「ザ・セイホ」 円売りで存在感 フランス債の貯金で余力十分

外国為替市場で国内生命保険会社などの機関投資家が円の売り手として存在感を増している。国内の超低金利にあえぐ生保などは高い利回りを求めて欧米債の物色を続けているが、ドル建ての運用は為替差損回避(ヘッジ)コストが極めて高い。そのため新規投資では為替リスクをとらざるを得ない。米国の利下げ観測により米債利回りが低下しても日米金利差は依然として大きく、ドル安が進めば待ってましたとばかりに円売り・ドル買いが出て円の上値を抑える状況だ。 為替ヘッジなしで米債購入の動きも 日本マネーの対外中長期債投資は3月あたりから目に見えて活性化している。財務省の月次データによると、国内勢による月間累計の取得と売却額は2月までは20兆~30兆円台だったのに、3月は一気に拡大してどちらも50兆円を超えた。4~6月もそれぞれ50兆円に近い高い水準を維持している。 項目別に見ると外債取引ですぐ名前が挙がる大手銀行や信託銀行の銀行勘定だけでなく、生保や年金、個人などのお金も相当頻繁に行き来していたことがわかる。生保の主戦場はヘッジコストがかからないユーロ建ての債券だったと考えられるものの、市場では「米中摩擦への懸念や米利下げ見通しから円高・ドル安になった5月以降は為替ヘッジをつけない米債購入の動きもかなりあったはずだ」(国内銀行の為替ディーラー)との声が多い。 次の節目105円までは流れ変わらず そんな中で6月までの運用戦略が一定の成果をあげ、日本勢の資金余力を高めた。にわかに広がった米国の利下げ観測は欧州中央銀行(ECB)に緩和強化策の検討を促し、ユーロ圏の国債利回りは軒並み大きく低下(価格は大幅上昇)。ドイツの長期金利は深いマイナスで過去最低を更新し、3月まで人気だったフランスでもマイナス圏に沈んだ。銀行は米独債、生保や投資信託はフランス債などの値上がりした債券を4月、5月に売却し収益を確定させた。※参考記事:「期初の益出し」主役はフランス債に 4月の売越額が過去最高(6/10) 三菱UFJ銀行の関戸孝洋ジャパン・ストラテジストは10日付リポートで「5月までに得た利益は今後の円売り・ドル買いの源泉になる」と指摘。積極的に為替リスクをとっているわけではないとしながらも、「生保などのドル買いはドルの対円相場をこの先も下支えする」とまとめた。市場参加者の間では「少なくとも次の節目の1ドル=105円までは戻り待ちの円売りスタンスは崩れないだろう」との予想が支配的になっている。 【日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

日銀の「柔軟化」観測でむしろ日米金利差は拡大 

日銀の「長期金利目標の柔軟化」報道を受けて荒れ模様となった23日の金融市場。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは前週末比0.050%高い0.080%で取引を終え、日銀の緩和縮小が為替の円高をもたらすことを警戒する向きもいる。ただ、日本の金利上昇の影響もあって23日の米10年金利は前週末比0.063%高い(価格は安い)2.958%で終えた。結果的に日米の長期金利の差は拡大した。 日米金利差の縮小を見越して一時売られたドルも反発し、再び1ドル=111円台で推移。米国のファンダメンタルズの強さや日米金融政策の方向性を踏まえると、「多少円高に振れても、大幅な円高・ドル安は想定しにくい」(アナリスト)とみる向きが多い。(池谷信久)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

拝啓、麻生財務相殿 金利差3%でも円高・ドル安に備えを

拝啓、麻生太郎閣下 10年物国債の利回りを米国と日本で比較した長期金利差が約11年ぶりに3%を超え、外国為替市場で円安・ドル高が進んでいます。現時点では閣下が3月に国会で、「これまでの歴史をみると米国との金利差が3%に達すると必ずドル高・円安に振れる」とおっしゃった通りの展開です。ただ、市場のことですから例外は付き物と考え、筆を取らせていただきました。 日米の財務省と日銀のデータを1974年9月まで遡って調べたところ、80年や87年で例外がみつかりました。ちなみに日本には86年6月以前の10年債のデータがなかったので9年債で代用しました。 80年のケースでは3%を超えたのが2月。このときの円相場は1ドル=249円でした。その後、81年2月に金利差は5%に広がりましたが、円は208円に上昇しました。 当時はイランで革命が起きるなど中東が不穏な時代でしたね。原油高によるインフレ懸念が米金利を押し上げ、日米金利差が拡大したのは御承知の通りです。 特筆すべきは、この間、通貨の総合的な強さを示すドル指数(実効為替レート)も上昇していた点です。創意工夫で石油危機を乗り越えた日本経済の底力を評価した外国人の投資が急増し、ドル以上に円が買われた時代でした。まさに、日本にとって良い円高・ドル安だったのは驚きです。 逆に87年のケースは悪い円高・ドル安でした。米国の財政と経常収支の「双子の赤字」が一向に減らない中で、年初から米長期金利が急騰し、85年のプラザ合意から始まった円高・ドル安は一段と加速しました。3月に3%を超えた金利差は、12月に4%に拡大。この間、円相場は145円から122円に上昇しています。 レーガン政権による大幅減税や米国とイランの軍事対立など、当時といまは、どこか似たような空気を感じます。この年の10月には米株の大暴落「ブラックマンデー」が起きたのも気になります。 為替相場が水物なのはいうまでもありません。日米の金利差が大きく拡大しても、きっかけ次第で円高・ドル安に振れることはあります。釈迦に説法ですが、為替相場の変動に一喜一憂しないで済む経済力が身につくような財政運営が待たれます。                敬具                                                                     【日経QUICKニュース(NQN ) 永井洋一】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP