FinTechベンチャーに聞く ◆ワッツマネー◆住宅ローン借り換えに付加価値

リフォーム支援事業、1年たらずで加盟200社 「FinTechベンチャーに聞く」の第2弾は住宅ローン関連サービスを提供するWhatzMoney(ワッツマネー、東京・目黒)だ。2015年に住宅ローンの比較・検索サイトを立ち上げ、現在は不動産・リフォーム業者向けの事業を展開している。キーエンス、住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)を経て起業した異色の経歴を持つ前田一人社長に、同社の現状と今後の展開を聞いた。 ワッツマネーの前田社長 ――現在の事業内容は。 「住宅ローンの比較・検索サイトというBtoC(個人向け)事業からスタートしたが、今は不動産業者向けBtoB(法人向け)事業が収益の中心となっている」 「軌道に乗っているのは、2018年4月から始めた『Home Re:loan』という住宅ローンの借り換えリフォーム支援事業。ローンの見直しで得られた差額をリフォームや太陽光発電設置に充てる施工提案を支援する、リフォーム業者向けサービスだ。加盟店から月額登録料と成功報酬をいただいている。加盟社数は全国に約200。好調な月は加盟社全体で100件の申し込みがあり、うち半分が当社経由で借り換えてもらっている状況だ。送客実績のある金融機関も100を超え、大手金融機関からの信用も得られるようになってきた」 「金融機関に対する利下げ交渉も当社が担当する。元銀行員の社員が金融機関とコミュニケーションするため、リフォーム業者や施主よりも効果的な交渉ができる点が強みだ」 ――1年未満で加盟200社を達成した秘訣は。 「コネのあった資材商社経由で全国行脚営業を実施し、3か月で100社を集めた。この部分は、キーエンスで営業をやっていたノウハウが生きていると感じる。泥臭いことを徹底的にやるため、他社はそうそう真似できないと自負している」 ――収支状況と今年の注力分野は。 「住宅ローンの借り換えは、ローン残高が約200兆円、年10万件の市場であり、規模がそれなりに大きい。リフォーム支援サービスは既存路線の拡大を続けながら、AI(人工知能)を使って自動化も進めていく。現在は銀行との交渉を人手で実施しているが、AIの活用でシステム化し、プラットフォームに進化すれば、(金融機関を顧客にするような)海外の成功モデルに到達できると考えている」 「既存事業だけであれば単月黒字化できる状況だが、新規事業への投資を進める方針だ」 ――新規事業はどのようなものか。 「今年から本格化するのは、不動産業者の住宅ローン業務のアウトソーシング事業だ。体力のある大手を除けば、不動産の営業員は、顧客対応(フロント業務)と住宅ローンの申請を両方手掛けることが一般的だ。フロント業務に注力したい業者をターゲットとして営業していく。昨年末から提案を始めたが、すでに上場企業からの受注が内定した」 「弊社は貸金業登録しており、個人の信用確認ができるため、不動産業者が内部でローン申請するよりも様々な面でメリットがある。貸金業は資本金が5000万円以上必要であり、中小中堅の宅建業者が兼業するのは難しいという状況がある」 「在留外国人向け日本円ローン事業も検討中だ。日本の貸金業界は、競争は激しいが、外国人向けの融資には消極的だ。一方、アジアの経済成長を受けて、在留外国人の実家の担保余力は高くなっているものの、外資規制などで自由に仕送りができない。この隙間を埋めるような仕組みを現在、構築中だ。『すべての人に最適なお金の選択を』というテーマで、今後も事業展開を進めていく」 ――祖業である個人向け事業の展望は。 「住宅ローンの比較サイトは、個人運営のものを含めて競争が激しい。法人向けサービスのプラットフォーム化によって金融機関との強固な関係を築くことで、例えば当社限定の特別優遇金利の提示のような、個人向け事業における優位性が出てくると考えている。個人向けにリソースを投入するのは、そこからでも遅くない」 【聞き手はQUICKイノベーション本部 吉田晃宗】 ※FinTechベンチャーに聞く ◆ココペリ◆企業と士業、企業と金融をマッチング(2/22配信)  

FinTechベンチャーに聞く ◆ココペリ◆ 企業と士業、企業と金融マッチング

この5年で一気に創生期から普及期に移ったフィンテック。QUICKはベンチャーキャピタル「SV FinTechファンド」にLP(有限責任を持つリミテッドパートナー)として参加している。ファンドが出資する関連ベンチャー企業を紹介する。 中小1万1000社、8士業1400人が参加 第1弾は中小・ベンチャー企業のビジネス支援を手掛けるココペリ(千代田区)。中小企業と金融機関・専門家とのコミュニケーションを、テクノロジーで支援することで、企業価値を高めるというビジョンのもと経営している。近藤繁社長はみずほ銀行を退職しココペリを起業。中小企業のコンサルティングを続ける中でニーズを発見し、2015年に中小企業向け士業相談プラットフォーム「SHARES」の提供を開始、今では1万社以上の中小企業が導入するサービスに成長した。近藤社長に、現状と今後の展開を聞いた。 ココペリの近藤社長 ――主力の事業は。 「2つのWEBプラットフォーム型事業を展開している。ひとつは、中小・ベンチャー企業と、税理士や弁護士といった士業を結びつける『SHARES』事業。もうひとつが、地域金融機関が連携して中小企業の経営を支援するための『Big Advance』事業だ」 「SHARESは、企業が相談事項を投稿すれば、その投稿内容を見た士業側から見積もりが届き、条件が合えば成約するというサービスだ。使いたいときに使いたいだけ使えるクラウドバックオフィスと言えるかもしれない。相見積もりの時間が200時間から1時間に削減する効果があると試算している。現在、中小企業が1万1000社、(独占業務を持つ)8士業1400名が参加。士業は基本的に個人で登録してもらい、広告宣伝費として月額数万円をいただいている。リリース当初は地道に、士業の先生一人ひとりに、サービスの意義を説明してまわった」 ――金融機関向け事業の状況は。 「Big Advanceは、金融機関と取引先企業をつなぐコミュニケーションプラットフォームだ。主要な機能の一つとしてビジネスマッチング支援がある。企業が投稿した販路拡大や事業承継といった案件を、複数の金融機関が地域をまたぎ、横断的に検索・マッチングできるというのものだ。企業と企業をつなぐ際に、取引先金融機関が間を取り持つ点が特徴。プラットフォームに参加する企業のアカウントは、1つの金融機関に紐づく形式にしている」 「横浜信用金庫を皮切りに複数の金融機関が参加しており、今後も増える予定だ。Big Advanceを使うことで、もともと1割だったビジネスマッチングの面談実施率が8割に上昇した。若手行員が、Big Advanceで見つけた案件を提案することで、取引先企業の満足度が上がり、自身のモチベーションも高まっているというケースもあると聞いており、地域金融機関の経営課題の解決手段としても期待されている」 「いずれのプラットフォームも、より活用してもらえるようなUI(ユーザーインターフェース)設計を心掛け、改善を継続している」 ――今年の展望は。 「今年は地域金融機関との提携を進めていく方針だ。また、二つのプラットフォームの連携も考えている。加えて、AI(人工知能)を使った融資モデルを提供する『FAI』事業も積極的に展開していく。中小企業向けの小口融資は、金融機関にとって、業務効率やモデルの精度などの課題がある。FAIは決算書だけでなく、口座情報などからも精度の高い融資判定ができ、クラウドでの提供も可能だ」 ――地域金融機関へのメッセージは。 「2015年以降、企業はグローバル志向一辺倒ではなく戦略的に市場を決める時代になり、プラットフォームの独占ではなくプラットフォーム間の協働という時代に移行したと考えている。金融はスマホ上の『支店』が中心となり、ユーザーが銀行機能のうち使いたいものを都度選ぶパーソナライゼーションも進むだろう」 「この流れの中で、地域を支えなければならない地域金融機関は、事業展開に不自由さが残る。我々は金融機関に、地域を超えて活躍するためのプラットフォームを提供する。金融機関が培ってきたFace to Faceという価値と、テクノロジーの組み合わせが、顧客価値の真の最大化につながるはずだ」 【聞き手はQUICKイノベーション本部 吉田晃宗】

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