堅調REIT、イールド狩りの「宴」の後の危うさも

トランプ米大統領が対中追加関税の税率を引き上げると表明して以降、日本株は調整色を強めてきた。予防線を張るかのように米連邦準備理事会(FRB)も緩和的な姿勢を示し始めた。円高も加わり外部環境が不透明感を強める中、堅調に推移してきた資産がある。不動産投資信託(REIT)だ。 世界的な金利低下にあって4~5月は上場投資信託(ETF)を通じたREITへの資金流入が加速した。一方で、ETF買いの加速は時価総額の小さい銘柄の投資口価格を実態以上に上昇させた側面も持ち合わせたとみられる。ファンダメンタルズに着目した投資判断が求められる局面が到来している。 ■「時価総額が小さめ・利回りは高め」に注目 米中貿易摩擦が激化した4月末以降の東証株価指数(TOPIX)は、先週末の終値時点で下落率が4%となった。一方で、東証REIT指数は、同期間で3%上昇するなど値動きは対照的だ。下落局面で東証REIT指数が堅調に推移する動きは、足元で定着しつつある。18年12月の世界的に株式市場が下落した局面でも、TOPIXの12月中の下落率が10.4%だった一方で、東証REIT指数の下落率は2.4%に留まった。 3月末までのREIT指数をけん引したのは海外投資家だった。東京証券取引所の投資部門別売買状況によると、18年10月から19年3月までの7カ月間で最大の買い越し主体であり、その額は約2770億円に及んだ。しかし、4月に入ると海外投資家は717億円の大幅売り越しに転じた。 この海外からの売りを吸収し始めたのは証券会社の自己売買部門だ。REITのETFを購入したマネーフローを反映するとされる。4月は438億円、5月も97億円を買い越した。6月に入ってからも「ETFを通じたREITへの買い入れは好調」(運用会社REIT担当者)との声も聞かれる。 マネーフローの変化はREITの銘柄間の値動きに影響を与えている。差異が目立つのが時価総額の水準。時価総額の大きい銘柄10社と小さい銘柄10社をバスケット化し、年初来の値動きを示したのが下のグラフだ。4月以降、両者のパフォーマンスに明確な差が現れ始めた。 ■買い手が変容、ETF経由でマネー流入 背景を探るにあたりETFを通じた資金流入は無視できない。東証REIT指数の構成比率は、浮動株ベースの時価総額荷重型だ。取引量が少なく時価総額の小さいREIT銘柄は、大量の注文による価格の変動(マーケットインパクト)を受けやすい。時価総額の小さい銘柄は相対的に高利回りの銘柄も多く、より高い金利を求めて物色された動きも価格の押し上げに寄与した可能性が高い。 しかし、順調に推移してきただけに割安感は薄れてきている。REITの割安・割高を判断する指標で、株式の株価純資産倍率(PBR)に相当するNAV倍率(株価/一口当たりの保有不動産の時価から有利子負債などを引いた値)の加重平均は足元で1.17倍程度まで上昇しており、02年以降の長期平均に接近している。「REITの割安感が薄れてきたことから、海外投資家の投資意欲は低下してきている」とみずほ証券の大畠陽介シニアアナリストは指摘する。 海外投資家とは対照的に、足元では金利が低下傾向にあることから、国内投資家の積極的な利回り追求の動きが継続すると考えられるようだ。大畠氏によると「REITを買い入れる流れは、大手地方銀行から信用金庫・信用組合へも広がって来ている。ただ、個別銘柄を分析するほどの陣容が整っていないためETFを通じて買いを入れている」という。 ■増税を控え、商業施設型には逆風? さらに大畠氏はREITの投資に際しては構造的要因と循環的要因に分けて考える必要があるとしている。堅調な推移が見込めるのは、テナント入れ替えによる賃料単価の上昇が見込める住宅型やオフィス型、物流型。オフィス市況が堅調であることと、物流はeコマースの進展から規模の拡大が期待できるようだ。 一方で、商業施設は相対的に厳しい。国内消費が低迷しつつあり、商業施設型REITのファンダメンタルズの改善が見込みにくい。また、ホテル型REITは景気変動の影響を真っ先に受けると指摘している。契約更新が最短1日であることから、賃料の影響を受けやすいようだ。 消去法的なREIT買い。目先の利回りに目を奪われがちだが、ETFを通じた「まとめ買い」が相場を押し上げているのは事実。東証REIT指数は20日に約3年2カ月ぶりの高値を付けた。 好調な相場の一方で、トレーダーの間でもじわりと慎重な見方が増えてきた。ファンダメンタルズ分析をおざなりにした結果、適正価格以上の値段がついたREITは調整局面に入った場面で容赦ない売りを浴びる可能性が残る。パッシブ運用は銘柄選別といったファンドマネジャー本来の業務を忌避するのに役立つツールだが、頼りすぎるとしっぺ返しを食らうことになりかねないのではないか。(大野弘貴) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

