日本国債は相対的に高利回り、海外勢の買いは続く アクサIMの木村氏

QUICKコメントチーム=大野弘貴 米中貿易摩擦の激化を受けて景気減速が鮮明となる中、世界中で金利の低下が進んだ。アクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM)の木村龍太郎・債券ストラテジストはQUICKのインタビューで「為替ヘッジプレミアムを加味した日本国債の利回りは、海外勢からみて魅力的」であるとして、更なる金利低下も十分に考えられると語った。主な一問一答は以下のとおり。 ――アクサIMはどのような特色がありますか。 「世界最大級の保険・資産運用グループであるアクサ・グループの一員として、マルチ・エキスパートの資産運用ビジネスをグローバルに展開している。私が所属している債券運用部は日本国内の債券運用にフォーカスし、投資に役立つような経済・金融市場の分析をしている。その際、パリにいる日本経済担当のエコノミストと協働したり、グローバルな金利動向も加味したうえで、ハウスビューを策定している」 米景気後退は回避の見通し ――今後の経済見通しは。 「米国経済は、世界各国の中では相対的に堅調さを維持している。これは、米国内総生産(GDP)の約7割を占める個人消費が堅調なためだ。ただ、米中貿易戦争が米国の輸出と生産活動の下押し圧力となっている。4日に発表された8月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は49.1と16年8月以来3年ぶりに好不況の境目である50を下回った。製造業では景気悪化が強く意識されている。製造業で雇用と賃金の伸びが抑制されることで、好調な米個人消費にも陰りが見え始めるか、注意が必要な局面である。特に、18年は年後半にかけて消費が不振であった時期があるため、これから発表される個人消費関連の経済データは前年比でみて実態以上に良好な結果となる可能性がある。また、今後控えている関税引き上げにより、駆け込み需要的な形で消費が前倒しされている可能性もある」 ――足元の経済状況で、当初の見通しと比べて想定外だった点は何ですか。 「2019年初に策定した当初の見通しに比べ、世界経済の下振れリスクが高まっている。米中貿易戦争の激化による世界的な貿易の停滞は、当初はリスクシナリオとして捉えていた。ただ、足元の経済の実態は、このリスクシナリオがメインシナリオに傾きつつある」 ――景気後退を意識すべきなのでしょうか。 「景気後退は回避されるとみている。8月は米国の10年債利回りが2年債利回りを下回る『逆イールド』が発生し景気後退を警戒する声が高まった。これは、今後の景気減速とFRBの利下げを織り込んだ動きだ。また米中の貿易対立については、来年の米大統領選を控えていることもあり、妥結に向けた何らかの進展が見られ始めると想定している」 ――米中の貿易対立について、先行きは楽観的にみて良いのでしょうか。 「米中対立は大きく分けて2つの問題があると考えている。対中貿易赤字をいかに削減するかという問題と中国が技術革新を進めている中、ハイテク分野を筆頭とした米中の覇権争いだ。前者については、中国が米国から穀物などを輸入することや中国企業が米国内に工場を設立するなどして現地生産化を進めることで、ある程度の解消が可能とみている」 「一方、後者については、長期化する可能性が高く短期間での妥結は難しいだろう。これは、これまでの米国の高成長の源泉であったことと安全保障の面で大きな問題となるからだ。トランプ米大統領は大統領選を控えていることもあり短期間での解決を望んでいるが、米議会は中国に対し、トランプ米大統領よりもより強硬な立場にあると捉えている」 日銀、追加緩和は副作用大きい ――景気への先行き不透明感と中央銀行による利下げ期待により、8月に入り金利は一段と低下しました。先行きの金利見通しについて教えてください。 「今後の景気の回復期待を支えている要因の1つが金融緩和期待である。また、20年にかけて米国の成長率は緩やかに減少していくと予想している。低金利は解消しにくく、一段の金利低下も考えられる」 ――金利低下を受けて、投資家はどのような資産を選好していますか。 「少しでもインカムによるリターンを得ることのできる資産が選好されている。例えば、海外投資家から見ると、為替ヘッジプレミアムを加味した日本国債の利回りは、他の先進国のの国債利回りと比較して非常に魅力的な利回りとなっている。実際に、財務省が公表する対外対内証券投資を見ても海外投資家は日本国債を大幅に買い越している。日本国内の投資家の動きでは、為替ヘッジをつけない外債投資や不動産やインフラ投資など、流動性をある程度犠牲にして高利回りを追求する動きも加速している。また、金利低下時に値上がりが期待できる資産への投資も増えている」 ――今後の日銀の金融政策について、どのような動きが考えられますか。 「マイナス金利幅の拡大を予想する声も聞かれているが、弊社ではやや慎重な見方をしている。これ以上の追加緩和は、期待される効果より副作用の方が大きくなると想定している。日本経済が景気後退に陥る、若しくは外国為替市場で1ドル=100円を超える円高にならない限り、現在の金融政策を維持するのではないかと考えている」 ――日銀が現状の金融政策を維持するにも関わらず、日本国債の利回りがさらにと低下する可能性はあるのでしょうか。 「十分考えられる。現在の金利低下を主導しているのが海外からの買いフローによるものである。また、金融規制上、一定の国債を保有するインセンティブも働いている。投資機会が残っている限り、日本国債への買いは続くだろう」 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

低調売買、裁定売り残急増、そして金融政策 浮かび上がる因果関係

QUICKコメントチーム=大野弘貴 閑散相場が続いている。指数の水準に大きな変化がない割に、市場にはどこかあきらめムードが漂う。 それを如実に表しているのが取引量だ。8月の1日当たりの平均売買代金は1兆9823億円と3カ月連続で2兆円を下回った。3カ月連続で1日当たりの平均売買代金2兆円を下回るのは5年ぶりで、低調な記録が目立つ。9月に入っても傾向は変わらず、2日の東証1部の売買代金は約5年4カ月ぶりの水準に落ち込み、米国の祝日「レーバー・デー」明けとなった3日の売買代金も1兆3874億円、4日も1兆5931億円と復調の兆しは見られない。もはや夏休みなどの言い訳が通じる状況ではない。 一方、大阪取引所(OSE)が2日に発表した8月のデリバティブ合計取引高は8月としては過去2番目を記録した。中でもナイト・セッション(NS)の取引高シェアは47%と過去最高を更新した。足元の投資環境が、海外動向にかなりの影響を受けている様子が伺える。 ここまで売買が細った背景に米中通商問題と先行きの景気後退リスクがあるのは明白だが、理由はそれだけではないかもしれない。考えられる1つの要因として存在感を増した日銀のETF買いがある。 アベノミクス初期は、海外投資家の買いが相場上昇をけん引したが、その海外勢の14年度末以降の日本株の保有比率は低下傾向にある。昨年来から続く日本株の売却では拍車がかかり、この売りを吸収した主体の一つが日銀だった。日銀のETFの買い入れを反映する信託銀行の保有比率は12年以降、上昇傾向にある。 その日銀のETF買いについて、市場関係者が関心を寄せているのが、8月に急増した裁定売り残との関係だ。 日銀のETF買いと裁定売り残増の因果関係は以下のようなオペレーションが「橋渡し役」として考えられるという。  日銀がETFを買い入れる際、信託銀行の特金を通じ証券会社に発注する  →証券会社は保有している現物株を運用会社に提供し、運用会社は受益権口を発行  →証券会社は保有している現物株の売却に伴うエクスポージャーをヘッジするため、先物を購入する→裁定売りとなる  →信託銀行の特金に、買い入れたETFの受益権口が計上される 他には金利の低下を指摘する声も聞かれる。「短期金利がプラスである場合、先物は現物に対しコストがかかりがちだ。しかし、足元の短期金利がマイナスの状況ではコストがかからないことから、現物を買わなくてもいいというインセンティブが働きやすい」(外資系証券)。 そもそも「裁定取引に係る現物株式の売買及び現物ポジションの報告は明確なルールが定められていない。例えば自己ポジションのみ報告して委託ポジションを報告しなかったり、ヘッジ目的のみ報告して純粋なトレードを報告しなかったり。証券会社ごとに対象が異なるため、連続性はない」(国内証券トレーダー)との声がある。実態を把握するのは難しく、安易に相場展開と結びつけるのは注意も必要といえそうだ。 ただ、「裁定売り残自体は、日銀によるETFの買い入れが始まった時から拡大する傾向になってきました。他にも当然、先行き不安で先物売りを入れていたり、一段の金利低下で先物価格が現物より割安になった理由もあると思われる。過去最大に膨らんだ裁定売り残は、こうした要素が合致したためと考えられそうです」(ストラテジスト)との声も聞かれている。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「バイ」アベノミクス、▲1兆5000億円 海外勢が累積で売り越しに

