米長期金利、なぜ上がる③ パウエル新FRB議長の手腕読めず

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トランプ米大統領は、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン前議長について「素晴らしい仕事をした」と功績を讃えていた。しかし、最終的にパウエル新議長を指名したのは、その距離の近さだったとされる。 就任直後、相場急変に見舞われたパウエル新議長の最大の課題は、金融・資本市場の安定を保ちながら、金融政策の正常化を進めることだ。そこで市場が注目するのが、今秋に中間選挙が控えるトランプ政権との距離感。米長期金利上昇、VIX急騰、株価下落のなかでもパウエル議長が「政策金利、バランスシートの両方で緩やかな正常化を進める過程にある」(2月13日)と、非常時の金融政策からの出口戦略を淡々と継続する姿勢を示したことを市場はひとまず”好感”したようにみえる。 ただ、ほぼ完全雇用のなかでトランプ政権が大規模な減税に踏み切ったことで、市場には米経済の過熱懸念もくすぶり始めた。パウエル議長がトランプ政権に配慮し、実体経済や株価の過熱をある程度容認した場合、インフレ(物価上昇)圧力が長期金利の上昇要因になる。 一方、経済・物価見通しの上振れに対応して、FRBが利上げペースを加速するかもしれないとの観測も、足元では長期金利の上昇要因に働く。 歴史を振り返ってみよう。1987年8月11日、グリーンスパンFRB議長の就任が上院で承認された。2006年1月31日までの18年5ヶ月間にわたり「マエストロ」(指揮者)として巧みに市場金利を誘導した。ただ、就任2ヶ月で直面した「ブラックマンデー」(1987年10月19日の世界的株価大暴落:1日で▲22%)を「FRBは流動性を提供する準備ができている」との短い声明で乗り切ったことで、グリーンスパン議長の金融政策は「株価重視」に傾斜したとされる。 また、共和党員でもあった同議長は共和党政権下での国策に全面協力したとも批判される。ブッシュ(父)大統領就任後のイラクのクウェート侵攻(1990年8月)頃には「利下げを急ぎ過ぎている」と非難され、2003年のブッシュ(Jr)大統領が始めたイラク戦争時には「必要以上に金融緩和を継続している」との批判を受け、”後方支援”と評された。 こうした金融緩和の行き過ぎが、2007年のサブプライム危機、2008年のリーマン・ショックの遠因になったとして、後に金融政策の功罪が問われることとなった。 米長期金利と政策金利、物価(QUICK FactSet Workstationより) 「 FRBは2015年12月の利上げ以降、正常化の過程にある 」 2008年のリーマン・ショックによる金融市場のマヒ状態と、実体経済の急速な収縮に対応したのはバーナンキ議長だ。政策金利(FFレート)の引き下げ余地が事実上なくなった2008年末からFRBは「大規模な資産買い入れ」を実施した。この政策に着手する2008年末までの段階で、日銀が実施した「量的緩和」(QE:Quantitative Easing、2001~2006年)政策をつぶさに検証し「マネタリーベースの増加そのものは、ゼロ金利のもとではマネーサプライの増加にはつながらず、効果はなかった」と結論付けていた。 FRBとしては、マネタリーベースの増加を目標とする「量的緩和」では決してないという意味で、世間での通称のように「QE:Quantitative Easing」とは決して呼称せず、今日に至るまで一貫して、自らは「大規模な資産買い入れ」(LSAP:Large Scale Asset Purchases)と称してきた。2014年10月で新たな資産買い入れは「停止」され、2015年12月の政策金利(FFレート)の引き上げ誘導実施以降、現在は「金融政策運営を最終的には危機前と同様の状態に戻そう」とする”正常化”の過程に入っている。 こうした短期金利の引き上げ誘導が一定程度進展したところで、①買い入れた資産の満期到来分の再投資を見送る(=「満期落ち」)という方法で、資産規模の縮小が開始される。「将来のある一定時点からの”満期落ち”によって、5年程度をかけて約2.5兆ドル規模の資産・負債を縮小する」という正常化戦略を示したディスカッション・ペーパーが2013年1月に公表されている。NY連銀の調査では「約4年程度の期間で2兆ドル規模で”満期落ち”によって資産規模が縮小されるとの見方が市場参加者に共有される」と示されている。 また、2014年10月の新規資産買い入れ停止後のSOMA(System Open Market Account:Fedの金融政策オペレーションを担当するNY連銀のシステム公開市場勘定)の資産のデュレーション短期化も公開されており、同短期化オペレーションが一定条件のもとでは「FFレートを0.25%ずつ2回引き上げるのに相当する引き締め効果がある」と示されている。 LSAP1(第1次) :2008/12/5 – 2010/3/31 GSEエージェンシー債 1720億ドル MBS(住宅ローン担保証券) 12500億ドル 財務省証券(米国債) 3000億ドル LSAP2(第2次) :2010/11/12 – 2011/6/30 財務省証券(米国債) 6000億ドル 満期拡張プログラム :2011/10/3 – 2012/12/30 (オペレーション・ツイスト) 財務省証券(短期債を売却し、長期債を買い入れ) +▲6670億ドル LSAP3(第3次) :2012/9/14 – 2014/10/31 MBS(住宅ローン担保証券) 8230億ドル 財務省証券(米国債) 7900億ドル ※米政策金利の推移(セントルイス連銀のデータサイト「FRED」より) 「 FRBの金融政策の推移 」(1982年以降) 【ポール・ボルカー】1979.8-1987.8 インフレファイター。石油危機に果敢に立ち向かい「ボルカー・ショック」と呼ばれる金融引き締めでインフレ率の引き下げに成功、その後の長期的な米景気拡大に貢献したと賞賛される。 【グリーンスパン】1987.8.11-2006.1.31 就任早々のブラックナンデーを「流動性供給」でみごとに乗り切り、「株価重視」ではじまり、「根拠なき熱狂」という警鐘と「Measured Pace」での利上げで市場を巧みに導いた。 【バーナンキ】2006.2.1-2014.1.31 グリーンスパン議長による超低金利政策から転換後の利上げ路線を引き継いで始まり、経済・金融情勢に翻弄された。リーマン・ショックに対応した積極的な金融緩和は真骨頂。任期終盤では米国債購入ペースの減速(テーパリング)に踏み切った。   ※内閣府の資料より 【イエレン】2014.2.4-2018.2.3 2016年9月のG20杭州・サミットにおける首脳宣言が当時を象徴している。「成長は期待よりも低く、下方リスクが存在している。・・・すべての政策手段─金融、財政及び構造改革─を個別に総合的に用いることを決意している」と、既に十分に緩和的となっている金融政策のみでは均衡ある成長にはつながらず、財政政策、金融政策、構造改革のシナジーが重要であると強調された。 「イエレン・ダッシュボード」なる9つの雇用関連指標を重要視するという姿勢(エビデンス重視)を示したものの、ハードデータがついて来なかった。 2014-10-29 長期国債、MBS購入を10月で終了することを決定。 【パウエル】 2018.2.5- 粛々と計画通りFRBのバランスシート調整を進め、米長期金利の上昇が容認される可能性。ただ、イエレン前議長の中盤より、あくまでハードデータ(エビデンス重視)が担保されるというスタンスに市場参加者は慣れてしまっており、予見可能な金融政策を重視することが期待される。もし、グリーンスパン流のフォワード・ルッキング(ビハインド・ザ・カーブを怖れる)を志向するようだとマーケットは不安定な動きとなってしまうかもしれない。 ▼関連記事 米長期金利、なぜ上がる① 30年の低下局面に幕引き、大転換期に突入も 米長期金利、なぜ上がる② 原油と賃金にインフレの芽 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

米2年債利回り、10年ぶり高水準 長短金利差縮小

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20日の米債券市場で2年物米国債利回りが上昇して2.20%を突破、2008年9月以来およそ10年ぶりの高水準に達した。この日は同年限で入札が実施された。中期ゾーンの入札も控え、需給への警戒がくすぶっている。 10年債利回りより2年債利回りの上昇幅が大きかったため、長短金利スプレッドは縮小。最近までの拡大基調に一服感が漂い始めた。短期金利が長期金利を上回る逆イールドへと向かうか関心を集めている。長短金利が逆転すると過去の経験則から景気後退が意識されやすい。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

【アルゴウオッチ】ドルの「大安売り」一服 外貨準備トークに限界 

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外国為替市場でドル売りのモメンタム(勢い)がいったん止まっている。対円は日本時間の20日9時時点で1ドル=106円70銭台と、前週付けた1年3カ月ぶり安値の105円台半ばから1円超戻した。 コンピューター・プログラム「アルゴリズム」を駆使するシカゴなどの商品投資顧問(CTA)は前週半ば以降、唐突に米国の財政赤字などを持ち出してドルの安売りに全力を挙げてきたが、ここにきて材料の継続性を見極めようとしているようだ。 CTA勢がさして新しくもない米財政収支や経常収支に焦点を当てた背景に、中国などアジア系の政府・中央銀行による外貨準備のドル離れ観測があったことはよく知られている。 米国債相場の下落(利回りは上昇)ペースが速まり評価額は下がってきたのに、運用比率を保つ目的の米債買いが目立たなかったからだ。米株高などで投資家のリスク選好意欲が戻ったにもかかわらず、CTAが「低リスク通貨」の円を対ドルで買い進めた一因にもなっている。 外準マネーの動きは米債の償還・利払いを挟んだ前週15日前後もさほど強くはなかった。感情を持たないアルゴリズムはプログラマーのセッティング通りに淡々とドルを売ったと考えられる。だがお金の流れを細かく点検すると、中国などのドル売りは外準の運用スタンス変更を示すものでは必ずしもなかったと受け取れる。 からくりはこうだ。中国では2017年の前半、金融引き締め策をとると同時に外貨準備を取り崩し、人民元買い・ドル売りの為替介入を頻繁に実施した。そのかいあって同年秋にかけてドル売りの必要性は薄れ、外貨準備は徐々に回復した。 外準はまずはドル建てで増えるので、ファンドマネジャーは所定の運用比率にあわせてドルを売り、ユーロや円、英ポンドなどを買う。中でもユーロの比率が高いため、ユーロ買い・ドル売りが広がりやすい。 シティグループ証券の高島修・チーフFXストラテジストは「昨年終盤以降の対ユーロ主導のドル安は外準のドル売り・ユーロ買いをきっかけに起きたと考えればつじつまがあう」と話す。 1月10日に流れた中国の「米国債購入の減額・停止」報道とも矛盾はしない。投機筋は欧州中央銀行(ECB)の量的緩和の早期縮小観測やムニューシン米財務長官から飛び出した「ドル安容認発言」をうまく生かしてドル売り戦略を成功させたのだろう。中国などの外準マネー拡大が続けば、ドル売りはさらに膨らむかもしれない。 一方で高島氏は「外準に占める円の比率は極めて低く、円高・ドル安とは整合性がとれない」とも指摘。外準トークをよりどころにした円高には限界があると想定している。 国際通貨基金(IMF)が四半期ごとにまとめている外貨準備の構成統計(COFER)によると、中国を含む内訳が明らかになっている分だけで算出したドル建て資産の占める割合は昨年9月末時点で約64%、ユーロは20%程度だが、円と英ポンドは4%台にとどまる。資産配分の結果生じる円買い・ドル売りの規模はおのずと小さくなるはずだ。 18年は日本でも量的緩和策の縮小観測が台頭しているが、ECBの緩和縮小観測に比べると現実味がまだ薄い。ドル安が仮に続くとしても、円はユーロに後れをとるものだと意識すべきだろう。 【日経QUICKニュース(NQN ) 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

レバレッジ型インバースETFの純資産が減少 下値メド達成で利食いか?

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2月に入って株式相場が大荒れとなるなか、日経平均株価の値動きの反対方向に2倍動くレバレッジ型インバースETFの純資産が大きく減っている。 日経ダブ(1357)、225Dベア(1366)、日経ベア2(1360)、楽天Dベア(1459)の4つのETFの純資産額合計は、日経平均が4.72%安と急落した2月6日に2299億円まで増加したが、その後は減少傾向だ。19日時点で1657億円まで減り、今月のピークから8営業日で27%減少した。 【日経平均株価レバレッジ型インバースETFの純資産の推移】 日経平均が14日に21000円割れとなり、年初来安値を更新する過程でレバレッジ型インバースETFの基準価額が上昇したことから、下げ相場に備えてインバースETFを買っていた個人投資家らが利食いを入れた可能性が高そう。 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「6日に日経平均が200日線近辺まで下げたことで個人投資家が利食いを入れたとみられる。その後、日経平均はさらに下げて14日に21000円を割り込んだが、当面の下値メドを付けたということでさらに利食いが出たのではないか」と指摘していた。 日経平均が今年最大の下げ率(4.72%安)を記録した2月6日、日経ダブは9.71%高となってヘッジ機能を果たしていた。 しかし昨年末を基準に年初来の騰落率をみると、19日時点で日経平均が2.70%下げたのに対して、インバース型レバレッジETFは概ね3.20~3.75%のプラスにとどまっていた。中期的には日経平均の2倍の下げに見合ったプラスリターンを得られていない状況である。 井出氏は「レバレッジ型ETFの特性として、上げ下げが繰り返される相場では純資産の調整による売買の影響で思ったような収益をあげられない恐れがある。最近はVIX指数のショート戦略のETFで大きな損失が出たこともあり、組成商品の特性をきちんと理解しなければならない」と注意喚起する。 個人投資家の逆張り戦略でインバース型のETFの純資産・口数は共に減少傾向だが、レバレッジ型ETFの特性を理解し、短期のヘッジ、日計りなどでうまく活用したい。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

投信の積立、「国内株式型」「バランス型」が人気 選択は「コスト」重視【個人意識調査(10)】

資産運用研究所

QUICK資産運用研究所は2017年12月、全国の20~60代の個人を対象に「個人の資産形成に関する意識調査」を実施した。個人に資産形成の取り組み状況などを聞く調査は、16年12月に続いて2回目。日経リサーチを通じてインターネット経由でアンケート調査を実施し、5132人から回答を得た。 調査結果はQUICK Money Worldに2月6日から順次掲載し、本日が最終回となる。 ◯調査概要はこちら ■投信積立、「国内株式型」と「バランス型」が人気 投信積立をしている人にどのようなタイプの商品で積み立てをしているか聞いたところ、運用対象の資産別のトップは国内株式で運用する投信、2位は複数の資産に分散投資するバランス型だった。 また、運用方針別でみると、市場平均並みの運用成績を目指すインデックス型が30.6%と、市場平均よりも高いリターンを目指すアクティブ型の13.7%を大幅に上回った。 年代別にどの資産で運用する投信を積み立てているかをランキングにしたところ、20代は1位が「海外株式型」、30~40代は「国内株式型」、50~60代は「バランス型」だった。 ■投信積立の投信選びは「コスト」重視 投信積立をしている人に商品選びで何を重視したかを聞いたところ、最も多かった回答は、「手数料や信託報酬の水準」だった。僅差で「過去の運用実績」と「長期投資に向くかどうか」が続いた。 長期投資を前提とした投信積立では、コストの低さや過去の運用実績を重視して商品を選んだ人が多いようだ。 一方、「口コミやネットでの評判」や「人気ランキングの上位」などを重視した人は少なかった。運用期間の長さや分配金の支払い実績も下位に並んだ。 (QUICK資産運用研究所) =おわり

今年のIPO、23日の「Mマート」からスタート 「QBハウス」3月上場へ

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2018年の新規株式公開(IPO)が、2月23日上場のMマート(4380、東京・新宿)からスタートする。同社を含め現時点で11社のIPOが決まっているが、例年3月はIPOが集中するため、新規上場社数はこれから増えてくる見通しだ。IPOは個人投資家の投資意欲を測るバロメーターの一つとされる。波乱含みの今後の株式相場の展開を探るうえで参考になる。 18年のIPO第1号となるMマートは、飲食店向けの食材仲介サイト「Mマート」を運営している。買い手の登録社数は10万5000社に上り、食材のBtoB(企業間取引)サイトとしては国内で最大規模だ。18年1月期の単独営業収益は前期比13%増の6億円、税引き利益は2.4倍の7400万円を見込む。公開価格は仮条件(1140~1240円)の上限である1240円に決まった。 また、19日に東京証券取引所が株式上場を承認したキュービーネットホールディングス(6571、東京・渋谷)は、ヘアカット専門店「QBハウス」を運営している。知名度があるため話題になりそうだ。 年初から19日までの日経平均株価の下落率は2.7%だが、過去1年に上場したIPO銘柄の値動きを基に算出する「QUICK IPOインデックス(単純平均ベース)」は1.5%の上昇だった。IPOインデックス対象銘柄のうち、同期間に最も上昇した銘柄は医療関係者向け通販を手掛ける歯愛メディカル(Ciメディカル・3540)で77%だった。 【IPOインデックスと日経平均の年初来の株価推移】 ※QUICK端末のナレッジ特設サイト「IPOワールド」では、IPO銘柄の上場スケジュール、関連情報・記事、代表者へのインタビューなどを一覧できます。

米長期金利、なぜ上がる② 原油と賃金にインフレの芽

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金利は一般的に、当該期間の「実質経済成長率」と「インフレ率」で決まると言われている。将来の成長率やインフレ率は現時点では確定していないことから、両者の予想(期待)を反映したものが金利ということになる。予想は過去のデータの影響を受ける。経済指標や市況変動を受けて金利が動くのは、そのためだ。 2009年7月に始まった米国の景気拡大局面は、今年7月には10年目に入り、戦後最長となる「10年」が視野に入る。歴史的な好景気にもかかわらず、10年物米国債の利回りでみた米長期金利はリーマン・ショック前の水準には戻っていない。一因は物価(期待インフレ率)の伸び悩みにある。 米GDP成長率と米10年物国債利回り(QUICK FactSet Workstationで作成)   原油価格が物価に与える影響は大きく、期待インフレ率との連動性も高い。2011年から1バレル=100ドル前後で推移していたWTIは2014年後半から大幅に下落。BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率=債券市場が織り込む期待インフレ率)も低下した。 米BEI(期待インフレ率)とWIT(QUICK FactSet Workstationで作成) 賃金の上昇も物価を押し上げる大きな要素だ。賃金上昇はコストの増加によるサービスや商品価格の上昇だけでなく、所得の増加による需要の拡大をもたらす。需要が増えることで価格が上がり、更に賃金も上昇するという循環的な物価上昇につながる。 逆に賃金の上昇がなければ、持続的な物価上昇は起こりにくい。賃金上昇率の伸び悩みが、2017年までの金利上昇を抑える要因になっていた。 米賃金上昇率とCPI(QUICK FactSet Workstationで作成) しかし、原油価格は2017年後半から徐々に水準を切り上げ、WTIは60ドル台を回復。2018年2月2日に公表された1月の米雇用統計では賃金上昇率が2.9%と、2008年以来の水準に達した。インフレ観測の高まりから、米長期金利は急上昇し、14日には一時2.92%と2014年1月10日以来、ほぼ4年1カ月ぶりの高水準を付けた。 良好な経済状況のなか、トランプ政権は減税やインフラ投資など、よりインフレにつながる政策を進めようとしている。インフレが加速するようなら、金利は一段と上昇するだろう。一方、市場は米国の好景気を前提に動いており、その前提が崩れれば、これまでのトレンドが反転することもあり得る。いずれの方向に向かうかは、今後の米景気や物価動向次第だ(③に続く)。 ▼関連記事 米長期金利、なぜ上がる① 30年の低下局面に幕引き、大転換期に突入も   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

日経レバ(1570)の純資産、5000億円に迫る 口数も16日連続で増加

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日経平均株価の2倍の値動きに連動するレバレッジETFの日経レバ(1570)の純資産が19日時点で4795億円となり、2016年11月15日以来、1年3カ月ぶりの高水準を回復した。5000億円の大台に迫る勢いとなっている。 2月に入って日経平均が急落するなか、リバウンド狙いの個人投資家からの買いが優勢になっているもよう。純資産を基準価額で割った19日時点の口数(株式で言う株数)は2468万口。1月26日(936万口)以降は16営業日連続で増加しており、口数はこの間に2.6倍となった。正式な口数は20日に野村アセットマネジメントから発表される。 【日経レバの純資産の推移】 2012年4月10日に設定された日経レバの純資産が過去最高を記録したのは2016年2月2日の9179億円。値動きの良さで個人投資家の人気を集めて1兆円の大台に迫ったものの、その後は相場の上昇とは裏腹に低迷を続け、2017年には3000億円を割り込んだ。 恐怖指数のVIXが荒っぽい値動きとなり、VIXショート型ETFなど派生商品のリスクが改めて警戒される状況だが、収益チャンスとみて日経レバに再び関心が集まっている。日経レバは日経平均先物を使って基準価額が日経平均の2倍になるよう組成されるもののため、先物への需給インパクトも見逃せない。 (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ドル円、105円台でも耐える 店頭FX、ドル買いポジションは微減(QUICK店頭FX建玉)

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QUICKがまとめた16日時点のFX大手8社の建玉状況、「QUICK店頭FX建玉統計」で円に対するドルの買い建玉は前の週に比べ1.8%減の53万4068だった。一方でドル売り建玉は同2.1%増の12万377枚。この週は外国為替市場でドル円が1ドル=105円台まで下落(円相場は上昇)した。 日本の個人はドル円の下落時に押し目買いで臨む傾向が強い。今回もドル安局面で損切りをしつつも、積極的な買いポジションを組み上げてきた。前週は急激なドル安・円高になったものの、ドルの買い建玉を保持したまま耐えきった様子が浮かび上がる。 ただ、ドル買いポジションの比率は82%と依然として高水準。一段の円高局面に突入した場合、日本の個人投資家、いわゆる「ミセス・ワタナベ」の動向が再び関心を集める公算は大きい。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

「適温相場」変調 それでも投信に資金流入 「株式型」に集中

資産運用研究所

2月に入って崩れた、好景気と低金利が併存する「適温相場」。世界的に株安が連鎖するなど金融・資本市場が不安定になるなか、国内では投資信託への資金流入が続いている。国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)について、QUICK資産運用研究所が1~16日の設定額から解約額を差し引いた資金流出入額を推計したところ、約4100億円の資金流入超過だった。 16日時点の資金流入超過額は、月間で9000億円を超えた1月とほぼ同じペース。1月と同様に主に株式で運用するタイプの投信に資金が集中しており、特に「国内株式型」の流入超過が目立つ。一方で、海外の不動産投資信託(REIT)で運用する投信は、資金流出の勢いが止まる気配はなさそうだ。 個別ファンドをみると、国内株式でも株価指数に連動する「インデックス型」が流入超過となっているほか、株価指数の2倍以上の値上がりを目指す「ブル型」にも資金が集まっている。また電気自動車(EV)やロボットをテーマにしたファンドには安定して資金が流入している。 一方、海外REIT型は個別でも資金流出が目立つ。適温相場は変調しているが、いまのところ投信マネーの流れは大きく変わっていない。 (QUICK資産運用研究所) 

日経平均2万2000円回復 裏で動いた「先物買い戻し」

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19日の東京株式市場で日経平均株価は節目の2万2000円を2週ぶりに回復した。上昇の一因は、一部の海外短期筋による株価指数先物への買い戻しとみられる。日経平均が1071円急落した6日以降に先物売りを膨らませた投資家の「平均売りコスト」を、足元の相場が明確に上回ったことが買い戻しを誘発したようだ。 19日は中国(上海・深セン)や香港などアジア主要市場が休場のうえ、米国も休み。結果、目立ったのが「欧州の短期筋からの日経平均先物への買い」(外資系証券トレーダー)だ。その買い手の過去の売買パターンを勘案すると、新規の買い注文ではなく買い戻しの可能性が高いという。 1月末からの相場調整トレンドに乗じる形で指数先物に持ち高を売り(ショート)に傾けていた投資家の懐具合は悪化している。日経平均が取引時間中に下げ幅を1603円(7.1%)まで広げた6日、日経平均先物3月物の売買高加重平均価格(VWAP)は2万1714円だった。日経平均先物は前週末16日にこの水準を上回った。 VWAPは先物売買の平均価格に相当し、売り方にとっては平均売りコストを意味する。売り持ち高を膨らませている場合、相場水準がVWAPを上回ると評価損が出て、損失覚悟の買い戻しを誘いやすい。 6日だけではない。7日のVWAPは2万1880円、8日は2万1818円だった。日経平均先物はこれらの水準を19日午前に明確に突破した。買い戻しの2段、3段ロケットが点火し、この日の相場はほぼ高値引けとなった。TOPIX先物にも同じことが当てはまりそうだ。 2月第1週(5~9日)の投資部門別売買動向によると海外投資家は日経平均先物とTOPIX先物の合計で約1兆円売り越した。大阪取引所が毎営業日公表している証券会社別の先物手口ではクレディ・スイス証券が連日まとまった額を売り越していた。 もっとも、買い戻しのペースは目先、鈍る公算が大きい。日経平均が急落する前の5日のVWAPは2万2871円、2日以前は2万3000円台と、平均の売りコストはかなり高い。売り方にまだ余裕があり、急いで買い戻す必要がないからだ。 「企業業績などからみて2万1000円台は明らかに割安だった」(野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジスト)ことも手伝って勢いがついた相場上昇。需給面からは、過去数日のような大幅高が続く可能性はやや低下している。 【日経QUICKニュース(NQN) 張間正義】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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