、シルバー向け住宅ビジネスに積極的です。 【答】全国の高齢者人口は2040年頃まで増加の一途を辿る見込みです。長谷工グループとしても優良な「高齢者向け住宅」、「介護関連サービス」を提供していきたいと考えています。2020年頃まで市場は急拡大するものの、その後拡大スピードは徐々に緩やかになると見込まれることから、これからの10年間を事業拡大の重点期間と考えています。2013年に生活科学運営(高齢者向け住宅を運営)をM&Aし、当社グループの一員に加わってもらいました。生活科学運営、センチュリーライフ(高齢者向け住宅を運営)の運営施設数・在宅介護拠点数を拡大していきます。規模の拡大とノウハウ獲得の促進を図るためにM&Aや事業提携も視野に入れています。 【問】東日本大震災でも大きな影響はなく震災に強いと評判です。 【答】2011年3月末に竣工引き渡し予定のマンションが多かったのですが、震災によって引き渡しを遅らせた物件はひとつもなく、建物自体の被害も少なかったおかげでデベロッパーからもおほめの言葉をいただきました。これまでマンショントップメーカーとして決して華美ではないが品質確保や技術開発に先駆的に取り組んできたことでしっかりとした対応は出来ていると自負しています。 【問】地方戦略はどう展開していきますか。 【答】サービス関連事業を地方中核都市に展開することは常に検討しています。ただし、限られた戦力をどの地域に投下するかといった優先順位の問題もあり、グループ各社ごとに進出状況は違っています。建設関連事業の展開については、協力会社の確保が必須であり慎重な判断が求められますが、情報収集は継続的に行っています。 【問】海外事業はどう展開していきますか。 【答】米ハワイでは、オアフ島西部エバ地区で住宅建設、分譲事業を推進しています。今後、住宅事業と並行して、地区内のリゾート・商業エリアの事業の具体化を図るべくプランを検討中です。ベトナムのハノイでは、現地企業との共同開発のサービスアパートメント、HASEKO・HIMLAMBC CT1計画(ハノイ市ロンビエン区、総戸数110戸、竣工予定2017年2月)を着工しました。今後は、当社が日本で展開している分譲マンションの企画から設計・施工、販売、管理までの一貫した事業をベトナムにおいても展開すべく、「HHCT1」をショーケースとして活用し、ベトナムおよび日本の事業主への提案営業を行っていく予定です。 【問】御社のマンション建築における優位性は当面続くと予想されています。御社の対抗馬がなかなか出てきませんね。 【答】他社ゼネコンは、マンション建設だけでなく、ビル建築、道路工事などいろいろな仕事をされています。不動産を買う資金力はあっても土地の相場観やマンションの売値がわかる営業マンは育ちません。一方、当社はマンション専業でやっていますから情報が社内にすぐ行き渡ります。大きな仕事を受注すると、開発、設計、建築、販売、管理などグループ会社を含めて各担当者は、誰が受注したのか、いつ頃自分のところに仕事が流れてくるのかがわかります。各部門間で同じレベルの会話が出来るようになります。社員には、土地売買から設計、建築、マーケティングなどマンションに関する豊富な知識と経験があります。社内の一体感とあわせて協力会社も一体感を持っています。デベロッパーから「長谷工の現場と協力会社の協力体制は群を抜いている」とほめられることがあります。私は協力会社も同じ長谷工グループだと思っています。このようなゼネコンは他にはありません。マンション専業でやってきた会社とそうでない会社とでは自然と力の差が出てきます。他社が当社スタイルを真似して事業展開するのは容易なことではありません。 【問】社員と協力会社の頑張りが業績回復の源になる、グループ内でも信頼感のある人間関係を築いていくことが長谷工の次につながる、ということですね。 【答】そうです。先程申し上げた通り、当社はマンション事業に特化しています。マンションで失敗したら会社がつぶれるかもしれませんから、社員も協力会社も、どうすれば売り上げを伸ばせるのか、どうすればコストを抑えることが出来るのか、どうすれば品質や施工精度を高めていけるのか、そういうことを日々検討し、勉強会を開催し、切磋琢磨しています。そこに当社の強さがあります。マンション特化という一本足打法には怖さもあり強さもあるということです。 【問】マンション事業の好調はいつまで続くとお考えですか。 【答】建設業界は、2020年東京五輪までの間に踊り場はあるにしろ、右肩上がりだと言われています。マンション市場がどうなるか予測することは難しいのですが、環境の変化に持ちこたえられる会社にするのが私の仕事だと思っています。昨年度、新中期経営計画「Newborn HASEKO」(NB計画)をスタートしました。それぞれStep、Jumpの頭文字をとって最初の3年(2015年3月期~2017年3月期)をNBs計画、続く3年(2018年3月期~2020年3月期)をNBj計画としています。優先株は償還し終えましたが、まだ自己資本が薄いため、前半NBsの3年間は自己資本の充実を図ってリスクにも耐え得る財務体質を目指します。後半NBjの3年間はM&Aを含めて攻めの姿勢で行く考えです。 長谷工株価データ 社員との対話を通じて攻勢へ 【問】社員との対話を重視されています。 【答】2010年にグループのサービス関連事業を統括する長谷工アネシスの社長を兼務することになり、同社の社員全員と話す機会を設けました。夕方、会議室でミーティングをした後、近くの中華料理店に行って酒を酌み交わし、意見の吸い上げを図りました。1回30人くらいのローテーションで2年半かけて1850人全員と対話しました。夜は、接待などで予定は詰まっており、ところどころ空いているスケジュールに埋めていきましたから2年半休みゼロでした。  いろいろな発見がありました。例えば、当社のコマーシャルを作りませんかという20代の若手社員の意見です。B TO B事業を行う当社にはテレビCMは必要ないと考えていましたが、B TO C事業を行うグループ内の長谷工コミュニティや長谷工リフォームなどはお客さまとダイレクトに接していますから、かれらを応援するテレビCMを製作することを決めました。愚直に頑張って仕事をしていますという感じが出ている長谷工らしいCMと思っています。 【問】出演者は社員の方々ですか。 【答】お客様の役以外は全員が社員です。元プロボクサーの内藤大助が出演していますが、大助は私の直属の部下でした。チャンピオンになったことを記念して皆でお金を出し合ってガウンを作りました。真面目な性格で、そのガウンを着て最後までリングにあがってくれました。今後もB TO C事業関連のグループ会社のCMはやってみたいと思っています。 【問】「社員全員をグループ全体の営業マンに育てる」とおっしゃっています。 【答】大きな企業になればなるほどグループ会社が何をしているのか話が出来ない社員が多くなります。これでは困ります。些細なことからマンションの購入やリフォームの話に広がることもあるからです。当社は生活に密着している企業グループです。住まいについてお客様に聞かれたことは答えられるようにしておかないといけません。5000人を超えるグループ社員全員がそういう意識で行動したら大きいです。ビジネスチャンスが広がります。  例えば、当社グループの販売会社で良い事例がありました。東京の長谷工アーベストの販売担当者に、マンションを購入いただいたお客様から、1年後に大阪の土地売却の相談が入り、当社大阪の不動産部隊につなげたことで翌年の土地契約に結びつきました。常日頃のお客様へのしっかりとした対応で信用を得て、自社以外のグループの仕事も意識したことが成果に結びついたのだと思います。  社員全員がグループの営業マンになるための取り組みは、今後3年間で徹底的に進める予定です。Eラーニングの実施やパンフレットの作成などで徐々に形になってきています。今は自己資本を積み上げて体力を増強することに注力していますが、守りだけでは勝てません。いずれ勝負をかけなければなりません。サービス関連事業を盤石なものにするためにも「社員全員がグループの営業マン」は重要な鍵になると思っています。 (聞き手・QUICK情報・コンテンツ本部 岡村健一) <辻範明氏略歴> 1952年岡山県生まれ。75年関西大学法学部卒業後、長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)入社。99年取締役、2005年代表取締役専務執行役員、10年代表取締役副社長兼長谷工アネシス代表取締役社長などを経て14年4月より現職。趣味は写真撮影、ゴルフ。

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「フィナーレは盛大に~曲芸飛行でイエレン議長が向かう先はバブルかクラッシュか?」大和総研・小林俊介氏

話し手:大和総研 エコノミスト 小林俊介氏(※本記事は2015年11月12日にQUICKで配信された記事です)     【景況判断】現状(3カ月前比):変わらず 先行き(3カ月後):やや良くなっている GDP予測:15年度+0.7% 16年度+1.7% 【金 利】短期:横這い TIBOR3カ月 0.17% 長期:横這い 10年物新発国債 0.30% 【円 相 場】 123円/1ドル 【株 価】21000円/日経平均 *GDP予測値は実質GDP成長率、前年比% *長短金利、円相場、株価は3カ月後(2016年2月末)の予測値   1.景気見通し:「踊り場から内需主導の緩やかな回復へ」 日本経済は輸出の停滞を端緒とした踊り場局面に置かれている。世界的に景気が停滞する中、資本財・素材の需要の伸びは期待しがたい。そしてこれらを主力とする日本からの輸出は低迷を続けるだろう。過剰生産能力を抱える中国向けはもちろん、米国向けも「ドル高・原油安」で企業部門の収益が弱含む中、回復までには時間を要するとみている。さらに輸出向けを中心とした出荷の伸び悩みを受け在庫が積み上がってきたことから、生産調整がスタートしている。当面の日本経済は足踏みを続けるだろう。 しかし、先行きの日本経済は緩やかな回復基調に復するとみている。まず外需は最悪期を過ぎつつある。「ドル高・原油安」による米国企業部門の悪化モメンタムには歯止めがかかり始めた。中国向け輸出も、消費財を中心として底入れの兆しが見え始めつつある。加えて内需が回復・拡大に向かう。まず消費については、「消費増税、円安・原油高を受けたインフレ、伸び悩む名目賃金」という三つの押し下げ要因が今年度に入ってから一巡し、解消されつつある。実質所得環境の改善は、タイムラグを経ながらも家計消費を押し上げていくだろう。設備投資についても、「ソフトな」分野を中心に堅調な推移を期待している。もちろん輸出停滞を端緒とする生産鈍化・低稼働率を背景として、機械受注統計等が示すようにハコモノや機械など能力増強関連の「ハードな」設備投資は振るわない。しかし短観などで確認される企業の設備投資意欲は強く、事業法人との面談等を通じたボトムアップでもITや研究開発関連の「ソフトな」設備投資に対する予算は拡大傾向にあるとの感触を得ている。これは「人手不足」が底流で続く中、企業が対応策として「賃上げ・雇用拡大」よりも「省力化・高付加価値化」を優先させている結果である。日本経済が完全雇用に接近する中、こうした「ソフトな」設備投資には持続的な伸びを期待できるだろう。 2.金融環境:「フィナーレは盛大に―利上げペースは極めて緩慢、流動性相場の最終局面へ」 流動性相場はまだ終わっていないと判断している。米国の利上げのペースは、市場予想のコンセンサスと比較して遥かにマイルドなペースにとどまるだろう。まず米国経済の見通しであるが、短期の景気循環から判断して「息切れ」の局面が近づいてきている。足下の米国経済を支えているのは家計消費であるが、これは「ドル高・原油安」により企業から家計に対して実質的な所得移転が発生しているためであり、その効果はじき剥落する。中長期的な景気循環から判断しても、過去5年以上にわたって設備投資の伸びが経済を牽引する「資本ストックの蓄積局面」に米国経済はあったわけだが、結果としてこれ以上の設備投資の拡大余地はあまり残されていない。米国経済は「成熟化」のフェーズに入っている。 こうした景気要因に加え、「技術的」制約が利上げのペースを抑制する。Fedには2.5兆ドルを超える莫大な準備預金が残されている。にもかかわらず「利上げ」を行うためには、超過準備に対する付利を引き上げなければならない。そして100bpの利上げをするためには250億ドル、200bpであれば500億ドルの財政負担が毎年新たに発生することになる。このように莫大な負担を強いる「利上げ」を本格的に行っていくという選択は、政治的にも許容され難いだろう。従って数回の利上げの次の一手はFedのバランスシート圧縮であり、本格的な利上げはその先となる。結果としてイールドカーブの形状は、①ベアフラットニング⇒②(極めて緩慢な)ブルスティープニング⇒③(遠い先の)ツイストフラットニング、という三段階での変遷を辿るだろう。 懸念されてきたよりも米国の金融政策が緩和的なものにとどまることは、新興国経済にとって僥倖(ぎょうこう)だ。これまで米国経済の見通しが強すぎる結果として国際的に金利が上昇する中、新興国からは投資資金が流出し、強制的に金融引き締めに追い込まれ景気が悪化するという「逆デカップリング」が発生していた。しかし現在は米国の金融引き締めに対する懸念の後退から新興国が置かれている環境は改善し、資金流出抑制よりも景気回復を優先できるという「コンバージェンス(収斂)」の局面に入っている。そして「米国の低金利継続(=バリュエーションの高止まり)」と「新興国経済の底割れ回避(=ボラティリティの低下=リスク許容度の改善)」の二つの好材料が揃う中、株式市場では流動性相場が継続するだろう。 3.注目点:「曲芸飛行でイエレン議長が向かう先はバブルかクラッシュか?」 リスクの本丸は、やはりFedだ。Fedは既に「バランスシートの縮小は利上げを開始してから行う」と公式な方針を発表している。逆に言えば、たった一度でも利上げした瞬間から、いつ国債やMBSの需給が悪化し始めてもおかしくない。結果としてタームプレミアムとリスクプレミアムが拡大し、世界中の全資産市場が劇的な「タントラム」に再度見舞われる可能性も無視できない。従って流動性相場の持続性は、最初の利上げとその先のバランスシート縮小懸念を「引き剥がす」コミュニケーションの巧拙にかかっている。 今後のシナリオとしては①利上げ時期を「引き延ばす」ことで時間を稼ぎ、その間に懸念を「引き剥がす」ガイダンスを浸透させるというもの、あるいは②早期に利上げを済ませてしまい、同時にハト派的なガイダンスを出すことで先行きの懸念を緩和するというものが穏当な落としどころとなるだろう。先日発表された10月の雇用統計の結果、および発表直後の市場の反応を勘案する限り、②の蓋然性が高いと判断している。もっとも、こうした政策は「クレジットバブルの予防」という、引き締めの本来の目的と矛盾するため、実際には市場にとってもう一段厳しい内容の政策判断が下される可能性もある。いずれにせよ、「三で割り切れる」(記者会見つきの)FOMCが開かれる月にはシートベルトをきつく締め、その先の2カ月間で訪れるであろうトレーディングチャンスを睨んで潤沢なキャッシュを準備しておきたい。 <小林俊介氏略歴> 1984年生。2007年東京大学経済学部卒業、大和総研入社。グローバル経済・金融市場分析を担当。2011年より派遣留学、米コロンビア大学および英ロンドンスクールオブエコノミクスより修士号取得。在学中、OECD(経済協力開発機構)委託プロジェクトに従事。2013年に大和総研帰任、日本経済担当。

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騰訊、7~9月期決算に期待高まる アリババ好業績で連想、決算直前チェック

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。この記事は11月11日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 中国ネット大手テンセント、アリババ好決算で市場が注目 中国ネットサービス大手の騰訊(テンセント)が10日に第3四半期(7~9月期)業績を発表する。発表を前に足元で同社の株価が堅調だ。節目の160香港ドルに迫り、約3カ月半ぶりの高値にまで上昇した。その背景には、ネット通販最大手のアリババグループ・ホールディングが先に発表した7~9月期業績が多少なりとも関係していると思われる。アリババの売上高は前年同期比32%増の221億人民元(約34億9000万米ドル)と、市場予測を上回った。このため、騰訊の7~9月期業績に対する期待が市場で高まっている。 