QUICKコメントチーム=大野弘貴 「Buy My アベノミクス」の熱気はすっかり薄れ、海外投資家たちが「Bye アベノミクス」と手を振っている様子が目に浮かぶ。 東京証券取引所と大阪取引所が16日に発表した8月第1週(5~9日)の投資部門別の売買状況によると、海外投資家は現物と先物合算で1兆1757億円を売り越した。売り越し額は2018年10月第4週(1兆3007億円の売り越し)以来、約10カ月ぶりの大きさだった。 海外勢の日本株売買動向は、アベノミクスへの期待もあり、12年12月から15年にかけて累積での買い越し額が20兆円に達する場面も見られた。しかし、次第に「三本の矢」の威力が薄れたのに加えて世界的な景気先行き懸念もあり、海外勢は今年6月に12年12月以降の累積でわずかに売り越しに転じていた。8月第1週の売り越しにより、累積での売り越し額は1兆5171億円となった。ほぼ7年間の「貯金」は完全に吹き飛んでしまった形だ。 5~9日の週は米トランプ政権による対中制裁関税の第4弾表明や、中国の為替操作国指定などのショックが尾を引いて市場全体が動揺。日経平均株価は週間で400円超下落した。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

肌感覚ではアベノミクス前 閑散日本株、海外勢離れが止まらない

QUICKコメントチーム=松下隆介 日本株市場の閑散ぶりが極まっている。16日の東証1部市場の売買代金は1兆7000億円強と、10営業日連続の2兆円割れ。25日平均でみると1兆8400億円ほどと2014年9月以来、約5年ぶりの少なさだった。5年前の日経平均株価はいまより3割も低く、市場の体温はまるで違う。肌感覚では株価、売買代金ともに低迷したアベノミクス前の相場に逆戻り、といっても過言ではない。 薄商いが続く中、海外勢の日本株離れも進んでいる。外国人持株比率が高い銘柄のリターンから低い銘柄のリターンを差し引いたファクターリターンは7月2日以降、おおむねマイナス寄与が続いている。7月第1週(1~5日)に小幅に現物株を買い越した海外勢だが、第2週(8~12日)は再び売り越しに転じている可能性が高い。 バンクオブアメリカ・メリルリンチが16日発表したファンドマネジャー調査によると、日本株への投資配分はなおアンダーウエート。国・地域別でみて向こう12カ月で「オーバーウエートしたい」との回答から「アンダーウエート」を差し引いた値は、日本株のマイナス幅が最も大きかった。世界の投資家からみて、日本株は「最もアンダーウエートしたい」投資対象だ。 ■不人気の理由は業績先行き不安 ここまで不人気となる理由は何か。シティグループ証券の北岡智哉氏はその1つとして業績の先行き不安を挙げる。トップダウンでもボトムアップでも3Q(19年10~12月期)まで概ねかい離がない経常増益率の見通しは、4Q(20年1~3月期)にトップダウンで3%増、ボトムアップは31%増と急に差が開く。「ファンドマネジャーは楽観すぎる業績予想の下方修正を待っているように映る」と話す。 見通しを引き下げるべき理由もある。北岡氏によると、慎重だったはずの期初の会社計画は、分布図でみると実はやや強気とも解釈できる。円相場は対ドル、対ユーロで期初予想より円高方向で推移。在庫もさまざまな業種で積み上がり、企業が業績下押し要因となる値下げや生産調整に踏み切るリスクもある。もちろん、消費増税も内需企業を中心に業績の重荷だ。 アナリストが業績見通しを下方修正しても、手ぐすね引いて待っていたファンドマネジャーの想定通りであれば、むしろ悪材料出尽くしによる買いの理由になりやすい。だが、智剣・Oskarグループの大川智宏氏は、一段の下振れに強い危機感を抱く。アナリストの業績修正のトレンドを示す足元のリビジョン・インデックス(RI)の動きが「構造的な崩壊の予兆」を示しているためだ。 大川氏によるとシクリカル銘柄、ディフェンシブ銘柄ともRIはすでにピークアウト。いまは下降トレンドにある。短期の景気循環が影響するシクリカル、中長期的な経済のトレンドに追随するディフェンシブそれぞれのRIが足元と同じ軌跡をたどるのは、リーマン・ショック前の07年以来だ。12年ぶりに「内需も外需もダメで市場の支えがない状態」の再来が近づいている。 ※智剣・Oskarグループ調べ 日本株の割安感を指摘する声は多い。ただ、積極的には買えない理由がきちんとあることも確か。海外勢の日本株離れも止まる気配が見えない。米国株にキャッチアップできるような起爆剤(カタリスト)が見つからない限り「強いショック相場に対して耐性のある銘柄を組み込んで身構えておくこと」(大川氏)が、得策なのかもしれない。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「マイナス金利の海」に潜って稼ぐ海外勢 日本国債の保有比率が最高に

