米長期金利、引け前の急上昇 仕掛人はリスク・パリティ・ファンド

17日の米債券市場では長期債が売られ、10年物国債利回りは9日以来となる3.2%台に乗せた。16日に続き、17日も取引終了にかけて米長期金利は急上昇し、「リスクパリティ・ファンドによるボラティリティ調整のための売りが指摘されている」(ストラテジスト)という。 10日に米長期金利が上昇した際は株式市場が嫌気し、ダウ工業株30種平均が800ドル超の大幅下落となり、11日にも500ドル超の大幅な下げを記録した。今回も米株式市場の動向が気になるところだ。(丹下智博 、池谷信久)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米金利上昇で注目のイールドスプレッド 日本は?

米長期金利の上昇が続く中、運用利回りでみて株式と債券のどちらが割安かを比べる指標である「イールドスプレッド」に注目が集まっている。イールドスプレッドでみると、米国では株式の割高感が少しずつ強まっており、株式から債券へのシフトが足元の米国株式相場の下押し要因になったとの見方も出ている。 日本はどうだろうか。 10年物国債利回りから、TOPIXの12カ月先予想PER(QUICK Factset Workstation)を使って計算した益利回りを差し引いたイールドスプレッド推移が上のグラフ(赤、左軸、単位%)だ。マイナス幅が大きくなるほど、株式の割安感が強まる(債券が割高になる)ことを示している。足元ではマイナス7%ほどで推移している。 イールドスプレッドとTOPIXは逆に動きやすい。長期金利が変わらなければPER低下=益回り上昇=イールドスプレッドのマイナス幅拡大=株価が割安さが増して、株は買われやすくなる。PERが上昇すればマイナス幅が縮小し、株売りにつながる。 一方で、長期金利が上昇してもイールドスプレッドは縮小するため、やはり株安の材料になる。足元ではいったん落ち着いているものの、米金利上昇などを背景に、日本の長期金利もじわじわと上昇している。この流れが加速すると、株式相場への影響が大きくなる可能性もある。 金融環境が大きく異なるため単純比較はできないが、米国はおおむねマイナス3%(長期金利は約3.1%、市場平均のPER約17倍で株式益回りは約5.9%)となっている。(丹下智博)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米金利上昇、景況感と消費の「2段ロケット」 原油高でエンジン燃焼パワーアップ

3日の米債券市場では10年物国債利回りが7年ぶり水準まで上昇した。一時は3.186%を付け、前日より0.12%高い3.18%で終えた。時間外取引では3.2%台をつける場面もあった。   金利を押し上げた「エンジン」は主に2つだ。まずはサプライマネジメント協会(ISM)が公表した9月の非製造業景況感指数。前月から3.1ポイント上昇して61.6となり、市場予想(58.2)を上回って過去最高水準を更新した。非製造業は主にサービス業を指す。個人消費に直結しやすいだけでなく米国内総生産(GDP)の大半を占める分野だ。また、3日発表の9月のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の全米雇用リポートで民間部門の就業者数が23万人増となり、市場予想(18万4000人増)を上回る強い数字となった。拡大を続ける米労働市場が賃上げ圧力として働き、活発な個人消費を促す好循環を表している。   これに年末商戦への期待感が加わる。同日に全米小売業協会(NRF)が発表した今年の年末商戦(11~12月の2カ月)の売上高予想は前年比4.3~4.8%増。直近5年の平均増収率は3.9%だといい、これを上回るペースで年末商戦の拡大が見込まれる。NRFは「順調な景気拡大と強い消費者信頼感が今年も消費を底上げする」としたうえで「貿易摩擦問題があるものの、年末にかけ活発な経済活動が継続すると楽観視している」と指摘した。 ★過去の年末商戦と2018年の予測 全米小売業協会のホームページより https://nrf.com/media/press-releases/nrf-forecasts-holiday-sales-will-increase-during-2018-season   そして原油高。金利上昇の「2段ロケット」のエンジン燃焼に文字通り油を注ぎ、推進力をアップさせた。 WTI原油先物は中心限月11月限の清算値は1.56%高の76.41ドルで、約4年ぶりの高値水準を回復した。米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計で原油在庫が800万バレル増となり、2017年3月以来の大幅な増加を記録したが、イラン制裁に伴う供給不足懸念が根強く、買いが活発化したという。   原油高・債券安の流れを受け、9月以降は米10年債利回りとWTI原油先物は強い相関関係がある。市場が原油高に伴う名目金利の上昇、インフレを織り込むかのような展開だ。(岩切清司、片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米利上げ、市場の織り込みは▲1回 FF先物の水準が示唆

