どこまで踏み込む、日銀の次の一手 市場関係者に緊急サーベイ

QUICKコメントチーム=丹下智博 米中対立が貿易から通貨の領域に及び、世界経済のリセッション(景気後退)入りが意識されるなか、各国の中央銀行が我も我もと利下げに動く。金利低下に拍車がかかり、円は1ドル105円台前半まで上昇した。お盆休みは相場も荒れがちだ。金融緩和の先頭を走ってきた日銀はこの先どう動くのか、9月の政策決定会合への注目はいやがうえにも高まる。市場関係者に、日銀の次の一手を予想してもらった。 目立つのはマイナス金利の深掘りと長期金利目標の変更、フォワードガイダンスの強化だ。副作用が大きすぎるとの指摘も多いマイナス金利だが、現在のマイナス0.1%からさらに10bp引き下げてマイナス0.2%にする(内田氏、門間氏、渡辺氏)との見方がある。高田氏はマイナス0.15%にするとの予想だ。 意識されるタイミングは1ドル=100円ラインが目安か。そこまで円高が進めば、長期金利の目標の変更、国債やETFの買い入れ増額など政策を総動員する可能性も出てきそうだ。日銀貸し出しへのマイナス金利適用などの組み合わせを予想する声もあった。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

マイナス金利の日本国債に海外勢が群がる理由 1月も買い越し高水準

日本証券業協会が20日発表した1月の公社債投資家別売買動向(短期証券を除く)によると、外国人は2兆6107億円の買い越しだった。統計でさかのぼれる2004年4月以降で最も多かった18年12月の4兆4591億円からは鈍化したが、高水準を維持している。 マイナス金利の日本国債をなぜ買うのか? 一因として日米で異なる長短金利差の動きがある。 海外勢の多くは、市場から短期資金を調達して投資を行う。10年国債と3カ月物LIBORで見ると、この金利差は、米国(グラフ青)は2018年10月から縮小傾向が続き12月にはマイナスに転じた。足元では10年国債利回りが約2.64%に対して3ヵ月物LIBORは約2.66%で、金利差はマイナス0.02%だ。 一方、日本は10年国債利回りが約マイナス0.04%でLIBORはマイナス0.08%程度。金利差(グラフ緑)は低水準ながらもプラスを維持しており、日銀のイールドカーブ・コントロールの影響で安定的に利ザヤが確保できる形になっている。 米国よりも日本の国債を選好する海外勢の存在が、日本の長期金利の低下を促している格好だ。この動きは「FRBが利下げするなど、米長短金利差が拡大するまで続く」(野村証券の中島武信氏)との声も聞かれる。長期金利は当面上がりそうもない。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

国債市場の膠着は極限レベル 「ボラ・ゼロ」間近、相場操縦問題も影

債券相場の変動率(ボラティリティー)が極限レベルにまで低下している。過去の先物価格の値動きに基づいて算出するヒストリカル・ボラティリティー(HV)は18日時点で0.4%と過去最低を更新した。足元では債券先物の値幅が中心限月でも10銭未満にとどまる日が続く。長引く日銀の金融緩和の下で低変動率に慣らされてきた市場関係者ですらうめくほど動意は乏しくなってきた。 日銀の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)長期化によって、操作対象となる新発10年物国債を中心に、現物債の取引不成立は珍しくなくなっている。新発10年債は6月以降だけで3日も取引されない日があった。そうなると現物債の価格変動リスク回避(ヘッジ)に用いられる債先の取引もおのずと細る。 ある国内銀行の債券ディーラーは「取引はやめていないが、動かなければヘッジの必要性が薄れるので様子を見ざるを得ない」とこぼす。ヘッジ目的の売買減少で一段と相場変動はなくなり、自己玉での取引も難しくなる。悪循環だ。 プラス利回りの長期債や超長期債を保有(キャリー)すればたとえ水準は低くても利息収入があり、売買益をあえて狙わなくともよい。国内生命保険会社など長期保有目的の投資家の比率が高まると相場の膠着感は増す。 加えて、イールドカーブ(利回り曲線)が右肩上がりのままなら、時間の経過に伴い利回りが低下(価格は上昇)する「ロールダウン効果」を見込んだ売買も呼び込める。ロールダウン狙いの取引は相場を動かすほど頻繁には売り買いしない。 BNPパリバ証券の井川雄亮債券ストラテジストは「ボラティリティーが下がれば下がるほどキャリーとロールダウン効果は大きくなる」と話す。「全く市場が動かなければ、0.5%を下回る利回りの20年債を買っても3カ月後には利益が出せる計算になり、ロールダウン効果を狙う買い方が正当化される」という。 さらに6月末に飛び出した三菱UFJモルガン・スタンレー証券による先物取引の相場操縦問題が一段と参加者心理を冷やした。 証券取引等監視委員会は三菱モルガンに対し、実態を伴わずに大量の売りと買いの注文を出す『見せ玉』を指摘。見せ玉は許される行為ではないが、数千億円単位での取引が当たり前だった過去の市場を知っているディーラーには戸惑いも漂う。「一般論としては十分理解できるものの、マーケットメイク(値付け)や見せ玉、通常取引との明確な仕切りは難しい」(外資系金融機関)、「喉に刺さった小骨のようで、取り組みがより慎重さを増すのではないか」(国内金融機関)といった声が漏れていた。 日本国債の変動率を算出する「S&P/JPX 日本国債 VIX 指数」は7月上旬に1.11%と過去最低を更新した後、1.2%を挟む水準で推移している。ゼロ%台にはまだ距離があるものの、「このままだと時間の問題」との声は多い。債券先物の値幅(高値と安値の差)を月間でみると、6月は44銭とQUICKで遡れる1993年9月以降では最低となった。7月は19日時点で19銭の値幅にとどまる。記録更新の可能性は高まっている。 【日経QUICKニュース(NQN ) 片岡奈美】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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