6月27日に日銀が公表した1~3月の資金循環統計(速報)によると、海外投資家の日本国債(T-Billを除く)の保有比率が過去最高を更新し、拡大し続けていることが明らかになった。海外勢の同保有比率は7%に過ぎないものの、13年4月に日銀が「量的・質的金融緩和」(巨額の国債買入れと大規模なマネタリーベースの供給)を導入する直前の13年3月末と直近19年3月末の比較では、金額ベースで37.4兆円増加している。 国庫短期証券(T-Bill)の保有比率では、海外勢は71%を占める。しかし、同期間における金額ベースでの増加は23.1兆円となっており、T-Billを除く国債の増加額が上回っている。最大の買い手はもちろん中央銀行(日銀)だが、マイナスへと沈んでゆく国債の買い手として海外勢が一翼を担っていることは明白だ。 そもそも海外投資家は、日本国債を買う際にベーシス・スワップと呼ぶデリバティブ(金融派生商品)取引を使う。邦銀にドルを貸し出して円を調達すると、日米金利差とプレミアム(上乗せ金利)が大きいため、国債の利回りがマイナスでも十分に採算がとれる構図だ。 1日に公表されたQUICK月次調査<債券>6月調査では、回答者の「長期金利の見通し」(グラフ緑)が、5月調査(グラフ赤)から大きく下方にシフトした。4月調査(グラフ水色)では調査時点から恒常的に金利上昇バイアスが生じているのに対して、5月、6月のいずれも調査時点での相場地合いを引き継ぎ1カ月後にはマイナス幅を拡大すると予想する。 また、今回の6月調査では6カ月後の金利水準が足元よりも低位にあることが特徴的だ。6月20日の金融政策決定会合後の記者会見で、黒田日銀総裁が「物価安定が損なわれるならば、ちゅうちょなく追加緩和を検討する」、プラスマイナス0.2%程度を念頭に置いている長期金利の変動幅については「具体的な範囲を過度に厳格にとらえる必要はない。ある程度弾力的に対応していくことが適当だ」と述べたことが背景に挙げられよう。6月19日に▲0.155%へ低下していた10年債利回りは同会見翌日の同21日には▲0.195%へと低下、日銀が許容する金利下限を探る動きとなった。 6月調査での、今後6カ月において「最も注目している債券価格変動要因」という設問では、「海外金利」が39%と高水準を維持した(グラフ赤)。4月調査以降低下基調にあった「短期金利/金融政策」が41%へと急反発する一方(グラフ水色)。「景気動向」が前回5月調査から9%へと急低下した(グラフ◆青)。海外経済の下振れリスクを手掛かりとした日銀追加緩和観測が反映されたものと言えよう。 また「最も注目している投資主体」では、「政府・日銀のオペレーション」が58%へと上昇し、18年12月以来の高水準となった。4月調査で39%まで上昇していた「外国人」が27%へと続落した。意外な結果だが、ベーシス・スワップで高利回りを享受できる海外勢が恒常的な買い手となってしまったことで、押し目待ちの国内市場参加者にとっては興味の対象ではなくなったのかもしれない。あるいは、本邦投資家の欧州債買いによってユーロ圏の金利が低下し、利回りを求めてJGB買いへとあぶりだされる欧州投資家の動向は想像に難くないということなのだろう。 月次調査のデータから円債相場の過熱感を測るツールとして作成した「Composite Index」は先行きの警戒感を示し始めている。左目盛り「50」が中立、上へ行くほど強気の過熱感、下へ行くほど弱気が過熱していることを示す。20年債利回りが16年以来の水準へと低下しているにもかかわらず、国内債券の組み入れ比率を「やや引き上げる」が大きく上昇、債券デュレーションを「やや長くする」が高水準を維持するなど、回答者が強気に傾き始めていることは明らかだ。強気の相場観によってポジションが構築されるのを引きつけながら、次の調査が発表される頃までには、そろりと売り場(逃げのタイミング)を考える時間帯なのかもしれない。(丹下智博)  ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

じわじわ狭まるFRB利下げ包囲網 つぶやき大統領&おねだり市場 

トランプ米大統領がツイッターで「適切な時が来れば、中国と取引ができるだろう」と投稿した。同時に「中国はマネーを供給し利下げをする」と述べた上で、「米連邦準備理事会(FRB)も同じことをすれば我々の勝ちだ」とFRBの利下げに言及した。 パウエル議長をはじめとしたFRB高官からは、利下げに否定的な発言が相次いでいる。しかし、市場の利下げ期待は高く、CMEの「Fedウオッチ」によると2019年中の利下げ確率は70%を超えている。 ■市場が織り込む2019年の利下げ確率は70% 世界の投資家も、FRBに利下げを催促しているかのようだ。 バンクオブアメリカ・メリルリンチが14日に公表した5月のグローバルの機関投資家調査によると、S&P500種株価指数がどの水準まで下落すればFRBが利下げに踏み切るか質問したところ、「2500」との回答比率が前月の10%をやや上回る水準から一気に20%前後にまで上昇した。 ■S&P500で2500が分水嶺か(バンカメメリルのグローバル機関投資家調査より) もっとも比率が高いのは「2350」で25%を上回った。ただ、「2200」も25%をやや下回る水準にあり、2200~2500のレンジに収れんしている。14日の終値は2834だった。まだ距離はあるものの、2500が視野に入ると、市場では次第にFRBの利下げが意識される展開になりそうだ。(池谷信久、岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「海外投資家は株価連動型報酬に関心」 ESG投資でジェフリーズのカーン氏

2018年11月に日産自動車(7201)のカルロス・ゴーン元会長が逮捕されたことをきっかけに、海外投資家の間で役員報酬や取締役会の構成などを含む日本企業のコーポレートガバナンス(企業統治)に関心が高まっている。日本の企業統治や外国人投資家の動向に詳しいジェフリーズ証券東京支店のズヘール・カーン調査部長に話を聞いた。 株価との相関関係より強く ――ゴーン氏が関連した一連の事件の影響で、海外投資家から日本企業に対する問い合わせはどのような変化がありましたか。 「ゴーン氏が逮捕される前から日産自の企業統治改革が進んでいないことは投資家の間ですでに話題だったため、それほど驚くことではなかった。ただ問題が発覚してから日本企業全体について、特に役員報酬に関連した問い合わせが増えた。経営陣の選任や再選のプロセスを問う声も多くなっている」 ――役員報酬について海外投資家は具体的にどのような点に注目していますか。 「報酬の多い少ないに関わらず、株価や業績に連動した報酬制度を導入しているかどうかが注目だ。TOPIX500の採用銘柄について、株価連動型報酬の導入や独立社外取締役の採用、取締役会の顔ぶれが新鮮かどうかなどを調べ点数をつけてみたところ、点数が高い企業ほど株価のパフォーマンスが良かった。特に株式連動型報酬の導入については、役員が自社の株式を持つと業績を改善させようとする動機付けにつながるため、株価との相関関係がより強まる」 「業績連動型の報酬制度を採用する企業は、営業利益やEPS(1株利益)などといった重要業績評価指標(KPI)に基づいているのかどうか、投資家から開示を求める圧力が高まるだろう」 社外取締役、問題は「選び方」 ――経営陣の選任に関して、日本では社外取締役に社長の知人や元官僚、学者らの起用が目立ちます。株式市場の間で、日本には社外取締役としての適任者が育っていないと指摘する声があります。 「その見方には反対だ。海外に進出している日本企業は非常に多く、日本人は海外事業の経営経験が豊富だからだ。問題は社外取締役の選び方だ。最高経営責任者(CEO)ら選ぶ側が、社外取締役の『経営者』としての役割を勘違いしている。つまり、社外取締役の候補者をあくまでも業務や業界に精通している『コンサルタント』と位置付ける傾向があり、長期的に先を見据え判断ができるのかどうか見極めようとしていない。社外取締役には、その業界に関連した知識や経験があるかどうかは関係ない」 「日本企業には『部族優先主義』のような傾向がある。外部出身者は会社への忠誠心が足りないのではないかと、あまりにも厳しく判断しすぎることも問題だ」 〔日経QUICKニュース(NQN) 聞き手は大石祥代〕 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

アジアで日本株は「不人気」 カタリスト不在、上値追いに慎重な声

昨年暮れの悲観ムードからの揺り戻しで日経平均株価は8.55%上昇した。ただし、ダウ平均(11.90%高)やナスダック総合株価指数(15.06%高)に加え、上海総合指数の(22.47%高)と出遅れ感は否めない。その背景には海外投資家からの日本株の不人気があろう。 シティグループ証券の北岡智哉氏は3日付で「アジアマーケティング、日本株不人気の傾向と対策」と題したリポートを公表した。2月27日から3月1日にかけてシンガポールや香港の機関投資家との意見交換をまとめたもので、「日本株は依然として不人気である点を確認」したという。 2月27日から28日にかけて開催されたシティグループ証券のシンガポールコンファレンスでは「日本セッションで空席が目立つ一方、中国セッションは満席で立ち見が出る」など投資家の間で日本株に対する関心の低さが浮き彫りとなった。北岡氏は全体を通しては「自社株買い増か、持ち合い解消期待や物言う株主の台頭などでバリュー投資への関心が高い印象」とまとめた。 東証が発表する地域別売買動向では確かにアジア投資家の間で日本株への関心が薄れている様子が伺える。19年1月のアジア投資家の売買動向は日本株を差し引き79億円買い越していたが、2カ月連続で小幅な買い越しにとどまっている。18年10月には1360億円の売り越しとなったほか、18年9月まで7カ月連続で大幅な売り越し基調となっている。 目先は需給面で日経平均が2万2000円に達する可能性は残す。とはいえ、「日本株のカタリストが少ない」(国内投信)と、一段の上値追いに慎重な見方が多い。日本株への関心を引き寄せる決定打が依然として待たれる状況だ。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

新興市場でも海外勢にお株を奪われる個人 売買シェアじわじわ低下

新興株が年明けから堅調な展開だ。9日の東証マザーズ指数は4日続伸し、前日比1.01%高い896.44で終えた。昨年末終値から10%超上昇し、他の主要株価指数を大きく上回るパフォーマンスとなっている。昨年末の相場下落に伴う個人投資家の追い証に絡んだ売りが一巡したために買いが入りやすいとの見方があるが、足元では個人投資家の売買シェアが低下しつつある。 「社内で確認しましたが、新興株では個人の取り組みが増えているとはいえない状況です」――ネット証券のある担当者は年明けからのマザーズ株の上昇についてこう答えた。 東京証券取引所が9日に発表した投資部門別売買状況によると、18年のマザーズ市場の金額ベースの個人投資家の売買シェアは58.6%と17年の65.4%から低下した。一方で海外投資家の売買シェア17年の29.8%から36.4%まで拡大。18年12月には週間の投資部門別売買状況では個人投資家のシェアが50%を割り込む一方、海外勢のシェアが40%を超える週もあった。 16年7月から取引が始まったマザーズ指数先物は海外勢の売買高シェアが個人投資家に肉薄する。18年の個人投資家の取引シェアは45%と17年の53%から下がる一方で、海外勢は前年から小幅ながらシェアを伸ばして42%となった。取引開始の16年には海外勢のシェアは33%程度だった点を考慮すると投資家層が広がったともいえる。 ある株式ディーラーは「流動性リスクをとってでもマザーズ株を取引しようとする海外勢が多いのではないか」と指摘する。海外勢の参戦によって一段と振れ幅が大きくなっているとの声もあり、今後も海外マネーの流入動向が注目される。(中山桂一) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

日本株ETF、海外マネーの出入り激しく 流入額はアベノミクス初期以来

7日の米国市場で、日本株ETFで純資産が最大のiシェアーズMSCIジャパンに大規模な資金が流入した。QUICK FactSet Workstationによれば6億578万㌦の資金流入となり、1日の流入額としては2013年4月12日(9億7718万㌦)以来、5年9カ月ぶりの大きさを記録した。前営業日(4日)には6億7372万㌦の資金流出で、2017年7月7日(7億5916万㌦)以来、1年6カ月ぶりの大きさの大規模流出となっていたが、ほぼ帳消しにした格好だ。 ■iシェアーズMSCIジャパンのファンドフロー  (QUICK FactSet Workstationより、単位・百万ドル) この日の米国市場でiシェアーズMSCIジャパンは0.24%高で小幅に続伸して終えた。為替市場でドル円が落ち着く中、為替ヘッジ付きのウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジドETFからは9210万㌦の資金が流出したこととは対照的に投資家の押し目買い意欲の強さがうかがえた。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKデリバティブズコメントでは特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。

強気シナリオで日経平均2万8500円 2019年をエクコメ・デリコメ執筆陣が斬る

QUICKのエクイティコメント、デリバティブズコメントチームは、このほど年末セミナー「どうなる2019年相場」を開催した。エクコメ・デリコメのライターによるパネルディスカッションでは19年のテーマに関して活発な議論が繰り広げられた。エクコメライター上田誠は講演で「政策期待で強気継続」と持論を展開した。 最重要テーマ&材料 何に注目? ■「新テーマ探し」 山口正仁(エクコメ) 20年、30年前にあれっ?と思ったことが実現している。自動車の自動運転、インバウンド消費による疑似輸出などが大きくなっている。人手不足でファクトリー・オートメーション(FA)や外国人労働者などがテーマになっている。今後はフィンテックの次の「決済」が化けるのではないか。多く使われるし、儲かる分野だ。 ■「米景気」 松下隆介(エクコメ) 米国の消費者信頼感指数がピークアウトしていたり、米国の利上げが進む中、米企業のマージン・スクウィーズが起こって利益を圧迫したりする。米株のモメンタムは鈍化していく。マイナス要因がある一方、プラス要因もたくさんある。例えばインフレギャップはそれほど拡大していない。銀行の貸出姿勢もなお緩和的だ。米経済はまだらもようというのが率直な印象で、注意深く見ていかないと行けない。私はみんな強気の時は下を見ています。逆張りです。 ■「トランプ大統領、アップル」 片平正二(デリコメ) この2年間でトランプさんの予測不可能なことがはっきりしている。民主的なプロセスを踏まずに政策を決定しており、相変わらず、夜はFOXニュースを見ながらツイッターをやっているようで不安定な状況は続く。アップルについては弱気のレポートが出ている通りで、iPhone売上高は2017年に過去最高だったが、販売台数ベースではiPhone7が出た2016年がピークだった。結局、サプライヤーが同じなため、アップルから革新的なものは出ないので成長鈍化が警戒される。テスラを買収するくらいのサプライズが欲しい。最近は華為技術(ファーウェイ・テクノロジー)が話題だ。米国としては創業者の会長さんが共産党員である会社にああいうことをした以上、本気なのだろう。トランプさんが2020年の大統領選に臨む以上、最も重要なのは北朝鮮。在任中に北朝鮮に核ミサイルでの攻撃を許した大統領とトランプさんが歴史に汚点を残さないためには、米朝交渉が重要だ。その関連で、中国には貿易で圧力をかけ続けるとみられる。 ■「海外勢の先物買い、日銀のETF買い」 中山桂一(デリコメ) 需給の話です。今年、海外勢は日本株を現物で4兆5000億円以上売っている。先物で6兆5000億円、合わせて11兆円以上売っている。先物でこれだけ売っているのは過去あまり例がない。取材をしていると、楽観的な方は先物はキッカケがあれば買い戻すだろうとおっしゃる。特に海外勢の先物売りが秋口から多く出ており、短期の売り、リスク・パリティの売りなども巻き戻された時には勢いが出るのではないか。あと日銀のETF買いだが、きょうはTOPIXの前引けの下落率が0.03%で買っていた。6兆円というメドがある中で、日銀が柔軟な姿勢を示している。日銀という確実な買い手が存在することは相場の支えになるのではないか。日銀のオペレーションが変わる可能性は、この1カ月間で見えている。TOPIXの下落率の大きさに関わらず、変わってくる可能性はあるだろう。前場のTOPIXがプラスで終えても買ってくるケースも、お忘れでしょうが過去にあった。海外の下げなどを踏まえて動くこともあるだろう。ただ6兆円のメドを5000億円とか、大きく逸脱することはないのではないか。 ■「米金利、日銀政策修正」 池谷信久(デリコメ) ベタなテーマを前に、今週、話題になった米国の長短金利差の逆転「逆イールド」について見解を述べたい。過去の経験則として、確かに米国では景気後退が起きていた。なんで逆イールドだと景気が後退するのか? これは米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を引き締めすぎたことが原因、景気が悪くなるほど引き締めたということ。それではなぜ、景気が悪くなるほど引き締めなければならないか? それは物価のため。物価が上昇している中では、FRBは利上げをやめるわけにはいかない。だから結果的に景気は後退した。それでは今はどうなっているか。いまの米国のCPI、PCEデフレーターといったFRBが見ている物価指標は約2%。インフレ目標としている2%に近く、ちょうどいいところ。ムリにFRBが引き締める必要性は全くない。株式市場も不安定で不透明感が出ている中、FRBとしては姿勢を変えてくるだろう。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でこれまでのタカ派スタンスをハト派的に変えてくる、たぶんやってくるだろう。そうなると政策金利の上昇を織り込んで上昇していた2年債利回りは低下し、イールドカーブは順イールドに戻ると思われる。そもそも逆イールドが進んだ大きな理由は、WTI原油価格の下落だ。10月に原油が急落して、それに合わせて長期金利が低下した。また11月16日にクラリダFRB副議長が「政策金利は中立金利に近づきつつある」と話して、28日にはパウエル議長が「政策金利は中立金利をわずかに下回る」と述べた。何を言いたいかというと、中立金利というのは景気に対して良くも悪くもない、金融の引き締め・緩和効果もない水準ということ。そこに近づいてますよと言うことは、そこを超えることはないと述べたわけで、これは明らかにハト派姿勢に変わった事を意味している。最近の金利低下、原油安の中、金利のマーケットから見ているとなぜ株が売られるのか不思議だ。 ■「クレジットリスクの顕在化、銀行再編」 丹下智博【デリコメ) 2019年のテーマにしてあるが、実はもう始まっている。米自動車大手ゼネラル・モーターズは2008年のリーマン・ショックの時に一度経営破綻したが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で200bpsに近づいた時にもう一度破綻するのではないかと大騒ぎになった。株価も大幅安になった。最近ではドイツ銀行が話題になっている。以前から経営不安が取りざたされていたが、こちらもCDSが200bpsを超えてきており、株価も大きく下げている。ただCDSで200bpsというのは年間2%の保証料率で、倒産確率としてはかなり低いほう。リーマン・ショック時には2000~3000bpsを記録したし、ソブリン危機の時にギリシャは7800bpsまで急騰した。200bpsという絶対水準は小さいと言え、投資適格債からジャンク債に格下げされるリスクがマーケットには非常にインパクトをもたらす。株式市場は倒産を心配するかも知れないが、債券市場では格下げを心配している。ドイツ銀で何か起きた場合の金融システムへの影響、マーケット・インパクトとしては、以前から経営不安が噂されており、取引先も厳選されている状態とみられるため、さほどマーケットへの影響は出ないだろう。それより、ドイツ銀が厳しい状況にあるのは、グローバルに金利が低く、銀行の収益が上がりづらい状況にあるという問題が根底にある。ドイツ銀行に限らず、日本の銀行もそうだ。貸し出し先についても、GMのように大丈夫と思っていたとこらが危なくなるショックの方が大きいと思う。 ■「底上げされるボラティリティ」 岩切清司(デリコメ) 米VIXや日経平均VIのチャートを見ての通り、ボラの水準が底上げされている。高水準にある面積が大きくなっている。株式のボラティリティが上昇する、すなわち、株式がリスク性の高い資産であるということがポートフォリオ管理上のファクターとなってくる。例えばVIXが10%を割っていた時の株式のリスク量と、今のリスク量は全然異なる。同じ100億円を持っていても、持てる株式の量は今の方が少ない。ボラがゆっくり上がって底上げされてくると、株式に投資できるお金の量が減ってくることになる。VIXが瞬間的に20を超えたからという議論はどうでもよく、趨勢的にボラティリティがどうなっていくのかというのが来年、再来年の相場を見る上で重要になっていくのではないか。 ずばり相場の見通しは? 2019年の日経平均株価の予想レンジについては、2万8500円で最も高い水準を示した中山が「日経平均の1株当たり利益が現在1780円。QUICKで出している2期予想で来年の企業業績を4.5%増と見込んでいた。EPSで5%増益、PERで最大15倍を想定すれば、最大の強気シナリオで2万8400円くらいになる」と指摘。ただ「QUICKの2期予想で増益幅が若干低下しているので、企業業績は若干切り下がる可能性がある」とも述べ、企業業績の伸び悩みを警戒していた。 10年債利回りの予想レンジでゼロ%と最も強気な見通しを示した丹下は「債券市場はみんなが行ったら困る方向に進む、ペイン・トレードになるとみている。10年債利回りがマイナスになった場合、株式市場がどうなっているのか考えると恐ろしいのでレンジとしてはプラスにした」と述べた。 ※QUICKエクイティコメントとQUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。エクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。デリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

戻ってくるのか▲10兆円 海外勢の日本株売り越し、今後は需給下支え要因に

2018年も残すところあと1カ月程度。VIXショック、米中の貿易摩擦、EUを巡る不安、外部環境要因の不安が多かった18年。海外投資家は先物を中心に日本株を売ってきた。地域別の海外投資家の売買動向も合わせてみると、ヘッジファンドなど短期勢の売りが強かったとみられるが、先行きの需給面では支えになるとの見方もある。 「海外投資家の先物フローが日本株の最大の変動要因に」―ゴールドマン・サックス証券は22日付のリポートでこう指摘した。日本の株式市場では海外投資家の存在は無視できない。とはいえ、これまで日本株に対して影響が大きかったのは現物株の動きで反対売買を伴う先物の累計フローが大きく膨らむことは少なかった。 東京証券取引所、大阪取引所がそれぞれ発表する投資部門別売買動向を集計すると海外投資家は現物株を4兆1920億円売り越し、先物を6兆5000億円超売り越した。ゴールドマンのレポートでは現物株フローの少なさは「日本株への興味の少なさの反映」と指摘。先物フローの偏重さを鑑み、今後は買い戻しが期待できると考えると「過去の日本株の下落局面に比べて需給面では支援的」とも分析した。 現物株の地域別売買動向でみると今年はアジアからの売りが強いという傾向もみられる。東京証券取引所が11月20日に発表した海外投資家地域別株券売買状況を集計すると、2018年は10月までの累計で北米が1375億円の買い越し、欧州地域が2兆8867億円の売り越し、アジアが1兆5293億円の売り越しとなっている。欧州は裁定要因で膨らむとされるため、先物の売買動向と同様の動きになりやすい点を考慮すれば、アジア株の売りの多さが目を引く。 ■海外投資家地域別株券売買状況(単位億円) 東海東京調査センターの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは「アジアからの売りはヘッジファンドによる比率が高いのではないか」とみる。近年、日本株ヘッジファンドの多くがシンガポールに拠点を移し、実際の売買は香港経由でしているケースが多いためという。 ヘッジファンドの多くは成績が悪いとされる。ヘッジファンドリサーチ社が公表するグローバル・ヘッジファンド指数は26日時点で1209.86と17年末に比べ5%低い点が物語る。 東海東京調査センターの鈴木氏は「運用成績の悪化とともに解約が出ていた可能性があり、日本株の押し下げ要因になっていた」と分析する。決算期末を控える中で45日前までに顧客が解約請求をする「45日ルール」で売りが出やすい状況が終わり、今後は売り圧力が弱まるとみる。 市場では「確かに11月にはヘッジファンドの解約売りとの話は多かった」(国内証券)との声がある。需給の重荷が無くなる一方、買い手としては日銀のETFや企業による自社株買いが意識される。売り越してきた海外勢が買い戻すきっかけがあれば、想定外の上昇につながる可能性がある点は頭の片隅には入れても良いだろう。(中山桂一) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