26日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの政策見通し(ドット・チャート)では、2018年末までに1回、2019年末までに合計4回の利上げが示唆された。 一方で、フェデラルファンド(FF)先物の2020年1月物は、おおむね市場が想定する2019年末の政策金利と考えることができる。26日のレートは金利ベースで2.83%と、2019年末までに3回の利上げを織り込んだレベルにある。 米長期金利とFF金利先物の連動性は高い。市場がFOMCの想定する利上げペースを織り込めば、10年金利は3.25%を超えても不思議はない。一方、10年金利が2.8%を割り込むとすれば、19年末までに1回しか利上げができないペースを織り込んだということになる。 足元の米景気の強さを踏まえると、リスクとしては金利上昇の方が大きいように見える。(池谷信久)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

「America Omedeto Again!」 株最高値、雇用も景況感も翳りなし?

20日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が3日続伸。前日比251ドル22セント(1.0%)高の2万6656ドル98セントで終え、1月下旬以来およそ8カ月ぶりに過去最高値を更新した。S&P500種株価指数も3日続伸。前日比22.80ポイント高の2930.75ポイントと、8月下旬に付けた最高値を更新した。トランプ大統領はツイッターで、「S&P500が史上最高値を付けた、アメリカおめでとう!」とつぶやいた。 米国市場では貿易紛争懸念が和らぐ中、中間選挙を前に株高が進んでいることから、トランプ氏としては経済政策の実績が出ていることを誇らしく思っているもようだ。 株高の根底にあるのは米国経済の好調さだ。この日発表された、週間の新規失業保険申請件数は20万1000件と、1969年11月以来ほぼ49年ぶりの低水準。9月のフィラデルフィア連銀の製造業景況指数も22.9と前月の11.9から大幅に上昇し市場予想を上回った。   一時マイナス20台まで低下していた、シティグループが算出するエコノミック・サプライズ指数は回復傾向にある。BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、債券市場が織り込む期待インフレ率)も5月以来の水準まで上昇している。(池谷信久、岩切清司) ■トランプ氏のツイッターはこちら■   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米長期金利3%の攻防 今度の滞空時間は 【US Dashboard】

米10年物国債利回りが「節目」の攻防を繰り広げている。先週14日のニューヨーク債券市場で一時、8月初旬以来ほぼ1ヵ月半ぶりの3%台に上昇。17日も取引時間中に3%台に乗せ、終値は2.98%だった。 25~26日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年3回目の利上げが確実視されており、これを織り込む動きと言えそうだ。ただ、6月、8月の上昇局面では3%台の滞留時間は短かった。「3%乗せでは押し目買いが入りやすい」(ストラテジスト)といい、今回も同様の展開を見込む市場参加者が多そうだ。(丹下智博 ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKデリバティブズコメントでは特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。

米長短金利差11年ぶり低水準 2-10年で20bp割れ視野

23日の米債市場で2年債と10年債の利回りスプレッドが縮小した。QUICK FactSet Workstationによれば2-10年スプレッドは21.85bpとなり、前日(22.12bp)から縮小。2007年7月以来、約11年ぶりの低水準を付けて20bp割れが視野に入った。 米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が24日に米ワイオミング州ジャクソンホールで講演を行うのを前に、フラットニングの流れが続いた格好。政策金利との連動性が高い2年債利回りが高止まりする一方、この日は米中の貿易紛争懸念から10年債は横ばいだった。S&P500が史上最高値圏にある一方、長短金利差が縮小している状況からは景気鈍化リスクが示されている。(片平正ニ)   米2-10年債の利回りスプレッド(15年チャート) (QUICK FactSet Workstationより) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米中貿易問題が重い銅と大豆、銅と大豆で重たい米長期金利

国際商品の総合的な値動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数(グラフ赤)が、今月15日におよそ8カ月ぶりの低水準を付けるなど下落基調が続いている。 米中貿易摩擦への警戒感が高まった6月以降、商品市況の中でも特に下げが目立つのが銅(点線グラフ緑)と大豆(点線グラフ黒)だ。幅広い分野に使われる銅は景気の先行指標と言われ、主要需要国である中国の景気悪化が懸念されている。中国は米産大豆の6割を輸入しており、7月にはその米国産の大豆に25%の追加関税をかけた。 賃金上昇が加速しない状況では、インフレ期待は商品市況次第の面があり、米長期金利(グラフ青)とCRB指数の連動性は高い。米長期金利が再び3%台に向けて上昇するには、米中貿易問題が収束に向かい、商品市況が回復する必要があるとの見方ができる。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

貿易戦争に一喜一憂 誘惑の成長株か妙味の割安株か

リスクオンとリスクオフが、いつ交互に反転してもおかしくない地合いだ。 10日の米株式相場は4日続伸して終えた。この間の上げ幅は744㌦に達し投資家心理の改善が続いている様子が鮮明になった。しかし、一部で米国が対中の関税リストを公表すると伝わり、東京時間11日早朝はリスクオフに冷や水が浴びせられた格好。米長期金利がやや低下すると、円相場は1㌦=111円25銭あたりから110円85銭前後まで買われた。市場は貿易戦争を忘れることなどできない。 マーケットを取り巻く環境が不透明感を強める中で、株式市場では1つの傾向がはっきりしている。それは成長株すなわちグロース株の優位性だ。MSCIの世界株でグロース株指数(青)とバリュー株指数(赤)を指数化したチャート(昨年末を=100)を見てほしい。 ※QUICK FactSet Workstationで作成 2月上旬のボラティリティ急騰を受けた反落相場から、バリュー株に比べてグロース株の戻りが圧倒的に強い。すでに年初来高値に迫っている。対照的にバリュー株は低迷が続いている。 これは東京市場でも同じ傾向が出ている。TOPIXのグロース指数とバリュー指数を指数化しても上記のMSCIと似た構図になる。もちろん、米株も同様。世界的にグロース株が選好されている。 クレディスイスは10日付のレポートで、米グロース株買いを推奨する半面、中小型株の評価を引き下げた。カギは相場循環をどうとらえるかにあるようだ。グロース株がバリュー株より優位になるのは、上昇相場の後期に見られるというのが一般的な解釈。景気減速や後退が意識され、長期金利が上がりにくくなればグロース株に有利に働くという。 確かに6月の米雇用統計が想定以上の内容だったにもかかわらず、米長期金利の上昇は限られた。金融政策の正常化を進める米連邦準備理事会(FRB)だが、は利上げの最終局面が見渡せる状況になってきた。米金利が上がらないのも無理はない。 もちろん、攻守が逆転する可能性はある。ゴールドマン・サックス証券では日本株の下期相場を展望するにあたり、成長性が比較的高いバリュー株に投資妙味があるとしている。 「秋には相場が上昇基調に復帰することを前提に、 (1)グロース株のバリュエーションがROEの優位性低下にもかかわらず高止まりしている、(2)コモディティ価格と賃金の上昇によりインフレ圧力が高まっている、(3)金利が正常化に向かっている、(4)バリュー株は世界経済の成長に対する感応度が高い、(5)コーポレートガバナンス改革により「隠れた価値」が解き放たれる可能性がある――との理由から、バリュー株のパフォーマンス好転を予想している。グロース株はバリュー株に対するROEの優位性が低下しているにもかかわらず、プレミアムのバリュエーションが持続しており、今後グロース株のバリュエーションには下押し圧力がかかりやすくなると考えられる」(6月22日付ゴールドマン・サックス証券『秋の収穫を待つ:下期の相場見通し』より) 悩ましいところだが、グロース株の魅力は依然として強そうだ。運用の主軸に置きつつも、バリュー株にも目配りする局面かもしれない。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米金融株ETFが12日続落 長期金利低下で金融株に逆風

26日の米国市場で金融株ETFとしては純資産が最大の金融株スパイダーETF(XLF)が12日続落し、0.33%安の26.69ドルで終えた。一時は26.52ドルまで下げて5月3日以来、約2カ月ぶりの安値水準に沈んだ。貿易紛争懸念による株安が一服したものの、この日の米債券相場が堅調で長期金利が低下基調となる中で金融株は弱い展開だった。 ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカは小じっかりだったが、ウェルズ・ファーゴは0.98%安で軟調に終えた。 米マーケット・ウォッチによれば、XLFが12日続落するのは同ETFとして過去最長記録だという。米連邦準備理事会(FRB)による今年4回の利上げが見込まれる割に、金融株は弱い。XLFからは25日までの1ヵ月間で14億ドル超の資金が流出していた。(片平正ニ)      ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。    

アップル・アマゾン最高値 大型IT株と金融環境指数の深い関係 

5日の米市場でナスダック総合株価指数が3日続伸し連日で最高値を更新した。アップルとアマゾン・ドット・コムという時価総額の上位2銘柄がそろって上場来高値を上抜け指数を押し上げた。米株に新規の買い材料は見当たらない。ハイテク株を中心にマネーが再び流入している背景には何があるのか。 地政学リスクの後退や金利上昇の一服などが考えられるが、もう1つ注目したいのが米国の金融環境だ。シカゴ連銀が算出する「全米金融環境指数(NFCI)」が比較的わかりやすい。同指数はマイナスであればあるほど金融環境は緩和的な状況を意味する。2017年11月中ごろを底に反転し18年3月にかけてマイナス幅を縮小していった。米長期金利の上昇に端を発するボラティリティの急騰で株式相場が急落した時期に先行していた様子がわかる。 ※QUICK特設サイト「US Dashboard」より ※QUICKでは特設サイト「US Dashboard」で「全米金融環境指数(NFCI)」のほか、「米長短金利スプレッド」や「米BEI(期待インフレ率)」などを提供している 金融環境の引き締まりが低ボラティリティというぬるま湯に浸かっていた市場に冷や水を浴びせたわけだが、4月中旬を境に環境指数は再びマイナス幅を広げ始めた。この時期に米長期金利は再び上昇し3%を明確に上回ったものの、米株価指数への影響はほとんどなかった。 これらの経緯から緩和的な金融環境が米株価を押し上げている可能性が高い。環境指数の直近の低水準はマイナス0.88。5月25日時点ではマイナス0.85だった。このトレンドが継続するのか。再反転する局面は近いのか。最新の指数は日本時間の今晩に公表予定。改めて確認したい。 とはいえ、株高にもいびつさが見えてきた。S&P500種株価指数のヒートマップを見る限り、相場全体に勢いがあったようには思えない。行く場所がなくなりつつあるマネーは、受け入れ先として高い流動性と大きな時価総額であるアップルとアマゾンを求めているようにも映る。「米株価の上昇ももう少し続きそうだが最終局面なのかもしれない」(eワラント証券の小野田慎氏)との不安はぬぐいきれない。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米国債に回帰する生保 ヘッジコスト改善、6月FOMC後に潮目の変化

