サウジ攻撃で原油版恐怖指数が急騰 影響はアラムコのIPOにも

QUICKコメントチーム=片平正二、岩切清司 世界最大の産油国であるサウジアラビアの石油精製施設が無人機(ドローン)で攻撃されたことを受け、16日の米国市場で、WTI原油先物相場は急伸した。WTI期近の10月限は63.38ドルまで上昇して一時15%超の大幅高となり、清算値は14.67%高の62.90ドルとなった。シカゴ・オプション取引所(CBOE)の原油版恐怖指数(OVX)は36.92%高の48.58で急騰し、一時77.17まで上昇して2018年12月27日以来、8カ月半ぶりの高水準を記録した。 一方、恐怖指数(VIX)は5日ぶりに反発して14.67で終えた。原油先物が急騰する中でリスクオフの流れとなり、ダウ工業株30種平均の下げ幅は一時186ドルに達したが、VIXは投資家心理の不安感を示すとされる20を上回ることはなく、株式市場の反応は比較的落ちついていた様子がうかがえる。 もうひとつ見逃せないのは、ドローン攻撃をうけたサウジアラムコの株式上場の準備への影響だ。 米運用会社カンバーランド・アドバイザーズのチーフ・インベストメント・オフィサーのデビッド・コトック氏は、「今回の一件を踏まえてサウジアラムコの新規株式公開(IPO)の現状を想像してほしい。戦争リスクを価格に織り込ませるのだろうか。そもそもディスクロージャー資料に記載ができるのだろうか。ドローン攻撃は引受会社にとって悪夢となった。IPOは遅れるだろう。我々は米国の石油とガスそして米国の防衛関連をオーバーウエートとしている」と指摘している。 ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

目指せデータの達人⑦中国製造業PMI、連休中の最大のリスク

27日から始まる大型連休中は、米連邦公開市場委員会(FOMC)、4月の米雇用統計など重要イベントが相次ぐ。その中でも、相場を大きく動かすリスク要因となりそうなのが、30日に中国国家統計局が発表する4月の製造業購買担当者景気指数(PMI、Purchasing Managers’ Index)だ。 PMIとは、生産や新規受注などについて景況感を購買担当者にアンケート調査し、指数化したもの。「生産がどのぐらいになった」といった実際の数値をまとめたものではなく「現在の景気の雰囲気」を聞くソフトデータのため、景気の先行指標とされる。とりわけ「世界の工場」である中国の製造業PMIが低下すれば、世界景気の減速懸念が広がり、市場ではリスク回避の動きが出やすい。 リスク資産の代表格であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格と中国製造業PMIのチャートを並べてみると、連動性が高いことがわかる。昨年末にWTI原油先物が1バレル50ドルを割り込んだ局面では、中国PMIも景気の拡大と縮小の節目となる50を下回り、2年10カ月ぶりの低水準に沈んでいた。 その後、中国製造業PMIは2月に49.2まで落ち込んだ後、3月は50.5まで持ち直した。日経平均株価の動きを見ても、3月31日発表の中国製造業PMIの後、戻りを強める展開となっている。 中国メディアの財新などがまとめた民間版の製造業PMIも3月は50台を回復し、中国の景気減速に対する過度な懸念は和らいでいる。4月の中国製造業PMIについて、市場では「50を維持できるかがポイント」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との声があがる。3月のPMIは春節(旧正月)の翌月だったため上昇しやすかったとの見方もあり、反動による悪化に注意する必要がありそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN ) 矢内純一】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

米指標が上振れ 緩和的姿勢でインフレ期待じわり上昇

2月28日発表の10~12月期の米実質国内総生産(GDP)は前期比年率2.6%増と、7~9月期の3.4%増から減速した。ただ、市場予想(2.5% QUICK FactSet Workstation)を上回ったため、米債券市場では売りが優勢となり、10年債利回りは発表前の2.66%から2.69%台に上昇した。その後発表された2月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も予想を上回ったことで2.7%台に上昇。2月5以来およそ3週間ぶりに2.72%台に乗せる場面もあった。 米連邦準備理事会(FRB)が緩和的な姿勢を示しているため、短期金利はほぼ横ばい。10年債と2年債の金利差は20.8%と18年12月28日以来2カ月ぶりの高水準に拡大した。 米原油先物相場は3日続伸し、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は2018年12月下旬に付けた安値から3割を超す上昇となっている。米BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、債券市場が織り込む期待インフレ率)は1.95%と2018年12月上旬以来およそ3カ月ぶりの水準まで上昇している。FRBの緩和的な姿勢は景気の再加速を促すとともに、インフレ期待を高める効果があるため、BEIの下がりにくい状況が続きそうだ。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントはトレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。またQUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

WTIは高値から4割下げ 1年半ぶりの安値でBEIを押し下げ

24日の原油先物相場は大幅に続落した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近(2019年2月)物は前週末比3.06ドル安の1バレル42.53ドルで取引を終えた。一時42.36ドルと17年6月下旬以来、約1年半ぶりの安値を付けた。10月初旬の高値からは4割以上下落したことになる。 米商品先物取引委員会(CFTC)が21日に発表した18日時点の建玉報告による原油先物の投機筋の買越幅は12週ぶりに拡大したものの、縮小傾向が続いている。買越幅は31万枚弱残っており、投機筋のポジション整理が一巡するまでは、原油安の流れが続く可能性もある。 ■CFTC原油先物(投機筋・ネット)とWTIの推移 原油安に引きずられる形で、米国の債券市場のインフレ見通しを示す10年物の国債と物価連動国債の利回り差から算出する「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)」は2017年8月下旬以来、1年2カ月ぶりの水準まで低下している。インフレ期待は急低下しており、長期金利の上昇を抑制している。10年金利は一時2.73%と4月上旬以来ほぼ8カ月半ぶりの低水準を付けた。(池谷信久)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

原油また急落 WTIとS&P500の強い相関に警戒モード

18日の米国市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が急落した。期近の1月限は一時1バレル=45.79ドルまで下げ、前日比で8.19%安となった。ロシアの12月の産油量が過去最高に達しているとの報道が重荷となったほか、米エネルギー情報局(EIA)が17日に発表したリポートで米国の12月の原油生産量が11月から増加し、1月にはさらに増える見通しが示されたことで米ロの供給懸念から売りが優勢だった。 中心限月の2月限は清算値ベースで2017年8月以来、1年4カ月ぶりの安値水準となり、原油版恐怖指数のOVXは14.51%高の53.35で急騰。著名金融ブログのゼロ・ヘッジはこの日のWTI原油先物の急落についていわゆるフラッシュ・クラッシュ気味の下げが2回あったとしつつ、市場関係者の指摘としてファンダメンタルズに基づかない急落だったと指摘していた。 オアンダは18日に投資家向けメモで、「投資家は石油輸出国機構(OPEC)諸国が国内要因で増産を行わなければならないことを理解しており、最近、欧州の小売セクターで年末商戦に懸念が出ていることも原油市場の重しになっている」と指摘。WTIだけでなく、ブレント原油も2017年10月以来の水準で軟調に取引されている現状に着目し、グローバルな景気減速懸念が響いているとみていた。その上で「WTIの価格とS&P500指数が強い相関関係を反映していることから、OPECに関するヘッドラインでリスクに対して強い相関性を持ちながら取引される可能性が高い」と指摘。原油安・米株安の展開が相乗効果で強まる恐れを懸念していた。(片平正ニ) ★S&P500指数(青)とWTI(緑)の推移 ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

