100%の利下げ期待、パウエル議長は何を語る あす注目の議会証言

強めの米雇用統計で50bpの利下げ観測が後退し、米株はやや調整ムードが出ている。日本株もトレンドに乏しく、パウエルFRB議長の議会証言待ちの展開が続きそうだ。 その議会証言をあす10日に控え、市場では様々な見立てが飛び交っている。「利下げを行わないならパウエル議長は議会証言で市場の期待を修正か=JPモルガン」、「パウエル議長は市場の利下げ観測を押し返すだろう=バンカメ・メリル」といった見方が出ている。7月のFOMCで保険的な利下げを行う場合は何らかのシグナルを発するとみられている。FF金利先物市場が25bp以上の利下げを100%織り込む中、利下げを見送って株安が進むリスクがあるのなら、市場の期待に応じて利下げに踏み切るだろうとの見方もある。 ■米金利は利下げを織り込む動きが続いている ゴールドマン・サックスは8日付の「なぜ利下げか?」と題するリポートで「労働市場の減速に対する懸念は、これまでのところ根拠がないことが証明されている。労働参加率の上昇で増加した失業率はすぐに再び下がり始めるだろう」と指摘した。そのうえで「7月と9月に25bpの利下げを行うのは当社の基本シナリオだ」としながら、「債券市場はさらに50bpの利下げを想定している」とも指摘。「現在のFOMCのアプローチに対する私たちの不確実性もやや増加している」という。2020年にかけてはインフレ率の回復が見込まれるが、金融市場で大胆に利下げが織り込まれる中、トランプ大統領という「不確実性」などもあって、金融政策の方向は見づらいとみていた。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

日銀の国債買い入れオペ「転機」 増額と減額の合わせ技に市場は……

日銀が3日に市場に通知した国債の買い入れオペ(公開市場操作)が関係者に動揺を与えている。残存期間が短めの国債については買い入れ額を前回から増やした半面、中期においては減額した。「日銀オペの転機かもしれない」「日銀の困難さが印象付けられた」ーー。これまでと違うオペレーションに対する市場の反応を拾った。 ■日銀の買い入れオペ 「1年超3年以下」:3,500億円→3,800億円 「3年超5年以下」:4,000億円→3,800億円 「10年超25年以下」:2,000億円→1,800億円 「25年超」     : 400億円→400億円 相対的にみると日銀はタカ派? 「オペの金額を3本とも変更するとは思わなかった。特に1~3年を増額したのは、日銀オペにおいては大きな変化だろう。これまでは減額を続け、カーブのスティープ化を促してきた。今回、1部増額したのは、マネタリーベースの増加に支障が出ないよう配慮したためだろう。今後、単純に減らすことができなくなった可能性がある。日銀オペの転機になった可能性がある」(ストラテジスト) 「全体的に減らせる額が限られてきたという印象ですね。ネットではわずか100億円の減額に過ぎませんから」(ストラテジスト) 「残存10年超25年以下を200億円減額しましたが、6月に月4回から3回に減らすときに1回あたりの購入額を200億円増やした分をもとに戻しただけですね。1回当たりのマーケットインパクトを意識したんだと思います。市場機能の回復という観点では好ましいことではないというのがベースにあったんだと思います」(ストラテジスト) 「短い年限を増減したことは単に需給のタイト化に対応したものでしょう。5年ゾーンをもっと減らしたかったかもしれませんが、ここを減額すると10年金利に効いてしまいますから。ターゲット金利である10年には影響を与えたくないということでしょう。同じ理屈で、超長期債についても需給面では対応するもののフラットニングのけん制といった明確な意思が示されるようなことはないと思いますよ」(ストラテジスト) 「短中期の増減額については6月28日のオペ予定が公表された時点の予想通り。すでにマーケットは織り込んだ動きとしていた。超長期債については25年超も減額があると思っていたので、据え置かれたことはサプライズだ。といっても、ベースが400億円しかないので100億円減額されても影響は限定的とみていた。いずれにしても今日の減額は相場が大きく動く材料ではない」(マーケットアナリスト) 「日銀国債買い入れの増減額は数字としては、レンジの中央値からそれぞれ50億円上振れ、下振れと微々たるもので予想通りといえる。ただ、YCCとマネタリーベースの拡大というなかで日銀の困難さが印象付けられたのではないだろうか。為替市場はやや円高方向に振れている。わずか100億円の減額なのだが日銀のタカ派姿勢が材料にされたようだ。米国ではハト派理事が決まりそうだし、ECB総裁(候補)のラガルド氏もハト派と目される。このタイミングだと日銀の緩和姿勢が最も弱いとマーケットは受け取ったのだろう」(ストラテジスト) 「中央値が250億円しか動いていなかったので、300億円増、250億円減というのは予想通りなんではないでしょうか。マーケットも冷静で、5年債が買われているので一部では5年の減額が少なかったという印象があるのかもしれません。ショートカバーしたかった方々は残念でした」(ストラテジスト) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

着々とFRB包囲網 トランプの青い鳥「理事に指名、うれしく思う」

こちらの中銀を巡ってはハトだけでなく青い鳥も飛び交っている。 トランプ大統領が2日にツイッターで「私はセントルイス地区連銀の調査局長であるクリストファー・ウォーラー氏を米連邦準備理事会(FRB)理事に指名することを嬉しく思う。彼は現職に就く前はノートルダム大学で教授を務め、経済委員長を務めていた」とつぶやいた。 イラスト:たださやか さらに別のツイートで「欧州復興開発銀行(EBRD)のジュディ・シェルトン氏をFRB理事に指名することを嬉しく思う。ジュディはエンパワー・アメリカの取締役会の創設メンバーであり、ヒルトン・ホテルズの取締役を務めていた」ともつぶやいた。2名の空席があるFRB理事の人事をツイッターで表明したもの。シェルトン氏については、ブルームバーグが5月に「トランプ氏の非公式顧問を務めている、保守派エコノミストのシェルトン氏をFRB理事に指名することを検討」と報じていた経緯がある。 ★トランプ氏のツイッターはこちら① ② ホワイトハウスがパウエル議長を法的に解任できないか検討していたと伝わるなど、足元でFRB人事を巡ってトランプ政権が画策している報道が相次いでいた。セントルイス地区連銀のジェームズ・ブラード総裁がホワイトハウス関係者からFRB理事にならないかと提案を受けていたことも判明。トランプ大統領としては地区連銀総裁を理事として送り込むことを避けつつ、セントルイス地区連銀の幹部、EBRDの友人らを抜擢しそうな情勢だ。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