国内生命保険に米国債回帰の機運が高まっている。生保各社が為替変動リスクの回避(ヘッジ)目的で手掛ける円買い・ドル売りの先物予約や通貨オプションのコストはここにきて安定し、米長期金利は2.9%前後の高い水準にある。米10年~30年物国債の運用利回りはヘッジを付けても同じ期間の日本国債をだいぶ上回るようになってきた。国内の低金利環境は当分変わらないとみて、米債投資を再び積極化しようとする動きが出始めている。 米国で利上げが続いた2017年度、これまで外債の「主流」だった米国債投資には逆風が吹いていた。日米欧ともにドルの需給が引き締まり、国内の金融機関がドルを調達しようとすると、例年以上に高い上乗せ金利を求められた。ヘッジコストも上がり、日本より高い利回りが期待できるはずだった外債投資の魅力は半減。追い打ちをかけるように肝心の米長期金利も、米経済が金利上昇に耐えられないとの見方が広がったことでなかなか上がらなかった。 とれるリスクが限られる生保は、ヘッジなしでの運用を簡単には増やせない事情がある。一方、ヘッジをかければ目標とする利回りには到達できない。そんなジレンマの中、生保各社はヘッジ付きの欧州債や、リスクをとったオーストラリア(豪)ドル建て債券に傾いてきた。ただ、米長期金利の上昇によって生保各社を取り巻く環境が変わりつつある。 米長期金利の指標となる10年物国債利回りは17日、米国の利上げペースが速まるとの観測から、一時6年ぶりの高水準(価格は安い水準)となる3.12%を付けた。長期金利は将来の経済状況への思惑の影響を受けやすく、金利の引き上げ幅がインフレ抑制に不十分とみなされたり、財政懸念を増幅させたりすればより上昇する。短期金利は政策金利を織り込む形で緩やかに動くので、銀行や生保は現時点で長短金利差が広がった分を「利ざや」として稼げる。 メリルリンチ日本証券の大崎秀一金利ストラテジストは、「ヘッジを付けても米10年債投資の利回りは0.60%近い」と指摘する。日本の新発10年債が足元で0.040%、20年債は0.515%で推移しているので、ヘッジ付きの米10年債は日本の20年債よりも収益を上げられる。 明治安田生命の佐藤元彦運用企画部長は、今後の米債投資について「17年度に抑えた分を取り返す絶好のチャンス」と意気込む。そのうえで「4月以降、米金利の上昇に歩調を合わせて、米債を買い増している」と現状の買い入れ姿勢を説明する。生保のヘッジ外債は満期保有の比率が高く、購入後に相場が下落しても基本的には含み損を計上せずともよい。 明治安田が2月に発表した有価証券報告書によると、17年3月末に5兆9000億円程度あった外債への投資額は同年12月末までに5兆8000億円程度にまで減っていた。単純に考えれば1000億円程度、外債への投資余力がある計算になる。 ヘッジ比率の調整や償還前の売買を意識しているところにも積み増しのムードが出ている。富国生命の運用責任者は25日の決算報告で、「足元のドル高傾向が続くのか否か注視したい」と述べる一方、「米長期、超長期金利がこれ以上大きく上昇するとは想定していない」と語り、為替や債券価格の変動リスクをとった投資を活発化させる考えを示した。富国に限らず、18年度は米ドル建て債券の拡大に食指を動かす生保は多いようだ。 大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは「6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは様子見の生保や銀行も米国の長短金利差が一定水準で落ち着くことを確かめられれば、本格的に米債投資に戻っておかしくない」と話していた。 【日経QUICKニュース(NQN)荒木望】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

トルコリラまた安値更新、公募債の為替差損も拡大 どうするミセスワタナベ

中央銀行への圧力を強めるトルコのエルドアン大統領の姿勢に対し、格付け大手フィッチ・レーティングスは22日、「金融政策の独立性が一段と損なわれ、トルコの国家としての信用力にさらに圧力がかかる」と警告した。同日の外為市場でトルコリラは急落。対ドルでは一時1ドル=4.68リラ台までリラ安が進み、最安値を更新した。 トルコリラ建て公募債の為替差損も膨らんでいる。下のグラフは、現存するリラ建て公募債約3300億円のうち、為替差損が20%以上発生しているものが、ざっと2500億円レベルに膨らんでいることを示している。 米長期金利と米ドルの上昇を背景に、トルコやアルゼンチンなど一部の新興国の通貨が下落している。この傾向が続いた場合、新興国にどのような影響をもたらすか、21日に発表したQUICK月次調査<外為>で聞いたところ、「資金流出や通貨下落は一部の新興国に限定される」が7割を占め、「資金流出や通貨下落が新興国全体に広がる」が23%となった。 回答者からは「アルゼンチンやトルコの通貨が下落しているのは、両国ともインフレに直面しており、高水準の債務残高を抱えるなど、固有の問題があるため。一方、多くのアジア諸国は、過去に比べて財政収支や経常収支が改善している。通貨安がアジア諸国に波及し、金融市場全体に動揺が広がる可能性は低い」(投信投資顧問)などの声が聞かれた。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

米長期金利3.1%台、利上げ加速を織り込む展開に【US Dashboard】

米長期金利とFF金利先物の連動性は高い。FF先物の2020年1月物は、おおむね2019年末のFFレートと考えることができる。16日の清算値は(金利ベースで)2.77%であり、米連邦準備理事会(FRB)が3月に発表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者らによる政策金利見通し「ドットチャート」における中央値よりも低い。 16日の米債市場で10年金利は一時3.1%台に乗せたが、FF先物との関係を見る限り、この水準が高すぎるとは言えない。むしろマーケットはFRBの利上げペースの加速を織り込む動きになっている。更なる金利上昇の可能性を意識しておいた方が良さそうだ。 (池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

マジックナンバー「3.60%」 その時、マネーが動く

バンクオブアメリカ・メリルリンチは15日に定例の機関投資家調査を発表した。株式相場の上昇が続くとの見方が依然として根強いことが明らかになった。投資家の76%が株式相場はまだピークを付けていないと回答。このうち大半は「2019年かそれ以降」まで株高が続くと予想している。すでに天井を打ったとの回答は19%にとどまった。グローバルの機関投資家は現在の投資環境をどう見ているのか。調査の中に興味深い項目がいくつかあった。 ▼エネルギーと素材の配分は出遅れ 「コモディティの資産配分は8年ぶりの高水準に近い。しかし、エネルギー株と素材株の配分は出遅れたまま。その結果、年初来で多くの市場参加者には『ペイントレード』が発生している」 「石油価格が過大評価だというネットの回答比率は、先月のマイナス1%から今月はプラス21%へと22ポイントも上昇した。このネットの回答比率は、WTIの平均価格が106ドルだった2013年9月以来の高い水準になる」 ▼景気後退いつ 「年内に景気後退に陥ると予想した機関投資家は全体の2%にすぎない。景気後退入りのコンセンサス予想は2020年1~3月期ということになるが、年別に見ると、19年が41%、20年以降が43%とほぼ二分された」 「半分以上の機関投資家は、(米国で)長短金利の逆転があったとしても、来年以降の話だと考えているようだ」 ▼マジックナンバーは3.60% 「機関投資家は米10年国債利回りの3.60%が、株式から債券へのローテーションを引き起こす『マジックナンバー』と考えており、先月調査の3.50%から小幅上昇した」 ▼企業収益の改善期待はわずか 「今後12カ月で世界的な企業収益が改善すると回答したネットの比率はわずか10%となり、Brexitショック直後の低い水準に落ち込んだ。過去のパターンによれば、今後数カ月間でディフェンシブ株は景気敏感株をアウトパフォームする可能性が高い」 (岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。  

ブラジルレアル、2年ぶり安値圏 大統領選の行方混沌 一段安予想も

外国為替市場で、ブラジルの通貨レアルが約2年ぶりの安値圏で推移している。米長期金利が上昇基調にあり、新興国通貨には売り圧力がくすぶる。アルゼンチンが通貨防衛のために政策金利を40%に引き上げるなどといった動きが出る一方で、ブラジルでは、物価上昇率の鈍さから中銀が利下げ継続の構えを崩していない。10月に予定される大統領選が大混戦の様相を呈していることも材料に、レアル相場はじり安に向かうとの見方が優勢だ。 レアル相場は年初から11日までに1割近く下落した。心理的節目の1ドル=3.5レアルを下回り、14日は3.6レアル前後と2016年6月以来ほぼ2年ぶりの安値圏にある。 レアル売りが続いているのは、同国の消費者物価指数の伸び率が歴史的な低さにとなっていることが要因だ。10日発表の4月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比2.76%。3月から小幅に上昇したとはいえ、ブラジル中央銀行の物価目標(4.5%を中心にプラスマイナス1.5%)の下限を下回る。2015年末から16年初めにかけては前年比上昇率は10%を超えていた。 ブラジル中銀は15~16日に通貨政策委員会を開く。3月の前回委員会で12会合連続となる利下げを決めた際、声明文で「次回会合に関して、現時点で、追加の金融緩和政策が適切であるとみている」と追加利下げを示唆していた。「通貨安より足元のインフレ率を重視している」(みずほ銀行の佐々木貴彦マーケット・エコノミスト)との見方が多く、市場では16日に基準金利を現行の6.50%から過去最低の6.25%に引き下げるとの予想が支配的だ。 10月に予定される大統領選の行方が混沌としていることもレアル相場の先安観につながっている。これまでの世論調査では汚職容疑で有罪判決を受けているルラ元大統領の支持率がトップ。だがルラ氏は4月に収監されており、大統領選への出馬は絶望視されている。みずほ銀行の佐々木氏は「ルラ氏の支持票がどの候補者に流れるか現時点では不透明感が強い」と言い、年内にレアルは対ドルで3.8レアル台への下落余地があるとみる。 2017年の貿易黒字が過去最大を記録するなど、対外収支が大幅に改善する中で「実需のレアル売りはほとんどない」(大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジスト)との指摘もある。だが、利下げを繰り返した結果、政策金利は新興国の中では低い6%台まで低下した。「低金利が続けば、海外からの証券投資フローの拡大は見込めず、レアルが上昇に向けて逆回転するのは難しい」(大和証の石月氏)との声も出ている。 【日経QUICKニュース(NQN) 菊池亜矢】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

1ドル=110円は「時間の問題」 増えるドル強気派、踏み上げから主役交代

外国為替市場で円の対ドル相場がするすると下落し、気づけば節目の1ドル=110円が視野に入ってきた。3%を超えてきた米国の長期金利上昇が、円相場を押し下げている。円売り・ドル買いの主役は、ドルに弱気だった投資家による損失覚悟の買い戻しである「踏み上げ」から、ドル強気派の新規の買いに交代してきたもようだ。市場参加者の間では「110円は時間の問題」との声も出ている。 「おとといあたりから雰囲気が変わった」。みずほ銀行国際為替部の佐藤大次長は、海外勢を中心に新規のドル買いが目立ってきたと指摘する。円相場は26日朝には一時109円49銭近辺と2カ月半ぶりの安値を付けた。 円は3月下旬に今年の高値104円台半ばを付けた後、下げ基調に転じた。緩やかな円安を促していたのはドル弱気派による利益確定などが目的の買い戻しが中心だった。今週に入ると円安のピッチは速まり、日本時間20日は107円台半ばだった円は短期間で2円も下落し、110円台が意識されている。 変化のきっかけとなった米長期金利は25日に一時、3.03%まで上昇した。日本時間26日も時間外取引で上昇が続く。2月上旬に米長期金利が急上昇した際は、米国経済の成長鈍化などへの懸念で日米の株価が急落し、リスク回避の円買い・ドル売りにつながった。だが、過熱感が遠のいた今の株式相場は米長期金利が上昇しても大きく崩れず、為替相場を巡っても「2月と同じ展開にはならない」(FPG証券の深谷幸司社長)との見方が大勢だ。 このため、外為市場では安心して日米金利差の拡大を材料に円売り・ドル買いに動けるようになってきた。新たに円売り・ドル買いの持ち高を積むドル強気派が増え、相場の動きが速まっている。 ドル強気派の増加は、ユーロ圏で市場予想を下回る経済指標が目立ち始めたのも一因だ。欧州中央銀行(ECB)は金融政策の正常化を急がないとの観測が強まり、ユーロ売り・ドル買いが対円のドル買いに波及している面もある。米国では今年の利上げは4回との見通しが優勢な一方、ECBの出口の歩みはゆっくりとの見方が広がっているからだ。 ECBは26日に定例理事会の結果を発表し、ドラギ総裁が記者会見に臨む。ECBが景気に慎重な見方を強めれば「ドルへの人気に火が付くかもしれない」(三菱UFJ銀行の内田稔チーフアナリスト)との声もある。円が110円台に下落すれば、2月初め以来となる。米国の長期金利の上昇とECBによる緩和縮小のスローダウンの観測で、円相場の台替わりの現実味は増している。 【日経QUICKニュース(NQN) 蔭山道子】   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

米金利3%乗せの先は VIXショックとの違い鮮明 【US Dashboard】

24日の米国市場で10年物の米国債利回りが3%台に乗せた。2014年1月以来およそ4年3カ月ぶりの高水準だ。米長期金利が小幅にせよ節目を突破し、市場はしっかり反応した。米ダウ工業株30種平均は400㌦を超える下げ幅、円相場は一時1ドル=109円台。日本株にとって米長期金利3%突破は売りなのか、買いなのか。2月に起きたVIXショックと同じ構図か、違うのか。デリバティブズコメントがQUICK端末のナレッジ特設サイトで展開している「US Dashboard」を使って再考してみる。 トランプ米政権は強面の通商政策を掲げる。これは暗にドル安志向も含まれるようにみえる。それでも日米金利差を素直に反映した円売り・ドル買いは出やすい。ドルインデックスも上向きつつある。 米長期金利の上昇は米景気の拡大とインフレ期待の上昇、これに米金融政策の正常化と国債発行増といった需給問題が絡む。景気については現時点で死角は見当たらない。ニューヨーク連銀が算出する国内総生産(GDP)予想「ナウキャスト」は1~3月期で2.91%、4~6月期については3.03%成長を想定している。 インフレ期待を示す「BEI(ブレーク・イーブン・インフレ)率」は米金利に先行する形で上振れ始めていた。これは原油高の影響を受けている。持続的にインフレ期待が上昇していくかどうかは不透明だ。原油高の要因の1つは地政学リスクだ。 米長短金利の逆イールドを警戒する声があるようだ。足元ではむしろスプレッドが拡大している。3%乗せが示す景色はこれまでと違うかもしれない。いずれにせよ、逆イールドへ突入し景気が後退するリスクを織り込むと判断するには時期尚早であるのは間違いない。 米金融政策はあくまで正常化の過程にあるだけで、景気への引き締めを狙ったものではない。米アトランタ連銀のボスティック総裁は4月上旬、米メディアの取材に対し「景気を後退も過熱もさせない金利水準の中立金利と考える水準は、2.25~2.75%の範囲」との認識を示した。これを考慮すれば現状の政策金利であるFF金利は1.50~1.75%はまだ緩和的な水準と言える。 確かに直近と比較すれば米連邦準備理事会(FRB)が「引き締めに動いている」との表現は可能だ。ただ、あまりにも緩和的すぎた状態からの正常化である。シカゴ連銀の全米金融環境指数は切り返しているが、依然として緩和的とされるマイナス圏で推移している。(岩切清司)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKデリバティブズコメントでは特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。

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