昇格アノマリー 次の本命は「働く人に、便利さを」でお馴染みのW社

東証1部への昇格を発表すると株価は上昇する。こんな「昇格アノマリー」がある。1部に昇格して東証株価指数(TOPIX)に組み入れられれば、指数に連動して運用する機関投資家などからの資金流入が見込め、知名度も増すからだ。 17日に東京証券取引所は、2部上場のシステム開発企業、アイル(3854)を7月2日付で1部に指定すると発表。アイル株は夜間の私設取引システム(PTS)で18日基準価格に比べて6%高となり、18日午前の取引でも底堅く推移した。 6月は4銘柄の昇格が既に発表されており、株価は平均で9%上昇した。上昇率が最も大きかったのは歯車や減速機を製造する日本ギア工業(6356)で発表翌日に約15%上げた。1部昇格は予想外だったようで、同社が5月上旬に発表した業績上方修正よりも鞍替えの方が株価へのインパクトが大きかった。居酒屋チェーンを展開する串カツ田中(3547)は発表直後に9%上げた。 ちなみに、ジャスダックから2部への昇格を発表したハウスコム(3275)の株価は、前日比変わらずと無反応だった。1部上場でなければ株式市場では材料視されないのが実情だ。 ■QUICKの特設サイトでは「昇格候補」などを紹介 QUICKでは昇格が期待される銘柄をピックアップして特設サイト(ユーザー専用)で公表しており、14日時点の候補は67銘柄あった。さらに、この中から3期連続増益、会社計画で今期2桁増益見通しの銘柄をピックアップしたところ、8銘柄が該当。作業服販売大手のワークマン(7564)は時価総額がこの中で最も大きいほか、業績も堅調で本命といえそうだ。 1部昇格に必要な要件の一つとして時価総額がある。2部やマザーズから1部への指定替えの場合は40億円以上、直接1部へ上場する場合やジャスダックからの変更の際は250億円とされる。そのほか、株主数(2200人以上)にも基準があるため、株主優待制度の導入や拡充で個人投資家の獲得に動いている銘柄などは1部昇格を狙っているといえる。また、時間外取引の立会外分売で大株主が株式を売り出すケースが増えている。このため、QUICKでは立会外分売の実施銘柄を対象に候補銘柄をリストアップしている。 一方で、1部上場銘柄が増えすぎて市場のガバナンスが効きにくくなっているなどの指摘もある。市場の区分を見直す議論が始まっており、時価総額の基準などが目安になるとの見方が出ている。(根岸てるみ) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

