資産運用研究所

【個人の資産形成に関する意識調査】20~60代の5000人に聞く

QUICK資産運用研究所は2016年12月中旬に「個人の資産形成に関する意識調査」を実施し、株式や投資信託などリスク性金融商品での運用経験や関心の有無などを聞いた。 調査対象は全国の20代から60代の個人で、インターネットを通じたアンケートを実施。5104人から回答を得た(回答者の属性などは下記参照)。 ▼アンケート調査概要 実施時期:2016年12月15日(木)~19日(月) 調査対象:全国の20~60代の個人 国勢調査の結果に準じて性別×年代別×地域別(8区分)の構成比率を割り付け 回答者数:5104人(男性50.1%、女性49.9%) 調査方法:インターネット調査 ◯本調査では回答者を以下のように区分  ・金融知識がAレベル:金融に関する9つの問題のうち正解が7~9つの人  ・金融知識がBレベル:金融に関する9つの問題のうち正解が4~6つの人  ・金融知識がCレベル:金融に関する9つの問題のうち正解が1~3つの人  ・金融知識がDレベル:金融に関する9つの問題のうち正解がゼロの人  ※各問題の回答は5~6つの選択肢から選ぶ方式で、それぞれ「わからない」「回答したくない」の選択肢が含まれる。 ◯本調査では以下をリスク性金融商品とする 外貨預金/国内株式/外国株式/その他債券(個人向け国債以外)/投資信託/外貨建てMMF/ETF、ETN/REIT/ラップ口座/外国為替証拠金(FX)取引、差金決済(CFD)取引/先物・オプション商品、カバードワラント/仮想通貨(ビットコインなど)/不動産投資/金などの貴金属投資/個人年金保険(外貨建て) ▼回答者の年代別・職業別・年収別・金融資産保有額別の構成比率(%) 【年代別】 20代  15.2 30代  19.4 40代  23.1 50代  19.5 60代  23.0 【職業別】 学生                  2.3 会社員(正社員)      33.3 会社員(契約社員など) 6.5 公務員                 4.3 パート・アルバイト    14.1 自営業                 7.2 専業主婦・主夫        16.9 無職(年金受給者)      6.5 無職(年金受給者以外)   5.9 その他                 2.9 【年収別】 200万円未満               8.6 200万円~300万円未満      9.0 300万円~400万円未満     11.0 400万円~500万円未満     10.4 500万円~600万円未満      8.5 600万円~800万円未満     11.9 800万円~1,000万円未満    7.2 1,000万円~1,200万円未満  4.1 1,200万円~1,500万円未満  2.6 1,500万円~2,000万円未満  1.4 2,000万円以上             1.1 回答したくない           24.2 【金融資産保有額別】 100万円未満               11.5 100万円~300万円未満       9.5 300万円~500万円未満      10.4 500万円~1,000万円未満     9.7 1,000万円~2,000万円未満   7.6 2,000万円~3,000万円未満   4.6 3,000万円~5,000万円未満   3.9 5,000万円~1億円未満       3.2 1億円~2億円未満           0.9 2億円~5億円未満           0.3 5億円以上                  0.3 回答したくない            38.1 (QUICK資産運用研究所 西田玲子 中田裕子)

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トランプ新大統領はどの水準まで円安許容する?(1月調査)

 外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の1月調査を、1月23日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者71人が回答、調査期間は1月16~19日)。この間の為替レートは、対ドルが113円28銭~114円07銭。対ユーロが120円70銭~121円06銭でした。     トランプ米大統領の経済政策「大幅修正で公約実現」が半数 ドナルド・トランプ氏が1月20日に米国の第45代大統領に就任しました。世界が注目する就任式でトランプ大統領は「米国第一主義」を強調し、経済や外交などの政策は米国民の利益を最優先に決定すると演説。式典直後には、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱する方針を発表しました。「今後10年で2500万人の雇用を創出し、年4%の成長を取り戻す」という目標を掲げる新政権ですが、具体的な経済政策には乏しかったと受け止められ、同日の外国為替市場ではドル売りが優勢となりました。  就任直前のアンケート調査で、トランプ氏が掲げる大規模なインフラ投資や減税など積極財政の実現性をどう考えるかと聞いたところ、最も多かった回答は「大幅に修正のうえ公約実現」が49%、続いて「小幅に修正のうえ公約実現」が39%、「公約通り実現」が8%となりました。大幅に修正が入るとみる市場関係者が半数近くいると読める半面、9割以上が公約を実現すると考えていることがわかります。マーケットの期待通りに公約は実現されるのか、今後もトランプ新政権の動向から目が離せそうにありません。     FRBの2017年の利上げ、58%が「2回」と予想 米連邦準備理事会(FRB)は、2016年12月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりに0.25%の利上げを全会一致で決めると同時に、2017年に3回の利上げを想定するシナリオを公表しました。イエレンFRB議長は、米景気は拡大が続くとの見方を示しており、金融引き締め意欲を明確にしています。しかし、トランプ政権が掲げる財政拡張策には不確実性が残っているとし、追加利上げは今後数カ月の景気次第、とのシナリオ修正の可能性も示唆しています。  マーケット関係者にFRBは17年に何回利上げするかと質問したところ、最も多かったのは「2回」で58%でした。続いて「3回」が21%、「1回」が15%となりました。  また、米10年債利回りの17年の高安水準と年末水準を聞いたところ、平均値でそれぞれ高値(高金利)は3.02%、安値(低金利)は2.12%、年末水準は2.80%となりました。足元の米長期金利は2.32%~2.47%で推移しているため、年末に向けて上昇基調という予想が市場関係者の大方の見方のようです。   トランプ政権のドル高許容は「1ドル=123円71銭」まで 米大統領選挙の開票が進む中、トランプ氏が優勢と伝わるとリスク回避の円買いが膨らみ、円相場は一時1ドル=101円19銭近辺まで円高が進行。その後、トランプ氏が勝利演説で過激な発言を控えたため、過度の不安が後退したことから、ドルは買い戻しとなりました。トランプ氏の政策期待から米金利が上昇すると、日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いが継続。いわゆる「トランプ・ラリー」となり、2017年1月4日の大発会では一時118円台前半まで円安が加速しました。  しかし、1月11日のトランプ氏の米大統領選勝利後初の記者会見で、景気刺激策などの材料が出なかったことへの失望売りや、17日付の米紙のインタビューでのトランプ氏がドル高をけん制したことで円安・ドル高に一服感が見られます。ただ、米財務長官候補のムニューチン氏は公聴会で「強いドル政策」を踏襲すると発言するなど、早くも新政権の足並みがそろっていないほか、トランプ大統領の「ツイッター介入」への警戒感も残りそうです。  アンケート調査で、トランプ政権は対円のドル高をどの水準まで許容するか、と質問したところ、平均値は1ドル=123円71銭でした。市場関係者からは「内需を中心に成長ペースが加速し、雇用・所得環境の改善が継続する状況の下、ドル高のマイナス効果に焦点があたることにはならないとみている」との声も聞かれました。  また、2017年の円ドル相場の年末水準を聞いたところ、平均値は117円08銭でした。最高値(=円高・ドル安)は107円42銭で、最安値(=円安・ドル高)は123円12銭となりました。最高値は1月に、最安値は12月に付けるとの予想が多く、年末に向けて円安・ドル高が進行するという見方が市場関係者では多いようです。   為替変動要因は、金融政策から政治・外交へ   毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、1月末の平均値で1ドル=114円04銭で、12月調査(113円39銭)に比べて一段の円安水準となりました。6カ月後の6月末時点では115円89銭が予想されており、1カ月後の予想値に比べて円安・ドル高がさらに進む結果となりました。一方、予想レンジは100~130円と見通しの幅が大きく開きました。  今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は昨年9月調査では8割強を占めていた「金利/金融政策」が34%まで低下。その一方で「政治/外交」が32%まで上昇しています。ドルも「政治/外交」が前月調査から4ポイント上昇して68%となり、半面「金利/金融政策」は8ポイント低下の21%となりました。ユーロも「政治/外交」が55%で最も多く、「金利/金融政策」が15ポイント低下の23%となりました。2016年に注目が高かった金融政策に代わり、各国の政治・外交が今後の経済動向を握るカギとみる市場関係者が多いようです。   市場参加者の慎重姿勢が色濃く ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の44%から50%へと上昇する一方、「オーバーウエート」は4ポイント低下の40%、「オーバーウエート」は1ポイント低下の10%となりました。  また、為替ヘッジに対する当面のスタンスについては、「ヘッジ比率を上げる」が0%のままに対し、「ヘッジ比率を下げる」が33%から22%に低下。その一方で「現在のヘッジ比率を維持」が11ポイント上昇の78%となりました。米新政権の概要がまだ見えにくい中、市場関係者は様子見の姿勢を強めていることがうかがえます。  

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トランプ政権の誕生控え、企業は為替対応どうする? 製造業DIは上昇(1月調査)

製造業の業況判断DIが改善  日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している1月のQUICK短観(1月4~16日調査分、上場企業423社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス19となり、前月調査から5ポイント改善しました。非製造業DIは前回と同じプラス30となりましたが、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ3ポイント改善のプラス27となりました。    景況感は上昇に転じるも先行きは不透明?  QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つうえ、株価との連動性もみられるため、市場関係者に注目される指標です。QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感をより細かく読み取ることができます。  2016年12月14日に発表された12月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断DIがプラス10と前回調査から4ポイント上昇しました。大企業製造業の業況判断DIは3月にプラス6まで低下し、6月、9月と3期連続で底這い状態が続いていましたが、ようやく上昇に転じました。ただし、将来の業況を示す先行きDIはプラス8と、2ポイントの低下となりました。  一方、QUICK短観で製造業の業況判断DIをみると、2016年3月のプラス5を底に緩やかに上昇傾向をたどったものの、10月調査から3カ月連続で足踏み状態が続いていました。今回の調査では企業の景気に対する見方が改善したものの、今後はトランプ政権の動向しだいで企業のマインドが変化する可能性もあります。トランプ氏が米経済紙のインタビューでドル高をけん制すると、17日の外国為替市場で円相場が一時1ドル=112円台まで円高・ドル安が進行。円高がさらに加速すれば輸出企業の業績への悪影響が懸念され、景気の先行きに対して悲観的な見方が増えるかもしれません。   【QUICK短観・製造業の業況判断DIの推移】 2016年1月・・・・・プラス13    2月・・・・・・プラス10    3月・・・・・・プラス5    4月・・・・・・プラス8    5月・・・・・・プラス7    6月・・・・・・プラス9    7月・・・・・・プラス7    8月・・・・・・プラス8    9月・・・・・・プラス10    10月・・・・・・プラス14    11月・・・・・・プラス14    12月・・・・・・プラス14 2017年1月・・・・・・プラス19   非製造業の雇用不足が悪化、円安による仕入れ価格が急騰  生産・営業用設備の現状について全産業ベースの「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、前月に比べて不足が拡大。2ポイント悪化するマイナス5となりました。非製造業もマイナス10で、12月調査分のマイナス8からマイナス幅が拡大し、一段と不足感が高まっています。  雇用人員について、「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、全産業ベースでマイナス36でした。こちらも前月に比べて不足感が悪化しています。非製造業はマイナス51となっており、非製造業における雇用不足はさらに深刻な状況を示唆しています。  販売価格と仕入価格の現状は、「上昇」から「下落」を差し引いた販売価格DIについては金融を除く全産業でマイナス5となり、前月に比べて1ポイント上昇。対して仕入価格DIは、金融を除く全産業でプラス20となり、前月比で11ポイントも上昇しました。仕入価格が円安の影響で急騰する一方で、販売価格への転嫁が追い付いていない状況が伺われます。   為替変動の対応について従来通りが9割、「為替予約は利用しない」が半数超    1月の特別調査では目先の為替変動の対応と、日本版スチュワードシップ・コードをふまえた投資家との対話の2点について質問しました。「2016年は為替市場が大きく変動。目先の為替変動に対して、どのように対応する見込みですか」と質問したところ、従来と同じスタンスとの回答が9割超を占め、目先については静観の構えのようです。また、「従来と同じように為替予約は利用しない」が58%と半数を超え、続いて「従来と同じ比率で為替予約を利用する」が34%となりました。  日銀短観の12月調査によると、大企業・製造業の2016年度下期の想定為替レートは1ドル=103円36銭と、足元のレートとはまだ大きな開きがあります。しかし、トランプ氏はドル高をけん制するだけでなく、大統領選挙勝利後の初会見で中国や日本に対する貿易赤字に対して不満を述べました。赤字削減のためにドル安政策をとることになれば円高・ドル安が進む可能性もあり、企業も対応を迫られるかもしれません。     日本版スチュワードシップ・コード」2社以上と対話した企業が7割  機関投資家に企業との対話を促す「日本版スチュワードシップ・コード」が制定されて間もなく3年が経過することから、「貴社は投資家と実際に対話することはありましたか」と質問。「2社以上と対話した」が70%を占めて最も多くなったものの、次いで「コンタクトすらない」が15%と続きました。ルールを遵守することで企業価値の向上や、株式投資の効率性改善につながると期待する企業が多く、日本の企業統治改革は進んでいるといえそうです。また、金融庁では運用会社が投資先としっかり対話できているかの監視を求めるなど、より実効性を高める改定案を3月末をめどにまとめるとしています。

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上場企業、為替予約の利用は4割 新規に利用検討は4% QUICK短観

上場企業、為替予約の利用は4割 2017年1月のQUICK短観 日本の上場企業が2016年に為替予約を利用した割合は約4割だと19日、わかった。国内から海外に製品を輸出する企業、国内販売のために海外から輸入する企業にとって、為替予約は円相場の乱高下による業績変動のリスクを抑える。2017年から新規に為替予約の利用を検討する企業は全体の4%だった。 QUICKが上場企業にアンケート調査する2017年1月の「QUICK短期経済観測調査」で明らかになった。東証1部や2部の大規模企業、マザーズやジャスダックに上場する新興企業など344社が回答した。 製造業では為替予約を利用する企業は55%だった。そのうち13%は2017年では従来より為替予約の比率を高めると回答した。一方、非製造業では為替予約の利用は26%にとどまった。2017年も従来通り為替予約を利用すると答えたのは全体の34%、今まで通り為替予約を利用しない企業は58%だった。 2016年は外国為替市場で円相場は対ドルで1ドル=99円の円高水準から1ドル=121円の円安水準まで変動した。英EU離脱や米大統領選、日銀の金融政策決定会合などのイベントで大きく円相場が揺れ動いた。  企業にとって為替相場の変動による業績への影響は大きい。トヨタ自動車は対ドルで円相場が1円円高に進行すると年間の営業利益が400億円、富士重工業は100億円の利益押し下げ要因となる。 為替予約を利用すると急激な円相場の変動によるリスクを抑えられる。一方、為替予約をすると円相場の変動によるリターンも小さくなる。為替の変動による恩恵を受けようとしてあえて為替予約を利用しない選択肢もある。  長期の為替予約を利用する企業ではファーストリテイリングやニトリホールディングスなどが有名だ。 上場企業、機関投資家との対話は2社以上が7割 スチュワードシップ・コードが促す 上場企業の機関投資家との対話が活発化している。2016年までに2社以上の機関投資家と実際に対話した上場企業は7割だと19日、わかった。機関投資家の行動規範を定めた「日本版スチュワードシップ・コード」が2014年に導入されて3年目に入った。株主と経営者の建設的な対話が充実していけば日本企業の中長期的な成長にもつながりそうだ。 2017年1月の「QUICK短期経済観測調査」で明らかになった。「スチュワードシップ・コード」に関する質問には356社が回答した。 東証1部や2部の大規模企業では2社以上の機関投資家と対話したのは8割に達した。新興企業で2社以上と対話したのは43%だった。アンケートでは「面談では長期的な視点が増えてきた」との声があった。 一方で、機関投資家からコンタクトはあったものの対話に至らなかったのは全体の7%だった。機関投資家からコンタクトさえなかったのは全体の15%あった。大規模企業でも9%は機関投資家から対話を求められていない。「コードは原理主義的で会社にも投資家にもマイナスが大きい」との批判もあった。 金融庁は2017年に「スチュワードシップ・コード」を改訂する。機関投資家の株主総会での議決権行使の結果を原則は個別に開示を求める方針だ。機関投資家の行動を透明化し、機関投資家にとって最終的なお金の出し手の一般の労働者などの利益の向上を目指す。 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

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小売進化の最前線…「歯医者さん」よりも多いコンビニ業界をおさらい

地域に根差したサービスステーション…「歯医者さん」よりも多い コンビニエンスストアは全国に5.5万店舗(10月時点)もあり、成熟産業と思われがちです。しかし実は着々とパワーアップを続けています。例えば、コンビニに設置してあるATMでの取引は今や当たり前ですが、銀行に行かずに現金の引き出しや振り込みができることは当時、画期的でした。さらにサービスの内容は宅配便の発送、公共料金の支払い、ネット通販で発注した商品の受け取りと、とどまるところを知りません。 最近では行政との連携も加速し、公共的な役割も大きくなっています。マイナンバーカードを利用すれば住民票の写しや印鑑登録証明書を店舗によっては土日祝日、早朝から深夜まで取得できます。ローソンについては一部店舗ではあるものの、医薬品の販売や店舗での「出前検診」などを実施しました。 業態は異なりますが、総数からコンビニとの比較対象によく挙がる歯科医院はどうでしょうか。診療所の数こそ約6.9万医院(9月時点)とコンビニを上回りますが、提供するサービスの種類は比になりません。コンビニは銀行や役所、病院などを結ぶ地域に根差したサービスステーションといえます。     セブン一人勝ち状態 経済産業省の調べによると、コンビニの年間売上高は2009年に百貨店を上回り、15年には初の10兆円の大台を突破するなど拡大傾向です。市場規模はスーパーには及びませんが、小売業全体の7%を占有しています。 16年2月時点の業界トップはセブン―イレブンで一人勝ち状態が続いています。店舗数は1万8572店とローソンの1.5倍程度ですが、2016年2月期の国内全店舗の売上高は4兆2910億円とローソンの1.8倍です。競合他社より平均客単価が高く、1店舗あたりの日々の販売額が多いことがプラス寄与しています。 セブン―イレブンが消費者に選ばれる理由は、欲しい商品がいつでも必ず手に入る環境を意図的に生み出しているからでしょう。各店舗は商機を逃さないよう積極的に商品を発注します。一般にコンビニの場合、お弁当やパンなど日持ちしない食品を数多く扱っているため、廃棄ロスを最小限に抑えたいフランチャイズチェーン(FC)のオーナーは大量発注に及び腰になりがちです。しかし、セブン―イレブンは廃棄損失分の15%を本部が負担する制度があり、これが大胆な発注を生み出す一因となっています。他社もこの制度の導入に追随しています。 直近ではファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合。ユニーグループの傘下にあったコンビニ「サークルK」と「サンクス」を順次ファミリーマートのブランドに一本化する方針です。これにともない、ファミリーマートの店舗数は1万8140店舗に拡大し、業界4位から2位に浮上。首位のセブン―イレブンの1万9166店舗に肉薄する勢いです(16年11月末時点)。        コンビニから人がいなくなる? コンビニ業界では現在、金融業への参入が相次いでいます。ローソンは銀行業に参入するための準備会社を設立しました。利便性を高めて消費者を囲い込みたいのでしょう。流通業としてはセブン&アイ・ホールディングスのセブン銀行、イオングループのイオン銀行に続き3社目になります。銀行業だけでなく保険など幅広く金融ビジネスを手掛けています。小売業と金融業の垣根がなくなり、1カ所でいろいろなサービスを受けられるワンストップサービス化が進んでいます。 コンビニのワンストップサービスはさらなる発展を遂げようとしています。12月7日付けの日本経済新聞によると、米アマゾン・ドット・コムがコンビニ市場に参入するそうです(動画あり https://www.amazon.com/b?node=16008589011)。その名も「Amazon Go」。スマートフォンでの電子清算を活用した会計不要の店舗らしいです。2017年早々には展開するとのことです。日本でもアマゾンタイプの店舗が登場するかもしれません。実際、ローソンはパナソニック(6752)と提携し、無人レジを来年度から導入するそうです。イノベーションを続けるコンビニ業界は今後も要注目でしょう。  

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2017年の日経平均の最高値予想2万1600円台 リスク要因は「米国の経済政策を巡る混乱」(1月株式調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の1月調査を1月16日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者154人が回答、調査期間は1月10~12日)。調査期間中の日経平均株価は1万9069円02銭~1万9484円90銭の範囲内で推移しました。  2017年の大発会(1月4日)の日経平均は、昨年末比479円高の1万9594円16銭と大幅な上昇となりました。大発会の上げ幅としては1996年に付けた749円(3.8%)高以来、実に21年ぶりとなる大きさです。株価上昇の主な要因は円安と堅調な米国景気です。外国為替市場で円相場が1ドル=118円台前半まで下げ幅を拡大し、輸出関連株に買いが入りました。また、トランプ次期米大統領の経済政策への期待が、米国での長期金利の上昇やドル高、株価の上昇につながりました。 しかし、トランプ次期米大統領は11日、大統領選勝利後に初の記者会見を開きましたが、市場が注目していた経済政策についてほとんど語られなかったため、失望感が広がりました。これを受け、ドル売りが加速し一時は114円25銭と2016年12月9日以来、およそ1カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けました。12日の日経平均は下げ幅が300円に迫る場面もあり、前日比229円97銭安の1万9134円70銭まで急反落しました。翌13日には外国為替相場での円高一服を受け、日経平均は買い戻しが進みましたが、今後もトランプ次期大統領の動向を注視していく必要がありそうです。 企業業績の増益予想は8割強 年間最高値予想は2万1605円  今回のアンケート調査で、2017年度の日本のGDP成長率を予想してもらったところ、実質成長率は1.15%、名目成長率は1.57%でした。また、2017年末の日米の10年国債利回りの予想は、日本国債が0.177%、米国債は2.756%でした。2017年末の為替レートの予想は、1ドル=117.2円、1ユーロ=122.8円でした。日米の長期金利の上昇を見込む向きが目立ちました。  2017年度の企業業績(金融を除く上場企業、経常利益)については、「10~20%の増益」が最多の56%、次いで「1桁の増益」が27%となり、増益の予想が8割強を占めました。  また、2017年の株式相場の予想を聞いたところ、日経平均の最高値は2万1605円で、最安値は1万7778円でした。株価が最も高くなる時期は「12月」との予想が多く、次いで多かったのは「6月」でした。高値の時期を12月と回答した平均値は2万1956円となりました。ドル高・円安進行による業績回復期待から、株価の上昇につながるという見方が、大勢を占めているようです。  半面、最も安くなる時期は「8月」で、安値の時期を8月と回答した平均値は1万7248円という結果でした。      2017年の最大のリスク要因について聞いたところ、「米国の経済政策を巡る混乱」が最も多く全体の45%を占めました。トランプ次期米大統領が5日、自身のツイッターでメキシコに新工場を建設するトヨタ自動車を批判すると、6日の東京市場でトヨタは一時、前日比3.1%まで値下がりするなど、メキシコに工場を持つ日本の大手自動車株が軒並み下落。日本の経済界には懸念が広がりました。他のリスク要因は「欧州の政治的混乱」(21%)、「為替レートの急激な変動」(10%)となりました。「当面は米新大統領の一挙手一投足と、それにともない米長期金利及び為替市場がどう動くか、ということが最大の要因であろう。その後は、欧州の政治的混乱がこれにとって代わるのでは」とみている市場関係者も多いようです。       日経平均の見通しはさらに上方シフト  1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万9395円となり、前回調査の1万8617円に比べて大幅に上方シフトしました。1カ月後の予想が1万9000円以上を付けたのは2015年12月調査以来、1年1カ月ぶりのことです。  今後6カ月程度の株価変動要因として「景気・企業業績」と回答した人が30%と最も多かったものの、トランプ政権の誕生を目前に控えて「政治・外交」(前回15%→26%)に注目する人が大きく増える一方で、「為替動向」(同28%→20%)は減少しました。  また、今後6カ月程度を想定して最も注目している投資主体としては、「企業年金・公的資金」と「事業法人」が微増したとはいえ、「外国人」が91%と圧倒的多数を占めています。  国内投資家、様子見ムードながら強気姿勢も  国内の資産運用担当者63人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、12月調査から「ややオーバーウエート」(40%→35%)と「かなりオーバーウエート」(6%→4%)が低下する一方で、「ニュートラル」(42%→44%)、「ややアンダーウエート」(8%→10%)、「かなりアンダーウエート」(4%→6%)が上昇し、現状の投資スタンスは様子見ムードが強まっているようです。  しかし、当面のスタンスについては、12月調査から「現状を維持する」が70%から64%に低下した一方、「やや引き上げる」が17%から21%、「かなり引き上げる」が2%から4%に上昇しています。企業業績の拡大期待を背景に、資産運用担当者の間には積極的な投資スタンスに転換する動きもみられました。

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全産業DIがプラス圏浮上、製造セクター軒並み改善(2016年12月)

全産業DI、プラス圏へ改善 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年12月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス16となり、前月(マイナス1)から17ポイント改善しました。プラス圏に浮上するのは2015年10月以来、1年2カ月ぶりになります。特に製造業DIは3カ月連続で改善。プラス26と前月(マイナス3)から29ポイントの大幅改善となり、全体の業績見通しの押し上げに寄与しました。非製造業DIはプラス4と前月(プラス1)から改善しました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。 DIがプラスに転じたということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 全産業DIの過去の推移をみると以下の通りになります。 8月・・・・・・ 16 9月・・・・・・ 10 10月・・・・・・ 3 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・▲3 1月・・・・・・▲3 2月・・・・・・▲20 3月・・・・・・▲30 4月・・・・・・▲30 5月・・・・・・▲33 6月・・・・・・▲36 7月・・・・・・▲34 8月・・・・・・▲27 9月・・・・・・▲27 10月・・・・・・▲18 11月・・・・・・▲1 12月・・・・・・ 16 最も悪化した6月のマイナス36から徐々に改善傾向をたどると、10月から回復基調が明確になり、12月にはプラス圏まで戻し、2015年8月の水準まで改善しました。その背景として、9月下旬以降から円安・ドル高が進んだことが挙げられます。円安進行で輸出関連企業を中心に収益改善期待が高まり、コンセンサスDIの大幅改善につながりました。 非鉄金属など、マイナスからプラスに大幅改善 業種別のDIをみると、16業種中、プラスは11業種になり、前月の8業種から増加しました。前月からのDIの動きを業種別に見ると、以下のようになります。 ↑プラスが拡大・・・・・・・・・・・・「機械」「建設」「情報通信」「卸売」 ↑マイナスないしゼロからプラスに転換・「化学」「非鉄金属」「電機」「輸送用機器」「銀行」 ↑マイナスが縮小・・・・・・・・・・・「小売」 ↓プラスが縮小・・・・・・・・・・・・「食料品」「医薬品」 ↓プラスからゼロに縮小・・・・・・・・「不動産」 →ゼロで横ばい・・・・・・・・・・・・「その他金融」 ↓プラスないしゼロからマイナスに悪化・「サービス」 ↓マイナスが拡大・・・・・・・・・・・「鉄鋼」 業種別にみると、改善の兆しを示す業種が多くなっています。「プラスが拡大」から「マイナスが縮小」までを改善の兆しをみせている業種であると考えると、合計で10業種が改善していると言えそうです。特にマイナスからプラスに転換したセクターでは、「非鉄金属」が70ポイント、「輸送用機器」は49ポイントなど、大幅な改善がみられました。 次に、DIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。 過去一年間の製造業のDIは、 1月・・・・・・▲11 2月・・・・・・▲35 3月・・・・・・▲48 4月・・・・・・▲47 5月・・・・・・▲47 6月・・・・・・▲48 7月・・・・・・▲49 8月・・・・・・▲45 9月・・・・・・▲38 10月・・・・・・▲25 11月・・・・・・▲3 12月・・・・・・ 26 これに対して非製造業DIは、 1月・・・・・・・8 2月・・・・・・▲3 3月・・・・・・・1 4月・・・・・・▲1 5月・・・・・・▲9 6月・・・・・・▲18 7月・・・・・・▲15 8月・・・・・・▲7 9月・・・・・・▲15 10月・・・・・・▲10 11月・・・・・・・1 12月・・・・・・・4 でした。 製造業、非製造業ともに改善傾向を示しており、特に製造業は11月のマイナス3から、12月にはプラス26と大幅な改善がみられます。これはトランプ次期米大統領の政策期待による円安進行が背景とみられます。もちろん期待先行の側面もあり、円安・ドル高の反転リスクには目を配る必要もありそうですが、非製造業も改善基調にあることで、全体業績見通しは底堅さを増しているといえます。1月下旬以降の業績公表段階で企業側がどの程度、明るい見通しを示すかどうかが当面の注目ポイントになりそうです。 ディスプレー企業に前向き評価 銘柄数の内訳は、「強気」が149銘柄で、「変化なし」が179銘柄、「弱気」が82銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップすると、下記のようになります。  <上方修正率の大きい銘柄> 1位 JDI(6740)・・・・・・・・628.05% 2位 シャープ(6753)・・・・・・・146.93% 3位 太陽誘電(6976)・・・・・・・101.99% 4位 新電工(6967) ・・・・・・・・66.60% 5位 SUMCO(3436) ・・・・・・66.15%  <下方修正の大きい銘柄> 1位 コロプラ(3668) ・・・・・・▲51.95% 2位 アンリツ(6754) ・・・・・・▲47.55% 3位 サイバダイン(7779) ・・・・▲46.96% 4位 リコー(7752) ・・・・・・・▲41.87% 5位 カシオ(6952) ・・・・・・・▲26.48% 3カ月前比で、純利益の上昇修正率が最も大きかったのはJDIで628.05%。産業革新機構から750億円の資金支援を受けることが決定し、スマホ向けの中型有機ELパネル事業の拡大が期待されています。JDIと同じく再建途上にあるシャープが2位に入っており、台湾・鴻海精密工業の傘下で、テレビ用の大型液晶パネルに注力する方針を明らかにしています。両社の生き残りを賭けた動きが活発になってきたといえそうです。 (ライター・下村祥子)

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2017年の長期金利の上昇余地は限定的? トランプ政策や日米金融政策に注目(12月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の12月調査を1月4日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者142人が回答、調査期間は12月27~29日)。この間の国内金利は、新発10年物国債の利回りが0.035~0.060%で推移しました。 2016年は、英国のEU離脱(ブレグジット)決定やドナルド・トランプ次期米大統領の誕生など、結果が市場の事前予想に反したイベントが相次ぎました。しかし、決定直後の激震から大きな混乱が広がるのではといった不安をも覆し、市場が落ち着きを取り戻すのが早かったのも特徴的でした。米大統領選での勝利を起点とした「トランプ・ラリー」以降、日経平均株価も上昇トレンドに入っていますが、1月20日のトランプ大統領就任後の政策運営には、期待と共に不透明な要素も大きく、持続性については半信半疑という見方も多いようです。また、2017年には欧州各国の総選挙ラッシュが待っており、一時的にしても波乱を引き起こす可能性があり、日本国内の金利への影響も少なからずありそうです。 こうした状況を踏まえ、今回の特別調査では、2017年の相場見通しや有望と思われる投資対象について、債券市場関係者の見方を聞いてみました。 日本の長期金利の上昇余地は限定的? 2017年の各マーケットについて、最高値(最高利回り)、最安値(最低利回り)の予想を聞きました。ちなみに2016年12月30日時点の数字は次のようになります。 ・日本新発10年国債利回り(%)  =0.045% ・日本新発20年国債利回り(%)  =0.580% ・米国10年国債利回り(%)    =2.481% ・ドイツ10年連邦債利回り(%)  =0.175% ・日経平均株価(円)       =1万9114円37銭 ・円ドルレート(円)       =117円03~06銭 ・原油価格(WTI先物)(ドル) =53.77ドル 日本国債の10年物の最高利回りの予想は単純平均で0.178%、最低利回りはマイナス0.037%となりました。同様に日本国債の20年物はそれぞれ0.811%、0.424%、米国債は2.956%、2.182%でした。 2016年の国内の債券相場を振り返ると、日銀が1月29日の金融政策決定会合で「マイナス金利政策」の導入決定後、2月9日午前に10年物国債の金利が初の0.00%をつけ、午後にはマイナス0.010%をつけました。長期金利がゼロ%を下回るのは、スイスに次ぐ2例目です。そして、日銀は9月21日に新たに「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、金利を「ゼロ%程度」に抑えるという誘導目標を掲げました。11月15日には長らくマイナス圏にあった長期金利は、約2カ月ぶりに0.00%まで上昇し、その後プラスに転じました。しかしこれは、米大統領選でトランプ氏の勝利を受けた米金利上昇が日本などの主要国にも広がったという見方が大きいようです。2017年も海外からの上昇圧力は強いものの、日本国債の大幅な上昇は想定しがたく、再びマイナス圏への低下を予想する声も少なくないようです。 一方、米国の金利上昇の背景にあるのは、トランプ氏の積極財政路線です。成長期待や財政赤字への警戒から米金利が大幅に上昇しました。年末にかけて金利上昇は一服していますが、前述の通り、1月のトランプ大統領就任後の先行きは不透明です。政策期待が徐々に剥落することでの金利低下や、保護主義的な貿易政策による周辺諸国への影響などの警戒感もあります。低成長時代にあって利上げが加速するというシナリオも想定しづらく、金利上昇は限定的との見方が市場関係者では多いようです。 独連邦債は最高利回り予想が0.578%、最低利回りは0.073%となりました。日経平均株価は高値が2万1266円、安値は1万7290円となりました。円ドルレートは、円の高値が1ドル=108.1円、安値は123.0円の予想。原油価格(WTI先物)は高値が1バレル62.0ドル、安値は43.7ドルでした。 欧州でもポピュリズム(大衆迎合)の台頭がうかがえ、2017年に勢いを増す懸念があります。脱EUの流れがフランスなどにも広まれば、欧州発の金融不安を引き起こす不安も少なくありません。それによって、世界の相場が大きく動く可能性もあります。 原油については、11月30日にサウジアラビアがイランに歩み寄り、8年ぶりとなるOPEC(石油輸出国機構)での減産合意を受け、米国の金融市場で原油価格が急騰しました。12月にはロシア、メキシコなど非加盟産油国も原油の協調減産で一致しました。これによりさらに原油価格は急伸し、今後の原油市場の需給改善の後押しをするとみられています。また、中国をはじめとするアジア、その他の新興国・地域においても、トランプ次期米大統領の政策は、追い風にも逆風にもなるとみられています。米ドル高を受けて、アジア通貨は相対的に安くなり、輸出拡大への期待がふくらむ一方、トランプ氏の保護主義政策による世界貿易の停滞など、悪影響を指摘する声も聞かれます。他にも移民・外国人流入制限など、様々な警戒感が拭えません。 2017年のマーケット動向を占う上で、やはりトランプ次期米大統領の政策動向が鍵になるのは間違いないでしょう。インフラ投資や大幅な企業減税などを柱とする景気刺激策などの、政策の具体化という現実を見極めることになります。さらに、それが世界経済にどのような影響を及ぼすか、過激なプランが実行されるのか、現実路線に修正されるのか、こうした点が注目ポイントになりそうです。 トランプ政策の見極めで、FRBの利上げシナリオ修正を予想 米連邦準備理事会(FRB)は12月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、1年ぶりに0.25%の利上げを全会一致で決めました。同時に公表した政策金利見通しでは、2017年中に3回の利上げを中心シナリオとし、引き締めペースの加速を見込んでいると発表しました。一方、市場関係者の予想は、FRBの利上げ回数について「2回」との回答が67%で最も多数を占めました。次いで「3回」は20%となりました。 イエレン議長は会見で、トランプ次期米大統領の政策に応じ、利上げのシナリオを修正していく可能性も示唆していますので、今後もFOMCの動向に注目が高まりそうです。 2017年の日銀の金融政策の方向について聞いたところ、「現状維持」の予想が69%と大多数を占めました。「緩和縮小(引き締めも含む)」が27%、「追加緩和」は4%でした。金利をゼロ%近辺に抑える、日銀のイールドカーブコントロールが当面続くとの見方が大勢を占めているようです。 根強い先進国株への投資期待、米国債も人気 2017年に最も有望と思われる投資対象は何かを挙げてもらったところ、有効回答数137人のうち39人(28%)が「外国株(先進国)」と回答しました。次に「国内株」が37人(27%)、「米国債」が29人(21%)で続きました。先進国の株式が根強い人気ですが、債券については米国債を推す声が大勢を占めています。現時点で緩和方向にある日欧と比べて相対的に利回り水準の高い米国債は投資妙味の面でも有望な投資先とみられているようです。 海外の金利動向に引き続き注目 毎月定例の相場見通しの調査では、国内債券市場でもう一段の金利上昇観測が強まり、新発10年国債の金利見通しは、1カ月後が0.055%、3カ月後が0.063%、6カ月後が0.067%と、マイナス圏から脱した11月調査分(0.029%、0.026%、0.028%)に比べて、いずれも上昇しました。 一方、新発5年国債は、1カ月後がマイナス0.083%、3カ月後がマイナス0.080%、6カ月後がマイナス0.079%、新発2年国債は、1カ月後がマイナス0.168%、3カ月後がマイナス0.166%、6カ月後がマイナス0.161%というように、いづれもマイナス金利が継続するとの見方のようです。 今後、6カ月程度を想定した最も注目される債券価格変動要因としては、「海外金利」が11月調査分の43%から変わらず最も多くの注目を集めています。対して10月調査分では69%とダントツで注目されていた「短期金利/金融政策」は、11月調査分の42%から34%へと徐々に低下しています。 同じく今後6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞いたところ、他の投資主体に比べて注目度が高い「政府・日銀のオペレーション」が最も多く、59%となりました。また、「生損保(年金除く)」の注目度もゆるやかに上昇しています。 国債組み入れ比率、「オーバーウエート」比率やや高まる ディーリング部門を除く資産運用担当者73人を対象に、現在運用しているファンドについて、国内債券の組み入れが、通常の基準と比べてどのようになっているのかを聞いたところ、11月調査分に比べて「ニュートラル」、「ややオーバーウエート」が上昇。対して「ややアンダーウエート」が低下しました。「かなりアンダーウエート」が微増していますが、全体としては、現状維持のスタンスが多数を占めるムードだったようです。 また国内債券の組み入れ比率について、当面のスタンスとしては「かなり引き上げる」の回答比が0%、「かなり引き下げる」が2%で変わらず、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」がやや低下。やや上昇した「現状を維持する」が73%で大勢を占めました。 デュレーションについて、現在が通常の基準に比べてどのようになっているのかについては、11月調査分に比べて「やや長い」、「やや短い」が低下。「ほぼ基準通り」が上昇しています。「かなり長い」、「かなり短い」はやや上昇となりました。 当面のデュレーションについては、「現状を維持する」が82%で大勢を占めました。ポジションをいずれか一方に大きく傾けにくく、様子見ムードが強まりそうです。 (ライター・下村祥子)

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香港株、来年はハンセン指数2万6500台まで上昇か 中国経済の回復で

 QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。 (※この記事は2016年12月19日にQUICK端末で配信した記事です。)  2016年も残りわずかとなったことで、香港株と中国人民元建てA株のパフォーマンスを総括したい。今年年初から12月13日大引けの時点で、香港株式市場のハンセン指数は2.4%上昇した。可もなく不可もなし、といったところだ。一方、同期間にハンセンH株(中国本土企業株)指数は0.6%の上昇で、ハンセン指数を下回るパフォーマンスだった。これは中国の人民元建てA株の影響を大きく受けたためである。  (出所:QUICK) 中国経済は回復している  中国株式市場の上海総合指数は年初から12月13日大引けまでに10.9%下落した。もっとも、2017年は中国A株のパフォーマンスが今年を上回るだろう。主な要因は中国経済が回復の様相を呈することで、企業収益の増加が加速するとみられるためである。中国国家統計局が発表したデータによれば、今年1~11月の固定資産投資は前年同期比8.3%増だった。このうち、低迷が続いていた民間投資が同3.1%増と、1~10月から0.2ポイント伸びが拡大し、投資全体の61.5%を占めた。産業別では、第1次産業が21.9%増、第2次産業が3.3%増、第3次産業が11.3%増だった。第3次産業のうち、インフラ投資が18.9%増、ハイテク産業投資が15.9%増で、いずれも固定資産投資全体の伸びを上回った。  一方、過熱する不動産市場に対する中国政府による引き締め強化により、1~11月の全国の分譲物件の販売面積は前年同期比24.3%増と、増加率が1~10月から2.5ポイント縮小した。販売額の増加率は37.5%増と、3.7ポイント減速。もっとも、不動産開発投資は6.5%増と、1~10月からわずか0.1ポイントの減速にとどまった。不動産開発企業による土地購入面積は4.3%減で、減少幅が1~10月から1.2ポイント縮小した。土地の成約額は21.4%増加し、1~10月から増加率が4.7ポイント拡大した。これらは不動産開発企業が引き続き積極的に土地の保有を増やしていることを示唆する。全国の分譲物件の売り出し面積は11月末時点で6億9000万平方メートルで、10月末時から427万平方メートル減少した。9カ月連続で減少し、引き続き在庫調整が進んでいることが示された。   一方、11月の社会消費品小売総額は前年同月比10.8%増だった。増加率は10月と比べ0.8ポイント拡大。市場予想は10.2%増だった。1~11月の累計では前年同期比10.4%増で、1~10月から0.1ポイント拡大。また、全国のインターネット販売小売額が26.2%増と1~10月から0.5ポイント加速し、中国の全体的な消費が引き続き安定していることが示された。一方、11月の全国の一定規模以上(年間の主要業務収入2000万元以上)の企業による工業生産は前年同月比6.2%増で、伸びは10月から0.1ポイント加速した。ハイテク産業が10.6%増、設備製造業が10.5%増と、全体を上回るピッチで伸び、工業セクターの産業構造が引き続き高度化していることが示された。対外貿易では、11月の輸出入総額が前年同月比8.9%増だった。このうち、輸出額が5.9%増と、3.4%減だった10月から顕著に回復した。輸入額は13%増で、増加率が10月から9.8ポイント拡大した。  他方、11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.3%上昇した。上昇幅が10月から0.2ポイント拡大し、インフレ傾向の強まりを示した。1~11月のCPIは前年同期比2%上昇し、中国政府が設定した3%のインフレ目標にはまだ遠い。11月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比3.3%上昇と、上昇幅が10月から2.1ポイント拡大した。また、1~11月では前年同期比2%減と、減少幅が1~10月から0.5ポイント縮小。工業セクターでデフレが徐々に後退し、企業の収益改善につながりつつあることが示された。1~10月の全国の工業セクターにおける一定規模以上の企業の利益は前年同期比8.6%増と、増加率が1~9月から0.2ポイント拡大した。また、工業企業(一定規模以上)の主要営業収入100人民元当たりのコストは85.85元と、前年同期から0.17元低下した。主要業務利益率は5.71%と、前年同期から0.25ポイント上昇した。さらに、工業企業(一定規模以上)の負債比率は10月末時で56.1%と、前年同月から0.7ポイント低下。完成品在庫は前年同月比0.3%減となり、連続7カ月減少した。 PMIは4カ月連続で景気拡大期を示す  今後の展望に関しては、中国の製造業の見通しは引き続き良好だ。11月の中国政府発表の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7と、4カ月連続で景気拡大期を示した。一方、同月の財新中国製造業PMIは10月から0.3ポイント低下して50.9。もっとも、2014年7月以来の高い水準は維持しており、5カ月連続で景気拡大期を示している。  全体的に見て、データはいずれも中国経済の回復を示唆している。(各データの)増加ピッチが全般に加速傾向にあり、それにより企業収益が改善しつつある。一方、中国政府が不動産市場に対する過熱引き締めを実施することで、不動産市場から株式市場への資金の流入が促進される見通しで、このことは株式市場に有利となるだろう。また、第19回中国共産党全国代表大会(略称は19大)が来年秋に開催される予定で、多くの改革措置が打ち出される見通しであることから、このことも株式市場にとってプラスとなるもようだ。 上海総合指数は2割超の上昇余地がある   バリュエーションの改善が進み投資家のリスク選好が強まるとの予測から、筆者個人としては、上海総合指数の目標値を3880に設定する。この予測目標が実現する場合、上海総合指数に2割超の上昇余地があることになる。一方、ハンセン指数については目標値を2万6500、ハンセンH株指数は1万1800に設定する。それぞれ足元の水準から2割前後の上昇余地があることになる。  (出所:QUICK)  本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるルイス・ウォン氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。 

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どう見る金融庁の森改革②フィデリティ・三瓶氏「情報開示の新規制で海外から信頼」

金融庁の森信親長官の改革の中でも企業が関心を寄せているのが情報開示の新ルールだ。企業がアナリストなど特定の人に未公表の情報を提供した場合、他の投資家にも情報が伝わる「フェア・ディスクロージャー・ルール」の策定が進んでいる。新ルールはいったいどんなものなのか。金融審議会で策定中のルールのたたき台などを提出しているフィデリティ投信の三瓶裕喜・調査部長に聞いた。(QUICK端末で2016/12/09に配信された記事です)   明らかに異質だった日本の慣行 ――新ルールの策定が急ピッチで進んでいます 「2014年4月に金融商品取引法改正され、インサイダー取引について会社関係者による重要事実の伝達に規制が導入された。その後、証券会社のアナリストが企業の未公表情報を入手し顧客に伝達した件で金融庁が業務改善命令を出した事件が起きた。企業からは情報開示についてのルールを求める声が多く出ていた」 ――「フェア・ディスクロージャー・ルール」とはいったいどんなものでしょうか。 「上場企業が株価に影響するような未公表の情報をアナリストなどに提供した場合、ホームページなどで速やかに情報開示を促すルールだ。欧米にはすでに存在する仕組みでこれまで日本になかったのが問題だった」 「決算情報を証券業界の関係者などに事前に伝えるようなかつての日本の慣行は世界から見て明らかに異質だ。日本企業が海外投資家に信頼して投資をしてもらうためにも新ルールは必要だろう」 「証券会社のアナリストも取材に及び腰」 ――新ルールにより企業が委縮して情報開示に消極的になるのではないでしょうか。 「金商法の改正などで現場は混乱しており、証券会社のアナリストも取材に及び腰になってしまっている。何が良くて何が問題なのかを示す必要がある。新ルールは『未公表の確定的な情報』で投資判断に重要な影響を及ぼすものを対象とし、基本的には決算情報が該当する。インサイダー取引規制は軽微基準があるため、決算情報でも規制の対象外になりかねない」 「新ルールのもとでいくつもの事例を重ねていき、投資家と企業がより良い情報開示の仕組みを作っていけば良い。企業が過度に消極的にならないようにするため、現時点では課徴金などは考えられていない。経営者が決算の情報を事前に話してしまった場合、企業は速やかに情報を開示すればよい。また、情報を受け取った人も、重要だと判断した場合は企業に情報開示を促す必要がある」 企業は「確定した情報は社内でとどめず、素早く開示するのが重要」 ――企業側からは詳細なガイドラインが欲しいとの声があります 「細かいルールを作ると制度が画一化、形骸化してしまう恐れがある。新ルールは原則を指し示すものにとどまるのではないか」 ――企業は情報開示とどう向き合うべきでしょうか。 「確定した情報は社内でとどめず、素早く開示するのが重要だ。企業の規模が大きいほど重要な情報を知る人が増えて、どこかに漏れる可能性が高まる。海外のグローバル企業でも数字が固まり次第に決算を発表、詳細な説明をその後にするなど情報管理に気を使っている」 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

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どう見る金融庁の森改革①カブコム・齋藤社長「より大衆向けの金融政策に」

 金融庁が業界を大きく改革しようと動いている。就任2年目の森信親長官のもと、金融機関が顧客本位の運営をするように促し、公正な情報開示や私設取引所システム(PTS)の規制緩和にも動く。個人の金融資産を貯蓄から資産形成へと変えていく森改革を業界関係者はどう見ているのか。カブドットコム証券(8703)の斎藤正勝社長に聞いた。(QUICK端末で2016/12/09に配信された記事です) 「金融庁は相当な覚悟」 ――金融庁の足元での改革への動きをどう見ていますか。 「金融庁は相当な覚悟を持っているようだ。これまでの『貯蓄から投資』のフレーズを『貯蓄から資産形成』と変えた。既に資産を持っている人ではなく、これから資産を作ろうとする、より大衆向けの金融政策を考えているのだろう」 ――夜間の信用取引を私設取引所システム(PTS)で解禁する動きが出ています。 「個人投資家は2006年ごろまでは信用取引の利用は少なかったが、足元では1日の取引のうち4割がショート(空売り)の時もある。夜間で信用取引が可能になれば昼間に企業に勤める人たちも含めて株式の売買は活性化するだろう。FXの膨大な取引量を考えれば、株式でも夜間での信用取引の需要は大きい」 東証でも夜間の株式信用取引ができないと「違和感」 ――PTSの信用取引の解禁で東証との競争が激しくなるのでしょうか。 「PTSで夜間の信用取引ができる一方、東証で夜間取引ができない制度になるとすれば違和感が残る。東証でも夜間の現物株の信用取引も可能にして、希望する証券会社が夜間の取引に参加すれば良い。仮に東証の取引が時間延長されずPTSの夜間取引でも信用取引が可能となれば、個人投資家の間でも一気に人気がたかまるだろう。一方で昼間の取引で信用取引をPTSでも解放したとしても、個人にとってメリットは限られるのではないか」 ――東証の今後はどうなりますか。 「金融業界のグローバル化が一段と進めば『アジア時間』での取引を巡って、世界各国の取引所間で競争が激しくなる。現状でも日経平均先物の取引の需要の一部をシンガポールが獲得している。東証の競争相手は国内のPTSではなくシンガポールや上海、インドの取引所だ」 税金の仕組みを変える必要も ――金融庁は超高速取引(HFT)業者を登録制にする方針です。 「HFTを巡っては実体がよくわからない点が問題なのだろう。実際の売買でも、あたかも数千人が取引に参加しているような注文状況を演出しているようだ。当社の個人投資家からも『突然、注文が消えたりするので取引が怖い』といった声を聞く。このため『見える化』を進めるのは正しく、グレーな取引に対するけん制機能として働くことを期待している。ただ、全てのHFTが悪玉というわけではないと断っておきたい」 「良くも悪くもHFTの取引が減って流動性は小さくなるかもしれないが、『ストップ狩り』のような手法がなくなる可能性もある。金融庁の方針は市場に監視カメラを付けるようなものだ。事後チェックに過ぎない側面はあるものの、まずは現状を把握するのが大事だ」 ――金融事業者が社内で独自に売買注文を付け合わせる「ダークプール」の取引の存在感が増しています。 「ダークプールにおいて日経平均先物の売買が広がっている。現状でが東証やPTSよりもダークプールでの売買に対する規制が緩い。最もプロ向けであるダークプールの規制を厳しくする必要があるのではないか」 ――金融庁の改革で投資から資産形成の流れが強まるでしょうか。 「個人にとって投資がしやすい環境を作ろうとしているのは評価できる。また、投資から資産形成の流れを一段と進めるためには税金の仕組みを変える必要もある。キャピタルゲインとデリバティブの損益通算ができないのは世界でも日本だけだ。相続税でも株式より不動産が有利な現状を変えていくべきだ」 【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】

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トランプ勝利の予想が的中、運用成果も向上…フコクしんらい生命の林氏に聞く

 Brexitに米大統領選--。2016年は世界市場にとって驚きの連続だった。相場は深押しした場面もあったが、ひとまず年末に向け上げ基調を維持している。この荒波ともいえる展開にあって、重要イベントの結果を予見し運用成績を向上させている投資家の1人にフコクしんらい生命の取締役執行役員財務部長、林宏明氏がいる。なぜ予想外の結果を見通せたのか。運用状況も含めて話を聞いた。(※6日7:31にQUICKのオプショナルメニュー「QUICKデリバティブズコメント」に配信した記事と同じ内容です。) トランプ氏は資本主義に取り残された人の受け皿 --米大統領選が想定外の結果で終わりました 「トランプ氏の勝利は予想していた。驚きはなく必然だとも思っている。昨年にトランプ氏が立候補を表明した時点で確信は乏しかったが勝利を想定した。外部にも断言し始めたのは今年2月。共和党の予備選段階でジェブ・ブッシュ氏の撤退が決定打だった」 --予想を基にした運用状況はいかがですか 「円建ての国内債券を中心に運用し、昨年を上回る運用成果を上げることが出来ている。中長期的に円高方向の見通しを持っていることもあるが、トランプ大統領となれば、短期的には、米国を中心に金利が急上昇すると想定していたためだ。海外の投資をする前に日本にも投資妙味はまだある。例えば昨年は日本の超長期債を大量に買い込んだ。日本の潜在成長率、期待インフレ率、自然利子率のいずれもが0%だと見ているため、日銀のマイナス金利政策がなくとも、早晩、長期金利が0%近辺になるとのシナリオを数年前から持っていたからだ。これが現在も大きな利益を生み出している」 「米欧の債券相場はかなり不安定になるが、日本の場合は日銀の金融政策のアンカーが極めて強いため、せいぜい10年国債がややプラスになる程度だろう。そういう意味ではトランプ相場は追い風。通期でも運用益をしっかり出せる状況にある。日本には素晴らしい中小企業がたくさんあるし、インフラでも民間が関与することでより機能的で国民生活に資するものを造れる可能性が相当程度ある。今後、金融市場でそのような分野への投資が可能になる投資スキームが出てくることを期待している」 --そもそもトランプ勝利を予想した理由を教えてください  「グローバリゼーション、もしくは新自由主義の極まった世界になっていた。この世界的な政治の潮流を見極めることが重要だ。資本主義には放っておくと資本の効率をとことん追求する仕組みが内在する。資本を持っている人たちがより豊かになる仕組みでもある。そこで取り残された人たちが出てくるわけだが、これまでアメリカには受け皿がなかった。しかし今回、初めてアメリカ国民は受け皿を得ることができた。1つは民主党の候補指名をヒラリー・クリントンと争ったバーニー・サンダース氏。もう一方がトランプ氏だった」 「トランプ次期米大統領の誕生より、サンダース氏があそこまで善戦した方が驚きでありインパクトがあった。彼の登場により大統領選の本当の論点は『富の再配分』だったはずだ。米国の中で社会主義を標榜した候補者が支持を集めたことが象徴している。これがトランプvsクリントンの構図となり、女性蔑視などに論点がすり変わった。米国のエスタブリッシュメントにとってはトランプ勝利が結果的によかったのではないか。富裕層の資金を政府が再配分するといった可能性が低下したからだ」 「トランプ氏の当選を確信したのは、トランプ・サンダース現象とも言える潮流の中で、国民の不満の受け皿になると同時に、富裕層や法人の大減税や金融規制の撤廃を唱えるトランプ氏が実はエスタブリッシュメントや金融市場にとっても短期的にはかなり選好しやすい存在だったことである」 米国のTPP離脱は米のグローバル企業にとっても逆風 --トランプ氏の政策は依然として不透明です 「経済では財政が焦点。財政出動というのは富の再配分も意味する。進めるほど偏りが生まれ将来の選挙を左右する。リーマン・ショック後の政治は、この再配分が一段と複雑化した。これを敬遠し配分の必要がない中央銀行による金融緩和に軸足を大きく移した。今はこの揺り戻しが起きているが、財政による再配分を進めすぎても問題がある。トランプ次期米大統領がどこまでできるか未知数だ」 「もう一つは外交。個人的にはすでに第3次世界大戦的な様相を呈している側面もあると見ている。もちろん武力といったハードパワーによるものではなく表面上は各国とも友好的な外交関係を維持している。しかし、本来の戦争の目的である経済果実の奪い合いという面では、すでに徴税権や法的措置を使ったソフトパワーによりかなりの規模で始まっている。それを象徴するのが、米国が仏金融機関大手BNPパリバに課した89億ドル(約1兆円)もの罰金だった。一方、欧州ではグーグルなど米国のネット企業が独占禁止法で大規模に摘発される事例も出ている。この国際的対立軸の基本的構図は米国vs欧州であり、環太平洋経済連携協定(TPP)参加国vs欧中ロとなるかもしれない。各国の外交関係が錯綜しており、日本のようにどこの国とも極めて友好的な外交を展開している国もあるので単純な構図ではない。まだ、経済・金融でのパワーゲームの段階だろうが、そのパワーバランスの舵取りは極めて難しい局面に入っていることだけは間違いない」 「この状況でトランプ氏はTPPからの離脱を表明している。TPPはそもそも安全保障の色合いが濃い協定だ。共通のルールを守れない国や地域を排除する目的がある。基準をクリアできない国、たとえば中国やロシアなどだ。米国が離脱するなら、パワーバランスが一段と不安定化する。アップルやグーグルなど米のグローバル企業にとっても逆風になる」 「市場は金融規制の緩和を期待し銀行株を買っている。だが認識を間違っている。米国が緩和しても規制を強化している欧州は緩和する姿勢を示していない。欧州市場でビジネスをするには厳しい基準をクリアする必要がある。本当にグローバル金融機関の収益が改善するのか疑問がある」 「新政権で財務長官に就任するムニューチン氏は米経済が3~4%成長できるとした。しかし、米国は意図せざるインフレに直面するだろう。関税を高め自国内の生産比率を高めてもコストが膨らむ。それを補って余りある売上高の成長が可能なのか。ここにも問題がある。インフレの発生=金利上昇で学生ローンや自動車ローンでサブプライムの不良債権化が表面化するリスクもある。トランプ氏に託された期待が失望に変わる種がここにある」

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トランプ米大統領でリスクオン?リスクオフ? 来年のマーケット左右する要因に(12月調査)

外国為替市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の12月調査を、12月12日に発表しました(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75人が回答、調査期間は12月5~8日)。この間の為替レートは、対ドルが113円83銭~114円33銭。対ユーロが120円77銭~122円51銭でした。 トランプ氏の政策がマーケットを左右する要因に 米フェデラルファンド(FF)レートは、日本の無担保コール翌日物金利に該当するもので、米国の「政策金利」として知られています。同金利は2015年12月、それ以前の0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げられ、現在に至っています。 2017年末、2018年末におけるFF金利の水準がどの程度になると予想するか聞いたところ、2017年末時点(ターゲットレンジの中央値)は単純平均で1.07%となりました。18年末時点は同1.47%でした。 今年最後となる12月13~14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げが確実視されていますが、これを前提に考えると16年末のFFレート(ターゲットレンジの中央値)は0.625%となり、17年は0.25%の利上げを2回程度実施するとみていることになります。同様に18年も2回程度の利上げを予想している計算になります。今後も緩やかではあるものの、米政策金利は上昇傾向をたどっていくと見ているマーケット関係者が多いのが分かります。 また、2017年の金融市場でリスクオン、リスクオフにつながるきっかけについて聞いたところ、リスクオンにつながりそうな材料としては、「トランプ米大統領」が66%で断トツのトップ。次いで「米金融政策」が8%、「中国景気」が7%となりました。 一方、リスクオフにつながりそうな材料については、「欧州の政治イベント(ブレクジット、各国選挙など)」が34%でトップ。次いで「トランプ米大統領」が31%、「中国景気」が15%となりました。 2017年の欧州の政治イベントについては、3月のオランダ総選挙、4月のフランス大統領選挙、6月のフランス国民議会選挙、8~10月にかけてのドイツ連邦議会選挙と目白押し。2016年6月の英国の欧州連合(EU)離脱に関連した国民投票や、12月の憲法改正に関連したイタリア国民投票で、既成政党が否定された点からも、EUおよびユーロという単一欧州体制に対する批判勢力が大きく力を延ばす結果になれば、為替市場においてユーロ売りが加速するなど、波乱要因になる恐れがあります。 また、トランプ次期米大統領については、リスクオンでもリスクオフでも、大きな材料になるとみられています。来年1月20日以降、トランプ氏が大統領に正式就任してから打ち出される政策次第で、マーケットが大きく揺れる可能性がありそうです。 ちなみに、トランプ次期米大統領が公約に掲げる経済・金融政策や通商政策は全体としてドル円相場にどのような影響を及ぼすか聞いたところ、「円安・ドル高要因」との回答が58%と、「円高・ドル安要因」(25%)を大きく上回っています。 3大ニュースのトップは「米大統領選挙トランプ氏当選」 2017年末にかけてのドル円相場の水準予想は、単純平均で1ドル=112.33円。円の最高値予想は104.71円、最安値予想は119.68円となりました。12月にかけてドル円は115円台を付けましたが、ここから先、120円、あるいは125円という円安水準を予想する声は少ないようです。 また、2016年の3大ニュースを聞いたところ、1位が「米大統領選挙トランプ氏当選」が94%を占めました。下馬評では、ヒラリー・クリントン氏の大統領当選を、ほとんど疑っていなかっただけに、マーケットに及ぼしたインパクトも非常に大きなものになっています。 次いで「英国EU離脱」が87%。これも、当初はEU残留派が多数と見られていたものの、いざ開票してみると、EU離脱派が多数を占めており、2016年における政治リスク浮上の嚆矢となりました。これによってユーロと英ポンドが大きく売り込まれたのも記憶に新しいところです。前述したように、2017年は欧州において政治の年になるだけに、投票の行方がマーケットにどのような影響を及ぼすのか、気になるところです。 そして3位は「日銀マイナス金利政策導入」でした。より金融緩和の方向性を打ち出し、株価や為替レートに強いインパクトを与えるつもりで導入したものの、結果は目論見とは逆に走り、トランプラリーが始まる2016年11月まで株安・円高が続きました。マイナス金利の効果については賛否両論ありますが、マイナス金利の効果は乏しかったとみている市場関係者は多いようです。 政治/外交の注目度上がる ドル円については、金融機関の外為業務担当者の1カ月後の為替見通しが、前回調査の1ドル=104円91銭に比べて大幅に円安・ドル高の113円39銭になりました。113円台になったのは9カ月ぶりのことです。ただ、6カ月後の5月末時点では112円68銭が予想されており、1カ月後の予想値に比べると円高・ドル安水準になっています。今はトランプラリーで円安・ドル高が進んでいますが、この勢いが続くのも今後の政策次第という不透明な部分があるからと考えられます。 今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円は「政治/外交」が前月比6ポイント上昇の29%となる一方、「当局の姿勢(介入含む)」が14ポイント低下の44%となりました。ドルについては「政治/外交」が7ポイント上昇の64%、欧州は「政治/外交」が29ポイント上昇の56%になる一方、「金利/金融政策」が12ポイント低下の38%、「物価動向」が11ポイント低下の0%になりました。ドルとユーロについては、政治が今後の動向を大きく左右することが分かる結果になっています。 市場参加者はドルに強気に ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の70%から44%へと急落する一方、「オーバーウエート」は20%から44%へと大幅に上昇しました。それだけマーケットについて強気になったということです。 また、為替ヘッジに対する当面のスタンスについては、「ヘッジ比率を上げる」が0%になったのに対し、「ヘッジ比率を下げる」が20%から33%に上昇しました。急激に円安が進んだため、市場参加者の心理が大きく変わったことが分かります。

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12月の株主優待銘柄はマックやアサヒなど、お馴染みの飲食関連が目白押し

  株主優待って? 株主優待は企業から株主へのプレゼントです。企業が自社のPRや個人株主の獲得を目的に実施している制度です。自社で商品やサービスを提供している場合はこれらを、そのほかは実利的なQUOカードやお米券といった商品券を贈呈するケースが多いようです。同制度を導入している上場企業数は過去最高の1339社と、全体の4割に迫る勢いです(11月25日時点)。プレゼントのため、優待にかかるコストは企業が負担し、一般に交際費として経理処理しています。     12月の優待銘柄を探る、3泊の韓国旅行も登場 3月に優待の権利を付与する企業が731社と最も多く、次いで9月の392社、12月の152社と続きます。12月は社数が多いため、各社の優待内容をいろいろ比較して選ぶ楽しみがありそうです。特にアサヒグループホールディングス(2502)やキリンホールディングス(2503)といった大手ビールメーカーのほか、山崎製パン(2212)、コカ・コーラウエスト(2579)、日本マクドナルドホールディングス(2702)など消費者に馴染み深い飲食関連が目立ちます。優待はいずれも自社製品のため、これらの商品や店舗をよく利用する人にはメリットがありそうです。   <12月の株主優待銘柄一覧表(最低購入金額の昇順)>   最近の優待制度の傾向として、長期保有の投資家には優待内容を手厚くするケースが増えています。例えばコカ・コーラウエストの場合、100株以上500株未満の保有で同社の商品に交換可能な45ポイントが付与されます。1ポイント=60円相当のため、2700円程度です。しかし3年以上保有している投資家には30ポイントが上乗せされ、75ポイント=4500円にアップします。長期保有の株主を増やして株価を安定させることが狙いといえます。 食品以外でニューフェースを挙げると、リチウムイオン電池の部材を扱うダブル・スコープ(6619)が11月上旬に株主優待制度の導入を発表しました。内容は抽選で5名(同伴者各1名の合計10名)を同社の韓国工場見学に招待するというもの。往復航空券や3泊4日の宿泊費用、移動の費用も同社が負担。1日を工場見学とし、他の日は自由行動のため、観光も十分楽しめそうです。ただ、権利を得られるのは1年以上継続して保有している株主に限られます。   実質利回りを活用し高利回り銘柄を発掘しよう まずは優待制度を実体験したい人の場合、投資金額を抑えるのも一つでしょう。10万円以下で購入できる銘柄は42銘柄ほどあります(11月25日時点)。ただ、投資金額が低い銘柄の中には業績が低迷して株価が下落しているケースも散見されるため、投資金額だけで判断するのではなく業績なども踏まえて総合的に判断すべきです。 例えば、楽天(4755)の最低投資金額は11万7150円(25日時点)と10万円を若干オーバーしますが、QUICKコンセンサスによると同社の16年12月期、17年12月期の連結決算はともに2ケタの増収・営業増益の見通しと好調です。 また、「実質利回り」という指標を用いて選別する方法も有効です。この指標は優待の内容を金額換算し、これに配当利回りを加算したものです。では実際に楽天の例を用いて計算してみましょう。同社の2016年の優待内容はまだ公表されていないため、前年の実績値を用います。下表を見ると、現金に換算が可能な項目は黄色の部分で合計8300円になります。QUICKコンセンサスによると1株あたりの予想配当金は4.83円、最低投資単位の100株購入すると483円のため、実質利回りは7.5%になります。11月25日時点の東証1部の予想配当利回り(加重平均)2.01%を大きく上回ります。   <実質利回りの計算式> (優待額8300円+年間予想配当額483円)/最低投資金額11万7150円×100=7.5%   <2015年12月に権利確定した楽天の優待内容>   12月の優待を受け取るには さて、ここからは優待銘柄を取引するうえでの技術的な注意点です。優待の権利を得るには期日があり、権利確定日に株主名簿に名前が記載されていなければなりません。記載されるには「権利付最終取引日」という、権利確定日を含む4営業日前までに希望銘柄を購入しておく必要があります。12月30日が権利確定日の場合は27日が権利付最終取引日です。加えて、先ほどの韓国の工場見学を贈呈するダブル・スコープなど、銘柄によっては1年間保有することを条件にしているタイプがあるほか、年に複数回、優待を実施する銘柄もあるため、各社のホームページなどで情報を確認してください。 優待を受けるには現物株を購入する必要があり、信用取引では得られません。ちなみに、 優待マニアの中には「つなぎ売り」という投資手法を利用し、株価の下落を抑えて優待のうまみだけを享受しようとする投資家もいます。この手法は同一銘柄の現物株の買いと信用の売り(一般信用)を寄り付き前に同株数、成り行きで発注するというものです。こうすることで同じ価格で約定させることができるため、株価が変動しても損益は発生しません。ただ、信用取引をする際は専用口座を開設する必要があるうえ、取引には手数料が発生します。   優待裏事情 株主優待がこれほど活発に実施されているのは、日本だけといわれています。諸外国では優待にコストをかけるならば、利益成長のための設備投資や、配当で還元した方が合理的との考えがあるためです。国内においても持ち株数や内容に応じて株主を平等に扱わなくてはならない「株主平等の原則」(会社法109条1項)の観点から優待制度に異論を唱える向きもあります。この原則を順守するならば「保有株数に比例した優待を得られるはずだが、現状は一定数に応じた対応がなされていない」との考え方があります。例えば100株超の保有で1000円分のQUOカードを贈呈する場合、保有株数が5倍の500株になればQUOカードも5000円になるはずですが、実際は500株超で3000円など一定数を基準にしている、という指摘です。こうした考えを踏まえ、上場企業の中にも優待制度より配当に重点を置いた海外方式に切り替えるケースもあります。       また、個人投資家にとっては嬉しいプレゼントですが、機関投資家にとっては少々異なるようです。投資信託協会の「投資信託等の運用に関する規則(2015年7月)」の第10条には株主優待物の取り扱いがルール化されています。これによると、運用会社は信託銀行と協議したうえで換金可能な商品券などは換金して信託財産に組み入れているとのことです。換金不可能な商品は一時保管後に廃棄、もしくは、さわかみ投信のように慈善団体に寄付するケースもあるようです。機関投資家の場合、優待よりも配当金で還元してほしい、というのが本音でしょう。 1月に優待の権利が確定する銘柄は32銘柄と12月より大幅に減少しますが、2月は138銘柄、3月は731銘柄に増加します。3月には新規公開株式(IPO)として10月に上場したJR九州の優待もあります。株主優待制度の是非については意見が分かれるところですが、企業がこの制度に注力しているのか、それとも配当での還元や利益成長を重視しているのか、株主に対する企業の姿勢が垣間見れるため、投資材料の一つとしても活用できそうです。   (編集:QUICK Money World)    

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来年の日経平均2万円超え難しい? 製造業DIは横ばい(12月調査)

日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成している12月のQUICK短観(11月22~12月4日調査分、上場企業414社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)がプラス14と、前月調査と同じでした。非製造業DIも前回と同じプラス30となりましたが、金融を含む全産業DIは前回調査に比べ1ポイント改善のプラス24となりました。 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「日銀短観」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性もみられるため、市場関係者にも注目されています。日銀短観は四半期に1度の公表ですが、QUICK短観は毎月調査・公表されているため、企業の景況感を見るうえで、各月での動きを細かく読み取ることができます。 12月の日銀短観は上昇か? 製造業の業況判断DIは10~12月と3カ月連続同じ数字で足踏みとなりました。前述したようにQUICK短観は、3カ月に1度の頻度で行われている日銀短期経済観測調査(日銀短観)に先行した動きをみせる傾向があります。12月の数字が出たことによって、12月の日銀短観がどの程度の水準になるのかを予測しましょう。 製造業の業況判断DIは、10月、11月、12月とプラス14で推移しました。つまり3カ月間の平均値はプラス14です。ちなみにこれまでの3カ月平均は、次のようになります。 2014年10~12月・・・プラス21 2015年1~3月・・・プラス16 2015年4~6月・・・プラス21 2015年7~9月・・・プラス24 2015年10~12月・・・プラス16 2016年1~3月・・・プラス9 2016年4~6月・・・プラス8 2016年7~9月・・・プラス8 2016年10~12月・・・プラス14 今年は年初から低迷を続けた製造業DIでしたが、10~12月期は7~9月期のプラス8から6ポイント改善してきました。 これに対して、日銀短観の大企業・製造業の業況判断DIがどのように推移したのかというと、 2014年10~12月・・・プラス12 2015年1~3月・・・プラス12 2015年4~6月・・・プラス15 2015年7~9月・・・プラス12 2015年10~12月・・・プラス12 2016年1~3月・・・プラス6 2016年4~6月・・・プラス6 2016年7~9月・・・プラス6 2016年10~12月・・・???? こちらも2016年1~3月期以降はプラス6で低迷していましたが、QUICK短観の業況判断が改善したことを考えると、12月の日銀短観はある程度の上振れが見込めそうです。 円安による仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できず 生産・営業用設備の現状について、全産業ベースの「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、前月に比べてやや不足感が後退。2ポイント改善してマイナス3となりました。 雇用人員について、「過剰」から「不足」を差し引いたDIは、全産業ベースでマイナス32でした。こちらも前月に比べて不足感がやや解消されています。 販売価格と仕入価格の現状は、「上昇」から「下落」を差し引いた販売価格DIについては金融を除く全産業でマイナス6となり、前月に比べて2ポイントの上昇。対して仕入価格DIは、金融を除く全産業でプラス9になり、前月比で2ポイント上昇しました。 ただ、上昇と下落の比率をみると、販売価格は「上昇」が6ポイントで「下落」が12ポイント。仕入価格は「上昇」が14ポイントで「下落」が5ポイントです。仕入価格は円安の影響で上昇する一方、それを販売価格に上手く転嫁できない状況が伺われます。 トランプ新大統領の影響はまだ見えず 12月の特別調査では、①トランプ次期米大統領の誕生に伴う事業運営への影響②2017年の日経平均株価予想――の2点について回答を得ました。 米国の次期大統領にドナルド・トランプ氏が就任することになり、米国や世界の経済の先行きが読みづらくなっています。トランプ次期米大統領の誕生は貴社の事業運営にどのような影響を及ぼすと考えるかとの質問について、「良くも悪くも業績への影響はなさそう」が54%で最多となりました。一方、プラス・楽観的とみる回答者は26%と、マイナス・悲観的にみる回答者(21%)を若干上回りました。 トランプ氏はまだ大統領に就任していませんし、具体的な政策が出てくるのは、来年1月20日以降ですから現時点では、メディアなどを通じて流れてくる情報から読み解くしかありません。なので、正直なところ先行きはまだ読めないのが現実でしょう。 いずれにしても、米国の政治問題ですから、日本企業の事業運営にすぐに影響が生じる類のものではなさそうですが、トランプ氏が今後、打ち出してくると思われる、環太平洋経済連携協定(TPP)からの撤退をはじめとした保護主義的な政策が、日本の輸出企業を中心に何らかの影響を及ぼすことは考えられます。一方、所得税や法人税の減税措置によって米国国内景気が再び回復すれば、現地日本企業の業績も恩恵を受ける可能性もあります。 とはいえ、いずれも現時点では何とも言えないことではあるので、来年以降、トランプ氏が打ち出してくる政策と、その実現可能性については、注意を払ってみておく必要があるでしょう。 日経平均、来年も「1万5000~1万9000円」で推移? 次に、今年の日経平均はおよそ「1万5000円~1万9000円」の範囲で推移しましたが、2017年はどのように推移すると予想するか聞いた設問では、「今年の範囲にとどまる」が75%に達しました。「今年の高値圏である1万9000円を超えていく」は21%でした。 「今年の範囲にとどまる」という予想が多数を占めていますが、これは現時点において、先行きが分からないからでしょう。証券市場関係者からすれば、出来ることなら今年の安値を割り込むような状態にはなって欲しくない。かといって、今年の高値圏を超えて2万円台にチャレンジするほどファンダメンタルズは強くないし、外部要因も不透明という点で、消去法的に考えれば、今年の範囲にとどまるというのが妥当な回答ということです。

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香港ハンセン指数、年初来高値の更新が視野に 中国経済は「安定」を確認

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。 (※この記事は2016年10月28日にQUICK端末で配信した記事です。) 中国政府が発表した2016年第3四半期(7~9月期)の経済指標は景気が安定する中で前進していることを示す内容だった。政府の通年の成長目標は達成される見通しだ。1~9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.7%増だった。 (出所:QUICK) 四半期別でも、第3四半期は6.7%増と、第1四半期(1~3月期)や第2四半期(4~6月期)と同じ成長率を維持し、市場の予想通りだった。産業別では、1~9月期における第1次産業の付加価値額が3.5%増、第2次産業の付加価値額が6.1%増、第3次産業の付加価値額が7.6%増だった。第3次産業の増加率が第1次産業、第2次産業を大きく上回り、GDP全体に占める割合が52.8%に達した。このことは中国経済の構造転換が続いていることを示唆する。   輸出は減少も、投資と消費が補う 輸出の勢いが引き続き弱く、投資と消費が中国の経済成長のけん引役を引き続き担った。中国税関総署が発表したデータによれば、今年1~9月期の中国の輸出は前年同期比1.6%減、輸入は同2.3%減だった。9月の輸出は前年同月比5.6%減と、市場予想の2.5%増よりも悪かった。輸入は2.2%増だったが、5.5%増の市場予想を下回る伸びだった。 ただ、幸いにも投資と消費の伸びがやや加速し、輸出減に伴うマイナス面の影響を補った。1~9月期の全国の固定資産投資は前年同期比8.2%増と、1~8月期から伸びが0.1ポイント加速した。インフラ建設の増加、そしてそれ以上に不動産市場の景気回復が寄与した。今年1~9月期の分譲物件の販売面積は10億5100万平方メートルだった。前年同期比26.9%増え、増加ピッチが1~8月期よりも1.4ポイント加速。また、同期の分譲物件の販売額は8兆200億人民元で増加率は41.3%と、1~8月期を2.6ポイント上回った。住宅販売の増加に伴い、全国の不動産開発投資額は前年同期比5.8%増え、1~8月期よりも0.4ポイント加速した。不動産物件の在庫調整も加速して、分譲物件の販売前面積は9月末時点で6億9600万平方メートルと、8月末時点から1258万平方メートル減少した。このうち、住宅物件の販売前面積は1177万平方メートル減少した。 一方、消費については、1~9月期の社会消費小売総額が前年同期比10.4%増の23兆8400億元だった。増加率は1~8月期を0.1ポイント上回った。電子商取引の伸びが引き続き急速で、1~9月期の全国のインターネット販売小売額が3兆4651億元と前年同期比26.1%増えた。このうち、実物商品のネット販売小売額は25.1%増の2兆7900億元で、社会消費小売総額の11.7%を占めた。 製造業は安定、工業企業の利益は改善 製造業は安定しており、1~9月期の全国の一定規模以上(年間の主要業務収入2000万元以上)の企業による工業生産が前年同期比6%増えた。増加ピッチは上半期(1~6月期)から横ばいだったが、工業の構造調整が引き続き進展し、ハイテク産業が10.6%増、設備産業が9.1%増と、全国の一定規模以上の企業の増加率をそれぞれ4.6ポイント、3.1ポイント上回った。工業部門の企業利益も改善し、1~8月期における全国の一定規模以上の工業企業の利益総額は前年同期比8.4%増の4兆500億元と、増加ピッチが上半期から2.2ポイント加速した。一方、9月の政府発表と中国メディアの財新がそれぞれ発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)はいずれも、景気拡大を示す50以上の水準となり、製造業が引き続き緩やかに拡張していることが示された。 PPIプラスに転じ、生産に追い風 インフレに関しては、9月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比1.9%上昇した。上昇率が8月(1.3%)から拡大したものの、引き続き制御可能な範囲内だった。注目すべき点は、同月の卸売物価指数(PPI)が0.1%上昇し、2012年3月以来初めてプラスに転じたことである。このことは工業の生産に追い風となる。一方、雇用については、1~9月期の都市部(非農業地区)新規雇用者数が1068万人に達し、1四半期前倒しで通年予測目標(1000万人)を達成した。また、9月の31都市の失業率が2016年6月以来初めて5%を下回った。雇用の増加に伴って収入レベルも上昇し、1~9月期の全国1人当たり可処分所得は1万7735元と、名目ベースで前年同期比8.4%増加した。 10~12月期は減速も通年の目標は達成か、建材・インフラセクターに有利 今後の展望は、石炭業と鉄鋼業の生産能力の調整と不動産市場の過熱引き締めにより、中国景気が第4四半期(10~12月期)にやや減速し、成長率が1~9月期をわずかに下回る可能性がある。ただし、6.5~7%という成長率目標の範囲内に納まることはまず間違いない。こうした中国経済の安定は香港株に追い風となる。11月に中国深セン・香港間の株式相互取引制度「深港通」を始動する見通しでもあるため、香港株式市場のハンセン指数は今年第4四半期に再び年初来高値の2万4364に迫る見込みだ。 (出所:QUICK)  セクター別では、不動産市場における過熱引き締めの度合いが強まるとみられることから、銀行セクターや不動産関連セクターに引き続き重荷となるだろう。また、経済成長率の維持に向けてインフラ投資が加速する見通しであることが、建材とインフラ関連のセクターに有利となる。他方、人民元の為替レートについては、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が強まる中で米ドル高が進むとみられる。加えて中国の輸出の勢いが依然として弱く、元の為替レートに引き続き下げ圧力がかかる見通しだ。これに伴い、より多くの中国国内の資金が通貨安に伴うリスク回避のために香港株に流れ込む可能性があり、香港株が間接的に恩恵を受けることになるだろう。 本情報は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的としたものではありません。有価証券その他の取引等に関する最終決定は、お客様ご自身のご判断と責任で行って下さい。株式会社QUICKおよび情報提供元であるルイス・ウォン氏は、本情報を利用して行った投資等により、お客様が被った、または、被る可能性のある直接的、間接的、付随的または特別な損害またはその他の損害について、一切責任を負いません。

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トランプリスクからトランプラリーへ急展開 日本株に強気8割に(12月調査)

株式市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<株式>」の12月調査を12月5日に発表しました(証券会社および機関投資家の株式担当者159人が回答、調査期間は11月29~12月1日)。調査期間中の日経平均株価は1万8258円82銭~1万8746円28銭の範囲内で推移しました。 前回調査が行われた最終日の11月2日から今回調査最終日の12月1日までの日経平均と東証マザーズ指数は、次のようになりました。                11月2日     12月1日 日経平均株価・・・・・・・1万7134円68銭 ⇒1万8513円12銭 東証マザーズ指数・・・・・892.65ポイント ⇒919.98ポイント 日経平均は8.04%の上昇率でしたが、東証マザーズ指数の上昇率は3.06%にとどまりました。この間の上昇はトランプ氏の米大統領就任が決定し、トランプ・リスクから一転してトランプ・ラリーともいうべき相場展開になるなかで、為替市場でドル円が上昇。輸出関連企業の業績回復期待が高まり、主力大型株を中心に買いが入ったことで、中小型株はやや物色の圏外におかれる展開になりました。 トランプ減税による成長期待大きい 今回のアンケート調査では、トランプ氏が大統領になった際の経済やマーケットへの影響について聞きました。 まず、トランプ氏は減税と財政支出拡大によって米国の経済成長率を高めると言っていますが、今後の成長率をどう見るかについては、「一時的な成長率の押し上げにとどまる」という回答が全体の69%を占めました。次いで「成長率は持続的に高まる」が21%で、いずれにしても成長率が高まるとみる回答者が90%を占めています。対してネガティブな見方としては、「効果がない」が3%、「金利上昇で成長率が低下する」が3%、「そもそもそうした政策は実行できない」は1%にとどまっています。 トランプ氏が掲げている税制改革は、所得税率を現在の7段階から3段階に簡素化するとともに、最高税率を39.6%から25%に引き下げる、日本の相続税に該当する遺産税を廃止する、法人税の最高税率を35%から15%に引き下げ、米企業の海外留保利益に対しては税率10%にする、などを打ち出しています。 減税は、景気を刺激する効果をもたらしますが、その一方で国の税収は減り、その状況で財政を積極化すれば、財政赤字が増える恐れも生じてきます。その状態で、トランプ氏が言う積極財政を打ち出せるのかどうか、注目されます。 次に、保護主義政策についてですが、その世界経済に及ぼす影響については、見方が大きく分かれています。「先進国を含め米国との貿易が大きい国に打撃となる」が25%、「保護主義的な政策は実行できない」が21%、「米国を含めて、世界経済全体に打撃となる」が20%、「打撃はメキシコや中国など一部の新興国にとどまる」が20%です。 保護主義的な政策は実現できないか、もし実現したとしても影響は一部にとどまるとする、どちらかといえば楽観的な見方が41%、日本への影響を含めてネガティブな見方が45%となっていることから、正直、マーケット関係者の間でも日本経済への影響がどうなるのかは、まだ見切れていないというところのようです。 日本株に対しては8割が強気に トランプ氏の大統領就任後の政策で、上記の質問以外で株式市場に大きな影響を及ぼすと思われる要因としては、「金融規制の緩和」が43%、「米国の孤立主義による世界的な安全保障の不安定化」が17%、「財政赤字の拡大」が17%となりました。 今後1年間の株価動向について、地域別に予測してもらった結果は、米国が「一段と上昇」、「緩やかに上昇」を合わせて73%、「下落」が10%で、圧倒的に上昇が続くとみる向きが多数を占めています。 欧州は「横ばい」が44%で最も高く、「一段と上昇」、「緩やかに上昇」は合わせて40%。「下落」が16%を占めており、どちらかといえばやや弱気です。 新興国は見方が分かれ、「横ばい」と「下落」がそれぞれ34%、「緩やかに上昇」が31%でした。こちらも見方が分かれていますが、やや弱気です。 そして日本は、「緩やかに上昇」が55%で過半数。「一段と上昇」と合わせると80%が強気の見方をしています。 外国人投資家動向は株価にとってポジティブ 1カ月後の日経平均株価予想は、平均値で1万8614円となり、前回調査の1万7425円に比べて大きく上方にシフトしました。1カ月後の日経平均株価予想が1万8000円台に乗せたのは11カ月ぶりのことです。 円安の進行によって、企業が慎重にみていた2017年3月期決算に対する期待感が一転して高まってきています。今年に入ってから急激に円高が進み、業績に対して悲観的な見方が広まってきましたが、トランプ氏の大統領就任が決定した後、大きく円安が進んだことによって、輸出企業を中心に、業績が改善するとみられています。 今後、6カ月程度を想定した場合、株価を動かす要因で注目されるものとしては、「為替動向」が若干上昇する一方、「景気・企業業績」は低下。為替動向の指数は11月調査の58.7から71.6へと大きく上昇しており、株価にとってはポジティブ要因と受け止められています。 また、同じく6カ月程度を想定して、最も注目している投資主体について聞くと、11月調査に対して大きな変動はみられませんでした。ただ、指数では「外国人」が59.5から71.4へと大きく上昇しており、その動向が株価にとってポジティブ要因であることが伺えます。 資産運用担当者の今後の組入はやや慎重 資産運用担当者60人を対象にしたアンケート調査で、現在運用しているファンドにおいて、国内株式は現在、通常の基準とされている組入比率に対してどのようなウエートになっているのかを聞いたところ、「ややアンダーウエート」、「かなりアンダーウエート」、「ニュートラル」が低下する一方、「かなりオーバーウエート」、「ややオーバーウエート」が上昇し、若干強気になったことが分かりました。 ただ、当面のスタンスについて聞くと、「現状を維持する」が大半を占めていますが、11月調査に比べると数値は低下。一方、「やや引き上げる」と「やや引き下げる」、「かなり引き下げる」が上昇しており、見方が分かれました。この1カ月間の株価の上昇ピッチが急だったこともあり、市場関係者の間では若干の警戒感も浮上してきているようです。

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日本版ブラックフライデーは浸透するか?新たな株価材料として注目

 ブラックフライデー、ネット通販が好調な出だし 11月中旬に発売された「ハリー・ポッターと呪いの子 第一部 第二部」の売れ行きが好調なようです。毎週火曜日に公表している八重洲ブックセンター本店の集計によると、3週連続でフィクション部門の売り上げトップでした。同シリーズはあらゆる世代に人気が高いため、クリスマスプレゼントとして考えている人もいるのではないでしょうか。 ■八重洲ブックセンター本店の週間ベストセラーランキング(11月20~26日) 【フィクション部門】 【ノンフィクション部門】   クリスマスをビッグイベントとして楽しみにしている人も多いと思いますが、実は株式市場にとっても重要行事の一つにです。特に消費大国の米国はその年のクリスマス商戦の行方が国内総生産(GDP)を左右するため、世界的に注目されています。 米国のクリスマス商戦は、祝日である11月第4木曜日の感謝祭の翌日に幕開けします。小売店で一斉に値引きが始まり、セール初日の金曜日は店舗の収支が黒字になるほど活況なため、「ブラックフライデー(黒字の金曜日)」と呼ばれています。日本経済新聞などによると、今年の米クリスマス商戦の出だしは平均支出額こそ前年同期を下回ったものの、ネット通販の売上高が34.5億ドル(約3880億円)と1日の売り上げとしては過去最高を記録したそうです。なお、全米小売業協会(NRF)は11~12月の小売売上高を前年同期比3.6%増の6558億ドル(約67兆円、自動車・ガソリン・外食を除く)と予想。この水準は米国の実質GDPの約4%に相当する規模です。 そして米国に次ぐ経済大国である中国の消費動向にも注視したいところです。同国では11月11日の光棍節(こうこんせつ)に中国のネット通販各社が大規模なセールをする「独身の日」を開催。中国最大手のアリババ集団の売上高は、この日1日だけで約1.9兆円と過去最高を記録しました。現在はクリスマス商戦に突入しています。   政府も検討、日本版ブラックフライデーは受け入れられるか 日本では小売大手のイオン(8267)が米国のブラックフライデーにちなんだセールを11月25日から3日間実施しました。イオングループで総合スーパー(GMS)を展開するイオンリテールの広報は、「セールは好調だった。売上は前年の同じ期間と比較して2割増となった」といいます。目玉商品のほか、気温の急激な低下を受けてダウンコートや羽毛布団などの防寒用品の販売が伸びたそうです。 政府も米国のこのイベントに関心を寄せています。経団連と連携し、2017年2月から毎月最終週の金曜日に「プレミアムフライデー」と称した消費喚起策を検討しています。経団連に属する企業にはイベント当日、午後3時ぐらいに早期退社することを呼びかけるそうです。こうした試みの背景には、政府が掲げる「名目GDP600兆円」や「働き方改革」をなんとしてでも達成したいとの意向があります。消費の活性化には所得アップが欠かせませんが、政策の後押しに加え、クリスマスやハロウィーンなど海外イベントを好む日本では、ブラックフライデーも浸透するかもしれません。 小売業の株価が堅調な月は意外にも… クリスマス商戦は小売りやメーカーなどが主に影響を受けます(下表参考)。稼ぎ時となるため、月次や四半期の売上高に株式市場の注目が集まります。 では、冬場は小売業の株価が上がりやすいのでしょうか?2006年12月~2016年11月までの東証業種別株価指数の「小売業」と、日本株全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の月間騰落率を比較してみたところ、小売業がTOPIXを上回った回数は120回中、ほぼの半分の59回でした。さらにこれを月別に分析してみると、6月が8回と最も多くなりました。クリスマス商戦時期の11月と12月はともに5回でした。投資タイミングを考える際、こうした過去のデータも参考にしてみてください。 <クリスマス商戦関連銘柄> <小売業の月間騰落率がTOPIXを上回った回数は?> ※東証規模別株価指数の小売業とTOPIXの2006年12月~16年11月までの120カ月間の月間騰落率をそれぞれ比較   (編集:QUICK Money World)

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