見えてきた10年半ぶり米利下げ そして、さあどうする?黒田さん

市場が注目していた10日の米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の議会証言で、10年半ぶりの利下げがいよいよ視界に入ってきた。 CMEグループが提供するFedウォッチツールで7月FOMCでの50bp利下げ織り込み度は26.6%となり、前日(3.3%)から急拡大。25bpの利上げ織り込み度は73.4%で、FF金利先物市場は7月FOMCでの25bp以上の利下げを100%織り込んだ状況が続いた。ナスダック指数はザラ場・終値ベースの史上最高値を更新し、S&P500も一時3000の大台に乗せた。 ◆米国の各指数のチャート(NYダウ:青、ナスダック総合:赤、S&P500:緑) 各社の10日付リポートは下記の通りだ。 ■ゴールドマン・サックス……7月の25bp利下げ確率を60%から75%に引き上げ ■バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ……7月に25bpの利下げ後、累積で75bpの利下げへ ■ナットウエスト……貿易戦争の一時休戦後も7月に25bpの利下げが軌道に乗っている ■JPモルガン……7月に25bpの利下げ予想を据え置き 7月の据え置きを見込んでいたバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが25bpの利下げ見通しに変更したのが目を引くが、50bpの利下げの可能性もあるとしてハト派サプライズも一部で期待されているもようだ。 利下げがほぼ確実の情勢ということになると、次はFOMC(30~31日)の直前29~30日に決定会合を開く日銀に注目が集まる。打つ手が限られる中で動けるのか、動かないのか。さあ、どうする?黒田さん。(片平正二、イラスト=たださやか) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

日銀の国債買い入れオペ「転機」 増額と減額の合わせ技に市場は……

日銀が3日に市場に通知した国債の買い入れオペ(公開市場操作)が関係者に動揺を与えている。残存期間が短めの国債については買い入れ額を前回から増やした半面、中期においては減額した。「日銀オペの転機かもしれない」「日銀の困難さが印象付けられた」ーー。これまでと違うオペレーションに対する市場の反応を拾った。 ■日銀の買い入れオペ 「1年超3年以下」:3,500億円→3,800億円 「3年超5年以下」:4,000億円→3,800億円 「10年超25年以下」:2,000億円→1,800億円 「25年超」     : 400億円→400億円 相対的にみると日銀はタカ派? 「オペの金額を3本とも変更するとは思わなかった。特に1~3年を増額したのは、日銀オペにおいては大きな変化だろう。これまでは減額を続け、カーブのスティープ化を促してきた。今回、1部増額したのは、マネタリーベースの増加に支障が出ないよう配慮したためだろう。今後、単純に減らすことができなくなった可能性がある。日銀オペの転機になった可能性がある」(ストラテジスト) 「全体的に減らせる額が限られてきたという印象ですね。ネットではわずか100億円の減額に過ぎませんから」(ストラテジスト) 「残存10年超25年以下を200億円減額しましたが、6月に月4回から3回に減らすときに1回あたりの購入額を200億円増やした分をもとに戻しただけですね。1回当たりのマーケットインパクトを意識したんだと思います。市場機能の回復という観点では好ましいことではないというのがベースにあったんだと思います」(ストラテジスト) 「短い年限を増減したことは単に需給のタイト化に対応したものでしょう。5年ゾーンをもっと減らしたかったかもしれませんが、ここを減額すると10年金利に効いてしまいますから。ターゲット金利である10年には影響を与えたくないということでしょう。同じ理屈で、超長期債についても需給面では対応するもののフラットニングのけん制といった明確な意思が示されるようなことはないと思いますよ」(ストラテジスト) 「短中期の増減額については6月28日のオペ予定が公表された時点の予想通り。すでにマーケットは織り込んだ動きとしていた。超長期債については25年超も減額があると思っていたので、据え置かれたことはサプライズだ。といっても、ベースが400億円しかないので100億円減額されても影響は限定的とみていた。いずれにしても今日の減額は相場が大きく動く材料ではない」(マーケットアナリスト) 「日銀国債買い入れの増減額は数字としては、レンジの中央値からそれぞれ50億円上振れ、下振れと微々たるもので予想通りといえる。ただ、YCCとマネタリーベースの拡大というなかで日銀の困難さが印象付けられたのではないだろうか。為替市場はやや円高方向に振れている。わずか100億円の減額なのだが日銀のタカ派姿勢が材料にされたようだ。米国ではハト派理事が決まりそうだし、ECB総裁(候補)のラガルド氏もハト派と目される。このタイミングだと日銀の緩和姿勢が最も弱いとマーケットは受け取ったのだろう」(ストラテジスト) 「中央値が250億円しか動いていなかったので、300億円増、250億円減というのは予想通りなんではないでしょうか。マーケットも冷静で、5年債が買われているので一部では5年の減額が少なかったという印象があるのかもしれません。ショートカバーしたかった方々は残念でした」(ストラテジスト) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

7月の50bp利下げに否定的 FRBのMr.ハト派の発言、思惑呼ぶ

25日にセントルイス地区連銀のブラード総裁がブルームバーグTVとのインタビューで「大きな行動を取る必要があるとは思っていない」と述べて50bpの利下げに否定的な見方を表明した。ブラード氏は18~19日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で唯一利下げを主張したハト派の人物だった。さらにこの日は、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がニューヨークで行われた講演で「金融緩和の必然性は高まっているが、個別のデータや短期的な心理の振幅に過剰反応しないようにも注意している」「FRBは短期的な政治圧力から保護されている」などと述べて早期の大幅利下げに否定的な見方を示した。 CMEグループのFedウォッチツールで7月FOMCでの50bp利下げの織り込み度は34.3%となり、前日(42.6%)から低下して3割台となった。 パウエル氏やブラード氏の発言を踏まえ、エバコアISIは25日付のリポートで「ブラード氏がFOMCを主導する形で発言したとは思えないが、6月に25bpの利下げを主張していた人物が7月の50bp利下げを後押しする準備ができていないという事実は、7月FOMCでの50bp利下げに対する思惑を冷却するに違いない」と指摘した。その上で同社の基本シナリオとしては「7月に50bpの利下げを行うのではなく、7月・9月に25bpずつの利下げを行うだろう」と指摘。さらに「ブラード氏の発言は、金融政策の判断が市場より遅れて緊急利下げとなりかねない『ビハインド・ザ・カーブ』ではなく、予防的に先んじて利下げに動く『アヘッド・オブ・ザ・カーブ』をFOMCが検討しているとみられる我々の判断を補強するものだ」とも指摘していた。 ■米債ボラティリティー(青)は高止まり(QUICK FactSet Workstationより) 米国債の先行きボラティリティを示すメリルリンチのMOVEインデックスは高止まりしている。25日には74.22となり、6月に入ってからは60を大幅に上回った状況が続いている。この日は50bpの利下げ観測が後退した割には、株安に加え、6月の米消費者信頼感指数が1年9カ月ぶりの水準に悪化したことを受けて債券が買われる展開だった。恐怖指数のVIXがやや上昇する一方、MOVEインデックスが高止まりしていることから米債市場発の激しい値動きが警戒されそうだ。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

甘くなかったパウエル議長 「帽子からハト」期待の株式市場は失望

いつになく注目が集まる中、4度目の利上げを決めた米連邦公開市場委員会(FOMC)。米株式市場は乱高下しながらもダウ工業株30種平均は一時、下げ幅を500㌦超にまで広げた場面があった。売り圧力が強まったのは米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見中だった。 パウエル議長が悪材料となる決定体的な発言をしたわけではない。しかし、市場が勝手に期待を先行させていた、あるテーマについて言及しなかった点が失望に変わったと考えられる。それは「FRBのバランスシート縮小停止」だ。モルガン・スタンレーは来年のFRBの金融政策見通しについて、現在、粛々と継続しているバランスシートの縮小を9月に停止すると予想している。 今回の記者会見では特段、縮小停止については触れなかった。「引き続き縮小を停止するとの予想は維持するが、その時期は政策金利の引き上げが打ち止められた後になるのではないか」(ノルデア)との指摘が出ていた。 米国株が長期にわたって上昇相場を演じてきたのはFRBの量的緩和策の影響が大きい。足元で米株式相場がふらついているだけに、引き締め停止による株高を夢見ていたのかもしれない。最近になってハト派に転向したと見られるパウエル議長だが、それほど甘くはなかったと言える。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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