なぜ個人マネーは投資に向かわないのか QUICK月次調査<株式>

日経平均株価は11月9日の取引時間中に2万3382円を付け、1992年1月以来、約26年ぶりに2万3000円台を上回りました。しかし12月6日には今年最大の下げ幅(445円)を記録。投資家心理が揺れ動く中、年末に向け2万3000円の節目を超えられるか注目が集まります。毎月実施している株式の市場関係者を対象とした「QUICK月次調査<株式>」では、来年1月に始まる「つみたてNISA」などについて聞きました。調査期間は12月5日~12月7日で、証券会社および機関投資家の株式担当者159人が回答しました。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。  個人の投資が進まない理由は「成功体験がないこと」が最多 国内の銀行や保険で、個人投資家向け資産運用事業の取り組みへの参入、強化が相次いでいます。日銀のマイナス金利政策による低金利の長期化で貸付業務の伸びを見込みにくい中、約1800兆円もの個人の金融資産は半分以上が預貯金に滞留し、成長余地が大きいとみて資産運用業務を拡大する方針のようです。 では個人の金融資産が長期間にわたり預貯金に偏在する要因を聞いたところ、最も多かったのが「有価証券投資の成功体験がないこと」で36%でした。次いで「金融リテラシーが低いこと」が30%、「デフレ環境下で投資の必要性を感じないこと」が14%、「魅力的な金融商品が乏しいこと」が8%、「金融機関の信頼度が低いこと」が4%で続きました。 「その他」では「個人の現預金主義」「投資をギャンブル扱いする姿勢が変わらない」「家屋や土地などの実物資産の流動性が低い」といった日本特有の国民性の指摘や、「インフレリスクの警戒で将来への不安の方が強い」「大きなバブル崩壊を経験したため、リスクに対する警戒感が根強い」「大きく儲かることもあるが、損が出やすいと考えている」など警戒感の強さをあげる意見が多くあがりました。 また「選択肢のほぼすべてが当てはまる。より一層の投資教育と金融機関の信頼性の改善、国内におけるデフレの脱却が求められ、現状では貯蓄から投資へ向かうためのツールもリソースも環境もすべてが足りていないことが理解できる。短期的で単一的な政策では、貯蓄から投資に向かわせるのは容易でない」といった声も聞かれました。 では、政府が掲げてきたスローガンでもある「貯蓄から資産形成へ」の転換を進めるために何が必要ですかと聞いたところ、最も多かったのは「小・中学校からの金融教育」で35%でした。ほかは「デフレからの脱却など投資環境の改善」が28%、「投資拡大に向けた税制の一層の整備」が25%、「フィンテックの活用など金融商品・サービスの一層の充実」が4%、「フィデューシャリー・デューティーの定着」が3%という結果でした。 「その他」では「表面的な施策ではなく、経済・生活など根本的な環境を変えないと無理」「資本があって経済があり、そこから所得や貯蓄が生まれて資本へ循環する、その流れを教育する」といった抜本的な環境変化を望む声や、「安価で魅力的な金融商品の提供」「個人が安全に資産形成できる、新しい金融商品の開発及び提供と後押しする制度」などを挙げる声もありました。 市場関係者からは「政府が主導する賃上げで恩恵を受けるのは主に若年層、低所得者層であり、こうした層の所得が数%増えたところで投資へは回らない。一方で本来、投資へ振り向ける余裕資金があるはずの層は所得減と増税のダブルパンチに見舞われていることを考えると、貯蓄から投資へという流れは出来にくい」といった指摘もありました。また「金融教育」に関しては、「社会人に対しての職場等での投資教育も必要」「金融経験者が退職後に金融教育に携わることができるような制度を整備してもよいのではないか」といった声もあがりました。  つみたてNISAは効果を見込む声が7割 積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)が2018年1月に始まります。年間40万円までの投資で得る運用益が20年間非課税になる制度です。若年層を含めた新たな投資家を取り込むきっかけになると期待を集める一方で、販売会社からは目先の収入の少なさや認知度の低さを課題に挙げる声も少なくありません。 この制度が個人の資産形成に大きな転機をもたらすと思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「一定の効果はある」で61%となり、「長期的にみると大きな転機になる」(8%)を合わせると約7割が何らかの効果があるとみていることがわかります。一方で「何も変わらない」とみる回答も3割にのぼりました。 市場関係者からは「恒久的な制度としてほしい。20年の限定的な制度では、年々積み立て期間が短くなり、効果が薄まり制度の魅力を損なう」「“やってみよう感”は出るだろうが、最初は小規模なので総額もわずかだろうし、出足で損をすれば立ち消えになるリスクがある」「長い目で見て有効な手法だろうが、子供や若年層は金融資産を持っていない。個人金融資産の大半を占める高齢者の資金が動かない限り、偏在は是正されない」などの指摘が寄せられました。 日経平均予想は2万2620円 調査開始以降の最高水準 「QUICK月次調査<株式>」で毎月調査している日経平均株価の見通しは、12月末の水準で2万2620円(平均値)でした。前回調査(確報)の2万2130円から3カ月連続で上方へシフトし、1996年7月調査の2万2459円を上回り、QUICK月次調査<株式>の調査開始(1994年4月)以降の最高水準となりました。18年2月末には2万2762円、5月末は2万3257円を見込んでいます。今後6カ月程度の株価の変動要因としては、「景気・企業業績」の注目度が引き続き高くなっています。 国内の資産運用担当者58人を対象にセクター別の投資スタンスについて質問したところ、オーバーウエートの比率が最も高かったのは「電機・精密」で23%、次いで「鉄鋼・機械」が17%、逆にアンダーウエートの比率が最も高くなったセクターは「公益」でした。 ※「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

