ゴールどこ?金相場みな強気⤴ 証券「3ヵ月で9%」個人「年末まで2割」

QUICKコメントチーム=松下隆介 金価格の上昇が止まらない。 6日の米国市場ではパニック的な株安にひとまず歯止めがかかった一方で、安全資産である金にも引き続き投資マネーが流れ込んだ。ニューヨーク金先物相場は続伸し、終値は1トロイオンス=1484ドル(前日比7.7ドル高)と、ほぼ6年半ぶりの高値水準。日本でも金地金の小売価格は約40年ぶりの高値だ。 ■NY金先物は時間外取引で1500ドル台に カナダの証券大手TDセキュリティーズは6日付リポートで、向こう3カ月の金の目標価格を1トロイオンス1590ドルとした。足元の価格を9%ほど上回る水準。6月20日時点では1485ドルを見込んでいた。米中貿易問題の深刻化などを背景に世界的に景気が下振れした場合、市場は米連邦準備理事会(FRB)に対して追加の利下げを求めると分析。「FRBによる非伝統的な金融政策の可能性も高まっており、金は依然として”特に”魅力的な資産だ」との見方を示した。 また貴金属オンライン取引大手の英ブリオンボールトによると、同社の7月の新規顧客数は前月比で約4割増え、なかでもすべての年限の国債がマイナス金利に沈んだドイツの新規顧客数は過去最高を記録した。6月末までに実施した顧客アンケートでは、65%が「年末までに金価格が2割上昇する」と予想し、その背景として「地政学リスク」と「金融政策」を挙げていたという。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。  

平成・危機の目撃者⓫ 池水雄一が見た「有事の金」の復権(1999)

