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社外取締役のガバナンスは企業不祥事を抑えられる?抑えられない?(5月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の5月調査を、5月16日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者155人が回答、調査期間は5月10~12日)。 調査期間中の日経平均株価は1万6200~1万6800円台で推移しました。同期間に良くも悪くもホットな話題となったのが三菱自動車の動向です。三菱自動車は4月下旬に軽自動車4車種で燃費を実際より良く見せる不正を意図的に行っていたと発表。燃費不正問題の全面解明が急がれる最中の5月12日には日産自動車が三菱自動車に2000億円強を出資し、傘下に収めることを発表しました。 セブン&アイの役員人事ケース「ガバナンスが有効に機能」過半数 こうした状況もあって、今回のアンケートでは、社外取締役の役割や機能について伺いました。三菱自動車の不正燃費問題のほか、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長の電撃辞任など、日本を代表する企業で起こったこれらの出来事において、社外取締役がその役割と機能をきちっと担ったのかどうかというのが、今回の質問のポイントです。 まずセブン&アイ・ホールディングスの役員人事においては、社外取締役が重要な役割を果たしたと言われていますが、これについてどのように思うかを聞きました。それによると、「ガバナンスが有効に機能した」との回答は53%で最多となりました。次に「混乱を抑えきれず、ガバナンスが機能したとはいえない」が26%で続き、「オーナー家の意向を反映したにすぎない」が18%で続きました。 今回の役員人事は、井阪隆一セブン・イレブン・ジャパン社長を退任させる案を鈴木会長が提案したものの、それに対して過半数の賛同が得られなかったため、鈴木会長が「自分は信任されていない」と判断、自らの引退を決意したというのが経緯です。役員会での人事案に対する採決は、15人の取締役のうち反対が6票、賛成が7票、白票が2票でした。 三菱自の不正、社外取締役では発見困難? また三菱自動車の燃費不正問題では、同社に4名の社外取締役がいたにも関わらず、今回の問題を防げなかったことに対して、どのように考えるかと問いました。 その結果は、「社外取締役では今回のような不正を防ぐのは困難」が55%と最多。「社外取締役を機能させる仕組みが整っていなかった」が34%で続き、「社外取締役とはいえ、独立性に問題があった」が9%となりました。 社外取締役の機能にみられる限界点 一方、三菱自動車や東芝、東洋ゴム工業など、企業不祥事が相次いでいる中で社外取締役の機能を強化することによって不祥事が防げるかどうかを聞いたところ、「ある程度は防げる」が58%に達し、「防げる」(1%)を合計すると約6割は防げるとみていることが分かりました。半面で「ほとんど効果はない」との回答も4割弱に上っています。 社外取締役はあくまでも「社外」であり、社内の深層に迫って不祥事を未然に防げるかというと、そこには限界があるものの、配置しないよりはましということでしょうか。 東京証券取引所が昨年6月に導入した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)では、2人以上の独立社外取締役の選任を求めています。その他の統治改革を併せて中長期的な企業価値の向上を図ろうとするのが真の目的ですが、まだまだ課題は多いといえそうで、規制当局にとっても行動を起こす企業にとっても試行錯誤の状況は続きそうです。 伊勢志摩サミットの行方に注目 回答者の1カ月後の日経平均株価予想はやや上方にシフトし、4月調査の1万6077円(確報値)から5月調査では1万6756円になりました。 一方、日経ジャスダック平均は、前回調査に比べて5.18%も上方にシフトしました。個人マネーが主力大型株より新興株に向かっており、新興株市場全体の地合いが好調なことが要因とみられます。 今後、6カ月程度を想定した株価変動要因としては、「政治・外交」に対する注目度が前回調査の8%から15%に大きく上昇しています。景気・企業業績や為替は、注目度こそ高いものの、前回調査に比べると、ほぼ横ばいとなりました。5月26~27日に伊勢志摩サミットが開かれますが、久々に経済サミットとしての色彩が強いと考えられています。政治・外交への関心の高まりはこの点が意識されているとみられ、同サミットで討議・合意される内容への関心が集まりそうです。 また、注目している投資主体としては、前回調査とほぼ同じ結果となりましたが、相変わらず外国人投資家の注目度が他の投資主体に比べて圧倒的に高い水準にあります。ちなみに外国人投資家の動向が株式市場に及ぼすインパクトとしては、前回調査ではネガティブ要因でしたが、徐々に中立へと向かっています。日本の株式市場は外国人投資家の動向に左右される面が強いだけに、今後の動向は要注目です。 今後の投資スタンスはやや強気見通しに変化 資産運用担当者68人に、国内株式への投資スタンスなどを聞きました。 まず、運用しているファンドにおいて、国内株式の現在の組入比率は、通常の比率に比べてどうなのかということですが、「かなりオーバーウエート」は前回調査と変わらず2%とごく少数。一方で「かなりアンダーウエート」が2%から6%に上昇しました。他は大きな変動もなく、「ニュートラル」が過半数を占めていますが、「かなりアンダーウエート」が6%に伸びた点からも、日本株の組入れに対してやや慎重なスタンスが伺われます。 ただ、当面の投資スタンスについては、やや積極的な動きもみられます。「現状を維持する」が78%から63%に大きく低下する一方、「やや引き上げる」が11%から22%に上昇しました。また「かなり引き下げる」が0%から2%に上昇したものの、「かなり引き上げる」も0%から2%に上昇しています。総じて組入比率を引き上げる方向にバイアスがかかっていることが示されました。今後の日本株については、さらなる金融緩和や消費増税の先送り、財政出動など政府・日銀の経済対策への期待もあって、やや強気な姿勢も垣間みえつつあるようです。

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インドネシア、銀行株に強気 バンク・セントラル・アジアを推奨

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのエカ・サビトリ(Eka Savitri)氏がレポートします。※この記事は2016年4月22日にQUICK端末で配信した記事です。 貸出金利引き下げは銀行にマイナス…定期預金金利引き下げで調整 インドネシアの銀行株の投資判断を「オーバーウエイト(強気)」に引き上げる。政府支出の拡大により、国内総生産(GDP)が伸びるとともに、貸出残高が大きく増えるためだ。信用コストが1.61%で低位安定する中、利子収入も増えると見込んでいる。優れた資産内容と規制リスクの受けにくさから、民間最大手銀行バンク・セントラル・アジア(@BBCA/JK)と優遇住宅ローンの恩恵を最も受ける国営住宅金融バンク・タブンガン・ヌガラ(@BBTN/JK)を推奨する。 金融監督庁(OJK)は各行の貸出促進のために改定したガイドラインを導入したが、貸出金利の引き下げは、投資家に戸惑いを与えた。銀行の貸出金利を1桁台に引き下げる指示は、利子収入の減少につながり、銀行にとってマイナスだ。OJKが、各行に貸出金利を引き下げる余地を与えるための措置を取ると予測。3月の定期預金金利の最大1.25%引き下げは、銀行にとってプラスだ。 不良債権比率は16年第2四半期にピークへ われわれは国営銀行バンクネガラインドネシア(@BBNI/JK)と商業銀行バンク・タブンガン・ペンシウナン・ナショナル(@BTPN/JK)が最も影響を受ける一方、バンク・ラクヤット・インドネシア(@BBRI/JK)と国営住宅金融バンク・タブンガン・ヌガラ(@BBTN/JK)は利ざやがいくらか上向くと予想している。 不良債権(NPL)比率は上昇しており、16年第2四半期にピークに達すると予測している。調査対象の銀行の中で、国営バンク・マンディリ(@BMRI/JK)は貸出残高の多さから資産内容の改善に時間がかかるだろう。銀行業界全体の不良債権比率が2016年12月までに2%に減少する(2015年12月は2.1%)と見込んでおり、2016年末までに信用コストが1.61%で安定し、債権損失カバレッジは155.2%に改善すると予測している。 バンク・セントラル・アジアに妙味、介入リスク低く インドネシア銀行業界の預貸率は1月に90.9%に達し、余裕のある金利水準とより長期的な満期日構成を前提として、各行は銀行間市場を資金調達に活用するだろう。譲渡可能定期預金証書、債券、ミディアム・ターム・ノート(MTN)は、3大国有行にとって優先的な投資商品だ。 規制リスクと資産内容の懸念を前提とすると、バンク・セントラル・アジアの方がより魅力的だ。 同行の利ざやが政府介入リスクを最も受けにくく、資産内容も他行と比べて優っていることから、同行のプレミアム評価額(2016年度の株価純資産倍率で、他行平均1.8倍に対し、3.0倍)は適切だ。【翻訳・編集:NNA】

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一人勝ち状態の東証マザーズ指数、上昇の原因を探る!

東証マザーズ指数が力強い値動きを見せています。2月中頃までは日経平均株価とほぼ連動する形で推移していましたが、2月12日に年初来安値を付けた後は5月まで急激な伸びを見せています。他指数は2015年末との比較で10%前後安い値で推移しているのとは対照的です。 2/12終値の667.49と比較し、先週末5/6終値の1180.38はほぼ77%増。2月中旬までは日経平均株価と相関する形で動いていましたが、以降は一進一退を続ける他指数をよそに独走状態が続いています。 全体的に好調なマザーズ銘柄 この間の指数を押し上げている要因は何でしょうか。多くの報道で取り上げられているのが、そーせい(4565)の好調な株価です。2月中旬に10000円台で推移していた株価は5/9には25000円を突破、この間ほぼ150%増と急騰しました。マザーズ上場銘柄で時価総額と売買代金の第1位、まさにマザーズを代表する銘柄となりました。 東証マザーズ指数に対する寄与度も高いため「指数の上昇はそーせいの急騰が原因」と見られがちですが、他業種の銘柄も好調に推移しています。年初来安値の2/12時点と、先週末5/6時点の業種別の時価総額の推移が下記のグラフです。 創薬・バイオが好調な医薬品は127%増、時価総額で4割程度を占めるそうせいの影響も大きいですが、医薬品の他銘柄も時価総額の上昇が目立ちます。また、サービス業、情報通信業、精密機器など他業種についても、医薬品ほどではないですが急騰した結果、東証マザーズ指数の上昇に繋がりました。 マザーズを賑わす「テーマ銘柄」 各業種の内訳を目を通してみると、いわゆる「テーマ銘柄」の急騰が各業種の時価総額を押し上げているようです。 サービス業で好調なのはブランジスタ(6176)です。こちらは「越境EC」関連として取り上げられて急騰した銘柄で、いまやサービス業ではミクシィ(2121)に次ぐ時価総額を誇ります。越境ECとは「国境を超えた電子商取引」、すなわち中国などに住む外国人をターゲットにインターネット商売を行うことで、そのポテンシャルはインバウンド以上とも騒がれています。 また、情報・通信業の時価総額トップはジグソー(3914)、こちらは「人工知能」関連に取り上げられています。人工知能といえば、グーグルが開発した囲碁プログラム「AlphaGo」が今年3月に韓国のトッププロ棋士を破る快挙を達成しました。囲碁プログラムが人間に勝つのは困難であるとの常識を覆す結果で、人工知能への期待が急速に膨らむ要因となりました。 上記以外でも、「民泊」「自動運転」「VR」「フィンテック」などの関連銘柄が買われており、材料が入る度に関連するテーマ株が大きく上昇する傾向にあります。2016年に入って日本経済全体の成長を示す材料が乏しい中で、高成長を期待できる銘柄に人気が集中したとみられます。 東証マザーズ指数は他指数と比べて時価総額が少ないため、個別銘柄の株価動向が指数の動きに影響されます。その結果、個別銘柄への期待の風がふくほど、指数もまた上昇気流に乗るという動向が続いています。 時価総額が大きく変動するマザーズ銘柄 テーマ株の躍進を受けて、マザーズ指数の主要銘柄もここ3か月で大きく様変わりしています。以下は、5/6時点のマザーズ時価総額ランキングと、2/12時点からの順位変動の表です。 東証マザーズ 時価総額ランキング(5/6時点) ※単位:百万円 順位 銘柄名 業種 時価総額 2/12時点 順位変動 時価総額 順位 1 そーせい 医薬品 412,617 183,375 3 +2 2 ミクシィ サービス業 319,901 254,151 1 -1 3 サイバダイン 精密機器 302,638 188,866 2 -1 4 アキュセラ 医薬品 151,803 54,410 4 ±0 5 ジグソー 情報・通信業 128,455 26,304 11 6 6 インベスターC 建設業 112,459 53,898 5 -1 7 ブランジスタ サービス業 106,126 16,386 29 +22 8 サンバイオ 医薬品 70,597 30,755 10 +2 9 ヘリオス 医薬品 69,789 37,191 6 -3 10 ナノキャリア 医薬品 65,989 33,123 9 -1 11 アカツキ 情報・通信業 60,622 – – – 12 グリーンペプタイド 医薬品 53,946 11,992 46 +34 13 モルフォ 情報・通信業 52,009 20,677 19 +6 14 OTS 医薬品 48,810 33,226 8 -6 15 UBIC サービス業 46,870 21,630 16 +1 16 アンジェスMG 医薬品 43,596 13,062 39 +23 17 JIA 証券商品先物 43,451 19,411 21 +4 18 じげん 情報・通信業 43,266 24,036 14 -4 19 イトクロ サービス業 40,257 24,630 13 -6 20 FFRI 情報・通信業 36,622 36,348 7 -13 ※アカツキ(3932)は3/17に新規上場 ここ数か月で時価総額ランキングは目まぐるしい変化を見せています。ジグソー、ブランジスタ、グリーンペプタイド(4594)などは大きくジャンプアップし、上位に食い込みました。他銘柄にも急激な順位変動が見られます。 また、時価総額が500億円以上の企業が増加したことにも注目です。時価総額500億円以上であることは、ファンドや海外投資家が参入し出す事と、東証一部鞍替えの条件の一つである事から、小型株であるか否かの一つの目安とされています。すなわち「脱小型株」を達成した銘柄が、ここ3か月で5銘柄から13銘柄に急増しました。時価総額250億円以上500億円未満の「脱小型株予備軍」が6銘柄から19銘柄に急増した点も見逃せません。 「指数先物の取引開始」「そーせいの一部鞍替え」は要チェック この動きに影響を与えるのが7月19日に予定されている「東証マザーズ指数先物の取引開始」です。先物導入によって、マザーズ指数をターゲットにした裁定取引が活発化や、海外投資家などからの積極的な参入が見込まれます。「脱小型株」が増える事は個人投資家以外の現物取引の対象銘柄が増加している事を意味し、資金が流入しやすい土壌が形成されつつあると言えます。そのため、上記の「脱小型株予備軍」についても時価総額を睨んだ値動きが予想されます。 一方で、先物導入によって、投機的な思惑の取引(スペキュレーション取引)が入り混じることが予想されます。他指数よりも時価総額が小さい東証マザーズ指数にとって、乱高下の原因ともなる諸刃の剣です。 また、もう一つマザーズへの影響が懸念される事があります。それは、そーせいが今秋の東証一部鞍替えを申請していることです。そーせいはマザーズの売買高トップを誇る銘柄で、時価総額も大きなウェイトを占めています。基準価格が調整されるため指数に直接のインパクトはないものの、その後のマザーズ全体の動きは不透明です。 これらイベントは既に周知されているため現在の株価に織り込まれている可能性も十分に高いです。とはいえ、多くの投資家が注目している一大イベントであることは間違いなく、前後の動向には注意が必要です。 編集:QUICK Money World

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シンガポールの金融緩和、アジア通貨切り下げ競争への警戒強める

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はシンガポールの現地記者クリストファー タン シ(Christopher Tan, Si)氏がレポートします。※この記事は2016年4月20日にQUICK端末で配信された記事です。 シンガポール金融通貨庁、金融引き締めから中立へ…6年ぶり シンガポールの中央銀行に相当するシンガポール金融通貨庁(MAS)は14日、これまでの引き締めを軸としてきた金融政策を中立に変更した。シンガポールでは他国の中央銀行と異なり為替政策を政策誘導の目安としており、シンガポールドル高への誘導は金融引き締め、同ドル安への誘導は金融緩和を意味する。政策変更は6年ぶりで、MASによる金融刺激策がアナリストらを驚かせた。 為替も反応…アジア通貨全般も連れ安 MASは為替政策を変更し、シンガポールドルの名目実行為替レート(NEER)の誘導目標をこれまでの方針だった「緩やかで段階的な上昇」から「0%(ニュートラル)」に変更した。  MASの決定を受け、14日の外国為替市場でシンガポールドルは米ドルに対して1.2%を超える下落を記録し、また通貨の切り下げ競争が起こるのではないかという懸念から、米ドルに対してアジア通貨全般が下落した。マレーシアリンギやニュージーランド(NZ)ドルが1%前後下落し、インドネシアルピアは0.4%程度の下落となった。  前回、MASが為替政策をニュートラル、つまり0%状態に変更したのは金融危機のピーク時にさかのぼる。  より広域な地域経済の指標とみなされることが多いシンガポール経済が、後退局面に向かっている兆候はこれまで全くなかった。今年1~3月のシンガポール経済は、好調なサービス分野に支えられ、前年同期比1.8%増と順調なペースで成長していた。 DBSグループ担当者「経済状況は悪化し続けている」 しかし、MASの最新決定は、特に世界経済の中で今後はより厳しい時期が待っているとの見通しを明確に示している。「世界経済の展望は昨年10月以降、陰りをみせている。米経済の拡大ペースは、労働市場の強化が民間消費を支え続けているものの、投資と輸出が衰退しているため以前の予想よりも緩やかとなる見込みだ。ユーロ圏と日本では、さらに緩和的な金融政策を通じて成長をテコ入れしようという努力にもかかわらず、通貨高騰と外需低迷により、経済活動が阻まれるだろう」とMASは指摘する。  中国の経済成長は引き続き伸び悩むとみられるため、これはシンガポールの外需分野にダメージを与えるだろう。 4月と10月の年2回、政策方針を発表しているMASは、今回の決定により自国通貨を切り下げることを目的としているのではないと主張する。しかし、その影響は明らかだ。また、アジア域内の通貨が下落する中、タイやマレーシアを含む域内の他の国々もシンガポールの方針を見習う可能性があるという危惧もある。  シンガポールの地場銀行最大手DBSグループ・ホールディングスの上級エコノミスト(通貨担当)、フィリップ・ウィー氏は「前回のMASの会合以降、経済状況は悪化し続けている」と指摘。そのうえで、ウィー氏は「状況がすでに悪化しているのであれば、なぜ10月まで緩和を待つ必要があっただろう」と付け加えた。 【翻訳・編集:NNA】

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中国の不良債権問題、債務の株式化でも解決せず 銀行のリスク管理が必須

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※この記事は2016年4月18日に配信された記事です。 中国の不良債権急増…銀行業、過去10年間で最悪 中国経済は、銀行の不良債権の急増という最大の不透明要素に直面している。この問題は足元で多くの国有銀行の業績を引っ張る足かせとなっており、こうした国有銀行の業績の伸びは過去10年間で最悪となった。中国では最近、企業が抱える大量の不良債務の問題解決に、債務を株式化する「デット・エクイティ・スワップ(DES)」を用いるのではないかといううわさが飛び交っている。中国の李克強首相もこのほど、DESの市場化などの方法で企業の債務を解決すると発言しており、DESは必然的な方向性であるようだ。問題は、DESという一手のみで企業の債務問題を完全に解決できるのかということだ。 DESとは、企業が銀行に対して負っている債務について、とりわけ質の悪い不良債務を株式に転換して銀行に取得させる方法である。企業の負債が軽減されるだけでなく、銀行の不良債権を減らすことができるという、一見すると一石二鳥の方法だ。第一弾のDESの対象額は1兆元に達する見通しだという。 債務の株式化、企業と銀行の相互努力がカギ しかし、DESは実施に先立って解決しなければならない数多くの問題がある。筆者が接触したある国際的な銀行の大中華圏トップは、DESを実施する場合に銀行側の選択権の有無がとても重要になると述べた。DESが不良債権の圧力を軽減することは間違いないが、どの債務の株式化を受け入れるかを決める際に銀行が選択権と主導権を握るべきだと指摘している。債務額や企業の状況、銀行が株式取得後に業績改善に向けて企業と協力できるか、などといった点を踏まえた上でDESに応じるかを決めるべきだという。DES実施後は銀行が企業の株主となるが、将来的に企業の貸借や未払金回収の処理が一段と複雑となり、うまく対処できなければ、逆に銀行の長期的な負担を増やすことになってしまうからだ。 不良債権残高は2兆元規模 しかし、中国政府が現在検討しているDES案では、必ずしも銀行に充分な選択の自主権を与えないもようだ。充分な自主権を与えた場合、銀行が「選り好み」する恐れがあり、DESの協力を最も必要とする質の悪い企業が恩恵を受けられず、DESの効果を最大限に発揮できなくなってしまうからだ。また、DESの株式への転換比率や単一の企業に対する銀行の持ち株比率の上限をどのように設定するかなど、DES実施には多くの問題がからむ。株式へ転換するために銀行が大幅に債権を削減しなければならないとなると、銀行の株主にとって必ずしも有利とならない。企業の清算手続きを行い、資産を売却して債権を回収するよりも得るものが少なくなる恐れすらある。半面、削減する債権を抑えて株式への転換比率を過度に高めれば、企業の既存株主の権益が大幅に希薄化し、企業側の株主の反発を招いてしまう。 また、問題を抱える企業に対してDESで銀行が出資するとなると、対象企業は1社や2社にとどまらない。中国本土の銀行が抱える不良債権残高は2兆元という驚くような規模とされており、関連する企業も必然的に膨大な数に上るという。銀行がDESで保有することになる大量の企業株をどのようにうまく管理・運用するのか、転換される株式の保有と処理を請け負う特定の機関を設置する必要はないのか、さらには、大量の株式を証券化して売却するか否かといった問題について、深く立ち入って検討する必要がある。 実際のところ、DESという方法のみで不良債権を処理するというのは対症療法にすぎず、根本的な解決策ではない。やはり長期的には、中国景気が復調して企業業績が改善し、銀行がきちんとリスク管理をして融資の質をモニタリングすることが重要だ。また、政府も政策的な圧力をかけて銀行に融資を促すようなことを二度とせず、銀行自身にリスクという観点から資金の貸し借りを判断させるようになって初めて、問題が解決するのだ。