弱気モードの日本株 指標は「買い」だが、じわり手を引く海外勢

「まだ欧州金融機関の富裕層部門を中心に、日本を含む世界の株式のウエートを落とす動きが続いている。デリバティブでヘッジしているフローもみられない」 ある市場関係者がこうささやく。日経平均株価の値動きが大きくなる中で日経平均ボラティリティー・インデックスは高止まりする一方、株安に備える日経平均プットオプション建玉(全限月)の積み上がりは鈍く、現物をたんたんと売っている様子がうかがえる。 ■日経平均VIの推移(グラフ赤、左軸)とプットオプションの総建玉(グラフ青・右軸、単位枚) みずほ証券チーフ株式ストラテジストの菊地正俊氏らは前週、シンガポールや香港のヘッジファンドなどと会合を持った。 関心が高かったのは電力・ガス、食品、小売などディフェンシブ株。「弱気のセンチメントを暗示した」と指摘する。「欧米のマクロファンドの買い戻しで株価が戻ったタイミングでショート・ポジションを積み上げたい」といった声もあったという。 こうした弱気モードを反映してか、米国市場に上場する日本株のETFからは、ついに資金が抜け始めた。 ■米上場の日本株ETFの資金流出入 (青い棒グラフ、左軸。単位百万ドルでマイナスは資金流出超。グラフ赤は日経平均株価、右軸) 11月12~16日の週は7週ぶりに資金流出超となり、流出超額は3億5100万ドルとなった。ゴールドマン・サックス証券の顧客フローでも、売買シェアが大きい米系短期投資家や欧州投資家などは、売り優勢だった。 乱高下が続く中、じわじわと水準を切り下げている日経平均株価。投資指標面でみれば皆が「買い推奨」だが、買い手がいなければ株価は上がらない。いま少し、我慢の相場が続きそうだ。(松下隆介) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。  

日経平均1000円安のデジャブ それでも「2月と違う」理由

11日の日経平均株価は急反落した。終値は前日比915円18銭(3.89%)安の2万2590円86銭となった。取引時間中の下げ幅は1000円を超えた場面もあり、市場は2月のボラティリティ急騰時のデジャブ(既視感)に覆われたようだった。しかし、関係者は意外に冷静。QUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントの取材からは「2月とは違う」「下値では国内勢の買いが見える」といった指摘があった。市場関係者の声を時系列にまとめた。   09:00 日経平均、大幅反落で始まる 下げ幅400円超す 09:10 日経平均、下げ幅800円超す   09:57 「これまで米株は懸念材料が多い中で上昇してきたからその反動が出た形だ。行き過ぎた楽観論の後退だろう。当面の下値メドとしては日経平均は2万2000円、TOPIXでは1680と予想する。ただし、現状は悲観にもなりきれずというところだ。業績期待などもまだ根強いため年末に向けてリバウンドする局面もあるだろう。いずれにせよ不安定な相場に気をもむ展開が年末まで続くのではないか」(国内証券)   10:01 「いったんは上海総合指数待ちなんでしょうね。きのうは人民元の基準値が1㌦=6.9元台で設定されてましたから、ドル安にも関わらず基準値が1㌦=7元の大台に大台に迫るようだと中国株安に対する警戒感が強まるかも知れません」(国内証券)   10:10 「今朝の大手証券の寄り前注文状況は差し引きで270億円の売り越しだったようだ。クオンツ系ファンドからと思われる売りが膨らんだある米系証券の売り越しが目立っているが、ロングオンリー勢は比較的冷静なようだ。最近まで先物売りが膨らんでいた別の米系は他方で現物には買いを入れており、パニック的な様相はまだ見られない」(パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直氏) ※上海総合指数は4年ぶり安値水準へ   10:26  上海総合指数、3%安で始まる 年初来安値を下回る   10:31 「日経平均株価はなんとか200日線(2万2509円)を死守できればと期待してます。9日は東証のシステム障害、きょうは米株の急落・・・。大変な相場で喉が枯れ気味です」(国内証券) ※円相場は一時、1㌦=111円台に突入した   10:53  日経平均、下げ幅900円超す 10:59  円、一時111円台に上昇 3週間ぶりの高値水準   11:17 「きょうは忙しくて皆バタバタです。国内金融機関からETFの買いが多く押し目は入っている状況です。一方、個別株はロスカットの売りも見られますので、個別のフローをみるとまだまちまちという形でしょうか。投資家からは依然として米株先物が下落している状況は買いづらいとの声もありますが、これまで買い遅れた投資家も多いため指数系ETFでの押し目を拾いに来る向きが多くなっています」(国内証券)   11:24 「米株の急落を受けて、きょうは久々に問い合わせが多かったですね。きのうはスクエアとかの下げがきつく、グロースを拾う局面ではないとみられる一方、フィラデルフィア半導体指数が4%超下げた割にマイクロン・テクノロジーやアプライド・マテリアルズはそんなに下げませんでした。きのうは金利がキッカケになったとはいえ、大きく下げたのは今年大きく上げた銘柄群でしたから。アドバンスト・マイクロ・デバイスは8%超下げましたけど、まだ年初来で2.4倍も上げた状態ですよ。米長期金利が4%に達するような状況ならイールドスプレッド対比で銘柄を選別しないといけませんが、2月の恐怖指数のVIXショックの経緯を踏まえると20を超えてから1週間程度は不安定な展開が続くとみられますので、押し目買いに備える局面とみています。ビザやマイクロソフトなどこれまで右肩上がりだった銘柄には投資チャンス到来とみてます。米決算シーズン前に厳しい下げとなりましたが、決算を精査して銘柄を選別する機会と前向きにみたいです」(国内証券) ※日経平均の下げ幅は一時、1000円を超えた場面も   11:50  日経平均先物、下げ幅1000円超す 12:31  日経平均、下げ幅1000円超す   12:37 「日経平均が崩れたのは米金利の上昇に端を発する米株の大量売り。伝統的なリスク回避の円高となっている。日経平均はこのまま3月安値からのトレンドラインを割り込めば一段と下値を試す可能性があるだろう」(スコシアバンクのガオ・チー氏)   12:40 「メリルのTOPIX先物の売りは止まったようですね。ブローカー動向では基本は売り越し一色。欧州系投資家から大型株の売りが目立つブローカーもあったようです。国内機関投資家の買いが入り、ブローカー単位では買い越しというところもあるようだが。しかしこうなるとしばらくは先物で上下に振れる落ち着かない展開になりそうです」(投資顧問)   12:51 「うちも売り一色に見えますよ、さすがに。損切ってるお客さんもいる印象です。ただ、地銀といった国内勢はそれとなく押し目買い入れてます。全体的にパニックに陥っている感じはありませんよ」(外資系証券トレーダー)   13:05 「日経平均が1000円も下げましたが、うちの個人投資家さんへの影響は軽微ですよ。そもそも直近までの上げ相場に乗れていませんでしたから。減少してきた信用買い残も足元でやっと増加に転じた程度ですから、ポジションは膨らんでいませんでした。ここからが問題です。一時的な調整であれば押し目のタイミングととらえたい。安川電(6506)が市場の期待に届かなかった決算を発表して急落しましたが、個人的には決してネガティブには見ていません。利益そのものはしっかり出ている。今日の下落で調整が済んだのかどうか。そろそろ安川電へのエントリーを真剣に考えるタイミングですね」(中小証券幹部)   13:10 「今回の株価下落は、予想以上に大きくなった。9月の米国を巡る貿易摩擦で売られると思っていたが、思いのほか売られなかった分、調整が大きくなった印象だ。一部には2月のVIXショック再来という論調もあるが、当時と今は違う。米景気の状況は当時よりもよく、株価に割高感はない。また、株価急落前のボラティリティは当時ほど低くなっていなかったことから、相場下落のマグネチュードとしては遥かに小さいだろう。ここまで下がると、不安定な展開が続く可能性はあるが、ファンダメンタルズに変化がない以上、買いのタイミングを探る方針で良いだろう」(アロケーター)   13:32 「株に弱気な投資家でさえ、動きの大きさにショックを受けている。株式市場は壊れ、投資家は全面的に撤退した。米国株のくしゃみは、単に世界に広がるだけでなく、レバレッジの清算による株の売りを加速させるだろう。多くの負のフローがぶつかる中で、楽観的な見方をするのは不可能だ」(オアンダのアジア太平洋地域トレーディング責任者、ステファン・イネス氏=在シンガポール)   13:48 「きょうはひとつのショックという形で日経平均も大きく水準を切り下げていますが、落ち着けば買い戻しが入るとは見込んでいます。ただし、ここまでボラが上がってしまうと日経平均の10月2日の高値(2万4270円)超えは難しくなったという印象があります。流石に日経平均で1000円超の下げは多くの投資家にとってもショックが大きいのでは。心なしか社内の雰囲気も暗いです。いずれにせよ米株が主導する形で上昇してきた相場なので、今後の米株の動向次第で日本株も上にも下にも振れやすいとみています」(投資顧問)   14:00 「過去の景気の最終局面でも、実体経済の堅調さが持続する中では過度な悲観は必要ないといった声は聞かれていた。ポイントはクレジット・リスクまで波及するかどうかだ」 「2006年、2007年のときもそうだったが、リスクが顕在化して深刻な事態へと突入するまでに二度、三度の振幅があるものだ。ただ、あとになって振り返ってみれば、あれがきっかけだたっという現象に思い当たる。今回がそうだとは思っていないものの、今後も同様の動きが繰り返されるなかで、最終局面に陥る可能性を否定することは出来ない。クレジット・バブルがはじけるリスクがないか慎重に見極めていきたい」 「9月に本邦機関投資家が大量に米国債を購入したようだが、その多くは先物でヘッジをしたり、損失確定の売りを余儀なくされたと聞いている。もし、このまま金融市場の混乱が続くことなれば、何もしないで持ち続けた投資家だけが報われるということになるのかもしれない。皮肉なものだ」(大手機関投資家の運用担当者)   14:05 「金利上昇に油断してましたね。9日の米国市場の時間外取引で米10年債利回りが一時3.26%に達してから遅れて株に調整が入りましたから、米株市場の参加者も楽観的過ぎたと思います。住宅、自動車、自社株買いなどで金利上昇のミクロ面の影響が出てくると思います。実際、ハイテク株もさることながら、足元ではゼネラル・モーターズなど自動車株の下げが長引いています。貿易紛争の影響はマクロ的に小さいと楽観視されていますが、関税によるミクロ面の影響も決算シーズンで出てくるでしょう。きのうは中国リスクでモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンが急落したことが象徴的でした。株価水準が大きく下がってしまった以上、1週間くらいは調整やむなしでしょうか」(エコノミスト)   14:55 「先物が完全にディスカウントモードなので、ちょっと相場付きが変わりましたね。裁定買い残は急減しそう」(市場関係者)   ※QUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物・現物株を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。

こちらの土台中の土台は 2万4000円台の値固めを支える「積極的な売り手」不在

日経平均株価が2万4000円台で値固めを始めた。目立った買い材料が見つからない中、需給が1つのカギを握っているようだ。将来的な売りにつながる仮需の動きを見ると、潜在的な売り圧力は小さいことが読み取れる。 グラフ①は、裁定取引にともなう現物買いのポジション(金額ベース、現物売りの金額を差し引いた値)と信用買いの金額を東証1部の時価総額で割った比率の推移。膨大な仮需の積み上がりが相場をけん引していたアベノミクス初期の2012~13年と異なり、いまは実需の買いが持続的な株高をもたらしている、とも読み取れる。 グラフ① 裁定取引に伴う現物買い残高から売り残高を差し引き、信用取引における買い残高を加えた金額を東証1部の時価総額で割って算出(赤、左軸、単位%)と日経平均株価の推移(青、右軸、単位円、毎週末終値) 米国ETF市場をみても、日本株への資金流入に期待が持てる。QUICK FactSet Workstationによると、新興国株が年初から累計で104億ドルの流入超となる一方、日本株は40億ドルの流出超だった(グラフ②)。ただ、過去を振り返ると、日本株の上昇局面では日本株ETFの大幅な流入超を記録している。「米国から資金移動を検討しているグローバル株式投資家は新興国でなく日本への投資を拡大すべき」(米モルガン・スタンレー、1日付リポート)との指摘もある。ETFを通じた日本株買いの動きが活発化してくれば、株式相場の支えになる。 グラフ② QUICK FactSet Workstationが集計した米市場に上場する新興国株関連のETFのマネーフロー 海外勢による株価指数先物への買いも、なお余力を残している。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表する米先物市場の建玉動向によると、投機筋は9月25日時点で日経平均先物を8707枚売り越している(グラフ③)。約6年ぶりの売り越し水準だった前週(8936枚)から縮小したとはいえ、売り越し水準はなお高い。東海東京証券は9月28日付のリポートで「少なくとも売り越し幅が縮小する過程で指数の上昇が続くと予想するのが妥当」とみる。 グラフ③ CFTCの米先物市場の建玉動向で、投機筋の9月25日時点の日経平均先物のポジション 「押目待ちの押目なし」の相場格言のごとく、調整らしい調整を挟まずに上昇を続ける株式相場。積極的な売り手がいない中にあっては、順張りが正解なのかもしれない。(松下隆介)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

先物主導で節目回復を演出したのは海外勢 9月第2週

東証が9月21日に発表した9月第2週(9月10~14日)の投資主体別売買動向 (東証、名証2市場の合計)によると、海外投資家は現物と先物(TOPIX、日経225ラージ+ミニ合計)を合算した総額ベースで2週ぶりに買い越した。現物ベースでは2819億円の売り越しだったが、日経平均先物を4152億円買い越しており、先物主導の相場上昇を演出した可能性がある。     一方、個人投資家は現物・信用でともに2週ぶりに売り越し。総額ベース(現物+先物)でも2週ぶりに売り越している。 この週の最終営業日14日は株価指数先物・オプション9月物の特別清算指数(SQ)算出日で投資家の様子見が強かったとみられる。日経平均株価で2万3000円の節目が上値を抑える経験則がはたらくなか、米中の貿易摩擦が「深刻化」するのか「歩み寄り」をみせるか強弱感が交錯したことなどが、現物ベースでの売り優勢につながったとみられる。 10~14日の週は日経平均株価が前の週に比べ3.5%上昇と、2週ぶりに値上がりした。7日に発表された8月の米雇用統計で賃金上昇率が市場予想を上回るなど強い内容で、米長期金利が上昇。米ドル・円相場が円安にふれて推移し、株式相場の下支え要因となった。米中の貿易摩擦については交渉再開の観測など、歩み寄りが期待された。 トルコの中央銀行が13日、市場予想を大幅に上回る金利引き上げを断行したことで、新興国経済に対する投資家の過度な不安心理が和らぎ、14日の日経平均は続伸。112円台への円下落も輸出関連株の買いを誘い、日経平均は節目の2万3000円台を終値で回復し、約7カ月半ぶりの高値水準に上昇した。(山口正仁)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

世界の利上げブームと一線 日本株、海外マネーが導く年初来高値

日経平均株価が年初来高値を試す局面にある。世界の中銀では利上げがブームだが、日銀はあくまで緩和姿勢を継続させる構え。この金融政策の相対的な違いが、日本株に資金が集まりやすい理由の1つだろう。 ノルウェー銀行(中央銀行)は20日に7年ぶりの利上げに踏み切った。アジアでは「フィリピンと台湾の中銀が来週に政策会合を開くが、焦点は利上げするかどうかではない。利上げ幅がどの程度になるかだ」(ING)との指摘もある。 また「海外投資家による日本株買い余地は数兆円規模で残されていると考えられる」(JPモルガンの阪上氏)ことも見逃せない。海外勢は年前半に大量売却したまま大きく売越しており、必要に駆られて買いに動き相場を押し上げるとの期待は根強い。(岩切清司) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

4日で1000円↗ 日経平均、年初来高値が視野に 海外勢と個人どう動いた

19日の日経平均株価は4日続伸し、前日比251円98銭高の2万3672円52銭で引けた。4日間の上げ幅は合計で1067円となった。一時は2万3842円まで上昇し、1月23日に付けた年初来高値(2万4124円)すら視野に入れかけた。気になるのは海外投資家の動きだ。また日本の個人投資家はどうしているのか。先行きの予想も交錯する中、QUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントの取材では次のような指摘が聞かれた(タイムスタンプは記事の配信時間)。 08:26 「海外勢が日本株を買う理由はいくつかあると思います。1つは欧州との比較。主要国のファンダメンタルズはセンチメント系の指標などを見ると低下傾向にあります。米国との貿易摩擦の影響が出る前から既に景気の先行きに不透明感が漂い始めました。これに対し日本の方がまだマシ、という観点があると思います。加えて日本独自の材料もあります。夏場には自然災害が相次ぎました。これを目の当たりにした外国人は、国土強じん化を進める必要性を感じ取ったようです。実際の海外投資家ヒアリングでも強じん化をポジティブとする声は半数を超えてきました。さらに外国人労働者の拡大です。過去数年で増加が顕著ですが、外国人投資家からするとボトルネックの解消から日本の景気拡大シナリオが描けるようになりました。これに政治の要素も加わります。自民党総裁選後から安倍首相が経済対策の具体的な規模感を明らかにしていく可能性があります。それもかなりの規模になると見込まれます。オリンピックまで景気拡大を継続させるとの方針に強じん化も加わります。チャート上の節目を上抜けたというテクニカルな要因もあって日経平均株価はひとまず2万4000円を試す展開になると想定しています」(パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直氏) 09:26 続伸して始まった19日の日経平均株価。市場では「生保などの機関投資家が期末の決算対策で貸株返却を要請していて、空売りの買い戻しを誘発している」(投資会社)との見方があった。 10:05 「先物は手口から海外勢が買い戻しを進めている様子がわかるが、現物でもロングオンリーなどの資金が入っているとの声が多い。東証1部の売買代金が前日から大きく伸びており、海外勢が本格的に日本市場に舞い戻ってきたとみられる。5月以降4カ月間に米国株一強の構図で日本株は出遅れている。海外勢の資金のアンワインドが続き、しばらく日本株は上値を追うと想定している。一方、国内の機関投資家は急ピッチな相場上昇に出遅れているはずだ。1日2~3件は投資家訪問をするが、このところほぼ100%の割合で『9月はイベントがあるから動けない』という話ばかり。9月末に向けて2万3000円の壁を乗り越えられないと想定していた投資家も多かった。国内勢が海外勢に隙を突かれた形ですね」(国内証券) 10:14 「先物主導の感が強いですよね。あまり物色の広がりが見られない中、ファーストリテイ(9983)やソフトバンクG(9984)といった値がさ株が妙に強いため指数的にはバリュエーションが上がっている感があります。日本はあす20日の自民党総裁選を受けて一段高があるのか、米国は25~26日に米連邦公開市場委員会(FOMC)という一大イベントをこなしてナスダック指数が最高値を再び更新できるかがポイントになりそうですね。ドル円が112円台に乗せてきたので、外株の手数料が少し増えるのは好ましいですが、ネットフリックス(@NFLX/U)などの主力銘柄が戻し切れていないのが気がかりです」(国内証券) ※昨年末を起点にした日経平均、米S&P500、ユーロストックス600の推移。日経平均が急速にキャッチアップしている   12:38 通常は逆張り傾向のある個人投資家が一段の相場上昇を見込み始めた可能性がある。SBI証券が公表している店内売買動向で19日午前、日経レバ(1570)が買い越しとなった。きょうは売りが164億3451万円に対し、買いが168億7327万円と小幅ながら差し引き買い越しとなった。前日18日の同証券の売買動向では日経レバは350億4537万円の売りに対して買いが296億639万円にとどまり、差し引き売り越しとなっていた。 12:44 「昨日はコールの売りも結構、入っていたみたいだね。今朝はボラティリティのストラドルの買いがあったようですよ。ここまで上げてくると日本株を買わなくてはならない外国人投資家もいるみたいです。それにしてもサプライズ。強すぎ。最近、ベア転したばかりなのに。周囲ではあまり明るい話を聞きませんよ。特に不動産については急に売り需要が膨らんでいるとか。アジア系マネーがオリンピック前に売り抜けたいようです」(外資系証券トレーダー) 12:54 「ちょっと前場に外出して戻って来たら、後場一段高していて驚きました。2万4000円まではスカスカですから、一気に行けますかね?」(国内証券) 日経先物の年初来の価格帯別売買高を見ると2万2500円近辺が突出して多かった一方、2万3500~2万4000円の価格帯は他と比べて商いが少ない真空地帯となっているのが分かる。 12:56 「日経平均株価は節目の2万3000円を抜けましたが、個人投資家はまったくついていけません。安川電といった中国関連、三井金といった市況関連が上がらないから。これらの銘柄につかまったままです。基本的には流れがひっくり返っただけではないでしょうか。先月まで強かったインド株が下落基調にあるし、昨日はソフトバンクGやファストリが弱かった。ヘッジファンドがポジションを入れ替えているだけでしょう。それでも個人的には強気です。明確にトレンドが変わったと言い切るまでにはまだ材料が不足してますけどね。。。。きょうは引け後から若手の営業マンを引き連れてお客様のところへうかがう予定です。まずはお話を聞かないと・・・」(中小証券幹部) 13:02 「やはり少し雰囲気が変わったように感じる。業者間取引で先週末から10月限権利行使価格2万4000円コールにトータル1万枚の買い注文が入った。合計規模としては珍しいサイズではないが、複数の投資家が数千枚単位で買いを入れていた。アップサイドをみている投資家が増えてきたという証左でしょう。現物も商い増えてきましたね」(邦銀) 13:34 「個人的に相場の見通しは弱気だったんですが、ここまで一気に上げてきたのできょう401Kの日本株比率を5割ほどに落とす注文を出しました。約定までタイムラグがあるのですが、頭と尻尾はくれてやる、金持ちケンカせず(お金持ってませんけど)の精神で、いったん利食うところと判断しました。10月1日からタバコ増税が始まりますし、来年の消費増税に向けては様々なものが値上がりするんでしょうね。日銀の金融政策は現状維持でしたが、株も強いし、増税だし、インフレになるんでしょうか? 相場が強すぎてきょうはやる気が無くなったので、定時で帰ります」(国内証券) 13:45 日経平均株価は後場一段高となり、年初来高値(1月23日、2万4124円)の更新も視野に入った。オアンダのアジア太平洋地域トレーディング責任者、ステファン・イネス氏は「米中の関税の問題が想定ほど市場に悪影響を与えないとの見方から、世界でリスク・オンの流れになっている。円相場が下落したことも、日本の株価の押し上げ材料となっているのだろう。トランプ減税や米経済の強さなどを背景にした大きな資金還流があり、多くの海外投資家は米国市場に押し寄せているため、日本の投資家が日本株買いに動いているの面もあるのではないだろうか。しかし、日本経済は上向き始めており、米国の投資家はすぐにでも日本株に目を向けるだろう」と話した。   ※QUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物・現物株を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。

人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP