HFTの取引膨脹がボラ低下要因に ユーロ、強弱の材料綱引き

外国為替市場でユーロの対ドル相場の変動率(ボラティリティー)が低下している。ユーロは対ドルでは円よりも市場規模が大きく、マイクロ秒単位での売り買いを繰り返す高頻度取引(HFT)の主戦場の1つだ。材料の決定力不足からHFTの存在感が増し、その結果ボラティリティーは上がりにくくなっているようだ。 将来の為替レートを予測する通貨オプション市場で、ユーロの予想変動率(IV)1カ月物は足元で6%前後と昨年8月の「トルコショック」直前の水準まで下がってきた。相場膠着ですぐに連想するのは円相場だが、その円のIV(1カ月物)は5%台半ば程度なので実はさほど変わらない。 ■ユーロの予想変動率(対ドル、1カ月物) 直物のユーロの対ドル相場はここ1カ月ほど1ユーロ=1.12~14ドル台のレンジで推移している。米国の利上げ停止観測やドイツ経済の先行き不透明感から一時は派手に動いたが、「ユーロ高とユーロ安の要因が混在しているため、長めのスタンスで取引する投資家はあまり持ち高を傾けられない」(外国証券の為替ディーラー)情勢だ。それでも事業法人の決済絡みなどで常に多額のお金が行き来する市場だけに、注文はコンスタントに入ってくる。 そこでHFTの出番だ。既に存在する買いや売りに対して素早く反対の注文をぶつけ、目にも止まらぬ速さで持ち高を回転させていく。極めて高い頻度でまとまった規模の取引を行うため、相場の上下両方向に高い壁を作り変動のハードルを上げる。 オプションの需給面ではユーロ・プット(売る権利)需要のほうが強いものの、偏りは6カ月物~1年物でも0%台と大きくはない。主要国ドイツでの経済指標の悪化は気掛かりだが、ドイツは世界有数の経常黒字国でもある。ベテランの為替ディーラーからは「不況でもマネー回帰に伴う通貨高を招いた日本の記憶がよみがえる」との声が出ている。ベテランがサポートするコンピューター取引「アルゴリズム」などの戦略は一筋縄では行かないだろう。 【日経QUICKニュース(NQN ) 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

【アルゴウオッチ】イベント連動型のドル売り退潮、トランプ氏につき合えず

米大統領の行動に対するアルゴ勢の感度が鈍ったのは1カ月ほど前からだった。米高官辞任など政権内の混乱を映すニュースにほとんど反応しなくなったほか、通商政策にかかわる報道を無視するケースが増えた。 トランプ氏が17日、ツイッターで示した「日本は環太平洋経済連携協定(TPP)に復帰するよう求めているが、2国間協議のほうが効果的だ」との認識にも反応薄だった。日米首脳会談が終わった後の日本時間19日早朝に実施された共同記者会見は、通商や為替に目新しい発言がなかったこともあって無風で終えた。 野村証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは「米政治とシリアや朝鮮半島の情勢、貿易摩擦の『3大リスク』をよりどころとしたドル売りのローテーションは続いている」と指摘する。そのうえで「いずれの戦略も腰は据わっていない」とみている。 商品投資顧問(CTA)を旗振り役とするイベント連動型のアルゴリズム投機筋は3月までにドルの売り持ち高を膨らませてきた。ドル売りの余力は細っているはずだ。CTA主導でドル安が加速する公算は小さくなっている。 イベント連動型アルゴに代わって存在感を増しているのは高頻度取引(HFT)を得意とするヘッジファンドだ。HFTは小刻みに売り買いを繰り返す。相場はなぎのほうがよい。HFTが厚くなればさらに変動率は下がる。 将来の為替レートを予測する通貨オプション市場で、円相場の1カ月物の予想変動率は19日の11時時点で6.3~6.8%程度と、昨年の12月終盤~1月初め以来の低さだ。1月初めにかけてもHFTが台頭し、円は3円程度の狭い範囲で推移していた。円が4カ月前のような「レンジ相場」に戻る可能性は高まっている。 ■円相場と対ドル円相場の予想変動率   【日経QUICKニュース(NQN ) 今 晶】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

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