黒田日銀総裁の続投予想8割、副総裁は雨宮氏・伊藤氏か QUICK月次調査<債券> 

2018年は日米の中央銀行でトップが任期満了を迎えます。米連邦準備理事会(FRB)では2月にパウエル理事が議長に昇格する予定で、イエレン現議長が推進してきた緩やかな利上げ路線を継承するとの見方が優勢です。ただ、円相場や各国の株価に影響する18年中の利上げ回数や利上げの打ち止め時期などは不透明なままです。また18年4月が任期切れとなる日銀総裁人事はこれから調整が本格化するとみられます。12月4日公表の11月の「QUICK月次調査<債券>」※では、日銀総裁人事の行方や2018年の米追加利上げ、日銀の長期金利ターゲットなどについて聞きました。調査期間は11月28~30日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者142人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 来年の米利上げ予想「2回」が最多、時期は意見分かれる 米金融政策については、今後発表される雇用統計など主要な経済指標が予想を大幅に下回らない限り、12月12~13日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBは0.25%の利上げに踏み切るとの予想が大勢を占めています。一方、イエレンFRB議長は、2018年2月にパウエル次期議長が就任した時点で、理事ポストからも退任すると表明しており、ニューヨーク連銀のダドリー総裁も同年半ばに退任するため、FRB人事は大きく刷新され、パウエル体制への完全移行となります。それに伴う金融政策への影響が注目されています。 では、FRBは2018年に追加利上げを何回行うか、また何月に実施すると予想しますか、と聞いたところ、追加利上げ回数については「2回」が52%で最多となり、次に多かったのは「3回」で37%でした。時期(複数回答可)については「6月」が69%で最多でしたが、「3月」が58%、「12月」が56%、「9月」が50%と見方が割れました。 市場関係者からは、やはりパウエル次期議長はイエレン現議長の政策を踏襲するとの見方が強く、「緩やかな景気拡大に合わせた利上げを随時実施していくだろう」という声が大半を占めました。一方、「パウエル理事についてハト派的との見方が大勢だが、景気、賃金上昇率、インフレ率の上昇、上振れが続く状況の下、利上げペースは市場の想定を上回るものとなり、米金利は全般的な上昇をみせ、国内金利に対する上昇圧力をもたらそう」といった意見もありました。 また、FRBの追加利上げの終了時期はいつごろだと思いますか、と聞いたところ、最も多かったのが「2019年前半」で34%、次いで「2019年後半」が29%、「2018年中」が22%、「2020年以降」が15%で続きました。 欧州中央銀行(ECB)は11月26日の理事会で、2018年1月から毎月の資産買い入れ額を月600億ユーロから300億ユーロに減らしたうえで、2018年9月末まで量的金融緩和を延長すると決めました。では、その後、2018年内の政策はどうなると予想しますか、と聞いたところ、最も多かったのは「資産買い入れを減額して継続」で約7割を占めました。次いで「資産買い入れを停止」が27%、「マイナス金利を縮小する」が14%、「300億ユーロの買い入れを継続」が6%、「ゼロもしくはプラスに金利を引き上げる」が3%という結果でした。   黒田日銀総裁の続投予想が8割 日銀は、2016年9月から長期金利をゼロ%程度に誘導する「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和」を導入していますが、2%の物価上昇率目標にはいまだに距離があります。中曽副総裁は10月18日の講演で「必要であればイールド・カーブの形状についても調整を行っていく」と述べています。では、2018年末までに長期金利ターゲットを変更すると思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「明示せずに上昇を容認する」で38%、次いで「変更しない」が34%、「引き上げる」が26%と見方が分かれました。 また、2018年4月の黒田東彦総裁の任期満了後、日銀執行部の新体制はどうなると予想しますか、と聞いたところ、総裁の後任は「黒田東彦・日銀総裁」の再任が約8割を占めました。副総裁については「雨宮正佳・日銀理事」が66%と最も多く、次いで「伊藤隆敏・コロンビア大学教授」が34%、「中曽宏・日銀副総裁」が32%と続きましたが、「予想できない」といった声もありました。 市場関係者は「YCC微調整などの思惑が浮上している」ものの、「アベノミクス道半ばでの執行部交代による市場の混乱を避ける意味でも、再任の可能性が高い」と、安倍政権の長期安定化から黒田総裁続投の公算が大きいと見ています。「日銀体制も金融政策も大幅な変更はない」「国内長期金利は低水準で推移する」というのが大方の見方のようです。一方で「黒田総裁の年齢等を鑑みれば5年の任期を満了することは考えづらい」との指摘もありました。  債券価格変動要因、「短期金利/金融政策」の注目度が6割占める 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り低下を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.049%、3カ月後が0.066%、6カ月後が0.085%と、10月調査(0.066%、0.075%、0.090%)に比べていずれも低下しました。今後6カ月程度で注目する債券価格変動要因で最も多かったのは「短期金利/金融政策」が62%、次いで「海外金利」が20%でした。  資産運用担当者67人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が前回より6ポイント上昇の60%となった一方、「ややアンダーウエート」が33%で6ポイント低下しました。