目指せデータの達人①株価の天井・大底つかむ「期待上昇率」

投資家にとって、株式など金融資産の買い時や売り時の判断は難しい。暴落時は買いの好機だったと後々、振り返ることが少なくないが、その場では不安心理が先行して手が出ない。逆もまたしかりだ。そんな迷いが襲う時、頼りになるのが客観的なデータだ。それほど一般には知られていないが、売り買いの最適時期を探る上で参考になるマーケットデータとその使い方をシリーズで紹介する。1回目は、長期的な投資タイミングをつかむのに有効な「期待上昇率」。 株価の底値圏で上がり、株価の高値圏では下がる 「期待上昇率」は、QUICKの月次調査を基に市場参加者の相場見通しの変化を計測したものだ。同調査は証券会社や機関投資家など、約240人の市場関係者を対象とする匿名調査だ。 期待上昇率は東証株価指数(TOPIX)の1カ月後予想値(回答者の平均値)から6カ月後予想値(同)までの変化率を複利で年率換算して計算する。QUICKの情報端末のユーザーなら、月次調査<株式>のデータを使って自分で算出することができる。この数値は株価の底値圏で高くなり、高値圏では下がるという「逆張り」的な特徴がある。株価が大きく下落すると投資家には先高期待が生まれ、株価が上昇して過熱感が強まると期待は低下するためだ。 ■期待上昇率が20%以上になったら買い時、5%未満になったら売り時 売り時(5%未満)は18年10月、15年3月、07年3月など。買い時 (20%以上)は15年10月、13年6月、08年12月など。計算式(5カ月分を複利年率換算)  期待上昇率=(6カ月後の予測値/1カ月後の予測値-1)^12/5 例えば、リーマン・ショック後の08年12月は38.3%と、IT(情報技術)バブル崩壊後の02年2月の40.9%以来の高水準になった。その後、実際にTOPIXは09年3月に大底を入れた。反対に、07年3月には2.8%と低水準となった。このときもTOPIXは07年2月にピークを付けており、相場動向と合致している。最近の例では、日経平均が約27年ぶり高値を付け、強気ムードが支配した18年10月は3.5%にまで低下していた。 期待上昇率を開発した独立系調査会社スフィンクス・インベストメント・リサーチの別府浩一郎代表取締役は「匿名調査だと、市場参加者は相場の先行きを驚くほどクールにとらえる」と分析している。 期待上昇率とTOPIXの推移を重ね合わせると、おおむね20%以上なら相場のボトム圏、5%以下ならピーク圏と判断できる。30%以上は決定的なボトムシグナルとなるが、これはめったなことではお目に掛かれない。 直近の19年2月は7.0%。日経平均株価は年明けから上昇基調が続いているが、市場参加者の警戒感は解けていないようだ。海外要因に左右されることの多い日本株だが、「6年以上にわたるアベノミクスの巨大緩和政策の反動に対する警戒」(別府氏)も底流にあるかもしれない。=随時掲載 【日経QUICKニュース(NQN)】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