騰訊の4~6月期業績を振り返ると、全体的に市場予想を上回った。売上高は前年同期比19%増の234億人民元、電子商取引業務を除いた場合は27%の増収だった。このうち、付加価値サービス収入が同17%増の184億元で、オインラインゲームとソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)業務が主に業績をけん引した。ネット広告収入は97%増の40億元だった。モバイル端末向けSNSのアフィリエイト広告や動画広告が主に業績を押し上げた。純利益は25.3%増の73億1400億元だった。 ユーザー状況は、6月末時点で騰訊のSNSである「QQ」の月間アクティブユーザー数(MAU)が前年同期比1.7%増の8億4300万人、スマートフォン(スマホ)向けQQのMAUは同20.4%増の6億2700万人に達した。また、同社のチャットアプリ「微信(WeChat)」のMAUは36.9%増の6億人で、ブログサービスの「QQ空間」のMAUは2.2%増の6億5900万人、スマホ向けQQ空間のMAUは15.4%増の5億7300万人だった。 オンラインゲーム、ネット広告業務に新たな動き…施策の有効性探る 騰訊は前評判が高いパソコンゲーム『モンスターハンター・オンライン(中国語名:怪物猟人Online)』や『ムーンライト・ブレーム(中国語名:天涯明月刀)』を発表する。また、『地下城と勇士』や『FIFAオンライン3(中国語名:足球在線3)』といった人気を集めているパソコンゲームの知的財産権をモバイルゲームにまで拡大する。さらには、世界のスポーツ競技とクロスオーバーさせた拡販を更に進めて、スポーツゲームとの組み合わせを開発する。その一例として、騰訊の動画サイト「V.QQ.COM(中国語名:騰訊視頻)」で米プロバスケットボール協会(NBA)の新シーズンを放送する際にゲーム「NBA2Kオンライン」を投入して、より多くのユーザーを獲得する。一方、ネット広告では、NBAの試合や音楽オーディション番組「ザ・ボイス・オブ・チャイナ(中国語名:中国好声音)シーズン4」などの優良ネット動画コンテンツに引き続き投資していくと同時に、モバイル広告資源の充実やアフィリエイト広告サービスの機能向上に取り組み、こうした新しい施策がオンラインゲームやネット広告業務をけん引する新たな動力となるかどうかを探る。 財務面は、6月末時の騰訊の現金および現金同等物が482億7000万元、定期預金が209億4000万元。借入金が85億6000万元、支払手形が389億9000万元で、現金(純額)が216億6000万元となっている。今年4月、騰訊は全世界で行う中期債(MTN)発行計画の元金総額の限度額を50億米ドルから100億米ドルに引き上げた。7月と9月にそれぞれ1億米ドルの優先債を発行して会社の運営資金に充当した。 業界特化の戦略的提携関係に重きを置く 現時点で騰訊は、モバイル端末を中心とした活発な「生態系」を構築して自社または提携先が持つ商品やサービスを中国の消費者にもたらすということに戦略の重点を置いている。そして、主に以下の方法により戦略を実行する。まずは、銀行カードと携帯電話機向け決済サービス「QQウォレット(中国語名:QQ銭包)」や「WeChatペイメント(中国語名:微信支付)」とが既に連携されているユーザーや提携先の企業による騰訊の決済ソリューションの採用を増やすことで、決済サービスの取引量を拡大する。次に、広告資源の拡充や広告主となる客層の拡大、社内組織の調整により、アフィリエイト広告の業務の流れを改善して同業務を伸ばす。3番目に、コンテンツ開発業者と収入を分配することでモバイル生態系のコンテンツの優良化を促し、ユーザー参加の度合いを高める。4番目に、ネット上の読書や動画鑑賞、音楽視聴といったデジタルコンテンツ定期購入サービスを新しいコンテンツや機能で充実させると同時に、主要コンテンツ提供業者との提携関係を拡充する。そして、最後に、中国トップクラスのクラシファイドサイトを運営する58.com(中国語名:58同城)への投資を増やすなど、業界内の垂直方向での戦略的な提携関係を高める。 留意すべき点として、MSCIが海外に上場する中国関連銘柄を同社の新興国指数に組み入れる動きを始めたという報道がある。現在、MSCIの新興国指数に採用される中国企業株は香港上場のH株(中国企業株)に限られている。このため、MSCIの新興国指数に海外上場の中国関連銘柄が採用されることになった場合、香港上場のH株から一部の資金が流出する可能性がある。こうした場合、最大の受益者は米国で株式を上場しているアリババとなるだろう。アリババ株には16億米ドルの資金が流入する見込みで、騰訊の株価に影響を及ぼすことになるもようだ。

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中国の紫光、台湾・力成の株式25%取得へ 米マイクロンへの出資も模索

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。この記事は11月16日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 合併、引き抜き…株式取得で半導体産業チェーン構築を目指す 中国の紫光集団が正式に台湾のメモリー・メーカーに資本参加した。10月30日、同社はメモリ・パッケージング・テストの力成科技(パワーテック)の第三者割当増資で、発行済み株式の25%を1株当たり75台湾ドルで取得すると発表。同時に、紫光集団傘下の展訊通信と鋭迪科微電子が台湾のICデザイントップの聯発科技(メディアテック)と合併する可能性があるとも表明し、世界の半導体業界に大きな衝撃を与えた。 紫光は既に、台湾のDRAMメーカーの華亜科技(イノテラ・メモリーズ)から高啓全・前会長を、全世界執行副総裁(グローバル・バイス・プレジデント)として引き抜き、メモリー分野の布陣を整えていた。こうした動きに続く今回の行動は、台湾メモリー関連上場企業に対する初の資本参加でもある。 紫光集団の趙偉国会長は自ら台湾を訪れ、この投資案件を発表した。これらの一連の動きは、「チップからクラウドコンピューティングまで」という完璧な産業チェーンを構築するためだ。力成科技はメモリーの後工程であるパッケージング・テストのメーカーである。紫光集団は将来、中国でNAND型フラッシュメモリーに積極的に進出しようとしており、それに必要な安定したパッケージング・テストの生産能力を確保したことになる。力成科技は1997年創業で、現在はパッケージング・テストで世界第5位に位置している。アメリカのメモリー・メーカーであるキングストンテクノロジーが大株主で、約3.83%の株式を保有し、取締役4ポストを持っている。また、台湾東芝半導体も1ポストを持っている。将来、紫光集団の資本参加に合わせて、増資後の株主構成と取締役ポストは変動があると見られている。紫光集団はここに高啓全氏を法人代表として派遣してくると予測されている。 「う回作戦」…虎視眈々と買収をねらう 消息筋によると、紫光はDRAM大手のアメリカのマイクロン・テクノロジーに買収を申し込んで拒否された後、「う回作戦」を採用した。まず、38億米ドルでハードディスク大手のアメリカのウェスタン・デジタルの株式15%を買収。さらに、このウェスタン・デジタルを通じ、フラッシュメモリー大手のアメリカのサンディスクを買収し、フラッシュメモリー分野に衝撃を与えた。こうして着々と、「チップからクラウドコンピューティングまで」に関連する技術と生産能力を構築している。紫光集団はまた、傘下のチップメーカーである同方国芯電子による増資で800億人民元を調達し、半導体業務に投じることを計画している。うち、37億9000万人民元を力成科技の株式25%買収に充てるほか、600億人民元をメモリー工場建物の建設に、残りの162億人民元を半導体関連企業の買収に、それぞれ充てる予定だ。   米マイクロンは紫光との資本提携に積極的 消息筋によると、紫光集団は工場建設に当たって「合資」方式で進めることを考えているという。現在、合資の対象として交渉を進めている企業には、すでに遼寧省大連市での工場建設を発表しているアメリカのインテルのほか、技術を持つ韓国のSKハイニックス、マイクロン、日本の東芝(6502)がある。 このほか、紫光集団はまた、マイクロンとの提携の戦略を変更し、ウェスタン・デジタルの方式を採用し、マイクロンに資本参加する可能性も模索している。 紫光集団が発表した800億人民元の増資で、引受先として親会社の清華控股に所属する西蔵紫光国芯、西蔵紫光東岳通信、西蔵紫光神采、西蔵紫光樹人教育、国研実業、同方国芯などの9社が含まれていたことから、マイクロンがこれに特に注目。双方は積極的に提携交渉を進めており、これが双方の提携成立を促進すると予測されている。  

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米利上げ「12月」で決着か?日銀は追加緩和「動かず」予想が3割(11月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の11月調査を、11月16日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者77人が回答、調査期間は11月9~12日)。 11月の外国為替市場では米ドルに対して円安が進行しました。これは11月6日に発表された10月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比27.1万人増加、失業率は5.0%まで低下するなど米経済の回復を示す結果となったことが一因です。毎月のように揺れ動く米利上げ時期に関する市場の見方ですが、今回はどうなったでしょうか。 米利上げ時期、「12月」が圧倒的多数に 見送りならFRBの信認に傷? 今回のアンケートで、「米連邦準備理事会(FRB)による利上げ開始時期をどう予想しますか」と聞いたところ、実に95%が「12月」と回答。前回10月調査(60%)から大幅に増加しました。10月の雇用統計が米景気の拡大を示す結果となったため、マーケットでは米利上げの年内実施は確実というムードが広まっています。 とはいえ、雇用統計は毎月の数字にブレがあります。10月分の好調な結果だけでは米景気の拡大ペースが加速したと手放しで言い切れない面もあります。実際、ISM製造業景況感指数は景気判断の分かれ目となる50%ぎりぎりの水準にありますし、小売売上高は市場予想に比べ弱い結果となりました。 仮に12月の利上げを見送った場合、FRB(イエレン議長)の信認にどのような影響を及ぼすかについて質問したところ、「やや揺らぐ」(36%)、「大きく揺らぐ」(22%)と、程度の差こそあれネガティブな影響につながるという見方が半数超を占めました。逆に、「影響ない」は35%にとどまりました。マーケットは確実に、利上げを促しています。 日銀「追加緩和なし」3割 ECBの追加緩和策「期間延長」8割超に 金融政策でFRBの焦点が「利上げ時期」なのに対し、日銀と欧州中央銀行(ECB)は追加緩和の有無が依然としてマーケット関係者の関心事になっています。もっとも、日銀とECBの政策の方向性に対する見方はやや変化の兆しもみられます。 