黒田日銀総裁の再任観測、8割近くに上昇 QUICK月次調査<外為>

与党の圧勝に終わった10月22日投開票の衆院選を受けて、11月のQUICK月次調査<外為>では日銀の次期総裁に黒田東彦総裁が再任されるとの観測が一段と強まりました(調査期間11月6~9日、回答者数76人)。衆院選の結果も踏まえ、2018年4月に任期満了を迎える黒田日銀総裁の後任は誰になると予想しますか、と外国為替市場の関係者に聞いたところ、最も多かったのは「黒田東彦・日銀総裁(再任)」で79%と8割近くを占め、次点の「中曽宏・日銀副総裁」が10%、その他の候補者は一桁台にとどまりました。QUICK月次調査<外為>では市場の次期日銀総裁予想を毎月観測してきましたが、11月調査では黒田総裁の再任を予想する回答割合が前回調査から一気に24ポイントも拡大しました。外為市場はアベノミクスの継続と同時に、黒田総裁の再任をほぼ織り込んだ形です。 日銀は10月30~31日の金融政策決定会合で、2017年度と18年度の物価見通しを引き下げましたが、大規模な金融緩和を続ける方針を改めて示しました。QUICK月次調査<外為>で「現時点で追加緩和は必要と考えますか」と聞いたところ、「現状維持でよい」が7割を占め、「金融引き締めに向かうべき」が15%、「追加緩和は必要」は7%にとどまりました。 市場関係者の自由回答では、「日本は2%の物価上昇はほぼ不可能。緩和は長期に続く」「金融緩和と円安に依存した経済政策が続き、構造改革が遅々として進まない状況も変わらない」「下手に追加緩和を行った場合の反動(バブル崩壊のような形)が怖い、現状は静観が妥当」といった声が聞かれました。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

「パウエルFRB議長」で、米金融政策はどう変わる?

11月2日、トランプ米大統領は米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にジェローム・パウエル理事を指名すると正式に発表しました。金融引き締めに慎重なハト派寄りとみられるパウエル氏の就任で、米金融政策にはどのような影響があるのでしょうか。FRB人事が円相場に与える影響や来年の米利上げなどについて、外国為替市場の担当者に聞きました。調査期間は11月6~9日、回答者数は76人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 ハト派のパウエル議長で金融政策は「変わらない」8割強 来年2月で任期が切れるジャネット・イエレンFRB議長の後任として、トランプ米大統領はパウエル理事を指名しました。パウエル氏はイエレン議長と考えが近いとみられており、市場には現行路線が継承されるとの見方から安心感が広がりました。こうした状況を受けて、パウエルFRB議長は米金融政策にどのような影響を与えると思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「変わらない」で8割以上を占めました。  また、来年の米利上げについて聞いたところ、予想する回数は「2回」が58%で最も多く、「3回」が29%で続きました。仮に来年利上げする場合、最初に実施するのはいつになるかと聞いたところ、最も多かったのは「3月」で62%、「6月」が38%となりました。 こうしたFRB人事が円相場にどのような影響を与えるかと聞いたところ、「横ばい圏での推移が続く」が78%を占め、「円安基調を強める」が17%、「円高基調を強める」が6%となりました。 パウエル理事の議長就任後もFRBは現行の政策運営方針を維持するとの見方が大勢の一方、10月にフィッシャー副議長が退任し、11月6日にはイエレン議長の側近であるニューヨーク連銀のダドリー総裁の早期退任が明らかになったことで、来年以降の政策運営への不透明感も広がっています。市場関係者からは「来年投票権をもつ米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの陣容が固まり、それぞれの政策スタンスが明らかになるまで、市場が来年以降の利上げペースを正確に織り込むことは困難」との声も聞かれました。 アベノミクスは「見直し」から「維持・強化」へ 10月22日投開票の衆院選の結果を受けて、アベノミクス(旧三本の矢)の行方はどうなると思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「アベノミクスの維持」で約6割を占め、次いで「アベノミクスの部分的な見直し」が3割弱となりました。一方、7月および10月の債券調査と比較して「アベノミクスの強化」が9%まで伸び、与党圧勝で信任を得たアベノミクスが再加速するとみる市場関係者が増えているようです。 11月末は1ドル=114円01銭 予想は円安方向にシフト 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは11月末の平均値で1ドル=114円01銭と、10月調査(112円27銭)から円安へシフト。3カ月後の2018年1月末には114円47銭、6カ月後の4月末には114円78銭との予想です。今後6カ月程度を想定した円の注目の変動要因は、「政治/外交」が前回調査から42ポイントも減少し、ドルとユーロと同じく「金利/金融政策」が5割を超えました。 ファンドの運用担当者に外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、前回調査で急低下していた「ニュートラル」が54%から78%まで戻した一方、「オーバーウエート」が16ポイント低下の22%となりました。また、事業法人の業績予想の前提為替レートは平均値で1ドル=111円46銭と現在の水準(113円51銭~114円31銭)より円高に予想し、また対ユーロでは1ユーロ=123円26銭と現在の水準(131円73銭~132円73銭)より大幅に円高に予想しているため、為替差益が生じる可能性がありそうです。 ※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

