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「『これを逃せばチャンスはない』と決断して世界トップに」グローリー・尾上広和氏

通貨処理機で国内トップシェアを誇るグローリーは、2012年同業世界最大手の英タラリス・トプコ社を買収し、世界トップブランドへの道を歩み始めた。2018年に創業100周年を迎える同社の尾上広和代表取締役社長に現状と展望を聞いた。※本記事は2015年8月12日にQUICK端末で配信した記事です。 「常に新しいものを」受け継がれる企業精神、原点は国内初の硬貨計数機に 【問】先日、近所の金融機関の窓口に小銭が大量に入った大きな貯金箱を持参したところ快く入金して頂きました。硬貨入金機の受け皿に貯金箱のお金を入れるところまでが人手で、硬貨の選別と計数は機械がすべて自動処理と伺いました。硬貨入金機は御社の主力商品であるオープン出納システムの一部です。身近な所でも御社のお世話になっているのですね。御社は国産第1号の製品をお作りになるのがお得意です。2013年2月関西財界セミナー賞・最高賞の大賞を受賞、2013年9月ものづくり日本大賞「経済産業大臣賞」を受賞されました。技術力もあります。創業100年まであと数年です。これまでの歩みをお聞かせ下さい。 【答】1918年(大正7年)、電球製造機の修理専門、メンテナンス会社として7名で事業をスタートしました。創業者である父 作兵衛から経営を任された尾上壽作(おのえじゅさく)は、人脈を通じて、三井造船、塩野義製薬など有力企業の下請け事業を行っていました。ところが、修理・メンテナンスは毎日あるわけではない。下請けでは経営が安定しない。そこで、自社で新しいものを作ることになりました。下請けの仕事をやるかたわら、隣の部屋では設計者が自社製品の開発に取り組み、石油発動機や白墨の製造機などさまざまな自社製品を開発しました。姫路の片田舎で営業のノウハウもありません。売れない日が続きました。そんな時、造幣局さんから「硬貨の計数機を作りませんか」というお話を頂きました。10円硬貨など各種硬貨の発行を間近に控えて、海外製の硬貨計数機の使い勝手の悪さが造幣局さんの急務の課題となっていました。硬貨計数機製造のお話を頂く前年の1949年、造幣局さんから硬貨の材料となる金属の塊りを入れるインゴットケースを受注し、お納めしたところ使い勝手が非常に良いと評判だったことから、硬貨計数機製造の声をかけて頂きました。技術はありませんでしたが、「これはひとつのチャンスではないか」とふたつ返事で引き受けて、設計者を一緒に連れて造幣局さんに海外製の硬貨計数機を見せてもらいに行きました。会社に戻って設計者たちは、喧々諤々(けんけんがくがく)議論しながら硬貨計数機の開発に取り組み、1950年、国産第1号の、当社にとっても第1号となる硬貨計数機を完成させ造幣局さんにお納めしました。 【問】御社にとって大きな転機となりましたね。 【答】はい。造幣局さんからお話がなければ、お話があっても「出来ません」と断っていたら、小さな町工場のまま今日まで続いていたかもしれません。技術がないのにふたつ返事で引き受け、苦労して成し遂げました。それがきっかけで住友銀行さんの硬貨計算機の受注につながりました。当社は、造幣局さんでの経験を活かして小型で軽くて使い勝手のいい量産型の硬貨計算機を生産し、1953年住友銀行さんにお納めしました。その時に社名の国栄機械にちなんだ「栄光」という言葉から、「グローリー」という商標をこの硬貨計算機に付け、正式登録しました。後に、社名も国栄機械製作所からグローリー工業に変更しています。硬貨計数機製造のきっかけは造幣局さんですが、当社の製品が全国に広まったのは住友銀行さんに納入してからです。以来、通貨処理機メーカーとして歩み始めました。紙幣処理技術にも取り組み、金融機関向けに出納システムや紙幣硬貨入出金機、両替機などを次々に開発して事業の幅を拡げ、現在、金融機関をはじめとするお客さまの業務の推進・効率化に欠かせぬ存在になっています。 【問】金融機関の業務の推進・効率化とは。 【答】例えば、営業店の出納に配属の行員が、営業の集金したお金を入金したり、窓口で使うお金を出金していましたが、当社の「オープン出納システム」の導入で行員の現金管理は完全に機械化されました。銀行窓口でテラーがお札を扇形に開いて枚数を数える横読みや、お札を1枚1枚本物かどうか確認しながら数える縦読みを目にしたものですが、今では「窓口用紙幣・硬貨入出金機」が紙幣や硬貨を数えています。 世界で最も機械化が進んでいる日本では業務の厳正化が求められます。人が硬貨や紙幣を数えて入金したり出金したりするより機械の方が早くて正確、間違いがありません。昨秋リニューアル販売した「オープン出納システム WAVE Pro」は、業界初の手形・小切手や損券・損貨などの管理と、従来は難しいとされた新券の自動精査を実現しました。この新商品の導入で、当社はオープン出納システムの更新需要の獲得が期待出来ますし、金融機関は業務の正確性と管理の厳正化を一段と進めることが出来ます。 【問】金融機関の営業店でその日の勘定の締めが合わないので徹夜して調べたところ、窓口で5千円札を1万円札と間違えて5千円過払いしたとか、出納元方のお札入れの上部に1万円札が1枚張りついていたとか、そうしたヒューマンエラーがほとんどなくなり、行員の出納業務の負担も精神的負担もかなり軽減されたのですね。御社製品の市場稼働台数(市場占有率)はどのくらいでしょうか。 【答】例えば、金融機関向けの当社の主力製品は全国で約2万台稼動しており、そのうち当社のシェアは約7割(当社調べ)です。他の製品も5割から7割程度の高いシェアを維持しています。金融機関の店舗に合わせて、大型~小型までラインアップを取り揃えており、シリーズ全体が順調に推移し販売好調です。 【問】高い市場占有率です。国内ライバル社がほとんど同じ製品を売る中で御社が一番の成長です。その理由をどうお考えですか。 【答】貨幣という事業領域は非常にニッチな市場で、大企業が参入するにはマーケットが小さい、小企業では開発費が過大、ちょうど当社サイズの会社がフィットした、ということや、当社がシンプルな単能機からシステム製品へ早く脱皮したということもあるのでしょう。しかし、何と言っても国産第1号の製品を出し、市場をリードしてきたから圧倒的なシェアを占めているのだと思います。絶えず新しいものを自社で開発していかなければならない、他社と同じことをやっているだけでは進化しないという創業者の精神がDNAのように脈々と続いています。そういう教えは今日まで受け継がれています。連結売上高の6%強の115億円くらいを研究開発に投資しています。 貨幣あるところに”グローリー製”あり 【問】たばこ自動販売機など新製品を次々に開発されています。 【答】たばこ自動販売機は1958年に作りました。当時、当社は三井造船さんの下請けをしていました。三井造船の部長は山下勇さん。JR東日本の初代会長になられた方です。創業者の尾上壽作が山下さんのところに行っては「何かいいアイデアないですか」と話していました。たまたま山下さんがヨーロッパ出張のお土産にカタログを3部持ってこられて、そのひとつがたばこ自動販売機でした。尾上壽作は「日本でもこれからどんどん機械化が進む。たばこの販売もそうだ」と直感。早速、たばこ自動販売機の開発に取り掛かかり、1958年国産第1号のたばこ自動販売機を世に出しました。タバコ屋の看板娘が店番していた時代です。最初はなかなか売れませんでしたが、7、8年くらい経ってからようやく売れ出しました。モノを出して売れなくてもあきらめずに辛抱強くやっていくことの大切さを再認識しました。それ以外では、チケット、食券、入場券などの券売機や、パチンコホール向けの玉貸機、駅などに設置されている日送りつきコインロッカーなども当社が開発し、国産第1号として世に出しました。 最近販売好調な製品の中から国産第1号をひとつあげると、スーパーマーケットや百貨店のレジでつり銭を自動的に払い出すレジつり銭機です。イトーヨーカドーさん、ダイエーさん、西友さんなど大手スーパーの多くが導入しています。レジつり銭機の導入によって、つり銭の間違い防止やレジの待ち時間が短縮されます。現金はすぐに機内に収納されるため現金管理の厳正化にもつながります。国内には約110万台のPOSレジが稼動しており、そのうちレジつり銭機が接続されているのは約3割です。コンビニエンスストアや飲食店、専門店など未導入の業態で試行の動きが出ていますから、今後さらに販売拡大が期待出来ます。 【問】レジつり銭機に収納された現金は閉店後どうなるのでしょう。 【答】レジつり銭機から売上金を店舗のバックヤードに設置した「売上金入金機」に一括入金します。素早く集計・収納されます。初めて使う人でもわかりやすく、安心して入金作業が行えます。警送(警備輸送)会社との契約によっては、「売上金入金機」に入れておけば、その時点で入金確定となり店舗保管中の盗難リスクも補償されます。機内の現金は、カセット内に収納管理されます。警送会社に委託すれば、警送会社が現金の入ったカセットを回収してくれます。店舗の社員が銀行の窓口やATMに入金のために並んだり、売上金と入金帳の入った専用の入金鞄を金融機関の営業店の外壁に設けられた夜間金庫に投入しに行く必要がなくなります。金融機関は、入金処理に手間がかかる夜間金庫を縮小・廃止しています。「売上金入金機」は、いわば金融機関の夜間金庫の代わり。金融機関は警送会社に夜間金庫の作業をアウトソーシングしている形です。当社の売上金入金機の販売も好調です。 【問】いろいろな市場で事業を展開されているのですね。 【答】お金があるところに必ず当社の製品が何らかの形で介在しています。当社の稼ぎ頭は現金処理機関係です。金融、流通交通、遊技の各市場の中では金融市場がメインです。 アベノミクス効果で国内景気も企業業績も上向いています。利益が出れば配当や設備投資にお金が使われます。これから設備投資に前向きな動きが出てくると見ています。2004年の新紙幣(1万円札、5千円札、1千円札)導入時に特需的に売れた出納システムが10年経って更新の時期を迎えています。10年経つと機械もいろいろなところが傷んできます。今年度、来年度、再来年度と徐々に更新に入ってくると予想しています。 【問】硬貨や紙幣をどんどん処理していきますから、どうしてもごみがたまったり、紙幣がつまったり、部品が破損したりします。お金に関わる作業ですから機械が止まると大変です。トラブル対応はどうなっていますか。 【答】トラブルなどのお問い合わせに速やかに対応するため、コールセンターによるフォローアップ体制は万全です。東西に2拠点あるコールセンターでは、365日24時間、約100名の専門スタッフが電話で対応しています。電話で解決出来なかったトラブルに関しては、全国に配置されている約1600名の経験豊富なテクニカルスタッフを迅速に派遣して対応しています。国内拠点は約100カ所あります。お金を扱いますから信用が大事です。テクニカルスタッフはほとんど正社員です。迅速に対応し、お客さまに安心をお届けすることが当社の使命です。 電子マネー台頭、人口減少に懸念…事業領域拡大で多様化するライフスタイルに対処 【問】電子マネーの普及により硬貨の流通量が減って御社製品の利用率低下を懸念する向きも一部にありますが。 【答】確かに5円硬貨、10円硬貨の流通量は減少傾向にあります。しかし、500円硬貨は増加傾向にあります。紙幣の流通量も増加傾向にあります。カード社会と言われるアメリカでも紙幣の流通量は増加傾向にあります。当社製品の市場が縮小してなくなることは考えられません。当社は、紙幣の流通量が格段に伸びるとは考えていません。当社としては、今の流通量がキープされていれば何ら問題はありません。 30年くらい前から電子マネー市場に参入しています。電子マネー共通読み取り端末、プリペイド型電子マネー決済端末など電子マネーに対応した製品を開発、販売してきました。大きな商圏ではないので売り上げはまだ微々たるものですが、今後も様々な業態でのキャッシュレスシステム導入を支援していきます。 【問】人口減少社会に突入し海外市場へ軸足を移す企業が増えています。 【答】当社の業界も人口減少の影響を徐々に受けるでしょう。人口減少に伴い利用客も減って採算が取れなくなった店舗が統廃合される可能性はあります。ただ、そうなったとしても、また、国内では市場が成熟化し、現金処理機関係では更新需要などが中心になったとしても、当社はお客さまからニーズを聞きながら現金以外の用途に向けた製品開発に力を入れ、取り巻く環境の変化に備えています。 