画像処理半導体のエヌビディア、2桁増益予想 減速感も台頭か【米決算プレビュー】

GPU(画像処理半導体)大手のエヌビディアが米東部時間9日午後5時(日本時間10日午前7時)に3Q(8~10月期)決算発表を予定している。QUICK FactSet Workstationによると、市場予想のEPS(1株利益)は前年同期比13.9%増の0.95ドルが見込まれている。四半期ベースで2桁増収増益は続くものの、売上高はこれまでの5割増収、純利益は2倍強と急速に伸びていたことを勘案すると、若干の減速感が否めないかもしれない。なお、ソフトバンク(9984)が10兆円ファンドと称される「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を通じてエヌビディアに多額の出資をしており、ソフトバンクの株価動向にも影響を与えるとみられる。 【8~10月期決算の市場予想】(前年同期比) ・売上高       :23億6360万ドル(17.9%増) ・純利益             : 5億9710万ドル(10.2%増) ・EPS                  : 0.95ドル(13.9%増) ~~~売上高の部門別内訳~~~ ・ゲーム部門     :12億8000万ドル (2.9%増) ・映像化部門    : 2億3500万ドル(13.5%増) ・データセンター部門: 4億1600万ドル(92.1%増) ・自動車部門    : 1億4200万ドル(24.9%増) ・OEMその他   : 1億8200万ドル (2.0%減) ※QUICK FactSet Workstationより エヌビディアはコンピューターグラフィックスの先端を行くビジュアルコンピューティング企業で、PCやモバイル機器に搭載される高性能なグラフィックスチップとプロセッサの開発・製造を手掛ける。製品用途は、PCの画像処理から、ゲーム機、専門可視化装置、データセンター、AI、仮想通貨のデータ処理、自動車等へと拡大。任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のメーンプロセッサーにエヌビディア製のモバイルプロセッサ「Tegra」が採用されている。ゲーム向けのグラフィック処理などに使ってきたGPUはAIの技術を取り込みやすい特長があり、ディープラーニングに適しているとみたトヨタ自動車(7203)やテスラなどが相次ぎ採用。エヌビディアのGPUは世界の自動車・部品大手に自動運転車の研究で使われており、レベル5と呼ばれる完全自動運転の技術開発に弾みがつく可能性があるとみられている。 【エヌビディアの時価総額の推移】(単位:100万㌦) ※QUICK FactSet Workstationより作成 2Q(5~7月期)決算では、「ニンテンドースイッチ」を含むゲームに加えて、AI、仮想通貨のデータ処理向けなどの好調で市場予想を大幅に上回る着地となりながらも、決算発表直後は売られた。データセンター向けが市場予想ほど伸びなかったことが嫌気された経緯があり、全体業績の動向は勿論のこと、用途向きの伸びにも注目したい。 ◎過去の決算と株価の推移はQr1などQUICK端末のナレッジ特設サイト「米決算プレビュー」で確認できます。 【過去20四半期決算分析】 EPS実績  対市場予想 上振れ回数    18 下振れ回数       2 EPS実績/市場予想(%) 平均乖離率   +42.0 平均上振れ率    +50.0 平均下振れ率    -30.2 決算発表直後1日の値動き 上昇回数     13 下落回数     7 平均騰落率    +5.6 平均上振率       +10.5 平均下振率         -3.5 ※QUICK FactSet Workstationの「サプライズ履歴」より作成 同社の決算発表は概ね市場予想を上回って着地するケースが多く、過去5年(20四半期)で18回も上振れ。その際の平均上振れ率は50%にも達する。その一方で、2回下振れしたが、その下振れ率は30%。この決算発表直後1日の値動きは、13回が上昇し、7回下落。平均上昇率10.5%、下落率は3.5%だった。 傾向的に市場予想を大幅に上回る着地となり、株価もポジティブに反応することが多い。ただ、市場予想を上回る決算ながら利益確定売り等などで売られたケースも少なくないだけに注意が必要だろう。今回は株価が最高値圏にありながら、増益率が鈍化するとみられるなど警戒感が強いだけに、市場予想通りの着地や若干の上振れ程度ならば利益確定売りに押される可能性が高そうだ。逆に、成長鈍化を払拭するような大幅増益決算となれば、株価上昇に弾みがつくかもしれない。 【QUICKエクイティコメント・本吉亮】 ※QUICKエクイティコメントは、国内株・北米株を中心に相場動向をLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

日本株21年ぶり高値、あのファンドも動き出す

21年ぶりの高値圏に浮上した日本株。塩漬けにされていた株に売り抜けの好機到来と言える。それは個人投資家のみならず、「物言う株主(アクティビスト)」にとっても追い風となっているようだ。 ※この記事はQUICKのオプションサービス「QUICKエクイティコメント」で2日に配信したニュースを再構成したものです。 旧村上ファンドがイグジットに成功? 電子部品商社の黒田電気は10月31日、投資ファンドのMBKパートナーズによる完全子会社化を目的としたTOBに賛同すると発表。買収総額は1000億円強で、TOB価格は1株2720円とした。これは10月31日終値(2020円)を34.7%上回る水準だったことから、翌11月1日は買い注文が殺到しストップ高比例配分となった。 黒田電気は、旧村上ファンド系投資ファンドであるレノが実質的な筆頭株主で、村上世彰氏の愛娘の野村絢氏、村上世彰氏と関係の深いオフィスサポートなどの共同保有分を含めて約37%も保有しており、このたびTOBの応募でMBKと合意したという。黒田電気側は液晶関連の取引減少で業績が悪化するなか、MBKから資金や人材などの支援を得て事業基盤を再構築するとしているが、レノがイグジットに成功したとみるのが妥当だろう。 これには伏線があった。黒田電気が6月末に実施した株主総会では、レノが提出した社外取締役を選任する株主提案を賛成多数で可決された。「物言う株主」による株主提案が可決されるのは極めて異例で、2009年にアデランスの総会で米スティール・パートナーズが推す取締役の選任が可決されて以来(約8年ぶり)だったという。黒田電気側はレノの提案に反対していたが、他の少数株主もレノに賛同したことで株主提案が可決された。レノは黒田電気に他社との経営統合や株主還元の強化を求めて圧力を強めていく方針としており、今回のイグジットにつながったとみられる。 ●黒田電気の株価チャート(QUICK ActiveManagerより)   レノ、次の標的は? 今回の黒田電気からさかのぼること約1年前、2016年11月末にはゴルフ場運営大手のアコーディアゴルフが、投資ファンドMBKパートナーズによる買収で上場廃止となった。アコーディアゴルフも旧村上ファンド系投資会社のレノが実質的に筆頭株主で、共同保有分を発行済みの約19%を保有していた。2013年に投資を開始してから約4年でイグジットに達し、投資総額390億円に対して約480億円回収したという。 この2件から旧村上ファンド系投資会社は筆頭株主として数年間にわたり会社側へプレッシャーを与え続け、MBKパートナーズを通じイグジットを図るというスキームを定着させつつあるように見える。今回の回収資金でレノは新たにどの企業にロックオンするのかも注視したい。 ●アコーディアゴルフの株価チャート(2017年3月23日上場廃止、QUICK ActiveManagerより)   エフィッシモの動向に注目 また、シンガポールに拠点を持つ旧村上ファンド出身者らによる投資ファンド「エフィッシモキャピタルマネージメント」の動向にも注目だろう。エフィッシモも株主提案などに積極的な「物言う株主」として知られており、渋チンだったヤマダ電機に圧力をかけて配当金の増加等を勝ち取ったほか、今年5月には宝飾品大手TASAKIがMBKパートナーズによる買収でイグジットに成功した経緯がある。 エフィッシモは保有比率で最も高い川崎汽船(38%超)を筆頭に、日産車体、TOC、ヤマダ電機なども15%程度保有する。エフィッシモの投資スタンスは定かではないが、主に東証1部上場で業績等が落ち込んだ企業の株価が沈む状況で大量に仕込むという戦略と推察される。春先には巨額損失計上で急落した東芝を大量取得したことが話題となったが、取得理由としては「企業価値に比べ割安と判断した。成長を促すために対話することもあり得るが、現時点では具体的に想定していない」と挙げていた。業績不振銘柄への投資のため、イグジットには多少時間かかると思われるが、足元の良好なマクロ環境や世界的な株高の流れがイグジットの流れを後押ししそうだ。 TOBプレーはあるか… 旧村上ファンド系の投資ファンドではレノ、エフィッシモキャピタルマネージメント以外にも、村上世彰氏が関与するとされるオフィスサポートがある。さらに、村上世彰氏の愛娘である野村絢氏、野村絢氏が代表を務めるC&Iホールディングスなどもあり、これらの名称を見かけたら要注目されたい。そのオフィスサポートは10月31日提出の大量保有報告書で、日本郵船の大量取得が明らかとなった。村上世彰氏はニッポン放送株を巡るインサイダー取引容疑で逮捕されてから一線を退いていたが、相場に復帰。今年6月に「生涯投資家」という書籍を執筆し、現在はツイッターで積極的にツイートするなど、精力的に動いているだけに再び「物言う株主」として辣腕を振るう日も遠くはないかもしれない。 旧村上ファンド系投資ファンドが保有する銘柄が下記の一覧で、いつイグジットに向かうも注目点だ。TOBといったイグジット戦略で株価が思惑的に動く局面が近づいているのかもしれない。   ※2017年に入り、金融庁の大量保有報告の提出があったもの   【QUICKエクイティコメント・本吉亮】

次期FRB議長、パウエル氏指名 市場の見方は?

トランプ米大統領は2日、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にジェローム・パウエルFRB理事を指名した。ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)など複数の米メディアが正式発表前の1日にパウエル氏の昇格を報じたことを受け、QUICKでは発表直前、次期議長について市場関係者に聞いた。 ※この記事はQUICKのオプションサービスである「QUICKデリバティブズコメント」で2日に配信されたニュースをまとめたものです。 ▼「金融規制は緩和方向に」 大和証券チーフエコノミスト 永井靖敏氏 パウエルFRB理事は、これまでイエレンFRB議長の金融政策を支持していたことから、政策の急変はないだろう。理事として、5年以上FRBに在籍しているため、実務上の不安もない。投資ファンドの経営を経験したことから市場との対話という点についても、安心感がある。ただ、金融規制については、これまで緩和すべきと主張してきた。議会共和党の意向も受け、緩和方向に修正されそうだ。金融規制が緩和されると、マクロプルーデンスでバブル発生を抑えない分、金融政策で行き過ぎた資産価格の上昇に目配りすることも考えられる。 ▼「マエストロではなく劇場支配人」 東京海上アセットマネジメント チーフファンドマネジャー 平山賢一氏 政府による市場への介入が強化されている昨今、エコノミストによる経済分析よりも政治的立ち回りが重視されているだけに適任と言えるでしょう。マエストロではなく劇場支配人が求められているわけです。ネゴシエーターに徹すれば市場は安定化するものの、それに我慢できなくなれば長期金利のボラティリティ創発の淵源地なるはず。 ▼「副議長がテイラー教授になると、市場はややタカ派的だと受け止められるかも」 シティグループ証券 相羽勝彦氏 パウエル氏については既に市場は織り込み済みで、現行の金融政策スタンスの継続性が保たれる感じでしょうか(弊社では、来年3回利上げするという従来の見通しに変更はありません)。まだ決まっていない副議長がテイラー教授になると、市場はややタカ派的だと受け止められるかもしれません。 ▼「レバレッジ比率の規制緩和を強く推進しない」SGHマクロ・アドバイザーズのサッサン・ガラマニCEO パウエル理事が次期FRB議長になったとしても、ドット・フランク法(金融規制改革法)の大手銀行のレバレッジ比率に関する規制緩和を強く推し進めることはないだろう。注視すべき点はパウエル次期議長が今後FRBが発信する政策のメッセージに金融安定を組み込むかどうかだ。低金利が長引く中で、金融市場が不安定化する可能性を懸念している。 副議長の人事に関してはテイラー氏やウォルシュ氏の可能性は低いとみる。経済学者出身で可能性があるのはグレン・ハバード米コロンビア大教授、グレゴリー・マンキュー教授、ピーター・アイルランド米ボストン大学教授、チャールズ・カロミリス米コロンビア大学教授などだろう。 ▼「理事の指名が重要になる可能性も」 野村證券 中島武信氏 パウエル氏が指名されたことは、市場の予想通りであり、短期的な影響は限定的と見ます。ただし、テイラー氏、ウォーシュ氏が指名される可能性もゼロではありませんでした。パウエル氏が指名されたことで、サプライズが回避されたことや、現行政策の維持の可能性が高まったため、低ボラティリティが継続し易くなるという効果はあるかもしれません。 経済学者出身のバーナンキ前議長、イエレン議長と異なり、パウエル氏は弁護士出身であるため、バーナンキ前議長、イエレン議長と比べて、金融政策について、先進的な取り組みを行う可能性が低いことは、市場にとっては、政策の見通し易さに繋がるかもしれません。 実際、パウエル理事はこれまで、バーナンキ前議長およびイエレン議長の提案する政策を一貫して支持してきました。パウエル理事自身が金融政策についてどれだけ強く自身の意見を主張するかは不透明です。 現在、FRB理事は3名の空席があり、イエレン議長が2月の議長退任とともに理事のポストも辞することになれば、空席は4つになります。パウエル氏が独自の金融政策感を強く打ち出すわけではないとすれば、大統領が指名する他のFRB 理事の顔ぶれも、非常に重要になってくるとみています。その意味では、他のFRB理事の指名次第では、現行政策とは異なる政策が出てくるリスクは意識しておいたほうが良いかもしれません。 ▼「利上げペース速まる可能性も」 クレディ・スイス証券 白川浩道氏 パウエル理事指名であれば、規定路線の印象。金融政策運営に大きな変化はないとみられるが、今後、共和党保守派はより早いペースでの利上げを迫る可能性があり、金融規制緩和と引き換えに、FRBも利上げペース加速に応じるのではないか。また、副議長にテイラー教授が指名される可能性もあり、この場合、利上げ加速期待が強まることになろう。債券市場は来年春にかけて売られやすい展開か。 ▼「クレジット市場にとって最良のシナリオ」 みずほ証券 大橋英敏氏 ハト派色が強く”適温相場”継続の期待が高まることは、クレジット市場にとって最良のシナリオ。パウエル氏は金融実務経験も豊富で、今後の金融規制緩和への期待も高い。 ▼「学者肌の議長が続き、それに慣れてきた市場との対話が上手くいくのか?」  三菱UFJモルガン・スタンレー証券 服部隆夫氏 サプライズはないですね。ただ、パウエル氏はこれまで金融規制や制度についての講演が多く米経済や景気については、イエレン議長を中心とする大勢の意見をまとめる程度にとどまっていました。その点、イエレン路線を踏襲するといえる反面、経済の判断や金融政策についてはどうなるか心配です。弁護士ですし、経済博士号も持っていないと思います。これまで、グリーンスパン、バーナンキ、イエレンと学者肌の議長が続きそれに慣れてきた市場との対話が上手くいくのか、注目しています。 ▼「トランプ政権の意向にそった点を重視したい表れ」 みずほ総合研究所 高田創氏 パウエルFRB理事が事前予想において10月以降、ほぼ独走状況でしたので市場はかなり織り込んでいた感じです。パウエル理事は現在イエレン議長のもとで金融政策を担ってきましたので、金融政策の先行きにも当面大きな変化はないと考えられます。久しぶりに、学者やエコノミストでない法律家出身の議長になることは、現在の経済環境が良好で、”平時”の状況になってきたことを反映し、むしろトランプ政権の意向にそった点を重視したい表れと考えられる。 ▼「優秀な人だと思いますが、未知数です」 野村證券 宍戸知暁氏 優秀な人だと思いますが、インフレが急上昇するなど想定外の事態になって、イエレン議長が作ったゲームプランを破棄しなければならなくなった時に正しく行動できるかは未知数です。 ▼「無難。難があるとすれば面白くないことでしょうね」 SMBC日興証券 丸山義正氏 現状維持路線ですのでサプライズは無し。トランプ大統領は結局、自らの財政政策に有利なFRB議長を選んだ。パウエル氏は官僚経験もあり、無難にこなし、イエレン路線を維持するのでしょう。難があるとすれば、面白くないことでしょうね。特に経済学者が二人続き(かつその前はグリーンスパン)、経済論議に慣れたのちでは退屈かも知れません。 ▼「マーケットへのインパクトは小さい」 東海東京証券 佐野一彦氏 事前に織り込み済みなので、マーケットの初期反応通り、大きな影響はないだろう。実際に就任してみないと分からないとはいえ、基本的に現在の政策を踏襲するスタンスだ。今後のFRBの利上げペースに関しても、経済や金融動向をみながらマーケットにインパクトを与えないよう柔軟に対応するだろう。 ▼「景気にとっても金融機関にとってもプラス」 マネックス証券 大槻奈那氏 金融政策については、基本的にはイエレン氏のゆるやかな利上げを踏襲すると想定されています。加えてパウエル氏は、「規則・規制の強化が金融市場の諸問題を解決する最善策とは限らない」と最近発言しているので、景気にとってプラスと言うことに加え、金融機関にとってもポジティブと思います。 ▼「きわめて常識的な人選で、マーケットに安心感を与える」  日本総研 翁百合氏 共和党主流派に近く、イエレン路線を継承できるという意味で、きわめて常識的な人選で、マーケットに安心感を与える人選だと思います。 ▼「トランプ氏は株高を取った」 銀行 執行役員 パウエル新議長なら概ね織り込んでいると思います。あとはテイラー氏が副議長に入るかどうかですか。トランプ大統領はパウエル氏よりテイラー氏を推していたと思いますが、結果的にはトランプ氏は株高を取ったと言うことですよね。安倍首相を見習ってのことでなんでしょうか。低迷した支持率を回復するには手っ取り早いんでしょうね。 ▼「利上げ水準の決定など困難な仕事が待ち受ける」 バンク・オブ・シンガポール パウエルFRB理事が次期議長となった場合は、経済の過熱を防ぐための金利引き上げの水準を決めたり、景気後退に対する対策を講じる必要が任期中に出てくる可能性がある。困難な仕事が待ち受けているだろう。経済学者でないことから金融政策の議論に役立つ見方を提供することが出来るかもしれないが、博士号(Ph.D.)を持つFOMC参加者の考え方に影響を及ぼすことはないとみる。 ▼「イエレン議長の再任なく残念」 投資顧問 ファンドマネージャー トランプ大統領らしいのですが、イエレン議長は、金融政策の正常化をうまくやってきたと思いますので、再任されないのは残念です。今後の政策運営への政治的な介入により、FRBに対するマーケットの信頼感が薄れていくかもしれません。世界的に景気が拡大している間は大きな問題にならないと思いますが、環境が変わったときにどうなるか注目しています。 ▼「バランスシート正常化後は金利重視の金融政策に」 HSBC パウエル理事がFRB議長に就任した場合、バランスシート正常化後の長期的な金融政策の枠組みを決める必要がある。現行のFRBは政策金利を使って金融情勢に働きかけるが、金融危機前の金融政策に戻すかだ。金融危機前は準備高を調整して金融情勢に働きかけた。ただ、金利調節による金融政策を支持する公算が大きい。金利調節の方が実施が簡単で、市場との対話も容易だからだ。 金融規制緩和については、自己勘定取引を禁止するボルカールールを緩和し、ストレステストを簡素化する可能性がある。 ▼「共和党保守派とトランプ大統領の板挟みで苦労しそう」 市場関係者 副議長や理事が空席だらけで、陣容が良く分かりませんが、共和党保守派の推すタカ派が増えそうな雲行きで、そうなれば低金利大好きなトランプ大統領との板挟みで苦労しそう。その意味では、フィッシャー前副議長という後ろ盾に支えられていたイエレン氏とは大違いですね。いずれにせよ米国経済が変調をきたせば、外需頼みの日本経済への影響も大きいところ、是非とも頑張っていただきたいものです。 ▼「キャスティングボートを誰が握るのか?」 銀行 ディーラー 今までは議長が握っていた政策判断の根幹となるマクロエコノミー分析のキャスティングボートを、今後は誰が握るのか。ダドレー?ブレイナード?空席を埋める新理事?完全にイエレンとの連続性が保たれるわけではなく、案外タカ・ハト度合いに差があると思います。 ▼「考えは主流だが、危機対応はイエレン議長と異なる」 パンテオン・マクロエコノミクス パウエルFRB理事が議長に就任しても、金融政策の面ではFRBをかき乱すことはないだろう。金融政策に関する考え方は主流だからだ。ただ、ショックに対する対応はイエレン議長と異なる可能性がある。経済学者でないことからFRBスタッフやFOMC参加者から手引きを受けるとみるが、理事に4つ空席があることから不透明要因が残る。

2017衆院選 与党3分の2超、どこよりも早い市場関係者の見方

22日投開票の衆院選では、与党自民党が単独で過半数(233)を上回り、絶対安定多数(261)を確保。公明党とあわせて300議席を超え、改憲の国会発議に必要な3分の2(310)を上回った。野党第1党は立憲民主党となった。QUICKのデリバティブズコメントチームが市場関係者の声を聞いた。 米調査会社「大規模な財政政策や補正予算は限定的か ●「海外勢の目には『日本の政治が最も安定』と映るのでは」 外為どっとコム総合研究所・神田卓也氏 野党分裂の影響が大きかったとはいえ与党が圧勝したことで、海外勢の目には日本が先進国の中で最も政局が安定していると映るだろう。日本株は、外人買いが期待できそうだ。日経平均は14連騰中とあって一旦利益確定売りが出る可能性もあるが上昇基調は崩れないと見る。長期金利は黒田日銀総裁の再任観測が強まるため上昇する事はないだろう。円は米国を中心として海外情勢に大きな変化がなければ下落する公算が大きい。 ●「大規模な財政政策や補正予算の推進ないか」 米調査会社のSGHマクロ・アドバイザーズ・サン・ガラマニ氏 経済政策の面では、安倍首相は衆院選での大勝を言い訳に大規模な財政政策や補正予算を推し進めることはないだろう。あらかじめ目標を設定するなどして規模は限定的だろう。ただ、北朝鮮に対処し、中国に政治的、軍事的、経済的にアジア圏で中国に対抗し続けるという点では政権基盤が強固な安倍政権は日本にとって有益だろう。安倍首相は現実的な政治家で、憲法改正については今後も手を引く公算が大きい。 ●「与党勝利もドル円相場のテーマにならず」 三井住友銀行チーフストラテジスト・宇野大介氏 与党勝利は事前の報道通りだ。アベノミクスは金融緩和拡大から人づくりに移行しており、ドル円相場は選挙前から衆院選をテーマとしていない。来年中間選挙に向けた米国のドル安政策と、米税制改革の行方が主要テーマとなろう。当面は110~115円という方向感なき相場展開が続くとみている。   独立系運用会社幹部「2万2000円まで短期ラリー、年内は浅い押し目しかないのでは」 ●「株高・円安先行も持続性に欠ける」 ソニーフィナンシャルホールディングス・石川久美子氏 衆院選の与党圧勝を受けて、週明けはご祝儀的な株高・円安となる可能性はある。しかし事前の世論調査で与党の優勢はすでに明らかだったこともあり、持続性には欠ける展開になると予想する。 今後は再び米国や欧州の金融政策の動向や、次期米連邦準備理事会(FRB)議長人事などへ市場の関心が移る公算が大きい。ドル円は今週発表される米7~9月期の国内総生産(GDP)速報値など、主要経済指標などを眺めて方向感を模索していくような流れとなりそうだ。 ●「2万2000円まで短期ラリー、年内は浅い押し目しかないのでは」 独立系運用会社幹部 短期的なリスクオン。株式は日経平均株価で2万2000円程度までの短期ラリーを想定します。その後は、マクロ系の利益確定売りが出る局面も想定されるが、押し目は日銀や国内機関投資家に吸収され、年内は浅い押し目しかないだろう。決算発表で業績好調組とその他で二極化も話題になるだろう。 ●「黒田総裁の再任、金融界にとっては安心感」 別の独立系運用会社幹部 選挙の結果は与党勝利で良い結果と言えるものの、想定内だったことと株式市場も大きく上昇を続けた結果、今回の選挙結果の影響は中立と考えます。自民党に対する期待が高いというよりも、過去に民主党が政権を取って痛い目にあったことが記憶がまだ新しいこともあり、希望の党などのような即席の党には任せられないという思いが働いたのだと思います。自民党にとっては天候が悪く投票率が低かったことも、プラスに寄与したことでしょう。政権維持となったことで、日銀の黒田総裁の再任となることが想定され、金融政策の大きな変更もなく、経済対策も全体的に金融界にとっては安心感のある結果。短期的には出尽くし感から株式市場は調整すると考えていますが、海外情勢に大きな変化がない限り、年末にかけて再び現在の日経平均水準は維持できるのでは。ただし、憲法改正や19年の増税など不安材料もあることから、年明け以降は再び調整する可能性も。   億り人「素直に株高・円安も相場が裏切ってくる可能性も」 ●「素直に株高・円安も相場が裏切ってくる可能性も」 ある億り人 株式相場は自民勝利で一時的に材料出尽くしの動きが出るかもしれませんが、トレンドと日経平均のバリュエーションを考えると、もう一段高あってもおかしくないのでは。金利は軽く上昇するかもしれませんが、日銀の金融緩和継続で上値は限られるかと思います。為替はアメリカの減税や利上げが効いていき、日米の金利差や政策の違いから円安の方向。これは全て相場が素直な反応を示した場合の予想です。北朝鮮のリスクに加え、トランプ大統領誕生の時も事前の予想と異なる動きをしたため、相場が裏切ってくる可能性もあります。 ●「関心は閣僚の変更の有無、憲法改正は優先事項にならず」 米調査会社テネオ・インテリジェンスの日本株担当アナリストのトビアス・ハリス氏 安倍内閣で閣僚の変更があるのか、もしあるとすればどれぐらい変えるのかに関心が短期的に集まるだろう。2018年上半期の議題はすでに周知されている通り、18年度予算の可決、日銀新総裁の任命(黒田総裁の再任)、働き方改革、財政政策の議論などだ。20年までの財政健全化は不可能なことを反映した内容となる公算が大きい。憲法改正が優先事項となる可能性は低いだろう。自民党員や公明党員だけでなく他党の議員を納得させる修正案を出す必要があり、国民投票で大多数の賛成を必要とするなど時間を要するからだ。 ●「23日に限っては素直に株高」 eワラント証券の小野田慎氏 政権安定は株式市場にとっては好材料ですので、23日に限っては素直に株高で評価されるかと思います。ただ、直近の株高は日本に限った話ではなく、米国において債券から株式に資金が流れていることが背景と見ているので、選挙は株式相場の一段高の材料にも、反落の材料にもならないものと見ています。 ※QUICKのオプションサービスである「QUICKデリバティブズコメント」で配信したニュースを再編集した内容です。 Qr1などQUICK端末のオプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor  

どうなる神戸製鋼所、3つのシナリオ

神戸製鋼所が品質データ改ざん問題に揺れている。海外メディアでは、「Kobe Steel Scandal」と見出しが躍る。今後はどのような展開が予想されるだろうか。例えば、神戸鋼が誰かに買収されるとすれば、どういったケースで誰に買収されるのか。ひとまず、神戸製鋼が経営破たん、債務整理という経過をたどらないという前提で考えてみよう。 1.債務過剰になったとき  ⇒ 業界再編の契機に 品質のデータ不正の発覚で、懸念されるのは顧客による損害賠償請求や、その損害を回復する費用がかさむことだ。神戸鋼の川崎博也会長兼社長は12日の記者会見で、顧客からの費用請求には応じる意向を示した。ただ、製品の信頼が低下して売上高は伸びにくいなかで、費用が膨らむとみられ、経営が圧迫される可能性は高い。金融機関の支援があったとしても中長期的に神戸鋼が債務に耐えられないと判断すれば、業界再編が想定されるとみられる。 その際、まず思い浮かぶのは新日鉄住金による買収だろう。同社は持ち分2.95%ながら、信託口を除けば神戸鋼の筆頭株主になる。以前は旧新日鉄、旧住金と神戸鋼の3社で株式を持ち合っていた。17日付の日本経済新聞朝刊によると、新日鉄住の進藤孝生社長が神戸鋼について「できることがあればやっていきたい」と述べたという。「データ改ざんが起きた原因や影響の分析が必要だ」と指摘しながらも、神戸鋼との関係強化に関心を示したともとれる。 2.きわめて大きな債務過剰になったとき ⇒ 海外企業の買収か、事業売却か 外国企業が動く場合 新日鉄住の時価総額は2兆5000億円、売上高もざっと5兆円といったところ。上場会社は株主に対する説明も必要で、無尽蔵に資金を拠出できるわけではない。仮に損害賠償なども含めて海外企業から巨額の費用が請求された場合、その費用の合計がかなり膨らむケースもないとはいえない。そうした場合に新日鉄住に代わる買い手として名前が上がるのは外国企業だろう。 神戸鋼の主要な海外の提携先は米USスチールと、中国の鞍山鋼鉄集団(遼寧省)などだ。それぞれ共同で自動車向けの超高張力鋼板などの生産会社を米国と中国で運営する。大きな負債を持つ状況の神戸鋼を資金力にまかせて丸ごと飲み込むようなケースを想定するならば、中国資本の登場を想定することになるだろうか。 分割して売却する場合 一方、神戸鋼の特徴といえば多角化だ。高炉を持ちながらもアルミや銅の事業にも幅広い販路がある。決算のセグメントを見ると、「鉄鋼」「アルミ・銅」のほか「機械」「エンジニアリング」「建設機械」「電力」「その他」と事業分野の幅は広い。ということは事業分野ごとに会社を分割して売却することができる。神戸鋼は否定したが、11日には子会社である神鋼不動産の売却も報じられた。 もっとも、東芝と同社の半導体メモリー事業にも見られるように、売却できるのは不正が起きなかった健全な事業分野ということになるだろう。素材事業以外にもデータ改ざんの問題が拡大するようなら、事業売却→賠償費用ねん出というシナリオは描きにくくなるとみられる。 3.資金繰りに問題が出ないケース ⇒ 業績への影響は軽微? 17日付の日本経済新聞朝刊などは「トクサイ(特別採用)」という「隠語」によって規格外品の出荷が常態化していたと指摘した。ただ製造業の現場から「特採」は隠語というよりも、むしろ日常語として使っているとの声が聞こえてきた。寸法など外形が規格に合わなくても、強度などに問題がなく正常な使用に耐えうる場合は、顧客と相談のうえで製品として出荷するケースが少なくないという。試しに「特採」をネット検索すると、ウィキペディアに英訳の「concession」「waiver」とあわせて詳しい解説を見ることもできた。 本当は規格外だった神戸鋼の部品を採用した三菱重工業のH2Aロケットは10日、準天頂衛星「みちびき4号」の打ち上げに成功した。JR東海(9022)も新幹線に使った神戸鋼の部品で安全性に問題はないと表明。タカタの欠陥エアバッグ問題のようは死亡事故も発生していない。勝手に約束を破った神戸鋼に非があるとはいえ、部品交換などの必要性が発生せず、今後の顧客との個別交渉で意外に問題が収束する可能性は残る。その場合は「業績への影響は軽微」ということになるだろう。 カギは顧客の損害の程度か 従って、カギになるのは、どの程度の損害が神戸鋼の販売先(顧客)に発生するのかという点だ。米国や欧州の自動車など消費者のもとに届く製品でリコール(無償修理・回収)などが発生すれば、賠償やリコール費用に加えて、当局による多額の制裁金を求められる可能性も出てくる。半面、現時点でも業績への影響が軽微に終わる可能性がゼロというわけでもない。 傘下の神鋼鋼線ステンレスで昨年発覚した日本工業規格(JIS)違反から続くさみだれ式の情報開示や、隠ぺいの可能性、ガバナンス不全など投資家サイドからみれば腹立たしいことは多い。今回も一連の取引先への情報提供と当局への報告は9月中に済ませたというのに、株主向けの発表は10月に入って1週間以上経過してからだった。だが、神戸鋼の技術や市場シェアなどが何らかの形で再び評価されるとの期待感は当面、株価の底を支えることにはなりそうだ。(山本学) ※QUICKのオプションサービスであるQUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した内容です。 Qr1などQUICK端末のオプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

2017衆院選 緊急市場サーベイ 「与党が1/2~2/3の議席を確保」が最多

衆院は28日、本会議で解散された。QUICKデリバティブズコメント・エクイティコメントは同日、衆院選の結果と相場への影響について市場関係者を対象に緊急サーベイを実施し、30名から回答を得た。 選挙結果は「与党が1/2~2/3の議席を確保」との予想が86%と大勢を占めた。マーケットへの影響は、与党の議席が多いほど株価は、「上昇」、為替は「円安」の回答が多い。一方、金利は与党が過半数以上であれば「中立」が最多で次が「上昇」だが、過半数を割り込んだ場合、「上昇」と「低下」で見方が分かれた。 衆院選の結果は? ※定数465人(2/3は310人)、現在の与党議席数は322人 マーケットへの影響は? ①与党が2/3以上の議席を確保 ②与党が1/2~2/3の議席を確保 ③与党の議席数が1/2を割り込む   市場関係者の声 「なんだかんだ希望の党が躍進してしまいそうな気がします。意味の無い批判や打倒安倍の主張しかしない野党に共感するのはどの層なのでしょうか。与党にも欠点はあれど、結局、『消去法で自民』の流れは変わらないと思います」(投信/投資顧問) 「安倍さん頑張れ!」(信託銀行) 「メインシナリオで自民大敗は現状では想定しにくいですが、金融政策変更への思惑が高まる可能性もあり注視しています。財政健全化先送りや総裁人事等もろもろの要素が重なれば金利上昇もあるのではないかと見ています」(生命保険会社) 「反原発で小泉ジョインなら面白い」(国内証券) 「過半数維持がメインシナリオで、その場合マクロ動向にそった展開が継続、緩やかな株高トレンドが継続すると見ます。2/3は今回非常に小さいシナリオだと思いますが、憲法問題、消費税引き上げなどポピュリズムを好む大衆からは支持されず結局景気にもマイナス。新鮮味のない政策にも失望。初動の評価はポジティブだと思いますが急速に期待は萎むのではないか。過半数割れは新党人気で若干の可能性が出てきたのかもしれませんが、具体的な経済政策のない政権への不安に相場はハードランディングの可能性。デフレ懸念再燃から円高、株安を予想します」(中小証券幹部) 「烏合の衆とはいえ、地域版のニュースや地元紙などで、希望の党への期待(反安倍政権的なもの、安倍一強のおごり、ゆるみへの批判)が目立ち、にわかに世論が巻き込まれつつあるように映る。知人や家族などは、小池氏にかなり前向きのイメージを持っている。過半数割れだけは勘弁して~!!折角の2万円回復も売り投機の餌食になっちゃうよ~(涙)」(証券) 「与党勝利で株式市場にプラスのイメージです。北朝鮮の対応を国民に問うのはよく分かりませんが・・」(銀行) ※QUICKのオプションサービスであるQUICKデリバティブズコメント、QUICKエクイティコメントで配信されたニュースを再編集した内容です。 QUICKデリバティブズコメント、QUICKエクイティコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 29日までフリートライアル実施中! http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

神戸鋼、脱踊り場の鍵は石炭火力?

神戸製鋼所は9月12日に加古川製鉄所(兵庫県加古川市)で2期目の脱りん炉が8月に稼働を開始したと発表した。高炉から取り出したばかりの溶けた鉄から、不純物を取り除くための設備で、設置に90億円を投じた。自動車向けの高級鋼板などを製造するには欠かせない工程だ。これで総額1045億円をかけた加古川製鉄所の設備投資が完了したもよう。10月末の神戸製鉄所(神戸市灘区)で高炉を停止し、加古川製鉄所に集約するための準備がひととおり整ったことになるという。 <10月末で停止を予定する神戸製鉄所(神戸市灘区)の高炉>   高炉跡地に石炭火力発電所 「電力事業」を収益の柱に 神戸製鉄所の高炉跡地に建設を予定するのは石炭火力発電所だ。同社は既に隣接地で、2基の石炭火力発電所を運転している。1基目が運転を開始したのは2002年で、04年に2基目を増設。現在は140万キロワットを発電して、電力を関西電力に販売している。これだけでも神戸市のピーク時の約7割をカバーする電力だが、さらに神戸鋼は2基130万キロワットと大規模な発電能力を持つ発電所を建設する予定だ。 16年4月に発表した21年3月期を最終年度とする中期経営計画では、従来の鉄やアルミ・銅の「素材系事業」、圧縮機やコベルコ建機などの「機械系事業」に加え、新たに「電力事業」を収益の柱と位置付けた。16年7月には都市ガスを燃料に火力発電する真岡発電所(栃木県真岡市)を着工。神戸製鉄所の高炉跡地に増設する発電所についても、環境アセスメントの手続きに入っており、「収益の3本柱」化は順調に見える。   火力発電に地元住民から不安の声 ただ、ここにきて神戸鋼の株価は踊り場状態が続いている。中国での鋼材需要回復などを追い風に、JFEHDが今月14日に年初来高値を更新したのに対し、神戸鋼は7月31日の年初来高値を上回れないままだ。アナリストの間では高炉株におおむね強めの投資判断が目立つ中で、あるベテランの市場関係者が「神戸鋼は電力事業が当初の計画通り順調に進むかという点で、先行きに不透明さを感じる投資家も一部にいるようだ」とこぼしていた。   <神戸鋼とJFEHDの7月末を100とした株価チャート QUICK端末(ActiveManagerより) というのも、神戸で増設する発電所が石炭火力であることから、環境への影響を懸念する住民の声が増えているからだという。地元紙の神戸新聞が手厚く報じている。いくつか拾ってみると「石炭発電に意見書495通 神鋼公表『健康被害心配』の声も」(9月21日付)、「石炭火力発電所計画 神鋼 問われる説明姿勢」(9月20日付)、「神鋼火力発電 公害患者団体 設置是認せず 県などに要請書提出」(9月1日付)――といった見出しが並ぶ。 神戸鋼が現在、売電用に運営しているのは神戸の出力140万キロワットの発電所のみ。建設中の真岡発電所は出力124.8万キロワットの計画だ。新たに神戸で計画している発電所は130万キロワットだから、同社の出力全体で約3分の1を占める重要な発電所になる。23年3月期までに順次稼働する予定だが、建設が遅れたり、あるいは建設できないといった事態になれば、電力事業の中長期的な収益予想を大きく見直す必要に迫られかねない。 7月に4回の住民説明会 「国の計画、法を順守」 神戸鋼はQUICKエクイティコメントの取材に対し、7月に4回の住民説明会を開催したうえ、環境影響評価準備書への一般意見に対する事業者見解の提出や、公聴会への出席を通じて、住民からの意見に対応していると説明。大気汚染や二酸化炭素の排出など環境への影響についても、高効率の発電設備を導入することなどで「国の計画、法を順守していく」(秘書広報部)としている。客観的に見れば、法的に逸脱している部分がなければ、発電所建設は計画通り進む公算だ。 とはいえ足元では石炭火力発電の建設に逆風が吹いている。同じ兵庫県内でも今年4月、Jパワー(9513)が石炭火力で発電する高砂火力発電所(兵庫県高砂市)の建て替えを延期したことが明らかになっていた。売電先である関西電との交渉がまとまらなかったという。その関西電も1月、節電の浸透などを受けて当初の見込みより投資回収に時間がかかると判断し、赤穂発電所(兵庫県赤穂市)で石炭への燃料転換を取りやめたと発表した。 神戸鋼が中期計画で目指す財務指標である「ROA(総資産利益率)5%以上」「負債資本倍率(DEレシオ)の1倍以下堅持」は、21年3月期の目標。神戸の新たな発電所稼働は、ひとまず織り込まれていない。だが、中長期的な成長イメージの中に、新たに収益の柱として「電力事業」をきちんと位置づけられるのか。それを見極めるうえで今後、神戸製鉄所の石炭火力発電所計画が改めて注目される展開もありそうだ。 【QUICKエクイティコメント:山本学】 ※QUICKのオプションサービス「QUICKエクイティコメント」で配信された記事を再編集しています。 QUICKエクイティコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 29日までフリートライアル実施中! http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

東京ゲームショウ開幕直前 意外な出展企業に注目

秋の定番イベントとなった「東京ゲームショウ2017」が、9月21~24日(ビジネスデイは21・22日、一般公開日は23日・24日)にかけて幕張メッセで開催される。中間集計(9月6日時点)での出展社数は601社(昨年最終は614社)、出展小間数は1930小間(同1939小間)となり、出展社数は歴代2位、出展小間数は同3位で、過去最大だった昨年に迫る規模。また、海外出展社は315社(同345社)で、昨年に引き続き全出展社601社の過半を占めている。 出展タイトル数は1000超え 最先端から気軽に楽しめるゲームまで 出展タイトル数は1042で、家庭用ゲーム機、スマホ、PCなど多彩なプラットフォーム向けで、話題のVR(仮想現実)に対応した最先端ゲームから、誰でも気軽に楽しめるゲームまで、幅広いジャンルのゲームタイトルの出展が予定されている。最終的な出展タイトル数や各社ブース概要・イベント情報は、東京ゲームショウ2017の会期初日である21日の午前中に公開される。   ゲームショウの主役の一社で、ソニー傘下であるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は「プレイステーション ブース」の出展内容を公開。「プレイステーション4(PS4)」の未発売タイトルを中心に「モンスターハンター:ワールド」(カプコン)、「グランツーリスモSPORT」「コール オブ デューティ ワールドウォーII」(SIE)をはじめ、日本国内初となる「Detroit Become Human」(SIE)などを試遊出展する。さらに、PS4の魅力を高めゲーム体験をより豊かにするPS VR向けタイトルとして、「V!勇者のくせになまいきだ R」(SIE)をはじめ、ソフトウェアメーカー各社がバラエティに富んだタイトルのため試遊出店が多数ラインナップされており注目を集めそうだ。下記は出展タイトルとそのメーカーである。基本的にソニーが多いのだが、カプコン、スクエニ、バンダイナムコも複数のラインナップを取り揃えている。 <試遊出展予定タイトル一覧> ゲームソフト会社に目を転じると、セガサミー(6460)傘下のセガゲームスは、ソニックシリーズの最新作「ソニックフォース」を出展し、試遊プレイ台やステージイベントのほか、ゲームサウンドのライブも実施。Aiming(3911)は、事前登録者数の多さで話題のスマホ向けMMORPG「CARAVAN STORIES」を電撃オンラインブースに登場させる。コーエーテクモ(3635)は今冬配信予定の新作スマホゲーム「アトリエオンライン~ブレセイルの錬金術士~」の映像を出展。24日実施の「アトリエ20周年」スペシャルステージでは,本作の女性主人公の声優を発表するとともに、担当声優を交えたイベントも行うという。   自動車プレス部品大手の東プレも出展 高性能キーボード手がける 変わりどころの出展企業といえば東プレ(5975)だろう。東プレはプレス加工技術と金型設計技術に強みを持つ独立系の自動車部品メーカーだが、高性能のコンピュータ用キーボード「Realforce(リアルフォース)」を手掛ける。その「REALFORCE」シリーズのキーボードは軽やかな打鍵感と高い堅牢性からゲーマーに人気があることから、ゲーミングモデル「REALFORCE RGB」を発売するなどE-SPORTSと関係が深いようだ。東プレは「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2017」と題して、タイピング日本一を決める(タイピングの速さと正確性を競う)大会を主催し、8月の予選を経て成績上位16名による対戦形式のトーナメントを東京ゲームショウ2017の東プレブースで開催するという。他のゲーム会社とは一線を画すが、E-SPORTSの発展とともにクローズアップされていく銘柄になるかもしれない。 イー・ガーディアンはカスタマーサポートに実績 チャットサービス「G-Bot」提供 その他では、ネットセキュリティ企業であるイー・ガーディアン(6050)も注目か。同社はアプリ・ゲーム業界のカスタマーサポートやデバッグサービスなど、総合ネットセキュリティ企業としてネットを安心・安全に利用できるための様々なサービス提供。これまで、スマホアプリやオンラインゲームを中心に600タイトル以上のカスタマーサポート実績を有し、海外ゲーム会社の日本進出支援も数多く手がける。先日にはカスタマーサポートのノウハウを活かして、ゲーム・エンタメ業界に特化したチャットボットソリューション「G-Bot」の提供を開始している。同社のブースでは、多言語対応可能なチャットボットを活用したカスタマーサポートやユーザー間コミュニケーションの監視業務、公式SNSアカウントの運用等を行うコミュニティマネジメント、デバッグ、人材派遣などゲームのバックヤード業務全般のサービスを紹介するという。 【東京ゲームショウ出展企業を総合偏差値で相対評価】 東京ゲームショウ2017に出展する上場企業(傘下企業が出展も含む)33社のなかで、どの銘柄が相対的に有望なのかを判断してみたい。そこで、出展企業をユニバースとして偏差値評価をしてみよう。具体的な計算方法は、市場規模(時価総額、売上高、利益など)、成長率・収益性(増益率、ROEなど)、バリュエーション(PER、PBR、配当利回りなど)、財務(自己資本比率、負債比率、営業CF)、株価変化率(過去1年リターン、HV、他ドル変化率など)等の各項目で10段階のランク付けをする。最上位を「10」、最下位を「1」とし、対象ユニバースの上位3%以上を「10」、買い3%未満を「1」とするような形。細かい定義は下記のようになる。 概ね中央値に近い5及び6が各々19%あり、それに近い4及び7が各々15%ある。4~7までで約68%を占める。つまり、10段階評価で対象ユニバースを正規分布に近い形で評価したうえで、各項目の数値を集計。それを偏差値換算したのが下記の結果だ。 <東京ゲームショウ出展企業を総合偏差値> ・東京ゲームショウに出展する33銘柄を対象 ・総合偏差値順に掲載 ・9月14日時点のデータを利用 総合偏差値トップのネクソン(3659)は、主力のオンラインゲーム「アラド戦記」の好調などで、8月中旬に発表した6月中間決算で純利益は過去最高益を更新している。同2位には本文で取り上げた東プレがランクイン。テレ朝やフジメディアなど純粋なゲーム会社ではない銘柄がランキング上位に名を連ねたのも興味深いといえよう。 ※QUICKエクイティコメントで配信された記事を再編集して、掲載しています。 QUICKエクイティコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 29日までフリートライアル実施中! http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。   【QUICKエクイティコメント:本吉亮】

衆院解散・総選挙へ 「教育無償化」銘柄は?