「悲惨」と「恐怖」と「弱気」が下支えする上げ相場

日米株式相場の緩やかな戻り基調はここへきて一服だが、上げ相場の終焉ととらえるのはまだ早い。依然として強気な投資家が多いためだ。UBSの富裕層部門であるCIOウェルス・マネジメントは「悲惨指数」をもとに、米株式相場の一段の上昇を見込む。過去の経験則によれば、インフレ率と失業率の合計であるこの指数が6.5%を下回ると、株価収益率(PER)が上昇するという。 悲惨指数が下がると株価は上がる 悲惨指数%はグラフ赤(右軸、逆目盛り)、S&P500種株価指数はグラフ緑(左軸) 投資家が許容できるPERの水準が切り上がれば、当然、株価も上がる。「米中貿易問題が長期的な解決に向かうなど事態が予想外に好転した場合には、米国株は10月の高値を抜く可能性も十分にあり得る」(UBSのマーク・ハーフェレ氏)。米株高は日本株にとっても好材料だ。 データを元に指数先物などを売買するCTAやリスク・パリティ・ファンドなどによる米国株シフトの動きも見込める。JPモルガンの4日付リポートによると、こうしたクオンツ勢の株式への配分比率がじわり高まっている。「株価のトレンドが崩れておらず、ボラティリティが低い状況のVIX指数ままであれば、買い持ち高を積み増し続けるだろう」と読む。 米国株のボラティリティ低下は、日本株への選好も強める。SMBC日興証券が2月末に発行したリポートによれば、「恐怖指数」と呼ばれる米VIX指数と日本株のPERの動きは、おおむね一致する。「18年10月の株価急落前の水準まで下がったVIXの動きは、景気先行きの不透明感を織り込んだことを意味する。PERも切り上がりが期待でき、日経平均は2万2600円程度が妥当」(圷正嗣氏)という。 恐怖指数の下落は景気不透明感を織り込んだ VIX(グラフ赤、右軸)とTOPIXの12カ月先予想PER(グラフ緑、左軸、倍)の推移 アナリストの業績修正の動きを示すQUICKコンセンサスDI(2月末時点)によると、製造業はマイナス51で1月末時点と比べ16ポイント悪化し、11年12月(マイナス59)以来のマイナス幅となった。前月と比べ一段とアナリストの下方修正が相次いだ。前月比で3ポイント改善したとはいえ非製造業もマイナス14と、企業業績の先行きには暗雲が垂れ込める。 業績見通しは弱気の底だが(QUICKコンセンサスDI) 製造業がグラフ緑、非製造業はグラフ赤 ただ、東海東京調査センターの平川昇二氏は、DIが製造業、非製造業とも08年秋のリーマン・ショック後の下限に位置している点に注目。「08~09年のような景気後退局面でないのであれば、いまが収益モメンタムのほぼ底。早晩DIは反転に向かうと予想され、株式相場が上昇する可能性が高い」と指摘する。いいとこ取りにも聞こえるストラテジストたちの論評だが、米中貿易摩擦など、投資家が気を揉んでいたイベントが前向きに進み始めたのは確かだ。(松下隆介) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