いくつか具体例を挙げると、まず、営業店で発生する様々な帳票類に対応出来る「パソコン一体型スキャナー」や、タッチパネルで簡単に入力出来る「電子記帳台」、現金以外の通帳・証書などを管理する「重要物管理機」、などの導入を金融機関に提案しています。 次に、紙幣の識別から派生した技術や画像処理技術を応用した顔認証システムの事業領域を拡大しています。最近では2015年7月にオープンしたハウステンボス「変なホテル」さんより当社の顔認証システムを採用頂きました。顔認証によりキーレス入室が可能になります。運用手順は、①フロントの自動精算機でチェックイン、②専用の端末で顔画像を登録、③宿泊する部屋の前でカメラに顔を向け解錠し入室する、というものです。当社の顔認証システムは、独自のアルゴニズムを用いることにより、業界で最高クラスの認証精度を実現しています。 もうひとつ、楽天さんが始められた、楽天市場で注文した商品を専用の宅配ロッカーで受け取ることが出来るサービスに対応したロッカーが注目されています。通学・通勤途上のお客さまの都合に合わせて必要な商品をすばやく受け取ることが出来ます。また、ライフコーポレーションさんと提携して、同社が運営するネットスーパーで注文した商品を店舗内の商品受け取り用ロッカーで受け取ることが出来るサービスの試験運用を開始しました。2店舗の試験運用の段階ですが、お客さまは店内を歩いて商品を探したり、レジ待ちの列に並ぶ必要がなくなります。配達時間帯に自宅にいなければならないといった制約や、自宅へ訪問されたくない一人暮らしの女性などの悩みも解消出来ます。これからも多様化するお客さまのライフスタイルに対応した製品を開発していきます。 「ワン・グローリーへ」英タラリス社買収…異なる価値観、企業文化の尊重を重視 【問】国内市場ではお客さまのニーズを先取りして製品を開発し、既存市場の深堀りと未導入市場の攻略に注力されているのですね。では、海外市場の取り組みについてお聞かせ下さい。まず、経営の中で海外市場をどう位置付けていますか。 【答】日本国内の金融機関の店舗数は約6万に対して、中国では約20万、世界では146万です。日本は地球儀で見れば豆粒みたいに小さな国ですが、これだけの売り上げがあります。世界を見れば伸びしろはまだまだ大きい。売り上げはもっともっと増える。当社は海外というものを大きなターゲットとして見ています。海外売上高比率は目標の30%になかなか届かなかったのですが、通貨処理機の世界最大手の英タラリスを買収した期に48%に高まりました。経営資源を海外事業に積極的に投入しています。2017中期経営計画では、売上高2600億円、営業利益280億円、海外売上高比率50%を目標としています。 【問】タラリス買収の経緯は。 【答】タラリスは、英デラルーという歴史のある会社の計算機部門が独立した会社です。当社は2010年からタラリスの調査を開始しました。同社から買収話が持ち上がったこともありました。投資会社の米カーライルが同社を買収する時にも話はありました。買収価格と当社の経営体力等を考慮して見送ってきましたが、2012年にいろいろな条件等を話し合って最終合意に至りました。買収負担額は6億5千万ポンドです。当時は1ポンド125円くらいでしたから8百数十億円。銀行借り入れで賄いました。当社規模の会社には大博打という感じです。経験したことがない大きな買収ですから慎重に考えました。800億円という買収金額は身の丈に合った金額なのか、買収して本当に採算はとれるのか、買収後の将来像をきちんと描いているのか、毀損したらのれん代800億円をどーんと償却しないといけない、そういう不安の声もありましたが、「これを逃せばチャンスはない」と決断しました。 【問】今は当時と比べて円安ポンド高です。思い切ってご決断されてよかったですね。世界トップに躍り出ました。 【答】円安でのれん代が膨れています。ポンド資産では間違いなく減っているのですが、邦貨に換算すると逆に増えています。1ポンド125円から188円と5割くらい上がっています。今の換算レートでは買収額は1000億円を超え、決断出来なかったでしょう。 【問】タラリスのどこに魅力を感じましたか。 【答】タラリスは全世界22カ国に直販、直メンテナンス部門を持っています。そこが非常に魅力的でした。タラリスは世界一のコンペティターです。同社を買収することで一挙に営業とメンテナンス部門を世界に網羅することが出来ます。営業とメンテナンスという車の両輪が上手く回ることで収益が成り立ちます。海外網を整備する時間を買ったという感じです。 【問】それが800億円という買収額に見合うかどうかです。 【答】当然、現在はプラスです。タラリスの既存店の資源や人脈も活用出来ます。今まで取引のなかった米大手金融機関と取引が出来るようになりました。のれん代の償却問題もありますがタラリスは利益を出しています。円安は当社全体としてはプラスです。 【問】統合も順調です。課題はありますか。 【答】当社の拠点とタラリス拠点を全部統合してひとつの会社になりました。それぞれが開発する機種も全部統合しました。タラリスで開発する機種と当社が開発する機種を全部ラインアップして、これはタラリスで開発する、あれは日本で開発するという形で分担を決めました。ただし、開発の指揮命令系統は日本の開発本部に一本化し、そこにタラリスの開発部隊を組み込むという体制に改めました。組織上は既にワン・グローリーです。 残された課題は、気持ちもワン・グローリーにするということです。これが一番の目的です。買収する会社、買収される会社、それぞれマインドの問題があります。モチベーションを落とさないためには皆が心を一つにすることが大切です。投資会社が所有していた時のタラリスは、主要工場の閉鎖などリストラが行われていましたから、社員は雇用不安を抱えていました。グローリーという開発を絶えず続けているメーカーの傘下に入ったことで雇用の安心感、経営の安定感を得ることが出来るようになりました。売る商品のバリエーションが増えて営業がしやすくなりました。現地社員のモチベーションは上がってきています。気持ちのワン・グローリーも進んでいます。ただ、お互い企業文化が違います。日本人は農耕民族で、中長期的視点で経営していくというスタンスですが、欧米人は短期的視点の狩猟採集民族です。異なる価値観、企業文化を持つ者同士が一緒になるのですから、意識の統一、企業としての一体感が生まれるまでにはまだ時間がかかります。 【問】タラリスの地域別の売上高(売上高比率)をお教え下さい。 【答】今期の計画は、米州365億円(33.5%)、欧州420億円(38.5%)、アジア220億円(20.2%)、中国120億円(11.0%)、OEM85億円(7.8%)です。大きな伸びが期待出来るのがブラジル、ロシア、インドです。インドは紙幣の量が多く、紙幣整理機を中心に販売が好調です。アメリカも好調です。アメリカはかなり設備投資に積極的です。ヨーロッパがようやく昨年くらいから戻ってきました。今、一番の注目先はヨーロッパです。日本では、金融市場、流通・交通市場、遊技市場などのセグメントを手掛けていますが、海外ではセグメントを設けずほとんどが金融市場です。最近、ヨーロッパでは、スーパーのレジつり銭機などリテールの分野が動き始めています。海外での業績を伸ばしていくには未開拓の市場に入って行く必要があります。金融以外の市場にも事業を広げていきます。 【問】アメリカ、ヨーロッパ、ブラジル、ロシア、インドなどで事業の大きな伸びを期待する一方で、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の一角、中国での今期業績は前年度並みと控えめです。どうしてですか。 【答】タラリスの買収効果で2013年3月期は一挙に売り上げが伸びました。その後も増収増益で推移していますが、営業利益率は7.6%(2014/3)、8.4%(2015/3)と予想をやや下回る結果でした。中国で現地メーカーの安価な製品が出てきたことが大きな原因です。2013年くらいから中国では現地メーカーが台頭しています。展示会で30社から40社くらいの現地メーカーに出くわします。現地メーカーの製品は、当社の製品と比べて間違いなく品質は落ちます。耐用年数も短いです。しかし、価格は当社の3分の2から半分程度です。入札制度ですからまず価格です。当社は採算の取れないビジネス、利益の出ない赤字のビジネスはしません。結局、価格競争に負けて、安い中国製が買われます。営業も状況は厳しいです。 中国市場は”ノウハウ”で…信頼性強調し海外シェア拡大目指す 【問】中国では2015年12月末までに金融機関の窓口やATMから出るすべての紙幣の記番号をファイルすることが義務づけられています。紙幣の記番号の読み取り需要が高まりビジネスチャンス到来と思うのですが、中国メーカーの技術力はどの程度でしょうか。 【答】中国メーカーの技術はどんどん進んでいます。ソフトウエアの領域ではかなり強くなっています。中国は日本など海外の技術を模倣してそれ以上のモノをどんどん作っています。三次元プリンターもありますから、最近はすぐに模倣出来ます。工業技術は他国へ移転されて世界に広まり、先進国を逆転する歴史を繰り返しています。日本の自動車や新幹線も、当社の紙幣整理機も同じような道を歩んでいます。結局これは歴史です。それが嫌だったら中国には進出しないことです。 【問】それは承知で御社は中国に進出しています。 【答】はい、あのマーケットを捨てるわけには行きませんから。 【問】技術の模倣も歴史の繰り返し。では、模倣出来ないものは何でしょうか。 【答】ノウハウです。当社の技術の中でコアになる認識・識別とメカトロニクスのノウハウを模倣することは容易ではありません。多数の形状が混在化した硬貨や紙幣、汚れてよれよれの紙幣、くっついて数えにくい新札などをスピーディーに間違いなく繰り出して搬送するという技術は、過去から何年も積み重ねてきたメカトロニクスのノウハウの結晶です。一朝一夕では模倣出来ません。形状・材質・模様・厚みなどの異なる貨幣を瞬時に判別する認識・識別のノウハウもそうです。安くても偽札が通るような機械は信用を落とすだけで売り物になりません。偽札を絶対通さないために、紙幣を選別するあらゆる要素を網羅したセンサーを自社開発しています。当社は他社にない独特のものを作っています。 【問】そこに勝機があると。 【答】当社は今まで培ったメカトロニクスの技術と貨幣の識別処理技術をもっと強固なものにしていくことで中国メーカーに打ち勝つことが出来ます。中国での戦略は、紙幣計数機、窓口用紙幣入出金機、紙幣整理帯封機などの中下位機種が中心ですが、これからはもっと付加価値の高い製品の取り扱いに力を入れます。中国メーカーが商品を出したら、当社はその一歩上のものを出します。当社の技術力で中国メーカーに出来ないものをどんどん出して行きます。 【問】2011年4月社長就任から約4年が経過しました。振り返っていかがでしょう。 【答】経営は順調ですが、2011年東日本大震災、2012年タラリス買収など波乱の4年間でもありました。特にタラリス買収は思い切って海外にシフトしたという意味で、創業から今日まで約100年の中でも一番のターニングポイントと言えるでしょう。タラリス買収後は海外のちょっとした出来事でも影響を受けるようになりましたが、タラリス買収でグローバルの波に取り込まれたというよりも、ビジネスチャンスをつかむためにリスクを取りながら自ら飛び込んで行ったとポジティブに考えています。当社は、いつの時代においても技術を研鑽し、数々の画期的な製品を世に送り出してきました。 現在では世界100カ国以上で業務の効率化、厳正化に貢献する数々の当社製品が活躍しています。ワン・グローリーを一段と進め、当社の強みである「製品開発力、高品質製品、豊富な製品ラインアップ」と、タラリスの強みである「ソリューション提案力、マーケティング力、直接販売・直接メンテナンスのネットワーク」を上手く融合して、今後も日本のみならず海外のニーズを先取りした先進的な製品やサービスを提案し、グローバル展開をさらに加速していきます。 (聞き手・QUICK情報・コンテンツ本部 岡村健一) <尾上広和氏略歴> 1948年姫路市生まれ。1970年関西学院大学商学部卒、国栄機械製作所(現グローリー)入社。新事業企画、購買、自販機・遊技事業、経営企画などの経験を重ね、2000年4月自販機・遊技システム事業部長、2001年6月取締役、2008年6月取締役常務執行役員、2010年6月取締役執行役員副社長、2011年4月代表取締役社長。