安倍晋三首相は18日、2019年10月の10%への消費増税を予定通り実施し、増税分の使い道に子育て支援や教育無償化の財源を加える検討に入った。8%から10%への増税分の約8割を財政健全化に回すとした使途割合も見直し、憲法改正とともに10月22日投開票の衆院選で訴える見通し。 教育無償化とは、義務教育の小中学校に加え、幼稚園や保育園、高校、大学の授業料などを実質的に無料にすることで、「人づくり革命」を掲げる安倍政権は幼児教育・保育の早期無償化と大学進学の負担軽減を打ち出している。文部科学省によると、無償化に必要な追加財源は3~5歳児の幼稚園・保育園が約7000億円、高校で約3000億円、大学は約3兆1000億円に上り、幼稚園から大学まで全て無償化する場合は4兆円超を捻出する必要があるとされる。 幼児教育・保育の無償化では、財源確保の手段として企業と従業員が負担する「こども保険」の創設が自民党から提案されているほか、企業の拠出金を活用する案も選択肢となっている。また、大学教育では返済不要の給付型奨学金の拡充が軸で、在学中は国が授業料を肩代わりし、卒業後に収入に応じて返済してもらう「出世払い」の導入も検討されている。 家計負担の軽減で学習塾にもメリットがあるとみられる。上場する学習塾運営会社の一覧はこちら。 コード 銘柄名 4745 東京個別 9733 ナガセ 4714 リソー教育 4668 明光ネット 9795 ステップ 9769 学究社 4718 早稲アカ 9760 進学会 5721 S・サイエンス 4735 京 進 2179 成学社 4720 城南進研 4645 市進HD 9696 ウィザス 4705 クリップ 4678 秀 英 9778 昴   QUICKエクイティコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 29日までフリートライアル実施中! http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。    

衆院解散・総選挙へ 株は?経済政策は?

バンカメ、「自民党の大敗リスクは限定的、政策発動余地少なく17年末は2万1000円」 連休中に主要メディアは一斉に安倍晋三首相が衆院を解散する意向を固めたと伝えた。バンクオブアメリカ・メリルリンチ日本証券は18日付のレポートで「直近の内閣支持率 の回復を鑑みると、安倍首相が総選挙を通して政治的資本を再構築し、自民党内における求心力を取り戻すか否かは中立的であるとみられる」とした。「失業率は断続的に低下しており、株式市場も堅調である。内閣支持率、 不支持率、自民党支持率は押し並べて 2014年11月当時と大差ない水準まで回復している」としつつも、不確定要素として「小池都知事勢力の新党結成の動きが出てきており、対抗勢力が明確化した7月の東京都議選では、自民党は苦戦を強いられた」などの点を挙げた。 ただ、「小池都知事勢力が全国に候補を擁立するには時期尚早であり、都議選で自民党から離反した公明党は、今回の衆議院選では与党として自民党と協力関係にある」との見方を示し、「自民党の大敗リスクは限定的」と指摘した。 株式市場に対する影響については、「総選挙で自民党が議席を大幅に減らし、安倍首相の責任問題に発展しない限り、今回の選挙が日本の市場に与える中期的な影響は限定的であろう」と指摘した。選挙後の見通しについては「安倍首相が選挙を通じて政権運営の主導権を取り戻し、連立与党が経済対策を訴えれば、過去の総選挙前後に見られた株式市場の上昇が顕在化する可能性はある」とする一方で、「マクロレベルでみると、政策発動の余地は大きくなく、2012年や2014年の様な大相場に発展する公算は小さい」という。今年末の日経平均株価の予想を2万1000円に据え置いた。 野村證、「解散前後に日経平均は平均3.6%上昇」 野村證券は18日付のリポートで、90年以降の衆議院解散を対象に、その前後の日経平均株価の値動きをみると「解散の5営業日前から15営業日後にかけて平均的には3.6%ほど値上がりした」として、解散前後に株価は平均的に上昇しやすいと指摘した。ただ、2005年8月の「郵政解散」や2012年11月の「近いうち解散」では大幅高だったが。2014年12月の「アベノミクス解散」後は横ばいのため、「選挙公約で国民に何を問うのかが注目されよう」とも指摘している。 一方、10月総選挙となれば「以降の政治スケジュールは2018年9月に自民党総裁選、19年7月に参院選、21年10月までに衆院選という風に切り替わる」としながら、「当初、臨時国会では『働き方改革関連法案』、『IR実施法案』などが提出される予定であったが、これらは18年の通常国会以降にずれ込むことになるだろう」と指摘。重要法案の成立が遅れることを警戒していた。 ドイツ証、「選挙後の経済政策にはほとんど期待できない」 ドイツ証は18日付のリポートで、「多くの人にとっては解散の理由が不透明であり、北朝鮮の軍事的緊張が高まる中で解散を行う余裕があるのか、自民党以外の選択肢がほとんどない中での『政局ファースト選挙』という不満がつのるだろう」と指摘した。今後の政策に関しては野党も全面的には反対したくない教育無償化が含まれている点に着目し、「財源のないまま、追加国債発行による教育無償化が進む可能性が高まりそう。2019年10月に予定されている消費税の引き上げは衆院選の前倒しによって予定通り実施される可能性が高くなった」と指摘した。 なおマーケットへの影響については「与党が衆議院で過半数を維持するが3分の2を下回り、改憲派議員数も3分の2を下回る場合が、改憲よりも経済が中心の課題となる意味で、負の影響が最小限に抑えられるだろう」と指摘。ただ一方で「アベノミクスの中身は外向き・市場原理重視から、内向き・ポピュリズム志向へシフトしており、選挙後の経済政策にはほとんど期待できない」とも厳しい見方を示した。   QUICKデリバティブズコメントはQr1などQUICK端末のオプションサービスです。端末オプションではすべてのニュースをリアルタイムでご覧いただけます。 http://corporate.quick.co.jp/service/professional/#forAdvisor *本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。      

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