イールドハンター、REIT狩りの季節 株式市場からも債券市場からも

国際通貨基金(IMF)は21日、米中貿易摩擦や欧州の低迷を背景に、2019年と20年の世界経済成長率見通しを下方修正した。大手会計事務所が同日発表した、世界の主要企業トップを対象にした経営調査では回答者の3割が「今後1年間で世界景気は減速する」と答えた。景気先行きへの警戒感はなお根強く、買いの手が引っ込みやすいのも間違いない。 外部環境に不透明感がくすぶる中、投資家が着実にリターンを積み上げられる金融商品は何か。足元で注目を集めているのが、不動産投資信託(REIT)だ。株式市場がいまひとつ盛り上がりを欠く一方で、昨年後半から売買が活発化し始めている。特に昨年末から年初にかけて、一段と勢いを増している。 ■REITの売買代金(グラフ青、左軸)は増加基調。グラフ赤(右軸)は東証1部の売買代金 (単位いずれも億円、25日平均) 2018年11月30日から1月21日までの1カ月あまりの騰落率をみると、6~7%下落した日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)に対し、東証REIT指数はほぼ横ばい。年初からの株式相場の反発局面では出遅れているが、それでもプラス2%強とまずまずのリターンだ。 盛り上がりの背景は、毎月分配型ファンドの失速を補って余りある、多様な買い手の存在だ。マクロ系ヘッジファンドや年金マネーといった海外勢に加え「年末にかけて売った地方銀行や信用金庫の買い戻しが入っている」(市場関係者)。さらには、地方のJA(農業協同組合)も買い手として動いているとみられる。 資家を引き付けるのはオフィスREITを中心とした良好なファンダメンタルズ。18年12月の東京のオフィス賃料は過去最長となる60カ月連続の上昇と、オフィスは空前の活況を呈する。空室率も低下の一途だ。波は地方にも押し寄せる。福岡で空きオフィスを見つけられなかった企業が周辺地域に営業拠点を設け、わざわざ福岡に出張する事例もあるという。 REITは保有物件からの賃料収入などによる内部成長と、新規の物件取得による外部成長に分けられる。いまは高騰する新規物件の取得が運用利回りの低下につながり、外部成長は見込みにくい。半面、「オフィス賃料の上昇による内部成長の加速が期待できる」(地銀)。賃料改定はたいてい2年に1回で、米中貿易摩擦もすぐに影響するわけではない。 ほかの金融資産と比べた投資妙味の大きさも、REITの支援材料になる。安定した賃料収入などを原資とした分配金利回りと東証1部の配当利回りの差は1.6%。過去をみると東証REIT指数がピークを付けたのは、利回り差が限りなく1%に近づく場面。いまは過熱感を意識する局面ではない。 日銀の金融緩和策も後押しする。TOPIXとの連動性が高かったのは昔の話で、2016年からは日本の長期金利との連動性が強まっている。日銀は、22日から開く金融政策決定会合で、今後の物価上昇率の予測を引き下げるもよう。日本の長期金利に低下圧力が強まる中にあっては、REIT相場が崩れるとの見通しは当面、立てにくい。 ■東証REIT指数(グラフ赤・左軸)は10年物国債利回り(グラフ青・右軸で軸を反転%)と連動するようになってきた (グレーの破線はTOPIX,右軸) 「投資マネーは当然のように、利回りの低いものから高いものに流れる」(ドイチェ・アセット・マネジメントのアジア太平洋リサーチ&ストラテジーヘッド、小夫孝一郎氏)。安定した高い利回りと良好なファンダメンタルズを追い風に、株式市場からも、債券市場からもイールドハンターを引き寄せるREIT市場。活況な地合いは、しばらく続きそうだ。(松下隆介) ■時価総額上位のREIT 銘柄名(証券コード)       予想分配金利回り 日本ビルF(8951) オフィス       2.86% JRE(8952) オフィス         3.01 NMF(3462) オフィス         4.12 日本リテール(8953) 商業・物流など   4.06 ユナイテッドU(8960) 商業・物流など  4.24 オリックスJRE(8954) オフィス    3.63 プロロジス(3283) 商業・物流など    3.87 ハウスリート(8984) 商業・物流など       4.23 ADR(3269) 住宅           3.33 GLP(3281) 商業・物流など      4.68 (用途は東証REIT用途別指数シリーズの構成銘柄情報を利用) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

株高の陰で進む波乱への備え 低リスク株選好、「ゆがみ」も増幅

「岩盤」にも思えた2万2300円の壁を何とか突き抜けた後、株高の勢いが増したように見える。19日午前の日経平均株価は前日比300円を超える上げ幅となった。前日の米国の主要3指数の上昇、円安ドル高、さらには政策期待を背景に、腰の据わった日本株買いは投資家の安心感を誘いやすく、目先の不安材料は見当たらない。ただ、少しずつ潮目の変化を感じさせる動きがあることにも注意は必要だろう。 大幅高の18日は、一般的に相場の上昇局面で上げやすい銘柄の出遅れが鮮明だった。電子部品、機械などの多くは値下がりし、マネーが向かっているのはリスクが小さい銘柄だ。KDDI(9433)やリンナイ(5947)、花王(4452)、小林製薬(4967)、テルモ(4543)といった、毎年増配を続けている銘柄の上昇が顕著だった。配当を継続的に増やす企業は、安定して業績が成長している、または株主還元に積極的な姿勢をとっている、のどちらかで、株価が大崩れしにくい。 こうした傾向は9月に入り続いている。株式相場とどの程度連動するかを測るベータ値という指標がある。相場全体が1%変動したときベータが1なら1%の値動きとなる。2なら2%、0.5であれば0.5%で、値が小さいほど相場の動きに左右されにくい。相場が大きく上昇する場面では追いついていけないが、下げ相場では損が小さくて済む特徴がある。時価総額1兆円以上の大型株を対象に、ベータと対TOPIXのパフォーマンスを比べたところ、ベータが低いほどTOPIXをアウトパフォームしやすく、ベータが高いほどアンダーパフォームしやすい、との結果になった。 野村証券が算出する、ベータが低い50銘柄で構成する指数「低ベータ50」をみると、前月末から18日までで3.6%上昇。ベータが高い30銘柄で構成する「高ベータ30」の0.6%高を大きく上回る。 ■高ベータ30(グラフ赤)と、低ベータ50(グラフ青)の推移 (8月末を100として指数化) この動きは、何も日本だけの特徴ではない。値動きが大きいハイテク株の影に隠れているものの、米国でも同様の傾向があるという。「世界で起きる低リスク株へのシフトは、金融引き締め局面から利上げ最終局面にみられる『いつものパターン』」(野村証券)。米国の利上げサイクルや過去の類似局面分析などをもとに判断すると、低リスク・クオリティ重視の局面が続く可能性がある、という。 ■S&P500指数の業種別株価騰落率(%、8月末と9月18日の終値を比較) 米国市場では、将来の大きな価格変動に備えるオプション取引が増えると上昇する「スキュー指数」がじわじわ上昇。現物株の値動きとあわせて見ると、少しずつ”万が一”に備える動きも広がっているように映る。 ■CBOEスキュー指数=グラフ青とVIX指数=グラフ赤 株高に沸く市場で、ひっそりと進む波乱への備え。大きな値動きで日々上げ下げを繰り返すハイテク株や指数への寄与度が大きい値がさ株の動きに一喜一憂しているだけでは、どこかのタイミングで足をすくわれるかもしれない。(松下隆介) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

米株の強気継続を示唆する3枚のチャート 日本株の先行きも下支え

  株式市場では日経平均2万2500円近辺の攻防が続いている。米中貿易問題や新興国の通貨安などに加え、相次ぐ自然災害にも見舞われて何となく上値が重いが、大きな値下がりを警戒する声は少ない。日本株の先行きを左右する米国株式市場に、持続的な上昇を示唆するチャートが多いためだ。 1つは、61.3と2004年5月以来の高水準を記録した8月の米ISM製造業景況指数だ。東海東京調査センターによると、過去2回の景気後退局面では、ISM指数が50を割るタイミングでS&P指数が高値を付け、その後に急落した。ISM指数がピークを付け、50を割り込むまでにかかった月日は約1年半。つまり、いまがISM指数のピークだとしても、向こう1年半ほどは米株高が持続するという見立てだ。 米ISM製造業景況感指数(グラフ青)とS&P500種株価指数(グラフ緑) (QUICK FactSet Workstationより。網掛けは景気後退期) この動きは米国だけの話にとどまらない。ISM指数にやや遅れながらも、日本の電機株も似たチャートを描きやすい。電機株の時価総額は、東証1部全体の1割強を占める。電機株の上昇が株式相場に好影響をもたらすことは、想像に難くない。 2つ目は米国株の需給要因だ。米商務省によると、2017年末に成立した税制改革法によって、海外の関連会社で稼いだお金を自国に戻す大規模な資金還流の動きがみられた。 18年1~3月期で3000億ドルと、同様のレパトリ減税が行われたブッシュ政権時の05年を遥かに上回る規模だ。 こうした資金は、企業の自社株買いやM&A(買収・合併)などの原資になるとみられており、株式相場を支える要因になる。 米多国籍企業における海外関連会社からの配当金などの受取額の推移 (四半期ベース、米商務省) そして3つ目が、米景気の先行きを映す鏡といわれる米ダウ輸送株指数の動き。ネット企業が隆盛を極める今の米国株式市場にあって必ずしも相場全体の先行きを示す指数とはいえないが、東証株価指数(TOPIX)と並べてみると、TOPIXがやや遅れつつ、ダウ輸送株指数の動きに追随していることがわかる。米ダウ輸送株指数は足元で水準を切り上げており、遠からずTOPIXもキャッチアップする可能性がある。 米ダウ輸送株指数(グラフ青)とTOPIX(グラフ赤) ハイテク株への集中物色で上昇してきた米株式相場だけに、ハイテク株安となった5日の米国株の動きは気になるところだ。とはいえ、米株高の材料は、ほかにもたくさんある。いまひとつ盛り上がりに欠ける日本株市場だが「しっかり押し目を拾う」スタンスが、”当面は”正解なのかもしれない。(松下隆介) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

貿易戦争に一喜一憂 誘惑の成長株か妙味の割安株か

リスクオンとリスクオフが、いつ交互に反転してもおかしくない地合いだ。 10日の米株式相場は4日続伸して終えた。この間の上げ幅は744㌦に達し投資家心理の改善が続いている様子が鮮明になった。しかし、一部で米国が対中の関税リストを公表すると伝わり、東京時間11日早朝はリスクオフに冷や水が浴びせられた格好。米長期金利がやや低下すると、円相場は1㌦=111円25銭あたりから110円85銭前後まで買われた。市場は貿易戦争を忘れることなどできない。 マーケットを取り巻く環境が不透明感を強める中で、株式市場では1つの傾向がはっきりしている。それは成長株すなわちグロース株の優位性だ。MSCIの世界株でグロース株指数(青)とバリュー株指数(赤)を指数化したチャート(昨年末を=100)を見てほしい。 ※QUICK FactSet Workstationで作成 2月上旬のボラティリティ急騰を受けた反落相場から、バリュー株に比べてグロース株の戻りが圧倒的に強い。すでに年初来高値に迫っている。対照的にバリュー株は低迷が続いている。 これは東京市場でも同じ傾向が出ている。TOPIXのグロース指数とバリュー指数を指数化しても上記のMSCIと似た構図になる。もちろん、米株も同様。世界的にグロース株が選好されている。 クレディスイスは10日付のレポートで、米グロース株買いを推奨する半面、中小型株の評価を引き下げた。カギは相場循環をどうとらえるかにあるようだ。グロース株がバリュー株より優位になるのは、上昇相場の後期に見られるというのが一般的な解釈。景気減速や後退が意識され、長期金利が上がりにくくなればグロース株に有利に働くという。 確かに6月の米雇用統計が想定以上の内容だったにもかかわらず、米長期金利の上昇は限られた。金融政策の正常化を進める米連邦準備理事会(FRB)だが、は利上げの最終局面が見渡せる状況になってきた。米金利が上がらないのも無理はない。 もちろん、攻守が逆転する可能性はある。ゴールドマン・サックス証券では日本株の下期相場を展望するにあたり、成長性が比較的高いバリュー株に投資妙味があるとしている。 「秋には相場が上昇基調に復帰することを前提に、 (1)グロース株のバリュエーションがROEの優位性低下にもかかわらず高止まりしている、(2)コモディティ価格と賃金の上昇によりインフレ圧力が高まっている、(3)金利が正常化に向かっている、(4)バリュー株は世界経済の成長に対する感応度が高い、(5)コーポレートガバナンス改革により「隠れた価値」が解き放たれる可能性がある――との理由から、バリュー株のパフォーマンス好転を予想している。グロース株はバリュー株に対するROEの優位性が低下しているにもかかわらず、プレミアムのバリュエーションが持続しており、今後グロース株のバリュエーションには下押し圧力がかかりやすくなると考えられる」(6月22日付ゴールドマン・サックス証券『秋の収穫を待つ:下期の相場見通し』より) 悩ましいところだが、グロース株の魅力は依然として強そうだ。運用の主軸に置きつつも、バリュー株にも目配りする局面かもしれない。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

日本市場の本石砲も休みなし ETF買い年6兆円超へまっしぐら

日銀が4日に本石砲(日銀のETF買い)を発射し、ETFを705億円買い入れた。この日の前場のTOPIXは0.39%安で終え、市場では買入ペースが早いことから発動基準が厳しくなるのではないかとの警戒感があったが、今年は前引け時点のTOPIXの下落率が0.3%以上の日にETF買いが見送られたことはなかった。発動基準の厳格化はひとまず杞憂に終わった。買入額も前月(703億円)から2億円増えた。 今年の日銀のETF買入額は現時点で3兆3976億円となっている。毎営業日に12億円を買い入れている「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF」を除いたものだが、7月4日までで前年同日時点(2兆7969億円)を6007億円(本石砲8回分)上回る状況となる。年間で6兆円の増加ペースを5272億円(同7回分)上回る状況でもあり、日銀が相場の下支え役として積極的に動いている。(片平正ニ) ★日銀のETF買いの累計額推移(7月4日まで) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

NT倍率が歴史的な高水準 通商摩擦懸念で透ける防御の心理

日経平均を東証株価指数(TOPIX)で割って算出する「NT倍率」が20日、QUICK端末でさかのぼれる2000年8月以降で最大となる12.87倍まで上昇した。日経平均株価に比べて東証株価指数(TOPIX)の上昇が鈍いのは、終わりの見えぬ各国の通商摩擦への懸念から投資家がある種の防御の姿勢を示していることを意味している可能性がある。貿易という観点からは影響を受けにくい銘柄へ資金を移動させたい心理が透ける。 通商摩擦が実体経済にどれほど影響を及ぼすのか現時点では算定が難しい。米中の貿易摩擦に関して日本への影響は経常利益を0.2%~0.3%前後、金額に換算すると1000億円強押し下げるとの見方がある。だが、「いずれにせよ7月以降の各国の経済指標をよく吟味する必要がある」(国内証券のストラテジスト)という慎重な意見が多い。 そんななか、20日には「今日はなぜだか海外勢が日経(平均先物)買っていました。何か米中貿易問題に進展があるんですかね?」(投資会社)とのいぶかしがる声が届いた。「NTの上昇はどこまでいくのでしょうか」(投資顧問)との声もあるが、昨日の手口からはNTロングのような傾きはみられていない。 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「貿易摩擦への不安心理の裏返しが指数の強弱に繋がり、日銀によるETF買いの影響も若干あるのではないか」と推察する。 日経平均の構成銘柄として値がさ株のファーストリテイリング(9983)の構成比は8.52%であり、20日には日経平均を64円押し上げた。20日の寄与度上位はソフトバンク(9984)、東エレク(8035)、ファナック(6954)と続くが、5位にはユニー・ファミマ(8028)が顔をのぞかせる。ユニー・ファミマは日経平均の構成比では9位となる2.09%だが、前日の日経平均への上昇寄与は12円ほどあった。 加重平均で算出されるTOPIXにおいては時価総額の大きい銘柄の変動の影響がでる。いわずもがな日本の時価総額1位はトヨタ(7203)であり、時価総額上位には三菱UFJ(8306)や三井住友(8316)などの銀行株もある。時価総額上位の顔ぶれの20日の強弱をみると外需および金融売り、内需買いの方向性が垣間見える。 そこに日銀のETF買いによる浮動株の影響も及ぶというのがニッセイ基礎研究所の井出氏の考えだ。2018年3月末時点での日銀のETF買いを考慮すると、ファストリの実質的な浮動株比率は7.6%と少ない。日経平均採用銘柄では日本郵政(6178)なども実質浮動株が少ない。日銀によるETF買いの影響が、通商懸念に対する投資家の動きが顕著な指数のさらなる強弱を生み出す構図にもなり得る。 <日経平均採用銘柄の実質浮動株比率> (※ニッセイ基礎研究所のデータより抜粋) 市場では「金融株や自動車株の持ち高を落としたいならTOPIX先物売りに対して日経225先物買いによるポジション形成もあるのではないか」(邦銀)との声もある。足元の状況として「投資家はリスクオンではなく、ニュートラルに戻した段階。リスクオフとなればNT倍率も下がりながら大きく水準を切り下げる可能性もある」(国内証券)との見方がある。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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