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米利上げ、「9月」が有力…2回目の時期は意見分かれる(8月調査)

8月10日~13日に外国為替市場を対象として実施したQUICK月次調査(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者75名が回答)では、米国の利上げスケジュールについて調査しました。市場関係者の間では、9月に利上げが実施されることはほぼ確実視されており、焦点は2回目以降の利上げタイミングとなっています。 中国は前週8月11日から3度にわたって、人民元の対米ドルレートを切り下げました。このまま米国が9月に利上げを実施すれば、米ドル高・人民元安の動きに拍車を掛け、米国輸出企業にとってマイナス要因になる恐れがあります。米FRB(連邦準備理事会)にとって、非常に難しいかじ取りが迫られることになりそうです。 米利上げは「9月」有力、2回目の時期は意見分かれる 今回の調査では、FRBの利上げ開始時期がいつになるのかを質問しました。結果は、9月実施が圧倒的に多く、全体の72%を占めています。12月予想もありますが、わずか17%に過ぎません。米国は7月の雇用統計の数字が好調だったことから、9月16~17日にかけて開催されるFOMCで、利上げが行われる可能性が高まっていました。 もし9月に最初の利上げが実施された場合、次の利上げタイミングはどこになるのか。市場関係者の焦点はこちらに移りつつありますが、見方は分かれています。 年内(12月)にも再利上げという声が25%を占める一方、1月利上げが18%、3月利上げが35%を占めました。FOMCは9月に実施された後、年内は12月を残すのみ。新年最初が1月で、次が3月になるので、3月の再利上げは、スタンスとしては慎重な方に分類されるでしょう。 米国が1度目の利上げを実施した際、3か月程度を想定したマーケットの動向についても調査しました。ドル円はドル高予想が45%と多数ですが、半数以下にとどまりました。利上げ後の為替相場の見通しも分かれていると言えそうです。米10年債の利回り、ダウ平均、原油価格ともに横ばい推移という見方が多数を占めました。 中国・人民元の動きが与える影響 とはいえ、中国の動きを踏まえると、利上げのスケジュールはまだまだ流動的と言えそうです。 中国が人民元の切り下げに踏み切った理由は、中国の経済成長率の減速が鮮明になってきたためです。イギリスの調査会社ファゾム・コンサルティングは、2016年の中国経済の成長率は、実際には1%台まで低下するというレポートを公表しています。経済が急減速すれば、雇用難が深刻化し、社会不安につながる恐れがあります。内需低迷を外需でカバーするため、今回の人民元切り下げに至ったと見られています。 一部では今回の人民元の切り下げが、米国の利上げに影響を及ぼすと考えられています。前述の通り、米国が市場予想通りに利上げを実施すれば、米ドル高・人民元安が進み、米国輸出企業にとってマイナス要因になる恐れがあります。米企業の不振が米国内のデフレ(物価下落)圧力を強めるようだと、利上げを実施する大義名分のひとつが失われてしまいます。FRBの動きには今後も注意が必要です。 一段のドル高・円安定着には懐疑的、資源国・新興国通貨は弱い 毎月定点調査している為替相場見通しを見ると、来年初にかけて、一段の円安・ドル高が定着するとは考えられていないようです。金融機関の外為業務担当者の見通し(単純平均)は、1か月後の8月末で1ドル=124円47銭と前回調査の122円07銭から円安方向に修正されましたが、これは現状を追認した結果。注目の「9月」を超えた10月末は124円59銭、来年1月末は124円69銭と、当面は124円台半ばの推移が続くと考えられているようです。 米利上げを受けて一時的な相場変動はあれど、さらなる円安進行には、米国の2回目以降の利上げタイミングを見極める必要がある、ということでしょう。 今後のドルの動きを見るうえで、マーケット関係者が注目している円安要因は「金利/金融政策」。ドル高要因としても「金利/金融政策」が注目されています。両国の金融政策の違いが引き続き円安・ドル高要因になると見られています。 その他の通貨の対円相場見通しについては、カナダドル、豪ドル、ニュージーランドドル、ブラジルレアルなど、資源国通貨ならびに新興国通貨の下落ムードが強まっています。いずれも中国経済のスローダウン、人民元の切り下げが影響していると思われます。 投資家も慎重姿勢…外貨建て資産の「アンダーウエート」急増 現在、運用しているファンドの外貨建て資産について、当面どのような運用スタンスで臨むのかを聞いたところ、慎重なスタンスが強まっています。これまで0%続きだった「アンダーウエート」(組み入れ比率が基準よりも少ない)が、8月は20%まで上昇。「ニュートラル」(中立)が前回調査の38%から80%に急上昇しています。また為替ヘッジについても、「ヘッジ比率を上げる」あるいは「ヘッジ比率を維持する」という回答が優勢となっています。 明らかに、為替市場の先行きに対して慎重なスタンスが見受けられます。米利上げという一見、大きな円安材料はあるものの、仮に織り込み済みであれば相場は一時的に円高に進む可能性があります。機関投資家は重大イベントを前にした相場の急変に備える動きを見せています。 ※フルレポートについては、QUICKの端末サービス(有料)や日経テレコン(有料)でご確認できます。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

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不正会計の東芝、「株価低迷続く」との回答が過半数(8月調査)

7月に発覚した東芝の不正会計事件は、氷山の一角なのか、原因の本質はどこにあったのか、そして東芝は復活できるのか。株式市場関係者やメディアの間で様々な意見が飛び交っています。 国内最大級の市場心理調査であるQUICK月次調査。8月4日~6日に株式市場を対象として実施した調査(証券会社および機関投資家の株式担当者165名が回答)では、東芝の不正会計問題に関して特別調査を行いました。 また毎月実施している相場予想の定点調査では、日経平均株価の1か月後、3か月後、6か月後の予想値が、前月調査分に比べてほぼ横ばいという状況です。6か月後である2016年1月末の日経平均の市場予想は2万1312円。調査期間の日経平均は、2万448円~2万817円の範囲で推移しました。 東芝不正会計は氷山の一角か…「他社にも存在」との見方が多数 東芝の不正会計問題では、歴代社長をはじめ、16人の取締役中、8人が引責辞任するという、前代未聞の大事件に発展してきました。当然、株式市場にも影響が及んでいます。今後、マーケット関係者の注目点としては、こうした不正会計事件が「東芝」という企業固有の問題なのか、それとも市場全体に何らかの形で波及するのか、ということでしょう。 東芝に限定された問題かどうかという質問に対して、「東芝固有の問題」と答えた人の回答比はわずか16%。一方で「他社にも存在するが数は限定的」の回答比が57%を占めました。また「少なからず存在する」も25%となり、程度の差こそあれ、東芝と同じことをしている企業があるという認識は多数となっています。 次に、不正会計を生んだ土壌はどこにあったのか。今回の不正会計問題について、責任が重いと思われるものを3つ選んでもらったところ、「社長経験者」が最も多い96%。次いで「財務部門」の64%、「監査法人」の60%、という結果が出ました。トップに責任があるとする見方が多いようです。こうした不正会計の防止策としては、「不正会計に対する罰則の強化」、「内部統制の強化」が有効とする声が多く聞かれました。 市場全体には「影響しない」が、東芝は「財務弱体化、株価低迷続く」 また、マーケット関係者には気になるところですが、不正会計問題が株式市場全体に及ぼす影響については、「個別企業の問題として市場全体には影響しない」が全体の74%を占めました。 一方、東芝の株価については、「財務が弱体化し株価低迷が長期化する」という答えが53%と過半数。「経営刷新が進み株価も上昇に向かう」が36%でした。 株価予想は伸び悩む、運用担当者も慎重姿勢 定点調査の相場予想を見ると、年末にかけては強気ですが、目先はやや上値が重くなりそうです。1か月後の株価見通しについては、単純平均で2万574円となり、前回の7月調査分に比べて若干の上方修正に留まりました。また、3か月後(10月末)の株価見通しは2万685円と、7月調査分に比べてやや下落しています。 今後、6か月程度を想定して、株価変動要因で注目されているものとしては、「景気・企業業績」が、7月調査分の43%から58%に大幅上昇しました。相場への影響度を加味した注目度指数をみると、「為替動向」が株価上昇要因として注目されています。 一方、「政治・外交」がやや下落要因として見られています。安倍政権の支持率低下が懸念されていることを数字が物語っています。過去のケースを見ても、時の政権の支持率低下は、株安につながっているからです。 資産運用担当者68名を対象に、現在運用しているファンドの株式組み入れスタンスを聞いたところ、「やや引き上げる」「かなり引き上げる」の合計値が低下(20%→14%)する一方、「やや引き下げる」「かなり引き下げる」の合計が上昇(4%→10%)しています。秋口にかけて、プロの見方はやや慎重といったところのようです。

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電機の業績予想DIがマイナスに転落…全産業も悪化(7月調査)

全産業DIはプラス幅が縮小…業績期待がやや鈍る 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(7月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス15と、前月に比べて2ポイント悪化しました。4~6月の決算発表が本格化するなか、企業業績に対する市場の期待はやや減速しつつあります。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が縮小したことは、アナリストによる業績見通しの上方修正ペースが減速していることを表します。 製造業が伸び悩む…「電機」はマイナスに転じる 製造業のDIがプラス13からプラス6に低下したことが、全体のDI低下に響きました。一方、非製造業は堅調。DIはこの半年間、改善を続け、7月末時点もプラス17と前月から1ポイント改善しています。 製造業では「輸送用機器」が改善(プラス5⇒プラス7)しているものの、「機械」(プラス61⇒プラス43)が伸び悩み、「電機」がマイナス、つまり下方修正優勢に転じています(プラス16⇒マイナス5)。 円安進行が一服したことから、輸出企業など円安メリットを享受する企業の業績再加速は期待薄となり、株価も一進一退が続いています。加えて、アベノミクスで強烈に経済を後押ししてきた安倍政権の支持率低下は、景気にとって決してプラスの影響は及ぼさないでしょう。 一方、改善が目立ったのは「化学」と「卸売」。「化学」はこれまでの原油安の恩恵を受けて一部製品の採算が改善しました。原油安による大手商社の業績悪化懸念から、昨年末以降、マイナス圏で推移してきた「卸売」は、ここにきてプラス圏に浮上しました。「小売」、「不動産」といった内需系業種も堅調を維持しています。 上方修正率2位にアダストリア、3位にキリンHDが登場 アナリストによる業績予想の平均値「QUICKコンセンサス」について、3か月前と比べた純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。 銘柄名 修正率 参天製薬(4536) 91.07% アダストリア(2685) 64.71% キリンHD(2503) 55.28% コスモ石油(5007) 47.27% 東燃ゼネラル石油(5012) 37.82% 逆に、予想純利益率の下方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 ベネッセHD(9783) ▲80.51% ラウンドワン(4680) ▲79.85% ファンケル(4921) ▲60.25% ニチイ学館(9792) ▲48.63% LIXILグループ(5938) ▲46.52%

