News & Views

都道府県別の投資姿勢を分析…今年の株安で痛手を受けたのはどこ?

年初からの日本株は軟調に推移し、外国為替市場では円高・ドル安が進みました。年初に1万8000円台で推移していた日経平均は1万6000円台で推移し、1ドル=120円台にあったドル円相場も1ドル=100円割れが見える水準まで来ました。こうした投資環境の変化は家計にどのような影響を及ぼしたのか。実は都道府県によってリスク資産に対する姿勢が異なるため、影響度もそれぞれ異なると言えます。 政府の統計で都道府県ごとの金融資産の状況を調べると、意外な「差」が浮かび上がってきます。 個人金融資産1700兆円は伸び悩む まず日本国民全体の金融資産の状況を見てみましょう。 日銀が9月下旬に発表した資金循環統計(速報)によると、6月末時点の家計の金融資産残高は2015年末に比べて2%減の1746兆円でした。残高は昨年末に過去最高の1783兆円に達したものの、その後の株安および円高で株式や投資信託の運用残高が目減りしたことが響きました。 そのうち、株式等の残高は同14%減の144兆円、投資信託は同10%減の86兆円です。ちなみに、年初から6月末までの日経平均株価は18%下落、外国為替市場で円相場は昨年末の1ドル=120円台前半から6月末には103円台前半まで円高が進みました。 また、国債などの債務証券の残高は同8%増の27兆円に膨らみました。日銀のマイナス金利政策が残高の押し上げ要因になったようです。債券価格は利回りが下がれば下がるほど上昇します。マイナス金利政策の影響で幅広い年限の国債で利回りがマイナスになった結果、債券価格は全般に上昇したと言えます。なお、シェアが5割超と最も大きい現金・預金の残高は昨年末比ほぼ横ばいの919兆円でした。   北陸勢の高収入目立つ――富山県はリスク資産への投資に積極的 家計の金融資産の状況を都道府県別にみてみましょう。 総務省では貯蓄高や住宅など家計が保有する資産状況を地域ごとにまとめて「全国消費実態調査」として5年おきに公表しています。直近2014年の調査結果によると、世帯年収の全国トップは福井県で630万円でした。全国平均の536万円を100万円ほど上回っています。同県は過去10年間にわたって首位を維持しています。惜しくも3位だった富山県は福井県と常に首位争いを繰り広げており、北陸勢の年収の高さが顕著です。 しかし、両県の収入の使いみちには異なる傾向が表れました。福井県は、後で述べる株式などリスク資産の保有残高のランキング上位には顔を出していませんが、預貯金残高が1175万円でトップ。一方、富山県は株式・株式投信の保有比率および外貨建て資産残高のランキングで上位に入っており、資産運用に前向きなようです。堅実に貯蓄を増やす福井県に対して、元手を活用してさらなる資産アップを狙う富山県の積極性が垣間見えます。                    投資好きな首都圏や近畿圏が株安でダメージ!? 1世帯あたりの株式・株式投信の平均保有残高が全国で最大だった都道府県は、東京都で266万円でした。千葉や神奈川も上位に顔を出していることから、首都圏の投資に対する意識が見て取れます。 ただ、ランキングの上位には京都や奈良といった近畿地域も目立ちました。特に奈良県は保有世帯比率が3割弱と2009年の前回調査に続いて全国首位。同県は債券・公社債投信の保有世帯比率も高く、資産運用が浸透しているようです。 一方、株式や株式投信の保有残高が最も少なかったのは鹿児島県で29万円、次いで青森県の37万円、大分県の38万円と続きます。これら3県の共通点は年収が下位だったほか、貯蓄高も全国平均を下回り低水準でした。                                        海外資産への投資にも傾向が表れました。外貨建て資産が好きなのは神奈川県。1世帯当たりの平均保有残高は52万円と、全国平均を31万円上回りました。同県は前回調査でも首位です。これに対して、東北地方が下位をほぼ占有していました。また、香川県は債券・公社債投信の保有残高が2004年の調査以降トップです。債券価格の上昇は残高の押し上げ要因になりました。                  こうした結果を踏まえると、年初からの株安・円高の悪影響は東京都を中心とした首都圏のほか、奈良県などの近畿圏が受けたといえそうです。半面、鹿児島県や青森県、大分県は株式などの残高が少なく影響は軽微だったといえそうです。 2016年も残り3カ月を過ぎ・・・ さて2016年も残り2カ月半となりましたが、相場の方向性はどうなるのでしょうか――。 イベントや過去の相場動向、アノマリー(合理的には説明できない相場の経験則)を把握できる「マーケットカレンダー」で目先の行方を探ってみましょう。10、11月は米国の投資信託(ミューチュアルファンド)や海外ヘッジファンドの多くが決算を迎えるため、決算絡みの売買が相場のかく乱要因になることがあります。加えて、今年は11月8日に米大統領選挙も控えています。結果次第では世界の株式相場や外国為替相場が大きく変動する可能性もありそうです。ちなみに、アノマリーでは株式相場が下落する傾向がある10月に株を買い、上昇が目立つ翌年4月に売る「ハロウィン効果」というものがあると言われます。 国内では同時期、日本企業の4~9月期決算の発表が出そろいます。日本株については国内最大規模の市場心理調査である「QUIC月次調査<株式>」によると、今後のドル円相場がやや円安方向に進むとの見通しなどを踏まえ、市場関係者の大半が国内株式の投資比率の引き上げを検討していました。 株価や金融資産の価格が上昇に転じ、日本の家計の懐事情は温かくなるのでしょうか。景気に直結する話なので、目が離せません。   (編集:QUICK Money World)

News & Views

インドネシア、租税特赦の第1ステージが終了 今後は普及ペース鈍化か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのヘルミー・クリスタント(Helmy Kristanto)氏がレポートします。(※この記事は2016年10月5日にQUICK端末で配信した記事です。) タックス・アムネスティ制度で大幅な税収増 インドネシアのタックス・アムネスティ(租税特赦)制度は、大きな成果をあげて、第1ステージを終えた。この制度による税収増加額(penalty payment)は97兆2000億ルピアまで膨らみ、事前の予想を上回った。この結果は、制度利用者の拡大に向けた複数の魅力的な規制やシステムの推進など、政府の努力に負う部分が大きい。第1期の加算税収は政府が設定する全体目標(165兆ルピア)には届かなかったが、第1期終了に向け、利用者が飛躍的に伸びた。 タックス・アムネスティの第1期で申告された資産額は3621兆ルピア(2780億米ドル)で、国内資産が全体の70%を占めた。一方、国外からの還流資産は全体のわずか3.7%にとどまった。還流資産は主に、シンガポール、ケイマン諸島、香港、中国、英領バージン諸島で保有されていたものだ。   今後、制度の普及ペースは鈍化するだろう。インドネシアのタックス・アムネスティは段階的に税率が上がる仕組みになっていることに注目すると、ほとんどの利用者が最も税率の低い第1期に申告したと思われるためだ。同様に、インドネシア実業家協会も、主要な実業家の95%がタックス・アムネスティの第1期に資産を申告したと述べている。  このため、市場のタックス・アムネスティへの注目度は低下し、マクロ経済や企業業績に焦点が移りそうだ。我々の見解では、全体的な経済回復は依然として緩やかな過程をたどり、2016年第3四半期の企業の収益成長率はイスラム教の断食明け大祭(レバラン)が明けたことによる平常化を受け、前四半期比でやや軟化する見通しだ。 インドネシア経済は今後も順調に拡大か? 中長期的には、主にマクロ経済状況が好調に推移し、これにより企業収益の伸びが見込めることから、インドネシア市場に関して建設的な見方を維持する。インドネシア経済は今後も通貨ルピアの安定性やインフレ率の低さに支えられ、順調な成長傾向が続く見通しだ。こうした要件は、さらなる金融緩和も可能にするだろう。インドネシアの実質国民総生産(GDP)成長率は2017年に5.3%に拡大し、2016年の予想成長率(5.1%)をやや上回ると見込んでいる。 (出所:QUICK) ジョコ・ウィドド大統領は最近の閣議で、2017年の設備投資予算を100兆ルピア増額し、400兆ルピアに引き上げるよう指示した。タックス・アムネスティ制度の導入が奏功し、納税者のコンプライアンスレベルが向上。税収拡大が見込めることが、予算拡大の理由の一つとなっている。  【翻訳・編集:NNA】 本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICK、翻訳・編集者であるNNAおよび情報提供元であるPT RHB 証券インドネシアのヘルミー・クリスタント氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

QUICK Knowledge

景況感の悲観ムード強く金融緩和は続行か 業績予想はやや下振れ(10月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の10月調査を10月11日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者159人が回答、調査期間は10月4~6日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6637~1万6971円のレンジで推移しました。9月上旬には1万7081円まで上昇したものの1万7000円が心理的な節目として意識され、手前での足踏み状態が続きました。10月に入ってからの東証1部売買代金は連日で2兆円を下回っており、積極的な売買が見送られたことが影響した面もあるようです。 一方、日経平均と比較してアウトパフォームしたのが東証マザーズ指数。前回調査が行われた最終日の9月1日から今回調査最終日の10月6日までの日経平均とマザーズ指数の騰落率をみると、日経平均がほぼ横ばいだったのに対し、マザーズ指数は5.6%の上昇を記録しました。円相場の行方などの不透明要因から大型株を見送るムードも強い中で出遅れ感が強い中小型株に個人投資家を中心に物色が向かったようです。 しかし、個人の物色意欲が高まり始めたとみられる点は相場全体にとっては明るい話といえます。外部環境の好転を背景に11日の日経平均は久しぶりに1万7000円台を付け、マザーズ指数も底堅い展開となっています。 国際比較で日本の景況感停滞が目立つ 今回のアンケート調査では、国内外の景気動向について質問しました。各国の現状について「拡大」、「堅調」、「停滞」、「後退」の4つの選択肢から選んでもらった結果は以下の通りとなりました。 また、選択肢別で、国別に最も高い回答が得られたのは、以下のようになりました。 日本・・・・・・停滞(64%) 米国・・・・・・堅調(84%) 欧州・・・・・・停滞(62%) 中国・・・・・・停滞(55%) この数字からも、世界経済は米国が一強状態であることが分かります。米国以外の国は、程度の差こそあれ、「停滞」という回答比が最も高く、なかでも日本の悲観ムードが最も深刻である点を理解しておく必要がありそうです。 日銀の金融政策もマイナス金利の深堀りこそ当面、行わない方針ですが、この景況感でおもむろに現在の金融緩和を絞るような政策は、マーケットの混乱を招く恐れがあるという点でも、避けたいところです。当面、日本の金利は底這い状態が続きそうです。 次に、日本の輸出企業の業績に影響を及ぼす為替見通しですが、2017年3月期末にかけて、ドル円がどのように推移するのかについては、「小幅な円安(105円程度)」という回答比が最も高く、全体の55%を占めました。次いで、「横ばい圏(100円程度)」が21%、「小幅な円高(95円程度)」が13%、となっています。 米国では、11月の大統領選挙を終えた後、12月の米連邦公開市場員会(FOMC)で利上げが行われるのではないかという見方が強まりつつあり、金利差の拡大からドル買い優位との見方が広がりつつあります。 今期経常益0.5%減見通し、修正の方向性は? こうしたことを受け、日経集計では前年度比0.5%減と見られている2017年3月期の経常利益について、今後どのように修正されるかを問うと、「小幅な減額修正」が50%で最も高く、次いで「小幅な増額修正」が32%、「修正なし」が12%、「大幅な減額修正」が5%、「大幅な増額修正」が1%という結果になりました。 大幅な増額修正、大幅な減額修正はいずれも極端な見方ではありますが、全体的には減額修正されるとの見方に傾いています。 また、資産別のアセットアロケーションをどう変更するかについては以下の結果となりました。 このうち、最も高かった回答は次のようになりました。 国内株式・・・・・・増加(52%) 海外株式・・・・・・変えない(48%) 国内債券・・・・・・減少(55%) 海外債券・・・・・・変えない(45%) 業績の先行き懸念は依然として根強いものの、今後のドル円相場の方向がやや円安に向かうとの見方に立てば、業績下振れをかなり織り込みつつある国内株式については比重を高めようとする動きが出てもおかしくないと言えるかもしれません。 1カ月後の日経平均見通しは「ほぼ横ばい」 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万6924円となり、前回調査の1万6935円に比べて若干の下方シフトとなりましたが、この程度の差は「ほぼ横ばい」と見て良いでしょう。 また単純平均で見ると、日経平均株価は年末にかけて1万7000円台を回復し、年度末には1万7000円台後半まで上昇することを示す数字になりました。先にも触れたように、日本の景況感については現状、悲観的なムードが強いものの、年明け以降にかけては、徐々に回復するのではないかという希望的観測が反映されています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「金利動向」、「為替動向」が前回調査に比べて低下する一方、「景気・企業業績」が32%から42%に上昇しました。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、「企業年金・公的資金」が前回調査の12%から、6%へと低下。その他は、前回調査と比べて大きな変化は見られませんでした。 株式の組み入れは「ややオーバーウエート」が上昇 資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前回調査の45%から53%に上昇しました。逆に、「ややオーバーウエート」が35%から28%に低下。「ややアンダーウエート」も14%から11%に微減となっています。 また、国内株式の組み入れ比率について、当面はどのようなスタンスで臨むのかという問いに対しては、「現状を維持する」が前回調査の71%から63%へと低下。一方、「やや引き上げる」が17%から26%へと上昇しました。26%は、過去半年の中で最も高い水準になりました。とはいえ、「現状を維持する」が63%もあるので、全体的には様子見という印象を受けます。

QUICK Knowledge

非製造業DIの悪化目立つ 業種別DI、プラスは「情報・通信」のみ(9月)

全産業DIはマイナス27で変わらず 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年9月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス27となり、前月と同じでした。前月まで2カ月連続で改善し、業績モメンタムの悪化に歯止めがかかり始めたとの見方もできますが、企業を取り巻く環境には依然として不透明要因も多いため、先行き業績に対する慎重姿勢は続いているようです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 全産業DIの過去1年の推移をみると以下の通りになります。 9月・・・・・・ 10 10月・・・・・・ 3 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・▲3 1月・・・・・・▲3 2月・・・・・・▲20 3月・・・・・・▲30 4月・・・・・・▲30 5月・・・・・・▲33 6月・・・・・・▲36 7月・・・・・・▲34 8月・・・・・・▲27 9月・・・・・・▲27 6月時点でマイナス36まで下がったコンセンサスDIが、8月時点ではマイナス27まで改善しました。ただ、9月調査分もマイナス27で変わらず、やや足踏み状態です。9月初旬は1ドル=103円台だったドル円相場が、9月下旬にかけて100円台まで円高・ドル安が進んだことにより、主力大型株を中心に業績の先行きに対する懸念が浮上しました。 非製造業DIが悪化 次に、DIを製造業、非製造業の別で見てみましょう。昨年以降の製造業DIは、 9月・・・・・・▲5 10月・・・・・・▲12 11月・・・・・・▲18 12月・・・・・・▲15 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 7月・・・・・・▲49 8月・・・・・・▲45 9月・・・・・・▲38 これに対して非製造業は、 9月・・・・・・・25 10月・・・・・・・20 11月・・・・・・・15 12月・・・・・・・12 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 7月・・・・・・▲15 8月・・・・・・▲7 9月・・・・・・▲15 製造業DIはマイナスが続いていますが、7月のマイナス49を底に、徐々にではありますが改善傾向を見せています。一方、非製造業DIは6月にマイナス18という最悪の水準を付けたのち、8月にはマイナス7まで改善しましたが、9月は再びマイナス15へと悪化しました。物価上昇の気配がなく、消費者物価指数の上昇率が低下するなか、サービス業を中心にして価格を上げられない状況が続いており、業績見通しの悪化につながっているとみられます。 業種別DI、プラスは「情報・通信」のみ 業種別DIを見ると、16業種中、プラスになっているのは「情報・通信」のみ。0が2業種で、残りの13業種はマイナスでした。前月からのDIの動きを業種別に見ると、以下のようになります。 プラス値が低下・・・・・・「情報・通信」 プラス値が0に・・・・・・「建設」 0のまま変わらず・・・・・「医薬品」 プラス値からマイナス値へ・「食料品」「不動産」 マイナス値が改善・・・・・「鉄鋼」「非鉄金属」「電機」「卸売」「小売」「その他金融」 マイナス値が変わらず・・・「輸送用機器」 マイナス値が悪化・・・・・「化学」「機械」「サービス」「銀行」 8月調査分では、それ以前の結果に比べて業種別の数字は改善傾向にありました。しかし、8月の業種別DIがプラスを維持していた業種は5業種でしたが、9月調査分では1業種に減少。マイナス値が改善した業種も7業種から6業種に減り、マイナス値が悪化した業種が2業種から4業種に増えました。全産業ベースのコンセンサスDIが足踏みしているのも、こうした業種別DIの悪化を見れば納得が行きます。 グリーが46%上方修正率でトップ、下方修正トップはベネッセ 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。銘柄数の内訳は「強気」が57銘柄で、「変化なし」が187銘柄、「弱気」が169銘柄になりました。 <上方修正率の大きい銘柄> 1位 グリー(3632)・・・・・・・・・・・46.45% 2位 パイオニア(6773)・・・・・・・・・44.18% 3位 セガサミーHD(6460)・・・・・・・41.87% 4位 ソフトバンクグループ(9502)・・・・30.45% 5位 四国電力(9507)・・・・・・・・・・29.01% <下方修正の大きい銘柄> 1位 ベネッセホールディングス(9783)・▲100% 2位 日本写真印刷(7915)・・・・・・・▲73.88% 3位 神戸製鋼所(5406)・・・・・・・・▲50.86% 4位 不二越(6474)・・・・・・・・・・▲42.90% 5位 商船三井(9104)・・・・・・・・・▲41.50%

QUICK Knowledge

イールドカーブ・コントロールは金融市場の機能を阻害?(9月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の9月調査を10月3日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者143人が回答、調査期間は9月27~29日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.090~マイナス0.080%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、8月30日時点から9月30日時点にかけて以下の通りとなりました。         8月30日   9月30日 10年債・・・・▲0.019% ⇒▲0.079% 15年債・・・・・0.159% ⇒ 0.122% 20年債・・・・・0.412% ⇒ 0.359% 30年債・・・・・0.527% ⇒ 0.457% 前月に比べて金利水準は下がっているものの、マイナス金利は10年物までとなり、15年物よりも長い金利については、プラス圏になりました。一時期の、バブル化の様相を呈していた債券市場でしたが、若干の落ち着きを取り戻してきたように思えます。 イールドカーブ・コントロールは金融市場の機能を阻害? 今月の月次調査では、日銀の新しい金融政策の枠組みについて伺いました。 新しく導入された「イールドカーブ・コントロール」には、どのような効果があるかという質問に対しては、「金融市場の機能を阻害する」が47%で最も高く、次いで「年金などの長期運用にプラスの効果がある」が19%、「金融機関の収益にプラスの効果がある」が16%となりました。 イールドカーブ・コントロールとは、10年物国債の利回りを「ゼロ%程度」にすることをターゲットとして、国債の買い入れを調整していくという考え方です。これまで、10年物国債利回りは大幅なマイナス金利になっていましたが、これが金融機関の経営に及ぼす影響が懸念されていました。とはいえ、国債買い入れを止めるとなれば、マーケットは大混乱に陥るでしょう。そこで、今後も量的・質的金融緩和は行うという含みを持たせつつ、金融機関の経営状況にも配慮したのが、今回のイールドカーブ・コントロールという新しい金融政策だったのです。 一方、「(日銀は)10年物国債利回りをゼロ%程度で推移するように買い入れを行う方針を示していますが、10年国債利回りはどのように推移すると予想しますか」という問いに対しては、「おおむねマイナス圏で推移」が48%で最も高く、次いで「多少の上下の振れはあるが、おおむね安定」が36%、「0%で安定」が9%となりました。 今回の日銀金融政策の新たな枠組みについては「金融市場の機能阻害」という点で否定的な意見が目立つものの、先行きの10年債利回りの見通しをみる限り、市場参加者は日銀のイールドカーブ・コントロールを実現可能とみていることが明らかになりました。 また、「10年国債利回りが0%程度で推移した場合、超長期国債の金利はどのように推移すると予想しますか」という問いに対しては、「現状程度で安定的に推移」が35%で最も高く、次いで「現状よりフラット化」が28%、「現状よりもスティープ化」が27%でした。 10年国債の過度なマイナス金利は修正 新発10年国債の金利見通しは、前月に引き続きマイナス圏にあるものの、その水準は徐々に上方修正されています。8月調査分における1カ月後の長期金利見通しは、単純平均値でマイナス0.096%でしたが、9月調査分ではマイナス0.059%になりました。9月20~21日に開催された日銀金融政策決定会合において、これまでの金融緩和政策に関する総括が行われたのと同時に、前述したように今後の金融政策において、イールドカーブ・コントロールが導入され、10年物国債利回りをゼロ%程度になるよう買い入れを行うことを決定したため、過度なマイナス金利が修正された形です。 今後、6カ月程度を想定した時、最も注目している債券価格変動要因としては、「短期金利/金融政策」が78%で、相変わらず他の要因に比べて高い水準を維持していますが、8月調査分の91%からは低下しました。 一方、8月調査分に比べて注目度が上昇したものとしては、「景気動向」、「物価動向」、「為替動向」、「海外金利」、「債券需給」ですが、いずれも注目度のパーセンテージは低く、目下マーケットにおいては、圧倒的に短期金利の動向および金融政策がマーケット関係者の注目を一身に集めている状況です。 また同じく、今後6カ月程度を想定し、最も注目される投資主体としては、これも8月調査分に比べて、大きな変化は見られませんでした。相変わらず高いのは「政府・日銀のオペレーション」で、注目度は8月調査分に比べて1ポイント低下したものの、それでも79%であり、他の投資主体に比べて圧倒的に高い水準を維持しています。それだけ、今の債券市場は日銀が他を圧倒するビッグプレイヤーになってしまったことを意味します。 ただ、それは決して健全なマーケットとは言えない面があることを、理解しておく必要があるでしょう。 債券投資のスタンスはやや長期化 ディーリング部門を除く資産運用担当者71人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」が13%から11%に、「ニュートラル」が57%から56%へとやや低下したのに対し、「ややアンダーウエート」が23%から28%へと上昇しました。 また当面のスタンスとしては、「現状を維持する」が76%から70%に低下したのに対し、「やや引き上げる」が2%から9%に上昇しました。 債券のデュレーションについて当面のスタンスは、「現状を維持する」が73%から69%に低下。「やや長くする」が16%から23%に上昇しました。10年国債よりも長期の部分で金利は上方修正されており、利回りを確保するためにデュレーションをやや長めに取るスタンスが見えてきます。

News & Views

世界的な魚食人気で「資源」枯渇の懸念…マグロ養殖ビジネスの基本をチェック

マグロの養殖ビジネスに拡大の兆しがみられます。背景にはクロマグロなどの漁獲を規制する国際的な動きや、新興国の所得アップによる魚介類の需要増加、健康志向の高まる海外での和食ブームがあります。以前、食文化の輸出をテーマにした銘柄探しを特集しましたが、日本になじみのある「食」に対する注目が、世界的に高まっています。 魚食はクールジャパン…大好きなマグロで養殖に脚光 国連食糧農業機関(FAO)の調べによると、魚介類の1人当たり年間消費量が世界平均で20キログラムと、初の大台を突破しました。中国やインドネシアといった新興諸国でのニーズが増えているためです。加えて、健康志向の高まりなどから、世界的に和食が人気化していることも影響しているようです。農林水産省がまとめた海外の日本食レストランの店舗数は、2006年に2.4万店でしたが、2015年には4倍弱の8.8万店に増加。洋画や海外ドラマのワンシーンで和食を目にする機会も増えているのではないでしょうか。 一方、日本の1人当たり魚介類の消費量は世界平均の2.5倍に当たる50キログラム(※2013~2015年の平均値)でした。主要国の中では韓国、ノルウェーに次いで第3位の消費量です(図表1参照)。肉食化が進んでいるものの、世界的にみればまだまだ魚介好きといえそうです。 主要国の魚介類1人当たり消費量 魚好きの日本人。魚の中でも好きな魚のナンバーワンはマグロです。 さてこのマグロ、食用は世界に何種類いると思いますか?答えは6種類です。この中でもクロマグロは味、価格、大きさのいずれにおいても最高とされ、マグロの王様といえます。青森県大間町の漁港で水揚げされたクロマグロは「大間マグロ」とも呼ばれ、ブランド化しているほどです。2013年に東京・築地市場で開かれた初セリでは、この大間産が過去最高値の1匹1億5540万円(1キロ70万円)で競り落とされたこともあったほどです。   日本人が好きな魚トップ3   マグロの種類と特徴   そしてこのクロマグロは日本人の大好物でもあります。世界の消費量の約8割を国内で食しているといわれています。しかし、消費量の増加を受けて、クロマグロの数はピークの1割まで減少してしまいました。 そこで現在、マグロの養殖が脚光を浴びています。 日本人が大好きなマグロの刺身   江戸時代から受け継がれる国内養殖ビジネス 日本の養殖業は、金魚や鯉などの淡水魚を皮切りに江戸時代より前からあったといわれています。一方、海水魚ではマダイの研究が1910年頃からスタート。そして20年代後半には香川県の漁業者がブリの養殖の事業化に成功しました。その後、近畿大学水産研究所の2代目所長であった原田輝雄氏が複数の網状の生簀を並べた「小割(こわり)式養殖」を発案すると、養殖業が加速的に発展。この方式は世界的に普及しました。また、同研究所は、2002年に世界初のクロマグロの完全養殖の快挙を成し遂げたことでも有名です。 国内の養殖魚の生産比率は年々増加傾向にあります(図表4参照)。農林水産省の調べによると、2015年の魚の漁獲量は309万トン。このうち、養殖魚が24万トンと、全体の約8%を占めています。マダイなど魚種によっては大半が養殖のケースもあるほどです。 国内の漁獲量の推移 ※出所:農林水産省「海面漁業生産統計調査」 養殖魚のビッグ3といえばブリ、マダイ、銀鮭でしたが、2014年に銀鮭に代わってクロマグロが3位に浮上。順位が入れ替わった背景には、世界的な資源保全の動きの強まりから、クロマグロの漁獲が規制されていることがあるようです。 5つの国際管理機関ではマグロ漁規制の動き マグロに関する国際管理機関は管轄する海域ごとに5つあります(図表5参照)。特に日本が自由に漁業ができる排他的経済水域を管理する「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」と、大西洋クロマグロを管理する「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)」は日本にとって重要です。   両機関ともに30キログラム未満の未成魚のクロマグロの漁獲を規制しています。このほか、前者では今後さらなる規制の強化も検討しているようです。後者では各マグロの生産地などの情報をデータ化する「漁獲証明制度」を採り入れ、不正な漁獲や取引の削減に役立てています。こうした世界的な規制を受けて、天然資源に頼らない「完全養殖」に期待が集まっています。 マグロの主な管理機関   クロマグロの養殖場は右肩上がりで増加 6種類のマグロのうち、主に養殖されているのは消費者に人気が高い太平洋クロマグロ、大西洋クロマグロ、ミナミマグロの3種です。国内では1970年から水産庁主導によりマグロの養殖の研究がスタート。しかし、当初は失敗続きで養殖が本格化したのは1990年以降です。 クロマグロの主な養殖方法は疑似餌を用いた「ひき縄釣り」で全長20~30センチメートル、重さ100~500グラム程度の天然の幼魚(よこわ)を捕獲し、生簀で2~3年程度飼育するスタイルです。ブリ(ハマチ)やカワハギなども同手法です。 一方、海外では数十キログラム程度まで大きくなった天然のマグロを獲ってきて生簀で餌を与えながら育てる「畜養」が主流です。スーパーなどの小売店ではどちらも養殖として表示されていますが、養殖方法は異なります。輸入品は概ね蓄養されたマグロです。    ひき縄釣り マグロ養殖の様子 クロマグロの国内養殖場の数は近年、右肩上がりで増加しています。2015年末時点では160カ所、このうち69カ所が長崎県にあります。同県の周辺海域は天然マグロの幼魚の回遊ルートで養殖に適した環境のうえ、県が養殖の振興プランを打ち出していることも数が多い理由のようです。全体的に南の海域に養殖場が集中しているのは、冬でも比較的暖かいため、魚が餌をよく食べて成長するからでしょう。 クロマグロの国内養殖場160か所の分布 クロマグロは他の魚種と比較して卸売価格が相対的に高いため、養殖業者の中にはブリやマダイからシフトする例もあるほどです。例えば、東京・築地市場で8月に取り引きされたマダイ(養殖)の卸売価格は1キログラム当たり平均1000円弱でしたが、クロマグロ(国内産)は3000円超と3倍でした。 冷凍クロマグロと養殖マダイの価格推移   近大の完全養殖は養殖産業に地殻変動もたらす 近畿大学水産研究所が世界で初めて成功したクロマグロの「完全養殖」は、従来の養殖方法とは異なり、人工孵化(ふか)したマグロの卵を再び人工的に育てるというものです。直径1ミリほどの受精卵を採取し、陸上の水槽でプランクトンを与えながら稚魚に成長するまで1カ月ほど育てます。その後、海上の生簀に移動させて3年程度かけて30キログラム以上まで育てて出荷するという仕組みです。1970年の研究開始から2002年に成功するまで実に32年の歳月を要しました。 クロマグロは生態が謎に包まれていたうえ、成長すると300キログラムにもなる巨体に反して非常に繊細な性格だからです。例えばマダイの場合、稚魚に成長するまでの生存率は50%程度ですが、クロマグロは数%といわれています。完全養殖が注目される理由は、天然物を必要としないので資源を減少させないためです。同方式なら複数の国際機関が禁止している小型のクロマグロの捕獲に抵触しません。 年率6%で成長する世界の養殖市場 世界的な魚介類のニーズの高まりを受けて、養殖ビジネスは好調です。国連食糧農業機関(FAO)によると、2012年の養殖業の生産量は過去最高の9040万トンに達し、このうち6660万トン(残りは海藻類)が食用の魚介類でした。魚介類の生産量は2000年以降、年率6.2%で伸びています。同機関は13年の魚類の生産量はさらに拡大し、7,050万トンと予想しています。世界最大の養殖大国は中国。世界の養殖生産量の6割を担っています。日本は13位でしたが、養殖市場の伸びを享受できるよう奮闘したいところです。   マグロ養殖関連銘柄は?  養殖関連の業種といえば水産・農林業。このサイトの「簡単業種分析」を利用すれば、同業種の売上規模が大きい銘柄をすぐに検索できます。上位1~3位まではいずれもクロマグロの完全養殖ビジネスを手掛けていました。売上高が最大のマルハニチロは1987年に完全養殖に取り組み、2010年に民間企業として初のクロマグロの完全養殖に成功。しかし事業化は一筋縄では行かず、プロジェクトを一時中断したこともあったそうです。「BLUE CREST(ブルークレスト)」というブランド名で大手スーパーイオンのプライベートブラントとして出荷されました。日本水産は「喜鮪(きつな)金ラベル」という商品名で2017年冬の出荷を予定。極洋は日本配合飼料と合弁会社を設立し、同じく17年の出荷を目指しています。   水産・農林業の売上の上位銘柄   マグロの完全養殖には商社も関わっています。三菱商事(8058)の子会社の東洋冷蔵、豊田通商(8015)、双日(2768)はいずれも近畿大学とタッグを組んでいます。東洋冷蔵の完全養殖マグロのブランド「TUNA PRINCESS(ツナプリンセス)」は回転ずし大手あきんどスシロー(大阪府吹田市)で提供されました。また、近畿大学はサントリーグループのサポートを受けて、養殖魚専門料理店を大阪府と東京で展開。「近大マグロ」の実力を確かめに店舗へ足を運んでみてはどうでしょうか。 マグロ養殖関連銘柄   完全養殖のクロマグロの出荷量前年比2倍 クロマグロの完全養殖は事業化にメドが立ち、今後は急速に拡大する可能性があります。農林水省が発表したデータによると、2015年の養殖クロマグロの出荷量は1万4726トン、このうち完全養殖は943トンでした(図表8参照)。出荷量自体はわずかですが、前年比の伸び率は2.4倍と大きくなりました。  ただ課題もあります。クロマグロの生存率はマダイなどと比較するとまだ低くコスト高になっているほか、餌は天然の魚を使用しているケースも多いため、環境保全を徹底するために配合飼料の導入を加速する必要があります。クリアすべきハードルはあるものの、完全養殖マグロの大量生産が現実味を帯び、日本人が大好きなクロマグロを気兼ねなく食べられる日が近づいているようです。 クロマグロの養殖方法別の出荷量   (編集:QUICK Money World)

News & Views

住宅ローン金利に影響?日銀が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入

9月20日、21日に開催された日銀政策決定会合の結果が出ました。日銀は政策目標として、政策金利(日本銀行当座預金の一部にかける金利)のマイナス0.1%を維持する一方で、長期金利は0%程度に誘導する「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を発表しました。 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」とは? 以下のホームページ上の記述(9月20日時点)のように、日銀はこれまで、長期金利の形成は市場に任せるというスタンスを取っていましたが、日銀はついに、長期金利の誘導に踏み込むことになりました。 ============================ Q6. 長期金利は誘導しないのですか? 長期金利の形成は、資金の需要量と供給量のバランスだけでなく、将来のインフレ率に対する市場参加者の予想や将来の不確実性等によって大きく左右されるため、オーバーナイト物金利のように資金量を調節して誘導することは容易ではないのです。むしろ、長期金利の形成は市場メカニズムに任せて、そこから市場参加者の予想等に関する情報を読み取れるようにすることが、とても重要なのです。 ============================ (出所:日本銀行の金融調節を知るためのQ&A https://www.boj.or.jp/mopo/outline/expchosetsu.htm/ ※9月20日時点) 下の図は日銀の公表資料から抜粋した、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で実施するイールドカーブ操作のイメージです。 イールドカーブとは、債券の残存期間ごとの利回りをグラフにしたもの。要するに、どれくらいの期間でお金を借りると、どれくらいの金利になるかの図です。お金を借りる期間が長ければ長いほど、貸し倒れのリスクなどが高まるため金利が高くなる、つまりイールドカーブは右肩上がりになるのが一般的です。 これまで日銀は、この図で言えば0年部分の金利を「政策金利」として誘導し、長い期間の金利は市場の動きに任せることで、金融政策を運営してきました。しかし、日銀がマイナス金利を導入すると長期の金利までがマイナス圏に落ち込む状況となり、一部の金融機関の収益に悪影響が出る状況となりました。もちろん、住宅ローン金利がどんどん低下するなど、家計にメリットも有りましたが、経済界からは批判の声もありました。 今回の政策変更では、操作目標として長期金利(残存10年程度の国債利回り)も追加することとなり、日銀はイールドカーブの2点を操作することになります。短い金利と長い金利の差を操作することで、業績が長短金利差の影響を受ける金融機関に配慮しているのでしょう。一方で、批判に対応しながら、マイナス金利政策を続行する意思を見て取ることができます。 この変化が家計にどのような影響を与えるかを簡単に考えてみたいと思います。 住宅ローン金利は下げ止まる? 住宅ローン金利のうち長期の固定金利について、金融機関は、10年物国債の金利の動きを目安に決めているとされます。今回の政策変更を受けて10年物国債の利回りは約半年ぶりにプラスに浮上する場面がありました。 今回の政策変更をきっかけに、目安となる10年物国債の金利がどんどん低下するという見方が後退し、長期の固定金利が下げ止まる、あるいは上昇に転じることが考えられます。 一方、住宅ローン金利のうち変動金利は大きくは動かないとの見方があります。変動金利は「短期プライムレート(短プラ)」という金利がベースとなっており、短プラ+1%が基準金利として、店頭で表示される貸出金利となります。また「短プラ」の変動を基準として見直されるのが一般的とされます。 変動金利の基準となる短プラは、銀行の短期貸し出し金利の基準でもあり、日銀の政策金利によって変動すると見られています。短プラはマイナス金利の導入前後で変わらず1.475%となっています。 なので今回、政策金利についてはマイナス0.1%で変わらなかったため、変動金利の基準になる短プラに大きな変化は無いと考えられます。   市場変動が激しいときの株式投資 また、金融政策が新たな局面に入ったことで、相場環境は読みづらくなりました。この記事を書いている9月21日午後の段階でも、株や為替は荒い値動きとなっています。不透明な環境で株式投資を継続するためには、どうすればいいのでしょうか。 市場ボラティリティが激しいマーケットの状況下では、テクニカル指標に基づいたトレーディングを行う際には非常にやりやすい環境ではありますが、中長期の業績に基づいたファンダメンタル運用はやりにくさがある、という意見があります。 この環境下では、相場全体の方向がどう動くかわからず、優良銘柄に投資したとしても、株価が相場全体の動きに振り回され、一時的に下落する可能性があるためです。新しい政策が、経済全体にどのような影響を与えるかが明確になるまで、積極的な動きを控えるのもひとつの選択肢かもしれません。 収益率と成長率が高く、割安な銘柄、つまり長期的に株価の上昇が見込める銘柄を、中長期で保有するというのも一つの手段でしょう。「収益性」が業界平均よりも高い(=競争力がある)銘柄で、「成長」度が高く、割安な水準で拾うというやり方が考えられます。 収益性、成長、割安さを測る指標はいくつかありますが、QUICKの銘柄スクリーニングなどで簡易的に探すこともできますので、参考にしてください。

QUICK Knowledge

9月日銀会合「現状維持」予想7割 マイナス金利深掘りは「円安要因」(9月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の9月調査を、9月16日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者72人が回答、調査期間は9月9~14日)。この間の為替レートは、対ドルが101円81銭~102円31銭。対ユーロが114円31銭~115円20銭でした。 9月の日銀会合、「現状維持」予想7割に 日銀が7月28~29日開催した金融政策決定会合において、上場投資信託(ETF)の買入額の増額を発表しました。これまで年間3.3兆円だったのを、ほぼ倍増の6兆円のペースで買い入れるというものです。現状、これによって円高是正に具体的に効果があったのかどうかを聞いたところ、「少しあった」が48%。次いで「全く無かった」が45%となりました。「かなりあった」は6%で、円高進行を抑えたとの見方がやや上回る結果となりました。 この発表が行われた後から現在までの株価の値動きを追うと、次のようになります。日経平均株価・・・・・・・16569.27(7/29)⇒16405.01(9/15)東証マザーズ指数・・・・・・920.40(7/29)⇒ 908.02(9/15)ドル円相場・・・・・・・・・103.61(7/29)⇒ 102.44(9/15) このように、主力大型株中心の日経平均株価も、新興株中心の東証マザーズ指数も、ETF買入額の増額が発表されてから、現在に至るまで下がっています。株安を受けてドル円相場も円高方向に増えています。 とはいえ、日経平均については、9月6日に1万7081円98銭まで上昇し、ドル円相場も一時1ドル=104円台前半にドル高・円安が進み、ETF買入額の増額による効果が全く無かったというわけでもなさそうです。 ただ、6兆円を買い入れるといっても、それを一度に買うわけではなく、1年間にわたって徐々に買っていくこと、基本的には日経平均株価に連動するETFを中心に買うことを考えると、特に個人投資家が多く参戦していると思われる小型株への影響はほとんどなく、それゆえに効果が「全く無かった」とする声が挙がるのも分かります。 一方で注目されるのが、9月20~21日にかけて開催される日銀金融政策決定会合です。ここで、これまでの金融政策について「総括的な検証」が行われることから、その中身が注目されています。今のところ「もう一段の金融緩和に含みを持たせる」ような内容になるのではないか、との見方が大勢を占めていますが、今回の会合で金融緩和が決定されるかどうかを聞いたところ、「現状維持」が68%、「追加緩和」が32%となりました。 さらに「総括的な検証」後の金融政策の枠組みについて、それぞれ最も高い回答は、量的緩和が「現状維持」で69%、質的緩和が「拡大・拡充」で51%、マイナス金利が「現状維持」で51%となりました。ただ次点を見ると、質的緩和は「現状維持」が49%、マイナス金利は「拡大」が47%となっており、1位と僅差であることから、市場の見方が二分されていると考えて良さそうです。 マイナス金利深掘り「円安圧力」、物価目標撤回は「円高圧力」に また、「総括的な検証」後の金融政策の枠組みで、仮にそれぞれの政策をとった場合のドル円に対する影響について聞いたところ、マイナス金利の深堀りは「円安圧力」が62%、「影響なし」が21%、「円高圧力」が17%。国債買い入れの実質減額による柔軟化(レンジ設定)は「円高圧力」が65%、「影響なし」が30%、「円安圧力」が6%。国債買い入れの実質増額による柔軟化(レンジ設定)は、「円安圧力」が57%、「影響なし」が31%、「円高圧力」が11%。物価目標達成時期の撤回は「影響なし」が46%、「円高圧力」が45%、「円安圧力」が8%となりました。 円はやや弱含み見通し ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の102円07銭から円安・ドル高方向にシフトし、102円43銭になりました。前月にかけて、1カ月後のドル円の見通しは3カ月連続して円高・ドル安方向にシフトしたため、目先の円高圧力が強いと思われましたが、とりあえず今月調査で円安・ドル高方向にシフトしたことにより、円高圧力はやや一服した感があります。 今後の注目点としては、米国の金利の先行きで、金利上昇ムードが強まるのかどうかということ、さらに前述したように、9月20~21日に開催される日銀金融政策決定会合において、日銀がもう一段の金融緩和姿勢を明確に打ち出してくるかどうか、ということでしょう。現状、米国の長期金利は上昇し、日銀の金融緩和期待が強いことを考慮すると、金利差からドルは買われやすい環境になります。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円はそれぞれ前月に比べて大きな変化は見られなかったものの、相変わらず「金利/金融政策」が84%と高止まり。ドルは「金利/金融政策」が前月比15%上昇して84%になり、ユーロも同じく「金利/金融政策」が前月比26%上昇して70%になりました。主要通貨については当面、金融政策の動向が注目されます。ちなみにユーロの場合、「政治/外交」が前月比25%マイナスになり、16%へと低下しました。 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIが前月調査でプラス34まで低下したものの、今月調査ではプラス41に上昇。ドル買い意欲がやや戻ってきています。ユーロもマイナス31からマイナス7まで縮小し、その他では英ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル、ブラジルレアル、中国人民元、韓国ウォン、インドルピー、ロシアルーブルなど、幅広い通貨で、対円のマイナス幅が縮小、あるいはプラスの上昇という結果になりました。これらの点から、やや円は弱含みで推移するとの見方が多いといえます。 ヘッジ比率は低下 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「オーバーウエート」が前月の25%から0%に減少する一方、「アンダーウエート」が0%から13%に上昇しました。また「ニュートラル」は75%から88%への上昇です。やや外貨の組み入れを増やす動きには一服感があったようですが、当面のスタンスとしては、「現状のヘッジ比率を維持」が100%から83%に低下し、「ヘッジ比率を下げる」が0%から17%に上昇しています。ファンドのスタンスからも当面はドル買い意欲が強まるものと思われます。

QUICK Knowledge

衝撃の結果?仮想通貨技術「活用することなさそう」7割に(9月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している9月のQUICK短観(9月1~12日調査分、上場企業421社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス10となり、前月調査から2ポイント改善しました。改善は2カ月連続となります。一方、非製造業DIは前月比2ポイント悪化のプラス29となり、結果、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ2ポイント上昇のプラス22となりました。 景況感は徐々に底入れ? QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。 過去の日銀短観の推移を「大企業製造業」の業況判断DIでみると、次のようになります。 2014年3月・・・・・・プラス17    6月・・・・・・プラス12    9月・・・・・・プラス13    12月・・・・・・プラス12 2015年3月・・・・・・プラス12    6月・・・・・・プラス15    9月・・・・・・プラス12    12月・・・・・・プラス12 2016年3月・・・・・・プラス6    6月・・・・・・プラス6 このように、2014年3月のプラス17をピークにして、2015年6月まで一進一退を続けた後、2016年に入ってから下落傾向が強まりました。 一方、直近のQUICK短観をみると、製造業の業況判断DIの推移は、次のようになります。 2016年3月・・・・・・プラス5    4月・・・・・・プラス8    5月・・・・・・プラス7    6月・・・・・・プラス9    7月・・・・・・プラス7    8月・・・・・・プラス8    9月・・・・・・プラス10 今回の日銀短観は、7~9月期の景況観をベースにしたものを10月に公表します。そこで、日銀短観と平仄を合わせる意味で、2016年に入ってからのQUICK短観を3カ月の平均値でみると推移は以下のようになります。 2016年1~3月・・・・プラス9    4~6月・・・・プラス8    7~9月・・・・プラス8 このようにみると、10月3日に公表される9月の日銀短観の結果は、7月に公表された4~6月分の数字とほぼ変わらず、横ばいに近い数値が出ることを示唆しています。ただ、QUICK短観をみると、7月のプラス7から、8月、9月と2カ月連続して改善している点、DIの水準がプラス10に乗せたことなどから、企業の景況感は徐々に改善の兆しがみえつつあると言えそうです。 製造業の収益環境が悪化 生産・営業用設備については、全産業ベースでみると、「過剰」の割合から「不足」の割合を差し引いたDIは前月に比べ4ポイント悪化のマイナス5になりました。製造業は若干過剰気味ですが、非製造業は不足感が強く、DIは前月に比べ4ポイント悪化のマイナス10になりました。 一方、雇用の過不足をみると、全産業ベースでは前月に比べ2ポイント悪化のマイナス35でした。製造業の不足感もさることながら、非製造業での不足感がマイナス49まで悪化しています。日本企業というと製造業が目立ちますが、すでに産業構造ではサービス産業の比率が高いので、非製造業での雇用不足は、経済全体にとってマイナスの影響を及ぼす恐れがあります。 また販売価格について、「上昇」の割合から「下落」の割合を差し引いたDIは、金融を除く全産業ベースで、前月に比べて2ポイント上昇のプラス6。仕入価格DIは、金融機関を除く全産業ベースで、前月に比べて2ポイント上昇のプラス6になりました。 全体でみれば、仕入価格が上昇する一方、販売価格も上昇しているので、企業の収益環境はそう悪化していないようにみえます。ただ、製造業についていえば、仕入価格DIがマイナス3であるのに対し、販売価格DIがマイナス11。前月比でみると、仕入価格DIが大きく上昇しました。販売価格に比べて仕入価格が上昇すれば、収益環境は悪化します。今後の為替相場の動向も踏まえたうえで、この点は要注意といえるでしょう。 マイナス金利深掘り、企業活動に中立要因か 9月の特別調査では、①日銀のマイナス金利深掘りは事業運営にどのような影響がありそうか、②仮想通貨の技術を活用することについてどう考えるか――の2点について質問しました。 日銀が9月20~21日に開催する金融政策決定会合では、これまで行ってきた金融政策についての「総括的な検証」が発表されることになっており、その内容が注目されています。現状では、金融緩和につながる内容になるのではないか、という見通しが多いようですが、企業の事業運営という点でみると、金融緩和政策のひとつである「マイナス金利のもう一段の深堀り」については、効果がほぼ限られるとの結果が出ました。 特に金融機関にとっては、マイナス金利が収益減につながる恐れがあります。アンケート結果をみると、「良くも悪くも影響はなさそう」との回答が65%と大半を占めました。一方、「良い影響」(17%)と「悪い影響」(18%)はほぼ同率になっています。 全体的にみた場合、マイナス金利の深堀りが企業経営に及ぼす影響は、ほぼニュートラルと考えられます。ゆえに、それはマーケットにとってある種、カンフル剤的な効果はあるかもしれませんが、実体経済に直接、何らかの影響を及ぼすかと言われると、いささか心許ない部分があることは否定できません。 仮想通貨技術の活用に消極的な意見 次に仮想通貨技術に関する質問です。ビットコインをはじめとする仮想通貨と、それを支える技術(=ブロックチェーン)に対する関心が高まっています。すでにリアル店舗でも仮想通貨による決済が行われており、今後、現金通貨に取って代わる新しい決済手段になる可能性が高いと期待されています。 ただ、アンケートによると「活用することはなさそう」との回答が70%に上り、「すでに活用している」と「将来的に活用することが決まっている」はそれぞれ1%にとどまりました。「将来的に活用する可能性はある」は29%でした。 まだ、ブロックチェーン技術に対する認識が広まっていないということも考えられますが、いずれにせよ仮想通貨を普及させるためには、幅広く認知させるための啓蒙が必要になりそうです。

QUICK Knowledge

異次元緩和はデフレ脱却に効果あった? 「検証」、評価は割れる(9月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の9月調査を、9月5日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者156人が回答、調査期間は8月30~9月1日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6677円~1万6941円で推移しました。8月調査の最終日に当たる8月4日の日経平均は1万6254円、9月1日は1万6926円となり、この1カ月で4%強上昇しました。一方、同期間のマザーズ指数は逆に1%超の下落。前月に続き、物色の対象は新興株から主力大型株にシフトしたままとなりました。 薄まる金融緩和への期待感 今回のアンケートでは、9月20~21日に開催される日銀金融政策決定会合において注目されている「総括的な検証」を、株式市場関係者がどう考えているのかを聞きました。 まず、黒田日銀総裁の異次元緩和は全体としてデフレ脱却に効果があったのかどうか、との質問ですが、「効果があった」との回答は全体の42%。次いで、「効果があったともなかったとも言えない」が32%、「効果はなかった」が15%となりました。「これから出てくる」という回答比が7%あったものの、異次元緩和の効果に対する見方は、それを積極的に認める、あるいは今後に期待する回答が合わせて50%程度であることからすると、大きく見方が二分されています。 日銀としては今後、金融政策をどう運営すべきかという点については、「金融政策と財政政策との協調」が34%、「政策目標(インフレ率・期限)の修正」が29%、「現行政策の維持」と「追加緩和」が同率で14%となりました。 追加緩和を求める声は意外に少なく、これは追加緩和に対する期待感が薄らいでいることを示しています。事実、マイナス金利も含めて、ここまで金融緩和を行ってきたにも関わらず、消費者物価指数の上昇率は「生鮮食品を除く総合」で7月は前年同月比0.5%低下となり、日銀が当初、目標として掲げていた「消費者物価指数の上昇率2%」には、ほど遠い状況にあります。緩やかなインフレに転換しない限り、日本はデフレ経済から脱却したことにならず、アベノミクスも異次元緩和政策も「やるだけ無駄だった」という評価になる恐れがあります。 日銀ETF買い入れ「相場の下支え要因に」約6割 また、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れが株式市場にどのような影響を及ぼしているのかという点については、「相場の下支えになっている」が56%、次いで「市場の価格形成を歪めている」が27%で、両方の回答だけで全体の80%以上を占めました。一方、「相場全体を引き上げている」という回答比は9%に過ぎず、ETFの買い入れはあくまでも相場の下支え要因に過ぎないというのが、株式市場関係者の大方の見方のようです。 株式市場は為替や金利に左右される展開に 1カ月後の日経平均株価予想は平均値で1万6935円となり、前回調査の1万6352円から上方にシフトしました。 前述したように、国内株式市場の物色対象は、新興株から主力大型株へのシフトが続いています。その理由のひとつは、為替相場でしょう。8月半ばにかけて、1ドル=100円を割り込む水準まで円高・ドル安が進みましたが、その後は米国の景気が堅調さを増すのと同時に、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが行われるのではないかとの観測が浮上し、ドル買いムードが強まりました。9月2日には1ドル=104円台まで円安・ドル高が進み、国内株式市場においては主力大型株を中心にして、物色意欲が高まるという流れになっています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が前月調査の32%から35%に上昇。「金利動向」も6%から11%に、「海外株式・債券市場」も7%から11%に上昇しました。 逆に、「景気・企業業績」は44%から31%に低下しました。当面、株式市場は為替相場や金利、海外の株価や金利など、マーケット要因に左右される展開になるとみている株式市場関係者が増えています。 こうした環境のなか、今後、6カ月程度を想定して最も注目される投資主体としては、「外国人」が相変わらず高く、前月調査の78%から80%に上昇。「企業年金・公的資金」も10%から12%に上昇しました。逆に、8月調査分で大きく上昇した「個人」は、低下しています。 機関投資家はやや様子見姿勢に 資産運用担当者64人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、やや強気にシフトした様子が伺えます。「ニュートラル」が前月調査の49%から46%に、「ややアンダーウエート」が16%から15%に、「かなりアンダーウエート」が7%から6%に低下する一方、「ややオーバーウエート」が29%から33%に上昇したからです。 ただ、これから先の投資スタンスになると、やや慎重な姿勢が伺えます。当面、どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「やや引き上げる」が24%から17%に低下。その一方で「現状を維持する」が67%から70%に、「やや引き下げる」が7%から9%に、「かなり引き下げる」が0%から2%に上昇しています。 9月は日銀金融政策決定会合やFOMCなど、金融・株式市場に大きな影響を及ぼす日米会合が相次ぐこともあり、株式市場関係者の間でも、様子を見たいというムードが広まりそうです。

QUICK Knowledge

業績モメンタム悪化に歯止め? 食料品DIなどプラス拡大、化学・銀行はマイナス縮小(8月)

全産業DIはマイナス27に改善 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年8月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス27となりました。前月から7ポイント改善しました。同DIの改善は2カ月連続となります。絶対値をみると依然として企業全体の業績見通しは厳しいと言わざるをえませんが、米景気の拡大や政府・日銀の経済対策への期待といった下支え要因を背景に業績モメンタムの悪化に歯止めがかかり始めた可能性もありそうです。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 全産業DIの過去1年の推移をみると以下の通りになります。8月・・・・・・ 169月・・・・・・ 1010月・・・・・・ 311月・・・・・・▲312月・・・・・・▲31月・・・・・・▲32月・・・・・・▲203月・・・・・・▲304月・・・・・・▲305月・・・・・・▲336月・・・・・・▲367月・・・・・・▲348月・・・・・・▲27 8月は前月に比べて7ポイント改善しました。もちろんマイナス27ポイントですから、水準そのものは決して良いとはいえませんが、今年3~7月までマイナス値が30ポイント以上だったことを考えると、若干、悲観ムードが緩んできた感はあります。 業種別DI、10業種が改善 食料品などプラス拡大 化学・銀行はマイナス縮小 業種別のDIをみると、前月からDIが改善したのは16業種中10業種となりました。詳細は以下の通りです。↑プラス拡大・・・・「食料品」「建設」「情報通信」↑マイナス縮小・・・「化学」「鉄鋼」「輸送用機器」「卸売」「小売」「サービス」「銀行」―マイナスが横ばい・「非鉄金属」「機械」↓プラス縮小・・・・「医薬品」「不動産」↓マイナス拡大・・・「電機」「その他金融」 7月は「プラス拡大」セクターはありませんでしたが、8月は3業種でプラス拡大がみられ、かつマイナス拡大のセクターは、7月の5業種に対して8月は2業種に減少。マイナス縮小となったセクターは、7月の5業種に対して8月は7業種に増えました。マイナス縮小セクターでは、化学がマイナス56からマイナス11へと改善したほか、銀行はマイナス38からマイナス20となりました。多くの業種において、業績の先行きに対する見方がやや良くなってきたと考えられます。 次に、DIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。昨年以降の製造業DIは、8月・・・・・・ 109月・・・・・・▲510月・・・・・・▲1211月・・・・・・▲1812月・・・・・・▲151月・・・・・・▲112月・・・・・・▲353月・・・・・・▲484月・・・・・・▲475月・・・・・・▲476月・・・・・・▲487月・・・・・・▲498月・・・・・・▲45 これに対して非製造業DIは、8月・・・・・・ 179月・・・・・・ 2510月・・・・・・ 2011月・・・・・・ 1512月・・・・・・ 121月・・・・・・ 82月・・・・・・▲33月・・・・・・ 14月・・・・・・▲15月・・・・・・▲96月・・・・・・▲187月・・・・・・▲158月・・・・・・▲7 製造業、非製造業ともに、DIのマイナス値が縮小しました。両DIともプラス転換ではないため、まだ予断を許さない状況であることに変わりはありません。しかし、DIのマイナス縮小は、少なくとも企業業績予想が最悪期を脱したことを伺わせます。 日経平均株価も8月3日には1万6083円まで下落していましたが、8月末には1万6887円まで回復してきました。ドル円相場が一時の1ドル=100円割れの水準から103円前後まで戻したことも、株価にとっては好材料になっています。 ただ、6月の日銀短観で明らかになった各業種の想定レートによると、自動車は109円13銭、電機は112円34銭などとなっていました。そのため、103円前後の為替レートは、特に輸出製造業にとっては厳しい水準にあると言わざるを得ません。 また、7月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合でマイナス0.5%と、6月のマイナス0.4%よりも悪化。食料・エネルギーを除く総合も6月の0.5%に対して7月は0.3%と、伸び率が鈍化しました。生産効率を上げにくい非製造業の場合、物価の下落は業績の悪化につながりやすいだけに、物価の上昇率低下は業績にとってネガティブ要因になります。 東芝の上方修正目立つが… 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。銘柄数の内訳は「強気」が48銘柄で、「変化なし」が129銘柄、「弱気」が131銘柄になりました。 <上方修正率の大きい銘柄>1位 東芝(6502)・・・・・・・・・・52.42%2位 ソフトバンクグループ(9984)・・42.58%3位 セガサミーHD(6460)・・・・・29.56%4位 中部電力(9502)・・・・・・・・28.74%5位 三井化学(4183)・・・・・・・・24.29% <下方修正の大きい銘柄、▲は減少>1位 日本写真印刷(7915)・・・・・▲76.15%2位 神戸製鋼所(5406)・・・・・・▲55.43%3位 SUMCO(3346)・・・・・・▲54.90%4位 不二越(6474)・・・・・・・・▲43.01%5位 四国電力(9507)・・・・・・・▲42.35% 2016年3月期に、連結ベースで4600億円の最終赤字を計上した東芝ですが、国内外で1万4450人にも達する人員削減を含む大幅なリストラ策により、16年4~6月期決算は改善しました。株価も一時は200円を割り込んでいましたが、徐々に回復し、320円前後で推移しています。ただ、リストラによって事業部門の売却も行っており、リストラ効果が終息した後の業績改善には不透明な部分があるのも事実です。

News & Views

ファッション市場を揺るがすキーワード「プチプラ」…デフレとは言い切れない流行の秘密とは?

現在のファッション市場では、「プチプラ」というキーワードが市場を揺るがしています。世の女性たちが安価な商品を買い求めていること、これまでの「デフレ」とは異なる、新しい消費者マインドが理由となっているのです。 そもそも、「プチプラ」とは? プチプラとは「プチプライス」の略で、簡単に言えば、値段が安い、手軽に購入できる商品を意味します。ファッション業界では女性向けの衣類、雑貨、化粧品が対象となっており、例えば「ユニクロ」や、その低価格版ブランドである「GU」、または「しまむら」や「無印良品」などがプチプラブランドの代表格と言えます。特に、値段が安くてかつ「かわいい、おしゃれ」である商品を指します。 プチプラ自体は2010年頃から主に女子高生や20代前半の女性の間で話題に挙がっており、取り立てて新しい用語ではありません。ところが、ここ数年、より年代が上の「大人」の女性も含めて、広く用いられるようになりました。例えば、Googleのキーワード検索の人気度をグラフ化した「Googleトレンド」サービスを利用して、「プチプラ」の人気度のグラフを見てみます。 上記のグラフを見れば、2014年頃から急速に人気度が上昇していることが分かるかと思います。2016年3月に一旦のピークを迎えていますが、現在も高い人気を維持しています。 プチプラ流行は「SNS」が一役買っている 「安価な商品が人気」となると「デフレが進行している」と考えたくなりますが、そうとは言い切れない面もありそうです。 まずそもそも、国内でデフレが進行しているとは言えない状況です。デフレが進行していないことの根拠としては、総務省統計局が発表している消費者物価指数が挙げられます。2014年の消費税引き上げによる物価上昇を除けば、2010年以降、全体の物価あるいは衣服の物価はほぼ横ばいの傾向が続いています。 また、過去には「牛丼戦争」「ハンバーガーの価格破壊」など、デフレ時代を象徴する価格戦争が起こりましたが、プチプラ流行はそれらとは一線を画しています。過去の流行に共通するのは、商品同士の価格競争の結果として安いモノが流行したこと。プチプラ流行は、そのような競争によって生み出された訳ではありません。 実は、プチプラの流行に重要な役目を担っているのが「SNS」(ソーシャルネットワークサービス)であり、とりわけ写真共有サービスである「インスタグラム」が大きく影響しています。インスタグラムは2010年頃から米国を中心に広まっているサービスで、日本では2014年頃から急速に流行が広がっているサービスです。これは、プチプラの流行が始まった時期と一致しています。 インスタグラムでは、利用者(個人)のファッションコーディネートや購入品などさまざまな画像がアップロードされています。そのなかでも、「#プチプラ」「#プチプラコーデ」などのハッシュタグをつけてプチプラ商品を紹介している利用者が多く見られます。例えば、下記の投稿では、ユニクロで購入したボトムスを着こなすコーディネートが紹介されています。   Hanaさん(@hana.7jo)が投稿した写真 – 2016 8月 28 4:58午前 PDT   インスタグラムなどSNSで良く見かけるワードとして、「パトロール」が挙げられます。これは、「ユニクロ」に代表されるプチプラブランドの店舗に訪れて、掘り出しモノが無いかチェックすることを指します。とくに「しまむら」を対象にした「しまむらパトロール」「しまパト」が有名です。しまむらの品ぞろえの特徴は「安い」もさることながら品数が多く、中には「おしゃれ」「かわいい」商品が見つかることから、パトロール先の典型的な店舗として人気となっています。例えば下記は、しまむらパトロールで発掘したシャツを着こなしている投稿です。   Miki Tonomuraさん(@mikitonomura)が投稿した写真 – 2016 8月 28 8:12午後 PDT   インスタグラムのハッシュタグで良く見かける上場銘柄のブランドとしては、例えば下記が挙げられます。いずれも、ここ数年で売上を伸ばしている企業です。   銘柄 ブランド ハッシュタグ ファーストリテイリング(9983) アパレル「ユニクロ」「GU」 #ユニクロ #上下ユニクロ部 #GU しまむら(8227) アパレル「しまむら」 #しまむら #しまむらパトロール 良品計画(7453) アパレル、雑貨、化粧品「無印良品」 #無印良品 #MUJI セリア(2782) 100円均一「セリア」 #セリア キャンドゥ(2698) 100円均一「キャンドゥ」 #キャンドゥ パル(2726) 300円均一「3coins」 #3coins   SNSが変えるのは、ファッションの「ブランド力」か SNSがファッション市場にもたらしていることは、「プチプラ」という単語が流行している事実のみではありません。そもそも、ファッションブランドにおける「ブランド力」が大きく変わろうとしています。 SNS普及前は、「TV」や「雑誌」などのメディアが情報発信源となり、ファッション流行の舵を取っていました。そこで大きく取り上げられるのは、広告費を大きく掛けられる「高級ブランド」「大手ブランド」です。消費者がブランドを選ぶに当たり重要だったのは「作り手が発信するイメージ」であり、そのイメージを生み出すコストが価格に乗っていたと言えます。 しかし、SNSの普及により、良いモノは瞬時に拡散される現代においては、「作り手のイメージ」よりも「モノ自体の良し悪し」が重要視されつつあります。特にインスタグラムなど写真共有サービスでは、いかに写真映えするかが鍵となっています。 この時代においての「ブランド力」とは、「消費者同士で共有したくなるような商品を産み出せる力」といえるでしょう。これまでのファッションビジネスでは「広告費を掛けて情報を発信する」ことでブランド力を維持するのが一般的でしたが、そのビジネスが根本から見直される時代に差し掛かったともいえそうです。 (編集:QUICK Money World)

QUICK Knowledge

総括的検証、黒田日銀の金融政策「デフレ脱却に効果」評価割れる(8月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の8月調査を8月29日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者140人が回答、調査期間は8月23~25日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りがマイナス0.090~マイナス0.080%で推移しました。 日本国債のイールドカーブをみると、7月26日時点から8月26日時点にかけて以下の通りとなりました。         7月26日  8月26日10年債・・・・▲0.253%⇒▲0.069%15年債・・・・▲0.027%⇒ 0.081%20年債・・・・・0.168%⇒ 0.278%30年債・・・・・0.265%⇒ 0.353% 7月にかけて、マイナス金利が一段と深堀りする動きを見せていましたが、8月は一転して水準を切り上げてきました。7月28~29日に開催された日銀金融政策決定会合で、当初期待されていたマイナス金利の深堀りや国債買い入れの増額が見送られたことから、7月前半に比べ、マイナス金利でも国債を買い進めていく動きが鈍りました。当面は、もう一段の金融緩和が行われるのかどうかという思惑によって、長期金利が上下にぶれる展開になりそうです。 注目される9月日銀会合での「総括的な検証」 次回の日銀金融政策決定会合は、9月20~21日に開催されます。ここで注目されるのが、前回の金融政策決定会合で発表された「総括的な検証」が行われることです。その内容はまだ分かりませんが、今回のアンケートでは債券市場関係者に「総括的な検証」をしてもらいました。 まず、黒田日銀総裁の異次元緩和は、全体としてデフレ脱却に効果があったのかという点を問うと、「効果があった」と「効果があったともなかったとも言えない」がともに33%でトップとなりました。次いで「効果はなかった」が20%。「かえって逆効果」という回答も6%ありました。 次に、日銀として今後、どうすべきと考えるかを聞いてみると、「現行フレームワークの一部修正」が45%で最多。次いで「新しい景気刺激フレームワークの導入」が23%が続きました。一方、「緩和政策の縮小」は14%となりました。 緩和政策の縮小という、現行の金融政策に対峙する考えも含め、現在の政策フレームワークに対して、債券市場関係者の間では見直しを求める声が強まっているようです。 そして、金融政策の運営はどのようなあり方が適切と考えるかについて問うと、「市場との対話を図って市場の期待に沿う」が66%で最多となりました。次いで「あらかじめ定量的なルールを設定し、それに従う」が13%、「その他」が13%となりました。 「その他」を具体的にみると、「金融政策の限界を十分認識したうえで、政府に政策要望」、「ルールより裁量を重視した政策運営が望ましい。市場に過度に配慮するのではなく、物価の安定がトッププライオリティであることを再認識すべき」、「物価安定目標の柔軟化、枠組みの見直し」、「市場の期待に沿う形を取らなくても良いが、対話して欲しい」といった声が挙がりました。 短期金利/金融政策への注目度が高い 新発10年国債の金利見通しは、7月調査分に比べて、マイナス水準であることに変わりはありませんが、若干上昇しました。前述したように、7月の日銀金融政策決定会合において、日銀が国債買い入れの増額に踏み込まなかったため、日銀の金融緩和政策に限界があるという見方が広まった影響が大きいとみられます。 今後、6カ月程度を想定した時、注目度で上昇したのが「短期金利/金融政策」で、7月調査の81%から、8月調査では91%まで上昇しました。一方、「債券需給」は10%から4%へと低下。日銀の国債買い入れ増額が見送られたことによって、債券市場の需給バランスが緩むとの見方を反映したものとみられます。 今後注目している投資主体としては、「政府・日銀のオペレーション」が7月調査分の74%から、8月調査分では80%に上昇。一方で「外国人」が12%から5%に低下しました。その他の投資主体では、「都銀・信託銀行(投資勘定)」、「地方銀行」、「生損保(年金除く)」が上昇する一方、「信金・信組」、「年金資金(投資顧問含む)」、「ディーラー」が低下。「投資信託」、「農林系」、「郵貯・簡保」が0%で変わらずという結果になりました。この数字からも、現在の国内債券市場は、政府・日銀の動きに市場が支配されていることが浮き彫りになっているといえます。 債券組み入れ状況に大きな変化は見られず ディーリング部門を除く資産運用担当者71人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが現在、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、前月に比べて大きな変化はみられませんでした。「かなりオーバーウエート」は0%で変わらず。「ややオーバーウエート」が若干の低下となり、「ニュートラル」、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」が微増です。 また、今後のスタンスについては、「現状を維持する」が7月調査分の82%から76%に低下する一方、「やや引き下げる」が12%から20%に上昇しました。 現在のデュレーションは、「やや長い」が23%から31%に上昇する一方、「かなり長い」、「ほぼ基準通り」、「やや短い」、「かなり短い」が微減。当面のデュレーションについては、「やや短くする」、「かなり短くする」が微増で、「かなり長くする」、「現状を維持する」が微減。「やや長くする」が変わらずとなりました。

News & Views

「夏枯れ相場」はいつまで続く?過去のアノマリーを紐解くと…

日本中が熱狂したリオ五輪も閉幕し、季節はもうすぐ秋に差し掛かろうとしていますが、株式市場は未だ「夏枯れ相場」の最中。市場全体に「冷めた」空気が漂っており、株式相場の変動も控えめです。この閑散とした相場は果たしていつまで続くのか。格言では「彼岸底」「5月に売って9月に戻れ」などと言われてますが、今回は過去の統計を基に導き出した「アノマリー」から答えを見出しましょう。 そもそも、夏枯れ相場は本当か? QUICK Money Worldのマーケットカレンダーを見れば、各月の取引傾向とアノマリーが確認できます。しかし、日経平均株価の過去勝率を基にしたデータなので、売買の「繁忙」「閑散」までは傾向がつかめません。そこで、今回は東証1部全銘柄の売買代金の統計を基に、「取引の多い日」「少ない日」を調査しました。対象期間は、QUICK端末で確認できる1999年から2015年までの17年間です。以下が、調査結果を1つのカレンダー画像にまとめたものです。 この図のつくり方を説明しておきます。一年間のそれぞれの日付について年間の売買代金ランキングをつくります。1999年~2015年にかけての順位の平均値を取得し、その値に応じて繁忙か閑散を判断しています。ランキング順位に基づいて集計したのは株価の上下による売買代金の変動の影響を除くためです。株価が高くなれば、一単位の売買代金も大きくなるためです。 要するに、赤色が濃いほど相対的に取引が多く(繁忙)、緑色が濃いほど取引が少なく(閑散)なる傾向にある日となります。 これを見れば一目瞭然、やはり夏枯れ相場は存在するようです。6月から9月にかけてが、年間を通して閑散期にあたる時期で、特に8月は取引の少ない日が続きます。 夏枯れ相場の一旦の終わりは、9月中旬である9月16日頃です。また、シルバーウィーク直前にあたる9月19日は、特に取引が多くなる傾向があります。 2月から5月に繁忙期が訪れる 夏枯れ相場以外の繁忙期と閑散期についても見ていきましょう。 カレンダーを見てみると、2月から5月にかけて赤色の濃い日が集中して表れます。この時期が繁忙期と言えます。中でも2月29日(うるう日)、5月7日、3月14日は年間で最も取引の多い日となる傾向が見えます。また、1月14日、2月14日、3月14日は前後の日と比較して取引が多くなる傾向があります。これらの日の取引が多くなる理由については、明確な答えが見出せません。いわゆるアノマリー(合理的に説明できない経験則)であると言えます。 意外と大きい「クリスマス」の影響 逆に夏枯れ相場以外の閑散期を探すと、10月の中旬頃と、年末年始の商いが少なるなる傾向が見えます。特に12月25日は、年間でも際立って取引の少ない日です。この日は「クリスマス」のため、外国人投資家が一斉に休み、商いが薄くなると言われていますが、それが統計上でも顕著に表れています。また、外国人はクリスマスから年明けにかけて休暇に入ると言われ、日本人も年末年始に休む傾向があるため、12月25日以降から年明けの1月5日頃までは閑散が続くようです。 なお、これらはあくまでも過去17年間の統計に基づくデータです。経済的なイベントや投資環境の変化等により、アノマリーと反する動きとなったり、傾向が変化する事も考えられますので、過信は禁物です。 (編集:QUICK Money World)

QUICK Knowledge

為替介入「95~90円」予想が3割強 外為プロに聞く

外国為替市場で円高・ドル安が進行しています。現在、1ドル=99円台後半と、節目の100円を下回る水準で推移しています。金融庁と財務省、日銀は18日午後、国際金融市場に関する3者会合を開催。日経QUICKニュースによると、財務省の浅川雅嗣財務官は会合終了後に記者団に対し、為替相場について「投機的な動きがないかどうかは絶えず注視し、もしあれば必要な対応をきっちりとると確認した」と述べた、と伝えています。 市場は「必要な対応」として政府・日銀による為替介入の実施に注目しています。QUICKが15日に公表した8月のQUICK月次調査<外為>では、日本の通貨当局はどの程度まで円高が進行すれば為替介入に動くと思うか、外為市場関係者にアンケート調査しています。 それによると、「95~90円」との回答が34%で最多となりました。次に「90~85円」が23%で続きました。「介入しない」は18%でした。 つまり、プロの8割強が1ドル=95円を下回るまで介入しない、または介入自体がない、と想定しているということです。円高・ドル安は1ドル=95円程度まで進む可能性は十分に考えられそうです。

QUICK Knowledge

ポリシーミックスは効くか? 上場企業「事業運営にプラス」3割(8月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している8月のQUICK短観(8月3~15日調査分、上場企業428社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス8となり、前月調査から1ポイント改善しました。非製造業DIも前月比2ポイント改善のプラス31となり、結果、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ2ポイント上昇のプラス20となりました。 先行き見通し大幅改善 円高進行は引き続きリスク QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。 QUICK短観の製造業DIについて、過去1年間の推移をまとめると、以下のようになります。2015年8月・・・・・・プラス29   9月・・・・・・プラス21   10月・・・・・・プラス14   11月・・・・・・プラス16   12月・・・・・・プラス172016年1月・・・・・・プラス13   2月・・・・・・プラス10   3月・・・・・・プラス5   4月・・・・・・プラス8   5月・・・・・・プラス7   6月・・・・・・プラス9   7月・・・・・・プラス7   8月・・・・・・プラス8 昨年の8月時点ではプラス29あった製造業DIですが、今年3月以降は1ケタ台で低迷しています。8月調査では7月調査に比べ1ポイント改善しましたが、現時点ではまだ底を打ったかどうかは何ともいえません。 その意味では、この先、数カ月間のQUICK短観には要注目です。低迷する業況判断DIが低下傾向をたどるようだと、この先公表される日銀短観にもネガティブな影響を及ぼすことになります。逆に下げ止まり、上昇の兆しがみえてくれば、全体の景況感も好転してくるでしょう。 希望が持てるのは、数カ月先の景況感を見通す「先行き」のDIが、やや改善に向き始めた点です。今年に入ってからの先行きの動向をトレースしてみましょう。数字は製造業DIです。2016年1月・・・・・・プラス13   2月・・・・・・プラス7   3月・・・・・・プラス6   4月・・・・・・プラス5   5月・・・・・・プラス10   6月・・・・・・プラス10   7月・・・・・・プラス2   8月・・・・・・プラス10 このように、前回調査で大幅に落ち込んだ先行きDIでしたが、8月は大幅に改善し、再び2ケタ台に乗せてきました。調査期間中の日経平均株価は一時1万6000円を割り込みましたが、その後は持ち直し、1万7000円に接近。こうした流れも企業心理の改善に一役買った可能性が考えられます。 ただし、足元では再び金融・株式市場には混乱の兆しもみられます。外国為替市場では、8月半ばにかけて再び円高・ドル安が進み、調査結果公表日となる18日は1ドル=99円60銭台まで円は上昇しました。 現状は完全に悲観するほどのものではありませんが、楽観視もまたできない状況にあります。円高は特に輸出企業の業績にとってネガティブ要因であり、製造業の業況判断DIを下押しする恐れがあります。その意味では、今後のQUICK短観および日銀短観が改善するかどうかは、為替の動向に左右される面が大きいともいえそうです。 企業の収益環境は著しく悪い状況ではない 生産・営業用設備の現状について、全産業ベースの「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、前月に比べて1ポイント低下し、若干の不足感が生じました。雇用状況については、前月に比べて2ポイント低下し、不足感が浮上してきました。特に非製造業DIは、マイナス49ですが、昨年8月時点ではマイナス38だったことを考えると、着実に不足感が強まっています。 販売価格と仕入価格の現状ですが、「上昇」から「下落」を差し引いた販売価格DIについては、金融を除く全産業でマイナス7。前月に比べて若干、下落しています。ちなみに、昨年8月の販売価格DIは、プラス4ですから、販売価格はややデフレ気味に推移していると考えられます。 一方、仕入価格DIは、同じく金融を除く全産業でプラス4。昨年8月はプラス27だったので、仕入価格の上昇圧力は弱まっています。販売価格にデフレ圧力がかかっても、仕入価格の上昇圧力が弱まっているので、企業の収益環境は著しく悪い状況ではないと考えられます。 ポリシーミックスとは?その効果は? 8月の特別調査では、①政府と日銀の政策協調(ポリシーミックス)が事業運営にどう影響するか、②厚生労働省が新たに承認した企業年金制度「リスク分担型確定給付企業年金」についてどう考えるか――の2点について質問しました。 まず、ポリシーミックスの効果についてですが、「特に影響はなさそう」との回答が71%を占めました。次に「ややプラスの効果が見込める」が27%で続きました。「大きなプラスの効果が見込める」(1%)を加えるとプラス効果を見込む企業は28%となりました。 ポリシーミックスとは、政府による財政政策と日銀の金融政策を組み合わせて行われる景気対策のことです。安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」以降、日本の景気および物価の浮揚策は過度な金融政策に大きく依存する形で進められてきました。直近でも、日銀が国債を政府から直接引き受ける「ヘリコプターマネー政策」が話題に上りましたが、財政ファイナンスとの批判も多く、容易には踏み込めない領域とされています。 このように金融政策で行える景気対策の選択肢が狭まるなか、財政政策との組み合わせによるポリシーミックス効果に対する期待が高まっています。今回の調査では上場企業の3割程度が「プラス効果あり」と回答しています。7割が「特に影響ない」と回答したことを受けて、ポリシーミックスの効果は限定的と断定するのは時期尚早といえそうですが、企業側としても政策の内容をみてからの判断というのが本音なのかもしれません。 次に、新たな企業年金制度に対する企業側の反応ですが、「特に検討しない」が61%を占め、次に「これから検討する」が37%で続きました。「前向きに検討している」は2%にとどまりました。 リスク分担型確定給付企業年金は、DB(確定給付型年金)とDC(確定拠出型年金)とともに企業年金の新たな選択肢として導入されるものです。これまで企業年金の運用リスクは、DBの場合だと企業側が、DCだと加入者側が一方的に負担するものでしたが、これを双方で負担し合うようにしたものが、リスク分担型確定給付企業年金の特徴です。 ただ、「前向きに検討している」と答えた企業は全体の2%に過ぎず、制度の本格普及には時間がかかりそうです。

QUICK Knowledge

日銀「総括的検証」は緩和予告?それとも… 9月会合は「現状維持」優勢(8月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の8月調査を、8月15日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者65人が回答、調査期間は8月8~11日)。この間の為替レートは、対ドルが101円48銭~102円42銭。対ユーロが113円07銭~113円44銭でした。 「総括的検証」後の日銀政策、緩和深掘り予想は少数派 6月28~29日開催の日銀金融政策決定会合では、マネタリーベースは現状維持、マイナス金利の深掘りも行われませんでした。唯一、変わった点は上場投資信託(ETF)買い入れ額が従来の年間3.3兆円から6兆円に倍増されたことでした。 一方、次回の日銀金融政策決定会合は9月20~21日に開催されますが、ここで日銀はこれまで実施してきた政策の「総括的な検証」を行うと発表しました。 この「総括的な検証」を巡って「追加緩和の予告」と受け止める市場関係者もいれば、「日銀の打ち手の限界を示唆」とみる関係者もいて、交錯する思惑から金融・株式市場は上下に振れる展開となりました。 外為市場関係者では、総括が行われた後の金融政策の枠組みをどうみているのでしょうか。3次元の金融緩和の行方について質問したところ、量的緩和(国債買い入れなど)については「現状維持」が59%となり、「拡大」の29%を上回りました。「縮小」は13%でした。一方、質的緩和(ETFの買い入れなど)は「現状維持」が64%となり、こちらも「拡大・拡充」(36%)を上回りました。そしてマイナス金利については「現状維持」が60%、「拡大」が31%、「縮小・撤廃」が10%という結果になりました。総じて、現状維持という回答が多数を占めていることが分かります。 9月の日銀会合、「現状維持」予想が6割 また、9月の日銀金融政策決定会合において、追加の金融緩和が行われるかどうかについて聞いたところ、「現状維持」が60%に達し、「追加緩和」の40%を上回りました。 日銀は当初、「2015年度中に2%の物価上昇を達成する」という目標を掲げていましたが、何度か先送りし、現在は「2017度中」としています。しかし、現在の消費者物価指数(CPI)は対前年同月比でマイナスが続いています。デフレ色が払拭されない中で金融緩和を縮小させる手はありませんが、問題は緩和するにしても、打ち手が無くなりつつあると市場参加者が見始めていることです。すでに、過去の歴史にみられない水準まで金融を緩和しておきながら、なかなか物価が上昇に転じない状況から考えて、果たしてここから先の金融緩和に期待できるのかどうかという疑問が浮上しつつあり、日銀としてもこの先の判断は迷うところでしょう。 FRB、年内の利上げは? 一方、先進国の中では唯一、金融政策が正常化に戻りつつある米国について、米連邦準備理事会(FRB)の年内の金融政策について聞いたところ、「12月に追加利上げ」が68%で最多となりました。次に「9月に追加利上げ」が14%で続きました。「追加利上げなし」が17%でした。 米雇用情勢の拡大など足元の経済指標は再び強めの内容も目立ち始めていますが、ダウ工業株30種平均など主要指標が相次いで最高値を更新する状況をみると、なかなか追加利上げには動けないと市場参加者はみている節があります。利上げ観測が一段と高まった場合の米国株の動きには注意が必要となりそうです。 また、NY原油相場については、6月に高値を付けたところから下落基調に転じ、一時は1バレル=40ドルを割り込みましたが、年末にかけて原油相場がどうなるのかを聞いたところ、「40ドル前後で横ばい」が53%となり、「上昇に転じる」の31%、「下値模索が続く」の16%をそれぞれ上回りました。原油相場の動向は日米の物価指標、ひいては金融政策に影響するだけに、今後も値動きに一喜一憂する展開が続くかもしれません。 年後半の円高値予想97円台 為替介入は「90~95円」レベルで実施? こうした日米金融政策やマーケット見通しを踏まえ、年後半のドル円相場の高値と安値について聞いたところ、ドル高・円安の単純平均は1ドル=108円17銭、ドル安・円高の単純平均は1ドル=97円69銭になりました。7月調査でも同じ質問をしましたが、その時はそれぞれ110円47銭、97円34銭でした。円の高値予想は97円台で同水準でしたが、安値予想は2円程度切り下がっています。低インフレが続く中で米国が追加利上げを急ぐ理由も乏しいとして、円売りには傾きづらい状況が続くとの見方が増えつつあるようです。 円高進行への警戒感が捨てきれない中、日本の通貨当局が為替介入に動くとすれば、その水準はいくらと思うか聞いた設問では、「95~90円」が34%で最も多く、次いで「90~85円」で23%、「介入しない」が18%、「100~95円」が17%となりました。 1カ月後のドル円見通しは3カ月連続で円高シフト ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=103円61銭から円高・ドル安方向にシフトし、102円07銭になりました。1カ月後の見通しが円高・ドル安方向にシフトしたのは、これで3カ月連続になり、市場関係者の間では目先、円高ムードが根強いことを示しています。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「金利/金融政策」が前月に比べ21%上昇して81%に達しました。一方、「当局の姿勢(介入含む)」が12%低下して5%に、「政治/外交」も10%低下して5%になりました。 また、米ドルは「景気動向」に対する注目度が、前月に比べて15%上昇して21%になりました。ユーロは「政治/外交」に対する注目度が、前月比で9%上昇し、41%になっています。 向こう6カ月間で、各通貨が対円でどのように推移するのかについては、米ドルDIが7月調査分のプラス46からプラス34に低下。ユーロと英ポンドのDIはマイナス幅が拡大し、スイスフランやブラジルレアル、ロシアルーブル、南アフリカランドのDIは、前月のプラスからマイナスへと転じました。 想定レートの平均値はドル円が110円38銭 ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「アンダーウエート」が0%になり、「ニュートラル」が前月調査の55%から75%に上昇。「オーバーウエート」は27%から25%へと低下しました。 また為替ヘッジについては、「ヘッジ比率を上げる」が前月調査の10%から0%に低下。「ヘッジ比率を下げる」も前月調査の20%から0%に低下した一方で、「現在のヘッジ比率を維持」が70%から100%に上昇しました。目先の値動きよりも、中長期的な投資戦略に則って外貨に投資しているファンドとしては、円高、円安のいずれかに大きくポジションを傾けるのではなく、当面は現在のヘッジ比率を維持しつつ様子見している状況が伺われます。 ちなみに、業績予想の前提となっている為替レートについては、「ドル/円」の平均値が1ドル=110円38銭、「ユーロ/円」の平均値が1ドル=122円50銭となっています。

QUICK Knowledge

ポケモンGOの任天堂に業績サプライズは? 「市場に好影響」との声7割(8月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の8月調査を、8月8日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者153人が回答、調査期間は8月2~4日)。 調査期間中の日経平均株価は、1万5921円04銭~1万6541円88銭のレンジで推移しました。7月調査を公表した7月11日の前営業日の日経平均終値は1万5106円98銭でしたが、8月5日時点の終値は1万6254円45銭となり、1カ月間で1000円超の上昇となりました。 ただ、東証マザーズ指数は逆に5%近く下落しており、日銀の追加緩和や政府の大型経済対策への期待などを背景に、株式市場は流動性の高い大型株を中心に物色される傾向が強まったことが分かります。今後の株式市場全体が盛り上がるかどうかは、個人投資家が多く参戦する中小型株にも買いの流れが波及するかどうかがポイントになりそうです。 見方分れる任天堂株への期待感 今回のアンケート調査では、一躍、社会現象にまでなった「ポケモンGO」をリリースした任天堂の業績への影響などについて聞きました。 ポケモンGOの世界的なヒットを受け、株式市場では多くの投資家が任天堂株に注目し、7月19日に3万2700円と年初来高値を付けました。しかし、7月22日に任天堂が「連結業績に与える影響は限定的」とのプレスリリースを公表すると、一転して株価は下落に転じました。7月25日にはストップ安を記録。その後もじり安基調となり、8月5日の終値は2万715円となっています。 こうした任天堂の業績を中長期的にみた場合、市場関係者はどう予想しているのかを聞いたところ、「今期会社予想(営業利益450億円)並みにとどまる」との回答が49%で最多となりました。一方、「今期会社予想より倍増(同1000億円程度)」が38%、「今期会社予想より数倍増(同2000億円~3000億円程度)」が10%となりました。 今期並みの業績予想(49%)に対し、倍増と数倍増を加えたものが48%ですから、市場関係者の見方は大きく二分していることが分かります。いまのところ、株価は「今期並み」、はたまた円高進行による業績下振れリスクを織り込んで下がっていますが、市場関係者の中には、サプライズ期待も根強く残っていることを意味しています。 気になる株価については、「今年の高値(3万2700円)を上限としたもみ合い」が50%で最も多く、次いで「すでに高値は付け、下落局面に入る」が33%、「今年の高値(3万2700円)を超えていく」が14%となりました。業績に対する期待感は根強く残っているものの、株価については今年の高値まで戻すのがせいぜいという見方のようです。 任天堂株の活況、市場に「何かしらの」好影響7割 任天堂株の活況が株式市場に及ぼす影響については、「影響なし」が28%、「好影響は『ポケモンGO』関連株だけにとどまる」が27%、「市場全体の活況につながる」が23%、「ゲーム関連株や消費関連株などに好影響を与える」が20%となっており、何かしらの好影響を及ぼすと考える市場関係者は70%を占めました。 任天堂の株価への影響は限定的でも、ポケモンGOに紐づけたビジネスを展開する企業の株価には、ポジティブな影響が生じる可能性があります。 なお、「ポケモンGO」の中核技術であるAR(拡張現実)の展開について、今後どのように予想するかについては、「消費やマーケティングの領域で幅広く活用される」が59%で最も多く、「生産や開発の現場で幅広く活用される」が27%、「ゲーム機能など一部の利用に限られる」が15%となっています。 主力大型株の見通しは強気 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万6352円となり、前回調査の1万5599円から上方シフトしました。日経平均株価については当面、主力大型株中心に物色されるとの見方があり、株価の見通しについては強気になっています。 一方、日経ジャスダック平均の1カ月後予想は2482円で、前回調査の2454円に比べて、若干の上方シフトにとどまっています。当面、個人投資家の関心が高い中小型株は、冴えない展開が続きそうなことを示唆しています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「景気・企業動向」が前回調査の32%から今回は44%まで上昇。一方、「政治・外交」は9%から3%に低下しました。また、同じく今後、6カ月程度を想定して、最も注目される投資主体としては、「個人」が3%から9%に上昇。対して「外国人」が84%から78%に低下しました。 株式のウエートはやや引き上げる傾向 資産運用担当者61人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「かなりアンダーウエート」が10%から7%に、「ややアンダーウエート」が26%から16%に低下する一方、「ややオーバーウエート」が16%から29%に上昇しました。日経平均が持ち直すなかで、比較的株式の投資比率を高めてきたことが分かります。 また、当面のスタンスについては、「現状を維持する」が67%で前回調査と変わらず。「やや引き下げる」が14%から7%に、「かなり引き下げる」が2%から0%に下がる一方、「やや引き上げる」が16%から24%に、「かなり引き上げる」が0%から2%に上昇しています。 短期的にみれば、8月はお盆休みもあり、マーケットは薄商いになりがちです。ちょっとしたニュースで株価が変動する場面もあるでしょう。ただ、政府・日銀の金融・経済対策への期待も根強く残る中で、足元の相場水準は中長期にみて仕込み場と考えている投資家も少なくないようです。

人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP