米国で英国で中国で、製造業の景況感悪化 米利下げ催促モード強まる

世界の製造業の景況感悪化が鮮明になってきた。3日発表の5月の米ISM製造業景況感指数は52.1と、4月から0.7ポイント低下し、2016年10月以来2年7カ月ぶりの低水準となった(グラフ緑)。この日発表された米PMI確報値は50.5と好不況の分かれ目とされる50目前。英PMIは49.8と前月比0.6ポイント低下し50を下回った。5月31日に公表された中国PMI(グラフ青)も3カ月ぶりに50を下回っており、米中摩擦の先行き不透明感の強まりが実体経済をじわじわ冷やしている格好だ。 こうした中で、セントルイス連銀のブラード総裁は3日の講演で、利下げは「近く是認されるかもしれない」と述べた。市場ではFRBの利下げの織り込みが一段と進み、米10年金利は一時2.06%と2017年9月以来ほぼ1年9カ月ぶりの低水準を付けた。 CMEの「Fedウオッチ」によると、2019年中に1回以上利下げする確率は98%、2回以上は85%、3回以上は55%、4回以上は21%となっている。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

リスクオフ加速、米金利も原油も⤵ 「利下げ2回以上」織り込む動き

米国の金利低下が加速している。10年物国債利回りは時間外で2.2%を割り込み一時2.18%台へ低下。2017年9月以来の低水準を付けた。金融政策の影響を受けやすい短めのゾーン主導の金利低下であり、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを織り込む形になっている。CMEの「Fedウオッチ」では2019年中の利下げ1回以上の確率は9割弱、2回以上の確率は57%まで上昇している。 金利低下とともに原油価格の下落も目立っている。30日の米国市場ではWTIが前日比2.22ドル(3.8%)安の1バレル56.59ドルへ大幅下落となり、ほぼ2カ月半ぶりの安値を付けた。WTIは時間外取引で一段安となり、一時55.80ドルまで下落している。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

じわじわ狭まるFRB利下げ包囲網 つぶやき大統領&おねだり市場 

トランプ米大統領がツイッターで「適切な時が来れば、中国と取引ができるだろう」と投稿した。同時に「中国はマネーを供給し利下げをする」と述べた上で、「米連邦準備理事会(FRB)も同じことをすれば我々の勝ちだ」とFRBの利下げに言及した。 パウエル議長をはじめとしたFRB高官からは、利下げに否定的な発言が相次いでいる。しかし、市場の利下げ期待は高く、CMEの「Fedウオッチ」によると2019年中の利下げ確率は70%を超えている。 ■市場が織り込む2019年の利下げ確率は70% 世界の投資家も、FRBに利下げを催促しているかのようだ。 バンクオブアメリカ・メリルリンチが14日に公表した5月のグローバルの機関投資家調査によると、S&P500種株価指数がどの水準まで下落すればFRBが利下げに踏み切るか質問したところ、「2500」との回答比率が前月の10%をやや上回る水準から一気に20%前後にまで上昇した。 ■S&P500で2500が分水嶺か(バンカメメリルのグローバル機関投資家調査より) もっとも比率が高いのは「2350」で25%を上回った。ただ、「2200」も25%をやや下回る水準にあり、2200~2500のレンジに収れんしている。14日の終値は2834だった。まだ距離はあるものの、2500が視野に入ると、市場では次第にFRBの利下げが意識される展開になりそうだ。(池谷信久、岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

平成・危機の目撃者⓫ 池水雄一が見た「有事の金」の復権(1999)

財政も将来も不安、ソブリンリスクに目向く 「有事の金」。その存在感が増したのは実はここ20年ほどの話にすぎない。1980年代に東西冷戦が終わった後、政治リスクが薄れたと判断した各国の政府・中央銀行はいざというときのために取っておいた金を売り続け、「金は石ころになる」とまで言われた。転機は99(平成11)年のワシントン協定だった。商品市場の生き字引で「ブルース」の異名を持つディーラーの池水雄一氏は「中銀による金の売却基準を厳しくしたこの協定がなければ金の復権はなかった」と振り返る。 池水雄一氏 いけみず・ゆういち  1986年上智大学外国語学部卒業、住友商事入社。90年からクレディ・スイス銀行、92年から三井物産の貴金属チームリーダーを務める。2006年に南アフリカのスタンダードバンク(現ICBCスタンダードバンク)東京支店副支店長に転じ、09年から支店長。元三和銀行(現三菱UFJ銀行)の外国為替ディーラーで現在は衆議院議員を務める今井雅人氏(本シリーズ➌に登場)は大学の同級生 ◆ワシントン協定で中銀の売却を制限 1989(平成元)年に1トロイオンス=400ドル程度だった金価格はワシントン協定を境に復活し、足元では1300ドル近辺で推移している。協定ができた99年といえば97~98年のアジアやロシア危機の余韻さめやらぬころだ。新興国を中心に財政赤字への懸念がくすぶっていた。 それまで長らく、中銀は金の最大の売り手だった。運用担当者が第2次世界大戦を知らない若い世代に代わり、「冷戦は終わったし金を持っていてもしかたない」との雰囲気がまん延していた。だがアジア危機などをへて、1970年代からの財政拡張で高まってきた国家のリスク(ソブリンリスク)に目が向かいやすかったのかもしれない。 協定では欧州各国の中銀が年間の売却量を計400トンに制限することになった。欧州系の中銀は保有している金の貸し出しもしていて、借り入れた鉱山会社などは先物の売りで価格下落のリスクを回避(ヘッジ)してきたがそれにも制約をかけた。協定締結まで緩やかな右肩下がりで、300~400ドル程度を行ったり来たりしていた金相場はにわかに底堅くなった。 世界に存在する金の総量はよく「オリンピックプール3杯半ほど」と表現される。一辺21.3メートルの立方体程度なのだという。限られたパイの中で最大のプレーヤーである中銀の売りを抑えれば、需給はおのずと引き締まる。 その後、2001年に起きた米同時多発テロは国際情勢の緊張感を再び高めた。世界は思ったほど平和ではない――。世界大戦や冷戦構造から局地的なテロが新たな脅威として意識されるようになり、「セーフヘイブン(安全資産)」として金のニーズが高まった。 ◆鉱山会社のヘッジ売りも止まる ワシントン協定は金鉱山会社の手足も縛った。金の先安観が強かった80~90年代の相場環境で、オーストラリアや南アフリカなど主要産金国の鉱山会社は中銀から安く借り入れた金を主な担保に数年先までの生産分相当額の先物を売ってきたが、中銀がなかなか金を貸してくれなくなったので市場から調達せざるを得ない。コストは上がる。ヘッジが機能しづらくなっていた。 ヘッジ戦略は相場の下落時に鉱山会社を守ってくれるが、先物売りが現物の売りに波及し値段をさらに下げる負の側面もあった。ワシントン協定はその悪循環を止める役割も果たしたわけだ。 しかも01年以降は「有事の金」復権で価格が上昇傾向に転じ、数年前に安い価格で積みあげた先物の売り持ち高には含み損が膨らむ。金価格の下落がこれ以上は見込めないとなると、各社は先物の買い戻しを急ぎ始めた。先物売りが減るだけでなく買い戻しが入る。買いが「倍々ゲーム」で広がるようなものだ。 ただディーラーの視点では「有事の金買い」にあまり踊らされないことが重要だ。紛争などが起きて投資家が我先にと金を買うと、必ず相場のオーバーシュート(行きすぎ)が起こる。短期的にはひとまず調整が入る「有事の金売り」を意識し、落ち着いたところで改めて買うスタンスが良いだろう。 平成の話ではないが例えば、1979年に発生したソ連のアフガニスタン侵攻。ニューヨークの金相場は200ドル台から850ドルまで急騰した後、すぐに押し戻されてきた。目端の利く投機筋は誰よりも早く持ち高を作ろうとし、イベントが人々の間で認知されれば利益確定を進める。そんなときは相場はいったん下がる。 ◆米中ロ、国際政治の不透明感を反映 2006~07年ごろから金の世界は変わってきたと感じる。08年のリーマン・ショックに続き、足元では英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレクジット)問題やトランプ米政権の登場などいままでの常識では考えられない事態が起き、資本主義の前提が崩れてきた。漠然とした将来の不安は解消しそうにない。「有事の金」の価格が200~300ドル台に戻る可能性はもうないだろう。 米国が金本位制を放棄した1971年の「ニクソン・ショック」からしばらくは金の大口保有者は米国とドイツなど先進国の中銀で、ワシントン協定まで金の売り手だったのは欧州勢だった。だが2010年ごろから中銀は金の買い手に転じている。中国やロシアなどが外貨準備として保有していた米ドルを売り、金の買いに傾いているためだ。米国との微妙な関係と国際政治の不透明感を映していると考えられる。 基軸通貨のドルを持つ米国は別の通貨を多く保有していてもしょうがないので外準に占める金の割合は現在も75%と突出している。その他の欧州各国の間に中国やロシアなどの「新参者」が割り込んでいく展開になってきた。 中国は世界1位の、ロシアは世界3位の金産出国でもあるため、市場で買わなくても金の保有割合を増やせる。近年はロシアが世界6位、中国は7位の金保有国に浮上した。ロシアが数年前にルーブル下落に苦しんだ際にどうにか持ちこたえられたのは、金の保有を多くしていたからとの指摘が聞こえてくる。 リーマン・ショック以降の米金融緩和政策の影響は大きかった。低金利の資金が行き先を求めて市中にあふれる構図は金に限らず商品相場全体に追い風だった。2012年に量的緩和第3弾(QE3)が始まったころ1600ドル台で推移していた金相場は、米連邦準備理事会(FRB)の出口政策が意識されると1200ドル台まで下げたが、19年に入ると今度は「緩和の終わりの終わり」が意識されている。金は再び上昇トレンドに戻ると予想している。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)片岡奈美 =随時掲載

平成・危機の目撃者➏ 市東久が見た天安門事件(1989)

「有事のドル買い」の構図いまも 戦争や政治的な混乱の際に米国にマネーが向かう「有事のドル買い」は、1989(平成元)年の天安門事件まで定石だった。以後は米同時多発テロ事件や中国の台頭によって鳴りを潜めるが、市場では「基軸通貨であるドルの優位性は損なわれていない」との声が根強い。2018年にディーラー生活40周年を迎え、金利と外国為替の市場を縦横無尽に駆け続ける「生き字引」である市東久クレディ・スイス銀行東京支店長もそうみる一人だ。 市東久氏 しとう・ひさし  1976年に東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。78年から本店為替部の為替課でディーラーとしてのキャリアを開始。6年間のロンドン支店勤務中は、王立取引所で始まったロンドン国際金融先物取引所(LIFEE)の立会場の公認フロアトレーダーとして公開セリ売買方式での先物取引にも携わった。帰国後は国債トレーディング業務に従事し、ヘッジファンドを経て92年にクレディ・スイス・ファースト・ボストン銀行(現クレディ・スイス銀行)に移籍。金利裁定(アービトラージ)のディーラーとして短期市場ではその名を知らない人はいないほどの有名人で、今も現役で活躍。愛読書は新渡戸稲造の「武士道」 ◆「円買い」には違和感 1989年6月の天安門事件で円相場は1ドル=142円前後から150円をうかがう水準まで下げた。天安門広場で中国の民主化運動が武力で鎮圧され、学生のデモ隊に戦車が突っ込んだ映像は世界に衝撃を与えた。この少し前、ドルは緩やかな下落基調で、数億ドルものドルの買い持ちを抱えていた自分は苦しかった。過去に積みあげた「含み益」は毎日100万ドル単位で目減りしていく。天安門の後のドル高は苦境を打破できた点でも鮮明に記憶に残っている。 今のところこれを最後に有事のドル買いは起きていないが、構図が変わったわけではない。例えばもし朝鮮半島が有事となったら円はどうなるだろうか。地理的に近い日本の円を持ちたくないとの空気が広がり、大きな金融機関や投資家を中心に円を売ってドルを買う判断に傾いてもおかしくないとみている。 経済評論家などが最近「有事の円買い」を乱発しているのを聞くと違和感を覚える。有事とは、戦争など安全保障上の重大な危機が起きたときに投資資金が逃避先を探し回るような状況を指す。例えばどこかの超大国の主要都市にミサイルが着弾するといった強烈なインパクトを持つ事象だ。 現在の円買いは国際分散運用を手掛ける投資家が円の減価に備える目的で、資産の一部を整理して円に戻しているにすぎない。巨大な対外債権国の日本にお金が回帰しやすい面はあっても、有事のリスク回避に伴って円が買われているわけではない。こうした点をきちんと理解したうえで解説者は有事の円買いという言葉を使っているのだろうか。とても不安になる。 ◆流動性リスク対処、受け継がれぬ経験 風化のリスクは有事のドル買いに限らない。市場の混乱局面には経験豊富なベテランの存在が必要だが、足元では日銀の緩和長期化による市場縮小に見舞われた短期金融市場を中心に、ノウハウがまったく引き継がれず危機感を抱いている。具体的には流動性リスクへの対処だ。 1990年代後半の日本の金融危機を生き抜いたわれわれの世代は信用不安と流動性枯渇の恐ろしさが身にしみている。2008年のリーマン・ショック前後でもまずドルの手元資金を厚めにした。欧米金融機関がドルの調達に苦しみ、銀行間の取引金利が上がっていくとすぐにイメージできたからだ。 一方、大手米銀は為替フォワード(スワップ)を通じて日米金利差の拡大に賭ける取引を先行させた。ドルを直物で売って先物で買い戻すもので、これをするにはドル資金をきっちり確保しておかなければならないのにしていなかった。結果的にとんでもない高いコストでドルを借りるハメになり、大きな損失を出した。逆にドル保有者のこちらは1日で数百万ドルほどの利益を計上した日もある。経験の差が物を言った好例だろう。 日本の短期市場では資金が潤沢で金利のない世界が長期化し、人員を配置して大々的にディーリングをする必要がない環境が当たり前になっている。経験者や専門家がいなくても何とかなっているものの、それこそ有事で右も左もわからなくなるリスクと背中合わせだ。 日本が量的金融緩和政策を解除して3度目の利上げ(初回は2006年、2回目は07年2月)のタイミングを測っていた07年3月1日、日銀主催の短期金融市場フォーラムで外国銀行の代表として提言をした。当時の中曽宏金融市場局長(後に日銀副総裁、現大和総研理事長)とも日銀の出口政策に向けて意見を交わした。無担保コール翌日物金利が0.001%に張り付き、既に短期市場がしぼんでいたので、経験者を市場に呼び戻す重要性についても語り合った。 中曽氏とやりとりをしてからさらに10年以上がたった。日銀が異次元の緩和策に足を踏み入れるにいたり、事態は一層深刻になってきたようだ。 ◆緩和が長期化、難しい時代に 日銀が異次元緩和に踏み切る前のことだ。日本の銀行は国内の融資ニーズが細って収益を上げられなくなるので、いずれ海外シフトしてドル建ての投融資を増やすと想定していた。ただ欧米の短期金融市場で簡単には直接ドルを借りられない地方銀行などがドル調達のため、手持ちの円を売ってドルを買おうとすると、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)比で0.80%前後も高い金利を払わなければならなかった。 ドル調達のコストが高すぎて運用しても収益を得られなくなったり、損失が出たりすれば投融資自体をやめざるを得なくなる。欧米銀が信用リスクを感じればドルを貸してくれなくなるかもしれない。ただでさえ米連邦準備理事会(FRB)が緩和からの「出口」に向かっているところだ。懸念は一昨年ぐらいから現実になり始めている。 数年前、前日銀総裁の白川方明氏と話をする機会があった。白川氏も自分と問題意識は一緒だった。貸出先を求めて海外へ打って出るとしても、資金調達やリスク管理のノウハウがなければうまくいかないだろうと心配していた。だが、経験はいっこうに蓄積されない。 1997年の金融危機の前の無担保コール翌日物金利は4%以上だった。2001年の量的緩和策の導入とともに0.001%になったとき、ものすごく小さな金利という意味で「ピーナツ」と海外の仲間にからかわれたのを覚えている。それがまさかマイナスになるとまでは当時は考えていなかった。 円金利単独での投資は基本的にはすることがない。フォワードで米金利の上下動に着目する戦略は引き続き有効だが、ドル資金の流動性の問題が出てくる。リスク管理の制約もきつい。 難しい時代になった。それでも有事にどう備えるべきかを常に意識しながら市場と向き合い続けたい。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)菊池亜矢 =随時掲載