財政も将来も不安、ソブリンリスクに目向く 「有事の金」。その存在感が増したのは実はここ20年ほどの話にすぎない。1980年代に東西冷戦が終わった後、政治リスクが薄れたと判断した各国の政府・中央銀行はいざというときのために取っておいた金を売り続け、「金は石ころになる」とまで言われた。転機は99(平成11)年のワシントン協定だった。商品市場の生き字引で「ブルース」の異名を持つディーラーの池水雄一氏は「中銀による金の売却基準を厳しくしたこの協定がなければ金の復権はなかった」と振り返る。 池水雄一氏 いけみず・ゆういち  1986年上智大学外国語学部卒業、住友商事入社。90年からクレディ・スイス銀行、92年から三井物産の貴金属チームリーダーを務める。2006年に南アフリカのスタンダードバンク(現ICBCスタンダードバンク)東京支店副支店長に転じ、09年から支店長。元三和銀行(現三菱UFJ銀行)の外国為替ディーラーで現在は衆議院議員を務める今井雅人氏(本シリーズ➌に登場)は大学の同級生 ◆ワシントン協定で中銀の売却を制限 1989(平成元)年に1トロイオンス=400ドル程度だった金価格はワシントン協定を境に復活し、足元では1300ドル近辺で推移している。協定ができた99年といえば97~98年のアジアやロシア危機の余韻さめやらぬころだ。新興国を中心に財政赤字への懸念がくすぶっていた。 それまで長らく、中銀は金の最大の売り手だった。運用担当者が第2次世界大戦を知らない若い世代に代わり、「冷戦は終わったし金を持っていてもしかたない」との雰囲気がまん延していた。だがアジア危機などをへて、1970年代からの財政拡張で高まってきた国家のリスク(ソブリンリスク)に目が向かいやすかったのかもしれない。 協定では欧州各国の中銀が年間の売却量を計400トンに制限することになった。欧州系の中銀は保有している金の貸し出しもしていて、借り入れた鉱山会社などは先物の売りで価格下落のリスクを回避(ヘッジ)してきたがそれにも制約をかけた。協定締結まで緩やかな右肩下がりで、300~400ドル程度を行ったり来たりしていた金相場はにわかに底堅くなった。 世界に存在する金の総量はよく「オリンピックプール3杯半ほど」と表現される。一辺21.3メートルの立方体程度なのだという。限られたパイの中で最大のプレーヤーである中銀の売りを抑えれば、需給はおのずと引き締まる。 その後、2001年に起きた米同時多発テロは国際情勢の緊張感を再び高めた。世界は思ったほど平和ではない――。世界大戦や冷戦構造から局地的なテロが新たな脅威として意識されるようになり、「セーフヘイブン(安全資産)」として金のニーズが高まった。 ◆鉱山会社のヘッジ売りも止まる ワシントン協定は金鉱山会社の手足も縛った。金の先安観が強かった80~90年代の相場環境で、オーストラリアや南アフリカなど主要産金国の鉱山会社は中銀から安く借り入れた金を主な担保に数年先までの生産分相当額の先物を売ってきたが、中銀がなかなか金を貸してくれなくなったので市場から調達せざるを得ない。コストは上がる。ヘッジが機能しづらくなっていた。 ヘッジ戦略は相場の下落時に鉱山会社を守ってくれるが、先物売りが現物の売りに波及し値段をさらに下げる負の側面もあった。ワシントン協定はその悪循環を止める役割も果たしたわけだ。 しかも01年以降は「有事の金」復権で価格が上昇傾向に転じ、数年前に安い価格で積みあげた先物の売り持ち高には含み損が膨らむ。金価格の下落がこれ以上は見込めないとなると、各社は先物の買い戻しを急ぎ始めた。先物売りが減るだけでなく買い戻しが入る。買いが「倍々ゲーム」で広がるようなものだ。 ただディーラーの視点では「有事の金買い」にあまり踊らされないことが重要だ。紛争などが起きて投資家が我先にと金を買うと、必ず相場のオーバーシュート(行きすぎ)が起こる。短期的にはひとまず調整が入る「有事の金売り」を意識し、落ち着いたところで改めて買うスタンスが良いだろう。 平成の話ではないが例えば、1979年に発生したソ連のアフガニスタン侵攻。ニューヨークの金相場は200ドル台から850ドルまで急騰した後、すぐに押し戻されてきた。目端の利く投機筋は誰よりも早く持ち高を作ろうとし、イベントが人々の間で認知されれば利益確定を進める。そんなときは相場はいったん下がる。 ◆米中ロ、国際政治の不透明感を反映 2006~07年ごろから金の世界は変わってきたと感じる。08年のリーマン・ショックに続き、足元では英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレクジット)問題やトランプ米政権の登場などいままでの常識では考えられない事態が起き、資本主義の前提が崩れてきた。漠然とした将来の不安は解消しそうにない。「有事の金」の価格が200~300ドル台に戻る可能性はもうないだろう。 米国が金本位制を放棄した1971年の「ニクソン・ショック」からしばらくは金の大口保有者は米国とドイツなど先進国の中銀で、ワシントン協定まで金の売り手だったのは欧州勢だった。だが2010年ごろから中銀は金の買い手に転じている。中国やロシアなどが外貨準備として保有していた米ドルを売り、金の買いに傾いているためだ。米国との微妙な関係と国際政治の不透明感を映していると考えられる。 基軸通貨のドルを持つ米国は別の通貨を多く保有していてもしょうがないので外準に占める金の割合は現在も75%と突出している。その他の欧州各国の間に中国やロシアなどの「新参者」が割り込んでいく展開になってきた。 中国は世界1位の、ロシアは世界3位の金産出国でもあるため、市場で買わなくても金の保有割合を増やせる。近年はロシアが世界6位、中国は7位の金保有国に浮上した。ロシアが数年前にルーブル下落に苦しんだ際にどうにか持ちこたえられたのは、金の保有を多くしていたからとの指摘が聞こえてくる。 リーマン・ショック以降の米金融緩和政策の影響は大きかった。低金利の資金が行き先を求めて市中にあふれる構図は金に限らず商品相場全体に追い風だった。2012年に量的緩和第3弾(QE3)が始まったころ1600ドル台で推移していた金相場は、米連邦準備理事会(FRB)の出口政策が意識されると1200ドル台まで下げたが、19年に入ると今度は「緩和の終わりの終わり」が意識されている。金は再び上昇トレンドに戻ると予想している。 =聞き手は日経QUICKニュース(NQN)片岡奈美 =随時掲載

金は上昇、海運指数2年半ぶり低水準 リスクオン相場の中のリスクオフ

なんとももどかしい展開が続く。日経平均株価は2万1000円を手前にして足踏み状態だ。2018年4~12月期の決算発表が佳境を迎えつつあるなか、売買代金も活況とは程遠い。 これまでの相場のけん引役だった米国株にも勢いがなくなってきた。ある市場関係者は足元のマーケットを「リスク警戒をしながらのリスクオン」とみている。安全資産の代表である金の価格がじりじり上昇。2018年10月にダウ工業株30種平均がいったんつけた天井と金のボトムが重なる点が注目されるという。 ■ダウ平均と金先物 ニューヨーク金先物は1月31日には1325ドルまで上昇し、中心限月としては18年5月10日以来およそ8カ月半ぶりの高値を付けていた。ロンドンを拠点に個人向けの金オンライン取引を手掛けるブリオンボールトが個人投資家が金現物を売買したデータをもとに算出する金投資家インデックスが1月は前月比0.6ポイント高い52.6となった。6カ月ぶりの上昇となり、金価格も同時に上昇するのは2016年11月以来となる。ブリオンボールトによると、「黄色いベスト運動」の反政権デモが起きたフランスや政府機関の一部閉鎖された米国での新規顧客売買の増加が顕著だったという。 世界景気の先行指標とされるバルチック海運指数の下落を警戒する向きもある。同指数は5日までに12日続落し、前の日と比べ5ポイント低い629となった。2016年6月以来およそ2年8カ月ぶりの低水準に沈む。野村証券の大越龍文シニアエコノミストは「中国景気の先行き懸念があるなか、ヴァーレの鉱山事故の影響も重荷となっている」と指摘する。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

不安のマネー、緩やかに着実に金へ 投機筋も個人投資家も

世界の株式相場が軟調となるなか、実物資産の裏付けのある金にはゆるやかに資金が逃避している。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心となる19年2月限物は3日ぶりに反発し、前日比10.4ドル高の1トロイオンス1251.8ドルで終えた。7日には1252.6ドルで終え、7月9日以来およそ5カ月ぶりの高値をつけていた。市場の一部では一段の上昇を見込む声がある。 「ブレグジットへの懸念などからさらに上昇余地を探る可能性がある」――あるコモディティアナリストは一段と金相場の上昇を睨む。投機筋はすでにやや上昇を睨んだ動きも見せている。 米商品先物取引委員会(CFTC)が14日発表した11日時点の建玉報告によると、COMEXで投機筋(非商業部門)による金先物の買い越し幅は6万499枚だった。前週に比べて1万1498枚増加し、7月10日時点(8万1434枚)以来の高水準となった。直近の週はロングも小幅に減少したものの、ショートが1万4917枚の大幅減となっていた。 ■NY金とCFTCの金先物買い越し幅の比較チャート 個人投資家も金相場の上昇を睨んだ動きをしているようだ。英ロンドンを拠点に個人向けの金オンライン取引を手掛けるブリオンボールトによると、11月に金価格が上昇するなかで個人投資家の保有量が増加していた。こうした現象は2017年1月以来という。 欧州を巡る不安、米中の対立を巡る不安など先行き不透明感は多い。リスク資産から現物資産の裏付けのある金に資金が一気に流入する可能性もありそうだ。(中山桂一)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ドル高の圧力、トルコ一服でさらに 逆相関の金も1年半ぶり安値

14日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で金先物相場は4営業日ぶりに小反発したが、1200ドルの節目を割り込む場面があった。一時、1198.6ドルをつけ、中心限月としては17年3月以来の安値となった。金価格(グラフ緑)はドルと逆相関の関係にある。ドルの総合的な強さを示すドル指数(DXY、グラフ青、逆目盛)は4日続伸し、前日比0.38%高の96.68と、17年6月以来の水準に上昇している。 この日の為替市場でトルコリラがドルに対して前日比で6%ほど上昇し、6.30リラ近辺までリラ高・ドル安となったことで世界同時株安が一服。リラに対してドル高が一服する一方、リスク・オンの展開で円安が進むなど、ドル高の流れが続いた。 米経済専門チャンネルのCNBCによればトルコリラは13日に1ドル=7.2362リラまで下げて史上最安値を更新した。8月に入ってから28%、年初来で40%下げていたせいか、自律反発の動きが出たもよう。13日にトルコ中銀がリラ防衛策を発表していたが、14日にはトルコの経済団体がエルドアン大統領に対して、通貨の安定のためには政策金利の引き上げが必要だと通貨防衛策の実施を要請した。英フィナンシャル・タイムズ紙電子版によればトルコの経済団体が政府に要請するのは珍しいといい、経済界の危機感がうかがわれた。 「トルコ情勢ばかりに焦点が当たりますが、結局はドル高進行の影響を見極める必要があるのではないでしょうか」――国内投信のストラテジストは金相場のチャートをにらみながらこう話す。 投資家は冷静にドルと金の逆相関をにらんでいる。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋による金先物の買い越し幅は7日時点で1万2688枚と4週連続で縮小し、2年8カ月ぶりの低水準となった。足元はトルコ・ショックと冠がつく状態でも積極的に買いが入る様子もみられていない。 金は発行体リスクがなく、無国籍通貨としての側面を持つ。それだけに世界の金融相場が荒れる現状でも冷静に売られる金相場動向からはマーケットがドルに対する信頼感を示している状況といえる。ドルと金の逆相関が崩れた時こそ「要警戒」というバロメーターとして見ても良い状況かもしれない。(池谷信久、片平正ニ、中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP