金も金利も原油も 米市場「ぶり」値が続出、マネーは安全資産へ

NQNニューヨーク=松本清一郎 7日の米国市場で相場が久しぶりの高値・安値を付ける「ぶり」値が相次いだ。ニューヨークの金先物は一時、6年4カ月ぶりの高値を付け、米30年物国債利回りは3年1カ月ぶりの低さとなり過去最低値に迫った。投資家のリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全資産とされる金と米国債に資金が流入した。一方、高リスク資産は売り優勢となり、NY原油先物は一時7カ月ぶり安値、ダウ工業株30種平均は2カ月ぶりの安値まで下げる場面があった。 ・NY金先物 1トロイオンス=1522.7ドル(2013年4月以来、6年4カ月ぶり高値) ・米30年物国債利回り 2.12%(2016年7月以来、3年1カ月ぶり低水準)※価格は上昇 ・米10年物国債利回り 1.59%(2016年10月以来、2年10カ月ぶり低水準)※価格は上昇 ・NY円 1ドル=105円50銭(2019年1月以来、7カ月ぶり円高水準) ・NY原油先物 1バレル=50.52ドル(2019年1月以来、7カ月ぶり安値) ・ダウ工業株30種平均 2万5440ドル39セント(2019年6月5日以来、2カ月ぶり安値) ■NY金は1500ドル台に ■債券も買われ長期金利は急降下 米国の10年半ぶりの利下げや、米政権の対中制裁関税「第4弾」を受けた米中対立の激化が背景にある。利下げ観測の強まりで米金利低下が加速。米中対立が世界経済の足を引っ張るとの懸念が投資家を萎縮させている。7日は自国経済を守るため新興国などの中央銀行が相次ぎ利下げに踏み切り、相場変動に拍車をかけた。 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

Fasten Your Seatbelt 「貿易も為替も」で不安増幅、VIX急騰

QUICKコメントチーム=片平正二、松下隆介 5日の米国市場で恐怖指数のVIXが39.63%高の24.59で終え、投資家心理の不安感を示すとされる20の大台を5月13日以来、約3カ月ぶりに上回った。一時は24.81まで上昇して1月3日以来、7カ月ぶりの高水準を付けた。 5日に人民元相場が1ドル=7元の大台に乗せたことで中国当局による元安誘導観測が台頭。トランプ大統領が対中関税の第4弾を発動する方針を1日に示して以降、ついに中国が非関税分野での対抗措置を取って貿易戦争懸念が高まるのではないかとの見方から世界同時株安の流れがさらに強まった。 ダウ工業株30種平均など主要3指数の下落幅は今年最大となり、株安の流れが強まる中でボラが急騰している。米財務省が中国を為替操作国に認定したことから、さらなるボラティリティの急騰が警戒され、6日の東京市場でも日経平均ボラティリティー・インデックスが一時26台と今年1月7日以来の水準に急上昇した。 エバコアISIは5日付のリポートで、過去の貿易戦争懸念が高まった局面でファクター分析を行ったところ、ボラティリティ、バリューの銘柄が最もアンダーパフォームすることが分かったと指摘した。一方でモメンタム、売上高成長率の高いファクターは貿易戦争懸念が高まる中でアウトパフォームしたといい、「米中の貿易戦争懸念や米連邦準備理事会(FRB)の政策の先行きに不透明感が高まる中、モメンタムなどのファクターは今後数週間は恩恵を受けるだろう」と見込んだ。 CMCマーケッツのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マイケル・マッカーシー氏によると、5日に中国は人民元を切り下げ、米国の農産品の購入を中止するよう指示したという。米政府は「為替操作国」と認定し、対抗した。S&P500種株価指数はこの4営業日で6%近く下落し、2018年10~12月のセルオフを超えている。 市場では20年央までに米連邦準備理事会(FRB)による利下げが3~4回実施すると見込まれており、中央銀行によるサポートを背景に世界的な景気後退に陥る可能性は低いかもしれない。ただ、市場の関心は米中貿易問題に集中し、アジア市場は苦境に立たされている。株式相場など急激に反転する可能性もあるが、数日から数週間にわたってボラティリティは上昇し続けるだろうとのコメントがあった。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