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安倍政権の支持率テコ入れ策、市場は「経済政策」を期待(7月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の7月調査が、8月3日に発表されました(証券会社および機関投資家の債券担当者149名が回答、調査機関は7月28~30日)。今回の特別調査では、低下する自民党・安倍晋三政権の支持率と、それがマーケットに及ぼす影響について聞きました。 「支持率30%は割り込まない」との見方が大半 アベノミクスで株価を回復させ、高い支持率を維持してきた安倍政権ですが、安保法案の採決に伴い、支持率が急低下してきました。共同通信の調べによると、安倍政権の支持率は30%台後半にまで落ち込んでいます。 これが8月末にかけて、どこまで下がるのか。マーケット関係者の見方は、「さらに低下するが、30%台は維持」が5割を占め、次に「横ばい」が36%という結果になりました。つまり市場関係者の9割近くが、支持率の30%割れは無いとみているということです。 金融市場、特に株式市場の動向は、時の政権の支持率に敏感です。支持率が高ければ株高、支持率が下がれば株安という関係が、如実に表れます。今後もさらに支持率の低下が続けば、株価の下押し懸念は強まりますし、債券市場にも影響を及ぼすでしょう。 支持率改善策は「経済対策」、あるいは「安保法案の説明」か 9月27日には、今国会が会期末を迎えます。それが終われば、次の焦点は2016年7月に予定されている参院選挙です。現在の30%台という支持率で参院選は戦えないとなれば、新たな経済政策を打ち出してくる可能性が高まります。「安倍政権が支持率改善のために何をすると予想しますか」という問いに対しては、「経済政策の強化」が45%でトップ。次いで「安全保障関連の説明強化」が30%、「外交面の成果模索」が21%となりました。 支持率低下続けば「株安・円高」の恐れ 気になるのは、安倍政権の支持率低下が続いた場合の、マーケットの反応ですが、多数の見方で言えば、「長期金利は特に変わらず、株価は下落し、円高が進む」ことになります。アンケート調査の数字を見ると、日本長期金利は「影響なし」が53%、日本株式は「下落」が77%、ドル円相場は「円高」が47%を占めました。 ただ、株価の下落があまりにも大きなものになると、景気は再び後退局面に入ってしまうリスクが浮上します。景気が後退すれば、2016年7月に予定されている参院選挙で安倍政権の逆風となる恐れが高まります。 長期金利の見通しは低下、運用も買い目線 内閣支持率の低下と、景気に及ぼす影響が懸念されてか、新発10年国債の想定利回りは、6月調査分に比べて低下しました。市場参加者による8月末の想定利回り(単純平均)は0.429%で、半年後の来年1月末でも0.499%。当面、10年国債利回りは0.5%を割り込む水準で推移するのが、市場の見方となっています。 今後6か月間で長期金利に影響を及ぼす要因として注目されるものとしては、「物価動向」が6月調査分の6%から12%に上昇しました。他は、それほど大きな変化が見られませんでした。「海外金利」の注目度は、6月調査分に比べて低下したとはいえ、それでも44%と高位を維持しています。織り込みが徐々に進んでいるものの、当面の注目点は、9月に米国が利上げに踏み切るかどうかということでしょう。 ファンドにおける国内債券の組入比率を今後どうするか、「自社資金の運用」「年金運用」「年金以外の受託資金の運用」などを担当している資産運用担当者76名を対象に聞いたところ、「かなり引き下げる」が0%で変わらず、「やや引き下げる」が大幅に低下。逆に「やや引き上げる」と「現状を維持する」が増加しました。この点から見ると、先行きに対してはやや強気、つまり金利低下を見込むムードが強まっているのが分かります。

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安定株主増やす新種類株、「難しい」「不要」の回答3割(7月調査)

非製造業の景況感改善が一服しています。 日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(6月30日~7月14日調査分、上場企業456社が回答)では、製造業の業況判断指数(DI)は、プラス23となり、前月調査のプラス19に比べて4ポイント改善しました。一方、非製造業は8ポイント悪化のプラス31と伸び悩みました。 結果として、金融を含む全産業では前月比3ポイント悪化のプラス29となっています。7月のQUICK短観を見ると、これまで改善基調だった景況感は、非製造業を中心に鈍化してきています。 中国株式市場が急変動していた時期だったため、アジアからの旅行者需要を享受していた内需企業の景況感に、何かしらの影響があったのかもしれません。非製造業の景況感の変化には、今後も注目した方がよさそうです。 仕入価格の上昇は一服か 雇用情勢については6月調査に引き続き、雇用の不足感が強いままです。生産・営業用設備については6月調査に比べて大きな変化は見られず、製造業がやや過剰、非製造業がやや不足という状況が続きました。 販売価格と仕入価格のDI(「上昇」の回答から「下落」の回答を差し引いて算出)を、金融を除く全産業で見ると、販売価格のDIがプラス5で6月調査から2ポイント上昇、仕入価格のDIがプラス29で同3ポイント下落しました。仕入れ価格の上昇ペースが緩むなかで、販売価格が上昇しつつある状況は、企業収益にとってプラス要因です。 安定株主増やす新種類株…「様子見」企業が5割、「難しい」「不要」は3割 今月のQUICK短観では、下記の2点に関する特別調査を実施しました。一つは、このところ株式市場で注目されていたトヨタ自動車の「元本保証型」種類株について、もうひとつは日本年金機構からの個人情報流出についてです。 トヨタ自動車が「元本保証型」と称されるAA型種類株式を発行すると決めました。発行後5年が経過すると、発行価格での取得(トヨタによる買い取り)を請求できる点が特徴のひとつです。発行価格は、発行価格決定日の普通株式の終値の120%ですから、仮に発行価格決定日の株価が8000円であれば、発行価格は9600円になります。また、発行から5年が経過するまでの配当は、以下のようになります。   発行日が属する事業年度・・・0.5% 2事業年度目・・・・・・・・1.0% 3事業年度目・・・・・・・・1.5% 4事業年度目・・・・・・・・2.0% 5事業年度目・・・・・・・・2.5% 6事業年度目以降・・・・・・2.5%   このように、保有期間が長くなるほど、徐々に配当年率が2.5%に達するまで上昇していきます。なお、配当額は、発行価格×配当年率になります。 こうした新しい種類株の発行に対して、一部では「安易な安定株主の増加で経営の規律が緩む」という批判があったと、一部のメディアで報じられました。 この手の種類株についてどのように考えるかを上場企業に聞いたところ、以下のような結果になりました。「参考にしたい」と言う様子見回答が56%と過半を占めましたが、同様の手法の導入について「難しい」「不要」という回答は計34%にのぼりました。 年金機構の情報流出、セキュリティー対策強化した企業は半数 日本年金機構が標準型メール攻撃を受け、125万件にも及ぶ年金の個人情報が流出しました。この機会にセキュリティー対策をどう見直したかを聞いたところ、下記の結果となりました。 対応を実施した(①と②)と、対応を見直していない(③)の回答が、おおむね半々となりました。

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ギリシャのユーロ離脱「確率45%」…為替市場への影響は(7月調査)

7月6日~9日に外国為替市場を対象として実施したQUICK月次調査(金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者86名が回答)では、ギリシャ問題について調査しました。調査期間のマーケットは、ギリシャ問題の混迷によって、大荒れの展開になりました。 ギリシャの離脱確率は平均で「45%」 5日に投開票されたギリシャの国民投票は、財政緊縮策に「ノー」を突きつけた反対票が63%となり、賛成票を大きく上回りました。とはいえ、チプラス首相は「5日の国民投票は欧州と別れるためのものではない」と言い、あくまでもユーロ残留を探る動きをしています。 果たして、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性はあるのかどうか。その確率を聞いたところ、離脱の確率は、単純平均で45%(中央値は50%)となりました。国民投票を通過しても、市場の見方は依然として「五分五分」という認識のようです。 また、ギリシャをユーロ圏に留めることが、ユーロにとって政治・経済・通貨にどのような影響を与えるかを聞いたところ、政治的にはメリットだが、経済的にはデメリットという回答が最多となりました。また通貨への影響については、影響は小さいが最多の45%で、21%が「メリットが大きい」、34%が「デメリットが大きい」と回答しており、意見が分かれています。 ギリシャ離脱は「短期でユーロ安」「中長期でユーロ高」との見方 仮に、ギリシャがユーロ圏から離脱することになったら、ユーロ相場はどうなるのか。短期的には、「ユーロ安要因」と見るのが全体の61%。一方、中長期的には、「ユーロ高要因」と見るのが全体の47%、「中立要因」と見る回答も35%を占めています。 確かに、ギリシャのユーロ圏離脱は、イタリアやスペイン、ポルトガルなど、その他の南欧諸国のユーロ圏離脱を促す恐れがあります。そのため、ギリシャの離脱が「ユーロ崩壊の序曲」と見る傾向が強まれば、目先でユーロが大きく売られる可能性はあります。ですが、ユーロからの離脱者が増え、本当に意味で強い国だけがユーロに残れば、最強通貨ユーロという評価が高まる可能性もあります。その意味でも、ユーロは目先弱気、中長期で強気という見方は、一理あると言えそうです。 後ずれする米国の利上げタイミング また、米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切る時期についても調査しました。現状、9月利上げが36%を占める一方、12月利上げが44%を占めています。年初から同様の調査を実施してきましたが、6月が有望視されていたのが、徐々に9月に後ずれし、今回はさらに12月を見込む回答が9月を上回ってきました。 ギリシャ問題の混迷、中国の株価急落など、グローバルで悪材料が浮上しており、それが米国経済にどのような影響を及ぼすのか注視されるところです。 ドル円予想の定点調査…円安期待一服、外貨運用も慎重姿勢に 毎月、定点調査している為替相場見通しによると、円安・ドル高の勢いが鈍りそうです。金融機関の外為関連業務に従事している人の回答を見ると、7月末の相場予想は単純平均で1ドル=122円07銭となり、前回調査の124円00銭に比べると円高方向に修正されました。3か月後が123円18銭、6か月後は124円41銭という予想になっています。 今後のドルの動きを見るうえで、マーケット関係者が注目しているドル高要因は引き続き「金利/金融政策」です。円の変動要因では「景気変動」の注目度が上昇する一方、「物価動向」の注目度は低下。ユーロについては、ギリシャ問題の行方が注目されていることもあり、「政治/外交」の注目度が、前月に比べて大幅に上昇しています。 現在、運用しているファンドの外貨建て資産について、当面どのような運用スタンスで臨むのかを聞いたところ、これまで0%回答が続いていた「アンダーウエート」(基準より少ない)とする回答比が31%に急上昇しています。「オーバーウエート」(基準より多い)の回答が今月は大幅に低下(50%→31%)し、、「ニュートラル」(中立)とする回答も前月の50%から38%に低下しました。 ※フルレポートについては、QUICKの端末サービス(有料)や日経テレコン(有料)でご確認できます。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

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株価見通しは堅調 インデックス運用流行の影響を探る(7月調査)

機関投資家や個人を問わず、株式運用において、インデックス運用(株価指数に連動する運用)が主流になりつつあります。投資信託協会の統計を見ると、インデックスファンドの中でも中心的な存在であるETFは、本数こそ5134本もある株式投資信託のなかで132本(2.6%)と少数派ですが、純資産総額を見ると、株式投資信託全体が84兆4783億円であるのに対し、ETFは14兆3483億(17.0%)にも達しています。 国内最大級の市場心理調査であるQUICK月次調査。6月30日~7月2日に株式市場を対象として実施した調査(証券会社および機関投資家の株式担当者180人が回答)では、インデックス運用が株式市場に及ぼす影響について特別調査を行いました。 また、毎月実施している相場予想の定点調査では、日経平均株価の1か月後、3か月後、6か月後の予想値は前月調査分に比べてやや上方修正されました。6か月後である年末の日経平均について、市場予想の平均は2万1277円となっています。 「低コスト」「商品多様化」でインデックス運用への注目度高まる 株式運用におけるインデックス運用は世界的に主流となっています。スマートベータ(時価総額以外の基準を重視して構成銘柄や組入比率を決める指数)を含む、インデックス運用がこれだけ増えてきた理由は何か。この質問に対する回答は、「低コスト」が35%を占め、次いで「運用商品の多様化」が29%、「アクティブ運用のパフォーマンス不振」が22%を占めました。 運用におけるコスト意識が一段と高まりつつある結果といっても良いでしょう。仮にアクティブ運用で年3%の運用管理費用を支払っていたのが、インデックス運用に切り替えることで年0.7%に抑えられれば、差し引き2.3%の収益改善になります。純粋に運用でリターンを年2.3%改善するのは容易ではありませんが、コストの見直しは、リスクを負わずに収益を改善できる、有効な収益改善手段といっても良いでしょう。個人、法人を問わず、それに気づいた投資家が、コストの割高なアクティブ運用から、インデックス運用に切り替えていると考えることができます。 また公的年金などが積極的に採用しつつある「スマートベータ」のパフォーマンス予想については、「市場平均並み」が43%、「市場平均を上回るが過去のデータほどではない」が39%を占めました。 スマートベータとは、TOPIXのような時価総額加重平均型の株価指数とは異なる運用を行うインデックス運用のことです。つまり、財務指標など一定の基準やルールに基づいて株価指数をつくり、この株価指数に連動する運用を行うのがスマートベータ運用です。その狙いは、基本的に市場平均以上の運用成績を実現することにありますが、市場関係者の見方としては、「市場平均並み」の成績に留まるという回答比が最も高かった点が、興味深いところです。 インデックス運用は価格形成に影響も こうしたインデックス運用の拡大が株式市場に及ぼす影響を、流動性、価格形成、コーポレートガバナンスの3点から聞いたところ、流動性については「高まる」が53%、価格形成については「企業価値を反映しにくくなる」が47%、コーポレートガバナンスについては「影響なし」が64%で、それぞれの質問に対する最も多い回答となりました。 市場参加者の資金が一部の商品に過度に集中すれば、市場に何等かの偏りや歪みを生み出してしまいます。インデックス型運用を手掛けない投資家も、この点は常に注意しておく必要があるでしょう。 相場予想はしっかり…ギリシャ問題で外国人に注目 定例の相場予想・運用動向の調査をみると、目先の株式相場に対してやや強気というところでしょうか。目作半年間の日経平均株価の予想値は前回6月調査分に比べてやや上方修正され、中小型株の動向を示す日経ジャスダック平均についても同様でした。 今後半年間の株価変動要因として最も注目されている材料は「景気・企業業績」で44%の回答を得ましたが、5月調査分、6月調査分に比べて数字は低下しています。一方、前回の調査に比べて数字が大きく上昇しているのが「海外株式・債券市場」です。6月調査は19%でしたが今回は32%まで上昇してきました。ここで言う海外は、ギリシャ問題に揺れるユーロ圏の動向と思われます。7月5日の国民投票で、緊縮受入れに「反対」が圧倒的な多数を占めたことで、今後、ギリシャのユーロ離脱を巡り、さらにマーケットが大きく揺らぐ可能性があります。 同じく、今後6か月の動向で最も注目される投資主体については、前回調査分に比べてやや低下したものの、相変わらず「外国人」の動向に対する注目度が高く、75%を占めました。これまで年金や日銀など公的資金による株買いに期待して、外国人投資家が積極的に日本株を買ってきました。しかしギリシャ問題の混迷が深まれば、今度は外国人の利益確定売りが続く恐れもあります。 資産運用担当者の見方はやや強気 資産運用担当者70名に対する、ポートフォリオ(資産配分)状況に関するアンケートでは、市場の先行きに対して、やや強気のスタンスが見て取れました。 まず、現状の組み入れ比率については、「オーバーウエート」「ややオーバーウエート」(通常の基準よりも多い)の回答比率が計47%と前回の45%からやや上昇。「ニュートラル」(中立)が2ポイント減少の42%となりました。 今後の組み入れ比率のスタンスについては「かなり引き上げる」は2%から0%に低下したものの、「やや引き上げる」が6%から20%に大幅上昇しました。反面、「現状を維持する」と「やや引き下げる」が低下し、「かなり引き下げる」は相変わらず0%が続いています。

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市場の業績期待、製造業・非製造業ともに微増(6月調査)

市場の業績改善期待は持続…全産業DIは2か月連続で改善 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(6月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス17と、前月に比べて1ポイント改善しました。4月末以降、2カ月連続で改善。企業業績に対する市場の期待は改善を続けていますが、勢いに減速感が見えてきました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が拡大したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが加速していることを表します。 製造業、非製造業ともに微増にとどまる 産業別でみると、製造業(プラス12→プラス13)、非製造業(プラス15→プラス16)ともに微増となりました。金融は、プラス57からプラス64に上昇しています。 業種別でみると、DIの改善が目立つのは「食料品」、「機械」、「銀行」で、「輸送用機器」は3か月ぶりにプラスに転じました。悪化が目立つのは「鉄鋼」です。また、「医薬品」や「卸売」は、マイナス幅を大きく縮小させています。 欧州経済の行方がカギ 2カ月連続でDIは改善の動きを見せたとはいえ、6月調査の改善幅はわずかなものにとどまりました。企業業績を見るうえで、欠かすことができないのは、やはり欧州情勢でしょう。ギリシャ情勢の混迷がユーロという通貨制度そのものに対する不信感を招く可能性もあり、市場もまだ手探りの状況です。 欧州情勢の混乱の先にあるのは、リスク回避通貨とみなされている円の買いです。アベノミクスの名の下、2年半に亘って異次元と言われた量的金融緩和が実施され、1ドル=76円台から一時は125円台まで円安が進み、それが製造業を中心にした業績回復につながってきました。リスク回避の円買いから再び円高が加速すれば、製造業の業績回復に頭打ち感が浮上します。 加えて、世界的な景気低迷は、日本の内需にも悪影響を及ぼします。特にここ数年、訪日外国人観光客が急増してインバウンド消費が拡大しました。欧州経済が混乱すれば欧州だけでなく、さらに中国など欧州経済と結び付きが深い新興国の経済にも悪影響を及ぼし、訪日観光客の減少を加速させることも考えられます。 当面、ギリシャ情勢と、それが欧州経済全般に及ぼす影響から、目が離せません。 参天製薬が上方修正率トップ 予想純利益率の上方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。1位の参天製薬は、過去3期にわたって純利益が成長しています(2013年3月期が165億円、2014年3月期が171億円、2015年3月期が240億円)。 銘柄名 修正率 参天製薬(4536) 88.85% 出光興産(5019) 63.20% コスモ石油(5007) 46.00% マンダム(4917) 45.92% キリンHD(2503) 45.70% 逆に、予想純利益率の下方修正率(3か月前比)ランキング上位5社は、次のようになりました。(▲は減少) 銘柄名 修正率 ベネッセHD(9783) ▲80.50% 船井電機(6839) ▲69.10% パイオニア(6773) ▲68.35% ニチイ学館(9792) ▲52.62% 資生堂(4911) ▲47.38%

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財政健全化目標の達成に疑問符…長期金利は3年後に1%台へ(6月調査)

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の6月調査が、6月29日に発表されました(証券会社および機関投資家の債券担当者150名が回答、調査機関は6月23~25日)。今回の特別調査では、安倍晋三首相が掲げる財政健全化目標の達成可能性について尋ねました。 安倍首相は6月1日、経済財政諮問会議において、2020年度に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標を達成するため、2018年度の中間目標を定めるように指示しました。 基礎的財政収支とは「プライマリーバランス」とも称されているものです。これは、国債発行による借入額を除いた歳入(税収など)と、過去の借入れの元利払いを除いた歳出を均衡させるというもの。つまり社会保障や公共事業といった政策経費を、借金に頼らず、税収でどれだけ賄えているかを測る指標です。 このバランスが保たれていれば、国は国債発行などによる借金に頼らず行政サービスを提供できていることになりますし、逆に歳出が多い赤字状態の時は、借金をせざるを得ず、結果的に財政赤字が累積していくことを意味します。2020年度までにプライマリーバランスが保たれるようになれば、日本の財政赤字が膨張するのを防ぐことができます。 6割弱が目標「未達成」と回答…3年後の長期金利は1%台を予想 市場関係者の見通しは厳しく、今回のアンケート調査では、2018年度の中間目標、2020年度の最終目標のいずれもが未達で終わるという回答比が全体の59%を占めました。また、中間目標のみ達成という回答比は27%で、最終目標のみ達成という回答比は、わずか4%に止まりました。プライマリーバランスの黒字化は、非常に高いハードルだと市場は見ているようです。 この点を踏まえた3年後の長期金利(10年国債利回り)の水準について、市場関係者の予想は、単純平均で1.050%(中央値は1.000%)、5年後は1.461%(中央値は1.500%)と、徐々に上昇していく見通しとなっています。長期金利の上昇は、国の借金の利払いが増えることを意味します。今後、長期金利の上昇スピードが速まれば、プライマリーバランスを黒字化させる目標は、さらに遠のいてしまいます。 目標達成のハードルは高いとはいえ、達成できなければ、日本の財政収支は一段と悪化します。達成に必要な政策としては、「社会保障費の削減」が56%、「成長促進」が24%を占めました。 運用動向の定例調査…デュレーションに変化は見えず 毎月定例の質問である1カ月後、3カ月後、6カ月後の長期金利の見通しは、前月調査分に比べて、その水準を切り上げました。新発10年国債の利回り見通しは、1か月後の7月末見通しが0.459%で、前月調査分の0.402%に比べて上方にシフトしました。3カ月後の9月末は0.495%、6カ月後の12月末が0.520%となっています。 資産運用担当者75名を対象に、現在運用しているファンドで国内債券の組入比率が通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、「ニュートラル」(中立)および「ややアンダーウエート」(基準より低い)の回答比が上昇する一方、「ややオーバーウエート」(基準より高い)とする回答比は低下しました。 「債券相場の下落=長期金利の上昇」を、徐々に織り込み始めていると捉えることもできます。実際、今後のスタンスについて聞いたところ、「かなり引き上げる」「やや引き上げる」の回答比の合計が3%で前月調査分と変わらず、「現状維持」が低下(81%→77%)したのに対し、「やや引き上げる」「かなり引き上げる」の回答比の合計が、前月調査分の16%から20%に上昇しました。 一方、保有している債券ポートフォリオのデュレーション(元利金の平均回収期間)について、当面のスタンスを聞いたところ、「現状を維持する」が、前月調査分の76%から、今月調査分は77%に上昇しました。不自然な超低金利政策はいつか終わるものとは分かっていながらも、追加の量的金融緩和に対する期待も払しょくされず、デュレーションは当面、長くも短くもできない状態がつづきそうです。

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製造業の景況感改善が足踏み 気になる持ち合い株の行方(6月調査)

製造業と非製造業の景況感を見ると、明暗が分かれています。 日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(6月1~14日調査分)では、製造業の業況判断指数(DI)は、プラス19となり、前月調査のプラス24に比べて5ポイント悪化しました。一方、非製造業は8ポイント改善の39と好調が続きました。 結果として、金融を含む全産業では前月比3ポイント改善のプラス32となっています。 製造業、先行きは景況感の改善を見込む 悪化した製造業ですが、「先行き」指数を見るとプラス24に改善しています。今後、米国の利上げ可能性が高まり、円安が進めば、製造業にとっては為替差益が期待できるためと考えられます。企業側も、今後の米国経済の動向を見極めたいという状況でしょうか。なお、非製造業の「先行き」指数は38と、ほぼ横ばいを見通しています。 生産・営業用設備や雇用の状況については、5月調査に比べて大きな変化は見られませんでした。 販売価格と仕入れ価格の現状を、金融を除く全産業で見ると、販売価格について上昇から下落を差し引いたDIは、5月調査から変わらず。仕入れ価格は上昇から下落を差し引いたDIが32と、5月調査に比べて3ポイント上昇しました。仕入れ物価の上昇はまだ続いています。消費者物価指数の見通しについては、1年後で1%程度の上昇を見込む回答比が多数を占めました。 コーポレートガバナンスコード導入でどうなる政策保有株? 6月の特別調査は、コーポレートガバナンスコードによる政策保有株式(持ち合い株式)の方針と、長時間労働の削減に向けた取り組みについてアンケートを実施しました。 金融庁と東京証券取引所が6月から上場企業に導入したコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)は、政策保有目的(純投資目的以外の目的)の株式について、経済合理性や将来の見通しを検証し、保有の狙いや合理性を具体的に説明すべきとしています。 <設問1> コーポレートガバナンスコード導入に伴う貴社の政策保有株式に関する方針をお聞かせ下さい。 1:説明責任を果たし、継続保有する・・・・・・・・24% 2:継続保有か売却か、保有する株式を精査する・・・20% 3:コード導入を機に売却を検討する・・・・・・・・0% 4:具体的に決まっていない・・・・・・・・・・・・33% 5:政策保有目的の株式はない・・・・・・・・・・・23% コーポレートガバナンスコードの実施により、一部の企業、特に金融機関の政策保有株式の売却が進むという意見がありましたが、アンケートによると、コードの導入を機に売却を検討するという意見は0%でした。 3割の企業が「長時間労働の実態はない」 厚生労働省は従業員に過酷な労働を強いる「ブラック企業」対策を強化し、違法な長時間労働を繰り返している大企業について、社名を公表します。長時間労働の削減に関する取り組みの状況などを尋ねました。 <設問2> 長時間労働の削減に向けた貴社の取り組み状況やその効果をお聞かせ下さい。 1:長時間労働の実態はない・・・・・・・・・・・・31% 2:対応策を実施し効果が出ている・・・・・・・・・40% 3:対応策を実施しているが効果は限られている・・・13% 4:対応策を検討している・・・・・・・・・・・・・10% 5:具体的に決めていない・・・・・・・・・・・・・6% すでに過半の企業は長時間労働の実態はない、もしくは対応策を実施し効果が出ているとしており、労働環境の改善は徐々に浸透しつつあるようです。

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2015年の円安メドは128円台…米利上げ「9月」説が有力(6月調査)

米国の利上げ時期は「9月」――。6月8~11日に為替市場を対象として実施したQUICK月次調査(金融機関や運用会社、事業法人の為替担当者90名が回答)では、こう予想する回答が6割近くに上りました。 回答者の59%が9月の米利上げ見込む 4月以降、1ドル=120円前後で推移していたドル円相場は、5月後半からドル高・円安方向に傾き、足元では1ドル=122円台~125円台の推移となっています。米景気の底堅さが経済指標で確認され、「利上げは年内」との見方が強まってきたためです。 今回の調査では、米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切るタイミングや、2015年内のドル円相場の最高値水準などについて聞きました。 利上げに踏み切る時期は、2015年9月とする回答比が59%を占めました。また2015年12月という回答比も24%を占めています。かつて大勢を占めていた6月利上げについては、今回の回答では0%になりました。 米国の政策金利であるFFレート(フェデラル・ファンドレート)の見通しを聞いたところ、回答者の単純平均値は、2015年末時点で0.55%。2016年末で1.40%となり、来年までを前提にすれば、どこかの段階で利上げに踏み切る可能性が高いと市場は見ています。 想定外の円安ドル高…年内に「128円台」まで見込む 一時125円台まで上昇した、5月のドル相場。過去1か月程度の間に125円台に達すると考えていたかどうかを質問すると、想定外という回答比が75%を占めました。 これだけ急激に円安が進んだ理由については、「早期の米利上げ期待」が58%、「海外投機筋のポジション構築」が48%、「米景況感の改善」が36%となりました。 9月利上げという見方がある以上、年内にもう一段の円安があるというのが、マーケット関係者の見方。2015年内のドル円の最高値水準について予想してもらったところ、単純平均で128円80銭(中央値は128円ちょうど)になりました。 ドル円予想の定点調査…大幅に円安シフト 毎月、定点調査を実施している為替相場見通しについては、円安方向に振れるという見方が強まっています。今後1か月、3か月、6か月のドル円について、金融機関の外為関連業務に従事している人の回答は、平均値で124円ちょうど(1か月後)、124円62銭(3か月後)、125円01銭(6か月後)となりましたが、これは前回(5月)調査分に比べて、かなり円安方向に振れた結果となっています。 ちなみに5月調査分の数字は、120円26銭(1か月後)、120円82銭(3か月後)、122円08銭(6か月後)です。6月の調査期間中のドル円レートは122円46銭~125円66銭の推移でした。 ユーロ相場は「貿易」「物価」と「金融政策」の綱引きか 今後のドルの動きを見るうえで、マーケット関係者が注目しているドル高要因は圧倒的に「金利/金融政策」。一方、ユーロ高要因として「貿易」が最も強い関心を集めており、次いで「景気動向」、「物価動向」と続いています。「金利/金融政策」については、強いユーロ売り要因として注目されています。 現在、運用しているファンドの外貨建て資産組入比率について、当面どのようなスタンスで臨むのかについては、5月調査に比べてニュートラル(基準と比べて中立)が大幅に低下する一方、オーバーウエート(基準と比べて多い)が大幅に上昇しました。今後もドル高が進むとの見方から、外貨建て資産の組入比率を高める傾向があるようです。 ※フルレポートについては、QUICKの端末サービス(有料)や日経テレコン(有料)でご確認できます。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

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株価は半年後に2万1000円台へ…株主総会の注目点は?(6月調査)

半年後には2万1000円に到達予想…市場心理は強気持続 国内最大級の市場心理調査であるQUICK月次調査。6月2日~4日に株式市場を対象に実施した調査(証券会社および機関投資家の株式担当者179人が回答)によると、日経平均株価の今後の見通しは上方修正されました。 1か月後にあたる6月末の日経平均株価は2万432円。6か月後は2万1026円が想定されています。調査期間直前の6月1日にかけて日経平均株価が27年ぶりに12連騰したため、強気の見方が強まっていると考えられます。 株高持続に必要なのは、何と言っても企業の成長。今回の調査では、6月後半以降に3月決算企業の株主総会がピークを迎えることから、コーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)の注目点などについても聞いています。 注目は「クジラ」より「外国人」 まず、株式市場の現状を振り返っておきましょう。日本株について、一部では「過熱感が高まっている」との見方もあります。確かに時価総額は、バブルピークの89年末と同じ600兆円に達しましたが、同じ期間で見れば、NY株式市場の時価総額は7倍にもなっています。12連騰はややスピードが速かったかも知れませんが、株価や時価総額の水準からすれば、海外の株式市場に比べて出遅れ感のある日本の株式市場に、外国人投資家の買いが集まってくる可能性があります。 株式市場が今後6か月間で最も注目している株価変動要因は、「景気・企業業績」が相変わらず高位にありますが、前月に比べると、注目度はやや低下しました。他の要因も、前月に比べるとやや注目度が低下していますが、そのなかで「為替動向」が大きく伸びています。 同じく今後6か月を想定し、最も注目している投資主体としては、「外国人」が大きく伸びる一方、「企業年金・公的資金」は後退しました。株式市場の押し上げ主体として、「外国人」の関心が高まる一方、これまで話題となってきた「クジラ」、つまり巨額の公的資金への関心が薄れてきているようです。 年金や投資信託など資産運用担当者68人を対象に、運用中のファンドについて国内株式は現在、通常の基準とされている組み入れ比率に対してどのようなウエート(比重)になっているのかを聞いたところ、株価の先高感を反映して、「ややオーバーウエート」(基準よりも多い)の回答比が、前月に比べて大きく伸びています(28%→37%)。これに対して「ニュートラル」と答えた回答比は、8ポイントの低下(52%→44%)となりました。当面のスタンスとしては、「やや引き上げる」が低下(17%→6%)する一方、「現状を維持する」が上昇(77%→85%)しています。 株主還元策、株主価値向上策への関心が高まる 運用担当者の間に様子見姿勢が強まっている背景には、今後の企業の成長や株主還元方針を見極めたいという考えがあります。 6月1日から「コーポレートガバナンス・コード」が適用されました。コーポレートガバナンス・コードは、いわば株主と企業が円滑に対話を進めるための規範です。議決権など株主の権利を適切に行使できるように環境を整備したり、経営戦略や財務情報などを適切に開示したりするためのルールを設けるなどの規範が示されています。 コーポレートガバナンス・コードが適用されるなか、今回の株主総会で最も注目されるポイントは何かを聞いたところ、最も注目されているのは「株主還元策」で、全体の34%を占めました。ちなみに2014年度の株主総還元額(配当と自社株買いの金額を合計)は13.4兆円。この額が順調に増加していくか、というのがポイントです。 次に注目されるのが「ROE水準」で32%。ROEとは「株主資本利益率」のことで、この数字が高い企業は、株主の資本を効率良く使って、高い利益を上げていることになります。ROEは、一般的には10%を超えれば優良と言われていますが、欧米企業の平均値は20%を超えています。今後、日本企業も欧米並みとまでは言いませんが、徐々にROEを高位に保持しようという動きが出てくるものと思われます。いずれにしても、日本の企業がいよいよ株主価値の向上に向けて動き出す可能性が高まっています。 また米ISSが、経営トップの取締役選任議案について、ROE基準を導入するという動きがあります。ISSとはインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズという米国の民間企業で、国内外1600の機関投資家を顧客に抱えている議決権行使助言会社です。そのISSが、5年平均のROEが5%未満の企業については、経営トップの取締役選任議案に反対票を投じるようアドバイスをしています。これに対する反応としては、「一律適用には無理がある」という回答が46%を占めました。ただ、その一方で「歓迎する」という回答も、32%を占めています。 なお、今回のコーポレートガバナンス・コードの導入が、投資家に対する企業の対話姿勢をより促すことになるかという問いについては、全体の73%が「多少促す」と回答。「大いに促す」が19%を占め、いずれにしても対話促進に向けて前向きに受け止めている状況です。