ECBのドラギ総裁は10月下旬、デフレ懸念の払拭に向けて追加緩和の実施をいとわない姿勢を明確にしました。これを受け、追加緩和の手段として可能性が高いものは何だと予想するのか聞いたところ、「期間延長」が83%と最多となり、次いで「買い入れ額の増加」が55%、「預金金利の引き下げ」が41%となりました。 一方、「日銀が追加金融緩和に踏み切る可能性」について聞いた質問では、「追加緩和なし」との回答が30%で最も多くなりました。次に多かった回答が「2016年4~6月に追加緩和」で24%、「2015年12月」、「2016年1月」、「2016年3月」に追加緩和との回答がそれぞれ11%、12%、12%と見方が割れました。 日銀は物価目標2%の達成時期を「2016年度前半ごろ」から「16年度後半ごろ」に先送りしましたが、黒田総裁は物価の基調は「着実に改善している」との見方を変えていません。マーケットでは依然として「いずれ追加緩和に踏み切る」との見方が多いものの、実施時期に関しては迷いが生じているようです。日銀の金融政策については引き続き黒田総裁らの発言を注視する必要がありそうです。 再び円安ムード広がる 一段の円安進行は懐疑的な見方 毎月定点調査している為替相場見通しによると、再び円安ムードが広がっています。金融機関の外為業務担当者の見通し(単純平均)は、1カ月後の11月末のドル/円で単純平均が1ドル=123円25銭と、前回調査(120円38銭)に比べて大幅に円安方向へとシフトしました。また、3カ月後、6カ月後の見通しも123円台が見込まれています。 今後6カ月程度を想定してもらったところ、円は「景気動向」が引き続き下落要因とみられています。一方、ドルは「景気動向」や「金利/金融政策」が上昇要因として大幅に拡大。「物価動向」も上昇しました。 123円を超えて一段と円安を見込む声は少ないものの、年内の米利上げをにらみ緩やかな円安トレンドは続くとの見方になっています。ただ、アンケート調査後の11月13日にフランスで同時多発テロが発生し、リスク回避の円買いが進む場面がありました。米利上げ懸念などを背景に8月下旬に株式相場が調整を迎えたのも記憶に新しいところ。テロの影響などが今後、どこまで長引くのかもマーケットの関心事になりそうです。 資源国通貨は底入れ? ファンドの運用者に、外貨建て資産の組み入れについてどう見ているかを質問したところ、当面のスタンスは「オーバーウエート」との回答が低下する一方、「ニュートラル」が上昇しています。またヘッジ比率については、「ヘッジ比率を上げる」という回答が10%で前月と変わらず。一方で「ヘッジ比率を下げる」が0%から20%に上昇しました。 外貨建て資産の組み入れ比率DI(オーバーウエート-アンダーウエート)について、当面のスタンスとしては、米ドルDIがプラス圏ながらも、前月に比べて水準を引き下げています。また、スイスフランDIは大幅なマイナスとなりました。なお、資源国通貨については、10月調査分のマイナス43からマイナス16に、マイナス幅を縮小させています。資源国通貨については、これまでの売り一色から、やや様子見へとムードが変わってきたようです。

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インドネシア経済、7~9月期は回復か インフラ投資寄与、個人消費に懸念も

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。この記事は11月5日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 GDP低調改善なるか…市場は4.8%成長を予想 東南アジア最大の経済国であるインドネシアに景気回復の兆しがみられるかどうか、投資家は5日に発表される2015年7~9月期の国内総生産(GDP)の結果を注視している。  8000億米ドル程度の経済規模を誇るインドネシアの7~9月期GDPは、政府支出の拡大を背景に前年同期比で4.8%成長するとの予測がエコノミストらの一致した見解だ。市場予想通り4.8%成長を達成すれば、4~6月期の4.67%成長を上回り、2014年10~12月期以降で初めて経済成長率が拡大することになる。  シンガポール在住でDBS銀行のエコノミスト、ガンディー・カヒャディ氏は「7~9月期のGDPで投資の伸びが回復していることを示す何らかの兆候があれば、今後の見通しのプラス材料になる」と指摘する。「8月には貸し出しが伸び、特に新規投資に向けた融資が回復していることは好材料だ。政府は年末に向けて予算執行を急いでおり、こうした資金流入が民間企業に前向きな影響を及ぼすことから、全体的に投資が拡大している可能性もある」(カヒャディ氏)という。 投資の受け入れ好調も家計消費は依然として低迷 インドネシアの投資調整庁(BKPM)のデータによると、投資実現額(石油、ガス、銀行部門を除く)は7~9月期に前年同期比17%増加している。とりわけ、海外直接投資(FDI)は、シンガポール企業と日本企業の投資が堅調だったことで、同18%の増加を記録した。  インドネシアの経済成長を占う上で重要な指標の一つであるセメント販売量は、今年に入り7カ月間にわたって減少していたが、8月は一転して16%増に転じ、9月も3%の増加となった。  インドネシア・セメント協会(ASI)のウィドド・サントソ会長は「インフラ整備のほか、住宅・マンション建設が進んでいることが、セメント販売量が増加した理由だ」と説明する。同会長は「政府が公共案件の予算執行を進めていることから、セメント販売量は年末まで拡大し続けるだろう」との見方を示している。  一方、一次産品の海外輸出が縮小しているうえ、電子機器や機械、衣料品の輸出量も横ばい圏で推移していることから純輸出はインドネシアの成長にあまり寄与していない。また、消費者が家計収入の低下を受けて支出を見送る傾向にあるため、同国GDPの55%を占める家計消費は低迷状態が続いている。  インドネシア中央銀行の調査によると、9月の消費者信頼感指数(IKK)は97.5と、8月の112.6から大幅に低下し、2010年8月以来の最低水準となった。これは、消費者が今後の収入についてほとんど楽観的ではなくなったことを意味している。 5つ経済政策、景気浮揚の切り札となるか ジョコ・ウィドド大統領は、9月9日から10月15日の間に、投資と対外貿易に関する煩雑な手続きの合理化や企業が負担するエネルギー費用および輸送費用の軽減、中小企業向け輸出関連資金の調達支援など、5つの景気浮揚策を打ち出した。  インドネシアの国会本会議が10月30日、2016年度予算案を可決したことは経済を活性化させようとする政府の取り組みへの支持の表れといえる。同予算案には、来年度に5.3%のGDP成長率を達成するため、国営企業を通じた多くのインフラ開発関連支出が盛り込まれている。来年度の推定財政赤字は、対GDP比2.5%に相当する273兆ルピア(約200億米ドル)となる見込みだ。 【翻訳・編集:NNA】

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台湾TSMC、iPhoneチップでサムスン上回る評価 半導体、ゼロ成長で競争激化か

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。この記事は11月2日にQUICKの端末サービス上で配信されたものです。 ナノメートルで性能変わる…競争激化する半導体業界 米アップルの新機種iPhone6sとiPhone6sプラスについて、新プロセッサーのA9チップに半導体受託生産会社(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子の製品をそれぞれ採用したことから、ユーザーテストで両機種のバッテリー消費量に1時間の差が出た。このニュースは台湾から全世界へと伝わり、返品騒動を引き起こした。  アップルは後にiPhone6sとiPhone6sプラス両機種のバッテリー使用の差はわずか2~3%に過ぎないと説明した。しかし、市場ではTSMCの回路線幅16ナノ(ナノは10億分の1)メートル製造プロセスで生産されたA9チップがサムスンの14ナノメートル製造プロセスのA9チップを性能上で大きく上回るとの認識が一般的となっている。 こうした3次元構造の半導体設計の領域に突入したファウンドリー間の競争は、回路線幅が1Xナノ(10ナノメートル台)に突入に伴い熾烈(しれつ)化しつつあるようだ。 半導体の設備メーカーによると、TSMCは16ナノメートルでサムスンに出だしで遅れをとったものの後に同社を追い越す勢いとなり、TSMCのプロセス技術能力にアップルも注目している。次世代機種iPhone7に搭載するA10プロセッサーの生産をすべてTSMCに託す可能性もあるという。 これだけにとどまらず、これまで生産委託を分散させていた米クアルコムも2017年にTSMCの10ナノメートル製造プロセスを大々的に採用する予定だ。これによりTSMCは10ナノメートルの試験生産の進展を一段と速めて、サムソンを一層引き離す。 ゼロ成長も株価への影響は一時的か しかし、TSMCは今月中旬に開催した機関投資家向け業績説明会で、今年の設備投資を当初予定の105億~110億米ドルから80億米ドルへと大幅に下方修正すると発表した。削減幅は2割を超すが、依然として米インテルの73億米ドルを上回る規模だ。  TSMCの説明によると、20ナノメートルの設備のうち95%を16ナノメートルに転換可能であり、これに伴う設備調達の削減が設備投資の下方修正の30%を占めるという。さらに、生産効率の向上で可能となる機械購入の削減が下方修正の33%を占める。その他の投資削減は設備購入を来年に繰り越すことによるという。  TSMCは同時に、今年の半導体の成長予測値を当初予測の3%からゼロ成長へと下方修正した。同社が今年の成長率予測を下方修正するのは3度目。また、半導体の在庫調整が年末まで続くとの見方を示した。  さらにTSMCにとってマイナスなニュースであるのが、ハイテク関連ウェブメディア「ベンチャービート」の報道だ。同社の報道によると、インテルがアップル社の次期iPhoneに搭載するモデムチップの受注とSoC(システム・オン・チップ)の生産受託を希望しており、クアルコムまたはTSMCへの発注分を奪うもくろみだという。  もっとも、これら2つのマイナス報道もTSMCの株価に影響を及ぼすまでには至っていない。同社の株価は業績説明会前から上げ基調が続き、業績説明会で設備投資の大幅削減が明らかになって下落する局面もあったが、その後は再び堅調に推移している。 18年めどに南京で量産体制確立へ 一方、TSMCの中国進出計画については、同社の設備サプライチェーンから得た情報によると、同社が初めて中国大陸で設立することになる12インチのウエハー工場の場所が南京に確定した。同工場では16ナノメートルのFinFET(フィン型電界効果トランジスタ)製造プロセスを当初から直接導入し、17年末に試験生産、18年から正式に受注と量産を開始する予定という。  台湾中部の中部科学工業園区(中科)にあるTSMCの中科15工場の立ち上げも急ピッチで進んでいる。第1期で16年第2四半期(4~6月期)に装置が設置され、10ナノメートル製造プロセスを当初予定から半年前倒しして16年末までに段階的に稼働させる計画だ。

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TPP合意、事業に「良い影響」3割、景況感は3カ月ぶり改善(11月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(10月23日~11月5日調査分、上場企業422社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス16となり、前月調査のプラス14に比べて2ポイント改善しました。非製造業も1ポイント改善となり、金融を含む全産業では前月比2ポイント改善のプラス28となりました。 企業景況感、底入れ模索か 先行き判断も改善 企業の景況感は製造業・非製造業ともに3カ月ぶりに改善しました。日経平均株価も8月下旬の世界同時株安以降、約1カ月間の調整を経て戻り歩調を強めているだけに、10月調査分にかけての景況感悪化が一時的なものにとどまるかどうか、今後の動向が注目されます。 業況判断DIの先行きを見ると、全産業ベースはプラス26と前月比2ポイントの改善となっています。過去3カ月の平均をみると、6~8月調査分がプラス33だったのに対し、9~11月調査分はプラス25に低下しています。 その意味ではまだ先行きを慎重に見る必要がありそうですが、10月の米雇用統計が堅調だったことなどから11月に入り円安・ドル高基調が強まっており、今後の製造業の景況感にプラスの影響を与えることが考えられます。非製造業はインバウンド(訪日外国人)消費などの影響で高水準を維持しているだけに、製造業の景況感が回復すれば、先行きを含めて全体の業況判断DIを押し上げる可能性が広がります。その意味では、今後の為替相場の動向には要注目といえるでしょう。 雇用の不足感が一段と強まる 生産・営業用設備の過不足感を全製造業で見ると、過剰から不足を差し引いたDIは11月調査分がマイナス1%となりました。かねてより設備の老朽化が問題視されていましたが、かつては円高の影響で国内の生産拠点を海外に移す動きがあったため、国内で新たな設備投資意欲が盛り上がりにくい環境にありました。ただ、2012年末以降の円安・ドル高により生産拠点を国内に回帰させる動きも出始めており、徐々に国内における設備投資意欲が高まることも期待できそうです。 雇用については、11月調査分の全産業DIがマイナス32%となり、前月からマイナス幅が拡大しました。1月調査分がマイナス21%だったことから考えると、雇用の不足感は一段と強まっていることが分かります。ただ、非正規労働者が4割を占める現状からすると、雇用の不足感の高まりが必ずしも、雇用の安定化や個人消費の大きな盛り上がりにつながらない可能性もあり、状況を慎重に見極める必要もありそうです。 TPP合意、事業運営に「良い影響」が3割強 慎重な見方も 今月のQUICK短観では、以下の2点に関する特別調査を行いました。ひとつは「環太平洋経済連携協定(TPP)発効の影響」について、もうひとつは「職場積立NISA(少額投資非課税制度)」についてです。 10月5日、苦難の末にようやくTPP交渉は大筋合意に至りました。参加国は12カ国で、域内経済規模が世界の国内総生産(GDP)に占める割合は約4割に達します。域内において、関税などの貿易障壁が大幅に引き下げられ、ヒトやモノ、資本、情報が自由に行き来する、巨大な経済圏が出現します。これに関して、将来においてTPPが発効される場合の貴社の事業運営に与える影響を聞いたところ、「良い影響が出ることが想定される」(6%)、「どちらかと言えば、良い影響が出ることが想定される」(28%)と、「良い影響」との回答が34%に上り、「悪い影響」(8%)との回答を上回りました。企業全体としてはTPP発効により競争力の強化につながるとの期待につながっているようです。 今後、各国において議会承認のプロセスを経て正式に発効されますが、国内手続きが仮に順調に進んだとしても、正式発効は2016年後半とみられています。この間、米国では大統領選挙・連邦議会選挙があり、すでにTPP発効の是非を巡って、米国内では選挙戦の争点になりつつあります。今後も紆余曲折の展開が予想され、特に米国と日本における議会承認の行方が注目されます。実際、アンケート結果では、6割強が「TPP発効が事業運営に良い影響と悪い影響のどちらが出るか判断しづらい」と回答するなど未知数の部分も多いだけに、TPP発効承認に至る国内動向は、まだ予断を許しません。 職場積立NISA導入、「検討していない」が97%占める 次に「職場積立NISA」の導入に関する質問ですが、「特に検討していない」との回答が97%を占めました。 職場積立NISAとは、金融機関が取引先である企業の職場単位でNISA口座の契約をし、給与天引きや口座自動引き落としの形で、NISAの積立投資を行うものです。金融機関側から見れば、個人営業で1件ずつNISA口座を獲得するよりも、営業効率が良くなるという考えが働きます。もっとも、利用者側から見ると、職場積立NISAを利用した場合、個人で別の金融機関にNISA口座を開設するのが困難になり、運用する際の商品選択の自由度が狭められるといったデメリットも意識されます。今後は職場積立NISAの使い勝手向上に向けた金融機関の知恵が試されそうです。

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