9月の利下げ織り込み再び急上昇 ダウ急落、企業の景況感みるみる悪化

QUICKコメントチーム=池谷信久、写真=Spencer Platt/Getty Images 5日の米国市場でダウ平均株価は一時961ドル安となった FRBのパウエル議長は7月31日に利下げした際、「長期的な利下げサイクルの始まりではない」と指摘したが、市場に催促される形で大幅利下げに追い込まれる可能性が出てきた。 5日の米国市場では、ダウ工業株30種平均が大幅に5日続落して6月5日以来2カ月ぶりの安値、米10年債利回りは1.71%と2年10カ月ぶりの低水準で終えた。CME「Fedウオッチ」では、9月のFOMCにおける50bp利下げ確率(グラフ青い部分)は約28%へ上昇した。 5日発表の7月の米ISM非製造業景況感指数が53.7と2016年8月以来の水準に低下し、市場予想の55.5(QUICK FactSet Workstation)を下回った。1日に発表された7月の米ISM製造業景況感指数も、16年8月以来の低水準となっていた。米中摩擦は一段と激しくなっており、企業のセンチメントは悪化しやすい。米景気減速懸念は当面、後退しそうにない。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

速度鈍った 1000ドルに372日 それでも節目抜いた米株、日本は伏目がち

QUICKコメントチーム=片平正二、NQNニューヨーク=滝口朋史 11日の米国市場でダウ工業株30種平均は続伸し、227ドル88セント(0.85%)高の2万7088ドル8セントで終えた。前日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が下院で議会証言を行った後の株高の流れが続いた。 ダウ平均が初めて2万6000ドル台で終えた2018年1月4日から372営業日と、1万9000ドル突破に要した483営業日以来の長さとなる大台突破だった。トランプ氏が米大統領選で勝利してから税制改革などへの期待から上げ足を速める場面があったが、中国との貿易摩擦の激化などを受け上昇の勢いは大幅に鈍った。 【ダウ平均の節目突破の歴史】  節目    節目突破日  終値     要した日数(営業日) 2万7000 2019年7月11日  2万7088ドル   372日 2万6000  18年1月17日  2万6115ドル   8日 2万5000  18年1月4日  2万5075ドル   23日 2万4000  17年11月30日  2万4272ドル   30日 2万3000  17年10月18日  2万3157ドル   54日 2万2000  17年8月2日  2万2016ドル   108日 2万1000  17年3月1日  2万1115ドル   24日 2万    17年1月25日  2万0068ドル   42日 1万9000  16年11月22日  1万9023ドル   483日 1万8000  14年12月23日  1万8024ドル   120日 1万7000  14年7月3日  1万7068ドル   153日 1万6000  13年11月21日  1万6009ドル   139日 1万5000  13年5月7日  1万5056ドル  1460日 1万4000  07年7月19日  1万4000ドル   59日 1万3000  07年4月25日  1万3089ドル   127日 1万2000  06年10月19日  1万2011ドル  1879日 1万1000  99年5月3日  1万1014ドル   24日 1万    99年3月29日  1万0006ドル   245日 (注)所要日数は節目突破の翌営業日から突破当日までの営業日数 パウエル議長は11日に上院銀行委員会で議会証言を行い、「2%の物価上昇率を大きく下回りたくない。後手に回らないようにするのが日本から得た教訓だ」と述べ、雇用とインフレ率の関係が崩れる中で早期利下げの可能性を改めて示唆した。CMEグループが提供するFedウォッチツールで7月FOMCでの50bp利下げ織り込み度は18.3%となり、前日(29.2%)から低下して1割台にとどまった。25bpの利上げ織り込み度は81.7%に上昇し、FF金利先物市場は7月FOMCでの25bp以上の利下げを100%織り込んだ状況が続いた。 残念ながら、貴重な「教訓」を与えたはずの日本株のほうは米株高の流れに乗れず、相変わらずパッとしない展開だ。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

