VIXが5日続落で1か月ぶり低水準 シリア攻撃後、世界同時株高の流れ 【US Dashboard】

16日の米国市場で恐怖指数のVIXが大幅に5日続落し、4.88%安の16.56で終えた。一時は16.38まで下げ、3月21日以来、1カ月ぶりの低水準を付けた。 トランプ大統領が先週13日、シリアのアサド政権に対して米軍が攻撃したと発表。悪材料出尽くし感からアジアや欧州など主要国の株が買われ、世界同時株高となる中で相場の落ち着きを示す展開だった。 VIXの大幅安を受け、この日のNYSE Arcaの売買高ランキングではiPath S&P500VIX短期ETNが5位で、商いを伴い5.01%安となった。(片平正二) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。また、QUICKデリバティブズコメントでは特設サイト上で「US Dashboard」のサービスを始めました。米経済・市場の変化を見極めるツールです。

VIXショート戦略の投資家に損失? ボラティリティの調整どこまで

7日の米国市場でNYダウは小幅に反落し、19.42ドル(0.07%)安の24893.35ドルで終えた。米議会上院の指導部がつなぎ予算の延長で合意したことが伝わり、恐怖指数のVIXが低下したが、米長期金利が上昇する中で引けにかけては売りが優勢となった。 上昇寄与度トップは2日連続でボーイング。2.11%高で堅調に終えて49ドルほどダウを下支えした。上昇銘柄数は13にとどまり、値下がり銘柄数(17)を下回った。半面、下落寄与度トップはアップルで24ドルほどの押し下げ要因となった。 VIXは7.50%安の27.73で大幅続落した。6日に50.30まで上昇して2015年8月26日以来、2年5カ月ぶりの高水準に達した後はいったん上昇が一服しているが、それでも歴史的には高止まりしている。VIXショート型のETF(上場投資信託)であるベロシティシェアーズ・インバースVIX短期ETNは15.23%安の6.23ドルで大幅に続落。6日に92.57%安で急落したことで、VIXショート戦略の投資家が大きな損を抱えているのではないかとの思惑も相場の戻りを鈍くしている。 VIXショートのポジションを組成する上で欠かせない、VIX先物を運営するCBOEグローバル・マーケッツは2.03%安の114.565ドルで終えて4日続落となった。JPモルガンが7日付のリポートで、投資判断をオーバーウエイトからニュートラル、目標株価を131から110ドルに引き下げたことが嫌気された。リポートでは、VIXショート関連のETNの組成、CBOEが手掛けるVIX先物、VIXオプションの取引量に影響が及ぶ可能性があると指摘された。いわゆる適温相場のもと、低ボラティリティ(株価変動率)の恩恵を受けたVIXショート戦略だったが、先物の取引量の減少など各種の影響が予想される。米長期金利の上昇がきっかけとなった今回の株安・ボラ上昇の調整が長引くのかどうか、まだ慎重に見極めたいところだ。 きょうは北朝鮮で朝鮮人民軍創建日となる。従来は4月だったが、韓国で9日から開幕する平昌冬季五輪前日に前倒しされたことで国際社会に対する挑発行為が行われるのではないかと警戒されている。各報道によれば、衛星写真から大規模な軍事パレードの準備している様子がうかがえたということから、金正恩・労働党委員長が妹を平昌五輪に派遣する方針と伝わっているものの、昨年4月以来10カ月ぶりに軍事パレードを強行するとみられている。 NHKによれば、トランプ米大統領は今年、ワシントンで軍事パレードを行う方針を明らかにしたといい、北朝鮮をけん制する狙いがあるとみられるものの、北の軍事パレード自体をレッドラインとみなさなければ過度に警戒する必要はなさそう。平昌五輪の閉会式にはトランプ氏の長女で、ファースト・ドーターの異名を持つイバンカ・トランプ大統領補佐官が出席すると伝わっているだけに、冬季五輪開催中はひとまず軍事的な衝突が起こる可能性は低い。 ボラの高止まりを警戒しつつ、きょうはソフトバンクG(9984)が強含めば相場の下支えになりそうだ。7日の米国市場でピンクシート(SFTBY)が大幅高。4.40%高の40.40ドルで終え、1ドル=109.60円で試算した円換算値は8855円で前日の東証終値を1.92%上回った。夜間PTS(9984/JNX)では1.96%高の8859円で終えた。ピンクシートやPTS並みなら日経平均株価を20円前後押し上げる計算だ。 同社は前日の大引け後に2017年4~12月期の決算を発表。純利益は前年同期比34%増の1兆2027億円となり、2018年3月期のアナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサスの純利益予想(4538億円)を大幅に上回った。決算にあわせ、携帯子会社の上場方針も正式に示した。決算を受けて各社のリポートでは「決算印象は中立だが、国内通信上場準備発表をポジティブと見る」、「投資ファンドによるテクノロジー企業投資が加速」などと概ね高評価が出ていた。 また決算とは別に、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版が7日に「ソフトバンクGがスイスの保険大手スイス・リーと買収交渉している」と報じたことも注目される。記事によれば、ソフトバンクGはスイス・リーの株式の3分の1をプレミアムを付けて買収したい意向とのこと。スイス・リーの時価総額は約330億ドルと大きいが、ソフトバンクG自身が買うのか、サウジなどと共同で設立したソフトバンク・ビジョン・ファンドからの出資となるのかは不透明という。 報道を受け、7日の米国市場でスイス・リーのピンクシート(SSREY)は9.80%高の26.00ドルで終え、ソフトバンクGによる買収交渉を期待する動きとなったが、ソフトバンクGのピンクシートが伸び悩むこともなかった。合併・買収(M&A)のアービトラージで買収企業を売り、被買収企業を買うような展開とならなければ、ソフトバンクGの巨額買収による時価総額経営が市場のセンチメントを明るくする可能性もありそうだ。 (QUICKデリバティブズコメント) ※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

どうなるVIX急騰の後始末 世界の株売り圧力「22兆円」の試算も

株式市場で投資家心理が悪化すると上昇しやすい「恐怖指数」の高止まりが、さらなる世界の株売りを促しかねないとの警戒感が広がっている。米国株の予想変動率を示し、恐怖指数と呼ばれる米VIXは高水準のまま。この指数の変動を投資判断の材料にする投資家からの潜在的な売り圧力の規模は、22兆円に達するとの試算も出ている。 7日までに日米の株価急落にはひとまず歯止めがかかった。だが「株売りが本格化するのはこれから」と、機関投資家の運用戦略に詳しいある大手証券の株式担当者は身構える。7日のVIXは前日比7.34ポイント低下の29.98だったが、一時は50まで上昇した。米ダウ工業株30種平均の7日の日中値幅(高値と安値の差)は1100ドルを超え、相場の乱高下は続いている。VIXはS&P500種株価指数のオプション価格を元に算出するが、グローバルの投資家が市場心理を推し量る指標として重視している。VIXの上昇は日欧などのグローバル株の調整につながる。 相場の変動率を投資判断に活用する代表的な投資家はヘッジファンドの1つであるCTA(商品投資顧問)で、そのほか保有資産全体のリスクを予想変動率で測って資産を運用する「リスクパリティ(均衡)戦略」をとる投資家もいる。VIXの上昇は予想変動率が拡大を意味するため、彼らは株式投資のリスクが高まったと判断し、売りを出す。米バンクオブアメリカ・メリルリンチ(バンカメ)は6日付リポートで「CTAとリスクパリティ戦略(の投資家)は2000億ドル(22兆円)の世界株を売却している過程にある」と試算した。 こうした潜在的な売り圧力は10兆円とみるのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真チーフ・ポートフォリオストラテジストだ。同氏は「彼らは資産の組み入れ比率の調整を2週間から1カ月ごとに実施することが多い」と指摘する。バンカメも「大幅な配分変更には数日かかる」とみる。いずれも、変動率が大きくなった後、一定の時間をおいて株売りが膨らむとの見立てだ。 国際通貨基金(IMF)が変動率を重視して運用するこうした投資家の17年6月時点の運用残高をまとめたところ、CTAは24兆円、リスクパリティ戦略の投資家は最大19兆円、さらに変額年金は48兆円という。運用資産は株式だけではないものの合わせると100兆円に迫る規模という。17年末まで相場変動率は低位で安定していたため「残高はさらに増えた」との見方もある。それが年明け以降、VIXが急上昇したため、一転して売り圧力として警戒されている。 VIXの急上昇は現物株市場の外にも波紋を広げている。野村ホールディングス(8604)の欧州グループ会社と金融大手クレディ・スイスは6日、運用するVIXと逆の値動きをするETN(上場投資証券)をそれぞれ早期償還すると発表した。これらの商品はVIXが1%上がれば、1%下がるという仕組みだ。VIXが5日にわずか1日で2倍以上に急騰したため、一夜にして価値がほぼゼロになった。 米国株の急落とVIXの急上昇が残した爪痕として、今後1~2週の間にどこから関連した金融商品を通じた株売りが出てくるか。投資家は戦々恐々としている。彼らのリスク許容度の回復は簡単には進まなさそうだ。 【日経QUICKニュース(NQN ) 田中俊行、張間正義】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。 ◆関連記事はこちら◆ VIXショックは去ったか 日米株乱高下 市場参加者はこう見る 上場投資証券「VIXベア」(2049)、1日で価値9割消失 米株の急落受け

上場投資証券「VIXベア」(2049)、1日で価値9割消失 米株の急落受け

株式相場のボラティリティー(変動率)の急拡大が投資家に影響を及ぼしている。米株式相場の大幅下落を受けて「恐怖指数」と呼ばれる米S&P500種株価指数の変動性指数(VIX)が5日に急上昇。VIXと逆の値動きをする上場投資証券(ETN)はわずか1営業日で9割を超える価値が消失した。 野村ホールディングス(8604)の欧州グループ会社は6日、VIXと逆の値動きをする「NEXT NOTES S&P500 VIXインバースETN(上場投資証券)」(VIXベア、2049)の早期償還を決めた。連動する指数が前の日の終値から20%を超えて下げ、繰り上げ償還の条件を満たしたためだ。東京証券取引所は同ETNの取引を停止。整理銘柄に指定する見通し。 VIXベアが連動対象としているのは米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが算出する「S&P500 VIX短期先物インバース日次指数」。同指数はVIXと逆の値動きになるよう設計されており、VIXが1%下がれば、VIXインバース指数は1%上がるという仕組みだ。 世界的な景気拡大や良好な企業業績、緩和的な金融政策などに支えられた低変動相場は投資家に恩恵をもたらしてきた。VIXベアが上場した2015年3月16日時点の1口あたりの償還価格は9945円だった。その後はじりじりと上昇し、2017年には年間で2.7倍となるなど上昇基調を強めて一時4万円の大台に迫った。今月2日時点では運用残高にあたる残存償還価格総額も約323億円にまで膨らんだ。 【VIXベアの1口あたりの償還価格の推移】 だが、足元の相場の急落で状況が一変した。VIXは5日に前週末終値の2.2倍の37.32と、約2年5カ月ぶりの水準に上昇。反対の値動きをするVIXベアの価格は5日時点で1144円と前週末から96%下落し、残高は約12億円にまで目減りした。相場の急激な変動による悪影響が広がってきた。 【日経QUICKニュース(NQN) 神能淳志】 ※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。

人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

アーカイブ

PAGE TOP