【朝イチ便利帳】1日 日銀短観、OPEC総会 米・中の製造業景気指数

1日は日銀が6月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表するほか、6月の消費者動向調査や新車販売台数、軽自動車新車販売台数が公表される。IPO関連ではLink-U(4445)の仮条件が決定する。 海外では石油輸出国機構(OPEC)の定例総会が開かれるほか、6月の米ISM製造業景気指数、5月のユーロ圏失業率や米建設支出などが発表される予定だ。   【1日の予定】 国内 時刻 予定 8:30 QUICKコンセンサスDI(6月末時点) 8:50 6月の日銀企業短期経済観測調査(短観) 11:00 6月のQUICK月次調査<債券> 14:00 6月の消費動向調査(内閣府)   6月の新車販売(自販連)   6月の軽自動車販売(全軽自協) 海外 時刻 予定 10:45 6月の財新中国製造業PMI 15:15 クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長が講演 16:55 6月の独失業率 18:00 5月のユーロ圏失業率 23:00 6月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数   5月の米建設支出 その他 香港が休場   石油輸出国機構(OPEC)総会 【今日の株価材料】 コード 材料 (NQN「今日の株価材料」より) News 比較 4716 日本オラクル、前期単独最終12%増益 8期連続で最高更新 日経 +2.47% 6/28 3086 百貨店2社、3〜5月経常減益 Jフロントと高島屋、10連休低調 日経 +2.06% 6/28 8233 +0.33% 6/28 9513 Jパワー、米に単独で火力発電所 国内減速で需要開拓 日経 +0.94% 6/28 8630 SOMPO、伊藤忠系に過半出資 健康分野で 日経 +0.87% 6/28 6502 東芝系の東芝メモリ、四日市工場を再開へ 日経 +0.75% 6/28 3473 さくらリート、他社と連携へ 「敵対的M&A」に防戦 日経 +0.34% 6/28 2651 ローソン、セルフレジ全国導入へ 徳島で実験(日経、以上6月30日) 日経 0.00% 6/28 8306 三菱UFJ傘下の三菱UFJ銀と三井住友FG傘下の三井住友銀、ATM相互開放 9月22日から、600〜700拠点廃止 日経 0.00% 6/28 8316 +0.05% 6/28 6740 Jディスプレ、680億円調達 香港ファンド参加、目標へ110億円不足 各紙 0.00% 6/28 2433 博報堂DY、100億円ファンド設立 新興を支援 日経 -0.05% 6/28 5938 LIXILグ瀬戸氏「事業利益率10%目指す」 サッシ生産性改善 日経 -0.17% 6/28 5401 日本製鉄、鋼管も値上げ 最大10%、9月製造分から(日経、以上6月29日) 日経 -0.26% 6/28 9020 びゅうプラザ、営業終了へ JR東日本、22年3月までに 旅行ネット販売 日経 -0.73% 6/28 4825 WNIウェザ、前期営業益18%減 海外展開で費用増 日経 -1.04% 6/28 3479 貸会議室大手のTKP、配膳人材派遣を買収(日経、以上7月1日) 日経 -2.09% 6/28 3053 ペッパー、今期純利益下振れ 15億円に 日経 -2.23% 6/28

甦るあの夏の記憶 傘下ファンドの社債懸念で仏銀株が急落

20日のパリ市場でフランスの銀行ナティクシスの株価が大幅に下落した(11%以上)。傘下のH2Oアセットマネジメントが運用するファンドが保有する社債の一部に対して評価会社が「流動性と適切性」の懸念を表明したとFTが伝えている。 FRBによる緩和期待でバンクローンのETFなどが盛況となっているなかでの同銀行株の下落は際立ってしまう。2007年8月のパリバショックを連想する向きもあるのかもしれない。 ただ、仏系金融機関でも「気にしている人は社内にもいるが少数だ。先行きについてはウォッチしておいたほうが良いとは思うが」(ストラテジスト)ということのようだ。直ちにグローバルな金融市場へと警戒感が波及するということはなさそうとの見方だ。(丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

そこまで来た米利下げ ここからの問題は「で、いつやるの」

18~19日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが決まる一方、声明文や会合後の記者会見でハト派的な姿勢が示された。CMEグループのFedウォッチツールで7月FOMCでの25bp以上の利下げ織り込み度は100%となり、前日(86.4%)からさらに利下げを織り込む動きが強まった。25bpの利下げ織り込み度が67.7%と6割を維持する一方、50bpの利下げ織り込み度が32.3%と前日(17.9%)から増加して3割台に乗せた。 こうなると問題は、もはや、FEDは利下げに踏み切るのかではなく、いつ利下げするのか、さらに言えば7月なのか9月なのか、ということになる。各社の19日付リポートでも読み筋はいろいろだ。 FF金利先物市場などで早期利下げの織り込み度が高まる中、JPモルガンは従来は9月と12月と見込んでいた利下げ時期を7月、9月にそれぞれ前倒しした。その上で「これはバランスシート(B/S)の正常化の終了を早めることにもなる。50bp以上の利下げは我々の基本シナリオにはないが、労働市場の悪化などの証拠が出れば50bp以上の利下げの動機付けとなるだろう」と見込んだ。 ノムラ・セキュリティーズも「当社は今年7月、12月と年2回の利下げを予想するが、7月の利下げの後、8月にB/Sの流出を止めると見込んでいる」と指摘した。7月に利下げが行われた場合、FRBによるB/Sの正常化も修正を余儀なくされるとの見方が増えてきている。 またバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは「FRBは7月FOMCでの利下げを約束せずに、市場の予想を超えた厄介なメッセージを伝えた。これは9月から合計75bpの利下げを行うという我々の予想と大体一致する」と指摘。その上で「G20サミットや米サプライマネジメント協会(ISM)指数で悪い結果が出るなら、7月に利下げを行う可能性がある。今後2週間はFedが動くかどうかを見極める上で絶対に重要だ」とし、市場環境次第で7月30~31日のFOMCで利下げが行われる可能性があると見込んだ。 さらにUBSは7月にも50bpの利下げを行う可能性があると踏み込んだ。パウエルFRB議長の19日の記者会見で「一時点の経済指標だけで判断するのではなく、トレンドを重視する」と再強調していた点に注目したもよう。今後の経済の潜在成長率が足元の不確実性により予想を下回る可能性があり、インフレ見通しも下方修正される可能性があるとの見方を示している。(片平正二、大野弘貴) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ロス長官、昨年末の利上げにダメ出し 「利下げ催促相場」加速も

11日に米国のロス商務長官が米通信社とのインタビューで「FRBの直近の利上げは時期尚早だった公算が大きい。再考する必要があると考えている」と述べた。 この発言について、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は「事実上の12月利上げ撤回要請発言である」と指摘する。 12日発表された5月の米消費者物価は伸びが鈍化した。米国の債券市場における長期金利およびインフレ期待(BEI)の動きにハードデータがついてきているという印象だ。FRBの状況判断よりも債券市場の方が正しかったとなれば、債券市場は一段と利下げ催促を加速することとなりそうだ。(丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

目指せデータの達人⑨終宴は近い? 米マネーストック、株高期待と連動

米国で市中に出回っている通貨の総量である「マネーストック」の伸び率鈍化が続いている。米株式相場に対する投資家の「期待値」と連動する指標だけに注意が必要だ。 マネーストックは民間銀行から個人や企業などに供給される通貨の総量を示す。米セントルイス連銀によると、代表的な指標で消費にすぐに回るマネーの総額を示すMZM(季節調整値)は4月末時点で15兆8959億ドル(約1730兆円)と、データが入手できる1959年以降で最大となっている。 ただ対前年同月での伸び率は3.1%と過去10年間の平均増加率(6%)の半分に低下。カネ余りの度合いが弱まっていることを示す。17年秋から始まった米連邦準備理事会(FRB)の資産圧縮が背景だ。 マネーストックの伸び率の低下は市場へのマネー流入の鈍化と直結するため、米株に対する投資家の期待値、すなわちPER(株価収益率)の低下をうながす。マネーストックの伸び率のピークは16年6月の6.9%。当時のS&P500種のPER(実績ベース)は24.0倍だったが、直近では20.8倍に切り下がった。FRBの資産圧縮が続く今秋ごろまで、PERの低下が続く公算が大きい。 パウエルFRB議長は今月4日、景気が冷え込めば利下げや量的緩和の再開にも前向きと思える発言をし、市場は金融相場の再開に期待を寄せる。ただ、景気の下降局面では経済全体の資金需要が低迷し、マネーストックは伸びにくい。カネ余り相場の再開期待はぬか喜びに終わる可能性がある。 〔日経QUICKニュース(NQN) 張間正義〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

懸念、入念、観念のパウエルプット 利下げは7月?それとも9月?

米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が4日にシカゴで講演し、「適切な行動をとる」と述べた事で利下げ観測が台頭した。CMEグループのFedウォッチツールによれば、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ織り込み度は92.2%となり、前日(76.9%)から急上昇して9割台に乗せた。 エバコアISIは4日付のリポートで「パウエル議長は必要に応じて利下げに門戸を開くと表明した。緩和の意図や期待を明確に示すものではなかったが、その言葉は前向きで、市場の反応も利下げの可能性が高いとみていることがうかがえた」と指摘。その上で「我々は最初の利下げが早ければ7月に行われる可能性が高いと予想する」と指摘した。 またリポートでは「パウエル議長は『貿易問題がどのように解決されるのか知らないが、米国経済の見通しに対するこれらの動向の影響を注意深く監視する。経済拡大を持続するために適切に行動する』と述べた。このフレーズは6月FOMCの声明文で盛り込まれる文言のプレビューのように思われ、その6月FOMCでは利下げが行われることは無さそうだ」と見込んだ。 一方、バンクオブアメリカ・メリルリンチは4日付のリポートで、パウエル議長の講演では、貿易戦争の激化を受けて、急遽、先行きへの警戒をにじませる文言を追加したようだと指摘。バンカメは米国内総生産(GDP)成長率予想を下方修正した。また、政策金利見通しを改定し、今年9月の利下げを見込むと予想した。 パウエル発言は株式相場には強い追い風となった。ダウ工業株30種平均は前日比512ドル高と、今年2番目の上げ幅を記録した。(片平正二、大野弘貴) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米国で英国で中国で、製造業の景況感悪化 米利下げ催促モード強まる

世界の製造業の景況感悪化が鮮明になってきた。3日発表の5月の米ISM製造業景況感指数は52.1と、4月から0.7ポイント低下し、2016年10月以来2年7カ月ぶりの低水準となった(グラフ緑)。この日発表された米PMI確報値は50.5と好不況の分かれ目とされる50目前。英PMIは49.8と前月比0.6ポイント低下し50を下回った。5月31日に公表された中国PMI(グラフ青)も3カ月ぶりに50を下回っており、米中摩擦の先行き不透明感の強まりが実体経済をじわじわ冷やしている格好だ。 こうした中で、セントルイス連銀のブラード総裁は3日の講演で、利下げは「近く是認されるかもしれない」と述べた。市場ではFRBの利下げの織り込みが一段と進み、米10年金利は一時2.06%と2017年9月以来ほぼ1年9カ月ぶりの低水準を付けた。 CMEの「Fedウオッチ」によると、2019年中に1回以上利下げする確率は98%、2回以上は85%、3回以上は55%、4回以上は21%となっている。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

リスクオフ加速、米金利も原油も⤵ 「利下げ2回以上」織り込む動き

米国の金利低下が加速している。10年物国債利回りは時間外で2.2%を割り込み一時2.18%台へ低下。2017年9月以来の低水準を付けた。金融政策の影響を受けやすい短めのゾーン主導の金利低下であり、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを織り込む形になっている。CMEの「Fedウオッチ」では2019年中の利下げ1回以上の確率は9割弱、2回以上の確率は57%まで上昇している。 金利低下とともに原油価格の下落も目立っている。30日の米国市場ではWTIが前日比2.22ドル(3.8%)安の1バレル56.59ドルへ大幅下落となり、ほぼ2カ月半ぶりの安値を付けた。WTIは時間外取引で一段安となり、一時55.80ドルまで下落している。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

じわじわ狭まるFRB利下げ包囲網 つぶやき大統領&おねだり市場 

トランプ米大統領がツイッターで「適切な時が来れば、中国と取引ができるだろう」と投稿した。同時に「中国はマネーを供給し利下げをする」と述べた上で、「米連邦準備理事会(FRB)も同じことをすれば我々の勝ちだ」とFRBの利下げに言及した。 パウエル議長をはじめとしたFRB高官からは、利下げに否定的な発言が相次いでいる。しかし、市場の利下げ期待は高く、CMEの「Fedウオッチ」によると2019年中の利下げ確率は70%を超えている。 ■市場が織り込む2019年の利下げ確率は70% 世界の投資家も、FRBに利下げを催促しているかのようだ。 バンクオブアメリカ・メリルリンチが14日に公表した5月のグローバルの機関投資家調査によると、S&P500種株価指数がどの水準まで下落すればFRBが利下げに踏み切るか質問したところ、「2500」との回答比率が前月の10%をやや上回る水準から一気に20%前後にまで上昇した。 ■S&P500で2500が分水嶺か(バンカメメリルのグローバル機関投資家調査より) もっとも比率が高いのは「2350」で25%を上回った。ただ、「2200」も25%をやや下回る水準にあり、2200~2500のレンジに収れんしている。14日の終値は2834だった。まだ距離はあるものの、2500が視野に入ると、市場では次第にFRBの利下げが意識される展開になりそうだ。(池谷信久、岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

平成・危機の目撃者⓫ 池水雄一が見た「有事の金」の復権(1999)

財政も将来も不安、ソブリンリスクに目向く 「有事の金」。その存在感が増したのは実はここ20年ほどの話にすぎない。1980年代に東西冷戦が終わった後、政治リスクが薄れたと判断した各国の政府・中央銀行はいざというときのために取っておいた金を売り続け、「金は石ころになる」とまで言われた。転機は99(平成11)年のワシントン協定だった。商品市場の生き字引で「ブルース」の異名を持つディーラーの池水雄一氏は「中銀による金の売却基準を厳しくしたこの協定がなければ金の復権はなかった」と振り返る。 池水雄一氏 いけみず・ゆういち  1986年上智大学外国語学部卒業、住友商事入社。90年からクレディ・スイス銀行、92年から三井物産の貴金属チームリーダーを務める。2006年に南アフリカのスタンダードバンク(現ICBCスタンダードバンク)東京支店副支店長に転じ、09年から支店長。元三和銀行(現三菱UFJ銀行)の外国為替ディーラーで現在は衆議院議員を務める今井雅人氏(本シリーズ➌に登場)は大学の同級生 ◆ワシントン協定で中銀の売却を制限 1989(平成元)年に1トロイオンス=400ドル程度だった金価格はワシントン協定を境に復活し、足元では1300ドル近辺で推移している。協定ができた99年といえば97~98年のアジアやロシア危機の余韻さめやらぬころだ。新興国を中心に財政赤字への懸念がくすぶっていた。 それまで長らく、中銀は金の最大の売り手だった。運用担当者が第2次世界大戦を知らない若い世代に代わり、「冷戦は終わったし金を持っていてもしかたない」との雰囲気がまん延していた。だがアジア危機などをへて、1970年代からの財政拡張で高まってきた国家のリスク(ソブリンリスク)に目が向かいやすかったのかもしれない。 協定では欧州各国の中銀が年間の売却量を計400トンに制限することになった。欧州系の中銀は保有している金の貸し出しもしていて、借り入れた鉱山会社などは先物の売りで価格下落のリスクを回避(ヘッジ)してきたがそれにも制約をかけた。協定締結まで緩やかな右肩下がりで、300~400ドル程度を行ったり来たりしていた金相場はにわかに底堅くなった。 世界に存在する金の総量はよく「オリンピックプール3杯半ほど」と表現される。一辺21.3メートルの立方体程度なのだという。限られたパイの中で最大のプレーヤーである中銀の売りを抑えれば、需給はおのずと引き締まる。 その後、2001年に起きた米同時多発テロは国際情勢の緊張感を再び高めた。世界は思ったほど平和ではない――。世界大戦や冷戦構造から局地的なテロが新たな脅威として意識されるようになり、「セーフヘイブン(安全資産)」として金のニーズが高まった。 ◆鉱山会社のヘッジ売りも止まる ワシントン協定は金鉱山会社の手足も縛った。金の先安観が強かった80~90年代の相場環境で、オーストラリアや南アフリカなど主要産金国の鉱山会社は中銀から安く借り入れた金を主な担保に数年先までの生産分相当額の先物を売ってきたが、中銀がなかなか金を貸してくれなくなったので市場から調達せざるを得ない。コストは上がる。ヘッジが機能しづらくなっていた。 ヘッジ戦略は相場の下落時に鉱山会社を守ってくれるが、先物売りが現物の売りに波及し値段をさらに下げる負の側面もあった。ワシントン協定はその悪循環を止める役割も果たしたわけだ。 しかも01年以降は「有事の金」復権で価格が上昇傾向に転じ、数年前に安い価格で積みあげた先物の売り持ち高には含み損が膨らむ。金価格の下落がこれ以上は見込めないとなると、各社は先物の買い戻しを急ぎ始めた。先物売りが減るだけでなく買い戻しが入る。買いが「倍々ゲーム」で広がるようなものだ。 ただディーラーの視点では「有事の金買い」にあまり踊らされないことが重要だ。紛争などが起きて投資家が我先にと金を買うと、必ず相場のオーバーシュート(行きすぎ)が起こる。短期的にはひとまず調整が入る「有事の金売り」を意識し、落ち着いたところで改めて買うスタンスが良いだろう。 平成の話ではないが例えば、1979年に発生したソ連のアフガニスタン侵攻。ニューヨークの金相場は200ドル台から850ドルまで急騰した後、すぐに押し戻されてきた。目端の利く投機筋は誰よりも早く持ち高を作ろうとし、イベントが人々の間で認知されれば利益確定を進める。そんなときは相場はいったん下がる。 ◆米中ロ、国際政治の不透明感を反映 2006~07年ごろから金の世界は変わってきたと感じる。08年のリーマン・ショックに続き、足元では英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレクジット)問題やトランプ米政権の登場などいままでの常識では考えられない事態が起き、資本主義の前提が崩れてきた。漠然とした将来の不安は解消しそうにない。「有事の金」の価格が200~300ドル台に戻る可能性はもうないだろう。 米国が金本位制を放棄した1971年の「ニクソン・ショック」からしばらくは金の大口保有者は米国とドイツなど先進国の中銀で、ワシントン協定まで金の売り手だったのは欧州勢だった。だが2010年ごろから中銀は金の買い手に転じている。中国やロシアなどが外貨準備として保有していた米ドルを売り、金の買いに傾いているためだ。米国との微妙な関係と国際政治の不透明感を映していると考えられる。 基軸通貨のドルを持つ米国は別の通貨を多く保有していてもしょうがないので外準に占める金の割合は現在も75%と突出している。その他の欧州各国の間に中国やロシアなどの「新参者」が割り込んでいく展開になってきた。 中国は世界1位の、ロシアは世界3位の金産出国でもあるため、市場で買わなくても金の保有割合を増やせる。近年はロシアが世界6位、中国は7位の金保有国に浮上した。ロシアが数年前にルーブル下落に苦しんだ際にどうにか持ちこたえられたのは、金の保有を多くしていたからとの指摘が聞こえてくる。 リーマン・ショック以降の米金融緩和政策の影響は大きかった。低金利の資金が行き先を求めて市中にあふれる構図は金に限らず商品相場全体に追い風だった。2012年に量的緩和第3弾(QE3)が始まったころ1600ドル台で推移していた金相場は、米連邦準備理事会(FRB)の出口政策が意識されると1200ドル台まで下げたが、19年に入ると今度は「緩和の終わりの終わり」が意識されている。金は再び上昇トレンドに戻ると予想している。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)片岡奈美 =随時掲載

平成・危機の目撃者➏ 市東久が見た天安門事件(1989)

「有事のドル買い」の構図いまも 戦争や政治的な混乱の際に米国にマネーが向かう「有事のドル買い」は、1989(平成元)年の天安門事件まで定石だった。以後は米同時多発テロ事件や中国の台頭によって鳴りを潜めるが、市場では「基軸通貨であるドルの優位性は損なわれていない」との声が根強い。2018年にディーラー生活40周年を迎え、金利と外国為替の市場を縦横無尽に駆け続ける「生き字引」である市東久クレディ・スイス銀行東京支店長もそうみる一人だ。 市東久氏 しとう・ひさし  1976年に東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。78年から本店為替部の為替課でディーラーとしてのキャリアを開始。6年間のロンドン支店勤務中は、王立取引所で始まったロンドン国際金融先物取引所(LIFEE)の立会場の公認フロアトレーダーとして公開セリ売買方式での先物取引にも携わった。帰国後は国債トレーディング業務に従事し、ヘッジファンドを経て92年にクレディ・スイス・ファースト・ボストン銀行(現クレディ・スイス銀行)に移籍。金利裁定(アービトラージ)のディーラーとして短期市場ではその名を知らない人はいないほどの有名人で、今も現役で活躍。愛読書は新渡戸稲造の「武士道」 ◆「円買い」には違和感 1989年6月の天安門事件で円相場は1ドル=142円前後から150円をうかがう水準まで下げた。天安門広場で中国の民主化運動が武力で鎮圧され、学生のデモ隊に戦車が突っ込んだ映像は世界に衝撃を与えた。この少し前、ドルは緩やかな下落基調で、数億ドルものドルの買い持ちを抱えていた自分は苦しかった。過去に積みあげた「含み益」は毎日100万ドル単位で目減りしていく。天安門の後のドル高は苦境を打破できた点でも鮮明に記憶に残っている。 今のところこれを最後に有事のドル買いは起きていないが、構図が変わったわけではない。例えばもし朝鮮半島が有事となったら円はどうなるだろうか。地理的に近い日本の円を持ちたくないとの空気が広がり、大きな金融機関や投資家を中心に円を売ってドルを買う判断に傾いてもおかしくないとみている。 経済評論家などが最近「有事の円買い」を乱発しているのを聞くと違和感を覚える。有事とは、戦争など安全保障上の重大な危機が起きたときに投資資金が逃避先を探し回るような状況を指す。例えばどこかの超大国の主要都市にミサイルが着弾するといった強烈なインパクトを持つ事象だ。 現在の円買いは国際分散運用を手掛ける投資家が円の減価に備える目的で、資産の一部を整理して円に戻しているにすぎない。巨大な対外債権国の日本にお金が回帰しやすい面はあっても、有事のリスク回避に伴って円が買われているわけではない。こうした点をきちんと理解したうえで解説者は有事の円買いという言葉を使っているのだろうか。とても不安になる。 ◆流動性リスク対処、受け継がれぬ経験 風化のリスクは有事のドル買いに限らない。市場の混乱局面には経験豊富なベテランの存在が必要だが、足元では日銀の緩和長期化による市場縮小に見舞われた短期金融市場を中心に、ノウハウがまったく引き継がれず危機感を抱いている。具体的には流動性リスクへの対処だ。 1990年代後半の日本の金融危機を生き抜いたわれわれの世代は信用不安と流動性枯渇の恐ろしさが身にしみている。2008年のリーマン・ショック前後でもまずドルの手元資金を厚めにした。欧米金融機関がドルの調達に苦しみ、銀行間の取引金利が上がっていくとすぐにイメージできたからだ。 一方、大手米銀は為替フォワード(スワップ)を通じて日米金利差の拡大に賭ける取引を先行させた。ドルを直物で売って先物で買い戻すもので、これをするにはドル資金をきっちり確保しておかなければならないのにしていなかった。結果的にとんでもない高いコストでドルを借りるハメになり、大きな損失を出した。逆にドル保有者のこちらは1日で数百万ドルほどの利益を計上した日もある。経験の差が物を言った好例だろう。 日本の短期市場では資金が潤沢で金利のない世界が長期化し、人員を配置して大々的にディーリングをする必要がない環境が当たり前になっている。経験者や専門家がいなくても何とかなっているものの、それこそ有事で右も左もわからなくなるリスクと背中合わせだ。 日本が量的金融緩和政策を解除して3度目の利上げ(初回は2006年、2回目は07年2月)のタイミングを測っていた07年3月1日、日銀主催の短期金融市場フォーラムで外国銀行の代表として提言をした。当時の中曽宏金融市場局長(後に日銀副総裁、現大和総研理事長)とも日銀の出口政策に向けて意見を交わした。無担保コール翌日物金利が0.001%に張り付き、既に短期市場がしぼんでいたので、経験者を市場に呼び戻す重要性についても語り合った。 中曽氏とやりとりをしてからさらに10年以上がたった。日銀が異次元の緩和策に足を踏み入れるにいたり、事態は一層深刻になってきたようだ。 ◆緩和が長期化、難しい時代に 日銀が異次元緩和に踏み切る前のことだ。日本の銀行は国内の融資ニーズが細って収益を上げられなくなるので、いずれ海外シフトしてドル建ての投融資を増やすと想定していた。ただ欧米の短期金融市場で簡単には直接ドルを借りられない地方銀行などがドル調達のため、手持ちの円を売ってドルを買おうとすると、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)比で0.80%前後も高い金利を払わなければならなかった。 ドル調達のコストが高すぎて運用しても収益を得られなくなったり、損失が出たりすれば投融資自体をやめざるを得なくなる。欧米銀が信用リスクを感じればドルを貸してくれなくなるかもしれない。ただでさえ米連邦準備理事会(FRB)が緩和からの「出口」に向かっているところだ。懸念は一昨年ぐらいから現実になり始めている。 数年前、前日銀総裁の白川方明氏と話をする機会があった。白川氏も自分と問題意識は一緒だった。貸出先を求めて海外へ打って出るとしても、資金調達やリスク管理のノウハウがなければうまくいかないだろうと心配していた。だが、経験はいっこうに蓄積されない。 1997年の金融危機の前の無担保コール翌日物金利は4%以上だった。2001年の量的緩和策の導入とともに0.001%になったとき、ものすごく小さな金利という意味で「ピーナツ」と海外の仲間にからかわれたのを覚えている。それがまさかマイナスになるとまでは当時は考えていなかった。 円金利単独での投資は基本的にはすることがない。フォワードで米金利の上下動に着目する戦略は引き続き有効だが、ドル資金の流動性の問題が出てくる。リスク管理の制約もきつい。 難しい時代になった。それでも有事にどう備えるべきかを常に意識しながら市場と向き合い続けたい。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)菊池亜矢 =随時掲載