原油安でガソリン安、期待インフレも上向かず 天然ガスは冬本番で「逆行高」

原油価格が1年ぶりの安値圏で推移するのに伴い、市場の期待インフレを現すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も低下している。QUICK FactSet Workstationによれば14日に200bpsとなり、1月以来、10カ月ぶりの低水準を付けた。 この日発表された10月の消費者物価指数(CPI)は+0.3%、コアCPIは+0.2%となり、それぞれ市場予想に一致。エネルギー価格の上昇による影響が大きかったが、足元でWTI原油先物相場が1年ぶりの安値水準にある中、今後はガソリン価格が低下すると見込まれる中でBEIは低下する流れとなった。バークレイズは14日付のリポートで、「エネルギー需要は10月のCPIを押し上げたが、2019年にはインフレ率の上昇に逆行する形でエネルギー価格がインフレの抑制要因になると考えている」と指摘した。 なお、全米自動車協会(AAA)によれば14日時点の全米ガソリン販売価格の平均値は1ガロン=2.677ドルとなった。3ドルを超えている週もあるが、10月以降はWTIの下落基調や需要減を受けて下落トレンドにある。 (QUICK FactSet Workstationより、13日時点) こうしたなかで目を引くのが、激しく「逆行高」している天然ガス先物の値動きだ。 14日の米国市場で中心限月12月限の清算値は前日比0.736ドル(17.94%)高の100万BTU(英国熱量単位)あたり4.837ドルとなった。13日も冬本番を前に暖房需要期待から8.26%高で急伸しており、天然ガスとWTI原油先物の乖離が大きくなっている。著名金融ブログのゼロ・ヘッジによれば、天然ガスを運ぶためのパイプラインがない北東部で昨年は価格が高騰した経緯があったという。 CMEグループは14日、13日の天然ガス先物の売買高が123万2635枚となり、今年1月12日に記録していた過去最高(102万2858枚)を更新したと発表した。WTI原油先物のオプションもこの日は69万3975枚で2016年11月30日に記録した過去最高水準を更新したといい、原油や天然ガスが荒い値動きとなる中、先物やオプションの取引が活発化している。(片平正ニ)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKデリバティブズコメントでは特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。

サウジの不穏な砂嵐 原油版恐怖指数↗ ETFは5日連続↘

15日の米国市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は続伸。中心限月11月限の清算値は0.61%高の71.78ドルだった。サウジアラビアの著名ジャーナリストのジャマル・カショギ氏が今月2日にトルコのイスタンブールにあるサウジ総領事館に入った後、行方不明となってサウジ当局による殺害疑惑が警戒される中、WTI原油先物は72ドル台に上昇する場面があったが上値は重かった。原油版恐怖指数のOVXは3.10%高の28.59で終えた。 この日の米国市場でサウジアラビア株に連動するiシェアーズMSCIサウジアラビアETF(KSA)は5日続落し、1.83%安の27.31ドルで終えた。14日にサウジアラビアのタダウル全株指数(TASI)が3.51%安の7266.59で終え、一時は下落率が7%を超えて急落した。15日は4.14%高の7567.57で急反発して終えたものの、サウジ情勢への警戒感から不安定な値動きが続き、TASI指数は11日終値(7530.80)をやや上回る程度の水準で戻りは鈍かった。産油国であるサウジの株式はWTI原油先物相場と連動する傾向にあるが、KSAは終値ベースで3月7日以来、7カ月ぶりの安値圏に沈み、著名ジャーナリストの殺害疑惑を巡って連動性が大きく崩れている。(片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

上がるWTIと上がらぬBEI 米市場の強弱感、正しいのはどちらか 

1日の原油先物相場は、米国とカナダが北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で妥結したことを受け、大幅に上昇した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物は一時75.77ドルと2014年11月下旬以来およそ3年10カ月ぶりの高値を付けた。 北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉やイラン制裁による供給懸念から原油相場がラリーする一方、債券市場では貿易紛争懸念が後退したことを受けて株高・債券安の展開だった。米債相場は小幅に続落し、10年債利回りは3.09%まで上昇する場面があった。 この日発表された9月のISM製造業景況感指数は59.8と、約14年ぶりの高さだった前月から1.5ポイント低下したが、景気の拡大・縮小の境目である50を大きく上回り米景気の好調さを示している。今週末に発表される米雇用統計が強い結果になれば、米長期金利は再び上昇余地を試す展開になるかもしれない。 米10年債と米物価連動債(TIPS)が共に売られるなか、約4年ぶりの原油高水準にも関わらず、米10年債の利回りからTIPSの利回りを差し引いたブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が上昇しづらい環境となっている。QUICK FactSet Workstationによれば、1日の米国市場で市場の期待インフレ率を示すBEIは212.84bpsとなり、前日(214.41bps)から1.57bps低下した。(池谷信久、片平正ニ) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

WTI原油とCRB指数の乖離が縮小傾向に 【US Dashboard】

WTI原油価格と国際商品の総合的な値動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数の乖(かい)離が縮小しつつある。2017年12月末の値を100とした場合、7月3日にWTI原油が122.708と大きく上昇していたのに対し、CRB指数は同時点で101.867と出遅れが鮮明となっていた。3日に20を超えていた乖離幅は9日時点で20を下回ってきた。 CRB指数は国際商品の値動きを示す代表的な指標で、同指数に連動する金融商品も多い。トムソンロイターの資料によると19の商品で構成され、構成比率で大きいのは原油やガスなどを含むエネルギー関連が全体の39%にのぼる。なかでもWTI原油は全体の23%を占める。金や銅、アルミニウムがそれぞれ6%となり、金属全体では20%、その他の多くの農産品などが含まれる。 構成比が最大のWTI原油が大きく上昇した一方、他の国際商品の下げがCRB指数の上値を重くした要因だ。代表的なのは使用用途が広く世界経済の体温計ともいえる銅の下落だ。指標となるロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月先物は7月6日時点で昨年末に比べて13%ほど低い水準で推移。米中における関税対象商品ではないものの、自動車や電子部品など幅広い用途に使われ、中国の消費量は全体の4割を超えるとされる。貿易摩擦による世界経済の停滞を過剰な形で先読みしている面がある。 <WTI原油(青)、CRB指数(赤)、LME銅3カ月先物(緑)の相対チャート> 一方、原油価格はカナダのオイルサンドからの供給懸念のほか、米政権が進めるイランへの経済制裁により供給の先細りを懸念する向きを映し出す。マーケットは貿易摩擦のエスカレートを警戒しており、CRB指数やWTI原油、銅の3つの価格動向に変化がでるか関心を集めそうだ。(中山桂一)   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKデリバティブズコメントでは特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。  

WTI急上昇 投機筋の買い持ち2週ぶりに縮小

石油輸出国機構(OPEC)が22日の総会で、原油の協調減産を日量100万バレルに緩めることで合意した。政治の混乱でベネズエラの生産量が減るなどしており、実質的な増産量は100万バレルを下回ると見られている。 増産量が事前の市場予想より小幅なものになったことで、22日の米国市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)8月物は、前日比3.04ドル高の1バレル68.58ドルへ急上昇して終えた。 米商品先物取引委員会(CFTC)が22日に発表した19日時点の投機筋の原油先物の買越幅は2週ぶりに縮小した。買越幅は58万947枚と2017年11月下旬以来の小ささだった。増産が見込まれていたOPEC総会に向けてロングポジションが解消されていたことも、原油価格急騰の背景にあったのかもしれない。(池谷信久) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

ブレント>WTI 原油価格差が3年ぶり大きさ、米でだぶつき観測

ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)とロンドン市場の北海ブレントという2つの代表的な原油先物相場の価格差が一段と拡大している。原油相場が上昇する場面で開きやすいが、今は値下がり局面にもかかわらず拡大している。米国内で原油がだぶつくのではないかとの観測がより強いため、WTIの割安さが目立っている。 北海ブレントの1日の清算値が1バレル76.79ドルだったのに対しWTIは65.81ドルとなり、その差は10.98ドルと2015年3月以来、3年3カ月ぶりの大きさに広がった。 格差は今年に入り拡大基調が続いている。一大産油地の中東情勢の緊迫化で原油相場が上昇するなかで、地理的に近い欧州産の原油である北海ブレントの方が影響を受けやすかったのが背景だった。 北海ブレント先物は5月17日に80.50ドル、WTIは同22日に72.83ドルとそれぞれ直近の高値を付けた後、反落に向かった。今月22日の石油輸出国機構(OPEC)総会に向けて、加盟国とロシアなど非加盟国が協調減産を緩めるとの観測が浮上したのが相場を押し下げた。 値上がり局面では「シェールオイルを中心に米国の原油生産が拡大するので需給の引き締まりは北海ブレントほど厳しくない」との見方がWTIの上値を抑える一因になっていた。相場が下がればシェールオイルの生産をためらう業者も増えそうだが、消費財のように機動的に増産と減産を繰り返すわけにはいかないのが原油産業だ。 さらに、輸送手段となるパイプライン拡張がシェールオイルの増産に追いつかないというボトルネックがWTIを一段と押し下げている。米国では生産の活発さを示す石油掘削設備(リグ)の稼働数が増加している一方、シェールオイルの生産が多い米南西部の2州をまたぐパーミアン地区では「新しいパイプラインの完成は19年にならないと見込めない」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミスト)という。野神氏は「すでに輸送能力不足が顕在化しつつあり、増産分が内陸部の在庫として積み上がりかねない」と懸念する。 裁定取引の機会拡大に向けWTIの割安さを一段と強めようと、投機筋などによる売り仕掛けも活発になりつつあるようだ。欧米格差は目先、拡大が続きそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN) 片岡奈美】   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

商品相場、スーパーサイクルの入り口に マネー流入さらに加速も

国際商品相場の上昇が加速している。市場では「長期の上昇トレンドに入りそうだ」との見方も増えてきた。影響は物価上昇率にとどまらず、投資マネーの流れを変える可能性がある。 国際商品の総合的な値動きを示すロイター・コアコモディティーCRB指数が18日、202.97と2015年7月以来の高水準を付けた。19日の取引時間中も参考値ながら一時204ちょうどに接近。節目とされてきた195前後を突破し、バンクオブアメリカ・メリルリンチは「長期の強気トレンド入りを宣言できるかの局面が来た」とみている。   けん引役が原油先物だ。米市場の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は19日、一時3年4カ月ぶりの高値を付けた。サウジアラビア主導の協調減産が続くなか、世界景気の拡大継続で需要は旺盛だ。米国のシェール増産は警戒要因だが、既に「新たな大相場」(プライス・フューチャーズ・グループのフィル・フリン氏)に入ったとの見方がある。 米国を発端とした貿易摩擦への警戒から、アルミニウムやパラジウム、ニッケルといった産業・工業用金属も最近、軒並み数年来の高値を付けた。米ブルームバーグのインダストリアル・メタルズ指数は約3年8カ月ぶりの高水準。世界各地で地政学リスクがくすぶるうえ、外国為替市場ではドルの上値が重いとあって、金など貴金属にも資金が流入しやすい状況だ。 このまま商品相場は一方的に上昇するのか。バンカメ・メリルがカギとみるのが農産物だ。CRB指数の3割強を占めるが、直近は中国による米国産大豆とトウモロコシへの報復関税などが警戒され、軟調な場面が目立った。 独コメルツバンクは、農産物について「アルゼンチンなどでの大豆不作や、悪天候による米トウモロコシの作付けの遅れといった供給面の支えがある」と指摘する。そもそも中国が穀物の調達先を米国以外にシフトすれば「日欧やアジアなどほかの消費地域が買い手として現れる」との見方が専門家の間では優勢という。 米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、中国の報復関税発表後も投機筋による大豆やトウモロコシ先物の買い持ち高はほとんど減っていない。農作物が国際商品の強気相場入りを後押しする可能性は十分にあると言えそうだ。 もともとコモディティーは「景気拡大の後半にインフレヘッジ目的などの買いが入りやすい」(米株トレーダー)。昨年末には米債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏が「2018年の最高の投資アイデア」として、商品をポートフォリオに加えるよう投資家に推奨していた。 米株式などと比べて割安感もあるだけに「リスク分散の買いが強まり始めた」(米債券アナリスト)との声もある。この先も積極的な買いに支えられて「スーパーサイクルが始まった」との認識が広がれば、投資マネーのポートフォリオに商品が大きなウエートを占めてくることも考えられる。 【日経QUICKニュース(NQN)ニューヨーク 森田理恵】   ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

米インフレ懸念再燃か WTIもBEIも長短金利も水準切り上がり

18日の米国市場で原油価格は大幅に上昇。WTIの期近物は一時68ドル台後半まで上昇し、2014年12月2日以来、3年4カ月ぶりの高値を付けた。 2月上旬以降、2.1%前後で推移していた米BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、債券市場が織り込む期待インフレ率)は、レンジを上抜けインフレ加速を織り込み始めている。 金融政策の影響を受けやすい2年金利は、2008年9月8日以来、9年7カ月ぶりの高水準に上昇した。 原油価格、BEI、2年金利とも、10年金利が一時2.9%台半ばまで上昇した2月の水準を上回っている。10年金利が再び3%を目指す展開になる可能性が出てきた。(池谷信久) (QUICK FactSet Workstationより) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

WTIが3年4カ月ぶり高値、米金利上昇の兆し

中東を巡る地政学リスクが高まりを受け、11日の米国市場では原油価格が上昇した。WTIの期近物は一時、67.45ドルと2014年12月上旬以来3年4カ月ぶりの高値を付けた。 原油価格と期待インフレ率の連動性は高い。米BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、債券市場が織り込む期待インフレ率)は、2月上旬以降、2.1%前後で推移している。このまま原油高が進めば、インフレ懸念が高まり、米長期金利は3%に向けて上昇する可能性もある。 (QUICK FactSet Workstationより) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

原油大幅高 織り込み始めた「イラン情勢泥沼化」 WTI70ドルに現実味

国際商品市場で原油相場が騰勢を強めている。米国とサウジアラビアによる「イラン包囲網」の強化で原油供給が細るとの観測から買いが増えており、中東と地理的に近い北海ブレント先物は前週末に1バレル70.57ドルと節目の70ドルを突破し、約2カ月ぶりの高値をつけた。イラン情勢に改善の兆しは見えず、市場参加者の間では一段高を見込む声が増えている。 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されるWTI原油先物も日本時間26日朝方の時間外取引で66.55ドルまで上昇し、2014年12月以来の高値更新が目前に迫る。   相場上昇が加速したのは前週のこと。19日にサウジのジュベイル外相が、イランが米欧など6カ国と2015年に結んだ核合意について「不完全だ」との見解を表明。翌20日にトランプ米大統領がサウジのムハンマド皇太子と会談すると、市場では「米国とサウジは対イランの強硬姿勢を確認し合った」との観測が広がり、相場急伸につながった。 時期を同じくしてトランプ大統領はティラーソン国務長官、マクマスター大統領補佐官と、米政権の中枢ポストを次々と解任した。後任はいずれも対イラン強硬派が就く見通しだ。独コメルツ銀行は23日付のリポートで、米政府が議会に対イラン制裁再開の是非を報告する次の期限となる5月12日に「(米政府が)制裁を再開する可能性が高い」との見方を示す。 制裁が再開すれば「イランと原油取引をする国々は米国での経済活動を制限され、イランとの原油取引の中断も余儀なくされる」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミスト)。市場に出てくるイラン産原油は減少する可能性が高い。そうでなくてもイランは国内の情勢悪化で原油生産が細りつつある。原油の供給不足が表面化しそうだ。 それだけではない。サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は前週、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどほかの産油国による協調減産について「2019年も続ける必要がある」と言及。国営石油会社サウジアラムコの上場を19年に控えて「原油相場を高値で維持したいとの思惑がある」(フジトミの斎藤和彦チーフアナリスト)ため、リップサービスも盛んだ。短期的には原油相場に上昇圧力がかかりやすく、「WTIで70ドルへの上昇も現実味を帯びてきた」と石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神氏は話す。 米国のシェールオイル増産などを踏まえて「年央までには60ドルに下落する」との予想も出るが、先高観はそう簡単に収まりそうもない。イランは過去に、米欧などの経済制裁に反発して原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖を示唆したことがあり、今回もそのカードをちらつかせる可能性は十分ある。原油相場はイラン情勢の泥沼化を織り込み始めていると見ておいた方がよいかもしれない。 【日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

米長期金利、なぜ上がる② 原油と賃金にインフレの芽

金利は一般的に、当該期間の「実質経済成長率」と「インフレ率」で決まると言われている。将来の成長率やインフレ率は現時点では確定していないことから、両者の予想(期待)を反映したものが金利ということになる。予想は過去のデータの影響を受ける。経済指標や市況変動を受けて金利が動くのは、そのためだ。 2009年7月に始まった米国の景気拡大局面は、今年7月には10年目に入り、戦後最長となる「10年」が視野に入る。歴史的な好景気にもかかわらず、10年物米国債の利回りでみた米長期金利はリーマン・ショック前の水準には戻っていない。一因は物価(期待インフレ率)の伸び悩みにある。 米GDP成長率と米10年物国債利回り(QUICK FactSet Workstationで作成)   原油価格が物価に与える影響は大きく、期待インフレ率との連動性も高い。2011年から1バレル=100ドル前後で推移していたWTIは2014年後半から大幅に下落。BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率=債券市場が織り込む期待インフレ率)も低下した。 米BEI(期待インフレ率)とWIT(QUICK FactSet Workstationで作成) 賃金の上昇も物価を押し上げる大きな要素だ。賃金上昇はコストの増加によるサービスや商品価格の上昇だけでなく、所得の増加による需要の拡大をもたらす。需要が増えることで価格が上がり、更に賃金も上昇するという循環的な物価上昇につながる。 逆に賃金の上昇がなければ、持続的な物価上昇は起こりにくい。賃金上昇率の伸び悩みが、2017年までの金利上昇を抑える要因になっていた。 米賃金上昇率とCPI(QUICK FactSet Workstationで作成) しかし、原油価格は2017年後半から徐々に水準を切り上げ、WTIは60ドル台を回復。2018年2月2日に公表された1月の米雇用統計では賃金上昇率が2.9%と、2008年以来の水準に達した。インフレ観測の高まりから、米長期金利は急上昇し、14日には一時2.92%と2014年1月10日以来、ほぼ4年1カ月ぶりの高水準を付けた。 良好な経済状況のなか、トランプ政権は減税やインフラ投資など、よりインフレにつながる政策を進めようとしている。インフレが加速するようなら、金利は一段と上昇するだろう。一方、市場は米国の好景気を前提に動いており、その前提が崩れれば、これまでのトレンドが反転することもあり得る。いずれの方向に向かうかは、今後の米景気や物価動向次第だ(③に続く)。 ▼関連記事 米長期金利、なぜ上がる① 30年の低下局面に幕引き、大転換期に突入も   ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。 ※QUICKデリバティブズコメントでは2月19日から、QUICK端末上のナレッジ特設サイトで「US Dashboard」のサービスを始めました。米国の長・短期金利スプレッド、期待インフレ率、VIXなど投資家・市場参加者が日々チェックするデータをチャート形式で一覧できます。米経済・市場の変化を見極めるツールとしてご利用いただけます。

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