21年ぶり高値回復!堅調な株価を支える要因とは

10月2日から24日の日経平均株価は16営業日連続で上昇し、連騰の最長記録を更新。10月27日には21年ぶりに2万2000円台に乗せました。毎月実施している株式の市場関係者を対象とした「QUICK月次調査<株式>」では、この堅調な株価の要因と今後必要な政策などについて聞きました。調査期間は10月30日~11月1日で、証券会社および機関投資家の株式担当者162人が回答しました。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 国内企業の最高益期待が高まっている 10月27日の東京株式市場で日経平均株価は2万2008円45銭と、1996年7月5日以来、21年3カ月ぶりに2万2000円台を回復しました。また、11月1日には衆院本会議で自民党の安倍晋三総裁を首相に選出したことを好感し、日経平均は408円高と1日の上昇幅として5月8日以来、約6か月ぶりの大きさとなりました。 21年ぶりの高値を更新となった日経平均について、上昇の最も大きな要因を聞いたところ、「国内企業の最高益期待の高まり」が28%で最も多く、次いで「堅調な世界景気」が26%、「世界的な株高(米国株の史上最高値)」が24%、「先進国の大幅な金融緩和」が12%、「国内政治の安定性」が6%で続きました。「その他」では「日銀のETF買いによる需給の改善」など日銀の存在をあげる意見もありました。 市場関係者からは「衆議院選挙での与党大勝をきっかけに日本株の見直し買いが急速に膨らみ、業績面での割安修正はかなり進んだが、依然として修正余地が残る」、「欧州の投資家は堅調な景気と企業業績、政治の長期安定、日本株の他国株に対する出遅れなどを評価しているようだ」といった声に加え、「内外景気の堅調な推移にFRBの利上げ継続で予想される円安・ドル高進行も加わり、企業業績の上振れが意識されて株価は上昇基調をたどる」と予想する見方が多く上がりました。 この堅調な株価を持続するために必要な政策を聞いたところ、最も多かったのは「金融緩和の継続」で4割を占め、次いで「雇用法制・労働市場改革を通じた生産性の向上」が32%、「機動的な財政政策」が12%でした。安倍首相が衆院選公約に掲げた、消費増税の使途見直しによる「子育て支援・教育無償化」は0%という結果でした。 市場関係者からは「景気の拡大は世界経済の再加速に加え、失速していたアベノミクス『第2の矢』の財政政策が発動されたことが大きい。アベノミクスの『3本の矢』のいずれも失速させないことが肝要」、「企業の利益率が過去最高となった今、好景気を持続させるためには個人所得の底上げが必要。賃上げには生産性の向上が欠かせないが、そのためにはIT化を一層推進するほかない」といった声が聞かれました。 低ROEの改善策「低収益事業からの撤退」が最多 企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合である自己資本利益率(ROE)は、企業の収益力評価の基準のひとつとされています。しかし、日本企業は米企業と比較して低い状況がなお続いています。好業績の日本企業が低ROEを今後どう改善していくかが重要となります。 日本企業のROEが低い要因としてはまず、売上高利益率の低さが挙げられますが、その改善に向けて何が重要かを聞いたところ、最も多かったのは「低収益事業からの撤退」で36%、次いで「付加価値の高い商品・サービスの提供」が25%、「日本型雇用慣行の見直し」が15%でした。 市場関係者からは「低収益事業から撤退できないから付加価値の高い事業に傾注できない。ここから10年は世代交代を促進し、企業の意思決定の柔軟化、迅速化が進むことを期待したい」、「更なる景気拡大のためには岩盤規制を緩和し、第4次産業革命に対応した雇用・労働市場改革を断行すること。それにより新たな産業、新たな企業が成長し、日本市場の活性化・拡大につながる」と日本の旧態依然とした体制からの脱却と、米国のような革新的企業の登場を望む意見が多く寄せられました。 日経平均予想は2万2130円 21年4カ月ぶりの高水準 「QUICK月次調査<株式>」で毎月調査している日経平均株価の見通しは、11月末の水準で2万2130円(平均値)の予想でした。前回調査(確報)の2万631円から2カ月連続で上方へシフトし、1996年7月調査(2万2459円)以来、21年4カ月ぶりの高水準となりました。18年1月末には2万2100円、4月末は2万2435円の見通しで、上昇余地は限られるとみている市場関係者が多いようです。今後6カ月程度の株価の変動要因としては、「景気・企業業績」の注目度が引き続き高くなっています。 国内の資産運用担当者58人を対象にセクター別の投資スタンスについて質問したところ、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのは「電機・精密」で22%、次いで「素材」が16%、逆にアンダーウエートの比率が最も高くなったセクターは「公益」でした。 ※「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。

与党大勝に終わった衆院選 アベノミクス・消費増税は信任得たか

10月22日に投開票された衆院選で与党が圧勝した。安倍政権が進めるアベノミクスや現行の緩和的な金融政策が継続するとの安心感が広がり、23日の日経平均株価は15営業日連続で上昇。24日には16連騰と史上最長記録を更新しました。そこで毎月実施している「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、衆院選後のアベノミクスや消費増税などの経済政策について聞きました。調査期間は10月24~26日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者141人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   消費増税8割支持も、使途変更に異議あり 今回の衆院選で自民党は6議席減らしたものの284議席を獲得、単独で過半数を大きく上回りました。連立を組む公明党と合わせて、憲法改正の国会発議に必要な3分の2の310議席以上を得る大勝となりました。安倍晋三首相(自民党総裁)は23日の記者会見で、教育無償化やその財源となる消費増税の使途見直しの具体策を年内に策定する意向を示し、政権最大の課題であるデフレ脱却を目的としてアベノミクスの再起動を図るようです。 衆院選結果を受けて、アベノミクス(旧三本の矢)の行方はどうなると思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「アベノミクスの維持」で6割を占め、7月調査で75%と最も多かった「アベノミクスの部分的な見直し」は3割にとどまりました。与党の勝利でアベノミクスが信任を得たとみる市場関係者が多いようです。 現行の金融政策継続との見方が強まる中、イールドカーブ・コントロールが改めて意識されるとの声が聞かれます。「日銀の中曽宏副総裁が18日のニューヨークでの講演で『必要ならイールドカーブの形状についても調整する』と発言したことに注目しています。近い将来、金利操作目標の引き上げ等があると予想しています」といった意見もありました。 2019年10月に消費税率を10%に引き上げる予定についてどのようにお考えですか、と聞いたところ、「予定通り10%に引き上げ、大半を国の借金返済に充てるべき」が5割を占め、「予定通り10%に引き上げ、教育無償化などに使途変更すべき」(21%)に大差をつけました。「デフレ脱却が確実になるまで、消費税10%は先送りすべき」(14%)と「消費税減税すべき」(4%)を合わせても反対は2割弱。「税率10%を上回る水準への消費税増税すべき」(7%)を含めると消費税率の引き上げを支持する声が8割を占めたものの、安倍首相が表明する使途変更には待ったをかける結果となりました。 市場関係者からは「(与党が大勝したものの)国民は消費税率引き上げと教育等への使途変更を容認したものではない。今後、各論での反対が出てくるだろう」、「財政健全化、消費拡大を目指すのなら、消費税率を引き上げると同時に所得減税するなど、可処分所得を増やす工夫も必要か」といった指摘もありました。   政府のデフレ脱却宣言は「しない」との予想が最多 安倍首相は10月26日の経済財政諮問会議で、来年の春季労使交渉をめぐって賃上げを要請しました。消費増税分の使途を変更し、国の借金返済を後回しにしても子育て世帯への支援を優先することで個人消費を支える一方、企業の賃上げを通じた家計所得の引き上げで消費拡大の実現を促し、デフレ脱却につなげたい考えのようです。 では、政府のデフレ脱却宣言の時期はいつになると思いますかと聞いたところ、最も多かった予想は「(デフレ脱却宣言は)しない」で25%、次いで「2019年度中」が19%となりました。市場関係者からは「物価の前年比上昇率が安定的に2%を見通せる状況になることは考えづらい」という見方が多く、時期を予想することは困難との意見が大半を占めました。一方で「消費税率引き上げを行う方便の一つとしてデフレ脱却宣言を行う基準を引き下げる可能性はある」、「政治的効果のありそうな参議院選挙前ではないか」との予想もありました。 政府のデフレ脱却宣言等、日銀の現行の異次元緩和を縮小できる環境になった場合、最初の手段は何だと思われますかと聞いたところ、「長期金利目標の引き上げ・解消」が最も多く60%、次に「国債買い入れ額の明示的な縮小」が36%、「ETF・J-REITの買い入れ額縮小」が32%、「マイナス金利の解除」が26%、「社債・CPなどの買い入れ額縮小」が14%という結果になりました。   国債組み入れ比率、「ややアンダーウエート」が増加 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.066%、3カ月後が0.075%、6カ月後が0.090%と、9月調査(0.052%、0.062%、0.076%)に比べていずれも上昇しました。今後6カ月程度で注目する債券価格変動要因で最も多かったのは「短期金利/金融政策」が46%、次いで「海外金利」が35%でした。 資産運用担当者69人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が前回より5ポイント低下の54%となった一方、「ややアンダーウエート」が39%で13ポイント上昇しました。

消費増税やアベノミクス、衆院選で政権運営はどう変わる?

22日投開票の衆院選は自民・公明両党が過半数の議席を得て政権運営を継続できるか、もしくは新党躍進で政策の転換点となるかが焦点になっています。経済政策では消費増税やアベノミクスの評価が争点となっています。そこで与党・自民党の獲得議席数や選挙後の円相場の反応などについて、外国為替市場の担当者に聞きました。調査期間は10月10~12日、回答者数は76人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。   衆院選、自民「20議席未満の減少」が4割 「自民党・公明党」「希望の党・日本維新の会」「共産党・立憲民主党・社民党」の3極が争う構図となっている衆院選をめぐり、12日付の日本経済新聞朝刊などが序盤情勢について、与党の優勢と小池百合子東京都知事が率いる「希望の党」の苦戦を報じています。 外国為替市場の担当者に、自民党の議席数はどうなると考えますか、と聞いたところ、最も多かったのは「20議席未満の減少」で44%、次いで「20議席以上減少」が42%、「増える」が7%でした。安倍晋三首相が退陣に追い込まれる議席減少数については、最も多いのが「与党で過半数割れ」で49%、次いで「自民で50議席以上」が29%となっています。今回の衆院選で見込まれる議席数の減少程度では、安倍政権は継続するとの見方が多いようです。 市場関係者からは「衆院選では、与党は議席減も十分な多数を確保し、経済財政政策運営に変化はないとみられる。金融政策は安倍政権が続く中、現行の緩和路線が維持されるだろう」、「順調な経済動向、株価の上昇基調維持を踏まえると政策を特に変える必要性に乏しい。本人も年齢、健康等の理由を持ち出さない限り、続投に意欲ありと思われる」との声が聞かれました。経済政策などへの衆院選の影響は軽微との予想が大半のようです。 仮に安倍首相が退陣に追い込まれた場合の円相場の反応について聞いたところ、「円高・ドル安」が86%を占めました。また、安倍首相の後任として最も有力なのは「岸田文雄氏」で56%、次いで「石破茂氏」が23%でした。   FRB議長後任予想「イエレン再任」は34%に後退 9月の日銀金融政策決定会合では、新任の片岡剛士審議委員が現行政策の維持に反対票を投じ、2%の物価安定目標の達成には不十分だとして、追加緩和の必要性を訴えました。足元の市場環境などを踏まえ、10月30-31日開催の会合ではどうなると考えますか、と聞いたところ、最も多かったのは「片岡氏だけが追加緩和を求める構図が続く」で86%を占めました。次回会合で片岡氏が具体的な追加緩和策を提案するか、注目が集まります。 その日銀で、2018年4月に任期満了となる黒田東彦総裁の後任予想で最も多かったのは「黒田東彦・日銀総裁(再任)」で55%、次いで「中曽宏・日銀副総裁」が18%、「雨宮正佳・日銀理事」が11%でした。 一方、米国ではトランプ大統領が早ければ10月中にも、次期FRB議長人事を最終決断すると言われています。2018年2月に任期が切れるイエレン議長の後任として誰が最も有力と考えますか、と聞いたところ、最も多かったのは「ジャネット・イエレン現議長(再任)」で34%、前回調査まで3番手につけていた「ケビン・ウォーシュ元FRB理事」が23%で続きました。「その他」ではジェローム・パウエルFRB理事が回答数全体の約3割の票を集めました。「ゲーリー・コーン米国家経済会議(NEC)委員長」は5%と後退し、「ジョン・テイラー米スタンフォード大学教授」(5%)と並びました。 市場関係者からは「次期FRB議長に関しては、誰が就いてもイエレン現議長よりは『タカ派』的となる為、FRBは来年も緩やかな利上げ路線を継続するものと思われる」との見方から影響は軽微とする意見が大方のようです。   事業法人の前提為替レートは111円台後半 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは10月末の平均値で1ドル=112円27銭と、9月調査(109円93銭)から大幅に円安へシフト。3カ月後の12月末には113円12銭、6カ月後の3月末には113円52銭との予想です。今後6カ月程度を想定した注目の為替変動要因は、円が「政治/外交」、ドルとユーロが「金利/金融政策」でした。 ファンドの運用担当者に外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、「ニュートラル」が前回の73%から54%に低下した一方、「オーバーウエート」が前回調査から20ポイント上昇の38%となりました。また、事業法人の業績予想の前提為替レートは平均値で1ドル=111円85銭と足元の水準並み。一方で対ユーロでは1ユーロ=123円25銭と現在の水準より大幅に円高に予想しているため、為替差益が生じる可能性がありそうです。

波乱の予感も与党勝利か アベノミクス継続なら株価上昇?

10月22日投開票の衆議院議員選挙は、野党の分裂や新党設立によって、10日公示のギリギリまで各党が慌ただしく候補者擁立作業を進めるなど、異例の混乱を見せています。小池百合子東京都知事が改めて不出馬の意向を示したことで、自民党優位との見方が強まる一方、与党が大敗し、安倍晋三首相の退陣リスクを警戒する声も少なくありません。毎月実施している株式の市場関係者を対象とした「QUICK月次調査<株式>」では、衆院選の金融市場への影響や消費増税の行方などについて聞きました。調査期間は10月3日~5日で、証券会社および機関投資家の株式担当者161人が回答しました。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 与党の勝敗ライン「過半数以上」の予想が9割超 今回の衆院選は、希望の党の登場や民進党の保守系とリベラル系の分裂によって「自民党、公明党」「希望の党、日本維新の会」「立憲民主党、共産党、社民党」の3極が争う構図が固まりつつあります。選挙の結果、与党の議席はどのようになると思いますか、と聞いたところ、最も多かったのは「与党過半数~280議席」で61%、次いで「与党280議席~3分の2」が29%となりました(※9月26日現在、与党322議席)。安倍首相は過半数(233議席)を獲得できなければ退陣する意向を示していますが、「与党過半数割れ」の予想は4%に止まり、与党勝利との見方が大多数を占める結果となりました。 市場関係者からは、「経済安定無くして政治の安定は果たされないことを理解できている」と現政権を支持する声や、「一定程度は非自民勢力に票が流れるであろうが、与党も野党も国民の支持を得たとは言いづらい『勝者なき選挙』になるのではないか」、「アベノミクスを実感していない人たちの票がどのように動くのかがポイント」といった声も聞かれました。 今回の選挙の主要なテーマについて聞いたところ、最も多かったのは「財政問題(消費税の使途変更・財政健全化目標先送り)」で40%、次いで「外交・安全保障」が20%、「なし」が11%と続きました。「その他」の14%には「安倍政権の信任投票」といった意見が多く、今回の選挙に対する批判の声も多く寄せられました。市場関係者からは「今回の選挙には、国民に信を問うような主要テーマがなく、政権維持のための選挙の様相が強い。そのため、今後のマスコミ次第であるが、小池新党や維新の会等話題性の高い政党の露出が高まることが予想される」などの意見も聞かれました。 消費税10%引き上げを支持する声が過半数を占める 安倍首相は2019年10月に消費税率を予定通り10%に引き上げる一方、増収分の使途は変更し、教育無償化などの財源とする考えを示しています。しかし、希望の党や立憲民主党などの野党は、消費増税の凍結や延期を訴えています。では、消費税増税の実施についてどのようにお考えですか、と聞いたところ、「デフレ脱却が確実になるまで、消費税10%は先送りすべき」(29%)は3割弱にとどまり、最も多かった「予定通り10%に引き上げ、 大半を国の借金返済に充てるべき」(32%)と「予定通り10%に引き上げ、教育無償化などに使途変更すべき」(25%)を合わせると、消費税の予定通りの引き上げを支持する声が5割を超える結果となりました。 市場関係者からは、「消費税は本来デフレ脱却が確実になるまで見送るべきと考えるが、消費者の多くが年金などの将来不安を理由に消費に及び腰であることから、一定の増税による将来の安心感を醸成してマインドの改善を図ることも必要か」といった声が聞かれました。 では、安倍政権が継続する場合、衆院選後の金融市場の見通しについて質問したところ、日経平均株価は「上昇」が57%で最も多くなりました。また、円・ドル相場は「横ばい」と「円安」の予想がともに40%台半ば、10年国債利回りは「横ばい」が65%で最も多くなりました。 市場関係者の間では、「(与党過半数以上なら)金融緩和スタンスが維持されるとの見方から、円安株高要因。一方で、財政悪化懸念から国債利回りに上昇圧力がかかれば、日銀に緩和バイアスをかけるよう圧力がかかる可能性も」、「これまでの株価の動きを見ていて、安倍政権の終焉が織り込まれているようには思えない。だから安倍政権継続となっても、市場に大きな変化はないだろう」と、希望の党の躍進などがない限り、マーケットへの影響は限定的というのが大方の見方のようです。 日経平均予想は2万632円 17年半ぶりの高水準 「QUICK月次調査<株式>」で毎月調査している日経平均株価の見通しについては、10月末の水準で2万632円(平均値)の予想でした。前回調査(確報)の1万9514円から3カ月ぶりに上方へシフトし、2000年4月調査(2万778円)以来、17年半ぶりの高水準となりました。12月末には2万798円、18年3月末は2万1010円の見通しです。今後6カ月程度の株価の変動要因としては、「景気・企業業績」の注目度が高くなりました。 国内の資産運用担当者60人を対象にセクター別の投資スタンスについて質問したところ、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのは「電機・精密」で19%、次いで「鉄鋼・機械」が17%、逆にアンダーウエートの比率が最も高くなったセクターは「公益」でした。  

2017衆院選、希望の党は波乱を呼ぶか?

米国や英仏などと比較して政治が相対的に安定していた日本ですが、衆院の解散・総選挙により先行き不透明感が広がっています。毎月実施している「QUICK月次調査<債券>」※を通じて、債券のプロに衆院選の行方を聞いたところ、与党勝利が大半を占める予想となり、政権交代は難しいとの見方です。調査期間は9月26~28日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者138人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 衆院選の結果予想は「与党勝利」が8割以上 9月28日、衆院は本会議で解散し、臨時閣議で10月10日公示、22日投開票の衆院選の日程を決定しました。野党第1党の民進党は、小池百合子東京都知事が代表を務める新党・希望の党との事実上の合流を決めるなど、選挙戦は波乱の様相を呈しています。 ただ、債券市場関係者は今回の選挙結果について「与党勝利」が83%と予想しており、自民・公明が引き続き政権を握るとの見方です。市場関係者からは「与党勝利を予想するが、投票率が上昇すると与党が劣勢になる可能性がある。与党が辛勝だった場合、安倍首相の求心力が低下し、金融政策や日銀総裁人事に影響を及ぼし、場合によっては、首相交代も意識される可能性がある」といった声が聞かれました。 総選挙の主要なテーマについても聞いたところ、「財政問題(消費税の使途変更・健全化目標先送り)」が47%と最も多くなりました。安倍首相は2019年10月の消費増税に伴い、増収分の使途の一部を借金返済から2兆円規模の子育て支援や教育無償化などに充てると提起しました。 一方、小池氏は消費増税の凍結を主張しているため、与野党どちらが勝ったとしても財政が悪化する点を債券関係者は問題視しているようです。 10年国債は「横ばい」、日経平均は「上昇」 さらに衆院選の結果を受けた金融市場の見通しについて質問したところ、10年国債利回りは「横ばい」が65%、日本国債の格付けは「据え置き」が80%で最も多くなりました。また、日経平均株価は「上昇」が50%、円・ドル相場は「横ばい」と「円安」の予想が拮抗する結果になりました。 市場では「与党が勝利することを予想しており、アベノミクス継続から金融政策の方針が変わることはないとみている。仮に与党が惨敗した場合でも、ポピュリストと目される小池氏が株安・円高につながる緩和縮小を推し進める可能性は低いとみており、結局のところ選挙の結果に関わらず金利は低位に推移することが考えられる」といった見方もあります。 債券価格変動要因は海外金利に注目が集まる 毎月定例の相場見通しの調査では、前回に比べて利回り上昇を予想する結果になりました。新発10年物国債の金利見通しは、1カ月後が0.052%、3カ月後が0.062%、6カ月後が0.076%と、8月調査(0.029%、0.048%、0.067%)に比べていずれも上昇しました。今後6カ月程度で注目する債券価格変動要因で最も多かったのは「海外金利」が42%、次いで「短期金利/金融政策」が37%でした。 資産運用担当者66人(ディーリング部門除く)を対象に、現在運用しているファンドについて国内債券の組み入れ比率について聞いたところ、「ニュートラル」が前回より6ポイント低下の59%となった一方、「かなりアンダーウエート」が9%で5ポイント上昇しました。  

10月のECB理事会でユーロ高はどうなる?

  欧州中央銀行(ECB)による量的金融緩和縮小の観測から、主要通貨に対してユーロ独歩高が進んできました。こうしたなか、今後のユーロ相場を占ううえで重要なイベントといえば、10月のECB理事会でしょう。量的緩和に関する政策の行方やユーロ・円相場の見通しについて外国為替市場の担当者に聞きました。調査期間は9月11~14日、回答者数は74人です。 ※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。 年内のユーロ円は130~140円の見通し ECBのドラギ総裁は9月の理事会後の記者会見で量的緩和縮小について初期的な議論をしたと述べ、10月25~26日開催の次回会合で大筋を決定すると話しました。外国為替市場の担当者にECBは量的緩和について10月にどんな方向性を打ち出すか聞いたところ、「量的緩和の緩やかな縮小」が9割以上を占めました。   一方、ユーロについては19日、対円で1ユーロ=133円台半ばと2015年12月以来1年9か月ぶりの高値を付けました。対ドルでは1ユーロ=1.2ドル台を挟んだ水準で推移しています。ドラギ総裁は9月の理事会後にユーロ高を強くけん制したものの、影響は限定的です。ECBの量的緩和の縮小観測が広がる一方、足元では米国のハリケーンの被害拡大により米連邦準備理事会(FRB)が年内利上げに動きにくいとの見方や、北朝鮮問題への懸念がユーロ買いの背景にあります。 年内の円とドルの対ユーロ相場の見通しについて市場関係者に聞いたところ、ユーロ円相場については「130~140円」が5割を超え、次いで「130円前後」が38%でした。ユーロドルでは「1.20ドル前後」が36%と最も多く、次いで「1.15~1.20ドル」と「1.20~1.25ドル」が29%と意見が割れました。市場関係者からは「朝鮮半島情勢の緊張が続く中で、円買い、ドル売りが出やすい。地理的に遠く、ECBが政策正常化を模索しているユーロが消去法で買われやすい地合い」といった意見が聞かれました。   事業法人の前提為替レートは109円台後半 毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは9月末の平均値で1ドル=109円93銭と、8月調査(110円69銭)から円高にシフト。3カ月後の11月末には110円33銭、6カ月後の2月末には111円48銭との予想です。今後6カ月程度を想定した注目の為替変動要因は、円が「政治/外交」、ドルとユーロが「金利/金融政策」でした。 ファンドの運用担当者に外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、「ニュートラル」が前回の80%から73%に低下した一方、「アンダーウエート」が前回調査から9ポイント上昇の9%となりました。また、事業法人の業績予想の前提為替レートは平均値で1ドル=110円44銭、1ユーロ=119円93銭と現在の水準より円高予想のため、為替差益が生じる可能性もありそうです。

米バランスシート縮小でマネーの動きどう変わる?

米連邦準備理事会(FRB)は日欧に先駆け、19~20日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)でバランスシートの縮小を正式に決定し、金融政策の正常化に動くと見込まれています。そこで、今回は毎月実施している株式の市場関係者を対象とした「QUICK月次調査<株式>」を通じて、FRBの政策転換と日米の株式相場や為替相場への影響などについて聞きました。調査期間は9月5日~7日で、証券会社および機関投資家の株式担当者156人が回答しました。   米株は約半数がボックス相場との予想 イエレンFRB議長は、量的緩和で4兆5000億ドルまで膨らんだバランスシートの正常化に年内にも乗り出す可能性を示唆しており、市場では9月のFOMCで資産縮小が発表されるとみられています。ただ、物価上昇の勢いが弱いため、追加利上げは来年以降に先延ばしする可能性もありそうです。 株式市場関係者に年末に向けた米国の株式相場の見通しについて聞いたところ、「現水準のボックス相場が続く」との回答が52%と半数以上を占め、次いで「上昇トレンドは変わらない」が28%でした。一方、「調整局面に入る」は15%、「下落トレンドに転換する」は3%にとどまり、悲観的な見方は相対的に少ないようです。 市場関係者からは、「FRBのテーパリング(量的緩和の縮小)については、市場ではほぼ織り込まれているとみられ、決定後もマーケットへの影響はほぼないものと考える」「金融政策正常化が緩やかなペースで進む中では、急激な米金利上昇は想定し難く、株にとってはポジティブな環境が継続するため、引き続きハイテク株が牽引役となって米国株は緩やかな上昇を続けると見込む」といった声が聞かれました。   FRBの政策転換などを受けて、年末に向けた円ドル相場の見通しについても聞いたところ、「1ドル=110円前後のボックス相場」が48%と半数近くを占め、次いで「1ドル=115円程度まで円安・ドル高が進む」が28%、「1ドル=105円程度まで円高・ドル安が進む」が15%となりました。 「米国の政策金利の長期均衡水準(3%)へむけた正常化の動きについては、すでに現在の長期金利に織り込まれており、今後利上げが進められる過程においても、米国の長期金利はレンジ圏の動きにとどまり、ドル円レートもこれ以上の円安圧力はかかりにくいとみている」(投信投資顧問)との見方もありました。 日本株相場は上昇トレンドとの予想が過半数を占める 次にFRBの政策転換と為替相場の影響を受けて、年末の国内の株式相場の行方について聞いてみました。最も多かった回答は「緩やかな上昇トレンドに入る」(47%)で、「明確な上昇トレンドに入る」(5%)と合わせると上昇基調との予想が過半数を占めました。市場関係者からは「米国の金融政策正常化は円安要因となり、日本株にはプラス要因。副産物となる日本の金利上昇は、かつては日本株にとってマイナス要因だったが、内部留保の蓄積が進みキャッシュリッチになった今ではむしろプラス。低利で調達した債務が含み益にすらなる」といった声が聞かれました。ただ、「現水準のボックス相場が続く」との回答も36%あり、見方は分かれているようです。 では、米欧の金融政策が正常化に向かう中で、日本の株式市場において魅力のある投資対象を聞いたところ、「バリュー株」「大型株」「外需株」「景気敏感株」というフレーズが浮かび上がりました。「金融緩和縮小の動きが続くのであれば、金利上昇圧力から、グロース、中小型となるが、すでに大幅に上昇し買い尽くされている感もある。米・中景気減速の兆しから引き締め一服のシナリオでバリュー、大型株が出直る環境になる可能性があると考えている」(証券会社)との声もありました。   9月末の日経平均予想は1万9514円と下方シフト 「QUICK月次調査<株式>」で毎月調査している日経平均株価の見通しについては、9月末の水準で1万9514円(平均値)の予想でした。前回調査(確報)の1万9976円から2カ月連続の下方シフトとなりました。11月末には1万9949円、18年2月末は2万0322円の見通しです。今後6カ月程度の株価の変動要因としては、「政治・外交」の注目度が高くなりました。北朝鮮問題やトランプ政権の行方が懸念されているのかもしれません。 国内の資産運用担当者57人を対象にセクター別の投資スタンスについて質問したところ、前回調査に比べてオーバーウエートの比率が最も上昇したのは「建設・不動産」、逆にアンダーウエートの比率が最も高くなったセクターは「公益」でした。    

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