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江戸時代にもHFTは存在した!? 現代は1秒に150回以上約定も

2016年4月8日、麻生太郎財務・金融相は「取引の高速化が市場の公正性、透明性、安定性に及ぼす影響について検討していくことが重要」*¹と発言しました。今後は金融庁が主体となって、超高速で取引する高頻度取引業者(ハイフリークエンシー・トレード、HFT)の規制に乗り出す方向性だと報じられています。 1秒に163回約定 アルゴリズム取引とはコンピューターシステムやソフトを介して取引する手段の総称です。HFTはこのアルゴリズム注文を執行するうえで、必要であれば用いられるという関係になっており、直接の関係はありません。*² 現在、証券各社はアルゴリズム取引を行っています。大口注文のマーケットインパクトを低減させるために運用する手法が主流です。代表的なものとして、アイスバーグ注文を紹介します。アイスバーグ注文は、意訳をすると「氷山の一角注文」というべきものです。これは、大量の売買注文を発注したい場合に、注文株数を少量に分割して発注するアルゴリズムです。注文数量のうち一部を事前に板に乗せておき、一部が約定すると残りの注文がすべて約定するまで注文を出し続けます。このように、市場に注文として出ている株が、実は氷山の一角(the tip of the iceberg)に過ぎないということからアイスバーグ注文と名付けられたのです。 このQUICK端末画面(有料サービス)の赤枠に注目してください。1秒間に1万株超と多くの注文が殺到していることが分かります。約定に応じて値段が下がっていることから大口の売りがアイスバーグ注文で執行されたのではないか、と推測する市場関係者もいます。つまり特定の時間に大量の小口約定が見受けられる場合は機関投資家がこのアルゴリズム注文を用いて株式を売買していると推測できるということです。 どの注文がアイスバーグ注文にあたるか事前に察知することはできませんが、歩み値を見ることによりその足跡はある程度推測することができます。この注文方法を用いるメリットは、機関投資家の手口をほかの市場参加者にできるだけ悟られないようにするという点にあります。たとえば一回の注文ですべての注文を執行してしまえば、その時注文を入れた大口の主体は1つであることがばれてしまいます。その結果、逆方向に相場を動かされ、損失になるといったリスクが存在するのです。しかし、アイスバーグ注文を用いることにより注文主体の数や正体を不明確にし、相場の動きをなだらかにすることができ得るのです。 ミリ秒単位で取引を見ると、実際はこれの何倍もの取引が行われていることがあります。例えばQUICKの提供する専用端末で三菱UFJフィナンシャルグループの歩み値を見てみましょう。13:35:06秒の1秒間に163回約定が成立していることが分かります。昔は同じ枚数でスライスして出すのがアイスバーグのシグナル、などと言われていますが、最近では一回の注文数をランダムにする機能がついているアイスバーグのアルゴリズムも存在しているため、163回の取引主体が1つなのか2つ以上なのか全くわかりません。 わずかな時間で上記のような大量の小口注文が入った場合は、何らかの思惑が絡んでいる可能性があると考える必要がありそうです。 HFTの特徴 HFTは高頻度取引注文のことです。定義は不明確ですが*³取引の速度が速く、ポジションの保有時間が数秒以下であり、注文の取り消し割合が高いなどの特徴が挙げられています。  一般的には0.5ミリ秒(0.0005秒)レベルの速度で取引できる注文です。取引所施設内に自社回線を設置する、コロケーションシステムを使っている会社では、気配情報の取得・注文の送信時間を片道で数10マイクロ秒(0.00001秒)以下にまで短縮することが可能になります。まばたきの速さが0.150秒であることからして、とてつもない速さであることが分かります。専門の情報端末の反応速度が数ミリ秒程度であることから、HFTが私たちの目に見えることはありません。またHFT取引やアルゴリズム取引は、ポジションを持っている時間や目指す値幅などがかけ離れています。そのため、個人投資家と対立しているというよりもむしろ他社のHFT取引業者が競争相手となっているのです。 HFTは薄利多売を目的にしているため、高確率で利益になるケースでなければ取引しません。またHFTをする上で得意な銘柄に取引が集中する傾向があるようです。相場解説で話題にならない銀行株が、出来高トップやティック回数上位にランクインしていることにお気づきの方が多いかもしれません。これらの銘柄は流動性があり、発行済み株数が多く、呼び値単位が縮小されているという特徴があります。東証一部の中でも呼び値が小さい銘柄はHFTの得意とする銘柄です。反対に、市場参加者の心理に大きく左右されるような新興市場の銘柄は定量的な分析に基づく取引が困難のであるため苦手であるとされています。HFT取引のない環境を求めるのであれば新興市場に参入することも検討すると良いかもしれません。 江戸時代のHFT ここ数年で成長したHFT(高頻度取引)ですが、これは市況を超高速で伝達・受信することにより速く注文を行うという意味において、江戸時代から存在していました。それは、紀伊国屋文左衛門が考案したとされる旗振り通信というシステムです。米飛脚が大阪・堂島の米相場を伝えるために時速10キロメートルが精いっぱいであった時代です。その中で、旗振り通信の時速720キロメートルという伝達スピードは驚異的でした。米飛脚に頼る者を出し抜くためにこれを利用した商人は、大儲けしたと言い伝えられています。江戸幕府は、旗振り通信を禁止した理由について「先格・先例もなく、精度も疑わしい手品がましき手法によって相場を報知することを取り締まる意図があったと考えるのが自然である」と考えていたという説*⁴もあります。速すぎる情報伝達に基づく取引で大儲けすることが市場の正確性・公平性をゆがめてしまうのではないかという考え方はこのころから存在していました。 技術進歩とHFT問題 HFT取引もアルゴリズム取引も、何年も前から問題になっていましたが、利益がすべて上記の手法を用いる取引参加者に吸収されたというわけではありません。個人投資家も従来の業者もこの時代に順応し、利益を上げることができています。むしろ、HFT業者は過当競争にさらされ、利益をあげることが難しくなっています。 技術の進歩に備えて私たちがしなければならないことは、アルゴリズム取引やHFTを敵とみなすのではなく、単なるツールとして使い方・裏のかき方をマスターすることから始めることだと思います。幸いなことに、個人投資家向けの取引アルゴリズム生成サービス等も開発が進んでいます*⁵。その他、様々な観点でプロとアマチュアのギャップを縮めるような技術進歩も見られつつあります。 先ほど説明した旗振り通信は1865年に解禁されましたが、大正時代になると電話・電報の発達、低廉化が達成され陳腐化しました。その電話、電報もラジオ・テレビ等にとって代わられ、それらはインターネットにとって代わられつつあります。証券取引所の売買システムを見ても、テクノロジーの発展に応じる形で場立ち方式からコンピューター管理、そしてArrowheadシステムでの管理と進化を遂げてきました。江戸時代のHata-Furi-Tsushin(HFT)は、現代の問題が解決しても新たに課題が発生することを示唆しているように思われます。その過程を踏んで、金融市場はさらなる発展を遂げるのではないでしょうか。 参考文献 *¹日本経済新聞社、2016/4/8.「株の高速取引検証へ審議会 金融庁、実態を調査」 *² IOSCO, 2007.Regulatory Issues Raised by the Impact of Technological Changes on Market Integrity and Efficiency Consultation Report. *³ 同上 *⁴高槻 泰郎「近世日本における相場情報の伝達 ―米飛脚・旗振り通信―」郵政資料館 研究紀要 第2号 (2011年3月) *⁵ AlpacaDB, Inc, capitalico

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増税延期は既定路線? 「延期」予想6割、「凍結」見込む声も(4月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の4月調査を5月6日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者143人が回答、調査期間は4月26~28日)。 日本国債の利回りは、5月2日時点で3カ月物から10年物までがすべてマイナス金利となり、10年超の長い金利にも低下圧力が強まっています。ちなみに、1カ月前と現在の金利水準を比較すると、次のようになります。いずれも前者が1カ月前、後者が5月2日時点の数字です。 10年債・・・・・・-0.055%⇒-0.109% 20年債・・・・・・ 0.373%⇒ 0.248% 30年債・・・・・・ 0.455%⇒ 0.288% 10年超の長い金利は辛うじてプラスを維持していますが、それでも30年債に至るまで水準を切り下げています。国内景気の先行き不安が高まる中で国債を購入する流れは途切れず、それだけ先行きの金利低下を市場が織り込んでいることを意味しています。 長期金利の低下圧力が強まっているのは、それだけ景気の先行きに対する不透明感が強まっている証拠ともいえるでしょう。昨今の円高進行や株安などを受けて、企業業績は下方修正を余儀なくされ、個人消費も決して堅調とはいえない厳しい状況が続いています。 こうした状況とあって、来年4月に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げが気になるところです。そこで今回は、消費税率の引き上げに関するアンケート調査を実施しました。 消費増税「べき」論でも賛成派と反対派が拮抗 そもそも、予定通り消費税率の引き上げを行うべきなのでしょうか。これに関して、債券市場を担当するプロの意見では「予定通り引き上げるべき」が43%を占め最多となりました。ただ、「引き上げ時期を明示して延期するべき」が32%で続き、「引き上げ時期を明示せず凍結するべき」も12%に上りました。合計すると44%が予定通りの引き上げに反対となり、賛成派と拮抗する結果となりました。財政健全化などの観点から増税すべきとの意見は多いものの、現状では増税に国内経済が耐え切れないとみる市場関係者が増えていることを示しているといえます。 8%⇒10%への消費増税、「予定通り引き上げ」は14%にとどまる 一方、安倍政権は予定通り引き上げるかどうか、という純粋な予想については、「引き上げ時期を明示して延期する」が61%を占めて最多。「引き上げ時期を明示せず凍結する」(18%)が続き、約8割が増税見送りを予想しています。「予定通り引き上げる」は14%にとどまり、2017年4月の消費税率引き上げはないと市場関係者は織り込みつつあります。 消費税引き上げ延期は発表のタイミングがポイント ただ、気になるのは、市場関係者の多くが「2017年4月の消費税率引き上げは先延ばし」ということを織り込んだ時のマーケットの反応です。 今回のアンケートで最も多かった回答を見ると、日本長期金利は「影響なし」が67%、円ドル相場は「円安」が58%、日本株価は「上昇」が63%を占めています。 脆弱な国内景気をさらに下押ししかねない消費増税を見送ることが株高、その結果として円安につながるとの見方は妥当な意見ともいえそうですが、問題は引き上げ延期を発表するタイミングかもしれません。 一部では、5月26~27日に開催される伊勢志摩サミットで発表されるのではないかとの観測も出ていますが、マーケットはこの手の材料を先に織り込んで動くので、そうなれば事前に円安・株高が進むことになるでしょう。もし、そのタイミングで発表されなければ、逆に急激な円高・株安が進むリスクが増大する可能性があります。 仮に消費税率の引き上げが延期されるとしても、マーケットがどのタイミングでそれを発表すると考えているのか、ということのコンセンサスは、メディアなどを通じて把握しておく必要がありそうです。 新発10年債利回り見通しは下方修正 今回のアンケート調査期間は、ちょうど4月の日銀金融政策決定会合が開催された時期に当たりました。 今回の会合では、事前に「貸出金利にもマイナス金利を適用するなど、もう一段の金融緩和が行われる」という報道が事前に流れたこともあってか新発10年国債の金利見通しは、3月調査分に比べてさらに一段低下しました。 金利水準がプラスを維持している新発20年国債も3月調査分に比べて水準を切り下げました。ただ、結果は一部報道が先走った感があり、日銀は金融政策の据え置きを決めました。また、黒田日銀総裁が「マイナス金利の浸透具合を見極める」との発言をしたことから、しばらくサプライズ的な金融緩和は行われないのではないかと考えられます。 今後6カ月程度を想定した場合、債券価格変動要因で最も注目されているのは「短期金利/金融政策」で71%を占めています。それ以外はごく小さな動きですが、3月調査分に比べて「景気」が上昇、「為替動向」と「債券需給」が低下しました。 ちなみに注目度が最も高い「短期金利/金融政策」が債券価格に及ぼす影響度を示す指数の数値は80.3。中立要因の50を大きく上回り、債券価格が上昇することを示す数字なので、金利水準はさらにマイナス幅を広げる可能性があることを、市場関係者は読んでいます。 また、注目される投資主体としては「政府・日銀のオペレーション」が2月調査分の57%から3月調査分では62%、そして4月調査分は68%に達するなど、徐々に上昇してきました。逆に「都銀・信託銀行(投資勘定)」が3月調査分の16%から9%に低下しており、債券市場の価格形成において、政府・日銀のオペレーションが大きな影響を及ぼしているのが見て取れます。 デュレーション長期化の流れ継続 ディーリング部門を除く資産運用担当者69人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、「ややオーバーウエート」と「ややアンダーウエート」が上昇し、「ニュートラル」と「かなりアンダーウエート」が低下しました。ただ、「ややアンダーウエート」と「かなりアンダーウエート」を合わせた回答比が23%で、「ややオーバーウエート」と「かなりオーバーウエート」を合わせた11%を超えており、足元のスタンスはやや慎重といったところでした。 一方、当面の投資スタンスですが「現状を維持する」が70%で大多数を占める中、「やや引き下げる」が23%、「かなり引き下げる」が2%で、アンダーウエート方向に計25%。一方、オーバーウエート方向は「やや引き上げる」が6%、「かなり引き上げる」が0%で、これから先の投資スタンスについても、債券については慎重な姿勢が見て取れます。債券をアンダーウエートにする一方、株式などリスクアセットに投資比率を傾ける傾向が強まっていると考えられます。 ちなみに組入債券のデュレーションについては、「かなり長くする」と「やや長くする」が合わせて28%を占める一方、「かなり短くする」と「やや短くする」が合わせて5%にとどまっており、金利の付く年限を求めて超長期債への需要を強めている投資家の姿勢が伺われる結果となっています。

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「若い企業=成長企業」は本当?設立年とスコアの関係で分析

現在日本の証券取引所には3500社以上が上場しています。会社設立100年を超える老舗企業から設立間もない新進気鋭のベンチャー企業まで、さまざまな企業の株式が日々取引されていますが、会社の「設立年」が最も古い会社をご存じでしょうか。ここでいう「設立年」とは、日本経済新聞社が調査したもので、会社が事業を始めた「創業年」とは異なり会社組織として法人登記した年となります。 設立年が最も古い企業は、1872年の国立銀行条例に基づいて日本で4番目に設立された第四銀行です。設立年は1873年、今から140年以上も前になります。『QUICK株サーチ』のツールを用いて第四銀行のスコアの形を確認してみましょう。 「規模」と「割安度」のスコアの高さが目立ちます。第四銀行は新潟県の地銀トップで預金量など県内他行を圧倒しています。銀行業なので事業の特性上自己資本比率が低く、「安全性」のスコアは低くなっています。 設立年をみてみましょう。画面を下にスクロールすると、右下の部分に「設立年」という項目があります。この項目で各企業の設立年を簡単に確認することができます。 以上のようにスコアの形には各企業の特徴が表れます。では、このスコアの形と企業の設立年には関連性があるのでしょうか。 『QUICK株サーチ』の『スコアの形で探す』を使い、ある条件で銘柄を選定。選定された企業の設立年を調べ、集計をとり特徴を探りました。 タイプ1:やっぱり安心大企業 スコアの形を以下のように設定し、銘柄を選定します。 ① 「規模」と「安全性」を8以上に設定 ② 「成長」と「収益性」を5以上に設定 ③ 「割安度」に関しては重視しない 今回は①の「規模」と「安全性」を最重視します。 ②の「成長」と「収益性」は平均値の5以上とします。 ③の「割安度」に関しては、今回現在の株価水準に関係なくデータを集めるため、重視しないこととします。 以上の条件に該当した企業の設立年を調べ、年代別にまとめました。 上場企業全体における設立年代別のデータと比較してみます。 規模も安全性もスコアの高い大企業タイプですが、全体の設立年代別の分布と比較してもあまり差はないように感じます。各年代にこのタイプの企業が存在するといえるでしょう。「規模が大きく安全性も高そうな企業には、設立100年を超えるような老舗企業が多い」とのイメージを持たれるかもしれませんが、あまり顕著な差はないようです。 しかし注意深く観察してみると、1940年代、1950年代の比率が少し高いことがわかります。戦後すぐ設立された会社には規模が大きく安全性の高い「安心感のある大企業タイプ」の傾向があるといえそうです。また大企業タイプに2000年前後に設立されたものが多いのは、持株会社体制への移行が考えられます。純粋持株会社は独占禁止法で設立が禁止されていましたが、1997年12月に解禁。2000~2001年ごろにはメガバンクが持株会社制に移行したほか、鉄鋼2位のJFEホールディングスも2002年設立です。 日本の企業の歴史の一端が見えてくるようです。 タイプ2:イケイケこれから企業 スコアの形を以下のように設定し、銘柄を選定します。 ① 「成長」と「収益性」を8以上に設定 ② 「安全性」を5以上に設定 ③ 「規模」を3以下に設定 ④ 「割安度」に関しては重視しない 今回は①の「成長」と「収益性」を最重視します。 ②の「安全性」は平均値の5以上とします。 ③の「規模」はこれからの成長の余地がある企業を選定するため、3以下とします ④の「割安度」に関しては、今回現在の株価水準に関係なくデータを集めるため、重視しないこととします。 こちらも同様に、上場企業全体における設立年代別のデータと比較してみます。 こちらのデータは、比べてみると一目瞭然です。1990年代以降の比率が圧倒的に高くなっています。「収益性が高く、成長している企業は、ベンチャーのような比較的新しい企業が多い」というイメージがあるかもしれませんが、このようにデータでも確認できました。2000年代設立の企業が全体の4割以上占めているということは、このタイプの大きな特徴といえそうです。 今回は2つのタイプについて検証してきました。 会社の「設立年」は普段あまり気にしないデータだと思いますが、気を付けてみると意外な発見があるかもしれません。  

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業績期待指数、3年4カ月ぶり低水準 鉄鋼・輸送用機器など見通し悪化(4月)

全産業DIマイナス30、3年4カ月ぶり低水準 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年4月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス30となりました。前月と同じだったものの厳しい収益環境にあるのは変わらず、2012年12月(マイナス32)以来の低水準となりました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 4月の日銀金融政策決定会合では、事前に噂されていた、もう一段の金融緩和は行われず、市場では「ネガティブサプライズ」となりました。当面、マイナス金利の浸透度合いを見極めるという日銀のスタンスが明確になったことから、ドル円は一時1ドル=106円台まで円高・ドル安が進み、かつ日経平均株価も急落しました。各種経済指標を見ても、個人消費関連は停滞感が強く、企業の生産・出荷は一進一退が続いています。景気の先行き不透明感に加え、円が急伸したことから、企業業績の悪化懸念が強まっています。 鉄鋼や輸送用機器DIが悪化 プラス維持は建設・不動産のみ 業種別DIをみると、16業種中、かろうじてプラスを維持しているのは「建設」と「不動産」の2業種のみ。とはいえ、DI値は建設が低下、不動産は変わらずで、さえない状態です。またDI値が0の業種は「医薬品」と「その他金融」の2業種で、医薬品は3月のマイナス15から0へ改善。一方、その他金融は25から0へ悪化しました。 残りの業種はすべてDIがマイナスで、それぞれの動向は以下のようになります。 ・マイナス値が悪化 ⇒「食料品」「化学」「鉄鋼」「非鉄金属」「輸送用機器」「卸売り」 ・マイナス値が横ばい⇒「情報・通信」 ・マイナス値が改善 ⇒「機械」「電機」「小売り」「サービス」「銀行」 鉄鋼や非鉄金属、輸送用機器など海外経済の減速や円高進行が業績面での重荷になりやすい業種の見通し悪化が顕著となっています。 内閣府が発表した「平成27年度企業行動アンケート」によると、上場製造業の採算レートは1ドル=102円30銭となっており、現在の水準であれば採算割れにはなりません。しかし、4月1日に発表された日銀短観によると、大企業・製造業の2016年度の想定為替レートは1ドル=117円46銭。106円前後という水準が続けば、業績の下方修正が相次ぐ恐れがあります。 イオンの見通し悪化が目立つ 3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。業績の下方修正率が最も大きいイオンは、アナリストの業績予想で「弱気」の見方が「強気」を上回っています。 予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。 銘柄名              修正率TDK(6762)・・・・・・・・・・64.45%小野薬品工業(4528)・・・・・・・60.97%日本板硝子(5202)・・・・・・・・59.82%鹿島(1812)・・・・・・・・・・・32.30%中部電力(9502)・・・・・・・・・31.49% 一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。 銘柄名              修正率イオン(8267)・・・・・・・・・▲65.16%ジャパンディスプレイ(6740)・・▲48.41%新光電気工業(6967)・・・・・・▲47.58%ファーストリテイリング(9983)・▲46.68%三井金属(5706)・・・・・・・・▲44.31%

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米大統領選、誰が勝つ?統計学が与える予想

為替市場関係者は民主党クリントン氏勝利を予想 米大統領選は円高要因…市場は「クリントン候補勝利」を予想ではアメリカ大統領選挙に対する為替市場関係者の予測を取り上げ、3月14日に発表された「QUICK月次調査<外為>」(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は3月7~10日)の結果をご紹介しました。市場関係者の実に85%が民主党のヒラリー・クリントン氏の勝利を予想していました。 白熱する各党候補者指名争い 7月の党全国大会が近づき、各党の候補者指名争いはますます白熱しています。4月28日午前10時時点で各党候補者の獲得議員数は以下のようになっています。(参考:CNN Politics) 党の議員数の過半数を獲得すれば、正式に大統領候補者として指名されることになります。民主党はクリントン氏が残り215人、共和党はトランプ氏が残り246人の議員数を獲得することで指名獲得となります。クリントン氏、トランプ氏が各党指名獲得の最有力候補といえそうです。果たして、このまま市場関係者の予想通りに「クリントン氏とトランプ氏が各党の指名を獲得し、クリントン氏が勝利する」というストーリーとなるのでしょうか?ここで、二人の統計学者による興味深い予測を見てみましょう。 統計学者は二大政党の接戦を予想 統計学者がたびたび大統領選挙の勝敗予測を行っていることをご存じでしょうか?彼らは候補者の主張や政治的な情勢から予測をするのではなく、自らの作った数理的モデルのみに基づいて二大政党のどちらが勝利するかを予想します。彼らの予測は、政治専門家の勘や推測の精度を上回ると言われることもあります。 イェール大学経済学部教授のレイ・フェアー氏は、GDP成長率や物価指数などの経済指標を主に用いて過去の選挙結果と照らし合わせる数理的予測モデルを作り、精度の高い勝敗予測を行っています。簡単に言えば、前回選挙時から今回選挙時までの4年間の経済状況が良いほど現行の政策は国民に満足されていると考えられるため、与党得票率が高くなるというモデルです。すなわちGDP成長率の値が大きく物価指数の値が小さいほど、与党の予想得票率は高くなります。 彼は2014年に発表した論文で、2016年大統領選挙での与党民主党の敗北を予測しています。彼の予測モデルに2016年の最新経済指標データを代入したところ、やはり共和党勝利という予測結果となりました。2014年以降も続く物価指数の上昇が原因と考えられます。(参考:Ray Fair. 2011. Predicting Presidential Elections and Other Things, Second Edition. Stanford Economics and Finance) ネイト・シルバー氏は、各種の世論調査結果に人種・地域等を考慮した重み付けを行い過去の選挙結果と照らし合わせる数理的予測モデルを作り、勝敗予測を行っています。2008年大統領選挙では合衆国50州のうち49州における勝者を正確に予測し、2012年大統領選挙では合衆国50州とコロンビア特別区における勝者を正確に予測しました。2016年大統領選挙において、ネイト・シルバー氏は以下の通り民主党の勝利を予想しています。(参考:Five Thirty Eight) 経済指標から見ると今回の選挙戦は共和党が有利な状況といえそうですが、両氏ともに二大政党の接戦を予想しています。 トランプ氏・クリントン氏のいずれが勝利しても「円高要因」 大国のトップの交代は、経済・マーケットにも大きく影響を与えるイベントです。米大統領選の動向を知るにあたっては、政治専門家の声だけでなく、統計学者の予測やオンラインカジノのオッズなども参考にしたいところです。 為替市場関係者は、トランプ氏・クリントン氏のいずれが勝利しても「円高要因」になると予想しています。トランプ氏勝利の場合「強い円高要因」となり、クリントン氏勝利の場合「やや円高要因」となる見通しです。したがって、為替による影響を受けやすい株と影響が限定的な株とを見極めながら投資をしていくことが重要でしょう。QUICK Money Worldでは、マーケットスコアから為替感応度を簡単に把握できます。円高に押される日本株…為替の影響が限定的な株の見つけ方は?も併せてご覧ください。   編集:QUICK Money World

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あなたの知らない「インバウンド」、外国人旅行者のホンネを探れ!

「春節で電化製品を買い漁る中国人」――。インバウンドと聞いてその程度のイメージしかないようなら、あなたは表面しか理解していません。外国人旅行者はなぜ日本に訪れるのか、何を求めているのかを正確に把握する、それがインバウンドを理解するうえで重要です。本レポートでは、インバウンドの今と未来について最低限、憶えておくべきことを纏めました。 外国人旅行者は今後も増加する 2015年は「インバウンド元年」ともいうべき年で、2014年比で47%増の1973万人もの外国人旅行者が日本を訪れました。本年度も1~3月期は前年同月比で約40%ほど増加し、3月には調査開始から初めて月間200万人を突破しました。この傾向を受けて、政府は2020年までの年間目標を2000万人から3000万人に引き上げています。 外国人旅行者の内訳は日本政府観光局がまとめた統計データから確認できます。資料によると、2015年は韓国、中国、台湾、香港の東アジアからの旅行者が全体の7割強を占めました。 報道から受ける印象では、外国人旅行者とは「爆買いをする中国本土からの団体客」ですが、台湾と香港からも多くの旅行者が訪れており、合計すると中国本土を超えます。これら地域は日本に対する好感度が高く、日本の伝統文化やポップカルチャーに造詣が深い人が多いのが特徴です。さらに近年は韓国からの旅行者も急増しており、全体の2割強と無視できない値です。 中国人は何月にやってくる? また、2015年は8月に中国人旅行者の入国ピークを迎えました。中国人=春節(旧正月)に海外旅行するというイメージから、春節のある2月が最も多いと思いがちですが、少なくとも資料で確認できる2003年以降で2月がピークの年は一度もありません。中国人は7~9月の夏季に多く訪れる傾向があります。 ここ数年で外国人旅行者が急激に増えた印象ですが、それでも外国人旅行者数は世界で22位、アジアでも7位で政府が目指す観光立国には道半ばといったところです。世界的な観光立国であるフランスやイタリアとは程遠く、中国やタイ、韓国にも劣っています。逆に言えば「伸びしろ」があるとも言え、日本の魅力を積極的に世界にアピールしていく必要があります。 日本に来てまで買いたいモノとは? 日本に来た外国人は土産として様々な商品を購入しています。日本で買うメリットは「品質が良い」「本国より安い」に加えて「デザインが良い」商品が多いからです。観光庁が外国人旅行者を対象に実施した消費動向調査から、彼らが何を購入しているのか確認しましょう。 中国人は化粧品を進んで購入していますが、韓国人は菓子類、台湾人は医薬品を購入しており、国や地域によって好む物が異なるようです。ヨーロッパからの旅行者は酒やたばこなどの嗜好品を購入する傾向があります。 近年、外国人旅行者に人気が高い商品は、ずばり化粧品です。 特に中国人からの人気が高く、一人当たりの購入単価が5万円近くと他国の倍以上の金額です。特筆すべきは購入率で、中国からの旅行者のうち約8割が化粧品を購入しています。もはや、中国人にとって日本での観光目的の一つとも言えるでしょう。 インバウンドの目玉として化粧品が期待されるところですが、注意しなくてはいけないのは、これら購入品は自国での流行にも左右されることです。2014年までは炊飯器などの白物家電や時計、貴金属が人気でしたが現在は伸び悩み気味で、代わりに化粧品が人気を集めています。また、中国本土においてはインターネットの口コミを特に重視する傾向があります。化粧品が人気なのも、日本製の品質の高さが口コミで広まったためです。口コミで話題になっているものとして、例えば、コーセー(4922)の「雪肌精」などが有名です。 とはいえ化粧品ブームがいつまでも続くとは言い切れません。インバウンドを考えるには、これらの情報にアンテナを張り続けることが重要となります。 日本の観光は「買う」から「体験する」にシフトする 2015年までは買い物目的の観光客が増加しましたが、今後は体験を求める観光客が増加するでしょう。先の消費動向調査をもとに、外国人旅行客に「訪日前に期待していたこと」と「次回期待すること」をヒアリングした結果を見てみましょう。以下は述べ回答数のグラフです。 訪日前は「日本食を食べる」「ショッピングをする」ことを期待する人が多いのに対して、次回は「温泉に入る」「スポーツ・レジャーを楽しむ」「日常生活を体験する」ことを期待する人が多いことが分かります。円安やビザ発給要件の緩和により買い物目的の旅行客が増加しましたが、いずれ限界が来ることを示唆します。観光立国と呼ばれる諸外国は、いずれも「歴史ある街並み」「華やかなエンターテイメント」「唯一無二の自然」など、その地でしか味わえない体験を売りにしています。今後も継続的に旅行客を増加させるためには、いかに「日本らしさを味わえる体験」を提供できるかが焦点となります。 日本らしさの味わえる観光地のほか、サンリオ(8136)の「サンリオピューロランド」のような日本にしかないテーマパークへの注目が高まるかもしれません。 また、将来的には地方の観光が重要な柱となるでしょう。というのも、旅行客が2回目、3回目とリピートして観光するに従い、主要な観光地よりも、知る人ぞ知る地方の観光地を目指す傾向があるためです。地方に行けば日本らしい伝統文化や自然が容易に体験できるのも魅力です。そのため、地方には、観光資源の再活用や外国人観光客の受け入れ態勢を整備することが急務といえます。 熊本地震の影響は? 4月に発生した熊本地震の影響は観光業界にも波及する見通しです。九州は全国的にも外国人旅行客が急増している地域で、昨年は全観光客の10数%程度が九州を訪れました。多くは福岡から各県の観光地に向かう客ですが、九州の大動脈である熊本の鉄道と道路が寸断されたため、隣県の大分や鹿児島などへの観光にも影響を与えています。また、九州観光関連銘柄の本命になるかもしれないと期待されていたJR九州の上場も、地震の影響で、どうなるかは不透明です。 また、一連の報道による心理的な不安も既に広がりを見せているようです。過去の災害でも、風評被害や自粛ムードにより地域の観光に影を落とすケースがありました。早急なインフラ復旧もさることながら、外国人旅行客への風評対策も求められています。 以上が2016年のインバウンド動向です。報道から受ける印象とは異なる内容もあったでしょう。インバウンド投資を考えているのであれば、今回挙げた政府資料は欠かさずチェックすることをお勧めします。 編集:QUICK Money World  

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「量的緩和に戻ることはあるのか?」シティグループ証券・村嶋帰一氏

語り手:シティグループ証券 エコノミスト マネジングディレクター 村嶋帰一氏※この記事は4月11日にQUICK端末で配信した記事です。 【景況判断】現状(3カ月前比):悪い 先行き(3カ月後):やや悪くなっている GDP予測:16年度プラス0.7% 17年度マイナス0.3% 【金 利】短期(TIBOR3カ月):やや低下 長期(10年物新発国債):低下 マイナス0.10% 【円 相 場】横ばい圏 110 円/1ドル *GDP予測値は実質GDP成長率、前年比% *長短金利、円相場は3カ月後(2016年7月末)の予測値 1.景気見通し:「円高インパクトの評価は?」 円高ドル安が進行している。成長率に対する悪影響は比較的小さいとみられる一方、CPIと企業収益への影響はかなり大きくなると予想される。現在、10%の円高ドル安はその後1年間の実質GDP成長率を0.2%ポイント押し下げると弊社は推計している。これに対して、2000年代半ばまでは下押し効果が0.4~0.5%に達したとみられる。円高ドル安のインパクトが低下した第一の理由として、日本の製造業が海外需要の増加に現地生産の拡大で対応するようになったことを主因に、円相場の変動に対する輸出数量の感応度が低下したことが挙げられる。第二に、設備投資の企業収益への感応度も低下した。第三に、為替変動がCPIに与える影響が2000年代半ばまでと比べて大幅に強まった結果、円高ドル安は家計購買力を以前より強く後押しするようになった。  逆に、円高ドル安のCPIへの影響は、2000年代半ばまでと比べて大きくなっている可能性が高い。その重要な背景として、金融危機以降、輸入浸透率(国内への供給全体に占める輸入品の比率)が大幅に上昇したことが挙げられる。金融危機後に、日本の製造業が生産の海外移転を加速させたことを一因に、情報関連財を中心に、日本への逆輸入が急増した。  弊社の推計では、10%の円高ドル安は日本のコアCPI(生鮮食品を除く)を0.6%、食品・エネルギーを除くCPIを0.4%押し下げる。弊社は最新経済見通しで、平均112円の円ドル相場を前提に、2016年度のコアCPIを前年比マイナス0.1%と予想した。しかし、円高基調が続いていることを踏まえると、この予想に対するリスクは明らかに下振れ方向である。  一方、3月短観によると、2016年度の円ドル相場の前提(大企業・製造業)は平均1ドル117.5円と、現在の水準を大きく上回っていた。しかし、この楽観的な前提の下でも、大企業の2016年度経常利益計画は前年比2.0%の減益だった。円ドル相場が108円で推移する場合、実際の経常利益は8%程度減少すると試算される。 2.金融環境:「4月会合での追加金融緩和はあるのか?」 3月短観で企業の予想インフレ率のさらなる低下が明らかになったことに加えて、円高ドル安が急激に進行したことで、日銀が4月27・28日開催の次回金融政策決定会合で追加緩和に踏み切る可能性は高まったと判断される。ただ、それでも、弊社は、その確率は30%かそれ未満とみている。  第一に、次回会合は、5月26・27日に開催される伊勢志摩サミットの前であり、自国通貨安を狙った近隣窮乏化策とも解釈されかねない追加金融緩和は、安倍首相がサミット前に構築しようとしている国際協調の流れ(特に財政政策を巡る)に水を差す可能性が否定できない。実際、安倍首相はウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、「競争的な通貨安(政策)は避けなければならない」と語ったと伝えられている。  第二に、マイナス金利の導入後、消費者センチメントが低下し、2月の個人消費関連指標も全般に低調だった。マイナス金利の導入が、家計行動・家計心理にどのような影響をもたらすかは現時点で極めて不透明であり、この点を見極めるには、経済指標の一段の蓄積が必要なように思われる。このため、4月末の段階で、マイナス金利を拡大するハードルは高いように見受けられる。最後に、言うまでもないが、マイナス金利の導入は銀行株価に悪影響を与えた一方、為替市場には日銀が望んだと思われるインパクトをもたらさなかった。円相場と株式相場が追加利下げにどう反応するかは非常に不透明である。  このため、よほどの円高ドル安が進まない限り、追加緩和は夏場にずれ込むと予想される。 3.注目点:「量的緩和に戻ることはあるのか?」 追加利下げが困難なのであれば、今後、金融緩和が必要となる際には量的緩和の拡大に戻ればいい、という見方もある。ただ、量的緩和の拡大策として、再び国債買い入れの増額を実施する場合、金融市場の反応は、2013年4月の量的質的緩和導入、2014年10月の同拡大の際とはかなり違ったものになる可能性は否定できない。 第一に、ほとんど(あるいはすべて)の市場参加者が、「マイナス金利が思ったような効果をあげられなかったため、国債買い入れ増額に戻った」と解釈することが予想される。第二に、「国債の買い入れ増額は本当にこれが最後で、これ以上の増額は無理」という反応を呼ぶ公算が大きい。こうした2つの見方が支配的となれば、それ自体が金融市場へのインパクトや政策効果を小さくする可能性が出てこよう。  一方、ETF買い入れを増額することは比較的容易とみられるが、それを単体で打ち出す場合には、「小出し」の印象が免れない。しかも、ETF買い入れの増額では一段の円高ドル安を阻止する効果は期待できないだろう。  以上の点を踏まえれば、マイナス金利から量的緩和拡大に戻ることも苦渋の選択になる公算が大きい。弊社は現時点で、4月27・28日の会合での追加緩和の可能性を30%以下、6月15・16日の会合は10%、7月28・29日の会合は45%程度とみている。日銀が追加緩和に動くのは、5月の新景気対策の発表と7月の参院選の後になる可能性が高く、その場合、具体的な手段はマイナス金利の拡大になるとみている。 <村嶋帰一氏略歴> 1988年東京大学教養学部・国際関係論学科卒業、野村総合研究所入社。93年2月経済企画庁・内国調査第一課出向、95年2月野村総合研究所・経済研究部、98年5月野村総合研究所・シニアエコノミスト。2002年7月日興ソロモン・スミス・バーニー証券会社入社(現・シティグループ証券)、現在に至る。

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三菱自のデータ不正…自動車メーカー他社の値動きから見えるもの

三菱自動車工業(7211)は4月20日、国土交通省へ提出した軽自動車4車種の燃費試験データについて、燃費を実際よりも良く見せるため不正な操作をしていたことを発表しました。影響範囲は計62万5千台です。発表によると、三菱自と協業で新型軽自動車を開発している日産自動車が現行車の燃費を測定したところ、国土交通省に提出されていた燃費試験データとの乖離があったことから発覚しました。三菱自は2000年、2004年にリコール隠しが発覚した際にも経営危機に陥っており、以降企業体質の改善に取り組んでいた中での3度目の不祥事となりました。 4月21日の株式市場で三菱自の株価は大きく下落し、大引けで20.5%安。QUICK Money Worldのトレンドワードでも話題となっているキーワードとして取り上げられています。     ここで、他の軽自動車メーカーも見てみましょう。現在軽自動車を販売している国内メーカーとしては、ダイハツ、スズキ、ホンダ、日産、三菱、マツダ、富士重工業、トヨタが挙げられます(2016年3月期の軽四輪車新車販売台数順)。三菱自の燃費試験データ不正操作に関する発表後、4月20日午後から4月21日午前にかけての値動きに注目します。  ダイハツ (21日終値:前日比3.08%高)  スズキ (21日終値:前日比5.33%高)  ホンダ (21日終値:前日比2.13%高)  日産自 (21日終値:前日比3.14%高)  三菱自 (21日終値:前日比20.46%安)  マツダ (21日終値:前日比4.75%高)  富士重工業 (21日終値:前日比5.01%高)  トヨタ (21日終値:前日比3.20%高)   三菱自株に売りが殺到する一方で、他の軽自動車メーカーは非常によく似た値動きをしています。すなわち、20日14時より株価の下落が始まり、21日に入ると持ち直して上昇を始めています。軽自動車シェアトップ4のダイハツ、スズキ、ホンダ、日産は、21日午前に伸び悩んだものの持ち直している点で似たチャートの形となっていることが分かります。軽自動車販売数の少ないマツダ、富士重工業、トヨタは午前中の伸び悩みがごく緩やかです。 20日午後の下落は、「三菱自が20日17時に記者会見を行う」という情報が入った時点での市場の不安が読み取れます。今回の問題が三菱自のみの問題なのか他社にも関わる問題なのかという情報がなかったために、その情報量の少なさから三菱自以外の軽自動車メーカーへの不安が広がり売りが強まったと考えられます。記者会見を通過した後の21日に株価が持ち直したことからは、今回の不正が三菱自固有の問題であり、業界全体に広がる問題ではなかったという市場の安心感が読み取れます。 以上のように、市場には軽自動車業界に対する安心感が既に戻ってきていると言えそうです。しかし、2015年9月に発覚したフォルクスワーゲンの排ガス規制逃れ問題が記憶に新しい中、エンジン不正に対して「次はない」と楽観しすぎず、注意しながら投資をすることが重要でしょう。実際、軽自動車のシェアが高い4社が午前に伸び悩んだあたり、21日に入っても若干の懸念が残っていたことが伺えます。 製品の安全性が人命に直接的に関わる自動車の性質上、メーカーには高いモラルやコンプライアンス意識が問われています。その意識が失われれば、事業の根幹が疑われることになります。投資家もそのことを常に意識しておくべきでしょう。  

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インドネシア、課税逃れに恩赦検討加速 パナマ文書も影響

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はインドネシアの現地記者アディ・ビナルソ氏がレポートします。※この記事は4月15日にQUICK端末で配信された記事です。 脱税者へ恩赦…法案審議、パナマ文書が新たな原動力に インドネシアの脱税者に恩赦を保証するタックス・アムネスティ法案が国民議会で支持を集めている。法案が成立すれば、一部の海外資産が国内に還流し、今年の歳入が拡大するだけでなく、国内の資産価格上昇にもつながる見込みだ。 タックス・アムネスティ法案の審議は2カ月以上遅れている。汚職撲滅委員会(KPK)を弱体化させる目的で国民議会が提出している別の法案を政府に認めさせるための取引材料として、一部議員らがタックス・アムネスティ法案を利用していたためだ。 しかし、パナマの法律事務所モサック・フォンテカから大量の資産情報(パナマ文書)が流出したことが、議員らにタックス・アムネスティ法案の審議を進めさせる新たな原動力となった。パナマ文書には、インドネシアの実業家、政治家、現役の官僚、議員らの名前が含まれていた。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は先週、税務当局に対してパナマ文書に名前が載っているすべての企業と人物を洗い出し、納税状況を調査するよう指示した。 インドネシア人の隠し海外資産額、同国のGDP上回る規模か 国民議会のアデ・コマルディン国会議長は、すぐに議会と政府の対立解消に向けて動いた。同氏は「国民議会はいかなる誤解も避けるため大統領とタックス・アムネスティ法案に関して再度議論する」と発言。「われわれは、法案が今年の税収拡大に不可欠であるということに同意している。また、パナマ文書で明らかになったような脱税行為の再発を防ぐ必要がある」と述べた。 ゴルカル党や開発統一党(PPP)、闘争民主党(PDIP)、民主主義者党など主要政党が公式にタックス・アムネスティ法案の支持を表明。反対勢力であるグリンドラ党も対立姿勢をやわらげたもようで、大統領との協議に応じることで合意している。 アデ議長によると、同法案は4月29日までに議会で可決される見通しだ。   インドネシア財務省は、課税を免れているインドネシア人の隠し海外資産額を同国の国内総生産(GDP)を上回る8,770億米ドル超と見積もっている。こうした状況を踏まえ、インドネシア政府が資産の一部を国内に呼び戻そうと提出したのがタックス・アムネスティ法案だ。同法案には、納税者が海外に隠した資産に関して1~3%の最終課税額を支払えば、滞納税を免除することなどが盛り込まれている。財務省によると、この措置により政府収入は44億米ドル増加する見通しという。 脱税者の資金、条件付きで投資許可へ…不動産業界に流入見こむ インドネシア税制分析センターのエグゼクティブ・ディレクターを務めるユスティヌス・プラストウォ氏は、「納税者にとっては、年内にタックス・アムネスティ制度の下で資産をインドネシアに戻すことが得策だろう。2018年に各国の税務当局とタックスヘイブンの間で自動情報交換制度が導入される予定で、海外口座の租税回避が困難になるためだ」と述べている。 ユスティヌス氏が言及しているのは、タックスヘイブンでの節税対策の金融資産情報を各国の税務当局に開示するという経済協力開発機構(OECD)の計画のことだ。対象となるタックスヘイブンには、インドネシアでも有名な英領ヴァージン諸島やケイマン諸島、シンガポールなどが含まれている。 タックス・アムネスティ法案では、脱税者はインドネシアに戻した資金を1年間、政府債に投資すれば、その資金をインフラ、小売り、不動産といった他の分野に投資することが可能になる。 インドネシア不動産協会(REI)のエディ・ハッシー会長は「インドネシアの不動産業界は2016年に前年比で10~12%の成長が見込める」と語る。昨年の成長率は7%だった。同氏は「タックス・アムネスティ制度が導入されれば、新たな資金がインドネシアの不動産業界に流入してくるのは時間の問題」との見方を示している。【翻訳・編集:NNA】

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製造業DI、先行き低迷 経済対策「財政出動・増税見送り」求める声(4月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(4月4~17日調査分、上場企業424社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス8となり、前月調査から3ポイント改善しました。製造業DIの改善は4カ月ぶりとなります。非製造業DIは1ポイント改善のプラス30となり、結果、金融を含む全産業DIはプラス21(前月調査はプラス19)に回復しました。 一方、将来の業況を示す先行きDIは製造業、非製造業ともに悪化。3カ月先のDIは製造業が前月比1ポイント悪化のプラス5、非製造業は同1ポイント悪化のプラス26となりました。足元では日経平均株価が持ち直しの兆しをみせるなど明るい材料もありますが、先行きDIの低迷は今後の国内景気に対する根強い不安を映し出していると言えそうです。 QUICK短観、5~6月の数字に注目 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性も見られるため、市場関係者にも注目されています。 4月1日に発表された3月の日銀短観は、それに先駆けて公表されたQUICK短観で示されたように市場予想を下回る結果となり、その後の円高・株安を招くなどマーケットへの波乱要因となりました。 製造業DIの推移を振り返ると2015年8月調査でプラス29を付けた後は下降トレンドに転換。今回、4カ月ぶりに改善したとはいえ、プラス8という水準はピークに遠く及びません。次回の日銀短観(6月調査)は7月に公表されることになりますが、QUICK短観の4月が改善したとはいえ、今後発表される5~6月の数字が再び落ち込むようだと7月の日銀短観も悲観的な内容になる恐れがあります。 日銀短観は四半期に1度の公表ですが、QUICK短観は毎月調査・公表されているため、ラップタイムの傾向を見つつ、次回の日銀短観の結果を予測するうえで参考になります。4月の現状判断は3ポイント改善しましたが、先行きDIは悪化しています。5~6月にもう一段の改善をみせるのか、それとも先行きDIに示唆されるように息切れしてしまうのか、5月以降のQUICK短観には要注目です。 サービス業の人手不足が一段と深刻に 生産・営業用設備については、前月調査分と傾向はほぼ同じとなりました。非製造業と金融機関で不足感が強く、製造業のうち素材業種では過剰感を示す状況が続いています。製造業の設備過剰感は、大型の設備投資意欲の後退につながるので、あまり歓迎できるものではありません。 また、雇用人員の過不足については、全産業ベースでマイナス32となり、相変わらず人員不足が目立っています。製造業は人員不足ながらもDIのマイナス幅は1ケタにとどまっていますが、非製造業は前回調査と同じマイナス47、金融機関に至ってはマイナス100(前回調査はマイナス83)に達しました。金融機関を含めたサービス業全般の人員不足が、一段と深刻化しています。 全製造業の販売価格および仕入価格については、販売価格DIがマイナス17で、2ケタ台のマイナスが続いています。これに対して仕入価格DIは、昨年6月調査にかけてプラス幅が拡大傾向にありましたが、今年に入ってからは円高の影響もあり、2月以降はマイナス(=仕入価格の下落)に転換しています。 なお、消費者物価指数の見通しは、調査対象となった上場企業の平均値で1年後が0.7%。アベノミクスがスタートした当初から掲げられている年2%の物価目標は、達成するメドがたたない状況です。 最も必要な経済対策「財政出動」4割強 追加緩和の景気浮揚効果は望み薄? 国内景気の先行きを悲観する声が強まるなか、2017年4月に予定される消費税率8%から10%への引き上げを見送るとの見方が強まっています。世界的な景気減速への警戒感も広がる中で各国が協調して金融・経済対策を行うべきとのムードもあり、今後の安倍政権の対応が関心を集めています。 今回4月の特別調査では、「安倍政権に対し、経済対策を求める世論が増え始めています。最も必要な対策は何だと思いますか」との質問をぶつけてみました。 それによると、「財政出動(内需拡大や子育て対策など)」が44%に達し最多となりました。「消費税率引き上げの見送り」が27%で続き、「消費税に限らない減税対策」(17%)をあわせると「税関系」の対策を求める声も45%を占めました。 消費税率は来年4月に10%への引き上げが予定されていますが、消費税率を引き上げれば、個人消費にネガティブな影響を及ぼすことは間違いありません。折しも熊本県を中心に九州で大地震が起こり、日本全体でみても個人消費は落ち込む恐れがあります。 実際、2011年の東日本大震災の時は、少なくとも2011年中において2人以上世帯の消費支出は、前年同月比でマイナスが続きました。今回の震災でも自粛ムードが広まれば、個人消費が落ち込み、景気全体がスローダウンする可能性は否定できません。被災地における早期の復旧・復興が進むことを願ってやみませんが、日本全体でみても経済再生への舵を切るべきとの見方が強まり、財政出動への期待とともに消費税率引き上げは先送りされる可能性が徐々に高まってくるでしょう。 一方、選択肢の中で「追加的な金融緩和」との回答は5%にとどまりました。マイナス金利の拡大などの金融緩和政策は、これ以上積極的に行ったとしても、もはや実体経済に直接与えるインパクトは小さくなりつつあると、企業側は考えていることを示唆しています。 電力小売り自由化、企業側は当面様子見姿勢か もう一つの特別質問では、4月から電力小売りの全面自由化がスタートしたことを踏まえ、企業が電力供給先の契約の見直しなどについてどう対応しているのかを聞いてみました。その結果、「すでに見直して契約を済ませた」が13%、「見直す方向で検討中」が25%となる半面、「特に見直す予定はない」は62%に達しました。 2016年4月18日現在、登録小売電気事業者の数は合計で286社にも上ります。これだけの事業者数があるなかで比較・選択するのは、大変な作業量になりますし、今後は事業者間の競争が起こり、自然に淘汰されていくことが考えられます。企業が電力供給先の見直しを進めるのは、こうした整理・淘汰の動きが一服してからになると思われます。当面は、様子見というところかもしれません。

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日銀追加緩和、次は「量・質・マイナス金利拡大」のセット有力?(4月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の4月調査を、4月18日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者71人が回答、調査期間は4月11~14日)。この間の為替レートは、対ドルが108円05銭~108円92銭。対ユーロが122円93銭~123円66銭でした。 4~6月に104円台まで円高進行の余地? 「デフレから脱却し、景気は回復する」という期待感にあふれていた2013年1月から2015年8月までのムードは、その後の円高・株安の流れを受けて、大きく後退しています。徐々に景気の先行き不安が強まるなか、マーケット関係者は為替や原油価格の動向、金融緩和の方向性をどのようにみているのでしょうか。 4~6月の円相場はドルに対してどの程度まで円高に進む可能性があると思うか聞いた設問では、回答者全員の単純平均で1ドル=104円49銭という結果となりました。最も多かった回答は105円でした。 先週まで110円を目指す展開だった円相場は15日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、米国が円売り介入をけん制する発言をしたことで再び円高基調に戻り、18日は一時107円台を付けました。株価動向をにらみつつ円相場も当面、不安定な値動きが続く可能性が高そうです。 原油など商品価格、当面は「横ばい圏」で推移か 円相場の変動要因として影響が大きい原油など商品価格についても、同じく4~6月の動向について聞きました。原油価格は2月11日に付けた1バレル26ドル21セントで底入れし、中旬からは上昇へと転じて、4月12日には42ドル台まで回復しました。それにともない、コモディティー価格全体も下落に歯止めがかかっています。ただ、マーケット関係者は4~6月については上昇一服との見方が多く、全体の58%が「横ばい圏」と回答しました。「下値模索」に転じるとの回答は13%でした。 石油輸出国機構(OPEC)加盟国や非加盟の主要産油国など18国が17日にカタールのドーハで開いた会合では、増産の凍結について手法などを巡って意見の相違が埋まらず合意が先送りされています。6月2日のOPEC総会まで増産凍結の結論は持ち越されそうな雰囲気ですが、原油価格動向は「リスクオン・オフ」を左右する大きな材料となるため、引き続きマーケット関係者の関心事になりそうです。 消費増税延期の円相場への影響、48%が「影響なし」、「円安圧力」は41% 国内景気の減速感が強まるなかで気になるのが、来年4月に予定されている、消費税率の8%から10%への引き上げです。2014年4月に、それまでの5%から8%に引き上げた影響から、その後の個人消費は大きく落ち込み、現在に至ってもなお個人消費は盛り上がりに欠く展開を続けています。結果、来年4月からの消費税率引き上げを先延ばしにする可能性が高まっているという見方も出ていますが、一方で増税派は、「消費税率引き上げは国際公約であり、その先延ばしは日本売りにつながる」ことへの懸念を示しています。 この点、マーケット関係者の見方は分かれており、「延期された場合の円相場への影響をどう考えているのか」という問いに対しては、「影響なし」とする回答が48%を占める一方、「円安圧力になる」という回答が41%となりました。 また、円高の流れが反転する条件としては、「米生産・雇用・消費指標の改善」が43%を占め、次いで「政府・日銀の金融経済対策」が33%、「原油など商品価格の上昇」が32%となりました。 インパクトある金融緩和は実現するのか 今後のマーケット関係者の注目は、景気の後退色が一段と高まった場合、日銀がいつ追加緩和に踏み切り、黒田日銀がどういったカードを切るかという点に集約されてきます。 この点、市場関係者は早期の追加金融緩和を予想する声が多く、次の金融緩和の時期については、「4月」が43%で最も高く、次いで「6月」の23%、「7月」の17%となりました。 また、金融緩和の手法としては、「量・質・マイナス金利拡大のセット」が35%で最も多く、次いで「質的緩和拡大(買い入れ対象資産の拡大等)」が28%、「量的緩和拡大(買い入れ金額の増額)」が13%となりました。 「量・質・マイナス金利拡大のセット」に期待する声が大きいのは、市場へのポジティブなインパクトを求めているからであり、逆に言うと、いずれ行われる可能性がある金融緩和が肩透かしを食らわせるものだと、マーケットにはネガティブなインパクトになり、円高・株安が急伸するリスクが高まるとも言えそうです。 資源関連通貨がやや持ち直し 毎月定点調査している金融機関の外為業務担当者の為替見通しによると、4月末の平均値で109円15銭となり、前回調査の113円60銭に比べて円高方向にシフトしました。 為替の変動要因として前回調査に比べて注目度が上がったものとしては、円が「当局の姿勢」、米ドルが「政治/外交」、ユーロが「景気動向」となりました。また市場に及ぼす影響の度合いを示した指数をみると、円は「貿易」が前月比で5.4ポイント上昇し、63.7になりました。円高の原因については諸説紛々ですが、ファンダメンタルズとしては、単年ベースで2011年から2015年まで続いた貿易収支の赤字が、3月時点で貿易黒字に転じていることの影響が円高要因のひとつと考えられます。貿易収支の黒字は、潜在的な円の買い圧力になります。 ただ、1ドル=107円台まで円高が進んでいる状況のなかで、ここから多少の調整が入るとみる向きもあり、向こう6カ月間の対円レートについての動きを聞くと、ドルDIが前月のプラス28からプラス37に上昇しています。またNZドルがマイナス11からプラス30に、豪ドルがマイナス3からプラス25に、カナダドルがマイナス3からプラス19に、それぞれプラス転換しているのは、原油価格の下げ止まりによる影響とも考えられます。 企業の想定レートは円高水準に ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面のスタンスは前月と全く変わらない結果が出ており、「ニュートラル」が78%を占めています。また為替ヘッジについて当面のスタンスは、「ヘッジ比率を上げる」が前月の11%から0%に低下する一方、「ヘッジ比率を下げる」が0%から13%に上昇しました。「ヘッジ比率を上げる」から「ヘッジ比率を下げる」を差し引いて求めるDIは、1月以来のマイナスになっています。 なお、企業の業績予想の前提となっている為替レートですが、ドルが平均で114円03銭になりました。昨今の円高進行の影響を受け、想定レートを円高方向にシフトさせる動きが広がりつつあるようです。

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本決算発表本格化…商社の業績修正から考える「決算サプライズ」のとらえ方

株式市場では3月期本決算が本格化してまいりました。各企業から今年度の業績予想が発表され、事前の市場予想との差、つまりサプライズが見えてくるようになります。3月末までのサプライズ決算を振り返ることで、ここからの決算発表を、どのような心構えで迎えればいいのか、おさらいしたいと思います。 こちらの画像は2016年3月28日までの一週間の間にあった決算企業のサプライズ指標となります。 2016年3月28日作成 サプライズレシオのマイナス幅が大きいほど、発表された業績内容がアナリストの予測を下回っていた企業(=過大評価されていた企業)となります。株価というのは帳簿上の価値だけでなく、「将来これだけの収益を上げるだろう」という市場の「期待」を加味して決定される者ですので、こういった期待はずれの企業というのは当然、株価が下落します。 では、マイナス方向のサプライズを発表した企業は、「単純に売り」と捉えるべきなのでしょうか。確かに多くの場合は、発表直後に急落し、そのままずるずると下げます。 ですが、そうではない銘柄もあります。マイナス方向へのサプライズなのに、数日後、場合によっては発表翌日に、上昇に転じる銘柄です。市場でよく「悪材料出尽くし」と言われる現象ですが、どういう仕組みなのでしょうか。 「悪材料出尽くし」のタイミングこそ「中~長期で割安な優良銘柄」を拾うチャンスでもあります。今回は画像にある三井物産と三菱商事をモデルに分析してみます。 予想を裏切った理由をきちんと把握する 実際、三井物産も三菱商事も、会社予想の修正を発表した後に、4月初旬にかけて売られましたが、2月につけた年初来安値を下回ることなく、足元の株価は反発に転じています。 この値動きをどう考えるべきでしょうか。   サプライズメーターの画面では三菱商事をクリックすることで、個別銘柄の項目に飛ぶことができます。 ここでまず注目していただきたいのは、右側にある「会社概要」です。簡単な業務の内容が載っていますが、これが「市場の期待を裏切った理由」を読み解くヒントとなっています。 たとえば今回の三菱商事の場合、「エネルギー産業との取引に強み。資源開発で先行」とあります。 2015年の後半以降、報道されている通り資源、特に原油の価格は下落の一途を辿っており、関連企業の業績悪化や資源国の経済不安を耳にされている方も多いのではないでしょうか。 つまり、時事のニュースと会社概要、そして決算内容をつなげることで「もしかして今回業績が悪かったのは三菱商事に何か問題があったわけでなく、資源相場下落による損失が原因ではないだろうか?」という仮説をたてることができます。 実際、三菱商事と三井物産の下方修正は、銅を中心とした資源価格の下落が原因でした。業績修正発表資料のなかにも記載がありますので、ここはきちんと把握しておきたいところです。 業績修正の理由はどれくらい織込まれていたか?を把握しよう では、下げが限定的だった理由とはなんでしょうか。下方修正の理由であった資源の価格に注目することが重要です。 以下は銅と原油の国際的指標のチャートです。ともに昨年後半に下げ足を速め、今年の2月ごろに安値をつけています。ですがその後の価格は回復基調。つまり、下方修正の原因である資源価格の下落はすでに一服しているのです。 株価はこういった周辺情報からの思惑で動くものです。資源価格の下落に大手商社の株価が連動していたのであれば、大手商社の安値も資源価格と同じ2月ではないか。むしろ、資源価格は足元、上昇基調ではないか。こう考えれば、今回の大手商社株の決算後の反応は、売りは限られ、どこかで悪材料出尽くし感が広がる、と捉えることができます。 こういった指標を追いかけて、大手商社の業績下方修正を警戒することができた市場関係者はどれくらいいるのか。ここを見極めることができれば、悪材料出尽くしのタイミングを掴むことができます。とはいえ、こればかりは定量的に把握することが難しいので、値動きを見ながら、タイミングを測るしかありません。 体力のない企業は一度の下方修正でも危ない ここで注意していただきたいのは「規模」と「安全性」です。 この数値が両方とも極端に低い企業の場合、「業績が回復する前に倒産」してしまう可能性があるため、長期保有には向きません。 QUICKスコアの「規模」と「安全性」を見ながら、大幅下方修正でも目先を乗り切れそうな大量のある企業を見極める必要があります。 以上、決算サプライズをスタートとした、銘柄選別の方法でした。 こういった「予想外」のことが起こったタイミングこそがチャンスになります。今回説明した決算分析を繰り返し、慣れてきたところで、予想外の曲面での逆張りに挑戦してみるのも良いかもしれません。 編集:QUICK Money World    

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台湾・鴻海、シャープ買収に調印 「アップル受注」「3C成長力」で双方にメリット

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は台湾の現地記者、李臥龍(リー・ウォーロン)氏がレポートします。※本記事は4月6日にQUICK端末で配信された記事です。 シャープ買収劇、「4割引き」で終幕 鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー、コード@2317/TW)とシャープ(6753)の交渉がようやく実を結んだ。鴻海とシャープの協議は3月30日に合意に達し、調印した。鴻海グループと郭台銘会長個人が合わせて3888億円(約1166億台湾ドル)を出資し、シャープの株式の66%を取得する。1株当たりに換算した株式の取得価格は88円で、ほぼ「4割引き」の価格となった。  この3888億円という出資額は、シャープが2月25日の臨時取締役会で通過させた金額より1000億円少ないものとなっている。しかし、台湾と日本の企業史で4つの「第一」を記録することになる。まず、日本の百年以上の歴史を持つ企業が、海外企業からの買収を受け入れて再建に臨むのは、初めてということ。次に、鴻海にとって創立四十数年来で最大の海外投資だ。さらに、台湾企業が日本の液晶パネル大手メーカーを買収するのは、初めて。加えて、鴻海グループの副総裁がシャープの社長に就任することになるとみられているが、日本の百年以上の歴史を持つ企業に台湾人社長が誕生すれば、これも初めてとなる。 譲歩の末の調印…債務の返還期限迫り 鴻海とシャープは4月2日、日本で契約に調印した。双方が発動することになる新しい戦略が、世界から注目を集めている。  鴻海が提示した投資企画によると、鴻海、鴻海の英領ケイマン諸島子会社FFE、鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー、コード@2354/TW)のシンガポール子会社FTP、郭台銘会長が個人的に投資するSIOが、共同でシャープに約2888億1100万円を出資する。  さらに、鴻海は約999億9900万円強の戦略的投資を行い、シャープが増資として発行する議決権のない種類株1136万3636株を取得する。これは、2017年7月1日に1対100の比率で普通株に転換できる。1株当たりの転換価格は88円となる。以上の合計で今回、鴻海からシャープへの投資は3888億円となる。  鴻海としては、値引きは求めてはおらず、双方が協議によって達成した合理的な投資額だと強調している。しかし、市場の焦点は、将来鴻海がシャープに資本参加した後、どれほどの有利な立場を確保したのかに置かれている。  消息筋によると、シャープの巨額の債務が返済期限到来を迎えようとしており、資金需要が切迫している。また、鴻海グループは技術を流出させないと約束した。これによってシャープは最終的に譲歩し、出資受け入れ金額を引き下げた。同時に、調印後、もし鴻海側の原因ではなく買収が破談に終わった場合も、鴻海がシャープの液晶パネル事業を切り離して買収する権利を認めた。しかも、「従業員の雇用を維持する」という点についても、シャープは譲歩し、新条項を追加することで、鴻海がリストラを検討できるようにした。     硬直体制打破できるか…経営立て直しの試練は続く 日本のメディアの多くは、鴻海がこの百年の歴史を持つ日本企業を買収することに対して肯定的な見方を示しており、鴻海グループのスピード感ある管理スタイルおよび完成されたサプライチェーンによって、硬直化した企業に新しい生命が注入されると考えている。  台湾側でも、鴻海はシャープの極めて高度な液晶ディスプレイ技術を利用することで、最大の顧客である米アップル(コード@AAPL/U)からのスマートフォン組み立ておよび部品供給の受注を揺るぎないものとでき、同時にシャープに3C(コンシューマー・エレクトロニクス=家電、コンピューター、コミュニケーション=通信機器)分野での成長力を注入できると考えている。  しかし、この取り引きには双方の間に文化的な差異が存在している。さらに、シャープの過去2年間に及ぶ巨額の赤字をどのように黒字転換させるのか。いずれも、鴻海グループとシャープの新経営チームの知恵が試されることになる。将来、鴻海とシャープの提携には、さらに無数の挑戦が待ち構えていると思われ、それをどう乗り越えていくのか注目したいところだ。

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