逆イールドに怯える市場 イエレン氏「景気後退の前兆とは思わない」

イエレン前米連邦準備理事会(FRB)議長は25日にクレディ・スイスのアジア投資会議で、米国市場での長短金利の逆転について「利下げの必要性を示すかもしれないが、景気後退の前兆だとは思わない」と述べた。 22日の米国市場で米10年債利回りが3カ月物の米財務省証券(TB)の利回りを11年半ぶりに下回ったことで、マーケットでは景気後退が意識されている。 ただ、米BEI(債券市場が織り込む期待インフレ率、グラフ青)は19年の年初にボトムを打ってから上昇しており、景気後退によるデフレを警戒しているようには見えない。米長期金利が低下した背景には景気減速懸念もあるが、FRBの量的緩和や先進国の中で相対的に金利が高い米国に資金が集まりやすいといった需給要因も大きい。需給の引き締まりによって、債券の残存期間に応じて上乗せされるリスクプレミアムが縮小ないしはマイナスになっていると見られている。その様な状況で、20日のFOMCの結果が予想以上にハト派的だったことで、オーバーシュート気味に長期金利が低下した可能性もありそうだ。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ドイツ景気、足元ダメだが中期の悲観和らぐ ZEW期待指数が改善基調

19日に発表された3月の独ZEW景気期待指数は▲3.6と市場予想(▲11.0)を上回る大幅な改善となった(グラフ黒)。依然として長期平均の「22.2」を下回った水準ではあるものの、中期的な独経済への発展期待は1~2カ月前ほどには悲観的ではなくなっている。ZEW所長は「主要な経済的リスクが以前よりも劇的ではないことを示している」と述べた。また、米中貿易交渉の進展などが金融市場関係者を楽観的にさせた可能性にも言及した。 (QUICK FactSet Workstationより) 一方、景気の現況を示す指数は11.1と市場予想(13.0)を下回り、悪化傾向に歯止めがかからない(グラフ黄緑)。金融市場では独経済への底入れ期待が世界経済に対する過度の悲観的な見方を後退させる一方、今後発表されるハードデータ次第では失望感を招きかねない不安定な状況が続くこととなりそうだ。目下の世界経済における主な不透明要因である中国景気減速懸念、欧州景気減速懸念、英EU離脱問題の行方は米連邦準備理事会(FRB)の金融政策にも影響を及ぼすこととなろう。(丹下智博) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

平成・危機の目撃者➋ 深代潤が見た運用部ショック(1998)

一瞬、揺らいだ日本国債の信認 一時8%台まで上昇した日本の長期金利(10年物国債利回り)はマイナス圏のまま平成を終えようとしている。1990年(平成2年)から債券運用に携わってきた三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッドは「平成の債券市場は異常事態が多発した」と振り返る。中でも印象的なのは98年秋~99年初めに起きた大蔵省(当時)の「資金運用部ショック」と2003年の「VaR(バリュー・アット・リスク)ショック」だという。 深代潤氏 ふかしろ・じゅん 1988年に日本債券信用銀行に入行。資金営業室で大企業向けの金融商品のセールスを担当した後、市場証券部、証券部で国内債券業務に携わる。その後は日債銀投資顧問やトヨタアセットマネジメントでファンドマネージャーを務めた後で2013年4月、会社合併により三井住友アセットマネジメントに入社。16年10月からグローバル戦略運用グループヘッドに就き、17年4月からは執行役員を兼ねる ◆記憶に残る「4大ショック」 1990年から債券運用に携わり、日々の相場状況やレートをノートに書き留めてきた。基本的に「べき論」で成り立ち、外国為替などに比べると理屈や経験則通りに動く債券市場では記録がいっそう大切。何度も読み返したので背表紙ははがれかけている。 それでも平成には異常事態が多発した。かつて成り立った「財政悪化は金利上昇の要因」との方程式は90年代後半から崩れていく。債券運用者として利回り面での「春」を謳歌できたのは長期金利が6%台から8%に上昇した平成の前半だけだ。以後はデフレと金融危機、それらに対処するための財政拡大と日銀の政策対応に債券市場は振り回されて相場の力学は複雑になっていった。 特に印象に残る出来事は「資金運用部ショック」と「VaRショック」。格付けなどみなが信じているものこそ疑うべきだと痛感させられた08年の「リーマン・ショック」も忘れられない。さらに時がたち、運用者としてぐうの音も出なくなったのが「黒田緩和」(日銀による異次元の金融緩和政策)だ。 ◆「まだ終わってねえぞ」「投げるな」 運用部ショックでは0.6%台から2.4%台へ、VaRショックでは0.4%台から1.6%台へと、いずれもわずかな期間で長期金利が急上昇したが、何とか乗り切った。まだどうにか経験をいかせる時代だったといえるだろう。 運用部ショックは財政支出の拡大が先行するなかでの金利低下局面とあって(逆回転に)備えはしていた。想定外だったのは日銀の速水優総裁(当時)が突然「財政拡大時の金利上昇は当然」との認識を示したことだ。 政治家と財務省、日銀の足並みが乱れれば国債の信認は後退し、金利はリスクプレミアムを織り込む形で上昇していく。速水氏の発言を受けて債券市場で投げ売りが膨らんだ。同僚のディーラーは「終わりましたね」と嘆いたが、金融危機のまっただ中で金利が上がるはずはないとの信念で「まだ終わってねえぞ」「投げるな」と言い聞かせながら買い下がり、生き延びた。 03年のVaRショックは債券依存度を高めていた銀行勢の持ち高が「沸点」を超えたために起きた。一部の銀行が持ちきれなくなった債券を売り、ボラティリティー(変動率)が急伸するとそれに耐えられなくなった売り手が次々とあらわれ、自己増殖的に売りが加速していった。 銀行の債券運用は国債相場のボラティリティー(変動率)安定を前提にしている。投資が収益追求の行動である限り、誰よりももうけたいとの欲望は止められない。だが持ち高を永遠に増やせるわけではない。いつかはオーバーシュート(行きすぎ)の段階にいたる。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が改善しているのに下がりっ放しの金利はおかしいとオーバーシュートの気配を感じ、銀行の深追いはしないようにした。 運用ではデフォルト(債務不履行)債券を一度もつかまなかった。基本的に投資対象の格付けは「A格」以上と決めている。これまで保有中にA格から格下げになったのは1社だけだ。だからこそリーマン・ショックで信用リスクへの懸念が強まっても動じず、逆に買い増す余裕を持てた。 ◆歴史から学べること、学べないこと 一方、13年4月に始まった「黒田緩和」は出だしからとんでもないことになった。会社の合併に伴い、今のチームに移って数日、システムの仕組みに慣れておらず、まだ発注すらマニュアルなしではおぼつかないときだ。期初の資金流入などによりかなりまとまった額で買わなければならなかったところに「バズーカ砲」を撃ち込まれた。 マーケットからは売り手が消え、買い気配でまったく値が付かない。買うに買えなくてぼうぜん自失、「この会社での運用者人生は終わったな」と本気で考えたものだ。 朝一番で出した成り行きの注文に応じてくれる相手が見つかったのは何と14時をすぎてから。しかも前日とあまりにもかけ離れた(高い)水準での取引成立に「これ間違ってるよね?」と思わず口にしたのを覚えている。 歴史から学べるものは確かに多い。例えば1990年代後半の日本の金融危機では「流動性」の大切さを思い知らされた。金融機関や企業が破綻するのは資金が回らなくなるからだ。 97年秋に三洋証券が無担保コール市場で初のデフォルトを起こし、巨大な短期金融市場での取引が凍りつくと、間を置かずに北海道拓殖銀行が倒れた。デリバティブ(金融派生商品)市場も縮んで山一証券の破綻につながった。「次はどこか」との疑心暗鬼がどんなに恐ろしいかは2008年のリーマン・ショックでも明らかになった。その過程で信用リスク対応のノウハウもだいぶ積み上がったが、今度は金融政策がどんどん未踏の領域に進んでいる。 日銀の掲げる2%の物価目標を達成することと、国民生活を豊かにすることは次元の違う議論だ。バーナンキ元米連邦準備理事会(FRB)議長の「ケチャップを買え」ではないが、闇雲に物価だけを上げればいいはずがない。 日銀はマイナス金利政策の欠点を理解しつつも導入せざるを得なかったのだろう。それゆえマイナス金利をすべてには適用しない仕組みを整えたが、市場の拒否反応は強かった。政策はすぐには変えられない。効果がないとも、間違えたとも、役割を終えたとも認められずに長期化する金融政策には「出口」は見えてこない。日ごろの投資判断の材料は日銀オペ(公開市場操作)の増減額予想のみだ。 先行きの見えない今は、国内債への傾斜は難しい。社債などのクレジット商品や外債にお金を振り向けざるを得なくなっている。新しい元号になって祝賀ムードが盛り上がり、ラグビーワールカップ日本大会や東京五輪などをへて国内経済の楽観論が戻り、現状の閉塞感を打破できればよいのだが。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)片岡奈美 =随時掲載

平成・危機の目撃者➊ 藤巻健史が見た英ポンド暴落(1992)

平成も残り1カ月半。この約30年間、金融市場は様々な危機やショックに見舞われてきた。激震の平成から何を学び、将来にどう生かすか。危機を目の当たりにしてきた市場関係者に聞いた。シリーズ第1回はモルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)東京支店長などを務めた藤巻健史フジマキ・ジャパン代表。1992(平成4)年の英ポンド危機を振り返り、市場の調整機能の重要性を強調する。 ソロスファンドの「暴力」と「市場調整機能」 藤巻健史氏 ふじまき・たけし 1974年に三井信託銀行(現三井住友信託銀行)入行。85年にモルガン銀行東京支店に移り、資金為替部長を経て95年に東京支店長(兼日本代表)に就いてディーラーとしても存在感を示す。2000年にはジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めた。その後は企業のアドバイザーやいくつかの大学で教べんをとり、13年から参議院議員 ◆欧州通貨メカニズム参加の矛盾を突く いまでも夢に出るほど後悔しているのが92年、ジョージ・ソロス氏率いるヘッジファンドの激烈な英ポンド売りを指をくわえてみていたことだ。欧州の為替相場メカニズム(ERM)に参加していた英国は多くの矛盾を抱え、ERM離脱とポンド下落は当然の帰結にもかかわらず、ソロスファンドの二大ファンドマネジャーの一人、スタンリー・ドラッケンミラー氏の鬼気迫る動きに追随できなかった。 90年にERMに入った英国はポンドの対ドイツマルク相場の中心レートを1ポンド=2.95マルク、変動幅を6%に収めなければならなかった。つまり1ポンド=2.77マルク以上を維持するとの条件だったが、当時の英国は景気が悪く、ポンドには常に下落圧力がかかっていた。 英中央銀行のイングランド銀行はポンド買いの市場介入で相場を支えようとしたもののらちが明かない。景気が悪いから英国では簡単に利上げできなかったし、ドイツはドイツで根強いインフレ懸念から利下げが難しかった。どちらも金融政策による通貨安定は厳しかったわけで、ドラッケンミラー氏のポンド売り戦略は後から振り返ると非常に論理的だった。市場の調整機能が働けばポンド安や英国のERM離脱は避けられなかったはずなのに、なぜ付いていかなかったのか。 英国は結局ERMを離脱し、そのおかげで通貨安が進み、英経済は回復した。ソロスファンドのとった行動について「市場の暴力」「やりすぎ」といった批判も聞こえてくるが筋違いだ。ひずみが生じたらうまく調整し、結果的に良い方向に進めていく市場の健全性をもっと評価してほしい。 ドラッケンミラー氏とはのちにソロスファンドで一緒になった。ファンドのもう一人の巨人ニック・ロディティ氏がオンとオフをはっきり分けるメリハリの効いた性格だったのに対し、アナリスト出身らしい学究肌の冷徹な雰囲気が印象に残っている。 ◆「イングランド銀をつぶした男」の素顔 2000年に加わったソロスファンドでは初めて損失を計上し、あっさりとクビになった。ドラッケンミラー氏からはその後、中東に拠点を置く総額1兆円規模のファンドに誘われたが、自分の全財産の80%をファンドに入れる条件が付いていた。子供が小さかった当時、ファンドと一蓮托生(いちれんたくしょう)の勝負はもうできなかった。自らの一切合切を賭けられないとすればどうすべきか。そのとき、ディーラーをやめようと思った。 ソロス氏は一言で表すなら好々爺(こうこうや)。ヘッジファンドのオーナーには変わり者が多く、例えば相場観などの説明を聞くためだけにわざわざプライベートジェットでニュージーランドからロンドンまで飛んで来たり、引き連れてきたエコノミストの質問を途中で遮ってまったく無関係の話題を始めたり、ディーリングルームの隣に超高級スポーツジムを設立したりなどの奇行の話題には事欠かない。ソロス氏はマーケットセンスはあまりなかったと思うが、人柄に関しては穏やかで好ましかった。 ◆異次元緩和は最大の失敗、出口を見いだしにくく 平成最大の失敗は日銀が2013年に導入した異次元の金融緩和政策だろう。2年で2%の物価目標を掲げて国債などの大量購入に踏み切り、伝統的な金融政策は本当の終焉(しゅうえん)を迎えた。 日銀が現在やっているのは財政ファイナンス(財政赤字の穴埋め)そのもの。出口は見いだしにくい。これだけ財政赤字が拡大するなか、物価目標を達成したから緩和をやめると言っても政府はおそらく受け入れないだろう。金利上昇で予算が組めなくなり、財政危機に陥りかねないからだ。 日銀のバランスシート(貸借対照表)は危険水域に入っている。もし当座預金の金利を引き上げれば支払利息が増える半面、資産のほとんどを占めるのは金利が低く残存期間の長い国債のため、損失が膨らんで債務超過に陥りかねない。 ドイツが第2次世界大戦で敗れた後、中央銀行がドイツ帝国銀行(ライヒスバンク)からドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)に移った例はあるが、平時ではない。日本が平時に中銀が変わる初めてのケースにならないかと心配している。 1つアイデアがある。日銀が米連邦準備理事会(FRB)の保有する米国債を直接買い取ることだ。日本経済が低迷している要因の1つは外国為替市場での円高傾向だ。半面でFRBは現在、保有米債を売却しバランスシートを縮めている最中で利害は一致する。為替介入とみなされずに行き過ぎた円高を食い止める方法はいくらでも存在する。 ◆「飛ばし」「問題先送り」体質変わらず 市場の健全性を測るにはそのときそのときのリスクをきちんと計量化できる仕組みが必要だ。具体的にいえば時価会計。リーマン・ショックなど次々と訪れた危機でいつも米国の経済の立ち直りが日本よりも早かったのは時価会計を徹底し、潜在リスクの有無の把握がスムーズに進んだからではないか。 時価会計なら損失は昨日と今日の差でしかない。ところが日本ではまだ簿価会計の部分が少なくない。もしここで時価会計に変え、損失を出すと過去のことも含めてすべて自分のせいになるので、損切りがなかなかできない。だから「飛ばし」が発生する。古くは山一証券を破綻させた問題先送りの悪弊はすぐには改善しないだろう。 日本でもし物価目標の2%がみえてくると金利の先高観が強まり、財政破綻は近づく。市場では「日本は対外資産が巨額なのですぐには財政破綻しない」との声ばかりだが、資産のほとんどは政府のものではない。インフレ率が急上昇する「ハイパーインフレ」が起これば政府債務は相対的に減るが、国民に負担を強いることになる。日銀による巨額の日本国債の購入は財政破綻リスクをまさに「飛ばし」ているだけだ。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)菊池亜矢 =随時掲載

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