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市場の業績期待が4か月ぶりに改善…製造業が持ち直す(5月調査)

業績上方修正ペースが再加速…全産業DIは4か月ぶりに改善 アナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(5月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス16と、前月に比べて5ポイント改善しました。今年2月以降は3か月連続でプラス幅が縮小していましたが、ようやく底を入れ、上昇に転じたようです。株式市場の企業業績に対する期待が持ち直し始めました。 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。 DIのプラス幅が拡大したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが加速していることを表します。 製造業と金融業が持ち直す、非製造業は引き続きしっかり 産業別でみると、非製造業が微増(プラス14→プラス15)にとどまったのに対し、製造業は前月調査分のプラス7からプラス12に上昇しました。また金融がプラス24からプラス57へ大幅上昇となり、全産業の数字を押し上げています。 製造業のコンセンサスDIが上昇したのは、5月中に進んだ円安の影響もありそうです。ドル/円は、5月1日に1ドル=119円台だったのが、5月下旬には一時、1ドル=124円台まで円安が加速しました。円安が進めば、輸出関連企業にとっては為替差益が見込め、それが業績を押し上げる要因になります。 業種別でみると、輸送用機器、食料品がマイナス幅を縮小させ、非鉄金属が大幅プラスに転じました。金融については、銀行もプラス幅を広げていますが、「その他金融」が大幅にプラス幅を拡大しました。一方、医薬品がマイナス幅を大きく拡大。鉄鋼が大幅マイナスに転じました。 今後の国内景気を見るうえで、さらなる円安の進行が個人消費に及ぼす影響は無視できないでしょう。今年の春闘では大手企業を中心にベースアップが行われましたが、今後、給料の引き上げが、円安にともなう国内物価の上昇に追い付けなければ、国内個人消費が落ち込む恐れがあります。 インバウンド需要は堅調ですが、国内個人消費の落ち込みを補えるとは、まだ言い切れません。2014年中の訪日外国人旅行者数は1300万人。2014年中の日本の個人消費は推計で293兆円とされる一方、2014年中の訪日外国人が、日本滞在中に使った旅行消費額は2兆305億円にとどまっています。もちろん、これらの数値は海外の景気動向に左右される面もあります。 ベネッセHDの先行きに厳しい視線 予想純利益の上方修正率(3カ月前比)ランキング上位5社は以下です。 銘柄名 修正率 出光興産(5019) 53.98% 任天堂(7974) 40.97% JDI(6740) 40.94% 長谷工(1808) 35.20% キリンHD(2503) 31.65% 4月調査分で上位5社に入っていた企業で、5月調査分でも修正率上位ランキングに5位までに入ったのはJDIのみです。また出光興産は原油価格の急落で、2015年3月期決算が赤字に転落。今期は原油価格が上昇しつつあることも踏まえて、大幅な業績改善が見込まれています。 一方、下方修正率ランキング上位5社は、次のようになりました。 銘柄名 修正率 ベネッセHD(9783) ▲80.65% 資生堂(4911) ▲45.49% 関西電(9503) ▲28.51% 武田(4502) ▲22.53% 国際石油開発帝石(1605) ▲21.85% 下方修正率トップとなったベネッセHDは、2015年3月期が最終赤字に転落しました。、2016年3月期に実施されるテコ入れ策などを受けた業績回復が期待されるところですが、市場は業績回復の先行きに厳しい見方をしているようです。

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日本の長期金利、今年度の高値は0.6%程度か(5月調査)

欧米の長期金利が不安定な動きを示している一方で、日本の長期金利は0.4%前後の低位安定を続けています。日本の金利水準は現状のまま推移するのでしょうか。 金利の動きは、外国為替証拠金(FX)取引や、住宅ローンという形で個人に影響を与えます。FXは各国金利差が相場に重要な影響を与えますし、市場金利と住宅ローン金利には相関関係があります。長期金利が低位安定していれば、住宅ローン金利も低いまま継続され、住宅ローンの利用予定者には好都合に作用します。 5月26~28日にQUICKが実施した債券市場に関する月次調査(証券会社および機関投資家の債券担当者148名が回答)では、今年度(2015年4月~2016年3月)の株価と長期金利の最高水準について尋ねてみました。 日本の長期金利は底値圏?上昇目途は0.6%程度 長期金利(10年債利回り)の最高水準予想(単純平均)については、次のようになりました(カッコ内は5月末の実績)。日本の長期金利が0.7%を上回るのは難しいという見方のようです。 日本10年債利回り・・・・・0.616%(0.39%) 米10年債利回り・・・・・・2.654%(2.12%) 独10年債利回り・・・・・・0.903%(0.48%) 一方、債券運用担当者の運用方針を見ると、足元の金利水準が底だと意識している節があります。(国債などの)円債のポートフォリオ(資産配分)について、金額にしてもデュレーション(元利金の平均回収期間)にしても「変えない」という意見が過半数を占めました。金額については「減少」が41%と、「変えない」(53%)に次ぐ大きさであることから、足元の金利水準を底値圏(債券価格は高値圏)と見ていると考えることができます。 この二つの結果をどう捉えるべきでしょうか。単純平均の利回り予想を見る限り、今年度末にかけて、長期金利の上昇余地はありそうですが、現状、利上げという出口戦略を取れる可能性のある国は米国のみ。日本もユーロも今年度内に利上げできる可能性は極めて低く、ファンダメンタルズの改善による長期金利の大幅な上昇は考えにくい状況です。 また、利上げに最も近い位置にある米国にしても、前述したように実質GDP成長率が下方修正されており、今後の経済指標の状況次第では、利上げ時期が後ずれする可能性も十分にあります。 こうした点からすると、確かに金利低下に一巡感は出てきているものの、長期金利は思ったほど上昇しない、と考えておくべきでしょう。 債券市場が見込む日本株の上値は「2万2372円」 なお、債券市場関係者に聞いた株価の最高水準(単純平均)は、 日経平均株価・・・・・・2万2372円(2万563円) ダウ工業株30種平均・・・1万9375ドル(1万8010ドル) となりました。いずれも5月末終値からの上昇余地を見込んだ結果となりました。 株価の注目点は、米国景気でしょう。4~6月期は回復するとの見方はあるものの、景気回復のペースが緩やかだと、先行きに対する懸念から、株価は売られやすくなります。また、その他の外部要因としては、ギリシャがユーロから離脱する可能性が浮上しており、それが欧州の株価を押し下げています。現状、ギリシャがユーロから離脱したとしても、実質的に世界経済に及ぼす影響は軽微と見られていますが、得てして株価は過剰に反応するもの。日本株も当面、外部環境が及ぼす影響には十分な注意が必要です。 国内債券の投資スタンスはやや慎重に…海外金利に注目 国内債券について、1カ月後、3カ月後、6カ月後の予測数値を聞いたところ、いずれも4月調査分に比べて、5月調査分の数値はやや上方にシフトしました。短期金利の動向を示すTIBOR3カ月物の金利は、1カ月後、3カ月後が若干の下方シフト、6カ月後はやや上方シフトしたとはいえ、0.001%の上昇なので、ほぼ変わらずと見て良いでしょう。総合すると、長期金利に上昇圧力がかかってくるだろうが日銀のゼロ金利政策は当面続く、というのが市場関係者の見方のようです。 今後6カ月程度を想定した債券相場の変動要因は、注目度で見ると「短期金利/金融政策」が前月調査分に比べて大幅に低下したのに対し、「海外金利」が大幅に上昇しました。

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通貨の強さは「ドル>円>ユーロ」…ドル円の上値には陰り(5月調査)

QUICKが5月25日に発表した外為市場に関する月次調査(期間は5月18~21日。金融機関、運用会社および事業法人の担当者93名が回答)によると、2015年末の主要3通貨について、米ドルが最も強く、その次に円、そしてユーロが最も弱いという見方が6割を占めました。 調査期間中の為替レートは、対ドルが119円台前半~121円台前半。対ユーロが134円台前半~136円台半ばで推移していました。本日5月25日、ドル円相場は一時1ドル=121円70銭台と、3月以来の円安水準をつけています。外為相場はこの先どう動くのか、専門家による金利の見通しを元に読み解いていきましょう。 世界的な金利上昇の理由は「需給要因」との見方 昨今、世界的に、長期金利が上昇ぎみで推移しています。たとえば日本の長期金利は、今年1月の0.2%を底にして、5月21日には0.410%まで上昇。米国の長期金利も2月2日の1.6730%をボトムにして、5月22日には2.2150%となりました。欧州金利もドイツ国債を中心に上昇が目立ち、通貨ユーロも買い戻される展開となりました。 米国の利上げ期待がやや後退するなかでの長期金利上昇の理由は何か。ファンダメンタル(経済の基礎的条件)の改善なのか、単なる需給要因なのか。 今回のアンケート調査では、4月中旬以降の世界的な長期金利上昇について、この理由として最も当てはまるものは何かを質問したところ、最も多い回答は「需給要因による巻き戻し」で、74%を占めました。これに対して、「ファンダメンタルズの改善」はわずか14%。市場では、欧州の金融緩和強化を受けて欧州国債を買い進めていたファンドが、過熱感からいったん調整売りを出し、その売り(金利上昇)が世界に波及したとする見方が出ています。 「世界の長期金利は今後どうなると予想しますか」という質問に対する回答は、「上昇トレンドが続く」が14%であるのに対して、「一進一退が続く」が67%も占めています。今年前半にかけて国債が大きく買い進められました。その巻き返しの需給調整で長期国債が売られているだけで、今後、長期にわたって長期金利が上昇するとは、市場関係者も考えていないようです。 通貨の強さは「ドル>円>ユーロ」 金利動向を踏まえた上で、2015年末にかけて、ドル、円、ユーロという主要3通貨を強い順に並べるとどうなるのかという問いについては、「ドル>円>ユーロ」が圧倒的に多く、全体の64%を占めました。次いで「ドル>ユーロ>円」の順でしたが、これはわずか20%。当面は、ユーロが主要3通貨のなかでも、最も弱い通貨として推移することになりそうです。 なお、最近の長期金利上昇が為替に及ぼす影響について、「ドル高・円安要因」が47%、「中立要因」が45%であり、為替レートを大きく動かすかどうかという点では、見方が分かれています。 気になるバーゼル規制の行方 ただ、気になるのは今月末にも方針が打ち出されると言われているバーゼル規制です。これまで一定条件のもとでリスクはないと見なされてきた国債にも、リスクウエイトをかけるというもので、これが実施されれば、銀行は今までのように国債を保有し続けるのが困難になります。 特に、格付けが低下している国債を大量に保有している銀行は、その国債を売らざるを得ない状況に直面するかもしれません。4月27日には英米系の格付け会社フィッチ・レーティングスが日本国債の長期債務格付けを1段階引き下げて「シングルA」に格下げするなど、日本の銀行も例外ではありません。新たなバーゼル規制が実施されるのは、まだ先の話ですが、中長期的に見ると、国債の需給が崩れ、長期金利が上昇傾向をたどる可能性は、ゼロとは言えないようです。 ここからのドル高/円安には慎重予想…ドルの上値重いか 通貨の強さは「ドル>円>ユーロ」ですが、市場参加者に目先の為替相場を聞いたところ、一段のドル高/円安には慎重な見方を持っているようです。 5月調査時点における5月末のドル/円見通しは、金融機関・外為業務担当者の単純平均で1ドル=120円26銭。この見通しは、足元の121円台の水準からみれば円高ですが、4月調査時点の120円ちょうどに比べて若干円安に振れました。 一方、もう少し長い見通しを見ると、7月末=120円82銭、10月末=122円08銭となり、4月調査時点(6月末=121円06銭、9月末=122円57銭)に比べて、3か月後、6か月後の見通しが、やや円高方向に修正されています。 米国の利上げを材料にして上昇してきたドルですが、想定よりも景気は弱いという見方が浮上し、利上げ時期も、6月から9月に後ずれしそうな気配が濃厚になってきました。今回の調査では67%の回答者が、米国景気の現状について「想定より弱い」と答えています。米国の利上げタイミングが後ろにずれるほど、外為市場ではドル買い意欲が後退する一方、今までの巻き戻しで円が買われやすくなります。 運用スタンスも方向感目立たず 現在運用中のファンドについて、外貨建て資産のウエート(比重)をどうするかという質問については、当面「オーバーウエート」(基準より多め)で臨むという回答が、4月調査分(38%)に対して大幅に減少し、15%となりました。対して「ニュートラル」という回答が、4月調査分の54%から、5月調査分は85%まで上昇しています。それだけトレンドが見えにくい状況にあるということでしょう。 通貨別の組入比率に対するスタンスを指数化したものをみると、4月調査分に比べて伸び悩んでいるとはいえ、米ドルがプラス(比率を基準よりも引き上げる動きが優勢)を維持しており圧倒的に強い状況です。一方、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、新興国通貨、資源国通貨はいずれもマイナス(基準よりも引き下げる動きが優勢)となりました。 QUICKのサービス一覧 日経テレコン

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企業景況感の改善続く 「マイナンバー」対応の状況は?(5月調査)

上場企業の景況感改善が続いています。 日銀が発表する短期経済観測調査(短観)の先行調査として作成しているQUICK短観(4月28日~5月17日調査、対象は上場企業371社)では、全産業の景況感を示す業況判断DIが前月に比べて6ポイント上昇し、プラス29となりました。将来の景況感を見通す「先行き」の指数もプラス29と、前月比3ポイントの上昇となりました。 DIは「良い」という回答比率から「悪い」の回答比率を差し引いて、指数化したものです。DIのプラスが大きいほど、景況感が良いと回答する企業の比率が多いことを意味します。 ファンダメンタルズは徐々に改善傾向 QUICK短観は、日銀が企業経営者の景況感を把握するために、四半期に1度の割合で発表している「企業短期経済観測調査」の傾向を把握するのに役立つと共に、比較的、株価との連動性も見られるため、市場関係者にも注目されます。 全産業のうち、製造業の業況判断DIは2月調査のプラス16から、3月調査のプラス18、4月調査のプラス21と着実に上昇し、今回の5月調査ではプラス24になりました。非製造業も、前月のプラス25から5月は31と、6ポイントの改善となっています。 ちなみに、日銀短観の業況判断DIを見ると、大企業製造業の2014年12月調査分がプラス12、2015年3月調査分もプラス12で横ばいですが、QUICK短観の業況判断DIが、今年2月を底にして再び上昇傾向をたどっていることから考えると、日銀短観の6月調査分に対する期待感が高まります。 これらの数字から読み取れるのは、昨年4月に行われた消費税率引き上げによる景気のスローダウンが一段落し、再びファンダメンタルズが改善に向かっているということです。 急がれるマイナンバー制度への企業対応 5月の特別調査では、以下の2つの質問に対する回答を得ました。ひとつは、株式市場でも関連銘柄探しが活発な「社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度」についてです。 <設問1> マイナンバー制度が2016年1月に始まります。貴社では制度開始までに対応が完了する見込みですか。 1:完了している/ほぼ完了している・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2% 2:組織を作って対応を進めており、間に合う見込み・・・・・・・・・・・・・17% 3:具体的な対応はこれからだが、段取りは整っているので間に合う見込み・・・56% 4:具体的な対応は進んでおらず、間に合うかどうかわからない・・・・・・・・16% 5:まだ対応に着手していない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9% マイナンバー制度は、国民一人ひとりに固有の番号が付与され、複数の機関に存在している個人情報が同一人物の情報であることを確認するためのインフラです。これによって行政の効率化が進むと共に、行政機関が持っている自分の情報を簡単に確認できるようになる他、行政手続きも簡素化されるといったメリットが取り上げられています。 同時に企業としての対応も必要になります。というのも、会社が社員に給与を支払う場合など、マイナンバーが関わってきます。また、マイナンバーが外部に漏れた場合、厳しい罰則規定が設けられますから、セキュリティ面での対応も必要になります。 現状、75%の企業がすでに対応を終えているか、終えていなくても間に合う見込みとのことですが、「未着手」と言える4と5の回答が計25%となっています。すでに法律が成立し、国民全員が関係してくることだけに、企業は来年1月までに、これらシステムやセキュリティの対応だけでなく、社員全体への認知を広めていく必要があります。 新人研修は「2~3カ月」以下が大半 もうひとつは、新人の研修に関する質問です。 <設問2> 貴社では、配属前の新人研修(OJTを除く)をどの程度の期間実施しますか。 1:1週間以内・・・・・・・28% 2:1カ月程度・・・・・・・37% 3:2~3カ月・・・・・・・23% 4:半年またはそれ以上・・・9% 5:実施しない・・・・・・・3% 産業別の傾向を構成比で見ると、非製造業は1週間程度が35%、1カ月程度が36%で、ほぼ同じであるのに対し、製造業は1週間程度が20%である一方、1カ月程度が38%。さらに半年またはそれ以上が13%を占めています。それだけ、製造業の方が技術習得も含めた研修期間に時間を割く必要があるのが見て取れます。また同じ製造業でも、新興企業に比べて大規模企業の方が、より研修期間を長めにしているのが分かります。

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日経平均は年内強気予想が優勢、今期2ケタ増益を期待(5月調査)

日経平均が一時2万円台…ここからどうなる? 日経平均株価は4月22日、終値で2万円を回復しました。日経平均株価が2万円台に乗せたのは、実に15年ぶりのことです。 5月といえば相場格言の一つ「セル・イン・メイ」(五月に売れ)。一部では「相場が暴落するのではないか」と、懸念する声も聞かれますが、セル・イン・メイは株価が暴落するというよりも、「持っているポジションを一旦、手仕舞いましょう」という格言です。理由は、ヘッジファンドの決算があるからとか、欧米では6月ごろから夏季休暇に入るためマーケット参加者が減少するからとか、1月から5月までは税金還付の時期で株式市場に還付金が流入するためとか、いろいろ言われていますが、正確な根拠は分かりません。いわゆるアノマリーのひとつです。 ただ、この格言には続きがあり、それは「セント・レジャー・デーまで戻ってくるな」というものです。セント・レジャー・デーは9月の第2土曜日。逆に考えれば、9月以降は再び買いが戻ってくるとも考えられます。つまり5月から9月の第2土曜日までは調整期間で、そこから年末にかけては再び上昇する可能性もある、ということになります。 実際、相場はどうなるのか。今回のQUICK月次調査<株式>(5月12~14日に調査、証券会社および機関投資家の株式担当者174名が回答)では、年末にかけての日経平均株価の動向などについて尋ねました。 年末にかけて上昇予測…好調な企業業績が理由 調査によると、年末までの日経平均株価については、全体の52%が「上昇局面が続く」と回答。「横ばい圏」が33%で、「調整局面に入る」が12%となりました。 また、株価の根拠となる企業業績についても質問しました。まず、主要企業の業績に大きな影響を与える為替相場については、年末にかけて「一進一退が続く」との回答が46%を占め、「円安・ドル高に向かう」は44%、「円高・ドル安に向かう」が9%となりました。現状の円安水準が維持されるとの見方が大勢です。 円安水準が維持されるとの見方を受け、2015年度の企業業績については「10~20%の増益」を予想する回答者が60%と圧倒的に多数。一桁増益予想が29%、減益が2%で、横ばいが6%であることから、今年度も企業業績に対する見方は強気です。 リスクは外部環境 さて、企業を取り巻く外部環境、とりわけ日米欧中の景気の現状については、足元で依然、不透明感が漂っているのが事実です。今回の調査では、年初と比べた景気の現状に関しても伺いました。 日本と米国、中国の景気について「想定通り」という回答比が最も高かったのですが、注目は米国。米国は「想定通り」が49%であるのに対し、「想定より弱い」が48%と、両者拮抗しており、今後発表される経済指標の結果次第では、やや悲観的な見方が強まる恐れがあるのは否定できません。 日本は「想定通り」が75%を占めるため、景気の見通しについては大きくブレることはなさそうです。これは中国も同様で、「想定通り」の回答が55%を占め、「想定より弱い」の44%を上回っています。 なお、欧州については、ギリシャ問題などでよほど事前の見通しが悪かったのか、「想定より強い」という回答が、「想定通り」を若干上回りました。実際に、為替市場では通貨ユーロが対ドルや対円で持ち直しの動きを見せています。 1か月後の株価見通しは上方シフト 今月の調査では、株式市場のプロは、相場について年内強気見通しだが、足元の米国景気には不安を感じているという姿が見えてきました。 では、目先の日経平均の動きについてはどう見ているのでしょうか。 1か月後の日経平均について、回答の単純平均は1万9584円。4月調査時点に比べて上方修正されました。これは、3か月後、6か月後の予想についても同様です。今回の調査期間の日経平均は1万9467円から1万9791円で推移していました。 今後6か月を想定して、株価に及ぼす影響で注目される要因としては、「金利動向」が大幅に上昇したのに対し、「景気・企業動向」は大きく低下しました。 また、今後注目される投資主体としては、「個人」の注目度が上昇している一方、「企業年金・公的資金」が低下。「外国人」が横ばいとなっています。相場に及ぼすインパクトという点でも、「企業年金・公的資金」は70.8という高い水準を維持してはいますが、3月調査、4月調査に比べて低下傾向をたどっています。 一方、安定的に株価の支えになるとして注目されている主体が「投信」です。3月末時点における投信全体の純資産総額が97兆円と、純資産総額100兆円の大台乗せも目前であり、マーケットに及ぼすインパクトは無視できないものになっています。 運用姿勢はやや様子見気分に 資産運用担当者を対象に、国内株式の組入比率についても伺いました。 通常の基準とされている組入比率に対して、現在の組入比率は「ニュートラル」(中立)という回答比が最も多く、52%を占めました。ニュートラルという回答比は、3月以降、徐々に高まってきています。「オーバーウエート」(基準より多い)、「ややオーバーウエート」、「ややアンダーウエート」(基準より少ない)はいずれも横ばいなので、現状の投資スタンスは様子見ムードが強まっているようです。 また、当面の投資スタンスについても、「現状を維持する」が77%となり、4月調査分の68%よりも上昇しました。反面、「やや引き上げる」、「やや引き下げる」がともに4月調査分に比べて低下。ここからも、投資スタンスの様子見ムードが強まっているのが分かります。

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