米株ジェットコースター、背景にもう一つの金利差

26日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が1000ドルを超す過去最大の上昇となった。ただ、新たな材料は出ていない。前営業日まで4日続落し下げ幅が1800ドルを超えていたことで、短期的な買い戻しが入ったと見られている。 ジェットコースターのような株価乱高下の背景のひとつに、金融政策に対する市場とFRB間のギャップがある。FF金利先物が示す政策金利(グラフ青)は、2019年中の利上げを想定しているが、その後は利下げを織り込んでいる。一方、12月のFOMCは19年に2回、20年に1回の利上げを示唆していた(グラフ赤)。 ■市場と当局の見通しにズレがある 過度なFRBの引き締めが市場の不安心理を高めている。19年1月のFOMCに向けては、FRBの金融政策に対する様々な思惑が交錯し、値動きの荒い展開が続きそうだ。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

またひとつダウの古株が消える? Uテクノロジーズが事業3分割、銘柄入替の観測

27日の米国市場でコングロマリットのユナイテッド・テクノロジーズが大幅続落し、4.14%安の122.68ドルで終えた。前日の大引け後、会社を3事業に分割すると発表したほか、2018年12月期通期の業績見通しを引き下げ、1株当たり利益(EPS)で従来見通しの7.20~7.30ドルを7.10~7.20ドルに引き下げた。会社分割の手続き中は自社株買いを止める方針を示したこともあって嫌気売りが優勢となり、この日のダウ工業株30種平均の下落寄与度トップで35ドルほどダウの上値抑制要因となった。 米マーケット・ウォッチによれば、ユナイテッド・テクノロジーズが事業分割で航空事業に集中することから、ダウの銘柄入替に対する思惑が出ているという。同じくダウ採用銘柄のダウデュポンも来年6月までに傘下事業の3分割を予定しており、2018年6月にゼネラル・エレクトリックに替わってドラッグストア大手のウォールグリーン・ブーツ・アライアンスが採用されて以来となる銘柄入替が起こる可能性があるという。 ■27日のダウ寄与度ランキング ユナイテッド・テクノロジーズは1933年8月にダウに採用された古参銘柄。当時はユナイテッド・エアクラフトの時代だった。しかし、ダウには既にボーイングという航空大手が存在するため、ユナイテッド・テクノロジーズが除外される恐れがあるとのこと。マーケット・ウォッチは採用候補として米検索大手グーグルの親会社であるアルファベットやアマゾン・ドットコムなどを上げていたが、ダウは単純平均のため値がさ株は株式分割を行う可能性があるのではないかとみていた。(片平正ニ)   ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

熟れすぎたリンゴは落ちる 成長鈍化と開示後退は「売れ」の材料

2日の米国市場でアップルが4日ぶりに急反落し、6.63%安の207.4ドルで終えた。一時は205.43ドルまで下げて8月8日以来、3カ月ぶりの安値水準を付ける場面があった。この日のダウ工業株30種平均の下落寄与度ランキングのトップでダウを100ドル押し下げたが、時価総額1兆㌦の大台は維持して終えた。 1日の大引け後に2018年7~9月期(4Q)決算を発表。売上高・1株当たり利益(EPS)は市場予想を上回ったが、iPhone販売台数は4690万台にとどまり、市場予想(4749万台)を下回った。また、2018年10~12月期(1Q)の売上高予想を890億~930億ドルのレンジで示し、中央値(910億ドル)も市場予想(929億ドル)を下回る慎重な数字だった。中国市場での成長鈍化を示すものだったうえ、決算発表後のカンファレンスコールでルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)が今後、決算でiPhoneなど個別製品の販売台数・平均販売価格を発表しない方針を示したことで、iPhone販売台数の鈍化が予想される中、情報開示姿勢を弱めたことも嫌気された。 4Q決算とカンファレンスコールを受け、2日付の各社のリポートではアナリストから目標株価の引き下げが相次いだ。QUICK FactSet Workstationによればアップルをカバーしている41社のうち、決算後に目標株価を引き下げたのが9社、引き上げたのが10社、据え置きは7社だった。投資判断を引き下げたのはバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチなど2社の一方、引き上げたのはモーニングスターの1社だけだった。 BMOキャピタルは投資判断のニュートラルを維持しつつ、目標株価を219ドルから213ドルに引き下げた。新型機の発売でiPhoneの平均販売価格が上がっていることを評価しつつ、成長は鈍化していると指摘。モルガン・スタンレーは投資判断のオーバーウエイトを維持しつつ、目標株価を247ドルから226ドルに引き下げた。18年10~12月期(1Q)の業績見通しはそれほど悪くないとしつつ、マクロ環境の不確実性が残ると指摘した。ロバートWベアードは投資判断のアウトパフォームを維持しながら、目標株価を235ドルから230ドルに引き下げた。アップルが製品の販売台数を開示しなくなることは疑問を高めるが、サービス部門の成長がポジティブに受け止められるとした。(片平正ニ) ※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

「中国といえばCAT」のユウウツ 上海急落で関連銘柄に売り

18日の米国株式市場でキャタピラーが大幅続落し、3.91%安の135.8ドルで終えた。一時は134.47ドルまで下げ、8月16日以来、2カ月ぶりの安値圏に沈んだ。 18日の中国本土市場で上海総合指数が急反落し、2.93%安の2486.4186で終え、3年11カ月ぶりの安値圏に沈んだことで中国関連銘柄が大幅安となり、主力のキャタピラーも売りが優勢だった。 この日のダウ工業株30種平均構成銘柄の下落寄与度2位となり、ダウを37ドルほど押し下げた。寄与度トップのボーイングとあわせて中国関連2銘柄でダウ平均を80ドル近く押し下げる要因となった。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

「America Omedeto Again!」 株最高値、雇用も景況感も翳りなし?

20日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が3日続伸。前日比251ドル22セント(1.0%)高の2万6656ドル98セントで終え、1月下旬以来およそ8カ月ぶりに過去最高値を更新した。S&P500種株価指数も3日続伸。前日比22.80ポイント高の2930.75ポイントと、8月下旬に付けた最高値を更新した。トランプ大統領はツイッターで、「S&P500が史上最高値を付けた、アメリカおめでとう!」とつぶやいた。 米国市場では貿易紛争懸念が和らぐ中、中間選挙を前に株高が進んでいることから、トランプ氏としては経済政策の実績が出ていることを誇らしく思っているもようだ。 株高の根底にあるのは米国経済の好調さだ。この日発表された、週間の新規失業保険申請件数は20万1000件と、1969年11月以来ほぼ49年ぶりの低水準。9月のフィラデルフィア連銀の製造業景況指数も22.9と前月の11.9から大幅に上昇し市場予想を上回った。   一時マイナス20台まで低下していた、シティグループが算出するエコノミック・サプライズ指数は回復傾向にある。BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、債券市場が織り込む期待インフレ率)も5月以来の水準まで上昇している。(池谷信久、岩切清司) ■トランプ氏のツイッターはこちら■   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

今度はアップル、T砲「米国生産」の圧力で株価に不透明感

どこかで見た構図だ。3か月前、同じように激しい口先介入で圧力をかけられた、有名な大型バイクのメーカーを思い出した人もいるに違いない。 トランプ大統領がツイッターで「アップルが関税をゼロにする簡単な解決策がある。それは中国ではなく、米国で生産することだ」とつぶやき、米中の貿易紛争懸念が強まる中でアップル株の先行き不透明感が強まっている。10日の米国市場で同社株は4日続落し、1.34%安の218.33ドルで終えた。一時は216.47ドルまで下げ、25日線(216.32ドル)を探る場面もあった。アップル1銘柄でダウ工業株30種平均を20ドル押し下げ、指数の重しとなった。 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは10日付のリポートで、アップルが7日に対中追加関税によってウェアラブル端末のApple Watchなどに悪影響が出るとの見解を米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表への書簡で明らかにしたことやトランプ氏の8日のツイッターを踏まえ、アップルの1株当たり利益(EPS)に与える影響は0.05ドル以下と指摘した。iPhoneを米国内で組み立てる場合、20%の値上げが必要になるとしながら、「関税対象となっている製品を米国で製造することに伴ってコストが15~25%増える可能性があり、需要の一部を破壊する恐れがある」とも指摘した。 一方、かつて投資会社パイパー・ジェフリーのアナリストを務め、長年アップルを担当しているループ・ベンチャーズ・マネジメントのジーン・マンスター氏は10日のブログで「アップルはトランプ氏の製造に関する圧力で実質的に影響を受けない」と指摘した。2000億ドルの追加関税措置によってApple Watchなどで収益性が10~20%低下するだろうが、「2年後にはこれらの関税は廃止されると考えている」と指摘した。 また、トランプ氏が米国内で生産を増やすよう圧力を強めていることについて「アップルは今後5~10年間で米国での生産を増やす可能性があるが、製造シェアは10%未満で小さいままにとどまると見込まれる。現在の米国内での製造・組み立ての比率は5%と推計される」としつつ、「アップルは今後5年間で3500億ドルを米国に投資することを約束している」ことも改めて指摘。トランプ政権にアップルがうまく対処できると見込んでいた。(片平正ニ) ★ジーン・マンスター氏のブログ https://loupventures.com/apple-wont-be-materially-impacted-by-trump-manufacturing-pressure/ ※QUICKデリバティブズコメントおよびQUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

ダウ新規採用ウォルグリーンズ大幅高 気になる指数インパクト

19日に発表されたダウ工業株30種平均の構成銘柄の入れ替えを受けて、翌20日の米株式市場でドラッグストア大手のウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)が指数採用に伴う買い需要の期待から5.24%高の大幅高となった。一方で除外となるゼネラル・エレクトリック(GE)は6日連続の下落となるなど、明暗が分かれた。銘柄入れ替えは26日に実施される予定だ。 ダウ平均はいわゆる単純平均株価のため、値がさ株のインパクトが大きい。株価が300ドル台で最も高いボーイングが寄与度上位に来ることが多く、100ドル超の値がさ株17銘柄に左右される傾向にある。今回、採用されるウォルグリーンズの20日終値は68ドルと現在のダウ構成銘柄(GE含む)の中では9番目に低い水準となる。正式に採用されたとしても、指数インパクトは限られそうだ。 今月26日から銘柄入替を反映して指数が算出されるが、ウォルグリーンズの株価が低いため除数(0.145233969)に大きな変更はないとみられる。一方で2013年9月にダウ平均から除外された非鉄大手アルコアがその後に株価が上昇した経緯もあり、GEの株価が復活する転機となるのかどうかも関心が高い。 ダウ平均の銘柄入替があるたびに、成長著しい米検索大手グーグルの親会社であるアルファベット、アマゾン・ドットコム、フェイスブックの採用も取りざたされる。米国企業の時価総額トップ10でダウ平均に採用されているのはアップルとマイクロソフト、JPモルガン・チェース、エクソン・モービル、ジョンソン&ジョンソンの5銘柄に過ぎない。成長性や時価総額ではアマゾンやアルファベットが米国を代表する企業と言えそうだが、株価が1000ドルを超える状況では単純平均のダウに与える影響が大きすぎる。アップルは2014年6月に1対7の株式分割を行った後、2015年3月19日にダウ平均に採用された経緯がある。今後のダウの入替を占う上では大手ハイテク株で株式分割が行われるかどうかもポイントとなる。(岩切清司、片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ゴールドマンのTOPIX先物売り、背景に何が?

米株式が下げ止まらない。ダウ工業株30種平均は1日に3日続落で引けた。3日間の下げ幅の合計は1100ドルと下落ピッチも速い。この日の下げはトランプ米大統領による追加関税方針の表明を売り材料にしたとの見方が一般的だった。しかし、米商務省は2月16日に鉄鋼とアルミニウムの輸入増加が安全保障上の脅威になっているとして、トランプ大統領に輸入制限の実施を提言済みだ。今回の正式表明は売りの口実にしか見えない。 日本企業と日本株への影響は改めて精査されるだろう。大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは2月22日発行のレポートで以下のように指摘していた。 「米国が関税を引き上げるとドル高に作用するという見方は疑わしい。輸入物価上昇を通じてインフレ率が押し上げられ、米金利上昇のドル高に作用するとか、輸入品が米国製品で代替され、米国内生産が増加する一方で輸入が減少し、貿易収支改善がドル高に作用するという見方は、一部の効果しか見ていない」 「むしろ、米国の輸入金額が増加して貿易収支悪化がドル安に作用したり、保護主義政策がドル安志向を連想させてドル安を招いたりする効果の方が大きいだろう。さらには、輸入物価上昇が米国内需要と米国向け輸出の減退を引き起こし、世界的な景気減速懸念を誘発してリスクオフの株安・金利低下と円高を招く可能性も高い」 「日本が報復対象国の一つとなれば、なおさら円高になりやすいが、米国が輸入品に報復関税や数量制限をかけることとなれば、ドル安と円高を招きやすいだろう」 1日のニューヨーク為替市場で円相場は再び1ドル=106円割れを試す展開を見せた。直近の高水準で推移していた米10年物国債利回りが2.80%前後に低下したことも円高・ドル安に拍車をかけたようだ。ドル安懸念がコンセンサスになれば、円高圧力の高まりが日本株の上値を抑える構図は無視できない。 とはいえ「トランプ大統領が追加関税に向けて行動する公算は大きいが、詳細は最終決定しているわけではない。来週にかけて、変更点が多くなるだろう」(ゴールドマン・サックス)との指摘もあった。米通商政策は金融市場にとって当面、不透明材料になりそうだ。 昨日の取引終了後、国内証券のトレーダーが「引け方が似てるよね」と慎重に言葉を漏らしていた。 重なって見えたのは2月28日の米株と3月1日の日本株。午後から引けにかけて売り圧力が強まり、株価指数が下値を切り下げる展開だった。 「VWAPと引けオーダーって感じかな」。 1日朝の日本市場で大手証券の手元に集まった売買注文は200億円弱の買い越しとの観測があっただけに、取引時間中に売りオーダーが出る傾向が強そう。前出のトレーダーは「大型株の弱さを見ていても世界的な株売りをする外国人の動きなのかもしれない」と述べていた。 1日の引け後、トレーダーの間で注目を集めたのがTOPIX先物3月物の立会外取引における手口だ。ゴールドマン・サックス証券(GS)が3563枚を売り越していた。前の日にも3000枚超を売り越していた。立会取引も含めた2日間の売り越し枚数は8900枚にもなった。 ▼ゴールドマンのTOPIX先物3月物の売りが目立つ        合計  立会  立会外 2月28日 -4141   -991  -3150 3月1日  -4759   -1196  -3563 ※単位:枚、「-」は売り越し 背後の投資家については「いま流行りのリスク・パリティ系ファンドでは」(外資系証券トレーダー)といった声もあるが、実態は不明だ。この日のGSの寄り前注文状況は買い越しだったとの見方もあるだけに、場中に海外から届いた売りオーダーの可能性を考えると外国人投資家や大手ファンドと邪推もしたくなる。 一方で国内投資家の可能性も残る。過去にGSが立会外取引でTOPIX先物の大きな手口を見せる場面ではゆうちょ銀行のオーダーとの見方が広く伝わっていた。いずれにせよGSが短期的な投機筋のオーダーを大量に受けると考え難い。内外いずれかの大手機関投資家・ファンドの動向を示しているとすれば無視はできない。 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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