止まらぬトルコリラ安、ミセスワタナベ飲み込む ロスカットの売り拡大

外国為替市場でトルコリラの下落が止まらない。リラは高金利通貨の代表格として国内の外為証拠金(FX)投資家「ミセスワタナベ」の人気を集めてきたが、リラ安継続による含み損の拡大に耐えきれず、証拠金不足で強制的に持ち高解消(強制ロスカット)を迫られるケースが出てきている。ミセスワタナベの買いがリラ相場を支えるとのシナリオは当面、描きにくくなった。 トルコリラの対ドル相場は9日現在、対ドルで1ドル=4.04リラ近辺、対円で1リラ=26円50銭程度と、過去最安値圏で推移している。足元でリラ売りに拍車をかけているのがトルコの膨大な経常赤字だ。2017年の赤字額は対国内総生産(GDP)比で5.5%と、4年ぶりの水準まで膨らんだ。 国内で収支を均衡できないなら、海外マネーで赤字を穴埋めするしかない。だが18年初以降、米株価の急落などで投資家のリスク選好姿勢は後退してきた。「トルコへの資金流入が滞り、経常赤字を埋めきれなくなっている」(SMBC日興証券の平山広太新興国担当シニアエコノミスト)との懸念はいやがうえにも強まる。 追い打ちをかけるように、19年11月に大統領選挙と議会選挙を控えるエルドアン政権は積極財政に傾いている。金融機関の中小企業向け融資や貿易関連融資を保証する政策を進め、インフレを防ごうとするトルコ中央銀行の金融引き締めの姿勢とは、方向性が真逆だ。経常収支の黒字化にはほど遠いばかりか、「政権はさらにトルコ中銀に利下げを要求しているもようだ」(第一生命経済研究所の西浜徹・主席エコノミスト)との声もある。このため欧米ヘッジファンドなどの投機筋はリラ売りの手を緩めていない。 ミセスワタナベの利息収入の基準となるリラの翌日物金利は、年率10%程度だが、一日あたりで得られる金利収益は微々たるもの。ファンド勢がかさにかかってリラを売り込んできたら、個人投資家の損失は避けられない。 FX大手の外為どっとコムによれば、3月22~23日にかけてリラが急落した場面で、損失覚悟のリラ売りが加速した。リラの買い持ち高はわずか一日で3億3000万リラ近く(15%程度)減った。単純に計算すれば、日本円で87億円近い損失が確定したことになる。外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「さすがに新規の買い注文の勢いは鈍っている」と指摘する。 今後、リラはどこまで下落するのか。SMBC日興の平山氏は「ここから先は未知の領域。リラがどこまで下げても驚かない」と話す。そのうえで「エルドアン政権が選挙を前倒しし票集めのための経済政策をやめるか、トルコ中銀が追加の引き締め策を打てばリラ安がやや落ち着くかもしれない」とみているが、時間がかかりそうだ。リラ相場の本格回復はしばらく想定しづらいだろう。 【日経QUICKニュース(NQN ) 荒木望】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

円が3週ぶり安値、米中摩擦の「本気度」見透かす? 動き鈍ったCTA

米中貿易摩擦の懸念がくすぶるにもかかわらず、外国為替市場では円買い・ドル売りの勢いが鈍い。貿易戦争を巡る報道を材料に相場は一喜一憂しているように見えるが、外為関係者の間では「米中ともに本気で貿易戦争に突入する気はないようだ」との冷静な受け止めが広がっている。 5日の東京市場で円相場は一時1ドル=107円15銭近辺と3月13日以来約3週ぶりの安値を付けた。中国が米国に対する報復関税の方針を示した前日4日の夕刻、円は105円台まで上昇したものの、ニューヨーク市場ではあっさりと流れが変わった。米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長やロス米商務長官など米中貿易のキーパーソンといえる要人が「貿易戦争は起こらない」と火消しに回ったのをきっかけに、紛争回避に向けた米中の姿勢が確認できたとの解釈から円売り・ドル買いが広がった。 大和証券の今泉光雄チーフ為替ストラテジストは「米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が3月時点で交渉の余地があると示唆済みで、米国ははなから貿易戦争に突入するつもりはなかった」と指摘する。中国側のスタンスについても「貿易戦争となれば互いの経済にダメージが及ぶとの認識をもって、冷静に対応していくはず」(みずほ証券投資情報部の宮川憲央シニアエコノミスト)との予想が多い。4日に発表した対米の報復関税も導入時期ははっきりせず、今のところ本気度は定かではない。 市場参加者にとって目下、貿易摩擦を巡る各国の動きが最大のテーマとなっている状況には変わりはない。長い目で見た円の先高観は強いままだ。だが、前週まで円高・ドル安の基調をけん引してきた商品投資顧問(CTA)などのコンピューター投資家は米要人発言にすっかり翻弄され、体力が低下している。 4日夕のドル売りも「貿易摩擦を巡るニュースに反応するようセッティングされたコンピューターが主導した」(大和の今泉氏)。その後の円安・ドル高で損失をこうむった公算が大きい。一部のCTAでは要人発言にすぐには反応しないようセッティングを調整したところもあるようだ。 トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動する方針を示したのをきっかけに貿易摩擦が警戒され始めてから約1カ月たつ。材料としての鮮度はやや低下した。トランプ氏が対中関税の発動を判断するのは6月ごろということもあり、市場では貿易摩擦を巡る報道に耐性をつけ始めたのかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN) 蔭山道子】   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

南ア・ランド、新大統領でも重い上値 政治リスクなお大きく

外国為替市場で南アフリカの通貨ランドの上値が重い。2月に大統領が交代し、政治の先行き不透明感はいったん払拭された。ラマポーザ新大統領は内閣改造で市場に信認の厚い人物を入閣させるなど一見、買い材料は増えている。それでも経済立て直しが本当に進むかは未知数な面があり、投資資金の一段の流入を阻んでいる。 日本時間4日午前の外為市場でランドの対円相場は1ランド=9円前後で推移している。ズマ前大統領の辞任を受け、2月下旬には9円台前半まで上昇していたが、その後は9円前後でのもみ合いが続いている。対ドルでも1ドル=11ランド台で動きが乏しく、10ランド台を試す気配は今のところない。 【ランドの対円相場】 南アでは2月の大統領辞任後、2018年度の予算で、これまで据え置かれてきた付加価値税(VAT)を従来の14%から4月以降は15%に引き上げることを決定。財政再建の方針を明確にした。新大統領のもとで実施した内閣改造では、緊縮財政を主張し、ズマ前大統領に更迭されたネネ氏が財務相に復帰した。「ネネ氏が更迭された当時ランドは大きく売られた」(野村証券の中島将行・外国為替アナリスト)だけに、財政再建への期待はランドの支援材料になりそうだ。 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは3月23日、長期債務格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。現在の格付けで、投資適格で最低水準となる「Baa3(トリプルBマイナスに相当)」がさらに引き下げられ、ジャンク債となる可能性は今回の見通し引き上げで遠のいた。 問題は政策の実現性だ。第一生命経済研究所の西浜徹・主席エコノミストは「ラマポーザ大統領の政権運営が順調にいくかを投資家は懐疑的に見ているのではないか」と分析する。大統領は変わったものの、与党アフリカ民族会議(ANC)には依然としてズマ前大統領に近い「抵抗勢力」が残っている。 市場では「2019年中に予定される国民議会(下院)総選挙でズマ前大統領派を一掃しない限り、ランドの本格上昇は見込めない」(第一生命研の西浜氏)との声が多い。大統領交代で薄日が差したランドだが、自力での上昇には高いハードルがある。18年に上値を伸ばすためには、ドル安や円安といった「敵失」を待つしかなさそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

LIBOR上昇で円債回帰か、10年債入札は強い結果に

財務省が3日実施した10年物国債の入札は、強い結果となった。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の上昇に伴い、ドルの調達コストが高まったことで、国内金融機関が外債投資を抑えて円債に回帰するとの見方が強まっている。これが2018年度最初の10年債入札での需要の強さにつながった。 償還時期と利率が350回債と同じ「リオープン発行」となった今回の入札は、最低落札価格が100円66銭と市場予想の中央値(100円65銭)を上回った。応札額は7兆4458億円、落札額は1兆7897億円で応札倍率は4.16倍だった。 応札倍率は3月の前回入札での4.53倍を下回った。だが例年、年度初めの入札は前の期末の債券需要が一巡した直後のため、投資意欲が後退する傾向がある。年度初めという同じ時期の応札倍率を振り返ると、今回は14年4月の4.76倍以来、4年ぶりの高水準だった。このため債券市場には「かなり強い結果だった」(国内証券のストラテジスト)との評価があった。 強かった需要の背景には、国内勢が外債投資を控え円債に回帰するとの思惑がある。国内勢による外債投資は、まずドルを調達しなければならず、その際にはLIBORに一定水準を上乗せした金利を払う。2月下旬に1.9%台だったドルのLIBOR3カ月物は現在、2.3%台に急上昇している。外債投資のコスト上昇が、円債への回帰を促すという読みにつながっている。 減税により、海外で抱えるドル預金を米国内に戻す米国企業が増えている。この結果、海外の金融機関は減ったドル預金を穴埋めするために短期金融市場でのドル調達を増やしている。こうした動きがLIBORを押し上げている。 財務省は18年度、通常入札による国債の市中発行額を約7兆円減らす計画だ。供給が減る一方で、日銀による買い入れオペは続いている。需給の引き締まりが債券相場を支える(利回り上昇を抑える)との見方は多い。長期金利の指標である10年債利回りは3日の入札後、前日比0.020%低い0.025%まで低下し3月26日に付けた今年の最低水準0.020%が近づいている。債券市場では「今後も利回り低下が見込まれるなら、今の水準でも魅力的」(東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジスト)との声があった。 【日経QUICKニュース(NQN) 荒木望】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

「4月の円高」再び意識 日銀短観、変わらなかった想定為替レート

新年度入りした外国為替市場で「4月は円高になりやすい」との経験則が改めて意識されている。日銀が2日に発表した3月調査の企業短期経済観測調査(短観)で、大企業・製造業による2018年度の収益計画の前提とする想定為替レートが1ドル=109円66銭と昨年12月調査時点での17年度下半期と同じ水準だったためだ。現在の106円台との乖離(かいり)は大きく今後、円の手当てを急ぐ国内輸出企業の買いが相場上昇を誘いかねない。 「4月の円高」は主に国内要因で起こる。生命保険会社や銀行は「稟議(りんぎ)社会」で、新年度入りしたからといってすぐに外債運用を増やせるわけではない。一方、製造業を中心とする輸出企業は5月の大型連休を待たず、4月に前倒しで先物の円買い予約や円・コール(買う権利)オプションの購入を進める傾向にある。需給はおのずと円買いに傾きやすくなる。 そんななかで、日銀短観によると大企業・製造業は18年度の想定レートを17年度の下期から変えなかったのが明らかになった。三井住友銀行の宇野大介・チーフストラテジストは「3月以降の円高は一過性のものと判断したのかもしれないが、見通しが甘いと思う」と手厳しい。 米通商政策や朝鮮半島情勢への懸念はここにきて緩んでいるが、消えたわけではない。折に触れて投資家心理を冷やし、代表的な対外債権国の通貨でリスクマネーの収縮局面で買われやすい円の相場上昇予想が市場には残る。 6月にかけて、今の円高・ドル安基調が変わらなければどうなるか。「企業は次回6月の日銀短観で想定レートを円高にシフトさせざるを得ない」(浜銀総合研究所の遠藤裕基副主任研究員)。為替の想定で後手に回れば収益計画を下振れさせ、株安につながれば国内投資家の体力を奪ってしまう。国内での円の需給がますます引き締まり、一層円安には振れにくくなる。 クレディ・アグリコル銀行東京支店の斎藤裕司外国為替部長も「4月の円高」を見込む一人だ。「第1週の今週こそ円安・ドル高に振れる余地があるものの、その後はじりじりと円が買われ、1ドル=105円を再び目指す」と話していた。 【日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

イーサリアム急落、ピーク時の4分の1に 個人の焦りが下げ加速

インターネット上の仮想通貨市場に相変わらず活気がない。ここにきて下げが目立つのはビットコインに次ぐ市場規模を有するイーサリアムで、日本時間30日朝方に昨年11月以来の安値を付けた。国内外で相次いだ仮想通貨交換業者の不祥事以降、ヘッジファンドなどの大口投資家の需要は細った。含み損を抱えた個人投資家は焦りを募らせ、売りを急ぐ傾向にある。   イーサリアムのドル建て価格は一時1イーサリアム=370ドル程度と、1月中旬に付けたピークの1400ドル台の4分の1程度になった。ここ1週間で売り圧力が強まり、下落率は30%に達する。イーサリアムは取引記録だけでなく、いつ誰に送金したかなど詳細な契約内容を管理できるといったメリットが多く、昨年後半は仮想通貨技術を使った資金調達「ICO=イニシャル・コイン・オファリング」のニーズが高かった。   年初までは仮想通貨の相場は総じて右肩上がりだったため、ICOブームに乗ってイーサリアムを調達した多くの発行体はすぐには円やドルに換金せず、そのまま保有していたようだ。だが仮想通貨は2月以降、イーサリアムを含めたビットコイン以外の「オルトコイン」主導で総崩れになった。   ICOには発行の枠組みに不透明な部分もあり、投資家の視線は厳しくなっている。「発行体はイーサリアムを慌てて法定通貨に交換しているのではないか」(アルトデザインの藤瀬秀平チーフアナリスト)。しかもイーサリアムには一時、相性の良いスマートコントラクトと呼ばれる自動決済サービスの普及に期待して個人マネーがかなり流れ込んでいた。イーサリアムの売りがほかのオルトコインに波及する負の循環が生じやすい状況だ。   情報サイトのコインマーケットキャップによると、仮想通貨全体の時価総額は30日朝方に2600億ドル台と、ピークだった1月初旬の約8300億ドルの3分の1に減った。オプションや先物市場の動きから判断すると、イーサリアムに対する個人の売りとともに、ヘッジファンドによるビットコイン売りが続いていると受け取れる。   <円建てのビットコインも売られている> ビットコイン価格は日本時間30日午前に1ビットコイン=6700ドル程度まで下げ、6000ドルを割った2月6日以来の安値を付けた。仮想通貨の取引プラットフォームを提供するレッジャーXのデータによると、きょう期日を迎えるビットコインのプット(売る権利)のオプション料から算出した3月30日終値の予想中心値は6000~7000ドル台。足元の水準は「理論値」に近い水準となっている。   主要な投機資金が離れていった市場が態勢を立て直すのは容易ではない。現在もビットコインなどで含み益を有する投資家は、仮想通貨のブーム前からマイニング(採掘)を積極的に手掛けていた中国勢の一角に限られそうだ。   焦点の1つは決済サービスなどを通じた「実需」の拡大だが、高額の手数料など課題が多い。市場低迷がまだ続くことを覚悟すべきだろう。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

【アルゴウオッチ】円高狙いのCTA、期末の売りに白旗 変動率安定が誤算

29日の東京外国為替市場で円相場は急反落し、1ドル=106円半ばを中心に推移している。3月末に向けての需給が円売り・ドル買いに偏り、コンピューターを用いた商品投資顧問(CTA)などのアルゴリズム投資家は週初までに積みあげた円の買い持ち高整理を迫られた。将来の為替レートを予測する通貨オプション市場で予想変動率(IV)が安定し、アルゴ勢のもくろみが外れてしまった面もある。 IVの安定は為替差損の回避(ヘッジ)目的のオプション需要がさほど増えていない状況を示す。日本では大手の輸出企業や機関投資家が主にオプションを手掛けるため、IV上昇は日本国内における円高シナリオの広がりを映すケースが多い。アルゴ勢もその点を意識し、CTAなどの投機筋はたいていIVの上昇もしくは高止まりを円買い戦略の条件としてきた。 円相場のIV1カ月物は3月に入り、8%台前半を中心とするレンジで推移している。日銀の黒田東彦総裁が出口検討の具体的な時期に触れた2日や、米中貿易摩擦への懸念から円が約1年4カ月ぶりに1ドル=104円台まで上昇した23日に8%台後半~9%台に上がったものの、米株価の急落に揺れた2月上旬の10%台後半には及ばない。国内輸出企業は円・コール(買う権利)の買いや先物の円買い予約を進めてきたが、市場では「今のところ焦りは感じられない」との声が目立つ。 日銀は4月2日、3月調査の企業短期経済観測調査(短観)概要を発表する(全容は3日発表)。前回の2017年12月調査時点で、事業計画の前提となる円の想定為替レートは大企業・製造業が2017年度通年で1ドル=110円18銭、17年度下期に限れば109円66銭だったが「18年度は全体的に数円程度円高・ドル安方向に修正される」(明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト)との予想が支配的だ。 1ドル=110円台から4~5円程度上方修正されれば29日の実勢水準にほぼ並ぶ。17年度の終盤のように計画との乖離(かいり)を気にして円買いを急ぐ必要性は薄れる。円・コールオプションの購入や先物の円買い増加によるIV高も起こりにくくなる。 CTAが円買い材料としてプログラミングしてきた米中の貿易摩擦や日米の政治リスクについては今のところ「続報」が乏しい。28~29日は朝鮮半島情勢の緊張緩和を材料とする円売りにも押された。アルゴの円買い戦略は仕切り直しの様相が濃くなっている。 【日経QUICKニュース(NQN ) 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

パナソニック株急落、テスラから逆風再び EV事故で車載用電池供給に懸念

28日の東京株式市場でパナソニック(6752)株が急落した。米テスラ社の電気自動車(EV)が起こした死亡事故を巡り、米当局が調査を始めたと発表したのがきっかけだ。テスラに車載用電池を供給するパナソニックの業績に響くのではないかとの懸念が売りを促した。テスラの量産型EV「モデル3」の生産遅れがもともと重荷になっていたパナソニック株に、新たな逆風が吹き始めた。 米運輸安全委員会(NTSB)が27日、ツイッターに「23日に発生したテスラ車の死亡事故を受け、調査官を派遣した」と投稿した。28日のパナソニック株は一時前日比100円50銭(6%)安の1549円を付けた。権利落ちを考慮しても5%安と大幅に下落した。 一部報道によると、死亡事故があったのは主力の多目的スポーツ車(SUV)「モデルX」で、事故後に車載用電池が炎上したという。パナソニックはモデルXを含めたテスラ車に電池を納入している。パナソニックの広報担当者は「当局の調査中でコメントは控える」とする一方、株式市場では「調査結果次第ではテスラの自動車生産が滞り、パナソニックの業績にも響きかねない」と警戒した売りが優勢になった。 投資家の間では、テスラの業績拡大をテコにした車載用電池の需要増がパナソニックの成長要因になると期待は高かった。だがテスラの業績改善に大きくつながるとみられている新型車の「モデル3」では量産の開始時期の先送りが続いている。QUICKファクトセットがまとめた市場予想では、2018年12月期のモデル3の生産台数は約15万台。昨年8月時点は22万台だっただけに期待値は下がっている。 クレディ・スイス証券の西村美香リサーチアナリストは「モデル3の生産工程の自動化が見通せる19年3月期のパナソニックの営業利益は、電池需要が拡大して今期比で2割超増える」との予想をメインシナリオとする一方、「モデル3の生産がさらに遅れると株価にはマイナスになる」と懸念している。 モデル3の生産遅れを受け、パナソニックは2月に車載用電池を含む事業の18年3月期の営業利益見通しを70億円下方修正していた。テスラ以外の自動車メーカーもEV生産を拡大させるとみられ、車載用電池で優位性を持つパナソニックは中長期的に業績改善の期待があるとの声はある。ただ、株式市場では「欧州や中国メーカーがEVを主力製品に据えるのは19年以降」(国内運用会社のファンドマネジャー)との見方が根強い。テスラを巡る不安がくすぶるなかでは、EV市場全体の将来性に賭ける買いは入りづらいようだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

続くドル安と米政治不信、受け皿はユーロに 1.30ドルが視野

外国為替市場でドル安傾向が続いている。27日の東京市場でドルは対円で上昇したが、ユーロや英ポンドといった円以外の主要通貨に対してはだいぶ安くなった。トランプ米政権による保護主義的な通商政策や相次ぐ高官解任を背景に、市場参加者の間ではドルを敬遠したいとのムードが依然として強い。 米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出するドル指数は、26日に88台後半と約1カ月ぶりの低水準を付けた。日本時間27日午後もさほど変わっていない。 投資家は米政治への懸念からリスクを選好する姿勢に簡単には傾けない。リスクの高い新興国への投資よりも先進国の通貨に目が向かいやすくなっている。中でもドルに次ぐ「基軸性」を有するユーロの人気が高い。 ユーロの対ドル相場は26日に1ユーロ=1.2461ドルと約1カ月ぶりの高値圏まで上昇した。27日の東京市場でも1.24ドル台半ばと前日17時時点の水準(1.2382ドル)を上回り、市場では「今年半ばまでに1.30ドル台に達する可能性が出てきた」(ステート・ストリート銀行の若林徳広東京支店長)との声が聞かれた。 欧州でも政治リスクは取り沙汰されるが、ドイツでは3月中旬に第4次メルケル政権が発足。政治の空白が終わりを迎えた。英国の欧州連合(EU)離脱についても「軟着陸」の観測が広がる。足元では景気拡大を示す経済データが多く、米中の貿易摩擦など外部の波乱要因に対しても抵抗力があると想定されている。 米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは23日、スペインの国債格付けを1段階引き上げた。構造改革の進展や財政赤字の圧縮などが理由。ドイツやフランスに比べると経済基盤が見劣りしていた南欧にも明るい話題が多い。 三菱東京UFJ銀行の内田稔チーフアナリストは「ドル安基調が終わるのは、ユーロ圏がユーロ高に悲鳴をあげたときだろう」と話す。ユーロが対ドルで安定的に1ユーロ=1.25ドルを超えるようになれば、ユーロ高が欧州経済に悪影響を及ぼすとの懸念から、欧州中央銀行(ECB)は思うように金融政策の正常化を進められなくなるとの見立てだ。 今のところ、ECB関係者がユーロ高を気にかけるそぶりは見られない。ユーロが相対的に買われやすい地合いは、もうしばらく続くとみて良さそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 蔭山道子】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

原油大幅高 織り込み始めた「イラン情勢泥沼化」 WTI70ドルに現実味

国際商品市場で原油相場が騰勢を強めている。米国とサウジアラビアによる「イラン包囲網」の強化で原油供給が細るとの観測から買いが増えており、中東と地理的に近い北海ブレント先物は前週末に1バレル70.57ドルと節目の70ドルを突破し、約2カ月ぶりの高値をつけた。イラン情勢に改善の兆しは見えず、市場参加者の間では一段高を見込む声が増えている。 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されるWTI原油先物も日本時間26日朝方の時間外取引で66.55ドルまで上昇し、2014年12月以来の高値更新が目前に迫る。   相場上昇が加速したのは前週のこと。19日にサウジのジュベイル外相が、イランが米欧など6カ国と2015年に結んだ核合意について「不完全だ」との見解を表明。翌20日にトランプ米大統領がサウジのムハンマド皇太子と会談すると、市場では「米国とサウジは対イランの強硬姿勢を確認し合った」との観測が広がり、相場急伸につながった。 時期を同じくしてトランプ大統領はティラーソン国務長官、マクマスター大統領補佐官と、米政権の中枢ポストを次々と解任した。後任はいずれも対イラン強硬派が就く見通しだ。独コメルツ銀行は23日付のリポートで、米政府が議会に対イラン制裁再開の是非を報告する次の期限となる5月12日に「(米政府が)制裁を再開する可能性が高い」との見方を示す。 制裁が再開すれば「イランと原油取引をする国々は米国での経済活動を制限され、イランとの原油取引の中断も余儀なくされる」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミスト)。市場に出てくるイラン産原油は減少する可能性が高い。そうでなくてもイランは国内の情勢悪化で原油生産が細りつつある。原油の供給不足が表面化しそうだ。 それだけではない。サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は前週、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどほかの産油国による協調減産について「2019年も続ける必要がある」と言及。国営石油会社サウジアラムコの上場を19年に控えて「原油相場を高値で維持したいとの思惑がある」(フジトミの斎藤和彦チーフアナリスト)ため、リップサービスも盛んだ。短期的には原油相場に上昇圧力がかかりやすく、「WTIで70ドルへの上昇も現実味を帯びてきた」と石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神氏は話す。 米国のシェールオイル増産などを踏まえて「年央までには60ドルに下落する」との予想も出るが、先高観はそう簡単に収まりそうもない。イランは過去に、米欧などの経済制裁に反発して原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖を示唆したことがあり、今回もそのカードをちらつかせる可能性は十分ある。原油相場はイラン情勢の泥沼化を織り込み始めていると見ておいた方がよいかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

「13兆円配当」は下支え役になるか 株急落で立会外取引に関心

前日の米株式相場の急落を受け、23日の東京株式市場で日経平均株価が大幅安となった。目先の相場展開を占ううえで、市場関係者の間では機関投資家による立会時間外の取引への関心が高まっている。3月期決算企業の配当総額が2017年度は過去最高の13兆円に達するとみられ、配当再投資の買いが相場を下支えする可能性があるためだ。 東証の立会外取引と日本証券業協会の立会外取引の売買代金の合計額をまとめたところ、3月16日以降、20日までは連日2兆円を超える日が続いていた。この間の最高だった19日は概算2兆2000億円。同日の東証1部の売買代金(2兆1678億円)を上回る規模だ。22日は概算1兆2000億円程度に減少したが、1~15日までの1日の平均(概算1兆円)を上回る。 取引主体は主に3つとみられている。第1は年度末を控えた国内機関投資家による通常の銘柄入れ替えだ。「運用担当者は、ベンチマーク(運用指標)よりもパフォーマンスの悪い銘柄を翌年度に持ち越したくないため、3月中にポートフォリオ内で銘柄を入れ替えることが多い」(国内証券の情報担当者)。こうしたケースでは、大口注文による相場への影響を抑えるため、立会外取引が利用される。 第2は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの年金基金だ。GPIFなど国内年金は年度末に向けて、持ち高を維持するために、株主総会後に受け取る配当を先回りして投資する「配当再投資」の買いが必要になる。 第3は海外投資家や外国証券だ。上場株式の受取配当金にかかる源泉所得税は「海外の非居住者が20.42%、国内法人は15.315%かかる」(東京国税局の源泉所得税担当者)。従って、外国人は配当を海外の本店勘定ではなく、日本国内の支店勘定で受け取った方が税負担が軽い。 そのためには、保有株式を海外から国内に移管するためのクロス取引が必要で、立会外取引の急増につながっている。「こうしたケースは例年、3、9月の決算期末にかけて多くなる傾向がある」(東海東京調査センターの鈴木誠一シニアマーケットアナリスト)。 第1と第3のケースは相場には基本的に中立要因だ。一方、第2のケースは相場の下支え役となる。23日の立会外取引は20日に比べ減少したが、配当再投資の買いは今年度いっぱい株価指数先物取引や立会外取引で続くとの見方がある。 【日経QUICKニュース(NQN) 楠千弘 張間正義】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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