逆イールドに怯える市場 イエレン氏「景気後退の前兆とは思わない」

イエレン前米連邦準備理事会(FRB)議長は25日にクレディ・スイスのアジア投資会議で、米国市場での長短金利の逆転について「利下げの必要性を示すかもしれないが、景気後退の前兆だとは思わない」と述べた。 22日の米国市場で米10年債利回りが3カ月物の米財務省証券(TB)の利回りを11年半ぶりに下回ったことで、マーケットでは景気後退が意識されている。 ただ、米BEI(債券市場が織り込む期待インフレ率、グラフ青)は19年の年初にボトムを打ってから上昇しており、景気後退によるデフレを警戒しているようには見えない。米長期金利が低下した背景には景気減速懸念もあるが、FRBの量的緩和や先進国の中で相対的に金利が高い米国に資金が集まりやすいといった需給要因も大きい。需給の引き締まりによって、債券の残存期間に応じて上乗せされるリスクプレミアムが縮小ないしはマイナスになっていると見られている。その様な状況で、20日のFOMCの結果が予想以上にハト派的だったことで、オーバーシュート気味に長期金利が低下した可能性もありそうだ。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ドイツ景気、足元ダメだが中期の悲観和らぐ ZEW期待指数が改善基調

19日に発表された3月の独ZEW景気期待指数は▲3.6と市場予想(▲11.0)を上回る大幅な改善となった(グラフ黒)。依然として長期平均の「22.2」を下回った水準ではあるものの、中期的な独経済への発展期待は1~2カ月前ほどには悲観的ではなくなっている。ZEW所長は「主要な経済的リスクが以前よりも劇的ではないことを示している」と述べた。また、米中貿易交渉の進展などが金融市場関係者を楽観的にさせた可能性にも言及した。 (QUICK FactSet Workstationより) 一方、景気の現況を示す指数は11.1と市場予想(13.0)を下回り、悪化傾向に歯止めがかからない(グラフ黄緑)。金融市場では独経済への底入れ期待が世界経済に対する過度の悲観的な見方を後退させる一方、今後発表されるハードデータ次第では失望感を招きかねない不安定な状況が続くこととなりそうだ。目下の世界経済における主な不透明要因である中国景気減速懸念、欧州景気減速懸念、英EU離脱問題の行方は米連邦準備理事会(FRB)の金融政策にも影響を及ぼすこととなろう。(丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

平成・危機の目撃者➋ 深代潤が見た運用部ショック(1998)

一瞬、揺らいだ日本国債の信認 一時8%台まで上昇した日本の長期金利(10年物国債利回り)はマイナス圏のまま平成を終えようとしている。1990年(平成2年)から債券運用に携わってきた三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッドは「平成の債券市場は異常事態が多発した」と振り返る。中でも印象的なのは98年秋~99年初めに起きた大蔵省(当時)の「資金運用部ショック」と2003年の「VaR(バリュー・アット・リスク)ショック」だという。 深代潤氏 ふかしろ・じゅん 1988年に日本債券信用銀行に入行。資金営業室で大企業向けの金融商品のセールスを担当した後、市場証券部、証券部で国内債券業務に携わる。その後は日債銀投資顧問やトヨタアセットマネジメントでファンドマネージャーを務めた後で2013年4月、会社合併により三井住友アセットマネジメントに入社。16年10月からグローバル戦略運用グループヘッドに就き、17年4月からは執行役員を兼ねる ◆記憶に残る「4大ショック」 1990年から債券運用に携わり、日々の相場状況やレートをノートに書き留めてきた。基本的に「べき論」で成り立ち、外国為替などに比べると理屈や経験則通りに動く債券市場では記録がいっそう大切。何度も読み返したので背表紙ははがれかけている。 それでも平成には異常事態が多発した。かつて成り立った「財政悪化は金利上昇の要因」との方程式は90年代後半から崩れていく。債券運用者として利回り面での「春」を謳歌できたのは長期金利が6%台から8%に上昇した平成の前半だけだ。以後はデフレと金融危機、それらに対処するための財政拡大と日銀の政策対応に債券市場は振り回されて相場の力学は複雑になっていった。 特に印象に残る出来事は「資金運用部ショック」と「VaRショック」。格付けなどみなが信じているものこそ疑うべきだと痛感させられた08年の「リーマン・ショック」も忘れられない。さらに時がたち、運用者としてぐうの音も出なくなったのが「黒田緩和」(日銀による異次元の金融緩和政策)だ。 ◆「まだ終わってねえぞ」「投げるな」 運用部ショックでは0.6%台から2.4%台へ、VaRショックでは0.4%台から1.6%台へと、いずれもわずかな期間で長期金利が急上昇したが、何とか乗り切った。まだどうにか経験をいかせる時代だったといえるだろう。 運用部ショックは財政支出の拡大が先行するなかでの金利低下局面とあって(逆回転に)備えはしていた。想定外だったのは日銀の速水優総裁(当時)が突然「財政拡大時の金利上昇は当然」との認識を示したことだ。 政治家と財務省、日銀の足並みが乱れれば国債の信認は後退し、金利はリスクプレミアムを織り込む形で上昇していく。速水氏の発言を受けて債券市場で投げ売りが膨らんだ。同僚のディーラーは「終わりましたね」と嘆いたが、金融危機のまっただ中で金利が上がるはずはないとの信念で「まだ終わってねえぞ」「投げるな」と言い聞かせながら買い下がり、生き延びた。 03年のVaRショックは債券依存度を高めていた銀行勢の持ち高が「沸点」を超えたために起きた。一部の銀行が持ちきれなくなった債券を売り、ボラティリティー(変動率)が急伸するとそれに耐えられなくなった売り手が次々とあらわれ、自己増殖的に売りが加速していった。 銀行の債券運用は国債相場のボラティリティー(変動率)安定を前提にしている。投資が収益追求の行動である限り、誰よりももうけたいとの欲望は止められない。だが持ち高を永遠に増やせるわけではない。いつかはオーバーシュート(行きすぎ)の段階にいたる。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が改善しているのに下がりっ放しの金利はおかしいとオーバーシュートの気配を感じ、銀行の深追いはしないようにした。 運用ではデフォルト(債務不履行)債券を一度もつかまなかった。基本的に投資対象の格付けは「A格」以上と決めている。これまで保有中にA格から格下げになったのは1社だけだ。だからこそリーマン・ショックで信用リスクへの懸念が強まっても動じず、逆に買い増す余裕を持てた。 ◆歴史から学べること、学べないこと 一方、13年4月に始まった「黒田緩和」は出だしからとんでもないことになった。会社の合併に伴い、今のチームに移って数日、システムの仕組みに慣れておらず、まだ発注すらマニュアルなしではおぼつかないときだ。期初の資金流入などによりかなりまとまった額で買わなければならなかったところに「バズーカ砲」を撃ち込まれた。 マーケットからは売り手が消え、買い気配でまったく値が付かない。買うに買えなくてぼうぜん自失、「この会社での運用者人生は終わったな」と本気で考えたものだ。 朝一番で出した成り行きの注文に応じてくれる相手が見つかったのは何と14時をすぎてから。しかも前日とあまりにもかけ離れた(高い)水準での取引成立に「これ間違ってるよね?」と思わず口にしたのを覚えている。 歴史から学べるものは確かに多い。例えば1990年代後半の日本の金融危機では「流動性」の大切さを思い知らされた。金融機関や企業が破綻するのは資金が回らなくなるからだ。 97年秋に三洋証券が無担保コール市場で初のデフォルトを起こし、巨大な短期金融市場での取引が凍りつくと、間を置かずに北海道拓殖銀行が倒れた。デリバティブ(金融派生商品)市場も縮んで山一証券の破綻につながった。「次はどこか」との疑心暗鬼がどんなに恐ろしいかは2008年のリーマン・ショックでも明らかになった。その過程で信用リスク対応のノウハウもだいぶ積み上がったが、今度は金融政策がどんどん未踏の領域に進んでいる。 日銀の掲げる2%の物価目標を達成することと、国民生活を豊かにすることは次元の違う議論だ。バーナンキ元米連邦準備理事会(FRB)議長の「ケチャップを買え」ではないが、闇雲に物価だけを上げればいいはずがない。 日銀はマイナス金利政策の欠点を理解しつつも導入せざるを得なかったのだろう。それゆえマイナス金利をすべてには適用しない仕組みを整えたが、市場の拒否反応は強かった。政策はすぐには変えられない。効果がないとも、間違えたとも、役割を終えたとも認められずに長期化する金融政策には「出口」は見えてこない。日ごろの投資判断の材料は日銀オペ(公開市場操作)の増減額予想のみだ。 先行きの見えない今は、国内債への傾斜は難しい。社債などのクレジット商品や外債にお金を振り向けざるを得なくなっている。新しい元号になって祝賀ムードが盛り上がり、ラグビーワールカップ日本大会や東京五輪などをへて国内経済の楽観論が戻り、現状の閉塞感を打破できればよいのだが。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)片岡奈美 =随時掲載

平成・危機の目撃者➊ 藤巻健史が見た英ポンド暴落(1992)

平成も残り1カ月半。この約30年間、金融市場は様々な危機やショックに見舞われてきた。激震の平成から何を学び、将来にどう生かすか。危機を目の当たりにしてきた市場関係者に聞いた。シリーズ第1回はモルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)東京支店長などを務めた藤巻健史フジマキ・ジャパン代表。1992(平成4)年の英ポンド危機を振り返り、市場の調整機能の重要性を強調する。 ソロスファンドの「暴力」と「市場調整機能」 藤巻健史氏 ふじまき・たけし 1974年に三井信託銀行(現三井住友信託銀行)入行。85年にモルガン銀行東京支店に移り、資金為替部長を経て95年に東京支店長(兼日本代表)に就いてディーラーとしても存在感を示す。2000年にはジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めた。その後は企業のアドバイザーやいくつかの大学で教べんをとり、13年から参議院議員 ◆欧州通貨メカニズム参加の矛盾を突く いまでも夢に出るほど後悔しているのが92年、ジョージ・ソロス氏率いるヘッジファンドの激烈な英ポンド売りを指をくわえてみていたことだ。欧州の為替相場メカニズム(ERM)に参加していた英国は多くの矛盾を抱え、ERM離脱とポンド下落は当然の帰結にもかかわらず、ソロスファンドの二大ファンドマネジャーの一人、スタンリー・ドラッケンミラー氏の鬼気迫る動きに追随できなかった。 90年にERMに入った英国はポンドの対ドイツマルク相場の中心レートを1ポンド=2.95マルク、変動幅を6%に収めなければならなかった。つまり1ポンド=2.77マルク以上を維持するとの条件だったが、当時の英国は景気が悪く、ポンドには常に下落圧力がかかっていた。 英中央銀行のイングランド銀行はポンド買いの市場介入で相場を支えようとしたもののらちが明かない。景気が悪いから英国では簡単に利上げできなかったし、ドイツはドイツで根強いインフレ懸念から利下げが難しかった。どちらも金融政策による通貨安定は厳しかったわけで、ドラッケンミラー氏のポンド売り戦略は後から振り返ると非常に論理的だった。市場の調整機能が働けばポンド安や英国のERM離脱は避けられなかったはずなのに、なぜ付いていかなかったのか。 英国は結局ERMを離脱し、そのおかげで通貨安が進み、英経済は回復した。ソロスファンドのとった行動について「市場の暴力」「やりすぎ」といった批判も聞こえてくるが筋違いだ。ひずみが生じたらうまく調整し、結果的に良い方向に進めていく市場の健全性をもっと評価してほしい。 ドラッケンミラー氏とはのちにソロスファンドで一緒になった。ファンドのもう一人の巨人ニック・ロディティ氏がオンとオフをはっきり分けるメリハリの効いた性格だったのに対し、アナリスト出身らしい学究肌の冷徹な雰囲気が印象に残っている。 ◆「イングランド銀をつぶした男」の素顔 2000年に加わったソロスファンドでは初めて損失を計上し、あっさりとクビになった。ドラッケンミラー氏からはその後、中東に拠点を置く総額1兆円規模のファンドに誘われたが、自分の全財産の80%をファンドに入れる条件が付いていた。子供が小さかった当時、ファンドと一蓮托生(いちれんたくしょう)の勝負はもうできなかった。自らの一切合切を賭けられないとすればどうすべきか。そのとき、ディーラーをやめようと思った。 ソロス氏は一言で表すなら好々爺(こうこうや)。ヘッジファンドのオーナーには変わり者が多く、例えば相場観などの説明を聞くためだけにわざわざプライベートジェットでニュージーランドからロンドンまで飛んで来たり、引き連れてきたエコノミストの質問を途中で遮ってまったく無関係の話題を始めたり、ディーリングルームの隣に超高級スポーツジムを設立したりなどの奇行の話題には事欠かない。ソロス氏はマーケットセンスはあまりなかったと思うが、人柄に関しては穏やかで好ましかった。 ◆異次元緩和は最大の失敗、出口を見いだしにくく 平成最大の失敗は日銀が2013年に導入した異次元の金融緩和政策だろう。2年で2%の物価目標を掲げて国債などの大量購入に踏み切り、伝統的な金融政策は本当の終焉(しゅうえん)を迎えた。 日銀が現在やっているのは財政ファイナンス(財政赤字の穴埋め)そのもの。出口は見いだしにくい。これだけ財政赤字が拡大するなか、物価目標を達成したから緩和をやめると言っても政府はおそらく受け入れないだろう。金利上昇で予算が組めなくなり、財政危機に陥りかねないからだ。 日銀のバランスシート(貸借対照表)は危険水域に入っている。もし当座預金の金利を引き上げれば支払利息が増える半面、資産のほとんどを占めるのは金利が低く残存期間の長い国債のため、損失が膨らんで債務超過に陥りかねない。 ドイツが第2次世界大戦で敗れた後、中央銀行がドイツ帝国銀行(ライヒスバンク)からドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)に移った例はあるが、平時ではない。日本が平時に中銀が変わる初めてのケースにならないかと心配している。 1つアイデアがある。日銀が米連邦準備理事会(FRB)の保有する米国債を直接買い取ることだ。日本経済が低迷している要因の1つは外国為替市場での円高傾向だ。半面でFRBは現在、保有米債を売却しバランスシートを縮めている最中で利害は一致する。為替介入とみなされずに行き過ぎた円高を食い止める方法はいくらでも存在する。 ◆「飛ばし」「問題先送り」体質変わらず 市場の健全性を測るにはそのときそのときのリスクをきちんと計量化できる仕組みが必要だ。具体的にいえば時価会計。リーマン・ショックなど次々と訪れた危機でいつも米国の経済の立ち直りが日本よりも早かったのは時価会計を徹底し、潜在リスクの有無の把握がスムーズに進んだからではないか。 時価会計なら損失は昨日と今日の差でしかない。ところが日本ではまだ簿価会計の部分が少なくない。もしここで時価会計に変え、損失を出すと過去のことも含めてすべて自分のせいになるので、損切りがなかなかできない。だから「飛ばし」が発生する。古くは山一証券を破綻させた問題先送りの悪弊はすぐには改善しないだろう。 日本でもし物価目標の2%がみえてくると金利の先高観が強まり、財政破綻は近づく。市場では「日本は対外資産が巨額なのですぐには財政破綻しない」との声ばかりだが、資産のほとんどは政府のものではない。インフレ率が急上昇する「ハイパーインフレ」が起これば政府債務は相対的に減るが、国民に負担を強いることになる。日銀による巨額の日本国債の購入は財政破綻リスクをまさに「飛ばし」ているだけだ。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)菊池亜矢 =随時掲載

米長期金利、FRBハト化で指標に鈍感

経済指標に対する米債市場の感応度が低下している。米サプライマネジメント協会(ISM)の景況感指数は市場で特に注目されている経済指標だが、製造業指数(1日発表)の下振れや、非製造業指数(5日)の上振れに対する米債市場の反応は鈍かった。「米連邦準備理事会(FRB)のスタンスは当面変わらない」(投資顧問)と見られているためだろう。 FF金利先物2020年1月物の金利(グラフ青)は、おおむね市場が想定する19年末の政策金利と考えることができる。その金利は18年12月下旬以降、ほぼ現在の政策金利の範囲(2.25~2.50%)で推移しており、市場は19年内に政策金利の変更がないことを織り込んだ状態にある。 米10年金利(グラフ赤)はFF金利先物との連動性が高い。政策金利の見通しに変化がなければ、10年金利は2.6%台後半を中心としたレンジで推移する可能性が高い。8日には米雇用統計が発表されるが、よほど大きな振れがない限り、米債市場の反応は限られそうだ。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

証券営業の凄腕たち【Episode3】何度も対話、顧客回り5年半で地球9周分

証券営業の凄(すご)腕担当者に情報収集や銘柄選別法の極意を聞く「証券営業・私の戦略」、3回目は野村証券ウェルス・パートナー課の課長、並木孝裕さん。自ら重要顧客の対応をしつつ営業統括として支店営業の責任を負うベテランだ。地方支店時代、地球約9周分の距離を営業車で回ったエネルギッシュさに加え、株価や金利を含め常に30~40種類の経済指標をチェックしデータを根拠に商品提案する緻密な営業スタイルが、顧客の信頼を獲得している。 野村証券 並木孝裕氏 なみき・たかひろ  2002年明大卒、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)入社、吉祥寺支店に配属、09年3月に同社を退社し、同年4月野村証券入社、本店ウェルスマネジメント部に。12年3月から約5年半の新潟支店時代を経て17年8月渋谷支店、現在はウェルス・パートナー課長として支店の営業を統括。これまで営業部門長表彰(旧CEO表彰)8回受賞、お客様満足度調査入賞1回。39歳、埼玉県出身 ――顧客対応で心掛けていることはありますか。 「電話でのご連絡ももちろんですが、直接お会いして顔を見て話をするのが基本です。約5年半の新潟支店時代、クルマの運転距離は約35万キロメートル。地球9周分くらいお客様先を回りました。何度も会話をして心の底で考えていることを聞ける関係になってもらうことが重要です。自分がされて嫌なことは絶対にしません。『何日までに返事をします』とご回答いただいた時期までは一切連絡しません。若いときには数字ほしさに事前に連絡をしてしまいがちですが、急(せ)かされたお客様は嫌な思いをします」 「また我々がもつ情報を分かりやすく伝えたうえで、お客様自身にきちんと判断していただかなくてはいけません。たとえば投信ですが、信頼できるファンドが運用している商品は、株価が上がった銘柄の保有比率は上がり、下がった銘柄の保有比率は下げていることが後の運用報告書で分かります。そうした事実を3カ月から半年かけて見てもらったうえで商品提案すれば、納得して購入してもらえます。単純に株価が上放れしたから買いましょう、下抜けしたので売りましょうという提案スタイルでは、高い手数料を払ってまでなぜその商品をいま買わなくてはいけないのか、お客様にわかってもらえません。手数料を払ってでも購入してもらえる根拠を示す必要があります」 30~40種類の指標に目配り、データで提案 ――情報収集面ではどのような指標に注目していますか。 「世界経済の中心である米国の指標は影響が大きいので特に気にして見ています。失業率や賃金の上昇率がわかる雇用統計や新規失業保険申請件数を見て、いまお金が使える環境にあるのかを考えます。米国の家計の資産と負債の比率もチェックしますし、消費者信頼感指数やISM製造業・非製造業景況感指数、小売売上高はもちろん、自動車と不動産関連などの指数を見ます。住宅指標に関しては新築住宅着工件数や許可件数のほか、中古住宅の在庫と価格の推移も確認します」 「金融政策では米連邦準備理事会(FRB)のHPをみます。償還を控えたレポ取引がどのくらいあるかなどを開示しているからです。米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録もそうですが、影響力のある人の発言は確認します。バルチック海運指数やダウ輸送株指数も含め、忘れない限り全部拾うようにしています。確認する指標は株価や金利も含めると30~40種類になるでしょうか。話題性のある市場・金融関係者が配信しているメールマガジンもいくつか読んでいます」 ――市場に変動があったときはどんな指標を注視しますか。 「(相場の変動率を示す)VIX指数は毎日見ています。特段の材料がなくても何か起きるときに激しく反応する指標もあります。たとえば企業のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場。リーマン・ショックが起きるときにCDS市場で保証料率が急上昇したことが強く記憶に残っています。金利については10年債の金利ではなく、1カ月先、3カ月先のロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を見ます。金融機関同士のお金の貸し借りの金利であるLIBORは、金融危機時に信用リスクが上がっている貸付先の金利上昇を受け、高まるからです」 過去の金利観を基に相場観を共有 ――日ごろ株価の分析で役に立つノウハウがあれば教えてください。 「1株あたり利益(EPS)と株価収益率(PER)の推移を確認しています。企業が今期、来期とどのくらいの利益を出せるのか見たうえで、過去のPERの水準と比較して売られすぎていないか考えてみます。現状では日本企業も米国企業も利益がかなり出ているので、お客様に訴える一つの指標になります」 「過去の金利観をしっかり持っていることも大切です。1980年台末のバブルの時は非常に金利が高かった一方で、株式の配当利回りは0%台でした。現在は当時と比べ金利は下がり、自社株買いをする企業も増えて配当利回りは高くなっています。こうした経緯を考えれば、いまは株の方が割安だとも考えられます。EPS、PER、金利の推移をチャートで示してお客様に見せると納得してもらえることが多いです。しっかり説明し相場観をきちんと共有しているので大きな金額を預けてもらえます」 ――営業統括として顧客からの苦情対応も多いのでは。 「きっかけを尋ねると、9割方こちら側に落ち度があります。たとえば担当者が会いにもいかずにいきなり目論見書を送りつけてきたという場合や、会いに来てほしくはないが市場が動いたときに電話くらいほしいというケースもあります。理由は様々ですが、間違いなく言い分があります。とにかく感情的にならずその言い分がわかるまで話を伺い続けることが重要です。ひとつひとつ丁寧に応えていけば、関係が好転するのは早いです。実際、一時期関係が思わしくなかったのに現在は100億を超える運用を任せてくれるようになったお客様もいます」 落ち着いた口調ですらすらとこちらの質問に的確に回答する並木さん。30代とは思えない安定感は、2013年下期から8期連続で部門長表彰を受けてきた自信に裏打ちされている。新しい担当になってから実績が表れるまでは1年半くらいの時間を要するという。時間を掛けて顧客との関係性をしっかりと構築している証拠だろう。業務に関わるものから話題のものまで週2冊、月に8~10冊の本を読んでいるという並木さんは人口動態から仮想通貨まで幅広い知識を持つ。結婚式の翌週には新聞広告を見て転職を決めるなど、ここぞと言うときは大胆な一面もある。〔日経QUICKニュース(NQN) 神宮佳江〕 =随時掲載

米指標が上振れ 緩和的姿勢でインフレ期待じわり上昇

2月28日発表の10~12月期の米実質国内総生産(GDP)は前期比年率2.6%増と、7~9月期の3.4%増から減速した。ただ、市場予想(2.5% QUICK FactSet Workstation)を上回ったため、米債券市場では売りが優勢となり、10年債利回りは発表前の2.66%から2.69%台に上昇した。その後発表された2月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も予想を上回ったことで2.7%台に上昇。2月5以来およそ3週間ぶりに2.72%台に乗せる場面もあった。 米連邦準備理事会(FRB)が緩和的な姿勢を示しているため、短期金利はほぼ横ばい。10年債と2年債の金利差は20.8%と18年12月28日以来2カ月ぶりの高水準に拡大した。 米原油先物相場は3日続伸し、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は2018年12月下旬に付けた安値から3割を超す上昇となっている。米BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、債券市場が織り込む期待インフレ率)は1.95%と2018年12月上旬以来およそ3カ月ぶりの水準まで上昇している。FRBの緩和的な姿勢は景気の再加速を促すとともに、インフレ期待を高める効果があるため、BEIの下がりにくい状況が続きそうだ。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

リスクマネーは何を買ったのか 暗黒のX’masから2ヵ月

クリスマス直前の4営業日で米ダウ工業株30種平均が1883ドル安となった2018年の年末。「ブラック・クリスマス」ともいえるムードに覆われ、市場関係者は翌19年に対する警戒感を強めたが、2ヵ月たってリスクマネーの流れは反転。調整局面入りする前の水準を回復するリスク資産も出てきた。 ■ニッケルと原油の持ち直し顕著 グローバル市場を俯瞰すると、顕著な戻りを示すのがコモディティの一角だ。中でもステンレス鋼やニッケル価格は2018年末をボトムに持ち直している。「中国政府が景気減速を嫌気して減税や公共投資などの経済対策を実施しており、期待先行の上昇」(コモディティアナリスト)との見方がある。 とはいえ、ひとつの需給指標であるロンドン金属取引所(LME)の在庫は大きく減少している。LMEのニッケル在庫は1月15日に19万7952トンと、13年7月以来およそ5年半ぶりの低水準となった。18年初に比べても約45%減少し、需給の引き締まりが意識された。 ブラジルで1月下旬にヴァーレの鉱山ダムが決壊する事故が発生し、深刻な環境汚染も発生した。同社はブラジルでニッケル鉱山を保有しているが、環境基準を満たさなければ鉱山稼働もできないとの懸念がニッケル価格の上昇に弾みをつけた面もある。 ■需給の引き締まり意識 WTI原油もまた18年12月24日を直近底値に反転基調にある。米中貿易協議の進展期待とともに産油国の減産による需給改善期待が価格を押し上げた。18年12月に石油輸出国機構(OPEC)とロシアは19年1月からの協調減産を決定。当初は減産に懐疑的な見方があったものの、年明け以降は減産が遵守されているとの見方が強まった。 19年1月17日にOPECが公表した月報によると、18年12月の生産量は前月比2.3%(日量閑散75万バレル)減の日量3158万バレルだった。減産を先回りして実行しており、需給の引き締まりが意識された。 投機筋は18年末にかけてショート・ポジションを増やしていたが、徐々にポジションを縮小している。米商品先物取引委員会(CFTC)が2月19日に公表した1月29日時点の建玉報告によると、WTI原油の買い越し幅は3週続けて拡大した。1月29日時点で買い越し幅は前週比6052枚多い34万911枚と18年11月27日以来およそ2カ月ぶりの高水準だった。ロング・ポジションは昨年末から横ばいだが、ショートが急速にへ減少している。 ■資源国の株価上昇、日本株の戻りは1割 18年のクリスマス前後を起点に、世界の主要株価指数の推移を見てみると、ブラジルやカナダ、ロシアといった資源大国の上昇が目立つ。株価を押し下げていた米中貿易摩擦による中国景気の鈍化懸念が和らぎ、原油など商品市況の改善とともに株価を押し上げているようだ。ブラジルは新政権による経済改革期待も追い風になっている。 フランスやイタリアなど、欧州株の上昇も目立つ。米国に続いて欧州中央銀行(ECB)による利上げが見込まれていたものの、景気の先行き不安を背景にタカ派姿勢はトーンダウン。低金利政策の継続を見込んだ緩和マネーが株価指数を押し上げている。 一方で上値が重いのがインド。株価はクリスマス前後と比べ1%高にとどまるなど、出遅れが顕著だ。原油輸入国であるだけに原油高が重荷になったほか、カシミール地方での自爆テロの発生など、地政学的なリスクが高まり敬遠されている。 日本株には出遅れ感があるとの声が国内市場には多い。しかし日経平均株価の戻り率は1割に達し、世界株やほかの資産と比べても平均的な水準に位置しており、グローバル市場で出遅れの一角とは言えない。 ■息吹き返したクレジット市場 昨年10月頃からの中国の弱い経済指標を受けて世界景気減速懸念が強まり、脆弱な企業のクレジットリスクが意識されるようになった。米社債市場では投資適格債(IG)がしっかりと推移する一方、ハイイールド債(HY:投機的格付け債券)の価格がじわりと下落し始めた。12月のFOMCでの利上げ決定は、高利回りのハイイールド債の魅力を剥がす要因ではあるが、それ以上にFOMC後の記者会見でパウエル議長がバランスシートの縮小計画について「自動操縦だ」と発言したことが金融市場を揺るがすこととなった。 だが、マーケットが急変した後のパウエル議長は人が変わったようだった。19年1月4日の講演で利上げ停止を示唆し、さらにバランスシートの縮小方針を見直す可能性にも踏み込んだ。半ば豹変とも言えるような”劇的な振れ”は、元日銀マンに言わせれば「中央銀行としては極めて異例なこと」だという。君子豹変によりクレジット市場は息を吹き返し、急降下したハイイールド債の価格は反発に転じた(急騰した利回りは落ち着きを取り戻した)。 今回のクレジットの乱高下が極めて限定的なもので抑制されたことはFRBの対応によるところが大きい。加えて、クレジット市場の火薬庫と警戒されてきたレバレッジド・ローン(信用格付けがBB以下の企業に対する融資)が3カ月程度の短期貸し付けであることが救いとなる。 米景気は3カ月程度で失速してしまうとまでは悲観的でもなく、むしろ足元は堅調に推移している。ただちにデフォルトだと身構える動きは現れ難い。ハイイールド債においても、やや長めの年限のものは長期的なデフォルト・リスクを織り込むことになろうが、短期債については保有継続あるいは買い戻しが中心となる。(丹下智博、松下隆介、中山桂一、岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

マイナス金利の日本国債に海外勢が群がる理由 1月も買い越し高水準

日本証券業協会が20日発表した1月の公社債投資家別売買動向(短期証券を除く)によると、外国人は2兆6107億円の買い越しだった。統計でさかのぼれる2004年4月以降で最も多かった18年12月の4兆4591億円からは鈍化したが、高水準を維持している。 マイナス金利の日本国債をなぜ買うのか? 一因として日米で異なる長短金利差の動きがある。 海外勢の多くは、市場から短期資金を調達して投資を行う。10年国債と3カ月物LIBORで見ると、この金利差は、米国(グラフ青)は2018年10月から縮小傾向が続き12月にはマイナスに転じた。足元では10年国債利回りが約2.64%に対して3ヵ月物LIBORは約2.66%で、金利差はマイナス0.02%だ。 一方、日本は10年国債利回りが約マイナス0.04%でLIBORはマイナス0.08%程度。金利差(グラフ緑)は低水準ながらもプラスを維持しており、日銀のイールドカーブ・コントロールの影響で安定的に利ザヤが確保できる形になっている。 米国よりも日本の国債を選好する海外勢の存在が、日本の長期金利の低下を促している格好だ。この動きは「FRBが利下げするなど、米長短金利差が拡大するまで続く」(野村証券の中島武信氏)との声も聞かれる。長期金利は当面上がりそうもない。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

イエレン前議長「次は利下げかもしれないわね」 資産圧縮でアドバイスも

米連邦準備理事会(FRB)のジャネット・イエレン前議長が6日に米経済専門チャンネルのCNBCの「パワーランチ」に出演し、「世界経済の成長が鈍化し、米国経済に影響を及ぼし始めれば、次の行動は利下げになるかも知れない」との見解を示した。中国や欧州の景気減速が米国の景気に悪影響を与える恐れがあるとしつつ、「だが、(利下げか利上げか)両方の動きが可能だ」との見解も示した。 イラスト:たださやか FRBは昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、四半期経済見通し(SEP)のドットプロットで2019年の利上げ回数を2回と見込んでいたが、今年1月のFOMCで利上げを一時停止する方針を示した。イエレン氏は「私も昨年12月に予測を求められていれば、年2回の数字を出していただろう」と述べ、パウエル議長率いる現在のFOMCの判断を尊重した。一方、バランスシート(B/S)の縮小を見直す手法について、債券の毎月の償還額に上限を設けつつ、残りを再投資する手法を提案した。イエレン氏は「ペンキが乾くのを見ているのと同じです(watching paint dry=退屈な行動です)」と述べた。(片平正ニ) ■FOMCメンバーの政策金利見通し(ドットチャート、12月時点) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

大統領はおもてなし、議長はおもねりなし? トランプ・パウエル夕食会談の後味

トランプ大統領と米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が4日夜にホワイトハウスで非公式の夕食会に臨んだ。リチャード・クラリダFRB副議長、スティーブン・ムニューシン財務長官も同席したという。 イラスト:たださやか トランプ氏が招待したといい、経済情勢について話し合いが行われたという。FRBの発表資料によれば、パウエル議長は1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での発言に沿って話したといい、最後に「私とFOMCの同僚は、雇用の最大化と物価安定を支援するために金融政策を運営し、慎重かつ客観的に、政治的な判断に基づかずにこれらの決定を下す」と述べたという。 トランプ大統領がFRBの利上げ路線を批判する中、パウエル氏は独立性を強調したとみられる。ただ1月FOMCでは利上げの一時停止に加え、バランスシートの縮小ペースを見直す方針が正式に文書で示されたばかり。政治情報サイトのポリティコによれば、今回の会合は1日に予定が決まったといい、4日は1時間半ほど話し合いがもたれたという。 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版によれば、トランプ政権の関係者は「これまで大統領執務室で行われたどの会合よりも、平等で誠意あるものだった」と良い雰囲気の会合だった旨を指摘。ちなみに、2月4日は66歳となるパウエル議長の誕生日でもあり、トランプ氏が慰労をするには良いタイミングだった。ステーキも振る舞われたという。 大統領とFRB議長が夕食を共にするのは珍しく、トランプ氏によるFRB議長批判が一服するのか今後のツイッターが注目されそうだ。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

再び動き始めたトルコリラ買い 「利下げ当面なし」の観測、市場不安やわらぐ

外国為替市場でトルコリラが戻り歩調を強めている。対円は1月31日に1リラ=21円台を回復し、およそ1カ月ぶりの高値を付けた。トルコ中央銀行が公表した四半期インフレ報告書をきっかけに、当面は利下げはないとの見方が広がった。米連邦準備理事会(FRB)が金利引き上げの姿勢を後退させていることも米ドル安を通じてリラの買い安心感につながっている。 トルコ中銀は1月30日に最新のインフレ報告書を発表し、2019年末のインフレ率見通しを14.6%とした。2018年10月時点の15.2%から下方修正し20年末のインフレ見通しも引き下げたが、市場関係者が注目したのは予想の前提が「引き締め的な政策スタンス」だった点だ。 トルコでは3月末、首都のアンカラや最大都市イスタンブールの市長などを選ぶ統一地方選を控える。市場では「エルドアン大統領が選挙前の景気刺激策として利下げを求め、中銀が応じるのではないか」との思惑が出ていたものの、インフレ報告書を受けて「中銀はテコでも動かないとの見方が強まった」(野村証券の中島将行・外国為替アナリスト)という。 中銀の「自信」の背景として、昨年夏から秋にかけてのリラ安がトルコ経済に好影響を及ぼし始めたことも見逃せない。トルコの文化観光省によると、18年の外国人旅行者数は過去最高となった。リラ急落でトルコ旅行の割安感が高まった。一時はブランド品を安く買おうとする企業の「トルコ詣で」が広がった。いずれにせよ外貨獲得が進めば、ドル建て債務の多いトルコのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)改善を促す。 しかも18年終盤から米金利の先高観が薄れ、「トルコショック」の一因にもなった米ドル高圧力が薄れている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが金利先物から算出する米国の金融政策予想「フェドウオッチ」によると、直近では19年は「利上げなし」が76%、「1回の利下げ」が17%。利上げを織り込む動きはしぼんでいる。高金利通貨であるリラには資金が流入しやすい。 米国株の変動性指数(VIX指数)は足元では2カ月ぶりの低さ。市場の不安心理は和らいでいる。高金利のリラが投資家の視線を集める条件は整ってきた。 〔日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

カリスマ投資家ダリオ氏、ダボスから警告 「私が最も恐れているのは……」

世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツを率いる米著名投資家のレイ・ダリオ氏が22日、「私が長期的に最も恐れているのは、大きな政治的・社会的反目を抱える中、最も価値のある道具である金融政策に限界があるということだ」との見解を示した。スイスのダボス会議で行われたパネルディスカッションの内容を米経済専門チャンネルのCNBCが伝えた。 ■日米欧の中銀のマネタリーベース(日本はグラフ青=兆円、米はグラフ赤=100億ドル、欧はグラフ緑=100億ユーロ) ダリオ氏のコメントは、米中の貿易戦争がビジネスと消費者心理を長く悪化させている状況下、投資家が深刻な世界経済の減速についてますます懸念するようになったのと歩調を合わせるもの。ダリオ氏はトランプ政権発足以降、ポピュリズムが世界的に高まっていることをもともと懸念していたが、「この種の政治問題が経済問題と密接に関連しているのが現在の特長だと思う」とも述べ、実体経済やマーケットの変動リスクとして政治要因を警戒していた。 また、CNBCのスクウォーク・ボックスに出演した際には「2020年にリセッションに陥るリスクがかなり高い」との見解も示していた。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

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